○副議長(小磯善彦君) 六十四番崎山知尚君。
〔六十四番崎山知尚君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○六十四番(崎山知尚君) まず初めに、障害者施策について伺います。
二〇二〇年の東京五輪には、障害者や外国人等を含め、国内外から多くの人々が東京を訪れます。東京は、パラリンピック開催都市として、公共交通等のバリアフリー化など、ハード面の整備に加えて、心のバリアフリーといったソフト面の取り組みを一層推進することが重要であります。
ユニバーサルデザイン、人に優しいまちづくり、ハードのまちづくりに加え、ソフトの、人が優しいまちづくりを目指して、日ごろの活動に取り組んでいます。パラリンピック大会を契機とし、心のバリアフリーを浸透させる施策を進め、障害の有無にかかわらず、誰もが暮らしやすい東京をつくり上げることが、パラリンピックの大きなレガシーだと考えます。
心のバリアフリーを進める都の施策の一つとして、その象徴がヘルプマークの推進です。皆さんご承知のとおり、これがヘルプマークです。(実物を示す)多くの皆さんに知っていただくように、ポケットに入れて見本としていつも持ち歩いています。心のバリアフリーは、時間もコストもかかりません。私たちの心持ち一つで実現できます。
これは平成二十四年の予算特別委員会で我が党の山加朱美議員が、みずからの体験も踏まえ、外見から障害のあることがわかりにくい方、援助を必要としている方の統一したマークを作成し、障害のあることがわかりにくい方への理解を社会で一層促進していく必要があると提案し、都が同年十月に、外見からわからなくても、援助や配慮を必要としている方のためのヘルプマークを作成いたしました。
ヘルプマークについては、我が党もこれまで積極的に普及を推進してきましたが、マークをつけることで、まちに出る自信が出たという声も聞かれ、障害等のある方が社会につながるという効果も期待できます。マークをつけた方が、都内だけでなく、近隣の県など都外に外出することもあり、また、民間企業や他道府県の自治体等からマークを活用したいとの問い合わせがあるとも聞いており、今後はより広域的な普及を図っていくことも重要と考えます。
そこで、障害のある方を初め、外見からわからなくても、さまざまな理由で周囲からの援助や配慮を必要としている方のためのヘルプマークについて、都外の自治体も含め一層の普及を図るべきと考えますが、見解を伺います。
次に、発達障害教育について伺います。
平成十七年の発達障害者支援法の施行から十年がたち、都民のニーズも高まっています。特別な支援を受ける発達障害の児童生徒は、十年前と比較して約四倍に増加しており、このほど教育委員会が東京都発達障害教育推進計画の骨子を発表したことは、時宜を得たものと評価いたします。
この計画において、全ての公立学校における発達障害教育の充実に向けた取り組みを示していますが、発達障害の児童生徒のほとんどが通常学級に在籍しており、学級担任だけでは、その対応に苦慮するとも聞いています。
発達障害の児童生徒はもちろんのことですが、学級担任への支援等を充実することで、学級全体の安定化を図ることが求められます。
私も、地元の小中学校において、教員と協力して、さまざまな人たちが発達障害の児童生徒への特別な支援を行っている現場を見てきました。
そこで、来年度から全ての小学校に導入していく特別支援教室を初めとして、区市町村が積極的に発達障害教育を進めていくために、教育委員会としてどういった支援をしていくのか伺います。
また、小学校では、平成二十八年度の本格導入に向けた道筋がついて、区市町村ごとに取り組みが進められています。しかし一方で、中学校への特別支援教室の導入については、区市町村に対して、まだ明らかにされていません。
中学校の特別支援教室について、今後どのように進めていくのか伺います。
次に、空き家対策について伺います。
都内の空き家戸数は、平成二十五年時点で、約八十二万戸と増加してきています。空き家には、老朽化が進み、生活環境への悪影響が懸念されるものもある一方で、適切に維持管理され、利活用可能な空き家も存在します。老朽空き家については、空家等対策特別措置法に基づき、除却を促進することになりますが、使えるものは、例えばリフォームして賃貸する、または売買するといった視点も重要です。
