平成二十八年東京都議会会議録第一号

平成二十八年二月十七日(水曜日)
 出席議員 百二十二名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番菅野 弘一君
四番川松真一朗君
五番山内  晃君
六番栗山よしじ君
七番堀  宏道君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番やながせ裕文君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番中山ひろゆき君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十九番伊藤こういち君
二十番松田やすまさ君
二十一番河野ゆうき君
二十二番ほっち易隆君
二十三番舟坂ちかお君
二十四番島崎 義司君
二十五番鈴木 錦治君
二十七番宮瀬 英治君
二十八番田中 朝子君
二十九番上田 令子君
三十番山内れい子君
三十一番西沢けいた君
三十二番田中  健君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番まつば多美子君
三十九番高倉 良生君
四十番神野 次郎君
四十一番木村 基成君
四十二番北久保眞道君
四十三番高椙 健一君
四十四番栗山 欽行君
四十五番大場やすのぶ君
四十六番近藤  充君
四十七番桜井 浩之君
四十八番山崎 一輝君
五十番石川 良一君
五十一番両角みのる君
五十二番西崎 光子君
五十三番あさの克彦君
五十四番新井ともはる君
五十五番中村ひろし君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番野上 純子君
六十一番中山 信行君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番東村 邦浩君
六十四番崎山 知尚君
六十五番鈴木 章浩君
六十六番清水 孝治君
六十七番小松 大祐君
六十八番柴崎 幹男君
六十九番和泉 武彦君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番鈴木 隆道君
七十二番早坂 義弘君
七十三番高木 けい君
七十五番野上ゆきえ君
七十六番島田 幸成君
七十七番今村 るか君
七十八番大西さとる君
七十九番小山くにひこ君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番高橋 信博君
八十八番中屋 文孝君
八十九番三宅 正彦君
九十番小宮あんり君
九十一番田中たけし君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番山田 忠昭君
九十六番林田  武君
九十七番こいそ 明君
九十八番田島 和明君
九十九番古賀 俊昭君
百番斉藤あつし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番小磯 善彦君
百七番橘  正剛君
百八番長橋 桂一君
百九番中嶋 義雄君
百十番立石 晴康君
百十一番神林  茂君
百十二番秋田 一郎君
百十三番宇田川聡史君
百十四番相川  博君
百十五番吉原  修君
百十六番野島 善司君
百十七番三宅 茂樹君
百十八番川井しげお君
百十九番高島なおき君
百二十番野村 有信君
百二十一番吉野 利明君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 二名
十八番    遠藤  守君
百二十二番  内田  茂君
 欠員
    二十六番 四十九番 七十四番

 出席説明員
知事舛添 要一君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務安井 順一君
政策企画局長川澄 俊文君
総務局長中西  充君
財務局長長谷川 明君
主税局長小林  清君
警視総監高橋 清孝君
生活文化局長多羅尾光睦君
オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋 正宏君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長山本  隆君
建設局長佐野 克彦君
港湾局長武市  敬君
会計管理局長塚本 直之君
交通局長塩見 清仁君
消防総監高橋  淳君
水道局長醍醐 勇司君
下水道局長石原 清次君
青少年・治安対策本部長廣田 耕一君
病院経営本部長真田 正義君
中央卸売市場長岸本 良一君
選挙管理委員会事務局長安藤 弘志君
人事委員会事務局長藤田 裕司君
労働委員会事務局長櫻井  務君
監査事務局長猪熊 純子君
収用委員会事務局長目黒 克昭君
包括外部監査人佐久間清光君

二月十七日議事日程第一号
第一 第一号議案
平成二十八年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成二十八年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成二十八年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成二十八年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成二十八年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成二十八年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成二十八年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成二十八年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成二十八年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成二十八年度東京都と場会計予算
第十一 第十一号議案
平成二十八年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二 第十二号議案
平成二十八年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三 第十三号議案
平成二十八年度東京都都市開発資金会計予算
第十四 第十四号議案
平成二十八年度東京都用地会計予算
第十五 第十五号議案
平成二十八年度東京都公債費会計予算
第十六 第十六号議案
平成二十八年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十七 第十七号議案
平成二十八年度東京都病院会計予算
第十八 第十八号議案
平成二十八年度東京都中央卸売市場会計予算
第十九 第十九号議案
平成二十八年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十 第二十号議案
平成二十八年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成二十八年度東京都港湾事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成二十八年度東京都交通事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成二十八年度東京都高速電車事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成二十八年度東京都電気事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成二十八年度東京都水道事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成二十八年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成二十八年度東京都下水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
第二十九 第二十九号議案
東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十 第三十号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの都道府県知事保存本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第四十一 第四十一号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十二 第四十二号議案
東京都スポーツ・文化振興交流基金条例を廃止する条例
第四十三 第四十三号議案
東京都消費生活総合センター条例
第四十四 第四十四号議案
東京都私立学校教育助成条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
東京都障害者スポーツ振興基金条例
第四十六 第四十六号議案
東京都体育施設条例の一部を改正する条例
第四十七 第四十七号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
第五十 第五十号議案
都立学校等に勤務する講師の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
東京都いじめ防止対策推進条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
学校職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
東京都教育委員会職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
東京都建築審査会条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
東京都文教地区建築条例の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第六十 第六十号議案
東京都国民健康保険財政安定化基金条例
第六十一 第六十一号議案
東京都後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
東京都軽費老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十五 第六十五号議案
東京都指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
東京都養護老人ホーム条例を廃止する条例
第六十七 第六十七号議案
東京都認定こども園の認定要件に関する条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
東京都安心こども基金条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
東京都立多摩療育園条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
東京都立総合精神保健福祉センター及び東京都立精神保健福祉センター条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
東京都森林整備加速化・林業再生基金条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第八十 第八十号議案
緑の東京募金基金条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
東京都霊園条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
東京都河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
警視庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第八十八 第八十八号議案
歓楽的雰囲気を過度に助長する風俗案内の防止に関する条例の一部を改正する条例
第八十九 第八十九号議案
東京都デートクラブ営業等の規制に関する条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
オリンピックアクアティクスセンター(仮称) (二十七)新築工事請負契約
第九十六 第九十六号議案
有明アリーナ(仮称) (二十七)新築工事請負契約
第九十七 第九十七号議案
平成二十七年度海の森水上競技場整備工事請負契約
第九十八 第九十八号議案
警視庁大森合同庁舎(二十七)改築工事請負契約
第九十九 第九十九号議案
都営住宅二十七H―一〇二・一〇三西(練馬区上石神井四丁目)工事請負契約
第百 第百号議案
木下川排水機場耐震補強工事請負契約
第百一 第百一号議案
上平井水門耐震補強工事請負契約
第百二 第百二号議案
上平井水門耐震補強工事(その二)請負契約
第百三 第百三号議案
平成二十七年度十三号地新客船ふ頭岸壁(-(マイナス)十一・五m)防波堤建設工事請負契約
第百四 第百四号議案
包括外部監査契約の締結について
第百五 第百五号議案
東京都と神奈川県との境界にわたる町田市と相模原市との境界変更について
第百六 第百六号議案
境界変更に伴う財産処分に関する協議について
第百七 第百七号議案
東京都立有明北緑道公園の指定管理者の指定について
第百八 第百八号議案
都道の路線の認定及び廃止について
第百九 第百九号議案
都道の路線の廃止について
第百十 第百十号議案
平成二十八年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百十一 第百十一号議案
平成二十七年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区の負担の変更について
第百十二 第百十二号議案
東京都立東京臨海広域防災公園の指定管理者の指定について
第百十三 第百十三号議案
多摩川流域下水道野川処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百十四 第百十四号議案
平成二十七年度東京都一般会計補正予算(第一号)
第百十五 第百十五号議案
平成二十七年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百十六 第百十六号議案
平成二十七年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百十七 第百十七号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第百十八 第百十八号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第百十九 第百十九号議案
平成二十七年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第百二十 第百二十号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第百二十一 第百二十一号議案
東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十二 第百二十二号議案
東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十三 第百二十三号議案
東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十四 第百二十四号議案
東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十五 第百二十五号議案
東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十六 諮問第一号
地方自治法第二百三十一条の三の規定に基づく審査請求に関する諮問について
議事日程第一号追加の一
第一 議員提出議案第一号
北朝鮮の核実験及びミサイル発射に対する抗議決議

   午後一時開会・開議

○議長(川井しげお君) ただいまから平成二十八年第一回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(川井しげお君) まず、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   十二番  小松 久子さん 及び
   六十九番 和泉 武彦君 を指名いたします。

○議長(川井しげお君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(新美大作君) 平成二十八年二月十日付東京都告示第百六十一号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、本定例会に提出するため、議案百二十六件の送付がありました。
 次に、知事及び監査委員並びに各行政委員会より、平成二十八年中における東京都議会説明員及び説明員の委任について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、選挙管理委員会委員長より、平成二十七年第四回定例会の会議において選挙された選挙管理委員は、平成二十七年十二月二十三日をもって就任したとの通知がありました。
 次に、知事より、平成二十七年第四回定例会の会議において同意を得た教育委員会委員及び監査委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、監査委員より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の委任の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき通知がありました。
 次に、包括外部監査人より、平成二十八年二月十日付で、平成二十七年度包括外部監査報告書の提出がありました。
 次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。
 内容は、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について並びに東京都高等学校・大学等進学奨励事業に係る貸付金の償還免除に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、平成二十七年工事監査、平成二十七年財政援助団体等監査及び平成二十七年行政監査の結果について、それぞれ報告がありました。
 次に、包括外部監査の結果に基づき知事が講じた措置の通知内容について、提出がありました。
(別冊参照)

○議長(川井しげお君) この際、報告いたします。
 二月六日、台湾南部において地震が発生し、多数の死傷者を出すなど、多大な被害がありました。衷心よりお見舞い申し上げます。
 本議会は、議員の拠出による見舞金を贈ることにつきまして、全議員の賛同を得たところでありますが、昨十六日、台北駐日経済文化代表処を訪問し、議会を代表して贈呈してまいりました。

○議長(川井しげお君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 平成二十七年第四回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
   〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一七ページ)に掲載〕

○議長(川井しげお君) 次に、先般の人事異動に伴い異動がありました説明員をご紹介いたします。
 監査事務局長猪熊純子さん。
   〔理事者挨拶〕

○議長(川井しげお君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(川井しげお君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第一号、北朝鮮の核実験及びミサイル発射に対する抗議決議が提出されましたので、これを本日の日程に追加いたします。

○議長(川井しげお君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から三月二十五日までの三十八日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、会期は三十八日間と決定いたしました。

○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 平成二十七年度包括外部監査結果の報告について、地方自治法第二百五十二条の三十四第一項の規定に基づき、包括外部監査人の説明を求めることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、平成二十七年度包括外部監査結果の報告について、包括外部監査人の説明を求めることに決定いたしました。
 ここで、佐久間清光包括外部監査人の出席を求めます。
   〔包括外部監査人佐久間清光君入場、着席〕

