平成二十七年東京都議会会議録第十六号

   午後三時三十分開議

○副議長(小磯善彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百七番橘正剛君。
〔百七番橘正剛君登壇〕

○百七番(橘正剛君) 都議会公明党を代表して質問を行います。
 質問に先立ち、十一月三十日に逝去されました名誉都民水木しげるさんのご冥福を心からお祈り申し上げます。
 また、十一月十三日には、友好都市であるパリ市の中心部や近郊で悲惨な同時多発テロ事件が発生しました。犠牲になられた方々とそのご家族の皆様に謹んで哀悼の意を表するものであります。
 質問に入ります。
 アジア諸国が目覚ましい発展を続ける中で、日本は新たな成長モデルの構築を迫られております。
 そうした中で東京は、技術力の高い中小企業が豊富で、付加価値とブランド力のポテンシャルは非常に高いものがあります。
 また、観光や医療などの幾つかの分野においても大きな成長力を持っており、そうしたポテンシャルを都として積極的に活用するための改革に挑むべきであります。
 また、都民一人一人が輝くことのできる環境を整えることが東京の総合力を高め、今後の新たな発展につながると考えます。
 都議会公明党は、そのために必要な政策、制度、施策を東京の都市改革と位置づけ、提案や主張を積極果敢に展開してまいりたいと考えております。
 以下、その観点から、何点か質問いたします。
 まず、芸術文化を基軸とした都市外交の推進であります。
 東京は、単に日本の首都であるとの見地に立つだけでなく、さまざまな観点から、世界のために貢献する取り組みを展開すべきであります。とりわけ、都市外交は、都市を標的としたテロ行為が横行するような情勢であるからこそ、なおのこと重要です。
 そうした中で、舛添知事は、先日のパリ出張の際、パリ市長や美術館などとの交流を深めたと聞いております。海外の都市を直接訪問し、友好を深めるとともに、その後も在京大使館などを通じ継続的な交流を促進し、都市間交流の礎を確たるものにする必要があります。
 例えば、一九六四年のオリンピック・パラリンピック東京大会を契機に結成された東京都交響楽団も本年五十周年を迎え、この十一月も欧州五カ国六都市で記念公演を成功裏に終えたところでございます。
 二〇二〇年東京大会においても、そうした芸術文化面での取り組みを成功させ、世界中の人々を魅了し、後世へのレガシーにつなげていくことが重要と考えます。
 そこで、芸術文化面における今後の都市間交流を進めていくことについて、知事の所見を伺います。
 次に、働き方改革について質問します。
 少子高齢化が進展する中、将来的な労働力人口の減少を見据えれば、若者、女性、高齢者などあらゆる世代がみずからの希望に基づいて働き続けることのできる環境整備が必要です。
 ワークライフバランスを実現し、女性も男性も能力を発揮し、さらには育児や介護といった状況になっても働き続けることができるようにしなければなりません。その観点から、一部の民間企業では、テレワークの導入や自宅近くにサテライトオフィスを設置するなど、職住近接の取り組みも進められております。
 女性や高齢者、若者など、誰もが生き生きと活躍できる社会の実現に向けて、東京の働き方改革は避けて通ることのできないテーマだと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、働き方改革に関連して、委託契約のあり方について質問します。
 先日、東京都発注の設計業務委託において、信じられないような低入札価格での落札事例がありました。いわゆるダンピングは、正式に認められる落札においても一部の業務委託で発生しがちであり、こうした低価格競争が事業者の経営を圧迫し、ひいては賃金の抑制や未払いなどにもつながっていると仄聞しております。
 都は、将来にわたる業務の品質の確保のため、その事業を担う事業者や、そこで働く労働者の就業環境にも配慮すべきです。これは、公共工事を対象とした、いわゆる改正品確法の基本理念にもうたわれており、業務委託にも通じるものと考えます。
 そこで、都は発注者として、事業者の中長期的な育成、確保を初め、都民の信頼の上に立って、契約の透明性、競争性、品質の確保という社会的要請を満たしながら、業務委託における最低制限価格制度を導入すべきと考えます。都の所見を求めます。
 次に、都内中小企業の海外展開のあり方について質問します。
 ポテンシャルの高い都内中小企業の技術、製品が売り上げを高めていくためには、海外市場での販路開拓が重要です。ただし、生産拠点まで海外に移転していくような事態は、できる限り回避しなければなりません。そうした難しいかじ取りに東京は積極果敢に挑戦すべきであります。
 まず、海外での販路開拓を効果的に進めていくためには、現地の事情に精通し、情報発信力や購買ニーズの把握力にすぐれた企業や個人等のネットワークを活用することが重要であります。
 そうした意味で、現地で活動する金融機関やコンサルティング会社を初め、現地のニーズや流行などに敏感な企業や人材などと連携して、都内中小企業の販路開拓を効果的に進めるべきと考えます。都の見解を求めます。
 一方で、生産拠点が続々と国外に移転し、果ては本社機能まで移転してしまうことになれば、国内産業の空洞化が進み、都内での働き場所まで失われ、地域の活気や消費に影響を及ぼしかねません。そうした事態を放置すれば、やがては競争力の源泉である基盤技術が失われ、新産業を生み出す力も弱まってしまいます。
 都内において継続して操業できるよう支援策を重ねていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、空き家対策について質問します。
 都内の空き家戸数は約八十二万戸に増加し、今後、人口減少が見込まれる中、空き家がさらに増加するものと想定されております。
 空き家の活用は、景気や防犯対策のみならず、各種施策の新たな推進策や住まいの質の向上につながる大事な視点であります。
 国においては、空家等対策特別措置法が制定され、区市町村が老朽空き家の所有者に対し、修繕や除却の指導や勧告などを行うことができるようになりました。都民の安全・安心な暮らしのためには、老朽空き家の除却は重要でありますが、一方で、有効に活用することも必要であります。
 知事は、今定例会の所信表明で、高齢者福祉や子育て支援の拠点への転用などは、空き家を都市の貴重な資源へと生まれ変わらせる有効な手段であるとの見解を示しました。利活用可能な空き家については、地域の実情に応じて、高齢者の住まいや地域の活性化に役立つ用途に活用していくことも重要と考えます。都の取り組みを伺います。
 戸建ての空き家だけでなく、共同住宅における空き室も増加している中で、特にエレベーターのない中層の共同住宅では、上層階ほど空き室化が進んでおります。こうした住棟において空き室化の抑制を図るためにも、都は、共同住宅の共用部分のバリアフリー化を促進する支援策を講じるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、東京港の経営について質問します。
 東京港は、十七年連続でコンテナ貨物取扱個数が日本一になるなど、我が国の産業と住民の暮らしを支える重要な役割を今も担い続けております。東京港がその役割を今後も維持し、さらに必要な機能アップを着実に果たし続けていくことこそが、今後の東京改革に欠かせない条件でもあります。
 そもそも、東京港が今日まで多様なニーズに応え、その機能を十分発揮できているのは、現場を熟知した港湾関係者と都議会、港湾管理者である都が一体となって幾多の困難を乗り越え、さまざまな物流動向の変化に柔軟かつ的確に対応してきたからであります。
 一方、京浜三港においては、昨今、それぞれの港のふ頭会社を経営統合する港湾運営会社の設立が課題となっております。
 我が党はこの動きに対し、現場の方々の声を十分に聞きながら、慎重に対応すべきと都議会の場で繰り返し主張してまいりました。
 このたび提出された都の報告によりますと、横浜港と川崎港が先行して港湾運営会社を設立するのに対し、東京港は、現時点では港湾運営会社の設立に参加しないとの結論に至ったとのことであります。
 今回の報告で大事なことは、東京港は独自性を保ちながらも、今後も国際戦略港湾である京浜港の一員として、引き続き、国や他の京浜二港と連携し、国際競争力の強化に取り組むとしている点であります。
