平成二十七年東京都議会会議録第十二号

   午後三時三十五分開議

○副議長(藤井一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 六十二番谷村孝彦君。
〔六十二番谷村孝彦君登壇〕

○六十二番(谷村孝彦君) 私は、都議会公明党を代表し、当面する都政の諸課題について、知事、教育長並びに関係局長に質問いたします。
 まず、このたびの関東・東北大豪雨により亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、今なお避難生活を強いられている被災者の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
 また、発災直後から、警視庁や東京消防庁、東京DMATや自衛隊の皆様がいち早く出動し、多くの人命を救出されたことに最大の敬意を表するものであります。
 さて、ことしは戦後七十年を迎え、我が国は、改めて世界平和に貢献する国としての歩みを力強く続けていくこととなりました。
 戦後の焼け野原から立ち上がった我が国は、先人たちのたゆまぬ努力とともに、多くの国から深い理解と支えを受け、今日の繁栄を築き上げてまいりました。この七十年間、平和国家としての歩みを進めてきた我が国は、この歩みを瞬時もとめることなく、国際社会への責務と貢献を果たし続けていかなくてはなりません。
 改めて申し上げるまでもなく、この歴史的延長線上に、五年後の今再びの東京五輪があります。
 東京大会の開催で、我が東京都は国際社会に何を発信していくべきか。それは自明の理であります。すなわち、スポーツの力、文化の力、万国の大衆の力を通じて、揺るぎなき世界平和への礎を築くことであります。
 公明党は、東京大会の成功に全力で取り組んでまいることを改めて申し上げておきたいと思います。
 さて、当初の計画が白紙に戻った新国立競技場の整備については、財政力など、都の今後の対応が注目されておりますが、その大前提は、予算枠内での国の詳細な整備計画が示されることであります。それを踏まえて都の方針を決めることになりますが、その際は、判断の根拠をつまびらかにして、都民への説明責任を果たすべきであります。
 大会成功への盛り上がりに水を差すような問題が続きましたが、再度、東京が開催都市としてのリーダーシップを発揮し、大会成功への勢いをつけるべきであります。改めて、舛添知事の所見を求めます。
 昨日、大会組織委員会は、開催都市である東京が提案できる追加種目について、野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツ、スポーツクライミング、サーフィンの五競技を決めました。
 都議会公明党はこれまで、被災地の復興なくして五輪の成功なしと繰り返し訴えてきました。その意味から、追加競技決定のこの機に、改めて被災地でのオリンピック・パラリンピック競技の開催検討を強く要望したいと思います。
 次いで、東京五輪総体の成功を願う観点から、今回はパラリンピックに焦点を当てて何点か質問いたします。
 オリンピックとパラリンピックの同時開催が五輪史上初の二度目の開催となる二〇二〇年東京大会の意義を踏まえ、公明党は、パラリンピックの新たな歴史を開く節目の大会にするべきと主張してまいりました。
 二〇一二年ロンドン大会の高い評価は、パラリンピックの成功が大きな要因ともいわれております。大会を通して障害者に対する社会の理解が大きく広がったというレガシーも、最高の大会と評されるゆえんとなっております。
 二〇二〇年東京大会は、観客数、レガシー等においてロンドン大会を上回る大会を目指すことはいうまでもなく、それ以降のパラリンピック大会の指標となる新たな歴史をつくる役割を担っていると思います。
 都の主体性を可能な限り発揮し、全ての競技会場で満席の観客が選手と一体となって熱い声援を送ることができれば、競技や運営面で史上最高のパフォーマンスを引き出す大会となるはずであります。
 その意味で、障害者スポーツを世界のメジャースポーツへと育てる転換点とすべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、パラリンピック大会に向けた具体的な取り組みについて質問いたします。
 一点目は、体験型パラリンピック教育の推進であります。
 私は今月二日、都議会公明党のメンバーとともに、ブラインドサッカーアジア選手権の日本対中国の試合を観戦しました。
 ブラインドサッカーは、ボールの中から出る音や、チームメートの声やその指示を頼りにゴールを競う競技であります。このため、選手の聴覚を妨害しないように、試合中の会場はしいんと静まり返っております。その観客席が、プレーの切れ目ごとに歓声で沸き返ります。ルールを理解した観客と選手との一体感が、まさに魅力となっております。
 日本ブラインドサッカー協会は、障害者への理解を深め、信頼関係を醸成する教育として、ブラインドサッカースポ育プロジェクトという企画を推進しております。既に都内の多くの学校で開催されており、ルールを学び、観戦し、競技に一緒に参加してみるという体験型学習となっております。
 さまざまな障害者スポーツを教育現場や観戦の中で学び、みずから体験することは、障害者に対する理解促進のために極めて有意義な取り組みであると考えます。
 先月発表された東京のオリンピック・パラリンピック教育を考える有識者会議の中間まとめでは、学ぶ、見る、する、支えるの四つのアクションを基本に、取り組む方針が示されました。
 特にパラリンピック競技への理解促進については、こうした体験型学習を都内の全校に早急に広げるべきと考えます。見解を求めます。
 さらに、教育現場において、障害者スポーツを日常的に取り入れやすくする必要もあります。そのために、都が軸となって団体、指導者、ノウハウなど障害者スポーツに関する情報を集約して、区市町村教育委員会に発信するなど、コーディネート機能を担うべきと考えます。見解を求めます。
 二点目は、映像を活用したパラリンピック大会の機運醸成であります。
 これまでなじみのなかったパラリンピック競技も、映像で繰り返し見ることによって、選手の顔や名前を覚え、ルールを理解し、競技の魅力を実感するようになります。
 しかし、パラリンピックの競技や選手がメディアで紹介される機会は、オリンピック競技に比べて格段に少ないのが現状であります。
 そこでまず、都内の公共施設やスポーツ施設等に新たに大画面を設置し、来年のリオデジャネイロ・パラリンピック大会の生の映像を流すライブビューイングを実施すべきであります。
 さらに、リオ大会後も、国内外の主な障害者スポーツ競技大会で活躍する選手についてテレビやメディアにリリースしたり、過去の大会の映像なども幅広く活用したりするなど、パラリンピック競技に熱狂できるファン層の拡大を図るべきであります。見解を求めます。
 次に、障害者スポーツの拠点整備についてであります。
 都は、二度目のパラリンピック大会を迎える都市にふさわしく、都内全域で障害者スポーツのアスリートの育成と、スポーツ人口の拡大に寄与する施設整備を進めていく必要があります。
 中でも、北区内にある障害者総合スポーツセンターと、国立市内にある多摩障害者スポーツセンターは、それぞれリニューアルの時期を迎えております。こうした障害者スポーツのメーン施設が、例えば車椅子用車両などで来訪する利用者が雨天時にずぶぬれになって入場するような施設の現状であっては困ります。
 また、障害者の場合、トイレや更衣室の利用に時間を要することが多く、数も十分に備える必要があります。
 とりわけ、多摩スポーツセンターは、改めて視察をさせていただきましたが、昭和五十九年の開所時と比較して約四倍の年間利用者数となり、手狭になった施設は利用者に不便を来しております。
 スポーツ利用者の急増という時代のニーズに対応するために競技スペースを広げてもらいたいというのが、多くの利用者の強い要望であります。障害者総合スポーツセンターとあわせ、二〇二〇年東京パラリンピック大会のレガシーとなるような改修を行うべきであります。