○議長(川井しげお君) ただいまご出席いただきました包括外部監査人をご紹介いたします。
 佐久間清光さんでございます。
   〔包括外部監査人挨拶〕

○議長(川井しげお君) 本日は、ご多忙のところ、監査結果の報告の説明のためにご出席いただき、まことにありがとうございます。

○議長(川井しげお君) この際、知事より、平成二十八年度施政方針について発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事舛添要一君。
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 平成二十八年第一回都議会定例会の開会に当たりまして、都政の施政方針を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 私の東京都知事としての任期は、折り返し地点を迎えました。この二年間、世界一の都市東京という目標を掲げ、都議会の皆様とさまざまな議論を交わし、東京をいかに発展させるか、都民生活をいかに充実させるかを考えてまいりました。これまでの議論や経験を踏まえ、さらに、政策を充実させていくこと、成果を最大化していくことが、今の私に課された使命であると考えております。
 二十一世紀初頭のこの時代に、日本の首都東京の国際社会における重みは、かつてなく増しております。前回大会の一九六四年は、日本人の海外渡航が自由化された年でありました。その後、日本人は、海の向こうに渡る旅行者数を年々ふやし、海外からの入国者数を上回ってまいりました。
 しかし昨年、これが四十五年ぶりに逆転し、日本人の出国者以上に多くの旅行者が海外から訪れました。前回大会のときには、距離の遠さが不安視されました極東の島国、その首都東京は、今や世界中の注目を浴び、人々を引きつけております。
 この半世紀で、時代は大きく変わってまいりました。国際社会のボーダーレス化が進む一方、世界人口の半数以上が都市で生活するようになりました。国境を越えた人、物、資本、情報の自由な移動が価値を生み出す時代にあって、都市同士がそれぞれの魅力を競い合い切磋琢磨しております。同時に、治安や大気汚染、感染症など、都市が抱える課題も国境を越えて広がってまいりました。こうした共通の課題に連携して対処していかなければなりません。もはや、世界とのかかわりを意識することなくして、都市の経営は成り立たないものとなっております。
 ことしは、リオデジャネイロの地で、オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。出場する選手たちの心躍る活躍を期待しております。同時に、中東を初め国際情勢が混迷を深める中で、この平和の祭典が明るい光を導いてくれることを願ってやみません。
 ちなみに、本日私が着用しておりますこのネクタイは、そのリオ大会のネクタイでございます。リオ大会の開催期間中は、次回開催都市東京をアピールする絶好の機会であります。リオ市内にジャパンハウスを設置し、また、市長から大会旗を受け取るハンドオーバーセレモニーにおきましても、東京と日本の魅力を鮮烈に印象づけてまいります。そして、この大会が終われば、東京は世界中のさらなる注目を集めることになります。
 私は、今こそ、世代を超えて東京を大きく飛躍させるための基礎を固めるときだと考えております。後の時代の人々が、あの時期にしっかりとした基礎を築いてくれたから今のすばらしい東京がある、そう思ってもらえる取り組みを進めなければなりません。これができますのは、二〇二〇年大会の開催を控えた今をおいてほかにありません。私たちは、間違いなく、後の歴史に問われる場所に立っていると思います。
 将来に向けて進化する東京の方向性を明確に位置づけるため、二〇四〇年代のあるべき姿をグランドデザインとして描く検討に入っております。都市づくりの分野を取りまとめ、その後、これを包括した形で東京全体のグランドデザインを策定いたします。
 かつて後藤新平は、関東大震災後の東京の姿を先見性を持って描き出しました。震災後という緊急事態の中にありながらも、首都のあるべき姿を見据えて作成した壮大な計画は、皆様ご承知のとおり、南北方向の昭和通り、東西方向の靖国通りという幹線道路を初め、その後の東京の骨格を形づくりました。
 一方、現在におきましては、都市活動の連続性を踏まえつつ将来を描くという、緊急時とは違った意味での難しさもあります。それでも、現在の延長線上だけを考えるのではなく、そこに理想や夢、希望を込めていくことが重要であります。これが、後の時代に活動する人々の目標となり、活力につながっていくからでもあります。
 安全・安心に包まれ、快適な生活を享受し、優しさにあふれ、誰もが生き生きと活躍するまち。世界中の誰もが憧れ、一度は訪れたい、住んでみたいと思うまち。普遍的な価値を備えた都市に東京を進化させていく、その姿を示すことが重要だと考えております。
 東京を発展させるための大前提は、安全・安心の確保であります。
 あの東日本大震災から間もなく五年が経過いたします。その後も、河川の氾濫や土砂災害、噴火などが相次ぎ、都内でも、大島の土砂災害や多摩山間部の大雪被害などが発生いたしました。自然災害への備えを着実に講じてまいります。自助、共助、公助という三つの力を効果的に組み合わせ、たとえ災害が起こっても、被害を最小限に抑える強靱な都市を築いてまいります。
 また、東京の友好都市でありますパリやジャカルタがテロの被害に見舞われました。国際社会は、経済面での結びつきを強めながら、他方で、心理的な乖離や憎悪、断絶を深めるという危うい二律背反を抱えております。こうした事態は、世界有数の国際都市、オリンピック・パラリンピック開催都市として、ますます注目を集める東京にとりまして、決して人ごとではありません。確実に備えを固めてまいります。
 東京を発展させる原動力は、都民、国民一人一人の活躍であります。人々が持てる能力を十二分に発揮して輝ける環境を整えることが都市の発展につながります。女性や高齢者、障害のある方の活躍を全力で支えてまいります。
 そして、生産性を向上させ、働き方改革を進めることが、時間的なゆとりを生み出し、人生をもっと豊かにしてくれると思います。例えば、週休三日という考え方もあります。ワークライフバランスを実現することで、持続的な経済成長と生活の質の向上を両立させてまいります。
 こうした中、私が懸念しておりますのが、貧困の連鎖、格差の拡大という問題であります。貧困の連鎖という、本人の努力を超えたところに存在する障壁を取り除かなければ、生き生きとした活躍など望むべくもありません。あるいは、一度失敗しても再チャレンジに取り組めることが必要であります。将来の成長へのマイナス要因に、今ここで対処し、豊かさを実感できる社会を目指してまいります。
 もう一つ、東京発展の鍵は、地域の力を高めていくことにあると考えております。一くくりに東京というだけでなく、多様性あふれる都市を築いていくことが重要であります。
 東京は、二十三区、多摩・島しょと、それぞれに魅力を放っており、その中にも地域、地域の特色があります。その強みを伸ばしていくことが、都市の総合力を高めることになります。知恵を絞れば、新たな強みを発見し、あるいは弱みを強みに変えていくことも可能であります。
 例えば、昨今、問題となっております空き家も、都市のストックとして有効に活用できれば、地域の活性化に役立てることができます。都内の区市町村を初め、地域の可能性を引き出す地元の頑張りを支え、それらを効果的に結びつけていきたいと思います。
 そして、オリンピック・パラリンピック東京大会を成功させ、二〇二〇年という年を、その後の東京の加速度的な発展を引き起こす大変革点にしたいと考えております。大会の経済効果は、先般、日本銀行が発表した試算によると三十兆円に上るとのことでありました。しかし、そこで終わらせるつもりはありません。二〇二〇年までの貴重な時間を最大限活用し、この価値をさらに高めてまいります。
 国際的なビジネス環境を整えて外国企業を呼び込み、日本企業のイノベーションも引き起こすことで高い付加価値を創出いたします。東京と日本が持つ最先端の技術を世界に披露し、その実力を示してまいります。観光を一大産業として振興し、伝統と革新が融合した都市、水の都東京といった洗練された魅力を訪れる全ての人に堪能してもらいます。成長戦略を果敢に展開すればするほど、オリンピック・パラリンピックの波及効果は高まります。東京から日本の再生をリードし、新たな富を生み出してまいります。
 安全・安心の確保を前提に、人々が活躍しやすい環境を整え、二〇二〇年大会の大いなるレガシーのもとで、私が目指しますのは、ゆとりある成熟社会であります。前回の東京オリンピックは、高度経済成長に向けた、いわば成長を目指した大会でありました。しかし、この成長は、経済的豊かさと同時に、渋滞や環境問題といった都市問題も生み出しました。二〇二〇年は、よりよい成熟を目指す大会であります。オリンピック・パラリンピックのレガシーが、その後の東京と日本の底流に流れる価値を決定づけていきます。
 二〇二〇年大会を何としても成功させ、そして、世界一の都市東京を実現いたします。仕事や家庭だけでなく趣味も含めて、もっと人間らしく、全ての面で都民生活の質を向上させたいと思います。常に活力に満ちた都市活動の中で、ゆとりある生活を楽しむことができる、そうした都市に東京を高めてまいります。
 今や東京は、ロンドン、ニューヨーク、パリと渡り合う世界有数の大都市であります。都市としての総合力を持って、堂々と国際社会で伍していける力を持っております。この総合力をさらに高め、正攻法で都市間競争に臨む、私は、これが二十一世紀の東京の立場だと考えております。
 こうした考え方のもと、平成二十八年度予算案は、世界一の都市の実現に向けた取り組みを加速化、深化させ、力強く前進させる予算と位置づけ、一般会計総額七兆百十億円の規模で編成いたしました。
 東京都長期ビジョンによる事業展開には、一兆二千五百億円を計上しております。あるべき将来を見据え、タイミングを逃すことなく、政策手段を総動員して成果を最大化する。明るい未来に向けた投資を、今こそ果敢に実行してまいります。
 都の財政は、景気の波に大きく左右される特徴を有しております。皆様ご承知のとおりでございます。こうした中におきましても、重要な施策を揺るぎなく推進していくため、基金への積み立てに加え、昨年を上回ります三百二十五件の既存事業の見直しを行い、約三百億円の財源を確保いたしました。今後も、強固な財政基盤の維持構築を不断に進めてまいります。
 これより主要な政策について申し述べてまいります。
 まず、二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックについてであります。
 ラグビーワールドカップは、二〇二〇年大会の成功を占う重要な試金石でもあります。ことし六月には、日本代表とスコットランド代表の試合が味の素スタジアムで行われます。この貴重な機会を生かし、本番さながらに取り組むことで機運醸成や運営手法の向上を図ってまいります。
 そして、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会であります。夏のリオ大会が終われば、いよいよ東京の番であります。史上最高の大会に向けまして、着実に準備を進めてまいります。都が整備します恒久施設のうち、アクアティクスセンター、有明アリーナ、海の森水上競技場の三施設について、先般、設計、施工を行う事業者を選定いたしました。本定例会には、これに関する契約案を提案しております。ご審議のほどをよろしくお願いいたします。
 世界的なイベントを成功させるためにも、海外諸都市との友好関係が重要であります。東京という都市を気に入ってもらえば、このまちをもっと楽しみたい、もっと滞在したい、もっとここで盛り上がりたい、そういう気持ちも強くなります。
 今月末には、アンヌ・イダルゴ・パリ市長の東京訪問も予定されております。都市外交を通じまして、東京の魅力を積極的に海外にアピールし、多くの都市と友好を深めてまいります。
 先月、東日本大震災の記憶を風化させないようイベントを開催いたしました。私も出席し、被災地の復興なくして日本の再生はあり得ないとの決意を改めて強くいたしました。リオ大会中には、ライブサイトを都内のほか被災三県に設置いたします。引き継がれたオリンピック・パラリンピックフラッグを活用したイベントも展開し、リオの興奮と感動、二〇二〇年大会への期待を被災地に届けていきたいと思います。
 障害者スポーツの環境を、パラリンピックを通じて劇的に変えてまいります。今後四年間の集中的、重点的な取り組みを担保するため、今回、障害者スポーツ振興基金二百億円を新たに設けました。選手の発掘を進め、競技団体が行う競技会や合宿などの支援を拡充し、さらに、二〇二〇年大会への出場が期待される選手を、東京ゆかりパラリンピック出場候補に認定して、強化活動を支援してまいります。
 障害者スポーツができる場についても、区部、多摩それぞれの障害者スポーツセンターの改修に加えまして、都立の特別支援学校の体育施設を活用し、また、区市町村の体育施設のバリアフリー化も支援いたします。
 スポーツ環境だけでなく、道路の段差解消など、ハード面のバリアフリーや心のバリアフリー、情報面でのバリアフリーを推し進め、二〇二〇年の先に、全ての人に優しいまち東京を実現してまいります。
 二〇二〇年大会の準備は、それ自体が東京の進化に直結いたします。
 大会を契機に、東京のまちにボランティア文化を定着させてまいります。今般、共助社会づくりを進めるための東京都指針を策定いたしました。この指針に基づき、都民の社会貢献活動を活性化し、さまざまな課題への解決力を高めていきたいと思います。
 さらに、障害のある方のボランティア参加については、国内外の活躍事例を調査し、都における支援体制の検討も始めます。障害のある方もボランティア活動をやってもらうんだと、こういう姿勢を新たに出したいと思って、どう支援するか、例えば、障害のある方と健常者がペアになって、障害のあるアスリート、お客様が来られたときに、しっかりと障害者の目線でお支えすると、こういうことを考えたいと思っております。
 それから、外国人の方が参加しやすい環境も、大使館などとの連携のもと整えてまいります。また、大会開催時には、大規模なボランティアの確保など、運用体制の構築が重要になります。過去の大会の調査結果を踏まえ、大会関連ボランティアの裾野拡大や都市ボランティアの運用体制についての戦略策定に取り組んでまいります。
 オリンピック・パラリンピック教育は、愛称も「ようい、ドン!」と決まりました。四月から、都内全校で実施してまいります。
 オリンピック・パラリンピックの精神を身近に感じ、深く理解するためには、実際の体験や活動を通じて学んでいくことが効果的であります。スポーツへの親しみや障害者理解を深め、ボランティア活動を充実させてまいります。さらに、世界ともだちプロジェクトで、多様な国々について学びながら世界の多くの人々と交流を行い、相互理解を促進していきたいと思っております。
 昨日、パレスチナのアッバース大統領がおいでくださいました。そして、平和の象徴であるオリーブの木を東京都にお贈りくださいました。パレスチナの子供たちと交流をする、そういう小学校にこれを植樹して、東京とパレスチナの末永いきずなのあかしとしたいと思っております。被災地を初め、全国各地の子供たちとの交流も通じて、オリンピック・パラリンピックのすばらしさを日本全体に広げていきたいと思います。
 グローバル人材の育成につきましては、英語村を平成三十年度に臨海部で開設するため、来月末から事業者の公募を開始し、民間のアイデアやノウハウを取り入れた準備を進めてまいります。国際社会で活躍する上では、日本人としての自覚、助け合いの精神などが不可欠であります。こうした点からも、人間として踏まえるべき倫理観や道徳性を身につける教育の重要性が一層高まっております。
 この四月から、全都立高校で、道徳教育とキャリア教育を一体化させた都独自の新教科、人間と社会を実施いたします。社会とのかかわりの中でみずからの生き方を考え、行動する力を育ててまいります。
 二〇二〇年大会を、文化の祭典としても成功させてまいります。世界中から多くの人が集まるリオ大会では、これまで都内で展開してまいりましたリーディングプロジェクトをリオ市内で実施し、東京の芸術文化の魅力を発信してまいります。
 アール・ブリュットにつきましては、現状調査や専門家の意見も踏まえまして、展示交流拠点の検討を進め、同時に、都内各所で展覧会を開催いたします。劇場、ホールの不足という指摘に対しましては、詳細な状況調査を実施し、分野ごとに団体からも直接意見を聴取しております。民間の取り組みも引き出しながら必要な対策を検討してまいります。
 次に、福祉先進都市を実現し、誰もが生き生きと活躍できる社会をつくり上げるための政策展開について申し述べます。
 少子高齢化という課題が東京に重くのしかかっております。子供を安心して産み育てられる環境、年をとっても安心して暮らしていける環境の整備に全力を挙げてまいります。
 とりわけ、保育や介護サービスを支える人材の不足は深刻となっております。これらの人材の掘り起こし、マッチング、職場定着までを総合的に支援してまいります。さらに、保育士養成施設の卒業予定者に保育所などへの就職を促す取り組みや、介護職員の宿舎を借り上げる場合、費用の一部を補助する取り組みも始めます。先ほど申し上げました空き家の活用、これもここに位置づけたいと思っております。福祉先進都市実現の鍵を握る、こうした人材の確保、定着に積極的に取り組んでまいります。
 また、ここのところ報道されておりますけれども、川崎市の老人ホームで発生しました転落死に鑑みまして、このような悲惨な事件が二度と起こらないよう、引き続き、都内有料老人ホーム等への指導を徹底して行ってまいります。
 子育ての分野では、待機児童解消に向けた取り組みの一つとして、国家戦略特区の活用を進めております。荒川区に続きまして、先日、世田谷区の都立祖師谷公園に保育所を設置する区域計画が認定されました。今後、さらにこれを拡大してまいりたいと思っています。また、増加する子供の虐待相談に対応するため、児童福祉司や児童心理司を増員し、児童相談所の体制を強化いたします。
 高齢者施策につきましても、特別養護老人ホームの整備では、都からの提案が受け入れられ、賃貸物件での整備を認める要件緩和が実現する運びとなりました。認知症に対しては、若年性認知症総合支援センターを、区部に加えて多摩地域に新たに設置し、多岐にわたる相談にワンストップで対応してまいります。
 医療機能の強化も図ってまいります。都立広尾病院は、渋谷区にあります旧青山病院跡地等を活用し、移転改築いたします。自然災害やNBC災害、テロなどに対応する新たな災害医療の拠点、首都災害医療センターとして、平成三十五年度の開設に向け準備を進めてまいります。
 多摩地域では、神経病院を改築し、都の難病医療拠点として整備いたします。多摩総合医療センター、小児総合医療センター、神経病院、この都立三病院の連携強化を軸に、多摩メディカルキャンパスを再構築し、多摩地域全体の一層の医療水準の向上に取り組んでまいります。
 先ほど申し上げました貧困の連鎖でありますが、この貧困の連鎖を断ち切るために、学びや仕事に意欲ある人々を全力で支援いたします。都は、食事の提供や学習支援を行う子供の居場所づくりに取り組む区市町村を独自に支援してまいります。また、庁内各局で構成する子供・子育て施策推進本部に、子供の貧困対策推進連携部会を新たに設置し、首都大学東京の子ども・若者貧困研究センターで行う調査研究の知見も生かしながら、さまざまな取り組みを進めてまいります。
 非正規雇用対策では、三年間で一万五千人を正規雇用化するという目標の早期実現に向けまして、来年度は、社内での正社員への転換に取り組む企業への助成規模を大幅に拡充いたします。若者や就職氷河期世代への支援も合わせ、年間七千五百人の正規雇用化を目指してまいります。さらに、不登校、中途退学への対策を強化し、望まない非正規雇用につながる根を事前に断ち切るなど、人生の各段階で貧困の連鎖を防いでいきたいと考えております。
 そして、ワークライフバランスを進めることが人々の生活にゆとりを生み出します。働き方改革に取り組む企業に奨励金を支給し、同時に、コンサルタントを派遣して、具体的なアドバイスを行うことで生産性の向上を図ってまいります。
 女性や高齢者、障害者が活躍しやすい環境も整備いたします。女性が輝く社会を目指し、このたび自治体初となります女性活躍推進白書を策定いたしました。しっかりとこのデータ分析を行いまして、克服すべき課題と取り組みの方向性を示してございます。
 元気な高齢者が福祉施設や地域でのボランティアなどで、豊富な経験や知識を生かして活躍することも応援してまいります。さらに、障害者の安定的な雇用の促進に向けて、国に先んじて、正社員や期間の定めがない雇用での採用、社内転換を促進する独自の制度を創設いたします。一定水準を上回る賃金での雇用を要件とするなど、障害のある方の処遇改善に確実に結びつけてまいります。
 続きまして、安全・安心の確保であります。
 国際的なテロは、年々増加傾向にあり、警察官の増員など体制を強化いたします。また、サイバー攻撃による情報流出の脅威が深刻化しておりまして、中小企業のすぐれた技術も標的となりかねません。
 先月、都と警視庁、中小企業支援機関で相互協力協定を締結いたしました。オール東京の体制で、サイバーセキュリティーに関する普及啓発や情報共有、相談体制の構築を進めてまいります。総合的な危機管理専門人材の育成にも取り組んでまいります。
 また、救急の出動件数がここ数年、過去最高を更新し続けております。救急現場は、時間との勝負であります。需要の多い場所、地域において、時間ごとの需要に合わせた機動的運用を実施いたします。昨年末からの東京駅での試行結果を検証し、エリアを拡大して本格運用することで、必要な救急処置を迅速かつ適切に受けられるように努めてまいります。
 東京の防災上最大の弱点であります木造住宅密集地域の不燃化につきましては、来月、防災都市づくり推進計画を改定いたします。緊急時における車両の通行や住民の避難のため、生活道路の計画的な整備を進めてまいります。あわせて、沿道の建てかえを促し、不燃化を加速化いたします。また、敷地の細分化を防ぐ地区計画の策定を区や市に促すなど、今後、市街地が木密地域とならないよう未然防止も図ってまいります。対策を着実に進めるため、今年度の最終補正予算案では、防災街づくり基金に二千億円を積み増ししたいと考えております。
 マンションは、都内の主要な居住形態である一方、老朽化や居住者の高齢化、管理組合の機能低下などが懸念されております。そこで来月末、全国初となります良質なマンションストックの形成促進計画を策定いたします。管理不全の予防、改善、耐震化や建てかえなどを促し、マンションの質の向上を図ってまいります。
 昨年、フィナンシャル・タイムズ・グループが、アジア太平洋地域の都市を対象に、投資に関する将来性の調査を実施し、その結果を発表いたしました。第一位はシンガポール、東京は第二位であります。しかし、人口一千万人以上のメガシティー部門では第一位となっており、その評価は大きく高まってきております。国際経済都市としてさらに活性化することで、アジアのビジネスの中心という、かつての地位を取り戻したいと思います。
 さらには、品川・田町や渋谷、竹芝、北青山など、都心の至るところでまちのリノベーションを促進いたします。サービスアパートメントなど外国人が滞在しやすい環境も整ってまいります。空き家の問題に対しましては、地域住民の集会施設、交流施設への転換を支援するなど、都市機能や地域活力を高める資源としての有効利用に取り組んでまいります。
 国際競争力の強化には、交通機能の向上も不可欠であります。羽田空港について、国は、夏までに飛行経路の見直しに関する方策を示すこととしております。都は、地元の理解が深まり、協議が円滑に進むよう積極的に協力してまいります。隣接する空港跡地を活用したプロジェクトにつきましても、国家戦略特区の区域計画が認定されました。都市計画法の特例を活用することで、新たなイノベーションにつながる産業交流施設や、日本の魅力を発信する拠点の形成を促してまいります。
 また、道路渋滞は、時間的、経済的損失以外の何物でもありません。外環道につきましては、関越道―東名高速の間を二〇二〇年大会開催までに開通させるよう、強く国に求めるとともに、都も用地取得などを進めてまいります。残された、東名高速―湾岸道路の間についても、国は先週、計画検討協議会を立ち上げました。具体化に向けまして、国や関係機関とともに取り組んでまいります。来月には、東京における都市計画道路の整備方針を策定いたします。骨格幹線道路や都県境の道路の整備を着実に推進し、東京全体の機能を向上させる道路ネットワークの形成を進めてまいります。
 二〇二〇年大会を控えましたこの時期は、東京だけではなく、全国の中小企業にとっても数多くのビジネスチャンスをつかむ絶好の機会であります。先日、国や経済団体、そして都議会の皆様のご参加のもと、中小企業世界発信プロジェクトのキックオフフォーラムを開催いたしました。新たな発注情報を掲載するポータルサイト、ビジネスチャンスナビ二〇二〇の事前利用登録も開始しておりまして、四月にはこのサイトを本格的に稼働させてまいります。
 都内には、高度な技術力を有するものづくり中小企業が集積しておりまして、医療系の大学や病院、機器の製造販売を行う事業者も多数存在しております。このポテンシャルを生かしまして、国際的にも成長が見込まれます医療機器分野での共同開発を進めてまいります。医産学連携の支援拠点を来年度日本橋に整備し、情報交換やマッチング機会の提供、試作品開発への支援も行うことで革新的な成果につなげたいと思っております。
 新たな事業への果敢な挑戦も支援してまいります。潜在的な創業希望者を掘り起こすため、関心のある誰もが気軽に利用できる支援拠点を整備いたします。創業支援に実績のある民間事業者と中小企業振興公社がタッグを組み、アイデアの構想から事業の立ち上げまでワンストップで支援してまいります。
 中小企業の海外展開では、販路開拓先としてニーズの高い海外都市において、経済団体と連携して、すぐれた技術をPRし、海外取引の拡大につなげます。東京の国際競争力を強化し、日本経済の活性化に貢献してまいります。
 昨年末のCOP21は、条約締約国の全てが参加する新たな枠組みを構築いたしました。参加各国が目標を達成できるか否か、その国を代表する都市の取り組みにかかっているともいえます。世界有数の大都市であり、日本の首都である東京の責務として、スマートエネルギー都市をつくり上げていかなければなりません。この東京の決意を明らかにするため、新たな環境基本計画を年度内に発表いたします。消費電力に占めます再生可能エネルギーの割合も、現行目標は、二〇二四年までに二〇%程度にするという高いものでありますが、その先の意欲的な目標について新たに設定してまいりたいと思っております。
 また、このたび、東京都の申請に基づきまして、JRの品川車両基地跡地開発が、世界大都市気候先導グループC40のクライメット・ポジティブ開発プログラムに参加することにもなりました。
 水素社会の実現に向けた取り組みも、前へと進めてまいります。先日、日本科学未来館で参加型イベントを開催し、家族連れなど多くの人でにぎわいました。特に子供たちが目を輝かせて、こうして水素ができる、こうして電気になるんだと、これを自転車をこいだりしてやっている、皆さんもテレビ番組なんかでごらんになったと思いますけれども、こういう、この都民に参加していただく、そして水素社会を実現していていただく、こういう大きな可能性を秘めた水素エネルギーについて正しく理解する機会を、今後とも積極的に提供してまいりたいと思っております。百聞は一見にしかず、燃料電池自動車の試乗会も実施するなど、先ほど申し上げましたように、目で見て手で触れられる普及啓発に取り組んでまいります。
 なお、本定例会には、緑の東京募金を再編し、これまでの緑をふやす取り組みに、新たに花でまちを彩る視点を加え、花と緑の東京募金とする条例案を提案しております。二〇二〇年大会も見据えて、おもてなしの機運を醸成し、東京を花と緑であふれる都市としてまいります。
 我々が海外の都市に行ったときに、すばらしく、こう窓なんかに花を飾っているところがございますね。これを見ると、やっぱりすばらしいなと。我々江戸の昔から、朝顔できれいに庶民が飾るという伝統がありますので、ぜひ、花のまち東京ということをみんなで実現したいと思っています。そういう観点からも、観光を一大産業へと高め、その広い裾野を生かしていくことで、東京のさらなる成長につなげたいと思っております。
 官民一体となりました、きょう、ここにつけてありますけれども、この&TOKYOのPRを展開し、東京ブランドを国内外に浸透させてまいります。
 宿泊施設において、トイレの洋式化や案内表示の多言語化などを進めまして、受け入れ環境の充実を図ってまいります。大田区では、皆さんご承知のように、国家戦略特区の規制緩和を活用して民泊の取り組みも始まりました。環境に優しいユニバーサルデザインのタクシーや、リフトつき観光バスの数も大幅にふやしていきたいと思っております。さらに、東京と東北とを結ぶ観光ルートに続きまして、中国、四国地方とのルートを新たに開発するなど、東京から全国の魅力を発信し、外国人旅行者と日本各地の橋渡しをしてまいります。
 ロンドン、ニューヨーク、パリ。東京の前を行く世界の大都市と比べ何が見劣りしているのか、何が足りないのか、実は夜の景観であります。光輝く美しい大都会の姿は、多くの外国人旅行者を引きつける力を秘めております。新たな観光資源として光に注目し、戦略的なライトアップでまちの魅力をより一層高めるための検討を進めてまいります。東京駅をライトアップする、そうすると、やめてくれというぐらいに人が集まる、これが光の魅力であります。
 それから次は船であります。舟運も活性化して、手軽に使える生活の足、そして東京を訪れる全ての人を引きつける観光資源に育て上げてまいります。羽田から臨海部、都心部を結ぶ定期航路の社会実験を実施し、日の出と竹芝を周辺のにぎわいと一体となりました舟運の拠点として整備してまいります。両国では、船着き場を増設し、観光の基点ともなる施設、両国リバーセンターを整備いたします。交通系ICカードの利用や鉄道駅からの案内サインの充実といった利便性の向上も検討してまいります。また、臨海副都心での新たな客船ターミナルの整備を着実に進め、さらなる誘客につなげてまいりたいと思っております。
 観光を取り巻く状況の変化に速やかに対応するため、観光産業振興アクションプログラムの策定に取り組んでおります。昨日、第一回目の会議を開催し、幅広い分野の有識者から多角的で有益な意見をいただきました。五月を目途に取り組みの方向性を示してまいります。
 続きまして、交通、水道、下水道の公営企業では、すぐれた技術を生かし、社会のニーズに応える新たなサービスを積極的に展開してまいります。
 水道局では、沈殿池を初め、浄水施設の全ての池を覆うなど、危機管理に万全を期すと同時に、浄水場で発生する水素の活用に関する研究も行い、世界に誇るシステムをさらに進化させてまいります。
 下水道局では、道路を掘り返さずに下水道管を内側から補強する技術を活用し、都心の古い管の再構築を進めるほか、浸水対策や合流式下水道の改善を着実に推進いたします。
 都営交通では、利用者の増加に対応した大江戸線の輸送力増強や、勝どき駅、泉岳寺駅の大規模改良など、周辺のまちづくりと連携した事業にも取り組み、東京の発展を支えてまいります。
 さて、いよいよことしの十一月七日、豊洲市場が開場を迎えます。本定例会には、これにかかわる条例案を提案しております。四日間という限られた期間で移転作業を完了し、盤石の体制で開場の日を迎えられますよう、今回の予算案には、事業者負担を軽減する追加支援を盛り込みました。豊洲への移転を円滑、確実に実施し、最新鋭の設備をフル活用して、食の安全・安心をしっかりと守っていく、そして市場関係者の方々とともに豊洲を、築地を引き継ぐ東京の新たなブランドへと育て上げてまいります。
 続きまして、多摩・島しょ地域の振興について申し上げます。
 二〇一九年には、ラグビーワールドカップの開会式と開幕戦が東京スタジアムで開催されます。見込まれます都内の経済波及効果は約八百二十四億円であります。さらなる試合の開催についても、今後、組織委員会に求めていきたいと思っております。会場周辺のファンゾーン設置や、まちを美しく飾るシティードレッシングの実施など、大いに盛り上げてまいります。二〇一八年には、開幕一年前イベントを開催いたします。この勢いを二〇二〇年オリンピック・パラリンピックまでつなげることで、世界中から多くの人々を集め、多摩地域への注目を一層高めてまいります。
 かねて申し上げておりますとおり、多摩地域の発展なくして東京の発展はあり得ません。二〇二〇年の先にも持続的な発展を遂げていくため、長期的な視野に立った方策が必要となっております。先月開催いたしました東京のグランドデザイン検討委員会では、都心に住む人が、週末には自然豊かな土地で過ごすライフスタイルも紹介されました。新しい暮らし方、考え方といった要素も取り入れ、東京のグランドデザインなどの検討を踏まえつつ、新たな多摩の振興策の策定に着手いたします。
 多摩・島しょ地域は、その多くの部分が自然公園に指定されており、来年度には、自然公園ビジョンの策定を予定しております。環境との調和を図りながら、都心に近く手軽に自然を体感できる、そういう強みを生かしました新しい時代にふさわしい自然公園のあり方を検討してまいります。また、多摩産材の商業施設など、民間での利用を促進し、持続的な森林循環の実現を図ってまいります。
 観光面では、多摩・島しょの魅力を効果的に伝えていくことが重要であります。海外旅行博への出展や有名な旅行雑誌への広告掲載など、認知度を向上させ、多くの観光客を呼び込んでいきたいと思います。
 災害対策の面では、旧立川政府倉庫を購入いたしまして、多摩地域全体の防災性を高めてまいります。備蓄を強化し、災害発生時には、全国からの支援物資の集約、配送拠点として活用するなど広域的な防災力を強化いたします。島しょ地域におきましては、岡田港、新島港、神津島港への津波避難施設の整備を着実に進めるなど備えを固めてまいります。
 このほか、伊豆諸島の五村六島に超高速ブロードバンドを導入するため、海底ケーブルの敷設工事を実施いたします。
 島しょの高校に島外の生徒が進学し、ホームステイをいたします離島留学も、この四月から神津島において始まります。雄大な大自然の中で、島の温かい人情に触れながら学ぶ経験は、これからの人生の大きな財産になると思います。今後、この取り組みをほかの島にも広げていきたいと考えております。
 これまで、東京を発展させるための数々の施策につきまして申し述べてまいりました。いうまでもなく、こうした取り組みは、東京都の力だけでなし遂げられるものではありません。国としっかり連携し、国に先駆けた施策も展開することで、東京から日本の再生を確かなものにしていきたいと思います。都内区市町村はもとより、全国の自治体との関係も一層密にし、互いの魅力が合わさることで、日本全体を盛り上げるよう取り組んでまいります。
 ことしは、選挙権年齢の引き下げがあります。新たに選挙権を得る十八歳以上の方々は、日本の将来の決定権を最も長く委ねられることになります。若い世代から大いに声を上げ、東京と日本の将来のために積極的に社会にかかわってほしいと期待しております。
 東京都は、都市が進化する未来の姿を示し続けてまいります。二〇四〇年代の東京のグランドデザイン、それを実現するのは今の若者たちであります。私は、二〇二〇年の先も東京を光り輝くものとするため、世代を超えて、子や孫の時代においても東京と日本が発展していくために、都議会の皆様方と力を合わせまして、全力を挙げて都政運営に当たる決意でございます。ご理解とご協力のほどをよろしくお願い申し上げます。
 なお、本定例会には、これまで申し上げましたものも含めまして、予算案三十件、条例案七十六件など、合わせて百二十六件の議案を提案しております。よろしくご審議のほどをお願いいたします。
 以上をもちまして、私の施政方針表明を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(川井しげお君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○議長(川井しげお君) 次に、警視総監より、都内の治安状況について発言の申し出がありますので、これを許します。
 警視総監高橋清孝君。
   〔警視総監高橋清孝君登壇〕

