午後一時開議
○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。
○議長(川井しげお君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
○議長(川井しげお君) 次に、日程の追加について申し上げます。
議員より、議員提出議案第十八号、東京都心身障害者福祉手当に関する条例の一部を改正する条例外条例一件、知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意について外人事案件一件がそれぞれ提出されました。
これらを本日の日程に追加いたします。
○議長(川井しげお君) 昨日に引き続き質問を行います。
九十二番鈴木あきまさ君。
〔九十二番鈴木あきまさ君登壇〕
○九十二番(鈴木あきまさ君) 初めに、地方法人課税の偏在是正について伺います。
我が都議会自由民主党は、真の地方創生の実現に向け、日本各地と東京がそれぞれの魅力を高め、お互いに協力し、共存共栄を図ることの重要性を訴えてきました。
産業振興の観点からも、共存共栄という理念を実現し、それぞれの地域産業や地元の企業活動を活性化させ、日本全体を持続的発展に導くためには、東京が果たす役割は極めて重要であります。
こうした中、昨日、自民党税制調査会は、平成二十八年度税制改正として、地方法人課税に関する見直し案を示しました。
これによると、法人住民税の国税化は、消費税率引き上げに伴い拡大となるものの、七年間我が党が撤廃を訴え続けてきた法人事業税の暫定措置は廃止することとなりました。全体の影響額は、当初想定された規模の五千八百億円から四千六百億円となり、一千二百億円の圧縮が図られることとなりました。法人住民税の国税化が拡大となったことは、地方分権に反するものであり、大変遺憾であります。
一方、暫定措置の廃止に加え、全体の影響額が圧縮されたことは、我が党が責任政党として、これまで区市町村議会などと連携し、最大限の努力を尽くしてきた成果であります。
東京は、首都の役割を果たさなければなりません。また、都が抱える膨大な財政需要にも対応しなければなりません。東京から財源を奪い、地方に配分しても、地方財政が抱える問題の根本的な解決にはつながりません。地域間で限られた財源を奪い合うのではなく、地方税財源全体の拡充を国に求めていくべきであります。
地方法人課税の不合理な偏在是正措置について、今後の方向性が示された今、知事の見解を伺います。
次に、中小企業の医療機器産業参入に対する支援について伺います。
すぐれた技術力を有する町工場が、ロケットや医療機器への参入に果敢に挑戦する中で、さまざまな制約や困難に対して、経営者、従業員等が一体となって、限界を超えた努力と世界をリードする技術とで立ち向かい、成功をおさめていく物語「下町ロケット」が、今多くの人たちに感銘を与えています。中小企業が将来にわたって成長していくためには、現状に甘んじることなく、今後の市場拡大が期待される産業分野へ積極的に参入していかなければなりません。
特に、医療機器産業は、急速な高齢化の進展を背景に市場の拡大が見込まれています。我が国においては、参入するに当たって乗り越えなければならない法規制等の高い障壁はありますが、医療機器は三十万を超える種類があり、少量で高品質な製品が求められることから、すぐれた技術力や製品開発力を有する中小企業は、長期かつ安定的な取引先を確保することも可能です。
また、アジア地域の高齢化の進展により、海外市場への参入も期待できます。
私の地元である大田区には、長年にわたり磨き上げてきた自社の技術に誇りを持つ中小企業が数多く集積しております。
こうした中小企業が、医療機器産業分野へ参入できるよう、都として強力に後押しすべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
去る十一月十一日、国産ジェット旅客機MRJの初飛行となったこの日は、すぐれた燃費性能を実現させたスマートな機体が飛び立つ姿に多くの日本人が心を躍らされました。YS11以来、およそ五十年ぶりとなるこの成功は、我が国の技術の結晶でもあります。もちろん、海外メーカーの協力もありましたが、世界の航空機に、さまざまな機器や部品を提供してきた日本の航空機産業、とりわけ中小ものづくり企業の技術力なくしては、かの機体は大空を舞うことはなかったはずです。