 あわせて、障害者スポーツ全般にわたる試合や練習会場、選手の育成場所についても、新たな都の拡充の方針を示すべきであります。あわせて見解を求めます。
 次に、福祉都市東京の情報発信について質問いたします。
 二〇二〇年の五輪大会に国内外から訪れる旅行客の中には、多くの障害者や高齢者がおられます。そうした方たちが安心して東京のまちを往来することができるよう、都の福祉のまちづくり事業をさらに加速させていかなければなりません。
 先日、障害者団体の皆さんと政策に関する意見交換を行った際、障害者の使えるトイレがどこにあるのかが心配で、外出をためらってしまうとのお話を伺いました。いわゆる誰でもトイレの情報は、障害者にとって、安心して都内の散策を楽しめるかどうかを左右する大事な情報なのであります。
 また、授乳スポットや無料レンタル車椅子のある場所なども、それらを必要とする人々にとっては欠かせない情報であります。
 しかし、こうしたユニバーサル情報はそれぞれの区市町村のホームページに分散して掲示されており、そうした情報を必要としている人々が探し当てるのに大変に苦労しておられるのが実情であります。
 そこで、都は、誰でもトイレを初め、ユニバーサルデザインに基づく施設などの情報を誰もが簡単に入手できるよう、利用者目線で工夫し、情報提供する新たな環境を整えるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、障害者アートについて質問します。
 都は本年三月、今後の施策推進の指針となる東京文化ビジョンを策定しました。その中には、アール・ブリュットを初めとした障害者アートを広く理解してもらうための施策の方向性も示されております。
 都議会公明党がかねてより主張してきたことであり、高く評価するものであります。
 しかし、障害者アートの普及はなかなか進まない状況にあります。ビジョンに示された施策の方向性を実現していくためには、障害者による作品の発表機会の拡充や創作活動の支援等、障害者の芸術文化活動を強力に推進していくことが必要であります。
 そうした中、障害者の芸術文化活動を推進する都の取り組みの一つとして、先般開催された東京都障害者総合美術展には、多くのすばらしい作品が展示されておりました。一九八六年より開始され、ことしで三十回目を迎えるこの美術展には、舛添知事が歴代知事の中で初めて足を運ばれたと聞いております。
 文化の面におけるバリアフリーが世界で最も進んだ都市となることが、未来に残すレガシーになるものであります。
 東京都障害者総合美術展を鑑賞された感想とあわせて、障害者の芸術文化活動の振興に対する知事の所見を求めます。
 また、障害者の芸術文化活動の振興には、障害者アートの普及啓発が非常に重要であります。今後の具体的な展開について、見解を求めます。
 東京五輪大会に関連し、受動喫煙防止について申し上げます。
 世界中から観光客や観客が訪れる東京大会に向けて、都議会公明党は早くから一貫して、受動喫煙防止策を進めるべきであると主張してまいりました。
 IOC、国際オリンピック委員会は、一九八八年に会場内を対象とした禁煙方針を採択し、その後、バルセロナ以降の各開催都市は、全て罰則つきの国法、州法、または自治体の条例を設けております。
 現在、都は、検討委員会での議論を踏まえ、実態調査を行っていると聞いております。
 おもてなしの一環として、東京は、公共施設のみならず、飲食店なども含めた受動喫煙防止に向けて、実効性の高い取り組みを推進すべきであります。改めて強く要望いたします。
 次に、防災対策について質問いたします。
 都は、首都直下地震や大規模水害への備えなど、重要な防災課題に直面しております。その一方で、二〇二〇年には五輪大会が控えております。
 しかし、今後の五年間は、五輪の準備は当然のこと、防災対策もむしろピッチを上げて進めていく必要があります。そのことが、結果的に安全・安心の五輪大会にもつながります。
 二〇二〇年までの間に取り組む防災対策の内容を明確にし、国内外にメッセージを発信すべきと考えますが、知事の所見を求めます。
 今月、関東、東北地方を襲った豪雨災害は、線状降水帯という耳なれない気象現象によってもたらされたものでありました。
 この夏、太平洋の赤道付近ではエルニーニョ現象が一段と進行し、複数の台風が同時に日本列島を襲う事態が繰り返し発生しました。今回も、台風十八号の冷気と十七号の温かく湿った空気が東日本上空でぶつかり、積乱雲を生み、強いオホーツク高気圧によって進路を阻まれ停滞し、線状降水帯となりました。
 今回のような豪雨は、その発生のメカニズムを踏まえれば、今後、いつ、どこで発生しても不思議ではありません。仮に、この線状降水帯が群馬県の吾妻川流域を含む地域で発生していたら、頼みの八ッ場ダムも未完成であり、都内が甚大な浸水被害に襲われていた可能性もあります。河川氾濫とは常に隣り合わせの状況にあるとの認識を強く持たなければなりません。
 都においても、今回の河川氾濫の被害状況から学び取るべき課題を分析し、今後の都の水害対策に生かすべきと考えます。知事の見解を求めます。
 一部の被害地域では、取水口が土砂や流木などで詰まり、水道の給水が停止し、復旧がおくれる事態も発生しております。
 都内で河川氾濫が発生した場合には、被災人口が膨大になることは必至であることなどから、長期の断水は何としても回避しなければなりません。こうした事態に対する水道局の備えについて、見解を求めます。
 東京を直撃する集中豪雨は、その降雨量などから、明らかに変化を見せ始めており、既に深刻なステージに入ったと捉え、都市の脆弱性を直視した減災対策が重要であります。一時間七十五ミリを超える降雨やスーパー台風から都民の命を守るためには、ハード対策だけでは限界があり、タイムラインやハザードマップなど、ソフト対策との組み合わせが必須であります。
 こうした浸水被害など都市の水害対策について、ことし五月の水防法の改正では、想定し得る最大規模の洪水、内水、高潮等の氾濫に対して、浸水想定区域図を作成し公表するなど、減災への取り組みが強化されております。
 この対策を円滑に進めるためには、関係する局の連携が不可欠であり、そのため都は、局を超えた検討会を早急に立ち上げるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、都が都民の家庭に常備するためにハンドブックとして作成、配布した「東京防災」について質問いたします。
 「東京防災」には、災害に備えるために必要な準備や、災害に遭遇したときに役立つ知識が数多く収録されております。今後、重要なことは、できる限り多くの都民にこの「東京防災」を実際に手にとってもらい、内容に目を通してもらうことにあります。配りっ放しであれば、紛失されたり、受け取ったことさえ失念されてしまうおそれもあります。「東京防災」が都民の手元に届き、その印象が新鮮なうちの対策こそが重要であります。
 都は、区市町村と連携して、「東京防災」を活用する機会をふやすべきであります。加えて、都みずからも、さまざまなイベントの機会を捉えて、「東京防災」の活用を図るべきと考えます。見解を求めます。
 また、都は、在住外国人に向け、「東京防災」の多言語化を図るとしております。外国人にとって、日本は地震や台風も多く、災害が発生しやすいイメージを持たれやすいため、災害に関する外国人の不安の軽減を図ることが急務であります。
 都は、災害対策本部を立ち上げた時点で、外国人向けの相談窓口を設置し、対面と電話による相談を受け付けることにしており、実際に、東日本大震災発生の際には外国人のための相談ダイヤルを開設しました。
 また、都内大使館に対しても、災害や避難の情報を提供する体制をとっております。
 しかし、外国人のための相談窓口が設置されるということを、災害時、都内に滞在する外国人に向けて迅速に周知できなければ、その効果を発揮することはできません。
