平成二十七年東京都議会会議録第十二号

   午後五時二十分開議

○議長(高島なおき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五十六番徳留道信君。
〔五十六番徳留道信君登壇〕

○五十六番(徳留道信君) 日本共産党を代表して質問します。
 初めに、安倍政権が憲法違反の安保法制、すなわち戦争法を強行したことに強く抗議するものです。
 安保法制は日本国憲法に真っ向から背く違憲立法です。法律に盛り込まれた戦闘地域での米軍への武器輸送などの兵たん支援、戦乱が続く地域での治安維持活動、米軍を守るための武器使用、そして集団的自衛権の行使など、そのどれもが憲法九条を踏みにじり、自衛隊の海外での武力行使に道を開くものとなっています。
 このため、安保法制に対して圧倒的多数の憲法学者や歴代の内閣法制局長官、元最高裁長官を含む広範な人々から憲法違反という批判が集中しています。知事は、この批判をどう受けとめていますか。
 このような重大な違憲立法の存続を許すなら、立憲主義、法の支配という我が国の存立の土台が根底から覆されることになりかねません。知事、いかがですか。
 自衛隊が海外で米軍とともに他国の軍隊と戦い、対テロ戦争などに参加したらどうなるでしょうか。自衛隊員に戦死者が出ることになるでしょう。日本が報復攻撃やテロ攻撃の対象とされ、都民の安全が脅かされる危険が強まるとの声も上がっています。
 知事、今や安全保障は国の専管事項だといって、黙って見ていることは許されません。だからこそ、数百に及ぶ地方議会から安保法制に対して反対や慎重審議を求める意見書が上がったのではないでしょうか。都民の命と暮らしを守るべき地方自治体の長として、政府に厳しく物申し、行動すべきときではありませんか。
 同時に重大な問題は、安倍政権が空前の規模に広がった国民、都民の運動と、六割を超す今国会での成立に反対という世論に背いて違憲立法を強行したことです。四カ月近くの国会審議を通じて、憲法違反の声が国民多数を占め、成立後も反対が賛成を上回り、説明不十分の声は八割に及んでいます。
 にもかかわらず、こうした国民の声を無視して、問答無用に強行採決したことは、国民主権、民主主義という日本国憲法の根幹を破壊するものにほかなりません。知事の明確な答弁を求めます。
 日本の平和と国民、都民の命を危険にさらす違憲立法を存続させるわけにはいきません。
 我が党は、安保法制、戦争法廃止、立憲主義を取り戻すという一点で一致する全ての政党、団体、個人が共同して戦争法廃止の国民連合政府を樹立することを呼びかけています。都議会各会派の皆さん、そして都民の皆さんが立場の違いを超えて、力を合わせて廃止に追い込むことを心から呼びかけるものです。
 人口密集地のど真ん中にある米軍横田基地が今回の安保法制と日米新ガイドラインによって、日米の軍事一体化と海外派兵型の拠点基地に変貌していくことで、都民の安全が脅かされる危険性についても指摘しないわけにはいきません。
 ことし四月に改定された日米新ガイドラインは安保法制と一体のものですが、新ガイドライン発表直後に、特殊任務を担うCV22オスプレイ十機と四百人の部隊の横田基地への配備が明らかにされました。米軍のマニュアルによれば、特殊部隊の任務は、国家転覆、対テロ戦闘などとされています。日本の防衛とは全く無縁な外国への侵攻作戦そのものです。
 これまでも横田基地には、在日米軍司令部、米第五空軍司令部が置かれ、アフガン戦争、イラク戦争などアメリカによる無法な戦争の輸送拠点となってまいりました。三年前には航空自衛隊総隊司令部が横田基地に移転し、日米軍事一体化が進んできました。
 最近は、横田基地でも敵基地の制圧を目指す特殊任務の訓練として、米軍のパラシュート降下訓練が頻繁に行われています。さらに、横田基地所属の米軍C130輸送機に自衛隊の特殊部隊が乗り込み、アメリカまで出かけて、米軍特殊部隊と合同のパラシュート降下訓練まで行っているのです。
 知事、横田基地をめぐる現在の事態をどう認識していますか。横田基地がこうした日米共同の特殊任務作戦や海外派兵の拠点になり、横田基地から飛び立った特殊部隊が他国への破壊活動などを行うようなことを許すわけにはいきません。横田基地の機能強化及びCV22オスプレイの配備に断固反対し、知事として発言し、行動すべきと思いますが、いかがですか。
 そもそも米軍機には、安保条約に基づく日米地位協定によって危険を生ずるおそれがある区域の上空の飛行禁止条項を初め、日本の航空法の重要な部分が適用除外とされています。このため、米軍機は、住宅密集地域での低空、旋回、夜間などの飛行訓練を傍若無人に行っているんです。重大事故が発生しても、米軍の許可なしには、日本は関与することさえできません。
 オスプレイも、日本の航空法を適用すれば、安全基準を満たしていないために、本来国内で飛ぶことはできないんです。にもかかわらず、オスプレイが横田基地に配備されようとしており、最近は再三飛来するなど、やりたい放題ではありませんか。知事、こんな状態を放置しておいていいんですか。
 ドイツは地位協定を改定し、米軍基地周辺であっても米軍機に対し、飛行禁止区域や低空飛行の禁止を定めるドイツ国内の航空法を適用しています。
 イタリアでは、駐留米軍は軍事訓練や演習を行うときには必ずイタリア政府の許可が必要とされ、地方自治体から米軍への異議申し立て制度も確立をされています。知事、日本とは余りにも違うと思いませんか。
 基地を抱える都道府県の連絡協議会、すなわち渉外知事会は、日米地位協定を改定し、市街地や夜間、休日の飛行制限、最低安全高度を定める国内法を適用すること、そして基地の整理、縮小及び早期返還を促進するよう求めていますが、国はどのように回答しているんですか。
 渉外知事会、そして多くの都民、国民と共同した運動を大きく広げ、それこそ本気になって日米地位協定の改定、米軍基地の整理、縮小、返還を早期に実現していくときではありませんか。私たちもそのために全力を尽くします。知事の所見と決意を伺います。
 次に、福祉の充実について伺います。
 まず、保育園と特養ホームの整備の問題です。
 知事が待機児ゼロの目標を掲げ、昨年度一年間で百六十五カ所の認可保育園をふやし、定員を一万三千五百人以上増加させたことは重要です。しかし、それでもまだ、全ての保育サービスを利用しても、待機児は八百五十八人減少しただけで、ことし四月の待機児は七千八百人を超えています。
