平成二十七年東京都議会会議録第十三号

○議長(高島なおき君) 四十二番北久保眞道君。
〔四十二番北久保眞道君登壇〕

○四十二番(北久保眞道君) 初めに、多摩・島しょ地域の観光振興について伺います。
 都はこれまで、東京オリンピック・パラリンピック大会の開催に向け、国内外の多くの旅行者が東京に観光で訪れるよう、さまざまな施策を行っています。観光案内のボランティアが都心でガイドを行う光景が報じられていますが、一方で、多くのすばらしい観光スポットのある多摩・島しょ地域に足を運ぶ旅客をより一層ふやす努力にもしっかり取り組むことが重要と考えます。
 そのため、多摩・島しょ地域を幅広く知ってもらい、観光のきっかけをつくり出す取り組みは不可欠です。また、観光客がこうした地域の魅力に十分に触れることのできるツアーもふやす取り組みに対し、行政がサポートする視点も必要です。さらに、多摩・島しょはエリアが広いので、観光スポットを結ぶ交通アクセスの充実により、快適なツアーを実現することも重要です。
 こうした考え方を踏まえ、都は今後、多摩・島しょ地域の観光振興にどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 次に、自治体の区域を超えた観光振興について伺います。
 観光振興を効果的に進めるため、自治体が区域を超えて協力し、観光資源を広域的に売り出すことは重要です。
 私の地域の、北多摩地域では、狭山丘陵が複数の自治体にまたがって広がり、そこには八国山緑地や正福寺の国宝千体地蔵堂を初め、日本一美しいといわれる多摩湖第一取水塔など、多くの歴史的建造物が点在しています。これらを一体として結びつけ、生かすことは、観光資源として高いポテンシャルを引き出す効果の高い方法であると考えます。
 都はこれまでも、地域のさまざまな観光資源を、自治体の枠を超え、連携して活用する取り組みを後押ししてきたと聞いています。こうした支援を受け、観光スポットを結びつけて、旅行者の誘致を行いたいと考えている地域は、いまだ数多くあるものと思います。
 都は、このような要望をしっかりと理解し、地域が連携して取り組む観光振興のサポートについて、これまでにも増して力を入れていくべきと考えますが、見解をお伺いします。
 次に、多摩地域の振興について伺います。
 多摩の個別の重要課題の解決に加え、多摩地域全体の振興をどう図っていくのかも重要な課題であります。
 東京の人口は二〇二〇年をピークに減少し、中でも西多摩や島しょ地域では、生産年齢人口が今後四十年間で約四割も減少することが予測されています。加えて、都市インフラの更新、防災対策の推進など、行政ニーズは多様化し、多摩の市町村は行政運営に苦慮しています。
 都は現在、平成二十五年三月に策定した新たな多摩のビジョンに基づき、多摩地域の抱えるこれらの課題に全力で取り組んでいます。また、さきの第二回定例会で、長期ビジョン後の二〇四〇年を見据え、都市像や生活像にも着目した東京のグランドデザインの策定を表明し、検討に着手しています。
 一方、国は平成二十六年十二月に、まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、これを受けて、多摩の市町村は、現在、それぞれの地域の特性を踏まえた地方版総合戦略の策定を行っています。
 そこで、多摩の市町村が置かれた現状や、新たな多摩のビジョン策定後のこうした状況を踏まえて、都は今後どのように多摩地域の振興に取り組んでいくのかを伺います。
 次に、多摩・島しょにおけるオリンピック・パラリンピックに関する取り組みについて伺います。
 東京での二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催は、東京全域において、スポーツはもとより、文化、観光、産業振興などを進める千載一遇のチャンスであります。このような地域活性化のチャンスをオール東京で享受できるよう、手を打っていく必要があります。
 しかしながら、多摩・島しょ地域においては競技会場が少ないこともあり、開催を契機とした取り組みが必ずしも十分進んでいるとはいえない状況にあります。
 このため、各市町村において、オリンピック・パラリンピックに向けて、大会の盛り上げや大会後の各地域のレガシー構築に資する取り組みを加速させていくような仕掛けが必要であると考えますが、都の所見を伺います。
 次に、事前キャンプ誘致に関する都内市区町村への支援について伺います。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、各国の選手団は、大会前に時差調整や日本の気候になれるため、日本国内で事前キャンプを実施する場合が多いと想定されています。実際、昨年十月の福岡県、福岡市とスウェーデン・オリンピック委員会との合意を皮切りに、千葉県山武市とスリランカなど、二〇二〇年大会に向け、積極的に事前キャンプの誘致に取り組み、既に誘致に成功した自治体もあります。
 事前キャンプの実態は、選手にとって本番前の重要な調整であるとともに、受け入れ側の地域にとっても、世界の一流選手たちと触れ合いができたり地域のPRにつながるなど、さまざまなメリットがあります。実際に、二〇〇二年FIFAワールドカップでは、大分県中津江村がカメルーンの選手団を受け入れ、その後も交流が続いているそうであります。
 多摩地域では、都内にありながら緑が豊富で閑静であることから、選手たちが練習に集中できる環境です。多摩地域には、スポーツ祭東京二〇一三で調整したスポーツ施設が数多くあります。事前キャンプに適した国際基準に合致する施設は余りないかもしれませんが、各市町村が連携してキャンプ候補地として立候補するなど、創意工夫次第で多摩地域にもキャンプ誘致は十分可能だと思います。
