平成二十七年東京都議会会議録第十三号

   午後三時二十五分開議

○議長(高島なおき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十一番河野ゆうき君。
〔二十一番河野ゆうき君登壇〕

○二十一番(河野ゆうき君) 初めに、地方創生について伺います。
 地方創生をめぐる議論は、東京圏への一極集中の是正がテーマの一つとなっております。国のまち・ひと・しごと創生長期ビジョンと総合戦略では、この一極集中是正と地方への新しい人の流れをつくることを政策目標とし、二〇二〇年までに東京圏への転出入者の均衡を図ろうとしています。
 国は、その方策の一つとして、日本版CCRC、継続的なケアつきリタイアメントコミュニティに着目し、その実現、普及を模索しておりますが、一方で東京圏が抱える急速な高齢化への対応も視野に入れた政策であり、私は一つの考え方であるとも思っております。
 老人ホームを建設する土地がない豊島区と、元気で健康な高齢者が暮らす地域共同体の創設を構想する秩父市の間で思惑が一致し、CCRCを整備することで、この七月に合意をいたしました。
 地方創生における国の一極集中是正や地方移住推進への動きと、また一方、少子高齢、人口減少社会といった諸問題への対応について、都はどのように考えているのか、知事のご見解をお聞かせください。
 次に、看護人材の確保について伺います。
 医療介護総合確保推進法の施行により、離職する看護師等の届け出制度が十月より始まります。この制度は、看護師免許保持者について一定の情報の届け出制度を創設し、離職者の把握を徹底。ナースセンターが、離職後も一定のつながりを確保し、求職者になる前の段階から効果的、総合的な支援を実施できるよう、センターの業務を充実、改善するとしております。これは、看護職員の復職支援の強化につながり、大変有効な手段であると考えます。
 この都の届け出の窓口は、東京都看護協会が運営するナースプラザで行っており、円滑な届け出がなされるよう努力をされているところと聞いております。
 都に対しては、今後の支援の拡充について検討していただくことをお願いしたいと思いますが、まずは届け出制度の認知度を高め、スムーズな制度導入を図ることが重要です。
 そこで、新たな届け出制度が開始されるに当たり、届け出制度を活用した復職支援事業の取り組みについてお聞かせください。
 次に、国の公立学校の施設整備予算について伺います。
 平成二十七年度の公立学校施設整備事業については、学校施設の安全確保にかかわる耐震化や防災機能強化の推進が図られるとともに、制度面の充実が行われ、文科省の当初予算額は二千四十九億円が確保され、二十六年度の当初予算額より増額されたものの、一方で昨年度の補正予算額が一昨年前の補正より大幅に縮小されたため、結局のところ二十七年度に採択される規模は小さくなったと理解をしております。
 各区市町村は、学校施設の環境改善のために予算を、当然、年度初めに計上しており、文科省の補助が採択されない場合でも、独自予算だけで着工するか、もしくは今年度の着工を見合わせるのか、どちらかを選択することを余儀なくされております。
 五月に文科相に緊急要望を行ったと聞いておりますが、今後も、来年度に向けて、都としても国に対して働きかけを行うなどの対応が必要と考えますが、所見を伺います。
 次に、水素社会の実現に向けた取り組みについて伺います。
 昨年、世界初の燃料電池自動車の一般販売が開始され、今年度中に二車種目となる燃料電池自動車の発売が予定されています。また、来年度には、燃料電池バスも市場投入されると聞いており、今後、供給インフラである水素ステーションの着実な整備がますます重要となります。
 しかし、地価が高く用地確保の困難な東京において整備を進めるには、安全性の確保は前提としながらも、設置等にかかわるさらなる規制緩和が必要であります。
 都議会においては、さきの定例会で規制緩和の早期実現などを求める意見書を決議し、国へ要望いたしました。こうした動きを受け、国においては、規制改革実施計画が取りまとめられ、規制緩和に向けた取り組みが進められているとのことですが、まだ課題が残されております。
 水素社会の実現に向け、水素ステーションの着実な整備を進めていくために、都は民間事業者等の要望を踏まえ、必要な措置を国に求めていくべきと考えますが、見解をお聞かせください。
 次に、MICEの誘致についてお伺いします。
