平成二十七年東京都議会会議録第十一号

平成二十七年九月十八日(金曜日)
 出席議員 百二十四名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番菅野 弘一君
四番川松真一朗君
五番山内  晃君
六番栗山よしじ君
七番堀  宏道君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番宮瀬 英治君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番中山ひろゆき君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番松田やすまさ君
二十一番河野ゆうき君
二十二番ほっち易隆君
二十三番舟坂ちかお君
二十四番島崎 義司君
二十五番鈴木 錦治君
二十七番石川 良一君
二十八番田中 朝子君
二十九番上田 令子君
三十番山内れい子君
三十一番西沢けいた君
三十二番田中  健君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番吉倉 正美君
三十八番まつば多美子君
三十九番高倉 良生君
四十番神野 次郎君
四十一番木村 基成君
四十二番北久保眞道君
四十三番高椙 健一君
四十四番栗山 欽行君
四十五番大場やすのぶ君
四十六番近藤  充君
四十七番桜井 浩之君
四十八番山崎 一輝君
五十番やながせ裕文君
五十一番両角みのる君
五十二番西崎 光子君
五十三番あさの克彦君
五十四番新井ともはる君
五十五番中村ひろし君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番上野 和彦君
六十番野上 純子君
六十一番中山 信行君
六十二番谷村 孝彦君
六十三番東村 邦浩君
六十四番崎山 知尚君
六十五番鈴木 章浩君
六十六番清水 孝治君
六十七番小松 大祐君
六十八番柴崎 幹男君
六十九番和泉 武彦君
七十番きたしろ勝彦君
七十一番鈴木 隆道君
七十二番早坂 義弘君
七十三番高木 けい君
七十五番野上ゆきえ君
七十六番島田 幸成君
七十七番今村 るか君
七十八番大西さとる君
七十九番小山くにひこ君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番藤井  一君
八十四番ともとし春久君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番高橋 信博君
八十八番中屋 文孝君
八十九番三宅 正彦君
九十番小宮あんり君
九十一番田中たけし君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番山田 忠昭君
九十六番林田  武君
九十七番こいそ 明君
九十八番田島 和明君
九十九番古賀 俊昭君
百番斉藤あつし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番小磯 善彦君
百七番橘  正剛君
百八番長橋 桂一君
百九番中嶋 義雄君
百十番立石 晴康君
百十一番神林  茂君
百十二番秋田 一郎君
百十三番宇田川聡史君
百十四番相川  博君
百十五番吉原  修君
百十六番野島 善司君
百十七番三宅 茂樹君
百十八番川井しげお君
百十九番高島なおき君
百二十番野村 有信君
百二十一番吉野 利明君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 なし
 欠員
    二十六番  四十九番  七十四番

 出席説明員
知事舛添 要一君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長中井 敬三君
東京都技監都市整備局長兼務安井 順一君
政策企画局長川澄 俊文君
総務局長中西  充君
財務局長長谷川 明君
主税局長小林  清君
警視総監高橋 清孝君
生活文化局長多羅尾光睦君
オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋 正宏君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長山本  隆君
建設局長佐野 克彦君
港湾局長武市  敬君
会計管理局長塚本 直之君
交通局長塩見 清仁君
消防総監高橋  淳君
水道局長醍醐 勇司君
下水道局長石原 清次君
青少年・治安対策本部長廣田 耕一君
病院経営本部長真田 正義君
中央卸売市場長岸本 良一君
選挙管理委員会事務局長安藤 弘志君
人事委員会事務局長藤田 裕司君
労働委員会事務局長櫻井  務君
監査事務局長宗田 友子君
収用委員会事務局長目黒 克昭君

九月十八日議事日程第一号
第一 第百五十四号議案
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例
第二 第百五十五号議案
東京都非常勤職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百五十六号議案
住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
第四 第百五十七号議案
住民基本台帳法関係手数料条例の一部を改正する条例
第五 第百五十八号議案
電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律施行条例を廃止する条例
第六 第百五十九号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第七 第百六十号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第八 第百六十一号議案
特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例
第九 第百六十二号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十 第百六十三号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第十一 第百六十四号議案
東京都文教地区建築条例の一部を改正する条例
第十二 第百六十五号議案
東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
第十三 第百六十六号議案
東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第十四 第百六十七号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第十五 第百六十八号議案
東京都公共下水道及び流域下水道の構造並びに終末処理場の維持管理の基準に関する条例の一部を改正する条例
第十六 第百六十九号議案
東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第十七 第百七十号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第十八 第百七十一号議案
特別区の消防団員等の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第十九 第百七十二号議案
都立小平南高等学校(二十七)改修工事請負契約
第二十 第百七十三号議案
都立日野台高等学校(二十七)改修工事請負契約
第二十一 第百七十四号議案
警視庁有家族者待機寮青戸住宅(二十七)改築工事請負契約
第二十二 第百七十五号議案
平成二十七年度中防内五号線橋りょうほか整備工事請負契約
第二十三 第百七十六号議案
平成二十七年度中防揚陸施設撤去その他工事請負契約
第二十四 第百七十七号議案
環二地下トンネル(仮称)及び築地換気所(仮称)ほか築造工事(二十七 一─環二築地工区)請負契約
第二十五 第百七十八号議案
地下トンネル築造工事及び街路築造工事(二十七 二─環五の一千駄ヶ谷)請負契約
第二十六 第百七十九号議案
綾瀬川護岸耐震補強工事(その十)請負契約
第二十七 第百八十号議案
土地の信託の変更について
第二十八 第百八十一号議案
災害救助用アルファ化米の買入れ(平成二十七年度新規分)について
第二十九 第百八十二号議案
個人防護具(ガウン等セット)外九点の買入れについて
第三十 第百八十三号議案
東京都とロンドン市との友好都市関係の結成について
議事日程第一号追加の一
第一 東京都名誉都民の選定の同意について(二七財主議第二五四号)
第二 東京都名誉都民の選定の同意について(二七財主議第二五五号)
第三 東京都名誉都民の選定の同意について(二七財主議第二五六号)

   午後一時開会・開議

○議長(高島なおき君) ただいまから平成二十七年第三回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(高島なおき君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

○議長(高島なおき君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   十一番  おときた駿君 及び
   六十六番 清水 孝治君
を指名いたします。

○議長(高島なおき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(新美大作君) 平成二十七年九月十一日付東京都告示第千三百八十号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案三十件の送付がありました。
 次に、平成二十七年第二回定例会の会議において同意を得た公安委員会委員及び人事委員会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、知事及び監査委員外三行政委員会より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更及び説明員の委任の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、知事より、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定により、健全化判断比率及び資金不足比率について、それぞれ報告ありました。
 また、東京都債権管理条例に基づく私債権放棄について報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。
 内容は、警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例外一件の報告について並びに訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告についてであります。
 次に、教育委員会教育長より、平成二十七年度東京都教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価、平成二十六年度分について報告がありました。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、平成二十七年定例監査、平成二十六年度執行分の結果について報告がありました。
(別冊参照)

○議長(高島なおき君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第二回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(一一ページ)に掲載〕

○議長(高島なおき君) 次に、警視総監高綱直良君の退任に伴い、新たに高橋清孝君が警視総監に就任いたしましたので、ご紹介いたします。
 警視総監高橋清孝君。
〔警視総監高橋清孝君登壇〕

○警視総監(高橋清孝君) 去る八月四日付で警視総監を命ぜられました高橋でございます。
 東京都議会の皆様方には、平素から警視庁の運営につきまして格別のご理解とご高配を賜り、心から厚く御礼を申し上げます。
 さて、都内の治安情勢は、警視庁が総力を挙げて取り組んでおります犯罪抑止総合対策の効果などにより、刑法犯認知件数が平成十五年以降十二年連続で減少しました。
 しかしながら、依然として厳しい状況が続いている特殊詐欺への対策、サイバー空間の脅威への対処のほか、来年の伊勢志摩サミットに向けた首都のテロ対策、さらには、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えた諸対策など、取り組むべき重要課題が山積しております。
 警視庁といたしましては、こうした重要課題に的確に対応し、都民の皆様の安全・安心を守るため、関係機関の方々と連携を図りながら、組織力を最大限に発揮して、各種対策を強力に推進してまいります。
 都議会の皆様方には、今後とも、一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げまして、挨拶とさせていただきます。

○議長(高島なおき君) 以上をもって紹介は終わりました。

○議長(高島なおき君) 次に、先般の人事異動に伴い異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 東京都技監都市整備局長兼務安井順一君、主税局長小林清君、生活文化局長多羅尾光睦君、建設局長佐野克彦君、港湾局長武市敬君、交通局長塩見清仁君、消防総監高橋淳君、水道局長醍醐勇司君、下水道局長石原清次君、青少年・治安対策本部長廣田耕一君、病院経営本部長真田正義君、選挙管理委員会事務局長安藤弘志君、人事委員会事務局長藤田裕司君、監査事務局長宗田友子さん。
〔理事者挨拶〕

○議長(高島なおき君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(高島なおき君) 次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。
 お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしました。
 なお、委員の欠員を補充するため、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名いたしました。

議会運営委員辞任・選任名簿

○辞任
相川  博君(自民) 高木 けい君(自民)
林田  武君(自民) 鈴木 隆道君(自民)
崎山 知尚君(自民) 山崎 一輝君(自民)
早坂 義弘君(自民) 北久保眞道君(自民)
菅野 弘一君(自民) 神野 次郎君(自民)
中嶋 義雄君(公明) 小磯 善彦君(公明)
谷村 孝彦君(公明) 石毛しげる君(民主)
やながせ裕文君(維党) 両角みのる君(かが)
〔以上 平成二十七年八月三日付〕

○選任
宇田川聡史君(自民) 秋田 一郎君(自民)
神林  茂君(自民) 田中たけし君(自民)
小宮あんり君(自民) 三宅 正彦君(自民)
和泉 武彦君(自民) 柴崎 幹男君(自民)
清水 孝治君(自民) 小松 大祐君(自民)
橘  正剛君(公明) 東村 邦浩君(公明)
中山 信行君(公明) 小山くにひこ君(民主)
野上ゆきえ君(維党) 上田 令子君(かが)
〔以上 平成二十七年八月三日付〕

○議長(高島なおき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都名誉都民の選定の同意について三件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(高島なおき君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から十月八日までの二十一日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、会期は二十一日間と決定いたしました。

○議長(高島なおき君) この際、永年在職議員の表彰についてお諮りいたします。
 百十番立石晴康君には、東京都議会議員として多年にわたり地方自治の確立と都政の進展のために貢献せられ、その功績はまことに顕著であります。
 本議会は、その功績を多とし、表彰することにいたしたいと存じますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、本議会は、立石晴康君を表彰することに決定いたしました。
 お諮りいたします。
 表彰文は議長に一任せられたいと存じますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより、議長において起草いたしました表彰文により表彰いたします。
    表彰状
立石 晴康殿
 あなたは東京都議会議員として
 在職三十年以上に及び
 都政の発展に努力された功績は
 まことに顕著であります。
 ここに永年の功労を多とし表彰します。
   平成二十七年九月十八日
東京都議会
〔拍手〕
 なお、表彰状の贈呈については、議長において取り計らいたいと存じますので、ご了承願います。
 ただいま表彰を受けられました立石晴康君よりご挨拶があります。
 百十番立石晴康君。
〔百十番立石晴康君登壇〕

○百十番(立石晴康君) ただいま全会一致をもちまして在職三十年の表彰をいただきました。まことに身に余る光栄であり、心より厚く御礼を申し上げます。
 私は、昭和五十六年、夏の選挙で初当選させていただきました。議員になるとすぐに持ち上がった問題に、都庁新宿移転の問題がありました。かんかんがくがくの党内議論を経て、議会は議論を深め、今ありますこの地に決定をいたしました。そして、東京の大きな礎となりました。
 聖徳太子の十七条憲法の一説に、我必ずしも聖にあらず、彼必ずしも愚かにあらず、ともにこれ凡夫のみとの言葉があります。議会における議論を深め、対話をすることの必要性を説いた言葉であります。このような考えのもと、私は、激動するこの時代の中で、多くの都政の重要課題に全力で取り組んでまいりました。
 さて、いよいよ二〇二〇年、平成三十二年、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が五年後に迫ってまいりました。東京は、この大会を節目に、世界一の都市東京を目指して、長期ビジョンに基づく持続可能な発展を遂げるため、大事な時期を迎えました。今こそ都議会は、舛添知事とともに、二元代表制に基づく民主政治のもと発展していかなければなりません。
 結びに、きょうまで私を支え育んでくれた地元中央区民の皆様に、先輩、同僚都議会議員の皆様に、さらに、歴代知事を初め理事者の執行機関の皆様に、心より本席、厚く厚く御礼申し上げて、一言ご挨拶にかえさせていただきます。
 まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(高島なおき君) 以上をもって挨拶は終わりました。

○議長(高島なおき君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事舛添要一君。
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 平成二十七年第三回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 初めに、七月二十六日に発生した航空機の墜落事故について申し上げます。調布飛行場から離陸した飛行機が、このような事故を起こしたことはまことに遺憾であります。被害に遭われて亡くなられた方のご冥福を心からお祈りするとともに、そのご家族や、けがをされた方、また、家屋の被害を受けられた方に心からお見舞いを申し上げます。現在、国土交通省及び警察が事故の原因を調査しております。調査結果を踏まえ、地元市のご理解とご協力を得ながら、再びこのような事故が起こらないよう、調布飛行場の安全対策を強化してまいります。
 ただいま、立石晴康議員は、はえある永年在職議員表彰をお受けになりました。都政の発展に尽くされた三十年間のご功績に対し、深く敬意を表しますとともに、心からお喜び申し上げます。
 このたび、名誉都民の候補者として、中根喜三郎さん、福原義春さん、八千草薫さんの三名の方々を選定させていただきました。
 中根喜三郎さんは、素材の選定から漆塗りまで全ての工程を手がける江戸和竿師として、たくみのわざ一筋に精魂を傾け、また、江戸和竿協同組合の理事長として、江戸以来の伝統技術の継承に尽力してこられました。
 福原義春さんは、経済界での活躍はもとより、芸術文化に造詣が深く、企業による芸術文化支援活動の発展に力を注ぎ、東京都写真美術館館長や東京芸術文化評議会会長としても、その振興に尽力してこられました。
 八千草薫さんは、数々の名作に出演している日本を代表する実力派女優であり、たゆまぬ努力に裏打ちされた演技力は幅広い世代を魅了し、長きにわたり活躍を続ける姿が人々に希望と活力を与えておられます。
 お三方は、多くの都民が敬愛し、誇りとするにふさわしい方々であります。都議会の皆様のご同意をいただき、来月、名誉都民として顕彰したいと考えております。よろしくお願いをいたします。
 さて、日本は、一九六四年東京オリンピックを成功させ、高度経済成長をなし遂げて豊かな社会を築き上げました。しかし、豊かさの裏側では、モータリゼーションの発達による交通渋滞や公害の発生、長時間労働など、成長の負の側面が生まれていたことも事実であります。そして、バブル崩壊以降は、二十年にわたるデフレ経済の停滞の中で、少子高齢化、人口減少、グローバル化など社会構造の変化が進み、また、東日本大震災も発生しました。五年後には、再びオリンピック・パラリンピックを迎えます。前回を成長の中での大会とするならば、今回は成熟の中での大会であります。この大会をきっかけに、東京と日本は、さらなる高みの成熟を目指さなければなりません。
 成長一辺倒の時代からデフレ経済の停滞を経て、今後、日本が目指すべきは、持続的な成長とゆとりある暮らしを両立した社会であります。そこでは、東京は、常に活力に満ち、絶えず進化を遂げる中からゆとりを生み出していきます。仕事の効率性が高まり、ワークライフバランスが実現して、人々は、富と時間を使って、仕事にも、家庭にも、趣味にも充実した生活を送っております。
 こうした社会を築くためには、成熟社会にふさわしい新たな政策が必要となります。高度経済成長以来の政策を見詰め直し、負の遺産を克服していかなければなりません。少子高齢化やグローバル化といった時代の流れを捉えて、安全・安心などの課題にも的確に対処することが必要であります。そして、高い付加価値を生み出す成長戦略を展開していくことが求められます。東京は、先進的な施策で、二十一世紀の新たなベクトルを指し示してまいります。
 まず、経済成長が引き起こした環境問題や交通渋滞、長時間労働など、負の側面を一つ一つ取り払い、プラスに変えることが、東京をさらなる高みの成熟に導きます。
 環境問題への対応は、水素の活用が一つの鍵になると考えております。燃料電池バスにつきましては、先日、都営バスでの営業運行に向けた課題を洗い出すため、実証実験を行いました。私も試乗しましたが、音の静かさに加えまして、ギアチェンジがないために揺れが少なく、子供や高齢者に優しい、成熟社会にふさわしいものだと確信いたしました。二〇二〇年大会の輸送手段としても、大いに活用していきたいと考えております。
 水素社会の実現には、インフラ整備や安全性への理解促進など、さまざまな課題がありますが、とりわけ、国による規制緩和は必要不可欠であります。例えば、水素ステーションの設置に当たり、道路から八メーター離さなければならないという規制が、土地の値段が高い東京では大きなネックとなっております。国に対して、さらなる規制緩和を求めるなど、着実に取り組みを前へと進めてまいります。
 また、ことしの夏は、東京の猛暑日の連続記録が更新されるなど、大変暑い日が続きました。二〇二〇年大会に向けて暑さ対策を進めることは、東京を過ごしやすい都市に変えることにもつながります。国や組織委員会との連絡会議では、競技会場での対策や救急医療体制の整備など、それぞれの取り組みを確認いたしました。今後、庁内横断の推進会議を設置し、道路に遮熱性舗装や保水性舗装を施すなど対策を加速してまいります。
 さらには、街路樹や公園を整備して緑をふやし、省エネルギーやCO2削減も進めるなど、人類共通の課題である環境問題に対して総合的な施策を展開してまいります。
 車中心のモータリゼーション社会からの転換も進めてまいります。中央環状品川線の開通は、道路事情を大幅に改善いたしました。今後も、外環道の整備や高速道路の料金体系の見直しを進め、都内に用事のない通過交通を周辺に振り向けるなど、世界で初めての渋滞のない大都市を目指してまいります。同時に、自転車走行空間の整備やシェアサイクルの促進などの自転車政策で、東京を健康的で環境に優しい都市にしていきたいと思います。
 さらに、道路をより楽しく、にぎわいのある空間へと変えてまいります。丸の内と日本橋室町の仲通りでは、車両の進入を規制した歩行者空間の設定により、ゆっくりとまち歩きが楽しめるようになりました。丸の内行幸通りでは、今月、日本文化を発信する観光イベント、JAPAN NIGHT二〇一五が開催されます。これは、特区の規制緩和で実現したものであります。今回は、地元企業などから成る地域団体が主体となって、事業収益を道路の管理やまちの魅力向上に活用するパブリックエリアマネジメントの社会実験も兼ねております。道路活用の新たな仕組みを今後、他の地域にも拡大し、一層のにぎわいを創出してまいります。
 戦後の開発によりまして、東京の川は埋め立てられ、暗渠となり、あるいは高速道路に覆われることになりましたが、かつて江戸は水の都でありました。暑い夏には納涼のために屋形船を隅田川に浮かべ、また、玉川上水の木製の配水管は市中を潤しておりました。
 東京を再び水の都としてよみがえらせたいと思います。ことしの夏、葛西海浜公園では、五十年ぶりに海開きが行われました。下水道技術の進歩による東京湾の水質改善と、地元の方々の海をよみがえらせたいという思いが結びついた成果であります。自然が身近にある大都会というのが、東京の大きな魅力となっております。また、江戸城の名残を今に伝える内堀、外堀では、大雨の際に流れ込む下水の量を大幅に減らすことで水質を改善し、歴史を感じる水辺空間としてまいります。舟運、船ですね、舟運の活性化に向けても、地元区や学識経験者、舟運事業者とともに、航路の検討、検証を進め、水の都東京を世界にアピールしていきたいと思います。
 仕事の生産性を高め、長時間労働などの働き方を見直せば、子育てや趣味を楽しむ時間が生まれ、人生は豊かになります。ゆとりある成熟社会を目指すには、ワークライフバランスの実現が欠かせません。
 先日、女性の活躍推進と働き方の見直しをテーマに、女性が輝くまち・東京シンポジウムを開催いたしました。第一線で女性の活躍を推進する方々と、プライベートを充実させることの重要性、家事、育児サービスの活用、出産、育児を社会で支える意識改革などを議論いたしました。この成果は、今年度策定いたします女性活躍推進白書にも反映してまいります。ことしからは、慣例にとらわれず、みずからの発想と行動力で女性活躍の機会を切り開いた方の表彰も始めます。すぐれた取り組みやロールモデルの発信が、社会を変える大きな推進力になることを期待しております。
 女性が輝く社会は、同時に男性も輝く社会であります。男性も女性も、皆が活躍できる都市に東京を変えていきたいと思います。
 次に、少子高齢化やグローバル化という時代の流れに的確に対処しなければなりません。安全・安心も確保して、都民生活の質を向上していくことが、ゆとりある成熟につながってまいります。
 待機児童につきましては、ことし四月一日現在、七千八百十四人となり、三年ぶりに減少に転じましたが、依然、保育サービスは不足しております。先日、改正国家戦略特区法が施行され、かねてより提案いたしておりました公園への保育所設置が実現可能となりました。荒川区、世田谷区などでは、具体的な動きも出始めております。東京都として、地元ニーズを踏まえながら、公園の活用を進めてまいります。事業所内保育所の設置を促進するためのシンボル的な取り組みであります都庁内保育所についても、運営事業者が決定いたしました。待機児童ゼロに向けて全力で取り組んでまいります。
 急速に進行する高齢化への対応も進めてまいります。高齢者が住みなれた地域で生活できる地域包括ケアシステムを構築するため、現在、検討会議を設置し、新たな施策形成につながる議論を行っていただいております。来月を目途に中間のまとめを、年度内には最終的な取りまとめを行う予定であります。また、地域で認知症の人とその家族を支援するには、医療と介護の連携が不可欠であります。今回新たに、認知症疾患医療センターを二十九カ所指定し、今月から都内四十一カ所で運営しております。NPOなどさまざまな民間団体や人材が集まる東京の特性を生かして、大都市ならではの地域包括ケアシステムの構築を進めてまいります。
 続きまして、安全・安心の確保であります。
 先週の台風十八号による大雨は、北関東から東北にかけて大きな被害をもたらし、警視庁、東京消防庁及び稲城市消防本部の部隊や都内病院の医療救護班が救助救援活動に当たりました。また、東京都内でも、一部で床上浸水、床下浸水などが発生しました。都は昨年、豪雨対策基本方針を改定し、区部では時間七十五ミリ、多摩では時間六十五ミリの集中豪雨などに対応することとしております。今後とも、この方針に基づき、豪雨対策や土砂災害対策に着実に取り組んでまいります。
 首都直下地震を初め、災害に対して被害を最小限に抑えるためには、自助、共助の力を高めることが肝要であります。そこで、防災ブック「東京防災」を作成し、今月から各家庭に順次お届けしております。東京の地域特性や都市構造、ライフスタイルを考慮して、事前の備えや発災時の対処法を掲載するなど、すぐにでも活用できる内容でありまして、都内の各消防署では、「東京防災」を使ったセミナーも毎週開催しております。また、都内の全学校で、「東京防災」と連係した防災ノートを活用し、学校でも家庭でも学ぶ防災教育を推進してまいります。
 なお、この「東京防災」がまだ届かないんだというお問い合わせがたくさん参っておりますが、順次、各家庭にお届けしております。大変、おかげさまで好評で、老若男女の皆さん、これはぜひ早くくださいということなんで、全力を挙げて各家庭に急いで配布したいと思っております。
 今月一日に立川市と合同で実施しました総合防災訓練の際には、この「東京防災」を安倍総理に直接お渡しいたしました。今後も、政府や地元自治体などと連携しながら、木密地域の不燃化や建築物の耐震化といったハード面も含めた取り組みを進め、災害対応力を高めてまいります。
 テロ対策も強化いたします。来年は、三重県で伊勢志摩サミットが予定されておりますが、過去には、開催地から遠く離れた首都でテロが発生した事例もあります。サイバー攻撃への対策も含め、東京の守りに万全を期してまいります。都庁舎のセキュリティーも、先般試行した手荷物検査の実施状況や専門家の意見を踏まえ、都民の利便性にも配慮しながら、本格的な対策を実施してまいります。ご理解、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 経済的にも、文化的にも、国際化が進展するグローバル時代への対応は、東京の今後を大きく左右いたします。同じ課題を抱える海外都市との協力、交流を通じて、東京をさらに高めていきたいと思います。
 東京は、都市の課題を解決する過程で磨いてきた先進技術、ノウハウを数多く有しております。集中豪雨に備える地下調節池や道路の陥没発生防止対策など、これまで蓄積してまいりました技術を整理し、先般、Tokyo Tech Bookとしてまとめました。都市外交を展開する中で、課題解決の事例を海外諸都市に紹介して活用してもらい、国際社会に貢献していきたいと考えております。見開きで日本語と英語、両方書いておりまして、これまでも海外のお客様に差し上げましたところ、大変これまた好評をいただいております。
 さらに、ロンドン市との友好都市関係の結成について申し上げます。
 昨年のボリス・ジョンソン市長との面会以来、協議を進めてまいりましたが、今般、基本的な合意に達しましたために、本定例会に議案を提案しております。ロンドン市は、二〇一二年オリンピック・パラリンピック大会を契機に、世界のトップに上り詰めた都市であります。この友好都市関係は、両都市に大きな恩恵をもたらしてくれると確信しております。
 都議会の皆さんのご同意がいただければ、予定されておりますボリス・ジョンソン市長の来日に合わせて、都庁で正式調印をしたいと考えております。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
 時代の課題に向き合い、明るい未来を切り開く主役は、今の子供たちであります。まず、世界を舞台に活躍できる人材を育成していかなければなりません。英語村の設置や小学校からの英語教育の充実など、国際色豊かな教育環境を整えてグローバル人材の育成を推進することが、これからの教育における一つの柱だと考えております。
 オリンピック・パラリンピックは、子供たちの人生にとってかけがえのない糧となる絶好の機会であります。先月発表されたオリンピック・パラリンピック教育に関する有識者会議の中間のまとめを踏まえ、来年度からは、都内全校で取り組みを開始いたします。全ての子供が大会にかかわり、体験、行動することを通じて、自己肯定感や積極性、国際感覚を養ってまいります。
 人生においては、自分で考え、みずから乗り越えなければならない問題に何度も直面いたします。特定の分野に偏らず、オールラウンドに物事を理解できる力が必要であり、その前提となる基礎学力や思考力、判断力を伸ばしていかなければなりません。習熟度別授業を推進し、放課後の補習を充実させるなど、一層の学力の向上を図ってまいります。
 学習のおくれは、不登校、中途退学という教育の大きな問題の引き金の一つとなっております。都立高校では、不登校、中途退学の経験がある生徒のためのチャレンジスクールが大きな成果を上げております。今後、小中学校におきましても、こうした子供を支援する仕組みを区市町村と連携して検討するなど、対策を進めてまいります。不登校、中途退学は、非正規雇用を余儀なくされるといった問題にもつながりかねません。この流れを断ち切るためにも、子供一人一人に応じたきめ細かな教育を展開してまいります。
 また、近年は、SNSを長時間利用する子供が増加し、学習への影響や陰湿ないじめの温床となる看過できない状況もあらわれております。適正な利用のルールづくりなど、対策の検討を進めてまいります。
 こうした東京の教育のあるべき方向性を、現在、教育委員会との議論を通じて練り上げておりまして、年内には、教育の根本方針となる大綱を策定してまいります。
 高い付加価値を持つ産業を振興し、新たな富を生み出すことで、ゆとりと活力のある明るい未来を確実なものとしてまいります。
 近年、日本を訪れる外国人旅行者が急増しており、これは、東京の魅力を世界に発信する絶好のチャンスでもあります。
 昨年に引き続き、来月、テイスト・オブ・トーキョー、東京味わいフェスタ二〇一五を開催いたします。今回は、丸の内に加え、有楽町、日比谷にもエリアを拡大し、東北地方を初め全国の特産品も紹介、販売するなど、特色あるイベントが展開されます。江戸前ずしと世界のすし、そして、トウキョウXとイベリコ豚の特別料理も披露いたします。また、ハラール食のコーナーを新たに設け、国際都市としての姿を発信してまいります。これまで難しかったメロンの水耕栽培を実現した、これは町田市の技術ですが、工業と農業の融合による新しい技術なども紹介いたします。東京の多彩な魅力をぜひ多くの方々に堪能していただきたいと思います。
 都内には、まだまだ私たちが気づいていない魅力もたくさん隠されています。例えば、将門塚などの旧跡や神社仏閣、都内の各地の祭りといった伝統、歴史の奥深さは、何度も東京を訪れている外国人旅行者をも引きつける格好の材料だと思います。地域に眠る観光資源を呼び覚まし、多くのリピーターの獲得につなげてまいります。
 また、先日、国際会議に参加した外国人を対象に、青梅市の酒蔵見学や、きき酒体験、美術鑑賞を盛り込んだツアーを実施し、大変好評を得ました。こうした企画を進め、MICE誘致などに組み込むことで、自然と共生する多摩・島しょ地域の大きな魅力をアピールしたいと思います。裾野が広い観光分野の振興を図り、稼ぐ力を高めて、観光を東京の一大産業に育ててまいります。
 東京の玄関口、羽田空港の機能強化は極めて重要であります。都心上空を飛行する案については、国が先般、説明会を都内各地で開催したところであります。都は、引き続き、騒音の影響を軽減する方策の検討や徹底した安全管理を求めると同時に、地元の理解が深まり、機能強化に関する協議が円滑に進むよう積極的に協力してまいります。
 先日の国家戦略特区の区域会議では、都市計画法の特例を使った都市再生について、新たに三地区が認定されました。八重洲地区では、東京駅と国際空港、地方都市とを結ぶ日本最大級の地下バスターミナルや周辺市街地を結ぶ歩行者ネットワークの整備などが計画されております。虎ノ門ヒルズに近い愛宕地区でも、外国人のニーズに対応した住居やサービスアパートメントを整備するプロジェクトが予定されております。
 ビジネス拠点やMICE拠点の形成、外国人が暮らしやすい生活環境の整備などにより、時代のニーズに応じた活気あふれるまち並みが次々と生まれつつあります。二〇二〇年の先にも、東京のまちが常にリノベーションされ、社会の成熟に見合った姿に進化していくよう、都市再生の動きをさらに促進してまいります。
 金融やロボット、ライフサイエンスは、知恵を駆使して高い付加価値を生み出す産業であり、これからの成熟社会を代表する分野であります。
 国や金融業界など関係者とともに東京国際金融センター推進会議を継続的に開催し、これまでの成果と今後の展開を確認しながら取り組みを進めております。六月には、企業の統治指針、コーポレートガバナンス・コードの適用が開始されました。これにより、企業経営の透明性が高まり、海外からの積極的な投資を呼び込むことが期待されております。こうした動きの中で、東京都も、大手町から兜町にかけての地域を金融センターの中核に位置づける構想や高度金融専門人材の育成を打ち出しました。今後も、関係者が知恵と情報を持ち寄ることで、複合的な効果を生み出してまいります。
 中小企業の販路開拓や成長分野への挑戦も支援しており、十一月には、産業交流展二〇一五を開催いたします。高度技術の結集でありますロボット産業は、医療や介護など大いに活用が期待される分野であり、今回、企業や研究機関の技術力をPRする次世代ロボットゾーンを開設いたします。また、全国の中小企業の製品、技術に関するエリアも設け、取引機会の拡大や技術力の向上にも貢献してまいります。
 都内には、バイオ、ヘルスケア、医療、介護などの企業も集積し、有望な技術や製品などを開発しております。ベンチャー企業等のライフサイエンス分野での成長を後押しするため、展示会への出展や商談会への参加、インキュベーション施設などへの入居を支援いたします。ものづくり企業と医療機器メーカー、医療機関との連携を促進する医工連携HUB機構も立ち上げており、中小企業の参入をきめ細かくサポートしてまいります。
 続いて、東京オリンピック・パラリンピックについて申し上げます。
 いうまでもなく、この大会は国家的大事業であり、開催に向けて大きな困難を伴うのは当然であります。日本中が一丸となって団結し、課題を一つ一つ乗り越えたその先に、史上最高の大会が待っているものと確信しております。国や組織委員会との連携をさらに深め、二〇二〇年に向けて日本全体が盛り上がっていくよう、全力を挙げてまいります。都が整備する施設につきましても、責任体制の明確化と情報公開の徹底を図り、後利用も考慮に入れた整備計画を推進することで、都民、国民の貴重な財産をしっかりと未来に引き継いでまいります。
 パラリンピックの成否は、ゆとりある成熟社会の形成に向けた一つの試金石であると考えております。障害のある人々がスポーツに取り組むきっかけとなるよう、障害者スポーツを振興し、機運の盛り上げに一層力を入れてまいります。七月以降、区市町村と連携して、競技体験ブースやパラリンピアンとの交流などを都内各地で実施しております。また、あさってには、参加体験型スポーツイベント、チャレスポTOKYOを東京国際フォーラムで開催いたします。例年より規模を大幅に拡大して実施しており、車椅子バスケットボールやブラインドサッカーなど、パラリンピック公式種目も体験できます。私も、一緒に参加をいたします。ぜひ多くの方々に足を運んでいただき、障害者スポーツの魅力に触れていただきたいと思います。
 パラリンピック開催都市として、心のバリアフリーを推進し、情報面でも、点字や音声、多言語での対応など環境整備を進めてまいります。現在、福祉のまちづくり推進協議会では、取り組みの強化策が検討されており、来月にも意見書が取りまとめられます。こうした意見を取り入れながら、基本方針や対策事例を盛り込んだガイドラインを作成し、普及啓発など、区市町村や民間と連携して取り組んでまいります。
 二〇二〇年を見据え、東京のまちをさらに快適で暮らしやすいものに変えてまいります。臨海部と東京の中心部とを結ぶ新たな公共交通システム、BRTにつきましては、先日、運行事業者を選定いたしました。年度内には、水素社会の実現を象徴する燃料電池バスや停留施設との間にすき間なく停車する技術の導入などを盛り込んだ事業計画を策定いたします。二〇一九年度の運行開始に向けて、着実に取り組んでまいります。
 また、大会を通じて、東京をボランティア文化が根づいたまちにしていきたいと思います。先般、国や自治体、組織委員会、教育機関、民間団体などの関係団体に呼びかけ、ボランティア活動推進協議会を立ち上げました。情報発信の充実やシンポジウム開催により、機運醸成、裾野の拡大に取り組んでまいります。多くの方にボランティアに参加してもらい、大会の成功を一生の思い出にしていただきたいと思います。
 ラグビーワールドカップにつきましては、東京での開催に向けて、都議会の皆様から強力な後押しをいただいております。今後も、ラグビーワールドカップ組織委員会と緊密に連携して、都民、国民のためのすばらしい大会を目指して、開催都市としての役割を果たせるよう、全力を尽くしてまいります。
 さて、地方創生の議論の中では、東京ひとり勝ちという声もありますが、都市と地方がともに栄えることなくして真の地方創生はあり得ません。七月の全国知事会議では、戦後日本の政策全体が見直しを問われている中での地方創生であるという視点を示し、都市も地方も皆で伸びていく方向を訴えて、多くの知事から賛同をいただきました。
 都市と地方との連携が重要であります。先般、再生可能エネルギーファンドを活用して、新潟県三条市の木質バイオマス発電事業に投資を行うことが決定しました。また、日本全体での旅行者誘致も進めております。来月、東京と東北を結ぶ観光ルートを新たに設定し、海外メディアの方々に体験してもらう取り組みを開始いたします。日本各地の魅力に触れ、それを世界に発信してくれれば、東京も地方も、ともに活性化いたします。
 こうした具体的な成果を上げていくことが、日本全国を盛り上げることにつながります。現在、策定に取り組んでおります東京都版総合戦略には、地方と連携して取り組む施策を数多く盛り込み、ともに栄えていくという東京都の姿勢を明確に打ち出してまいります。
 また、国家戦略特区の枠組みを活用して、現在、都市農業特区の提案を行っておりますが、これが国を動かし、内閣府、農林水産省、国土交通省による税制改正要望につながったところであります。先日の区域会議でも、国家戦略特区担当の石破大臣から、道筋をつけたいとの発言がありました。こうした規制緩和の取り組みも含め、全国の自治体とともに歩んでいきたいと思います。
 社会の成熟に応じて、地方行政の役割はますます大きくなっており、その礎となる地方税財源をいかに拡充するかという本質的な議論が必要となっております。
 しかし、国の対応は、この議論を棚上げにしたまま、地方の財源不足を都市部から吸い上げた財源で補うという小手先のものであり、これでは結果として、地方全体がますます疲弊することになってしまいます。法人事業税の暫定措置や法人住民税の国税化といった不合理な措置は、即刻撤廃すべきであります。現在、国で検討されている企業版ふるさと納税や法人課税の分割基準の見直しも同様の問題を抱えておりまして、これ以上の不合理を繰り返さないように求めます。
 地方行政の役割に見合った財源を国が措置することが第一であります。そして、都市も地方も共存共栄することで、日本全体の発展を目指す、こうした東京都の考え方を整理し、先般公表いたしました。都議会の皆様とともに、都内区市町村や志を一にする自治体と一致団結して、総体としての地方税財源の拡充という、本筋に沿った主張を展開してまいります。
 二〇四〇年代の東京の姿を描くため、現在、東京のグランドデザイン検討委員会に各界の新進気鋭の有識者を招いており、非常に刺激的な議論が交わされております。また、都市づくりの分野では、都市計画審議会に調査特別委員会を設置し、専門家の意見を伺うなど、都市づくりのグランドデザインの策定に向けて、具体的に動き始めております。東京都長期ビジョンに掲げた政策を着実に前へと進めながら、その先の明るい東京の姿をしっかりと描いていきたいと思います。
 グローバルな都市間競争、少子高齢化と人口減少、地方創生と日本の歩むべき方向性など、私たちを取り巻く状況は、ますます複雑化、多様化しております。こうした中、政治の役割は、将来への夢と希望を提示することであります。都議会の皆様と手を携え、東京を生活していて楽しく、快適だと皆が胸を張れるゆとりある成熟都市へと高め、世界一の都市を目指してまいります。皆様の一層のご理解、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 なお、本定例会には、マイナンバーの利用等に関する条例を初め、これまで申し上げたものも含め、条例案十八件、契約案八件など、合わせて三十件の議案を提案しております。よろしくご審議のほどをお願いいたします。
 以上をもちまして所信表明を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(高島なおき君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日は、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一から第三までを先議されることを望みます。