 中央防波堤外側のコンテナターミナルや臨港道路南北線など、東京港の機能アップに必要な整備が推進され、物流機能の改善、強化が一層促進されるものと期待いたします。
 今回の合意は、京浜港関係者にとって、現在考え得る最善の策ではないかと評価いたします。
 そこで、こうした新たな局面を迎えた中、東京港の望ましい発展を確実にしていくための港湾経営のあり方について、改めて知事に所見を伺います。
 次に、海辺や港の活用について質問いたします。
 もともと東京は、舟運を大きなよりどころとして発展した都市であり、今も港湾機能の維持向上は東京の発展に欠かせない大事な課題であります。
 加えて、昨今は風光明媚な景観や趣味、娯楽の機会を創出する可能性のある空間として、東京港の存在価値が高まっております。
 二〇二〇年東京大会においても、トライアスロンやカヌー会場に東京港の一部が選定されたこともあり、都民が海と親しめる水辺空間として、ベイエリアの魅力の創出に関心が集まっております。
 この夏、都立葛西海浜公園やお台場海浜公園では、一部の海辺で都民が海水浴を楽しみました。また、親子でハゼを釣ろうというイベントも開かれ、にぎわいました。
 今、世界の諸都市が生態系に配慮した都市づくりを目指す中、二〇二〇年東京大会の開催を契機に、環境先進都市東京の一つの顔として、東京の海をふるさとの海として復活させ、未来に引き継ぐレガシーとするべきであります。
 葛西海浜公園やお台場海浜公園の地元区は、水辺の環境学習や海水浴イベントなどを開催し、NPOなどと協働して地域の水辺環境の保全や活用に取り組んでおります。
 都としても、海上公園に関する地元区などの活動を支援していくべきと考えますが、見解を求めます。
 また、東京の海を本格的に復元させるためには、東京湾に放出される都市下水の浄化処理の高度化等が重要であります。下水道局が推進してきたこれまでの水質改善の効果と、二〇二〇年東京大会に向けた今後の取り組みについて見解を求めます。
 次に、二〇二〇年パラリンピック東京大会を史上最高の祭典にするための取り組みについて質問いたします。
 二〇一二年パラリンピック・ロンドン大会は、二百七十万枚のチケットを完売するなど、観客動員数から見ても、これまでにない史上最高の大会となりました。英国でパラリンピック大会の機運が高揚した大きな原因の一つが、障害者の参画を前面に打ち出した大会運営にあったといわれております。
 ロンドン大会では、パラリンピアンをスーパーヒューマンズとたたえ、その写真をオリンピアンと並べて紹介するなど、ポスターやメディアを積極的に活用いたしました。
 また、障害者アートのイベントを各地で開催するなど、障害者の活躍の舞台を競技以外にも幅広く展開いたしました。
 史上初の二度目のパラリンピックを迎える東京では、ロンドン大会を上回る工夫を展開すべきであります。
 そこでまず、一人でも多くの障害者が、リポーターや会場アナウンサーなど、さまざまな分野のスタッフとして活躍できるパラリンピック大会とすべきと考えますが、見解を求めます。
 また、パラリンピック大会の機運をさらに醸成するため、より多くの都民が日ごろから障害者スポーツの競技や大会を観戦できるよう、都が主体的に情報発信に力を入れるべきと考えます。見解を求めます。
 加えて、開催都市として、特に集客力のある都の施設を選び、パラリンピアンの活躍の模様や競技内容などを紹介する展示コーナーを設け、都民の理解促進に取り組むべきでありますが、見解を求めます。
 このたび都は、都議会公明党の議会提案に応え、リオ大会のライブサイトを区部、多摩部、そして被災県で開催することを決定いたしました。迅速な対応を評価いたします。
 ライブサイトとは、大型ビジョンを中心としたアミューズメント的イベント会場のことであります。屋外会場となる場合も予想されることから、暑さ対策にも万全を期すべきであります。
 パラリンピックライブサイトの成功に向けた都の見解を求めます。
 一方、ロンドン大会を成功に導いた最大の功労者はボランティアといわれております。その活躍の記憶は、大会レガシーとして今も世界が高く評価するところであります。
 ロンドンでは、五輪招致の早い段階から、緻密に計画やコーディネートに取り組みました。とりわけ、年齢や性別だけでなく、障害者などのカテゴリーにおいても採用数の目標を決めたり、ボランティアの役割を明確にするなどの取り組みを通じて機運を高めました。
 その結果、二十四万人もの応募者があり、その中から七万人のゲームズメーカーと呼ばれるボランティアを育成し、大会を成功に導きました。
 都においても、日本のおもてなしを体現するボランティア文化の礎を築き、二〇二〇年東京大会の成功はもとより、後世に伝えるレガシーとすべきであります。
 そのためにも、都は東京大会に向けて、多様性に富んだ人々に参加してもらうことができるよう、早期にボランティアに関する総合ビジョンを策定していくべきと考えます。
 さらに、東京大会では、日本人によるボランティアだけでなく、日本語を話すことができ、母国語でもコミュニケーションがとれる在日外国人や留学生などにも協力してもらうなど、ボランティアの面でも国際色豊かなダイバーシティーを実現すべきです。あわせて見解を求めます。
 また、ボランティアの中でも、東京大会で中核となる人材の育成も重要な課題です。東京マラソンやラグビーワールドカップ日本大会などで活躍するボランティアを、例えば、ロード・ツー二〇二〇などと命名し、東京大会に結びつけていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、二〇一九年のラグビーワールドカップ日本大会について質問します。
 本年のイングランド大会では、日本代表の活躍が、日本のみならず世界のラグビーファンに感動と興奮をもたらしました。その四年後にラグビーワールドカップ二〇一九日本大会が開催されます。
 全国十二都市と並んで開催都市の一つである東京では、調布市内の東京スタジアムで開幕試合など主要な熱戦が展開されます。
 ラグビーワールドカップは、オリンピック・パラリンピックやサッカーワールドカップと並ぶ国際的なビッグイベントであり、日本大会の開催は、スポーツ先進都市東京を世界にアピールする絶好のチャンスであります。
 大きな経済効果も期待されております。翌年に控えた二〇二〇年東京大会と一体的に捉え、大いに盛り上げていかなければなりません。
 ラグビーワールドカップ日本大会の成功に向けた知事の決意を伺います。
 先般、ラグビーワールドカップのイングランド大会が開催されていた英国に、都議会の調査団の一員として、我が党を代表して派遣された議員の報告を聞きました。
 試合会場でラグビーの競技の激しさや迫力に圧倒される一方で、観客のマナーがすばらしく、競技場の内外では互いに譲り合う姿なども見受けられ、約八万人の客席の入退場が極めて安全かつスムーズに行われていたとのことであります。
 ラグビーの世界には、選手もファンも互いに尊重し合う気風があり、ラグビー文化というものを実感したとのことでありました。
 こうした文化を含め、日本ではラグビーというものが余り知られておらず、ルールを詳しく知っている人も多くありません。二〇一九年日本大会を盛り上げ、成功させるためには、何よりも、文化やルールも含め、ラグビーの魅力を都民に広く知っていただくことが大事であります。
 折しも来年二月からは、国際リーグ戦であるスーパーラグビーが始まり、多くの日本人選手が出場します。こうした機会も最大限に生かし、著名な選手が参加するイベントを都として開催するなど、開催各都市と連携し、ラグビーの普及に努めるべきです。都の所見を求めます。
 次に、主要会場となる東京スタジアムへの交通アクセスについて質問します。
 イングランド大会で約八万人の入退場がスムーズに行われていた背景には、ラグビー文化の存在とともに、鉄道やバスなど交通アクセスの充実があります。中でも、シャトルバスが有効に活用されていたとのことであります。
 翻って、東京スタジアムは、最寄りの京王線飛田給駅からのアクセスだけでは不十分な状況にあります。周辺のほかの駅や、新宿など都心と会場を結ぶシャトルバスの運行を検討するべきです。
 東京スタジアムへの交通アクセスについて、都の見解を求めます。
 シャトルバスの円滑な運行や利用者の安全な乗降を実現するためには、東京スタジアム周辺の土地の活用を含めた対策が必要であります。
 また、英国では、ラグビー競技場のグラウンドと観客席とが近く、選手と観客の一体感が高まるよう工夫されております。さらには、会場の内外でラグビーファンが試合前から飲食を楽しみ、社交の場となるホスピタリティー施設も充実しておりました。
