○議長(川井しげお君) 百番斉藤あつし君。
〔百番斉藤あつし君登壇〕
○百番(斉藤あつし君) 質問に先立ち、名誉都民水木しげる氏のご逝去に当たり、哀悼の意を表します。
私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について舛添知事並びに関係局長に伺います。
先般のパリにおけるテロ事件で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、惨事に遭遇された方々への心よりのお見舞いを申し上げます。
今回のテロのような卑劣な行為は、断じて許されるものではなく、二〇一九年ラグビーワールドカップ及び二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを開催する首都東京においても、テロ対策に万全を期していく必要があります。
この間のテロで脅威が高まっているのは、生まれ育った自国でテロを起こす、いわゆるホームグロウンテロリストの存在です。
G20の特別声明でも、若者を関与させ、かつ社会の全てのメンバーの包摂を促進するため、あらゆるレベルで取り組む旨の記述があるように、東京都においても、若者の貧困、雇用対策を進め、多様な価値観を尊重し合う社会の実現に向けて取り組むことが広い意味でのテロ対策になるものと考えます。
また、警視総監に対しては、既に私たち都議会民主党は、九月の代表質問で答弁を求めたところでございますので、引き続き、官民との連携強化や最新技術の活用などにより、対策の強化に取り組まれることを強く要望するものであります。
もとよりテロ対策は、警視庁だけではなく、政府機関を初め、消防庁や公営企業局、あるいは民間団体などとも連携をしながら、万全の対策を講じていく必要があると考えますが、テロ対策に向けた舛添知事の見解を伺います。
次に、先日策定された東京都総合戦略について伺います。
この間、自民党安倍政権は、いわゆる東京ひとり勝ち論、東京富裕論を背景として、東京を狙い撃ちするかのような人、物、金の地方移転策を打ち出しており、偏在是正の名のもとで、地方間の移転を推し進めようとしております。
地方創生は、小手先の取り組みではなし得ず、地方がみずからの権限と財源に基づき、行政のかじ取りを行っていく真の地方分権と、そのための税財政制度の改革があって初めて可能となるものです。実現に向け、引き続き力強い取り組みを求めるものです。
地方創生が東京一極集中の是正といった議論になりがちな中、東京都総合戦略では、特に東京と地方の共存共栄に焦点を当てています。
地方分権への取り組みとの両輪として、地方自治体同士が連携をして活性化に取り組み、日本全体の再生につなげなければなりません。同時に、東京もほかの地域と変わらない一つの自治体として、東京全体の発展を図っていくことが大変重要です。
都は、地方創生の推進において、ほかの地域との共存共栄を積極的に推進するとともに、東京が直面する諸課題を解決し、東京全体の着実な発展を目指していくことが必要であると考えますが、知事の見解を伺います。
次に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
新国立競技場の整備費について、舛添知事は、所信表明において、オリンピック・パラリンピック大臣と文部科学大臣と会談し、三百九十五億円程度を都が負担することに合意したと述べました。
私たち都議会民主党は、この間、都が新国立競技場の整備費負担を検討する前提として、都民の理解が得られること、法的根拠があること、過大な負担とならないことが必要であると強く申し上げてきました。
今回、二〇二〇年大会のメーンスタジアム完成期限が迫る中、国との合意を早期に行った知事の労は多としたいと考えます。同時に、今後も引き続き、情報公開や透明性の確保を初め、徹底したコスト縮減や事業費圧縮を国に対して働きかけることを強く求めるものであります。
詳細は十四日の特別委員会で質問いたしますが、ここでは舛添知事の基本的姿勢を伺いたいと思います。
知事は、基本的に都民が納得できるものでなければならないと常々述べておりましたが、今回の合意はそのとおりの結果となったのか、都民が受ける便益の内容や負担の積算根拠、法的根拠の内容など、都民に対する説明も含め、知事の見解を伺います。
次に、ラグビーワールドカップとオリンピック・パラリンピックの一体的な開催についてです。
ラグビーワールドカップのイングランド大会は、二百四十七万人の観衆を集め、日本でも代表チームの活躍により、注目度が大変高まりました。