 東京都の調査では、就学前の子供がいる世帯で現在就労していない母親の就労希望は、今すぐ働きたい、いずれ働きたいを合わせると八割を超えるのですから、保育要求は今後さらに大きくなると見込まれます。
 四年間で待機児ゼロという目標を実現するためには、保育園整備の流れをさらに大きくしていくことが求められていますが、知事は今後どのように取り組むんでしょうか。
 また、特別養護老人ホームの待機者は四万三千人を超えており、整備のテンポを引き上げることは急務です。十年間で一万八千人を増設する目標は早期に達成して、さらに待機者解消に向けた取り組みを強化することが必要です。特養ホーム増設への知事の決意と今後の対応を伺います。
 世田谷区内にある都営住宅跡地の福祉インフラ整備への活用が決まり、保育園などの福祉施設が整備されることになったことは重要です。都営住宅の建てかえなどで創出される三十ヘクタールの用地を福祉インフラ整備に提供する取り組みをさらに強化することが重要だと思いますが、いかがですか。
 東大和市にある向原アパートと東京街道アパートの都有地について、九月の市議会では、福祉施設などの拡充、運用に関する市の取り組みについての質問に、市長が東京都と協議していきたいと答弁しています。福祉施設整備を含む市との協議は始まったのでしょうか。いつまでに計画をまとめようとしているんでしょうか。
 東久留米市中央町二丁目アパートや清瀬市中里団地には、建てかえにより生み出された都有地があります。福祉インフラ整備への活用に向け、地元自治体との協議を進めるよう求めておきます。
 台東区が保育園用地として提供を求めている水道局用地について、地元区と積極的に相談をして進めていくことが必要ですが、いかがでしょうか。
 私の地元の板橋区にある旧老人医療センターと板橋ナーシングホームの解体工事が始まります。区はこの跡地利用について、一貫して高齢者施設と障害者施設の整備を要望しています。この要望に応えることが重要ですが、見解を伺います。
 保育士や介護職員の不足が深刻です。せっかく保育園を新設したものの、四月に保育士不足のために定数どおり受け入れることができなかった保育園は、私たちが把握しているだけで五区三市で二百二十人分もあります。
 昨年十月には、北区で計画されていた特養ホームが、介護報酬引き下げと介護人材不足のために事業者が撤退し、建設中止になりました。ショートステイでも定員どおり受け入れられないところがあります。職員不足のため、早朝から夜間まで過重労働の連続という事態も広がっています。
 保育園や特養ホームなどの整備の障害にもなっている保育士や介護職員の深刻な人材不足についてどう認識していますか。
 賃金を引き上げ、職員をふやすことができるよう保育単価や介護報酬、保育士、介護職員の処遇改善補助を拡充し、職員配置基準も改善するよう国に強く求めるとともに、都としても最大限の対策を強める必要があると思いますが、いかがですか。
 高齢者の貧困について伺います。
 日本の高齢者の相対的貧困率は二〇%近くに上ります。一方、ドイツやイタリアは九%、カナダやスペインは七%など、OECD加盟国のうち二十カ国は一〇%を切っています。日本のひとり暮らし高齢者の相対的貧困率は男性で二九%、女性に至っては四五%にもなります。日本の高齢者に貧困が大きく広がっている事態を知事はどう認識していますか。
 国民年金のみの高齢者の平均受給月額は五万円にもなりません。借家の場合、その少ない年金で家賃を払わなければなりませんが、日本には多くの国で行われているような家賃補助制度はほとんどなく、公営住宅も全住宅数の約四%でしかありません。
 ヨーロッパの多くの国では、医療費は無料か少額の負担ですが、日本では七十歳から七十四歳は二割負担、七十五歳でも一割を負担しなければなりません。社会保険料も値上げが続いています。
 知事は、下流老人という本に触れ、生活保護基準相当で暮らす高齢者及びそのおそれがある高齢者には誰もが陥る危険性がある、本人の責任のみによるものではなくて、むしろ社会問題なのであると述べていますが、そのとおりです。知事は、高齢者の貧困問題にどう対応するのですか。
 高齢者を初め、あらゆる世代に貧困が大きく広がっているのは、歴代の自民党政権が雇用制度を改悪するとともに、社会保障を次々と切り崩してきたからにほかなりません。その解決は政治の責任です。
 知事、住民の福祉と暮らしを守る責務のある地方自治体の長として国に厳しく物申すとともに、都として貧困に苦しむ方々に手厚い支援を講ずるべきだと思いますが、お答えください。
 高齢者の暮らしにさらに追い打ちをかけているのが介護保険の負担増です。利用料に二割負担が導入され、特養ホームの多床室の方からも部屋代を徴収することになり、ショートステイなども含め、食費や居住費への補助、いわゆる補足給付も縮小されました。この結果、いざというときに備えた貯蓄もどんどん目減りし、生活保護を受けるしかないという事態が広がりかねません。
 妻が特養ホームに入居しているという方から話を伺いました。夫婦で二十五万円の年金ですけれども、八月から補足給付が受けられなくなり、十万円だった特養ホームの利用料が十五万円にふえました。夫の介護の利用料も合わせると、手元には七万円程度しか残らず、これで生活の全てを賄わなければなりません。とても生活できないので、ご自身のデイサービスを削らざるを得なくなった、お金のかかるご近所づき合いも全部やめて、孤独な生活だと訴えておられました。
 知事は、このような介護保険の改悪による都民への影響をどう認識していますか。改悪は撤回するよう国に求めるべきであります。
 今年度実施された介護保険の負担増による都民の影響人数、影響額はどうなっていますか。都として新たに介護保険の利用料、食費、居住費への支援を行うことを求めます。お答えください。
 加えて重大なのは、後期高齢者医療保険料の軽減の特例措置を国が廃止しようとしていることです。保険料は二倍から十倍にはね上がり、東京では最大で年間四万円近くの負担増になる方もおります。極めて大きな負担増になります。都民への影響をどう認識していますか。
 全国後期高齢者医療広域連合協議会は、国に対して保険料軽減は現行制度を維持するように求めています。都としても国に制度の維持を求めるべきではありませんか。
 来年度は保険料率の改定の年になります。東京都広域連合では一人当たり年間六千円から一万二千円の値上げになる試算が示され、検討されています。東京都市長会は、保険料軽減のために、国と都の財政支援を求めています。こうした声にどう応えるのですか。