○警視総監(高橋清孝君) 都内の治安状況についてご報告いたします。
 警視庁では、昨年、犯罪抑止総合対策、テロ等不法事案の防圧検挙、サイバー空間の脅威への対処等、さまざまな重要課題に取り組み、首都東京の治安維持に努めてまいりました。
 以下、都内の治安状況と警視庁の対策についてご説明いたします。
 第一は、テロ等不法事案の防圧検挙状況についてであります。
 昨年は、フランス・パリにおける同時多発テロ事件を初め、世界各地で、イスラム過激派によるテロが多発したことに加え、ISIL、いわゆるイスラム国が邦人に対するテロを呼びかけるなど、我が国に対する国際テロの脅威は現実のものとなっております。
 一方、国内においては、極左暴力集団が、昨年、在日米軍施設をターゲットとする飛翔弾発射事件を引き起こしたほか、右翼についても、政府の政策や領土問題等を捉えた抗議行動等の過程においてテロ等重要事案を引き起こすおそれがあります。
 こうした極めて厳しい国内外の情勢の中、本年五月に、伊勢志摩サミットが開催されることから、当庁では、本サミットに向けた首都東京のテロ対策を推進しているところであります。
 具体的には、テロ関連情報の収集分析や、政府関連施設を初めとする重要施設の警戒警備を強化するとともに、銃器使用テロに対処する緊急時初動対応部隊、ERTの運用を開始するなど、テロへの対処能力の向上を図りました。
 また、入国管理局等の関係機関との連携による水際対策に加え、ソフトターゲットとなり得る大規模集客施設の管理者との連携による警戒強化など、官民一体の日本型テロ対策を推進してまいりました。
 今後も、伊勢志摩サミットのみならず、今月末に開催される東京マラソン二〇一六に伴う警備等の各種警備を完遂するとともに、テロ等不法事案の防圧検挙に万全を尽くしてまいります。
 第二は、サイバー空間の脅威に対する総合対策の推進状況についてであります。
 昨年は、インターネットバンキングに係る不正送金事犯が多発したほか、日本年金機構を初めとする多数の政府関係機関、民間事業者等に対する情報流出等を狙ったサイバー攻撃の被害が発生しました。これらの手口は、高度化、巧妙化の一途をたどっており、サイバー空間における脅威は深刻化しております。
 こうした中、当庁では、昨年、各種サイバー犯罪の検挙や不正送金ウイルスに感染した端末のウイルスの無力化措置等の被害防止を実施するとともに、サイバー攻撃を想定した重要インフラ事業者等との共同技術訓練等による対処能力の向上に取り組んでまいりました。
 また、サイバーセキュリティー対策の司令塔機能を強化するため、サイバーセキュリティ対策本部準備室を設置するなど、対処体制の構築にも取り組んでまいりました。
 さらに、中小企業のサイバーセキュリティー対策を支援するため、本年に入り、東京都及び中小企業支援機関五団体との間で相互協力協定を締結するなど、官民連携にも取り組んでまいりました。
 今後も、セキュリティー事業者を初めとする民間事業者等と連携し、サイバー空間の安全・安心の確保に向けた諸対策を推進してまいります。
 第三は、犯罪抑止総合対策の推進状況についてであります。
 昨年の都内における刑法犯認知件数は十四万八千百八十二件で、犯罪抑止総合対策を開始した平成十五年から十三年連続で減少し、戦後最少となりました。
 しかしながら、特殊詐欺等の都民生活の平穏を脅かす事件が後を絶たないことから、今後も、検挙と防犯の両面から犯罪抑止総合対策を推進してまいります。
 以下、主な犯罪抑止総合対策の推進状況について五点申し上げます。
 その一は、重要特異事件の検挙状況についてであります。
 当庁では、昨年、特別捜査本部を開設した五事件のうち、不動産会社社長に対する殺人死体遺棄事件を含む三事件を解決したほか、中央省庁職員らによる汚職事件、仮想通貨ビットコイン運営会社代表取締役による私電磁的記録不正作出等事件、JRを対象とする鉄道電気ケーブル等を狙った連続放火等事件を解決いたしました。
 今後も、取り調べ技術の向上やDNA型鑑定を初めとする科学技術の活用に取り組むとともに、未解決事件の早期解決に向けた捜査を尽くしてまいります。
 その二は、特殊詐欺対策の推進状況についてであります。
 昨年の都内における振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺の認知件数は千八百七十九件、被害額は約六十七億三千万円で、一昨年に比べ認知件数は一八・七%、被害額は一五・九%それぞれ減少いたしました。しかしながら、昨年は都内で一千万円を超える高額被害が百四十八件も発生するなど、厳しい状況が続いております。
 こうした中、当庁では、昨年、だまされたふり作戦による検挙、受け子等の末端被疑者からの突き上げ捜査による犯行グループ中枢被疑者の検挙、犯行拠点であるアジトの発見及び摘発等の検挙対策を推進してまいりました。また、不動産業界等との間で建物を特殊詐欺に使用させないことを内容とする協定を締結いたしました。さらに、犯行に使用される携帯電話等の無力化を図るため、犯行ツール対策センターを設置し、その迅速な解約等に取り組んでまいりました。
 今後も、関係機関と連携し、高齢者の子や孫世代に対する広報啓発の強化など、特殊詐欺根絶に向けた取り組みを推進してまいります。
 その三は、犯罪の起きにくい社会づくりの推進状況についてであります。
 治安上の脅威に強い地域社会を構築するためには、自治体等と連携、協働した取り組みが必要不可欠であることから、当庁では、昨年末までに五十六の区市町村と安全・安心まちづくりに関する覚書等を締結いたしました。また、民間事業者等による街頭防犯カメラの設置促進を初めとする防犯環境の整備促進や、防犯ボランティア団体への支援等による活動の活性化などを推進してまいりました。
 今後も、自治体を初めとする関係機関と連携し、犯罪の起きにくい社会づくりを推進してまいります。
 その四は、盛り場総合対策の推進状況についてであります。
 昨年は、新宿歌舞伎町地区でぼったくりが多発したことから、集中的な取り締まりを行い、悪質店舗を廃業状態に追い込んだところであります。
 しかしながら、都内の盛り場では、依然として悪質な客引きや新手のぼったくりが発生するなど、盛り場環境は憂慮すべき状況にあります。
 今後も、本年六月に施行される改正風営法の的確な運用を図るとともに、違法迷惑行為に対する効果的な取り締まりを推進するなど、盛り場の環境浄化対策を推進してまいります。
 その五は、少年非行防止、保護総合対策の推進状況についてであります。
 近年、コミュニティサイト等の利用に起因する少年の性的被害が増加するとともに、女子高校生リフレなどと称して少年の性を売り物とする新たな形態の営業が次々と出現するなど、少年を取り巻く社会環境は憂慮すべき状況にあります。
 こうした中、当庁では、昨年、少年の福祉を害する犯罪の取り締まりや、サイバーパトロールを活用した補導活動であるサイバー補導などに取り組んでまいりました。
 今後も、関係機関と連携し、少年を取り巻く有害環境の浄化対策など、少年の非行及び犯罪被害の防止に向けた取り組みを推進してまいります。
 第四は、人身安全関連事案総合対策等の推進状況についてであります。
 昨年のストーカー、DV事案は、相談件数、検挙件数ともに一昨年比で増加し、児童虐待に係る通告人数については大幅に増加しております。
 当庁では、昨年、ストーカー、DV事案を初めとする人身安全関連事案に的確に対応するため、人身安全関連事案総合対策本部を新たな所属として設置し、対処体制の充実を図りました。
 今後も、被害者等の安全確保を最優先とした事態対処に万全を期してまいります。
 また、高齢化の進展に伴い、高齢者に係る警察活動の適切な推進を図るため、当庁では、昨年、職員一人一人による認知症高齢者の特性等に関する知識の向上や、高齢者が特殊詐欺の犯罪に遭わないための被害防止対策などの高齢社会総合対策を推進してまいりました。
 今後も、自治体を初めとする関係機関と連携し、高齢者の安全・安心の確保に努めてまいります。
 第五は、重大交通事故防止対策の推進状況についてであります。
 当庁では、昨年、道路交通環境の整備による歩行者の安全確保、広報啓発活動による交通安全意識の高揚、悪質、危険な交通違反の取り締まり等の重大交通事故防止対策を推進してまいりました。これらの効果などにより、昨年は、交通事故の発生件数及び負傷者数が十五年連続で減少したほか、同死者数は百六十一人で戦後最少となりました。
 しかしながら、昨年も、自転車乗用中の小学生が大型トラックにはねられ命を落とす事故など、痛ましい交通事故が発生いたしました。今後も、こうした事故を一件でも減少させるため、重大交通事故の防止に取り組んでまいります。
 あわせて、交通渋滞の解消対策についても、信号制御の高度化及び拡大とともに、交通情報収集装置の整備等により、さらなる渋滞の削減に取り組んでまいります。
 第六は、総合的な組織犯罪対策の推進状況についてであります。
 その一は、暴力団総合対策の推進状況についてであります。
 昨年、国内最大の暴力団である六代目山口組の傘下組織の一部が離脱し、神戸山口組と称する組織を立ち上げたことから、両組織による対立抗争の発生が懸念されております。
 こうした中、当庁では、昨年、これらの関連組織を初めとする暴力団について、情報収集や関係箇所に対する警戒を強化するとともに、組織の中枢幹部や有力な資金源となっている共生者等に重点を置いた取り締まりを徹底し、暴力団員等四千八百十三人を検挙したところであります。
 今後も、暴力団の弱体化及び壊滅に向けた総合的な対策を推進してまいります。
 その二は、薬物、銃器対策の推進状況についてであります。
 危険ドラッグについては、末端乱用者の検挙、販売店舗の立入調査、摘発、広報啓発活動等の総合的対策に取り組み、昨年七月末には、都内の危険ドラッグ販売店舗の全てを廃業に追い込んだところであります。
 一方、流通ルートが潜在化しつつあることから、今後も、関係機関と連携した取り締まりや広報啓発活動などを推進してまいります。
 銃器情勢については、昨年、住宅街において拳銃発砲事件が発生するなど、銃器事犯が都民生活の安全・安心を脅かしている中、当庁では百十二丁の拳銃を押収いたしました。
 今後も、幅広い情報収集とともに、銃器根絶に向けた検挙対策や広報啓発活動を推進してまいります。
 その三は、国際組織犯罪総合対策の推進状況についてであります。
 近年、国際犯罪組織による強盗等の凶悪犯罪や偽装結婚、地下銀行等の犯罪インフラ事犯が多発しております。
 こうした中、当庁では、昨年、外国人犯罪者四千九十八人を検挙したところでありますが、今後も、国際犯罪組織に対する実態解明や取り締まりを推進してまいります。また、観光振興等により来日外国人の一層の増加が見込まれる中、これらが来日外国人犯罪の増加等につながることのないよう関係機関と連携し、犯罪組織の浸透の防止等も推進してまいります。
 第七は、災害警備諸対策の推進状況についてであります。
 昨年は、茨城県における洪水災害に際し、機動隊や特殊救助隊等の部隊を派遣したところであります。
 当庁では、首都直下地震や河川氾濫による大規模水害等の災害に備え、実践的訓練による職員の対処能力の向上等に取り組むなど、災害警備諸対策を推進しているところでありますが、今後も、関係機関と連携し、災害対策の万全を期してまいります。
 第八は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックに向けた諸対策の推進状況についてであります。
 当庁では、東京二〇二〇大会開催における治安上の課題の抽出、検討のほか、諸対策を担う人材の育成、関係機関、民間企業との連携等に取り組んでいるところであります。
 昨年は、安全・安心な大会の実現に寄与するため、オリンピック公式パートナー企業との間で、MPD-TOKYO二〇二〇 Sponsor Partnershipという新たな官民連携の枠組みを発足したところであります。
 今後も、都民、国民や世界各国からの訪問者が、安全に安心して大会の感動を共有できる、世界一安全な都市東京の実現に向けて諸対策を推進してまいります。
 最後に、これらの諸対策を推進するための組織基盤の構築についてであります。
 昨年は、人身安全関連事案への対処体制の強化や科学技術の導入による装備資器材の高度化等に取り組んでまいりました。また、警察への多様なニーズに的確に対応するため、女性職員の積極的登用や女性が働きやすい職場環境づくりなど、女性の視点を一層反映した警察運営も推進してまいりました。
 今後も、業務の合理化、効率化等の警察機能の最大限の発揮に向けた取り組みを推進するとともに、力強い組織基盤を構築してまいります。
 なお、本定例会において、こうした組織基盤の構築のため、警察官八十三人、警察官以外の職員五十四人を増員するための条例案と所要の予算案を提案しているところであります。
 以上、都内の治安状況と警視庁の対策について申し上げましたが、東京都議会の皆様には、今後とも一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、治安状況報告を終わらせていただきます。

○議長(川井しげお君) 以上をもって警視総監の発言は終わりました。

○議長(川井しげお君) 次に、監査委員より、監査結果の報告について発言の申し出がありますのでこれを許します。
 監査委員山加朱美さん。
   〔九十三番山加朱美君登壇〕

○九十三番(山加朱美君) 監査委員を代表いたしまして、過去一年間に実施した監査の結果についてご報告申し上げます。
 監査委員の役割は、都の行財政が公正かつ効率的に運営されるよう、各局の事務事業を監査することで、都民の信頼を確保していくことであります。そのため、年間を通じて、定例監査、工事監査、財政援助団体等監査、行政監査、決算審査、住民監査請求に基づく監査など、多岐にわたる監査を実施しております。
 この一年間に延べ六百五十七カ所で監査を実施し、問題点の指摘は二百五十九件、指摘金額は約五億円でありました。
 初めに、定例監査について申し上げます。
 定例監査は、都の行財政全般を対象とした最も基本的な監査です。本庁各部の全てと事業所の約四割、合計で四百四十五カ所を対象として監査を実施しました。
 その結果、都営住宅の工事の設計書作成のために構築したシステムを運用開始以来、使用していない事例があったため、システムの活用について検討するよう求めました。
 また、都立学校において、定期点検で不備を指摘された消防用設備の修繕を行っていなかったため、速やかに改善し、生徒の安全を確保するよう求めました。指摘件数としては合計百十五件、金額にして約一億七千万円であります。
 平成二十七年の監査では、庁内で発生した職員による最低制限価格の情報漏えい事件を踏まえ、工事契約に係る価格情報管理を全庁対象の重点監査事項としました。
 その結果、積算情報を記載した電子ファイルにパスワードを設定しないまま共有フォルダに保存していたものなど、六局において関係者以外の者が価格情報を閲覧できる情報となっていたため、管理を適切に行うよう求めました。
 次に、工事監査について申し上げます。
 工事監査は百万円以上の工事を対象として、千六百八十八件について監査を実施しました。
 その結果、クレーンのつり荷の下に労働者を立ち入らせているものや、掘削作業において崩落事故を防ぐ安全対策を行っていないものなど、危険な施工について指摘し、適切な監督を行うよう求めました。
 また、工事の入札の際に施工条件が適切に明示されていないものや、単価設定、数量算出に関する積算誤りも認められたことから、設計、積算を適正に行うよう求めるなど、合計三十七件の指摘を行いました。
 今回の工事監査の指摘では、設計、積算、施工等に関する知識や理解が不十分である経験の浅い職員が増加していること、また、それに対し、組織的なチェック体制や技術的支援体制が十分に確立されていないことによる基本的な誤りが多く見られました。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、技術職員には、競技施設や都市インフラを短期間で集中的に整備するほか、既存施設の適切な維持管理、長寿命化対策を行い、持続可能な都市を創造していくことが求められます。
 このため、職員の技術力の維持向上や部局を超えて横断的に技術支援する体制づくりなど、組織的な取り組みを求めました。
 次に、財政援助団体等監査について申し上げます。
 まず、補助金交付団体への監査では、百五十六団体を対象に、補助等に係る事業が目的に沿って適正かつ効果的に執行されているかなどについて検証いたしました。
 その結果、例えば、私立学校において、補助対象となる教員数の算定誤りによる過大交付が認められたため、補助金の返還を求めました。
 出資団体への監査では、九団体を対象に、団体の事業が出資の目的に沿って適切に運営されているかなどについて検証いたしました。
 その結果、例えば、巡回点検を行って把握した都営住宅の不適正使用について、継続的な指導を行っていなかったため、指導を適切に行い是正を促すよう求めました。
 次に、行政監査について申し上げます。
 行政監査は、特定の事務や事業を対象として行う監査であり、今回は、庁舎及び都民利用施設における都民サービスをテーマとして初めて選定し、利用者の視点に立ったサービスの提供ができているか、利用者に対する配慮は十分なものとなっているか、四十七カ所を対象に監査しました。
 その結果、施設の改変に合わせて速やかに案内板等を更新すべきもの、苦情、要望等の利用者ニーズを業務に反映させる仕組みが不十分なもの、都立公園や海上公園においてバリアフリールートの設定、案内を行っていないものなど、三十五件の指摘を行い、さらなる利用者サービス向上のために利用者の視点に立ったサービスの提供や、障害者、外国人等への配慮を求めました。
 次に、決算審査について申し上げます。
 平成二十六年度の決算について、決算の数字が正しいか、予算の執行が適正で効率的に行われているかなどを東京都財務諸表の監査とあわせて審査しました。
 その結果、例えば、財産に関する調書において、土地や建物などの登載誤りが十二件あり、適正に事務を行うよう求めました。
 なお、平成十八年度から導入した複式簿記・発生主義会計による新公会計制度は、決算数値の正確性の担保や資産、負債の管理に有用なものであり、さらなる活用が望まれます。
 次に、監査結果に対する措置状況について申し上げます。
 監査は、指摘した問題点が改善されて初めてその目的を達成します。このため、年二回、各局から改善状況について報告を求め、その改善を促しています。過去三年間に行った指摘について見ると、各局が改善に努めた結果、これまでに前年を上回る約九四%が改善済みとなっています。
 具体的な改善事例としては、設計担当者以外の者が閲覧できないよう工事契約の価格情報管理を見直したものや、保育所を運営する社会福祉法人に対する補助金の算定誤りが繰り返されることのないよう、補助制度の再構築に合わせて算定方法を見直したものなどがありました。
 また、監査結果に基づく見直し内容を、予算編成における事業評価として迅速かつ的確に予算へ反映させる仕組みが、平成二十五年度予算編成から導入されております。
 引き続き、監査結果が都の事務事業の改善につながるよう、質の高い監査を実施するとともに、同じ誤りが繰り返されることのないよう、各局における改善の取り組みを促してまいります。
 このほかに、都民からの住民監査請求が十三件ありました。
 以上、この一年間に実施した監査について述べてまいりました。
 監査の結果、総じていえることは、組織内部のチェック機能や異なる部門間での連携が十分に機能していないために、事務処理の誤りやおくれが見過ごされていることです。また、都民目線に立ったサービスの提供に向け改善すべきものも見られました。
 各局長並びに管理者の皆様には、組織の責任者として先頭に立ち、指摘を受けた事項の是正改善のみならず、誤りの根本原因の解消や仕事の進め方の見直しなど再発防止に取り組み、都民サービスのさらなる向上に努められるよう望みます。
 我が国の経済は、穏やかな回復基調が続いていますが、都財政は景気の影響を大きく受けやすい歳入構造であり、先行きは予断を許さない状況にあります。こうした中で、都は、史上最高のオリンピック・パラリンピックの実現に向けて、一丸となって開催準備に取り組むとともに、少子高齢化、環境問題への対応、安全・安心の確保など、山積する課題を解決していかなければなりません。
 そのためには、財政基盤の強化を図るとともに、事務事業について不断の見直しを行い、事業の効率性や実効性を一層高めていくことが求められます。
 こうした中にあって、事務事業の効率化や都民へのサービス向上が図られているかを検証する監査の果たす役割が、より一層重要であります。
 私ども五名の監査委員は、都政が公正かつ効率的に運営されるよう、これからも監査委員の使命を全力で果たし、都民の信頼と期待に応えていく決意であることを申し上げ、報告を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○議長(川井しげお君) 以上をもって監査委員の発言は終わりました。

○議長(川井しげお君) 次に、包括外部監査人より、平成二十七年度包括外部監査結果の報告について説明を求めます。
 包括外部監査人佐久間清光さん。
   〔包括外部監査人佐久間清光君登壇〕

