午後一時開議
○議長(川井しげお君) これより本日の会議を開きます。
○議長(川井しげお君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
○議長(川井しげお君) これより質問に入ります。
百十二番秋田一郎君。
〔百十二番秋田一郎君登壇〕
○百十二番(秋田一郎君) 平成二十七年第四回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
名誉都民水木しげる様におかれましては、去る十一月三十日ご逝去なされました。生前のご功績に対し、ここに謹んで哀悼の意をあらわし、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
去る十一月十三日、フランスのパリで発生した同時多発テロについて申し上げます。
まずは、この同時多発テロでの全ての犠牲者の方とそのご遺族に、深く哀悼の意をあらわすとともに、惨事に遭遇された多くの方々に心からお見舞いを申し上げます。
この同時多発テロでは、パリ市内の劇場や近郊の競技場などを標的とした銃撃や爆発により、一般市民に多数の死傷者が出ました。こうした非道、卑劣なテロ行為は断じて許すことのできない暴挙であります。
近年では、ボストン・マラソンやバンコクでの爆弾テロ、オタワの連邦議会議事堂での銃乱射事件など、大都市を狙ったテロ事件は枚挙にいとまがありません。
また、ことし一月にはシリアで日本人が殺害される事件も起きるなど、我が国においても、その脅威が現実味を帯びてきたといわざるを得ない状況です。
来年五月には、日本で八年ぶりとなる先進国首脳会議、伊勢志摩サミットが開催され、世界の要人が集まります。さらに、その先にはラグビーワールドカップ、そしてオリンピック・パラリンピック東京大会といった平和の祭典が続いて開催されるなど、世界の目が日本、そして東京に集まります。
もはや東京においても、テロは決して無縁のものとはいえません。都民、国民はもとより、世界中からお越しになる多くの方々をテロの危険から守るという強い信念と、危機管理という万全の準備が必要です。
こうした認識のもと、テロに対し、都としてどのように向き合っていくのか、知事の見解を伺います。
また、今回のフランス・パリにおけるテロ事件を受けて、警視庁は、首都東京におけるテロ対策に今後どのように取り組んでいくのか、警視総監のご所見を伺います。
また、万一テロ災害が発生してしまった場合には、被害を最小限に抑えるための対応が重要です。
そこで、東京でテロ災害が発生した場合に備えた対応と、さらには今後東京大会など世界が注目する大規模イベントの開催を見据え、どのように取り組んでいくのか、東京消防庁の見解を伺います。
次に、新国立競技場の整備について伺います。
知事は所信表明で、十二月一日に遠藤大臣、馳大臣と会談し、東京都が整備費用を分担することを含む財源案について、国と合意したと述べられました。
二〇二〇年大会開催時には開会式、閉会式の場となり、感動のるつぼともなる新国立競技場は、都心に立地するオリンピック・パラリンピックのレガシーとして、大会後も長きにわたり、都民、国民の記憶に残ることでしょう。その整備のいかんが大会の成功を左右することは、言をまちません。
我が党はこれまで、オール日本で大会準備を加速する立場から、新国立競技場の整備に全面的に協力すべきと主張してきました。
知事は、どのような考えでこの財源案に合意し、今後どのような決意で取り組んでいくのか伺います。
次に、平成二十八年度税制改正について、一言申し上げます。
二十八年度税制改正は、まさに最終局面を迎えています。今このときにも、同志である自民党東京都連の国会議員たちが、一時間後に迫った党税制調査会のいわば最終決戦に、まさに臨もうとしています。
我が都議会自由民主党は、これまで都の財源を奪う動きに対して一貫して異を唱えてまいりました。六月の都議会での意見書の採択を初めとし、区市町村議会とも結束し、反対ののろしを上げ、大詰めとなった今月三日には、党税制調査会の役員一人一人に緊急要請活動を行うなど、最大限の努力を尽くしてきました。
戦いのさなか、我々の心の中にあったのは、これまで我々が背負ってきた重荷を未来にそのまま引き継ぎたくはない、自分たちの責任で一区切りつけたい、その一念でありました。
東京には、さまざまな課題に対応するために膨大な財政需要があります。また、東京と地方との共存共栄に向けた取り組みを積極的に進めていこうとしています。次の時代にも輝き続ける東京、そして日本をつくるためにも、一方的に東京から財源を奪うことはやめるべきです。我々が訴え続けてきた主張を十分に踏まえた公正な判断が下されることを期待し、次の質問に移ります。
都市外交について伺います。
外交において、首脳が海外に赴き、他国の首脳と会うということは、二つの形があります。
一つは、官吏が事前に相手国と下交渉をした結果、合意を見たあかしとして合意文書を交わすため、すなわちセレモニーとして邂逅するケース。
二つ目は、官吏が相手国と下交渉しても、どうしても合意を見られず、トップ同士の直接会談によって解決を委ねるしかない場合。
いずれの場合も、官吏による頻繁かつ入念な下交渉が前提となります。官吏同士による細部に至る準備があって、初めて具体的かつ大きな成果も得られるものです。
知事が力を入れる都市外交が、トップや要人とアポイントをとって顔を合わせる程度であれば、それは外交ではありません。単なるトップ同士の友好親善です。
知事は、就任以来のわずか一年十カ月の間に、韓国を三回、イギリスとロシアをそれぞれ二回、中国、フランス、ドイツを一回訪問されています。それぞれ事前に官吏同士の入念な下交渉は行われたのか、その成果が、この先都政に反映されていくのか伺います。
先ほど申し上げたとおり、国による地方法人課税の暫定措置は、東京都にとって最重要課題です。まさに、その問題が佳境に入らんとしたその時期に、知事は、あえて三度目の韓国とフランスを訪れました。国による理不尽な暫定措置の撤廃へ向けて、一つでも多くの他の道府県を訪ね、理事者任せにすることなく、知事みずからが先頭に立って汗を流し、理解を求めることを考えなかったのか、あわせて知事に伺います。
次に、東京版地方総合戦略について伺います。
我が国経済を再び成長軌道に乗せていくためには、地域経済の活性化が何よりも重要です。政府は、人口減少の克服と成長力の確保を目指した地方創生を推進しており、地方自治体も国と一丸となって取り組むことが求められています。
我が党は、都の総合戦略の策定に当たり、東京都長期ビジョンを基軸に据えつつ、東京と地方がともに栄え、東京だからこそできる取り組みを一層充実させていくべきとの提言を行いました。
都の総合戦略には、我々の主張が反映され、東京が日本の持続的発展に貢献する姿勢がはっきりと示されています。
都は今回、地方創生の推進のために、改めて東京都総合戦略を策定しましたが、それに込めた知事の決意と、この戦略をもとにした今後の政策展開について伺います。
次に、こうした政策を効率よく推進するには、事務事業の内部管理などの改善に努めていかねばなりません。
そこで、まず、将来の社会資本整備を担う人材の確保の観点から、入札契約制度改革の取り組みについて伺います。
社会資本の着実な整備やその維持管理は、私たち都民の日々の生活に欠くことのできない重要な施策です。しかし、それを支える建設産業は、三Kともやゆされる厳しい労働環境も影響し、新たに就業する若者が少なく、技術者の高齢化と次世代への技術の継承が、今大きな課題となっています。
思えば、社会基盤の整備という未来に向けたものづくりは、私たちの世代が子供のころでも憧れの対象であったと思います。将来の社会資本整備の担い手に夢を与え、これまでのイメージを転換し、女性や若者にとっても働きがいと魅力のある環境づくりに向けた取り組みを、発注者として進める必要があると考えます。見解を伺います。
次に、三Kの一つ、建設現場の忙しさは受注者側の技術者不足によることもありますが、一方で、工事の発注時期が集中するといった発注者側の問題点もあります。
公共工事は、季節による発注件数の波があります。今でも毎年、年末から三月にかけて道路工事をあちこちでやっていて、渋滞がひどくて困るという声を耳にします。実際、都の工事の発注は、十月をピークとした山をつくっており、工事が多い季節は入札不調も多くなり、現場も忙しくなります。
そこで、一年を通して発注を分散し、この山を低くする、いわゆる平準化ができれば、未来の東京の社会資本整備、そしてそれを支える担い手の環境を改善することができます。
単年度での仕事の進め方という壁に阻まれて、なかなか実効性が上がらないでいる工事発注時期の平準化に向けて、発注者である都は今後どのように臨むのか、見解を伺います。
次に、指定管理者制度について伺います。
公の施設の管理については、各施設の特性に応じ、民間ノウハウを積極的に活用する一方、大規模救出救助活動拠点の役割を担う防災公園や、歴史的景観の保全、形成に寄与する文化財庭園など、政策連動性及び管理運営の特殊性が高い施設管理には監理団体を活用するなど、めり張りのある制度運営が必要です。
監理団体に運営を委ねる施設については、彼らが培ってきたその施設特有の技術、ノウハウを十分に発揮できる環境を整えることが重要です。
我が党は、昨年の第四回定例会において、指定管理者制度の活用を含め、人事や財政面で監理団体の安定的な運営を確保する必要があると指摘したところです。
本定例会には、百六十を超える施設の指定管理者の指定議案が上程されていることから、改めて、今後、指定管理者制度において監理団体をどのように活用、指導していこうとしているのか、その考え方について伺います。
次に、マイナンバー制度導入に伴う個人情報の保護について伺います。
いわゆるマイナンバー制度が来年一月からいよいよ始まります。第三回都議会定例会では、個人番号を利用する側面からの議論が行われてきました。
一方、国の機関の個人情報漏えい事故の発生などもあり、マイナンバー制度の導入に伴う個人情報保護について、都民の関心が高まっています。
東京都としては、制度の導入が本格的に進む中で、制度自体をきちんと理解してもらうとともに、個人情報の適正な取り扱いを確保することが重要と考えます。個人情報保護の観点から、都の対応について伺います。
次に、東京都国土強靱化地域計画について伺います。
首都機能を有する東京は、いかなる自然災害が発生しても、その機能を保持しなければなりません。首都機能の崩壊は、我が国の存立をも脅かしかねないのです。
こうした認識のもと、我が党は都に対し、国土強靱化地域計画の策定を強く求めるとともに、党内に検討プロジェクトチームを設置し、積極的に議論を重ねてまいりました。その集大成として、先般、国土強靱化地域計画策定に向けた提言を行ったところです。
さらに、防災事業を進めていくには、国の財源負担が不可欠であります。政治経済活動など首都機能を維持するためには、国も相応の財政負担を負うべきです。
この後、パブリックコメントを経て本案が策定されることとなりますが、計画は策定するだけでは意味がありません。大事なことは、この計画をてことして、これらの課題を解決しながら、都の防災対策を確実に進めていくことです。
今後、どのように東京の強靱化を推し進めていくのか、知事の決意を伺います。
次に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について伺います。
都が先般公表した耐震化の状況によると、都心部の路線や区部西部の路線などで耐震化率が低い区間が見受けられます。こうした状況をできるだけ早期に解消し、震災時に緊急車両が支障なく通行できるよう取り組んでいく必要があります。
都は、緊急輸送道路としての機能を確保できる耐震化の目標を定めるため、シミュレーションを実施しているとのことですが、その結果はどうであったのか、また、この結果をどのように活用するのか伺います。
加えて、大規模な地震災害が発生した場合であっても、首都機能を確実に維持していくためには、都内の取り組みとあわせて、東京圏全体で緊急輸送道路の機能を確保していかなくてはなりません。
沿道建築物の耐震化に向けた周辺自治体との広域的な連携について、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、中小河川整備について伺います。
平成二十七年九月、関東・東北豪雨では、栃木、茨城県内を流れる鬼怒川の堤防が決壊し、未曽有の被害が発生しました。人口や都市機能が高度に集積している東京で同じような浸水被害が発生すると、都民生活や社会経済活動に与える影響は極めて大きなものとなります。
確かに、都はこれまで、時間五十ミリの降雨に対応する中小河川の整備を進め、着実に成果を発揮しています。しかし、こうした水害の状況を考えると、まだ十分ではありません。