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、質問に先立ち議事に入り、日程の順序を変更し、追加日程第一から第三までを先議することに決定いたしました。

○議長(高島なおき君) 追加日程第一から第三まで、東京都名誉都民の選定の同意について三件を一括して議題といたします。
〔新美議事部長朗読〕
一、東京都名誉都民の選定の同意について三件

二七財主議第二五四号
平成二十七年九月十八日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     中根喜三郎

      略歴
現住所 東京都荒川区
中根喜三郎
昭和六年八月十九日生
昭和六年   東京都墨田区生まれ
昭和二十六年 二代目「竿辰」に弟子入りし、修業を積む
昭和三十一年 独立し、「竹の子」を名乗る
昭和四十九年 四代目「竿忠」を襲名
昭和六十一年 荒川区登録無形文化財保持者認定
平成元年   東京都伝統工芸士認定
平成三年   東京都功労者(労働精励)表彰
平成八年   黄綬褒章
平成十一年  江戸和竿協同組合理事長
平成十二年  荒川区指定無形文化財保持者認定

      事績
中根喜三郎
昭和六年八月十九日生
 昭和六年八月十九日、江戸時代から伝わる江戸和竿の老舗「竿忠」の三代目中根忠吉の三男として、東京都墨田区に生まれる。
 昭和二十年三月、一家は東京大空襲の戦禍を被り、疎開していた妹と二人だけが生き残る。「竿忠」は長男のみに「一子相伝」で技を伝えていたため、父から和竿製作の技術を教わっていなかった。
 昭和二十六年、「竿忠」の再興を決意。同じ系列の二代目「竿辰」に弟子入りし、修業を積む。
 昭和三十一年、独立し「竹の子」を名乗る。
 昭和四十九年、四代目「竿忠」を襲名する。
 昭和六十一年、荒川区登録無形文化財保持者に認定される。
 平成元年、東京都伝統工芸士に認定される。
 平成三年、東京都功労者(労働精励)表彰を受ける。
 平成八年、黄綬褒章を受章する。
 平成十一年、江戸和竿協同組合理事長に就任する。
 平成十二年、荒川区指定無形文化財保持者に認定される。
 氏は、素材となる竹の選定から漆塗りまで百二十に及ぶ工程の全てを手掛ける江戸和竿師として、六十余年の長きにわたり、匠の業に取り組んできた。
 「自分が納得できない竿は絶対に作らない」を信念に、この道一筋に精魂を傾け、江戸時代以来の伝統技術の継承に尽力するとともに、江戸和竿協同組合理事長として、江戸和竿の振興・発展に多大な貢献を果たす姿は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

二七財主議第二五五号
平成二十七年九月十八日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     福原 義春

      略歴
現住所 神奈川県逗子市
福原 義春
昭和六年三月十四日生
昭和六年   東京都品川区生まれ
昭和二十八年 慶應義塾大学経済学部卒業
同年     株式会社資生堂入社
昭和六十二年 株式会社資生堂代表取締役社長
平成二年   社団法人企業メセナ協議会設立、同協議会理事長
平成九年   株式会社資生堂代表取締役会長
平成十二年  東京都写真美術館館長
平成十三年  株式会社資生堂名誉会長
平成十六年  旭日重光章
平成十九年  東京芸術文化評議会会長
平成二十六年 公益社団法人企業メセナ協議会名誉会長

      事績
福原 義春
昭和六年三月十四日生
 昭和六年三月十四日、東京都品川区に生まれる。
 昭和二十八年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、株式会社資生堂に入社する。
 昭和六十二年、株式会社資生堂代表取締役社長、平成九年、代表取締役会長、平成十三年、名誉会長に就任する。
 平成二年、社団法人企業メセナ協議会(現公益社団法人企業メセナ協議会)の創設に尽力、初代理事長となる。同協議会は、企業による芸術文化支援を推進する目的で設立され、企業の社会貢献の新しい形を世に問い掛けるものとして注目を集めた。平成二十六年には、名誉会長となる。
 平成十二年、東京都写真美術館館長に就任する。民間企業の戦略的経営の考え方に基づき、来館者が「また来たい」と思う存在感のある美術館運営を目指し、様々な改革に取り組んだ結果、就任後五年で年間入館者数が倍増する。
 平成十六年、旭日重光章を受章する。
 平成十九年、東京芸術文化評議会会長に就任する。二〇一六年及び二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会立候補ファイルにおける文化プログラムや、都立文化施設の在り方などを提言する。
 氏は、株式会社資生堂の名誉会長であり、経済界で活躍するとともに、芸術文化にも造詣が深く、企業による芸術文化支援活動の発展に力を注いできた。
 また、東京都写真美術館館長や東京芸術文化評議会会長として、東京都の芸術文化の振興に大きく寄与してきた。
 以上のような氏の功績は多大であり、今も尽力し続ける姿は、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

二七財主議第二五六号
平成二十七年九月十八日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都名誉都民の選定の同意について
 このことについて、左記の者を東京都名誉都民に選定いたしたいので、東京都名誉都民条例第三条の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお取り計らい願います。
       記
     八千草 薫
     (本名 谷口  瞳)
      略歴
現住所 東京都世田谷区
八千草 薫
(本名 谷口  瞳)
昭和六年一月六日生
昭和六年   大阪府大阪市生まれ
昭和二十一年 宝塚音楽学校入学
昭和二十二年 宝塚歌劇団入団
昭和二十六年 「宝塚夫人」で映画デビュー
昭和三十年  日伊合作映画「蝶々夫人」で主演
昭和三十二年 宝塚歌劇団退団
昭和五十二年 「岸辺のアルバム」でテレビ大賞主演女優賞を受賞
昭和六十三年 都民文化栄誉章
平成九年   紫綬褒章
平成十五年  旭日小綬章
平成十六年  映画「阿修羅のごとく」で第二十七回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞
平成二十五年 映画「くじけないで」で主演
平成二十七年 映画「ゆずり葉の頃」で主演

      事績
八千草 薫
(本名 谷口  瞳)
昭和六年一月六日生
 昭和六年一月六日、大阪府大阪市に生まれる。
 昭和二十一年、宝塚音楽学校に入学、昭和二十二年、宝塚歌劇団に入団する。
 昭和二十六年、「宝塚夫人」で映画デビュー。
 昭和三十年、日伊合作映画「蝶々夫人」の主役に抜擢され、国際的な人気を獲得する。
 昭和三十二年、宝塚歌劇団を退団。同年、映画監督の谷口千吉氏と結婚。その後、活躍の場を舞台に移す。
 昭和四十七年、舞台「二十四の瞳」で大石先生を演じ、三箇月のロングラン興行となる。
 昭和五十二年、テレビドラマ「岸辺のアルバム」で母親役を演じ、テレビ大賞主演女優賞を受賞する。
 昭和六十二年、映画「ハチ公物語」で飼主である教授の妻役を好演、慈愛溢れた演技で幅広い年齢層の感動を呼ぶ。
 昭和六十三年、都民文化栄誉章を受章する。
 平成九年、紫綬褒章を受章する。
 平成十五年、旭日小綬章を受章する。
 平成十六年、映画「阿修羅のごとく」の母親役で第二十七回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞する。
 平成二十五年、映画「くじけないで」では五十九歳から九十八歳までの主人公を繊細に表現し、平成二十七年には企画から携わり、自ら主役も務める映画「ゆずり葉の頃」が公開されるなど、活躍を続ける。
 氏は、日本を代表する実力派女優として、テレビ、映画、舞台等数々の名作へ出演し、多くの賞を受賞してきた。
 たゆまぬ努力に裏打ちされた演技力と清楚な美しさは、幅広い世代の人々を魅了し親しまれている。
 長きにわたり、現役として活躍を続ける姿は、人々に希望や活力を与え、広く都民が敬愛し、誇りとするところである。

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の選定に同意することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の選定に同意することに決定いたしました。

○六十七番(小松大祐君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明十九日から二十八日まで十日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明十九日から二十八日まで十日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、九月二十九日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時五十四分散会


文書質問趣意書及び答弁書

27財主議第245号
平成27年9月10日
東京都議会議長
高島 なおき殿
東京都知事 舛添 要一

文書質問に対する答弁書の送付について
 平成27年第二回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

塩村あやか議員
宮瀬英治議員
おときた駿議員
米倉春奈議員
上田令子議員
尾崎あや子議員
小竹ひろ子議員
中村ひろし議員
畔上三和子議員
大島よしえ議員
曽根はじめ議員
大山とも子議員
吉田信夫議員

平成27年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 塩村あやか

質問事項
一 都立園芸高校の動物学科について
二 議会答弁、職員の評価について
三 動物愛護について

一 都立園芸高校の動物学科について
 現在、全国の犬の飼育数は1153万匹、猫は974万匹に上るといわれ(ペットフード協会調べ)、日本の15歳未満の人口1649万人を優に超えている状況です。近年の日本のペットブームでペット関連事業は成長産業となっており、ペット業界に就職を希望する学生も増えています。
 都立高校は動物科を有しています。動物科は全国的にも珍しく、少子化の中でも、今後さらに志望者が増えることが期待できる学科です。未来ある動物科を特徴ある、更なる魅力ある学校にするためには、卒業後のキャリアにつながる動物科ならではの学習内容と工夫が求められています。現在、動物科では、卒業後の進路を見据えた学習をどのような方針と特色で行っているのかを伺います。
 また、動物科をさらに魅力ある学科にするための都の今後の方針と、動物科の魅力をどのように広く都民に発信していくのかを伺います。
 先日視察をしたところ、都立園芸高校の校舎や施設は老朽化が進んでいました。生徒達がペット関連業界への就職や進学をした際に、現在の実態と合わないファシリティーで学習をしているケースがあると懸念されました。都は施設等の現状をどの程度、把握をしているのか伺います。現場である学校側の要望を取り入れ、改修や新規導入をすべきですが、今後の対応について伺います。
 動物科の学習内容について伺います。
 卒業時までに資格を取得するなど、学校での学習内容だけではなく、外部資格の取得も大変将来に有効であると考えます。そこで、現在どのような資格を学生に取得させているのか伺います。また、その資格を推奨する理由を伺います。
 2年時からは、動物愛護コースと動物環境コースが選択できるとのことです。動物愛護に関して日本は残念ながら世界より批判を受けています。その理由に動物の福祉を省みない方法で生体販売されており、殺処分が年間12万頭も行われていることなどがあります。
 現状、それらの動物販売業者の販売方法は日本に於いては違法ではありませんが、グローバルスタンダードとは大きく乖離している状態です。世界一の都市・東京の動物科で学ぶのであれば、動物福祉が行き届き、行政殺処分のない国々をお手本に学んでいくことや、または、その違いを少なくとも理解をする取組が重要だと考えますが、所見を伺います。
 また、専門学科故の教員配置の難しさがあると聞いています。現在都内には複数の農業高校があり、動物を扱う学科は2校です。教員の希望やキャリア形成に配慮しつつ、専門学科での経験を生かし、子供達が最大限の環境で学べるよう配慮をしていくべきだと考えますが、見解を伺います。

二 議会答弁、職員の評価について
 議会答弁について伺います。
 議会の答弁は事実に基づいて行うべきであり、質問調整時はもちろん、職員は議員の質問に誠実かつ、真摯に向き合うことが求められています。答弁調整時も含め、正確な情報提供をすることはもちろん、議会答弁でも質問に対して正確な回答をすることは当然だと考えますが、見解を伺います。
 また、議会で行った質問の答弁が事実と異なる場合、どのような方策をとり修正や訂正を行うのか伺います。その対応にかかるおおよその時間(個別・平均)と、これまで前例があったか伺います。同一職員からの度重なる前述のような不誠実な行為の監督責任は、その事実を承知している場合、本人の責任はもちろん、上司にもあると考えますが、併せて見解を伺います。

三 動物愛護について
 昨年の6月の本会議にて私が取り上げた動物愛護法違反が疑われるペットショップについて伺います。その後、粘り強く取組んだ結果、日本初ペットショップに対する業務停止命令がパピオン熱帯魚(以下パピオン)に出され、テレビのニュースをはじめ、多くのメディアに取り上げられました。
 パピオンは15年近く「動物愛護・福祉(衛生面)」に問題のあるショップとして有名で、多くの都民が各方面に働きかけてきました。しかし、これまで抜本的な解決に至らず、昨年6月の第2回定例会において、私が一般質問をしたことがきっかけとなり、都は重点的に指導に入ることになりました。結果として、合計36回の指導を経て、ようやく今年2月に改善命令が出され、4月にはペットショップにおいて日本初の業務停止命令となりました。
 その後、都はパピオンは改善したと判断し、「犬猫等販売業の廃止」「第一種動物取扱業(保管)の廃業」をさせ、営業の再開となりました。これについては、10年以上も法令違反を繰り返し重ねてきた劣悪極まりないペットショップに対し、登録の取消しができなかったことは、日本中の愛護家やマスコミから厳しく非難され新聞記事にもなりました。日本一と揶揄されるほどの劣悪状態になる前に、都が適正に指導をして改善をさせるなど、動物愛護法を機動的に適用すれば、都民・国民や愛護家から理解を得ることができたと思いますが、見解を伺います。
 また、動物愛護法がありながら、都が迅速に適用できなかった理由をお伺いいたします。本年3月の私の動物愛護についての一般質問で、知事は「都は、国に対していうべきことはいいながら、国と力を合わせて、動物愛護施策の推進に取り組んでまいりたい」と答弁をしています。今回の事例で迅速な対応ができない一因に動物愛護法の「抜け(欠陥)」があると指摘をされていますが、どのような法が整備されていれば、迅速な動物の救済が可能だったのか、また、その問題点をどのように国に報告や要望等を伝え、答弁頂いている「言うべきことは言っていく」のかお伺いをいたします。

平成27年第二回都議会定例会
塩村あやか議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都立園芸高校の動物学科について
1 都立高校は動物科を有しているが、現在、動物科では、卒業後の進路を見据えた学習をどのような方針と特色で行っているのか伺う。

回答
 園芸高等学校の動物科では、卒業後、動物の飼育や愛護に関わる職業に就くことを視野に入れて、人と動物・自然とのつながりについて学び、命を大切にする心を育てるとともに、環境を保全・再生するための知識や技能を身に付けた人材を育てることを目指しています。
 そのため、第1学年では、栽培から動物飼育まで基礎的な内容を幅広く学ぶ学習を行い、第2学年からは、動物愛護類型と動物環境類型を設定し、より一層、専門的な学習を行うとともに、実習等の体験的な学習を取り入れています。

質問事項
一の2 動物科をさらに魅力ある学科にするための都の今後の方針と、動物科の魅力をどのように広く都民に発信していくのか伺う。

回答
 園芸高等学校動物科の最終応募倍率は、平成26年度実施の入学者選抜において1.92倍となるなど、近年高い倍率で推移しています。
 こうしたことから、中学生にとって魅力ある学科になっており、今後も農業科の一つの学科として継続していきます。
 また、これまでと同様、説明会、パンフレット、ホームページなどの方法を活用し、動物科の魅力を発信していきます。

質問事項
一の3 都立園芸高校の校舎や施設は老朽化が進んでいるが、都は施設等の現状をどの程度、把握しているのか伺う。現場である学校側の要望を取り入れ、改修や新規導入をすべきだが、今後の対応について伺う。

回答
 都立学校における施設設備については、毎年度、各学校からヒアリングを行い、それぞれの要望を適切に踏まえた上で、優先順位をつけて改修等を行っています。
 今年度、園芸高等学校においては、飼育小屋のフェンス改修を行うほか、トリミングを行う実習室について給湯器のガス容量の調査を実施し、改修内容を精査する予定です。
 今後とも、動物科の教育活動を踏まえ、必要な施設改修等を進めていきます。

質問事項
一の4 外部資格の取得も大変将来に有効だが、現在、どのような資格を学生に取得させているのか伺う。また、その資格を推奨する理由を伺う。

回答
 園芸高等学校の動物科は農業に関する専門学科であり、農業全般についての知識・技能の定着状況を把握するため、生徒全員に対して、農業技術検定3級の取得を推奨しています。
 第2学年からの動物愛護類型では、動物との関わりを通して生活の質の向上に貢献する人材を育成するため、愛玩動物飼養管理士準2級又は2級の資格取得を推奨しています。
 また、動物環境類型では、自然保護や都市部での自然回復などに貢献する人材を育成するため、生物分類技能検定4級又は3級の資格取得を推奨しています。

質問事項
一の5 世界一の都市・東京の動物科で学ぶのであれば、動物福祉が行き届き、行政殺処分のない国々を手本に学んでいくことや、または、その違いを少なくとも理解をする取組が重要だが、所見を伺う。

回答
 園芸高等学校の動物科の生徒は、人間と動物・自然とのつながりについての学習を通して、命を大切にする心はもとより、動物と共に生きていく姿勢を身に付けています。
 第1学年の「農業と環境」や第2学年の「生物活用」等の学習において、動物飼育の基本的事項やイヌ、ネコ、トリなどの社会動物の役割や活用方法について学んでいます。
 また、動物愛護類型では、第3学年の学校設定科目「人と動物の関係学」の学習において、第1学年及び第2学年での学びを発展させ、動物セラピーの特性とともに、動物愛護の歴史や世界の現状などについて学んでいます。

質問事項
一の6 教員の希望やキャリア形成の妨げにならないように配慮しつつ、専門学科での経験を生かし、子供達が最大限の環境で学べるように配慮すべきだが、見解を伺う。

回答
 動物科については、これまでも資格を有する教員や実習助手を配置してきています。
 今後とも専門的知識を有する者を配置していくとともに、教員の経験を踏まえ、OJTを推進するなど、組織的な人材育成に努めていきます。

質問事項
二 議会答弁、職員の評価について
1 議会の答弁は事実に基づいて行うべきであり、職員は議員の質問に誠実かつ、真摯に向き合うことが求められている。正確な情報提供をすることはもちろん、議会答弁でも質問に対して正確な回答をすることは当然だが、見解を伺う。

回答
 議会答弁及びこれに係る所要の事務については、事実に基づいて、真摯・誠実に行っています。

質問事項
二の2 議会で行った質問の答弁が事実と異なる場合、どのような方策をとり修正や訂正を行うのか伺う。その対応にかかるおおよその時間と、これまで前例があったか伺う。

回答
 議会答弁が誤っていた場合は、東京都議会会議規則第55条の趣旨を踏まえ、議会の許可を得て当該答弁を取り消し、又は議長の許可を得て訂正しています。
 なお、訂正は、発言の趣旨を変更することはできないことから、字句に限るものとしています。
 対応に係る時間は把握していませんが、取消し又は訂正は、その会期中に限られますので、各定例会において、迅速な処理を行っています。

質問事項
二の3 同一職員からの度重なる前述のような不誠実な行為の監督責任は、その事実を承知している場合、本人の責任はもちろん、上司にもあると考えるが、併せて見解を伺う。

回答
 管理監督者は、日頃から部下職員を指導監督する職責を担っています。
 管理監督者による指導監督が不適切な場合には、より上位の職員からの指導等により、改善を図ります。

質問事項
三 動物愛護について
1 ペットショップのパピオンについて、日本一と揶揄されるほどの劣悪状態になる前に、都が適正に指導をして改善をさせるなど、動物愛護法を機動的に適用すれば、都民・国民や愛護家から理解を得ることができたと考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、これまで当該事業者に対し、動物愛護管理法に基づき、重点的に監視指導を行い、施設の管理状況等の改善を図ってきました。
 今回、監視指導を行っても施設の管理状況等の改善がなされなかったため、改善勧告、改善命令及び業務停止命令を動物愛護管理法に基づき行いました。
 命令事項は改善されましたが、現状の施設の規模及び職員数では、犬猫の取扱いが困難であると判断し、犬猫等販売業の廃止、第一種動物取扱業の保管の廃業を指導し、それぞれの届出がなされ、鳥類等の販売に業務内容を限定しました。
 当該事業者に対し、法令等に基づく基準の遵守状況について確認するため、引き続き重点的に監視指導を実施していきます。

質問事項
三の2 動物愛護法がありながら、都が迅速に適用できなかった理由を伺う。

回答
 都は、これまで当該事業者に対し、定期的な監視指導を行うとともに苦情を受理するごとに施設に立ち入り、法令等で定められた基準の遵守について指導し、改善を図ってきました。
 今回、繰り返し指導を行っても施設の管理状況等の改善がなされなかったため、動物愛護管理法に基づき期限を定めて改善勧告、改善命令及び業務停止命令を行いました。

質問事項
三の3 今回の事例で迅速な対応ができない一因に動物愛護法の「抜け(欠陥)」があると指摘されているが、どのような法が整備されていれば、迅速な動物の救済が可能だったのか伺う。

回答
 動物取扱業については、動物愛護管理法において基準遵守義務が規定され、遵守すべき基準は、省令等で規定されています。
 都は、基準の遵守状況について監視指導を行っています。
 動物取扱業者に法令遵守を一層徹底させ、適正に監視指導を行うためには、飼養施設や飼養環境に係る、より具体的な基準が必要であると認識しています。

質問事項
三の4 動物愛護法の問題点をどのように国に報告や要望などを伝え、答弁頂いている「言うべきことは言っていく」のか伺う。

回答
 国は、動物愛護管理法において施行後5年を目途として、新法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしています。
 都は、法改正等の機会を捉え、規制内容に現場の実情が反映されるよう、国に対し必要な事項について要望していきます。

平成27年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 宮瀬英治

質問事項
一 民生委員・児童委員に対する都の取組について

一 民生委員・児童委員に対する都の取組について
 民生委員・児童委員への取り組みについて伺う。
 民生委員制度は、平成29年に制度発足100周年を迎える歴史ある制度であり、また主任児童委員制度も20周年を迎え、民生委員ともに日本が誇る取組みである。
 一方、近年では高齢者や児童への虐待、不登校、いじめ、ひきこもり、孤独死、生活困窮、さらには災害対応など、時代の変化とともに新たな課題が生じており、問題を早期に発見し解決に至るための行政の数少ないアウトリーチの役割を担う民生委員・児童委員への役割はますます重要である。
 高齢化社会の到来に加え、問題の複雑化・多様化に対し、民生委員・児童委員自身の高齢化や成り手不足、また地元板橋区では、ひとりあたりの約400世帯を受け持つなど負担の増大、ひいては民生委員・児童委員に対する誤解や偏見など、無償のボランティアである民生委員・児童委員を取り巻く環境は一層厳しさを増している。都民の立場に立てば、民生委員・児童委員に対する待遇改善や環境整備はまさに自らの生命をも左右する喫緊の課題である。一方、基礎自治体である区市町村の自治体もさまざまな対策を行っているが、その取り組みも限界を迎えようとしている。
 民生委員法、児童福祉法によれば、民生委員・児童委員に対する指揮監督は都道府県が行うとあり、また平成27年度においても約12億円の年間予算を投じている東京都に対し、以下について伺う。
1 まず実態を正確に把握するためにも都内の全民生委員・児童委員に対し実態調査を行うべきと考えるが所見を伺う。
2 民生委員・児童委員の高齢化(平均:区域担当63.3歳、主任児童委員54.6歳)が進み、成り手不足が深刻である。平成28年の一斉改選を控え都としてこの問題をどう認識しどう改善していくのか所見を伺う。
3 無償の活動にも関わらず、「給与をもらっているのだろう」と民生委員・児童委員に対する偏見や誤解が絶えない。民生委員・児童委員へのさらなる理解向上のためにも都として広報啓発をさらに充実すべきと考えるが、現在の取組み状況と今後の所見を伺う。
4 首都直下地震に備えた地域の共助力や防災力の向上は喫緊の課題である。内閣府より避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針が発表されているように民生委員・児童委員の役割もまた重要である。しかし一方で、東日本大震災においては、56名の民生委員の尊い命が失われた。そこで、大災害時における民生委員・児童委員の役割と各関係機関との連携について、都としてどのように認識しているのか見解を伺う。
5 大分市では自治体職員が民生委員・児童委員の相談や支援に力を入れるなど独自に民生委員・児童委員をバックアップしていく取り組みを始めた自治体もある。都として民生委員・児童委員の活動環境の整備やサポート体制、各関係機関との連携強化など、さらに充実すべきと考えるが所見を伺う。
 以上、5点を伺う。

平成27年第二回都議会定例会
宮瀬英治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 民生委員・児童委員に対する都の取組について
1 実態を正確に把握するためにも都内の全民生委員・児童委員に対し実態調査を行うべきだが所見を伺う。

回答
 民生委員・児童委員は、日々の活動内容を記録し、毎月、各地区民生児童委員協議会の会長を通じて区市町村に提出しており、民生委員・児童委員の活動実態は、区市町村が把握しています。
 都は、区市町村から活動状況の報告を受けるとともに、民生委員・児童委員の方々と定期的に意見交換を行い、活動に関する情報を共有しており、今後とも民生委員・児童委員の活動実態の把握に努めていきます。

質問事項
一の2 民生委員・児童委員の高齢化が進み、成り手不足が深刻であるが、平成28年の一斉改選を控え都としてこの問題をどう認識しどう改善していくのか所見を伺う。

回答
 民生委員・児童委員は、区市町村の民生委員推薦会の推薦に基づき、都知事が推薦し、厚生労働大臣が委嘱することになっています。
 また、区市町村は、「東京都民生委員・児童委員選任要綱」に基づき、候補者の選任に当たっては、町会・自治会、福祉活動を行うボランティア団体、福祉活動を行うNPO法人、保健医療団体等多方面から幅広く推薦を得るなど、人材の確保に努めており、平成27年4月1日現在の定数に対する現員数の割合は、94.8パーセントとなっています。
 都は、民生委員・児童委員が活動への意欲を高められるよう、新任研修やメンタルヘルス研修、相談対応に関する研修等を実施しており、今後とも民生委員・児童委員が活動しやすい環境の整備に努めていきます。

質問事項
一の3 民生委員・児童委員へのさらなる理解向上のためにも都として広報啓発をさらに充実すべきと考えるが、現在の取組状況と今後の所見を伺う。

回答
 都は、民生委員・児童委員について、都民に正しく理解してもらえるよう、無報酬のボランティアであること、行政の協力機関として様々な活動を行っていることなどを広報紙やホームページを通じて紹介しています。
 また、毎年5月の「民生委員・児童委員の日」活動強化週間には、民生委員・児童委員が参加するパレードや活動を紹介したパネル展示を実施しています。
 今後も引き続き、民生委員・児童委員に対する理解が進むよう、普及啓発に努めていきます。

質問事項
一の4 大災害時における民生委員・児童委員の役割と各関係機関との連携について、都としてどのように認識しているのか見解を伺う。

回答
 民生委員・児童委員は、高齢者や障害者、ひとり親家庭など、地域で援助を必要とする人を把握し、日常的な見守りや相談・支援、関係機関への橋渡しを行うなど、地域福祉の推進のために重要な役割を担っています。
 災害時には、それぞれの区市町村において、地域の実情を踏まえながら、行政や福祉関係者、地域関係者と連携して対応していくことが重要であると認識しています。

質問事項
一の5 都として民生委員・児童委員の活動環境の整備やサポート体制、各関係機関との連携強化など、さらに充実すべきだが所見を伺う。

回答
 都は、民生委員・児童委員の方々と定期的に意見交換を行い、活動を通じて得た問題や改善策等の情報を共有するとともに、疑問や悩みに応えながら、連携・協力関係を深めています。
 また、民生委員・児童委員の活動意欲や相談対応能力を高めるため、研修を実施するとともに、民生委員・児童委員について広く都民に理解してもらうよう、普及啓発を行っています。
 今後とも、これらの取組により、地域福祉の中核を担う民生委員・児童委員の活動を支援していきます。

平成27年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 おときた駿

質問事項
一 東京都青少年問題協議会について
二 要保護児童の一時保護所について

一 東京都青少年問題協議会について
 東京都青少年問題協議会の情報発信と運営体制についてお伺いいたします。本協議会に出席された公募委員からの指摘により、協議会の傍聴告知や情報公開が不十分であることが明らかになりました。この問題については平成27年6月17日の都議会本会議においても、あさの克彦議員が一般質問において、より広く情報公開を行うべきとの観点から質問を行っています。東京都の政策指針を決定する公的な場である協議会は、都民に対して開かれた場であり、多くの意見が集約される場であるのが望ましいことは言うまでもありません。また、同公募委員の発信によると、選定されている委員の質にも疑問が呈されています。そこで、下記についてお伺いいたします。
1 この質問を書いている6月18日時点で、すでに6回の専門部会が終了しておりますが、議事録を読めるのは第二回の専門部会までです。議事録の公開までには2ヶ月から3ヶ月のタイムラグがあり、この間、都民は協議会の情報にアクセスすることができません。さらには都議会議員の立場から、現時点で確認できる資料や議事録を要求いたしましたが、議事録として確定するまではそのすべてが提示できない旨の返答がありました。これでは、都民を代表する都議会議員ですら、議事録がすべて出そろう秋ごろまで、協議会の全体像を把握できないことになります。
 本協議会で議論されている子ども・若者計画は夏ごろの完成を目指していると聞いております。ところが、通年議会でない東京都議会は6月の第二回定例会が終わると、その次に議会が開かれるのは9月です。つまり、都民の代表者である都議会議員が協議会や立案される計画について意見を具申しようにも、情報にアクセスできない状態に置かれ、次の定例会が始まったときには、結論が出ているということになります。もちろん協議会のメンバーには都議会議員も数名任命されておりますが、専門部会の参加者ではありません。
 協議会で決定した行政計画と言うのは、大変重い意味と拘束力を持つものです。それが策定されるまで極めてクローズドな状況に置かれ、大多数の都議会議員が議会で取り上げる機会すら充分に持てないことは、極めて不健全であると思われます。都民、ひいてはその代表者である都議会議員に広く情報を共有し、議論参加への門戸を開くべきと考えますが、見解を伺います。
2 第2回専門部会の終盤において出席した委員より、事務局側から依頼されている「意見書」を出さない委員の存在が指摘されています。多忙の中で委員をお願いしている以上、期限に提出が間に合わないなど一定の事情は配慮するべきかと思いますが、完全に提出がないとすれば問題です。事務局が依頼した意見書を委員が提出しなかったケースはあるか、その場合は何人・何件あったのかお伺い致します。
3 公的な協議会の委員を引き受けた委員の方々には、出席に対して一定の報酬も支払われますし、意見書の提出などはその責務であると考えられます。意見書の提出が遅い、提出がない委員に対して、事務局としてはどのような働きかけを行ったのかお伺い致します。また、こうした消極的な委員を選定することは不適切であったように思えますが、東京都の見解を合わせてお伺い致します。

二 要保護児童の一時保護所について
 去る平成27年5月7日、日テレ「エブリ」というテレビ番組にて、東京都が所管する一時保護所の実態としてセンセーショナルな内容が報道されました。虐待などを受けて緊急保護が必要な要保護児童が生活する一時保護所の中で、職員による暴力や威圧的な態度、私語の禁止や過度の指導などがあったことを指摘し、待遇の改善や第三者による監査機関の設置を提言する内容です。この報道の内容が事実であるとそのまま鵜呑みにするわけにはいきませんが、緊急性が高く精神状態も不安定な子どもたちが生活する一時保護所の環境をより良くしていくことは、喫緊の課題の一つです。そこで、下記について質問いたします。
1 報道にあるような「私語を禁止する」「暴力をふるう」「運動場を子どもの意に反して100周させる」「体調不良を訴えているのに、トイレに行かせない」「『個別』と呼ばれる隔離状態で学習をさせる」などの、要保護児童に対する職員の不適切な指導は事実として行われているものでしょうか。子どもたちの安全を守るためにやむを得ない対応があるとすれば、それはどのような場合でしょうか。具体的にお答えください。
2 子どもたちに理由なき威圧的指導が行われているという疑念を持たれないためにも、調査・勧告・救済機能を持つ第三者機関による一時保護所の評価は必須と考えられます。第三者機関による評価の実施に向けた検討状況と、今後の見通しをご教示ください。
3 文字通り「一時的」な生活場所であるはずの一時保護所ですが、滞在の長期化が指摘されています。平均滞在期間は40日弱、場合によっては100日、200日に及ぶケースもあると仄聞しています。一時保護所にいる間は安全上の観点から学校へ通学が困難になりますし、外出も事実上、ほとんど制限されている状態になると聞いています。これは子どもの生育環境として望ましくないことは明らかです。なぜこのような一時保護所への長期滞在が起こるのでしょうか。また、これを是正するために東京都はどのような努力を行っているのか伺います。
4 前述の外出についてお伺いいたします。そもそも一時保護所に、外出の自由はどの程度あるのでしょうか。仮に外出に許可が必要、無断で外出をさせないとすると、許可を出す条件はどのようなものでしょうか。そして、そうした移動の自由の制限の理由と、根拠はなにかを教えて下さい。
 また外出が許された場合、一人での自由な移動は可能か、あるいは何か条件や制約はあるのか。一人での行動を制約するとすれば、その理由と根拠についても教えてください。
 移動の自由、拘禁されない権利は、基本的人権です。子どもに制約を甘受させる以外に、他のより制限的でない方法で目的を実現できる可能性もあります。他の手段を検討されていないのかも、合わせてご教示ください。
5 子供たちに学校登校について、そもそも学校に通う自由はあるのでしょうか。通学を制限しているとすると、いかなる制限があるのでしょうか。そのような制限を課す根拠と理由とともに教えて下さい。
 学校に通うのは子どもの基本的権利ですが、子どもの通学を制限しない場合や、他のより制限的でない方法で目的を実現しているとすれば、その方法と理由をご教示ください。
6 一時保護所で様々に指摘されている問題は、結局のところ人員不足に起因するのではないかと考えられます。虐待件数の増加などにより一時保護所の定員は常に満員状態、夜間に緊急入所してくるケースも少なくないと聞きます。それに対して、対応する職員は夜間ですと2名から3名程度。精神状態が不安定な子どもがパニックを起こした場合に対応するには著しく不十分な人数で、子ども同士が危害を加えることを防ぐためにも、ときに強い指導が必要になってしまうことは想像できます。そのような事態も、充分な人員体制があれば、多くの場合に避けることができるはずです。
 また一時保護所の長期滞在についても、実親や保護者との交渉や委託先の選定をする人員が充分であれば、短縮することも可能になります。一時保護所は、緊急保護されてきた子どもたちが集まる場でもあり、その環境づくりは児童養護施設以上に困難であるとも言われています。元スタッフや実際に一時保護所に滞在していた元児童へのヒアリングでも、人員体制の不十分さが指摘されています。この分野への投資は、まったく惜しむべきではありません。
 一時保護所の改善をするための人員体制の充実を一刻も早く行うべきと考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。

平成27年第二回都議会定例会
おときた駿議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 東京都青少年問題協議会について
1 行政計画が、策定されるまで極めてクローズドな状況に置かれ、大多数の都議会議員が議会で取り上げる機会すら充分に持てないことは、極めて不健全であり、都民、ひいてはその代表者である都議会議員に広く情報を共有し、議論参加への門戸を開くべきだが、見解を伺う。

回答
 東京都青少年問題協議会の委員は、条例で定める定数6人の都議会議員をはじめ、学識経験者や関係行政庁の職員等により構成されています。同協議会は、審議を弾力的、機動的に行うため、学識経験者からなる専門部会の設置を決定しています。
 これらの会議は、原則公開とされ、傍聴することができます。いずれの会議も、個人のプライバシーや企業秘密等、保護すべき情報が議論される場合もあることから、議事録の公開に当たっては、各委員の発言内容の確認等を経て、公開しています。
 さらに、東京都子供・若者計画の策定に当たっては、都民向けのパブリックコメントも実施しました。

質問事項
一の2 専門部会の事務局から依頼されている「意見書」を出さない委員の存在が指摘されているが、事務局が依頼した意見書を委員が提出しないケースはあるのか。ある場合は何人・何件あったのか伺う。

回答
 専門部会における意見照会は、協議会の限られた日程の中で、審議を円滑に進めるためのものであり、提出は各専門委員の任意の判断となります。

質問事項
一の3 公的な協議会の委員は、意見書の提出などはその責務であるが、意見書の提出が遅い、提出がない委員に対して、事務局としてはどのような働きかけを行ったのか伺う。また、こうした委員を選定することは不適切であったように思えるが、都の見解を合わせて伺う。

回答
 専門部会における意見照会は、協議会の限られた日程の中で、審議を円滑に進めるためのものであり、提出は各専門委員の任意の判断となります。
 したがって、委員の選定については問題ないと考えます。

質問事項
二 要保護児童の一時保護所について
1 報道にあるような要保護児童に対する職員の不適切な指導は、事実として行われているものか。子どもたちの安全を守るためにやむを得ない対応があるとすれば、それはどのような場合か伺う。

回答
 児童相談所の一時保護所においては、「私語を禁止する」や「暴力をふるう」など、一部の報道であったような不適切な指導は行っていません。そのため、都は、児童福祉への取組の信頼を大きく損なうものとして、当該報道機関に対して抗議しました。
 一時保護所は、虐待等の理由により、家庭から一時引き離す必要がある子供や、援助指針を決定するため、十分な行動観察、生活指導等を行う必要がある子供などを一時保護していますが、入所した子供の安全を確保することが第一に求められるため、子供同士のトラブルの際には、行動を制止することがあります。