○包括外部監査人(佐久間清光君) 平成二十七年度包括外部監査人の佐久間清光でございます。
 今年度の監査は、教育庁の事業に関する事務の執行及び生活文化局の事業に関する事務の執行を監査対象とし、補助者二十一名とともに実施した結果、合計百九件の指摘と意見を監査報告書に記載することとなりました。この指摘、意見の中から、本日は幾つかご説明申し上げます。
 まず、教育庁の事業に関する事務の執行についての指摘、意見のうち、三つご説明申し上げます。
 第一に、学校安全の推進についてでございます。
 文部科学省が平成二十六年度に実施した調査によれば、都内の公立学校においては、法が定める学校安全計画を全ての学校で策定しておりました。
 しかしながら、この安全計画を検証していない学校が一部存在しておりました。また、この安全計画や安全教育等の取り組みを保護者に周知していない学校が一部存在しておりました。したがいまして、学校安全計画を検証すること、また、学校安全計画や安全教育等を保護者に周知することについて、教育庁は、都立学校などに対して適切に指導するよう求めました。
 第二に、定期考査の答案用紙など個人情報を含む書類の取り扱いについてでございます。
 都立学校では、やむを得ず自宅で採点する場合には、管理者の許可を得て、学校からこのような書類を持ち出すことが例外的に認められております。
 しかしながら、このような場合、本人が十分に注意を払ったとしても、個人情報を入れたかばんをひったくられることがあるなど、情報の紛失リスクは非常に高くなります。仮に情報が漏えいした場合には、その漏えいの範囲が無限に拡大して、生徒、保護者ないし都民一般からの信頼を失墜させる可能性がございます。したがいまして、このような個人情報を含む書類の取り扱い、また、自宅で採点をしなければならないというような学校運営の仕組みを見直すよう求めました。
 第三に、いじめに対する取り組みについてでございます。
 生徒に対するアンケートから、いじめとうかがえる回答があった場合、その事実確認や解決などの対応を都立学校で行っておりますが、その確認などの経緯やてんまつが残されていない状況がございました。このような状況は、必要な場合に保護者等への説明が十分に行えないなど、さまざまな問題が生じる可能性があることから、アンケート結果への対応については、その経緯とてんまつを適時適切に記録するよう求めました。
 次に、生活文化局の事業に関する事務の執行についての意見、指摘のうち、三つご説明申し上げます。
 第一に、施設別の財務情報についてです。
 生活文化局は、東京都江戸東京博物館や東京芸術劇場など多数の文化施設を所管しております。また、これら以外にも、生活文化局には、東京都消費生活総合センターや東京都計量検定所などの施設もございます。これら生活文化局が所管する施設については、施設別のバランスシートなど、発生主義会計による財務情報が作成されておりません。したがいまして、各施設の資産やコストの規模、利用者一人当たりのコスト分析なども行えないため、施設ごとの課題把握やコスト意識の向上も適切に行えないことなります。
 生活文化局として、PDCAサイクルを十分に機能させるためにも、また、都民に対する説明責任を果たすためにも、施設別の財務情報を作成する体制を構築した上で、これを適切に利活用するよう求めました。
 第二に、生活文化局が所管する文化施設事業の将来あるべき姿についてでございます。
 監理団体である東京都歴史文化財団は、指定管理者として、都から収入を得て文化施設に関する受託事業を行うほか、それ以外にも、財団としての自主事業や収益事業を行っております。
 しかしながら、この自主事業は赤字であり、これを受託事業や収益事業の黒字で賄っております。このこと自体は認められることではございますが、この財団の自主事業も都の文化政策の一環であること、また、指定管理料の財源が都税であることから、財団の行う受託、自主、収益事業については、その収益の割合、公演等利用人数の割合、費用対効果や採算性など、生活文化局が文化振興政策として、将来あるべき姿を中長期計画において策定する必要があると考えられますので、この策定を生活文化局に求めました。
 第三に、東京都歴史文化財団の保有する資産の有効活用についてでございます。
 財団には、平成二十六年度末において、現金預金が約六十一億円、基本財産としている預金や有価証券が約十五億円あります。また財団には、新たなサービス向上策事業準備積立資産としている預金も約六億円ございます。財団は、この積立資産を使って、過去には、緊急性があって、東海道五十三次に関する美術品約九千四百万円を購入するなど、本来は都が購入すべきと考えられる固定資産を購入している場合がございました。
 財団は、公益認定上の財務基準に抵触しなければ、指定管理料の利用料金制度の仕組みから得た留保利益などを源泉とする資金を、法人内部に留保することができるわけでございます。
 しかしながら、財団は都の監理団体として、生活文化局が所管する文化施設をもとに、自主事業や収益事業などを行っており、その事業は、生活文化局の事業と無関係なものではございません。したがいまして、基本財産や特定資産を含む財団が保有する資金については、都の文化政策としても、公共性、公平性の観点から、真に必要なレベルを整理する仕組みを構築するよう求めました。
 以上をもちまして、平成二十七年度の包括外部監査結果のご説明といたします。
 ありがとうございました。

○議長(川井しげお君) 以上をもって包括外部監査人の説明は終わりました。

○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一を先議することに決定いたしました。

○議長(川井しげお君) 追加日程第一、議員提出議案第一号、北朝鮮の核実験及びミサイル発射に対する抗議決議を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略をいたします。

議員提出議案第一号
北朝鮮の核実験及びミサイル発射に対する抗議決議
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条第一項の規定により提出します。
  平成二十八年二月十七日
(提出者)
 小林 健二  加藤 雅之  菅野 弘一
 川松真一朗  山内  晃  栗山よしじ
 堀  宏道  大津ひろ子  塩村あやか
 やながせ裕文 おときた駿  小松 久子
 中山ひろゆき 米倉 春奈  白石たみお
 斉藤やすひろ 栗林のり子  遠藤  守
 伊藤こういち 松田やすまさ 河野ゆうき
 ほっち易隆  舟坂ちかお  島崎 義司
 鈴木 錦治  宮瀬 英治  田中 朝子
 上田 令子  山内れい子  西沢けいた
 田中  健  里吉 ゆみ  和泉なおみ
 尾崎あや子  大松あきら  吉倉 正美
 まつば多美子 高倉 良生  神野 次郎
 木村 基成  北久保眞道  高椙 健一
 栗山 欽行  大場やすのぶ 近藤  充
 桜井 浩之  山崎 一輝  石川 良一
 両角みのる  西崎 光子  あさの克彦
 新井ともはる 中村ひろし  徳留 道信
 河野ゆりえ  小竹ひろ子  上野 和彦
 野上 純子  中山 信行  谷村 孝彦
 東村 邦浩  崎山 知尚  鈴木 章浩
 清水 孝治  小松 大祐  柴崎 幹男
 和泉 武彦  きたしろ勝彦 鈴木 隆道
 早坂 義弘  高木 けい  野上ゆきえ
 島田 幸成  今村 るか  大西さとる
 小山くにひこ 畔上三和子  大島よしえ
 松村 友昭  藤井  一  ともとし春久
 鈴木貫太郎  木内 良明  高橋 信博
 中屋 文孝  三宅 正彦  小宮あんり
 田中たけし  鈴木あきまさ 山加 朱美
 高橋かずみ  山田 忠昭  林田  武
 こいそ 明  田島 和明  古賀 俊昭
 斉藤あつし  尾崎 大介  石毛しげる
 植木こうじ  かち佳代子  曽根はじめ
 小磯 善彦  橘  正剛  長橋 桂一
 中嶋 義雄  立石 晴康  神林  茂
 秋田 一郎  宇田川聡史  相川  博
 吉原  修  野島 善司  三宅 茂樹
 川井しげお  高島なおき  野村 有信
 吉野 利明  内田  茂  酒井 大史
 山下 太郎  清水ひで子  大山とも子
 吉田 信夫
東京都議会議長 川井しげお殿

北朝鮮の核実験及びミサイル発射に対する抗議決議
 北朝鮮は、我が国を含む国際社会が強く自制を求める中、平成二十八年一月六日に、核実験を強行し、また、二月七日に、「人工衛星」と称する弾道ミサイルを発射した。
 核実験は、一連の国連安保理決議や六者会合共同声明、日朝平壌宣言に明らかに違反するものであり、国際社会は強く非難した。それにもかかわらず、さらに国連安保理決議等に明確に違反する弾道ミサイルの発射を行い、国際社会の平和と安全が脅かされる事態となったことは、断じて容認できない。
 北朝鮮は、これまでも核実験、ミサイル発射などを繰り返しており、今回の暴挙は、国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦であるとともに、核兵器による惨禍を唯一経験し、核廃絶を強く願う国民、都民の思いを踏みにじるものである。
 東京都議会は、北朝鮮の核実験及び弾道ミサイル発射に対し、厳重に抗議する。
 政府においては、国民の安全・安心の確保に万全を期すとともに、国際社会との連携を強化し、北朝鮮による核、ミサイル、拉致問題の早急な解決に向けて、これまで以上に強力な外交を展開するよう求めるものである。
 以上、決議する。
  平成二十八年二月十七日
東京都議会

○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議員提出議案第一号については、原案のとおり決定されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、議員提出議案第一号は、原案のとおり可決されました。

○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明十八日から二十二日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(川井しげお君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(川井しげお君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明十八日から二十二日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、二月二十三日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後二時三十五分散会


文書質問趣意書及び答弁書

27財主議第461号
平成28年2月9日
東京都議会議長
 川井しげお殿
東京都知事
舛添 要一

文書質問に対する答弁書の送付について

 平成27年第四回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

塩村あやか議員
おときた駿議員
和泉なおみ議員
両角みのる議員
中村ひろし議員
松村友昭議員
植木こうじ議員

平成27年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 塩村あやか

質問事項
一 東京都と警視庁の連携について
二 下水道局の土地活用について

一 東京都と警視庁の連携について
近年、各地で動物愛護のイベントが開催されるなど、動物愛護の機運が高まっています。しかしその一方で、都内でも猫や小動物の殺傷事件が多発をしており、都民が不安を感じています。動物虐待は人間への重大事件へ繋がる危険性も指摘されていることから、早急に犯人を特定することを要望いたします。
1 まず、都内での動物殺傷の発生状況と、対応策を伺います。
動物虐待には二種類あり、環境省も「動物虐待とは、動物を不必要に苦しめる行為のことをいい、正当な理由なく動物を殺したり傷つけたりする積極的な行為だけでなく、必要な世話を怠ったりケガや病気の治療をせずに放置したり、充分な餌や水を与えないなど、いわゆるネグレクトと呼ばれる行為も含まれます。」と示しています。
動物愛護に係る法律は、「動物の愛護及び管理に関する法律」で、動物愛護法と呼ばれています。2013年に改正された動物愛護法は「動物の殺傷に関する罰則は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金から、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に。虐待及び遺棄に関する罰則は、50万円以下の罰金が100万円以下の罰金」に引き上げられました。また、環境省が平成25年5月に都道府県知事・指定都市・中核市の長に宛てた通知によると「動物虐待罪について、その定義が不明確であったことから、みだりに、酷使又は愛護動物の健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束すること、自己が所有する愛護動物について疾病又は負傷した際に適切な保護を行わないこと、自己の管理する施設であって排せつ物が堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設内で飼養又は保管することを、具体的な虐待の事例として追加している」とし、「なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える」と記されています。つまり、動物虐待について厳しく対処をしていく方針が明確になりました。
2 そこで、「動物の愛護及び管理に関する法律」において、警視庁が情報を入手して事件として着手するケース及び、東京都からの情報提供や告発を受けて事件として着手をするケースの流れについて伺います。
3 また、「動物の愛護及び管理に関する法律」において、警察は関係機関と連携をして対処をすべき旨が規定をされていますが、その連携とは具体的にどのような連携なのか伺います。
4 過去3年間において、警視庁が「動物の愛護及び管理に関する法律」違反で、事件として着手をした件数、そのうち、東京都と連携をして対応をした件数は何件かお答えください。
5 メディア・新聞等で取り上げられたような社会的反響の大きい、重大・悪質な、環境省が示した動物虐待にあたるペット業者がいる場合、警視庁は「動物の愛護及び管理に関する法律」違反に関して、東京都に対して何らかの協力要請をするのか、
6 また、昨年の11月以降でこのようなケースで警視庁が東京都に対し協力要請をしたものは何件あったのか伺う。

二 下水道局の土地活用について
1 次に、下水道局所管の土地について端的に伺います。利用計画の決まっていない土地はどのくらいあるのでしょうか。また、契約終了などで今後、未活用土地が出てくる可能性はあるのでしょうか。
2 下水道局では水再生センター等の上部は公園等に利用されていますが、上部利用の活用実績を伺います。
3 私の地元の世田谷区は水再生センターはありませんが、下水道局の土地を活用して子供達など地元の方が利用をしている実績はあるのか伺います。

平成27年第四回都議会定例会
塩村あやか議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 東京都と警視庁の連携について
1 近年、各地で動物愛護のイベントが開催されるなど、動物愛護の機運が高まっているが、都内でも猫や小動物の殺傷事件が多発をしており、都民が不安を感じている。都内での動物殺傷の発生状況と対応策について伺う。

回答
 警視庁で平成27年に通報を受理した、猫をはじめとする愛護動物の不審な死傷事案は約80件で、このうち動物の愛護及び管理に関する法律違反容疑事案は約20件です。
 警視庁では、こうした事案の捜査を行うとともに、担当部局と連携し、悪質なペット業者に関する情報共有、動物の遺棄・虐待防止に関する広報啓発活動等を行っています。

質問事項
 一の2 「動物の愛護及び管理に関する法律」において警視庁が情報を入手して事件として着手するケース及び東京都からの情報提供や告発を受けて事件として着手をするケ-スの流れについて伺う。

回答
 警視庁では、いずれの場合も入手した情報を捜査の端緒として取り扱い、事件性を見極めた上、捜査を推進します。

質問事項
 一の3 「動物の愛護及び管理に関する法律」において警察は関係機関と連携して対処すべき旨が規定されているが、その連携とは具体的にどのような連携か伺う。

回答
 警視庁では、担当部局との間で、悪質なペット業者等に関する情報共有、動物の遺棄・虐待防止に関する広報啓発活動等を行っています。

質問事項
 一の4 過去3年間において、警視庁が「動物の愛護及び管理に関する法律」違反で、事件として着手した件数、そのうち都と連携をして対応した件数について伺う。

回答
 平成25年から平成27年までの3年間の、警視庁における動物の愛護及び管理に関する法律違反の検挙件数は15件です。
 そのうち、警視庁が、捜査に必要な事項である、特定動物の飼養許可の有無や動物取扱業の登録の有無について、担当部局から情報の提供を受けた事件は5件です。

質問事項
 一の5 メディア・新聞等で取り上げられたような社会的反響の大きい・重大・悪質な、環境省が示した動物虐待にあたるペット業者がいる場合、警視庁は「動物の愛護及び管理に関する法律」違反に関して、東京都に何らかの協力要請をするのか伺う。

回答
 警視庁では、ペット業者を被疑者とする動物の愛護及び管理に関する法律違反の捜査において、担当部局に対し、動物取扱業としての登録や行政指導の有無等の、捜査に必要な情報の提供を求めるなど、連携して対応することとしています。

質問事項
 一の6 昨年11月以降でこのようなケースで警視庁が東京都に対し協力要請をしたものは何件あったのか伺う。

回答
 平成26年11月以降、警視庁が、ペット業者に関する事案で担当部局に情報提供を求めたものは3件あります。

質問事項
 二 下水道局の土地活用について
1 下水道局所管の土地について、利用計画の決まっていない土地はどのくらいあるのか。また、契約終了などで今後、未活用地が出てくる可能性はあるのか、伺う。

回答
 普通財産で250平方メートル以上の土地について、平成27年12月末現在、利用計画が決まっていないものは、11件、約1万2,600平方メートルあります。
 また、現在暫定利用中のものも、契約終了などの際には、新たに利用方法を検討していくことになります。

質問事項
 二の2 下水道局では水再生センター等の上部は公園等に利用されているが、上部利用の活用実績を伺う。

回答
 水再生センターなどの下水道施設の上部は、都市の貴重なオープンスペースであり、まちづくりに貢献するため、地元区市が公園やスポーツ施設などとして活用しています。
 現在、水再生センターなどの上部で、57か所、約78ヘクタールを利用しています。

質問事項
 二の3 世田谷区には水再生センターはないが、下水道局の土地を活用して子供達など地元の方が利用している実績はあるのか伺う。

回答
 世田谷区においては、施設用地を活用して、地元区が児童館の敷地用地や緑道用地として利用しています。
 下水道局が保有する土地は、下水道事業での活用が前提ですが、今後とも適切に対応していきます。

平成27年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 おときた駿

質問事項
一 東京都の里親認定基準について
二 聴覚障害児の入所施設について

一 東京都の里親認定基準について
近年、東京都でも世田谷区や渋谷区で同性パートナーシップが発行されるなど、「家族」を巡る概念は急速に多様化しています。欧州を中心とする諸外国では既に、子どもを産むことはできないけれど、育てる意思と能力のある同性カップルが里親委託・養子縁組を行える例が存在し、今後わが国においても、価値観の多様化に伴う家族の在り方の再検討が進んでいくものと考えられます。こうした背景の中で東京都の里親認定基準を見てみますと、
里親申込者は、配偶者がいない場合には、次の全ての要件を満たしていること。
・ 児童養育の経験があること、又は保健師、看護師、保育士等の資格を有していること。
・ 起居を共にし、主たる養育者の補助者として子供の養育に関わることができる、20歳以上の子又は父母等がいること。
とされており、その前提がいまだに「家族・血縁」に限定されていることがわかります。そこで、以下の3点について質問致します。
1 この血縁・親族制度を中心とする里親認定基準は、どのような法的根拠に基づいて設定されたものでしょうか。法の要請による全国一律の基準ではなく、東京都が独自に定めたものであるとすれば、このように規定されている理由を教えて下さい。
2 現行の認定基準下で、一般論として、本人が保育士等の資格を有しており、同居の両親が存在する場合、パートナーが同居していても里親となる可能性はありえるのか、見解をご教示ください。
3 同性カップルに関する世論に注視しつつ、多様な家族のあり方を前提として、単身者や同性カップルなども里親になれる門戸を広げていくべく、諸外国の制度を比較するなど調査・検討を進めていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

二 聴覚障害児の入所施設について
東京都葛飾区には、唯一の聴覚障害児専門の入所施設である金町学園があります。聴覚障害児の成長・発達には、「手話」という共通の言語によるコミュニケーション集団と、聴覚障害に適した学習方法が不可欠であり、入所施設はそれらを保障する数少ない生活の場となっています。この金町学園が平成30年度いっぱいで閉園になるとの話題が持ち上がっており、スペシャルニーズを持つ方々から多くの不安の声が聞かれています。そこで、以下の3点をお伺いいたします。
1 金町学園の閉園について、すでに東京都に相談があると仄聞しているが、現状、どのような状況にあるのかを教えて下さい。
2 都民福祉を司る東京都として、聴覚障害児専門の入所施設の必要性について、どのような認識をもたれているのか見解を伺います。
3 仮に金町学園が閉園の方向で進む場合、聴覚障害児専門の入所施設が都内からなくなる可能性があり、途切れのない支援のためにも、代替案を早急に検討する必要があると考えます。入所での生活が必要な聴覚障害児たちに対してどのように対応していくのか、今後の展望・所見をご教示ください。

平成27年第四回都議会定例会
おときた駿議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 東京都の里親認定基準について
1 血縁・親族制度を中心とする里親認定基準は、どのような法的根拠に基づき設定されたものか。法の要請による全国一律の基準ではなく、都が独自に定めたものであれば、このように規定されている理由を伺う。

回答
 里親の要件は、児童福祉法及び児童福祉法施行規則で定められており、里親制度の運用指針として平成23年に出された「里親委託ガイドラインについて」では、里親を希望する者が単身である場合、知識や経験を有する等子供を適切に養育できると認められる者は認定して差し支えないが、養育する経済的な保証や養育を支援する環境等があるかなどを確認することとしています。
 里親の認定について、国は、法令等で定める要件以外は、児童の最善の利益になるよう都道府県の判断で定めることができるとしており、都は、養育を支援する環境があることを確認する観点から、児童福祉審議会の答申を踏まえ、単身者については親族等の同居を要件としています。

質問事項
 一の2 現行の認定基準下で、一般論として、本人が保育士等の資格を有し、同居の両親が存在する場合、パートナーが同居していても里親となる可能性はありえるのか、見解を伺う。

回答
 里親申込者に配偶者がいない場合、都は、養育家庭の認定要件として、〔1〕児童養育の経験があること又は保健師、看護師、保育士等の資格を有していること、〔2〕起居を共にし、主たる養育者の補助者として子供の養育に関わることができる、20歳以上の子又は父母等がいること、を定めており、これら双方を満たすことが必要です。
 同居の両親がいる保育士等の有資格者が里親申込者の場合、両親のいずれかが補助者として子供の養育に関わることができ、年齢、収入、住居の状況など、その他の認定要件を満たしていれば、養育家庭として認定されることは可能です。

質問事項
 一の3 同性カップルに関する世論に注視しつつ、多様な家族のあり方を前提として、単身者や同性カップルなども里親になれる門戸を広げていくべく、諸外国の制度を比較するなど調査・検討を進めるべきだが、都の見解を伺う。

回答
 養育家庭制度は、要保護児童に対し、養子縁組を目的とせずに、家庭的な環境の下において、一定期間養育する制度であり、都は児童の成長・発達に必要な養育環境を提供するという観点から認定要件を定めています。
 具体的には、児童の養育についての理解及び熱意並びに豊かな愛情を有していること、同居者が児童の受託について十分な理解を有すること、家庭及び住居の環境が、児童の保健、教育、その他の福祉上適当なものであること、その他、年齢、収入要件などを定めています。
 養育家庭をはじめとする家庭的養護の推進については、平成27年8月、児童福祉審議会に学識経験者や事業者等からなる専門部会を設置し、議論を行っています。

質問事項
 二 聴覚障害児の入所施設について
1 金町学園の閉園について、すでに都に相談があると仄聞しているが、現状、どのような状況にあるのかを伺う。

回答
 金町学園は、主としてろうあ児を入所させる福祉型障害児入所施設であり、平成27年12月1日現在、施設定員30名に対し現員は28名、そのうち都内からの入所は4名となっています。
 当該施設の設置法人からは、施設廃止の相談を受けていますが、現時点で、正式な廃止の申請は出されていません。

質問事項
 二の2 聴覚障害児専門の入所施設の必要性について、どのような認識を持っているのか見解を伺う。

回答
 平成24年の児童福祉法の改正により、各障害別に分かれていた障害児入所施設は、様々な障害や重複障害等への対応が図られるよう「障害児入所施設」として一元化されました。
 法改正前に「ろうあ児施設」であった施設は、平成27年12月現在、全国に10か所ありますが、そのうち8か所は、聴覚障害のほか知的障害や視覚障害のある児童を受け入れる施設となっています。
 障害児入所施設においては、主たる対象とする障害以外の障害のある児童を受け入れた場合にも、その障害に応じた適切な支援が提供されるものと認識しています。

質問事項
 二の3 仮に金町学園が閉園の方向で進む場合、聴覚障害児専門の入所施設が都内からなくなる可能性があり、代替案を早急に検討すべきだが、入所での生活が必要な聴覚障害児たちに対してどのように対応していくのか、今後の展望・所見を伺う。

回答
 都としては、金町学園の入所児童の処遇を最優先に考え、今後、慎重に対応していく必要があると考えています。
 当該施設の設置法人に対しては、廃止を前提として、入所児童がその意思に反して退所させられることがないよう要請しており、今後の法人の対応を注視していきます。