 さらに、大使館も、規模によっては職員が少なく、都から提供される災害情報を的確に自国の訪日者に伝えられない可能性もあります。
 そこで都は、災害時において、訪日外国人に対し、相談窓口の設置状況や問い合わせ先などを的確に伝えるためのアプリの活用や仕組みの工夫に努めるとともに、大使館などとも連携して日ごろから訓練を重ねるなど、対策の強化が必要と考えます。見解を求めます。
 次に、舟運の活用について質問いたします。
 フランスのパリはセーヌ川の河畔から発展した都市であり、川の両岸には良好な水辺景観が創出され、まち並みと調和した舟運と観光が充実しております。
 また、ロンドン市内を流れるテムズ川では、水辺を生かした都市再生が行われ、水上バスなどによる観光舟運などが盛んであります。
 翻って東京を見ると、スカイツリーや浜離宮、お台場など、水辺に多くの観光資源があり、船から見る東京の景色は世界に誇るすばらしい都市景観であります。東京の魅力を世界に発信していくためにも、海と川をつなぐ魅力的な観光舟運経路等を提供することが重要であります。
 また、舟運は、古来江戸のころより交通機関や物流に活用されてきましたが、現代においては陸上交通との連携が十分でなく、使いやすいとはいえず、具体的な取り組みが求められております。
 東京五輪大会に向けて、官民問わず、舟運関係者が連携していくことが必要であります。
 舟運の活性化に向けた都の果たすべき役割は極めて大きいと考えますが、知事の見解を求めます。
 一方、隅田川では、浅草や両国、浜離宮恩賜庭園を結ぶ水上バスの人気が高く、最近では、神田川や日本橋川、スカイツリーを周遊するクルーズなど、新たな観光舟運ルートも開発されております。
 また、両国では、既存の国技館や江戸東京博物館に加え、すみだ北斎美術館の開設や刀剣博物館の移転が予定されており、これに近接する船着き場から発着する水上バスとあわせて、観光拠点としての魅力が高まることが期待されております。
 このように、河川をめぐる舟運は、江戸東京の風情を感じられるような新たな観光コンテンツとして発展する可能性があります。
 実際に川沿いを歩いてみると、要所要所に防災船着き場があり、舟運の面からは、さらなる活用の余地があります。
 河川の防災船着き場の舟運への活用をすべきと考えますが、見解を求めます。
 また、東京のウオーターフロントには、多くの魅力的な観光資源や集客施設などがあり、その中には、都民が海や自然と触れ合う場である海上公園もあります。
 ことしの夏には、葛西海浜公園において、海水浴利用を可能にしていくための社会実験が実施され、約三万八千人の海水浴客が訪れ、大変盛況であったと仄聞しております。
 この公園は、東京ゲートブリッジや東京ディズニーランドの景観が開けており、隣接して、ホテル、水族園や大観覧車などの集客施設もあります。
 さらに、五輪大会ではカヌースラローム競技場が予定されており、東京のウオーターフロントに、泳げる海のある公園ということになれば、すばらしい観光資源となります。
 このような公園も含め、観光資源が水上ルートで結ばれ、観光回遊性が高まれば、観光を楽しむとともに船上からの景観を楽しみながら移動することができ、それ自体も魅力的な観光資源となります。
 ウオーターフロントにおける、観光資源と連携した舟運ルートの開発が可能となるような取り組みを、急ぎ進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、循環型社会の取り組みについて質問いたします。
 初めに、下水道事業におけるエネルギー対策についてであります。
 下水道事業は電力消費量が多く、都内で一年間に使用する電気の一%強を占めております。下水道事業の中で最もエネルギー使用量が多いのは汚泥処理の過程であり、下水処理施設で使用するエネルギーの半分弱を占めていることから、その省エネ対策が迫られております。
 このため、ことし三月の予算特別委員会で、私は、汚泥処理における省エネ対策をもっと強化すべきと主張し、下水道局長からは、エネルギー自立型の汚泥焼却システムの開発を進めるとの答弁がありました。
 そこでまず、システム開発の進捗状況について答弁を求めます。
 一方、公明党は先日、国土交通省の委託研究として福岡市が行っている、下水汚泥から水素を製造するプロジェクトを視察しました。
 下水で車を走らせるとのスローガンのもと、下水処理場に隣接するオンサイト水素ステーションで、下水汚泥から精製した水素を燃料電池自動車に供給していました。
 オンサイトとは、水素の製造場所と使用場所が近くに存在するという意味であります。
 下水バイオ水素とは、汚泥から生じたメタンガスから生み出される水素のことで、地球温暖化を招かないクリーンエネルギーといわれております。
 東京が目指す水素社会は、化石燃料由来でない、再生可能エネルギーによる水素を活用した社会であるべきであります。
 二〇二〇年東京五輪大会のレガシーとして、水素社会の実現を掲げている舛添知事の所見を求めます。
 次に、食品ロス対策についてであります。
 持続可能な地球環境を実現するためには、人口の集中する大都市において廃棄物を最少化する循環型都市を構築することが喫緊の課題であり、とりわけ食品ロス削減に向けた実効性のある取り組みが、その鍵を握ります。
 二〇一一年に、国連食糧農業機関、FAOは年間十三億トンの食品ロスが生じていると指摘しており、これは世界の食料生産量の三分の一に匹敵します。
 都内で発生する食品ロスは年間約二十六万トンともいわれており、その削減は、大消費地である都が抱える重要な課題であり、迅速に、具体的な行動に取り組む必要があります。
 都は、都議会公明党の提案に応えて、食品関連産業の中で最も食品ロスの量が多い外食産業や食品小売業における対策を進めていくとしております。そのためには、並行して、企業の食品ロスへの取り組みに理解を寄せ、賛同する消費者をふやすことが肝要であり、そのための意識啓発が不可欠であります。
 食品ロス削減が都内全域で進むよう、都は主体的に役割を果たすべきであります。見解を求めます。
 次に、教育の充実について質問いたします。
 日本は、教員以外の専門スタッフの割合が、諸外国に比べて低い現状にあるといわれております。
 しかし、学校教育の現場では、いじめや不登校に加え、貧困から派生する問題など、容易に解決できない多くの課題に直面しております。
 校長のリーダーシップのもと、教職員だけでなく、さまざまな人材が協力し合い、チーム学校を形成するなど、子供たちにとってよりよい環境を整えていくべきであります。
 そこでまず、スクールカウンセラーと並んで注目されているスクールソーシャルワーカーの活用についてであります。
 スクールソーシャルワーカーは、福祉的な視点からの援助も提供できるなど、その活躍が期待されております。
 しかし、人員不足や役割、勤務体制の不統一などの課題のほか、その活用方法が教育現場でわからないとの声も聞かれます。
 都は、区市町村と協力して、こうした課題の解決を急ぐとともに、取り組みの成功事例を広く紹介するなど、スクールソーシャルワーカーの活用を促進すべきであります。所見を求めます。
 なお、スクールカウンセラーについては、活用の効果をより高めるためにも、常勤化を早期に実現すべきであると都議会公明党は強く要望いたしておきます。
 チーム学校の観点からの専門人材の活用については、部活動の分野にも求められております。
 これまで幾度となく取り上げてまいりましたが、各地域にはさまざまな分野の指導にたけた人材がおり、部活動における外部指導員の活用をより一層拡充すべきと考えますが、改めて見解を求めます。
 特別支援教育においても、専門人材の活用が必要であります。都は、平成三十年までに全ての小学校に特別支援教室を設置する計画を策定しております。