 東京スタジアムにおいても、観客が一体感を持って試合を楽しめる工夫や、おもてなし施設の整備が重要と考えます。あわせて所見を求めます。
 次に、新国立競技場の整備について質問いたします。
 舛添知事は、今月一日の遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣、馳文部科学大臣との会談において、新国立競技場の整備経費のうち、約三百九十五億円を都が負担することで合意いたしました。
 我が党としては、二〇二〇年東京大会の成功に必要不可欠な新国立競技場が、大会の準備にきちんと間に合うように完成し、大会後も多くの都民が利用する価値あるレガシーを残す存在となることを強く期待するものであります。
 しかし、都が財源を負担することについては、法整備上の課題や、上限が設定されていないため、負担が増加して三百九十五億円を大きく超えてしまうのではないかとの懸念が指摘されております。また、国の要請を受けて合意した知事には、都民への説明責任もあります。
 そこで、都の負担を決断する際に、知事が判断基準とした点について見解を伺います。
 次に、都民の命を守る観点から、テロや災害対策について質問します。
 まず、テロについてであります。
 パリ同時多発テロでは、劇場や競技場など、いわゆるソフトターゲットが狙われ、多くの一般市民が犠牲となりました。
 今後、都においては、ラグビーワールドカップ日本大会や二〇二〇年東京大会を初め、国際的なイベントがめじろ押しとなります。首都東京がいつテロの攻撃対象になるとも限りません。テロから都民を守る危機管理をしっかりと確立していくことが喫緊の課題であります。
 そこで、都内で万一、テロが発生した場合、速やかに関係機関と連携し、都民の安全を確保するため、適切に対処しなければなりません。
 都の具体的な取り組みについて見解を求めます。
 近年、地球温暖化の進行に伴い、世界各地で異常気象が頻発し、記録的な豪雨などでとうとい命が失われ、家屋や農作物にも大きな被害が発生しております。都としても、気候変動対策に真剣に取り組む必要があります。
 現在、パリ市においてCOP21が開かれ、気候変動の危機を回避するための国家間の議論が行われております。
 先週四日には世界の都市や自治体の首長が集う、気候変動に関する首長サミットが開催され、気候変動問題に対する都市の対応と貢献が世界に発信されました。
 都はこのたび、CO2削減目標として、二〇三〇年までに三〇%削減という意欲的な数値を掲げておりますが、目標達成には実効ある対策が不可欠であります。
 また、CO2の削減は、国際社会全体で取り組んでこそ意味があります。そのため、都は今般、世界の主要都市の首長が温室効果ガスの削減を誓い合うコンパクト・オブ・メイヤーズに参加いたしました。
 そこで、この参加を機に、世界の気候変動対策に一層貢献していくべきと考えますが、都の参加の意義と今後の具体策について見解を求めます。
 次に、水害対策について質問します。
 ことし九月に関東、東北地方を襲った豪雨災害では、鬼怒川の氾濫により浄水場が水没したほか、水道管路が破損して給水がとまり、復旧まで長期間を要する事態となりました。
 中央防災会議では、マグニチュード七クラスの首都直下地震が発生する確率は、三十年以内に七〇%と推定され、そのときの断水率は最大四五%以上とされております。
 災害時において、より便利でわかりやすく給水に関する情報が入手できるようになれば、都民の安心は一層向上します。
 そこで、インターネットを活用したわかりやすい断水情報や復旧情報を提供すべきと考えますが、水道局の見解を求めます。
 東京の東部低地帯は、大規模な水害に見舞われた場合、ポンプの力をかりないと雨水を排水できない地形となっております。したがって、あらかじめ下水道局の管理する雨水ポンプ施設について、水害時でも機能する耐水対策を行っておくことは極めて重要であります。
 建設局と港湾局は、水門やポンプ等の受配電設備や非常用電源設備などを高潮の高さより高い位置に設置するとしておりますが、下水道局の施設は、高潮の高さより低い想定となっている津波の高さを基準にして対策を講じるとしております。洪水や高潮による大規模な水害の発生が懸念される中、この対応では不安です。
 下水道局のポンプ施設等においても、河川や港湾施設と同様に、高潮の高さより高い位置の耐水化にレベルアップすべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、大規模水害が発生した際に必要な広域避難について質問します。
 残念ながら、広域避難に関する国の検討が進んでいないことから、浸水被害が懸念される区部東部の五区は、本年十月に大規模水害対策協議会を立ち上げ、独自に検討を開始いたしました。しかし、広域的な調整が必要となる課題については、都も積極的に取り組むべきであります。
 地域によっては、千葉県や埼玉県に避難した方が早く避難できることから、都は、千葉県、埼玉県と広域避難体制について協議を進めるべきと考えます。見解を求めます。
 水害と同様に、地震対策についても、都は大都市特有の課題の解決に向けて着実に取り組む必要があります。その一つが、緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化であります。
 都が平成二十七年度までの完了を目指して取り組んできた特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化率は、今年九月末現在で八〇・六%と聞いております。着実な進展は見られるものの、まだ途上であります。
 耐震改修工事などへの助成期限を延長して、さらに工事着手のピッチを上げていくべきであります。
 そこで、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化に向けた都の今後の取り組みについて見解を求めます。
 耐震改修工事が実際に着手されるためには、分譲マンションの区分所有者などが抱くさまざまな不安が解消され、合意に至る必要があります。このため、建築物を現状のまま放置することによる危険性を正しく認識してもらわなくてはなりません。
 以前、我が党が視察した神戸市の人と防災未来センターは、阪神・淡路大震災を機に設置されたものであり、震災被害を追体験できる企画を行うなど、防災意識の向上に極めて効果的な役割を果たしておりました。こうした取り組みは、沿道耐震化においても有効と考えます。
 しかし、問題は、そうした啓発の場に足を運ぶ機会の少ない沿道建築物の所有者への対応です。都が直接アプローチを行い、大地震が発生した場合の被害状況を収録した映像を用いて耐震化の重要性を肌で感じてもらうなど、アウトリーチ型の普及啓発が必要と考えますが、都の見解を求めます。
 また、都の耐震化相談会は、専門分野の異なる複数の専門家が対応することで、多様な不安を抱える関係者のニーズに応えており、大変好評と聞いております。
 こうした相談会をより活用してもらうとともに、耐震化に取り組もうとしている所有者に工事中の影響や改修後の姿、合意形成の進め方などについて、身近にイメージを抱いてもらうことも重要です。
 都は、このような視点から、建物所有者に対して、実際の改修の取り組み状況や体験談などについて、しっかりと情報提供していくべきです。見解を求めます。
 次に、土砂災害防止について質問します。
 都内では現在、土砂災害警戒区域が約八千七百カ所、そのうち特別警戒区域が約六千四百カ所指定されております。そして、土砂災害特別警戒区域に老人ホームや病院などの要配慮者関連施設が三十九カ所、学校が二十七校あることから、平成二十六年の第三回定例会で都議会公明党は、一刻も早い対策事業の実施を求めたところであります。
 都はその後、対策を検討してきたと聞いておりますが、早急に土砂災害対策の方針を示すべきであります。見解を求めます。
 次に、高校中退者の支援策について質問いたします。
 都がこのたび公表した、不登校・中途退学対策検討委員会の中間のまとめによりますと、例えば、中途退学者の場合、約七割が安定した就労や次の進学に向けて取り組めていない状況にあります。
 都は、公明党の提案で、今年度から、都立高校の補欠募集の実施結果を公表することにしております。結果の公表は、より適切な指導助言につながりやすくするためのものであります。
 さらに、直近の試験問題を知ることによって、学校選択や合格に向けた対策も打つことができるため、より挑戦意欲が高まるはずであります。