 都は、今後のMICE誘致の方針を七月に取りまとめ、新たに策定された東京都MICE誘致戦略では、東京は国際会議の開催件数をふやすなど、MICEの開催都市としての地位を着実に高める一方、海外都市との競争が激しさを増し、なお一層の取り組みが必要としています。
 企業への積極的な働きかけを行うことや会議場を運営する会社等と共同した誘致活動を展開していくことも必要だと考えます。その際には、東京の魅力を、映像などを用いて、相手に応じてきめ細かく伝えていく工夫も必要です。
 こうした観点から、今回の誘致戦略を具体的にどう展開するのかを伺います。
 また一方で、M、I、C、EのEであるイベント等の誘致については、具体的な方策が明らかになっていません。展示会やイベントは、新たなビジネス機会を生み出し、経済の活性化に役立つとともに、観光の観点からも外国からの誘客を確保する重要な手段になると考えます。
 今回の誘致戦略では、展示会やイベントについては今後の検討課題としていますが、その誘致や開催に向けた支援に速やかに乗り出していくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 例えばF1、もしくは昨年から始まりました電気自動車によるロードレースのFEのような、国際的にも注目度の高いビッグイベントを誘致して、戦略的に二〇二〇年に向かっていただけるよう要望をいたします。
 最後に、まちづくりについて伺います。
 これから東京は、二〇二〇年の東京五輪パラリンピックに向かって、飛躍的にまた発展をしていくことは、知事の所信表明をお聞きすると想像します。水の都東京の実現、MICEの誘致、都市計画法の特例を使った都市再生、臨海部のBRTなど、ぜひとも進めていただきたい政策がたくさん盛り込まれております。
 しかし、東京の中心部や臨海部の話が多く、我が板橋区のような周辺区の話は、なかなか出てこないというような印象があります。
 例えば、戦後の目覚ましい発展の中、忘れ去られたような江戸からの遺産もあります。知事の所信表明の中でも触れられておりましたが、江戸の市中には玉川上水などの木製の配水管が張りめぐらされておりました。我が城北エリアにも、江戸六上水の一つである千川上水が流れております。
 戦後の開発により、千川上水も暗渠化されましたが、東京都の清流復活事業により、野火止用水、玉川上水とともに、平成元年に分水点から練馬区関町一丁目までの約五キロが開渠されました。しかし、その先は開渠する予定はありません。
 いつか、この千川上水を我が地元板橋区でも開渠するのは、私の夢であります。そして、これも、高度処理水を導入することによって可能となった世界に誇る下水処理技術を持つ環境都市東京のアピールにもつながると思っております。東京を再び水の都によみがえらせたいという思いは、知事と一緒であります。
 また、BRTの活用についてであります。都心部と臨海部を結ぶことは、特にオリンピック・パラリンピック競技大会の際にも大変有効であります。知事の所信表明の中で、東京のまちをさらに快適で暮らしやすいものに変えてまいりますとおっしゃられておりました。そうであれば、ぜひ周辺区の悲願でありますエイトライナー、メトロセブンを早期に実現を目指すのはもちろんでありますが、なかなか時間を要する課題であります。そこで、環状方向に走るバス高速輸送システム、BRTなどを検討していただければと提案をいたします。エイトライナーの代替としても、大変有効なシステムであると考えます。
 清流復活や環状BRTについては、一つのアイデアとして、今後の可能性について検討されたいと思いますが、ぜひとも周辺区の魅力向上にもっと力を注いでいただきたいと強く要望いたします。
 そのことを踏まえて、地元の課題であります大山駅周辺のまちづくりについて伺います。
 今後、いかにこのまちの魅力向上を図っていくのか、私は真剣に考えております。そうでなければ、未来に責任が持てないと考えております。
 大山駅周辺における特定整備路線であります補助二六号線の整備、東武東上線の立体化とその構造形式の選定、健康長寿医療センターの跡地の利用について、都市整備局、建設局、福祉保健局、それぞれの取り組みについて伺います。
