○議長(川井しげお君) 七十六番島田幸成君。
〔七十六番島田幸成君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○七十六番(島田幸成君) まず最初に、グローバル人材育成についてお伺いします。
企業の海外展開を初め、経済、学術、文化などさまざまな分野でグローバル化が進展しています。そして、東京オリンピック・パラリンピック開催を機に、各国との交流がますます盛んになっています。このような中で、日本の文化を誇りに持ちつつ異なる文化や価値観などの多様性や人権を尊重する人材が求められています。
都はこれまで、次世代リーダー育成プログラムなどで海外に生徒を派遣し、グローバル人材育成を推進してきました。私は、そうした事業を進める一方で、海外からの留学生の受け入れを促進し、相互の交流を一層進め、お互いの生活習慣や文化を知ることが真のグローバル人材育成につながると主張してまいりました。
森記念財団の世界都市総合ランキングによると、二〇一四年の留学生の受け入れ人数は、東京が三万一千人なのに対して、北京は四万人、ロンドンは十一万九千人と、東京への留学生は世界の大都市と比べても少ない状況です。今後は、受け入れを促進する必要があります。
今回、東京都は教育大綱を新たに策定しましたが、知事のグローバル人材育成に対する見解をお伺いいたします。
次に、小中高一貫教育についてお伺いします。
このたび、都立小中高一貫教育校の基本構想に関する検討結果が出され、都立高校改革、新実施計画の骨子に位置づけられました。
これまでも、私は、猪瀬前知事が最初にこの小中高一貫教育校の構想を打ち出したときから、現行の六・三・三制度ではなく、例えば、アメリカなどで採用されている四・四・四制度のような、現在の児童生徒の発育や発達に合った制度を採用するなど、現行の教育制度を打ち破るような中身にしてほしいと提案をしてきてまいりました。
中間まとめでは、小学校と中学、高校の校舎が別々の場所に設置されるとされていましたが、今回の新実施計画では、立川市の立川国際中等教育学校の敷地内に一体的に設置する構想が示されていて、施設だけでなくカリキュラムにおいても一体的な教育内容を期待しております。
そこで、都立小中高一貫教育校のカリキュラムについて、どのような方針で作成するのかをお伺いいたします。
一体的な教育がなされることを期待しておりますが、課題もあります。現行の教員免許制度では、中学校と高校の免許は履修科目が共通していて、両方の免許を同時に取得しやすくなっております。しかし、小学校の教員免許は履修科目の多くが異なり、中高の免許と同時に取得することは教員養成系の大学を除き難しい状況であります。
今後、小中高一貫教育を推進し、小学校、中学校、高校の間で人事交流を盛んにするためには、こうした免許制度の改革を、この機に国に求めることを強く要望をしておきます。
さて、私は、この小中高一貫校が多摩地域に設置されることに意義があると考えています。昨今、さきにも述べましたように、海外との経済交流が盛んになり、グローバル人材が求められています。ただ、都心部と比べると、多摩地域においては、グローバル人材を育成する教育体制が整っているとはいえない状況です。今回、全国の初の試みである公立の小中高一貫教育校が、グローバル人材を育成する目的で設置されることは、多摩地域の教育体制に大きな影響を与えることとなります。
そこで、都立小中高一貫教育校を多摩地域に設置する意義は、どのようなところにあるのか、見解をお伺いいたします。
次に、主権者教育についてお伺いします。
このたび、公職選挙法改正により、来年の参議院選挙から十八歳以上の若者に選挙権が与えられます。十八歳以上の若者が主権者となりますが、主権者は、当然のこととして、政治の仕組みや原理について知っているのはもちろんのこと、社会、経済、国際関係の課題は何かといったことを理解していなければなりません。
また、判断する過程で課題を多面的、多角的に考え、自分なりの考えをまとめる力や自分の考えを主張し、説得する力が必要となります。こうした力を養うには、教員の板書や教科書の内容を理解するだけでなく、グループディスカッションや学習内容の発表を取り入れるなど、生徒が主体となって他者と協働する学び、いわゆるアクティブラーニング型の授業が必要だと私は考えております。
主権者教育を通じて、都立高校の生徒がどのような力を身につけていくのか、見解をお伺いいたします。
交通政策とまちづくりについてお伺いいたします。
一九六四年に東京オリンピックが開催され、東京のまちが大きく変わりましたが、今回のオリンピック・パラリンピック開催においても東京が大きく変わろうとしています。その中でも私は、ユニバーサルデザインによる交通機関や公共空間のバリアフリー化は、その重要な柱であると考えます。
特に、都内の身近な交通手段として多くの人が利用する駅の段差解消を促進し、高齢者や障害者を初め、外国人など全ての人にとって使いやすくする必要があります。
駅の段差解消の促進に関しては、エレベーターなどの設置が進み、現在都内の九割の駅で出入り口からホームまで段差解消されたワンルートが確保されています。しかし、駅によってはその経路を利用するのに遠回りを強いられるケースがあるなど、ワンルートの確保だけでは、必ずしも利用者の円滑な移動が確保できない状況にあります。
このため、駅におけるエレベーターの設置をさらに促進する必要があると考えますが、東京都の見解をお伺いします。
交通インフラの中でも多くの都民が利用する民間鉄道事業者との連携は、東京のまちづくりを考える上で重要であります。