時同じくして、調布市にあります東京スタジアムが二〇一九年大会の試合開催会場として承認され、開会式、開幕戦を開催することが決定しました。
東京スタジアムは、オリンピック・パラリンピック大会でも七人制ラグビーが開催される予定で、両大会での連携がラグビー人気をさらに盛り上げるものと期待をしております。
知事が所信表明で述べていたように、私も二つの大会を一体のものとして捉えることが必要であり、また、東京スタジアムの改修といった課題にも取り組んでいく必要があると考えます。
二〇一九年ラグビーワールドカップ日本開催に当たっては、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックと一体的に捉えて準備を進めるべきと考えますが、知事の認識と取り組みに向けた見解を伺います。
次に、ラグビーワールドカップのチームキャンプ地についてです。
ラグビーワールドカップに出場する二十チームのキャンプ地には、初戦の約十日前から大会期間中の練習や調整を行い、その活動費なども大会組織委員会が保証する公認チームキャンプ地と、それ以前から日本に入り、チームみずからの責任で場所の選択や費用負担をするそれ以外のチームキャンプ地があり、各自治体の誘致機運も高まっています。
組織委員会は、来年春以降にチームキャンプ地選定プロセス概要を発表する予定ですが、都としては、組織委員会と連携して、チームキャンプ地受け入れを希望する都内の区市町村を支援すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、国際的なスポーツイベントに向けた受動喫煙の防止です。
私たち都議会民主党は、平成二十四年の第一回定例会で、議員提出議案として提案した東京都がん対策推進条例案第七条でも規定したように、受動喫煙防止の条例化は当然のことと考えております。
ことし五月、東京都受動喫煙防止対策検討会は、二〇一八年までに条例化について検討を行うことや、国に対して法律での規制を働きかけることなどの取りまとめを行いました。
しかし、私は、ラグビーワールドカップをオリンピック・パラリンピックとの一体的なものとして捉えるならば、受動喫煙防止条例の制定に向けて時期を前倒しして取り組むとともに、国に法整備を働きかけるべきと考えています。
受動喫煙防止に向けた知事の見解を伺います。
次に、観光振興について伺います。
外国人旅行者の増加が続き、東京や大阪などでは客室数が不足をしております。都内観光の玄関口である大田区では、国家戦略特区を活用して、一般住宅に有料で泊める民泊条例を都内で初めて制定しました。
今後は、ラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピックの開催に際して、国内外から多くの観客が訪れることが見込まれ、宿泊需要への対応が求められています。
都内には、多くの企業が保有する保養所や研修所があり、企業の協力を得てこれらの施設を大会期間内に限定して提供するということも考えられます。
増加する都内観光客の宿泊需要に応えるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、外国人旅行者の受け入れ環境の整備です。
外国人旅行者の国籍別内訳は、中国や韓国、台湾からが最も多く、ビザ免除、発給要件緩和が実施されたタイやマレーシア、ベトナムからの伸びも高くなっています。
こうした中、外国人旅行客の文化や習慣、消費動向などの正確な情報を国内事業者に提供し、適切な対応でもてなすことが重要だと考えます。
観光庁では、利用者との摩擦を避けるために、入れ墨がある外国人旅行者への入浴に関する調査結果を提供しました。
都においても、外国人旅行者の文化、習慣に配慮するため、受け入れ環境の整備に向けた調査を行うべきと考えますが、見解を伺います。
次に、環境施策について伺います。
温暖化対策について、東京都は先般、二〇三〇年までに温室効果ガスを二〇〇〇年比で三〇%削減をするという新たな目標を発表しました。これは、二〇一三年比で見ると三八%もの削減となり、国が掲げた目標を大きく上回るなど、まさに都市が温暖化対策をリードするという積極的姿勢を示した意欲的な目標だと評します。
都はこれまでも、気候変動への対策では国の先を行く政策を展開し、エネルギー消費量で二〇〇〇年度比約二割も減少させるなど、効果を上げております。
今後は、こうした取り組みを継続、発展させ、温室効果ガス削減目標の実現に向けて積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
