○議長(川井しげお君) 二十番松田やすまさ君。
〔二十番松田やすまさ君登壇〕
○二十番(松田やすまさ君) まず、東京都のホームページについてお伺いをいたします。
スマートフォンやタブレットなどモバイル端末の急速な普及に伴い、閲覧者が使用する端末の画面の小型化も進んでいることから、早急な対応が求められています。
第一回定例会の我が党の一般質問に対して、知事は、今年度、都庁総合ホームページの全面リニューアルに着手すると答弁をされました。検索がふえた現在でも、約四割の方がトップページから閲覧をするとのことで、東京都の顔であるトップページについても、舛添知事の顔だけでなく、東京都の景色や文化など、その魅力を発信するような視覚的なものにしていただきたいと思います。
そこで、都庁総合ホームページのリニューアルの方針と公開時期について伺います。
次に、東京都におけるオープンデータの推進に向けた取り組みについて伺います。
情報通信技術が進んできた現在、データの持つ価値は高まり、行政が保有する膨大な情報の中で、機械での読み取りと二次的な利用が可能な形でデータを公開していく、いわゆるオープンデータの取り組みが各地で進められています。
例えば、オープンデータを用いて、ごみ収集日の周知や投票所の案内、給水地点までの案内などのアプリを、民間が開発、提供することを通じて、住民の利便性の向上が図られるといった効果があるものであり、経済効果にもつながるものであります。
一方で、行政が保有している情報には、個人情報や治安、都市基盤にかかわるものが多数あり、データのオープン化には慎重にならざるを得ないものもございますが、公共データが官民問わず利用され、住民の利便性向上や新産業の創出が図られていくためには、公開するデータを、極力利用されやすい形でふやしていくことが重要であると考えます。
また、オープンデータの推進は、行政の透明性、信頼性の向上などにつながることも期待されており、国においても、平成二十七年の二月に、地方公共団体オープンデータ推進ガイドラインを策定し、地方公共団体に対してオープンデータの推進に向けた取り組みを求めているところであります。
そこで、都は今後、どのようにオープンデータへの取り組みを進めていくのか、所見を伺います。
次に、ICT教育についてお伺いをいたします。
これまで都教育委員会では、都立学校のコンピューター室にパソコンを設置するとともに、電子黒板やプロジェクター、実物投映機などのICT機器の配備の充実を図ってきております。また、今年度からは、タブレット型パソコンの配備も始めていると聞いております。
私の地元板橋区でも、今年度から区立小中学校全校に電子黒板の設置を開始し、四年間でICT関連予算に四十億円を投入することとなりました。
先日、実際に授業風景を見させていただき、家庭科で糸の結び方を拡大する様子や、教員が作成をしたアプリを使って算数の授業を行うなど、より効果的に授業を進められている様子がわかりました。
しかし、一部の教員の中には、ICTの扱いに苦手意識を持っている方もおられ、配備されている機器を授業で余り活用できていない現状もあると現場の先生から伺いました。
一方で、特に若手の教員の方に多いとのことですが、ICTの扱いになれている教員は積極的に活用しているとのことでした。しかし、授業の目標を達成するための手段であるICT機器を授業中に使うこと、そのこと自体が目的になってしまってはいけませんし、何年か授業の資料やデータを蓄積することによって、自分自身ではなく、それら過去の資料を使ってICT機器に授業を代行させるようなことも懸念をされます。
本来、授業は教員と生徒の心のやりとりによってなされるものであり、ICTはその一助としての役割にすぎません。今後は、どの教員も授業におけるICT機器の効果的な活用方法を理解し、実際の学習場面で活用できるようになることが必要だと考えます。
そこで、全ての都立学校の教員がICT機器を効果的に利用した授業を行うことができるようにするため、都教育委員会としてどのような取り組みをされているのかを伺います。
次に、放課後子供教室について伺います。
私は、平成二十七年第一回定例会において、全ての児童が学習、スポーツ、文化活動を地域住民との交流を通じて実施することが重要であるとの観点から、そのための充実策について質問を行いました。
都教育委員会では、区市町村への支援を行っているところですが、地域で行われている放課後子供教室は、依然として自由遊びを主とした居場所づくりが中心であり、学習支援を初め、スポーツ、文化活動などの活動プログラムを一層充実させる必要があります。
都内のある放課後子供教室では、地域にお住まいの方が英語教室の講師を務め、英語の発音の仕方、文字の書き順、英会話を教えています。また、他の自治体の教室でも、企業OBの方などを含む地域団体が子供理科教室を行い、実験や観察を通じて、自分の目で見て考える力を育成する活動が実施されるなど、先進的な取り組みが行われているところもあります。