都は、近年増加している集中豪雨などに対処するため、地域の降雨特性を踏まえて目標整備水準を上げましたが、さらに水害に強いまちづくりに向けて一層積極的に取り組んでいくことが重要です。
そこで、中小河川の整備推進について伺います。
次に、水道事業の震災対策について伺います。
水道事業の基本は安定給水ですが、重要な基幹施設である給水所は、平常時の安定給水に加え、震災時には、給水拠点として水道水を地域住民へ供給する役割も担っています。
しかし、一つの給水所から給水する区域が広い場合には、仮にその機能が停止する事態となれば、断水などが広範囲に及び、都民生活と首都東京の都市活動に深刻な影響が及ぶこととなります。
現に、区部においては、広大な配水区域の存在や配水池容量の不足などの課題もあり、給水所整備はいまだ道半ばです。
首都直下地震が懸念される中、早期の解消が不可欠と考えますが、今後の取り組みについて伺います。
また、都は今年度、安全・安心まちづくり条例を改正し、対策を強化していますが、都民の安心・安全の確保には、防犯のみならず、交通事故対策の取り組みが重要であります。
前回五輪が開催された昭和三十九年、都内の交通事故による犠牲者数は千人を超え、交通戦争とまでいわれました。
その後、多くの関係者による交通安全の取り組みの結果、現在では二百人を下回る水準にまで改善しましたが、昨年増加に転じ、本年も死亡事故が多発しています。
さらに、通学路で子供が犠牲となる事故や高齢者による道路の逆走などの報道に接する機会も多く、都民生活における交通事故の不安は解消していません。
こうした中、都は、二〇二〇年度までの新たな交通安全計画の策定に着手されると聞いています。
東京五輪開催を見据え、都民の安心・安全の確保のために、新たな計画ではさらなる対策の強化が必要と考えますが、所見を伺います。
次に、自転車走行空間の整備について伺います。
知事は、先ごろ取りまとめた東京都総合戦略の中で、二〇二〇年度までに二百六十四キロメートルの自転車走行空間を整備することを改めて明示し、自転車推奨ルートとあわせ、都内に四百キロメートルを超える自転車走行空間を整備することとしました。
子供から高齢者まで誰もが気軽に利用できる自転車は、都民生活には欠かせないものであり、その重要性と環境への貢献については論をまちません。
その一方で、都内では、自転車が関与する交通事故の割合が全国平均を大きく上回っています。自転車の安全な通行確保に向けた取り組みが急務であることは、本年の第一回定例会でも指摘したところです。
これに対し、知事は、東京には東京の実情があり、東京にふさわしい総合的な自転車政策を進めるとした上で、自転車利用時の安全確保が大前提と述べられました。
しかし、現在計画されている自転車走行空間の整備手法には、道路構造や利用状況の制約などから、車道の左側にラインを引き、幅員一・五メートルの部分を自転車走行レーンとして規制して走行させるものが多く含まれています。
コストが安く、早期の整備が期待できる反面、路上駐車車両や障害物がある場合には、自転車は車道中央側に出て走らざるを得ず、自動車との接触の危険性が高まります。そのことは、都が策定した自転車走行空間整備推進計画でも、みずから明らかにしているところです。
また、この手法については、タクシーやトラックなどプロのドライバーの皆さんからも不安の声が多く寄せられています。安全利用を目的とした自転車走行空間の整備が、結果として交通事故を誘発するものになっては、本末転倒です。
知事には、都市の成り立ちや文化、そして道路環境が大きく異なる東京において、諸外国と同じような自転車走行空間が整備できるような環境が整っているとお考えなのか、改めて都民の目線に立って考え直していただきたい。
そこで、自転車走行空間整備推進計画の推進に当たっては、その整備手法の適用などについて再検討するとともに、関係者などの意見を十分に聞き、都議会で真摯な議論を行いながら進めるべきと考えます。知事の見解を伺います。
次に、犯罪被害者等支援計画について伺います。
我が国では、犯罪に遭われた方やそのご家族の権利の保護は極めて不十分であり、犯罪自体による苦しみ以外にも、特にマスコミによる過剰報道や周囲のうわさなどにより、大きな苦痛を受けます。
都はこれまでも、全庁を挙げて犯罪被害者などの支援に取り組んできており、本年七月には、性犯罪等被害者に二十四時間対応を行うワンストップ支援事業を開始しました。これは、我が党がさきの第一回定例会の代表質問において、被害者への早期救済の必要性を指摘したことに対する取り組みとして評価をいたします。
しかし、都民の誰もが被害者となり得ることを踏まえれば、課題はまだ多くあります。
先月、都は来年度からの新たな犯罪被害者等支援計画の素案を公表しましたが、今後どのような取り組みを進めていくのか伺います。
次に、保健、医療、福祉施策について伺います。
まず、子供家庭施策についてです。
本年四月にスタートした子ども・子育て支援新制度に合わせて、都は、福祉、保健、医療、雇用、教育などにわたる二百六十七の事業を盛り込んだ東京都子供・子育て支援総合計画を策定しました。これに基づき、妊娠、出産からの一貫した支援や保育サービスの充実など、さまざまな施策を展開していますが、計画は、作成した時点で既に過去のものとなっているともいえます。各事業の進捗状況を定期的に点検、評価し、都民ニーズや社会情勢の変化を踏まえて見直していかなければなりません。
そこで、都は今後どのように計画を推進していくのか伺います。
次に、家庭的養護の推進に向けた取り組みについて伺います。
国が十月に公表した昨年度の児童虐待相談対応件数は、全国で約八万八千件余り、東京都で約七千八百件と過去最多となっています。子供たちの健やかな育ちを守るため、虐待相談への迅速な対応が求められています。同時に、虐待等の理由により、社会的養護を要する子供たちへの支援の充実も必要です。
都は、さきの第三回定例会で、東京都児童福祉審議会専門部会の議論も踏まえながら、新たな支援策を検討し、家庭的養護を一層推進すると答弁しました。
十月に、養育家庭の登録数拡大や児童相談所の体制強化などに早急に取り組むよう緊急提言されましたが、これを踏まえ、今後どのように施策を進めていくのか伺います。
次に、高齢者施策について伺います。
介護が必要になっても、高齢者が住みなれた地域で暮らし続けることができるためには、地域包括ケアシステムを構築することが重要です。間もなく東京では人口が減少に転じ、同時に、介護が必要な高齢者や、ひとり暮らしの高齢者が一層増加していくと予測されています。
こうした中で、大都市東京にふさわしい地域包括ケアシステムを構築するためには、従来の施策に加え、実効性のある新たな施策を生み出していくことが必要です。
先般公表された福祉先進都市・東京の実現に向けた地域包括ケアシステムの在り方検討会議の中間まとめでは、七月からの議論の中で見えてきた課題や考えられる対応策が示されました。これを踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
あわせて、認知症施策について伺います。
認知症高齢者は、二〇二五年には六十万人に達すると推計されており、認知症の人と家族を地域で支えていくためには、さらなる対策の強化が必要です。
中間のまとめにおいても、認知症対策に関する課題が示されましたが、検討会での議論も踏まえ、今後どのように認知症対策を進めていくのか、見解を伺います。
次に、環境エネルギー政策について伺います。
地球温暖化による深刻な自然災害が多発する中、パリで開催中のCOP21では、全ての国が参加する新たな国際枠組みの合意形成に向け、最終調整がなされています。さまざまな評価がなされていますが、人類にとって大きな一歩になることは間違いありません。
これに先立ち、都は、東京都環境審議会での議論を踏まえ、二〇三〇年までに温室効果ガスを二〇〇〇年比三〇%削減するという、国を上回る国際的にも遜色ない目標を発表しました。良好な環境を東京五輪のレガシーとして次世代に引き継いでいくため、都は積極的に温暖化対策を進めつつ、国に求めるべきものは求めていくべきです。
そこで、今回都が掲げた温室効果ガス削減目標の意義とその実現に向けた取り組みについて、知事の見解を伺います。
温室効果ガスの削減には、家庭、業務、産業など部門の特性に応じた対策が重要です。とりわけ運輸部門では、一日の走行距離が長いタクシーの環境性能の向上が有効です。第三回定例会で提案した車椅子のまま乗れるタクシーとあわせ、東京五輪にふさわしいタクシー普及に向けた支援を強く要望しておきます。
次に、資源循環施策について伺います。
天然資源の採取や消費に伴う資源制約、環境制約が世界的に高まる中、今般、東京都廃棄物審議会は、廃棄物処理計画の改定に向けた中間のまとめを公表しました。世界一の環境都市にふさわしい循環型社会の構築に向け、次期計画は非常に重要です。
廃棄物の減量やリサイクルを確実に進めていくためには、都民、事業者、区市町村との連携を一層深め、資源利用の上流から環境に配慮する新たな施策の構築が不可欠であると考えますが、都の見解を伺います。
近年、気候変動の影響と思われる異常気象が世界中で観測されており、国内においても各地で猛烈な台風や集中豪雨等が頻発しています。気候変動を抑制するためには、温室効果ガス排出の削減が急務であり、そのためには、再生可能エネルギーの利用拡大やさらなる省エネルギー対策が必要です。
下水道局が平成二十六年度に策定したエネルギー基本計画、スマートプラン二〇一四では、下水道事業で使用する総エネルギーに対する再生可能エネルギー等の割合を、平成三十六年度までに二〇%以上とすることを目標として対策を進めることとしています。
スマートプラン二〇一四の目標達成に向けた下水道局の取り組みについて伺います。
次に、産業政策について伺います。
本年十月、政府は、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPPの大筋合意を発表しました。発効すれば、世界経済の四割を占める巨大な経済圏が誕生し、今後の世界標準となり得るルールが設定される、我が国の成長戦略の重要な柱です。新たなステージを見据え、各産業の戦略的な取り組みが期待されます。
もちろん、その効果や影響は産業ごとに異なることから、それぞれの実情を踏まえた現実的できめ細やかな対応が必要ですが、いずれにしても、付加価値の高い商品開発やブランド化の推進により競争力を高め、打って出る体制を整えるため、都としてもしっかりと支援を行っていかなければなりません。
まず、中小企業の海外販路の開拓についてです。
海外の旺盛な需要を取り込むには、異なる商慣習や製品規格に対応するとともに、現地の状況をつぶさに把握し、信頼できる取引先を見つけることが重要です。ジェトロなどが提供する専門的なサービスの活用や、現地での設備投資や商材の仕入れのための資金調達などが必要となります。
都は、関係機関の力を結集して、中小企業の海外販路開拓を強力に後押ししていくべきと考えますが、見解を伺います。
また、中小企業が国内外で販路開拓を進める上で、我が国最大の展示会施設である東京ビッグサイトが果たす役割は極めて重要です。都は、我が党の主張を踏まえ、東京五輪大会を契機とした産業振興の観点から、新たに拡張棟の整備を進めることとし、本定例会にも関連の議案が提出されています。
都は、大会の開催や準備による影響に対応するため、仮設展示場の整備などを進めていますが、施設を利用できない期間が長期にわたるため、さらなる代替展示場の確保が課題となります。加えて、大会終了後の施設規模の拡大を見据えた車両待機場の確保も重要です。
都は、将来の交通需要などを的確に見込み、臨海地域全体の発展という視点も持って、代替展示場などの確保に向けたさらなる取り組みを進めるべきですが、見解を伺います。
グローバル競争を勝ち抜いていくには、これらに加え、卓抜したアイデアや意欲あふれる人材を積極的に支援し、新たなビジネスを生み出していく必要があります。そのためには、創業を目指す人々が集い、成功した先輩起業家からさまざまな苦労やノウハウを学ぶことのできる創業支援の新たな拠点をつくることが重要です。
本年度開始した創業経費の補助や、大幅に拡充した女性、若者、シニア向け融資などの支援策を効果的に届けることもできます。また、新たな事業に果敢に挑戦する創業者を後押しする投資の仕組みも必要です。
開業率一〇%という高い目標の達成に向けて取り組む知事の見解を伺います。
産業を支える人材の確保、そして一億総活躍社会の実現に向けて、誰もが生き生きと働ける環境の整備を進める必要があります。