 地元板橋区も駅の東地区における地区計画の策定を進めており、ぜひとも都市整備局、建設局のみならず、福祉保健局のご理解をいただきながら、各局連携して大山駅周辺のまちづくりにご協力をいただきますよう要望いたしまして、私の一般質問を終了させていただきます。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 河野ゆうき議員の一般質問にお答えいたします。
 地方創生に対する都の見解でございますが、地方創生では、東京一極集中の是正や地方移住の推進といった議論が先行しておりますが、都の考える真の地方創生とは、東京と地方がそれぞれの持つ魅力を高め、互いに協力し合うことによって、ともに栄え、成長し、日本全体を活性化させていくことでございます。
 そもそも大都市における人や情報の集積は、経営の効率化やイノベーションの源泉でありまして、そのメリットを求めて企業や人が集中するのは自然な流れでありまして、政策的にそれを押しとどめることはできないと思っております。
 また、地方への移住は、個人の自発的な意思によるものでありまして、その意思に反して誘導することは極めて困難であると思っております。
 今回策定する東京版総合戦略は、都の地方創生に対する考え方を具体化するものでありまして、東京と地方の共存共栄を最重点事項に据え、地域経済の発展に結びつく施策を積極的に展開してまいります。
 また、少子高齢、人口減少社会といった都が直面する諸課題に対しましては、都政の大方針であります東京都長期ビジョンに盛り込まれた政策を着実に実行して、全力でその解決に向けて取り組んでまいります。
 そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長がお答えをいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 国の公立学校施設整備費予算についてでございますが、平成二十七年度は、全国の自治体が計画した事業総額に対し、国の国庫補助予算額が下回り、国は緊急性の高い耐震化事業の採択を優先いたしました。このため、耐震化以外の事業の一部が採択されないという影響が全国的にございました。
 都内区市町村の採択率も約六割にとどまったため、都教育委員会は、全国都道府県教育長協議会と連携し、今年度の施設整備事業が計画どおり実施できるよう、国に緊急要望を行ったところでございます。また、来年度に向け、施設整備に係る十分な財源確保を国に提案要求しております。
 都教育委員会は、引き続き国に働きかけを行うとともに、区市町村教育委員会が施設の改築、改修費用の抑制や平準化につながる長寿命化の手法も活用し、計画的な施設整備に取り組めるよう、引き続き指導助言をしっかりと行ってまいります。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 補助第二六号線大山区間の道路整備についてでございますが、本区間は、地域の防災性の向上に不可欠な特定整備路線であり、平成三十二年度の完成を目指しております。
 計画線の区域内には、商店街が含まれていることから、沿道のまちづくりと一体的に道路整備を進める必要があり、都は区と連携し、商店街を中心としたまちづくりの勉強会に専門家を派遣するなど、地元の取り組みを支援してまいりました。
 区は、勉強会の成果も踏まえ、大山まちづくり総合計画を策定しており、地元区では、これに沿って道路整備に伴う移転者の受け皿ともなる市街地再開発事業の準備組合を二地区で設立してございます。
 引き続き、区と連携し、また地元の事業とかかわりを持つ局とも調整を図りながら、商店街の活性化にも配慮した道路整備を推進してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず届け出制度を活用した看護職員の復職支援についてでありますが、本年十月から始まる届け出制度では、看護職員が離職したときなどに、住所、氏名、メールアドレスなどをナースプラザに届け出ることを努力義務としております。
 そのため、都は、より多くの方に届け出ていただけるよう、都内の医療機関、看護職員の養成機関等に情報提供を行いますとともに、看護協会とも連携し、看護職員を対象とした研修や連絡会議などで制度を周知しております。
 十月以降は、届け出た離職者に対し、最新の医療、看護事情や研修の案内等を盛り込んだメールマガジン等を発信するとともに、地区医師会と連携した地域密着型の就職相談会を二次保健医療圏ごとに順次開催する予定でございます。
 今後、新たな届け出制度を積極的に活用して、離職者のニーズに合わせた、きめ細かな復職支援を進めてまいります。
