平成二十七年東京都議会会議録第九号

○副議長(藤井一君) 二十七番石川良一君。
〔二十七番石川良一君登壇〕

○二十七番(石川良一君) 初めに、受動喫煙防止対策について伺います。
 先日、都議会の会議室で超党派の議員が参加して、受動喫煙による健康への影響を学ぶ研修会が開催をされました。
 この中で、たばこの煙は、PM二・五より小さいPM〇・五以下であり、副流煙は肺の最深部まで吸入され、血流に乗って全身の血管の炎症や動脈硬化を引き起こす原因となるとの指摘がありました。
 また、たばこ税の収入は高利の借金と同じで、将来の医療費と労働力の損失につながり、トータルでは大きなマイナスになるとの試算も出されました。
 分煙も、台所の換気扇のもとでの喫煙はキッチン全体が汚染されることになり、また、ベランダでの喫煙もサッシのすき間から室内に大量に煙が侵入してしまうことや、空気清浄機も集じんフィルターにたばこの煙粒子が付着してしまい、急速に効率が低下するとのことでありました。
 また、ファミリーレストラン等の分煙化では、エアコンで攪拌された煙が禁煙区域に拡散され、子供たちの受動喫煙を防ぐことは不可能とのことでありました。
 都は、平成十六年に受動喫煙防止ガイドラインを策定して、受動喫煙防止の取り組みを行ってきました。
 そこで、都民に対する受動喫煙問題への都の取り組みについて伺うとともに、都の本庁舎の現在の分煙措置は、たばこの煙を外に排出する陰圧方式が導入されておりますが、その他の都立施設の受動喫煙を防止するための具体的な対策をどのように行っているのか伺うものであります。
 二〇〇四年、アテネ五輪以降、夏季、冬季を問わず全ての五輪開催都市で受動喫煙を防止するための法律や条例が定められています。来年開催されますリオデジャネイロの夏季オリンピックでも、二〇〇九年に公共施設などを禁煙とする罰則つきの州法を制定しております。
 また、国立がんセンターが行った、たばこに対する禁煙化を東京も進めるべきかどうかとの都民アンケートでも、罰則つきの規制、法律や条例を制定すべきという意見が五三・四%を占めることが明らかになりました。
 しかし、東京都の有識者会議である都受動喫煙防止対策検討会は、受動喫煙防止のための条例化については、その是非の判断を示さないまま、一八年度までに条例化の検討を行うことを求めるにとどめ、先送りをしてしまいました。
 一方、日本学術会議は、受動喫煙の健康に対する害のエビデンスは明確であり、東京都は速やかに公共の場での受動喫煙を防止するための法整備、条例化を行うよう緊急提言を行っております。これは、国が受動喫煙対策に動く様子がなく、学術会議のせっぱ詰まった思いから、都に速やかな決断を求めているものであります。
 舛添知事におかれましては、世界最高のオリンピックを実現することを目標に掲げております。二〇一九年には、世界選手権クラスのテストイベントも行われます。二〇一八年では、条例化されても徹底する時間的余裕はありません。
 受動喫煙を防止するための条例化を早期に具体化していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、新国立競技場問題について伺います。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催決定は、各方面に多くの期待と夢をもたらすことができたといえるでしょう。また、オリンピックを一過性のものとするのではなく、レガシーとして各分野で継承していくための議論や計画化も進行しています。国民の期待の大きい新国立競技場を、私どもも、いわば二〇二〇年オリンピックの象徴として建設をしていくことに賛同し、推進していくべきと考えてきたところであります。
 しかし、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開会式、閉会式を初めとして、メーンの会場となる新国立競技場の開閉式の屋根が二〇二〇年の大会に間に合わないことが下村文部科学大臣と舛添知事との会談の中で明らかにされました。
 また、八万人の席が一万五千人分は仮設で整備することになり、総工費は一千六百二十五億円がさらに膨らむことや、工期がどのように変更になるかもわからない状況にあります。
 冬季のオリンピックで建設が間に合わなかった施設が続出したことは、あくまでも他国のことであり、高い建築技術と緻密な工程管理を誇る我が国においては、メーンのスタジアムの建設が間に合わなくなるなどということは、多くの国民が夢にも思っていなかったわけであります。
 この不手際に対して、一義的な責任は国にあり、国民や都民に対して陳謝することから始まるのが常識というものではないかと思います。舛添知事の、責任者は誰なのかという発言は当然のことであり、まずその責任が問われるべきだと思います。しかも、発表の時期が国立競技場の取り壊しが終わった時点ということであり、情報が遅過ぎるといわざるを得ません。
 あわせて、国が五百億円、いや、それ以上ともいわれている金額の負担を都に求めることについては、都民にしっかりと説明責任が果たせるものでなければなりません。