都は、女性が働きやすい環境の整備に向け、我が党の要望を踏まえ、トイレ、更衣室、仮眠室などハード整備に対する支援を開始していますが、女性の就業が進んでいない分野に活躍の機会を広げるためには、企業の理解をさらに進めていく必要があります。また、例えば建設現場の仮設の施設についても、支援対象としてほしいとの声も寄せられています。
世界で一番女性が輝く都市の実現に向けた支援強化の取り組みについて伺います。
正規雇用化の推進もまた、雇用環境を整える重要な取り組みです。とりわけ、パート社員が同じ会社内で正規雇用に転換すれば、企業は仕事を熟知している即戦力を確保でき、従業員のモチベーションもアップするなど、双方に多くのメリットがあります。
都は今年度から、正社員転換を促す助成制度を実施し、正社員化による賃金アップや社会保険加入に伴う企業の負担軽減を図っていますが、退職金の負担にも目配りが必要です。中小企業退職金共済制度の利用を促す仕組みなど、きめ細やかな支援が求められます。
正規雇用の推進に向けた支援をさらに充実すべきですが、見解を伺います。
産業の活性化に向けては、観光の振興も重要です。とりわけパラリンピック大会を見据えれば、誰もがスポーツ競技を観戦し、東京の観光を楽しむ機会を生み出すことが必要です。大会のレガシーとしても、障害者や高齢者が車椅子を使いながら観光できるよう、さまざまな環境を整えることは大切な視点です。
しかし、車椅子のままで乗れるリフトつき観光バスを導入するには、かなりのコストがかかり、また、バスの駐車場所や観光スポットまでの安全な移動の確保といった課題もあります。先日、バス業界の意見を踏まえ、我が党も知事に要望を行ったところです。
大会のレガシーとなるよう、リフトつき観光バスを使って快適に旅行できる環境の確立に向けた取り組みを推進すべきですが、都の見解を伺います。
産業振興を進める上で、もう一点、大切な視点が日本各地との連携です。東京五輪大会は、全国の自治体や政府などと一体でなければ、なし遂げることはできません。同様に、大会を契機に日本全体が発展していくために、東京と各地がしっかり手を携え、産業の振興に取り組むことが重要です。
第三回定例会の我が党の代表質問の趣旨を踏まえ、都は先般、中小企業、観光、農林業などの各分野の連携策を取りまとめました。連携を実のあるものとするためには、まずは他の自治体の意見やニーズに真摯に耳を傾け、信頼関係を築き上げていく必要があります。そしてまた、国の関係機関の理解や協力を得ていく努力が求められます。
日本各地と連携した産業振興をどのように進めていくのか、都の取り組みを伺います。
次に、豊洲市場への円滑な移転に向けた取り組みについて伺います。
我が党は、世界で一番の都市東京にふさわしい国際的にも通用する市場を、都と市場業界と一体となってつくり上げることを目指し、築地から豊洲市場への移転整備という大きなプロジェクトを、党を挙げて一貫して推進してきました。
来年十一月七日の開場まで、いよいよ残り一年足らずとなりましたが、百年に一度ともいうべき我が国最大の卸売市場の移転に際して、市場業界からは短期間での引っ越しや移転に伴う費用などについて、さまざまな不安の声が届いています。先日も築地市場業界から我が党に対して、移転にかかる負担の軽減を求める要望書が出されました。
こうした業界の声に耳を傾け、豊洲市場への移転を成功に導いていくため、どう取り組んでいくのか、知事の決意を伺います。
次に、東京外かく環状道路について伺います。
都議会では、超党派による外かく環状道路建設促進議員連盟を平成十三年に結成し、歴代の国土交通大臣に対して、外環の早期完成を強く要請してきています。
関越道─東名高速間については、これまで早期着工に向けた要請活動を強力に行うとともに、平成二十三年に早期着工に向けた都民の集いを主催するなど、さまざまな活動を展開した結果、平成二十四年に本格的な工事着手に至りました。
平成二十五年と二十六年には、生産緑地の取得や区分地上権の設定が迅速かつ円滑に進むよう、税制改正を実現させました。
東名高速から湾岸道路に至る、いわゆる東名高速以南についても、ミッシングリンクの解消とともに、国際化された羽田空港へのアクセス強化のために整備が不可欠です。このため、外環議員連盟は、東名高速以南の具体化に向けた活動を強化しています。
先月十六日に石井国土交通大臣を訪ね、改めて要請したところ、大臣からは、東名から南についてもなるべく早く調整の場をつくっていきたいとの話がありました。
知事も常々、三環状道路の必要性を訴えていますが、外環の東名高速以南の具体化について、知事の所見を伺います。
都市計画道路の整備方針について伺います。
人と物の流れがスムーズに行き交い、災害に強い安全な東京をつくる上で、都市計画道路は必要不可欠な都市基盤です。これまで都は、三環状道路の整備とあわせ、過去三回にわたり策定した計画に基づき、都市計画道路の整備を着実に推進してきました。
現在策定中の都市計画道路の整備方針では、これまでの道路整備の効果を最大限に生かしつつ、東京五輪大会を跳躍台として、東京をさらに発展させるための方針が示されるものと期待しています。
そこで、新たな整備方針についてどのように取りまとめるのか、見解を伺います。
次に、国際コンテナ戦略港湾について伺います。
平成二十二年に、国が選択と集中の理念を掲げて策定した戦略港湾政策は、既に五年が経過し、この間、我が国港湾を取り巻く状況は大きく変化しています。本年十月には、TPPが大筋合意し、今後、国際物流の世界に大きなうねりをもたらすものと考えます。
そのような変化の中、これまで課題となっていた京浜三港の経営統合について、都の報告では国際戦略港湾の枠組みを維持しつつ、今年度中に横浜港、川崎港の二港のみで港湾運営会社を設立し、東京港は現時点でこれには加わらないとのことでありました。
これまで我が党は、時代の変化に戦略的に対応していくためには、都が引き続き東京港の経営に当たっていくべきだと申し上げ、国にも働きかけてきましたが、このたび東京港の主体性を確保しつつ、国と三港で円満に合意が図られたことは大変評価しています。
そこで、国際コンテナ戦略港湾政策にかかわる都の考え方について、知事の所見を伺います。
一方、戦略港湾政策に先立ち、京浜三港は競争と連携の理念のもと、三港連携に取り組んできました。かねてより広域的な港湾連携を提唱してきた我が党は、超党派で東京都議会の有志を募り、横浜市会、川崎市議会とともに議員連盟を立ち上げ、連携事業を応援してきました。
今回、京浜三港での経営統合を当面見送ったものの、三港連携は自治体の枠を超えた物流基盤の充実強化の一環として、今後も進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
次に、クルーズ客船の誘致について伺います。
クルーズ客船は、寄港により数億円の経済波及効果も期待できるなど、さまざまな効果が期待できます。都は、我が党の主張を受け、臨海副都心地区に大型クルーズ客船にも対応可能なふ頭の整備を、二〇二〇年までに行うとしたところです。
しかし、世界のクルーズ客船隻数は飛躍的に増加しており、主要港では複数のバースを保有することなどにより、こうした需要にしっかりと対応しています。また、客船ふ頭自体が、夜景を楽しめるデートスポットや港の風景を眺められる憩いの場として、重要な観光資源となっています。
そこで、東京港がクルーズ客船を誘致するためには、海外主要港と同様に二そうのクルーズ客船を同時に受け入れられるよう取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。
次に、運河部における水辺の魅力向上について伺います。
我が党は第三回定例会で、水の都東京の魅力向上に向け、舟運の活性化について提案しましたが、これに加え、船上から眺望する景観形成や水辺のにぎわい創出など、舟運の活性化と相乗効果をもたらす、運河部における水辺の魅力向上の取り組みも重要です。
世界的な観光都市であるロンドンやパリにおいては、テムズやセーヌの川沿いにオープンカフェがあり、水辺の風景や行き交う船を眺めながら憩う場として、都市の魅力を引き立てています。
二〇二〇年を見据え、東京においても運河が持つポテンシャルを十分に生かし、魅力的な水辺づくりに向けた取り組みを推進すべきでありますが、都の所見を伺います。
また、自民党の政策提言では、舟運を活用した観光ルートの開発も提案しています。
しかし、一方で、水上タクシーなど民間の船が利用できる船着き場の数が十分ではないこと、また、利用できる船着き場についても利用料金に多寡があるなど、まだまだ課題が多いことも事実です。今後はこのような課題を念頭に置き、ますます舟運の活性化を進めていくべきと考えます。
そこで、防災船着き場を活用した舟運の活性化への取り組みについて、都の見解を伺います。
次に、多摩・島しょ地域に関して伺います。
最初に、小笠原の交通アクセスの改善、とりわけ航空路の開設について伺います。
小笠原諸島は、本土から千キロメートル離れた国境離島であり、我が国の領土、領海の保全や海洋資源の確保など、国益に重要な役割を担っています。さらに、昨年には中国漁船の違法操業問題も発生し、国境離島としての存在価値は、これまでにないほど高まっています。
また、村民は重篤な傷病の場合には、自衛隊機での本土への移送に頼らざるを得ないほか、出産や通院などで上京する際には本土での長期滞在が余儀なくされ、精神的、経済的な負担も大きくなっています。
去る九月には、我が党の有志国会議員が小笠原を応援する会を結成し、一義的には都の事業となる航空路の開設など、小笠原のさらなる振興について安倍総理に要望をしています。小笠原の地理的、歴史的な事情などを背景に、国政においても強い関心が示されている重要性を鑑み、都は国としっかり連携して調査検討を進めていただきたいと考えます。
三年後の平成三十年には、小笠原諸島が本土に復帰して五十周年を迎えます。過去に幾多の変遷をたどってきた経緯は十分認識していますが、ぜひ実現可能な航空路案をしっかり検討し、一定の方向性を示していただきたいと考えます。
そこで、小笠原の航空路の開設について、知事に改めて所見を伺います。
次に、多摩・島しょ地域の土砂災害対策の取り組みについて伺います。
今年九月の関東・東北豪雨では、線状降水帯に伴う豪雨により、鬼怒川が決壊するだけでなく、各地で土砂災害が発生し、栃木県では一名の方が亡くなられました。
一昨年の大島や昨年の広島など豪雨による土砂災害が頻発する中、都内には約一万五千カ所の土砂災害のおそれのある箇所が存在するとされており、地形の急峻な多摩地域から対策を早急に進めていくことが重要です。
そこで、今後の土砂災害対策にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
次に、多摩の重要な産業であり、貴重な自然環境を維持するためにも重要な林業について伺います。
都内の農林水産業にも、TPPの発効を見据えた十分な目配りが必要であり、第三回定例会でも農業支援の強化を求めたところです。
林業についても、木材価格の低迷と人件費の高騰などの厳しい状況を克服し、安定した経営環境の整備に向け、林道などの整備を進めることはもとより、木材利用の拡大を図っていく必要があります。
そのためには、東京五輪大会関連施設などでの利用推進に加え、年間約五万戸の木造住宅が建設される木材の大消費地である東京で、広く都民に多摩産材を知ってもらい、使ってもらうことが重要です。
多摩産材の利用拡大に向けた施策の強化について、都の見解を伺います。
最後に、教育、文化、スポーツに関して伺ってまいります。
我が党は、東京を世界で一番の都市とすることを目指し、教育についても、若者が夢と希望を持てる教育都市東京をつくるため全力投球しています。東京の未来を築いていくためには、日本人としての自覚と誇りを持って、世界と渡り合える若者を育てていく必要があります。
都教育委員会は先日、都立高校改革新実施計画の骨子を公表し、これからの時代を担う、知、徳、体の調和のとれた人間、グローバル化する東京、日本を支える人間、自他をともに尊重し社会の中で自立して生きていく人間を育成していくことを明らかにしました。
そこで、今回の新実施計画策定の狙いについて伺います。
ことし、日本人科学者二名がノーベル賞を受賞しました。二十一世紀以降、自然科学分野の国別の受賞者数で、日本は米国に続いて世界第二位であることは、我が国の研究レベルの高さを示すものです。
また、東京にはすぐれた技術を持った中小企業が集積しており、高機能製品や精密製品の開発、製造で世界から高い評価を得ています。
しかし、近年、我が国では、産業競争力などの面において国際的地位を後退させている状況があります。日本が科学技術立国として国際競争に打ち勝ち、世界に大きく貢献していくためには、理数に秀でた人材の育成が必要です。