 そこで、二〇二〇年大会の事前キャンプの都内誘致に向け、都内市区町村を強力に後押しすべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎方面延伸について伺います。
 東京圏におけるこれまでの鉄道整備は、国の答申である運輸政策審議会答申をもとに進められてきました。平成十二年の運輸政策審議会答申第十八号においては、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎延伸が、平成二十七年までに整備着手することが適当である路線に位置づけられており、我が党はかねてより多摩都市モノレールの延伸の必要性について訴えてきました。
 こうしたことも踏まえ、都では昨年度、多摩都市モノレールの延伸について検討を実施し、本年七月に発表した広域交通ネットワーク計画のまとめにおいては、本路線を整備について優先的に検討すべき路線に位置づけるなど、大きく進展した。平成十二年一月に上北台から多摩センターを結んだ多摩都市モノレールは、多摩地域の利便性や活力の向上に大きな役割を果たしており、さらなる活力、魅力の向上には、多摩モノレールの延伸が必要不可欠と考えます。
 そこで、多摩都市モノレールの箱根ヶ崎延伸について、都の今後の取り組みを伺います。
 次に、多摩都市モノレールの導入空間ともなる新青梅街道について伺います。
 私の地元の北多摩地域にとって、多摩と都心とを結ぶ多摩東西道路は、市民生活を支える大変重要な都市インフラであります。新青梅街道は、古くより江戸と多摩を結んだ歴史ある道であり、昭和三十年代から四十年代にかけて現在の形に整備され、北多摩地域と東京の中心を結ぶ軸として、地域の交通を支えてきました。
 近年、新青梅街道の沿道では、地元による土地区画整理事業に加え、大型商業施設の開発など、まちづくりが積極的に進められています。沿道の経済活動を下支えし、多摩北部地域が大きく飛躍する起爆剤として期待の高い多摩都市モノレールの箱根ヶ崎延伸を後押しするためにも、導入空間となる新青梅街道の整備が不可欠であり、一日も早い全区間を事業化すべきと考えます。
 そこで、新青梅街道の拡幅整備について、現在の状況を伺います。
 次に、西武新宿線東村山駅付近の連続立体交差事業について伺います。
 都内にある千を超える踏切は、交通渋滞や地域分断だけでなく、緊急、救急活動の妨げとなるなど、安全で快適な都市活動の阻害要因となっています。
 私の地元の東村山市においても、踏切による慢性的な交通渋滞が発生しています。また、東村山駅を中心とした地域において、西武新宿線によりまちが東西に分断され、商業や業務施設の立地が進まない状況にあります。平成二十五年十二月より連続立体交差事業が進められており、市民からも、踏切解消やこの事業を契機としたまちの発展に対する大きな期待が寄せられています。
 そこで、本事業の現在の取り組み状況について伺います。
 これをもって私の一般質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 北久保眞道議員の一般質問にお答えいたします。
 多摩・島しょ地域の観光振興についてでございますが、多摩・島しょ地域には、数多くの登山客でにぎわう高尾山を初めとして紅葉の美しい渓谷や丘陵がありまして、ダイビングや釣りを楽しめる海洋も広がるなど、豊かな自然に恵まれております。
 また、すぐれた味わいのあるトウキョウXや東京しゃもなどの畜産物、新鮮な魚介類として人気の高いキンメダイやイセエビなど、さまざまな食の魅力にあふれております。
 世界から多くの旅行者が訪れるオリンピック・パラリンピック大会の開催とその先を見据え、多摩・島しょ地域の観光地としてのポテンシャルを十分に発揮させるさまざまな施策を積極的に展開していかなければならないと考えております。
 そのため、多様なメディアを通じまして、地域の魅力をより効果的に発信するとともに、民間の事業者の力を活用し、外国人旅行者の興味を引く観光ルートの開発を支援いたします。さらには、快適な旅行ができますように、交通アクセスの充実にも取り組んでまいります。
 これらの取り組みによりまして、多摩・島しょの地域特性を生かした観光振興を着実に進めてまいります。
 その他の質問につきましては、東京都技監及び関係局長がお答えをいたします。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 多摩都市モノレールの箱根ヶ崎延伸についてでございますが、本路線は、開業区間と一体となり多摩地域の南北方向の拠点を結ぶことで、沿線利用者の利便性はもとより、多摩地域の活力や魅力の向上に資する路線でございます。
 都は本年七月、広域交通ネットワーク計画におきまして、本路線を整備について優先的に検討すべき路線の一つに選定し、国とのヒアリングにおきまして、今後予定されている交通政策審議会答申に反映するように求めてまいりました。
 一方、本路線の整備に向けて、多摩都市モノレール株式会社の経営状況や土地区画整理事業の進捗など、周辺の開発動向を踏まえ、コスト縮減策や収入確保策、事業採算性を見きわめながら検討を行う必要がございます。
 今後、次期答申に基づき、関係者間で連携し、検討の深度化を図ってまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 自治体の区域を超えた観光振興についてでございますが、東京の観光振興を効果的に進めるため、各地域が協力し、さまざまな観光資源を組み合わせ誘客に結びつけることは重要でございます。