質問事項
二の2 調査・勧告・救済機能を持つ第三者機関による一時保護所の評価は必須と考えられるが、第三者機関による評価の実施に向けた検討状況と、今後の見通しを伺う。

回答
 平成26年10月8日に、東京都児童福祉審議会から、今後の東京の社会的養護の在り方について、提言をいただきました。その中では、一時保護中の子供の権利擁護と施設運営の質の向上を図るため、外部評価の導入を検討すべきであり、導入に当たっては、子供の意見をどのように取り入れるかについて整理する必要があるとの意見が示されました。
 都は、この提言も踏まえ、一時保護所の外部評価を平成27年8月から開始しています。

質問事項
二の3 文字通り「一時的」な生活場所であるはずの一時保護所だが、滞在の長期化が指摘されている。なぜこのような一時保護所への長期滞在が起こるのか。また、これを是正するために都はどのような努力を行っているのか伺う。

回答
 一時保護所での子供の入所期間が長期になる理由としては、子供の施設入所について児童福祉法第28条に基づく申立てを家庭裁判所に行う場合などが挙げられます。
 児童相談所は、子供の福祉を第一に考え、子供の年齢、生育歴、心身の発達状況、保護者の家庭引取りの可能性など、一人ひとりの状況を総合的に勘案した上で、援助方針を決定しており、丁寧なケースワークを行い、保護者の理解を得て、円滑な支援を実施できるよう努めています。

質問事項
二の4 一時保護所に、外出の自由はどの程度あるのか。仮に外出に許可が必要、無断で外出をさせないとすると、許可を出す条件はどのようなものか。移動の自由の制限の理由と根拠について伺う。また外出が許された場合、一人での自由な移動は可能か、あるいは条件や制約はあるのか。一人での行動を制約するとすれば、その理由と根拠について伺う。他のより制限的でない方法で目的を実現できる可能性もあるが、他の手段を検討していないのか伺う。

回答
 一時保護中の子供の外出は、通院や入所予定の施設の見学など、必要がある場合に認めており、外出する際には、児童福祉司等が同行しています。
 移動の自由の制限については、児童福祉法第27条の3に、子供の自由の行動を制限する場合は、家庭裁判所に送致しなければならないが、同法第33条の2により一時保護している場合は除外すると規定されているため、一時保護所において、子供の行動の自由を制限することができると解釈されています。
 一時保護中の子供には、親権者による連れ去りの危険性などがあるため、都は、こうした規定に基づき、監護上の措置として、必要な制限を実施しています。

質問事項
二の5 子供たちに学校に通う自由はあるのか。通学を制限しているとすると、いかなる制限があるのか。そのような制限を課す根拠と理由について伺う。子どもの通学を制限しない場合や他のより制限的でない方法で目的を実現していれば、その方法と理由を伺う。

回答
 一時保護中の子供の援助方針を決定するまでの間、子供の安全を確保するため、通学を制限することはやむを得ないものと考えています。
 都の一時保護所においては、子供の教育を受ける権利をできる限り保障するため、学習指導員の配置や学習ボランティアの導入などの工夫により、学習を支援するほか、在籍校と連携した学習指導も実施しています。

質問事項
二の6 一時保護所で様々に指摘されている問題は、結局のところ人員不足に起因すると考えられる。一時保護所改善のための人員体制の充実を一刻も早く行うべきだが、都の見解を伺う。

回答
 一時保護所の人員配置は、児童福祉法施行規則第35条において、児童養護施設に係る児童福祉施設最低基準の規定を準用することとされており、2歳未満の幼児おおむね1.6人につき1人以上、2歳以上3歳未満の幼児おおむね2人につき1人以上、3歳以上の幼児おおむね4人につき1人以上、小学生以上おおむね5.5人につき1人以上と規定されています。
 都においては、こうした国の基準よりも職員を手厚く配置しています。

平成27年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 米倉春奈

質問事項
一 エネルギーと環境対策について

一 エネルギーと環境対策について
1 安倍政権は、昨年四月に「原発を重要なベースロード電源」とするエネルギー基本計画を閣議決定しました。この6月には、経済産業省が、2030年にめざす電源の種類別発電比率の報告書をまとめ、原子力を20%から22%、再生可能エネルギー22%から24%、石炭火力26%などの比率を明らかにしました。また、6月8日に、安倍首相は、ドイツ・エルマウのG7首脳会議で、「原発は優れた電源」と述べた上に、地球温暖化防止の温室効果ガス排出削減目標を、2030年までに2013年比で26%と表明しました。
 安倍政権のエネルギーと環境に関する一連の政策は、原子力と化石燃料への依存を継続していく姿勢をあらわにしたものです。
 電源構成比率案や、温室効果ガス排出目標に対し、環境団体等から、「原発の寿命延長を想定するような数字が掲げられていることは大変問題、再生エネルギーや省エネの比率を非常に低く見積もっていて、国民感情を無視している。」「世界第五位の排出国としての責任が感じられず、極めて不十分」と厳しい意見が表明されています。
 知事は、著作で「私はもともと脱原発派」とし、「原発の比重を徐々に小さくしていき、最終的に脱原発を実現する、というやり方が、より賢明で現実的であると考える」と述べてきました(『東京を変える 日本が変わる』)。また、選挙公約で「再生可能エネルギー20%計画の構築」をかかげ、「東京都長期ビジョン」には「再生可能エネルギーによる電力利用割合を2024年までに20%程度に拡大」が書き込まれましたが、安倍政権の政策は、原発の新増設や老朽原発の延命を前提とした「原発回帰」そのものではないでしょうか。
 知事は、この安倍政権のエネルギー・環境政策を、どの様に受け止めていますか。
2 福島第一原発の苛酷事故から、4年3カ月余が経ちました。今なお、12万人の福島県民が避難生活を余儀なくされているにもかかわらず、事故の収束はまったく見通しがついていません。悲惨な事故の教訓から、福井地方裁判所は、大飯原発、高浜原発の再稼動差し止めの判決を明確に下しました。しかし、安倍政権のエネルギー政策大転換のもとで、原子力規制委員会は、鹿児島県の川内原発や、愛媛県の伊方原発が「新基準」に適合しているとしました。
 都民の多数は、危険な原発の再稼動に反対し、安全な再生可能エネルギーの普及を強く望んでいます。国に対して、原発再稼動や老朽化原発延命の流れを断ち切り、安全な再生可能エネルギー普及への転換を求めていただくよう要望します。お考えはいかがですか。
3 新聞報道によれば、国立研究開発法人・国立環境研究所のチームは、この4月、「原発を稼動しなくても、省エネの徹底で、年間1.6%の経済成長を維持し、2030年には温室効果ガス30%以上の削減が可能」との試算を発表しています。ドイツなどのEU諸国やアメリカのカリフォルニア州では、再生可能エネルギーの比率を40%以上にする目標を持っています。省エネを着実に進め、再生可能エネルギーを普及拡大するのが、世界の流れです。
 省エネの促進は、温暖化防止と原発依存から抜け出す上で、欠かすことはできません。「省エネは枯渇しない油田を掘り当てたに等しい価値を持つ」と言われています。
 特に、増え続けている家庭部門への、省エネ支援は重要です。家庭部門の省エネの柱の一つに、住宅の省エネがあります。
 2005年の統計では、全国5320万戸のうち、約4割が無断熱の住宅です。全国で、2050年に全戸が次世代基準の省エネ住宅に移行したとすると、2010年の暖房需要に比して36%まで減らせるとされています。
 その点で、今年度から東京都が、省エネ住宅リフォーム助成を実施するのは意義がありますが、都民から望まれているのは、省エネ仕様への住宅づくりに意欲が湧く、使い勝手が良い制度です。都のリフォーム助成が使える要件は、国(経済産業省)の「既存住宅高性能建材導入事業」の対象になった住宅です。都の助成は、太陽光パネル設置・太陽熱利用、断熱リフォームが対象になりますが、必須とされるHEMSには補助が出ません。国の補助率は3分の1であり、都の補助金とあわせても、都民負担は重いしくみです。
 私は今年の第一回定例会・環境建設委員会で質問し要望しましたが、〔1〕太陽光パネル・太陽熱利用、HEMSというセットでなければならない、〔2〕国の補助対象でないと都の制度は使えない、などのスキームを見直し、断熱ガラス1枚のリフォームでも、都の助成対象になるような使い勝手の良い制度を検討すべきと考えます。答弁を求めます。
4 省エネの促進とあわせ、クリーンで安全なエネルギーの開発、普及が重要です。これまでも要望してきましたが、都は、太陽光、太陽熱、地熱、小水力、バイオマスなど、多様な再生可能エネルギーの開発、普及に努めるべきです。
 都が昨年度から力を注いでいる、水素エネルギーは今の到達では、高コストであり、安全性の確保、供給能力、都民の理解と合意が不十分等、克服しなくてはならない課題が多くあります。とりわけ、製造段階でCO2を排出しますから、温暖化防止に寄与するクリーンなエネルギーと言うには道半ばの段階です。
 CO2排出ゼロのクリーン・エネルギー開発は水素以外にも多面的に取り組まれています。その一つに振動力発電があり、実証実験、実用化の努力が進んでいます。
 JRでは東京駅で、改札口を通過する人の足の振動で発電し、IC改札口の電源にする試みがされ、成功しています。人が歩く振動による電気が、LED照明にも生かされています。首都高速道路の扇橋鉄橋には走行する車の振動力で、照明用発電の試みがされています。また、東京メトロでは、電車がブレーキをかけた時に生じる電力を、駅構内などの電源に使用する取り組みが、東西線・妙典駅など8駅で始まっています。省エネの回生電力として、照明、空調、エスカレーターなどの電源にしています。
 このような新しいエネルギーの開発に対して、都の支援を強めるべきと考えますが、いかがですか。
5 また、回生電力の活用を都営交通でも進めることは重要ですが、取組状況と実績について伺います。
6 東京において普及の可能性が高い太陽光発電の取り組みを強めることが重要です。
 住宅の太陽光発電について、都は「屋根ぢから」、「ソーラー屋根台帳」を進めてきましたが、実績が上がっているとは言いがたい状況です。都民の意欲喚起に向けて、ソーラーパネル設置費用補助の復活を求めます。お答えください。
7 都有施設へのソーラーパネル設置を増やすための具体的な計画をお示しください。
8 まだ活用されていない都道の法面や、UR住宅、公社住宅、都立学校の屋上などに太陽光発電普及の可能性があります。都が各局連携の取り組みをすれば、ソーラーパネル設置の条件を広げることができます。地産地消、小規模自立分散型の電力供給へ、全庁的な検討組織で、今後も進めるべきと考えますが、いかがですか。
9 エネルギー対策に関連して、温室効果ガス排出削減について伺います。
 温室効果ガスの排出増加による地球温暖化は、世界規模で環境に重大な影響を及ぼしています。これまでに経験のない集中豪雨、記録的猛暑、干ばつなどが起き、多くの人命が犠牲になっています。温暖化防止は、喫緊の課題であり、温室効果ガス排出削減への特別の努力が求められています。
 ところが、安倍政権が示した2030年までに2013年比で26%削減の目標は、実質は、1990年比で18%減にとどまります。一方で、EUは1990年比で40%削減の目標ですから、日本は大きく見劣りします。世界の環境保護団体で組織する「気候行動ネットワーク」は、6月4日、「極端に低い目標」を掲げる日本を「化石大賞」としました。この不名誉を挽回するためにも、首都・東京の果たす役割が問われています。
 東京都はこれまで、「2020年に2000年比で25%削減」を目標にしてきました。今年度、7年ぶりに、東京都の環境基本計画が改定の予定です。
 改定される環境基本計画には、世界の流れに遅れることなく、都が積極的な温室効果ガス排出削減目標を定めるよう、強く求めます。具体的な目標値、年度などについてお示しください。

平成27年第二回都議会定例会
米倉春奈議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 エネルギーと環境対策について
1 安倍政権は、昨年四月に「原発を重要なベースロード電源」とするエネルギー基本計画を閣議決定し、6月8日に、安倍首相は、G7首脳会議で、「原発は優れた電源」と述べた上に、地球温暖化防止の温室効果ガス排出削減目標を、2030年までに2013年比で26%と表明した。知事は、この安倍政権のエネルギー・環境政策を、どの様に受け止めているのか伺う。

回答
 エネルギー政策は、国の根幹にかかわる基本政策で、国が決めることであり、エネルギー基本計画では、原発を重要なベースロード電源としつつ、原発依存度については、省エネルギー、再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させるとしています。

質問事項
一の2 都民の多数は、危険な原発の再稼動に反対し、安全な再生可能エネルギーの普及を強く望んでいる。国に対して、原発再稼動や老朽化原発延命の流れを断ち切り、安全な再生可能エネルギー普及への転換を求めるよう要望するが、所見を伺う。

回答
 原発の再稼働については、国が最終的に判断していくべきものと考えます。
 都は、電力の大消費地の責務として、電力需給の安定を図るとともに、気候変動対策にも資する低炭素な電力の利用割合を拡大することが重要との観点から、専門家からの提言も踏まえ、東京都長期ビジョンにおいて、10年後の2024年までに東京の消費電力に占める再生可能エネルギーの割合を20パーセント程度に高める目標を定めました。
 目標の実現に向け、都民・事業者等と連携し、再生可能エネルギー拡大に向けた取組を着実に推進していきます。

質問事項
一の3 都民が望むのは、省エネ仕様への住宅づくりに意欲が湧く、使い勝手が良い制度である。都の助成スキームを見直し、断熱ガラス1枚のリフォームでも、都の助成対象になるような使い勝手の良い制度を検討すべきだが見解を伺う。

回答
 平成27年度から開始する既存住宅における再エネ・省エネ促進事業は、リフォームの機会を捉え、太陽エネルギーの利用拡大と高性能建材を活用した省エネ性能の向上の双方を効果的に進めることを目的としています。
 補助制度は、この目的に沿って設計し、事業実施していきます。

質問事項
一の4 新しいエネルギーの開発に対して、都の支援を強めるべきと考えるが見解を伺う。

回答
 振動力発電など新しいエネルギーの開発に対する支援については国の役割であると認識しています。
 技術的に確立されたエネルギーについては補助制度などにより引き続き支援していきます。

質問事項
一の5 回生電力の活用を都営交通でも進めることは重要だが、取組状況と実績について伺う。

回答
 都営地下鉄では、既に電力回生システムを昭和58年度から順次導入しており、現在、交通局所有の全列車147編成に採用しています。
 電車がブレーキを掛けた時に生ずる電力は、架線に戻して他の電車の運転に利用したり、地下鉄の変電所に送り返して駅の照明、空調、エスカレーターなどの電源として利用しています。

質問事項
一の6 東京において普及の可能性が高い太陽光発電の取り組みを強めることが重要である。都民の意欲喚起に向けて、ソーラーパネル設置費用補助の復活を求めるが、見解を伺う。

回答
 平成21年度から実施していた太陽光発電設備に対する補助については、設置コストが大幅に下がってきたことや、固定価格買取制度が導入されたことなどから、平成24年度で終了しています。
 都は、区市町村と連携した「東京ソーラー屋根台帳」の活用や工務店を対象としたセミナーの実施などにより、引き続き、太陽光発電の導入拡大に取り組んでいきます。

質問事項
一の7 都有施設へのソーラーパネル設置を増やすための具体的な計画を伺う。

回答
 都は、東京都長期ビジョンにおいて、都の率先行動として、都有施設の太陽光発電を2020年までに約2万2千キロワットへ増加させることとしており、今後も都施設での太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー供給設備の導入を進めていきます。

質問事項
一の8 地産地消、小規模自立分散型の電力供給へ、全庁的な検討組織で今後も進めるべきだが、見解を伺う。

回答
 平成26年度に設置した、都施設のスマートエネルギー化を進める全庁推進組織である、スマートエネルギー都庁推進会議における取組として、今後も各局連携して都施設での再生可能エネルギー供給設備の導入等を進めていきます。

質問事項
一の9 今年度改定が予定されている東京都の環境基本計画に、世界の流れに遅れることなく、都が積極的な温室効果ガス排出削減目標を定めるよう強く求めるが、具体的な目標値、年度などについて伺う。

回答
 都は、水素エネルギーの活用や再生可能エネルギーの利用拡大など、温室効果ガス削減に向けて、国はもとより世界の大都市をリードする具体的な行動を取るとともに、東京都環境審議会における専門家を交えた検討・議論を踏まえ、温室効果ガス削減目標を含め、平成27年度末を目途に、新たな環境基本計画を策定していきます。

平成27年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 上田令子

質問事項
一 家庭養護の推進について
二 2020年オリンピック・パラリンピック大会の準備状況について
三 知的・精神・発達障がい者支援について
四 千客万来施設について
五 新銀行東京について
六 都による公金管理ポリシーについて
七 官民連携再生可能エネルギーファンドの投融資案件について
八 見やすい予算書・決算書について
九 学校における各種ハラスメントについて
十 都立高校入試の変更点と進路指導について
十一 選挙権年齢の引き下げと若年層への啓発について
十二 選挙争訟の公正な取り扱いについて
十三 東京都らしい文化戦略について
十四 多摩島しょ振興担当副知事について
十五 都市間交流について
十六 国勢調査の準備状況等について
十七 地域特性を反映した水道事業における地下水の利活用の状況について
十八 警察行政の運用について

一 家庭養護の推進について
 生後3カ月までに結ばれる特定の養育者との絆は、愛着度がことに深いと立証されている昨今、東京都においては平成24年度は335人の2歳未満の乳幼児のうち里親委託されたのは、1ヶ月以上のゼロ歳児2名、1歳以上2歳未満12名、合計14名だけで、過去三年間1ヶ月未満の赤ちゃんの里親委託はゼロです。平成27年4月に策定された「東京都社会的養護施策推進計画」7ページ「東京都の社会的養護の体系図」において乳幼児期の部分は家庭養護がすっぽりと抜け落ち、乳児院のみとなっております。これまで都議会でも議論が重ねられ東京都は「今後とも、子どもの福祉を第一に、養育家庭や、養子縁組などの社会的養護を必要とする児童の家庭“的”養護を積極的に推進する」という答弁をされています。私の平成27年第一回定例会一般質問においても「児童養護施設では、グループホームなどの設置により、本体施設の定員を減らした場合に生じた空きスペースを活用し、児童の生活の場を小規模で家庭“的”な養育が行える形態に変更」と答弁しています。ここで注意を払わねばならないのは「家庭養護」と「家庭“的”養護」とでは、似て非なるものであるということです。グループホームでは、5名から6名の「家庭“的”」な養護をするとはいえ、同一職員が24時間365日関わるわけではありません。これでは、乳幼児に不可欠な同一養育者による一対一の愛着関係が築きようもありませんことから、家庭養護とは程遠いものと考えます。
 このような養育環境のもと、乳児院から半分以上の子どもが養護施設にいき、18歳になるまで1/3くらいの子どもが長らく施設にいるとも言われています。養護施設児の約6割が保護者から虐待を受けた経験があるということも、本年1月に公表された厚労省による「児童養護施設入所児童等調査の結果」で明らかになっています。掃除、食事の用意、家賃・光熱費の支払い等基本的な社会的な知識も習慣も身に付きにくい場合が多く、さらには癒えない傷を抱え社会の荒波に放り出されます。彼ら彼女らの行く末がどのようなことになるかは想像にかたくありません。
 また、平成27年5月7日に、日本テレビ情報番組「エブリ」にて、東京都子ども家庭相談センター一時保護所における子ども達への威圧的な指導について衝撃的な報道がされておりました。私も昨年同施設ならびに一時保護所を、6月1日には江東児童相談所と一時保護所を視察したところです。施設入所児童の進路についても着目していたところですが、一時保護所における教育・生活環境も憲法並びに子どもの権利条約、児童憲章2条すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもって育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。」とされる観点からも課題認識を抱いたところです。
 東京都の要保護児童対策における、これらの現状を踏まえれば、施設から家庭養護へ早急に推進することは世界の趨勢をもってしても議論を待ちませんことから、「家庭的養護」ではなく「家庭養護」、特に「新生児里親委託」の推進と、これまで以上の特別養子縁組・養育家庭等の里親委託事業を推し進めることを切に望み、以下について質問をいたします。
1 一時保護所の現状について
 入所定員、新規入所数、平均入所期間、90日以下90日超の入所者数(厚労省の定める「児童相談所運営指針」第5章一時保護では、“一時保護の期間は2ヶ月を超えてはならない。ただし、児童相談所長又は都道府県知事等は、必要があると認めるときは、引き続き一時保護を行うことができる。”とあり、原則2か月です。)、最長入所期間、長期になった理由、食事・入浴・洗濯の実施状況、厚労省が定める「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」の類するものを一時保護所でも定めているのか、過去3年の事故件数と主な内容、職員研修の実施状況、心理専門職の配置状況についてお示し下さい。また、児童・生徒の、進学時期も含めた教育体制・運動能力の維持をどのようにしているか現状の問題点と課題、虐待を受けた子どもと、非行の子どもが同一環境にいる問題点と課題についてもお答え下さい。
2 「家庭養護」と「家庭“的”養護」について
 東京都では、「家庭的養護を推進」としていますが、家庭養護と家庭“的”養護の違いにつき具体的にお示しください。今後、ことに乳幼児においては、家庭養護推進をする予定はないのかについてもお答え下さい。あるとしたら、その数値目標をお示し下さい。また、乳児院・児童養護施設を通算した入所期間別児童数、「家庭“的”養護」であるグループホームの児童一人あたりの年間予算、本体施設、乳児院、「家庭養護」である里親ファミリーホーム養育家庭の児童一人あたりの年間予算の比較につきましてもお示しください。
3 東京都社会的養護施策推進計画について
 東京都は、本年5月に「東京都社会的養護施策推進計画」(平成27年度から平成41年度)(以下「都計画」と呼ぶ)を策定しました。この計画では、「家庭“的”養護の割合について、概ね6割を目指す」「“家庭養護”と“家庭的養護”の区別を設けることなく、“家庭的養護”を総体として捉えていく」とあります。
 そもそもこの計画は、平成24年11月30日付厚労省通知「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進について」に基づき、国の目標に合わせて、東京都の独自計画を立てるよう求められたものです。
 また、日本政府が批准した2009年12月18日国連総会採択決議「児童の代替的養護に関する指針」で求める「脱施設化方針の策定」にも合致するものです。
 厚労省通知には、“「社会的養護の課題と将来像」では、「施設が9割、里親が1割」である現状に対し、今後10数年の間に、施設の本体施設、グループホーム、里親等の割合を3分の1ずつにしていく”とありますが、都計画では、里親1/3(33.3%)の数値目標はなく、家庭養護(里親)と家庭的養護(施設型グループホーム)を合わせて「家庭的養護」と称し、目標値も6割(60%)と国の「家庭養護+家庭的養護」を合わせた2/3(66.6%)より後退したものとなっています。
 東京都の平成26年3月の里親委託率は12.0%と、全国平均(15.6%)を下回っています。この計画では、養育家庭(里親)の数値目標がないため、「家庭“的”養護」と称した施設型グループホームを、現行の19.2%から48.0%に増やせば、里親委託12.0%のまま推移しても達成できてしまいます。
 親が育てられない子どもの未来を変える都計画は、パブリックコメントで広く都民の意見を募集することなく、また、都議会の審議を経ることもなく、福祉保健局長決定のみで策定されていると思われます。舛添都知事は、都議会定例会知事施政方針で、「世界一の都市」東京に向けた重点施策として、「世界一の福祉先進都市への挑戦」をあげています。親が育てられない子どもの福祉が世界一になるためにも、里親委託率12.0%を大きく増やす必要があります。特に、乳幼児の里親委託の大幅な拡大が必要です。しかし、都計画は、それに大きく逆行したものとなっています。
 つきましては、以下の質問にお答えください。
ア 東京都社会的養護施策推進計画は、舛添知事が承認した計画なのか決定権者をお示しください。
イ 東京都社会的養護施策推進計画については、広く都民にパブリックコメントを募集したのでしょうか。したのであればその結果を、しないのであればその理由をお示しください。
ウ 国が1/3と定めている里親等委託率を、東京都社会的養護施策推進計画に数値目標として策定しない理由をお示しください。
エ 平成20年8月の東京都児童福祉審議会答申「社会的養護の下に育つ子どもたちへの専門的ケアのあり方について」において、「乳幼児期における養育家庭委託の積極的推進」と提言していますが、この提言がいまだに実現されず、乳幼児の養育家庭委託が上述のように低調な理由をお示しください。
オ また、東京都社会的養護施策推進計画に「乳幼児期における養育家庭委託の積極的推進」が入っていない理由をお示しください。
カ 東京都は、養育家庭に乳児を委託する条件として「乳児委託研修」の受講を義務付けています。この「乳児委託研修」の受講実績及び受講者への乳児委託実績を開始年度より直近年度までお示しください。
キ 東京都社会的養護施策推進計画において、養子縁組については、「国の方針を確認し、検討する」とありますが、厚労省はいわゆる「愛知方式」を各自治体に紹介しています。この愛知県で実績を上げている「愛知方式」の導入を検討しない理由をお示しください。
4 グループホームについて
 今後の新設予定、建設予定地、同一法人であればその場所、敷地内に設置してはいないか。担う法人の選定方法についてお答え下さい。また、グループホームの時間帯における職員数、子ども6人に対して、常時いる職員数は、夜勤帯、昼勤帯でそれぞれ何人なのかについてもお示し下さい。
5 権利ノートについて
ア 相談先が全て行政機関のみとなっていることから、子ども達の救済機関、声の受け止めの自由度と選択肢を広げることから外部情報、NPOなどの民間機関、子どもに対する法律援助として日弁連の委託援助事業や「子どもの人権110番」等の掲載を望むものですが所見を伺います。
イ 施設入所児童向けということから一時保護所で配布していないということですが、一時保護所の子どもたちにおいて自らの人権意識の醸成と相談先の提示は必要と考えます。一時保護されている、子ども達に向け権利ノートあるいは相談先一覧など施設児童むけということでなじまないというのであらば、日本テレビの報道を鑑みても、一時保護所の子どもに特化した人権擁護のための冊子が必要と痛感しますが所見を伺います。
ウ 児童養護施設の子ども、退所者に権利ノートの存在を尋ねても知らなかったという少なからぬ声を聞きます。改めまして、子ども達が日常的にその存在を知り、活用できているかお尋ねいたします。
エ 子どもが施設や里親家庭に行く際に、児相職員から権利ノートを手渡し、説明するのが望ましいと思います。また、年一回程度しかありませんが、担当児童福祉司が里親・施設にいる子どもと面接しますが、その際にも、説明を義務付けるといいと思いますが、所見をお示しください。
6 都外施設について
 現在12箇所の都外の児童養護施設があります。都外施設は、たとえば茨城県にある都外施設の場合、遠方かつ交通費の補助もありませんことから、経済的にも物理的にも毎月実親が子どもの面会に行くことが困難です。また、子どもが都外施設を退所した後は、都外施設のある地元で就職し、東京都には戻らないことが想定されることからも、都外施設は、事実上の都外へ子どもを棄民となりますまいか、親子の分断をすすめやしないかと危惧をするものです。早急に、里親委託に切り替え、都外施設は廃止する方向性を打ち出すことを強く望みます。
 つきましては、施設内での事故・被措置児童虐待等緊急時の対応をどうしているのか、児童福祉法上、施設が所在する道府県が対応することはなんら問題がないこととなっていることから、その連携体制についてもいずれも具体的にお示しください。また、子ども達の相談対応はどのようになっているかもフローチャートや事例に則って具体的にご説明ください。都外施設から自立した子どもの就職先(地元・東京都・それ以外)の数字、都内施設・都外施設の親の合計面会数についてもお示し下さい。
7 第三者評価の活用と子どもアンケートについて
 第三者評価とは、福祉サービスを利用者が選択する目安として行われています。しかしながら、児童養護施設や乳児院入所は利用者である子どもや保護者が福祉サービスとして選択できるわけでもなく、施設入所が行政による措置となっている現状では、施設の評価は行政が行い、子どもにふさわしい施設を選択する責任があります。また、東京都によれば、施設に関しての子どもの意見について独自に集計は行っておらず第三者評価で充足しているとのことです。しかしその結果を、「第三者評価は、事業者の取組を促すことを目的」としていることから、通常の入所選定、不調等による委託先変更、定期検査により指導が入った場合の参考にしていないとのことであります。東京都が開始した福祉サービス向上のための事業であること、保育園などの第三者評価と違って、アンケート結果を参考としよりよい施設選びをしてくれる保護者のいない要保護児童に代わって是非今後は活用していただくことを強く求めますがご所見をお聞かせください。また、あくまでも第三者評価結果を活用しないというのであれば東京都が直接施設入所児童へ第三者評価と同じ項目・手法でアンケートを実施してはどうかと考えますが見解をお示しください。
8 施設調査と「施設調査書」、「指導検査結果の概要」のあり方について
 平成27年3月2日に、児童養護施設にて子どもたちが安心・安全・衛生的に暮らしているか確認するために施設調査書ならびに、指導検査結果の情報開示請求をさせていただき、その中身を精査しましたところ、記入漏れ、誤回答が散見されました。例えば、保護者への避難場所の通知の部分が未記入、消火訓練をしていない、調理に関しての検便について、職員がしていないもの、理由が書かれていないもの、検便は職員のはずなのに、「児童」がしていないと書いているものなど、少し食品管理がずさんではないかと思わせる記載があり、都の指導もそれに対して記載がないものがありました。また、消防計画の提出が10年以上前の日付の施設や感染症予防対策のマニュアルが10年以上前の施設も複数ありました。調査書のミスについての指摘が、「指導検査結果の概要」に反映されていないものが多々見受けられています。つきましては東京都に置けます、検査から書類作成までの管理体制、並びに指導・助言を受けてからの施設側の結果報告改善の確認について伺います。

二 2020年オリンピック・パラリンピック大会の準備状況について
1 オリンピック・パラリンピック大会のメイン会場となる国立競技場の建設費負担について、国と都の間で政治問題化しております。この件について、国と都の協議の経過について、具体的に時系列でご説明ください。
2 舛添知事が就任以降、知事は国との協議にどのように関与してきたのか、国からはいつどのような説明を受けてきているのか、具体的にお答えください。
3 当該施設並びに全てのオリンピック・パラリンピックの実施施設について、庁内の責任は明確にされているのでしょうか。局ごとの分掌体制について、ご説明ください。
4 国、組織委員会、都、区市町村、競技団体等のオリンピック・パラリンピックの責任領域と役割分担、予算配分のあり方について、都の基本的な考え方をお示しください。
5 森喜朗組織委員会会長の外遊の状況と都職員(出向者を含む)の随行の有無、その場合の費用分担について、ご説明ください。
6 国立競技場のサブトラックの整備と費用分担について、ご説明ください。
7 カヌー・スラローム場の整備にあたり、周辺地域の協議状況について、ご説明ください。

三 知的・精神・発達障がい者支援について
1 生活保護は、全て他法優先の原則より、医療に関しても自立支援法から適用が優先されます。しかし、生活保護受給者は如何を問わず無料であることから、ブローカーにマージンが入る形で生活保護担当からカネが回っているとの指摘がされています。多剤多量により、処方薬による重症化、それにより更に薬を出すシステムの連鎖が生じている現状について、以下、うかがいます。
ア 抗不安薬や睡眠薬を過剰服用して意識障害などが表れる急性薬物中毒を起こした患者の約4割が、添付文書で定められた規定量を超える処方をされていたとする調査結果を、医療経済研究機構(東京)がまとめました。このような状況にあって、東京都としての取組状況とそれに対する所見をお示しください。
イ 東京都監察医務院の「監察医務院における異状死からみた薬物乱用・依存の実態に関する研究」によれば、薬物中毒死の主たる原因は処方薬にあることが報告されています。この結果をどうとらえて都の精神医療に反映をしているのか、所見をお示しください。
ウ 行政から精神障がい者、精神障がいで生活保護受給者に対して特定の病院を斡旋しないとされていますが、間違いありませんか。また、当該のようなケースに対してはどのような行政対応をしているかお示し下さい。
エ 障害認定は医師の診断書をもって都が認定するが、このようなケースを防ぐためにも第4次東京都障害福祉計画で多数「区市町村との連携」と出てくることもあり、より厳格な審査基準が必要であると見受けられます。ついてはどのような基準で運用されているのかお示し下さい。
オ 都内の医療格差により、江戸川区をはじめ墨東地域の精神障がい者は、都内の病院より隣接する千葉、埼玉の病院へ通うケースが多い。そこで、現状確認として精神科入院ベッド数、利用者の病名別の現状とご所見をお示し下さい。
2 作業所や障がい者雇用の機会を増やしても、B型作業所のように最賃なしもあることから、障害基礎年金、障害厚生年金を合算しても生計が立てられない者も見受けられます。症状によっては、金銭管理が出来ないことから「親亡き後」の対応に漕ぎ着けられず、アウトリーチが進んでいません。2018年度より、障害者雇用推進法改正により、法定雇用率が2%義務化となります。都においても身体障がい者の採用はあるものの、知的、精神の採用枠は極めて限られているとの声があります。また、就労の場が得られたとしても、障がいに見合った仕事と銘打って、生活保護水準以下の「ワーキングプア」を引き起こしている事業所の存在が指摘されています。ついては以下、うかがいます。
ア 地域移行に際し、生活保護を受けずとも、憲法第25条にある文化的で最低限度の生活を担保するために、障害年金と就労賃金で生計が立てられない状態では、第4次東京都障害者計画そのもの全てが「絵に描いた餅」となりうる。最低限、都庁において範を示すべきではないかと思うが、都としてのお考えをお聞かせ下さい。
イ 一般住宅移行に関し、長期入院のような長期間社会生活から隔離された方、高齢の精神障がい者に対して非常にハードルの高いものであり、地域住民の理解、支援が不可欠となります。また同計画を進める上で、事実上の入院と変わらない「地域内隔離」では論外と、精神障がい者団体は厚生労働省を始め強く訴えている。同計画につき、以下、取組状況とご所見をうかがいます。
a 施策目標Ⅰの取組3の3で、障害者向け都営住宅の供給とありますが、都営住宅の抽せん時に障害者を優遇する制度はあるものの、希望する住宅になかなか入れないと聞きます。都営住宅募集の問い合わせ先にはどのようなものがあり、どのような問い合わせが寄せられているのか、伺います。
b 施策目標Ⅰの取組3の4で、救急医療体制の整備、精神科身体救急合併事業が挙がっています。当事者の中には一般住宅での単身移行が出来たにしても、孤独死も多数と伺っております。理由は119番、#7119に掛けても一向に繋がらない、繋がっても中々来ない、症状の度合いも含めた入院受け入れ施設のたらい回しということでした。医療格差は精神科入院可能ベッド数だけでも、江戸川区の41床と隣接する葛飾区、江東区、墨田区を人口比でも明らかです。これらの事業を進める上で、最も基礎となる一般救急整備、拡充も含めて今後の方向性をお示しください。
ウ アウトリーチの手法にACT(包括的地域生活支援)と、就労も含めたIPS(個別的就労支援)と言う考え方があります。これは、医師、看護師、薬剤師、PSW、ピアサポーター、就労支援相談員、生活支援相談員、コーディネーターなどがチームとして一人の当事者に対して「病院から地域へ」、「福祉から就労へ」と結びつける手段で、全国各地で展開されているものの赤字、もしくは不採算である。諸外国では、市民、行政、市場の協働において「第3の道」とする一般的な手法の1つであり、第4次東京都障害福祉計画にも、成果目標設定段階よりこの手法の推進が盛り込まれております。この取組を既に行っている都内のNPO、関係機関に対し、都として助成金や予算を付ける予定があるか。無いなら、具体的に実施事例、ケーススタディを用いて費用対効果も含め、ご所見を伺います。
3 社会福祉法人田無の会に対する行政処分の現状と今後についてうかがいます。「障がい者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律」第50条第一項及び同条、第三項に基づき指定障がい者支援施設行政処分「一部効力停止」が再び昨年9月30日に下りました。
 平成14年の社会福祉協議会からの指導問題以来、苦情相談が耐えず、公益通報もあり現状このような状況に至った点についてのこれまでの定期監査で何をみて、どういう指導をしてきたか東京都の反省点を踏まえた過去から現時点までの課題認識と今後どのような厳正な措置をとっていくか、運営主体、理事会の現状を踏まえて、お答えください。

四 千客万来施設について
1 千客万来のオープン時期について
 先行公募される6街区について、来年3月に業者の決定と発表されていますが、その後の予定について、伺います。6月17日の両角議員の一般質問で、オープンの時期を伺ったところ、千客万来は新市場にとって、「必要な施設であることからできるだけ速やかに開業させていくことが重要」であり、「しっかりとした施設を早期に開業」できるよう取り組む、とのお答えがありましたが、具体的に・現実的にいつ頃のオープンを予定されているのか、改めてお伺いいたします。
2 当初予定とのずれについての見解と再発防止について
 当初の予定である来年11月オープンが間に合わないとすれば、その損失についてどうお考えでしょうか。再発防止に対する策と合わせて、お答えください。
3 5街区含めた全体のオープン時期について
 5街区6街区一体開発は、事実上断念したことになります。先の6街区のオープン時期の回答を踏まえ、5街区を含めた千客万来施設全体のオープンまでのスケジュールについてお答えください。
4 喜代村との契約について
 今回千客万来施設開発における喜代村との契約交渉の経緯について以下、うかがいます。
ア 大江戸温泉物語の延長についての港湾局との情報共有はあったのでしょうか。喜代村との交渉が破談となった主な原因として、大江戸温泉物語の延長が挙げられますが、都としてどこまでがこの延長について情報共有が行われていたのか、お答えください。
イ 喜代村側の温泉掘削についての情報共有はされていたのか、喜代村は、施設開発において温泉の掘削を前提としていたと言われていますが、喜代村が温泉を掘る予定であったことを、都としてどこまで情報共有が行われていたのか、お答えください。
ウ 温泉掘削について環境局はどの程度、把握していたのか。土壌調査・ボーリングにあたっての環境局とのやりとりについて、具体的にご説明ください。
エ 都は、「そもそも温泉施設の設置は要請していない。(大江戸温泉物語の)契約延長を伝える約束をしていたわけではない」(都中央卸売市場管理部)と述べているようだが、期間延長すれば競業関係になることは明らかであり、契約の根幹を揺るがす事態であります。これを、敢えて喜代村側に伝える、もしくは確認する必要がないという判断は、誰が、どのようにして行ったのかお答えください。
オ 中央卸売市場の移転という都の大きなプロジェクトの中で、千客万来施設の契約は重要な位置づけだと考えます。千客万来施設の温浴施設について、情報公開請求をしたところ、書類は2枚しか存在しないということがわかりました。昨年2月の事業予定者の決定から、喜代村が辞退した4月末までの間、都と喜代村の間でどのようなやり取りが行われたのか、また、なぜ文書に残されなかったのか、お答えください。