次に、雇用就業対策について伺います。
私たち都議会民主党は、同一価値労働、同一賃金の原則のもと、特に企業の調整弁となっている非正規社員の正規雇用化、処遇改善に向けて取り組むことが、極めて重要であると考えています。
一方、安倍政権は、雇用がふえていると強弁はしていますが、ふえているのは非正規ばかりで、もはや非正規社員が四割となっております。
舛添知事は、以前より、働く人の三分の一が非正規社員であるという社会は尋常ではないと述べ、まずは不本意非正規の半減を目標に、今年度より、新たに非正規雇用対策を始めました。所信表明でも、既に予定を大幅に上回る申し込みがあると述べております。
不本意非正規の正規雇用化の推進に向けて、さらに支援策を拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、働き方改革です。
私たち都議会民主党は、平成二十六年六月議会において、賃金や就業時間などがハローワークの求人票の内容と異なっているなどの苦情が多く寄せられていると指摘し、その改善を求めてきました。
こうした、いわゆるブラック企業やブラックバイトの実態が、国の調査などでも明らかになってきました。
都内企業に対して、法令遵守に向けた取り組みをより一層強化していくためには、安心して働くことができる労働環境の改善や両立支援を推進する、いわゆるホワイトカンパニーをふやすことが重要であり、そのためには協力企業の登録を初め、就業規則の策定や進行管理などに対して具体的な支援を行うなど、より踏み込んだ支援策が必要であると考えます。
働き方改革を推進し、良質な雇用と労働環境づくりに向けて取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
次に、女性活躍推進策です。
日本では、働きたいと思いながらも仕事についていない女性は三百三万人に上り、出産で退職する女性は五割を超えています。
また、働く女性が第一子を妊娠後、育休をとって復職できた正社員は四割、派遣やパートの女性は四%で、育休をとりにくく、また復職がかなり難しい状況にあり、特に非正規社員は復職できない状況となっております。
国は、女性活躍推進法を制定いたしましたが、同時に労働者派遣法を変え、女性の非正規定着を進めかねない行動をとっております。
労働環境における課題を洗い出し、働きたい女性がより働きやすい環境を整備すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、高齢者施策について伺います。
安倍総理は、新三本の矢の一つとして介護離職ゼロを目標に掲げ、これを受けて政府は、二〇二〇年代初めまで、介護施設やサービスつき高齢者向け住宅を合計五十万人分以上ふやすと発表しました。
しかしながら、今年度、国は介護報酬を引き下げたこともあり、人手不足が顕著となっており、サービスをふやすには介護人材がさらに必要となります。
この間、都においては、在宅でも安心できる介護体制の整備を進めております。区市町村においても、地域特性や日常生活圏において必要な地域資源を分析しながら取り組みを進めています。これまでの都の方向性と政府の発表の方向性と相反しないのか、懸念をしております。
国の施設偏重ととられかねない新たな方針に対して、都として高齢者が安心して暮らせる施策を着実に進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、本質的な課題である介護人材不足対策です。
ことし四月、国が介護報酬を減額した影響や要支援サービスの地域支援事業への移行などで人手不足に拍車がかかり、大手事業者でも事業展開を縮小せざるを得ない動きが出ています。小規模の訪問、通所介護事業者の倒産もふえております。
こうした中、都においては、介護施設職員の住宅の借り上げ補助を行うこと、国には小規模事業者が介護人材を確保できる待遇改善策を求めることなどの取り組みが重要です。
介護人材不足の現状に対して、確保、定着に向けたさらなる取り組みが必要だと考えますが、見解を伺います。
次に、子供、子育て支援について伺います。
私は先月、フィンランドへ海外調査で出かけてまいりましたが、政府や地元自治体が出産を歓迎し、育児を応援するという姿勢をありありと感じることができました。国民も、提供される行政サービスに期待し、安心して出産、育児ができるという雰囲気でした。
私は、都においても同様に、都民の出産、育児を応援し、その姿勢が都民に具体的に伝わるように取り組んでいく必要があると考えております。