新実施計画では、理数分野で世界に貢献できる人材を輩出するため、どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、発達障害教育について伺います。
我が党はかねてより、発達障害教育について、小中高等学校を通じた総合的な施策の構築を求めてきました。これに応え、小学校では特別支援教室の本格導入の準備が進み、中学校でもモデル事業を開始予定であるなど、施策が進みつつあります。
今般、都教育委員会が公表した発達障害教育推進計画の骨子では、都立高校でも発達障害と考えられる生徒が二・二%在籍しているとしています。発達障害の生徒の中には、突出した能力を持つ生徒もおり、障害を個性と捉え長所を伸ばして、将来の社会参加につなげることが重要です。そのためにも、生徒の障害の状態や高校の状況に応じた、従来の枠にとらわれない幅広い支援を行う必要があると考えますが、都の見解を伺います。
次に、文化振興について伺います。
日本が今後百年、世界で一定の影響力を維持するのに最も必要なものは何かと問われれば、私は文化の力だと答えます。そして、そのモデルとすべきはフランスだと考えます。
フランスは、現在のアメリカや、かつての大英帝国、古くはローマ帝国のように、世界の覇権を握ったことはありません。にもかかわらず、世界で確固たる地位を築き、特に世界中の女性から羨望のまなざしで見られています。その根源は何かと考えると、ファッションやグルメ、あるいはフランスが醸し出す芸術的な雰囲気なのだと思います。文化の力こそがフランスの国力の源泉だと考えます。
今、二〇二〇年に向け、日本の文化的な価値をいかに訴えていくかが問われています。美術に興味がなくても、多くの旅行者がパリに行けばルーブル美術館、ロンドンに行けば大英博物館を必ず訪れます。東京にも、そうした核となるものが必要です。
幸い東京には、東洋、西洋の画家に多大な影響を与えた浮世絵があり、世界的存在である草間彌生や村上隆などの現代美術があり、さらには、海外にも愛されるジブリ作品などのクールジャパンコンテンツがあります。大英博物館のように、世界を魅了したウォークマンなどのメード・イン・ジャパンの工業製品を陳列してもいいかもしれません。ぜひ、核をつくって自国のすぐれたものを発信していくべきです。
東京が世界有数の文化都市としての地位を占めていくためには、東京独自の文化の魅力を訪日外国人に対し強く印象づけることが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
次に、日本の伝統芸能についてです。
江戸文化とともに花開き、現在の東京に受け継がれる日本舞踊や邦楽、寄席演芸などの伝統芸能に関する公演がより活発に行われるなど、一層の振興を図る必要があります。
伝統芸能公演は、外国人を含めた観客が日本古来から連綿と続く伝統芸能の魅力、真髄に触れ、体感することができるだけでなく、一流の実演家が若手と共演することで、芸を次の世代へ継承することが可能となります。そのためには、こうした公演にふさわしい場が東京に確保されていなければなりません。
都は、上野の東京文化会館、池袋の東京芸術劇場という二つのホール施設を持っていますが、コンサートや演劇での使用を前提としたホールとなっています。
東京における伝統芸能のより一層の発信、振興を図るには、都立文化施設の中に、一流の実演家や地域の伝統芸能団体など、多様な団体が利用できる場、いわば和の空間が必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
次に、スポーツ振興に関して伺います。
ラグビーワールドカップ・イングランド大会は、日本代表チームの歴史に残る活躍が印象に深く刻まれる中で、成功裏に閉幕しました。
都議会は、我が党の高島議員を団長に調査団を派遣し、大会運営をつぶさに視察しました。調査団は、ラグビーファンが試合前からファンゾーンで盛り上がり、観戦をみんなで楽しむ雰囲気など、ラグビー文化に触れるとともに、キャンプ地の一つとなったバーミンガム大学を訪問するなど、現地でしか得られない貴重な情報を得てきました。
スタジアムとファンゾーン、市内中心部を結ぶシャトルバスの運行、ボランティアによる案内誘導、入場時の荷物チェックなど円滑な大会運営が行われている一方、試合終了後、大勢の観客で会場周辺が混み合うなど、課題もあったとのことです。
二〇一九年には、ラグビーワールドカップの開幕戦を東京で開催できることを誇りに思います。同時に、アジア初開催となる本大会を迎えるに当たり、準備を着実に進め、国内外の観客やVIP、選手たちに最高のおもてなしを提供しなければなりません。
知事も大会を視察したと聞いていますが、二〇一五年大会を踏まえ、二〇一九年大会に向けた課題にどう取り組むのか、知事の認識を伺います。
イングランド大会は、また、日本国内でも大変な盛り上がりとなりました。秩父宮ラグビー場を初め都内各地、全国各地でもパブリックビューイングイベントが行われ、四年後の二〇一九年に向けた期待感、一体感が醸成されました。
東京五輪大会についても、来年のリオ大会が、改めてオリンピック・パラリンピックのすばらしさを実感し、東京五輪に向けた機運を醸成する絶好の機会となります。リオ大会の開催期間中、大会の生の迫力を実感できるライブサイトを区部、多摩、被災県で開催するとのことですが、その具体的内容について伺います。
また、その盛り上がりを一過性なものに終わらせず、オール東京、オール日本に広げ、二〇二〇年に向けて機運を盛り上げていく取り組みが必要です。リオ大会の閉会式で、次期開催都市東京に引き継がれたオリンピック・パラリンピックフラッグを活用した機運醸成の取り組みを展開すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、先般公表された、大会後のレガシーを見据えた二〇二〇年に向けた東京都の取り組みの素案について伺います。
これまでも我が党は、世界で一番の都市東京の実現に向けて、二〇二〇年大会を契機とした社会全体の活性化や大会後の競技施設の有効活用など、価値あるレガシーを残していくために、明確なビジョンを持って大会準備を進めるよう求めてきました。
また、大会の盛り上がり、経済効果などが、東京だけではなく、被災地を初め全国に波及し、我が国全体のさらなる発展につなげていく必要性も訴えてきました。素案の内容は、こうした我が党の主張にも沿った内容が取り入れられており評価しています。
今回示された取り組みを指針として、大会に向けて確実に実行していくことが重要であり、それによって、大会後のレガシーのありようが左右されます。
そこで、今回、都の取り組みを取りまとめた意義について伺うとともに、大会で確かなレガシーを残していく知事の決意を伺います。
この素案には、競技施設や選手村などのハード面の着実な整備、文化、教育の取り組みや水素社会の実現、暑さ対策も含めた環境対策、被災地復興への取り組みなど、レガシーを見据えた大会に向けて、八つの方向性が示されています。いずれも大会成功には欠かせないものですが、着実にステップを踏み、具体的な取り組みを進めていくことが重要です。
そこで、今後、大会に向け具体的にどのような取り組みを進めていくのか、都の所見を伺います。
中でも、重点的取り組みが必要な最たるものは、パラリンピックに向けた準備であります。我が党の世界で一番の都市東京という目標は、いうまでもないことですが、障害者スポーツの振興についても当てはまります。
今回発表された素案には、競技会場を中心としたバリアフリー化の推進はもちろん、パラリンピック競技の普及啓発、選手の発掘、育成、競技団体の強化など、我々が常々その必要性について申し上げてきたことが取り入れられたと理解しています。そのどれをとっても、待ったなしの取り組みが求められており、我が党も、パラリンピック成功に向け全面的にバックアップしていきたいと思います。
また、大会後に障害者スポーツがしっかりと都民、国民に根づいたものにならなければ、二度目のパラリンピック開催が、東京に真のレガシーを残したとはいえません。障害のある方に配慮した取り組みは、お年寄りにとっても子供にとっても優しいものとなります。スポーツと健康づくりが生活の中に溶け込むきっかけともなり、世界で一番の優しく健康な都市東京の実現にもつながります。パラリンピックをきっかけに、障害者スポーツの振興を確かなものとしていくための方策について、知事の見解を伺います。
また、これらを現実のものとしていくためには、大会後の障害者スポーツの振興をしっかりと見据え、戦略性を持って対策を講じていくことが必須です。安定的、継続的な事業運営を行っていくための財政的な措置を強く要望しておきます。
さて、最後に、世界で一番の都市東京についてお話しします。
東京の魅力の一つは、国内最大の消費地であることです。東京が元気になればなるほど消費活動は活発となり、地方が生産するフルーツなどの特産品も、車などの工業製品も売れるのです。今まで百円のリンゴを買っていた人も、百五十円のリンゴを買うようになるのです。東京が世界で一番になることは、地方経済の活性化にもつながるのだと思います。
フランスを初めて訪れる人が、まず初めにパリに行くように、イギリスを訪れる人が、まず初めにロンドンに行くように、日本を訪れた人は、最初に東京に来るのです。東京で日本の魅力を十分に満喫していただく、そのことが、他の地方を訪れる契機ともなるのです。
東京は、現在でも世界有数の都市です。イギリスの雑誌では、ことし初めて世界で一番住みやすい都市にも選ばれ、あらゆる指標で好位置につけています。既に世界一に手の届く位置にいます。
しかし、私には、そのあと少しの道のりがとてつもなく遠い気がしてなりません。世界一は、何となくなれるものではありません。我々議員一人一人が、知事が、副知事を初めとする職員一人一人が、あらゆる分野で明確に目標を持って、本気で世界で一番を目指して取り組んで、初めて一番になれるかもしれないものです。チャンスもこれが最後かもしれません。
必ずや世界で一番の都市東京を実現する、その思いをぜひとも再度共有していただきますことを改めてお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
○知事(舛添要一君) 秋田一郎議員の代表質問にお答えいたします。
まず、テロへの対応についてでございますが、先月、パリ市内の劇場や近郊の競技場において、テロ組織による銃撃や爆発が起こり、多数の一般市民が巻き添えとなりました。この一連のテロ行為は、多くのとうとい命を奪う卑劣きわまりない行為でありまして、断じて許すことはできません。
治安のよい大都市である東京も、今後、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会を初めとする国際的なイベントの開催都市として、いつテロ攻撃の標的となるとも限りません。
都は、こうした厳しい治安情勢に対応するために、警察、消防の強化に努めるとともに、万一のテロ発生時には、関係機関と連携し、警報の通知や住民避難の措置等を迅速に行えるよう、日ごろからテロを想定した訓練により、対処能力の向上を図っているところでございます。
今後とも、都民の生命、身体、財産を守るために、全力を挙げてテロへの備えを固めてまいります。
次に、新国立競技場の整備についてですが、新国立競技場は、国が責任を持って整備を進めることが基本であります。
一方で、アスリートファーストや周辺のまちづくりとの調和など、都としての考えが反映された新たな整備計画のもとで、都民に有形無形の大きな便益があることは明らかであります。
開会式や閉会式等を行うメーンスタジアムとなる新国立競技場なくしては、二〇二〇年大会の成功はあり得ません。ここは、都民、国民の感動の中心に位置し、世界に向け、東京、日本の力とスポーツのすばらしさを発信する場となります。
また、大会後の東京において、都民にとっても、スポーツの振興はもちろん、周辺環境の向上や地域の防災機能の強化など、多様な価値を末永く持つレガシーとなります。
さらに、経済波及効果について、日本スポーツ振興センター作成資料に基づき、都で推計を行ったところ、新国立競技場が整備され、さまざまなスポーツ大会やイベントが行われれば、工事期間及び完成後五十年間で、全国に約一兆四千億円、都内に約七千億円の大きな効果が見込まれます。
大会を成功させ、現在及び将来の東京に多面的に大きな受益をもたらすという考えのもと、今般、国と地方で費用を分担し合う国直轄事業の考え方に準拠して、応分の財政負担をすることを決断いたしました。
私は、開催都市の首長として、新国立競技場が大会の準備や開催に支障なく整備され、大会後もレガシーとなるよう、引き続き国や関係団体と一致協力し、大会を成功に導いてまいります。
都市外交の進め方と都政への反映についてでございますが、都市外交は、海外諸都市とともに、大都市に共通する課題の解決に取り組み、東京の発展に資するため、展開しているものでございます。