平成27年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 和泉なおみ

質問事項
一 LGBT、性的マイノリィティの方たちの人権の保障について

一 LGBT、性的マイノリィティの方たちの人権の保障について
LGBTは、レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシャル(両方の性別を好きになるひと、または相手の性別にこだわらない人)、トランスジェンダー(性的違和、性同一性障害をふくめ、生まれたときの法的、社会的性別とは一致しない、またはとらわれない生き方を選ぶ人など)の頭文字をとり、性的マイノリティを包括的に表現する言葉として使われるようになりました。
LGBT、性的マイノリティの人たちが日本にどれぐらいいるかという正確な実態は把握されていませんが、各種の調査結果から、人口の約5%程度と言われています。
2015年の電通ダイバーシティ・ラボ(電通総研)の調査では、人口の7.6%が性的マイノリティであるとされました。同調査によれば、性的マイノリティの人たちが自分が当事者かもしれないと気づいた時期については、13歳から15歳が最も多く18.6%、次いで6歳以下が17.2%となっています。
1 LGBT、性的マイノリティの方たちの多くが誰にも打ち明けることができず、人知れず悩み、苦しんでいます。あるゲイの方は、思春期の頃、誰にも打ち明けられず、周りに気づかれないように常に緊張していたと語っています。別の性同一性障害の方は、子どものころは成長すれば男性の身体に変わっていくと思っていたため生理が来た時には本当にショックを受けたと語っています。自己肯定感がもてず、疎外感や孤立感をつよめ、自殺を考え、あるいは自殺未遂の経験があるなどの深刻な状態におかれている人も、少なくありません。また、さまざまな偏見や差別、学校でのいじめや言葉による暴力・虐待などに苦しんでいます。
性同一性障害の方の精神的苦痛は第二次性徴が始まる思春期にピークを迎えるといわれています。生理がはじまり乳房が発達することや、声が変わりのど仏が目立ってくることを、自分で受け入れることができず、自傷行為に及んだり、不登校になったり、危険な副作用が出ることのある個人輸入のホルモン剤を自身の判断で購入・服用している方もいるなど、当事者は心と身体の違和に対する苦しみを感じています。
都は、LGBT、性的マイノリティの方たちがおかれているこうした現状を、どう受け止めていますか。
LGBT、性的マイノリティの方たちの権利を保障し、理解を促進する運動が広がる中で、2015年3月31日には渋谷区議会において「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」が制定されました。「同性パートナーシップ条例」と呼ばれるこの条例は、男女の婚姻関係と同様に同性のカップルの婚姻関係を渋谷区が公に認めるものです。また、事業者に性的マイノリティであることを理由にした一切の差別の禁止を義務付け、LGBT、性的マイノリティの人権の尊重をうたっています。同様の制度は世田谷区でも開始され、それぞれの区で、すでに婚姻関係の証明を受け取るカップルが生まれています。兵庫県宝塚市でも制度がスタートする予定です。
世界に目を向けると、ベルギー、スペイン、カナダ、南アフリカ、アイスランドなどが同性婚を合法化しており、パートナーシップ法等に基づき異性婚と同等、あるいは同等に近い権利、または部分的に権利が与えられている国・地域が20カ所以上あると言われています。またEU諸国を中心に、性的指向、あるいは性自認にもとづく雇用上の差別を禁止している国々もあります。
アメリカでは2015年6月、連邦最高裁で、すべての州で同性婚を認める判決を出し、オバマ大統領も歓迎の意を表明しています。
2 LGBT、性的マイノリティの方たちが、「ありのままの自分で人間らしく生きたい」と勇気を持って行動していることは、個人の尊重、いのちの尊厳として当然の願いです。「いのちの多様性」「性の多様性」への理解を促進し、LGBT,性的マイノリティを含め、あらゆる差別や偏見をなくす取り組みが求められていますが、いかがですか。
3 都が今年8月に改定した「人権指針」で、人権課題の中に「性的指向」を加え、「性についての多様性があることへの理解を深め、性的指向の異なる人たちへの差別と偏見をなくし、全ての人々の人権が尊重される社会であることが必要です」としたことは重要です。
しかし、具体的施策としては「偏見や差別の解消を目指した啓発に取り組むとともに、相談に応じていきます」というだけで、きわめて抽象的であり、不十分です。都は今後、LGBT、性的マイノリティの方たちへの人権の保障、支援の拡充にむけて、具体的にどう取り組むのですか。
4 「人権指針」の「性的指向」の人権課題の現状の中で、都が「なお、我が国では憲法で、『婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し』と規定しています」と、あえて記述したことに、批判の声があがっています。ようやく広がり始めた同性パートナーシップの流れに水をさすことになるのではありませんか。
憲法24条で「婚姻は、両性の合意に基づいて成立し」と規定していますが、婚姻は、親を含めた他者による強制や一方の配偶者による支配でもなく両性の合意に基づくものと、当事者同士の合意に重きをおいていると憲法学者の多くも認め、憲法14条の「法の下の平等」において、異性カップルにのみ婚姻を認めることは憲法の理念に反するとも指摘しています。
また、渋谷区の「同性パートナーシップ条例」については、2015年4月7日の記者会見において、法務大臣が「民法の婚姻法制と矛盾抵触するものではないと理解しているところです」と答え、さらに「性の多様性を認め、互いの人権が尊重される、豊かで,安心できる,成熟した社会を作っていくために、性的指向に関する正しい知識の普及や啓発活動に、これからも取り組んでまいります」と結んでいます。
都はこうした見解をどう受けとめているのですか。
5 国連人権理事会は2011年6月、性的指向と性自認に基づく人権侵害に明確に焦点をあてた初めての決議を、日本をふくむ23カ国の賛成で採択しました。この決議は、世界人権宣言にもとづく人権の普遍性を確認し、性的指向や性自認を理由に人々が受けている暴力行為や差別に重大な懸念を示しています。
また、2008年12月の国連総会には、世界人権宣言60周年を記念して「人権と性的指向と性自認に関する声明」が提出され、日本をふくむ66カ国が賛同しました。
この声明は、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利において平等である」と宣言する世界人権宣言が掲げる人権の普遍性を再確認するとともに、世界人権宣言第2条、自由権・社会権規約第2条、自由権規約第26条が明示するように、すべての人が人種、肌の色、性別、言語、宗教、政治的意見やその他の意見、出身民族や社会階層、財産、出生または地位などによって差別されることなく人権を享受する権利を有していることを再確認したうえで、つぎのことを明確に訴えています。
「私たちは、性的指向や性自認に関わらず、人権がすべての人に平等に適用されることを求めた無差別の原則を再確認する。」
「私たちは、性的指向や性自認に基づく人権と基本的自由の侵害を深く懸念する。」
「私たちは、また、世界中のすべての国で、性的指向や性自認を理由に暴力、嫌がらせ、差別、排斥、非難、偏見が人びとに向けられていること、そして、これらの行為が、暴力の対象とされた人びとの誠実さや尊厳を傷つけていることを憂慮する。」
東京都として、これらの国連人権理事会で採択された決議、国連総会に提出された声明の重要性を、どう受け止めていますか。こうした立場を十分にふまえて都の施策を進める必要があると思いますが、いかがですか。
6 国際オリンピック委員会は2014年12月の総会で、「オリンピック憲章に性的指向による差別禁止を盛り込む」ことを決議し、2015年2月に提出した「東京2020大会開催基本計画」にも多様性を認め合う対象として「性的指向」が明記されました。
開催都市である東京都が、LGBT、性的マイノリティを含めたあらゆる偏見・差別の根絶という課題にどう取り組むかが、世界から注視されていると思います。
私が話を聞いた性的マイノリティの方たちも、「自治体が性の多様性を理解し、差別を許さないというメッセージを社会に向けて発信することは、当事者たちにとって大きな励ましと勇気を与える」と共通して語っています。
沖縄県那覇市では「性の多様性を尊重する都市・なは宣言」(レインボーなは宣言)を行い、「那覇市は市民と協働し、性自認および性的指向など、性に関するあらゆる差別や偏見をなくし、誰もが安心して暮らせる都市を目指す」と強調し、自治体として性の多様性を支援する取り組みを開始しています。
2020年オリンピック・パラリンピックの開催都市として、東京都が「性の多様性を尊重する都市」宣言を行い、LGBT、性的マイノリティ支援の拡充・強化に踏み出し、世界に発信することが重要だと思いますが、都の認識と対応を伺います。
7 性的マイノリティの方たちの生きづらさを軽減するうえで、行政手続きや申請書類の性別記載欄をできるだけなくしていくことは、行政が直接取り組むことができる有効な方法の一つだと思います。性同一性障害の方は、男とも女とも書けないし、書きたくないと語っています。
行政手続き等の性別記載欄については、2015年6月19日の総務委員会においてわが党議員の質問に対し、都は「各局の文書につきましては、それぞれが各事業の性格などを踏まえて、そういった必要性等について判断し、各局において、例えば、そういった性別欄をなくすとか、あるいは、必要であればそのまま残すというふうに、適切に対応されたと認識してございます」と答弁しています。都の行政手続、申請書類で、性別記載欄をなくした書類について一覧にてお示しください。また今後も必要性のない性別記載欄は、なくしていくことを検討するべきではありませんか。
8 世田谷区では、区の職員が同性婚した場合にも、互助会によるお祝い金などが贈られるように制度が改正されました。東京都職員の各種手当においては、配偶者扶養手当や単身赴任手当は男女カップルであれば事実婚でも適用されますが、同性カップルの場合には適用されません。都の規定・運用を見直し、同性カップルにも男女の婚姻関係と同等の手当の支給や処遇を行うべきだと思いますが、いかがですか。
9 LGBT、性的マイノリティの当事者への支援を強化し、偏見や差別をなくしていくうえで、教育委員会の役割はきわめて大きなものがあります。
文部科学省は2010年4月、性同一性障害の児童生徒が抱える問題に対しての教育相談の徹底を求める通知を出しました。この通知は「性同一性障害にかかる児童生徒については、学校生活を送るうえで特有の支援が必要な場合があることから、個別の事案に応じ、児童生徒の心情等に配慮した対応を行うこと」とし、学校における支援体制の構築や医療機関との連携、その他、学校行事や制服、トイレ等あらゆる場面で、画一的ではなく当人の意思や求めに応じた対策を講じるよう要請したものです。
同時にこの通知では、悩みや不安を受け止める必要性は、性同一性障害の児童生徒だけではなく、性的マイノリティとされる児童生徒全般に共通するものであることを明らかにしています。
都教委は、これらの文科省の通知をどう受け止め、具体化しているのですか。今後の対応も含めてお答えください。
10 文科省は2014年6月、学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査の結果を発表し、全国から606件の対象事例が報告されたことや、各校で取り組まれている配慮事例などを明らかにしました。
島根県教育委員会や埼玉県教育委員会は、文科省の調査に先立ち、独自の調査を実施しています。
2015年4月の文科省通知でしめされたように、性同一性障害だけでなく、性的マイノリティとされる児童生徒全般に共通する支援を進めることが、いま求められています。都教委として、都内の学校を対象に、性的マイノリティの児童生徒についての実態調査を実施することを求めるものですが、いかがですか。
11 今年8月に策定された「東京都子供・若者計画」には、「性同一性障害に係る児童、生徒や『性的マイノリティ』とされる児童・生徒が相談しやすい環境を整えます」とされています。具体的に、どのように取り組むのですか。
12 性的マイノリティの児童、生徒の相談体制にとどまらず、すべての児童・生徒が、性的マイノリティについて学び、多様な性のあり方が存在すること、性的指向や性自認などを理由にした偏見や差別は許されないことを学ぶことができるようにすることが重要だと思いますが、いかがですか。
13 都教委が毎年全教員に配布している「人権教育プログラム」の中で、「その他の人権課題」として性同一性障害を取り上げていることは重要です。しかし、LGBT、性的マイノリティは、性同一性障害だけではなく、性的指向や性分化疾患など多様です。
「人権教育プログラム」に「その他の人権課題」ではなく、人権課題の一つとして「性的マイノリティ」を位置づけることを求めますが、いかがですか。
14 子どものころから生きづらさを抱え、自分を偽り、周りに隠し続けてきたゲイの男性は、「学校の先生の理解があることは、それだけでも救いになる」と言っています。
2012年に改定された政府の「自殺総合対策大綱」では、「自殺念慮の割合等が高いことが指摘されている性的マイノリティについて、無理解や偏見等がその背景にある社会的要因の一つであると捉えて、教職員の理解を促進する」として、教職員に対する普及啓発等の実施を求めています。この指摘の重要性を、都教委はどう受け止め、具体的にどのような対応を進めているのですか。
15 就職にあたっての様々な場面や職場の中で、性的マイノリティの方が差別されたり、生きづらさを強いられたりしない環境づくりも重要です。都として、どのような取り組みを進めるのですか。「LGBTフレンドリー企業」を認定し、支援する施策の具体化などが求められますが、いかがですか。
都職員や都の監理団体職員に対し、性的マイノリティの方が差別されたり、生きづらさを強いられない環境づくりについて、具体的な施策が求められますが、どのようなことを行っていますか。また、今後どのような対策を行おうとしていますか。

平成27年第四回都議会定例会
和泉なおみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 LGBT、性的マイノリィティの方たちの人権の保障について
1 LGBT、性的マイノリティの方たちの多くが誰にも打ち明けることができず、人知れず悩み、苦しんでいるが、都は、LGBT、性的マイノリティの方たちがおかれているこうした現伏を、どう受け止めているのか伺う。

回答
 内閣府が平成24年に行った「人権擁護に関する調査」によれば、性的少数者に対して、どのような人権問題が起きているかという問いに対し、「職場・学校等で嫌がらせやいじめを受ける」、「就職・職場で不利な扱いを受ける」、「差別的な言動をされる」といった回答が多くみられました。
 このように、性的少数者は、偏見の目で見られたり、差別的な扱いを受けるなど、社会生活の様々な面で、性的少数者の人権に関わる問題も発生しています。
 性についての多様性があることへの理解を深め、性的少数者への偏見や差別をなくし、全ての人々の人権が尊重される社会となることが重要であると認識しています。

質問事項
 一の2 「いのちの多様性」「性の多様性」への理解を促進し、LGBT、性的マイノリティを含め、あらゆる差別や偏見をなくす取組が求められているが、都の見解を伺う。

回答
 都は、平成27年8月に、人権施策の基本理念や基本的考え方を示す「東京都人権施策推進指針」を公表しました。
 この指針に基づき、「人間としての存在や尊厳が尊重され、思いやりに満ちた東京」、「あらゆる差別を許さないという人権意識が広く社会に浸透した東京」、「多様性を尊重し、そこから生じる様々な違いに寛容な東京」を基本理念として人権施策の推進に取り組んでいきます。

質問事項
 一の3 都が今年8月に改定した「人権指針」で、人権課題の中に「性的指向」を加えたことは重要だが、具体的施策としては、不十分である。都は今後、LGBT、性的マイノリティの方たちへの人権の保障、支援の拡充にむけて、具体的にどう取り組むのか、伺う。

回答
 平成27年8月に公表した「東京都人権施策推進指針」では、「性同一性障害者」及び「性的指向」を新たに人権課題として取り上げました。
 都では、これまでも、人権イベントにおける啓発冊子の配布やパネル展示等の啓発を行ってきました。
 新しい指針の下、性的少数者に関する正しい知識の普及、偏見や差別の解消を目指した啓発を行っていきます。

質問事項
 一の4 憲法14条の「法の下の平等」において、異性カップルにのみ婚姻を認めることは憲法の理念に反するとの指摘などあるが、都はこうした見解をどう受けとめているのか伺う。

回答
 同性婚については様々な議論があり、社会の基本的な制度である家族の在り方に関わることであることから、国民全体の合意を得ていく必要があると考えています。

質問事項
 一の5 都として、国連人権理事会で採択された決議、国連総会に提出された声明の重要性を、どう受け止めているのか。こうした立場を十分にふまえて都の施策を進めるべきだが、都の見解を伺う。

回答
 性についての多様性があることへの理解を深め、性的少数者への偏見や差別をなくし、全ての人々の人権が尊重される社会であることが必要であると認識しています。
 平成27年8月に策定した「東京都人権施策推進指針」では、「人間としての存在や尊厳が尊重され、思いやりに満ちた東京」、「あらゆる差別を許さないという人権意識が広く社会に浸透した東京」、「多様性を尊重し、そこから生じる様々な違いに寛容な東京」を都の人権施策の基本理念とし、「性同一性障害者」、「性的指向」を新たに人権課題として位置付けました。今後は、同指針に基づき、人権施策の推進に取り組んでいきます。

質問事項
 一の6 2020年オリンピック・パラリンピックの開催都市として、都が「性の多様性を尊重する都市」宣言を行い、LGBT、性的マイノリティ支援の拡充・強化に踏み出し、世界に発信することが重要だが、都の認識と対応を伺う。

回答
 性についての多様性があることへの理解を深め、性的少数者への偏見や差別をなくし、全ての人々の人権が尊重される社会であることが必要であると認識しています。
 都は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、人権尊重の理念が浸透した社会を実現するための取組を推進していきます。

質問事項
 一の7 都の行政手続申請書類で、性別記載欄をなくした書類について一覧にて示されたい。また今後も必要性のない性別記載欄は、なくしていくことを検討するべきだが、見解を伺う。

回答
 都では、性同一性障害の方々への配慮のため、平成16年に、総務局から各局に対し、申請書等の行政文書における性別記載に関する現状把握と適切な対応を依頼し、必要性のない性別記載欄は見直しています。
 今後とも、行政文書における性別記載欄については適切に対応していきます。

質問事項
 一の8 都職員の各種手当は、男女カップルであれば事実婚でも適用されるが、同性カップルの場合には適用されない。都の規定・運用を見直し、同性カップルにも男女の婚姻関係と同等の手当の支給や処遇を行うべきだが、見解を伺う。

回答
 職員に対する手当などのうち、配偶者の有無が支給要件に関連するものとしては、扶養手当及び単身赴任手当等があります。これらについては、法律上の婚姻関係にあることを要件としていますが、「届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」についても、住民票などを確認した上で支給を認めています。
なお、これは国家公務員と同様の取扱いです。
 同性カップルに対しても、法律上の婚姻関係と同様の取扱いを行うかについては、手当などの原資が税金であることから、都民の理解と納得が得られるかを考慮しつつ、国、他団体等との均衡を十分に踏まえる必要があると考えています。

質問事項
 一の9 LGBT、性的マイノリティの当事者への支援強化、偏見や差別をなくしていくうえで、教育委員会の役割はきわめて大きいが、都教委は文科省の通知をどう受け止め、具体化するのか伺う。

回答
 性同一性障害等の児童・生徒が、自分らしさを発揮し、生き生きと学校生活を送ることができるようにするためには、文部科学省の通知を踏まえ、児童・生徒一人一人の心情等に十分配慮した対応が必要です。
 そのため、都教育委員会は、校長、副校長、主幹教諭等を対象として実施した人権教育の研修会において、文部科学省の通知の内容を周知するなど、学校が性同一性障害等の児童・生徒を適切に支援できるよう、取り組んでおり、引き続き、こうした取組を進めていきます。

質問事項
 一の10 性同一性障害だけでなく、性的マイノリティとされる児童生徒全般に共通する支援を進めることが、いま求められている。都教委として、都内の学校を対象に、性的マイノリティの児童生徒についての実態調査を実施すべきだが、見解を伺う。

回答
 文部科学省は、平成25年に学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査を実施しました。
 都教育委員会は、この調査結果を踏まえ、区市町村教育委員会や学校と連携し、学校が、学級担任や養護教諭、スクールカウンセラーなどを中心として、広い視野から児童・生徒一人一人を適切に理解し、組織的に対応することができるよう、引き続き指導していきます。

質問事項
 一の11 今年8月に策定された「東京都子供・若者計画」には、「性同一性障害に係る児童、生徒や『性的マイノリティ』とされる児童・生徒が相談しやすい環境を整えます」としているが、具体的に、どのように取り組むのか伺う。

回答
 都教育委員会は、担任による定期的な面接や養護教諭等による個別相談、小学5年生、中学1年生、高校1年生を対象としたスクールカウンセラーによる全員面接など、学校全体で、児童・生徒が相談できるような環境づくりに向けた取組を推進しています。
 また、都教育相談センターでは、電話や来所等により相談に応じる体制を整備し、心理の専門家等が、問題の解決に向けて助言を行うなどしています。

質問事項
 一の12 すべての児童・生徒が、性的マイノリティについて学び、多様な性のあり方が存在すること、性的指向や性自認などを理由にした偏見や差別は許されないことを学べるようにすべきだが、都の見解を伺う。

回答
 全ての公立学校では、人権教育を通して、一人一人がかけがえのない存在であり、互いに尊重し合って生活する必要があることを児童・生徒に指導しています。
 こうした考え方に基づき、個別の人権課題については、学習指導要領を踏まえ、児童・生徒の発達段階や学校の実態等に応じて適切に取り組んでいます。

質問事項
 一の13 「人権教育プログラム」に「その他の人権課題」ではなく、人権課題の一つとして「性的マイノリティ」を位置づけることを求めるが、都の見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、東京都人権施策推進指針等に基づき、人権教育の実践的な手引である「人権教育プログラム」を毎年作成し、都内公立学校の全教員に配布しています。
東京都は、平成27年8月に東京都人権施策推進指針を公表し、都として取り組むべき人権課題として「性同一性障害者」「性的指向」を新たに示しました。
 今後とも、東京都人権施策推進指針等に基づき、「人権教育プログラム」を作成していきます。

質問事項
 一の14 2012年に改定された政府の「自殺総合対策大綱」では、教職員に対する普及啓発等の実施を求めているが、この指摘の重要性を、都教委はどう受け止め、具体的にどのような対応を進めているのか、伺う。

回答
 都教育委員会は、文部科学省の通知や「自殺総合対策大綱」を踏まえ、教職員が、性同一性障害等に関する適切な理解を図ることができるよう、これまでも「人権教育プログラム」に資料を掲載するとともに、理解を深めるための研修などを行っており、引き続き、こうした取組を進めていきます。

質問事項
 一の15 就職にあたっての様々な場面や職場の中で、性的マイノリティの方が差別されたりしない環境づくりも重要だが、都としてどのような取り組みを進めるのか伺う。「LGBTフレンドリー企業」を認定し、支援する施策の具体化などが求められるが、見解を伺う。

回答
 都は、労働関連法令や東京都人権施策推進指針等を踏まえ、就職における様々な差別の解消に向け、啓発冊子等を通じて、企業に対して普及啓発を図っています。
また、職場で生じたトラブルに対しては、労働相談情報センターで相談等を行っています。

質問事項
 一の16 都職員や都の監理団体職員に対し、性的マイノリティの方が差別されたり、生き辛さを強いられたりしない環境づくりについて、具体的な施策が求められるが、どのようなことを行っているか。また、今後どのような対策を行おうとしているか、伺う。

回答
 都では、性的少数者に関する正しい知識を身に付け、理解を深めるため、
職員を対象とした人権に関する講演会において性的少数者をテーマに学識経験者から講義を受けるなどの取組を行っています。
 引き続き、職員研修などの機会を捉えて、職員の人権意識の向上を図っていきます。
 また、監理団体職員については、都職員と同様に人権意識の向上を図るよう依頼しています。

