平成二十七年東京都議会会議録第十三号

○議長(高島なおき君) 四十六番近藤充君。
〔四十六番近藤充君登壇〕

○四十六番(近藤充君) まず初めに、二〇二〇年パラリンピックについてお尋ねいたします。
 パラリンピック開閉会式または競技時における、選手による補助犬の同行を計画すべきと考えます。大会に参加する選手や観客の中には、介助犬、盲導犬といった身体障害者補助犬を伴って来日する方も予想されます。特に、選手に持てる力を最大限発揮してもらうためにも、補助犬を同行できる環境整備が必要であると考えます。
 過去のパラリンピックにおきましては、選手と補助犬の同行といった光景は多くは見られませんでしたが、東京大会では温かく受け入れることをぜひ推進すべきと考えます。ぜひ、動物との共生社会を推進する東京のパラリンピックでは、海外から同行を希望する選手がいる場合、ぜひその希望をかなえてほしいと考えます。
 我が党は、障害者スポーツの普及に力を入れています。何といっても、おもてなしの東京でありますから、今後の補助犬への取り組みについて、知事の所見をお伺いしたいと思います。
 次に、東京都の都有地の有効利用についてお尋ねいたします。
 その都有地の一つ、八王子市元八王子地区北部にあるこの土地は、およそ四十年前に東京都住宅供給公社が住宅建設用地として買収し、その後、八王子市から元八王子地区の土地区画整理事業の換地用地として計画もありましたが、その後、区画整理計画もなくなり、平成十九年度から二十二年度にかけて、東京都住宅供給公社から都に引き継がれ、現在に至っているものであります。
 西側に隣接する東京都都市づくり公社が持つ土地と合わせると約十二・二ヘクタールという、八王子北西部に残された元気なまちづくりに欠かせない土地であります。
 昨日の我が党の代表質問でも、都市整備局の第四次の道路整備方針案が、ことし十二月ごろに示されることがわかりました。八王子でいうところの北西部幹線道路も含まれてくると思います。圏央道八王子西インターも二十八年度にフル機能化される予定で、八王子北部の交通利便性は今後高まっていくものと考えます。
 北西部幹線道路は、来年度から用地買収に動く予定で、このための移転用地としてもこの土地は重要な種地にもなります。また、社会福祉施設の用地としても最適と考えます。
 先日の我が党の消防力の整備指針に基づく救急車の算定数と現有数の調査によれば、救急車が希望する台数に至っていないことがわかりました。
 例えば、昭和四十七年に建設され、老朽化著しく、単身者にとっては生活環境の悪い八王子消防署元八王子分署の改築移転を考えるなど、その有効性は高いと考えます。
 これらの機会を捉え、八王子北西部地域に残された都有地の有効な活用に向けた取り組みを進めていくべきではないでしょうか。
 四十三年前の八王子の西部地域の元八王子管内の人口は、当時一万七千人、現在では五万二千人と、三倍にふえています。八王子市は、ことし三月に策定した都市計画マスタープランの中で、都有地を含む一帯を新たな土地利用検討エリアとして位置づけ、周辺環境との調和と計画的な都市基盤施設の整備を前提に、新たな土地利用の可能性を検討するとしています。
 現在、この土地は一部分が生涯学習に利用されておりますが、残る大部分は未利用の状態であります。地域の声にも耳を傾けながら、用途地域の変更も含め、八王子北西部の活性化を創出するような土地利用を考えるべきと思いますが、都の見解を伺います。
 次に、交通不便地域の問題についてであります。
 知事は先日の所信表明で、高齢者が住みなれた地域で生活できる地域包括ケアシステムを構築するため、NPOなどさまざまな民間団体や人材が集まる東京の特性を生かして、大都市ならではの地域包括ケアシステムの構築を進めていくと表明されました。住みなれた地域で暮らし続けられることは大変重要であり、私はこれに関連して、買い物などの生活支援対策についてお伺いいたします。
 現在、三多摩では、人口減少に伴い公共交通機関である民間バス会社によるバス路線が廃止になる地域が出てきています。
 このため、現在の多摩西部の限界集落になりそうな地域の介護支援や福祉支援を受けていない高齢者の皆さんは、今後ますます外出が困難な状況になってしまうことが懸念されます。
 幹線道路沿いをバスが走っているときは何とかなっても、バス路線がなくなったり、高齢化し自分で運転できなくなったら、孤立化し買い物にも行けないという事態になってしまいます。出かけるたびにタクシーを駅周辺から呼ぶのは、経済的な負担が非常に大きくなり、現実的ではありません。インターネットで買い物すればよいという考え方もありますが、パソコンなどに疎く、ITの環境も整っていない高齢者の方は少なくありません。歩いて出かける元気がなくなったら、生活に必要な商品を調達できないという事態に陥ってしまいます。
 こういった問題の解消策の一つとして、都内の大型団地では、商店街が主体となって、フラットな道路の上を、自転車など人力のお出かけ支援サービスが実施されていると聞きますが、さすがに坂道の多い山間部を抱える交通不便地域では、人力では輸送が困難であり、自動車の利用が不可欠と考えます。