また、二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの成功に向けても、海外諸都市との協力関係が不可欠でございます。
もとより、国家間の利害調整を主とする外交は国の専管事項であり、都市外交がこうした国の方針に反するようなことがあってはなりません。その上で、東京都の都市外交は、相手都市の首長との間に強固な関係を築くとともに、抽象的な友好関係にとどまらない、より具体的、効果的なものとなることを目指しております。
直近に訪問しましたパリの例では、パリ市長と会談し、環境や文化など五つの分野で政策協力の合意書を締結いたしました。その後訪れましたロンドンでは、ラグビーワールドカップを視察し、またスポーツ関係者からは、大会運営に資する貴重な知見を得ることができました。こうした際には、相手側との事前の調整を十分に行い、実効性を高めるように努めてまいりました。
お話にございましたように、都市外交の展開の中で、事前調整は極めて重要な要素でございます。今後とも、調整の進め方に十分留意し、都市外交の成果を一層高め、都政に反映していきたいと考えております。
都市外交と地方法人課税についてでありますが、ご指摘のとおり、地方法人課税についての国の偏在是正なる不合理な措置は、まさに東京の今後に大きな影響を及ぼす問題であると認識しております。
これまでも、全国知事会議や関東地方知事会議、九都県市首脳会議などの機会を捉え、他の自治体に東京の立場を訴え続けてまいりました。十月には、宮沢税制調査会長に面会し、東京都の立場を主張いたしました。先月には、特別区長会、市長会、町村会と、また、志を一にする他の自治体とともに、総務大臣に強く要請を行いました。東京都選出の国会議員の方々にも協力を要請してまいりました。
また、都市外交をてこにした施策の推進も、都政にとって大事な取り組みだと考えております。ご質問にありました出張は、いずれも効果的な日程となるよう心がけて組んだものでございます。
今回いただいたご意見を踏まえ、引き続き、さまざまな都政の重要事項に向かい合い、そのかじ取りに当たっていく所存でございます。
東京都総合戦略に込めた決意と、この戦略をもとにした今後の政策展開についてでございますが、地方創生は日本全体の創生でありまして、各地域がその強みを持ち寄り、日本全体を活性化していくことが重要であります。
そこで、東京と地方がともに栄える真の地方創生の実現を目指すという考え方のもと、国の総合戦略を勘案し、東京都長期ビジョンの目標や政策を基本に、東京都総合戦略を策定いたしました。
総合戦略では、東京の使命として、東京と地方の共存共栄、首都、国際都市としてさらに発展し、日本経済を活性化、少子高齢化、人口減少社会への挑戦を挙げております。
最重点事項であります地方との共存共栄では、皆様からのご提言も踏まえて盛り込んだ多くの施策を具体的な形にしてまいります。全国各地と連携した産業振興や観光振興など、地域経済の発展に結びつく成長志向の取り組みを、都から各道府県に直接、連携、共同を働きかけ、より効果的に推進してまいります。
また、東京における少子高齢化への対応は、日本の将来像に大きな影響を与えるものであります。都は、この問題に正面から向き合い、待機児童の解消、高齢者施設の整備などに全力で取り組んでいくとともに、課題を共有する一都三県での連携も進めてまいります。
東京の持てる力を最大限生かして、日本全体の発展につながる真の地方創生の実現に力を尽くしてまいります。
次に、国土強靱化地域計画についてでありますが、世界一の都市を実現するために、いかなる災害に遭っても、日本の心臓である首都東京を守ることが、都知事としての私に課せられた使命であります。
こうした強い思いのもと、この間、長期ビジョンや防災プランを通じ、今後の都の防災対策の道筋を示すとともに、必要な事業を着実に進めてまいりました。
素案の策定に当たりましては、防災事業を都の事業に限定することなく徹底的に洗い出し、評価した上で、今後の防災対策の羅針盤として機能するよう、体系的に取りまとめをいたしました。
今後は、福祉や産業、まちづくりなど、全ての分野において災害への備えを万全にするための平時の取り組みを進めてまいります。同時に、防災訓練の充実などにより、自助、共助、公助に根差した個々の取り組みが災害時に真に機能するよう、具体化することが重要であります。
また、広域的な災害対応や、首都機能の役割を踏まえた財源負担のあり方など、幾つかの課題を解決していかなければなりません。
世界一安全・安心な都市を実現すべく、みずから先頭に立ち、多様な主体と連携しながら、東京の強靱化に向け全力を尽くしてまいります。
次に、自転車走行空間の整備についてでございますが、自転車は都市内の有効な交通手段の一つでありまして、誰もが安全で快適に利用できるよう、自転車利用者のルール、マナーの周知徹底や自転車走行空間の整備、自転車シェアリングの普及など、総合的な自転車政策を進めることが重要であります。
一方で、都内の交通事故においては自転車関与率が高いことから、歩行者、自転車、自動車それぞれの安全を確保していく必要があります。
このため、都は、国のガイドラインなどに基づき、地域の道路事情に応じた自転車走行空間の整備に取り組んでおります。
あわせて、交通ルールやマナー向上に集中的に取り組むとともに、違法駐車の取り締まりも強化しております。
今後、整備に当たりましては、ご指摘の趣旨も踏まえ、道路構造や交通状況に応じた整備手法を検証するなど、東京の実情を十分勘案し、安全で快適な自転車走行空間となるように進めてまいります。
新たな温室効果ガス削減目標の設定と実現に向けた取り組みについてでございますが、今回、温室効果ガスの削減について、二〇三〇年までに二〇〇〇年比三〇%削減という新たな目標を設定いたしました。これは、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会とその後を見据えて、国や他都市をリードしていく意欲的な水準と考えております。
こうした高い目標を掲げることで、環境分野における技術革新を促すと同時に、産業、業務、家庭、運輸それぞれの分野において、目標実現に向け総力を挙げて取り組んでまいります。
このため、キャップ・アンド・トレード制度など、これまでの施策を着実に実施するとともに、エネルギー性能の高いビルや住宅の普及を図り、省エネを推進してまいります。さらに、燃料電池自動車等の導入促進による水素社会の実現など、総合的な環境政策を積極的に展開してまいります。
また、施策を進める上では、国による対策や規制緩和も極めて重要であり、国の施策ともしっかりと連携しながら、経済成長と環境政策を両立させた実効性ある気候変動対策を推進してまいります。
創業の促進についてでありますが、東京の産業が持続的に発展するためには、意欲ある多様な人材が、社会経済環境の変化に伴う新しい市場ニーズを的確に捉え、果敢に創業に挑戦し、成長できる社会を築くことが必要であります。
開業率一〇%台の達成に向け、都はこれまで、創業期に必要となる場の提供や経費の助成等の支援を実施してまいりました。
今後、さらに創業を促進するためには、創業希望者を掘り起こし、裾野を広げるとともに、起業に対する不安を解消することが重要であります。
そこで、都は、創業に関心のある誰もが利用でき、情報提供から事業化支援までをワンストップで行う拠点を構築いたします。ここでは、ベンチャー企業の経営者等が次代の起業家を育成するため、自身の経験に基づく助言を行うとともに、培ってきた人脈を生かし、創業を後押しいたします。
また、創業を実現していく過程で、大企業や研究機関などとの連携によって、飛躍を目指す起業家等に対し、投資家からの出資を促す仕組みを整備してまいります。
こうした取り組みにより、起業家が次々と生み出される環境づくりを強力に進めることで、東京、ひいては我が国全体の経済の活性化につなげてまいります。
続きまして、豊洲市場への円滑な移転についてでございますが、豊洲市場は、我が国が世界に誇れる卸売市場となるよう、物流や衛生面など市場機能を大幅に強化した最新鋭の施設として、着実に整備を進めております。
こうした施設面の整備に加えまして、豊洲市場が築地の伝統やにぎわいを受け継ぎ、築地ブランドと呼ばれる魅力をさらに高めていくために、これまで築地を支えてきた市場業者の方々が、移転後も活気あふれる営業活動を展開していくことが不可欠でございます。
現在、開場に向けまして、築地市場の業界団体一丸となって取り組んでおりますが、その一方で、前例のない大規模な移転を前に、移転費用等についても支援を求める声も上がってきております。
都としましては、市場業者が安心して豊洲に移転し営業できるよう、ただいまのご質問の趣旨を受けとめ、必要な支援について早急に検討を行います。来年十一月七日に豊洲市場を円滑に開場し、世界一の都市東京にふさわしい市場となるように全力を挙げて取り組んでまいります。
外環の東名高速以南の具体化についてでありますが、外環は、東名高速や東北道など放射方向の高速道路を束ねる扇のかなめに位置し、人や物の流れをスムーズにするだけでなく、災害時には日本の東西交通の分断を回避させるなど、極めて重要な環状道路でございます。
中央環状線の全線開通により、都心を通過するだけの交通が環状線に迂回して、都心の渋滞が大きく改善いたしました。
外環につきましても、東名高速から湾岸道路までのミッシングリンクを解消して、羽田空港や京浜港へのアクセスを強化するなど、環状道路としての機能を最大限に発揮させる必要があります。
先般、私も出席しました国との連絡協議会の場におきまして、東名高速以南の早期具体化を改めて要請いたしました。
引き続き都議会の皆様と連携し、外環を完成させて、首都圏の渋滞緩和、環境改善を図り、経済を活性化させるとともに、災害に強い強靱な国土を形成してまいります。
次に、国際コンテナ戦略港湾についてでありますが、京浜港が国際戦略港湾に選定されてから、この五年間、円安への流れや中国経済の成長率鈍化、TPPの大筋合意など、港湾を取り巻く情勢が大きく変化しております。
このような環境の変化の中、京浜三港の役割、喫緊の課題、着手すべき施策の優先順位などが異なってきておりまして、京浜港においては、横浜港、川崎港が先行して港湾運営会社を設立することとなりました。
都は、引き続き国際戦略港湾の一員として、足元を固めて港湾機能の強化に力を注ぎ、国に対しても、東京港への重点投資を求めてまいります。
東京港は、横浜港、川崎港と切磋琢磨しながら、国際コンテナ戦略港湾政策を一歩前進させ、京浜港、ひいては日本経済の国際競争力強化に尽力してまいります。
小笠原の交通アクセスの改善についてでございますが、本土から千キロメートル離れた小笠原諸島への交通アクセスの改善は、島民生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的発展を図る上で、極めて重要であります。
航空路の開設は長年にわたる小笠原村民の切なる願いであることは十分に認識してございます。また、本土復帰から五十周年の節目を迎える平成三十年までに一定の方向性を示してほしいという村の強い思いは、もとより伺っております。
一方で、航空路開設に当たりましては、自然環境への影響を初め、適切な機材の選定など、さまざまな課題があることもまた事実でございます。
このため、小笠原村を初め、国などの関係機関との調整を一層緊密に、かつ丁寧に行うとともに、環境への影響や、最新の技術開発動向などに係る調査を、幅広い観点から実施してまいります。
今後とも、自然環境と調和した実現可能な航空路案が取りまとめられますように、精力的に検討を進めてまいります。
東京独自の文化の発信についてでございますが、東京が世界一の都市を目指すためには、ロンドン、パリと肩を並べる文化都市として、確固たる存在感を示していくことが重要であります。
東京は、能や狂言、歌舞伎などの伝統文化と、デザインやファッション、アニメ、ゲームといった現代の文化とが共存しており、さらにこれらが融合し合い新たな文化を生み出す、大きな文化的ポテンシャルを有しております。
これを最大限に生かしまして発展させていくため、例えば、江戸東京博物館が収蔵する貴重な浮世絵や、現代美術館が保有します幅広いジャンルのユニークな作品を、デジタル技術なども活用して、海外の人にもより魅力的かつわかりやすく展示し、広く伝えていく取り組みを促進します。こうした取り組みによりまして、訪日外国人が必ず訪れてみたいと思う魅力的な施設にしていきたいと思っております。
また、東京独自の文化の魅力を世界の人々に余すことなく伝えるため、都内に多数ある民間文化施設等とも十分連携しながら、SNSなどを活用して発信を強化してまいります。