 知事、貧困の打開や少子高齢社会対策を初め、福祉を拡充し、都民の暮らしを守る本格的な取り組みに踏み出すことが今求められています。そのためには、都政運営、財政運営の基本を福祉、暮らし優先に切りかえることが急務ではありませんか。
 こうした立場を都政で確立することなしに、知事がいうところの世界一の福祉都市は到底実現できないと思いますが、お答えください。
 今月発表された都の年次財務報告書は、今後、急速に高齢化が進む中で、社会保障関係費の増加が見込まれること、社会資本ストックの老朽化は重要な課題であり、維持更新経費の増加額は二十年間で二兆三千億円に及ぶこと、また、投資に係る新規発行債を毎年四千五百億円発行した場合、二十五年後には都債発行残高は約一・九倍、生産年齢人口一人当たり百二十六万円の残高を抱えるとしています。
 この問題はどう対応するんでしょうか。東京の持続的な発展を実現するためにも、投資的経費については都市インフラの新規整備を最大限抑えることが求められていますが、いかがですか。
 この点で重大なことは、都が幹線道路について、どんなに住民の反対があろうが、建設をごり押しする構えを崩していないことです。
 都市計画道路についていえば、年間約二十五キロメートルのペースで建設されており、都の道路計画への投資額は三千億円、区市町の都市計画道路の整備費は四百億円程度で推移しています。未整備の都市計画道路は約千二百十キロメートルありますから、このままでいくと、今後約十五兆円もの巨額の財源を投入することになりますが、それでも進めるんでしょうか。
 都は、未着手の都市計画道路の必要性を検証するとしています。しかし、前回の見直しで廃止したのはわずか一路線にすぎません。今回の検証でも、一日当たり六千台の車が通ると見込まれれば必要、道路ができれば交通渋滞が緩和され、二酸化炭素の排出が削減されるならば必要などとして、ほとんどの路線が存続可能になるような基準を設けています。
 しかし、都が今回発表した都市計画道路の第四次事業計画の中間まとめでも、今後大幅な税収増が見込めないことに加え、社会保障費がさらに大幅に増大することは明らかであり、都市計画道路への大幅な投資額の伸びは見込めない状況ですと認めているではありませんか。
 人口、そして自動車交通が減少していく時代は迫っています。知事の、車中心のモータリゼーション社会からの転換という大方針に沿って、少なくとも住民の反対が強いなどの問題がある道路計画は思い切って見直すべきでありませんか、お答えください。
 次に、都立高校についてです。
 都教育委員会は、今年度策定予定の都立高校改革の新たな実施計画に、夜間定時制高校のうち、小山台、雪谷、江北、立川の四校の廃止を盛り込むとして、保護者や同窓会などに説明しています。多くの生徒が通うこれらの学校がなぜ廃止なのかと関係者からは驚きと怒りの声が上がっています。かつて百校以上あった都立夜間定時制高校は、生徒や保護者、都民の反対を押し切って次々に廃止され、現在三十九校まで減っています。まさかこれ以上の廃止はないだろうと信じていた都民にとっては、まさに寝耳に水の話であります。
 夜間定時制には、勤労青少年を初め、経済的困難などの事情を抱えた生徒、いじめや不登校経験者、日本語の苦手な外国籍の生徒、発達障害の生徒、社会人や高齢者など、さまざまな生徒が通っています。学ぶ意思のある生徒をほぼ全て受け入れ、教育を受ける権利を保障しているのが夜間定時制です。
 都は、夜間定時制高校の果たしている役割をどのように認識していますか。
 都教委は、夜間定時制廃止のかわりにチャレンジスクールと昼夜間定時制の定員をふやすとしています。しかし、それは夜間定時制廃止の理由にはなりません。
 そこで伺います。
 チャレンジスクールや昼夜間定時制は学級のない単位制高校です。これに対して、夜間定時制には学級があり、担任や級友との温かい人間関係があるから成長できたという生徒が少なくありません。主に不登校経験者のためのチャレンジスクールでは合わない生徒もいます。また、夜間定時制は、夜間中学からの重要な進学先にもなっています。
 チャレンジスクールや昼夜間定時制では受けとめ切れない夜間定時制に対する教育ニーズがあることをどう認識していますか。
 都教委は、全日制と夜間定時制を併設する全定併置校は施設利用に課題があるといってきました。
 全日制の卒業生や保護者なども、全定併置は大きな障害はない、むしろ、全日制の生徒にとって定時制の存在そのものから学ぶことは多いといっています。しかも都教委は、都立高校白書で、チャレンジスクールや昼夜間定時制のような午前、午後、夜間など生徒が入れかわる三部制高校について、生活指導、学校行事、部活動など、統一して実施しにくいなどの問題点を指摘しています。
 全日制に併置されている夜間定時制を追い出して三部制高校に詰め込むとしたら、生徒の教育条件を軽視しているといわれても仕方がないのではありませんか。
 しかも、夜間定時制の生徒にとって、長い通学時間は、交通費はもとより体力的にも精神的にも大きな負担になり、通い続けることが難しくなります。このことからも学校数を少なくとも今後も維持すべきだと考えますが、お答えください。
 夜間定時制を今後も維持し、多様な学びの場の一つと位置づけて、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーの配置、拡充など、教育環境の充実を図ることを求めますが、見解を伺います。
 夜間定時制のこれ以上の廃止は絶対に認められません。拡充こそ求められていることを厳しく指摘しておくものであります。
 都立高校では、中途退学防止や進路が決まらずに卒業する生徒への支援の強化は重要な課題の一つです。今年度から配置されたユースアドバイザーは大きな役割を果たしていますが、進路指導支援員の採用、個別指導を行う進路指導支援チームの設置、進路未決定のまま卒業した生徒などへの相談体制の充実も重要であります。
 今後、どのような取り組みを進めるのですか、お答えください。
 次に、豪雨対策について伺います。
 記録的大雨となった関東・東北豪雨では、鬼怒川などの決壊や氾濫を引き起こすなど甚大な被害をもたらしました。都内でも四区市町村で十二万世帯、二十六万人に避難勧告が出され、床上、床下浸水や土砂崩れ、道路冠水の被害が出ました。
 知事も、鬼怒川決壊は人ごとではないといっているように、今回のような豪雨が東京に降れば、荒川、そして中小河川を含め、堤防決壊などによる洪水が都内どの地域でも起きてもおかしくありません。
 東京でもこうした大雨による大災害が起きることを想定して、ソフト、ハード両面の対策を早急に進める必要があると思いますが、知事の所見を伺います。