 そこで今後は、各学校で作成している補欠募集の過去の試験問題を、志願する受検生など、希望する人が容易に入手できるようにすることが必要であります。都教委の見解を求めます。
 高校の中退者支援に関連して、チャレンジ支援貸付事業の活用について質問いたします。
 この事業は、学習塾等の受講料や、高校や大学などの受験料の捻出が困難な世帯に対し必要な資金を貸し付けする事業であり、平成二十六年度の貸付件数は二十年度当初の八倍を超え、一万件以上となっております。
 なおかつ、高校や大学等に入学できた場合は返済しなくてもよい条件となっており、制度を利用した九六%の生徒が合格し、返済が免除されております。
 本年四月から、高校中退者も貸し付けの対象になったとのことでありますが、事業案内やホームページを見ても、対象者は、中学三年生、高校三年生としか記載されておりません。これでは、自分が該当するかどうかわかりません。
 進学に向けて、再チャレンジしようと意欲を持った高校中退者にもわかるように、しっかり周知すべきと考えますが、見解を求めます。
 高校中退者については、就労に向けた支援においても、きめ細かな対応が必要であります。
 都は今年度から、しごとセンターにおいて、高校中退者など向けのセミナーやカウンセリング、履歴やエントリーシートの書き方、面接の助言などを行っておりますが、さらに一歩踏み込んだ支援を求めたいと思います。
 一つは、高校との連携であります。
 生徒が直前まで通っていた学校側と教育庁を通じて連携を図ることは、より適切できめ細やかな支援につながり、就労効果も高まるものと考えます。
 さらには、都立職業能力開発センターでも高校中退者向けの事業を拡充するなど、就労の促進に全力を挙げて取り組むべきであります。見解を求めます。
 次に、若者の職場安定支援について質問いたします。
 生産年齢人口の減少が進み、人手不足が明らかな見通しとなっている日本においては、若者の職場定着が一段と重要度を増しております。
 今もなお、大卒者の三人に一人は三年以内に離職しております。とりわけ中小企業においては、入社後三年目までの離職率が四割を超えているとの調査もあり、深刻であります。
 都内中小企業の中には、若者を採用しても育成する余裕がなかったり、職場での指導、育成システムであるOJTの必要性はわかっていても、何をどのように実施すればよいのかわからないという事例も見受けられます。
 今後、若者の職場定着を進めていくためには、都として、企業の負担を軽減させるための支援を行うべきであります。
 加えて、職場内に若い世代が少ない企業においても、若者の孤立感を和らげるための取り組みを支援する必要があると考えます。あわせて見解を求めます。
 次に、認知症対策について質問いたします。
 厚生労働省の発表によりますと、全国で認知症の人は約四百六十二万人であり、正常と認知症の中間に当たる軽度認知障害、MCIは約四百万人と推計されております。実に六十五歳以上の高齢者の約四人に一人が認知症か、その予備軍ということになります。
 軽度認知障害とは、記憶や決定、実行などの認知機能の一つに問題があっても日常生活には支障がない状態であります。軽度認知障害の段階で早期に発見し、認知症にならないように予防対策を講じることが重要であります。
 そこで、都においても、できるだけ早期に認知症予防対策を進める必要があると考えますが、具体的な取り組みについて見解を求めます。
 また、各区市町村が認知症予防に一段と力を入れて対策を講じることができるよう、首都大学東京や東京都健康長寿医療センター等と連携して、国内外の先進事例の収集、提供を初め、認知症の予防と治療をさらに研究し、強化していくべきであります。見解を求めます。
 認知症対策において、早期発見、早期治療と同様に重要な視点は、徘回などの重症患者を抱える家族への支援であります。
 警察で保護された身元不明者については、原則二十四時間以内に身元が判明しない場合、警察署が所在する区市町村に身柄が引き継がれることになっております。当然、区市町村はその後も身元の特定に努めるわけでありますが、一方で、さまざまな理由から、顔写真の公表まで踏み切れない事情もあるようであります。
 しかし、行方不明者を探す家族には、保護された身元不明者の顔写真の閲覧を認めるべきであります。これによって、家族の姿を求めて奔走する都民の負担も和らぎ、身元の判明に至る可能性も大いに高まるものと考えます。
 その点、頼りになるのは、やはり警視庁であります。警視庁として、行方不明届を提出した、または、現に行方不明届を提出しようとしている家族等に対して、都内各地で保護された身元不明者の顔写真を一括して地元署で閲覧に供することができれば、身元不明者と家族の双方にとって効果の高いものになると考えます。
 そこで現在、警視庁が行っている身元不明者として保護されている人を早期に帰すための対策の内容と今後の対応について、警視総監の所見を伺います。
 一方、身元不明者の身柄を警視庁から引き継いだ区市町村においても、早期に家族のもとに戻せるよう努めなければなりません。
 しかし、地元で保護されたとはいえ、必ずしもその自治体の住民とは限りません。したがって、こうした身元不明の認知症高齢者については、広域自治体である都としても、他県や区市町村と協力して身元の判明に努めるべきと考えます。都の見解を求めます。
 次に、都内で不足する墓地について質問いたします。
 近年、樹木の下に遺骨を共同で埋納する、いわゆる樹林型墓地の人気が高まっております。高齢、核家族化の進展により、墓の承継者がいない、また、一般墓地に比べて使用料が安いなどの理由のほか、死生観の多様化という背景があると思われます。
 都議会公明党は、先日、都立霊園として初めてこの樹林型墓地を整備した小平霊園を改めて視察いたしました。小平霊園に樹林型墓地が整備されたのは三年前のことであります。当時、最も人気だった申込区分は三十一倍、平均でも十六倍という高い倍率でありました。
 こうしたことから我が党は、この初回公募直後の本会議の一般質問で、公募数の増加及び他の都立霊園への拡大を提案いたしました。
 そこで、公募拡充等の状況について答弁を求めるとともに、樹林型墓地への都民の高い期待に今後も意欲的に応えるべきと考えますが、見解を求めます。
 最後に、地方法人課税の不合理な偏在是正措置について申し上げます。
 平成二十八年度税制改正については、与党税制改正大綱の策定に向けて、一両日中にも決着がつけられようとしております。今まさに最終局面を迎えております。
 今回の税制改正では、都が撤廃を求めてきた法人事業税の暫定措置は廃止の方向とされる一方、代替措置として地方法人税の拡大が見込まれております。不合理な措置がさらに拡大されれば、都の先駆的な施策の実現はおろか、少子高齢化の進展や社会資本ストックの維持更新など、東京が抱える将来にわたる膨大な財政需要への対応に支障を来しかねません。
 この重要な局面に際して、都は、都民の利益を守るために最後までしっかりと働きかけていくことを強く求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 橘正剛議員の代表質問にお答えいたします。
 芸術文化を生かした都市間交流の促進についてでございますが、芸術文化による都市間交流は、言語、民族、歴史的背景などを超えて異なる文化を認め合うことで市民間の相互理解を深めることにつながり、大変有意義でございます。
 パリ出張の際に浮世絵展を視察いたしましたが、日本文化に対する注目の高さを肌で感じ、東京に集積する日本文化の魅力をさらに強く発信していくことが重要であると認識いたしました。
 これまでも、東京都交響楽団による創立五十周年記念ヨーロッパツアーや、都立文化施設において、ロンドンやパリを初めとした各都市の美術館や博物館のすぐれた作品を紹介するなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 今後は、海外の著名な美術館等との協力関係をさらに強化し、展覧会の内容を充実させるとともに、本年十月に江戸東京博物館で開催しました、東京、北京、ソウルなどによる博物館国際シンポジウムに代表されるような事業を海外の諸都市と実施してまいります。
 また、東京で行う大規模フェスティバル等の中で、内外のアーティストの相互交流を活発化させ、現代美術や舞台芸術の作品制作につなげていくなど、文化事業の充実に取り組んでまいります。