五 新銀行東京について
1 平成27年度第2回定例会本会議の林田武都議の代表質問に対して、舛添都知事は、「都議会の付帯決議は大変重いものと認識しておりまして、追加出資した四百億円を確保することは、今回の経営統合の前提である」と答弁されました。新銀行東京は経営統合されて東京都が関与する余力は相対的に低下すると考えられますが、その上でこの四百億円の追加出資について、どのように毀損させないのか具体的な方法論があればお示しください。
2 新銀行東京について、上田個人の政策として、「新銀行東京」は融資と投資を明確にしたファイナンスの概念を取り入れ、無担保無保証の廃止。最終的には売却清算を。と掲げてきました。新銀行東京は東京都が1000億円を出資して2004年に設立されましたが、多額の不良債権を抱えて経営危機に陥り、08年に都が400億円を追加出資して再建を進めました。結果的には東京都民銀行と八千代銀行を傘下に持つ東京TYフィナンシャルグループと東京都が約8割出資する新銀行東京は経営統合する方針を固めることとなりましたが、改めて東京都の融資に対する認識をお示しください。また、設立から経営統合にいたるまでの経緯、反省点、事業評価の分析をどうとらえているか、この負の経験値をどう今後のあまねく東京都の融資政策に活かし、二度と都民に負担をかけることのないように活かしていくかについてもお答えください。

六 都による公金管理ポリシーについて
1 公金管理の基本原則としている「安全性・流動性・効率性の確保」についてですが、それぞれの原則とするところの意味合いは平成27年度公金管理計画にも記載してあるところではあります。この公金管理の三原則について、それぞれ基準はどのように設定してあるのでしょうか。お伺いします。
2 金融商品には、投資した元手である元本や利子の支払いの確実性を示す「安全性」、期待される収益を示す「収益性」、換金のしやすさの程度を表す「流動性」の3つの要素があります。これらの3つの要素が全て優れている商品はありません。マネープランに応じて、これらをバランスよく組み合わせることが必要となります。公金管理の三原則では「安全性・流動性・効率性の確保」が掲げられておりますが、これら三原則の配分についてのルールや配分が変更になる際の理由をお伺いします。
3 経済状況が大きく変化した場合、特に悪い方向へ変化した場合において、公金に毀損を生じさせる可能性はあります。その際の責任の所在はどこにあるのか想定しているのでしょうか。また、毀損した損失部分についての補填方法など決まっているのでしょうか。具体的な方法があればお願いします。

七 官民連携再生可能エネルギーファンド等の投融資案件について
 あらゆる投融資には成功するか、失敗するかの不確実性下に置かれております。その中にあって、東京都が今回の官民連携再生可能エネルギーファンドの投融資案件におけるリスク・リターンについて、都の所見を以下について伺います。
1 投資の意思決定において、投資の採択の判断材料として、投資において将来もたらされるキャッシュフローの現在価値の合計が投下したコストよりも大きければ、投資としては採択すべきであるという意思決定となりますが、東京都は個別投融資案件の意思決定にいかなる関与をしているのでしょうか。関与していない場合は、その具体的な理由をお示しください。
2 投融資にはリスク・リターンがあります。東京都はこのようなリスク・リターンの管理、つまりリスクマネジメントの方法について、具体的な方法を持った上で投融資案件に対処しているのでしょうか。
3 官民連携福祉貢献インフラファンドの運用を行うファンドマネジャーを募集するとのことですが、審査方法において具体的な審査基準はありますか。また、そのファンドマネジャーが失敗してファンド全体に損失が出た場合、責任の所在はどこにあり、どのような方法で解決するのでしょうか。

八 見やすい予算書・決算書について
 東京都の行政サービスにおいて、政策立案(計画立案・予算編成)→事務事業実施→行政評価→施策・事業事務の見直しというサイクルがどの部局、どの事業においても行われていると思われます。平成26年第四回都議会定例会文書質問の一の4の質問の回答においても都は毎年度、予算編成の一環として事業評価を行い、決算状況などを厳しく検証した上で、その結果を予算に的確に反映するとお答えいただいております。やはり、予算編成において重要なことは事業評価、行政評価であると考えます。その上で以下について、質問を行います。
1 予算編成において、行政評価が最も重要なものになると考えます。豊島区では、行政評価の評価方法に成果指標、活動指標のほか、必要性・有効性・効率性といった評価項目を設定しております。都は平成26年第四回都議会定例会文書質問の一の4の質問の回答において、事業評価を行い、予算編成に的確に反映するとお答えいただいたが、都における行政評価の評価方法は豊島区のような評価項目は設定しないのか。
2 豊島区においては、すべての事業に対し、事業の所管課が評価するとともに、庁内評価プロジェクトチームが点検・精査することで、最終的に区としての方向性を明確にしております。その際、各事業の拡充、現状維持、改善・見直しのうえ継続、縮小、休止・廃止・完了・統廃合のようにそれぞれの事業について方向性を評価しますが、これら豊島区のような全事業にわたる行政評価はなされないのか。
3 平成26年第四回都議会定例会文書質問の回答にて、都は毎年度、予算編成の一環として事業評価を行い、決算状況などを厳しく検証した上で、その結果を予算に的確に反映するということは了承しておりますことから、質問1、2であげたような豊島区で行われているような予算編成を行わない場合、それ以外の具体的な東京都独自の具体的な方法につきお示しください。

九 学校における各種ハラスメントについて
1 昨今発表されました、「平成26年度に発生した都内公立学校における体罰の実態把握について」について、各学校への周知の状況、防止に向けての取組状況をご説明ください。
2 いわゆるスクールセクハラについての昨年度の状況と再発防止に向けた対応をお示しください。生徒との不適切な関係にならないための予防的な研修等の防止策について、現状の取組状況をご説明ください。
3 スクールセクハラへの対応について
ア スクールセクハラが発生した際、児童・生徒を守り加害教職員を適正な処分にするまでのプロセスについてご説明下さい。
イ 子どもの心身の安全、人権を守るためにどのような配慮をしているのか具体的に取組状況をご説明ください。
4 各区市町村ごとに、事故報告書の提出時期や内容の濃淡にバラツキがないのか、東京都教育委員会として把握している実態と所見について、ご説明ください。
5 「生活指導統一基準」について、導入の経緯、策定状況、課題についてご説明ください。

十 都立高校入試の変更点と進路指導について
 都立高校入試に変更が行われました。主な点は、入試得点と内申の比率が全校7:3に統一される、実技4科の内申評価が2倍になる(主要5教科は1倍)、3教科受験が廃止され受験教科が5教科になりました。また、採点ミスの多発などを受け、原則全校でマークシート方式が採用されると考えております。
1 都立高校入試について変更が行われたが、変更にあたっての考え方をお示しください。
2 マークシートの導入にあたっては、マークミスが心配されるところです。これに対する指導、救済策についてどのようにしていくのか、お示しください。
3 各中学校の進路指導にあたっては、子どもの実力の見立てが科学的に判断できていないのではないか、教員が失敗を恐れて実際の能力よりもかなり低い学校を進めている傾向はないか、危惧されるところであるが、ご所見をお示しください。
4 子どもの貧困問題を鑑みて、進学に向けて、就学援助など幅広い選択肢を児童・生徒・保護者等に示す取組状況をご説明ください。
5 進学指導重点校とそれ以外の高校との違いについて、ご説明ください。
6 自治体間学力格差を是正するための東京都教育委員会の存在意義について、ご所見をお示しください。
十一 選挙権年齢の引き下げと若年層への啓発について
 選挙権年齢を現在の20歳以上から18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が6月17日の参院本会議で全会一致で可決、成立しました。来年夏の参院選から適用され、報道によれば、18歳、19歳の約240万人が新たに有権者になるとのことです。
 これに対する都の対応状況について、うかがいます。
1 都内ではどの程度の有権者の増加が見込まれますか。また、対象者の回答時点の満年齢は何歳何カ月以上と見込まれますか。
2 新たに有権者になる者に対し、選挙権が得られたことを周知することは考えているのか。個別の周知については、選挙時の入場券等の送付以外に方法は考えられるのか。
3 下村博文文部科学大臣は19日の記者会見で、「高校が学校として政治的中立性を確保することは変わらないが、18歳となった高校3年生が選挙運動が可能となることなどを踏まえた見直しは必要だ」と述べ、選挙権が得られる年齢を引き下げて18歳以上にする改正公職選挙法が成立したことを受けて、高校生の政治活動の制限などの指針を示した通知を、今秋までに見直す考えを示し、都選挙管理委員会、都教育委員会それぞれにおいて、考え方と対応状況をご説明ください。
4 若年層の投票率向上には、学校における政治教育が重要です。わが国においては、戦後の一部教職員による政治運動の影響により、学校現場での政治教育は過度にまで控えられる傾向にありますが、都選挙管理委員会、都教育委員会それぞれにおいて、法改正を受けての考え方と来年度以降を含む今後の取組、都選挙管理委員会、都教育委員会を中心とする関係部局がいかに連携・協力して進めていくことになるのかを、ご説明ください。
5 未成年者が投票行動を経験する「模擬選挙」とその教育効果が注目されています。模擬選挙は早いところでは小学校高学年から行われていて、地元の選挙管理委員会などに協力を要請し、実際の選挙と連動して、選挙公報を分析したりテレビや新聞で情報を得たりしながら投開票まで行うこともあります。都内の学校における実施状況と、機材の貸し出し、情報提供等、支援の状況と今後の展開について、ご説明ください。
6 「模擬選挙」は公職選挙法第138条の3の人気投票の公表の禁止に抵触する場合があることが指摘されているが、実際の選挙を対象に「模擬選挙」を行うときに留意すべき点をお示しください。
7 特別支援学校における政治教育について、現状、今後の取組、課題について、ご説明ください。

十二 選挙争訟の公正な取り扱いについて
 今回の統一地方選挙では、都内においては足立区議選の当選者の決定に対して異議申立てが提起されております。仮に同区選挙管理委員会で決着しなければ、都選挙管理委員会に審査請求が起こされることが予想されます。
 そこで、選挙争訟の審理にあたっての都選挙管理委員会の基本的な姿勢、考え方をお示しください。

十三 東京都らしい文化戦略について
 オリンピック・パラリンピックに向けての文化戦略について、以下、うかがいます。
1 上野「文化の杜」構想に関し、共通パスを作る際の来場者数、単価何円程度にするのかをご提示下さい。また、東京文化ビジョンには、今後の整備、充実方針のソフト面のその他で「国立西洋美術館の世界遺産登録への協力」(27ページ)とありますが、都内には江戸・明治期の世界文化遺産登録に値する顕著な普遍的価値を持つ建造物が多数あると考えます。国立西洋美術館について国の協力すべき理由および都内の他の文化的建造物をいかに保全をしていくかご所見をお答え下さい。
2 新たに整備や予算をつけて修繕、復元をするよりは、現状で各博物館、芸術館、美術館で独立採算が取れる形を構築し、展示品の買付けやメンテナンスも含めた維持修繕に充当するほうが、文化的価値がより高くなるものと考えられますが、ご所見をお示し下さい。
3 再開発も含めた文化的施策であるなら、他のエリアも含めそれぞれのエリアごとの予算が提示されていなければ、費用対効果を考えられないですが、予算が既にあるもの、計画段階も含めご提示下さい。
4 文化戦略3、6関係では、障害者アートについて、東京都現代美術館内に「アールブリュット」展示スペースを設けるとしている。これについては大いに歓迎するもので、年齢、性別、国籍を問わず、客観的評価をいちがいにはできません。イギリスの「アンリミテッド」などと連携し、障害者アートを発信する点も高く評価できますが、東京も世界基準に合わせて進めることが望ましいと考えます。また、文化戦略7関連では、内閣府と文部科学省より、聖火ランナーにガンダムを歩かせて行うことが確認されています。島しょを始め、離島も多い東京では物資輸送、遠隔医療で有効的にドローンを活用することも、期待されるが、様々な事故により、法規制が掛けられだしています。ロボットを始めとした科学技術と芸術の融合は、デザインも考えたほうが良いし、これを活用すれば、障害者が芸術に触れやすく、より芸術的価値向上の手助けでも有り、ロボット自体も芸術ということであれば相乗効果は高いと考えます。ついては以下、うかがいます。
ア 障害者が芸術・文化に触れる際の施設案内については先の文教委員会での質疑におきまして、聴覚、視覚障害者に対し、音声ガイド、点字記載での対応は確認されているが、作品の凹凸などが感じられるガイドブック、案内があっても良いのではないかと思いますが、ご所見をお示しください。
イ 障害者が芸術に触れることでの効果は、医学的にも有効であることが主張されております。特別支援学校の児童・生徒が、音楽、絵画、彫刻、舞台、日本文化に触れる機会がどの程度あるのか、考え方をお示しください。
5 都内の児童1人が、年間単位での芸術鑑賞の機会はどれくらいあるでしょうか。延べで構いませんので、お示し下さい。また、学校外で触れる機会を作るとより、発展性のあるビジョンになると思われますが、どのような見解かをお答え下さい。
6 文化戦略4では「東京新人賞(仮称)」について、民間でも価値の高い賞は沢山創設されており、行政がお墨付きを与えずとも手段はあります。また、受賞者の継続的な活動支援で、作品を展示する機会がいくらあっても、作品を作るための資金がないことには無理であり、そこに予算をつぎ込む必要があるのかをきちんと見定め無くてはならないと考えられます。「東京新人賞(仮称)」についてですが、受賞者に対する継続的な活動支援に際し、展示する機会は増えたとしても、作品を作るための費用等どれくらいを目途に用意してあるのかをお示し下さい。
7 今回策定されたビジョンに対し、(公財)東京都歴史文化財団を始め外郭団体も関係することから、「文化政策の背骨」と謳っている以上、各団体がバラバラにやりだしたら収拾がつかないことが危惧されます。生活文化局関連の内、文化芸術分野の外郭法人数と法人の設立意図、内容をお示し下さい。また、外郭団体の文化振興と、今回策定された「東京文化ビジョン」に齟齬が生じた場合、外郭団体のアイデアの方が良い場合、どのように対処していくのかお示し下さい。
8 都響でのアンケートが依然実施されておりません。都立美術館、博物館でのアンケートが無いと、企画展の企画や運営に影響するにも関わらず、実施している形跡は伺えません。都民が文化、芸術により触れ合いやすくするためにも、都響や美術館、博物館でのアンケート実施状況と、外部評価制度についてお示し下さい。
9 浜離宮恩賜庭園には、歴史上延遼館と茶屋があったとされ、中島、松、燕のお茶屋が2015年現在で復元されている。今年以降の復元計画について見通しをお示し下さい。

十四 多摩島しょ振興担当副知事について
 舛添知事が就任し、公約に基づき、昨年2月に多摩島しょ振興担当副知事が選任されました。
1 多摩島しょ振興担当副知事の取組状況、成果と課題について、選任1年余を振り返って、ご報告ください。
2 いわゆる「三多摩格差」についての都の基本的な認識と解消に向けた考え方をお示しください。
3 多摩島しょ振興担当副知事の存在について、都民には十分に周知されていないように感じられます。周知の状況と今後について、お答えください。

十五 都市間交流について
1 今年度予算には、延遼館跡での測量や発掘調査、建物の設計費用等が盛り込まれていますが、予算の執行状況、施策の進捗状況について、具体的にご報告ください。
2 本年5月1日から5月8日まで、都庁第一本庁舎南展望室東側展示スペースで、パネル展示「延遼館の時代 明治ニッポンおもてなし事始め」が開催されましたが、この期間の当該展示ならびに南展望室及び北展望室それぞれについて、入場者数(概算)等をお示しください。延遼館展について、入場者アンケートの結果概要をお示し下さい。また、アンケートを実施しなかったとしたら、その理由もお答え下さい。
3 江戸東京博物館において開催された「大関ヶ原展」について、本年5月1日から5月8日まで(7日を除く)の入場者数をお示しください。
4 2015年2月10日に都庁で行われたツィリル・コザチェフスキ駐日ポーランド大使と知事の面会について、実施の経緯をご説明ください。
5 ツィリル・コザチェフスキ駐日ポーランド大使と知事の面会に、宮島外務長は同席していないようですが、その理由をご説明ください。
6 ツィリル・コザチェフスキ駐日ポーランド大使と知事の面会について、仲介者がいたかどうか、いたとすればその者は誰なのか、お答えください。
7 大使を含む外国要人と知事の面会について、舛添知事就任以降、都議会議員が仲介した例があるか、お答えください。

十六 国勢調査の準備状況等について
 5年に一度の国勢調査の実施が、10月に迫ってきました。
 以下、都内における準備の状況等について、うかがいます。
1 調査員・指導員の募集について、募集数と応募状況、採用数について、男女の内訳を含めてお答えください。
2 調査員・指導員の研修について、取組状況と調査実施までの流れをご説明ください。
3 調査員・指導員の研修の内容について、お答えください。個人情報保護、調査時の安全確保、犯罪事案や児童・高齢者・障がい者等虐待に遭遇した際の対応については、告発・通報義務の徹底をはじめ、具体的にどのような研修をしているのか、ご説明ください。また、万が一、このような事態に遭遇した際の調査員らの安全の確保と相談・支援体制についても、都の対応をご説明ください。
4 関係政省令の改正により、今回の調査から、共同住宅等における国勢調査員の事務を共同住宅等の管理・運営団体に委託できるようになる見込みだが、委託した場合の個人情報保護、調査時の安全確保、犯罪や虐待に遭遇した際の対応について、考え方と取組状況を、お答えください。
5 本年4月には、国分寺市内で、「国勢調査に関わるアンケート」を騙り、個人情報を聞き出そうとする電話がありました。類似の事案は、各地で報じられています。都の対応状況と区市町村・警察等関係機関との連携について、お答えください。
6 発災から4年半が経ってなお各地に避難・移住している東日本大震災・東京電力福島第一原発事故による避難者らの居住期間や移動状況の把握はどのように行うのか、発災後、初めての国勢調査となることから、ご説明ください。
7 調査では、学歴についても問いがあると思いますが、義務教育の未修了者の把握についてはどのように行うのか、前回調査の結果をもとに、ご説明ください。
8 国勢調査の実施後に、事後調査が行われることがありますが、今回は都内では実施されるのでしょうか。実施されるとすれば、その時期、規模、本調査との違いを含む調査内容、予算額とそもそも事後調査の必要性について、ご説明ください。

十七 地域特性を反映した水道事業における地下水の利活用の状況について
1 都は、平成15年6月に多摩地区水道経営改善基本計画を策定し、事務委託の廃止及び東京都への事務移行について、関係市町との協議を進めてきていますが、計画の達成状況について、ご説明ください。
2 小金井市については、平成23年度末をもって、事務委託を完全に解消していますが、平成16年度以降、地下水の揚水量が減っていると聞いております。平成16年度以降の揚水量の変化について、年度ごとにお示しください。
3 揚水量の減少は、上水南浄水所の更新工事を行っているためと聞いているが、更新工事の進捗状況と揚水能力の今後の見通しについて、お答えください。
4 水道事業の事務委託の解消は、行政の効率化のため、進められるべきものですが、水道料金、サービスの変更、水源比率や水質が変化する場合には、関係機関や住民の理解と納得が得られるよう、十分に周知がされる必要があると考えます。周知についての考え方をお示しください。

十八 警察行政の運用について
1 警視庁における告訴・告発・被害認知件数とその運用について
 告訴・告発・被害届の取り扱いについて、被害者保護の観点から、以下、うかがいます。運用を踏まえて、お答えください。
ア 被害届、告訴の取り扱いの違いについて、ご説明ください。
イ 口頭による告訴の取り扱いについて、ご説明ください。
ウ 警視庁におけるDV、ストーカー、性犯罪の被害者が告訴をしたことにより、相手方から逆恨み等による暴行、傷害が懸念される場合の保護について、取組状況をご説明ください。
エ DV、ストーカー、性犯罪の被害者が告訴取り下げ時の効果について、ご説明ください。
2 信号機設置について
 重大事故発生交差点や危険な道路への信号機設置などの対策や優先順位の考え方をお示しください。
3 交通安全対策について
 予算措置と優先順位もあることから一朝一夕に信号機新設が実現しがたい現状において重要視される、子どもと高齢者への交通安全対策の現状、具体的な取組と課題をお示し下さい。
4 現場警察官における接遇対策について
 精神疾患者、認知症高齢者に日常的に対応する警察官の接遇・対処スキル向上、技術を体得することによる警察官の負担軽減を鑑み、対応策・現場警察官への指導方策についてお示しください。
5 DV・ストーカー加害者更正促進について
 平成27年6月16日付読売新聞にて、警視庁などによるとDV・ストーカー加害者治療が困難である現状が報道されていました。つきましては、DV・ストーカー加害者に対する更生プログラムや治療への働きかけに関する取組と課題、再発防止に向けた国や区市関係機関との取組についてお示し下さい。
6 ICT化推進について
 調書作成などのICT化の推進、世代間格差の無いICT指導、交番PC設置をふまえた端末整備の昨年度調査・検討結果及び今後の予定についてお示し下さい。

平成27年第二回都議会定例会
上田令子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 家庭養護の推進について
1 一時保護所の現状として、入所定員、新規入所数、平均入所期間、90日以下、90日超の入所者数、最長入所期間と長期になった理由、食事・入浴・洗濯の実施状況、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」の類するものを一時保護所でも定めているのか、過去3年の事故件数と主な内容、職員研修の実施状況、心理専門職の配置状況について伺う。また、児童・生徒の、進学時期も含めた教育体制・運動能力の維持をどのようにしているか現状の問題点と課題、虐待を受けた子どもと、非行の子どもが同一環境にいる問題点と課題について伺う。

回答
 一時保護所における定員等の状況は次のとおりです。
 平成27年4月1日現在の入所定員は198名となっており、直近の実績となる平成25年度の新規入所児童数は1,699名、退所児童の平均入所期間は42.2日、退所児童のうち入所期間が90日以下の入所児童数は1,584名、90日を超える入所児童数は75名、最長入所期間は199日となっています。
 入所期間が長期となった理由としては、子供の施設入所について児童福祉法第28条に基づく申立てを家庭裁判所に行ったことなどが挙げられます。
 食事については、できる限り変化に富み、子供の健全な発育に必要な栄養が含まれていることや、嗜好にも十分配慮して提供しています。
 入浴については、清潔を維持することができるよう、毎日行っています。
 洗濯については、子供が毎日清潔な衣服を着用できるよう、適宜行っています。
 設備及び運営の基準は、児童福祉法施行規則に基づき、児童福祉施設最低基準における児童養護施設の規定を準用しています。
 平成24年度から平成26年度までの事故件数(被措置児童等虐待件数)は、0件となっています。
 職員の研修は、毎年度策定する、研修計画に基づき、経験に応じた研修を実施しています。
 平成27年度の心理専門職は、各一時保護所2名の定員となっています。
 子供の教育については、一時保護所には、学習の習慣が身に着いていない子供や学習に遅れのある子供も入所しているため、学年や学習の習熟度などに応じた学習指導を実施しています。特に進学時期の子供に対しては、在籍校との緊密な連携を図り、受験対策も実施しています。
 子供の運動については、あらかじめ設定する日課の中に、運動の時間を設け、年齢や健康状態に応じて実施しています。
 虐待を受けた子供と、非行の子供が同一の環境にいることについては、例えば、主訴が「虐待」で、子供自身が情緒的な問題を抱えている場合や、保護者が疾病や障害を抱えている場合もあり、また、主訴が「非行」で、過去に虐待を受けていたなど、子供の抱える課題や養育環境は様々です。そのため、子供たちが健やかに育ち、自立できるよう、それぞれの状況や課題に応じ、総合的に支援していくことが重要と認識しています。

質問事項
一の2 家庭養護と家庭“的”養護の違いについて伺う。今後、ことに乳幼児においては、家庭養護推進をする予定はないのかについても伺う。予定があるとしたら、その数値目標を伺う。また、乳児院・児童養護施設を通算した入所期間別児童数、「家庭“的”養護」であるグループホームの児童一人当たりの年間予算、本体施設、乳児院、「家庭養護」である里親ファミリーホーム、養育家庭の児童一人当たりの年間予算の比較について伺う。

回答
 国は、里親及びファミリーホームを家庭養護、グループホームを家庭的養護としていますが、都は、区別を設けることなく、養育家庭等、ファミリーホーム、グループホームを家庭的養護としています。
 都は、平成41年度までに、社会的養護に占める家庭的養護の割合をおおむね6割となるよう施策を推進することとしており、その対象には乳幼児も含みます。
 施設等の種別ごとの児童一人当たりの年間予算については、グループホームの経費や養育家庭を支援する職員を配置する経費を児童養護施設の予算に計上しているため、算出することは困難です。
 仮に、児童福祉法による児童入所施設措置費等の平成27年度予算額を単純に予算規模で除算した額を児童一人当たりの予算額(千円未満四捨五入)とした場合、次のとおりとなります。
 民間児童養護施設(予算額には、民間グループホームの一部経費を含む。予算規模には、民間グループホームを含む。)については、予算額11,103,130千円、予算規模2,803人、児童一人当たりの予算額3,961千円となります。
 民間グループホーム(予算額は、民間児童養護施設に含まれるものは除く。)については、予算額2,243,383千円、予算規模852人、児童一人当たりの予算額2,633千円となります。
 乳児院については、予算額3,456,097千円、予算規模507人、児童一人当たりの予算額6,817千円となります。
 ファミリーホームについては、予算額350,531千円、予算規模123人、児童一人当たりの予算額2,850千円となります。
 養育家庭等については、予算額763,009千円、予算規模419人、児童一人当たりの予算額1,821千円となります。
 また、児童一人ひとりの乳児院と児童養護施設の入所期間は記録から確認することができますが、集計したものはありません。

質問事項
一の3 東京都社会的養護施策推進計画について
ア 東京都社会的養護施策推進計画は、舛添知事が承認した計画なのか、決定権者について伺う。

回答
 東京都社会的養護施策推進計画の策定に当たっては、説明を受け、内容を承認しています。
 計画の決定権者は、東京都事案決定規程に基づき、福祉保健局長となっています。

質問事項
一の3のイ 東京都社会的養護施策推進計画について、パブリックコメントを募集したのか。募集したのであればその結果を、してないのであればその理由を伺う。

回答
 都は、東京都子供・子育て支援総合計画策定に当たり、平成27年2月12日から同月25日までの間、パブリックコメントを実施しました。
 東京都社会的養護施策推進計画に盛り込んでいる社会的養護を必要とする子供の施策は、東京都子供・子育て支援総合計画にも盛り込まれているため、東京都社会的養護施策推進計画のパブリックコメントは実施していません。

質問事項
一の3のウ 国が1/3と定めている里親等委託率を、東京都社会的養護施策推進計画に数値目標として策定しない理由を伺う。

回答
 平成41年度までに社会的養護に占める「家庭養護」、「家庭的養護」、「施設養護」の割合を3分の1ずつとする目標を示した厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進について」(平成24年11月30日付け)は、地方自治法第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言です。
 都は、これまで、社会的養護の下にある子供が、できる限り家庭的な環境で養育されるよう、国に先んじて、家庭的養護である養育家庭等、ファミリーホーム、グループホームを推進してきました。
 都は、今後も家庭的養護を推進していくこととしており、東京都社会的養護施策推進計画において、平成41年度に、社会的養護に占める家庭的養護の割合を、現在の3割から6割に引き上げる目標を定めています。

質問事項
一の3のエ 平成20年8月の東京都児童福祉審議会答申「社会的養護の下に育つ子どもたちへの専門的ケアのあり方について」において、「乳幼児期における養育家庭委託の積極的推進」と提言しているが、この提言がいまだに実現されず、乳幼児の養育家庭委託が低調な理由について伺う。

回答
 平成20年8月の東京都児童福祉審議会提言を受け、都は、乳幼児期における養育家庭委託の積極的推進のため、里親支援機関の整備、里親への研修の充実、乳児院入所後の乳幼児の養育家庭への措置変更を定期的に検討することなどに取り組んでいます。
 平成25年度末における乳幼児の養育家庭への委託数は97名であり、全国で2番目となっています。

質問事項
一の3のオ 東京都社会的養護施策推進計画に「乳幼児期における養育家庭委託の積極的推進」が入っていない理由を伺う。

回答
 児童相談所では、これまでも、児童の福祉を第一に考え、子供の年齢、生育歴、心身の発達状況、保護者の家庭引取りの可能性など、児童一人ひとりの状況を総合的に勘案した上で、援助方針を決定しており、まずは養育家庭への委託を検討しています。
 東京都社会的養護施策推進計画では、乳幼児期も含め、子供が家庭的な環境の下で、愛情に包まれながら養育されるよう、家庭的養護を一層推進することとしており、養育家庭制度の普及と登録家庭数の拡大、養育家庭等への委託の促進、養育家庭等への支援の充実を図っていくこととしています。

質問事項
一の3のカ 都は、養育家庭に乳児を委託する条件として「乳児委託研修」の受講を義務付けているが、「乳児委託研修」の受講実績及び受講者への乳児委託実績について、開始年度から直近年度まで伺う。

回答
 乳児委託研修は平成20年度から行っています。
 受講実績は、平成20年度25家庭、平成21年度14家庭、平成22年度8家庭、平成23年度14家庭、平成24年度8家庭、平成25年度7家庭、平成26年度8家庭となっています。
 受講者への乳児の委託実績は、平成24年度2家庭、平成26年度1家庭となっています。

質問事項
一の3のキ 東京都社会的養護施策推進計画において、養子縁組は、「国の方針を確認し、検討する」とある。厚労省はいわゆる「愛知方式」を各自治体に紹介しているが、「愛知方式」の導入を検討しない理由を伺う。

回答
 いわゆる「愛知方式」は、特別養子縁組を前提とした里親委託の一つの形態です。
 今後、都は、国の養子縁組に関する研究成果も踏まえ、特別養子縁組を含めた養育家庭等への委託の推進など、家庭的養護の推進に向けた具体的な方策について、専門家の意見を聞きながら検討していきます。

質問事項
一の4 グループホームについて、今後の新設予定、建設予定地、同一法人であればその場所、敷地内に設置してはいないか、担う法人の選定方法について伺う。
 また、グループホームの時間帯における職員数、子ども6人に対して、常時いる職員数は、夜勤帯、昼勤帯でそれぞれ何人なのか伺う。

回答
 グループホームは、児童養護施設を運営する法人自らが実施時期や実施場所等を計画し、民間住宅等を活用して設置するもので、都は、法人からの申請を受け、施設基準の適合性を審査の上、指定しています。
 グループホームに従事する職員は、「東京都養護児童グループホーム制度実施要綱」において、「原則として男女各1名の専任職員(児童指導員又は保育士の有資格者)及び日中業務における補助職員等(非常勤可)を配置するほか、必要に応じてその他職員(非常勤可)を置くものとする。」こととしています。
 時間帯別の職員数については、定めがないため集計していませんが、施設が子供の実態に合わせて適正に職員を配置していることについては、運営指導の中で確認しています。

質問事項
一の5 権利ノートについて
ア 権利ノートの相談先が全て行政機関のみとなっていることから、子ども達の救済機関、声の受け止めの自由度と選択肢を広げることから外部情報、NPOなどの民間機関、子どもに対する法律援助として日弁連の委託援助事業や「子どもの人権110番」等の掲載を望むが、所見を伺う。

回答
 権利ノートでは、児童養護施設等で生活をしていくに当たって、いじめや嫌なことから守られる権利が全ての児童にあることや、困った時の相談先として、都の主な相談窓口を紹介しています。
 児童から相談があった場合には、児童相談所や施設運営所管部署等が連携して迅速に対応しています。

質問事項
一の5のイ 施設入所児童向けなので一時保護所では配布していないとのことだが、一時保護所の子どもに特化した人権擁護のための冊子が必要である。所見を伺う。

回答
 一時保護中の児童に対しては、児童福祉司や一時保護所の職員等が、様々な機会を捉えて、虐待やいじめ等から守られる権利があることを説明しています。
 また、虐待を受けた場合等の相談先を記載した、リーフレット「大切なお知らせ」を必要に応じて配布しています。

質問事項
一の5のウ 児童養護施設の子ども達が日常的に権利ノートの存在を知り、活用できているのか伺う。

回答
 児童養護施設等に入所する児童に対しては、児童福祉司が権利ノート等を説明の上、配布しています。
 都では小学生用・中高生用の2種類の権利ノートを作成した上で、年齢に応じた対応をしており、入所児童が中学校に進学した際には、改めて中高生用を用いて説明しています。
 なお、小学校低学年の児童には、権利ノートの内容が理解できるよう、リーフレット「とてもたいせつなあなたへ」も作成し、併せて説明しています。
 また、児童養護施設の職員等は、日常的な指導や子供会等での学習など、日々の生活の中でも、権利ノートを活用し、子供の権利について説明しています。

質問事項
一の5のエ 子どもが施設や里親家庭に行く際に、児相職員から権利ノートを手渡し、説明するのが望ましい。また、担当児童福祉司が里親・施設にいる子どもと面接する際にも、説明を義務付けるのがいいが、所見を伺う。

回答
 児童が施設入所又は養育家庭委託となる際には、担当児童福祉司が権利ノートを説明の上、配布しています。
 その後、担当児童福祉司が児童と面接する際にも、必要に応じて権利ノートの内容を説明し、児童の生活を確認しています。

質問事項
一の6 施設内での事故・被措置児童虐待等緊急時の対応をどのようにしているのか、施設が所在する道府県との連携体制について伺う。また、子ども達の相談対応についてどのようになっているのか伺う。都外施設から自立した子どもの就職先(地元・東京都・それ以外)の数字、都内施設・都外施設の親の合計面会数について伺う。

回答
 児童相談所は、子供の福祉を第一に考え、子供一人ひとりの状況を総合的に勘案した上で、援助方針を決定しており、自然に恵まれた環境での養育を必要とする場合や虐待等で保護者の居住地から一定の距離を置くことを必要とする場合などには、都外施設に措置しています。
 都は、施設所在地にかかわらず、入所児童の事故や虐待等が発生した場合には、速やかに報告するよう運営法人に対し指導しており、施設から報告があった場合、施設が所在する自治体と連携し、事故や虐待等の全容を把握した上で、事後の対応について指導を行っています。
 相談対応については、都内施設と同様、入所児童が権利ノートに記載されている相談先等に相談できるとともに、都の児童福祉司等が子供と面接するなど速やかに対応し、ケースワークを適切に実施しています。
 なお、子供の就職先については、都外施設から就職により自立した子供の数は把握していますが、就職先を施設所在地・東京都・それ以外に区分して集計していません。
 また、都内施設・都外施設の親の合計面会数については、子供一人ひとりの記録から確認することができますが、集計したものはありません。

質問事項
一の7 第三者評価について、その評価結果を入所選定、不調等による委託先変更、定期検査により指導が入った場合の参考にしていないとのことであるが、東京都が開始した福祉サービス向上のための事業であり、保護者のいない要保護児童に代わり、今後は活用されることを強く求めるが、所見を伺う。また、第三者評価結果を活用しないのであれば、都が直接施設入所児童へ第三者評価と同じ項目・手法でアンケートを実施してはと考えるが見解を伺う。

回答
 第三者評価は、外部の専門家の視点から、サービスの質の向上に向けた事業者の取組を促すことを目的としています。
 施設の指導検査や運営指導においては、第三者評価結果が施設運営に活用されているかを確認しています。
 児童相談所は、施設等に子供を措置する場合には、子供一人ひとりの状況を総合的に勘案した上で、援助方針を決定しており、施設への措置後は、施設からの聞き取りや子供との面接などにより、施設における子供の生活状況や意向について把握しています。

質問事項
一の8 児童養護施設の施設調査書ならびに、指導検査結果の情報開示請求を精査したところ、記入漏れ、誤回答が散見されたが、東京都における、検査から書類作成までの管理体制、並びに指導・助言を受けてからの施設側の結果報告改善の確認について伺う。

回答
 児童養護施設の指導検査に当たっては、実地検査を効率的に行うため、施設に対し事前に施設調査書の作成及び提出を求めています。
 実地検査においては、これを活用しながら、帳票類や生活環境等の確認、職員からの説明聴取などを行っており、調査書の誤記入や未記入の箇所についても、その場で内容を確認するとともに、適正に記載するよう求めています。
 検査結果については、関係法令等に基づき都が定めた指導検査基準に従って評価し、施設設置者へ通知しています。
 基準に違反している事項については、文書による改善状況報告を提出させるなど、改善状況を確認しています。

質問事項
二 2020年オリンピック・パラリンピック大会の準備状況について
1 オリンピック・パラリンピック大会のメイン会場となる新国立競技場の建設費負担について、国と都の協議経過について伺う。

回答
 新国立競技場の整備費負担についてですが、平成25年12月11日のオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会において、「平成25年11月6日に文部科学大臣から当時の猪瀬知事に対して、新国立競技場の整備に関し、都に一部負担してもらいたいとの要請があった」と副知事から答弁していますが、費用負担について、要請を公文書で受理したことはありません。
 その後、平成27年5月18日に、舛添知事が文部科学大臣から、整備費の都負担について、正式に要請を受けました。