 子供の行動観察に基づく指導のあり方など、各校の特別支援教室での指導をより適切に進めていくためには、臨床発達心理士などの専門家の知見に基づく支援が効果的であり、活用を進めるべきであります。見解を求めます。
 次に、都内に住む外国人の都立高校入試について質問いたします。
 都内の外国人生徒は増加の一途をたどり、それに伴い、都立高校への入学を希望する外国人生徒も増加しております。
 こうした状況を受けて、都教育委員会は、国際高校のみに設けていた外国人枠を順次拡大し、平成二十三年度入試では飛鳥高校、平成二十四年度入試では田柄高校で外国人枠を新たに設けました。しかしながら、都立高校入試における在京外国人枠の入試倍率は、依然として高い水準で推移しております。
 東京都全体の募集枠を大幅にふやすべきと考えますが、見解を求めます。
 一方、希望する都立高校に特別枠の設定がないため、やむを得ず一般入試を選択する外国籍受検者もおります。そうした生徒の中には、日本語は習熟していないものの、基礎学力は極めて高い受検者もおります。
 平成二十八年二月に実施される入試から、全日制課程で従来の国語、数学、英語に加えて社会、理科が追加され、原則五教科になることが決定しております。社会と理科は、日本人の感覚では国語とは異なる教科ではありますが、外国籍受検者にとっては、あたかも国語の科目が三教科に広がるような印象を受けるとの指摘もあります。
 公明党は、受検科目の拡大によって、外国籍受検者の全日制課程への進学が一層困難になる可能性があることから、新たな配慮を求めてきました。都は、これに応えて、学力検査問題に平仮名のルビを振るというこれまでの措置に加えて、新たに国語を除く四教科についても辞書の持ち込みを認めるとともに、試験時間の十分延長を認めることとしました。
 こうした対策は、都立高校に入学して学びたいという強い意欲のある外国籍の生徒にとって、確かに一つの支えとはなりますが、受検する教科を五教科に拡大するハンディキャップを解消するには、まだまだ至らないとの声も聞かれます。
 都は今後、入学者選抜検討委員会に外国籍生徒の指導や日本語教育の専門家を新たにメンバーに加えるなどして、日本語の習熟が十分でない外国籍の生徒に対する配慮を速やかに設けていくべきであります。見解を求めます。
 次に、不登校やひきこもり対策について質問いたします。
 不登校児童生徒は、都内の小中学生だけでも一万一千人に及び、不登校からひきこもりに陥るケースも少なくないのが実態であります。その結果、都の平成十九年度の調査によれば、十五歳から三十四歳までのひきこもりは、都内で少なくとも二万五千人に及んでおります。
 本来、子供にとって、安心して活力を養える居場所は家庭であり、学びと活躍、友達との交流ができる居場所が学校であることはいうまでもありません。しかし、学校に自分の居場所を見出せない児童生徒がいることを直視すべきであります。
 こうした子供たちに対しては、みずからの可能性を開き、伸ばしていく選択肢として、フリースクールなどの取り組みも展開していく必要があります。
 都は本年第一回定例会で、この課題を指摘した公明党の質問に対し、外部の有識者を交えた検討会を設置していくと答弁しております。
 そこでまず、その後の進捗状況について答弁を求めます。
 文科省は本年七月に、十分な教育を受けられないまま、学校の配慮等により中学校を卒業した者のうち、改めて中学校で学び直すことを希望する者には、一定の要件のもと、夜間中学に積極的に入学を認めることが望ましいとの方針を都教育委員会に通知しました。
 こうした配慮は、学齢期に不登校などで満足に学校に通えなかった若者や大人にとって、学び直しを図る絶好の機会を提供するものであります。
 都教育委員会は、この通知を踏まえ、学び直しの選択肢が拡充されたことを、区市町村や学校に対し、適切に指導、助言、周知を行うべきと考えます。
 加えて、都としても、夜間中学を設置している区市に対し、積極的な支援を行うべきであります。あわせて答弁を求めます。
 一方、いわゆるひきこもりの子供や若者は、こうした学び直しや学校以外の居場所にさえたどり着けない状況にあります。
 都は、ひきこもりの実態調査を平成十九年に行っておりますが、それから八年も経過しており、そこで都は、ひきこもりの若者の現状、実態を把握するとともに、今定例会に報告されている子供・若者支援協議会を活用するなど、相談支援体制を充実し、社会的自立に困難を有する子供、若者やその家族への支援策を強化すべきであります。見解を求めます。
 次に、東京の空の安全対策について、二点、質問いたします。
 まず、羽田空港の機能強化に伴う安全確保策についてであります。
 加速するグローバル化に対応するため、国は先般、羽田空港の発着回数を増便させるための計画案を公表しました。それによると、既に満杯状態にある東京湾上空を通過する空路に加えて、都心上空を飛ぶ新たな空路が検討されております。
 羽田空港のこうした機能強化は喫緊の課題でありますが、一方で、新たな空路の周辺、とりわけ低空で飛行機が往来する地域の住民には、騒音や落下物などへの不安が広がっております。
 都議会公明党は先日、新たな空路の周辺で発生する課題を調査するため、空港が市街地に隣接する福岡空港と伊丹空港を改めて訪れ、空港関係者や周辺住民の方々からお話を聞いてまいりました。
 まず、騒音については、離陸と着陸では音量にかなりの違いがあり、それに応じた飛行経路の工夫が必要であること、加えて、低騒音型の航空機の技術革新が目覚ましく、羽田空港においても、その運航比率を高める必要があると実感しました。
 また、落下物対策については、羽田空港においても、国内外の航空会社に対し、離陸前の航空機の整備、点検の強化と、着陸予定の航空機の事故防止対策を一層強く求める必要があることを実感しました。
 こうした騒音や落下物などの課題に対し、都は、都民の声をしっかり受けとめ、国に対し万全の対策を求めるとともに、一層丁寧に説明の機会をふやすよう働きかけるべきであります。所見を求めます。
 次に、調布飛行場の小型機墜落事故について質問いたします。
 七月二十六日、調布飛行場を離陸した小型機が調布市内の住宅地に墜落し、住民にも死傷者が出るという重大事故が発生しました。
 その翌日、私は、公明党の国会議員や調布市議会の皆様とともに現地を視察し、近隣の方々からも事故直後の様子やご意見、ご要望を伺ってまいりました。
 事故原因の究明が進められる中で、先月四日には、舛添知事と太田国土交通大臣が出席して開催された東京都と国土交通省の連絡会議において、事故原因の早期究明と、安全対策を強化していくことが話し合われました。
 その後、国交省交通政策審議会の部会において、小型機に対する安全対策の検討が開始されております。現時点で、事故に関連して取り組むべき課題として、機体重量や気象情報等に関する機長による出発前の確認の徹底、整備士に対する機体、エンジン整備の徹底などが検討されると仄聞いたしております。
 都は、今回の事故原因が究明され、再発防止策が講じられたことが確認できるまで、自家用機については運航の自粛を要請しておりますが、住宅密集地の近くで小型機の離発着が行われること自体に対し、周辺住民の間には強い不安が残っております。
 調布飛行場の関係者と、周辺住民の不安を解消するためには、国と都が連携し、調布飛行場を利用する小型機に対する徹底した安全対策を講じることが不可欠であります。見解を求めます。
 最後に、地方財源をめぐる問題についてであります。
 今、また、東京を狙い撃ちした不合理な税収の偏在是正措置が継続または拡大される危機に直面しております。地方分権に逆行するこうした取り組みは直ちにやめさせて、地方全体の税財源の充実強化を国に強く求めていくべきであります。
 そのためには、都民に対して都の主張をもっとわかりやすく説明し、都民の暮らしをいかに脅かすものであるかを理解していただくことが肝要であります。
 改めて撤廃への世論喚起を行うべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 以上、当面する都政の課題に対して、政策提言を中心に質問をいたしました。