 国交省は、巨大台風の上陸や豪雨による災害の発生予想時間から逆算して、いつ、誰が、何をするのかの三つの要素を合い言葉として、関係者があらかじめとるべき防災行動を定めるタイムラインの策定に取り組み始めました。
 国交省荒川下流河川事務所は、板橋、北、足立区と東京メトロなど関係機関が参画し、住民避難、避難行動要支援者施設、交通状況にスポットを当ててタイムラインを策定し、この五月から試行をしています。関係者は、これまでは警察や消防がどこで何をしているかという横の動きが見えなかったが、他の機関と一緒にタイムラインをつくったことで連携がとりやすくなった、避難勧告などを出すタイミングが明確になったと語っています。
 一昨年、台風による甚大な被害を受けた大島町でも、土砂災害を想定して、二百項目に及ぶ行動を一覧表にしたタイムラインを策定しているところです。
 都としても、水害、土砂災害などさまざまな災害に備えて、区市町村と協力して、必要なタイムラインを策定することが求められていると思いますが、いかがですか。
 最後に、オリンピック・パラリンピックについて質問をいたします。
 新国立競技場計画は、巨大施設で巨額な税金投入を行うもので、都民、国民の批判の広がりの中で、政府はゼロベースからの見直しを表明しました。
 しかし、公表された新整備計画は、高さ七十メートル、規模は八万席と巨大なもので、日本スポーツ振興センター幹部も旧計画と変更はないと国会で答弁をしています。ゼロベースの見直しではなかったんです。
 知事は、見直しは都民の納得が得られるものでなければならず、周辺環境との調和も考えるべきだと発言してきたではありませんか。横浜の日産スタジアムの場合、客席数は七万二千席ですが、高さは約五十二メートル、総工費は六百三億円で、しかも三年九カ月で完成させたと報告をされています。先日の特別委員会で担当局長は、今後、検討の対象になるのではないかと答弁しました。
 知事、こうした事例も検討し、国任せではなく、都民が納得できる見直しとなるよう力を尽くすべきではありませんか。
 整備費の負担について知事は、特別委員会で国に協力する立場を示しました。しかし、石原都政以来、整備費について、都は、国立である以上、国責任が原則という立場をとり、舛添知事も、国が責任を持って整備していくのが原則であると答弁してきたんです。
 八月二十八日の記者会見でも、法的にも許されるものでなければならず、その立場は変わっていないと発言してきました。
 知事、こうした発言、立場は、当然貫かれるべきだと思いますが、いかがですか。
 都は、法人事業税、法人住民税の一部を年間約三千億円も国に吸い上げられています。国の不当な措置は断じて許すわけにはまいりません。
 知事、その上なぜ国立競技場整備まで都が全面協力するのですか。
 二〇一二年に日本スポーツ振興センターに提出した文書で都は、建設局が所有する公共敷地を新国立競技場等の敷地とする場合には有償とすると明記しています。
 ところが、さきの特別委員会では、都立明治公園を無償で譲渡することもあり得るかのような答弁がありました。有償とする立場を覆すのですか。
 譲渡対象の敷地は約二・六ヘクタール、三百五十億円に近いと推計をされています。これだけの都民の財産を無償ないし低価格で国に差し出すことは、到底都民の理解は得られないのではないでしょうか、いかがですか。
 都が整備する競技場の整備費、用地費負担は約二千六百八十億円と発表され、都民一人当たり二万円近い負担となります。さらに、選手村の用地取得費、基盤整備費も莫大な負担が予測されますが、現時点でどの程度と推計をしていますか。引き続き削減の努力を尽くすべきです。お答えください。
 知事が、都が建設する競技施設について、情報の公開を徹底していくと述べたことは重要です。しかし、施設ごとの整備費の内訳や根拠、他の類似施設との比較、大会後の維持費や収支見通しなどについて、より全面的な情報公開が必要です。
 知事の答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 徳留道信議員の代表質問にお答えいたします。
 安保法制につきまして、四問質問ございました。まとめてお答えいたします。
 まず、憲法違反という批判が出ているとのご質問及び立憲主義に関するご質問でございますが、さきの定例会でも申し上げましたとおり、集団的自衛権の行使を憲法に明記するのか、解釈で可能にするのかは、人によってそれぞれ意見があると考えております。
 なお、憲法以前の問題として、国家も自然権としての自衛の権利を有しております。さらにいえば、国連憲章には、全ての国が個別的、集団的自衛権を持つと明記されております。
 次に、政府に物申すべきとのことでございますが、国権の最高機関たる国会の場で導き出された一つの結論でございまして、都知事として何かいう考えはございません。
 最後に、強行採決とのご質問でございますけれども、今申し上げましたように、国民の代表たる国会議員の皆さんが国会の場で出した結論でありまして、これにつきましても、都知事として特段申し上げることはございません。
 いずれにしましても、安全保障や憲法といった問題は、国家の根幹にかかわる国の専管事項であり、今後も国民の間で幅広い意見が展開され、国権の最高機関である国会の場で取り扱われるべきものと考えております。
 次に、日米地位協定改定や基地の整理、縮小、返還についてでございますが、安全保障に関することは国の専管事項でありますが、米軍の運用に当たりましては、安全面に最大限考慮を払うとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めるべきであります。
 このため、都は、地域に影響を及ぼす米軍の運用について、日米地位協定の見直しなどを含め、他の自治体とも連携しながら、国や米軍に要請を行っております。
 今後も、都民の安全と生活環境を守る立場から、必要な申し入れを行っていきたいと思っております。
 次に、待機児童解消に向けた取り組みについてでございますけれども、昨年度の保育サービス利用児童数は、東京都長期ビジョンで示しました目標の一万二千人を超えまして、一万二千六百二人増加いたしました。
 都は現在、区市町村や事業者の負担軽減を初めとした独自の支援策を実施しておりまして、今後とも、平成二十九年度末までに待機児童を解消するという目標の実現に向け、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいります。