質問事項
二の2 知事就任以降、知事は国との協議にどのように関与してきたのか、国からはいつどのような説明を受けてきているのか伺う。

回答
 新国立競技場の整備費負担についてですが、平成27年5月18日に、舛添知事が文部科学大臣から正式に要請を受けました。その際、不明であった工期や総工事費、都民が納得する都負担の根拠など、全体像を明らかにするよう求めました。

質問事項
二の3 当該施設並びに全ての2020年大会の実施施設について庁内の責任は明確にされているのか。局ごとの分掌体制について伺う。

回答
 大会に向けて整備される施設のうち、東京都が整備する新規及び既存の競技施設については、オリンピック・パラリンピック準備局が所管しますが、設計・工事等は適切な局に委任して行います。「有明アリーナ」、「オリンピックアクアティクスセンター」、「大井ホッケー競技場」、「有明テニスの森」及び「武蔵野の森総合スポーツ施設」については財務局に、「海の森水上競技場」については港湾局に、「カヌー・スラローム会場」及び「アーチェリー会場(夢の島公園)」については建設局に、それぞれ執行委任します。
 そのほか、国際放送センター等で使用する「東京ビッグサイト」の設計・工事等は、産業労働局が所管し、財務局に執行委任します。
 なお、新国立競技場は、国が整備します。

質問事項
二の4 国、組織委員会、都、区市町村、競技団体等の2020年大会の責任領域と役割分担、予算配分のあり方について、都の基本的な考え方を伺う。

回答
 組織委員会は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の準備及び運営を主体的に担います。
 都は、開催都市として大会準備を全面的にバックアップし、大会中も都市の活動が正常に行われるようにする役割を担います。さらに、都民に価値あるレガシーを残していく役割を担っています。
 国は、治安や入国管理等、国の権限に属する事項について、大会開催を支援する役割を担っています。
 これらの各主体が、区市町村、競技団体等と連携しつつ、大会の成功に向けて取り組んでいきます。
 それぞれが役割分担に応じて、必要な予算の確保に努めるものと考えています。

質問事項
二の5 森喜朗組織委員会会長の外遊の状況と都職員(出向者を含む)の随行の有無、その場合の費用分担について伺う。

回答
 都と組織委員会とはそれぞれ独立した組織であり、都は、随行の有無を含め、組織委員会会長の海外出張についてお答えする立場にありません。
 また、同委員会に派遣されていない都の職員が、会長の随行という立場で出張を行うことはありません。

質問事項
二の6 国立競技場のサブトラックの整備と費用分担について伺う。

回答
 新国立競技場の整備主体である日本スポーツ振興センターから説明を受けた新国立競技場基本設計の中には、サブトラックの整備計画は含まれていません。

質問事項
二の7 カヌー・スラローム場の整備にあたり、周辺地域の協議状況について伺う。

回答
 カヌー・スラローム会場については、現在、基本設計を進めており、地元江戸川区に対して必要な説明を行っています。
 また、基本設計等の進捗に合わせてオリンピック・パラリンピック環境アセスメント評価書案を作成、公表し、都民意見を募集します。

質問事項
三 知的・精神・発達障がい者支援について
1 精神障がい者支援について
ア 抗不安薬や睡眠薬を過剰服用して意識障害などが表れる急性薬物中毒を起こした患者の約4割が、添付文書で定められた規定量を超える処方をされていたとする調査結果を、医療経済研究機構(東京)がまとめたが、都としての取組状況とそれに対する所見を伺う。

回答
 国は、平成22年に「過量服薬への取組」を公表し、薬物治療のみに頼らない診療体制の構築に向け、当面の対策として、診療ガイドラインの作成・普及啓発の推進や一般医療と精神科医療の連携強化など、5つの取組を挙げるとともに、今後検討していく対策として、向精神薬に関する処方の実態把握・分析など5つの事項を示しました。
 このうち、処方の実態把握・分析については、平成24年1月に実態調査等の研究結果が報告書として取りまとめられたことから、都は、向精神薬の処方における注意喚起を促すため、同月、関係団体に周知しました。
 また、都は国に対し、精神療法の一つである認知行動療法に対する診療報酬について、対象疾患を拡大するとともに、集団を対象として行った場合にも評価するよう要望しています。
 今後とも国の動向を踏まえながら、適切に対応していきます。

質問事項
三の1のイ 東京都監察医務院の「監察医務院における異状死からみた薬物乱用・依存の実態に関する研究」によれば、薬物中毒死の主たる原因は処方薬にあることが報告されているが、この結果をどのようにとらえて都の精神医療に反映をしているのか、所見を伺う。

回答
 都は、薬物依存症の方やその家族を支援するため、都内3か所の精神保健福祉センターにおいて、処方薬を含めた薬物依存症からの回復に向けたプログラムや、薬物依存に関する正しい知識や適切な対応方法等を学ぶ家族教室等を実施しています。
 また、薬剤師が処方箋に基づいて薬を提供する場合には、患者から服用状況等の情報を収集して、必要な指導を行うこととなっており、薬局においては、お薬手帳を活用しながら、複数医療機関からの処方の重複をチェックするほか、服用に際し注意すべき事項などについて必要な助言を行っています。

質問事項
三の1のウ 行政から精神障がい者、精神障がいで生活保護受給者に対して特定の病院を斡旋しないとされているが、間違いないか。また、当該のようなケースに対してはどのような行政対応をしているのか伺う。

回答
 精神保健福祉センター、福祉事務所などにおいて、医療機関への受診に係る相談があった場合には、相談者の住所地や症状等に応じて、医療機関を案内しています。

質問事項
三の1のエ 障害認定は医師の診断書をもって都が認定するが、このようなケースを防ぐためにも第4次東京都障害福祉計画で多数「区市町村との連携」と出てくることもあり、より厳格な審査基準が必要であると見受けられるが、どのような基準で運用しているのか伺う。

回答
 自立支援医療費(精神通院医療)の支給認定を受けるためには、申請者は、申請書に指定自立支援医療機関の医師が投薬内容、精神療法等の現在の治療内容を記載した診断書を添付し、区市町村を通じて精神保健福祉センターへ提出する必要があります。
 精神保健福祉センターは、精神通院医療の対象となる精神障害及びその状態像等を定めた国の支給認定判定指針により、精神通院医療の要否について判定します。
 なお、支給認定に当たり、診断書の内容に疑義等がある場合は、区市町村を通じ、医療機関に投薬状況などの確認をしています。

質問事項
三の1のオ 都内の医療格差により、江戸川区をはじめ墨東地域の精神障がい者は、都内の病院より隣接する千葉、埼玉の病院へ通うケースが多いが、現状確認として精神科入院ベッド数、利用者の病名別の現状と所見を伺う。

回答
 都では、医療法に基づき、東京都保健医療計画において、都全域を対象として精神病床の基準病床数を定めています。
 平成27年4月1日現在の既存病床数は22,436床であり、基準病床数21,956床に対する比率は102パーセントとなっています。
 また、国の精神保健福祉資料によると、平成24年6月30日現在、都内の精神科病院に入院している患者数は20,571人であり、その主な内訳は、統合失調症圏が12,481人、認知症等器質性精神障害が3,726人、うつ病などの気分障害が2,080人となっています。

質問事項
三の2 第4期東京都障害福祉計画について
ア 地域移行に際し、生活保護を受けずとも、障害年金と就労賃金で生計が立てられない状態では、第4次障害者計画そのもの全てが「絵に描いた餅」となりうる。最低限、都庁において範を示すべきだが、都としての見解を伺う。

回答
 都では、知的・精神障害者の企業等への就職を促進するため、平成20年度に、任期6か月以内の臨時職員として雇用するチャレンジ雇用制度を導入しました。その後、平成24年度には、より長期にわたり有意な経験を積むことができるよう、任期1年以内の障害者非常勤職員制度も追加設置するなど、制度の充実に取り組んでいます。
 改正障害者雇用促進法の対応の詳細については、現在、国で検討中であり、今後は、その動向を十分に見極めていきます。

質問事項
三の2のイ 第4期東京都障害福祉計画の取組について
a 都営住宅の抽選時に障がい者を優遇する制度があるが、希望住宅になかなか入れないとのことである。都営住宅の問合せ先にはどのようなものがあり、どのような問い合わせがあるのか伺う。

回答
 都営住宅における障害者支援については、当せん率を障害の程度により5倍や7倍に優遇する措置などを実施し、入居後は障害の状況に応じた住宅設備の改善などの支援を行っています。
 都営住宅募集の問合せ先として、東京都住宅供給公社内に都営住宅募集センターを設け、募集時期、入居資格、応募状況などに関する問合せに対応しています。

質問事項
三の2のイのb 当事者の中には一般住宅での単身移行が出来ても、孤独死も多数と伺っている。医療格差は精神科入院可能ベッド数だけでも、江戸川区の41床と隣接する葛飾区、江東区、墨田区を人口比でも明らかであるが、これらの事業を進める上で、最も基礎となる一般救急整備、拡充も含めて今後の方向性を伺う。

回答
 精神障害者が急な怪我や病気になったときにも、身近な地域で適切な救急医療が受けられるよう、都は、地域精神科身体合併症救急連携事業を実施しています。
 この事業では、地域の拠点となる精神科医療機関に医師等を配置し、患者を受け入れた一般救急医療機関に対する治療上の助言や治療後の精神科医療機関への受入れの調整等を行っています。
 現在、都内5つの二次保健医療圏において同事業を実施しており、今後、都全域での展開を目指していきます。

質問事項
三の2のウ アウトリーチの手法にACT(包括的地域生活支援)と、就労も含めたIPS(個別的就労支援)があり、第4次東京都障害福祉計画にも、成果目標設定段階よりこの手法の推進が盛り込まれているが、この取組を既に行っている都内のNPO、関係機関に対し、都として助成金や予算を付ける予定があるか。無いなら、具体的に実施事例、ケーススタディを用いて費用対効果も含め、所見を伺う。

回答
 都は、医療中断などにより、地域での安定した生活が困難な精神障害者を対象として、アウトリーチ支援事業を実施しています。
 具体的には、都内3か所の精神保健福祉センターに、医師、保健師、福祉職などの多職種のチームを専任で配置し、病状の診立てや生活状況の把握、医療の導入、本人・家族へのサポートなどの支援を、区市町村等と連携して行っています。
 さらに、都は、区市町村が、NPO法人や関係機関と連携して独自に実施しているアウトリーチ事業等について「障害者施策推進区市町村包括補助事業」により支援しており、平成26年度は7区市に対して補助を行っています。

質問事項
三の3 社会福祉法人田無の会に対して、指定障がい者支援施設行政処分「一部効力停止」が再び昨年9月30日に下りたが、平成14年の社会福祉協議会からの指導問題以来、現状このような状況に至った点についてのこれまでの定期監査で何をみて、どういう指導をしてきたか東京都の反省点を踏まえた過去から現時点までの課題認識と今後どのような厳正な措置をとっていくか、運営主体、理事会の現状を踏まえて伺う。

回答
 都は、当該施設に対し、身体的虐待や理事長等の不適切な対応等を理由に、平成25年9月に、一年間の新規利用者の受入れ停止処分を行い、改善が見られなかったため、平成26年9月に再度、同様の処分を行いました。
 その後も、法人所轄庁である西東京市と合同で実地検査を行いましたが、依然改善が不十分なため、平成27年2月に都は施設に改善勧告を行い、市も法人に改善措置命令を行うなど、都と市が連携し運営の適正化に向け強く指導してきました。
 現在、当該施設は、新たな理事長や施設長等の下で運営され、虐待防止研修等の取組を進めていますが、都は引き続き、西東京市と連携し、改善状況の確認や指導を行い、関係法令に基づき厳正に対処していきます。

質問事項
四 千客万来施設について
1 先行公募される6街区について、来年3月に業者の決定と発表しているが、具体的に・現実的にいつ頃のオープンを予定しているのか、伺う。

回答
 千客万来施設は、豊洲市場にとって必要な施設であるため、民間事業者の創意工夫を引き出し、豊洲市場の魅力を高めつつ、地域のまちづくりや活性化に貢献するための施設を早期に開業できるよう取り組んでいきます。

質問事項
四の2 当初の予定である来年11月オープンが間に合わないとすれば、その損失についてどのように考えているのか、再発防止策と合わせて、伺う。

回答
 千客万来施設は、豊洲市場と連携し、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すものであることから、しっかりとした施設を、できるだけ速やかにオープンさせていきます。
 また、再公募に当たっては、公募条件の一部見直しを図り、より多くの事業者が千客万来施設事業に応募できる環境づくりを行うこととします。

質問事項
四の3 5街区6街区一体開発は、事実上断念したことになるが、先の6街区のオープン時期の回答を踏まえ、5街区を含めた千客万来施設全体のオープンまでのスケジュールについて伺う。

回答
 5街区のスケジュールは未定ですが、先行して公募する6街区の状況を勘案しながら改めて公募条件を検討の上、再公募を図り、事業を実施していきます。

質問事項
四の4 喜代村との契約について
ア 大江戸温泉物語の延長について港湾局との情報共有はあったのか。都としてどこまでこの延長について情報共有が行われていたのか伺う。

回答
 当初より、平成26年2月に選定された事業予定者からは、千客万来施設における温浴施設の設置について、大江戸温泉物語株式会社が江東区青海二丁目で営んでいる温泉事業の終了を前提としている旨の説明がなされていなかったため、中央卸売市場から港湾局に対して、同社と港湾局とが締結している土地貸付けの契約期間に関して確認は行っていません。

質問事項
四の4のイ 喜代村は、施設開発において温泉の掘削を前提としていたと言われているが、喜代村が温泉を掘る予定であったことを、都としてどこまで情報共有が行われていたのか伺う。

回答
 事業予定者から環境局に温泉掘削の許可申請に必要な手続の事前相談を行っていることについて、情報共有を行っていました。

質問事項
四の4のウ 温泉掘削について環境局はどの程度、把握していたのか。土壌調査ボーリングにあたっての環境局とのやりとりについて、伺う。

回答
 事業予定者に選定された当該事業者から、温泉掘削の許可申請に必要な手続について、事前相談に応じていました。

質問事項
四の4のエ 都は、「そもそも温泉施設の設置は要請していない。(大江戸温泉物語の)契約延長を伝える約束をしていたわけではない」と述べているようだが、これを、敢えて喜代村側に伝える、もしくは確認する必要がないという判断は、誰が、どのようにして行ったのか伺う。

回答
 当初より、事業予定者からは千客万来施設における温浴施設の設置について、大江戸温泉物語株式会社が江東区青海二丁目で営んでいる温泉事業の終了を前提としている旨の説明がなされていなかったため、同社と港湾局とが締結している土地貸付けの契約延長に関して、中央卸売市場から港湾局に確認を行っていません。

質問事項
四の4のオ 千客万来施設の温浴施設において、情報公開請求をしたところ、書類は2枚しか存在しないということだが、昨年2月の事業予定者の決定から、喜代村が辞退した4月末までの間、都と喜代村の間でどのようなやり取りが行われたのか、また、なぜ文書に残されなかったのか、伺う。

回答
 情報公開請求の対象であった千客万来施設の温浴施設に関しては、事業予定者が自ら集客性及び採算性を精査していたものであり、その過程において事業予定者との話合いも行いましたが、書面としては開示文書以外のものは存在しません。

質問事項
五 新銀行東京について
1 新銀行東京は経営統合されて東京都が関与する余力は相対的に低下すると考えられるが、その上でこの400億円の追加出資について、どのように毀損させないのか具体的な方法論があれば伺う。

回答
 新銀行東京の株式には普通株式と優先株式の二種類があり、現在、都は、追加出資の400億円を、残余財産の分配等で優先権を持ち、日々の株価の変動を反映しない優先株式として保有しています。
 経営統合における株式交換の具体的な内容については今後、新銀行と東京TYフィナンシャルグループとの間で協議が行われることとなりますが、都としては、新銀行の優先株式と、同グループの優先株式とが交換されることを想定しています。

質問事項
五の2 東京都民銀行と八千代銀行を傘下に持つ東京TYフィナンシャルグループと東京都が約8割出資する新銀行東京は経営統合する方針を固めることとなったが、改めて東京都の融資に対する認識を伺う。また、設立から経営統合にいたるまでの経緯、反省点、事業評価の分析をどうとらえているか、二度と都民に負担をかけることのないようにどのように活かしていくか伺う。

回答
 新銀行東京はかつて深刻な経営状況にありましたが、追加出資後は、大幅なコスト削減を行うとともに厳格な与信管理を行いつつ、中小企業向け与信残高を伸ばすなど、収益拡大に努めることで経営目標を超過達成しており、経営再建には目処が立ったと認識しています。
 都としては、都議会の付帯決議を踏まえ、追加出資した400億円を確保することが今回の経営統合の前提であると考えています。

質問事項
六 都による公金管理ポリシーについて
1 公金管理の基本原則としている「安全性・流動性・効率性の確保」について、それぞれの意味合いは平成27年度公金管理計画にも記載してあるが、それぞれ基準はどのように設定しているのか伺う。

回答
 安全性の確保については、元本の安全性の確保を最重要視し、資金元本が損なわれることを避けるため、元本が保証されている金融商品により保管及び運用を行うとともに、預金先金融機関及び債券発行体の経営の健全性に十分留意して、経営状況の監視に係る基準を設けています。
 流動性の確保については、支払等に支障を来さないよう、必要となる資金を確保するとともに、想定外の資金ニーズに備え、資金の流動性を常に確保することとしています。
 効率性の確保については、安全性及び流動性を十分確保した上で、運用収益の最大化を図り、また、効率的な資金調達に努めることとしています。

質問事項
六の2 公金管理の三原則では「安全性・流動性・効率性の確保」が掲げられており、マネープランに応じて、これらをバランスよく組み合わせることが必要だが、これら三原則の配分についてのルールや配分が変更になる際の理由を伺う。

回答
 公金管理の三原則は、優先度の高い順に安全性、流動性、効率性の確保であり、安全性を最重要視し、流動性を確保した上で、効率性を追求するもので、全ての公金運用は、この基本原則に基づいて実施しています。

質問事項
六の3 経済状況が大きく変化した場合、公金に毀損を生じさせる可能性はあるが、その際の責任の所在はどこにあるのか。また、毀損した損失部分についての補填方法など決まっているのか伺う。

回答
 公金の運用に当たっては、運用先の経営評価に加え、金融分野の専門家等で構成する「資金管理・活用アドバイザリーボード」の意見をその都度聞き、さらに株価等の日常監視を行うなど、公金に毀損が生ずることがないよう細心の注意を払っています。
 公金運用の責任は、知事及び会計管理者が負っており、上記のような善管注意義務を果たさなければなりません。
 なお、公金を毀損した場合の損失部分の補填方法などについて、法的な定めはありません。

質問事項
七 官民連携再生可能エネルギーファンド等の投融資案件について
1 都は個別投融資案件の意思決定において、いかなる関与をしているのか。関与していない場合は、その具体的な理由を伺う。

回答
 官民連携再生可能エネルギーファンド広域型について、都は有限責任組合員という立場で参加しています。有限責任組合員である都は投融資の意思決定を行いません。投融資の意思決定は投資事業有限責任組合契約に関する法律に基づき、組合の業務を執行し、債務全額について責任を負う無限責任組合員が行います。

質問事項
七の2 投融資にはリスク・リターンがあるが、都はリスクマネジメントの方法について、具体的な方法を持った上で投融資案件に対処しているのか伺う。

回答
 都は、投資、会計、法律分野等の専門家による検証と確認を受けつつ、運営事業者が意思決定を行う機関のオブザーバーとして参加します。
 さらに、ファンドに対する質問権、検査権を活用し、都が外部委託する監査法人や他の出資者とともに本ファンドの運営を監視していきます。

質問事項
七の3 官民連携福祉貢献インフラファンドの運用を行うファンドマネジャーを募集するとのことだが、審査方法において具体的な審査基準はあるのか。また、そのファンドマネジャーが失敗してファンド全体に損失が出た場合、責任の所在はどこにあり、どのような方法で解決するのか伺う。

回答
 官民連携福祉貢献インフラファンドのファンドマネジャーの審査基準については、5月に公表した「募集要項」内の「FM選定ガイドライン」において、選定要件及び選定基準を掲載しており、これらにのっとって審査を行い、ファンドマネジャーを決定します。
 ファンドマネジャーが投資に失敗した際、「投資事業有限責任組合契約に関する法律」に基づき、無限責任組合員が無限責任を負い、都をはじめとする有限責任組合員は出資額を限度とした有限責任のみを負担します。
 ファンドへの投資に伴うリスクの抑制のため、都は、投資、会計、法律分野等の専門家による検証と確認を受けつつ、運営事業者が意思決定を行う機関のオブザーバーとして参加します。さらに、ファンドに対する質問権、検査権を活用し、都が外部委託する監査法人や他の出資者とともに本ファンドの運営を監視していきます。

質問事項
八 見やすい予算書・決算書について
1 都は、事業評価を行い、予算編成に的確に反映しているとのことだが、都における行政評価の評価方法は、豊島区のような評価項目は設定しないのか伺う。

回答
 都の事業評価は、かつての財政再建推進プランによる見直し努力を財政再建後も継続していくために再構築した制度であり、現在では、現場の視点に基づく自主的、自発的なマネジメントサイクルとして都庁全体に定着しています。
 具体的には、個々の事業について、必要性・有効性・効率性といった観点から、成果や決算状況などの検証を行うとともに、施設整備評価や情報システム関係評価といった専門的な視点による評価を実施し、より多面的な検証を行うことで、一つひとつの事業の質の向上を図っています。

質問事項
八の2 豊島区においては、すべての事業に対し、事業の所管課が評価するとともに、庁内評価プロジェクトチームが点検・精査することで、最終的に区としての方向性を明確にし、その際それぞれの事業について方向性を評価しているが、都においては豊島区のように全事業にわたる行政評価はしないのか伺う。

回答
 都における事業評価は、都が直接実施する事業に加え、監理団体等を通じて実施している事業や特別会計なども含めた全ての事業を対象としています。
 また、予算編成の一環として、きめ細かく事後検証を行い、評価結果を次年度の予算に的確に反映することで、都としての事業の方向性を明確にしています。
 評価結果については、都民への説明責任を果たすという観点はもとより、分析手法を広く庁内で共有する観点などから、平成26年度は521件を公表し、更なる事業の見直しに結びつけています。

質問事項
八の3 都は毎年度、予算編成の一環として事業評価を行い、決算状況などを厳しく検証した上で、その結果を予算に的確に反映するということを了承しているが、豊島区で行われているような予算編成を行わない場合、それ以外の具体的な東京都独自の具体的な方法について伺う。

回答
 都における事業評価の最大の特徴は、予算編成の一環として実施していることにあります。
 事業評価として、決算状況はもちろんのこと、事業の成果やコストなど幅広く検証をした上で、見直し・再構築や拡大・充実等の評価を行い、その評価を予算編成に反映させています。これにより、実効性や効率性の高い施策の構築に寄与しているものと考えています。
 このことは、評価自体が目的となってしまいがちだとの意見も見られる一般的な行政評価と比べ、一歩進んだ取組であると認識しています。
 また、評価に当たっては、施設整備や情報システムの関係部局と連携した専門的見地からの検証や、財務諸表等の新たな公会計手法を活用した多角的な検証を行うなど、評価手法の充実にも努めています。
 今後とも、関係部局との連携を密にし、都の自己改革の取組として、事業評価の一層の活用を図っていきます。

質問事項
九 学校における各種ハラスメントについて
1 「平成26年度に発生した都内公立学校における体罰の実態把握について」について、各学校への周知の状況、防止に向けての取組状況を伺う。

回答
 「平成26年度に発生した都内公立学校における体罰の実態把握」の調査結果については、都立学校長及び各区市町村教育委員会に送付し、各校において実施する服務事故防止研修で活用するよう周知しています。
 また、都教育委員会は、毎年、7月及び8月を体罰防止月間として、都内の公立学校において体罰防止のための校内研修をしっ皆で実施するほか、昨年、新たに作成したDVD「STOP体罰」や「体罰関連行為のガイドライン」を活用した実践的な教材を配布し、体罰事故防止に向けて取り組んでいます。

質問事項
九の2 スクールセクハラについて、昨年度の状況と再発防止に向けた対応を伺う。生徒との不適切な関係にならないための予防的な研修等の防止策について、現況の取組状況を伺う。

回答
 平成26年度に児童・生徒に対するセクシャルハラスメントにより懲戒処分を受けた教職員は7名で、5名が懲戒免職処分、2名が停職処分となっています。停職処分を受けた2名のうち1名は、処分後に退職しましたが、1名については、服務事故再発防止研修を受講させています。
 都教育委員会は、服務事故を防止するため、年2回(4月と12月)の服務通達の発出や処分発令時に事案の公表を行っています。さらに、都内の公立学校各校は、体罰防止月間(7月及び8月)及び服務事故防止月間(12月)の際に、しっ皆で研修を実施しています。

質問事項
九の3 スクールセクハラへの対応について
ア スクールセクハラが発生した際、児童・生徒を守り加害教職員を適正な処分にするまでのプロセスについて伺う。

回答
 都立学校は校長が、区市町村立学校は区市町村教育委員会が事故報告書を作成し、都教育委員会に提出します。
 都教育委員会は、事故報告書に基づき服務事故を起した教職員及び校長等から事情聴取を行い、教職員懲戒分限審査委員会の審査の後、教育委員会での審議等を経て懲戒処分を行います。

質問事項
九の3のイ 子どもの心身の安全、人権を守るためにどのような配慮をしているのか具体的に取組状況を伺う。

回答
 児童・生徒が、教職員からセクシャルハラスメントなどを受けた場合、校長は、学級担任や養護教諭等を窓口として、当該児童・生徒に対する組織的な相談体制を構築して対応します。
 その際、学校は、必要に応じてスクールカウンセラーの専門的な助言を得ながら、当該児童・生徒の心のケアを行っています。
 また、都教育委員会は、学校や区市町村教育委員会からの要請に基づき、臨床心理士を派遣するなど、学校の取組を支援しています。

質問事項
九の4 各区市町村ごとに、事故報告書の提出時期や内容の濃淡にバラツキがないのか、東京都教育委員会として把握している実態と所見について、伺う。

回答
 児童・生徒に対するセクシャルハラスメント等の服務事故が発生した段階で、区市町村教育委員会は、直ちに都教育委員会に連絡し、詳細な事実関係等の調査を行った上で、速やかに事故報告書を提出しています。
 このことについての区市町村ごとによる違いはありません。

質問事項
九の5 「生活指導統一基準」の導入の経緯、策定状況、課題について伺う。

回答
 平成24年2月に策定した、都立高校改革推進計画第一次実施計画に基づき、都教育委員会は、生徒の規範意識や公共の精神等の育成を図るため、都立高校生の「社会人として身に付けさせる規律・規範」の目標を定めました。
 この目標に基づき、平成25年度から全都立高校では、生徒に身に付けさせるべき規律や規範に関わる全体計画を立て、生徒の実態に応じた指導を行っています。
 現在、各都立高校において、問題行動発生時の対応の在り方、その後の指導の進め方などについて検討し、組織的な生活指導の一層の充実を図っています。

質問事項
十 都立高校入試の変更点と進路指導について
1 都立高校入試について変更が行われたが、変更にあたっての考え方を伺う。

回答
 学力検査に基づく選抜の目的は、受検者が中学校で身に付けてきた「各教科の基礎的・基本的な知識・技能」や「それらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力」等、高等学校における学習の基盤となる力を評価し、選抜することです。
 都教育委員会は、この目的が、受検者、保護者及び中学校に対し明確に伝わるよう、学力検査における教科数、学力検査の得点と調査書点の比率など、これまで各高等学校に委ねられていた選抜方法を共通化することとしました。

質問事項
十の2 マークシートの導入にあたっては、マークミスが心配されるが、これに対する指導、救済策についてどのようにしていくのか伺う。

回答
 マークシート方式の導入や出題形式・解答形式の変更などについて説明したリーフレットを、本年9月に作成し、都内公立中学校の全ての中学3年生に配布します。また、受検者が実際に問題を解き、答えをマークする練習ができるよう、マークする際の留意点だけでなく、数学の計算問題など具体的な問題と解答欄を掲載したリーフレットと解答用紙のサンプルを12月までに作成・配布するとともに、中学校における事前指導の徹底を求めていきます。
 なお、平成26年度の選抜において、マークシートモデル実施校では、機械の読み取りエラーが生じた場合には、複数の者でマークシートの原本を点検し、データ上で修正を行うと規定した採点・点検実施要項に基づき、適正に対応しました。今後、マークシート方式を導入する全ての高等学校においても同様に徹底を図っていきます。

質問事項
十の3 各中学校の進路指導にあたり、子どもの実力の見立てが科学的に判断できていない、教員が失敗を恐れて実際の能力よりもかなり低い学校を進めている傾向はないか、危倶されるが、所見を伺う。

回答
 各中学校では、生徒の能力・適性、進路希望等に基づいた進路指導を、校長を中心として、進路指導主任や学年の教員などにより組織的に進めています。
 今後とも、都教育委員会は、生徒一人一人が、自己の能力や適性等に応じて主体的な進路選択や自己決定ができるよう、区市町村教育委員会と連携し、各中学校における適切な進路指導を支援していきます。

質問事項
十の4 子どもの貧困問題を鑑みて、進学に向けて、就学援助など幅広い選択肢を児童、生徒、保護者等へ示す取組状況を伺う。

回答
 進路指導においては、児童・生徒が発達段階に応じて主体的に進路を選択できるよう、適切な情報提供や相談活動等が重要です。
 小学校では、私立の中学校や国・公立の附属中学校及び中等教育学校の進学希望者に対して、個別の相談等を行っています。
 中学校においては、高校入試に関する様々な情報や就学・奨学のための制度等を生徒に説明しています。
 都立高等学校においては、生徒の能力や適性等に応じた多様な進路選択ができるよう、学校全体で組織的な指導体制と相談体制を構築しています。

質問事項
十の5 進学指導重点校とそれ以外の高校との違いについて伺う。

回答
 進学指導重点校では、公募による意欲や能力の高い教員の配置や予備校による進学指導コンサルティング等を実施し、教科指導力の向上を図るほか、長期休業日の講習や志望大学に対応した補講、個別指導を行うなどきめ細やかな指導を行い、難関国立大学等への合格者数を毎年着実に増加させています。
 また、これまで蓄積してきた進学指導のノウハウを他の都立高校に還元し、都立高校全体の学力及び進学実績の向上をけん引する役割も担っています。

質問事項
十の6 自治体間学力格差を是正するための東京都教育委員会の存在意義について所見を伺う。

回答
 都教育委員会は、都内の公立学校の児童・生徒に確かな学力を育むため、児童・生徒の学力に関する調査を実施しており、この調査結果から、習熟の進んでいる層から学習が遅れがちな層まで幅広く分布している状況を把握しています。
 このため、都教育委員会は、これまでも指導方法の工夫改善を図るために教員を加配したり、外部指導員を活用して基礎学力の向上を図る推進地域を指定したりするなどして、各学校を支援してきました。
 今後とも、都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携し、東京ベーシックドリルの活用や効果的な習熟度別指導の充実等を通じ、東京都全体の学力水準の維持向上を図っていきます。

質問事項
十一 選挙権年齢の引き下げと若年層への啓発について
1 選挙権年齢を現在の20歳以上から18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が成立したが、都内ではどの程度の有権者の増加が見込まれるか。また、対象者の回答時点の満年齢は何歳何か月以上と見込まれるか伺う。

回答
 平成22年の国勢調査における都内の18歳及び19歳の人口は、おおむね24万人です(次の国勢調査は平成27年10月)。
 また、公職選挙法では、選挙権の要件たる年齢は、選挙の期日(投票日)において算定することとなっています。

質問事項
十一の2 新たに有権者になる者に対し、選挙権が得られたことを周知することは考えているのか。個別の周知について、選挙時の入場券等の送付以外の方法はあるのか伺う。

回答
 選挙権年齢引下げの改正公職選挙法が平成27年6月19日に公布されました。
 都選挙管理委員会は、選挙権についてホームページやソーシャル・ネットワーキング・サービスなどを活用し周知に努めています。
 なお、文部科学省と総務省は、現在高校生向けの副教材を作成し、平成27年度中に配布すると聞いています。
 選挙時の投票所入場券の送付以外の方法など個別の周知については、区市町村の選挙管理委員会と情報共有を図っていきます。

質問事項
十一の3 下村博文文部科学大臣は、改正公職選挙法が成立したことを受けて、高校生の政治活動の制限などの指針を示した通知を、今秋までに見直す考えを示したが、都選挙管理委員会、都教育委員会それぞれにおいて、考え方と対応状況について伺う。

回答
 文部科学省から、高校生の政治的活動についての指針を示した、昭和44年通知「高等学校における政治的教養と政治的活動について」の見直しを検討していると聞いています。
 文部科学省の検討結果に基づき、都教育委員会と都選挙管理委員会は、都立学校が法改正の趣旨を踏まえた指導ができるよう、連携して支援していきます。

質問事項
十一の4 若年層の投票率向上には、学校における政治教育が重要であるが、都選挙管理委員会、都教育委員会それぞれにおいて、法改正を受けての考え方と来年度以降を含む今後の取組、両委員会を中心とする関係部局がいかに連携・協力して進めていくことになるのかを伺う。

回答
 都立学校においては、これまでも政治や選挙について高い関心を持ち、積極的に社会に参画する人材の育成に向け、主権者教育を行ってきました。
 今後、都教育委員会は、公職選挙法改正の趣旨を踏まえ、都及び区市町村の選挙管理委員会事務局や、未成年者への主権者教育を推進するNPO団体と一層の連携・協力関係を築くなど、主権者教育の充実に努めていきます。

質問事項
十一の5 未成年者が投票行動を経験する「模擬選挙」とその教育効果が注目されているが、都内の学校における実施状況と、機材の貸し出し、情報提供等、支援の状況と今後の展開について、伺う。

回答
 平成26年度中に、都及び区市町村選挙管理委員会が関与して模擬選挙・出前授業等を実施した小学校・中学校・高等学校は約90校です。
 また、投票箱や記載台等の選挙用機材を貸し出した学校は約150校です。
 都選挙管理委員会のホームページでは、「選挙出前授業・模擬選挙」のコーナーを設け、実施団体向けに情報や資料の提供を行っています。
 今後も、模擬選挙等の実施に向けて、実施団体等へ支援していきます。

質問事項
十一の6 「模擬選挙」は公職選挙法第138条の3の人気投票の公表の禁止に抵触する場合があることが指摘されているが、実際の選挙を対象に「模擬選挙」を行うときに留意すべき点を伺う。

回答
 公職選挙法第138条の3では、公職に就くべき者を予想する人気投票の経過又は結果を公表することを禁止しています。
 都選挙管理委員会は、都教育委員会と連携を図り、模擬選挙等が法令を遵守し適切に行われるよう支援していきます。

質問事項
十一の7 特別支援学校における政治教育について、現状、今後の取組、課題について伺う。

回答
 特別支援学校においては、主体的に社会に参画する力を生徒に身に付けさせるため、生活に結び付いた具体的な学習活動を通して、政治や選挙への関心を高めるとともに、主権者としての自覚を培うことが重要です。
 具体的には、知的障害特別支援学校では、生徒会役員選挙などの機会を活用して、選挙の基本的な仕組みについて学習するとともに、生徒会活動等を通じて、自治意識の育成など主権者としての自覚を高めています。
 また、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由及び病弱の特別支援学校高等部では、高等学校に準じた取組を行っています。
 今後とも、都教育委員会は、障害の種類や程度に応じて、こうした特別支援学校における指導の充実に努めていきます。

質問事項
十二 選挙争訟の審理にあたっての都選挙管理委員会の基本的な姿勢、考え方を伺う。

回答
 都選挙管理委員会に対して、公職選挙法第202条第2項に基づく審査申立てが行われた場合は、公職選挙法等の法令に従い、公明かつ適正に裁決を行うこととしています。

質問事項
十三 東京都らしい文化戦略について
1 上野「文化の杜」構想に関し、共通パスを作る際の来場者数、単価何円程度にするのか伺う。また、東京文化ビジョンには「国立西洋美術館の世界遺産登録への協力」とあるが、国立西洋美術館について国に協力すべき理由及び都内の他の文化的建造物をいかに保全していくか所見を伺う。

回答
 上野地区の活性化を目的に、文化施設や民間企業、行政機関で構成される上野「文化の杜」新構想推進会議が設置されています。今後、都では、同会議と連携し、共通入場券の検討を行います。
 また、国立西洋美術館については、同会議が世界遺産登録に協力しています。
 なお、都内の文化的建造物の保全については、それぞれの建造物の状況に応じ、所管局等が対応しています。

質問事項
十三の2 新たに整備や修繕、復元をするより、現状で各博物館、芸術館、美術館で独立採算が取れる形を構築し、展示品の買付けやメンテナンスも含めた維持修繕に充当するほうが、文化的価値がより高くなるものと考えられるが、所見を伺う。

回答
 都では、伝統、現代美術、演劇、写真、音楽など、多彩な分野を扱う都立文化施設を設置しており、指定管理者制度等に基づき、これらの施設を最大限活用しています。

質問事項
十三の3 再開発も含めた文化的施策であるなら、他のエリアも含めそれぞれのエリアごとの予算が提示されていなければ、費用対効果を考えられないが、予算が既にあるもの、計画段階も含めて伺う。

回答
 都内には、伝統芸能、芸術、ファッション、ポップカルチャーなど、文化的特徴を際立たせる文化資源を持つ地域が様々に存在しています。こうした地域については、行政や民間等の多様な主体が、それぞれの地域の文化的魅力向上に向けた拠点づくりのための取組を進めており、都としても、これらの取組を支援しております。

質問事項
十三の4 障害者アートについて
ア 障害者が芸術・文化に触れる際の施設案内について、作品の凹凸などが感じられるガイドブック、案内があっても良いのではないかと思うが、所見を伺う。