 芸術文化を通じた都市間交流を積極的に推進することで、東京と各都市との友好のきずなを一層深め、それぞれの都市のさらなる発展に寄与してまいります。
 次に、働き方改革の推進についてでございますが、人々が効率的に働き、そこで生み出された時間を有効に活用することにより、ワークライフバランスを実現し、豊かさを実感しながら生活を楽しむ姿こそ、成熟した先進都市のあるべき姿であります。
 そのためには、企業現場において、イノベーションや生産性の向上を図ると同時に、長時間労働の削減や有給休暇の取得促進など、これまでの働き方を改めることが必要であります。
 将来的には、例えば、週休三日になって充実した生活を過ごすことができるような社会が望ましいと考えております。しかし、現実には、企業の規模や業種によって働き方も多種多様でありまして、厳しい環境に置かれている企業も少なくありません。
 そこで、まずは国や経済団体、労働団体とも連携を図り、大企業、中小企業はもとより、社会全体で働き方改革の機運を醸成してまいります。
 また、働き方の改革を目指す企業が、それぞれの状況に応じた働き方の見直しに踏み出すことができるような仕組みづくりに取り組んでまいります。
 さらに、テレワークの導入や柔軟な勤務時間制度など、先行する企業の事例についても発信してまいります。
 誰もが豊かな生活を享受できる働き方の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
 東京港の経営のあり方についてでございますが、東京港は、都民の暮らしはもとより、首都圏四千万人の生活や産業活動を支える社会インフラとして、我が国の成長に欠かせない役割を担っております。
 近年、東京港においては、生産拠点の海外移転や、日本社会の成熟化に伴う消費財の輸入比率増加といった産業構造上の要因により、輸入港としての性格がますます強まっております。
 このように、港湾を取り巻く環境が変化していく中、多様化する利用者ニーズに適時的確に対応するには、現場を熟知した都が引き続き、ふ頭会社、港湾関係者と三位一体となって港湾経営を行うことが重要であります。
 今後、都は、国際戦略港湾の一翼を担いながら、ふ頭の再編整備や道路網の充実といった港湾機能の強化に努め、現場とともに質の高い港湾経営を行い、日本経済のさらなる発展に尽力してまいります。
 次に、ラグビーワールドカップについてでありますが、ラグビーワールドカップ二〇一五では、ラグビーの歴史を塗りかえる日本代表の活躍が世界中のラグビーファンの驚きと感動を呼び、国内でも大きな話題となりました。
 私は、ロンドンで大会を観戦し、ラグビーが伝える熱気や興奮を目の当たりにいたしました。また、スタジアムやファンゾーンでは、ラグビー発祥の地、イングランドならではの伝統に裏打ちされたすばらしい大会の雰囲気を堪能することができました。
 今後、二〇一九年から二〇二〇年にかけてラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックという世界最高峰の大規模スポーツイベントが連続して開催され、世界の注目は東京に集まります。
 この絶好の機会を捉え、東京、そして日本の魅力を世界に発信し、両大会の盛り上げにつなげるとともに、国内外から東京を訪れる方々に最高のおもてなしを提供してまいります。
 具体的な大会準備についても、二つの大会を一体のものとして捉え、ボランティア、多言語対応、セキュリティーなどについて戦略的に進めてまいります。
 二〇一九年大会での取り組みが、翌年のオリンピック・パラリンピックの成功につながります。アジア初開催となるラグビーワールドカップ二〇一九に向け、全力を尽くしてまいります。
 新国立競技場の整備についてでございますが、新国立競技場は、二〇二〇年大会のメーンスタジアムとして、大会の成功のために極めて重要な施設であり、また、大会後においても、スポーツの振興やバリアフリー化といった周辺環境の向上など、多様なレガシーを東京にもたらします。
 都としては、都心に立地する新国立競技場の多くのメリットを可能な限り明らかにするよう国に求めるとともに、経費負担についても精査を重ねるよう要請し、今般、財政負担について大臣と合意したところでございます。
 新国立競技場の整備は国が責任を持って行うものではありますが、開催都市の都としても、大会の成功と大会後にもたらされる多大な便益などを踏まえ、都民の理解と納得を得て整備プロセスを前進させることが何より重要でございます。
 こうした考え方に立ち、都の財政負担について決断をいたした次第でございます。
 財政負担に当たりましては、国と分担し合う対象経費を明確化することで、物価騰貴や消費税率の変更以外に都の負担が増加する要素はございません。
 また、今後、国において、日本スポーツ振興センター法の改正など必要な法的措置を講じることとなっております。
 引き続き、都は、国や関係団体と一致協力して、大会の成功に向けて邁進してまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔警視総監高橋清孝君登壇〕

○警視総監(高橋清孝君) 身元不明者の対策についてでありますが、警視庁では昨年七月から、保護実施機関である区市町村等の要請に基づき、身元不明者に関する写真つきの資料を迷い人台帳として警察署等に備えつけ、行方不明者の届け出をしようとする方などが閲覧できる取り組みを行っております。
 この迷い人台帳は、警察で保護した身元不明者を区市町村に引き継いだ後、一定期間を経ても身元が判明しない場合に、区市町村等からその方に関する写真つき資料の提供を受け、これを警察署等で台帳として管理するもので、全国の警察と情報共有しております。
 この取り組みを効果的なものとするため、都内全ての区市町村に対して、身元不明者に係る情報提供の働きかけを行っております。
 今後も、関係機関とのネットワークを強化するなど、身元不明者を早期に家族のもとに帰すための取り組みを推進してまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 高校の補欠募集における試験問題についてでございますが、現在、補欠募集において学力検査を実施した場合、受検者は問題用紙を持ち帰ることが可能となっております。
 その一方で、志願者等から前年度に実施した補欠募集の試験問題を入手したい旨、申し出があった場合には、志願者が応募資格の確認や入学願書等の必要書類を受け取るために来校した際に提供したり、閲覧にとどめたりするなど、各学校の判断で対応している現状がございます。
 今後は、都教育委員会として、試験問題を提供する際の手続や方法を具体的に定めるとともに、志願者等への周知を行ってまいります。
 あわせて、補欠募集の実施を公表する際、前年度に学力検査を実施した学校を明示するなど、志願者の利便性を一層向上させ、適切な学校選択を支援してまいります。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、空き家の活用についてでございますが、単身世帯が増加するとともに、今後、人口減少が見込まれる中、空き家を地域の活力を持続させる資源として捉え、積極的に利活用を促していくことが重要でございます。
 このため、都は今年度、区市町村が実施する空き家の実態調査や、高齢者、子育て世帯等に賃貸する空き家のバリアフリー改修への助成などについて、財政支援を開始いたしました。
 今後は、区市町村の取り組みを一層促進するために、住宅としての活用にとどまらず、地域住民の交流の場など、地域の活性化に資する施設に改修する費用への助成についても検討してまいります。
 次に、共同住宅の共用部分のバリアフリー化についてでございますが、高齢者や障害者等が自立した日常生活を送れるようにするためには、居室内のみならず、共用部分についてもバリアフリー化を進めていくことが重要でございます。
 このため、都は、建築物バリアフリー条例等により、一定規模以上の共同住宅の新築等に対しましてバリアフリー化を義務づけております。
 また、マンション等の建てかえに対して、対象となる地域や、バリアフリー基準を満たすことなどの要件を定めまして、区市と連携して助成を行ってまいりました。
 今後は、空き室化の抑制にもつながるストックの有効活用を図る観点から、既存住宅のバリアフリー化などの改修工事に対する支援のあり方についても検討を進めてまいります。