二〇二〇年大会は、海外から訪れる人々に東京の文化の独自性と多様性をアピールし、理解を深めてもらう絶好の機会でありまして、伝統と現代が共存する東京独自の文化を、世界で通用するブランドとして強く打ち出してまいります。
ラグビーワールドカップについてでございますが、ラグビー発祥の地で行われました今回のイングランド大会の成功を、アジアで初めて開催される二〇一九年大会につなげていかなければなりません。
大会視察で得られました成果を最大限に生かしつつ、日本ならではの演出、最先端技術を取り入れたファンゾーンの設置、VIPホスピタリティー施設や交通アクセスの確保などに取り組んでまいります。このため、会場となります東京スタジアムに隣接する武蔵野の森総合スポーツ施設や周辺の土地活用も含め、総合的に検討を進めてまいります。
また、重要なことは、翌年開催の二〇二〇年オリンピック・パラリンピックと二〇一九年大会を一体のものとして捉え、戦略的に準備を進めていくことでございます。
具体的には、ボランティア、多言語対応、セキュリティーなど、両大会共通の課題について、その取り組みを二〇二〇年につなげてまいります。
さらに、今後、さまざまな機会を通じまして、ラグビーの魅力やすばらしさを広く伝えていくとともに、チームキャンプ地についても、都内誘致に向けて積極的に支援してまいります。
都議会のご支援をいただきながら、開催自治体など関係者の皆様と連携して、万全の準備を進めてまいります。地元多摩地域を初め、都民一丸となって、大会成功に向け、全力を尽くしてまいります。
次に、二〇二〇年大会に向けた取り組みについてでありますが、大会を通じて価値あるレガシーを残すためには、大会のその先をしっかりと見据えて取り組みを進めていくことが重要でございます。
こうした考えのもと、今回、レガシーを見据えた二〇二〇年に向けた取り組みの素案をまとめました。ハード、ソフト両面にわたる八つのテーマについて、その方向性を明らかにし、都民の皆様に広く知っていただくことにより、大会に関心を持ち、参加するきっかけとしていただきたいと思っております。
特に東京は、世界で初めて二回目のパラリンピックを開催する都市であります。パラリンピックには、社会を変える力があります。障害者スポーツの環境整備、教育を通じた障害者への理解促進、心のバリアフリーの浸透、障害のある人もない人もボランティアに参加しやすい環境づくり、そして都市のバリアフリー化など、多面的な取り組みを進め、誰もが暮らしやすい東京をつくり上げてまいります。
また、大会を通じて、日本の多彩な文化、水素エネルギーを初めとした高度のテクノロジーや、中小企業が持つすぐれた技術、食の魅力などを世界に発信いたします。東京が日本のショーウインドーとなることで、日本全体の発展に貢献してまいります。
今後、都議会での議論や都民の皆様の意見を踏まえ、さらに練り上げ、年内に取りまとめを行います。そして、ラグビーワールドカップ二〇一九とも連携しながら、取り組みを着実に実行し、確かなレガシーを残して、東京を世界一の都市に押し上げてまいります。
次に、障害者スポーツの振興についてでありますが、障害者スポーツ、そしてパラリンピックは、ノーマライゼーションの考え方を都民、国民に広めるものでございます。障害者がその能力を生かし、みずからの行動を決め、夢を追い続けることができる社会へと変革していく大きな力があります。
先日、駒沢オリンピック公園で開催されました、パラ駅伝in TOKYO二〇一五では、障害者と健常者がたすきをつないで走りました。完走した選手たちは一様に明るく、皆を一つにするというスポーツの持つ力を私も肌で感じました。
パラリンピックの成功に向けまして、普及啓発や選手発掘、競技団体の強化、利用者のニーズに応じた多様な場の確保など、それぞれを連動させながら加速度的に進めてまいります。
そして、こうした取り組みから得た成果を生かして、大会後も施策を着実かつ継続的に推し進めることで、障害のある人とない人がスポーツという共通のフィールドを得て、生き生きと暮らすスポーツ都市東京を目指します。
二〇二〇年大会を機に、東京が新しく生まれ変わった、障害者スポーツが社会に溶け込んだと誰もが実感できるように、全力で取り組んでまいります。
なお、そのほかの質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔警視総監高橋清孝君登壇〕
○警視総監(高橋清孝君) テロ対策の取り組みについてお答えいたします。
警視庁では、テロの未然防止を図るため、関連情報の収集分析と警戒警備、テロリスト等の上陸を阻止するための入国管理局等との連携による水際対策、手製の爆発物を製造する事案を防止するための化学物質の販売事業者への対策等を強力に推進しております。
また、伊勢志摩サミット、東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、機動隊の緊急時初動対応部隊など専門部隊による実践的訓練や、装備資器材の高度化等により、テロ対処能力の向上を図るとともに、警察と民間事業者や地域住民等とが緊密に連携して行う官民一体の日本型テロ対策を積極的に推進しております。
先般のフランス・パリにおける同時多発テロ事件を受けまして、関連情報の収集及びフランス関連施設を初めとする重要施設の警戒を強化しております。また、東京国際空港における警備の専従部隊である空港テロ対処部隊による警戒など、水際対策を徹底するとともに、公共交通機関やソフトターゲットとなり得る大規模集客施設等において、施設管理者と連携した警戒を強化しております。
今後も、組織の総合力を発揮して、首都東京におけるテロ対策に万全を期してまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕
○教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、都立高校改革についてでございますが、都立高校には、多様な生徒がそれぞれの夢や希望を持って入学しており、これらの全ての生徒を真に社会人として自立した人間に成長させていく責務がございます。
そのため、都教育委員会は、時代の変化による新たな課題にも対応した、都民の期待に応えられる都立高校の実現に向けて、これまでの枠組みにとらわれない施策の見直しを行い、本年度中に新実施計画を策定してまいります。
この計画に基づき、学び直しのための学習環境の充実や、ICTの効果的な活用に関するモデル校の指定など、教育内容の改善、充実を図ってまいります。また、定時制課程や専門高校の改善、語学力や豊かな国際感覚の醸成に力を入れる小中高一貫教育校の設置など、教育の使命である人格の完成を目指した広範な取り組みを強力に推進してまいります。
次に、理数分野の人材育成についてでございますが、科学技術立国日本のさらなる発展に寄与するためには、将来の科学技術の基盤を支え、イノベーションの創出に大きな役割を果たす人材を育成することが重要でございます。
都教育委員会は、富士高校及び附属中学校を理数アカデミーに指定し、高度なテーマに挑戦する探求学習の充実や海外の大学等での研修の実施、国際科学コンテストへの挑戦など、六年間の系統的な理数教育を推進してまいります。
また、進学指導重点校の戸山高校で、医学部を目指す生徒を対象に、医学生との交流や病院の職場見学等、医療への志を育成するプログラムを実施してまいります。
こうした取り組みを通して、理数教育のさらなる充実を図り、我が国の技術進歩や産業発展に貢献できる人材の素地を育成してまいります。
最後に、高校における発達障害教育についてでありますが、高校の発達障害の生徒は、学習障害や他者とのかかわりに関する障害などによる学校不適応から、不登校や中途退学につながる場合があり、障害の状態に応じた適切な指導、支援が不可欠でございます。
このため、都教育委員会は、生徒の状況に配慮した社会性の向上や職業的自立を目的とする学校設定教科、科目を開発するとともに、学習のおくれに不安を抱く生徒等に対し、放課後や土曜日に学校外での特別な指導を行うなど、これまでにない多様な施策を検討してまいります。
これらの取り組みにより、中学校からの切れ目のない適切な指導等を行うことで、発達障害の生徒の持てる力を最大限に伸ばし、将来の自立と社会参加を実現してまいります。
〔東京都技監安井順一君登壇〕
○東京都技監(安井順一君) 三点の質問にお答えいたします。
まず、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、都は、沿道建築物の耐震改修実績やこれまでに得られた診断結果に基づき、大震災時に建築物が倒壊し、道路が閉塞される状況について、シミュレーションを行いました。
その結果、緊急車両が都県境から都内の各防災拠点まで、迂回しながらも特定緊急輸送道路だけを通って到達するためには、耐震性が特に低い建築物を解消し、全体の耐震化率を九〇%まで引き上げる必要があることがわかりました。
この検証結果を踏まえまして、年度内にオリンピック・パラリンピック大会開催までの目標を明らかにいたします。最終的には、沿道建築物全ての耐震化に向けまして、耐震改修促進計画を改定し、災害に強い都市の実現に取り組んでまいります。
次に、沿道建築物の耐震化に係る広域連携についてでございますが、大震災の発生時におきましても、首都機能を維持し、速やかな復旧、復興を図るためには、隣接する県や主要都市と一体となって、緊急輸送道路の機能を確保していく必要がございます。
このため、先月、都と同様に耐震診断を義務づけている横浜市や川崎市に働きかけまして、都県境をまたぐ道路の沿道建築物を対象とした耐震化の連携方策や、より効果的な普及啓発のあり方などについて意見交換を行ってまいりました。
引き続き、こうした取り組みを九都県市の他の自治体にも広げて、広域的な観点からも、災害対応時に大動脈となる緊急輸送道路のネットワークの構築に取り組んでまいります。
最後に、都市計画道路の新たな整備方針についてでございますが、これまで都は、おおむね十年ごとに事業化計画を策定し、これに基づき、区部環状道路や多摩南北道路など、都市計画道路の整備を計画的かつ効率的に進めてまいりました。
新たな整備方針では、これまでの成果を踏まえ、骨格幹線道路をおおむね完成させるとともに、都県間を結ぶ道路網の拡充等を目指して、優先的に整備すべき路線を示してまいります。
また、区部、多摩を合わせた東京全体のネットワークが形成されることを前提といたしまして、都市計画区域内の建築制限の緩和や優先整備路線に選定しない路線の今後のあり方等についても明らかにいたします。
年内には、これらの内容を盛り込んだ整備方針案を公表し、幅広く意見を聞いた上で、年度末までに新たな整備方針として取りまとめます。
〔消防総監高橋淳君登壇〕
○消防総監(高橋淳君) テロ災害への取り組みについてでありますが、東京消防庁では、同時多発的に多くの負傷者が発生する災害に対応するため、ハイパーレスキューを五部隊、NBC災害の専門部隊を九隊配置するとともに、来年一月には、消防ヘリコプターの機動力をもって災害現場へ迅速に隊員等を投入できるエアハイパーレスキューを発隊させることとしております。
また、平素から東京DMATなどの関係機関と連携し、テロ災害を想定した実戦的な訓練を継続することによって、災害活動能力の強化を図っております。
さらに、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等の開催も見据え、即応体制や情報収集体制の強化を図るとともに、最新技術を取り入れた装備資器材を検討するなど、世界一安全・安心な都市東京の実現に向け、テロ災害への対応に万全を期してまいります。
〔財務局長長谷川明君登壇〕
○財務局長(長谷川明君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、公共工事の担い手を確保する取り組みについてでございますが、都民生活の利便性、快適性の向上や安全・安心な都市の実現を支える社会資本を安定的かつ持続的に整備し、その品質を確保していくためには、公共工事の将来を担う人材を確保することが不可欠でございます。
そのため、都は、こうした社会資本整備の担う役割や技術の継承の重要性を踏まえ、発注者として、現場に新たな人材を受け入れ、育成していくための環境整備に向けた取り組みを一層推進してまいります。
具体的には、都が発注する工事の中で、女性や若者の現場進出を支援する取り組み、高度な建設技術を発信する取り組み、週休二日制の推進に向けた取り組みなど、モデルとなる事業を平成二十七年度中から順次実施してまいります。
次に、工事発注時期の平準化に向けた取り組みについてでございますが、特定の時期に集中する工事発注を平準化することは、事業者の受注環境を安定させるとともに、都民生活を支える社会資本を将来にわたり持続的に整備する上で重要でございます。