世界の旅客機需要は、今後二十年で、アジア中心に倍増すると予測されており、MRJのような中小型機は、各国のメーカーが開発と受注にしのぎを削っているといわれています。ぜひとも、官民の力を合わせ、オールジャパンの体制で国際競争を勝ち抜いていただきたい。それが、つくり手の一翼を担うことになる多くのものづくり企業の願いでもあると思います。
これからの大いなる成長が期待される航空機産業に、東京の中小企業が一つでも多く参入を果たせるよう、都では、航空機関連の法規制や規格といった専門知識の習得や、他の製品の何倍も厳格な航空機部品の品質管理への対応など、さまざまな支援を行ってきました。そして、この都の後押しも得て、部品の一貫生産体制を売りにする企業九社のグループ、アマテラスなどを中心に、受注の実績も着実に伸ばしつつあります。
しかし、航空機は、世界各国のメーカーから、パーツや装置の供給を受けて製造されており、実力はあっても知名度が低い中小企業が、こうした国際的な調達網に独力で食い込んでいくことは容易ではありません。
そこで、都は、航空機産業に参入意欲のあるすぐれた技術力を持つ都内中小企業の存在を、世界に向けて強力に発信していくべきと考えますが、所見を伺います。
また、中小企業が事業活動を行うに当たっては、資金繰りの支援も重要です。
都は、制度融資を初め動産・債権担保融資制度など、多様な資金調達手段を用意していますが、リーマンショック直後の中小企業の経営環境が大変厳しかった平成二十一年度に独自に立ち上げたものが、地域の金融機関と連携した新保証付融資制度です。本制度は、制度融資だけでは十分に資金調達できない中小企業に対し、事業資金を速やかに融資することで、厳しい局面に立たされた中小企業の資金繰りを支えてきました。
しかし、本制度では、融資限度額が一千万円と限られているため、必要とする金額を満たせずに利用を見送るなど、中小企業の資金ニーズに必ずしも応え切れていないということがわかってきました。中小企業のニーズに即した改善を行えば、取扱金融機関がふえることも期待できます。
制度融資のみでは資金調達が困難な中小企業の資金繰りをしっかりと支えるため、融資限度額の拡充など、制度の改善を図るべきと考えますが、見解を伺います。
次に、下水道の豪雨対策について伺います。
アスファルト舗装などが進み、雨水の多くが地下にしみ込まず、短時間に集中して下水道へ流入してしまう東京で浸水を防ぐためには、河川整備とあわせて下水道の浸水対策が重要です。
下水道局では、従来の経営計画二〇一三における対策に加え、平成二十五年のたび重なる豪雨を受け、豪雨対策下水道緊急プランを直ちに策定し、さらなる豪雨対策に取り組んでいるとのことですが、大いに期待したいと思います。
そこで、改めて下水道の豪雨対策について伺います。
ところで、私の地元大田区の上池台地区は、昔から被害がたびたび発生してきた地域です。そこで、下水道局は、この地域の浸水対策として、平成十六年度に、上池台三丁目公園雨水調整池を整備しました。これは、二十五メートルプール約二十二個分にもなる大きな雨水調整池であり、その効果は大きく、浸水被害は減少し、地元の方々も大変喜んでいました。
しかし、平成二十五年七月には、大田区を含む城南地区において猛烈な雨が降り、上池台地区を含め、甚大な浸水被害が発生しました。上池台の雨水調整池もほぼ満水となってしまったようで、まるで道路が川のように、四方八方から雨水が集まり、何軒もの建物が浸水した状況を私も目の当たりにしました。
これを受け、下水道局は、上池台地区を一時間七十五ミリ降雨へ対応する地区に位置づけたことを評価いたします。さらなる豪雨対策を進めてもらえるということで、地元の期待は非常に大きいのですが、浸水対策は大規模な事業であるため事業完成に長い期間がかかります。
住民は、浸水被害について不安な日々を過ごしているため、早期に浸水被害が軽減されることを切望しており、一日も早い対策が望まれます。
そこで、大田区上池台地区における豪雨対策の取り組みについて伺います。
最後に、文化プログラムにおけるレガシーの創出について伺います。
オリンピック・パラリンピックは、スポーツの祭典でもあるとともに文化の祭典でもあります。
歴史をひもとけば、一九一二年のストックホルム大会から一九四八年のロンドン大会までの八大会では、建築、彫刻、絵画、音楽、文学の五種類の芸術競技が実施されています。このうち、一九三六年ベルリン大会では、日本人二名が、絵画種目で銅メダルを獲得しています。