 しかし一方では、東京都はオリンピック・パラリンピックの開催都市であり、知事はその最高責任者であり、最高のオリンピック・パラリンピックを実現しなければならない責務があります。
 二〇一九年のテストイベントまであと四年しかありません。新国立競技場問題を解決するために、知事も主体性を持って、国に解決のための提案をするなど、働きかけをすることが求められております。知事の見解を伺います。
 この新国立競技場問題が、国と東京都の英知を結集して早期に解決されることを強く求めるものであります。
 次に、東京都におけるスポーツツーリズムについて伺います。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催は、スポーツを通じて観光振興を図っていく、またとないチャンスといえるでしょう。
 また、海外からのスポーツへの参加は、経済的にも、また国際化を図っていく上でも重要といえます。
 訪日外国人旅行者数が、二〇一四年には前年比二九・四%増の一千三百四十一万人に達したことは周知のことでございます。結果として、訪日外国人の日本での消費総額は四三・一%増の二兆二百七十八億円となり、過去最高を記録しております。
 我が国には、プロ野球、Jリーグ、大相撲など国際的に高い評価を受けている見るスポーツ、豊かな自然環境や美しい四季を利用したスキー、登山、市民マラソン、自転車ロードレースなど多くの人が親しめるスポーツがあります。
 今後はスポーツとのかかわりをふやしたい、あるいはまた、東京五輪を観戦したい、さらには、ボランティアとして貢献したいなど関心が高いものがあります。
 そこで、スポーツイベントの観戦や参加などスポーツを通じた観光振興、いわゆるスポーツツーリズムに対する都の考えをお伺いいたします。
 観光庁が実施をしております訪日外国人消費動向調査では、次回日本で実施したい活動において、訪日外国人の五%がゴルフを挙げております。東京では、ゴルフにスポーツツーリズムの可能性を見ることができます。
 日本国内のゴルフ人口は、二〇〇一年に千三百万人に達したのをピークに下降し、二〇〇九年には九百五十万人前後まで下落をしております。
 また、日本のゴルフ場情報は、世界のゴルファーに全く不足をしており、認知度は低い状態にあります。東京のゴルフ場は二十ほどで、意外に多くのゴルフ場があります。
 ゴルフツーリズムは、宿泊施設、交通、航空、飲食店、ショッピング、自治体、地域の観光資源等多くの産業が関連をしております。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックでは、ゴルフも正式種目として採用されることになっております。
 ゴルフツーリズムの風を東京から吹かせていただくことを強く要望するものであります。
 次に、東京都における都市計画道路の整備方針について伺います。
 先日示された第四次事業化計画の中間のまとめの中で、将来都市計画道路ネットワークの十五項目の検証を行い、地域のまちづくりへの貢献など六項目を勘案して、優先整備路線を二十七年度末までに決定することになっております。
 今後、都市計画道路の新規整備の際には、物流などの経済活動に大きな影響を与える慢性的な交通渋滞を解消することや、防災機能の強化と同時に安全で快適な歩行者空間を確保すること、また、美しい都市空間を創出することなども求められております。
 また五年後には、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会が控えており、さらにその先の将来のレガシーを見据えたまちづくりの視点が必要であります。
 そこで、整備方針の策定にどのように取り組んでいくのか、その中で無電柱化をどのように織り込んでいくのかお伺いいたします。
 続いて、都市計画道路の南多摩尾根幹線について伺います。
 南多摩尾根幹線は、調布市の多摩川原橋を起点として町田街道をつなぐ全長十六・六キロメートル、幅員標準四十三メートル、最大五十八メートルのニュータウンを貫く幹線道路であります。
 昭和四十四年、都市計画決定され、昭和五十四年には工事用道路を一般道として一車線開通させました。さらに道路整備の話し合いを進めてきましたが、騒音や排ガス、振動問題など住環境が悪化するとのことから、反対運動などが活発化をしまして、事業は進みませんでした。
 その後、沿道の環境への影響を配慮して、尾根幹線の構造を掘り割りとする都市計画変更を平成三年十月に行いました。
 しかし、平成十八年に決定をした東京都の十カ年計画の優先して整備すべき都市計画道路から尾根幹線は外され、整備は進みませんでした。私も、既に用地確保が済んでいる尾根幹線道路の整備の推進を強く求めてきたところであります。
 その後、東京都長期ビジョンに尾根幹線の整備の推進が位置づけられました。同時に、事業化に当たっては、掘り割りを平面交差とするという都市計画変更を行うことになりました。
 多摩、稲城市民への説明会は、急遽本年二月から三月にかけて行われました。説明会に出席した市民から、平面交差への変更は、騒音、排ガス、振動等の環境対策として後退ではないかとの意見が多く出されました。
 また、交通量の多い交差点を平面交差とすると、渋滞の解消にも限界があります。主要な交差点の立体化を堅持しなければならないと思っております。