また、中小企業を初めとした現場技術者の労働環境改善など、改正品確法の理念である公共工事の品質確保の担い手を中長期的に育成、確保することにも結びついてまいります。
そのため、都は、十二カ月未満の工事にも債務負担行為を適用し、発注時期をずらすなど、これまでの制度改革の成果を活用し、庁内連携のもと、発注件数のピークを下げる数値目標を新たに設定することで、より実効性のある平準化に向けた取り組みを進めてまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
○総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、指定管理者制度における監理団体の活用、指導についてでございます。
長期ビジョン等の実現には、施設を担う監理団体が一層質の高いサービスを安定的に提供できるよう、技術、ノウハウの継承等の観点を踏まえた取り組みが必要でございます。
そこで、災害に備え、地元自治体や警察、消防、自衛隊等との継続的な協力体制の確保が求められる防災公園や、高度な庭園管理技術の長期的な継承等が必要な文化財庭園など、上程いたしました百六十四施設のうち、監理団体が運営する特に主要な政策と連動した五十三施設について、標準の指定期間を五年から十年にするとともに、中間の五年目を目途に事業計画を見直す仕組みを導入いたしました。
こうした制度のもと、各局と連携して指導を強化し、都民本位で高品質の施設運営を実現してまいります。
次に、犯罪被害者等支援計画についてでございます。
都はこれまでも、全庁を挙げて犯罪被害者等の支援に取り組み、総合相談窓口の運営のほか、性犯罪等被害者のワンストップ支援や普及啓発を着実に進めてまいりました。一方で、本年実施した実態調査では、被害者や支援団体等から、支援策のさらなる充実や社会における理解促進を望むとの意見も上がっております。
こうした声を踏まえ、都はこのたび、新たな支援計画の素案を公表いたしました。素案では、性犯罪等被害者の精神的ケアの充実や民間団体等と連携した啓発事業の実施、身近な区市町村窓口における対応マニュアルの作成など、被害者の視点に立った取り組みを掲げております。
これらの取り組みをさまざまな主体との連携のもとに進め、犯罪被害者等を社会全体で支える支援を実現してまいります。
〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕
○生活文化局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、マイナンバー制度の導入に伴う個人情報の保護についてですが、都は、これまでの個人情報保護制度よりも厳しい制限を設けている番号法に対応し、個人番号を含む個人情報について、本人同意があっても法律で定める事由以外には利用を認めないなど、厳格な取り扱いを定める新たな条例案を本定例会に提案してございます。あわせて、個人番号を取り扱う上でのリスクやその対策について行政みずからが評価する制度をこの条例に盛り込み、適切に運用してまいります。
さらに、「広報東京都」への掲載や説明会の開催などにより、都民や事業者の方々がマイナンバー制度を正しく理解し、個人番号の管理など個人情報が適切に保護されるよう、普及啓発に取り組んでまいります。
次に、都立文化施設における伝統芸能公演の場の整備についてですが、多くの人々が伝統芸能の魅力に触れ、より理解を深めるとともに、一流の実演家が若手に芸を継承する機会を創出するため、伝統芸能公演を行う場を充実させることは重要であり、既存の都立文化施設を活用して整備することが必要と認識しております。
江戸東京博物館は、江戸東京の活力ある歴史と魅力的な伝統文化を伝える施設であり、国内外の観光客が数多く訪れております。この江戸東京博物館の特性を生かし、既存のホールを伝統芸能公演も行えるよう必要な改修を行ってまいります。
大ホールは日本舞踊や邦楽などの本格的公演も可能な場として、小ホールは邦楽や落語などの若手実演家の発表等の場として整備し、積極的に活用を図ってまいります。
〔建設局長佐野克彦君登壇〕
○建設局長(佐野克彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
初めに、中小河川整備の取り組みについてでございますが、集中豪雨等による水害から都民の生命と財産を守るには、河川整備を効率的、効果的に進めることが重要でございます。
このため、時間五十ミリまでの降雨は護岸整備を基本に、それを超える降雨には道路や公園等の公共空間を活用した新たな調節池等で対処いたします。
具体的には、浸水被害のあった神田川など五流域で、平成二十八年度に五施設の工事着手を目指しております。例えば、時間百ミリの局地的かつ短時間の豪雨にも効果を発揮する環七地下広域調節池については、八月に住民説明会を計四回開催し、今月中に都市計画決定、今年度末に事業認可を取得するなど、工事着手に向けた取り組みを加速してまいります。
現在二十六河川で進めている護岸整備とあわせ、今後とも中小河川の水害対策に全力で取り組んでまいります。
次に、防災船着き場を活用した舟運の活性化についてでございますが、東京の豊かな水辺環境を楽しみながら快適に移動できるよう、舟運の魅力を高めることは重要でございます。
このため、国や区と連携して、既設六十一カ所の防災船着き場を九十四カ所へ拡大することに合わせまして、ニーズの高い箇所では民間の観光船等への一般開放を図ってまいります。
例えば、両国では、既設の防災船着き場に加えて小型船舶も利用しやすい船着き場を、また築地においても、市場移転後、川沿いのテラスや船着き場を新たに整備し、活用を図ってまいります。これにより、隅田川と日本橋川や江東内部河川、港湾エリアなどとを結ぶ舟運ルートの拡大を促してまいります。
船着き場使用料等の課題につきましても、各管理者と連携し、検討を進めながら、都民や多くの観光客が満足できるよう、舟運を生かした水辺空間の魅力向上に努めてまいります。
最後に、今後の土砂災害対策についてでございますが、土砂災害から都民の命を守るには、砂防堰堤の整備等のハード対策と、円滑な避難行動を促すソフト対策を、両面から着実に推進することが重要でございます。
ソフト対策は、平成三十一年度の指定完了を目指し、これまでに土砂災害防止法に基づき約八千七百カ所の警戒区域を指定し、警戒避難体制の整備を促進しております。
一方、ハード対策は、時間と費用を要することから、緊急性を考慮して対策を進める必要がございます。そのため、関係各局による検討委員会を今月設置し、専門家の意見も聞きながら、緊急性を評価する手法を今年度内に定めてまいります。その後、区域指定が進捗している多摩地域から評価を行い、地元自治体と連携し、ハード対策を計画的に推進してまいります。
今後とも、土砂災害対策に全力で取り組んでまいります。
〔水道局長醍醐勇司君登壇〕
○水道局長(醍醐勇司君) 今後の給水所整備についてでありますが、水道局では、平常時の安定給水はもとより、事故時等のバックアップや震災時の給水拠点となる給水所につきまして、これまで、配水区域の再編などとともに、非常時の水道水を確保するため、順次、新設、拡充を進めてまいりました。
しかしながら、首都直下地震の切迫性が指摘される中、依然として区部においては、配水区域が広大な地区や配水池の容量が不足する地区が存在するなどの課題があることは、お話のとおりであります。
そこで、給水の安定性を速やかに向上させるため、配水区域の分割や必要な容量の確保を行うための給水所整備につきまして、現在策定中の新たな経営プランに反映してまいります。
今後とも、万全な危機管理のもと、強固で強靭な水道施設の整備を行うことにより、首都東京の安定給水を確保してまいります。
〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕
○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 交通安全対策についてでございますが、交通死亡事故が多発した昭和三十年代以降、交通安全教育、指導取り締まり、道路や車両の安全性向上などの対策に、都、警視庁、民間事業者、ボランティア等が官民一体で取り組みました結果、交通事故死者数は大幅に減少いたしました。
しかしながら、本年は、死者数が、現行の都交通安全計画で掲げました百五十人未満という目標を既に上回っているほか、いまだ子供が犠牲となる悲惨な交通事故などが後を絶たないところでございます。
このため、新たな計画の策定に当たりましては、交通事故の総量抑制及び死亡事故のさらなる減少を図るため、子供や高齢者などの年齢層に応じた対策や、自転車安全利用の強化など、より実効性の高い対策を盛り込むとともに、警視庁を初め関係機関等との連携を一層強化し、世界一安全・安心な都市東京の実現を目指して取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
まず、子供・子育て支援総合計画の推進についてでありますが、計画では五つの目標のもとに、福祉、保健、医療、雇用、教育など、さまざまな分野から成る二百六十七の事業を盛り込み、具体的な数値目標を定めております。
これらの事業実績は、都民や事業者などで構成される東京都子供・子育て会議に毎年度報告し、ご審議いただくとともに、中間年度の平成二十九年度には、区市町村の状況も踏まえ、数値目標を見直すこととしております。
また、事業の成果につきましては、子供・子育て会議の意見も踏まえ、評価指標を設定し、分析した結果を、三十二年度からの次期計画に反映させる予定でございます。
こうした取り組みによりまして、計画の進捗状況や効果を定期的に検証しながら、教育、保育の充実、子育てしやすい環境の整備など、子育て支援策の一層の充実を図ってまいります。
次に、家庭的養護の推進についてでありますが、本年八月に設置した児童福祉審議会専門部会では、養育家庭の里親や元里子、里親支援機関などからのヒアリングも含め、これまで四回にわたり、都における家庭的養護と児童相談所の現状、養育家庭の開拓と資質の向上、支援体制の強化などについて議論を行っております。
また、十月には、早急に取り組むべき事項として、四つの項目について提言をいただきました。
提言には、養育家庭の登録への動機づけとなる広報の展開、養育家庭等に対する実践的な研修や専門的な支援の実施、東京の実情を踏まえたファミリーホーム等の設置促進策の充実、児童福祉司等の増員による児童相談所の支援体制の強化などが盛り込まれており、今後、家庭的養護の推進に向け、具体的な施策を検討してまいります。
次に、地域包括ケアシステムの構築についてでありますが、本年七月に設置した地域包括ケアシステムの在り方検討会議では、これまで六回にわたり、医療と介護、介護予防と生活支援、高齢期の住まい方の三つのテーマごとに、各分野の専門家から話を伺い、意見交換を行っております。
十月に取りまとめられた中間のまとめでは、人口構造の転換や介護需要の増大といった東京を取り巻く状況を踏まえ、多様なみとりの場の確保やロボット介護機器の効果的な活用、住民主体の健康づくりの推進など、テーマごとに課題や対応策が示されており、都は現在、その具体化に向け、施策の検討を進めております。
年度末には最終報告をいただく予定であり、今後、検討会議の議論も踏まえながら、東京にふさわしい地域包括ケアシステムの構築に向けた施策の充実を図ってまいります。
最後に、認知症対策についてでありますが、都はこれまで、認知症の方が状態に応じて適切な支援を受けられるよう、認知症疾患医療センター等の医療提供体制の整備や、介護、医療サービスを担う人材の育成、医療と介護の連携などに取り組むとともに、さまざまな機会を通じて都民への普及啓発を行ってまいりました。
検討会議では、現在の課題として、認知症の診断を受けていない方や初期の認知症の方への支援が不足していること、専門職の間で認知症ケアの手法に関する共通理解が十分でないことなどが指摘されております。
今後、検討会議での議論も踏まえ、認知症の初期段階からの支援や在宅生活支援モデルの構築、若年性認知症の方への支援など、認知症対策を一層推進するための具体的な方策を検討してまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕
○環境局長(遠藤雅彦君) 今後の資源循環施策についてでございますが、先日公表された、廃棄物審議会による廃棄物処理計画の改定に向けた中間のまとめでは、廃棄物の減量や3R施策のさらなる促進により、良好な都市環境の次世代への継承に加え、資源採取の段階から環境に配慮するための持続可能な資源利用への転換を施策の大きな柱として掲げることが提言されております。