多様な活動プログラムの展開など、放課後子供教室の内容が一層充実するためには、都教育委員会が、区市町村のこれらの取り組みに対してさらなる支援を行う必要があると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
グローバル化が進んだ今日、日本人としての気概を持ちながら物事を主体的に考え、行動し、多様な価値観を持つ人々と協働して国際社会に貢献できるグローバル人材の育成が急務であります。
区部において、帰国児童生徒や外国人児童生徒が多く在住している状況があり、小学校低学年段階から国際理解教育や英語教育に取り組む事例が多くあります。
都教育委員会は先日、都立高校改革新実施計画の骨子を公表し、立川市に小中高一貫校を設置することを明らかにいたしましたが、国際社会で活躍する人材育成について、区部ではどのような取り組みを実施していくのか伺います。
次に、外国人材の活用について伺います。
昨日の我が党の代表質問でも取り上げましたが、TPPの大筋合意を受け、今後、旺盛な海外需要も取り込んでいくためには、中小企業が海外に打って出る体制を整えていくことが重要です。
しかし、即戦力として活躍が見込める外国人留学生については、日本での就職を希望する方も多いものの、なかなか中小企業への就職には結びついておりません。また、現地とのかけ橋となる海外在住の外国人を採用したいという企業ニーズも増加傾向にあり、外国人の関心を都内企業に向かせる取り組みも必要であります。
こうした中小企業の人材確保ニーズと国内外の外国人の就業ニーズとを結びつけることは、双方にとってメリットとなることから、都としても積極的に支援していくべきと考えますが、所見を伺います。
次に、外国人に対する医療提供について伺います。
ことしの訪日外国人数は一千九百万人に迫る勢いであり、先月公表された、直近の都の調査結果によると、平成二十七年四月から六月まで、東京を訪れた外国人旅行者数は、前年同期と比べて三三・四%増の約三百九万人と、四半期で過去最高を記録しました。
今後、二〇二〇年に向けて、外国人旅行者のさらなる増加が予想されます。世界各国から東京を訪れる外国人旅行者に安心して東京滞在を楽しんでいただき、ぐあいが悪くなったときに適切な医療サービスにアクセスできるような環境整備が必要です。
例えば、外国人旅行者に対しては、外国語で受診できる医療機関についての情報を提供し、言葉が通じないことへの不安を解消すること、医療機関に対しては、外国人患者が来院したときに診断や治療をスムーズに行うための支援などが重要であると考えます。
そこで、外国人の円滑な医療機関受診に係る都の支援について伺います。
次に、サービス業への支援について伺います。
東京の成長を確かなものとするためには、我が国を支えるものづくり産業とともに、東京の総生産、従業員数の約九割を占めるサービス業の競争力を高めることが必要です。そのためには、生産性の向上と新たな事業を創出していくことが求められております。
国においては、ことしの六月に日本再興戦略を改定し、サービス産業の活性化を経済成長の鍵となる施策として位置づけました。
東京の産業競争力をより一層強化するために、都も軌を一にして、サービス業に対する支援を積極的に展開していくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、インフルエンザ対策についてお伺いします。
ことしも本格的な冬の到来とともに、インフルエンザの流行シーズンが近づいてまいりました。インフルエンザの流行を防ぐためには、正しい知識や、ウイルスが体内に入らないようにするため、手洗い、せき、くしゃみがあるときのマスクの着用といった予防策を普及啓発することが必要です。
特に昨シーズン、患者の四五%が十歳未満であり、都内の幼稚園や学校の臨時休業も千九百三十六件報告されているように、インフルエンザは子供の患者が多いことから、子供たちにもわかりやすい形で予防方法を伝えることが必要でないかと考えます。
けさも、子供を保育園に送っていくときに、ガチャピンとムックの予防ポスターが掲示してあるのを見かけましたが、流行シーズンを前に、都はインフルエンザ対策、特に子供向けの普及啓発などについて、どのような取り組みを行っていくのか伺います。
現在、安倍内閣は、日本再興と一億総活躍社会の実現に向けて、総力を挙げて取り組んでいます。一億総活躍社会は、若者も高齢者も、男性も女性も、障害のある方も、それぞれの立場で、誰にでもチャンスと生きがいのある社会を目指すもので、その具体的目標として、GDP六百兆円、希望出生率一・八、介護離職ゼロの、新三本の矢を掲げております。
知事は所信表明で、この政府の方針を、経済成長と生活の質を両立させるという東京都の政策と方向性を一にするものと評価をし、総理、官房長官との会談では、ともに知恵を絞って政策を前に進めることで意見が一致をしたと述べられました。