 東京都は今後、五年後に迫った東京五輪の大会の成功に全力を挙げなければなりません。しかし、そのために都民生活にかかわる政策や施策が少しでもおろそかになるようなことは、断じてあってはなりません。
 そこで、都議会公明党は、五輪大会に向けた取り組みとともに、視察や調査活動を踏まえて都民生活に密着した政策をこれまで以上に練り上げていくために、八つのプロジェクトチームを立ち上げました。福祉、行革、防災、医療、五輪、エネルギー、教育、そして動物との共生社会の八つのテーマであります。
 政策は政党の命であり、政策実現してこそ政治への信頼につながります。
 公明党は、今後とも一段と力を入れて都民目線の政策を展開、実現していくことを改めてお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 谷村孝彦議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、大会成功に向けての取り組みでございますが、二〇一六年のリオ大会終了後には、世界の関心が次の開催都市であります東京に集中いたします。この新たなステージにおきまして、二〇二〇年、そしてその先を見据えたさまざまな取り組みをさらに加速化させていくことが、大会の成否とその後の東京の姿を決めることになります。
 大会成功への鍵は、ソフト面では、ボランティアの育成などを通じて多くの人々が大会にかかわり、自分たちの大会だと感じてもらうことであります。
 また、ハード面では、大会後におきましても、都民、国民がまさにオリンピック・パラリンピックの遺産と思えるような施設をつくることであります。
 都立施設につきましては、これまで、コストの視点とともに、レガシーの視点から計画の見直しに取り組み、着実に進捗させてまいりました。
 新国立競技場の整備に係る都の財政負担につきましては、都民が納得できる理由が必要でありまして、そのために、都民の受益を明らかにするとともに、法的課題を解決し、都民への説明責任を果たしてまいります。
 今後とも、都が率先して国や組織委員会と調整を行い、目に見える成果を出していくことにより、都民、国民のオリンピック・パラリンピックに対する理解、期待を一層高め、これまでにない盛り上がりにつなげ、史上最高の大会として成功させてまいります。
 次に、都の主体性を発揮したパラリンピックに向けた取り組みについてでございますが、パラリンピック大会の全ての会場を満席にし、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮することで、多くの人々が感動し、成功だったといえる大会をつくりたいと思っております。
 平成二十六年度の都の調査では、都民の九割はパラリンピックという言葉を知っていますけれども、過去一年間に障害者スポーツを実際に見た都民は、わずか二%にしかすぎません。
 これまでのリハビリテーションとしての側面だけでなく、スポーツとしての魅力を知ってもらうことが重要であります。
 私はこの夏に、都内の小学校で行われましたパラリンピアンによる障害者スポーツ教室に参加いたしました。初めて体験する車椅子バスケットボールを夢中で楽しむ小学生の姿を見て、すばらしさを再認識した次第でございます。
 都民を対象としたこのような競技体験プログラムを都内各所で精力的に実施し、関心を高めてまいります。また、さまざまな媒体を活用して、障害者スポーツやパラリンピアンの紹介など、普及啓発を行います。あわせて、パラリンピックの競技、魅力を紹介するガイドブックを作成し、広く配布を行いたいと思っております。
 二〇二〇年大会で満員の観客とアスリートが一体となって熱気あふれる舞台をつくり上げられるよう、準備を一層加速化させてまいります。それを通じて、障害者スポーツのプレゼンスを向上させ、パラリンピックのレガシーとしてまいります。
 続きまして、障害者の芸術文化活動の振興についてでございますけれども、本年八月に開催されました東京都障害者総合美術展は、第三十回という節目でもありまして、ご指摘していただきましたように、私も参加、出席いたしましたけれども、個性や感性あふれる多くのすばらしい作品がそろった美術展でありました。
 東京が成熟した芸術文化都市となっていくには、障害のある方々が、広く芸術文化活動に携われる、そういう社会を実現していくことが重要であると改めて感じた次第でございます。
 二〇一二年のロンドン大会では、障害のあるアーティストの活動を支援するアンリミテッドプログラムなどの先進的な取り組みが行われ、大きな成功をおさめました。二〇二〇年東京大会に向けては、都が主導する文化プログラムに先駆けて、障害者アートプログラムを今年度から新たに展開するとともに、民間団体との連携を深め、東京から障害者の芸術文化活動を国内外に広く発信してまいります。
 多様な個性から生み出された障害者の作品の価値を広く世の中に浸透させていくことで、互いを認め合う共生社会の実現につなげ、未来に継承するレガシーとしていきたいと考えております。
 次に、二〇二〇年までに取り組む防災対策でございますけれども、さまざまな自然災害への備えを万全なものとし、都民はもとより国内外からの来訪者の安全・安心を守っていくことは、都知事としての私の重要な責務でございます。
 都は、二〇二〇年までに確実に進めるべき防災対策を昨年十二月に東京の防災プランとして取りまとめ、現在、木造住宅密集地域における特定整備路線の整備や、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化などを着実に推進してございます。
 また、昨年度からは、年四回、住民参加型訓練を実施しておりまして、今月一日にも立川市において約七千五百名の参加を得て総合防災訓練を実施いたしました。
 さらに、災害に対する日ごろの備えや、発災時に身を守るための工夫などをわかりやすく掲載した「東京防災」の配備を進め、都民一人一人の防災意識を高めるとともに、自助、共助の取り組みも積極的に推し進めております。
 東京の防災プランや「東京防災」については、多言語版を用意するとともに、在京大使館等との防災連絡会や、来月開催する予定の海外の都市が集まります危機管理の場などを活用しまして、海外に向けても都の取り組みを積極的に発信してまいります。
 世界一安全・安心な都市東京を実現すべく、今後とも全力を尽くしてまいります。
 続きまして、水害対策についてであります。
 関東・東北豪雨がもたらした北関東から東北にかけての甚大な被害は、大小のさまざまな河川を抱える東京におきましても決して人ごとではなく、水害対策に万全を期すことの重要性を改めて強く実感いたしました。
 これまで都は、防潮堤の耐震対策などを進めるとともに、区部では時間最大七十五ミリ、多摩部では最大六十五ミリの降雨に対する河川の護岸等の整備など水害対策に取り組んでございます。
 こうした取り組みに加えまして、今回の災害対応の課題の一つとして、鬼怒川の決壊を初め河川氾濫が広域に被害を及ぼす中、市境を越えた広域避難の準備が不十分であったことが指摘されておりまして、大規模水害時における広域避難の必要性を認識した次第でございます。
 都におきましては、昨年、東京都地域防災計画において、広域避難に係る自治体や関係機関との連携体制を新たに明記し、それに基づき、国、関係自治体などと効果的な広域避難のあり方の検討を行っております。
 今後、被災自治体等から避難に際しての課題などについて情報を収集して分析を行い、実効ある水害対策を積極的に推進してまいります。
 次に、舟運の活性化に向けた都の取り組みでございますけれども、英国のケンブリッジ公爵殿下やデンマークのフレデリック皇太子同妃両殿下が来日された際に、東京湾を船でご案内いたしまして、海から眺める東京の姿を楽しんでいただきました。