しかしながら、日本では、子供を持つ親の七割が子育てに不安や負担を感じているということです。となれば、妊娠、出産、子育てを社会全体で支えていくための取り組みというのは急務であります。
現在、東京都の出生率は、全国最低の一・一五ですが、先般策定された地方創生に関する総合戦略で、希望出生率一・七六の実現を展望する期間が二〇六〇年までとなっておりますが、これは余りにも先の話になってしまうんではないでしょうか。
妊娠や出産、子育てにおける不安や負担、不利益などをどのように解消し、子供を安心して産み育てられる東京を実現するのか、知事の見解を伺います。
次に、産後ケア、育児を支える心と体づくりです。
女性の妊娠、出産から育児までを一貫して支援する体制づくりとしては、東京都は、ゆりかご・とうきょう事業を新設し、区市町村への支援を始めておりますが、現在、産後ケア事業を行っている自治体は三区での実施というふうにとどまっております。
母子健康手帳においては、出産後の母体に関する記述は少なく、産後の家庭では幼児虐待や産後鬱、夫婦不和といった深刻な問題が発生する可能性があるため、子育て家庭の負担を軽減する支援が必要です。
産後の家庭における諸問題に対処するため、産後ケアの取り組みは大変重要であります。
都として、産後ケアが都内で広く推進されるように取り組むべきと考えますが、その見解を伺います。
次に、知事の公約、待機児童ゼロに向けた取り組みであります。
私たちは、二〇一七年度末までに、保育サービス利用児童数を四万人ふやし、都内の待機児童を解消するとの目標が知事の最大の公約の一つと考えております。
都内における保育施設の定員拡充に対する取り組みが進む中で、人材確保が追いつかないのではないかという懸念をしております。
保育士には、資格を取得し、子供の命を預かる責任の重さや社会的ニーズの高さ、労働環境の苛酷さがあるにもかかわらず、平成二十五年の調査では、新規の保育士賃金は月額二十万七千四百円で、全産業月額平均の二十九万五千七百円を大きく下回っております。
今年度、都は、保育士がキャリアアップに取り組む施設の事業者を支援し、給与を上げる補助制度を始めましたが、あわせて新たな人材確保として保育士受験者や新卒者就職、そして定着などの支援充実や保育の魅力を発信する取り組みも重要だと思います。
保育人材確保の課題に向けて、さらなる多様な取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
続いて、救急搬送について伺います。
私たち都議会民主党の求めもあり、今年度は、特殊救急車両や救急隊五隊分の増強が図ることができました。ここ二年間の救急搬送時間は短縮されていますが、私は、さらなる短縮に向けて、新たな手だてを講じていくべきだと考えております。
特に、東京消防庁の救急出動件数は年間七十六万件もあり、それぞれの搬送と患者に関するデータも多岐にわたることから、私は、こうしたビッグデータを活用することで、救急患者の発生予測や救急隊の適切な配置などに役立て、より効率的な運用を図るべきだと考えます。
そこで、救急隊のさらなる増強や効率的な運用など、救急搬送体制の充実に向けた見解を伺います。
次に、まちづくりについて伺います。
舛添知事は、年内に都市計画道路の新たな整備方針を公表すると発言されましたが、早期整備が望まれる路線については、地域の不燃化推進、交通渋滞の解消、歩行者、自転車の安全確保など、より効果的な取り組みを進めることが求められています。
また、オリンピック・パラリンピック後を見据え、成熟都市東京を実現するためには、関連施設周辺の道路については、電柱、電線の地中化などの環境整備ともあわせた早急な取り組みが必要です。
一方で、社会状況やまちのありようが変化している中で、長期未着手の路線については廃止を含めた検討を早期に進めることも求められています。
こうしたことを踏まえ、東京の安全性、快適性、利便性を高め、持続的発展を可能とするよう、めり張りのある次期整備方針にすべきと考えますが、見解を伺います。
最後に、くい打ち工事をめぐる施工データ改ざん問題について、再発防止策を検討する有識者会議や国土交通省や建設会社が加盟する日本建設連合会でも、再発防止を検討しており、特に、くい打ちの記録をとる際に紙ベースだけでなく電子データでも残し、後から検証しやすくする方法などが現在議論をされているようです。
国が業界全体の実態を調査することが当面の課題ではあり、再発防止については、東京都も国や業界全体と連携して対応することが確かに重要です。
しかし、都が発注するさまざまな建設中の案件や当面の発注する案件に対しては、待ったなしの状況であるということもまた事実であります。