そこで、政府とも連携をして、東京を誰もが活躍できる都市へと高めていくべきと考えますが、知事の見解を伺いまして、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
○知事(舛添要一君) 松田やすまさ議員の一般質問にお答えいたします。
誰もが活躍できる都市の実現についてでありますが、持続的な経済成長とゆとりある暮らしを両立させるため、東京を誰もが活躍できる都市とすることは、都政の重要な使命であると考えております。
これまでも都は、非正規労働者の正社員化などの雇用対策や、女性の活躍推進、保育、介護サービスの充実など、都民が活躍する環境の整備に資する施策を積極的に展開してきております。
また、私は、ワークライフバランスのより一層の推進が重要だと考えております。個々人の能力の活用とゆとりある生活の実現を可能とするため、仕事の生産性、効率性を高める働き方改革を推進してまいります。
さらに、ボランティア活動も、参加する人々が生き生きと活躍できる場であります。ボランティアの機運を醸成し、人々の優しさと笑顔があふれる都市とするために必要な検討を進めてまいります。
現場を持つ東京が政府と連携することで、より効果的な施策展開が可能となると考えております。都議会の皆様とともに、多面的な施策をスピード感を持って推進し、誰もが活躍できる東京を実現したいと考えております。
そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長から答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕
○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、ICT機器を活用した授業の推進についてでございますが、教室内での体験が難しい事象を視覚的に提示したり、瞬時に生徒の考えや答えを共有したりすることができることから、ICT機器の活用は、児童生徒の学習意欲を喚起し、思考力、判断力を育成する上で極めて有効であります。
そのため、都教育委員会は、全ての教員が電子教材を授業で有効に活用できるよう、全都立学校の教員を対象とした研修会を実施してまいりました。また、理科では天体の動き、美術ではデッサン技法を映像化するなど、ICT機器の特徴を生かした教材の開発にも取り組んできております。
今後は、タブレット型パソコンを活用して授業改善等を目指すパイロット校を指定し、そこから得られた成果を広く全都に普及、啓発することで、ICT機器を活用した、より効果的な教育を一層推進してまいります。
次に、放課後子供教室の内容の充実についてでございますが、子供たちに豊かな心やたくましさなどの生きる力を育むためには、地域人材等の協力を得ながら、学習活動や文化、芸術、スポーツ等の活動プログラムを経験させることが大切であります。
都教育委員会は、放課後子供教室において、こうしたプログラムを多様に展開するため、先進事例の紹介や教室運営スタッフ等への研修などを行い、事業の担い手に対してプログラムの有用性の理解を深めてまいりました。
今後、プログラムを一層充実させるため、今まで以上に豊富な知識や経験を持つ多様な地域人材の確保策など、さらなる区市町村支援の取り組みについて検討し、子供たちが健やかに育まれる環境づくりを推進してまいります。
最後に、国際社会で活躍する人材の育成についてでございますが、世界的な競争と共生が進む現代社会においては、日本人としてのアイデンティティーを持ちながら、広い視野に立って培われた教養や相互理解に努めるコミュニケーション能力を持ち、社会に貢献する力が重要でございます。
都教育委員会は、白鴎高校及び附属中学校において、平成三十年度から日本人としてのアイデンティティーの育成や国際交流、英語教育などに重点を置いた、特色ある教育をさらに充実するとともに、帰国生徒や外国人生徒の受け入れなどを行い、国際色豊かな学習環境の実現を図ってまいりたいと考えております。
さらに、国際高校の入学者選抜の応募倍率が高いことを踏まえ、都心部に新国際高校の設置を検討してまいります。
こうした取り組みを通して、国際色豊かな学校の充実を図り、世界に通用する人材を育成してまいります。
〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕
○生活文化局長(多羅尾光睦君) 都庁総合ホームページのリニューアルについてですが、これまでの文字中心の構成を改め、閲覧者が求める情報を探しやすくするため、検索の機能を向上させるとともに、閲覧者の興味、関心事項を大くくりで体系化して表示するグローバルナビゲーションを、全ページに配置いたします。また、スマートフォンなどからでもパソコンと同じ操作で円滑に閲覧できるレスポンシブデザインを導入するとともに、画像を効果的に活用し、迅速な情報発信に努めていきます。