 かつての江戸は、水運に恵まれた水の都でありました。今日の東京も、海のみならず、川や運河などを身近に感じられる大都市でありまして、舟運を活性化させて、水辺の魅力を引き出していきたいと思っております。
 先月、地元区や学識経験者、舟運事業者とともに、羽田空港と臨海部などを結ぶ具体的なルートの検討、検証に着手いたしました。さらに、最寄りの駅から船着き場へのアクセス改善など、これ、議員ご指摘のように他の交通機関との有機的な連携が必要でございますので、これも強化してまいりたいと思っています。
 船の活用は、観光資源はもとより、防災、交通手段としても大きな意味があります。今後とも、実験的な取り組みを重ねながら、舟運をさらに盛んにさせて、水の都東京を世界にアピールしていきたいと思っております。
 次に、水素社会への取り組みでございますけれども、成熟都市で開催される二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の先には、環境と調和した持続的な成長を実現させなければなりません。その先導的な役割を担うのが水素社会の実現でございます。
 ご指摘の下水汚泥を活用した水素製造につきましては、エネルギー収支やコストの面から、今まだ多くの課題を抱えてございます。
 こうした課題はありますけれども、社会情勢や技術革新の動向を踏まえ、下水汚泥を活用した水素製造について検討してまいります。
 日本は世界最先端の技術や知恵を持っておりまして、こうした強みを生かしながら、首都東京から水素社会の実現に向けて、我が国を先導していきたいと思っております。
 最後になりますが、不合理な偏在是正措置についてでございます。
 少子高齢化や人口減少という波が押し寄せる中、日本が活路を切り開いていくために必要なことは、自治体がおのおのの特性や強みを生かして地域を活性化させ、日本全体の活力を底上げしていくことであります。
 地域の実情に即した取り組みを持続可能なものとするためには、総体としての地方税財源の拡充こそが必要不可欠であります。
 しかしながら、国は地方の財源不足という問題に手をつけず、都から財源を奪う不合理な偏在是正を断行し、さらにその拡大を画策しております。
 これらの措置は、今後、高齢者人口の急増による社会保障需要の増加や、社会資本ストックの膨大な更新需要などが想定されている都の実情のほか、これまでの財政運営の努力を無視したものでありまして、直ちに撤廃させるべきものであります。
 このような地方税財政に関する問題について、広くご理解をいただくため、先般、都の主張をまとめた反論書を公開いたしました。
 今後、この問題について、都民の皆様の一層のご理解いただくよう努めてまいりますとともに、都議会の皆様と手を携え、志を一にする自治体とも連携しながら、あらゆる機会を捉えて国に対して働きかけてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者スポーツの体験学習の拡大についてでありますが、障害者スポーツの理解を深めるためには、体験学習が有効であることから、これまで都教育委員会は、パラリンピアン等を学校へ派遣し、児童生徒が障害者スポーツを実際に体験する機会を設けるとともに、講話や交流を通じて、障害の有無にかかわらず、夢に向かって努力する意欲を高める取り組みを進めてまいりました。
 今後、障害者スポーツの内容やルールを解説したDVDを作成して全校に配布し、学校が活用を図ることにより、児童生徒が障害者スポーツをさらに身近なものとして理解、体験することを促進してまいります。
 こうした取り組みを通じ、児童生徒が障害者スポーツに親しみ、障害者理解を深めていく取り組みを一層推進してまいります。
 次に、障害者スポーツに関する区市町村教育委員会への支援についてでありますが、オリンピック・パラリンピック教育推進校の中で、障害者スポーツの理解促進に取り組んでいる学校では、ブラインドサッカー等の競技や、障害者スポーツ大会の運営ボランティア等の体験学習を行っております。
 都教育委員会は、来年度からの全校展開に向け、こうした推進校における効果的な取り組み事例を広く周知することにより、体験を重視した教育をなお一層促進してまいります。
 また、児童生徒が障害者スポーツの観戦や体験ができるよう、関係局、団体と連携し、ウエブサイト等を通じ障害者スポーツ行事等の情報を収集し、提供してまいります。
 今後とも、児童生徒の障害者スポーツ体験が加速されるよう区市町村教育委員会を積極的に支援してまいります。
 次に、スクールソーシャルワーカーの活用についてでありますが、都教育委員会は、学校における子供と家庭への支援体制の一層の充実を図るため、福祉面からの支援を行うスクールソーシャルワーカーの配置を拡充してまいりました。
 その成果として、スクールソーシャルワーカーが、不登校の子供の家庭に対して、生活改善等の支援を行ったことにより学校に復帰できた事例や、暴力傾向のある子供の保護者に医療機関への受診を促したことで、子供の問題行動が改善された事例等が報告されております。
 今後、都教育委員会は、こうしたすぐれた成果をまとめた資料を学校等に配布するとともに、区市町村教育委員会や学校を対象としたパネルディスカッションを開催するなどして、学校がスクールソーシャルワーカーを有効に活用できるよう、一層の啓発に努めてまいります。
 次に、部活動外部指導員の活用の拡充についてでありますが、専門性の高い地域の指導者を学校の部活動で活用することは、競技力の向上や地域に伝わる芸能の伝承等、部活動の質を高めるとともに、学校と地域との連携を深める上で極めて有効であります。
 このため、都教育委員会は、部活動の活発な都立高校への部活動振興予算の重点配付、地域の人材を活用する課外活動の支援、部活動推進校の指定などの事業により、外部指導員の導入を進めております。
 今後とも、地域の専門性の高い指導者を積極的に導入することに加え、部活動顧問教諭の指導力を高める指導者講習会の開催などを通じて、部活動の活性化を一層推進してまいります。
 次に、特別支援教室での専門人材の活用についてでありますが、特別支援教室において、発達障害の児童に対し適切な指導を実施するためには、各校を巡回して指導を行う教員が、児童の障害の状態に応じて指導内容や方法の充実を図ることが重要であります。
 巡回指導教員が指導計画を策定するに当たっては、発達障害の特性によって、学級における不適応行動などの心理的要因の分析が必要な場合があり、こうしたケースでは、心理学等の専門家による助言や支援が非常に有効であります。
 こうしたことから、巡回指導教員が臨床発達心理士等の専門的な助言などを活用し、児童一人一人の障害の状態に応じた、より効果的な指導が行えるよう、今後、実施に向けた検討を進めてまいります。
 次に、都立高校の在京外国人生徒募集についてでありますが、都教育委員会は、都内に居住する外国人生徒に高等学校教育を受ける機会を提供するため、入学者選抜において外国人生徒募集枠を設け、応募状況等を踏まえ、募集する学校及び定員を適宜ふやしてまいりました。
 平成二十八年度の募集に当たっては、全日制課程の一般募集と比べて、外国人生徒募集の応募倍率が高い状況で推移していることから、さらなる改善を図るため、現在の三校に加え、新たに竹台高校及び南葛飾高校の二校に募集枠を設けることといたしました。
 外国人生徒募集枠の設置校とその規模については、今後とも、入学者選抜の応募状況等を十分に見きわめ、適切に対応してまいります。
 次に、外国籍の生徒に対する配慮についてでありますが、これまで、都立高校入学者選抜においては、入国後の期間が原則三年以内の外国籍の生徒について、希望に応じて、平仮名のルビを振った学力検査問題で受検できるという措置を講じてまいりました。
 さらに、平成二十八年度入学者選抜からは、学力検査が原則五教科となることに合わせて、他県における措置の状況などを踏まえ、辞書の持ち込みと時間延長も認めることといたしました。