そこで、くい打ち工事をめぐる施工データ改ざん問題を受け、東京都は、公共工事の発注者としてどのような対策を進めていくのか、所見を伺います。
以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
○知事(舛添要一君) 斉藤あつし議員の代表質問にお答えいたします。
まず、テロ対策ですが、本年一月のシリアにおける邦人殺害テロ事件以降、我が国も国際テロの標的になり得るとの認識が広まりましたが、特に首都東京においては、世界が注目する国際的なイベントを控え、テロの脅威が徐々に高まっております。
こうした状況に対し、警察、消防のみならず、国や自治体、国民保護法に基づく医療、電気、運送事業者などの指定公共機関等が相互に連携し、テロ対策の強化に取り組んでいくことが急務であります。
都としましては、万一のテロ発生時には、住民避難などの国民保護法に基づく措置等を迅速的確に実施できるよう、関係機関との連携強化や訓練による対処能力の向上に努め、首都東京の安全・安心の確保を図ってまいります。
地方創生の推進におけます他の地域との共存共栄と東京全体の着実な発展についてでありますが、地方創生の実現に向けては、東京一極集中の是正など、東京対地方という構図での議論が先行しているのはまことに残念であります。
そうした議論に対しまして、今回策定しました東京都総合戦略では、東京と地方がともに栄え成長し、日本全体を発展させていく真の地方創生の実現を目指すことを基本に据えました。
東京の発展と地方の繁栄は、二律背反の関係ではなく、地方の特色ある資源と東京に集まる資金、情報とを結びつけることで、相乗効果により地域ごとの新たな魅力が創出されてまいります。
こうした共存共栄の関係を一層強固なものにしていくためには、成長産業分野の戦略的育成や世界有数の観光都市への躍進など、東京全体の活力をより高めていくことが重要であります。
東京は、これまでに経験したことのない本格的な少子高齢化の到来など、さまざまな課題を克服し、国際経済都市としてさらなる発展を遂げることによって、日本全体の持続的な成長に貢献してまいります。
新国立競技場の整備費負担でございますけれども、新国立競技場は、国が責任を持って整備を進めることが基本であります。
一方で、都としての考えが反映された新たな整備計画のもとで、都民に大きな便益があることも明らかであります。
中でも大きなことは、二〇二〇年大会のメーンスタジアムとして開会式や閉会式等を行う、なくてはならない施設でありまして、世界に向け、東京、日本の力とスポーツのすばらしさを発信することであります。
また、大会後の東京や都民にとっても、スポーツの振興はもちろん、周辺環境の向上や地域の防災機能の強化など、多様な価値を末永く持つレガシーとなります。
こうした考えのもと、国において必要な法的措置を講じることも踏まえ、財政負担に応じることを決断いたしました。
この財源案は、結論だけでなく、ただいま申し上げました負担の考え方や都民の便益などを具体的に示しておりまして、私も機会を捉えて説明してきております。
今後とも、都民のご理解が得られるよう丁寧に説明してまいります。
次に、ラグビーワールドカップですが、今回のイングランド大会においては、選手と観客が一体となってすばらしい空間を演出しておりました。
また、会場周辺では、ボランティアによる案内誘導やセキュリティー対策等により、円滑に大会運営が行われておりました。
今後、二〇一九年にラグビーワールドカップ、二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックと世界最高峰のスポーツイベントが二年連続で開催されます。
ラグビーワールドカップの開会式、開幕戦が行われる東京スタジアムは、オリンピックの七人制ラグビーの会場でもあります。
同スタジアムは、多摩地域のスポーツの拠点であり、付近にラグビートップリーグの本拠地があるなど、大会を迎えるのにふさわしい環境があります。地元市を初め、都内各自治体と連携協力し、両大会の機運醸成を図ってまいります。
具体的な大会準備に当たりましても、共通の課題でありますボランティア、多言語対応、セキュリティーなどについて戦略的に準備を進め、二つの大会を一体のものとして捉え、必ず成功に導いてまいります。
受動喫煙防止対策ですが、受動喫煙の防止につきましては、誰もこれは異論がありません。しかし、そのための対策にはさまざまな意見があります。
また、受動喫煙の問題は、地域特性を持つわけではなく、国全体として取り組まなくてはならない課題でございます。