平成27年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 両角みのる

質問事項
一 2020年オリンピック・パラリンピック大会について
二 新消防署完成後の八王子地域の消防体制について
三 産業交流拠点(仮称)整備について
四 都庁舎のセキュリティ対策について

一 2020年オリンピック・パラリンピック大会について
1 新国立競技場の東京都費負担について
都議会第四回定例会の知事所信表明で新国立競技場の整備費について都が395億円を負担することで国と合意したとの報告がなされた。そこで、以下について質問する。
ア これまで知事は国の負担要請に強く反発してきていたが、今般、一転して負担受け入れに合意した根源的な理由はなにか。
イ 都民便益を踏まえて整備費用負担を決定したとのことであるが、具体的な負担額の算定はどのようにおこなわれたのか。
ウ 国と都の新国立競技場に関する負担額の合意は書面による合意文書を作成しているのか。
エ 都の負担額は、賃金・物価の変動や消費税の増額があった場合に負担持分に応じて増えるとする内容であるが、賃金や資材などは、今後相当の割合で増額することが考えられるが、負担額の上限額は決められているのか。
オ 競技場整備による都内への経済波及効果を約7000億円としているが、施設完成後には毎年多額の維持管理費が発生し、修繕費もかかる。施設完成後の維持管理費や修繕費を負担割合で分担するなどという話がでることを危惧するところであるが、国との協議において新国立競技場整備後の維持管理費についてはどのような取り決めとなっているのか。
カ 都内には、今回の新国立競技場以外にも国立の施設はある。また、今後、都内で改築や新設などの可能性もある。それら施設も都民への便益を生むものであるが、今回の「国立施設整備への都費負担」合意が今後の前例となるようなことがあってはならない。
そこで、この点について今回合意ではどのように取り扱われているのか伺う。
キ 国立施設整備に都が負担をするのであれば、都と国がしっかりと文書を交わしておく必要があると考える。そして、その中に「今回の事例を今後の国立施設整備への前例としない」、「施設完成後の維持管理費については国が責任をもって負担する」という2点を明記しておくべきと思うが見解を伺う。
ク 新国立競技場の都負担に関するこれまでの知事の主張や国への批判に対しては、多くの都民が共感していたと感じる。そのため、今回の知事の政策転換について戸惑っている都民も多くおり、都民にしっかりと説明する責任が強く生じている。そこで、これから都民に対して、どのように説明をしていくのか。早期に東京都広報などで経緯を含めて説明を尽くすべきと考えるが、見解を伺う。
ケ 都が国施設の整備に費用を負担する根拠法を整備するとのことであるが、一自治体を対象とした特別法となるのか。都として法制に関してどのような要望をしているのか。
2 自転車競技会場について
本年12月9日の国際オリンピック委員会理事会で2020年東京大会の自転車競技の会場変更が承認された。そこで以下について質問する。
ア 今回の理事会で自転車競技会場はどのように決定されたのか、その詳細を伺う。
イ 大会組織委員会がトラック競技とマウンテンバイクについて伊豆市への変更を提案するに至る経緯を伺う。
ウ 自転車競技については、都内八王子市からMTB、BMX、トラックの3種目を開催したい旨の要望書が都及び組織委員会に提出されていたが、伊豆市と八王子市、有明の各会場をそれぞれ組織委員会としてはどのように評価したのか、また、都は八王子市の要望を組織委員会にどのように伝え・扱ったのか伺う。

二 新消防署完成後の八王子地域の消防体制について
今春新八王子消防署が完成したが、それに伴う今後の八王子の消防体制等について質問する。
1 新八王子消防署が完成して、それまでの市内大横町に所在した旧八王子消防署に富士森出張所が移転している。この富士森出張所は今後市内楢原町に整備予定の出張所ができるまでの暫定であると聞いているが、新八王子消防署完成後の八王子の消防体制についての将来構想も含め伺う。
2 各地でくい打ち工事の偽装が問題となり、新八王子消防署もくい打ちに関する偽装が発覚したが、その内容と対処について伺う。
3 現八王子消防署富士森出張所は市内大横町にある旧八王子消防庁舎を利用しているが、ここはいつまで使用する予定か。また、使用終了後の跡地利用はどのように考えているのか伺う。
4 現在の八王子消防署富士森出張所は、大横町が所在である。にもかかわらず、市内他地域の名称である「富士森」という名称が使用されていることに地域住民からは戸惑いがあり、混乱を避けるために大横町出張所と名称変更して欲しいという要望が寄せられているが、名称変更に関しての所見を伺う。また、もし、変更が困難とすれば、その具体的な理由を伺う。

三 産業交流拠点(仮称)整備について
都は産学・産産連携を促進する交流拠点として八王子市に産業交流拠点を整備する方針を示している。そこで、以下、これに関して質問する。
1 現時点での産業交流拠点整備に向けた進捗状況とスケジュールを伺う。
2 産業交流拠点として予定されている旧東京都産業技術研究所跡地は、JR八王子駅と京王八王子駅との中間に位置する市の中心部にあり、隣接する都合同庁舎用地、八王子市保健所等を含めて八王子の将来の発展に大変に重要な地域である。これら隣接地の今後にも多大な影響を与える産業交流拠点は、地元市の意向は勿論、これら隣接地域の将来像を見通した上での計画とする必要があると考えるが、見解を伺う。
3 特に隣接地域も含めた まちづくり という観点からは、導入する機能を十分に検討し、地区全体で統一したデザインを採用することが重要と思うが見解を伺う。
4 現在、産業交流プラザに予定されている機能は八王子市保健所、都合同庁舎などの事務所機能とものづくり系の展示ホールとされているが、立地特性も踏まえ、展示開催日以外にも人が集い・交流できるような仕掛けを設計・運営面でも心がけるべきと思うが、見解を伺う。
5 現行スケジュールでも工事着手までに最低数年を要することとなっているが、それまでの間、駅至近の約1haある都有財産を有効活用することが重要である。そこで、工事着手までの間の有効活用策を所管局で独自に取りまとめ・活用を図るべきと思うが、見解を伺う。

四 都庁舎のセキュリティ対策について
パリでの事件等、国際的にテロ事件が頻発する中で都庁舎のセキュリティ対策について質問する。
1 都庁舎のセキュリティ対策が本格実施されているが、都庁舎は都民に開かれたオープンな施設であるべきである一方で、昨今の状況はセキュリティ対策の重要性も突きつけてきている。そこで、都庁舎のセキュリティ対策の概要と効果並びに課題を伺う。
2 現行のセキュリティ・チェックは甘すぎるとの指摘がある一方、煩瑣であるとの声も聞かれる、これまで来庁者とトラブルになる事例は発生しているのか、また、来庁者の反応・声はどのようなものか。
3 都の職員はネームプレートを首から提げ、職員カードを携行しているが、ネームプレート及び職員カードの目的は何か。
4 ネームプレートや職員カードに添付されている写真は、職員が就職した入庁時のものを使用しているため容貌が相当に変化しており、本人確認が出来ない例が多い。ネームプレートや職員カードの写真は、例えば異動のたびに最新のものに切り替えるなど本人確認が出来るように改めるべきと思うが、見解を伺う。

平成27年第四回都議会定例会
両角みのる議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 2020年オリンピック・パラリンピック大会について
1 新国立競技場の東京都費負担について
ア これまで知事は国の負担要請に強く反発してきていたが、今般、一転して負担受け入れに合意した根源的な理由はなにか伺う。

回答
 新国立競技場は、国が責任を持って整備を進めることが基本です。一方で、政府において、透明性を確保しながら整備計画が策定され、都民が納得できるものであれば、都が一定の負担をすることは可能であると考えており、既に、新国立競技場の整備に全面的に協力すると表明しています。
 新たな整備計画においては、アスリートファーストや周辺のまちづくりとの調和など、関係閣僚会議に出席して発言した都の考えが反映されており、この計画の下で、国と都がしっかりと協議を行ってきました。
 新国立競技場は、開会式や閉会式等を行う東京2020大会のメインスタジアムとして、大会の成功のためになくてはならない施設であり、また、大会後の東京において、都民にとっても、スポーツの振興はもちろん、周辺環境の向上や地域の防災機能の強化など、多様な価値を末永く持つレガシーとなります。
 このような考えの下、遠藤東京オリンピック・パラリンピック大臣、馳文部科学大臣と会談して、応分の財政負担をすることを決断しました。

質問事項
 一の1のイ 都民便益を踏まえて整備費用負担を決定したとのことだが、具体的な負担額の算定はどのようにおこなわれたのか、伺う。

回答
 新国立競技場の整備計画に示されている経費のうち、工事費1,550億円程度、設計・監理等の経費40億円程度及び解体工事費55億円程度を合わせた1,645億円程度を、国と分担し合う対象経費の基本と考え、この金額から、道路上空連結デッキの工事費37億円程度及び上下水道工事費27億円程度を除いた1,581億円程度を、国と分担し合う対象経費としました。
 それぞれを除いた理由は、道路上空連結デッキの工事費は、新国立競技場の敷地外であり、東京体育館等との間の道路をまたぎ、歩行者空間を創出する公共性の非常に高いものであるため、都が負担し、上下水道工事費は、敷地拡張に伴う移設工事に係る経費のため、原因者である独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)が負担することとしました。
 その上で、国直轄事業負担金制度の考え方に準拠し、国と都で費用を2対1で分担し合うこととし、さらに、スポーツ振興くじを財源として活用することにより、都は国直轄事業の通常の分担割合である3分の1より少ない4分の1、395億円程度を負担することとなりました。

質問事項
 一の1のウ 国と都の新国立競技場に関する負担額の合意は、書面による合意文書を作成しているのか伺う。

回答
 平成27年12月1日に、遠藤東京オリンピック・パラリンピック大臣、馳文部科学大臣と会談して合意した内容は、「新国立競技場の整備に係る財政負担について」という文書に取りまとめられ、平成27年12月22日に開催された「第5回新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議」において決定されています。

質問事項
 一の1のエ 都の負担額は、賃金・物価の変動や消費税の増額があった場合に負担持分に応じて増えるとする内容だが、負担額の上限額は決められているのか伺う。

回答
 国と合意した「新国立競技場の整備に係る財政負担について」では、国と分担し合う対象経費は、スタジアム本体及び周辺整備の工事、設計・監理等並びに解体工事に係る費用から、道路上空連結デッキの工事及び上下水道工事を差し引いた、1,581億円程度となっており、明確化されています。
 よって、新国立競技場の建替工事に係る経費については、今般整理した内容以外で、都の負担が生じることはありません。
 また、この経費については、賃金又は物価等の変動が生じた場合及び消費税率10%が適用される場合に限って、都と国とスポーツ振興くじで、1対2対1で負担することとなっています。
 したがって、この物価騰貴及び消費税率の変更以外の要素で、都の負担が増加することはありません。

質問事項
 一の1のオ 競技場整備による都内への経済波及効果を約7000億円としているが、施設完成後には毎年多額の維持管理費が発生し、修繕費もかかる。国との協議において新国立競技場整備後の維持管理費についてはどのような取り決めとなっているのか伺う。

回答
 新国立競技場の維持管理費など、完成後に掛かる一切の経費については、今般整理した内容以外であり、都が負担することはありません。

質問事項
 一の1のカ 新国立競技場以外の都内国立施設も都民への便益を生むが、今回の「国立施設整備への都費負担」合意が今後の前例となるようなことがあってはならないが、この点について今回合意ではどのように取り扱われているのか伺う。

回答
 新国立競技場は国の施設であり、国の負担による整備が基本です。その上で、今般の合意は、新国立競技場が、大会のメインスタジアムとしてなくてはならない施設であり、これを整備するものであること、大会後においても、多様な価値あるレガシーとして都心に末永く残り続けること、といった特段の便益をもたらすことを踏まえ、開催都市東京として、新国立競技場の整備については、特別に、一定程度の財政負担を決断したものです。したがって、他の国立施設は対象外であるため、都が負担することはありません。

質問事項
 一の1のキ 国立施設整備に都負担があるのであれば、都と国が文書を交わしておく必要があり、その中に「今回の事例を今後の国立施設整備への前例としない」、「施設完成後の維持管理費については国が責任をもって負担する」という2点を明記すべきだが見解を伺う。

回答
 今般の合意は、新国立競技場が、大会のメインスタジアムとしてなくてはならない施設であり、これを整備するものであること、大会後においても、多様な価値あるレガシーとして都心に末永く残り続けること、といった特段の便益をもたらすことを踏まえ、開催都市東京として、新国立競技場の整備については、特別に、一定程度の財政負担を決断したものです。したがって、他の国立施設は対象外であるため、都が負担することはありません。
 また、新国立競技場の維持管理費など、完成後に掛かる一切の経費についても、今般整理した内容以外であり、都が負担することはありません。
 さらに、合意した内容は、「新国立競技場の整備に係る財政負担について」という文書に取りまとめられ、平成27年12月22日に開催された「第5回新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議」において決定されています。

質問事項
 一の1のク これから都民に対して、どのように説明をしていくのか。早期に東京都広報などで経緯を含めて説明を尽くすべきだが、見解を伺う。

回答
 国と合意した「新国立競技場の整備に係る財政負担について」は、結論だけでなく、負担の考え方や都民への便益などを具体的に示し、また、国と分担し合う対象経費とその関連経費も合わせた全体像を図解により分かりやすく示しており、都のホームページにも掲載して公開しています。
 また、国と都の事務方が率直な意見交換を行い、実務的に検討、協議を行ってきた「新国立競技場の整備に関する国・東京都の財源検討ワーキング・チーム」の資料及び議事録についても、都のホームページに掲載して公開しています。
 今後とも、都民の理解が得られるよう、様々な機会をとらえて、丁寧に説明していきます。

質問事項
 一の1のケ 都が国施設の整備に費用を負担する根拠法を整備するとのことだが、自治体を対象とした特別法となるのか。また、都として法制に関してどのような要望をしているのか伺う。

回答
 平成27年12月22日に開催された「第5回新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議」で決定された「新国立競技場の整備に係る財政負担について」において、財源スキームを実施するために必要となるJSC法等の改正案の概要として、都道府県の負担については、「JSCが行う特定のスポーツ施設の整備に要する費用について、都道府県が一部負担するための根拠規定を設ける。」とされています。
 また、「新国立競技場の整備に関する国・東京都の財源検討ワーキング・チーム」において、都は、法的な根拠がない財政負担は、都として行えないことを主張しました。

質問事項
 一の2 自転車競技会場について
ア 12月9日の理事会で自転車競技会場はどのように決定されたのか、その詳細を伺う。

回答
 平成27年12月8日から同月10日まで、ローザンヌにおいて開催されたIOC理事会において、組織委員会が自転車競技の会場変更について報告し、了承を得ました。変更はいずれも国内競技連盟・国際競技連盟の承認を得ています。
 IOC理事会において報告し、了承を得た内容は、以下のとおりです。
 自転車競技のトラック・レースとマウンテンバイクは、静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンター内にある、既存の伊豆ベロドローム及び伊豆マウンテンバイクコースに変更しています。
 BMXは、立候補ファイルどおり有明BMXコースです。
 ロード・レースのスタート地点は、立候補ファイルどおり皇居外苑ですが、ゴール地点を武蔵野の森公園から皇居外苑に変更しています。
 組織委員会は、「IOCバッハ会長から、極めて順調に組織委員会の準備が進んでいること、良い方向に見直しが行われており、より魅力ある大会となっていることを大変評価された。」という趣旨の発言をしています。

質問事項
 一の2のイ 大会組織委員会がトラック競技とマウンテンバイクについて伊豆市への変更提案するに至る経緯を伺う。

回答
 オリンピック・アジェンダ2020の精神にのっとり、既存施設の活用、コストの縮減、大会後のレガシーの観点から、様々な検討を行った結果、既存の伊豆ベロドローム及び伊豆マウンテンバイクコースを改修し、活用することとしています。

質問事項
 一の2のウ 自転車競技については、都内八王子市から3種目を開催したい旨の要望書が都及び組織委員会に提出されていたが、伊豆市と八王子市、有明の各会場をそれぞれ組織委員会としてはどのように評価したのか、また、都は八王子市の要望を組織委員会にどのように伝え、扱ったのか伺う。

回答
 都と組織委員会は、平成26年12月及び平成27年2月に、八王子市から自転車競技のうち、トラック・レース、マウンテンバイク及びBMXについて、会場誘致の要望書を受領しています。要望書の内容及び八王子市の意向については、都と組織委員会で十分な共有を図ってきました。
 都と組織委員会は、平成26年6月以降、会場の再検討に着手し、再検討に当たっては、アスリートファーストの視点を重視するとともに、既存施設の活用を含めた施設整備費の縮減、大会後のレガシーとしての活用方法など、様々な観点から検討を行ってきました。
 その結果、組織委員会は、BMXは立候補ファイルどおり有明BMXコースとし、トラック・レース及びマウンテンバイクについては、既存施設の活用を含めた施設整備費の縮減等の観点から、既存の伊豆ベロドローム及び伊豆マウンテンバイクコースを活用することとしました。

質問事項
 二 新消防署完成後の八王子地域の消防体制について
1 新八王子消防署が完成して、それまでの市内大横町に所在した旧八王子消防署に富士森出張所が移転している。新八王子消防署完成後の八王子の消防体制についての将来構想も含め伺う。

回答
 八王子消防署富士森出張所は、消防力の配置バランスを考慮し、平成30年度を目途に楢原町への移転改築が予定されており、この移転までの間、暫定的に旧八王子消防署庁舎において運用しています。
 また、財務局が策定した「第二次主要施設10か年維持更新計画」においては、今後、八王子消防署北野出張所の改築も予定されています。
 さらに、現在、仮隊舎で運用中のNBC災害等の各種災害に幅広く対応できる第九消防方面本部消防救助機動部隊が、平成27年度末に完成予定である八王子市鑓水の本隊舎において運用を開始します。
 今後とも、市街化の進展や都市構造の変化など、消防行政需要の推移を踏まえ、適正な消防体制の確保に努めていきます。

質問事項
 二の2 各地でくい打ち工事の偽装が問題となり、新八王子消防署もくい打ちに関する偽装が発覚したが、その内容と対処について伺う。

回答
 八王子消防署のくい工事、計61本のうち、1本の根固め部セメント注入データに他のくいのデータが転用されていました。
 このため東京消防庁では、転用の認められたくい施工について、くいの長さ、セメントの使用量、地盤状況などを確認し、セメントの入荷量の総量が施工計画上必要なセメント量の総量を上回ること、建物に傾斜、ひび割れ等の不具合がないことから、当該建物の安全性を確認しました。
 さらに、特定行政庁である八王子市にくい工事に関連する資料を提出し、安全性の確認を受けました。

質問事項
 二の3 現八王子消防署富士森出張所は市内大横町にある旧八王子消防庁舎を利用しているが、ここはいつまで使用する予定か。また、使用終了後の跡地利用はどのように考えているのか伺う。

回答
 旧八王子消防署庁舎は、富士森出張所が楢原町新庁舎へ移転する平成30年度まで使用する予定です。
 また、旧八王子消防署の跡地は、平成31年度に旧庁舎の解体工事を実施した後、八王子市に返還することとなっています。

質問事項
 二の4 現在の八王子消防署富士森出張所は、大横町が所在にもかかわらず、市内他地域の名称である「富士森」が使用されているが、混乱を避けるため大横町出張所への名称変更の要望が寄せられているが、名称変更に関しての都の見解を伺う。もし、変更困難とすれば、その具体的な理由を伺う。

回答
 消防庁舎の改築等に伴い、仮庁舎で運用する場合には、消防署所の名称変更を行わないこととしています。
 八王子消防署富士森出張所においても、旧八王子消防署庁舎の使用は、楢原町への移転改築までの間の暫定的なものであり、名称変更には、消防部隊や建物情報等のデータを管理する情報通信システムの改修等に多額の費用が掛かるため、費用対効果の観点も勘案し、名称変更を行わないこととしました。

質問事項
 三 産業交流拠点(仮称)整備について
1 都は、八王子に産学・産産連携を促進する産業交流拠点を整備する方針を示しているが、現時点での産業交流拠点整備に向けた進捗状況とスケジュールを伺う。

回答
 これまで産業交流拠点(仮称)基本計画をまとめ、平成27年度末から平成28年度にかけて基本設計を行い、平成33年度に竣工する予定です。

質問事項
 三の2 産業交流拠点として予定されている土地は、市の中心部にあり、隣接地等を含めて八王子の将来の発展に大変に重要な地域であり、地元市の意向は勿論、これら隣接地域の将来像を見通した上での計画とするべきだが、見解を伺う。

回答
 産業交流拠点の建設は、JR八王子駅と京王八王子駅との間の中心市街地に予定しており、基本計画においては、土地の高度利用を図る観点から、東京都八王子合同庁舎、八王子市保健所との複合施設とするとともに、八王子市のまちづくり構想を踏まえた内容としています。

質問事項
 三の3 特に隣接地域も含めたまちづくりという観点からは、導入する機能を十分に検討し、地区全体で統一したデザインを採用すべきだが見解を伺う。

回答
 産業交流拠点については、八王子市の中心市街地にふさわしい、駅周辺のにぎわいや活力にあふれた景観を形成するよう、隣接地域とも調整を図りながら整備を進めていきます。

質問事項
 三の4 現在、産業交流プラザに予定されている機能は、事務所機能とものづくり系の展示ホールとされているが、立地特性も踏まえ、展示開催日以外にも人が集い・交流できるような仕掛けを設計・運営面でも心がけるべきだが、見解を伺う。

回答
 産業交流拠点については、ものづくりの展示会以外にもイベントなどが行える施設として整備を進めていきます。

質問事項
 三の5 現行スケジュールでも工事着手までに最低数年を要することとなっているが、それまでの間、都有財産を有効活用することが重要であり、工事着手までの間の有効活用策を所管局で独自に取りまとめ・活用を図るべきだが、見解を伺う。

回答
 産業交流拠点の建設予定地は行政財産であり、公有財産規則にのっとり、適切に対応していきます。

質問事項
 四 都庁舎のセキュリティ対策について
1 都庁舎は都民に開かれたオープンな施設であるべきである一方で、昨今の状況はセキュリティ対策の重要性も突きつけてきている。都庁舎のセキュリティ対策の概要と効果並びに課題を伺う。