 次に、特別養護老人ホームの整備についてでございますが、昨年策定しました長期ビジョンでは、高齢者人口の将来推計や区市町村のサービス見込み量を踏まえ、平成三十七年度末までに特養の定員を六万人分にふやす目標を掲げました。その実現のために、これまで施設整備費の補助単価の増額や土地賃借料の負担軽減など、さまざまな支援策を講じておりまして、今後とも、目標達成に向け、区市町村や事業者を支援してまいります。
 次に、高齢者福祉についてでありますが、高齢者の生活実態はさまざまでありまして、低所得の方がいることは十分承知をしております。こうした方々のために、現在の日本の社会保障制度では、各種手当や医療保険制度、介護保険制度などの中で、さまざまな軽減措置が設けられておりまして、都としても独自に低所得者対策を実施しております。
 ただ、人口の増加、右肩上がりの経済成長、終身雇用を前提に確立された現在の社会保障システムは、さまざまな問題を抱えております。今後必要なのは、社会保障システムを、改めて社会全体のセーフティーネットとして、国民全体のコンセンサスを得ながら、持続可能なものへとつくり変えていくことだと考えております。
 続きまして、都政運営、財政運営についてでございますが、私はこれまでも、子供と子育て家庭への支援、高齢者施策の充実、福祉、医療人材の確保など、世界一の福祉先進都市東京の実現に向けて、全力を注いでおります。
 今後とも、都民一人一人が安心して豊かに暮らせるよう、財政の健全性に十分留意しながら、都民福祉の向上にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、豪雨対策でありますけれども、関東・東北豪雨は各地に甚大な被害をもたらしましたが、都においても、台風や集中豪雨などによる大規模水害への対策は重要な課題であります。
 このため、都は、防潮堤の整備や耐震対策を進めるとともに、河川の護岸や調節池の整備などに既に取り組んでおります。
 また、今回の豪雨被害が広域に及んでいることから、住民を広域的に避難させる枠組みの整備に向け、区市町村や鉄道事業者等の関係機関と連携協力しながら、国や近隣県とともに検討を進めてまいります。
 今後とも、自助、共助の取り組みを積極的に促すとともに、都としてもハード、ソフト両面から防災対策を推進してまいります。
 次に、新国立競技場整備計画の見直しについてでございますが、新国立競技場の新たな整備計画は、国内外の競技施設の事例も参考にしつつ、アスリートから直接、意見を聞いて策定されたものと承知しております。
 また、私は、アスリートファーストやバリアフリーのほか、地区計画を踏まえて、緑豊かな歴史と風格ある都市景観との調和を図るなど、都の考え方を述べ、その多くは新たな整備計画に反映されております。
 さらに、コストについても大幅に抑制されております。その意味で、私は現実的な計画になっていると考えております。
 今後、新国立競技場が新たな計画に基づき着実に整備されるよう国に求めるとともに、都としても協力をしてまいります。
 次に、整備費の負担に係る考え方についてでありますけれども、新国立競技場は、国が責任を持って整備するのは当然でありますが、二〇二〇年大会のメーンスタジアムであり、東京都の神宮外苑地区に所在する施設でもあります。
 よって、都は、まちづくりを初め、都の政策と整合を図りつつ、大会に支障なく整備されるよう全面的に協力をしているところであります。
 また、都が財政負担を行うには、都民が納得できる理由が必要であり、例えばスポーツの振興や地域の防災機能など、どのような受益があるのか明らかにする必要があります。
 さらに、現行の地方財政制度のもとにおいては、法的課題の解決も必要であることを申し上げているわけであります。
 次に、整備費の負担についてでありますが、先ほど申し上げましたとおり、新国立競技場は国立であるため、国の責任で整備すべきものでありますが、大会に不可欠なメーンスタジアムであり、東京の都心に立地する大規模な公共施設であります。
 このため、都民のスポーツ振興はもちろんのこと、まちづくりや防災など、都の施策に貢献することも期待されるところでありまして、大会に向け支障なく整備されるよう全面的に協力をしております。
 次に、都が整備する施設に関する情報公開でございますけれども、これまで競技会場や選手村など、施設整備の状況につきましては、随時、議会の場でご報告し、ご審議いただいてまいりました。
 また、定例会見の場において、都立競技施設等の整備費や進捗状況について、私から直接説明をしているところであります。
 今後とも、施設整備の進捗や大会後の施設運営計画の検討状況に応じて、適切な時期に議会に報告し、ご審議いただくとともに、都民、国民に対して広く情報を公開しながら、着実な準備を進めてまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、夜間定時制高校の役割についてでありますが、夜間定時制高校は、従来、昼間に学校に通うことができない勤労青少年の学びの場となっておりました。しかし、その後、夜間定時制高校に在籍する勤労青少年は減少の一途をたどっており、近年、学習習慣や生活習慣等に課題がある生徒や全日制高校から転学してきた生徒、外国人の生徒など、多様な生徒が在籍するようになっていることから、夜間定時制高校の役割は大きく変化していると認識しております。
 次に、夜間定時制高校に対する教育ニーズについてでありますが、夜間定時制高校を第一志望とする生徒は、募集人員の半数にも満たない状況にあり、定員の充足率は年々低下しております。
 したがいまして、夜間定時制高校の役割が勤労青少年の学びの場から、より多様な生徒が在籍する学校へと変化する中にあっても、夜間定時制高校を希望する生徒は十分に入学できる状況にございます。
 次に、定時制高校の教育条件についてでありますが、全日制課程と定時制課程を併置する高校には、生徒の施設利用や学習活動が時間的に制約されるなどの課題がございます。
 なお、都教育委員会では、夜間定時制高校や三部制の昼夜間定時制高校を含め、全ての都立高校において、真に社会人として自立した人材に育成していくため、個々の生徒の状況に応じたきめ細かい学習指導や生活指導を適切に行っております。
 次に、夜間定時制高校の学校数についてでありますが、都教育委員会は、平成九年度から都立高校改革推進計画に基づき、都立高校の規模と配置の適正化を図ってまいりました。夜間定時制高校についても、東京都全体として必要な募集人員を確保し、適正に配置しております。