国が先月、閣議決定を行いました二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の基本方針では、近年の開催地における受動喫煙法規制の整備状況を踏まえながら、競技会場及び公共の場における受動喫煙防止対策を強化するとしておりまして、そのための検討体制も立ち上げる予定であります。
都におきましては、現在、受動喫煙の防止に向け、飲食店の実態調査や宿泊施設等の分煙化のための支援を行っております。
今後、国と十分連携を図りながら、実効性のある受動喫煙防止対策を積極的に進めてまいります。
非正規雇用でございますが、世界一の都市東京を目指すには、安定した職業という確固たる生活基盤を築き、皆が明るい気持ちで生活できるような社会を実現していかなければなりません。
先月発表されました厚生労働省の調査で非正規雇用の割合が四割に達しました。高齢者の再雇用やパート労働者がふえたことも要因と考えられますけれども、やはりこの状況は尋常ではないと思います。不本意ながら非正規雇用で働く人が少なからず含まれていると考えております。
都では、三年間で一万五千人の正社員化を実現するため、全力で今取り組んでおります。先週には、一層の機運醸成を図るために、私も出席して、非正規雇用対策シンポジウムを開催いたしました。
国と連携して正社員転換を促進する助成金事業では、既に予定を大幅に上回る申し込みとなっており、今後、適切な事業規模についても検討してまいります。
引き続き、誰もが夢と希望を抱けるような、そういう非正規雇用対策を着実に進めてまいります。
今後の高齢者施策についてでありますが、東京で生まれ、生活し、老後を過ごしてよかったなと誰もが心から実感できる都市にしていくことが、私の目指す東京の姿でございます。
そのため、昨年策定した東京都長期ビジョンでは、高齢者が地域で安心して暮らせる社会の実現を政策指針に掲げました。
また、三月に策定しました東京都高齢者保健福祉計画では、介護サービス基盤の整備、介護人材や高齢者の住まいの確保などを重点分野に、地域包括ケアシステムの構築に向けたさまざまな施策を盛り込みました。
介護が必要になっても住みなれた地域で暮らし続けられるようにするためには、在宅サービスか施設サービスかという二者択一ではなく、両方をバランスよく整備し、さまざまなメニューからサービスを選択できるようにすることが必要だと考えております。
現在、福祉先進都市・東京の実現に向けた地域包括ケアシステムの在り方検討会議では、医療、介護、まちづくり、労働などの幅広い分野の専門家の方々に新たな施策形成につながる議論を行っていただいております。
今後、その議論も踏まえながら、大都市東京にふさわしい高齢者施策を展開してまいります。
次に、安心して子供を産み育てることができる東京の実現についてでありますが、少子化の進行に歯どめをかけ、子供を大切にする社会を実現するためには、社会全体で子供と子育て家庭を支援するという考え方に立って、子育て環境を整備していかなければなりません。
そのため、昨年十二月に策定しました東京都長期ビジョンには、妊娠から子育てまでの切れ目のない支援や、保育サービスの拡充、子育てしやすい環境の整備、ワークライフバランスの推進など、さまざまな施策を盛り込みました。
こうした施策を総合的に推進し、効果を上げていくためには、都や区市町村など行政機関を初め、家庭、地域、企業やNPOが一体となって連携協力していくことが重要であります。
都は、その先頭に立って、福祉、医療、雇用、住宅、教育など、あらゆる分野の政策を総動員して、子育て環境の整備に取り組んでまいります。
なお、そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔東京都技監安井順一君登壇〕
○東京都技監(安井順一君) 都市計画道路の新たな整備方針についてでございますが、将来にわたり東京を持続的に発展させていくためには、広域的な交流、連携や高度な防災都市、地域のまちづくり等を支える道路網のさらなる充実が不可欠でございます。
こうした視点を踏まえ、新たな整備方針では、骨格幹線道路をおおむね完成させるとともに、都県間を結ぶ道路網の拡充等を目指して、優先的に整備すべき路線を示してまいります。
また、区部、多摩を合わせた東京全体のネットワークが形成されることを前提にして、優先整備路線に選定しない路線の今後のあり方等について明らかにいたします。