 次に、板橋キャンパスの跡地活用についてでありますが、板橋キャンパスでは、今月から板橋ナーシングホーム及び旧健康長寿医療センターの解体工事に着手しており、平成二十八年度中に地上部分の解体を終え、その後、旧健康長寿医療センターの地下部分の解体に着手し、平成三十年度末に全ての工事が終了する計画としております。
 板橋区とは、平成二十七年三月から板橋キャンパスに関する連絡会を開催し、意見交換を行っており、区からは、福祉部門以外に企画部門やまちづくり部門も参加しております。
 今後の跡地活用については、この連絡会も活用し、平成二十年に都が策定した板橋キャンパス再編整備基本計画の考え方を踏まえながら、区と十分調整し、検討を進めてまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 水素社会の実現に向けた国への要望についてでございます。
 本年六月、国は、規制改革実施計画を取りまとめました。この中で、水素ステーションの整備コスト削減につながる項目として、水素貯蔵タンクの構造に係る規則を今年度中に改正する方針が示されましたが、公道との保安距離や各種設備に使用可能な材質のさらなる拡大等については、早期の規制緩和につながる内容となっておりません。
 また一方で、水素ステーションの建設には、計画から運営開始まで複数年を要しますが、国の予算措置は単年度にとどまり、基金創設もされていないため、事業者は長期的な事業展開を見通せないという状況もございます。
 今後、民間事業者や専門家の意見等を丁寧に聞きながら、安全性を前提としたさらなる規制緩和の早期実現や継続的な財政支援等を国へ強く要望してまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まずMICEの誘致についてでございますが、東京へのMICE誘致をより一層効果的に進めるため、開催地の決定に影響力を持つ主催者等に対するプロモーション活動の充実を図ることが重要でございます。
 これまで都は、国際会議の誘致に向けて必要となる情報の収集に役立つ国際的な連携組織への加盟や海外専門誌への広告掲載等により、MICE誘致に取り組んでまいりました。
 今後は、海外企業が行う会議、ミーティングの誘致に向けましても、より正確で詳しい情報を収集したり、会議施設を運営する事業者等と協力をして、誘致活動を行うことなどを検討してまいります。また、海外企業向けのPR映像を新たに作成するなど、きめ細かな情報発信の工夫を検討してまいります。
 こうした取り組みによりまして、MICE誘致に向けたプロモーション活動の効果を着実に高めてまいります。
 次に、展示会やイベントに関する支援についてでございますが、展示会に海外からの参加者をふやすことや国際的なイベントを誘致することは、外国からの来訪者が東京を観光する機会を生み出す重要な取り組みでございます。
 これまで都は、国際会議や企業の会議等について、誘致活動やその開催に伴い必要となる経費の一部を助成する支援等を行ってまいりました。
 今後は、展示会につきましても、外国からの出展や来場がふえるよう、海外都市の展示会場等におけるPR活動への支援を検討してまいります。
 また、国際的なイベントを東京に誘致する取り組みや開催時の負担の軽減に向けた支援を検討いたします。
 こうした取り組みにより、展示会やイベントを含めたMICE誘致の施策を総合的に展開をしてまいります。
〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 東武東上線大山駅付近の鉄道立体化についてでございますが、大山駅付近には、補助第二六号線を含む八カ所のあかずの踏切があり、鉄道による地域分断の解消等が課題となっております。
 都は、昨年九月に本区間を連続立体交差事業の事業候補区間に位置づけたところであり、現在、事業範囲や構造形式などの調査、検討を実施しております。
 鉄道立体化の構造形式の選定に当たりましては、今後、鉄道周辺の地形的条件、除却される踏切の数などの計画的条件、事業費などの事業的条件、これら三条件で比較検討し、総合的に判断してまいります。
 引き続き、地元区や鉄道事業者と連携し、鉄道立体化に向けて積極的に取り組んでまいります。

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