 次に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、これまでの取り組みを通じて、条例で耐震診断を義務づけた建築物の九割以上で診断結果が得られたことから、路線ごとの耐震状況をほぼ把握することができました。
 この結果をもとにシミュレーションを行ったところ、緊急輸送道路としての機能を確保するためには、耐震性が特に低い建築物を解消し、全体の耐震化率を九〇%まで引き上げる必要があることがわかりました。
 この検証結果を踏まえまして、オリンピック・パラリンピック大会開催までの目標や、沿道建築物全ての耐震化に向けた道筋を検討し、年度内に改定する耐震改修促進計画に反映させまして、災害に強い都市の実現に取り組んでまいります。
 次に、耐震化に係る普及啓発についてでございますが、沿道建築物の耐震化を推進していくためには、建物所有者に直接働きかけ、耐震化の重要性を認識してもらうことが有効でございます。
 このため、都は、区市町村等と連携した個別訪問や、ダイレクトメールの送付など、所有者の意識を高める取り組みを通じて耐震化に結びつけてまいりました。
 お話にありました耐震化の啓発映像につきましては、今後、ホームページの配信とともに、個別訪問の際にも活用するなど、普及啓発をさらに強化してまいります。
 最後に、耐震化に向けた情報提供についてでございますが、診断結果を踏まえて、所有者に改修に向けた検討を促していくためには、区分所有者間での合意形成の進め方や工事の影響などについて、具体的なイメージを持ってもらうことが有効でございます。
 このため、都は、個別相談会や改修工法等の展示会の開催などに加えまして、工事が完了した現場において見学会を開催し、改修に至るまでの経験談や、採用した工法の特徴などについての情報提供をしており、参加者からも参考になったとの声が寄せられております。
 今後は、現場見学会の状況や耐震セミナーでの講演内容などにつきましてホームページでも公開するなど、所有者への情報提供の充実を図り、耐震化の促進に向けて取り組んでまいります。
〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 業務委託における品質確保等の取り組みについてでございますが、改正品確法の基本理念にある品質の確保につきましては、行政サービスを支える業務委託の面でも実現していくことが重要でございます。
 このため、都は発注者として、業務委託における総合評価方式の拡大を図りますとともに、最低制限価格制度の導入についても検討してまいります。
 最低制限価格の導入に当たりましては、異なる業種ごとの特性を把握し、その内容に見合う積算方法の確立や基準の設定などに加え、入札の公正性、公平性に係る契約情報の厳格な運用方法などを検討することが必要となってまいります。
 今後とも、都は、都民の信頼の上に立った公共調達の原則である高い透明性などを堅持しながら、業務委託のさらなる品質の向上に向け、積極的に取り組んでまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、中小企業の海外展開支援についてでございます。
 都内中小企業の海外販路開拓を効果的に支援するためには、さまざまな主体と連携し、海外の最新の情報やネットワークを有効に活用することが重要でございます。
 このため、中小企業振興公社では、昨年度から、現地の法規制や市場動向等の最新情報の提供、取引先となる現地企業の紹介などを行う現地拠点支援アドバイザーを、中小企業の海外展開先としてニーズの高いタイに設けております。
 具体的には、現地企業に関する豊富な情報を持つタイのカシコン銀行をアドバイザーとして活用し、都内中小企業の現地での営業活動をサポートしております。
 今後は、こうしたタイでの取り組み状況や中小企業のニーズ等を踏まえ、他の地域での現地拠点支援アドバイザーの効果的な活用について検討してまいります。
 次に、中小企業の都内での事業継続に対する支援についてでございます。
 東京が将来にわたって国際競争力を維持していくためには、ものづくりの基盤となる高い技術を有する中小企業の集積を都内に維持していくことが重要でございます。
 このため、都は、成長産業への参入や製品の高付加価値化により、ものづくり中小企業が競争力を高め、事業活動を継続できるよう、新製品、新技術の研究開発や、最新の生産設備の導入等を後押ししております。
 これらに加え、地域における産業集積の維持発展を図るため、区市町村と連携し、周辺環境に配慮した工場の防音対策や企業誘致に対する支援を行っております。
 こうした取り組みを着実に推進することにより、都内におけるものづくり産業の基盤を確保し、東京の産業力の強化を図ってまいります。
 次に、高校中退者への就業支援についてでございますが、就業を希望する高校中退者等に対して、経済的自立が図れるよう、きめ細かく支援していくことは重要でございます。
 都では、さまざまな状況の若者を対象に、しごとセンターにおいて、セミナーやアドバイザーによる助言などの支援を行っております。こうした情報をより効果的に提供するため、教育庁と連携して、高校中退者等向け就業支援策をまとめたリーフレットの作成を検討してまいります。
 また、職業能力開発センターでは、職業経験の少ない若者が短期間で多様な仕事を体験し、本格的な職業訓練に移行できる仕組みを開始するなど、取り組みを拡充しており、こうした内容もリーフレットに盛り込んでまいります。
 今後とも、関係機関との連携を密にしながら、高校中退者等の就業支援に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、若者の職場定着支援についてでございますが、若者の早期離職を防止するためには、就職した若者への支援とともに、人を育てる職場環境づくりが重要でございます。
 都ではこれまで、若者の職場適応力の向上と孤立感の解消のため、しごとセンターにおいて、入社三年以内の中小企業の若手社員を対象に、職場でのコミュニケーションなど、社会人としての基礎を身につけるプログラムを実施するほか、異業種で働く同世代との交流の場を提供してまいりました。
 今後は、経営者や育成担当者に対し、早期離職防止のノウハウや若手社員のやる気を伸ばす職場づくりなど、必要な知識を得られるような機会の提供も検討いたします。
 こうした多面的な取り組みにより、若者が働き続けられるよう支援を進めてまいります。
〔港湾局長武市敬君登壇〕

○港湾局長(武市敬君) 海上公園での地元区などの活動支援についてお答え申し上げます。
 都はこれまで、都民に海を取り戻すという理念のもと、自然環境の保全や回復を図り、都民が海や自然と触れ合い、レクリエーションなどを楽しめる場所として海上公園の整備を進めてまいりました。
 現在、自然環境の回復が進んだ葛西海浜公園やお台場海浜公園では、地元区やNPO、近隣企業などが、水生生物の観察などの環境学習や海水浴などのイベントを実施しております。こうした取り組みに対し、都は、企画段階からの参画や水質情報の提供などの支援を行っております。
 今後も、多くの生き物が生息し、都民が水に親しめる魅力あふれる公園づくりを進め、誰もがふるさとの海と感じられるよう、地元区などとともにさまざまな活動を行ってまいります。
〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) まず、下水道による水質改善の効果と今後の取り組みについてでございますが、当局は、昭和三十年代から下水道の普及に本格的に取り組み、平成六年度に区部で一〇〇%普及概成を達成いたしました。これにより、例えば隅田川のBOD値が九割以上削減されるなど、東京湾の水質改善に寄与してまいりました。
 また、東京湾の赤潮の発生要因である窒素とリンを削減する高度処理施設等を昨年度までに一日当たりの処理能力二百五十三万立方メートル分を整備し、今後は、平成三十一年度までに約四百万立方メートル分まで増強してまいります。
 さらに、合流式下水道の改善として、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設を昨年度までに百十四万立方メートル整備いたしまして、今後は、平成三十一年度までに百四十万立方メートルまで拡大をいたします。
 これらの対策を着実に進め、首都東京にふさわしい水辺環境の形成に一層貢献してまいります。
 次に、下水道ポンプ施設の耐水化についてでございますが、東部低地帯にあるポンプ施設は雨水排水の役割を担っており、その機能確保は重要な課題でございます。