年内には、こうした内容を盛り込んだ整備方針案を公表し、幅広く意見を聞いた上で、年度末までに新たな整備方針として取りまとめてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) ラグビーワールドカップのチームキャンプについてでございますが、チームキャンプの受け入れは、各国選手団との国際交流の促進など、地域住民に貴重な経験をもたらすとともに、大会に向けての開催機運の醸成、地域の振興、PRなど、地元自治体にとって多くのメリットがございます。
今後のスケジュールといたしましては、まず、来年春以降、チームキャンプ地の必要条件などを提示した選定プロセスが組織委員会から発表されます。
チームキャンプの受け入れを希望する自治体は、これに基づき組織委員会に立候補を表明し、選定手続を経て、大会主催者でありますワールドラグビーにより最終的に承認され、チームキャンプ地として正式に決定されます。
都は、市区町村に対しまして、適時適切に情報提供を行うなど、都内誘致に向けて積極的に支援をしてまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕
○産業労働局長(山本隆君) 四点のご質問にお答えをいたします。
まず、宿泊需要への対応についてでございますが、訪日観光客が大幅に増加し、宿泊需要が高まる中、東京を訪れる外国人旅行者が快適に滞在することができるよう、さまざまな環境の整備を進めることは重要でございます。
このため、都は、宿泊施設のバリアフリー化や、携帯情報端末で容易に観光情報を入手できるよう無料Wi-Fiの整備などを支援しております。
また、特区における旅館業法の特例につきましては、大田区の取り組みがリーディングケースとなるよう、国、大田区との調整を進めております。
今後とも、民間宿泊施設を初め、多様な事業者との連携をより図りながら、外国人旅行者の受け入れ環境の整備を進めてまいります。
次に、外国人観光客の習慣等への対応についてでございます。
世界から東京を訪れる観光客の文化や習慣等に配慮をした対応を行うことは必要でございます。
これまで都は、我が国の生活上のルールを外国人に多言語で説明する取り組み例を民間事業者に紹介をしてまいりました。
今後、海外からの観光客の文化や習慣に関する実情を把握し、これを踏まえた受け入れ環境の整備に努めてまいります。
次に、働き方改革の推進についてでございますが、従業員が安心して働き続けられる良好な職場環境を確保するためには、これまでの働き方を見直すことが必要でございます。
このため、都は、公労使会議において、働き方改革に関する共同宣言を行い、機運の醸成に取り組んでおります。
今後も、国や経済団体、労働団体とも連携し、機運醸成を図るとともに、企業がそれぞれの状況に応じた働き方の見直しに踏み出すことができるような仕組みづくりに取り組んでまいります。
引き続き、良好な職場環境づくりに向けて、働き方の改革に取り組んでまいります。
最後に、職場における女性の活躍推進についてでございますが、働く意欲のある女性が能力を十分発揮できる職場環境を整備することは重要でございます。
都は、仕事と家庭の両立など、さまざまな課題に取り組む企業のすぐれた事例を認定し、公表することにより理解を広めていくとともに、テレワークを初めとする多様な勤務形態の導入など、女性が働きやすい職場環境の整備を支援しております。
今後、企業の理解が一層進むよう、人事担当者など社内のキーパーソンに対する研修機会の拡充を検討してまいります。
引き続き、こうした取り組みを通じて、女性が生き生きと活躍できる環境整備に取り組んでまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕
○環境局長(遠藤雅彦君) 新たな温室効果ガス削減目標の実現に向けた取り組みについてでございますが、都はこれまでも、実効性ある気候変動対策を進めてまいりました。
その一つである都市型キャップ・アンド・トレード制度では、平成二十五年度のCO2削減実績が基準排出量に比べ二三%減となる成果を上げております。
今回定めた削減目標は、こうした取り組みの継続だけでは実現が困難な高い水準に設定しており、施策のさらなる充実を図る必要がございます。
このため、今後とも、オフィスビルが多いことなどの東京の特性を踏まえた効果的な取り組みを検討し、実施してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えをいたします。