 次に、夜間定時制高校の教育環境についてでありますが、都教育委員会は、これまでスクールカウンセラーを全都立高校に配置し、在籍する生徒や保護者からの相談への対応や教職員への助言等の職務を担当させ、学校の教育相談体制の充実を図ってきております。
 また、スクールソーシャルワーカーについては、本年度、夜間定時制高校を含む都立学校十三校をモデル校として指定し、学校だけでは解決できない問題を抱える生徒や家庭に、福祉面などからの支援を行っております。
 最後に、都立高校における進路未決定者や中途退学者等への取り組みについてでありますが、都教育委員会は、平成二十五年度から、若者の自立支援に実績のあるNPOと連携し、中途退学者等への支援を目指したモデル事業を実施しております。
 今後の取り組みについては、モデル事業の成果も踏まえ、外部有識者を含む不登校・中途退学対策検討委員会において、現在、議論をしております。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、横田基地についてでございますが、都内の米軍基地は、日米安全保障体制の一翼を担うものと認識しており、横田基地は、西太平洋地域の米軍の空輸ハブ基地として輸送部隊が駐留しております。
 国は、CV22オスプレイ配備は、こうした輸送拠点としての機能の範囲内で行うものとしております。また、横田基地からは、人員や物資を空輸する能力を常に保持するため、人員降下訓練等を行っていると聞いております。
 安全保障に関することは国の専管事項でございますが、米軍の運用に際しては、地元住民の生活への最大限の配慮が必要でございます。
 このため、都はこれまでも、安全対策の徹底や環境への配慮など、国に対して必要な申し入れを行っております。
 次に、米軍機の飛行運用についてでございますが、在日米軍による低空飛行訓練に当たっては、最大限の安全性を確保するため、人口密集地域等に妥当な考慮を払うとともに、日本の航空法により規定される最低高度基準を用いることなどが日米合同委員会において合意されております。
 また、MV22オスプレイの運用についても同様の日米合意がなされており、CV22オスプレイの運用に当たっては、当該合意を含む既存の全ての日米合意を遵守する旨を米国が明言しております。
 安全保障に関することは国の専管事項でございますが、都としては、米軍の運用に当たって、安全対策の徹底や騒音軽減など、生活環境への配慮などを国に申し入れております。
 次に、日米地位協定についてでございますが、国は、日米地位協定は、協定そのものに加え、数多くの日米合意を含んだ大きな法体系であり、手当てすべき事項の性格に応じて、日米合同委員会を通じた取り組みなどにより不断の改善が行われており、他国の地位協定と比較しても、特に不利なものとなっているとは考えていないとしております。
 都としては、これまでも日米地位協定について運用を含めた見直しを国に要請しており、今後も必要な見直しを求めてまいります。
 次に、渉外知事会の要望に対する国の回答についてでございますが、米軍機の飛行運用については、地元住民への影響を最小限とするための措置が日米合同委員会で合意されており、国からも米軍に対し、当該合意を遵守するよう申し入れているとの回答がございました。
 基地の整理、縮小及び早期返還については、日米地位協定第二条に基づいて検討することとされており、地方公共団体からの要望を勘案しつつ、随時米側と協議しております。
 今後も、日米安全保障体制の目的達成という観点を踏まえつつ、個々の施設、区域の実情を踏まえた適切な対応を図りたいとの回答を得ております。
 次に、福祉インフラ整備のための創出用地の提供についてでございますが、都営住宅や公社住宅の建てかえに当たっては、既に関係局や区市町村と連携しながら、創出した用地等を活用した福祉施設の整備を促進しており、引き続き取り組んでまいります。
 次に、東大和市内の都営住宅の建てかえによる創出用地の活用についてでございますが、都営住宅の建てかえに伴う創出用地は都民の貴重な財産であり、福祉施設整備も含め、まちづくりの種地として活用することが重要でございます。
 今後も、地元市とも連携し、地域の特性や個々の土地の状況を勘案しながら、用地の活用を図ってまいります。
 次に、都市計画道路についてでございますが、都は、関係区市とともに、これまでもおおむね十年ごとに優先的に整備すべき路線を選定した事業化計画を策定し、限られた財源の中で、計画的かつ効率的に都市計画道路の整備を推進してまいりました。
 将来にわたる東京の持続的発展を実現していくためには、広域的な交流、連携や高度な防災都市、個性的で活力ある地域づくり等を支える道路ネットワークのさらなる充実が不可欠でございます。
 今後とも、こうした目的の達成に向け、関係区市と連携の上、必要な財源の確保に努めつつ、都市計画道路の整備に取り組んでまいります。
 最後に、都市計画道路の見直しについてでございますが、都はこれまでも、社会経済情勢の変化に応じて、適時適切に将来における都市計画道路網の必要性の検証を行いつつ、整備を推進してまいりました。今回策定する整備方針におきましても、改めてネットワーク形成などの観点から検証を行った上で、必要な都市計画道路については、今後とも積極的に整備に取り組んでまいります。
 なお、お話にございました車中心のモータリゼーション社会からの転換を図るためには、交通渋滞を緩和し、人や物の流れを円滑にする取り組みが必要不可欠でございます。引き続き、三環状道路はもとより、都市計画道路の整備を推進してまいります。
〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 水道局用地の保育園用地としての活用についてでありますが、水道局が保有する土地は、局事業への活用が前提ですが、これまでも活用見込みがない土地については、庁内各局や区市町へ情報提供を実施しています。
 お話の用地については、現時点では、台東区から問い合わせがあった段階であり、今後、具体的な要望が出されれば、局として事業に支障のない範囲で対応していきます。
 今後とも、こうした取り組みを継続しつつ、福祉インフラ整備に関する土地活用方策などを踏まえ、適切に対応してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 九点のご質問にお答えをいたします。
 まず、板橋キャンパスの跡地活用についてでありますが、板橋キャンパスでは、今月から旧健康長寿医療センター及び板橋ナーシングホームの解体工事に着手しており、平成三十年度末に工事が終了する計画となっております。