 都はこれまで、地域資源発掘型実証プログラム事業により、地域の魅力的な観光資源を活用し、自治体の区域を超えて共同で企画したアイデアを民間事業者のすぐれたノウハウと結びつけ、実現を図る取り組みを行ってまいりました。
 現在、広域的に連携し、観光振興に取り組む地域の意欲が高まっていることから、そうした状況に適切に対応できるよう、支援の充実について検討を進めてまいります。
 今後とも、複数の地域が連携して行う広域的な取り組みを積極的に後押ししてまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 今後の多摩振興についてでございますが、多摩地域は人口減少、少子高齢化の動向やまちづくりなどの課題が地域内でもさまざまであることから、多様な地域の実情や特性をこれまで以上に踏まえながら、的確に対応していくことが重要でございます。
 このため、それぞれの地域が直面する課題等を十分に把握するとともに、市町村の意向も踏まえた上で、一層きめ細かで実効性のある振興策を講じてまいります。
 また、今後の多摩振興に当たっては、東京のグランドデザインの検討や、市町村が策定する地方版総合戦略の内容にも十分に留意する必要がございます。
 こうした観点に立ち、民間のシンクタンクなども活用して、各局連携のもと、長期的視点に立った多摩振興の方向性について検討してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩・島しょ地域におけるオリンピック・パラリンピックに向けた取り組みについてでございますが、各市町村が大会を契機とした機運醸成の事業などを主体的に展開するに当たりましては、オリンピックムーブメントの意義やパラリンピック競技の魅力など、大会関連の情報やノウハウを各市町村がみずからのものとして蓄積され、事業を企画していくことが非常に効果的であり、また重要なことと考えております。
 そこで、都は、本年十一月から、市町村が共同で利用する東京自治会館を推進拠点とし、オリンピック・パラリンピックのだいご味を伝える写真や映像の紹介、有識者を招いてのセミナーの実施など、今後の事業展開に資する情報を積極的に市町村に提供してまいります。
 こうした取り組みを通しまして、各市町村において、二〇二〇年大会への期待を高めるとともに、地域の特性を踏まえた多様な事業が展開されるよう、支援を行ってまいります。
 次に、市区町村の事前キャンプ誘致支援についてでございますが、事前キャンプは各国選手団との国際交流の促進など、地域住民に貴重な経験をもたらすものであり、多くの市区町村が関心を示しております。
 そのため、都は市区町村に対して、事前キャンプに関する情報提供や個別相談を行うとともに、本年四月からは、スポーツ施設整備や視察の受け入れなどを対象とした補助事業を実施しております。
 また、海外でのPR活動を実施するため、六月にアゼルバイジャンで開催されました第一回ヨーロピアンゲームズに出向き、初めて各国オリンピック委員会に対して、都内スポーツ施設の紹介を行いました。
 今後も、各国の要望について市区町村へ情報提供するとともに、リオ大会などを活用した国際PR等により、都内、特に多摩地域への誘致を積極的に支援してまいります。
〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、新青梅街道の拡幅整備についてでございますが、本路線は、多摩地域における東西方向の主要な骨格幹線道路であり、災害時の迅速な救援、救急活動を支える緊急輸送道路にも指定されております。
 本路線では、第三次事業化計画の優先整備路線である東大和市上北台から瑞穂町箱根ヶ崎立体付近の延長六・五キロメートルを五つの区間に分け、順次事業化しております。
 このうち、多摩南北道路などと交差する三区間、四・一キロメートルについては、既に事業着手しており、用地取得を進めております。残る二区間、二・四キロメートルについては、昨年十一月に地元説明会を開催し、事業化に向け、現在、測量作業を実施しております。
 引き続き、新青梅街道の整備を進めるとともに、残る区間の早期事業化を目指し、検討を進めてまいります。
 次に、西武新宿線東村山駅付近の連続立体交差事業の現在の取り組み状況についてでございますが、本事業は、鉄道を高架化することにより、東村山市内を南北に走る幹線道路である府中街道など五カ所の踏切を除却することで、道路ネットワークの形成を促進するものでございます。また、交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化に資する極めて効果の高い事業でございます。
 これまで、平成二十四年度に都市計画決定を行い、平成二十五年度から事業着手いたしました。現在は、鉄道や側道用地の取得を進めるとともに、本格的に工事を始めるため、東村山駅構内において作業ヤードの整備等を行っており、引き続き、高架化する新しい駅舎のくい基礎工事に着手いたします。
 今後とも、地元市や鉄道事業者と連携し、地域の方々の理解と協力を得ながら、本事業を着実に推進してまいります。

○議長(高島なおき君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時十五分休憩

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