また、これらの提言を実現するためには、区市町村とのより一層の連携が重要であることから、都は、本年三月に共同で設置した検討会において、新たなリサイクルのルールづくりなどに向けた検討を重ねております。
現在行っているパブリックコメントの結果も踏まえ、今年度末をめどに廃棄物処理計画を改定し、東京を世界一の環境先進都市としてまいります。
〔下水道局長石原清次君登壇〕
○下水道局長(石原清次君) スマートプラン二〇一四の取り組みについてでございますが、下水道局では、本プランに基づき、再生可能エネルギーの活用拡大や省エネルギーのさらなる推進を図り、エネルギー使用量を削減しております。この取り組みは、温室効果ガス削減に寄与するもので、当局が地球温暖化防止を目的に策定したアースプラン二〇一〇と整合を図って進めております。
一方、今後は、下水道サービスの向上によるエネルギー使用量の増加が見込まれるため、目標の達成には、平成三十六年度時点で、再生可能エネルギーと省エネルギーの取り組みを電力量換算で約三億キロワットアワー、一般家庭約八万五千世帯分まで拡大する必要がございます。目標達成に向け、エネルギー自立型汚泥焼却システム等の新技術の導入や、さらなる運転管理の工夫により、再生可能エネルギーなどを拡大し、温室効果ガス削減に積極的に貢献してまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕
○産業労働局長(山本隆君) 七点のご質問にお答えをいたします。
まず、中小企業の海外販路開拓についてでございますが、中小企業が海外市場の獲得に果敢に挑戦し、勝ち抜いていくためには、多面的な支援の強化が必要でございます。
このため、都は、海外展開を目指す企業向けに、個別相談の実施や海外ビジネス経験の豊富な民間企業OB等を活用した事業計画の策定支援について検討してまいります。
また、企業の現地での活動を支援するため、アジアの重要拠点であるタイのバンコクに、今月、中小企業振興公社の事務所を開設いたします。本年四月に設置をいたしました産業技術研究センターのバンコク支所とともに、現地での経営や技術相談のほか、展示会出展支援の拡充を図ってまいります。
金融面では、金融機関と海外ビジネスの実務ノウハウを有する支援機関とを結びつけ、海外展開の構想段階から資金調達まで、一貫して支援する新たな制度も検討いたします。
次に、東京ビッグサイトの代替展示場等の確保についてでございますが、ビッグサイトについては、二〇二〇年大会でのメディアセンターとしての使用に伴う展示会開催への影響に対応することや、大会を契機とした産業振興を図る観点から、現在、施設の拡張や仮設展示棟の整備を進めております。
このたび、二〇二〇年大会によるビッグサイトの利用制約期間が明らかとなったことを踏まえ、都はビッグサイトと連携し、関係者への迅速な情報提供を行うとともに、その影響を最小限とするべく、展示会ごとの実情を踏まえた開催時期や利用面積の調整、他の国内施設への受け入れ要請など、きめ細かな対応を進めてまいります。
これに加え、さらなる代替展示スペースや大会後も見据えた車両待機場の確保に向け、周辺の未利用地などの活用も含め、あらゆる方策を検討してまいります。
次に、職場における女性の活躍推進についてでございますが、女性が仕事を通じて活躍するためには、能力を発揮して働き続けられる職場環境の整備が重要でございます。
このため、都は今年度から、女性の能力発揮を推進する社内責任者の育成とともに、事業所における更衣室など、ハード整備に対する支援を開始いたしました。
今後、企業の理解をさらに進め、取り組みをより一層進めていくため、社内で中核となる人材への研修機会を拡充するとともに、建設現場での女性用仮設トイレなど、職場の実態を踏まえた労働環境の整備、充実についても検討をしてまいります。
引き続き、ソフト、ハード両面から、中小企業に対する支援を進め、女性が生き生きと活躍できる職場環境の実現に向け、取り組んでまいります。
次に、非正規雇用者の社内での正規雇用転換についてでございます。
東京を持続可能な成長軌道に乗せるためには、産業の担い手である中小企業を人材確保の面から支えるとともに、働く方々の雇用の安定を図ることが重要でございます。
都は、非正規雇用対策として、今年度から社内での正社員転換の取り組みに対して、国の助成金に上乗せをして、最高五十万円を支給する事業を開始し、既に当初想定をしていた規模を大幅に上回る申請が出されております。
今後、中小企業で高まりつつある正社員転換の動きを加速させるため、適切な事業規模の設定や、中小企業退職金共済制度を活用した企業負担の軽減についても検討をしてまいります。
引き続き、非正規対策を推進し、中小企業における人材確保と安定した雇用環境の実現に取り組んでまいります。
次に、リフトつき観光バスの導入等についてでございますが、パラリンピック大会のレガシーとして、車椅子を使う障害者や高齢者が、観光バスにより都内で観光を楽しむことができる環境を整備していくことは重要でございます。
これまで都は、宿泊施設を快適に利用できる環境の整備に向け、スロープの導入や手すりの設置などの施設改修に要する費用への助成を行ってまいりました。
今後は、車椅子のまま乗りおりのできるリフトつきの観光バスの導入を広げるための方策を検討いたします。また、駐車場所や観光スポットまでの円滑な移動ルートの整備等に加え、地域での協力体制をつくり上げる取り組みへの支援についても検討してまいります。
こうした対応を総合的に展開し、障害者や高齢者の旅行環境の充実に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、日本各地と連携した産業振興についてでございますが、東京、さらには日本全体の経済を活性化していくため、先般、ALL JAPAN & TOKYOプロジェクトを取りまとめて公表をいたしました。現在、全国四十六の道府県庁や商工団体を順次訪問し、今後の連携策の具体化について協議を行っております。訪問団体からの意見を踏まえ、さらに施策をブラッシュアップすることにより、各地との協力関係を構築してまいります。
また、国との間においても、大会を契機に、全国の中小企業のビジネスチャンス拡大を図る取り組みについて、都と中小企業団体等で構成する協議会に関係省庁の参画を得るなど、協力体制を強化いたしました。
今後もオールジャパンの力を結集させ、日本の各地と連携した産業振興策を力強く進めてまいります。
最後に、多摩産材の利用拡大についてでございますが、林業事業者の経営基盤強化を図る上で多摩産材の利用を拡大することは、林道等の基盤整備とあわせて大変重要でございます。
このため、都では、保育園等における内装の木質化や木製遊具の整備等への支援に加え、多摩産材情報センターにおいて、建設事業者等に対し、木材の調達方法等に関する情報発信を行ってまいりました。
今後は、多摩産材の認知度向上に向け、多くの都民が訪れる都関連施設や民間商業施設等での利用を促進するとともに、木造住宅での利用につなげるための住宅展示場を活用したPRや、建築士向けの木材利用に係る技術講習会の開催など、利用拡大に向けた多様な施策を検討してまいります。
〔港湾局長武市敬君登壇〕
○港湾局長(武市敬君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、京浜三港の連携についてでありますが、三港連携は、京浜港の国際競争力強化に大きな役割を果たしてきたと認識しております。
これまで京浜三港は、利用者が実質的な一港化のメリットを享受できるよう、三港に連続して寄港した場合に、一港分の料金しか徴収しない入港料一元化を実施するなど、三港一体となった取り組みを進めてまいりました。
今後は、三港の健全な競争と連携のもと、これまで実施してきた取り組みを着実に継続していくとともに、京浜港において一層求められる危機管理対策や広域交通ネットワークの充実強化など、連携の取り組みを加速させ、京浜港全体の発展に向けて力を尽くしてまいります。
次に、クルーズ客船誘致についてでありますが、クルーズ客船の寄港は、国際観光都市東京の地位向上や乗客の消費などによる大きな経済効果をもたらすため、都としてその誘致に積極的に取り組んでまいります。
東京港への需要を確実に取り込んでいくためには、繁忙期に複数の客船が入港する場合などにも着実に対応していかなければなりません。
そのため、二〇二〇年までに大型クルーズ客船に対応可能な新客船ふ頭を整備し、それ以降、さらに岸壁の延伸、客船ターミナルの拡張などを行い、海外主要港と同様、二そうの客船を接岸できる体制を目指してまいります。
今後、国内外から多くの観光客にクルーズ客船で東京を訪れていただくとともに、新客船ふ頭それ自体を、人々が集いにぎわう施設とし、東京港をクルーズの一大拠点へと成長させてまいります。
最後に、魅力的な水辺づくりに向けた取り組みについてでありますが、水辺は、東京の都市のまち並みに彩りを与え、人々に潤いと安らぎをもたらす貴重な空間であり、都市の魅力を高める上で重要な資源であります。
このため、都は、民間と連携し、舟運の活性化にも相乗効果をもたらす水辺空間の魅力向上に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。
具体的には、水辺ににぎわいと憩いの場を創出するため、オープンカフェを設置できるよう、現行の規制を緩和してまいります。また、運河沿いのライトアップや緑化を推進するとともに、マンションや商業施設など、民間開発と連携したウッドデッキの敷設や広域機能を持つ遊歩道の整備などを促進いたします。こうした取り組みを通じ、二〇二〇年とその先を見据え、水の都東京の国際的プレゼンスを高めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、来年のリオ大会開催期間中におけるライブサイトについてでございますが、多くの都民がオリンピック・パラリンピックの生中継を観戦し、大会の興奮と感動を楽しむことができるライブサイトを、都内では上野恩賜公園及び国営昭和記念公園において開催いたします。さらに、東日本大震災の被災三県でも開催をいたします。
各会場では、大画面による迫力ある生中継を中心に、ステージイベントやパラリンピック競技体験、最新技術を活用した体験型のコンテンツなど、魅力的なプログラムを提供できるよう、組織委員会などと調整してまいります。加えて、区市町村などと連携し、身近な地域でも、ともに観戦し応援できる場を提供してまいります。
こうした取り組みにより、二〇二〇年大会に向け、映像通信、会場運営、ボランティア活動などのノウハウを蓄積するとともに、開催機運の盛り上げにつなげてまいります。
次に、フラッグを活用した機運醸成の取り組みについてでございますが、来年のリオ大会終了後におきましては、次の二〇二〇年東京大会に向けた期待感を広く都民、国民と共有し、高めていくことが重要でございます。
そこで、オリンピック・パラリンピックの両閉会式におきまして、リオ市長から東京都知事に引き継がれたオリンピックの旗、パラリンピックの旗が国内に到着した際に、これを歓迎する装飾や式典を行いますとともに、東京大会独自の取り組みとして、フラッグツアーを実施いたします。
具体的には、オリンピック・パラリンピックの象徴である旗のもとで、二〇二〇年に向けた一体感を創出するイベントやシンポジウムなどを、区市町村などと連携してリレー形式で展開をしてまいります。また、東日本大震災の被災地を皮切りに、全国でも展開し、オールジャパンで開催機運を盛り上げてまいります。
最後に、レガシーを見据えた二〇二〇年大会に向けた都の取り組みについてでございますが、まず、選手村につきましては、水素社会のモデルにするとともに、大会後には、外国人や高齢者なども含めた多様な人々が交流し、快適に暮らせる機能を導入してまいります。
また、障害者スポーツの拠点を拡充していくため、特別支援学校を一層活用するなど、場の整備を進めてまいります。さらに、ラグビーワールドカップ二〇一九と連携したボランティアの育成や、都民参加による機運醸成に取り組んでまいります。
このほか、アクセシビリティーの向上、文化プログラムの展開、オリンピック・パラリンピック教育の推進、暑さ対策の実施、被災県でのライブサイトの設置など、多岐にわたる取り組みを進めてまいります。
今後、都議会や都民の皆様の意見も踏まえまして、さらに内容を深めるとともに、大会に向けた工程表を取りまとめ、年内を目途に明らかにしてまいります。
○議長(川井しげお君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十五分休憩
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