 これらの施設は外郭堤防に守られているものの、地震により外郭堤防が損壊したときに津波が襲来した場合に備え、東京都防災会議で示された最大津波高さに対して耐水化を実施しております。
 これは、開口部などから水の浸入を防ぎ、電気設備などの浸水を防止することで、万一の浸水時にもポンプ機能を確保するものであり、対象の三十四施設のうち、昨年度までに十七施設で完了し、来年度までに全て完了する予定でございます。
 お話の耐水化のレベルアップにつきましては、大規模水害など万一に備えるため、地盤高や立地条件など地域特性を考慮した上で、レベルアップが必要な施設を検討してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、パラリンピック大会時におけるさまざまな分野での、障害者の活躍についてでありますが、二〇二〇年大会に、障害のある人が、選手や観客としてだけではなく、ボランティアや大会スタッフなどとして参画することは重要でございます。
 そのため、都は、二〇二〇年に向けて、障害者スポーツやパラリンピックに理解の深いボランティアの育成に加え、障害のある人もない人も、大会運営やボランティアに参加しやすい環境づくりに取り組んでまいります。
 大会スタッフなど、障害のある人の競技以外の分野への参画につきましては、個々の障害の特性などを考慮し、適正な仕事に丁寧にマッチングしていく必要がございまして、引き続き、組織委員会などの関係機関と連携しながら積極的に検討してまいります。
 次に、障害者スポーツの情報発信についてでございますが、障害者スポーツ競技は、実際に観戦してもらうことで、その魅力を感じることができるものであります。
 このため、都は、障害者スポーツ振興を重点広報テーマと位置づけ、テレビ番組や局のホームページで競技、選手の紹介や大会日程の告知を行うとともに、ツイッターで観戦を呼びかけるなど、積極的な情報発信を行っております。
 さらに、パラリンピック体験プログラム、NO LIMITS CHALLENGEを都内各所で展開するとともに、競技のルールや見どころを説明した冊子を配布するなど、観戦する際の参考になる情報提供にも力を入れております。
 今後とも、都民が障害者スポーツに関心を持ち、実際に競技会場に足を運んでいただけるよう、障害者スポーツの魅力発信に取り組んでまいります。
 次に、パラリンピックの展示についてでございますが、二〇二〇年大会の成功に向け、できるだけ多くの方々にパラリンピックのすばらしさを実感してもらうため、現在、さまざまな場所でPR展示に取り組んでおります。
 具体的には、これまで都庁舎や議会棟におきまして、パラリンピック競技を紹介するパネル展や東京オリンピック・パラリンピック五十周年記念パネル展を開催いたしました。
 また、多くの都民が集まる区市町村のイベントなどにおきましても、競技を紹介するパネルや映像を展示しますとともに、競技用具に実際に触れてもらうなど、パラリンピックの魅力を伝える取り組みを展開しております。
 今後も、都庁舎や都の関連施設を初め、さまざまな場所で都民のパラリンピックへの関心をより一層高めるための創意工夫を図り、効果的なPRを積極的に行ってまいります。
 次に、リオ・パラリンピックのライブサイトについてでございますが、リオ大会はパラリンピックの魅力を多くの方に知っていただく絶好の機会であり、ライブサイトを上野恩賜公園で全期間実施いたしますほか、多摩地域では国営昭和記念公園や、被災三県でも開催をいたします。より多くの競技を生中継できるよう放映権者と調整するとともに、各会場ではパラリンピック競技体験なども行います。
 また、多くの子供たちがライブサイトに参加し、臨場感あふれる大画面を通じてパラリンピックの感動、興奮を体験できるよう、教育庁や区市町村と連携してまいります。
 ライブサイトの暑さ対策につきましては、二〇二〇年大会本番も想定し、ドライ型ミストや断熱性能の高いテントの設置など、効果的な方法を検討し、対応してまいります。
 今後、多くの方々が楽しめるイベントとなるよう詳細に検討を進め、パラリンピックの盛り上げにつなげてまいります。
 次に、二〇二〇年大会に向けましたボランティアの総合ビジョンと国際色豊かなダイバーシティーについてでございますが、オリンピック・パラリンピックに向けては、大規模なボランティアの活用が必要であり、語学や専門性が求められる活動分野も多くございます。
 そのため、ボランティアに関する情報発信や都市ボランティアの募集、育成等に総合的に取り組む必要があり、今後、二〇二〇年大会のボランティアの裾野拡大などに関する戦略を策定していくこととしております。
 具体的には、本年九月に設立いたしました東京都ボランティア活動推進協議会におきまして、関係機関と連携し、検討を進めてまいります。協議会には、在日外国人の関係機関や留学生が在籍する大学なども参画しており、外国人も含む語学ボランティアの育成や活用についても、あわせて検討してまいります。
 次に、ボランティア経験者の二〇二〇年大会における活用についてでございますが、都のイベントでは、これまで東京マラソンで一万一千人、スポーツ祭東京二〇一三で延べ三万人を超える数多くのボランティアの参加がございました。
 また、ラグビーワールドカップ二〇一九でも、多くのボランティアの活躍が期待されております。こうした蓄積を二〇二〇年大会に結びつけてまいります。
 今後、ボランティアの募集や育成、リーダーの活用などに関しまして、都が有する経験やノウハウを生かすとともに、東京マラソン財団、ラグビーやオリンピック・パラリンピックの組織委員会などとも密接に連携を図り、これらのボランティア経験者などの活用方法について検討してまいります。
 次に、ラグビーの普及についてでございますが、日本のラグビー熱は近年になく高まっており、この盛り上がりを二〇一九年につなげるよう取り組む必要がございます。
 今後、ラグビートップリーグ選手にご協力いただき、東京都主催のスポーツイベントにラグビー体験を取り入れるなど、区市町村とも連携してラグビーのすばらしさを伝える取り組みを進めてまいります。
 また、ラグビーのルールや魅力を、SNSなどさまざまなメディアを利用して発信してまいります。さらに、世界最高峰のプロリーグでありますスーパーラグビーへ、来年、日本チームが初参加することを絶好の機会と捉えまして、試合会場におきましてPR活動を行うなど、新たなファン層に対して積極的に働きかけを行ってまいります。
 こうした取り組みを各開催都市とも連携して進め、二〇一九年大会の成功に向け、ラグビー普及に努めてまいります。
 次に、東京スタジアムへの交通アクセスについてでありますが、ラグビーワールドカップの開催時には、会場となる東京スタジアムに国内外から大勢の観客が集まります。入退場時における混雑をできる限り緩和するなど、観客がスムーズに移動できるようにするためには、円滑な交通輸送対策が必要でございます。
 これまで、東京スタジアムでは、大規模スポーツイベントの際、鉄道やバスなど交通事業者にご協力いただくとともに、シャトルバスの臨時運行等によって速やかに観客を輸送する対策を講じてまいりました。
 二〇一九年大会では、初めて東京を訪れる方々がスムーズにアクセスできるよう、これまでの経験を生かしつつ、広域的な観点も視野に入れ、交通アクセスの確保について検討してまいります。
 最後に、ラグビーワールドカップにおける選手と観客の一体感を高める取り組み等についてでございますが、会場での試合観戦はもちろんのこと、観客が会場の外でもラグビーワールドカップそのものを楽しんでもらえるようにすることが重要でございます。
 例えば、会場内におきましては、選手と観客が一体感を持てるような盛り上げの工夫や、日本ならではの演出などを検討してまいります。
 また、会場外のファンゾーンでは、最先端技術を駆使した取り組みを行いますとともに、VIPのホスピタリティー施設につきましては、建設中の武蔵野の森総合スポーツ施設や周辺の土地活用も含め、検討してまいります。
 今後、組織委員会や地元自治体と調整しながら、視察で得られました成果を踏まえ、二〇一九年大会の成功に向け、全力で取り組んでまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、テロへの具体的な対処についてでございますが、都では、突発的に大規模テロ等が発生した場合、緊急に都民の安全を確保するため、災害対策基本法などに基づき、緊急対処保護措置に準じた措置を行います。