回答
 都立文化施設では、展示や事業等での工夫を行い、障害者にとっても楽しめる取組を実施しています。
 例えば江戸東京博物館においては、展示資料をかたどった模型による視覚障害者用触察展示「手で見る展示」を行うなど、視覚に障害のある方が手で触れ感じることのできるサービスを実施しています。
 また、東京都美術館では、障害者を含む子供たちが、楽しみながら鑑賞や創作活動等を直接体験することができるプログラムを行っています。

質問事項
十三の4のイ 障害者が芸術に触れることでの効果は、医学的にも有効であることが主張されている。特別支援学校の児童・生徒が、音楽、絵画、彫刻、舞台、日本文化に触れる機会がどの程度あるのか、考え方を伺う。

回答
 各特別支援学校では、音楽鑑賞会や演劇鑑賞会など、障害の種類等に応じて、児童・生徒が芸術文化に触れる機会を設けています。
 さらに、都教育委員会においても、東京都特別支援学校総合文化祭を毎年開催し、全特別支援学校で児童・生徒が取り組んでいる造形美術、音楽、写真、演劇、書道、放送・映像等の学習の成果を、広く都民に発表するとともに、児童・生徒が鑑賞する機会を設けています。

質問事項
十三の5 都内の児童1人が、年間単位での芸術鑑賞の機会について伺う。また、学校外で触れる機会を作るとより、発展性のあるビジョンになると思われるが、見解を伺う。

回答
 各小学校では、子供たちが、より質の高い芸術や文化に親しみ、直接、触れることができるよう、音楽や演劇の鑑賞会などの文化的行事を行っています。
 また、学校外で子供たちが自主的に参加できる機会としては、子供たちが楽しみながら鑑賞や創作が体験できる美術館・博物館でのプログラムや、プロの芸術家の指導により子供たち自身が主役の舞台作品を作り上げるワークショップなど、様々な事業を進めています。

質問事項
十三の6 「東京新人賞(仮称)」についてだが、受賞者に対する継続的な活動支援に際し、展示する機会は増えたとしても、作品を作るための費用等どれくらいを目途に用意してあるのか伺う。

回答
 東京新人賞(仮称)の創設に当たっては、新進若手芸術家の才能が開花し、世界を舞台に活躍ができるよう、民間の顕彰事業の動向を踏まえつつ、支援の在り方など、今後内容の検討を進めていきます。

質問事項
十三の7 生活文化局関連の内、文化芸術分野の外郭法人数と法人の設立意図、内容を伺う。また、外郭団体の文化振興と、今回策定された「東京文化ビジョン」に齟齬が生じ、外郭団体のアイデアの方が良い場合、どのように対処していくのか伺う。

回答
 生活文化局が所管する監理団体は、公益財団法人東京都歴史文化財団と公益財団法人東京都交響楽団の2団体あり、これまでも都の文化振興施策の担い手としての役割を果たしてきています。
 東京都歴史文化財団は東京都における芸術文化の振興や都市の歴史及び文化の継承発展を目的とし、東京都交響楽団は交響楽を通じて都民の情操を豊かにするとともに音楽芸術の普及向上を目的として、それぞれ文化事業を展開しています。
 「東京文化ビジョン」は、これら2団体とも十分に意見交換を行った上で策定しており、今後も緊密に連携を図り、施策を進めていきます。

質問事項
十三の8 都響でのアンケートが依然実施されていない。都立美術館、博物館でのアンケートがないと、企画展の企画や運営に影響するにも関わらず、実施している形跡はない。都民が文化、芸術に触れ合いやすくするためにも、都響や美術館、博物館でのアンケート実施状況と、外部評価制度について伺う。

回答
 公益財団法人東京都交響楽団では、演奏会場への意見箱の設置や来場目的等のアンケートを通じて、お客様の意見を聴取しています。
 また、音楽評論家や専門誌から評価を受ける機会を積極的に設けています。
 都立の美術館、博物館では、展覧会の内容や館内サービスに関するアンケート及び顧客満足度調査を実施し、展覧会の企画や施設運営等に活用しています。さらに、各施設では外部評価委員会を設置し、外部専門家等により年に一回評価を受けています。
 また、都としても、指定管理者管理運営状況評価制度により、各施設の管理運営の評価を実施しています。

質問事項
十三の9 浜離宮恩賜庭園について、今年以降の茶屋の復元計画の見通しを伺う。

回答
 浜離宮恩賜庭園では、戦災等で焼失した茶屋群の復元を進めており、昭和58年の中島の茶屋、平成22年の松の茶屋に続き、この春、燕の茶屋の復元が完了しました。この間、潮入りの池や内堀の護岸の修復、中の御門の復元などにも計画的に取り組んできました。
 今後は、平成29年度の完成に向けて、4棟目となる鷹の茶屋の復元を進めていきます。

質問事項
十四 多摩島しょ振興担当副知事について
1 多摩島しょ振興担当副知事の取組状況、成果と課題について、伺う。

回答
 多摩島しょ振興を担当する副知事は、これまで、多摩島しょ振興推進本部の本部長として、「新たな多摩のビジョン行動戦略」、「新たな多摩のビジョン行動戦略年次報告書2014」及び「小笠原諸島振興開発計画」の策定などについて、関係各局に対し指示を行い、多摩島しょ地域の振興に向けた取組を進めてきました。
 また、現場視察も積極的に行い、地域の実情把握に努めてきたほか、市町村主催の式典やイベント等への出席を重ねるなど、市町村との協力・連携の強化に取り組んできました。
 引き続き、多摩島しょ振興担当副知事が先頭に立ち、産業振興や交通インフラの整備など多摩島しょ地域の課題解決に向け、より一層の取組を進めていきます。

質問事項
十四の2 「三多摩格差」についての都の基本的な認識と解消に向けた考え方を伺う。

回答
 いわゆる「三多摩格差」については、昭和50年3月の都市町村協議会において、「公共下水道」や「道路」などの8課題が設定されました。
 その後、解消に向けて、市町村と緊密な連携を図りながら、積極的に課題の解決に努めてきた結果、平成12年には、かなりの部分で格差が解消しており、この点については、市町村においても基本的に同様の認識であると考えています。
 区部と多摩地域では、自治制度や地理的条件、人口規模や産業構造といった社会的条件など、その置かれている状況は異なっており、こうした違いがある中で、区部との対比による格差是正の観点からの画一的な対応をするのではなく、多摩の地域特性などを生かしていく視点による多摩振興への取組が必要であると認識しています。

質問事項
十四の3 多摩島しょ振興担当副知事について、都民には十分に周知されていないようだが、周知の状況と今後について伺う。

回答
 多摩島しょ振興を担当する副知事については、知事就任時の記者会見でその選任について発表するとともに、東京都公報で告示し、さらに、平成26年第一回定例会の施政方針においても任命について表明しています。
 また、「多摩の魅力発信プロジェクト」の公式ホームページ上でも発信を行っています。
 引き続き、担当の副知事の下、積極的に多摩島しょの振興を図っていきます。

質問事項
十五 都市間交流について
1 今年度予算には、延遼館跡での測量や発掘調査、建物の設計費用等が盛り込まれているが、予算の執行状況、施策の進捗状況について伺う。

回答
 延遼館は、明治初期の外交の舞台であった場所です。
 文化財の復元に当たっては、建造物があった位置を特定することが必要であるため、これまでにレーダーによる地中探査調査を実施し、延遼館の基礎の位置を確認しました。
 今年度の延遼館復元調査・設計に関する予算約1億200万円のうち、既存資料の解析等調査委託を約700万円で契約し、実施中です。
 また、文化庁と協議しながら、遺構の状況を確認する発掘調査と設計委託等を、残りの予算にて行っていきます。

質問事項
十五の2 本年5月1日から5月8日まで、都庁第一本庁舎南展望室東側展示スペースで、パネル展示「延遼館の時代 明治ニッポンおもてなし事始め」が開催されたが、この期間の当該展示並びに南展望室及び北展望室それぞれについて、入場者数(概算)等を伺う。
 延遼館展の入場者アンケートの結果概要について伺う。また、アンケートを実施しなかった場合は、その理由を伺う。

回答
 当該期間におけるパネル展示「延遼館の時代 明治ニッポンおもてなし事始め」の入場者数は約1,600人、南展望室の入場者数は約22,000人、北展望室は約35,000人です。なお、同期間の各展望室の開室時間は、南が9時30分から17時30分まで、北が9時30分から23時までであり、5月7日は、南展望室は休室日でした。
 今回の展示につきましては、アンケートは実施していません。理由は、アンケートを実施するために必要なスペースを確保できなかったためです。

質問事項
十五の3 江戸東京博物館において開催された「大関ヶ原展」について本年5月1日から5月8日まで(7日を除く)の入場者数を伺う。

回答
 江戸東京博物館では、平成27年3月28日から5月17日まで「大関ヶ原展」を開催しました。そのうち、5月1日から5月8日まで(7日を除く)の入場者数は、合計37,363人でした。

質問事項
十五の4 2015年2月10日に都庁で行われたツィリル・コザチェフスキ駐日ポーランド大使と知事の面会について、実施の経緯を伺う。

回答
 駐日ポーランド大使館から、同大使が知事を表敬したい旨、外務部に依頼があり、実施を決定したものです。

質問事項
十五の5 ツィリル・コザチェフスキ駐日ポーランド大使と知事の面会に、外務長が同席していないようだが、その理由を伺う。

回答
 外務長は、公務出張のため、同席できませんでした。

質問事項
十五の6 ツィリル・コザチェフスキ駐日ポーランド大使と知事の面会について、仲介者がいたかどうか、いたとすればその者は誰なのか、伺う。

回答
 駐日ポーランド大使館から直接依頼があったものです。

質問事項
十五の7 大使を含む外国要人と知事の面会について、舛添知事就任以降、都議会議員が仲介した例があるか、伺う。

回答
 外国要人と知事の面会については、これまでも駐日大使館等と直接連絡を取り合っており、仲介により行った例はありません。

質問事項
十六 国勢調査の準備状況等について
1 調査員・指導員の募集について、募集数と応募状況、採用数について、男女の内訳を含めて伺う。

回答
 調査員及び指導員の選考・配置・推薦の事務は、区市町村が担っていますが、区市町村からの推薦者を取りまとめて、平成27年7月に国へ報告した都内の総数は、調査員63,931人、指導員9,141人です。

質問事項
十六の2 調査員・指導員の研修について、取組状況と調査実施までの流れを伺う。

回答
 調査員及び指導員への調査活動等に関する説明・指導は、国の事務要領に基づき、都が実施した事務打合せ会を受け、区市町村が調査員及び指導員の事務打合せ会で行うことになっています。

質問事項
十六の3 調査員・指導員の研修内容について伺う。個人情報保護、調査時の安全確保、犯罪事案や児童・高齢者・障がい者等虐待に遭遇した際の対応については、告発・通報義務の徹底をはじめ、具体的にどのような研修をしているのか伺う。また、万が一、このような事態に遭遇した際の調査員らの安全の確保と相談・支援体制について、都の対応を伺う。

回答
 都が実施した事務打合せ会を受け、区市町村は調査員及び指導員の事務打合せ会で、国が作成した手引等を基に、調査の内容・方法等について説明するとともに、個人情報保護や統計法その他関係法令の遵守、安全確保対策についても指導しています。
 また、都は、実査を担う区市町村や調査員等が適切に対応できるよう、必要に応じて区市町村の取組を支援します。

質問事項
十六の4 関係政省令の改正により、今回の調査から、共同住宅等における国勢調査員の事務を共同住宅等の管理・運営団体に委託できるようになる見込みだが、委託した場合の個人情報保護、調査時の安全確保、犯罪や虐待に遭遇した際の対応について、考え方と取組状況を伺う。

回答
 委託した場合であっても、請負者の業務内容は、国勢調査員の業務内容と同じです。
 また、業務委託契約では、仕様書において連絡体制や秘密の保護、法令の遵守等に関して明記することになっています。

質問事項
十六の5 本年4月には、国分寺市内で、「国勢調査に関わるアンケート」を騙り、個人情報を聞き出そうとする電話があり、類似の事案は、各地で報じられているが、都の対応状況と区市町村・警察等関係機関との連携について伺う。

回答
 都は、いわゆる「かたり調査」について、総務局統計部のホームページをはじめとした様々な広報媒体を活用し、都民に対し注意喚起を図っています。
 また、区市町村と緊密に連絡を取り合うとともに、必要に応じて警察等関係機関とも連携して対処することとしています。

質問事項
十六の6 発災から4年半が経ってなお各地に避難・移住している東日本大震災・東京電力福島第一原発事故による避難者らの居住期間や移動状況の把握はどのように行うのか、伺う。

回答
 国によると、調査事項に「現在の住居における居住期間」及び「5年前の住居の所在地」を追加して、東日本大震災後の影響を把握することとしています。

質問事項
十六の7 調査では、学歴についても問いがあるが、義務教育の未修了者の把握についてはどのように行うのか、前回調査の結果をもとに、説明を伺う。

回答
 前回調査では、「在学、卒業等教育の状況」という調査事項はありましたが、これは義務教育の未修了者について、把握するものではありません。
 なお、今回調査では、この調査事項はありません。

質問事項
十六の8 国勢調査の実施後に、事後調査が行われることがあるが、今回は都内では実施されるのか。実施されるとすれば、その時期、規模、本調査との違いを含む調査内容、予算額とそもそも事後調査の必要性について、伺う。

回答
 事後調査は日本全国で実施され、都内でも実施します。
 調査期日は平成27年11月20日、国から指定された都の調査規模は40区市82調査区です。国によると、事後調査は本調査の調査対象の把握状況や調査結果の精度を実地に検証し、本調査の結果利活用上の留意点把握等を目的に実施するもので、本調査の主な調査事項に加えて、「調査票をどのように提出したか」等を追加することとしています。事後調査に係る都の予算額は約2,500万円です。

質問事項
十七 地域特性を反映した水道事業における地下水の利活用の状況について
1 都は、平成15年6月に多摩地区水道経営改善基本計画を策定し、事務委託の廃止及び都への業務移行について、関係市町との協議を進めているが、計画の達成状況について伺う。

回答
 都では、多摩地区水道経営改善基本計画に基づき、事務委託解消を進めてきた結果、平成23年度末には、都営水道25市町への事務委託が完全解消し、全業務の移行が完了しました。

質問事項
十七の2 小金井市については、平成23年度末をもって、事務委託を完全に解消しているが、平成16年度以降、地下水の揚水量が減っていると聞いている。平成16年度以降の揚水量の変化について、年度ごとに伺う。

回答
 地下水の揚水量について、平成16年度は8,535,000立方メートル、平成17年度は8,843,400立方メートル、平成18年度は8,812,400立方メートル、平成19年度は8,591,400立方メートル、平成20年度は8,277,300立方メートル、平成21年度は7,847,300立方メートル、平成22年度は7,213,800立方メートル、平成23年度は5,882,100立方メートル、平成24年度は6,462,600立方メートル、平成25年度は3,560,500立方メートル、平成26年度は3,107,200立方メートルです。

質問事項
十七の3 揚水量の減少は、上水南浄水所の更新工事を行っているためと聞いているが、更新工事の進捗状況と揚水能力の今後の見通しについて伺う。

回答
 上水南浄水所の耐震化工事は平成25年度末に完了し、浄水処理施設の整備は平成26年度末に完了しました。
 本工事では、井戸の揚水ポンプは更新していないことから、施設の揚水能力に変更はありません。
 なお、実際の揚水量は各井戸水源の状態に左右されるため、今後の見通しを明示することは困難です。

質問事項
十七の4 水道事業の事務委託の解消は、進めるべきものだが、水道料金、サービスの変更、水源比率や水質が変化する場合、関係機関や住民の理解と納得が得られるよう、十分に周知する必要があるが、周知についての考え方を伺う。

回答
 水道業務取扱窓口の移転や変更、水質など、周知が必要な情報については、地元自治体への情報提供に加え、「水道ニュース」や局ホームページなどの様々な媒体を通じたお知らせを行っています。

質問事項
十八 警察行政の運用について
1 警視庁における告訴・告発・被害認知件数とその運用について
ア 被害届、告訴の取り扱いの違いについて伺う。

回答
 平成26年中のDV事案の相談件数は4,107件、ストーカー事案の相談件数は2,204件、性犯罪の認知件数は1,192件です。
 被害届、告訴についてですが、いずれも警察が捜査を開始するきっかけ、すなわち「捜査の端緒」として取り扱っています。
 しかし、親告罪については、告訴が訴訟条件となっている旨を被害者等に教示するなどしています。

質問事項
十八の1のイ 口頭による告訴の取り扱いについて伺う。

回答
 刑事訴訟法では、告訴は、書面又は口頭でしなければならないとされているところ、口頭による告訴を受けたときは、犯罪捜査規範に規定されているとおり、告訴調書を作成しています。

質問事項
十八の1のウ 警視庁におけるDV、ストーカー、性犯罪の被害者が告訴したことにより、相手方から逆恨み等による暴行、傷害が懸念される場合の保護について、取組状況を伺う。

回答
 事態の危険性や切迫性に応じ、警察署と人身安全関連事案総合対策本部が連携して、現場での保護対策を実施するとともに、被害者の申出に応じた防犯ブザーの貸出しや公費負担による宿泊施設の提供を行うなど、被害者等の安全確保を最優先とした措置を行っています。

質問事項
十八の1のエ DV、ストーカー、性犯罪被害者が告訴を取り下げた時の効果について伺う。

回答
 刑事訴訟法に規定されているとおり、親告罪の告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができますが、告訴の取消しをした者は、更に告訴することはできません。

質問事項
十八の2 重大事故発生交差点や危険な道路への信号機設置などの対策や優先順位の考え方について伺う。

回答
 信号機については、交通事故が発生する危険性の高い場所のほか、交通の安全と円滑を図るため、交通量、道路幅員、隣接する信号機との設置間隔、交通事故発生状況等を総合的に判断し、必要と認められる場所に設置しています。
 信号機設置の優先順位については、現地調査等を実施し、道路管理者をはじめ関係機関とも協議の上、設置の効果、緊急性等を勘案し、より必要性の高いものから選定しています。

質問事項
十八の3 交通安全対策について、予算措置と優先順位もあることから信号機新設が実現しがたい現状において重要視されるが、子どもと高齢者への交通安全対策の現状、具体的な取組と課題について伺う。

回答
 都は、第9次東京都交通安全計画に基づき、広域的自治体として、警察や学校、区市町村と連携し、参加・体験を重視しつつ交通安全教育や普及啓発に取り組んでいます。
 具体的には、子供には危険を予測し回避する能力が十分備わっていないことから、道路における交通法規と安全な通行の仕方を確認させるため、高齢者には加齢による身体能力の低下等の自覚を促すために、学校や区市町村において行われる交通安全教室等において、道路横断時の危険性を疑似体験できる歩行者教育システムや自転車シミュレータを活用した取組を実施しています。

質問事項
十八の4 現場警察官における接遇対策について、精神疾患者、認知症高齢者に日常的に対応する警察官の接遇・対処スキル向上、技術を体得することによる警察官の負担軽減を鑑み、対応策・現場警察官への指導方策について伺う。

回答
 警視庁では、現在、厚生労働省で推進している「認知症サポーター養成講座」を受講させるほか、認知症高齢者に係る事案を想定した事例検討会を実施するなど、認知症の特性についての理解と意識を深めるための取組を進めています。
 また、認知症の方に係る行方不明事案への対策においては、当該本人の着衣、靴等への記名など、連絡先を身に着けることが効果的であることから、区市町村や関係機関などに働き掛けて周知していきます。

質問事項
十八の5 DV・ストーカー加害者に対する更生プログラムや治療への働きかけに関する取組と課題、再発防止に向けた国や区市関係機関との取組について伺う。

回答
 ストーカー事案等については、事案に応じ、行為者に対し、刑事事件としての検挙や「ストーカー行為等の規制等に関する法律」に基づく警告・禁止命令等を実施しています。
 警察庁においては、執ように付きまとい等を繰り返すストーカー加害者への有効な対応に資するため、ストーカー加害者に対する精神医学的・心理学的手法について調査研究を実施しています。
 警視庁では、ストーカー加害者やその家族からの要望に応じ、「一般社団法人男女問題解決支援センター」を案内するなどにより、再発防止を図っています。

質問事項
十八の6 調書作成などのICT化の推進、世代間格差のないICT指導、交番PC設置をふまえた端末整備の昨年度調査・検討結果及び今後の予定について伺う。

回答
 平成16年度から、捜査書類作成機能を有するプログラムを搭載したパソコンを警察署等に配備し、調書作成等のICT化を推進しています。
 ICT指導については、警察学校における採用時教養において、情報管理等に関する教養を行うとともに、警察学校卒業後も全職員の技能向上を目的として、情報リテラシー(情報活用能力)に関する教養を行っています。
 また、交番等への端末整備については、平成27年度から3か年計画で管内の交番・駐在所956か所の端末配備を計画しています。昨年度実施した都民や有識者の方々に対する調査の結果、交番等への端末整備は、勤務員の事務作業時間の短縮等につながることから、街頭警察活動の強化や体感治安の向上等が期待され、着実に、確実に実現すべきものである旨の御意見をいただいています。したがって、今後も、この取組を推進していきます。

平成27年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子

質問事項
一 多摩地域の教育・子育て環境・認知症疾患対策について

一 多摩地域の教育・子育て環境・認知症疾患対策について
1 小中学校のクーラー設置について
 小中学校のクーラー設置について質問します。
 「小中学校の普通教室には都の補助もあり、遅れていた多摩地域でいっきにクーラー設置が進んで良かった。感謝しています。今度は、特別教室にクーラー設置をしてほしい」との要望が広がっています。
 この間、私は地元の小中学校の聞き取り調査をし、都議会本会議などで特別教室へのクーラー設置補助を求めてきました。小中学校からの聞き取りでも、「扇風機も止めて火を使う実験や暗幕をしての授業が必要な理科室、火をつかって調理する調理室、美術室などへのクーラー設置が急がれる。夏でも必要な授業なので、生徒が汗だくになって授業を受けている。集中するのにがんばっているがかわいそうだ」と校長先生から、切実な要望が出されました。
 東京都教育長が、6月15日付けで「東京都公立学校施設冷房化支援特別事業実施要綱の一部改正について」を区市町村教育委員会教育長あてに通知したことは、大きな前進です。早速、私のところに「特別教室の対象を拡大していただき、良かった」と感謝の声も届きました。
 地元の校長先生からは、特別教室以外でも「不登校になっている生徒への指導や日本語指導をしている学習相談支援室など毎日使う教室や、吹奏楽部の部活で毎日使う第二音楽室、プライバシーを守るためにドアや窓を閉め切って行う教育相談室にもクーラーを設置して欲しい」「数学の習熟別教室(少人数教室)は3つに分けているが、そのうち1グループはクーラーのない教室を使わざるを得ない状況。生徒が集中できるようクーラーをつけてあげたい」など、クーラー設置が必要な部屋があると要望が出されました。
 また、用務員や警備の人が使う事務室は、「夏は蒸し風呂状況になっている」「扇風機の風が作業の妨げになるため止めて汗だくで仕事をしていて大変」という声も寄せられました。地元の日本共産党東村山市議団が市内全ての小中学校の用務員室を調査するなかで「熱中症になった人が2人もいた」という実態も明らかになりました。
ア 学習相談支援室、教育相談室なども補助の対象にすべきですが、いかがですか。
イ 用務員や警備員の事務室なども補助の対象にすべきですが、いかがですか。
ウ 国の補助制度が使えない400万円以下の工事も補助の対象にすることを求めますが、いかがですか。
2 私立幼稚園等園児保護者に対する補助制度について
 私立幼稚園等園児保護者に対する補助制度について質問します。
 東京都私立幼稚園連合会が作成した「平成26年度東京都区市町村別補助金調査一覧表」によれば、私立幼稚園の保育料の補助は非課税世帯の第1子の場合、新宿区は月額21,200円で、そのうち都の補助が6,200円、区の上乗せは15,000円となっています。江戸川区は26,000円で区の上乗せは19,800円で、23区で保護者への補助はのきなみ13,000円を超えています。一方、多摩地域では一番多い武蔵野市でさえ11,200円で市の上乗せは5,000円です。私の地元である東大和市は8,300円で市の上乗せは2,100円だけです。このように区市町村の上乗せの金額で、大きな差が生まれています。
 また、入園料については、都の補助はありませんが、23区のうち20区が補助を行っています。一方、市町村では、13市で補助がありますが、金額は少額であるため、保護者の負担は重くなっています。
 市長会からは「私立幼稚園等園児保護者に対する補助制度の再構築及び拡充について」東京都に要望が出ています。多摩地域における私立幼稚園の役割は大きく、保護者の保育料負担の実情を踏まえた負担軽減が図られるよう、補助制度の再構築が求められています。
ア 保護者負担を軽減するため、都の私立幼稚園等園児保護者に対する補助制度の拡充を求めますが、いかがですか。
イ 同じ東京に住んでいながら、地域によって負担に大きな差があってはならないと考えます。「安心して子育て」するために、都として私立幼稚園の入園料補助金を創設することを求めますが、いかがですか。
3 認知症疾患対策について
 認知症疾患対策について質問します。
 私は、昨年亡くなった義母を11年間、介護(認知症)してきました。認知症が病気であることを学ぶことからはじめ、どう対応すればいいのかと悩み地元自治体主催の「認知症サポーター」研修に参加しました。介護に携わっている施設や職員の方々に助けていただき、感謝しています。私の周りでも認知症になる方が増えています。
 東京都の推計では2025年には都内の認知高齢者は約60万人になるとされており、支援の充実は急務です。
 都は、総合的な認知症施策の推進として、認知症疾患医療センターを区市町村(島しょを除き)に1ヵ所ずつ設置するなど前進していますが、認知症の予防や早期発見・早期対応、適切な医療の提供をさらにすすめることが重要であり、医療関係者などの人材育成を、もっとすすめる必要があります。
ア 都が今年度から板橋区にある健康長寿医療センターに「認知症支援推進センター」を設置し、認知症支援に携わる医療専門職などのための研修を行い、他の医療機関(認知症疾患医療センター)が行う人材育成への支援も行っていることは重要です。同時に人口の多い東京ではこうした役割を持つ医療機関は複数必要です。
 「長期ビジョン」でも、多摩地域について「都心部に比べ高齢化も進んで」いることを明らかにし、福祉・医療などのサービス需要の増加を指摘しています。多摩地域の人口は420万人、静岡県よりも多く、福岡県に次ぐ全国10番目に相当します。多摩地域にも「認知症支援推進センター」を設置すべきだと思いますが、いかがですか。
イ 多摩地域に、東京都認知症疾患医療センター指定病院は2次保健医療圏ごとに5ヵ所ありますが、都立病院や都の保健医療公社病院は1ヵ所もありません。
 一方23区、東京都認知症疾患医療センター指定病院は7ヵ所ありますが、都立松沢病院、東京都保健医療公社荏原病院、東京都健康長寿医療センターが指定されています。
 多摩地域の都立多摩総合医療センターや都立神経病院、東京都保健医療公社の多摩北部医療センター、多摩南部地域病院を、認知症疾患医療センターとして位置づけていくことを求めるものですが、いかがですか。

平成27年第二回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 多摩地域の教育・子育て環境・認知症疾患対策について
1 小中学校のクーラー設置について
ア 都のクーラー設置補助について、学習相談支援室、教育相談室なども補助の対象にすべきだが、見解を伺う。

回答
 公立小中学校の冷房化については、設置者である区市町村が、その権限と責任において行うことが原則です。
 都は、区市町村の要望等を踏まえ、都立高校の冷房化に準じて、普通教室及び特別教室の冷房化について支援しています。

質問事項
一の1のイ 用務員や警備員の事務室なども補助対象にすべきだが、見解を伺う。

回答
 用務員や警備員の事務室については、区市町村が学校の設置者として、その権限と責任において適切に対応すべきものと考えます。

質問事項
一の1のウ 国の補助制度が使えない400万円以下の工事も補助の対象にすべきだが、見解を伺う。

回答
 公立小中学校の冷房化については、設置者である区市町村が、国の補助制度を活用して、その権限と責任において行うことが原則です。
 都は、区市町村に対し、国の補助対象となる事業のうち、早急に整備が必要な特別教室に対する都独自の財政支援を行っています。

質問事項
一の2 私立幼稚園等園児保護者に対する補助制度について
ア 保護者負担を軽減するため、都の私立幼稚園等園児保護者に対する補助制度を拡充すべきだが、見解を伺う。

回答
 都では、私立幼稚園に対し、教育条件の維持向上、保護者負担の軽減などを目的に、幼稚園の運営費補助として経常費補助金を交付しています。あわせて、所得状況に応じて保育料の一部を補助する私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業を実施しており、平成27年度からは、補助の対象範囲を学校納付金まで拡大し、更なる負担軽減を図っています。

質問事項
一の2のイ 同じ東京都に住んでいながら、地域によって負担に大きな差があってはならず、都として、私立幼稚園の入園料補助金を創設すべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、これまでも私立幼稚園に対する経常費補助を通じて保育料や入園料の抑制に努めるとともに、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業により、適切に保護者負担の軽減を図っているところであり、入園料補助の実施は考えていません。

質問事項
一の3 認知症疾患対策について
ア 都は、今年度から板橋区にある健康長寿医療センターに「認知症支援推進センター」を設置した。多摩地域にも「認知症支援推進センター」を設置すべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、地域の医療従事者の認知症対応力を向上させるため、二次保健医療圏ごとに設置している12か所の認知症疾患医療センターにおいて、かかりつけ医や病院勤務者等を対象とした研修を実施してきました。
 また、平成25年度から東京都健康長寿医療センターにおいて、12か所の認知症疾患医療センターが実施する研修のカリキュラム検討やテキスト作成等の支援を行ってきました。
 平成27年度、東京都健康長寿医療センターに設置した「認知症支援推進センター」は、都内全体の認知症医療従事者等の研修拠点であり、認知症サポート医や認知症支援コーディネーター等のスキルアップ研修、島しょ地域を訪問しての研修等の取組を進めていきます。

質問事項
一の3のイ 多摩地域の都立多摩総合医療センターや都立神経病院、東京都保健医療公社の多摩北部医療センター、多摩南部地域病院を、認知症疾患医療センターとして位置付けるべきだが、見解を伺う。

回答
 都は平成27年度から、身近な地域で認知症の人を支える体制を更に強化するため、現在二次保健医療圏ごとに指定している地域拠点型認知症疾患医療センターに加えて、新たに区市町村ごとに地域連携型認知症疾患医療センターを41か所指定する予定です。
 指定に当たっては、認知症の診療を行っている医療機関を対象に公募を実施し、選考委員会を経て選定することとしており、平成27年度は29か所の指定を行いました。

平成27年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 小竹ひろ子

質問事項
一 都立小中高一貫教育校の構想について
二 公正で民主的な教科書採択について

一 都立小中高一貫教育校の構想について
 6月17日、小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う「義務教育学校」、いわゆる小中一貫校を新たな学校の種類として設置可能とする学校教育法の改定案が可決、成立しました。
 東京都では、猪瀬前知事が2012年12月の就任直後の記者会見で都立小中高一貫校の設置について触れ、都教育委員会は2013年4月に「都立小中高一貫教育校基本構想検討委員会」を設置しました。同検討委員会は同年8月に「中間まとめ」を発表しましたが、その後は、2014年10月の第14回会議を最後に会議を開催しておらず、今後の方向性については、学校教育法改定の内容を踏まえ検討する予定と聞いています。
 都立小中高一貫校の目的は、理数分野に関心や適性のある子どもの能力を高め、日本の科学技術の発展をけん引するとともに世界に貢献できる人間を育てることです。教育課程を小学1年生から4年生、小学5年生から中学2年生、中学3年生から高校3年生の4年ごとの区切りで編成し、校舎の候補地を小学1年生から4年生は目黒区にある旧都立芸術高校跡地、小学5年生から高校3年生は武蔵野市にある都立武蔵高校および同校附属中学校としています。
 理数系のエリート育成を目的とした小中高一貫校を都立で設置することには、都民や教育関係者、学者などから疑問の声があがっており、慎重な検討が求められます。
 第1に、小中高の12年間を4年ごとに区切り一貫教育を行うことの問題です。
 品川区では、10年前から構造改革特区を利用して小中一貫教育を実施し、小中だけなので4-4-4ではなく4-3-2で区切った教育を行っています。しかし、同区が2013年に区内小中学校の全保護者を対象に行ったアンケートでは、「義務教育を4・3・2のまとまりで考えることは有効であると思う」かとの問いに、「思う」7%、「やや思う」27%、「あまり思わない」44%、「思わない」18%と、否定的な回答が6割以上を占め、支持を得ていません。
 小中一貫校の教員や大学の研究者なども、小学校4年で区切るやり方は、さまざまな教育活動のリーダーとして大きく成長する小学校高学年の成長・発達がうまく保障されないと指摘しています。小学校高学年の発達段階は「自分はできる」「やればできる」といった自己有用感が育つ時期で、高学年としてそれが十分に獲得されることが中学校入学後の成長に大きくかかわってくるとのことです。また、中学校のような教科担任制や生徒指導が5年生から導入されることが適切でなく、「荒れ」など子どもたちに影響が出ているとも指摘されています。
 私も現場の先生からお話を伺いましたが「5、6年生の活躍の場がない。飯ごう炊さん1つとっても、小5年生から中1のくくりでは、小学生の感想は『7年生が作ってくれておいしかった』と受け身になってしまう。本当は5年生も下級生に作れる力があるのに」「一方で、4年生はリーダーの役割を求められるが、4年生にまだそれだけの力がない」「4年生はまだ大人の言うことを素直に聞く時期だが、5、6年生は自分で考えはじめる。その時に学校のリーダーとして子ども同士で主体的に活動をつくりあげる力をつけないとうまくいかない」と述べられていました。
 都立小中高一貫教育校では、小学校4年生までと5年生以降では校舎も移動する予定ですから、こうした問題がより強く生じることが懸念されます。
1 都教委は、教育課程を4-4-4に区切ることで懸念される上記のような問題点について、どう考えていますか。
2 4-4-4に区切ることが効果的だとする、広く支持されている検証結果があればお示しください。
 「中間まとめ」では、「小中高一貫教育は義務教育を一貫して受けることができるといった小中一貫教育の良さと、中学校から高等学校への進学の際に受験がないことから学校生活が連続し、自らの興味・関心に応じた学習や活動に集中できるといった中高一貫教育の良さの両面を併せ持っていると考える」としています。
 しかし、先の品川区のアンケートでは、「小中一貫教育はよいとりくみだと思うか」との設問にたいしても、「思う」は1割程度、「あまり思わない」「思わない」と小中一貫校のとりくみを評価していない保護者が6割近くにも達しています。また、小中一貫校で学ぶ小学生の約3分の1が、進学先として自校を選んでいないとのことです。
3 品川区の保護者からは小中一貫教育が必ずしも評価されず、実際に自校以外の中学に進学する生徒も多いことからも、小中一貫教育の教育上のメリットは多くないように思いますが、どう考えますか。
 第2に、小学校段階から理数系のエリートを育成することに疑問の声が上がっています。
4 都立小中高一貫教育校を設け理数系のエリート教育を行うことは、教育を小学校段階から複線化し、すべての子どもたちへの平等な公教育制度を解体することにつながると考えますが、いかがですか。
5 学校教育法では、小中学校および義務教育学校は普通教育を目的とすることになっており、理数系の専門教育を重視した学校は問題があるとの指摘がありますが、どう考えていますか。
6 小学校段階から理数系の適性のある子どもを選別し、理数系に重点を置いた教育をすることが効果的だとする研究結果があれば、お示しください。
7 小学校入学前に理数系への適性や資質を見極めることは困難だとの意見がありますが、どう考えますか。また、入学者選抜の方法として保護者面談を取り入れることも検討しているようですが、保護者面談の評価を合否に影響させることは公立学校として公平性に問題があるのではないですか。
8 「中間まとめ」では、学習指導要領に示された教育に加え、理数分野に関する学習に重点を置くとともに英語教育に関しても重視するとしています。当然、授業時間が多くなると予想されます。品川区では授業時間が文部科学省の標準時間をはるかに超えて、小学校1年生では年60時間増、2年生からは35時間増となっており、子どもたちの負担が重いうえに、クラスの活動や子どもたちの自主的な活動を十分に行うことができないと聞いています。
 都立小中高一貫教育校の場合は、授業時間増に加え、通学時間も長くなると予想されます。より子どもたちの負担が重くなり、また他の教育活動にも影響が及ぶことが懸念されますが、いかがですか。
 「中間まとめ」に示されている「都立小中高一貫教育校設置に係る保護者意識調査」では、「小学校1年生が自宅から学校までの間を1人で無理なく通える範囲」として、72.8%が「30分以内」と回答しています。実際に、公立だけでなく私立小学校を選ぶ際も通学時間は重要な要素となっています。
9 小学校1年生が、都内全域から、4年生までの校舎が設置される目黒区まで通学するのは極めて困難ではないでしょうか。いかがですか。
 「中間まとめ」の「保護者意識調査」ではまた、「将来、社会で活躍していくために必要だと思う資質や能力」という問い(2つまで回答)について、「自分の考えや気持ちなどをうまく表現できる力」が72.2%、「社会人として必要となる一般的な知識や教養」が60.7%と、他の選択肢に比べ段違いに高くなっています。
10 このことからも、都民や保護者が小中高等学校教育に求めているのは、まず、主体的に生きることのできる1人の人間としての成長・発達だと思いますが、いかがですか。
 教育上の効果が明らかでなく、先行実施の事例では数々の問題点が指摘され、しかも一部の理数系エリート教育に特化した都立小中高一貫教育校の設置は見送るべきだと考えます。