私の選挙区では、JR青梅線や五日市線が運行しておりますが、利用者の方々から鉄道ダイヤ改正についての意見や、最近は週末に奥多摩や秋川渓谷に山登りやハイキングなど多くの方々が訪れることから、ホリデー快速の増便や企画観光列車の運行、また、駅舎の利便向上やバリアフリー化など、要望を多くいただきます。
私は、鉄道がまちづくりに重要なインフラであることから、都と事業者が密接な意見交換や協議をする必要があるのではと考えます。
東京都が民間鉄道事業者と密接な連携を図るための施策について見解を求めます。
本年五月、都市整備委員会で、北海道木古内町及び函館市を視察しました。その際、北海道新幹線開通に向けてまちが大きく変容していることを目の当たりにしました。交通政策は、まちづくりに大きな役割を果たすということはいうまでもありません。
本年七月、東京都は、広域交通ネットワーク計画についてを発表しました。その中で、多摩都市モノレール上北台から箱根ヶ崎までの延伸は、整備について優先的に検討すべき路線に位置づけられています。地域の期待も高く、現在は、多摩都市モノレール延伸の導入空間となり得る新青梅街道の拡幅も進められ、延伸実現の機運も高まっています。
今後、早期の延伸実現が求められますが、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎延伸についての東京都の今後の取り組みについてお伺いいたします。
生活困窮者支援対策についてお伺いします。
さまざまな事情を抱えて生活に困窮してしまった方々のために、生活保護を初めとしたセーフティーネットが重層的に用意されています。
本年四月には、生活困窮者自立支援法が施行され、生活保護に至る前の段階で、第二のセーフティーネットとして、生活困窮者に対する自立支援の強化が図られました。
この法律では、実施主体である区市が、地域の実情に応じ、関係部署、関係機関と連携し、個々の生活困窮者を支援することとなりました。全区市に自立相談支援窓口が設置されたところでありますが、任意事業である子供の学習支援や家計相談支援事業などは、地域によってばらつきがあります。
東京都は、総合的な支援体制を都内全域で整備することとし、任意事業の立ち上げ経費を補助するなど取り組みを開始しました。
今後、区市の取り組みが一層進むよう、都がこれまで進めてきた低所得者支援対策における広域的、専門的な支援のノウハウなどを提供していくとともに、生活困窮者が生活に必要な支援につながる関係機関に働きかけるべきだと考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。
新たに開始された生活困窮者自立支援制度を着実に進めていくことで、生活に困窮する方の自立支援が充実されていきますが、この制度でも対応できない困窮状況にある場合は、最後のセーフティーネットとして生活保護があります。
生活保護受給者の多くは、高齢者や病気や障害を抱えている人で、そうした方々の最低限度の生活を保障する一方で、働ける状況にある人には自立に向けた支援を行っていくことも重要であります。
都内の福祉事務所において取り組んでいる就労支援について、都としてどのように支援していくのか見解をお伺いしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
○知事(舛添要一君) 島田幸成議員の一般質問にお答えいたします。
グローバル人材の育成についてでございますが、経済、産業、文化などあらゆる分野で国際化が進展している今、多様な文化との共存や国際協力の必要性がますます増大しております。
さらに、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、多くの外国人とコミュニケーションをとり、交流する機会も一層ふえてまいります。
こうした時代におきましては、相手の立場や考えを尊重しつつ、みずから主体的に考え、世界を舞台に活躍できるグローバル人材を育成していくことが、これまで以上に重要となります。
今回、私が策定いたしました大綱には、グローバル人材育成の取り組み方針として、使える英語を習得させる実践的教育や、日本人としての自覚と誇りを涵養する日本の伝統文化を体験、理解する取り組み、姉妹校提携や留学生の受け入れを通じた国際交流の拡大などを盛り込んでおります。
今後、この大綱をもとに教育委員会と一体となって、グローバル人材の育成をさらに加速化させてまいります。
そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び福祉保健局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕
○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、小中高一貫教育校のカリキュラムについてでございますが、本年十一月、基本構想検討委員会は、小中高一貫教育のよさとして、小中高十二年間を一体として捉え、児童生徒の実態に応じた柔軟なカリキュラムの編成ができることや校種の枠を超え、児童生徒の発達に応じた指導体制や指導方法が実現できること等を報告しております。
今後、都教育委員会は、基本構想検討委員会の検討結果やさまざまな意見を踏まえ、現行学校制度のもと、小学校段階から十二年一貫したカリキュラムを研究開発してまいります。
また、小学生の学習指導を中学校教員が行うなど、校種の枠を超えた指導体制や、発達に応じてアクティブラーニングを工夫して取り入れるなど、効果的な指導方法について検討してまいります。
次に、多摩地域に設置する意義についてでございますが、国際社会で活躍する人材には、高い語学力や豊かな国際感覚が求められており、これらの資質や能力を育成するには、早期からの英語教育に加え、外国人児童生徒や帰国児童生徒とともに学ぶ経験が有効であります。