 政府による事態認定後は、国民保護法に基づき、知事を本部長といたします東京都緊急対処事態対策本部を設置し、警視庁や東京消防庁も含め、被害の最小化に努めてまいります。
 具体的には、大規模テロ発生時の被害状況や関係機関の活動状況について情報収集を図るほか、国や区市町村と調整し、警報の通知や住民避難の措置等を迅速に行います。
 今後も、関係機関との連携強化を図るとともに、テロを想定した実動や図上での訓練の実施、対処手順の確認等を通じ、万一のテロ発生時に的確に対処してまいります。
 次に、広域避難に関する都の取り組みについてでございます。
 大規模水害時の避難に当たりましては、自治体内での避難にこだわることなく、近隣県に避難した方が迅速、安全に避難できる場合がございます。
 都はこれまで、国の首都圏大規模水害対策協議会に参加し、関係自治体、鉄道事業者等と広域避難のあり方について議論を行ってまいりましたが、避難対象者が極めて多数であるため、その輸送手段等に課題が多く、具体的な取り組みは進んでいない状況でございました。
 そこで都は、広域避難の仕組みづくりのため、水害があった場合の避難場所や収容人員の把握など、都が取り組みを進められるところから都内自治体との意見交換を始めたところでございます。
 今後、避難元及び受け入れ先自治体の意見を聞きながら、近隣県への広域避難について検討してまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) コンパクト・オブ・メイヤーズについてでございますが、異常気象等の要因となる地球温暖化を回避するためには、世界全体の温室効果ガスの七割を排出している都市の果たす役割が極めて重要でございます。
 コンパクト・オブ・メイヤーズは、四百近い都市が参加する、これまでで最大規模の都市間連携の取り組みであり、それぞれの都市がCO2削減目標を宣言し、共通の枠組みで削減を進めていくものでございます。
 都は、この都市間連携への参加を通じて、意欲的な削減目標や行動計画を世界に発信し、新たに策定する環境基本計画に基づき、積極的な施策を展開してまいります。
 こうした取り組みを通じて、これまで都が培った経験やノウハウを世界の大都市と共有し、地球規模の気候変動対策に貢献してまいります。
〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 災害時における断水情報等の提供についてでありますが、給水に関する正確な情報を迅速に発信することは、情報不足による混乱を避ける観点から極めて重要です。
 このため、水道局では、災害時における断水や復旧の状況、応急給水の実施状況などを、プレス発表等を通じ逐次公表できるようにしております。
 また、本年度におきましては、現場の状況をいち早く伝えられるよう、各事業所と区市町との間に相互連絡窓口を設置し、発災時に避難所等で応急給水場所などの広報ができるよう連携を強化いたしました。
 お話のとおり、インターネットの活用は都民に情報をわかりやすく提供する上で有効であることから、断水の範囲や復旧状況等を地図情報としてホームページに掲載するなど、多様な情報発信方法を検討し、現在策定中であります平成二十八年度からの経営プランに反映してまいります。
〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、今後の土砂災害対策についてでございますが、土砂災害から都民の命を守るためには、ハード、ソフト両面から対策を進めることが重要でございます。
 ハード対策は時間と費用を要するため、関係各局による検討委員会を今月設置し、対策の緊急性を評価する手法を今年度内に定めてまいります。検討に当たりましては、移設困難な避難所や緊急に避難ができない要配慮者の利用する施設の立地状況等を考慮いたします。この手法で行う評価に基づき、緊急性の高い箇所から、地元自治体と連携してハード対策を計画的に推進してまいります。
 ソフト対策では、土砂災害警戒区域等の指定を進めるとともに、地元自治体等とさらなる連携強化に向けて連絡会を開催し、区域内の要配慮者利用施設や学校等の情報を共有するなど、警戒避難体制の整備を促進いたします。
 引き続き、土砂災害対策を積極的に推進してまいります。
 次に、都立霊園における樹林墓地についてでございますが、都立霊園においては、社会状況の変化や都民ニーズに応じた墓所を供給することが重要でございます。
 このため、都は、平成二十四年度に開設した小平霊園の樹林墓地について、応募状況を踏まえ、翌年度から募集数を約三倍の千六百体へ拡大しております。
 また、二十五年度から、変化する墓所需要に対応できるよう、八王子霊園等の郊外霊園の将来的なあり方について検討しており、来年度の計画策定に向けて基本方針を定めてまいります。
 その中で、樹林墓地についても、景観への影響や利便性等を踏まえた配置の考え方、敷地の形状や周辺環境に応じた形態などに関する検討を進めてまいります。
 引き続き、都民の墓所に対するニーズに応えられるよう、樹林墓地の拡充等に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、受験生チャレンジ支援貸付事業についてでありますが、都は、将来の自立に向けて意欲的に取り組む子供たちが、高校や大学への進学を目指し受験に挑戦することを支援するため、一定所得以下の世帯の中学三年生や高校三年生の受験生に対し、学習塾の受講料や受験料の無利子貸付を行っております。
 本事業では、高校等を中退した方であっても、過去に利用したことがない場合には、申請窓口である区市町村で個別に相談に応じ、経済的事情などを勘案しながら貸し付けを行っております。
 今後、本事業を紹介するリーフレットやホームページに高校中退者等も対象になることを明記するとともに、関係団体などを通じて中退者に情報提供するなど、積極的に事業の周知を図ってまいります。
 次に、認知症予防の取り組みについてでありますが、認知機能低下の予防には、日ごろからの適度な運動や栄養管理、趣味活動や人との交流等が有効といわれております。
 こうした観点から、現在、区市町村では、脳を活性化するトレーニングやウオーキングなど、さまざまな取り組みを地域支援事業で実施しており、医療機関と連携した認知症カフェで実施する認知症予防の取り組みについて、都は包括補助で支援しております。
 また、都におきましては、広く都民の方に認知症予防に関する知識や効果的なプログラム等について理解していただけるよう、認知症疾患医療センターと連携してシンポジウムや講演会等も開催しており、今後、区市町村や認知症疾患医療センター等と連携しながら、認知症予防の取り組みを一層推進してまいります。
 次に、研究機関等と連携した認知症予防の取り組みについてでありますが、東京都健康長寿医療センターは、認知症に関する専門医療の提供や幅広い研究を行っており、絵本の読み聞かせを行うことで認知機能の低下を防ぐプログラムを大田区や豊島区等と連携して開発、普及するなど、認知症予防にも取り組んでまいりました。また、首都大学東京は、転倒予防や認知症予防につながる、ころばん体操の普及に荒川区と連携して取り組んでおります。
 来年度は、こうした実績を有する両機関の専門職の協力を得て、先進的な事例を初め、認知症予防に係るさまざまな取り組みを広く収集し、説明会を開催して区市町村に情報を提供する予定でございます。
 また、区市町村が認知症予防により一層積極的に取り組めるよう、さらなる支援策についても検討してまいります。
 最後に、身元不明認知症高齢者等への対応についてでありますが、都は、行方不明の高齢者等が早期に発見され、身元の判明につながるよう、平成二十二年度から、区市町村の依頼に基づいて、その情報をファクスや電子メールで都内全区市町村に提供しており、昨年度末までに身元不明九十一件、行方不明六百十七件の情報を提供いたしました。
 また、本年六月には、区市町村がみずから情報を更新し、いつでも最新情報を閲覧できるよう、関係機関向けの情報共有サイトを都独自に構築し、現在、三十六の区市町が利用しております。
 警察では、区市町村からの情報提供を受け、迷い人に関する台帳を全国の警察署に備えつける取り組みを進めており、今後、情報共有サイトへの参画や警察との連携に、より積極的に取り組むよう区市町村に働きかけてまいります。

○副議長(小磯善彦君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時五十七分休憩