二 公正で民主的な教科書採択について
 4年毎に実施する中学校教科書の採択替えが、今年夏に行われます。教育委員会は教科書採択について、教科用図書選定審議会に諮問し、その答申に基づいて教科書の調査研究が始まっています。
 教科書採択は、東京の子どもたちがその教科書を学んで成長・発達するために、一番ふさわしいものを選ぶものであり、そのためには教科の専門性を持ち、実際に教科書を使って子ども達の反応や興味関心を知ることの出来る立場にいる教員の意見が尊重されることが欠かせません。
 現在の教科書採択は、教科書調査員が調査研究して作成した調査研究資料、教科書採択資料を教科用図書選定審議会が答申し、その資料を参考に教育委員会がその判断と責任で採択します。教科書は中学校で9教科104冊と膨大な量であり、読むだけでも大変です。また教育長と5名の委員は各教科の専門家でもなく、日常的に生徒に接しているわけでもありません。従って、教育委員会が専門家である現場の教師の意見をしっかり反映し、審議会の答申を尊重するのは当然のことです。
 日本政府も採択した、ILO・ユネスコの教員の地位に関する勧告の61項に「教員は職責の遂行にあたって、学問の自由を享受するものとする。教員は生徒に最も適した教具及び教授法を判断する資格を、特に有しているので、教材の選択及び使用、教科書の選択並びに教育方法の適用にあたって、承認された計画の枠内で、かつ教育当局の援助を得て、主要な役割が与えられるものとする」と教員には教科書選択の主要な役割を与えられるべきだとしています。
 アメリカ・イギリスなど多くの国々では、学校や教員が教科書の選択を行っています。教育行政機関だけに採択権限があるのは、日本と中国ぐらいのものです。
1 都立学校の中学校用教科書採択に当たって、必要な専門性を有し、児童生徒に対して直接指導を行っている教員が果たす役割について、都の認識を伺います。
2 都立中学校(中等教育学校前期課程を含む)は教科書採択資料に基づき、各学校ごとに採択することになっています。2011年以降、全教科で全校同一の教科書が採択されているのはなぜなのか、伺います。
3 それぞれの学校の教員が教科書を選定し、それにもとづき採択を行っている都立高校では、学校ごとにさまざまな教科書が採択されています。都立中学校(中等教育学校前期課程を含む)においては、教科書ごとの特徴や学校現場の意見などを踏まえた教育委員会の判断が保障されないため、一律の教科書が採択されているのではありませんか。
 参考となる調査研究資料は、専門性のある教員等の綿密な調査研究が必要です。都教育委員会のこの間の調査研究資料は、教科書が取上げている事項(人物・事象等)の記載の有無や箇所数が中心であり、それをどのように取上げているのかや、現場で活用する上での評価などはありません。文部科学省も評定することを禁じていません。調査研究に基づいて、子どもたちがより良く学ぶことができるような採択が行われるようにするためにも評定を表示すべきです。
4 都として各学校の教員の意見をきちんと集める必要があるのではないでしょうか、少なくとも調査研究資料は、各教員の意見を反映したものに改善するとともに、良い点や問題点などの評定を示したものに改善することを求めます。
5 教科書の見本を現場の教員が目を通せるようにするためにも、各学校に1セット置く、見本の冊数が不足する場合でも十分な期間の余裕をとって回覧することをもとめますがどうですか。
 2011年の教科書採択にあたり都教育委員会は、都立中学校(中等教育学校)の歴史および公民に育鵬社版を、都立特別支援学校(聴覚障害・肢体不自由・病弱)の歴史に育鵬社版、公民に自由社版を採択しました。これらの教科書は、戦争を肯定する歴史観や、人権尊重より国への忠誠を強調する、日本国憲法の改定を誘導するなどの内容について、多くの専門家から問題が指摘されています。
 今年は、戦後70年の歴史的節目の年です。日本の侵略戦争と植民地支配を美化し正当化する議論は、今日の世界では通用するものではありません。アジア・世界の諸国との真の友好を進め平和な国際社会を築くためにも、歴史にそむく教科書の採択はふさわしくありません。
 また都教育委員会は、実教出版の「高校日本史A」及び「高校日本史B」の国旗・国歌法に関する「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」との記載が、都教育委員会の考え方と異なるため、都立高等学校において使用することは適切でないとの見解を発表しています。検定教科書であるにもかかわらず、各都立高校では同教科書を選定することを事実上禁止されています。
 教科書は歴史の展開や文化・社会のありようも含めて、人類の知的達成を次の世代に伝え、生徒が自ら考え判断する知性を育むための教材です。
6 様々な意見や考え方のあるものについて、都教委の考えと違うという理由で生徒の目にふれないようにする、認めないと言うやり方は、民主主義とは相容れないのではありませんか。見解を伺います。
7 「実教出版株式会社の教科書「高校日本史A(日A302)」及び「高校日本史B(日B304)」を都立高等学校(都立中等教育学校の後期課程及び都立特別支援学校の高等部を含む。以下「都立高等学校等」とする。)において使用することは適切ではないと考える」とする都教育委員会の「見解」を撤回することを求めます。
 教科書採択にあたっては地域住民や保護者の意見も重要です。
8 都立学校の教科書採択にあたり、地域住民や保護者の意見をどのように反映させているのかを伺います。
9 中学校の教科書採択にあたり、都教育委員会の会議の場で議論も意見表明もほとんどなく、都民や保護者はなぜその教科書が選ばれたのかわかりません。都教委として各教科書を選んだ理由を明らかにし、説明責任を果たすことを求めます。
10 都民に開かれた教育委員会にするために、教科書採択を行う教育委員会は、希望者が全員傍聴できるよう、規則を改正し広い会場を確保することが必要です。いかがですか。

平成27年第二回都議会定例会
小竹ひろ子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都立小中高一貫教育校の構想について
1 都教委は、小中高の12年間の教育課程を4年ごとに区切ることで懸念される問題点について、どのように考えているのか、見解を伺う。

回答
 平成25年8月の「都立小中高一貫教育校基本構想検討委員会 中間まとめ」の公表後、都議会での質疑やパブリックコメント等において、教育課程については様々な御意見や御指摘を頂いています。
 これらを踏まえ、引き続き検討を行っています。

質問事項
一の2 教育課程を4年ごとに区切ることが効果的だとする、広く支持されている検証結果があれば伺う。

回答
 「中間まとめ」には、児童・生徒の身体的な発達や脳の発達などを基に、児童・生徒の心身の成長に適した教育課程が必要であり、4年ごとのまとまりの教育課程を編成することが望ましい、といった内容の記載があります。

質問事項
一の3 品川区の保護者からは小中一貫教育が必ずしも評価されず、実際に自校以外の中学に進学する生徒も多いことからも、小中一貫教育の教育上のメリットは多くないように思うが、見解を伺う。

回答
 品川区立小・中学校の教育については、設置者である品川区及び品川区教育委員会がその権限と責任において、適切に評価・改善するものです。

質問事項
一の4 都立小中高一貫教育校を設け理数系のエリート教育を行うことは、教育を小学校段階から複線化し、すべての子どもたちへの平等な公教育制度を解体することにつながるが、見解を伺う。

回答
 都立小中高一貫教育校の基本構想については、国の関係法令等を踏まえて、引き続き検討を行っています。

質問事項
一の5 学校教育法では、小中学校および義務教育学校は普通教育を目的とすることになっており、理数系の専門教育を重視した学校は問題があるとの指摘があるが、見解を伺う。

回答
 都立小中高一貫教育校の基本構想については、国の関係法令等を踏まえて、引き続き検討を行っています。

質問事項
一の6 小学校段階から理数系の適性のある子どもを選別し、理数系に重点を置いた教育をすることが効果的だとする研究結果があれば伺う。

回答
 「中間まとめ」には、理数への興味・関心や適性のある児童を入学させる、といった内容の記載があります。
 このことに関して、都議会における質疑やパブリックコメント等において、入学後の教育内容を充実させ、児童・生徒の資質や能力を伸ばすことが大事である、などの御意見を頂いています。

質問事項
一の7 小学校入学前に理数系への適性や資質を見極めることは困難との意見があるが、どのように考えるのか。また、入学者選抜の方法として、保護者面談の評価を合否に影響させることは、公立学校として公平性に問題があるのではないか、見解を伺う。

回答
 入学者の選抜に関する課題については、都議会における質疑やパブリックコメント等も踏まえ、引き続き検討を行っています。

質問事項
一の8 都立小中高一貫教育校の場合は、授業時間増に加え、通学時間も長くなると予想される。より子どもたちの負担が重くなり、また他の教育活動にも影響が及ぶことが懸念されるが、見解を伺う。

回答
 児童・生徒が充実した学校生活を送ることができるよう、都立小中高一貫教育校の教育課程について、引き続き検討を行っています。

質問事項
一の9 小学校1年生が、都内全域から、4年生までの校舎が設置される目黒区まで通学するのは極めて困難ではないのか、見解を伺う。

回答
 通学に関する課題への対応については、引き続き検討を行っています。

質問事項
一の10 都民や保護者が小中高等学校教育に求めているのは、まず、主体的に生きることのできる1人の人間としての成長・発達だが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、「互いの人格を尊重し、思いやりと規範意識のある人間」、「社会の一員として、社会に貢献しようとする人間」、「自ら学び考え行動する、個性と創造力豊かな人間」の育成を教育目標としています。

質問事項
二 公正で民主的な教科書採択について
1 都立学校の中学校用教科書採択に当たって、必要な専門性を有し、児童生徒に対して直接指導を行っている教員が果たす役割について、認識を伺う。

回答
 都立学校で使用する教科書の採択の権限は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第21条第6号で、都教育委員会にあると定められています。
 また、都立の義務教育諸学校の教科書の採択に当たっては、専門性の高い教員や教育委員会関係者、学識経験者で構成する教科用図書選定審議会に意見を聞くことが、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律に定められています。

質問事項
二の2 都立中学校(中等教育学校前期課程を含む)は教科書採択資料に基づき、各学校ごとに採択することになっているが、2011年以降、全教科で全校同一の教科書が採択されているのはなぜなのか、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、その責任と権限において、都立中学校及び中等教育学校前期課程の各学校に最も適した教科書を適正かつ公正に採択をしています。

質問事項
二の3 都立中学校(中等教育学校前期課程を含む)においては、教科書ごとの特徴や学校現場の意見などを踏まえた教育委員会の判断が保障されないため、一律の教科書が採択されているのではないのか、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、その責任と権限において、都立中学校及び中等教育学校前期課程の各学校に最も適した教科書を適正かつ公正に採択をしています。

質問事項
二の4 都として、各学校の教員の意見をきちんと集める必要があるのではないのか。少なくとも調査研究資料は、各教員の意見を反映したものに改善するとともに、良い点や問題点などの評定を示したものに改善すべきだが、見解を伺う。

回答
 教科書調査研究資料は、都教育委員会からの諮問に基づき、教員、教育委員会関係者及び学識経験者で構成される東京都教科用図書選定審議会で審議し、その審議結果を踏まえた答申に基づき作成したものです。

質問事項
二の5 教科書の見本本を現場の教員が目を通せるようにするため、各学校に1セット置き、見本の冊数が不足する場合でも、十分な期間の余裕をもって回覧すべきだが、見解を伺う。

回答
 都教育委員会は、その責任と権限において、教科書見本本はもとより、教科書調査研究資料及び教科書採択資料等を参考に、教科書を適正かつ公正に採択しています。
 なお、教科書の見本本の展示は、文部科学大臣の告示に基づき、本年度は6月19日から14日間、都内35か所の教科書展示会場で展示を行っています。
 さらに、都教育委員会では、この展示に先立ち、10日間の特別展示を実施しています。
 なお、東京都教科書センターでは、おおむね土日祝日を除き、年間を通して教科書を展示しています。

質問事項
二の6 様々な意見や考え方があるものについて、都教委の考え方と違うという理由で生徒の目にふれないようにする、認めないと言うやり方は、民主主義と相容れないが、見解を伺う。

回答
 都立学校において、校長がその責任と権限の下、適切な教科書を確実に選定することができるよう、都教育委員会の考え方と異なる記述のある教科書について、都立学校において使用することが適切でないとの見解を示したものです。

質問事項
二の7 実教出版株式会社の教科書「高校日本史A(日A302)」及び「高校日本史B(日B304)」を都立高等学校等において使用することは適切でないとする都教委の「見解」を撤回すべきだが、見解を伺う。

回答
 都立学校において、校長がその責任と権限の下、適切な教科書を確実に選定することができるよう、都教育委員会の考え方と異なる記述のある教科書について、都立学校において使用することが適切でないとの見解を示したものです。

質問事項
二の8 都立学校の教科書採択にあたり、地域住民や保護者の意見をどのように反映させているのか伺う。

回答
 都立学校で使用する教科書の採択の権限は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第21条第6号で、都教育委員会にあると定められています。今後とも、都教育委員会は、自らの責任と権限において、都立学校で使用することが適当と認めた教科書を適正かつ公正に採択していきます。

質問事項
二の9 中学校の教科書採択にあたり、都教委として、各教科書を選んだ理由を明らかにし、説明責任を果たすべきだが、見解を伺う。

回答
 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律により、教科用図書を採択したときは、その種類、採択した理由、教科用図書の研究のために作成した資料等を公表するよう努めるものとするとされており、都教育委員会は適正に実施しています。

質問事項
二の10 都民に開かれた教育委員会にするために、教科書採択を行う教育委員会は、希望者が全員傍聴できるよう、規則を改正し広い会場を確保すべきだが、見解を伺う。

回答
 東京都教育委員会定例会は、東京都教育委員会会議規則第3条第2項に基づき、原則として毎月第2・第4木曜日に定期的に開催することが定められていることから、同定例会を確実に開催することができるよう教育委員会室を設けています。
 また、傍聴人の定員については、東京都教育委員会傍聴人規則第3条において、報道関係者で教育長が認めるものを除き20名としていますが、定員を増やすことは、教育委員会室の施設的制約等の観点から現状では困難です。
 なお、教育委員会の会議内容のうち公開での審議内容については、東京都教育委員会のホームページに会議録として掲載しています。

平成27年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 中村ひろし

質問事項
一 電気火災の防止と住宅用火災警報器の設置について

一 電気火災の防止と住宅用火災警報器の設置について
 三鷹市では今年に入って住宅において2件の電気火災が発生し、大変残念ながら2名の方が亡くなられました。三鷹消防署も関連団体と協力し、市民に啓発を行い、再発しないよう全力を挙げていることには敬意を表します。都民の皆様の安全安心を守るため、電気火災を防止するよう取り組みを求めて、以下、関連して質問します。
1 東京消防庁管内の年間の火災件数における住宅の電気火災の件数と割合、主な理由は何か。また、火災による死者のうち、電気火災に起因する死者数は何人か。
2 コンセントのほこりをとったりプラグが差し込まれているか確認するよう呼びかける広報をすることが大事である。さらに、例えば、プラグの形から業界団体では11月11日を「配線器具の日」と定めているので、こうした日を決めて、都民に具体的にほこりの清掃や点検を行動してもらうキャンペーンを行うなどの具体的な運動も必要と考える。住宅における電気火災全般を防止するための東京消防庁の取り組みを伺う。
3 コンセント、プラグ部分をほこりや湿気から守るコンセントカバーのような物が発売されていると聞く。冷蔵庫の裏にあるコンセントなど手の届きづらいところでは、こうしたものの活用も効果的であり、普及啓発していくべきだが東京消防庁の取り組みを伺う。
4 住宅火災では、住宅用火災警報器がついていないことも死亡事故につながる。先日の報道では全国的に見ると普及が遅れているとあった。すでに義務化から4年経過したが、東京消防庁管内の状況はどうか。また、100%になるまで継続して設置率を高める必要があるが取り組みを伺う。
5 住宅用火災警報器は、電池で動くが待機状態で微弱な電流が流れているので、設置から期間が経過すると電池の寿命が切れて作動しないこともあると言われている。他の機器でも同じではあるが、日常的に使用しないため、気づかない。動作の確認などする必要もあるが、その対策を伺う。

平成27年第二回都議会定例会
中村ひろし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 電気火災の防止と住宅用火災警報器の設置について
1 東京消防庁管内の年間の火災件数における住宅の電気火災の件数と割合、主な理由は何か。また、火災による死者のうち、電気火災に起因する死者数は何人かについて伺う。

回答
 東京消防庁管内における平成26年中の火災件数は4,804件で、住宅火災件数は1,694件です。このうち、電気に起因する住宅火災件数は447件で、全火災件数に対する割合は9.3パーセントです。
 電気火災の主な原因については、電気ストーブやハロゲンヒーターに布団などの可燃物が接触したもの、差込プラグのトラッキング現象によるもの及び電気コードの踏みつけによる短絡などが挙げられます。
 また、住宅火災による死者数は71人(自損を除く。)であり、このうち電気に起因する火災の死者数は20人です。

質問事項
一の2 都民に具体的にほこりの清掃や点検を行動してもらうキャンペーンを行うなどの具体的な運動も必要であり、住宅における電気火災全般を防止するための東京消防庁の取組について伺う。

回答
 東京消防庁は、住宅における電気火災全般の防止について、ホームページや広報誌等のあらゆる広報媒体を活用した普及啓発を実施しているほか、毎年11月と3月に実施している火災予防運動の機会を捉えて、注意喚起の徹底を図っています。
 また、各消防署においても、防火防災診断や防火防災講習会等により、地域実態に応じた指導を行っています。

質問事項
一の3 コンセント、プラグ部分をほこりや湿気から守るコンセントカバーのような物が手の届きづらいところでは効果的であり、普及啓発していくべきだが、東京消防庁の取組について伺う。

回答
 住宅における電気火災を防止するためには、特に冷蔵庫やテレビの後ろなど、普段隠れていて気付きにくいプラグ周辺も定期的に掃除することが大切であり、広報誌等により普及啓発を行っています。
 なお、防火防災診断等の機会を捉えて、コンセントカバーなどについても紹介しています。

質問事項
一の4 住宅用火災警報器の設置について、すでに義務化から4年経過したが、東京消防庁管内の状況はどうか。また、100%になるまで継続して設置率を高めるべきだが、取組について伺う。

回答
 平成26年度に東京消防庁が実施した「消防に関する世論調査」の結果では、住宅用火災警報器等の設置率は、79.2パーセントとなっています。
 東京消防庁では、消防職員等が奏功事例や住宅火災の分析結果等を活用して、住宅用火災警報器の有効性を分かりやすく説明するなどの取組を行っています。
 また、広報誌等の広報媒体を活用した設置促進、防火防災診断等の都民への個別訪問での指導、各種イベントや防火防災訓練時等において実物を展示するなど、更なる設置率の向上に向けた取組を鋭意行っています。
 さらに、区市町村等の関係機関や関係業界に対して一層の設置促進に向けた働き掛けを行うなど、引き続き設置率の向上に向けて取り組んでいきます。

質問事項
一の5 住宅用火災警報器について、動作の確認をする必要があるが、その対策について伺う。

回答
 東京消防庁は、住宅用火災警報器の適正な維持管理を促進するため、定期的な住宅用火災警報器の清掃と手動による作動確認について、ホームページや広報誌等、あらゆる広報媒体を活用し、普及啓発するとともに、防火防災診断等の機会を捉えて、指導しています。

平成27年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 畔上三和子

質問事項
一 都内公立小中学校及び都立高校・都立特別支援学校のトイレの洋式化について

一 都内公立小中学校及び都立高校・都立特別支援学校のトイレの洋式化について
 子どもたちが長い時間をすごす学校の環境整備は、不可欠な課題です。そのなかでも、トイレは子どもたちが一日に何回も使用する場所であり、子どもたちや保護者から「早く洋式トイレを増やしてほしい」という声が寄せられています。
 いま一般家庭のトイレの洋式化率は、90%をこえているにもかかわらず、例えば江東区では平成26年12月の時点ですが小学校の洋式化率で60%、中学校で55%と、家庭と学校との間には大きなギャップがあるのが現状です。
 ある小学校の関係者から、「洋式のトイレが少なくて、その前に行列ができ、休み時間に間に合わず、結局そのまま教室に戻る子がいるので早急に洋式トイレを増やしてほしい」という声も寄せられました。
 また東日本大震災において多くの学校が避難所としての役割を果たしましたが、避難所となった福島県、宮城県の学校への文科省調査では、問題となった施設の第一位がトイレだったという結果が示されました。
 子どもたちのより良い教育環境のため、さらには地域の避難所としての役割を果たすためにも早急に学校トイレの洋式化等を進めることを求めるものです。
 以下、具体的に伺います。
1 現在、トイレの洋式化率は、都立高校で42.8%、特別支援学校で75.5%ですが、あと何年でどこまで洋式化率を引き上げる計画ですか。
 また避難所となっている都立学校もあることから、体育館のトイレの洋式化も急ぐ必要があると考えます。昨年10月、国立教育政策研究所文教施設研究センターの調査では、避難所に指定されている体育館のトイレの整備状況は高校で約7割で、そのうち洋式化率は6割となっており、体育館トイレの設置と洋式化は待ったなしの課題となっています。
2 避難所に指定されている都立学校の体育館のトイレの設置状況と洋式化率は、どうなっていますか。
 さらに、車椅子使用など障害のある生徒や、性同一性障害の生徒などのために、全ての学校に多目的トイレ設置が求められています。また、地域の高齢者や障害者等からも要望されています。
3 都立学校における多目的トイレの現況と、全校設置についての見通しをお示しください。
4 都は、大規模改修や老朽化したトイレ設備の改修工事に合わせて、洋式トイレの整備を進めるとしていますが、近い時期に改築・改修予定のない都立学校については、トイレの洋式化を優先的にすすめていただきたいと思います。いかがですか。
 都内の公立小中学校の洋式化率は、設置者が同じでも学校間のアンバランスが大きくなっています。大規模改修や改築にあわせての改修が中心のため、改修・改修予定が具体的に決まっていなかったり、予定があっても何年も先の学校の保護者からは、見通しが持てない、何とかならないかとの声が寄せられています。自治体によっては、配管などの関係で各階1か所ずつの洋式化にとどまるなど、なかなか進まない状況もあるとうかがっています。
5 都内公立小中学校のトイレの洋式化率の実態調査を求めます。
6 公立小中学校も都立学校と同様に、多目的トイレの設置が要望されています。2013年5月1日現在の設置数は、区市町村立小学校は全学校数1299校に対し896室、中学校は全学校数620校に対し474室でした。現在はどの程度すすんでいますか。小学校、中学校の全学校数、多目的トイレ設置校数、多目的トイレ数について最新の状況を教えてください。
 トイレの洋式化が大規模改修や改築に合わせて行われるのは、効率的に工事を行うという面もありますが、トイレ改修も含めた国庫補助の対象となる工事の下限が400万円であり、小規模な改修は補助の対象外となってしまうという事情もあります。
7 市長会からも改築・改修の国庫補助の下限額の引き下げや対象工事の拡大などが要望されています。都としてもこれらのことを国にくり返し求めていただきたいと思いますが、いかがですか。
8 都として、国の補助への上乗せ補助や国の補助の対象外となる工事への、きめ細かい補助をおこなうことを求めます。

平成27年第二回都議会定例会
畔上三和子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都内公立小中学校及び都立高校・都立特別支援学校のトイレの洋式化について
1 現在、トイレの洋式化率は、都立高校で42.8%、特別支援学校で75.5%だが、あと何年でどこまで洋式化率を引き上げる計画なのか、見解を伺う。

回答
 都立学校のトイレの洋式化については、学校施設全体の改築、大規模改修や、老朽化したトイレ設備の改修工事に併せて進めており、都立高校においては、洋式トイレを基本とし、和式トイレを必要最低限の設置として、学校の要望を踏まえて整備しています。
 また、特別支援学校においては、例えば、排せつが自立していない児童には、座位を保持しやすい洋式トイレが有効であることなどから、児童・生徒の実情に応じて整備しています。
 さらに、計画的な改修に加えて、簡易に洋式化できる工事手法も導入しており、平成27年度は40校、120基程度を洋式化する予定です。
 これまでと同様、洋式トイレの整備を進めていきます。

質問事項
一の2 避難所に指定されている都立学校の体育館のトイレの設置状況と洋式化率について伺う。

回答
 平成26年度に避難所指定されている都立学校193校のうち160校が、体育館にトイレを設置しています。そのうち、洋式トイレがある学校は134校、約84パーセントです。

質問事項
一の3 都立学校における多目的トイレの現況と、全校設置についての見通しについて伺う。

回答
 現在、都立学校247校のうち、多目的トイレが未整備であるのは11校です。
 これまでと同様、学校の改築や大規模改修工事等を実施する際に、施設のバリアフリー化の一環として、多目的トイレの整備を進めていきます。

質問事項
一の4 都は、大規模改修や老朽化したトイレ設備の改修工事に合わせて、洋式トイレの整備を進めるとしており、近い時期に改築・改修予定のない都立学校については、トイレの洋式化を優先的に進めるべきだが、見解を伺う。

回答
 近い時期に改築・改修予定のない都立学校については、学校からの要望に基づき、簡易に洋式化できる工事手法も活用しながら、トイレの洋式化を進めています。

質問事項
一の5 都内公立小中学校のトイレの洋式化率の実態調査をすべきだが、見解を伺う。

回答
 公立小中学校の施設整備については、トイレ改修を含め、設置者がその権限と責任において計画的に整備しています。
 都は、今後も区市町村における施設整備が着実に進められるよう施設の現状の把握を行っていきます。

質問事項
一の6 公立小中学校も都立学校と同様に、多目的トイレの設置が要望されているが、現在はどの程度すすんでいるのか。小学校、中学校の全学校数、多目的トイレ設置校数、多目的トイレ数の最新の状況について伺う。

回答
 平成26年5月1日現在の区市町村立小中学校の多目的トイレの設置数については、小学校では、全学校数1,296校に対し853校、1,502基、中学校では、全学校数618校に対し423校、866基となっています。

質問事項
一の7 トイレの改築・改修の国庫補助の下限額の引き下げや対象工事の拡大について、都として、国にくり返し求めるべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、国に対して、当初予算において施設整備に要する経費を全額計上するよう要望しています。

質問事項
一の8 都として、国の補助への上乗せ補助や国の補助の対象外となる工事への、きめ細かい補助を行うべきだが、見解を伺う。

回答
 公立小中学校に係る施設整備については、トイレの改修を含め、原則として設置者がその権限と責任において行うものです。
 都は、その緊急性・重要性に鑑み、学校施設の耐震化事業等について、既に財政支援を行っています。

平成27年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 大島よしえ

質問事項
一 簡易宿所等の調査について
二 住宅困窮者への住宅供給について

一 簡易宿所等の調査について
 5月17日、神奈川県川崎市川崎区の簡易宿泊所で、10人が死亡するという火災がおきました。いまだ出火原因など、全容が明らかになっていませんが、報道によれば、必要な防火対策を怠ったまま、2階建てから3階建てに改築していたという違反建築の可能性もあるということです。
1 国土交通省は、火災のあった建築物が、違反建築物であった疑いも指摘されていることから、簡易宿所に対する違反対策等、指導の徹底を図るよう、翌18日に「簡易宿所にかかる違反対策の徹底について」という通知を各都道府県の担当部局に送りました。
 通知では、都内の簡易宿所の違法に建築されている物件の有無の調査などとともに防災査察の重点実施を行うよう求められていますが、都はどのように対応しているのですか。またその結果について伺いたい。
2 消防庁は、「簡易宿所に係る防火対策のさらなる徹底について」という通知を出し、消防法令違反の是正の徹底などに関して都道府県の担当部署に要請しました。この通知に基づいて、東京消防庁はどのように対応しているのですか。またその結果について伺いたい。
3 ここに宿泊する人々は、一時的な宿泊所であるはずなのに、高齢や貧困で居住する住宅がないため、生活保護を受けながら長期にわたり簡易宿泊所等を利用して生活することを余儀なくされています。
 生活保護法は居宅での保護を前提にしているのですから、本来であれば簡易宿泊所などで、生活保護を受けながら長期間生活することは早期に改善すべきです。居住に関する意向を把握するために調査を行い、早期にアパート生活などへの移行支援を行うべきと思いますがいかがですか。また、現在は、どのような支援が行われているのか伺います。
4 山谷地区にある簡易宿泊所、無料低額宿泊所などで生活保護を受けながら、長期に滞在して生活している人数や、滞在期間など実態調査を行っていると聞きました。調査結果から都はどのような対策が必要と考えていますか。

二 住宅困窮者への住宅供給について
 台東区・荒川区にまたがる山谷地区には、157軒の簡易宿泊所があります。2012年の都の調査では、簡易宿泊所の利用者は、60歳以上が75.3%を占め、平均年齢は64.7歳で高齢化が進んでいます。居住期間は5年未満が43.3%いる一方で、5年以上が56.7%もいます。生活保護受給率は87.1%で、9割近くまで増加しています。
1 住生活基本法では、「住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤である」として、「住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保が図られること」としています。
 都民が人間らしく住み続けられる住居と環境を求める権利は、都民の基本的人権と考えますが、都の認識を伺います。
2 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律では、「国及び地方公共団体は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進を図るため、必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」としているにもかかわらず、住生活基本計画(都道府県計画)では、計画期間における都の区域内の公営住宅の供給の目標量は、ストック再編と有効活用だけです。
 都は、「住宅セーフティーネット機能を果たす都営住宅について、市場において自力で住宅を確保することが困難な世帯に対して、適正な規模の住宅供給に努めている」と答弁しているのですから、都営住宅の募集戸数が少なくてなかなか入居できない実態に目を向けて、都営住宅を増設することや、民間アパートなどを借り上げ公営住宅として、住宅確保要配慮者に必要な住宅を供給すべきではないですか。
3 生活保護を利用せずに生活しようとしている人たちを支える仕組みも不十分です。家賃が高くて払えないことや、高負担の入居初期費用を用意できない、保証人がいないなどの問題があって、民間住宅を借りることができない実態があります。こうした方たちを支えるために、家賃補助を検討すべきではないでしょうか。
 また、保証人代行サービスなどもありますが、有料で高額です。こうした問題解決のために、どのような対策や、検討を行っているのか伺います。
4 こうした問題が解決されないため、こうした人たちが入居者となりやすい、「違法貸しルーム」や「貧困ビジネス」が横行し、大きな社会問題となっています。
 住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関し必要な措置について協議するため、2014年6月25日東京都居住支援協議会が設立されました。都の居住支援協議会の取り組み状況を伺いたい。
5 民間の賃貸住宅では空家の増加などが大きな社会問題になっています。民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、こうした空き家を積極的に活用することが求められます。住宅確保要配慮者への空き家の積極的な活用についてどのように取り組んでいるのか伺います。

平成27年第二回都議会定例会
大島よしえ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 簡易宿所等の調査について
1 国土交通省の通知では、都内の簡易宿所の違法に建築されている物件の有無の調査などとともに防災査察の重点実施を行うよう求めているが、都はどのように対応しているのか。また、その結果について伺う。

回答
 都は、国土交通省の通知を受け、各特定行政庁に対し、東京消防庁等と連携して取り組んでいくよう要請をしました。現在、都内に存する簡易宿所に対して、各特定行政庁が調査等を進めているところです。

質問事項
一の2 消防庁は、消防法令違反の是正の徹底などに関して都道府県に要請したが、この通知に基づいて、どのように対応しているのか。また、その結果について伺う。

回答
 東京消防庁は、これまでも簡易宿所に対する防火安全指導を実施してきましたが、今回の火災による総務省消防庁の通知を受け、都市整備局及び福祉保健局と連携し、都内に存する簡易宿所に対して実態調査及び立入検査を実施しました。
 この実施結果を基に、利用者の特性や建物構造等を踏まえた防火安全指導を推進しています。

質問事項
一の3 簡易宿所利用者に対し、居住に関する意向を把握するために調査を行い、早期にアパート生活などへの移行支援を行うべきだが見解を伺う。また、現在は、どのような支援が行われているのか伺う。

回答
 簡易宿所は、主に居住地のない方などが一時的に利用するものであり、各福祉事務所においては、利用者に対し、訪問調査により生活状況を把握し、本人の意向や心身の状況等を踏まえ、居宅生活への移行や福祉施設への入所など、本人にとって最も適切な生活の場の確保に向けた支援を行っています。
 居宅生活が可能と認められた方に対しては、都営住宅の特別割当ての活用や、敷金、家具什器費の支給など、アパートなどへの転居に向けた援助を行っています。

質問事項
一の4 山谷地区にある簡易宿泊所、無料低額宿泊所などで生活保護を受けながら、長期に滞在して生活している人数や、滞在期間など実態調査を行っているが、調査結果から、都は、どのような対策が必要と考えているのか、見解を伺う。

回答
 簡易宿所、無料低額宿泊所等の利用者のうち、居宅生活が可能な方については、速やかにアパートなどへの転居が必要であると考えます。
 都は、今後とも、簡易宿所等利用者の居宅生活への移行を進めるため、都営住宅の特別割当てや、民間団体と連携して住宅相談、契約手続支援を行う国庫補助事業の活用等を、区市の福祉事務所に対して働き掛けていきます。

質問事項
二 住宅困窮者への住宅供給について
1 都民が人間らしく住み続けられる住居と環境を求める権利は、都民の基本的人権だが、都の認識を伺う。

回答
 都は、東京都住宅基本条例において、都民は「基本的人権が尊重されるとともに社会的公正が実現され、共に支え合い、安全に、安心して住み続けられる社会を築いていかなければならない」と定めています。

質問事項
二の2 都は、都営住宅を増設することや、民間アパートなどを借り上げ公営住宅として、住宅確保要配慮者に必要な住宅を供給すべきだが、見解を伺う。

回答
 都営住宅については、既存ストックの有効活用を図り、管理の適正化に努めることで、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組むとともに、民間賃貸住宅を含めた住宅ストック全体を活用しながら、住宅に困窮する都民の居住の安定確保を図ることができるよう取り組んでいます。
 なお、都営住宅の供給手法については、市場動向に左右されず安定的に供給することが重要であることから、借上げによらず、計画的な建替えを進めています。

質問事項
二の3 生活保護を利用せずに生活しようとしている人たちを支える仕組みも不十分であり、こうした方たちを支えるために、家賃補助を検討すべきである。また、保証人代行サービスなども有料で高額であり、こうした問題を解決すべきだが、見解を伺う。

回答
 家賃補助制度については、生活保護との関係や財政負担の在り方など、整理すべき課題が多く、また、典型的な所得再分配政策であることから、国における検討が必要であり、都として実施することは考えておりません。
 なお、住宅の確保に配慮を要する方々の民間賃貸住宅への入居支援としては、一般財団法人高齢者住宅財団の家賃債務保証制度や公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターのあんしん居住制度があり、その普及啓発を図っているところです。

質問事項
二の4 住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関し必要な措置について協議するため、東京都居住支援協議会が設立されたが、都の取組状況について伺う。

回答
 住宅の確保に配慮を要する方々に対して、地域の実情に応じたきめ細かな支援を行うためには、区市町村が居住支援協議会を設立し、取り組むことが重要です。
 都は、平成26年、区市町村による居住支援協議会の設立促進及び活動支援を行うため、居住支援協議会を設立し、パンフレットの作成・配布、区市町村・関係団体等を対象にしたセミナーの開催や情報交換などを行っています。

質問事項
二の5 民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、空き家を積極的に活用すべきだが、住宅確保要配慮者への空き家の積極的な活用について、どのように取り組んでいるのか伺う。

回答
 都は、平成27年度から、区市町村が実施する、活用を含めた空き家に関する対策計画の作成や、高齢者世帯など住宅確保要配慮者に民間が賃貸する空き家への改修助成に対して、財政支援を実施し、空き家の活用促進に取り組んでいます。