 自動車を利用した送迎サービスでは、燃料代などのコストもかかることから、無料ではなく、利用者が一部を負担する有料方式が望まれますが、これまでは運送関係の法令による制約があり、一部に限定されてしまいました。
 折しも、本年四月に地方分権推進の観点から国の制度改正があり、バス、タクシー等が運行されていない地域等で住民の日常生活の移動手段を確保するため、自動車を用いて有料で住民の輸送サービスを行う場合の登録等に関する権限を区市町村に移譲することが可能となり、各自治体が地域の実情に応じて対応できるようになりました。
 ぜひ都としても、こうした情報を区市町村に周知していただくとともに、この機を捉えて、交通不便地域における買い物弱者対策をより一層進めていくことが必要と考えます。
 送迎サービスについては、全国の例を見ても、医療法人が独自に送迎車を出しているケースや、NPOなど地域の団体がかかわって実施しているところが多いようであります。
 何とか地元のヤングオールドの人たちの力をかりて、公助でない、ご近所の共助の力で支え合えるようにしていただきたいと思います。
 都は、商店街が取り組む買い物弱者対策の取り組みに対する支援をしていますが、この取り組みは商店街の集客につながるとともに、地域住民の生活の足にもなります。経営資源が十分でない商店街だけでは取り組むことが困難な送迎サービスも、NPOなどを活用した共助の力で支え合うことができれば、新しい一歩が踏み出せます。
 商店街と地域団体が連携した取り組みを後押しすることで、買い物弱者へのサービスが一層向上すると考えますが、都の見解を伺いたいと思います。
 次に、都内で問題になっているごみ屋敷についてお尋ねいたします。
 ごみ屋敷とは、俗に、ごみが異常にあふれ返っている住宅を指し、家主がごみを蓄積、収集することが原因であります。景観の破壊、放火の危険性、悪臭などにより、近隣住民に迷惑をかけることも多く、社会問題になっています。
 昔はごみといわれて焼却処分の対象であったものが、現在では資源化可能な有価物として見るため、ごみ屋敷のあるじの所有物財産扱いで個人の資産となり、簡単に行政でも処分できなくなり、その結果、近隣住民に多大な迷惑をかけている実態があります。
 都は、ここで我が党の政策要望を受け、都内に七十五万件ともいわれる空き家対策にも本腰を入れてくれました。
 足立区では条例をつくり、通称ごみ屋敷対策事業を実施しています。定義としては、敷地からごみがあふれ悪臭を放っている、空き地に雑草が繁茂している、敷地内から生えている樹木が越境し落ち葉等で迷惑しているものが対象であるとのことであります。足立区では改善の兆しもあるようであります。
 ぜひ、このごみ屋敷問題に東京都からグッドアイデアを出していただいて、強制性のある代執行がやりやすくなるようなことを望みたいと思います。
 愛知の有名なごみ屋敷は、八月末についに火事を出し、近隣も延焼させるという最悪の事態になりました。近隣の人は、現在の劣悪な環境を逃げ出すために、自分の家を売却し引っ越そうにも、隣がごみ屋敷では売却できずに困っています。都民の安心・安全な住環境を維持するためにも、市区町村任せではなく、都としても知恵を出してほしいといわれています。
 東京から日本を変えるという気持ちで、都民の生命、財産を守り、安心・安全のまちづくりの一つとして、都条例の制定等を含めた今後の都の取り組みについてお尋ねいたしたいと思います。
 次に、危険ドラッグ問題についてお尋ねします。
 我が党の提言により、東京都関係局を含め、警視庁の尽力で都内の危険ドラッグ販売店が一掃されました。その結果、危険ドラッグによる事件が下火になり、都立松沢病院でも危険ドラッグの使用による異常症状患者の緊急搬送入院が激減したそうであります。まさしく行政の力が功を奏し、都民を守れたといえます。関係各位の努力に対し、高く評価したいと思います。
 一方、インターネットに目を転じますと、医師の処方箋が必要な医薬品や健康食品の個人輸入代行を初め、国内で入手が困難なものが簡単に手に入るなど、便利さだけでなく、危険性も増しています。
 インターネットサイト上での販売において、商品名を変えての、例えば合法アロマや元気サプリメント、お香など、デリバリー方式で購入者に自宅や職場の近くまで直接届けるなど、その販売方法はさらに潜在化、巧妙化していると聞いています。らちが明かず切りがない、イタチごっこの始まりであってはなりません。
 青少年を悪の手から守り、健全育成を進めるため、日本中の青少年は東京から守るというような気構えを持って対応していただきたいと思います。
 都は、この裏サイトによる危険ドラッグ販売の実態をどう把握しておられるのか、また、今後どのように取り締まりなどの対応を進めていくのかをお尋ねいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 近藤充議員の一般質問にお答えいたします。