木造老朽家屋は、防災、防犯上除却する、そして一方では、空き家や空きビルに大改修を行い、付加価値をつけ生まれ変わらせるリノベーションも、まちづくりの新たな手法として脚光を浴びています。
しかし、空き家の所有者の中には、誰に相談したらよいのかわからず、空き家のまま放置している方も存在しています。
空き家を取り巻く状況や活用のニーズなどは、地域により異なるとともに、所有者の抱える課題は多岐にわたることから、所有者に対し、地域性を踏まえ、専門家を活用して適切にアドバイスを行える体制を整えることが重要と考えますが、都としての見解を伺います。
次に、東京ブランドの推進について伺います。
産業の活性化に向けて、海外から旅行客を呼び込む観光振興が一層重要になっています。
都は、東京の観光地としてのすぐれた印象を世界に向けてPRする、&TOKYOというロゴ、キャッチコピーを公表しましたが、これをいかに浸透させていくかが重要な課題です。
東京ブランドを海外に広めて、都内でも理解や協力を得ていくため、発信方法に工夫を凝らし、認知度を高め、利用を促進することが必要です。また、都内のさまざまな地域が、おもてなしの心遣いで海外からの旅行者にそれぞれの観光面の魅力を案内し、提供する努力も一層大切になると思います。
ブランドイメージの向上により、東京への旅行者をふやし、実際に訪れた方々にしっかりと案内を行うことで、観光地としての世界的な地位も高まるものと考えますが、観光振興にどう取り組んでいくのか、知事の所見をお伺いいたします。
次に、中小企業の販路開拓等の支援について伺います。
都はこれまで、リーマンショック後の景気低迷、売上減少に対応するため、専門家による経営診断と、それを踏まえた展示会への出展支援に取り組み、中小企業の経営の下支えに効果を上げてきました。
しかし、景気が緩やかに回復する一方で、円安による原材料価格の高騰など、経営環境は刻々と変化しています。売り上げは増加したが赤字は解消しないなど、中小企業の実情は実にさまざまであります。
現在の展示会出展支援は、主に企業間取引を行っている、売上減少企業に限られておりますが、私は常々、支援対象の要件を緩和し、積極的な事業展開を図ろうとする企業など、取引形態や売上状況にかかわらず、より幅広い企業を支援の対象とすべきと申し上げてきました。
景気回復の歩みをより確かなものとするため、販路開拓などの拡充により、攻めに転じようとする企業への積極的な支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
次に、MICEの誘致について伺います。
MICEは一度に多くの外国人の旅行者を呼び込むだけではなく、高い経済波及効果が見込まれることから、都としても積極的に誘致を進めていく必要があります。
七月に策定したMICE誘致戦略では、MICEのうち、Mの企業系会議、Iの報奨旅行、Cの国際会議については、誘致を強化するためのさまざまな取り組みが示されていますが、Eに当たる展示会やイベントについては方策が明らかになっていないことから、さきの第三回定例会において、我が党から誘致や開催に向けた支援を求めたところです。
Eの中でも、とりわけ国際的なイベントについては、世界理美容技術選手権大会のような、世界各国から参加者が集い、産業振興に資するものが少なからずあるように感じています。
こうしたイベントを東京に誘致するためには、誘致や開催に向けた支援を積極的に行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
最後に、税務における人材交流について伺います。
平成二十七年度における全国の自治体の地方税収は、およそ三十七兆五千億円と見込まれております。それぞれの自治体が、少子高齢化や防災など地域の政策課題に対応していくためには、自主財源であるこの地方税収の確保が極めて重要となります。
全国の税務の現場では、徴収率の向上、外形標準課税により重要性が高まる法人調査、大規模建築物の評価の複雑化など、共通する課題を抱えており、自治体間で相互にノウハウを提供し合い、税務の能力を高めていくことが求められています。