平成27年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 曽根はじめ

質問事項
一 石神井川の水害対策について

一 石神井川の水害対策について
 前回2014年第1回定例会において、石神井川下流の王子駅付近での2度の大規模水害の問題で文書質問を行いました。この質問に対する回答と、その後発表された都の豪雨対策基本方針の改定版を踏まえ、改めて文書質問を行います。
1 2014年6月に発表された豪雨対策基本方針の改定版では、都の豪雨による水害発生の特徴として、近年、時間50ミリを超える集中豪雨が増加し、時間100ミリを超える豪雨も数年おきに発生していること、時間75ミリ以上の豪雨が3回以上発生したのが、石神井川や神田川流域が環八や環七と交わるエリアに集中していることなどが示されています。また集中豪雨は、24時間雨量が卓越する台風・前線性豪雨と、1時間雨量が卓越する雷雨性豪雨に大別されるが、大規模水害は、後者の雷雨性豪雨の場合に多いことも明らかにされました。
 これらを総合すると、石神井川流域は、大規模水害につながりやすい雷雨性豪雨の発生の危険性が高い地域として、集中豪雨による水害対策の最重点地域の一つとして位置づける必要があると考えますが、いかがですか。
2 今回の整備方針において、目指すべき目標整備水準として、区部では時間75ミリ降雨に対応するよう引き上げることを提起し、「これにより近年増加している時間100ミリを超え、流域内で局地的かつ短時間の集中豪雨による河川からの溢水をほぼ防止できる」と明記したことは、きわめて重要です。石神井川流域については、特にこの雷雨性の豪雨対策が重要であり、重点を絞って早期に実施することを求めますが、いかがですか。
3 2010年7月5日の水害発生の後、白子川の地下調節池のシールド工事が再開され、最近石神井川のそばまで到達しており、来年度末に取水設備を完成させて、石神井川氾濫の危険が迫った際に濁流の一部を地下に貯留し、下流での水害を防止することを目指しています。これは今回の基本方針の具体化として歓迎するものです。
 ただ、前水害から5年経過した今夏の出水時期には本格完成は間に合いません。万が一の場合に対応できるよう、来年度予定している、調節池から石神井川に貯留水を戻すためのポンプの設置を前倒しして、石神井川の水を緊急に調節池に取り込むようにするなど、緊急対策を求めますが、いかがですか。
4 今後、石神井川の立坑に、環七地下調節池を延長させて接続し、広域に集中豪雨による河川の氾濫に対処できるように対策を急ぐべきです。今後の見通しについて伺います。
5 改定された基本方針では、雷雨性豪雨が大規模水害の主な原因であると指摘しながらも、石神井川の2度の水害に見られるように、雷雨性豪雨の水害は、降雨地点より一定の距離と時間をおいた下流で川が氾濫し、被害を大きくしてきた点についてはほとんどふれていません。この特徴を踏まえて、基本方針と、それに基く水害対策に、以下の点で見直しと充実が求められています。
ア 河川流域の降雨状況等について、都の情報提供も充実されてきましたが、石神井川流域の各自治体でも、練馬区、板橋区、北区などは主要ポイントの水位や河川の映像情報などを実況や速報で提供したり、携帯電話への配信サービスも行っています。しかし北区民が、練馬や板橋の情報を速報で知るには、かなり手間がかかります。都としてこれら流域自治体とネットワークをつくり「今、練馬で100ミリ豪雨が発生したので、30分後から45分後には王子駅付近の水位が上がってくる」などの予測ができるようになれば、前回のように突然の氾濫で有効な応急対策が打てなかったという事態を克服できる可能性があります。河川の情報ネットワークを検討すべきですが、いかがですか。
イ 上流や中流で豪雨が発生し、その濁流が下流に達する前に、短時間で準備できる溢水対策として、大型土嚢の活用を検討すべきです。
 これまで石神井川下流域の水防計画では、護岸がいわゆる「かみそり」型堤防のため、その上に土嚢を積むことは不可能であり、やむなく護岸からあふれた水をくい止めるための土嚢を河川の外側に積むこととされていましたが、一般の積み土嚢では、濁流にのまれて全く効果がありませんでした。前回水害の後、次の水害の危険に備えて、溢水箇所の背後に、直径が1メートル程度で重量が1トン程度の大型土嚢が並べられました、重機などで短時間に準備できる水防対策として有効と思われます。一定の敷地を確保して備蓄すべきではありませんか。
ウ 石神井川下流の護岸は、隅田川合流地点から約1キロ上流の溝田橋を境に、上流は時間50ミリの豪雨による洪水対策、下流は隅田川からの高潮被害対策として護岸の高さが決められ、洪水対策によるAP6.0メートルに対し、橋を越えてすぐ下流の護岸は高潮対策でAP5.8メートルとされています。この決め方は、以前の前線・台風性の水害を踏まえたもので、2010年の水害でも、溝田橋のすぐ下流の護岸から溢水しています。少なくとも石神井川は、護岸の高さの基準を、隅田川合流点まで全て洪水対策として統一すべきです。いかがですか。
エ 現在、溝田橋下流の水害発生場所は、近隣住民感情に配慮して、仮設によってAP6メートルで整備されています。これをこれまでの規定に沿って5.8メートルに切り下げたり、都の責任を回避し、地元の北区に任せるようなやり方をしないよう求めますが、いかがですか。
6 前回の水害の際は、石神井川の水位が護岸を超えただけでなく、周辺下水道からの内水はん濫が起きていたことは確実と見られます。現在、下水道局により、排水ポンプの増設や下水本管の拡充、下水道から石神井川への排水を一部隅田川への直接排水に切り替えるなどの工事が行われています。また北区も、当該地域について、小中学校や公園、道路の地下貯留施設の整備や区民貸し出し用排水ポンプの整備などに取り組んでいます。都として、建設局河川部と下水道局、現地で高速道路関連工事を行っている首都高速道路株式会社、そして北区との防水対策のネットワークを緊密に構築して、王子駅南口での3度目の水害をなんとしてもくい止めるために全力を上げるべきと考えますが答弁を願います。

平成27年第二回都議会定例会
曽根はじめ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 石神井川の水害対策について
1 石神井川流域は、大規模水害につながりやすい雷雨性豪雨の発生の危険性が高い地域として、集中豪雨による水害対策の最重点地域の一つとして位置づけるべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、近年の降雨特性や水害の発生状況等を踏まえ、平成26年6月に「豪雨対策基本方針」を改定し、既に石神井川など9流域を「対策強化流域」に位置付け、対策を強化することとしています。

質問事項
一の2 今回の整備方針において、目指すべき目標水準として、区部では時間75ミリ降雨に対応するよう明記された。石神井川流域については、特にこの雷雨性の豪雨対策が重要であり、重点を絞って早期に実施すべきだが、見解を伺う。

回答
 石神井川では平成22年の水害を受けて、緊急豪雨対策として、水位計や監視カメラを増設し監視体制を強化するとともに、住民の自主避難や地元区の水防活動などを支援するため、水位周知河川に指定し、はん濫警戒情報の提供を行ってきました。
 また、白子川の洪水を貯留するための白子川地下調節池へ石神井川の洪水を取水できるよう整備を進めています。
 さらに、時間50ミリを超える降雨に対処するため、護岸の改修に加えて新たな調節池を整備していくこととしており、石神井川中流調節池(仮称)などの整備に向けた準備を進めています。

質問事項
一の3 万が一の場合に対応できるよう、来年度予定している、調節池から石神井川に貯留水を戻すためのポンプの設置を前倒しして、石神井川の水を緊急に調節池に取り込むようにするなど、緊急対策をすべきだが、見解を伺う。

回答
 平成26年末に白子川地下調節池のトンネルが完成し、現在、石神井川からトンネルへ洪水を取り込むための取水せきや導水路などの工事を進めています。
 また、調節池から石神井川に貯留水を戻すための排水ポンプは製作中ですが、排水ポンプはその構造から、河川の水を取水することはできません。調節池は突発的な洪水を大量に取水する必要があるため、取水せきを通して自然に流入させる構造としています。

質問事項
一の4 今後、石神井川の立坑に、環七地下調節池を延長させて接続し、広域に集中豪雨による河川の氾濫に対処できるように対策を急ぐべきだが、今後の見通しについて伺う。

回答
 平成24年に策定した「中小河川における都の整備方針」に基づき、環七地下調節池と白子川地下調節池をトンネルで連結して、神田川、石神井川及び白子川の3流域間で容量の相互融通が可能な広域調節池を設置することとしています。平成27年度は詳細設計を行うなど、平成28年度工事着手に向け準備を進めています。

質問事項
一の5 豪雨対策基本方針及び水害対策の見直し及び充実について
ア 北区民が、練馬や板橋の情報を速報で知るには手間がかかる。河川の情報ネットワークを検討すべきだが、見解を伺う。

回答
 石神井川は平成23年6月に水位周知河川に指定しており、西東京市、練馬区、板橋区又は北区の基準地点の水位が上昇した際に、はん濫危険情報を基準地点下流の区市に伝達しています。
 また、平成27年6月からは、これらの基準地点の水位監視映像をインターネット上で公開しています。

質問事項
一の5のイ 短時間で準備できる溢水対策として、大型土嚢の活用を検討すべきであり、重機などで短時間に準備できる水防対策として有効だが、一定の敷地を確保して備蓄すべきではないのか、見解を伺う。

回答
 溝田橋付近では、首都高速道路株式会社により、首都高王子線の建設に合わせて河川の改修工事が進められています。本工事期間中は、水害による被害を軽減するため首都高速道路株式会社が大型土のうを備蓄しています。

質問事項
一の5のウ 2010年の水害で、溝田橋のすぐ下流の護岸から溢水している。少なくとも石神井川は、護岸の高さの基準を、隅田川合流点まで全て洪水対策として統一すべきだが、見解を伺う。

回答
 石神井川の下流は洪水に加えて高潮の影響を受ける区間であり、護岸の高さの基準は洪水対策と高潮対策の双方に必要な高さを満足することとしています。
 これに基づき、溝田橋下流の護岸の高さは高潮対策に必要なAPプラス5.8メートルとしています。

質問事項
一の5のエ 現在、溝田橋下流の水害発生場所は、仮設によってAP6.0メートルで整備されている。これをこれまでの規定に沿って5.8メートルに切り下げたり、都の責任を回避し、地元の北区に任せるようなやり方をすべきではないが、見解を伺う。

回答
 溝田橋下流では、必要な堤防高さはAPプラス5.8メートルですが、そのうち、溝田橋から新柳橋までの区間で、地域住民の不安等を軽減するため、仮設での護岸のかさ上げを行っています。
 この仮設護岸については、地元北区からの要望もあり、石神井川中流域の調節池整備が完了するまでの間、残置することとしています。

質問事項
一の6 都として、防水対策のネットワークを緊密に構築して、王子駅南口での3度目の水害をくい止めるために全力を上げるべきだが、見解を伺う。

回答
 東京都豪雨対策基本方針の改定を踏まえ、建設局及び下水道局並びに北区等で構成される東京都総合治水対策協議会では、ハード・ソフトの両面から河川や下水道などに関する治水対策を定めた「石神井川流域豪雨対策計画」の改定作業を進めています。
 また、首都高速道路株式会社は工事期間中、水防計画書を毎年作成し、水害時に適切な対応ができるよう定めており、都はその内容について審査・是正指示を行い、実効性のある対策を講じています。

平成27年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 大山とも子

質問事項
一 歯科口腔保健について

一 歯科口腔保健について
 歯科口腔保健について質問します。
1 歯科口腔保健推進法が、議員立法によって制定され、2011年8月に公布・施行されました。
 同法は、高齢化が進む中で将来を見据え、乳幼児期からの生涯を通じた歯科疾患の予防、口腔機能の獲得・保持等により、すべての国民が心身ともに健やかで心豊かな生活ができる社会を実現することを目指すものとされています。
 そして、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持の推進に関する基本理念を定め、国と地方自治体の責務を明確にするとともに、歯科口腔保健の推進に関する基本となる事項を定めることにより、歯科口腔保健施策を総合的に推進することを掲げています。
 都は、歯科口腔保健推進法が制定・施行された意義を、どう受け止めていますか。
2 歯科口腔保健推進法第1条、法の目的の規定には、「口腔の健康が国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしている」「国民の日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組が口腔の健康の保持に極めて有効である」と、歯科口腔保健の重要な役割が明記されています。
 また第2条では、「国民が、生涯にわたって日常生活において歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに、歯科疾患を早期に発見し、早期に治療を受けることを促進すること」「乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期における口腔とその機能の状態及び歯科疾患の特性に応じて、適切かつ効果的に歯科口腔保健を推進すること」「保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育その他の関連施策の有機的な連携を図りつつ、その関係者の協力を得て、総合的に歯科口腔保健を推進すること」の3項目を、歯科口腔保健の推進に関する施策の基本理念として掲げています。
 都は、歯科口腔保健推進法の第1条に明記された歯科口腔保健の役割の重要性、および第2条に掲げられた歯科口腔保健の推進に関する施策の基本理念を、どう受け止め、どう対応していくのですか。
3 歯科口腔保健に関する知識等の普及啓発等について定めた歯科口腔保健推進法第7条では、「国及び地方公共団体は、国民が、歯科口腔保健に関する正しい知識を持つとともに、生涯にわたって日常生活において歯科疾患の予防に向けた取組を行うことを促進するため、歯科口腔保健に関する知識及び歯科疾患の予防に向けた取組に関する普及啓発、歯科口腔保健に関する国民の意欲を高めるための運動の促進その他の必要な施策を講ずるものとする」とされています。
 法第7条にもとづく施策を、都は法施行後どのように充実させたのですか。また今後どのように推進し、充実を図るのですか。
4 定期的に歯科検診を受けること等の勧奨等について定めた歯科口腔保健推進法第8条では、「国及び地方公共団体は、国民が定期的に歯科に係る検診を受けること及び必要に応じて歯科保健指導を受けること(以下この条及び次条において「定期的に歯科検診を受けること等」という。)を促進するため、定期的に歯科検診を受けること等の勧奨その他の必要な施策を講ずるものとする」とされています。
 法第8条にもとづく施策を、都は法施行後どのように充実させたのですか。また今後どのように推進し、充実を図るのですか。
5 障害者等が定期的に歯科検診を受けること等のための施策等について定めた歯科口腔保健推進法第9条では、「国及び地方公共団体は、障害者、介護を必要とする高齢者その他の者であって定期的に歯科検診を受けること等又は歯科医療を受けることが困難なものが、定期的に歯科検診を受けること等又は歯科医療を受けることができるようにするため、必要な施策を講ずるものとする」とされています。
 法第9条にもとづく施策を、都は法施行後どのように充実させたのですか。また今後どのように推進し、充実を図るのですか。
6 歯科疾患の予防のための措置等について定めた歯科口腔保健推進法第10条では、「前三条に規定するもののほか、国及び地方公共団体は、個別的に又は公衆衛生の見地から行う歯科疾患の効果的な予防のための措置その他の歯科口腔保健のための措置に関する施策を講ずるものとする」とされています。
 法第10条にもとづく施策を、都は法施行後どのように充実させたのですか。また今後どのように推進し、充実を図るのですか。
7 口腔の健康に関する調査及び研究の推進等について定めた歯科口腔保健推進法第11条では、「国及び地方公共団体は、口腔の健康に関する実態の定期的な調査、口腔の状態が全身の健康に及ぼす影響に関する研究、歯科疾患に係るより効果的な予防及び医療に関する研究その他の口腔の健康に関する調査及び研究の推進並びにその成果の活用の促進のために必要な施策を講ずるものとする」とされています。
 法第11条にもとづく施策を、都は法施行後どのように充実させたのですか。また今後どのように推進し、充実を図るのですか。
8 歯科口腔保健推進法は、第7条から第11条の施策を総合的に進めるための方針、目標、計画その他の基本的事項を、厚生労働大臣が定める基本的事項を勘案し、かつ地域の状況に応じて定めるよう努めることを、都道府県に求めています。都はどう対応するのですか。
 埼玉県、神奈川県、愛知県、大阪府、北海道をはじめ多くの道府県が、歯科口腔保健推進計画を策定しています。
 たとえば埼玉県は「埼玉県歯科口腔保健推進計画」を、県の総合計画(「埼玉県5か年計画」)や埼玉県地域保健医療計画の下位計画にあたるものと位置づけています。
 都としても、東京都長期ビジョンや東京都保健医療計画に加え、歯科口腔保健施策を総合的に進めるための方針、目標、計画その他の基本的事項を定める「東京都歯科口腔保健推進計画(仮称)」を策定することが必要ではありませんか。
9 歯科口腔保健推進法は第15条で、都道府県は口腔保健支援センターを設けることができるとし、同法第12条に基づいて厚生労働大臣が定めた基本的事項では、「地方公共団体に歯科医療又は保健指導に係る業務に従事する者等に対する情報の提供、研修の実施その他の支援を行う口腔保健支援センターを設置することが望ましい」と明記しています。
 都はどう対応するのですか。都として口腔保健支援センターを設置することが必要ではありませんか。
10 歯科口腔保健推進法にもとづいて厚生労働大臣が定めた「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」では、歯科専門職である歯科医師、歯科衛生士及び歯科技工士の確保等に努めることが望ましいとし、「都道府県において、市町村、医療保険者、地域の歯科医師会・医師会等の関係団体と連携し、最新の知見に基づく研修の充実を図ることが必要である」と明記しています。また「歯科口腔保健に取り組むボランティアを養成する体制を推進することも重要である」としています。これらの課題に、都としてどう対応するのですか。
11 厚生労働大臣が定めた「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」では、「歯科医師、歯科衛生士等が行う指導・助言・管理等により口腔の健康の保持・増進に関する健康格差の縮小を実現する」と明記されています。
 健康で長生きできる事は多くの都民の願いです。「食べること」は生きることの基本であるだけに、最期まで口から食べられることは重要です。
 最近は胃ろうを造設した方も、口腔ケア等を行うことで胃ろうから離脱する例が多数報告されています。
 また、筑波大学の寺本信嗣教授は、肺炎患者のうち約65%が70歳以上の高齢者であり、そのうち、約8割が誤嚥性肺炎だと報告しています。口腔ケア等による感染予防や嚥下機能改善等の取り組みが行われています。歯科衛生士が口腔ケアの指導をしている老人保健施設では、口腔ケアを実施して以降、年間10件程度あった誤嚥性肺炎が年々少なくなり昨年度は0件になったとのことです。その中心を担っているのは歯科衛生士です。
 入院病棟でも、歯科衛生士が周術期の口腔ケアを行い、痛みや違和感が改善し、回復に良い効果が現れていることや、患者さんのQOL向上や尊厳の維持等、その重要性が増しています。
 介護予防やリハビリテーションとの関係でも可能性が示唆されており、活躍の場は大きく広がっています。
 また、口腔内の健康は、子どものときの口腔内環境が大きく影響します。口腔ケアや予防歯科などを行う上で、歯科衛生士の役割はきわめて重要です。
 昨年度都が歯科医師会に委託調査した「東京都歯科衛生士実態調査」でも歯科診療所に勤務する歯科衛生士が就業者の80%以上に上ることから「歯科医師とともに歯科衛生士が歯科診療における重要な役割を担い、協働している現状が示された」とあります。
 都は、歯科衛生士の役割の重要性についてどう認識していますか。
12 予防・口腔ケアが重視される今日の歯科診療では、歯科衛生士はなくてはならない人材であるにもかかわらず、その確保がきわめて難しいとの声がよせられています。高齢化が進む中、地域包括ケアや在宅ケアを担う歯科衛生士の養成・確保も求められています。
 ところが厚労省調査によると歯科衛生士の平均年収は約335万円と看護師と比べても大幅に低く、離職の大きな原因となっています。
 一方で「東京都歯科衛生士実態調査」では、多くの方が長く働きたいという希望をもっていることがわかり、未就業者でも復職を希望する方が多数となりました。実態調査のまとめでも「歯科衛生の継続的な就業と未就業者の復職を支援することが望まれる」とあります。
 都は看護師について、養成対策、定着対策、再就業対策の3つの柱で看護師確保に努めるとしています。
 歯科衛生士についても、養成、定着、再就業の総合的な確保対策が必要だと思いますが、いかがですか。
 歯科衛生士の養成、定着、再就業のそれぞれについて、どのような課題があると認識し、どう対応するのですか。
13 すでに全国41道府県で、歯科口腔保健推進の条例が制定されています。新潟県にはじまり全国に広がった条例制定が、歯科口腔保健推進法制定の大きな力になりました。同時に、歯科口腔保健推進法制定後も、引き続き条例制定の動きが広がっています。各地の条例の多くは、基本条例的なもので、地域の状況に応じた個性的な規定がもりこまれています。
 歯科口腔保健推進の条例が全国41道府県まで広がり、多彩な展開を見せていることを、都はどう受け止めていますか。
14 都としても、東京都の地域の状況を反映させた「東京都歯科口腔保健推進条例(仮称)」を制定することなどが重要と考えますが、都として歯科口腔保健対策に、どのように取り組んでいるのですか。
 以上の質問への答弁を求めるものです。

平成27年第二回都議会定例会
大山とも子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 歯科口腔保健について
1 歯科口腔保健推進法が、2011年8月に公布・施行されたが、都は、歯科口腔保健推進法が制定・施行された意義を、どのように受け止めているのか、見解を伺う。

回答
 口腔(くう)の健康を保つことは、健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしています。
 また、口腔の健康の保持は、日常生活における歯科疾患の予防に向けた取組が極めて有効です。
 歯科口腔保健の推進に関する法律は、こうしたことに鑑み、歯科疾患の予防等による歯科口腔保健の推進に関する施策を総合的に推進するために制定されたものと認識しています。

質問事項
一の2 都は、歯科口腔保健推進法の第1条に明記された歯科口腔保健の役割の重要性、および第2条に掲げられた歯科口腔保健の推進に関する施策の基本理念を、どのように受け止め、どのように対応していくのか、見解を伺う。

回答
 都民が歯と口腔の健康を保ち、健康寿命を延伸して豊かな生活を送るためには、歯科口腔保健推進法の目的や基本理念を踏まえ、生涯にわたり歯と口腔の健康づくりを総合的に進めていくことが重要であると認識しています。
 都は、平成5年に都独自の歯科保健目標を設定して以来、定期的に目標を見直しながら、区市町村や歯科医師会、医師会等の関係団体と連携して、必要な施策を実施してきており、今後とも、目標の達成に向け施策を推進していきます。

質問事項
一の3 歯科口腔保健推進法第7条にもとづく施策を、都は法施行後どのように充実させたのか。また今後どのように推進し、充実を図るのか、見解を伺う。

回答
 都は、歯科口腔保健に関する知識等の普及啓発等を行うため、歯と口の健康週間に合わせた上野動物園でのイベントや、8020・健やか家族表彰などを実施しており、法施行後は、平成24年度に作成した「お家でできる口腔ケア」のリーフレットを活用し、在宅療養者に対する口腔ケアの普及に取り組んでいます。
 また、平成26年度に作成した成人を対象とした歯と口腔のセルフチェックシートを活用し、普及啓発に取り組んでおり、今後とも、都民に対する普及啓発に努めていきます。

質問事項
一の4 歯科口腔保健推進法第8条にもとづく施策を、都は法施行後どのように充実させたのか。また今後どのように推進し、充実を図るのか、見解を伺う。

回答
 都は、歯科検診の定期的な受診を促進するため、かかりつけ歯科医を持つことの重要性について普及啓発を行うとともに、歯周疾患検診など歯科健康診査に取り組む区市町村を支援しています。
 法施行後は、平成24年度に定期健診の受診を勧奨するポスターを、平成26年度に成人を対象とした歯と口腔のセルフチェックシートを作成し普及啓発に取り組んでおり、今後とも、定期的な歯科健診の重要性等について普及啓発に努めていきます。

質問事項
一の5 歯科口腔保健推進法第9条にもとづく施策を、都は法施行後どのように充実させたのか。また今後どのように推進し、充実を図るのか、見解を伺う。

回答
 都は、障害者や介護を要する高齢者等が定期的に歯科検診や歯科医療を受けられるようにするため、障害者等の歯科医療を行うかかりつけ歯科医の定着等に取り組む区市町村への支援や、都保健所による市町村や障害者施設の職員等を対象とした講習会等を行うとともに、昭和59年度に設置した東京都立心身障害者口腔保健センターにおいて、地域での対応が困難な障害者等の歯科保健医療に対応しています。
 法施行後は、平成24年度に「はじめての在宅歯科医療」のマニュアルを作成し、歯科医師、歯科衛生士等を対象とした研修会等で活用するとともに、平成26年度からは、在宅療養者等の歯科診療に取り組む診療所等の設備整備に対する補助を拡充しています。
 今後とも、障害者等の定期的な歯科健診や歯科医療体制の充実に努めていきます。

質問事項
一の6 歯科口腔保健推進法第10条にもとづく施策を、都は法施行後どのように充実させたのか。また今後どのように推進し、充実を図るのか、見解を伺う。

回答
 都は、歯科疾患の効果的な予防のため、ふっ化物洗口の推進に取り組む区市町村の支援や、食育支援、歯周病に関連する糖尿病や喫煙に係る対策などに取り組んでいます。
 平成26年度には、「歯と口の健康からはじめる食育チャレンジブック」を作成して、歯科医師、歯科衛生士、栄養士等の多職種向けに食育支援講習会を実施しており、今後とも歯科疾患予防に取り組んでいきます。

質問事項
一の7 歯科口腔保健推進法第11条にもとづく施策を、都は法施行後どのように充実させたのか。また今後どのように推進し、充実を図るのか、見解を伺う。

回答
 都は、口腔の健康に関する調査及び研究の推進等を図るため、これまで、歯科診療所患者調査や幼児期・学齢期の歯科保健行動に関する調査等を実施し、また、健康状態や口腔機能に着目した成人歯科検診のスクリーニング方法の開発を行いました。
 法施行後は、平成25年度に障害児(者)の歯科保健医療に関する実態調査を、平成26年度に歯科診療所患者調査を実施しており、調査結果は、今後の歯科保健事業に反映させていきます。

質問事項
一の8 都は、東京都長期ビジョンや東京都保健医療計画に加え、「東京都歯科口腔保健推進計画(仮称)」を策定すべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、平成5年に都独自の歯科保健目標や、その達成に向けた方針、取組等を盛り込んだ計画を策定しました。平成11年度からは、5年ごとに、都民の歯科保健意識や口腔内の実態調査等を実施し、目標の達成状況を踏まえて計画の見直しを行ってきました。
 平成22年度に策定した現在の「東京都歯科保健目標 いい歯東京」も、歯科口腔保健の推進に関する法律第13条に定められている施策の総合的な実施のための方針、目標、計画等の基本的事項を盛り込んだ計画となっています。

質問事項
一の9 都として口腔保健支援センターを設置すべきだが、見解を伺う。

回答
 歯科医療従事者に対する情報提供、研修の実施など、歯科口腔保健の推進に関する法律に規定されている口腔保健支援センターの取組については、都保健所や東京都立心身障害者口腔保健センターで実施しています。

質問事項
一の10 歯科医師、歯科衛生士及び歯科技工士の確保や、都道府県における最新の知見に基づく研修の充実、歯科口腔保健に取り組むボランティアの養成が重要だが、これらの課題に、都としてどのように対応するのか、見解を伺う。

回答
 都は、歯科衛生士や歯科技工士の資質向上や再就職支援のための研修を実施し、歯科衛生士及び歯科技工士の確保に努めています。
 平成23年度からは、新たな課題である高齢者の摂食・えんげ障害に適切に対応するため、医師会、歯科医師会等と連携しながら、医師や歯科医師、歯科衛生士、看護師等を対象とした、基礎から実地までの体系的な研修を実施しています。
 また、食育を推進するため、多職種向けに「歯と口の健康からはじめる食育チャレンジブック」を作成し、この中で、区市町村と連携して地域で食育支援に取り組む住民グループのボランティア活動を紹介しています。

質問事項
一の11 口腔ケアや予防歯科などを行う上で、歯科衛生士の役割はきわめて重要だが、都は、歯科衛生士の役割の重要性について、どのように認識しているのか、見解を伺う。

回答
 歯科衛生士は、歯科疾患の予防や口腔衛生の向上を図るため、歯科医師等と緊密に連携し、適正な歯科医療を確保する役割を担っていると認識しています。

質問事項
一の12 都は看護師について、養成対策、定着対策、再就業対策の3つの柱で看護師確保に努めるとしている。歯科衛生士についても、総合的な確保対策が必要だが、養成、定着、再就業のそれぞれについて、どのような課題があると認識し、どのように対応するのか、見解を伺う。

回答
 歯科衛生士は、平成26年度には、都内で900人以上が国家試験に合格しており、合格者数は平成24年度以降増加傾向にあります。
 平成26年度東京都歯科衛生士実態調査事業報告書では、未就業の理由として、出産、育児と回答した者が最も多く、次いで、雇用条件が合わない、知識・技術に自信がないとなっています。
 未就業者のうち7割を超える人が、再就業の意思があるとしており、都は、定着や再就業を支援するため、専門知識・技術の習得等の講習会を、東京都歯科衛生士会に委託して実施しています。

質問事項
一の13 歯科口腔保健推進の条例が全国41道府県まで広がり、多彩な展開を見せていることを、都はどのように受け止めているのか、見解を伺う。

回答
 条例は、各道府県がそれぞれの地域の歯科口腔保健の取組の状況を踏まえ制定しているものと認識しています。

質問事項
一の14 都としても、東京都の地域の状況を反映させた「東京都歯科口腔保健推進条例(仮称)」を制定することなどが重要だが、都として歯科口腔保健対策にどのように取り組んでいるのか伺う。

回答
 都は、平成5年に、地域の状況を踏まえ都独自の歯科保健目標や、その達成に向けた方針、取組等を盛り込んだ計画を策定し、その後も目標の達成状況を踏まえて計画を見直しながら、必要な歯科口腔保健施策を実施しています。
 また、東京都保健医療計画や健康推進プラン21において、糖尿病と歯周病の発症や重症化の関連など、歯と口腔の健康が全身の健康と密接に関わっていることを踏まえ、都民への普及啓発や、在宅療養における医科と歯科との連携など、歯科口腔保健施策を保健医療施策の一環として推進しています。

平成27年第二回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 吉田信夫

質問事項
一 米軍横田基地とオスプレイ配備について

一 米軍横田基地とオスプレイ配備について
 オスプレイの配備が計画されている米軍横田基地は、1945年に米軍が駐留するまでは、面積約446万平方メートル、滑走路1280メートルにすぎませんでしたが、それが今日では、面積約714万平方メートル、滑走路3350メートルの巨大基地となっています。これは、駐留した米軍によって基地拡張がすすめられた結果であり、そのために多くの住民が立ち退きを余儀なくされました。
 オスプレイ配備計画に当たり、あらためて、沖縄県だけでなく東京・横田でも住民が犠牲になってきた経過を直視する必要があります。
1 1945年以降の基地拡張面積と滑走路の延長距離、拡張にともない立ち退きを余儀なくされた住宅数を、年次ごとに明らかにしてください。
2 配備された戦闘機の振動によって窓ガラスがわれ入浴中の女性が負傷するなど痛ましい被害によって、堀向地区では住宅や商店街など地域ごとに移転を余儀なくされましたが、その経緯、移転した戸数を明らかにしてください。
3 1946年の横田基地開設以来、駐留米軍機及び基地に飛来した米軍機によって事故がくりかえされ、住民の命と生活が脅かされてきました。あらためて事故の歴史を直視する必要があります。埼玉県など近隣地域も含め以下の事故の実態を明らかにしてください。〔1〕駐留及び飛来機の墜落件数、〔2〕死傷者を発生した事故件数及び死傷者数、〔3〕部品等の落下事故件数及び住民への被害件数。
4 米国防総省は、軍用飛行場滑走路の周辺に事故発生の危険性が高い地域を、危険度のレベルに応じて指定するよう規定しています。規定では、滑走路から900メートルのエリアは最も事故発生の危険が高く、土地利用を禁止した地域(「クリアゾーン」)に定め、さらに1500メートルは事故の可能性の高い地域として(「APZ1」)、住宅、学校、病院、公民館などを禁止しています。
 横田基地でのクリアゾーンやAPZ1などの設定について、私は2010年10月の総務委員会で質問しましたが、担当部長は「国へ、個別の話も含めまして照会を続けていきたい」と答弁しました。照会の経過と結果について明らかにしてください。横田基地での米軍の地域指定はどのようになっているのですか。
5 宜野湾市では米軍関係資料を調査し普天間基地でのクリアゾーンやAPZ地域を公表しました。横田基地の場合、私の調査では、クリアゾーン内に住宅はもちろん、駅1ヵ所、保育園1ヵ所。APZ1エリアには、小学校1校、中学校1校、専門学校1校、保育園所・幼稚園3箇所、医療施設3箇所、高齢者施設1ヵ所、障害者施設1ヵ所、都営住宅2か所があると思われます。都はどう認識していますか。
6 知事は、米軍によって墜落や部品落下などの被害がくりかえされ、米本土では住宅や学校などが禁止されている事故可能性地域に住宅、学校、保育園もあるという横田基地の危険性について認識を質問したにもかかわらず、答弁にたちませんでした。答弁にたった都市整備局長は、危険性への認識は表明されませんでした。
 しかし東京都発行の「東京の米軍基地2014」では、「市街地に位置し、航空機による事故が発生すれば、周辺住民の生命や財産に直接損害を与える大惨事になりかねないだけに、極めて深刻な問題である」と記載されています。知事は、横田基地の危険性についてどう認識しているのですか。
7 オスプレイによる夜間訓練や旋廻訓練だけでなく、国会での質疑で明らかになった超低空飛行訓練による危険への認識を聞いたにもかかわらず、都市整備局長は、「低空飛行訓練についても原則として地上から約150メートル以上の高度で飛行することになっている」と答弁した。しかしわが党の国会質問で、最も高い障害物からわずか30メートルあるいは60メートルの超低空飛行訓練を行うことを政府は認めました。また沖縄県では150メートル以下の飛行がくりかえされてきました。150メートル以上はあくまで原則であり、150メートル以下の飛行も行うという認識を都はもっているのですか、それともまったく飛行しないという認識なのですか。150メートル以下での超低空飛行訓練の危険性について都の認識をうかがいます。
8 知事は、「安全保障に関することは国の専管事項であるが、米軍の運用に際しては、地元住民の生活への最大限の配慮が必要である」と答弁しましたが、自治体の長は、米軍の運用にしか意見を表明できず、配備自体の中止や撤回を求めることはできないという認識ですか。そう認識するならその法的根拠を示してください。法的に自治体の長が配備の撤回を求めることができると認識するなら、なぜCVオスプレイ配備計画について配備撤回を求めないのですか。
9 米軍基地をかかえた自治体は、新たな米軍機の配備によって、住民の命と安全、財産が脅かされかねないと判断される場合には、国に配備撤回を申しいれてきました。沖縄県では、県知事を先頭に島ぐるみで辺野古への新基地建設に反対する行動が進められています。知事は、こうした行為は国の専管事項を脅かすもので、適切でないとの認識ですか。
 住民の命と安全、財産や環境を守るために、国にたいし新基地建設や米軍機の配備撤回を求めることは、自治体の長として当然の行為ではありませんか。お答えください。

平成27年第二回都議会定例会
吉田信夫議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 米軍横田基地とオスプレイ配備について
1 1945年以降の米軍横田基地の拡張面積と滑走路の延長距離、拡張にともない立退きを余儀なくされた住宅数を、年次ごとに伺う。

回答
 横田基地は、昭和20年に米軍に接収された当時、面積が446ヘクタール、滑走路が1,300メートルでしたが、昭和25年頃から、軍用機のジェット化に伴い滑走路が拡張され、昭和35年には滑走路が3,350メートルとなり、現在と同規模の基地となりました。平成27年1月現在、面積は714ヘクタール、滑走路は3,350メートルです。
 なお、基地拡張に伴う移転の有無やその戸数は不明です。

質問事項
一の2 配備された戦闘機の振動被害によって、堀向地区では住宅や商店街など地域ごとに移転を余儀なくされたが、その経緯、移転した戸数について伺う。

回答
 昭島市堀向地区においては、航空機による騒音の問題が深刻化したため、昭和40年から49年にかけて、住民約570世帯の集団移転が行われました。

質問事項
一の3 1946年の横田基地開設以来、駐留米軍機及び基地に飛来した米軍機によって事故がくりかえされ、住民の命と生活が脅かされてきたが、埼玉県など近隣地域も含め、駐留及び飛来機の墜落件数、死傷者を発生した事故件数及び死傷者数、部品等の落下事故件数及び住民への被害件数について伺う。

回答
 都が確認している東京及びその近隣地域における米軍機の事故については、昭和40年から平成27年6月までで、墜落事故は13件、部品等の紛失・落下事故は19件です。
 なお、死傷者を発生した事故件数及び死傷者数並びに部品等落下による住民への被害件数については、被害の状況が確認できない事故もあるため不明です。

質問事項
一の4 横田基地でのクリアゾーンやAPZ1などの設定について、国への照会の経過と結果について伺う。

回答
 改めて国に確認したところ、クリアゾーンなど米国の基地周辺における利用制限を定めた基準について、米国からは、「米国内において周辺の自治体に示しているガイドラインであり、米国外の基地には適用されない」と聞いているとの回答でした。

質問事項
一の5 横田基地のクリアゾーン内に、駅1か所、保育園1か所、APZ1エリアには、小学校1校、中学校1校、専門学校1校、保育園所・幼稚園3か所、医療施設3か所、高齢者施設1か所、障害者施設1か所、都営住宅2か所があると思われるが、都はどのように認識しているのか、見解を伺う。

回答
 国からは、クリアゾーンなどに係る基準は、米国内において周辺の自治体に示しているガイドラインであり、米国外の基地に適用されるものではないと聞いています。
 横田基地周辺地域の土地利用については、航空法等の国内法の基準に適合するよう、国が適切に対応しているものと認識しています。

質問事項
一の6 都発行の「東京の米軍基地2014」では、「市街地に位置し、航空機による事故が発生すれば、周辺住民の生命や財産に直接損害を与える大惨事になりかねないだけに、極めて深刻な問題である」と記載されているが、横田基地の危険性についてどのように認識しているのか、見解を伺う。

回答
 横田基地の周辺地域における土地利用については、航空法等の国内法の基準に適合するよう国が適切に対応しているものと認識しています。
 米軍の運用に当たっては、安全面に最大限考慮を払うとともに、地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めるべきです。
 都は、地域に影響を及ぼす米軍の運用について、安全対策の徹底や航空機事故の防止などを国や米軍に対して要請しています。

質問事項
一の7 オスプレイによる超低空飛行訓練について、150メートル以上はあくまで原則であり、150メートル以下の飛行も行うという認識を都はもっているのか、それともまったく飛行しないという認識なのか。150メートル以下での超低空飛行訓練の危険性について、認識を伺う。

回答
 国からは、米国は、低空飛行訓練を含め、CV-22オスプレイの我が国での訓練・運用に際しては、MV-22オスプレイに関する日米合同委員会合意を含む、既存の全ての日米合意を遵守する旨を明言していると聞いています。
 MV-22オスプレイに関する日米合同委員会合意においては、地元住民に十分な配慮がなされ、最大限の安全対策が執られることのほか、低空飛行訓練に際しても、運用の安全性確保のため、やむを得ない場合を除き、地上から500フィート(約150メートル)以上の高度で飛行することとなっています。

質問事項
一の8 自治体の長は、米軍の運用にしか意見を表明できず、配備自体の中止や撤回を求めることはできないという認識なのか。ならばその法的根拠はなにか。法的に配備の撤回を求めることができるならば、なぜCVオスプレイ配備計画について配備撤回を求めないのか、見解を伺う。

回答
 オスプレイの配備計画は、安全保障に関することで、国の専管事項であり、国の責任で行うべきものです。
 米軍の運用に際しては、地元住民の生活への最大限の配慮が必要であることから、都は、地元自治体として、国の責任において、都をはじめ地元自治体や周辺住民に十分な説明責任を果たすとともに、安全対策の徹底と環境への配慮等を米国に働き掛けることを求めています。

質問事項
一の9 米軍基地をかかえた自治体は、新たな米軍機の配備によって、住民の命と安全、財産が脅かされかねないと判断される場合には、国に配備撤回を申しいれてきたが、こうした行為は国の専管事項を脅かすもので、適切でないとの認識なのか。国に対し、新基地建設や米軍機の配備撤回を求めることは、自治体の長として当然の行為ではないのか、見解を伺う。

回答
 米軍基地が所在する各自治体は、それぞれ置かれた状況が異なるため、それぞれの立場で判断し、対応されているものと考えます。

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