その後、客観的審査の難しさ、作品輸送の難易度の高さなどから、競技としては廃止されたものの、各都市が実施する文化プログラムが、オリンピック・パラリンピックの重要な要素であることは今も変わりありません。
都は、二〇二〇年東京大会を契機に、東京の芸術文化振興を飛躍的に推し進め、有形無形の文化をレガシーとして創出していくとしています。二〇二〇年大会に向け、多彩で魅力的な文化プログラムを展開することは、都全体あるいは地域も巻き込んだ機運醸成を図る上で重要であるとともに、大会後の大きなレガシーとなり、私も大いに期待しているところです。
リオ大会後にスタートする文化プログラムについて、今後、具体的な支援策や展開案が示されていくと思いますが、私は、演劇や音楽、大規模なフェスティバルなど、無形の芸術文化だけではなく、彫刻やオブジェ、絵画、写真などの有形のものが残されていくことが大会後に思い出として語り継がれるレガシーとして重要であると考えます。
都は、文化プログラムを通じて、このような有形のレガシーを残していくべきと考えますが、所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
○知事(舛添要一君) 鈴木あきまさ議員の一般質問にお答えいたします。
不合理な偏在是正についてでございますが、まずは、この間、都議会の先生方には、さまざまな場面で国に働きかけていただき、また区市町村議会に対しても結束を呼びかけていただくなど、ともに闘っていただきました。心から感謝申し上げたいと思います。
私は、知事就任以来、不合理な偏在是正措置は、地方自治の本旨にもとるものとして強く撤廃を主張してまいりました。
この秋も、志を一にする自治体や都内区市町村と連携し、総務大臣への要請を行うことはもとより、宮沢税制調査会長とも直接議論し、都選出の国会議員の方々にもご協力を仰いで、さまざまな政治的な働きかけを行うなど精力的に活動してまいりました。
今回、長年の懸案でありました暫定措置が撤廃され、地方税に復元されることとなったことは率直に評価したいと思います。
一方で、区市町村にも影響を及ぼす法人住民税の国税化の拡大は、地方分権の理念に照らして決して容認できるものではありません。
東京一極集中論など都への逆風が厳しい中、暫定措置が撤廃され、また、全体の影響額が当初の想定よりも圧縮されたことは、都議会などと連携して行ってきた都の主張を国が受けとめた結果であると認識しております。
この問題の根源は、自治体がみずからの役割を果たすための財源が十分ではないということにあります。そのためには総体としての地方税財源の拡充と、安定的な地方税体系の構築が必要でありまして、このことこそが本来目指すべき方向であります。
今後とも、この本質的な課題の解決に向け、都議会の皆様と力を合わせ、国に強く働きかけてまいります。
次に、医療機器産業への参入支援についてでございますが、日本の先端医療や高度な医療サービスは海外からの注目を集めておりまして、これらを支える医療機器産業は、グローバルな成長が期待されます。
先日のベンチャー技術大賞において、視野を測定する機器を表彰いたしました。この機器は、従来のものを小型軽量化し、持ち運びを可能としたもので、大型の機器を備えていない機関でも、容易に緑内障の検査を行うことができます。
また、都内のものづくり企業が自社の表面処理技術を生かして、アレルギー反応がなく、耐久性にもすぐれた医療用はさみを開発するなど、中小企業の新しい発想と高度な技術により、現場のニーズに応えた医療機器が生み出されております。
このような医療機器の開発を促進するため、都は今年度から、専門のコーディネーターを配置し、患者や医療現場におけるニーズと中小企業の技術シーズを掘り起こすとともに、そのマッチングを行っております。
今後は、開発をさらに加速化するため、共同開発による試作品製作や医療機器の審査に係る経費等の軽減策を講じてまいります。
こうした支援によりまして、多くの企業の参入を促すことで、東京発の革新的な医療機器を数多く創出し、二〇二〇年大会に向けて、中小企業の高度な技術やすぐれた製品を世界に発信してまいります。
そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕
○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、中小企業の航空機産業への参入についてでございますが、航空機産業は、世界的な旅客数の増大により市場の大幅な拡大が見込まれ、中小企業のすぐれた金属加工技術等を生かせる分野として大きく成長する可能性がございます。
都はこれまで、展示会の開催、専門家派遣や品質管理の取り組みへの助成等により、部品を一貫生産する都内企業のグループなど意欲ある中小企業の活動を支援してまいりました。
加えて、今年度からは、市場参入を目指す都内中小企業の幅広いネットワークづくりに取り組んでおり、今後、これを海外市場に向け積極的にアピールするため、国際エアショーへの出展やウエブサイトの開設、海外取引の窓口機能の設置等を検討してまいります。
部品サプライヤーの集積地としての東京の国際的知名度の向上を図り、中小企業の航空機産業への参入を強力に後押ししてまいります。
次に、地域の金融機関と連携した新保証付融資についてでございますが、中小企業の資金繰りをしっかりと支えるためには、利用者のニーズに対応し、都独自のセーフティーネットである本制度の利便性を高めていくことが重要でございます。
このため、都はこれまでも、借りかえ制度の導入や保証料率を引き下げる特別措置等に取り組んでまいりました。
一方、ご指摘の融資限度額につきましては、上限である一千万円での融資が全件数の約三分の二に上っていることに加え、取扱金融機関に対する調査により、一千万円を超えた一定の範囲にも多くの資金需要があることが明らかとなっております。
こうした状況を踏まえまして、中小企業のニーズに応えるための融資限度額の引き上げなど、本制度のさらなる充実に向けた検討を進めてまいります。
〔下水道局長石原清次君登壇〕
○下水道局長(石原清次君) まず、下水道の豪雨対策についてでございますが、経営計画二〇一三では、時間五十ミリ降雨への対策を基本としておりますが、特に浸水被害の影響が大きい大規模地下街では、時間七十五ミリ降雨への対策を進めております。
一方、平成二十五年の甚大な浸水被害を受け策定した豪雨対策下水道緊急プランでは、市街地においても時間七十五ミリ降雨への対策に踏み出すなど、雨水整備水準のレベルアップを図った取り組みを進めております。
このプランでは、七十五ミリ対策地区として、大田区上池台地区など四地区を定め、今年度、世田谷区弦巻地区で初めて工事に着手する予定であり、残る三地区でも早期の工事着手を目指してまいります。これら四地区での整備を積極的に進め、一部完成した施設を暫定的に稼働させるなど、平成三十一年度末までに整備効果を発揮してまいります。
次に、大田区上池台地区における豪雨対策についてでございますが、平成二十五年の豪雨で被害が多く発生した上池台三、五丁目地区は、地盤が低く雨水が集まりやすいことに加え、放流先の河川の水位が上昇して雨水が排水されにくくなったことなどが浸水被害の要因と考えられます。
このため、この地区の雨水を隣接するより深い下水道管へ切りかえ、その下流にあるポンプ所から海へ排水する方式で先行整備をいたします。
この対策に必要な下水道管の整備について、大田区との調整や設計を進めており、区有地を借用するなど、区の協力を得て来年度工事着手し、平成三十一年度末までの切りかえ完了を目指します。
また、上池台三、五丁目付近以外の地区につきましては、その後、増強幹線を整備することで対応を図る予定でございます。
今後とも、都民の安全・安心の確保に向け、浸水対策を着実に進めてまいります。
〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕
○生活文化局長(多羅尾光睦君) 文化プログラムにおけるレガシーについてですが、東京を世界有数の文化都市としていくには、文化プログラムの展開によって得られるさまざまな成果をレガシーとして継承していくことが重要でございます。
今後、文化プログラムの展開に当たっては、学生、若手芸術家等の活用や、区市町村や民間団体等、より多くの主体との連携を推進していくこととしており、アーツカウンシル東京が行っているさまざまな支援も有効に活用してまいります。
こうした取り組みにより、アーティスト等の育成や民間団体等による芸術文化活動の活発な展開を未来につなげるとともに、芸術作品等をレガシー、思い出として形成し、大会後の活用に向けて、区市町村や民間団体等の意見なども踏まえながら、関係局とも検討してまいります。
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