まず、介護人材対策についてでありますが、都はこれまで、介護人材の確保、定着を図るため、東京都福祉人材センターにおける職業紹介、あっせんや、就労後の定着、離職防止に向けた相談支援など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
今年度からは、国のキャリア段位制度を活用し、職責に応じた処遇を実現するキャリアパスの導入に取り組む事業者への支援や、派遣先に雇用されることを前提とした人材の派遣など、都独自の新たな取り組みも開始しております。
また、国に対しては、専門性の高い介護人材の確保、育成、定着のための総合的な対策を確立し、着実に推進するよう、繰り返し提案要求しております。
今後とも、介護人材の確保、定着に向け、施策の充実を図ってまいります。
次に、産後ケアについてでありますが、産後ケアは、子供の健やかな育ちと母親の心身の健康を支える上で重要な取り組みでございます。
そのため、都は、平成二十二年度から、産後に家族等の援助を受けられず、心身の負担感を抱える母親を対象に、ショートステイや相談等を行う区市町村を包括補助事業で支援しており、現在四つの区市が実施しております。
さらに、今年度からは、妊娠期から切れ目なく全ての子育て家庭を支援する、ゆりかご・とうきょう事業を開始し、区市町村が専門職による妊婦への面接等とあわせて産後ケアを行う場合には、財政支援を行っております。
今後とも、こうした産後ケアの取り組みが進むよう、母子保健担当者向けに研修や説明会を実施するなど、区市町村を積極的に支援してまいります。
最後に、保育人材確保に向けた取り組みについてでありますが、保育ニーズに対応するためには、サービス基盤の整備を進めるとともに、人材の安定的な確保が重要でございます。
そのため、都はこれまで、潜在保育士を対象とした就職支援研修と就職相談会の一体的な実施や、保育の魅力をアピールするイベントの開催、保育人材、保育所支援センターのコーディネーターによる就職相談や就職後の定着支援、保育従事者向けの宿舎借り上げ支援など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
今年度からは、こうした取り組みに加え、新たに認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育等を対象に、保育士等のキャリアパスの導入に取り組む事業者への支援を開始しており、今後とも、保育人材の確保、定着に積極的に取り組んでまいります。
〔消防総監高橋淳君登壇〕
○消防総監(高橋淳君) 救急搬送体制の充実についてでありますが、東京消防庁では、救急車が現場に到着する時間の短縮に向けて、救急隊を計画的に整備しているところであります。
また、救急医療の東京ルールを活用するとともに、東京都医師会等と連携し、収容可否の判断を早期に行うよう医療機関に要請するなど、救急隊の効率的な運用を行っております。
今後とも、高齢化の進展などにより、救急需要の増大が予想されることから、これらの取り組みを進めるとともに、地域における救急事象の発生状況等の情報も踏まえ、救急搬送体制の充実に努めてまいります。
〔財務局長長谷川明君登壇〕
○財務局長(長谷川明君) くい打ち工事に係る都の発注者としての対応についてでございますが、公共性の高い都有施設の安全性確保は重要であり、今回の問題を契機に、工事記録の適正な作成や確認など、品質管理の取り組みを改めて徹底することといたしております。
具体的には、現在工事中の現場における、くい工事について緊急点検を実施いたしますとともに、施工者や工事監理者に対して、構造上重要な工程の立ち会いや記録の確認を一層確実に行うよう指導しております。
また、施工中に疑義等が生じた場合には、速やかに都の監督員に協議するよう周知するなど、きめ細かく工事監督を行ってまいります。
今後とも、国による再発防止対策の検討状況などを踏まえながら、工事発注部局で連携して、確実な品質確保に向けて取り組んでまいります。
○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
○議長(川井しげお君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(川井しげお君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
明日は、午後一時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後七時二分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.