私自身も、地方の自治体職員の方々から、新しい事例や、さまざまな現場を持つ東京で実務の経験を積み、みずからの職場に生かしたいといった声を聞いています。
先日公表された東京都総合戦略において、都は、新たに全国の税務職員を受け入れるなど、人材交流による自治体間連携に取り組むとしております。
地方全体の税収を確保し、東京と地方がともに発展していくという観点から、こうした取り組みを積極的に進めるべきと考えますが、その具体的な内容についてお伺いをし、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
○知事(舛添要一君) 崎山知尚議員の一般質問にお答えいたします。
観光振興に向けた取り組みについてでありますが、東京は、江戸の伝統と先端の文化が共存し、船が行き交う水の都としての風情を持ち、多摩・島しょ地域の豊かな自然にも恵まれ、食の面でも海外から高い評価を受けております。
こうした魅力を効果的に発信することにより、東京の国際的な観光都市としてのブランドを世界に浸透させるとともに、外国人旅行者に、都内の観光を十分に楽しんでもらう案内や情報の提供を確実に行うことが必要であります。
東京ブランドの発信に向けましては、ロゴの&TOKYOを活用したポスターを数多く掲出し、屋外の大型ビジョンやハロウィンのイベントでPR映像を紹介するなど、都内でのブランド共有を進めております。海外では、テレビ放映等により、観光地としての存在感の発揮に努めております。
今後は、民間企業によるロゴの活用や都と事業者が連携した大規模なPRをふやしてまいります。また、来年のリオ大会等を海外でのブランド浸透の場として積極的に活用いたします。
海外からの旅行者への案内を充実するため、外国人の来訪の多いエリアで、地元の自治体や民間事業者と連携し、広域的な観光の案内拠点を整備いたします。また、都内の各地域で観光情報を提供する案内窓口を大幅にふやしてまいります。
二〇二〇年大会とその先を見据えて、これらの施策を集中的に展開し、世界一の観光都市の実現を目指してまいります。
なお、そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕
○教育長(中井敬三君) 発達障害教育に係る二点のご質問にお答えいたします。
まず、小学校への特別支援教室の導入についてでございますが、発達障害教育を着実に推進するためには、教育環境の整備や教育を担う人材の専門性の向上が重要であります。
このため、都教育委員会は、公立小学校への特別支援教室の円滑な導入に向け、現在、教室の条件整備に要する簡易工事相当の経費等を補助しております。今後は、これに加えて、巡回指導を開始する全ての小学校に、教室運営の支援等を行う特別支援教室専門員を配置してまいります。
また、臨床発達心理士等の巡回により、教員への専門的な助言などを行うとともに、区市町村が配置している外部人材のための研修用DVDを配布し、発達障害への対応力の向上を図るなど、さまざまな区市町村への支援を行うことにより、発達障害教育を充実してまいります。
次に、中学校への特別支援教室の導入についてでございますが、小学校の特別支援教室における特別な指導、支援の成果を中学校へと切れ目なくつないでいくためには、中学校における特別支援教室の導入は急務でございます。
中学校への特別支援教室の導入に当たりましては、複雑化する人間関係への対応や、教科の学習のおくれに対する悩み、進路や将来の不安への対応など、中学校の生徒の発達段階に応じた、特別支援教室での指導、支援のあり方について十分に検討して進める必要がございます。
このため、区市町村と緊密に連携し、平成二十八年度から四つの地区においてモデル事業を予定しております。その成果と課題を踏まえ、中学校への特別支援教室の導入に向けた準備を進めてまいります。
〔東京都技監安井順一君登壇〕
○東京都技監(安井順一君) 空き家の所有者に対する相談体制でございますが、空家等対策特別措置法では、区市町村が空き家所有者等からの相談に応じる体制を整備することとなっております。
個々の空き家は、老朽度や立地、住宅市場でのニーズなどが異なるとともに、空き家所有者の抱える課題は、維持管理や相続、売買、賃貸など多岐にわたっております。