区部では、外国人児童生徒等とともに学ぶ取り組みや、小学校低学年からの英語教育が既に多く実施されております。一方で、多摩地域における取り組みは、一部の自治体にとどまっているのが現状でございまして、今後、一層充実させていく必要があります。
こうしたことから、都教育委員会は、小中高一貫教育校を多摩地域に設置し、外国人児童生徒等とともに学ぶ環境を創出していきたいと考えております。こうした取り組みを通じて、多摩地域における英語教育の充実を図ってまいります。
最後に、都立高校における主権者教育についてでありますが、公職選挙法改正により、都立高校では、選挙権を持つ高校生が、有権者としてみずからの判断で権利を行使できるよう、より一層の指導の充実を図っていく必要がございます。
そのため、都教育委員会は、生徒が議会制度や選挙制度の仕組みなど、民主主義の基本的な事項について学習するとともに、具体的な政治的事象等について主体的、協働的に学ぶことができるよう学校を指導しております。
また、選挙管理委員会と連携し、学校が模擬選挙等の体験学習を取り入れられるよう支援しております。
今後とも、こうした取り組みを通して、生徒が現実社会の諸課題について、多面的、多角的に考察し、公正に判断する力などの政治的教養を身につけていくことができるよう、学校における主権者教育を充実させてまいります。
〔東京都技監安井順一君登壇〕
○東京都技監(安井順一君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、駅におけるエレベーターの設置についてでございますが、都は、駅のバリアフリー化を推進するため、国や地元区市町と連携しまして、鉄道事業者によるエレベーターの設置を支援してまいりました。
この結果、都内の約九割の駅におきまして、出入り口からホームまで段差なく移動できるルートが、少なくとも一つ確保されております。
さらに、複数の出入り口が離れた位置にある駅などを対象に、二つ目以降のルートの確保に向け、エレベーターの設置を促進しております。
引き続き、ユニバーサルデザインの視点から、高齢者や障害者などを含め、誰もが円滑に移動できるよう、関係者と連携を図りながら、駅のバリアフリー化に取り組んでまいります。
次に、鉄道事業者との連携についてでございますが、鉄道は、都民の日常生活や経済活動を支える重要な都市施設でございまして、駅を中心とする地域のまちづくりにも深くかかわるものと認識しております。
都はこれまで、鉄道事業者や地元区市などとも連携しながら、自由通路の整備や駅のバリアフリー化、連続立体交差事業等に取り組んでまいりました。
一方、ダイヤ設定などの輸送サービスの内容につきましては、鉄道事業者の経営と密接にかかわることから、原則として事業者が対応すべきものと認識しております。
都は、今後とも、適切な役割分担のもと、鉄道の利便性の向上に努めてまいります。
最後に、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎延伸についてでございますが、本路線は、開業区間と一体となり、多摩地域の南北方向の拠点を結ぶことで、沿線利用者の利便性はもとより、多摩地域の活力や魅力の向上に資する路線でございます。
都は、本年七月、広域交通ネットワーク計画におきまして、整備について優先的に検討すべき路線の一つに本路線を選定し、今後予定されている国の交通政策審議会答申に反映するように求めました。
一方、本路線の整備に向けては、多摩都市モノレール株式会社の経営状況や、土地区画整理事業の進捗など、周辺の開発動向を踏まえ、コスト縮減策や収入確保策、事業採算性を見きわめながら検討を行う必要がございます。
今後、次期答申に基づき、関係者間で連携し、検討の深度化を図ってまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、生活困窮者自立支援法に係る都の支援についてでありますが、複合的な課題を抱える生活困窮者の自立を支援するためには、自立支援相談に加え、就労準備支援や家計相談など、包括的な取り組みが必要でございますが、その体制は区市により差があり、専門性の面でも課題がございます。
このため、都は、区市と連携して、離職者への資格取得支援や低廉な住宅情報の提供、多重債務者への支援窓口を活用した資金貸付などを行っており、家計相談支援に必要な専門人材の養成研修も実施しております。
また、生活困窮者が早期に区市の相談窓口につながるよう、ライフライン事業者や社会福祉協議会などに対し協力依頼も行っております。
今後とも、都が培ってきた広域的、専門的なノウハウを活用し、区市の取り組みを積極的に支援してまいります。
次に、生活保護受給者に対する就労支援についてでありますが、都内の福祉事務所におきましては、受給者の年齢や世帯構成等の状況を踏まえながら、ケースワーカーや就労支援員がハローワークと連携して就労支援を行っており、都は、求職活動時に必要なスーツの購入や、保育サービスの利用に係る費用の助成など、区市が行う取り組みを包括補助により支援しております。
また、区市の職員等に対する研修において、就労自立給付金など、新たな就労、自立支援施策の説明や他の自治体における効果的な取り組み事例の紹介を行うなど、ケースワークを担う人材の育成にも取り組んでおります。
今後とも、こうした取り組みにより、生活保護受給者の就労自立に向けた区市の取り組みを支援してまいります。
○副議長(小磯善彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十三分休憩
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