 今後の跡地活用については、平成二十年に都が策定した板橋キャンパス再編整備基本計画の考え方を踏まえながら、地元区の意見等も聞き、検討を進めてまいります。
 次に、保育士や介護職員の人材不足についてでありますが、ふえ続ける保育ニーズや介護ニーズに対応するためには、サービス基盤の整備を進めるとともに、これを支える人材の安定的な確保が必要でございます。
 このため、都はこれまでも、福祉の仕事の魅力をアピールするイベントや、事業者の採用を支援する大規模な就職説明会、職場体験や資格取得の支援など、さまざまな取り組みを行っております。
 また、本年三月に策定した子供・子育て支援総合計画や高齢者保健福祉計画におきましては、必要な保育士、介護職員数等を推計しており、今後とも福祉人材の確保に努めてまいります。
 次に、福祉人材の処遇改善や職員配置についてでありますが、保育士や介護職員の処遇における一番の問題は、キャリアパスの仕組みが十分でないことでございます。
 そのため、都は国に対し、福祉人材のキャリアパスを早急に整備するよう、繰り返し提案要求するとともに、今年度からは、キャリアパスの導入に取り組む事業者への都独自の補助制度を実施しております。
 また、事業者に対し、望ましいサービス水準の確保や施設の機能強化を図るための独自の補助も行っております。
 次に、生活困窮者への支援についてでありますが、都はこれまでも、生活に困窮している方が安定した生活を送れるよう、国に先駆け、居住や就労の支援など、さまざまな低所得者、離職者対策を区市町村と連携しながら実施しており、昨年策定した長期ビジョンにおいても、低所得者等の生活の安定に向けた総合的な支援を政策目標の一つに位置づけております。本年四月からは、生活困窮者自立支援法も施行されました。
 今後とも、生活困窮者の自立を支援するため、区市の取り組みを支援するとともに、国に対しては、十分な財政措置を行うよう、引き続き働きかけてまいります。
 次に、利用者負担等の見直しについてでありますが、介護保険制度は、世代間、世代内で支え合う社会保険制度であり、利用料として一定の自己負担を求めることは、給付と負担の公平性の観点からも必要でございます。
 今回の改正で二割負担となったのは、一定以上の所得を有する者であり、補足給付の支給対象外となったのは、一定額を超える預貯金等を保有する者や、配偶者が区市町村民税を課税されている場合などでございます。また、介護老人福祉施設の多床室の居住費負担は、低所得者の利用者負担を増加させないこととしております。
 今回の改正では、こうした低所得者への配慮がなされており、都として国に撤回を求める考えはございません。
 次に、介護保険制度の改正による影響についてでありますが、本年八月一日現在、要介護や要支援の方、認定申請中の方の数は、合わせて五十五万一千百二十人であり、そのうち利用者負担割合が二割の方は八万六千六百九十七人、一五・七%となっております。
 先ほど申し上げたとおり、今回の利用者負担等の見直しについては低所得者への配慮がなされており、都として新たな対策を実施する考えはございません。
 次に、後期高齢者医療保険料の特例措置についてでありますが、後期高齢者医療制度においては、本則に定められた保険料軽減に加え、低所得者へのさらなる軽減や被用者保険の元被扶養者の均等割九割軽減などの特例措置が講じられております。
 国は、国民健康保険での軽減割合は最大七割であることや、元被扶養者は所得水準にかかわらず軽減特例の対象となるなど、負担の不公平をもたらしていることから、平成二十九年度から、原則的に本則に戻すとともに、急激な負担増となる方に対しては、きめ細かな激変緩和措置を講じ、その具体的な内容は今後検討し、結論を得ることとしております。都としては、こうした国の動向を注視してまいります。
 次に、保険料軽減特例措置に関する国への要望についてでありますが、全国後期高齢者医療広域連合協議会は、国に対して、現行制度の維持を要望し、やむを得ず見直す場合には、丁寧な説明と周知を行い、被保険者の負担を最小限に抑え、急激な増加とならないよう、きめ細かな激変緩和措置を講ずることを求めております。
 都は、後期高齢者医療制度における保険料負担や財政安定化基金のあり方について考え方を示すこと、また、現行制度の見直しを行う場合には、地方自治体や保険者などの関係団体等と十分協議するとともに、被保険者に十分に配慮し、丁寧な説明と周知を図ることを国に対して要望しております。
 最後に、後期高齢者医療の保険料改定についてでありますが、保険料は、制度を運営する東京都後期高齢者医療広域連合が、広域連合議会での審議を経て設定するものでございます。後期高齢者医療制度の財源は、一割を被保険者の保険料、残りの九割を公費等で賄うことが原則でございます。
〔財務局長長谷川明君登壇〕

○財務局長(長谷川明君) 投資的経費についてでございますが、外環道や骨格幹線道路などの都市インフラの整備は、都民の利便性や東京の活力維持、国際競争力の向上などに必要不可欠な取り組みであり、着実に取り組んでいく必要がございます。
 今後とも、将来世代の受益と負担のバランスにも十分に配慮しつつ、必要な施策に的確に財源を振り向け、都政の諸課題にしっかりと取り組んでまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) さまざまな災害に備えたタイムラインの策定についてでございますが、国土交通省が主体となり策定いたしました荒川下流タイムラインは、台風に備えて、北区、板橋区、足立区の区域ごとに、都、警察、消防、鉄道などの二十機関で、事前に想定される防災行動項目を時系列に取りまとめたものであり、本年五月末から試行しております。
 先般の台風十八号接近の際も、本タイムラインを適用し、台風、降雨、河川の状況等を踏まえ、各機関の判断で防災行動項目を実施しておりますが、今後は、都も参加する検討会で意見交換を行い、活用状況を分析することとなってございます。
 今後のことにつきましては、こうした分析等を踏まえて対応していくものと考えております。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新国立競技場に係る都立明治公園の敷地の取り扱いについてでございますが、都有財産の譲渡に当たりましては、東京都公有財産規則におきまして、その予定価格は、適正な時価により評定した額との原則が規定されております。ご質問の文書は、この原則を記載したものと認識しております。