このため、区市町村が相談体制を整備するに当たっては、さまざまな分野の専門家を活用することが有効でございます。
都は、区市町村に対しまして、空き家相談窓口の開設を促すとともに、不動産や建築士などの団体と連携いたしまして、専門家の協力を得られる仕組みを構築してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
○福祉保健局長(梶原洋君) ヘルプマークの普及促進についてお答えをいたします。
都は、平成二十四年十月から、都営大江戸線の優先席でのステッカー標示や各駅でのヘルプマークの配布等を開始し、現在、全ての都営交通、「ゆりかもめ」、多摩モノレール、都内の民間バス事業者十七社に拡大をしております。
また、ヘルプマーク作成・活用ガイドラインや特設サイトを作成し、他の自治体や企業等での活用を促進するとともに、ヘルプマークを身につけた方が都外でも適切な援助を受けられるよう、国に対し、障害に関する啓発等のためのマークの普及を提案要求しております。
今後とも、他の自治体や交通事業者等へ協力依頼を行いますとともに、屋外のデジタルサイネージを初め、さまざまな媒体を活用し、庁内の各局とも連携しながら、ヘルプマークの一層の普及を図ってまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕
○産業労働局長(山本隆君) 二件のご質問にお答えをいたします。
まず、中小企業の販路開拓等の支援の強化についてでございますが、東京の産業がさらに発展していくためには、中小企業が自社の抱えるさまざまな課題の解決を図り、攻めの姿勢に転じていくことが重要でございます。
都はこれまで、専門家による経営診断と経営変革のための計画策定に対するサポート、売上減少企業に対する展示会出展の支援を行い、経営改善を後押ししてまいりました。
今後は、中小企業の成長に向けた取り組みを促すため、専門家による経営支援の拡充とともに、展示会出展支援について、売上状況にかかわらず積極的な事業展開を図る企業への対象拡大や助成額の引き上げなどについて検討をしてまいります。
都内中小企業の経営力の向上を図り、成長を着実に支えることにより、東京の産業の活性化につなげてまいります。
次に、イベントの誘致と開催への支援についてでございますが、国際的なイベントを誘致することは、外国からの来訪者が東京を観光する機会を生み出し、さまざまな波及効果により、都市の活性化に役立つ貴重な取り組みでございます。
これまで都は、国際会議や企業の会議等について、誘致活動やその開催に伴い必要となる経費の一部を助成する支援を行ってまいりました。
今後は、都内でのイベント開催を働きかける国内の団体に対して、PR対応を初めとするさまざまな誘致活動へのサポートやイベント開催の場を確保し、円滑な運営を図るための負担軽減に向けた支援について検討を行ってまいります。
こうした取り組みにより、国際的なイベントの東京への誘致を図り、観光振興の着実な展開に結びつけてまいります。
〔主税局長小林清君登壇〕
○主税局長(小林清君) 税務行政における人材交流についてでありますが、地方税は、国が主に制度を構築し、現場実務は各自治体が担っており、地方税収を確保するためには、自治体間で税務ノウハウを共有するネットワークを構築することが重要でございます。
このため、都は、道府県税とあわせて二十三区では市町村税も所管するなどの特性を生かし、来年度から全国の自治体職員を都税事務所などに半年から一年程度受け入れ、自治体からのニーズが高い技術の習得を支援する取り組みを予定しております。
具体的には、地元での実務に活用できるよう、大企業の決算資料の調査、最新の大規模建築物の評価、納税交渉や捜索による現場調査などのプログラムを実施いたします。
また、従来から行っております都職員を全国へ講師として派遣する取り組みを、今年度予定している百名から百五十名に拡大することで、自治体間の連携を強め、地方全体の財政基盤の強化につなげてまいります。
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