回答
 都庁舎では、本格的なセキュリティ対策として、平成27年10月から、各庁舎の1、2階にセキュリティゲートと受付を設置し、エレベーターを利用する入庁者に対しセキュリティチェックを行っています。さらに、民間のリスクコンサルティング会社等の知見を参考に、入庁時の受付による確認と防犯カメラの設置を組み合わせることにより、高い抑止効果を持つセキュリティ体制を構築しました。
 現在は、警備員が入退庁チェックを実施しており、職員については東京都が発行した職員カード又はネームプレートの着用を、一般の来庁者は、必要事項を記入した来庁者受付票と引き換えに発行する「一時通行証」の着用を確認しています。
 都庁舎は、都政のヘッドクォーター機能を有するとともに、多くの都民、観光客が訪れる開かれたシティホールでもあり、都民サービスとセキュリティのバランスに配慮し、都庁舎の機能維持と来庁者の安全を確保していきます。

質問事項
 四の2 現行のセキュリティ・チェックは甘すぎるとの指摘がある一方、煩瑣であるとの声も聞かれるが、これまで来庁者とトラブルになる事例は発生しているのか、また、来庁者の反応・声はどのようなものか、伺う。

回答
 現在のセキュリティ対策は、平成27年7月に実施した手荷物検査の試行結果や民間のリスクコンサルティング会社等の知見を踏まえ、入庁時の受付による確認と防犯カメラの設置を組み合わせることで、手荷物検査と同等の抑止効果と来庁者の心理的負担を最小限に抑えたセキュリティ体制を構築しました。
 来庁者の方からは、セキュリティ強化の理由や必要性に関する批判的な意見、受付の手続が面倒であるなどの苦情も寄せられていますが、都民サービスとセキュリティのバランスに配慮した対策により、大きな混乱もなく順調に推移しています。多くの来庁者の皆様の御理解と御協力により、都庁舎の安全・安心が確保されているものと認識しています。

質問事項
 四の3 都の職員はネームプレートを首から提げ、職員カードを携行しているが、ネームプレート及び職員カードの目的は何か伺う。

回答
 職員カードは、都職員であることを証明するもので、氏名、顔写真を表示してあり、職務に従事する際には、所持が義務付けられています。
 また、ネームプレートは、氏名、所属部課名、顔写真を表示し、職務に従事する際には、原則として着用することとしています。
 職員カードやネームプレートの着用は、単にセキュリティの観点だけでなく、都職員としての自覚や仕事に対する責任感を喚起するとともに、連帯感を持って業務に取り組む機運を高めることで、より一層効率的、効果的な都民サービスの実現を図ることを目的としています。

質問事項
 四の4 ネームプレートや職員カードに添付されている写真は、職員の入庁時のものを使用しており、容貌が相当に変化し、本人確認が出来ない例が多い。ネームプレートや職員カードの写真は、例えば異動のたびに切り替えるなど本人確認出来るように改めるべきだが、見解を伺う。

回答
 職員カードやネームプレートは、都の職員であることを確認した上で発行しているものであり、都職員であることの証明や、現在の入退庁チェックにも活用されています。
 また、ネームプレートには、氏名や所属も明記されており、所属に問い合わせることで、本人確認が可能です。
 職員カード等の有効期限は、パスポートや個人番号カードと同様に10年間と設定しています。仮に、破損した場合等には、有効期限内であっても、必要に応じて更新しています。

平成27年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 中村ひろし

質問事項
一 障がい者施策の推進について

一 障がい者施策の推進について
障がい者施策について質問します。12月1日の都議会定例会の初日には、知事は所信表明演説で、「障害者への理解とパラリンピック教育の充実、ボランティアマインドの醸成に重点的に取り組」み、「『共生社会』を東京にしっかりと根付かせ」ると述べました。これまでの知事の発言ではあまり述べられなかった言葉であり、その点は評価します。演説では、都市としてのバリアフリー化、無電柱化についてはさらに推進することも述べられていますが、実際に障がいがある方が暮らす中で、必要な政策は多岐にわたり、社会の理解が進むことも必要です。以下、障がい者施策の推進について質問します。
1 民主党は綱領において「共生社会をつくる」との項目において「一人一人がかけがえのない個人として尊重され、多様性を認めつつ互いに支え合い、すべての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな共に生きる社会をつくる」として「共生社会」を目指して取り組んでいます。都が目指す「共生社会」とはどのような社会を目指すのか伺います。
2 障害者差別解消法が2016年4月から施行されますが、差別の「解消」だけでなく「禁止」に向けて、国に対してさらなる取り組みの推進を求めることや、都として障害者差別禁止条例を制定することも重要です。施行日が間近に迫っており、円滑な法の施行に向けて、都には着実な準備が求められますが、対応状況について伺います。
3 2012年の第三回定例会の文書質問として「『障害者虐待防止法』の10月1日施行の対応等について」を提出し、法律が施行されるに際して都の対応を質問しました。障害者虐待防止法の施行を受け、都は、使用者による障がい者虐待の通報窓口となる東京都障害者権利擁護センターを開設し、東京労働局や市区町村と連携し対応しています。法の施行から3年経ちましたが、都内における障がい者虐待の相談等の実績と都の取り組みについて伺います。
4 障がい者支援の現場では、障がい種別によって求められるスキルも多様であり、とりわけ、重度重複障がいの方を支えるヘルパーの不足が言われています。また、多様な種別の難病の方に対応する現場においてもヘルパーが不足していると言われており、難病の方のケアをするヘルパーの人材の養成と確保も必要です。近年、高齢化の進展とともに介護人材が不足し、保育人材も不足するなど、福祉業界全体の人材が不足している状況にあります。福祉人材の不足に対してどのように対応するのか伺います。
5 障がいのある児童生徒が学ぶ特別支援学校において、児童生徒数の増加に伴い教室不足が言われています。とりわけ知的障がいの学校で教室不足が問題になっています。都は計画的に整備をしているとのことですが、現在学んでいる児童生徒にとっては、将来ではなく早急な教室不足への対応が求められます。都は、特別支援学校の教室不足の現状をどのように認識し、どのような対応をするか伺います。
6 先般、国立市にある東京都多摩障害者スポーツセンターを見学しました。今後、施設の老朽化の対応もありリニューアルを行うとのことですが、工事期間中は施設が利用できなくなります。工事期間中の代替施設の確保が必要になりますが、都の対応を伺います。
7 都は、2012年3月に東京都障害者スポーツ振興計画を策定しています。現在、都の障がい者のスポーツ施設は北区と国立市の2箇所のため、利用される方はその周辺の自治体にお住まいの方が多くなっています。特に障がいのある方は移動が大変なため、遠方まで行きたくても行けない方も多くいます。計画策定から3年以上経過しましたが、身近な自治体である市区町村でも障がい者スポーツが促進されるよう都としても支援することが必要と考えますが、現状と対応について伺います。

平成27年第四回都議会定例会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 障がい者施策の推進について
1 知事は所信表明演説で、「障害者への理解とパラリンピック教育の充実、ボランティアマインドの醸成に重点的に取り組」み、「『共生社会』を東京にしっかりと根付かせ」ると述べたが、都が目指す「共生社会」とはどのような社会を目指すのか伺う。

回答
 都は、これまで障害のある人もない人も社会の一員として、お互いに尊重し、支え合いながら、地域の中で共に生活する社会の実現を目指し、障害者施策を推進してきました。
 平成27年4月に策定した東京都障害者計画・第4期東京都障害福祉計画においても、「障害者が地域で安心して暮らせる社会」、「障害者がいきいきと働ける社会」、「全ての都民が共に暮らす地域社会」の実現を基本理念に掲げ、障害者の地域生活基盤の整備や就労支援、心のバリアフリーの推進など様々な施策を進めています。

質問事項
 一の2 障害者差別解消法が2016年4月から施行されるが、国に対してさらなる取組の推進を求めることや、また、障害者差別禁止条例の制定も重要である。施行日が間近に迫っており、都には着実な準備が求められるが、対応状況について伺う。

回答
 障害者差別解消法は、行政機関と民間事業者に対して、障害者への不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供を求めています。
 都では、平成28年4月からの法の施行に向けて、職員が合理的配慮の提供等に適切に対応するための対応要領を、現在作成しています。
 また、国の対応指針等を踏まえ、合理的配慮の事例等について民間事業者や都民への普及啓発を行うとともに、相談体制等について検討しており、今後とも、関係機関と連携し、障害者の方の意見も聴きながら、着実に準備を進めていきます。

質問事項
 一の3 障害者虐待防止法の施行を受け、都は東京都障害者権利擁護センターを開設し、東京労働局や市区町村と連携し対応しているが、施行から3年経ち、都内における相談等の実績と都の取組について伺う。

回答
 障害者虐待防止法が施行された平成24年10月から平成27年3月までの間に、東京都障害者権利擁護センター及び区市町村が受理した障害者虐待の相談・通報等の件数は1,462件、虐待があったと判断された件数は東京労働局が把握したものを含め404件です。
 これらの相談・通報に対して、都は、区市町村や東京労働局と連携を図りながら、事案に応じて各々が、法に基づいて事実確認調査等を実施するとともに、虐待があったと判断した場合には、必要な指導・助言や勧告等を行っています。
 また、区市町村の職員等に対して、「障害者虐待防止・権利擁護研修」を行っています。

質問事項
 一の4 近年、高齢化の進展とともに介護人材が不足し、保育人材も不足するなど、福祉業界全体の人材が不足している状況にあるが、福祉人材の不足に対しどのように対応するのか、都の見解を伺う。

回答
 高齢者や障害者、子育て家庭などが必要とする福祉サービスを提供するためには、これらを支える人材の安定的な確保が重要です。
 都は、これまで、福祉の仕事の魅力をアピールするイベントや、事業者の採用を支援する大規模な就職説明会、東京都福祉人材センターにおける職業紹介・あっせんなど、様々な取組を行っています。
 また、若い世代の関心を高めるため、中高生を対象に福祉施設職員等が学校を訪問して仕事の魅力を伝えるセミナーや、福祉の現場等を体験するツアーを実施しています。
 今後とも、こうした取組により、福祉人材の確保に努めていきます。

質問事項
 一の5 特別支援学校において、児童生徒数の増加に伴い教室不足が言われ、都は計画的に整備をしているとのことだが、現在学んでいる児童生徒にとっては、早急な教室不足への対応が求められる。都は、特別支援学校の教室不足の現状をどのように認識し、どのような対応をするのか伺う。

回答
 特別支援学校の児童・生徒の増加に対応した施設整備を進め、教育環境の充実を図ることは重要であると考えています。
 特別支援学校における教室数の確保については、現在、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づき、施設の新築、増改築、学部の改編、通学区域の調整などの対応策を講じながら、特別支援学校の規模と配置の適正化を図り、教育環境の改善を行っています。
 また、新築、増改築に際しては、可能な限り多くの教室を確保するよう努めています。
 今後も引き続き、東京都特別支援教育推進計画に基づく施設整備を着実に進めていきます。

質問事項
 一の6 東京都多摩障害者スポーツセンターについて、今後、老朽化の対応もありリニューアルを行うとのことだが、工事期間中は施設が利用できない。工事期間中の代替施設の確保が必要だが、都の対応を伺う。

回答
 国立市にある東京都多摩障害者スポーツセンターは、建設から約30年経過し、老朽化が著しくなっていることから、平成29年度から改修工事に着手する予定です。
 工事期間中の利用者のスポーツの場の確保については、今後、基本設計及び実施設計を行う中で、利用者や工事全体の施工期間への影響も勘案し、休館期間が必要最低限となるよう取り組んでいきます。
 また、代替施設が必要な場合は、他の公立施設に対して受入れを働き掛けるなど、利用者対策を講じていきます。

質問事項
 一の7 都は、2012年3月に東京都障害者スポーツ振興計画を策定し、計画策定から3年以上経過した。市区町村でも障がい者スポーツが促進されるよう都としても支援すべきだが、現状と対応について都の見解を伺う。

回答
 障害のある人が、身近な地域でスポーツを行うための環境整備は重要です。
 都はこれまで、区市町村が障害者スポーツ事業を行うに当たって企画・立案や指導員派遣等により支援を行う「地域開拓推進事業」や、区市町村の取組を他の自治体に紹介する「地域取組事例集」の作成・配布等により、区市町村における環境整備を行ってきました。
 加えて平成26年度からは、区市町村スポーツ施設のバリアフリー化等工事への補助、平成27年度からは、区市町村が開催する障害者スポーツ教室等への補助を開始しています。
 今後、障害のある人が区市町村等のスポーツ施設を利用するに当たり、施設側が配慮すべき点をまとめたマニュアルを作成し、配布・周知していく予定です。
 また、都立特別支援学校の体育施設を障害者スポーツ活動の拠点の一つとして位置付け、更なる活用の促進に向け、教育庁とともに検討を進めています。
 こうした取組を通じ、障害のある人が身近な地域でスポーツを楽しめるよう、都として区市町村への支援を行っていきます。

平成27年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 松村友昭

質問事項
一 首都直下地震について
二 豪雨土砂災害対策について

一 首都直下地震について
迫り来る首都直下地震による被害想定は、焼失で最大約61万棟,死者最大約23,000人という深刻なものです。
同時に重要なことは、国の「首都直下地震緊急対策推進基本計画」で、「膨大な人的・物的被害の発生は、わが国の存亡に関るものであるが、例えば、一定の条件下において、建物の耐震化率を100%にした場合、全壊棟数と死者数が約9割減少し、感震ブレーカー等の設置による出火防止対策や初期消火成功率の向上等により消失棟数と死者数が9割以上減少する」とし、「被害を未然に防ぐための予防対策及び円滑かつ迅速な応急対策の備えを計画的・戦略的に進め、“地震に強いまち”の形成を図ることが必要不可欠であり、このために講ずべき緊急対策はあらゆる対策の大前提としての耐震化と火災対策」としている点です。
わが党もこの立場から、この間、「木造住宅耐震改修促進助成条例」案を提出するなど、繰り返し、住宅の耐震化と感震ブレーカーによる出火対策など求めてきました。
1 東京都は、建築物の耐震化について、2012年3月に策定し、14年4月に変更した「東京都耐震改修促進計画」を進めてきました。計画では、住宅については、今年度までに耐震化率を90%以上、2020年度までに95%以上、緊急輸送道路沿道の建築物については、今年度までに耐震化率を100%とするなどを目標としてきました。
計画に掲げた建築物のそれぞれの現状の耐震化率と目標に対する達成率を明らかにしてください。
2 主税局が、国と共に取り組んできた、「耐震住宅促進減免」では、2009年から今年の12月31日までの制度で、今年6月時点までの実績は、建替え減免の件数が1万4,350件、耐震改修減免の件数が1,173件の合計1万5,523件となっています。
「東京都耐震改修促進計画」では、2012年3月に策定したときは、2015年までに住宅の耐震化率を90%にひきあげるという目標を達成するためには、自然更新以外に、19万100戸の耐震化が必要だとしていました。しかし、耐震住宅促進減免の実績をみても、住宅の耐震化は、計画の方向どおりには進まなかったのではありませんか。
3 震災のあらゆる対策の大前提が建築物の耐震化であると国あげて取り組んでいる最中に、税の減免による耐震化誘導策の制度を今年で終わらせてはなりません。継続するよう国に要求すると共に、都としても独自に行っている減免制度を拡充すべきです。また23区と同様の減免が出来るよう23区以外の自治体への財政支援を行うよう求めます。同時に、都の直接補助を特定建築物に限らず、都内全域に拡充すべきです。
緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化率は、本年9月末で80.6%と本会議で答弁がありましたが、沿道耐震化事業が進まないことの最大の原因は、耐震化が遅れてきた建物の多くが、分譲マンションなど区分所有者の共同所有であり、しかも旧耐震基準時代の建築であることから、居住者の高齢化などにより合意形成がきわめて困難なことがあげられます。
また、都は沿道耐震化の意義や助成制度の普及啓発のため、マンション啓発隊による訪問活動を粘り強く取り組んできましたが、まだまだ制度が多くの関係者に知られておらず、協力を得にくい状況を脱していないこともあげられます。
4 沿道耐震化の促進のためには、全ての建物について、少なくとも9割助成の適用、制度の徹底した普及啓発と、居住者合意のために更なる支援を行うことが必要であり、また、自己負担分についても、長期無利子の融資制度など思い切った支援を検討することが必要と考えますが、いかがですか。
震災対策の大前提である、もうひとつの火災対策で、出火防止の感震ブレーカーについてその重要性の認識が高まっています。
内閣府は、感震ブレーカーのモデル地域を世田谷区で設定して検証実験を始めています。足立区では独自の普及制度を作りました。
また、区長会も国に対して、「地震による出火の原因となる電気火災等の発生を阻止するため、感震自動消火装置等を備えた火気器具の普及等を推進するとともに、感震ブレーカーの配備に関する補助制度を創設すること」を求めました。
5 都としても、こうした動きに応えて、感震ブレーカーの普及促進に取り組むべきです。都としてどのようなとりくみを進めるつもりですか。
6 都も国に対して、感震ブレーカー設備補助制度を求めるべきです。いかがですか。
7 感震ブレーカー普及にしぼったポスター、パンフレット、特設ホームページ作成など広報活動を抜本的に強化すべきだと思いますが、いかがですか。
8 感震ブレーカー設置にとりくむ区市町村に対して都として支援するべきだと考えますがいかがですか。

二 豪雨土砂災害対策について
本年9月の台風18号による鬼怒川など河川の決壊や氾濫をもたらした、記録的豪雨は雨雲の道筋・線上降水帯が「東京の上空だったら都内の主要河川が決壊や氾濫をおこしてもおかしくない」と国交省荒川下流河川事務所の担当官は語っていました。荒川が決壊すれば、最悪3500人の死者が出るとの想定を内閣府が出していることからも、今後の対策が、絶対手遅れだったなどとならないよう万全の対策が求められます。
わが党は、第3回定例会で、防災行動を定めるタイムラインの策定を求めたのに対し、知事は整備に向け、検討すると答弁がありました。都内1級河川の氾濫で浸水のおそれがあるのは、都内28区市町村です。国は、2020年度までにタイムラインの策定を求めていますので、都の積極的なイニシアチブを発揮することを求めます。
1 ハード対策としては、荒川は現時点で、「非常に強い豪雨時にこの場所から洪水が起きる可能性がある」と荒川下流河川事務所が指摘している場所は、荒川にかかる都内4つの橋付近で、いずれも橋が障害になって堤防の改良工事ができず、周辺の堤防より1.8メートルから3.7メートル低くなっているところです。
このうち、京成本線荒川橋については、国交省が2018年度から工事を始め、十分な堤防の高さを確保する予定としていますが、残る3つの橋については、未定としています。
都として国に、早急な対策をとるよう強く求めるべきです。
また、中央防災会議が2010年4月に公表した、荒川氾濫の場合の地下鉄や地下街対策が極めて重要です。対策はとられているのですか。都は指摘されている管理者などと早急に対応を図るべきです。それぞれ答弁を求めます。
土砂災害対策も待ったなしです。
広島北部、伊豆大島の多くの人命を奪った土砂災害の教訓から、都は、「長期ビジョン」で、「大島で発生した土砂災害を教訓に、さらなる対応が求められている」「広島市で発生した土砂災害では、住民の避難行動が遅れたことにより甚大な被害が発生した。このことから、迅速な避難を促す取組が急務となっている」として、ハード対策の着実な推進と住民の警戒・避難体制を支援するソフト対策の推進をうたっています。
そこで、まず第1に重要なことは、危険箇所を指定して、都民に公表して、周知徹底を図り認識してもらうことです。
2 これまで、都内の急傾斜地崩壊危険箇所は2,972箇所と確認され、さらに、都内に約1万5千箇所あるとされる土砂災害警戒区域について約9千箇所を指定し、また、今年9月末までに基礎調査を完了した区域について、いずれも、インターネットで確認できるようにしました。しかし、インターネットに慣れ親しんでいない方には、情報に容易にアクセスできません。都民への周知徹底をさらに進める努力が必要だと思いますが、都としてどのように考えていますか。
3 また、警戒区域に指定されたところが、区域ごとのハザードマップを作成することになっていますが、作成に向け、区市町村への技術的支援を行い、安全な避難体制を都民に周知徹底を図るべきです。
第2は、安全に逃げる場所の確保です。
4 都は、警戒区域内に避難所、災害時要援護者がいる施設の周辺で、土砂災害対策を進めていますが、進捗状況を明らかにしてください。一番大事なことは、いつ起こってもいいように、安全に逃げる場所の確保、どこに逃げたら安全かを再検証し、都民に示すべきです。
第3は、その上でハードの予防対策です。
5 急傾斜地崩壊危険個所のうち特に危険度の高い、49か所の工事完了にとどまっています。残りの危険個所も具体的にどういう対策が必要かを区市町村とも連携して明らかにし、現在の都急傾斜地対策事業のテンポをあげて一気に推進する必要があります。同時に、新たに指定される土砂災害警戒区域等についてのハード対策も、区市町村レベルへの対策への助成を都として設置し進めなければ全都的には進みません。
6 崖、擁壁の安全対策について、東京都地域防災計画は、原則として所有者や管理者などが行なうべきものとしていますが、いまから36年前の1980年に修正した計画で、時代の要請に合わせて変えるべきです。すでに新宿をはじめ、8区で助成制度を実施していることからも、都としての支援、まず多摩地域への助成制度を設置するよう求めます。
7 地すべり対策事業は、危険個所のうち31カ所の対策が取られていません。どのような安全化を図るのですか。
土石流対策でも、砂防指定地の、現在までの砂防ダム完成進捗率は60%です。近年事業費は伸びてきているとはいえ、砂防事業費は道路整備と比べればほんのわずかな額です。予算を大幅に増額し、ペースアップして進めるべきです。それぞれ答弁を求めます。

平成27年第四回都議会定例会
松村友昭議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 首都直下地震について
1 東京都は、建築物の耐震化について、2012年3月に策定し、14年4月に変更した「東京都耐震改修促進計画」を進めてきたが、計画に掲げた建築物のそれぞれの現状の耐震化率と目標に対する達成率について伺う。

回答
 平成27年9月末時点における特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率は80.6パーセントです。
 その他の建築物の耐震化率については、耐震改修促進計画の改定に向けて、現在、集計中です。

質問事項
 一の2 「耐震住宅促進減免」の今年6月時点までの実績は、1万5,523件である。「東京都耐震改修促進計画」策定時、2015年までに住宅の耐震化率を90%という目標達成のためには、自然更新以外に、19万100戸の耐震化が必要だとしていたが、耐震住宅促進減免の実績をみても、住宅の耐震化は、計画どおり進まなかったのではないか。都の見解を伺う。

回答
 住宅の耐震化率については、現在、集計中です。

質問事項
 一の3 税の減免による耐震化誘導策の制度を継続するよう国に要求すると共に、都としても独自に行っている減免制度を拡充すべきであり、また23区と同様の減免が出来るよう23区以外の自治体への財政支援を行うよう求める。同時に、都の直接補助を特定建築物に限らず、都内全域に拡充すべきだが、都の見解を伺う。