 二〇二〇年大会における補助犬への対応についてでありますが、盲導犬、介助犬といった身体障害者補助犬は、障害のある方々に寄り添い、利用者の生活を支える、欠くことのできないパートナーであります。パラリンピックにおきましても、補助犬を同行するアスリートがベストパフォーマンスを発揮するためには、ふだんの生活と同様、補助犬のサポートを受けられる環境づくりが重要であります。
 二〇二〇年大会における補助犬への対応につきましては、現在、国、組織委員会とTokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインを策定中でありまして、その中で、過去大会での取り組みも参考にしながら検討を進めているところでございます。
 例えば、大会スタッフやボランティアに対して、補助犬を同行した選手や観客への接遇トレーニングを実施する、こうした取り組みを通じまして、補助犬に対する都民の理解を広げてまいりたいと思っております。
 選手、観客の双方にとって、障害の有無にかかわらず、全ての人が参加しやすい大会の実現に向けまして、全力を尽くしてまいります。
 そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 都有地の活用についてでございますが、都有地は都民からの負託を受けた貴重な財産でございます。そうしたことから、その財産価値を最大限に発揮させていく必要がございます。
 お話の都有地は七ヘクタールを超す広さを有し、八王子市北西部における貴重な都有財産でありますとともに、地域のまちづくりにおいても重要なものと認識しております。八王子市も、本年三月に十年ぶりに改定した都市計画マスタープランの中で、新たな土地利用の可能性を検討していくとしております。
 今後とも、市を初め、隣接地を所有する東京都都市づくり公社とも連携しながら、当該都有地の有効な活用に向けて検討を進めてまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 交通不便地域における買い物弱者対策についてでございますが、商業活動の拠点であり、地域コミュニティの維持発展を担う商店街が、日常の買い物に困難を感じる地域で住民の生活を支えるためサポートを行うことは重要でございます。
 このため、都は、買い物弱者対策の先進的事例となる取り組みを区市町村とともに支援するモデル事業を実施してまいりました。
 その結果、商店街がこうした取り組みを効果的に行うには、地域の団体等との連携が課題であることが明らかになりました。
 そこで、今年度からの本格実施では、商店街と共同で取り組む場合、NPO等の活動経費も補助対象とし、地域の実情に応じた取り組みを幅広く支援することとしております。
 今後、区市町村との連携を一層強化し、商店街による本事業の活用を促すことで、商店街振興とあわせて、山間部など交通不便地域における買い物弱者対策につなげてまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) いわゆるごみ屋敷に関する都の取り組みについてでございますが、一般廃棄物の処理責任を負う市区町村のうち、ごみ屋敷に関して条例を制定した自治体におきましては、居住者への指導や命令に基づく自主的な行動を促すなど、解消に向けた取り組みを進めるとともに、地域の住民や団体、医療や福祉等、生活再建に向けた施策等との連携による複合的な対策を講じております。
 また、居住者がごみではなく財産であると主張する場合は、廃棄物として処理することが困難となるため、行政代執行が必要となりますが、その適用に当たっては審議会等を設置し、その意見を踏まえて判断することとしております。
 都といたしましては、今後、ごみ屋敷に関する自治体間の情報交換の場の設定や、先進的な事例の情報提供などを通じて、市区町村の取り組みを積極的に支援してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 危険ドラッグサイトの取り締まりについてお答えをいたします。
 都は、平成二十六年四月から、インターネット上のビッグデータ解析を導入し、本年八月までに延べ二十八万件を超える危険ドラッグに関する情報の中から、新たな製品の出現や流行状況を把握し、効果的な買い上げ調査や取り締まりにつなげております。
 また、本年一月には、インターネットの店舗情報もビッグデータ解析の対象に加え、デリバリー販売からの買い上げ調査も実施するなど、巧妙化する販売の実態把握に努め、国や警視庁とも情報を共有しながら、販売サイトの削除を初め、指導取り締まりを強化しております。
 今後とも、ビッグデータ解析等を活用し、危険ドラッグの乱用から青少年を初めとする都民の健康と安全を守るため、対策の一層の強化を図ってまいります。

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