これらにより、東京の顔として魅力的で使いやすいものとしてまいります。
現在、約三万ページにも及ぶ情報が掲載されていることから、二十八年度早期より、アクセスの多い事項から優先して、段階的に公開を進めてまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
○総務局長(中西充君) オープンデータの取り組みについてでございます。
近年の情報通信技術の進展に伴い、公共データの二次利用を可能にするオープンデータの取り組みは、都民生活の質の向上を目指すICT利活用の方策の一つとして、積極的に取り組むべき課題であると認識してございます。
現在、都では、試行的にオープンデータの都ホームページへの掲載を行うほか、取り組みの指針となるガイドラインを作成し、全庁的な拡大に向け取り組んでおります。
また、オープンデータは、利用されやすい形での公開が重要であり、このためのデータ形式の統一や運用ルールの確立などの基盤づくりを行うことも課題でございます。
今後、本格実施に向け、こうした取り組みを着実に行っていくことにより、オープンデータを推進してまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕
○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、中小企業における外国人材についてでございますが、グローバル展開を目指す中小企業にとって、現地の情報や商慣行に精通し、即戦力として活躍できる人材の確保は重要でございます。
都は、外国人留学生の都内中小企業への就職を促すため、今年度新たに、企業と留学生双方に対し、採用や就職活動のノウハウ等を提供するセミナーの開催に加え、企業見学を通じた交流の機会を提供しております。
来年一月には、海外向けのウエブサイトを立ち上げ、東京で働くことの魅力と就職に必要な情報等を外国人に発信して、都内中小企業への関心を高めてもらうとともに、個別の相談にも対応する窓口を開設いたします。
こうした取り組みにより、外国人の都内企業への就職を促進し、企業ニーズに応じた人材確保を支援してまいります。
次に、中小サービス業への支援についてでございますが、東京の産業が持続的に成長していくためには、今後、高齢化の進展や訪日外国人の増加などにより、市場の拡大が見込まれるサービス業の競争力を強化していくことが重要でございます。
このため、都は、生産性の向上やITなどの最新技術を活用した新たなサービスを行う中小企業に対する事業計画の策定支援、事業化に必要なシステム開発や、販路開拓に係る経費等の負担軽減など、中小サービス業に特化した新たな支援策について幅広く検討してまいります。
このようにして、すぐれたビジネスモデルを生み出し、成功事例を広く周知していくことで、都内サービス業が、製造業とともに東京の産業を牽引する役割を果たしていけるよう取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、外国人に対する医療の提供についてでありますが、都は、外国語で受診できる医療機関について、英語版のホームページで情報提供するほか、英語、中国語、ハングル、タイ語、スペイン語の五カ国語で、電話による医療情報サービスや医療機関向けの救急通訳サービスの提供を行っており、現在、サービス内容の見直しに向け、外国人旅行者等が病気やけがをした際に必要とする医療情報などについて、改めて調査を行っております。
また、国は、医療通訳を配置した拠点病院の整備や、外国人患者を受け入れる医療機関に対する認証制度を推進しており、今年度中には、外国人旅行者の受け入れが可能な医療機関のリストを取りまとめることとしております。
今後、国の動向も踏まえながら、外国人に対する医療情報や医療提供体制の充実に向けた方策を検討してまいります。
次に、インフルエンザ対策についてでありますが、都は、インフルエンザの発生状況を把握するため、毎年約四百の医療機関を定点に発生動向調査を実施するとともに、施設内集団感染の報告を集約し、都民への情報提供や注意喚起を行っております。また、インフルエンザの流行時期に合わせて、マスクの着用や、せきエチケット、手洗いによる予防をポスター等で呼びかけております。
今年度におきましては、インフルエンザの患者の多くが十歳未満であることを踏まえまして、子供たちに親しまれているキャラクター、ガチャピン、ムックを採用し、ポスターに加え、正しい手洗い方法をわかりやすく伝える動画、スマートフォン用情報サイトなどを作成して周知を図っており、今後もさまざまな媒体を活用し、都民への効果的な普及啓発を進めてまいります。
○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時二十一分休憩
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.