回答
 都はこれまで国に対して地方税法上の減額措置を要求しており、平成28年度税制改正の大綱において適用期限の延長が既に閣議決定されています。
 都の減免制度については、税負担の公平性や税収への影響等を踏まえ、検討する必要があります。
 市町村による税の減免措置については、基本的に課税権を持つそれぞれの自治体が判断すべきと考えます。
 耐震化助成については、国や区市町村と適切な役割分担の下、広域自治体として東京全体の安全性を高める観点から、引き続き、緊急輸送道路沿道や防災都市づくり推進計画に定める整備地域内に的を絞り、重点的に行っています。

質問事項
 一の4 沿道耐震化促進のためには、全ての建物について、少なくとも9割助成の適用、制度の徹底した普及啓発などを行うべきであり、また、自己負担分の長期無利子の融資制度など思い切った支援を検討すべきだが、都の見解を伺う。

回答
 建築物の耐震化は、建物所有者自らがその必要性を認識し、主体的に取り組むことが不可欠です。こうした中、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化は、東京の防災性を向上していく上で高い公共性を有していることから、普及啓発に加え、改修費等への助成を通じて所有者の負担を軽減する取組も既に実施しています。

質問事項
 一の5 震災対策の大前提である火災対策で、出火防止の感震ブレーカーの重要性の認識が高まり、内閣府は感震ブレーカーの検証実験を始めており、足立区では独自の普及制度を作った。都としても、こうした動きに応えて、感震ブレーカーの普及促進に取り組むべきだが、都としてどのような取組を進めるのか伺う。

回答
 大規模地震等に伴う火災被害を防止するためには、出火や延焼を抑制していくことが重要です。
 都では、これまでも木造住宅密集地域の改善に向けた不燃化の取組など延焼防止対策に加え、初期消火力の強化や感震ブレーカー等の普及促進など出火防止対策に取り組んできました。
 今後とも、地震時における火災の被害軽減に向けて、ハード・ソフト両面から対策を推進していきます。

質問事項
 一の6 区長会も国に対して、「感震自動消火装置等を備えた火気器具の普及等を推進するとともに、感震ブレーカーの配備に関する補助制度を創設すること」と求めており、都も国に対して、感震ブレーカー設備補助制度を求めるべきだが、都の見解を伺う。

回答
 国は、首都直下地震緊急対策推進基本計画において、国が講ずべき措置として、出火防止対策、発災時の速やかな初期消火、延焼被害の抑制対策等を掲げています。その中で、感震ブレーカー等の普及を加速させ、今後10年間で「延焼のおそれのある木造住宅密集市街地における普及率25パーセントを目指す」こととしています。
 都としては、国による目標達成に向けた普及促進策などその動向を注視しつつ、引き続き、出火防止対策や延焼防止対策を多重的に推進していきます。

質問事項
 一の7 感震ブレーカー普及にしぼったポスター、パンフレット、特設ホームページ作成など広報活動を抜本的に強化すべきだが、都の見解を伺う。

回答
 都では、不燃化に向けた取組に加え、初期消火力の強化や出火防止に向けた普及促進に取り組んでいます。
 具体的には、東京消防庁において、各家庭の防火防災診断に加え、「地震に対する10の備え」を活用し、ホームページ等において火気器具周辺の整理や感震ブレーカー等の設置など出火防止について普及啓発を行っています。
 また、防災関係機関や専門家等の知見なども踏まえ作成した「東京防災」では、出火防止に向けた取組として住宅用消火器や火災警報器、感震ブレーカー等の設置などの取組を「今やろう防災アクション」の一つとして示しており、都内全世帯に配布することで広く普及啓発を図っています。
 今後とも、都民の防災意識を高め、具体的な行動につながるよう、引き続きこうした普及啓発を展開していきます。

質問事項
 一の8 感震ブレーカー設置にとりくむ区市町村に対して都として支援するべきだが、都の見解を伺う。

回答
 平成26年末に策定した「東京の防災プラン」では、漏電遮断器や感震機能付き分電盤等の設置などを都民自らが備えるべき取組として記載しています。
 設置促進に当たっては、基礎的自治体である区市町村が地域の実情を踏まえ主体的に取り組むことが重要です。
 都としては、広域的な立場から、広く都民に対して、感震ブレーカー等の設置など出火防止に向けた普及啓発を図ることで、都民の防災意識を高め具体的な行動につながるよう促していきます。

質問事項
 二 豪雨土砂災害対策について
1 「非常に強い豪雨時にこの場所から洪水が起きる可能性がある」と荒川下流河川事務所が指摘している場所は、荒川にかかる都内4つの橋付近で、このうち京成本線荒川橋以外の残る3つの橋については、国の堤防改良工事の時期は未定としており、都として国に、早急な対策をとるよう強く求めるべきだが、都の見解を伺う。また、中央防災会議が2010年4月に公表した、荒川氾濫の場合の地下鉄や地下街対策が極めて重要だが、対策はとられているのか。都は指摘されている管理者などと早急に対応を図るべきだが、都の見解を伺う。

回答
 これまで都は、「国の予算編成に対する東京都の提案要求」などにより、国土交通省に対し、国が管理する大河川において既存施設の適切な維持管理や将来の気候変動による影響への対応も視野に入れ、堤防をはじめ治水施設などの整備を着実に実施することを要求しています。引き続き、大規模水害対策を確実に推進することを求めていきます。
 こうした堤防整備などの抜本的な対策に加えて、現在、東京メトロ及び都営地下鉄では、防水扉の設置などが進められています。
また、都は、地下街において、雨水の浸入を防止する下水道管の増強などを進めるとともに、地下街、地下鉄及び隣接ビルの管理者などからなる協議会を設置し、管理者間で連携した避難誘導体制の整備などに取り組んでいます。

質問事項
 二の2 都内の急傾斜地崩壊危険箇所や、基礎調査の完了区域などについて、インターネットで確認できるようになったが、インターネットに慣れ親しんでいない方には、情報に容易にアクセスできない。都民への周知徹底をさらに進めるべきだが、都としてどのように考えているのか伺う。

回答
 急傾斜地崩壊危険箇所等の土砂災害危険箇所及び土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等については、ホームページで公表しているほか、都庁や所管の建設事務所、地元区市町村等で閲覧できるようになっています。あわせて、関係住民に対しては、区域指定後に区市町村が各戸に配布する土砂災害ハザードマップにより土砂災害警戒区域等が周知されます。
 なお、土砂災害警戒区域等については、基礎調査結果の公表時と区域指定時にプレス発表しています。

質問事項
 二の3 警戒区域に指定されたところが、区域ごとのハザードマップを作成することになっているが、作成に向け、区市町村への技術的支援を行い、安全な避難体制を都民に周知徹底を図るべきだが、都の見解を伺う。

回答
 土砂災害ハザードマップは、国が定めた指針に従い区市町村が作成することとなっています。都は、指定された土砂災害警戒区域等の地図データ等の技術的情報を提供しているほか、適宜区市町村からの相談に応じています。

質問事項
 二の4 都は、警戒区域内に避難所、災害時要援護者がいる施設の周辺で、土砂災害対策を進めているが、進捗状況を伺う。一番大事なことは、安全に逃げる場所の確保、どこに逃げたら安全かを再検証し、都民に示すべきだが、都の見解を伺う。

回答
 西多摩地域等において、土砂災害警戒区域等に存在する46か所の避難所のうち、40か所については代替となる新しい避難所が確保され、残る移転が困難な避難所6か所においては、砂防事業や急傾斜地崩壊対策事業を実施しており、これまでに3か所で完了しています。
 また、要配慮者利用施設が存在する土砂災害警戒区域等2か所において、砂防事業を実施しています。
 避難所及び避難経路の指定など、警戒避難体制の整備は区市町村の役割であり、都はハザードマップ作成への技術的支援などを行っています。

質問事項
 二の5 急傾斜地崩壊危険個所については、特に危険度の高い49か所の工事完了にとどまっており、残りの危険個所もどういう対策が必要かを区市町村とも連携して明らかにし、急傾斜地崩壊対策事業を一気に推進すべきである。新たに指定される土砂災害警戒区域等についてのハード対策も、区市町村レベルへの対策への助成を都として設置し進めるべきであるが、それぞれ見解を伺う。

回答
 急傾斜地の安全対策については、原則として所有者、管理者等が行うものであることから、都は、急傾斜地法に基づき、土砂災害のおそれのある自然斜面において、所有者等による対策が困難な場合に、区市町村の要望を受け、急傾斜地崩壊対策事業を実施しています。
 土砂災害警戒区域等に指定された急傾斜地のハード対策についても、上記の条件を満たす場合に急傾斜地法に基づき、実施しています。

質問事項
 二の6 崖、擁壁の安全対策について、東京都地域防災計画は、原則として所有者や管理者などが行うべきものとしているが、1980年に修正した計画で、時代の要請に合わせて変えるべきである。すでに8区で助成制度を実施していることからも、都としての支援、まず多摩地域への助成制度を設置するよう求めるが、都の見解を伺う。

回答
 昭和55年に修正した東京都地域防災計画では、崖、擁壁などの崩壊防止対策は、原則として所有者や管理者などが行うべきものとしており、都は、建築基準法に基づく建築確認や、宅地造成等規制法に基づく規制区域内における許可などの機会を捉えて、安全確保のための規制指導に努めることとしています。
 この内容は、現行の地域防災計画に継承されており、都は、所有者や管理者に対し、宅地の保全や災害の防止のために必要な措置を執るよう指導を行っています。

質問事項
 二の7 地すべり対策事業は、危険個所のうち31カ所の対策が取られていないが、どのような安全化を図るのか、都の見解を伺う。また、土石流対策でも、砂防指定地の、現在までの砂防ダム完成進捗率は60%であり、ペースアップして進めるべきだが、それぞれ都の見解を伺う。

回答
 地すべり対策事業は、地すべり等防止法に基づき、地形的に地すべりのおそれのある箇所を地すべり防止区域として指定し、地すべりを誘発するおそれのある行為等を規制するとともに、対策工事を実施するものです。現在都内には地すべりのおそれのある箇所が43か所あり、このうち現地調査の結果、変状が確認された13か所を地すべり防止区域に指定し、そのうち12か所で対策事業が概成し、1か所で事業を実施しています。残る30か所については定期的に現地確認を行い、変状が認められた場合は、必要に応じて対策を実施していきます。
 また、土石流対策も含めた砂防事業については、土石流の危険性の高い箇所や過去に災害が発生した箇所において、これまで砂防えん堤227基、流路工77.7キロメートルを整備しており、着実に取り組んでいます。

平成27年第四回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 植木こうじ

質問事項
一 教職員定数と少人数学級、教育予算について
二 特別支援学校の教職員の増員と教室不足解消について

一 教職員定数と少人数学級、教育予算について
1 日本の将来を支える子どもたちのために、子どもたちをめぐる社会状況や学校現場の実態など直面する教育課題を解決することが急がれています。
ところが、財務省は財政制度等審議会で、公立小中学校の教員定数について、9年間で3万7千人削減すべきだという見解を示し、「学級規模縮小だけに議論と予算を費やすことは無意味」だ、「問題は『費用対効果』」だと主張しています。教育に予算をかけることに背を向ける見解は教育現場の実態を無視したものであり、認めることはできません。教育関係者から、ごうごうたる批判の声があがっています。
中央教育審議会は、「教職員定数に係る緊急提言」を発表し、「限りある財源を有効に使うことは必要であるが、教職員定数の機械的な削減という主張は、今後の日本社会の発展のために、子供の実態や学校現場・地方の実情に応じて教育が果たさなければならない役割についての認識が全く窺えないばかりか、各学校の厳しい実態を無視した、あまりにも非現実的なもの」とまで、さらには財政制度等審議会の「考え方は暴論であるといわざるを得ない」とまで批判しています。
日本PTA全国協議会も、「教職員定数を削減すれば、少人数教育や特別な支援が必要な子ども達への対応ができなくなり、教育環境が悪化することは明らか」だとして、教職員定数削減反対の決議をあげています。
東京都は、教職員の削減を求める財務省の主張を、どう考えますか、見解を伺います。
2 OECD経済協力開発機構は11月、加盟各国のGDPに対する政府や地方自治体による教育機関への公的支出の占める割合についての資料を発表していますが、比較可能な32カ国中、日本は6年連続で最下位です。ノルウェーの6.5%に対し、日本は約半分の3.5%にすぎません。都はこの状況をどう考えていますか。日本は教育への公的支援を、もっと増額・拡充することが求められているのではありませんか。
3 日本で問題なのは、国の財政負担が重いことではなく、教育費への公的支出の占める割合が異常に低いことです。東京都の教育費についても拡充が求められています。
文科省の「地方教育費調査報告書」(2013会計年度)によると、東京都の児童1人あたりの学校教育費は、小学生では全国47都道府県のうち28位、中学生は10位にとどまっています。都内公立小中学校の生徒数は、2010年度から5年間に1万人増えていますが、この間の都の教育予算は12億円減らされました。他の道府県に比べて28位や10位にとどまっている都の教育予算を大幅に増額・拡充することを求めるものです。お答えください。
4 さまざまな教育課題に応えるために、少人数教育を進めることが求められ、世界の先進国では少人数教育が当たり前になっています。
OECDの調査では、1学級当たりの子どもの数は加盟国34カ国の平均を上回っていて、小学校の場合6.4人も多く、中学校では9.3人も多くなっています。
現代は「知識社会」といわれるように、インターネットをはじめ高度に発達した科学・技術の中で働き、生きるうえで、一方通行で教える教育ではなく、子ども達同士で学び、対話しながら、考える力をやしなうことが重要になっていることなどが、その背景の1つになっています。
日本では、とりわけ、学校生活全体で学級のもつ役割が大きいため、さまざまな課題や困難、悩みをかかえる子ども達へのきめ細かい支援を行ううえで、少人数学級が重要な条件となります。
世界の先進国で少人数学級がすすんでいることを、都はどうとらえていますか。これらの先進諸国とくらべて日本の教員の配置基準が低すぎることをどう考えていますか。
5 日本でも多くの道府県が、少人数学級の拡大を進めています。文科省の資料によれば、2014年は11県が少人数学級を拡大し、なかでも山形県、山梨県、福島県、鳥取県では小中学校9年間すべての学年が少人数学級となりました。今年度は、新潟県が小中学校すべての学年で少人数学級に踏み出しました。東京都は、小学校1、2年生と中学校1年生にとどまっています。
知事は、「東京都教育施策大綱」策定に当たって、「子ども達への教育こそが未来のいしずえを築きます」と発言しました。であれば、都の教育予算を増やし、教職員配置を増やして少人数学級の拡大を進める必要があると思いますが、いかがですか。

二 特別支援学校の教職員の増員と教室不足解消について
1 都立特別支援学校では10年前の児童・生徒数は8,485人だったのが、2015年度には知的障害児の増加などで11,893人になっています。
教員定数を児童・生徒数の増加に見合う人数にしなければならないのに、一方で東京都は教員を非常勤の介護ヘルパーなどに置き換えるなど、教員を削減してきました。その結果、教員1人当たりの生徒数が1999年度には1.6人だったのが2015年度には2.3人と1.5倍に増加しました。特別支援学校の教員定数を削減するなど、生徒一人当たりの教育費は、47都道府県中32位と全国平均より低くなっています。この状況をどのようにかんがえていますか。
長い間特別支援教育にたずさわってきた教員からお話を伺いました。かつては重度重複障害児の学級では1クラスに2人の教員が配置できていたのに、現在は教員1人と、教育事務にたずさわれない年192日勤務の学校介護職員(非常勤介護ヘルパー等)が1人という配置になっています。教材の準備から、学級日誌、連絡帳などを教員1人ですべてをこなさなければなりません。さらに産休代替教員が確保できない場合や、教員が研修に出かけるときは2クラスを統合して合併授業にせざるを得なくなり、重度の児童に目が行き届かないと訴えています。
舛添知事は特別支援学校の都立永福学園を視察して、「障害のあるすべての子どもたちの学ぶ権利を保障するのは行政の責務」だと感想を述べ、さらに、特別支援学校の教員が力を発揮していることを評価しました。
2 障害児が年々増加しているなかで学ぶ権利を保障するためにも、教員定数は削減ではなく、必要な教員確保を進めるべきです。学校介護職員についても、教員の置き換えではない形で配置すべきです。お答えください。
3 東京都教育施策大綱では「知的障害者が増加」しているとして、必要な施設整備を進めると述べたことは重要ですが、現在、教室不足数は、特別教室などの転用教室だけでも429室、カーテンなどで仕切った教室も入れれば700室程度といわれています。音楽室、木工室、視聴覚室、生活訓練室、プレイルーム、実習室などの特別教室を普通教室に転用する例や、1部屋をカーテンで二つに仕切って2クラスで使うなど、ぎゅうぎゅう詰めです。倉庫までも普通教室に転用している例もあります。現在の計画だけでは、教室不足は解消できないことは明らかです。
教室不足解消のため、現在の計画を見直して新たな計画を策定し、早急に対策を進めるべきではありませんか。お答えください。

平成27年第四回都議会定例会
植木こうじ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
 一 教職員定数と少人数学級、教育予算について
1 財務省は財政制度等審議会で、公立小中学校の教員定数について、9年間で3万7千人削減すべきだという見解を示し、「学級規模縮小だけに議論と予算を費やすことは無意味」だ、「問題は『費用対効果』」だと主張しているが、都は、教職員の削減を求める財務省の主張を、どのように考えるのか、見解を伺う。

回答
 政府予算案においては、児童・生徒数の減少による定数減を見込む一方で、加配定数は525人の改善が実施されることとなっています。
 都においては、習熟度別指導実施のための教員加配や、中1ギャップの予防解決のための教員の加配を行うなど、教職員定数の充実を図っています。
 なお、都教育委員会は、国に対して、指導方法工夫改善加配などの教職員定数を一層充実することを要望しています。

質問事項
 一の2 OECD加盟各国のGDPに対する政府や地方自治体による教育機関への公的支出の占める割合について、比較可能な32カ国中、日本は6年連続で最下位だが、都はこの状況をどう考えているのか。日本は教育への公的支援を、もっと増額・拡充することが求められているのではないか。都の見解を伺う。

回答
 教育への公的支出については、国によって教育制度や社会状況が異なっていることから、都は、OECD加盟国の対GDP比率の水準のみによって優劣を論ずるという考え方を採ってきていません。
 都は、これまでも、教育に係る必要な予算を措置し、事業を実施してきており、国に対しても、様々な教育課題を解決するための予算について、一層充実すべきとの提案要求を行っています。

質問事項
 一の3 日本で問題なのは、教育費への公的支出の占める割合が異常に低いことであり、都内公立小中学校の生徒数は2010年度から5年間に1万人増えているが、都の教育予算は12億円減らされている。都の教育費についても増額・拡充が求められているが、都の見解を伺う。

回答
 平成22年度から平成27年度までの間の予算額の減は、制度改正に伴う退職手当等に係る経費の減額や、施設の計画的整備に伴う整備費の減額等によるものです。
 この間、都内公立小中学校の児童・生徒数は、7,575人増加していますが、小中学校の教育に係る予算である「小中学校費」については、約61億円の増額・拡充を行っています。

質問事項
 一の4 世界の先進国で少人数学級がすすんでいることを、都はどうとらえているのか。これらの先進諸国とくらべて日本の教員の配置基準が低すぎることをどう考えているのか。都の見解を伺う。

回答
 都教育委員会では、義務教育における学級編制の在り方は、教育の機会均等や全国的な教育水準維持の観点から、国の責任が大きいと考えています。
 また、小・中学校の教員配置については、いわゆる義務標準法(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)に基づき、学級数に応じた教員数を配置するとともに、教育課題に適切に対応した教員加配を実施してきました。
 特に基礎学力の向上に配慮して、きめ細かな指導を行うため、習熟度別指導等の教員加配を図っています。

質問事項
 一の5 知事は、「東京都教育施策大綱」策定に当たって「子ども達への教育こそが未来のいしずえを築きます」と発言しており、都の教育予算を増やし、教職員配置を増やして少人数学級の拡大を進めるべきだが、都の見解を伺う。

回答
 都教育委員会では、いわゆる義務標準法(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)に基づき、学級数に応じた教員数を配置しています。
 また、小1問題及び中1ギャップの解決のため、小学校第1学年、第2学年及び中学校第1学年において35人編制を可能としています。
 義務教育における今後の学級編制の在り方は、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任が大きいと考えています。

質問事項
 二 特別支援学校の教職員の増員と教室不足解消について
1 教員定数を児童・生徒数の増加に見合わなければならないのに、都の教員削減の結果、教員1人当たりの生徒数が2015年度には2.3人と1999年の1.5倍に増加し、生徒一人当たりの教育費は、47都道府県中32位と全国平均より低くなった。この状況をどのように考えているのか、都の見解を伺う。

回答
 特別支援学校の教員数は、いわゆる標準法(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律)に基づく都の配置基準により配置しており、児童・生徒数に応じた学級数で算定しています。
 障害の特性に応じた指導体制の整備を図るため、介護業務を担う学校介護職員の導入など、適正に教員配置を行っています。
 また、人件費を含めて、教育に係る必要な予算は措置しています。

質問事項
 二の2 障害児が年々増加しているなかで学ぶ権利を保障するためにも、教員定数は削減ではなく、必要な教員確保を進めるべきであり、学校介護職員についても、教員の置き換えではない形で配置すべきだが、都の見解を伺う。

回答
 教員がこれまで担ってきた児童・生徒に対する介護業務を学校介護職員が担うことにより、教員は本来の役割である教育活動に専念できるようになり、それぞれの職の専門性が発揮され、職務遂行上の効率化も図られています。
 そのため、現在、学校介護職員を導入している学校での教員と学校介護職員の協働による指導体制は適正なものであると考えています。

質問事項
 二の3 東京都教育施策大綱では「知的障害者が増加」しているとして、必要な施設整備を進めるとしたことは重要である。教室不足解消のため、現在の計画を見直して新たな計画を策定し、早急に対策を進めるべきだが、都の見解を伺う。

回答
 特別支援学校における教室数の確保については、現在、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づき、施設の新築、増改築、学部の改編、通学区域の調整などの対応策を講じながら、特別支援学校の規模と配置の適正化を図り、教育環境の改善を行っています。
 また、新築、増改築に際しては、可能な限り多くの教室を確保するよう努めています。
 今後も引き続き、東京都特別支援教育推進計画に基づく施設整備を着実に進めていきます。

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