 都教育委員会は、他の受検者との公平性に配慮しつつ、引き続き受検者の状況等の検証を行うとともに、言語や外国人児童生徒教育に関する有識者等を交えた検討の場を新たに設け、外国籍の生徒に対する特別措置について専門的な見地から検討を行ってまいります。
 次に、不登校対策の検討状況についてでありますが、児童生徒が不登校になる要因は、学習のおくれや家庭環境、いじめなどさまざまであり、その解決のためには、学校と関係機関とが連携協力して支援する必要がございます。
 このため、都教育委員会は、学校を初め、福祉、労働、フリースクール等による不登校・中途退学対策検討委員会を本年五月に設置し、支援のあり方を検討しております。
 具体的には、学校の不登校対策の現状やフリースクール等民間施設の活動に関する情報を収集するとともに、個々の児童生徒に応じた計画的な支援やスクールソーシャルワーカーによる福祉機関との連携、適応指導教室の課題などについて、幅広く議論をしております。
 今年度中に検討結果を取りまとめ、不登校対策の充実を図ってまいります。
 最後に、夜間中学についてでありますが、中学校夜間学級は都内八校に設置され、これまで、都内在住、在勤を要件として、中学校を卒業しないまま学齢を超過した者を入学の対象としてまいりました。
 国は、本年七月の通知で、中学校は卒業したが、さまざまな事情で学校に通えなかった者が夜間学級に入学を希望した場合、一定の要件のもと、積極的に入学を認めることが望ましいといたしました。
 都教育委員会は、これにより新たに学び直しの機会が開かれたものとして、区市町村教育委員会に国の通知内容を周知したところでございます。
 今後、夜間学級への入学に関する相談があった場合など、引き続き、区市町村教育委員会に、きめ細かな対応に努めるよう求めていくとともに、国の動向を踏まえ、適切に支援をしてまいります。
〔東京都技監安井順一君登壇〕

○東京都技監(安井順一君) 羽田空港の機能強化についてでございますが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックや、その後の航空需要に応え、国際便の就航をふやしていくためにも、羽田空港の容量拡大は必要不可欠でございます。
 国は、七月から九月にかけて都内十二カ所で飛行経路の見直しなどに関する説明会を開催し、住民からは、騒音や落下物対策についての不安の声も含め、さまざま意見や要望があったと聞いております。
 都は、説明会の状況も踏まえ、国に対して、引き続き地元への丁寧な説明と、騒音の影響を軽減する方策の検討や徹底した安全管理に取り組むことなどを要望してまいります。
 今後とも、都民の理解が深まるよう積極的に取り組み、国際的な拠点空港としての羽田空港のさらなる機能強化を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、パラリンピックの機運醸成についてでございますが、パラリンピックの魅力を実感するためには、まず何より迫力ある競技の模様を実際に見ることが重要と考えております。
 このため、今年度から開始いたしましたパラリンピック体験プログラム、NO LIMITS CHALLENGEにおきまして、パラリンピアンによるデモンストレーションや、過去大会の映像を使った競技紹介などを行っております。また、障害者スポーツの魅力を伝えるDVDの作成など、映像、メディアを活用したパラリンピックのPRに取り組んでまいります。
 さらに、来年のリオ大会はパラリンピックの興奮や感動を実感できる絶好の機会であり、競技映像を公共施設などで放映できるよう、関係機関と調整してまいります。
 今後も、組織委員会や日本パラリンピック委員会などと連携いたしまして、機運醸成に積極的に取り組み、二〇二〇年大会の成功につなげてまいります。
 次に、障害者スポーツの拠点整備についてでございますが、都内に二カ所あります都立障害者スポーツセンターは、建設から約三十年が経過し、老朽化が進んでいることから、昨年度、改修計画を策定し、大規模改修を行うことといたしました。
 改修計画では、老朽化対策はもとより、利便性向上を図るため利用者ニーズを調査し、特に要望の多かった家族で利用できる更衣室の増設や駐車場の拡張、体育館の冷房設備新設など、きめ細かく対応していくこととしております。さらに、建築上の制約はあるものの、設計の中で技術的な検証を行い、最大限競技スペースを拡大できるよう検討を進めてまいります。
 今後、両センターの改修を着実に進めるとともに、障害者専用施設だけでなく、広くスポーツ施設の障害者利用の拡大を図るなど、二〇二〇年大会後のさらなる障害者スポーツの振興につなげてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) ユニバーサルデザインの情報提供についてお答えをいたします。
 都はこれまで、駅や地下街等における段差のないルートや誰でもトイレの場所など、外出に必要な情報を都民が入手できるよう、バリアフリーマップやホームページの作成等に取り組む区市町村を支援してまいりました。
 また、来月には、さまざまなユニバーサルデザインの情報が一元的に閲覧できるよう、ポータルサイトを開設いたします。
 このサイトでは、鉄道やバスなど交通手段別、デパート、美術館などスポット別、区市町村別に検索できるほか、音声読み上げや、色や文字サイズの変更機能等も搭載し、容易に情報を入手できる仕組みとなっております。
 今後とも、区市町村を積極的に支援いたしますとともに、障害者団体等を通じて、このサイトの周知、活用を図るなど、情報面でのバリアフリーをより一層推進してまいります。
〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕

○生活文化局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者アートの普及啓発についてですが、障害者による芸術文化活動の発表の場をふやし、より多くの人に作品に接する機会を提供していくことは大変重要でございます。
 都はこれまでも、東京都美術館での展覧会や、社会福祉団体と協力した作品展等を開催してまいりました。
 今後も、さらなる発表、鑑賞機会の拡充に向け、NPO等と連携した展覧会をさまざまな場所で実施していくほか、障害者等の芸術文化活動を促進するために新設した助成制度を活用するなど、民間団体とともに障害者アートの普及啓発に努めてまいります。
 とりわけ、アール・ブリュットの振興については、東京芸術文化評議会において、専門家による検討を開始するとともに、国内外の施策事例、制作現場や美術館等のニーズなども調査し、効果的な普及啓発につなげてまいります。
 次に、訪日外国人向けの災害対策についてですが、外国人が東京で安心して観光したり、仕事や生活をしていくためには、都の防災対策を知っておくことが非常に重要でございます。
 都は災害時、災害対策本部が設置された段階で外国人の相談窓口を開設し、設置場所や連絡方法などの情報を提供するなど、外国人支援を行うこととしております。
 さらに、日ごろから、都の外国人向けホームページや観光公式サイトで、災害時の体制や相談窓口に関する情報等の周知を図るとともに、大使館等とは、通信訓練や防災連絡会を通じ情報提供体制の充実を図ってまいります。
 今後、ご提案も踏まえ、外国人が安心して東京に滞在できるよう、情報提供のあり方について工夫を重ねてまいります。
〔水道局長醍醐勇司君登壇〕

○水道局長(醍醐勇司君) 河川氾濫に対する備えについてでございますが、水道局では、河川氾濫による浸水被害を最小限にとどめるよう、これまでに浸水想定に基づくさまざまな対策を推進しております。
 具体的には、浸水被害のおそれのある浄水場等に対し、止水堰の整備、防水扉や防水壁の設置、電気盤のかさ上げなどを平成二十八年度までに行います。
 また、一部の浄水場が浸水により機能停止した場合でも、他の浄水場からのバックアップにより給水を確保できるよう、送水管のネットワークを形成しております。