 また、財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例により、国または地方公共団体その他公共団体において、公用または公共用に供するためなどの場合については、無償または時価よりも低い価額で譲渡することができるとされております。
 こうした都有財産の取り扱いに関する条例や規則に基づき、都立明治公園の敷地の取り扱いについて、今後、関係者と協議してまいります。
 次に、都が整備する恒設施設の整備費の見込みと削減努力についてでございますが、整備費の現時点の見込みにつきましては、総額で二千四百六十九億円でございます。
 用地につきましては、有明アリーナの敷地について、臨海地域開発事業会計から所管がえを予定しており、今年度予算として二百十一億円を計上しておりますが、この経費は、都庁内の土地の移管に伴う会計間の処理であり、先ほどの施設整備費には含まれません。
 また、選手村の用地の取り扱いや、道路、盛り土等の基盤整備費につきましては、今後、市街地再開発事業の事業計画の策定に向けて検討してまいります。その状況につきましては、議会に適切に報告してまいります。
 引き続き、予算の適切な管理と整備費の縮減に努めながら施設整備を推進してまいります。
〔五十六番徳留道信君登壇〕

○五十六番(徳留道信君) まず、安保法制について再質問します。
 第一に、知事は、集団的自衛権の行使を憲法で明記するか、解釈で可能にするかは、人によってそれぞれ意見があると答弁しました。しかし、個人的意見で、あるいは個人的見解で勝手に憲法の解釈を変えていいのですか。これこそが立憲主義を破壊するものではないんですか。私が質問したのは、憲法専門家の大多数が違憲だといっていることへの認識を聞いたんです。正面から答えてください。
 第二に、知事は、安保法制に対し、国権の最高機関たる国会の場で出された結論と答弁しました。しかし、参議院特別委員会の議事録にも、発言する者多く、議場騒然、聴取不能とあるのみで、採決の確認さえできないことは周知の事実です。国会審議の中で、法案の根拠は次々と崩れました。
 国民世論は、採決後にも反対が多数であり、説明不十分が八割です。こんな状況での強行採決は、国民主権の立場に反する重大問題と思わないんですか。
 以上、二つの点について答弁をお願いいたします。
 次に、日米地位協定についてです。
 都は、日米地位協定が、他国の地位協定と比較しても特に不利なものとは考えていないという国のいい分を丸のみにした答弁がありました。とんでもない話です。
 第一に、知事も参加する十四都県の渉外知事会が、ことし七月に、基地対策に関する要望書を国に出しています。その中では、夜間飛行の制限や飛行機の最低高度を定める国内法を適用する条項をつくることなど、地位協定の改定が避けて通れない、そういう要望をしているんです。
 第二に、例えばイタリアでは、米軍の演習など、イタリア政府の許可が必要とされ、地方自治体から米軍への異議申し立てもできるようになっています。こんなこと、日本では認められておりません。
 こうした事実を認めて、都として地位協定改定へ全力を尽くすべきです。
 二点について答弁をお願いいたします。
 最後に、夜間定時制高校についてです。
 都教委は、夜間定時制を第一志望とする生徒が募集に満たないといわれています。しかし、第一志望でなくても、二次募集を含め、定時制の希望者は決して少なくありません。多様な人たちの学びたいという願いを受けとめているのが夜間定時制です。
 二次募集では、立川高校などは、応募が募集を超え、不合格者が生まれているんです。通える距離に学校があることは重要です。東京全体として定員が確保されているといって済まされるわけにはいかないと思います。
 夜間定時制高校の役割に光を当てて、拡充することこそ必要ではありませんか。知事の答弁を求めます。
 以上で再質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 安保法制についての二問の再質問にお答えをいたします。
 まず、憲法違反というご質問でございますけれども、先ほど知事が答弁しましたとおり、集団的自衛権の行使を憲法に明記するか、解釈で可能にするかは、人によってそれぞれ意見がございます。また、憲法以前の問題といたしましても、国家も自然権としての自衛の権利を有しているということがございます。
 次に、強行採決とのご質問でございますけれども、先ほど知事が答弁申し上げましたように、国民の代表たる国会議員の皆さんが国会の場で出した結論であるということでございます。
 いずれにいたしましても、安全保障や憲法といった問題は、国家の根幹にかかわる国の専管事項でありまして、今後も国民の間で幅広い意見が展開され、国権の最高機関である国会の場で取り扱われるべきものということでございます。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 横田基地と日米地位協定についての再質問にお答えします。
 先ほどもお答えいたしましたが、安全保障に関することは国の専管事項でございます。国は、日米地位協定は、協定上、正式な協議機関である日米合同委員会を通じた取り組みなどにより不断の改善が行われており、他国の地位協定と比較しても、特に不利なものとは考えていないという見解を示しております。
 都としても、これまでも日米地位協定につきましては、他の自治体とも連携しながら運用を含めた見直しを国に要請しており、今後も必要な見直しを求めてまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 夜間定時制高校についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、夜間定時制を第一志望とする生徒が募集人員の半数にも満たない状況であるということ。また、定員の充足率も年々低下してきており、直近の状況は、定員の三分の二の充足率にまで下がっているということがございます。
 こうしたことから、夜間定時制を希望すれば十分に入学できる、そういった状況にあるということをご理解いただきたいというふうに思います。
 いずれにいたしましても、夜間定時制高校については、東京都全体として必要な募集人員を確保しつつ、適正な配置に今後とも努めてまいります。

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