 今般の浸水被害では、被災地の浄水場等に応急復旧のための職員を派遣するなど、復旧支援の要請にも機動的に対応しておりまして、これらを通じて得た教訓を都の取り組みにも反映し、災害対応力の強化、給水確保に万全を期してまいります。
〔建設局長佐野克彦君登壇〕

○建設局長(佐野克彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、改正された水防法への取り組みについてでございますが、近年頻発する豪雨や台風による浸水被害から都民の命を守るためには、ハード対策に加え、住民の避難行動に資するソフト対策の強化が重要でございます。
 国は、本年七月の法の施行に合わせ、これまでの想定を超える規模の降雨や高潮による大規模水害に対して、必要なソフト対策を講じるためのマニュアル等を公表いたしました。
 河川と下水道では、最大規模の降雨を用いた一体的な浸水シミュレーションを行い、また、港湾と河川では、海流等による異常潮位や河川への遡上を考慮した高潮シミュレーションにより、浸水想定区域を設定することとしております。
 このため、都は、関係部局による検討会を十月に立ち上げ、新たな浸水想定区域の指定に向け連携を強化してまいります。
 今後とも、危機感を持って水害対策に取り組んでまいります。
 次に、舟運のための防災船着き場の活用についてでございますが、災害時の船による都民の避難や緊急物資の輸送等に備え設置を進めている防災船着き場を、平常時においても有効に活用し、舟運の活性化を図ることは重要でございます。
 都はこれまで、隅田川の桜橋など三カ所の防災船着き場を一般開放しており、屋形船等に利用されております。本年六月から一般開放を始めた両国におきましても、利用を促進してまいります。
 さらに今後は、この両国の船着き場を、墨田区と連携して両国リバーセンターとして再整備し、周辺の観光拠点や駅とのアクセスを向上させることにより、水辺のにぎわいを高めてまいります。
 また、ベイエリアに近い築地におきましても、海、川、まちをつなぐ舟運ターミナル機能を新たに創出するなど、舟運を生かした水辺空間のさらなる魅力向上に向け、防災船着き場の活用を積極的に図ってまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 「東京防災」の活用についてでございますが、都は、「東京防災」を都内全世帯に順次配布するとともに、さまざまな広報活動を展開しており、都民の関心が高まっているこの時期を逸することなく、「東京防災」の活用を促し、防災意識の向上等を図ることが重要でございます。
 このため、区市町村と合同で実施いたします住民参加型訓練や、今後実施が予定されている防災関連のイベント等におきまして、「東京防災」の内容を実際に体験することを通じて、活用につながる普及啓発を積極的に行ってまいります。
 さらに、教育庁と連携した防災ノートを活用した防災教育の充実や、東京消防庁管内の消防署等で実施いたしますセミナーなど、都を挙げての取り組みを進めることで、幅広い年齢層に向けた「東京防災」の活用を促進し、防災への備えを万全なものとしてまいります。
〔港湾局長武市敬君登壇〕

○港湾局長(武市敬君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、観光資源と連携した舟運への取り組みについてでございますが、東京のウオーターフロントには、葛西海浜公園を初め、多くの観光スポットが立地しており、舟運との連携により、観光資源そのものの付加価値が高まるとともに、舟運自体の魅力を高めることも可能となります。
 このため、都は、都市型ホテルに隣接した竹芝小型船桟橋と東京ビッグサイトに隣接した有明桟橋を不定期航路事業者に開放する取り組みを進めております。
 こうした取り組みにより、ホテルでの優雅なディナーと連携したクルーズ、アフターコンベンションとしてのクルーズなどが開始され、新たな観光資源となりつつあります。
 今後とも、東京の魅力をさらに高めていくため、観光資源や集客施設の周辺に立地する船着き場の利用拡大など、舟運の活性化に取り組んでまいります。
 次いで、調布飛行場を利用する小型機の安全対策についてでありますが、調布飛行場においては、これまでも都独自の取り組みとして、小型機の運航者を含む事業者を対象に安全啓発講習会を開催するなど、安全対策に努めてまいりました。
 また、事故発生後、都として、改めて調布飛行場における管理運営の状況全般について検証に着手しております。
 事故原因につきましては、現在、国土交通省及び警察が調査中でありますが、今回の事故を重く受けとめ、先月、小型機の安全対策の強化に向け、都と国土交通省による協議の場を立ち上げたところであります。
 国と緊密に連携し、事故に関連して、現時点で取り組むべき課題に対する検討を進めるなど、調布飛行場における小型機の安全性向上に取り組んでまいります。
〔下水道局長石原清次君登壇〕

○下水道局長(石原清次君) 下水道事業のエネルギー対策についてでございますが、エネルギー自立型の焼却システムは、汚泥の水分量をより一層削減できる脱水機と、焼却廃熱を回収し発電を行う焼却炉を組み合わせたシステムでございまして、汚泥の燃焼に必要な補助燃料が不要になるとともに、年間を通じて焼却炉の運転に必要な電力を賄うものでございます。
 日本初のこのシステムは、民間企業と共同開発したもので、来年度、新河岸水再生センターにおいて工事を発注し、平成三十一年度の完成を目指しております。
 今後は、葛西水再生センター、南部汚泥処理プラントなどへも順次導入する予定でございます。
 こうした下水道の持つポテンシャルを有効活用した再生可能エネルギー等の技術を民間企業と連携して開発、導入することで、日本の下水道界をリードしてまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 食品ロス削減への取り組みについてでございますが、世界の人口の増加や気候変動の影響等による食料供給の不安定化が懸念される中、これまでのような口に入らないまま廃棄される食料資源の無駄を改めていく必要がございます。
 このため、都は今般、持続可能な資源利用に向け、モデル事業を公募し、六つの事業を選定いたしました。
 そのうち、食品ロス削減の事業では、意識の高い食品メーカーやNGOが連携し、幅広い層に対する気づきの場や学習ツールの提供、賞味期限等の近い食品の購入を消費者に動機づけるための表示、余った食材を持ち寄って行う、いわゆるサルベージパーティーの開催等を幅広く展開してまいります。
 今後、この事業の成果等を踏まえ、都民、事業者等の行動の転換を促す普及啓発を積極的に行い、食品ロスの削減を促進してまいります。
〔青少年・治安対策本部長廣田耕一君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(廣田耕一君) 社会的自立に困難を有する子供、若者やその家族への支援策の強化についてでございますが、都はこれまで、ひきこもり支援に特化した相談窓口である東京都ひきこもりサポートネットを拡充する一方、相談事例を蓄積し、ひきこもりの状態に陥る課題を分析して、実態の把握に取り組んでおります。
 また、関係各局等から成る東京都子供・若者支援協議会を通じてさまざまな支援機関と情報の共有を図りながら、今次策定しました東京都子供・若者計画に記載する取り組みを進め、今後、広域的観点から支援の具体化を図ってまいります。
 さらに、同計画の策定を契機に、各区市町村の子供・若者支援地域協議会の設置を促進し、都の協議会とのネットワークを構築して、都内全域でひきこもりの子供、若者やその家族に対する相談支援の体制を強化してまいります。

○副議長(藤井一君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時五十七分休憩