 そこで、今後、沿道環境対策や交差点における渋滞対策の課題に対して、都はどのように対処をしていくのか、お伺いいたします。
 また、尾根幹線は、都市モノレール九十三キロメートルの構想路線の多摩センターから西武線是政駅間のルートと重なっています。今後、道路事業が進んでいっても、将来的なモノレールのルートについて、構造的に計画が担保をされることになるのか、また、尾根幹線は最大で幅員が五十八メートルもあり、一部、二〇二〇年にオリンピックの自転車ロードレースのコースともなっております。
 これから新たにつくる道路であり、自転車専用レーンなどもしっかりと組み入れていくべきと考えますが、具体的な計画について都の考え方をお伺いいたします。
 いずれにしましても、既に広大な面積の用地が確保されているわけであります。また、南多摩尾根幹線は、都市計画変更に伴う環境アセスだけで三年以上を必要とする大事業であり、環境施策については、住民の声をしっかりと受けとめ、事業化を図っていくことを求めて質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 石川良一議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、受動喫煙防止対策でありますが、受動喫煙の防止については誰も異論がないと思います。
 しかし、そのための対策にはさまざまな意見がございます。有識者から成ります受動喫煙防止対策検討会におきましても、飲食店等の屋内施設における全面禁煙の導入や条例制定の必要性につきましては、意見の一致が見られませんでした。
 検討会からは、受動喫煙防止の取り組みの工程表を提示し、二〇一八年までに条例化について検討を行うこと、国に対しては、全国統一的な法律での規制を働きかけることなどの提言をいただきました。
 今後、飲食店における対策の実施状況や効果等について実態調査を行い、検討会の提言も踏まえながら、実効性のある受動喫煙防止対策に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、新国立競技場の整備についてでございますが、最も重要なことは、国が国の責任において予定の期限までに新国立競技場を完成させることであります。
 都としては、工期や総工事費、都民が納得する都負担の根拠など、全体像を明らかにするよう、現在、国に対して求めておりまして、今後、その情報を踏まえまして検討してまいりたいと思っております。
 なお、そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 受動喫煙の防止対策についてお答えをいたします。
 都はこれまで、受動喫煙防止ガイドラインを策定し、受動喫煙の健康影響について、ホームページやリーフレットを活用して都民の理解の促進を図りますとともに、事業者に対しましては、職場の受動喫煙防止対策ハンドブックを作成し、禁煙、分煙の取り組みを働きかけてまいりました。
 また、都立施設につきましては、都立施設受動喫煙防止基準において、原則禁煙とし、利用者ニーズ等に応じて喫煙可能区域を設ける場合には、原則として独立した喫煙室を設置することと定めております。
 現在、都立施設においては、禁煙または分煙の措置がとられており、今後も関係局が連携して受動喫煙を一層防止するための取り組みを進めてまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) スポーツを通じた観光振興についてでございますが、スポーツイベントの開催は、国内外からの誘客に資するとともに、東京の魅力を広く発信する機会となります。
 このため、都は、都心の観光名所をめぐる東京マラソンや、ランナーを応援する東京大マラソン祭り等を実施するとともに、こうした情報を海外での観光プロモーションや東京の観光公式サイト等を通じて発信をしております。
 また、自転車を使って時間内にチェックポイントをめぐる競技イベントなど、スポーツを通じて旅行者を呼び込む自治体や観光協会等の取り組みを支援しております。
 今後とも、スポーツを通じた観光振興を図り、国内外からの旅行者誘致につなげてまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の都市計画道路の整備方針についてでございますが、本年五月、中間のまとめを公表し、この中で、集約型の地域構造に向けた拠点形成及び拠点間の連携や、緊急輸送道路の拡充、無電柱化等による安全・安心な市街地の実現など、道路整備の方向性を明らかにしておりまして、こうした考え方につきまして、現在、パブリックコメントを実施してございます。
 今後、この結果を踏まえまして、関係区市町とともに個々の路線の必要性の検証や優先整備路線の選定などを進め、平成二十七年度末までに新たな整備方針を策定してまいります。
 次に、南多摩尾根幹線の環境対策等についてでございますが、本路線は、延長約十七キロメートルのうち、多摩川原橋から稲城市役所付近までなど、約六キロメートルが四車線で整備され、残りの区間は、二車線の暫定的な整備となってございます。このため、慢性的な渋滞が発生し、これを避ける通過交通が住宅団地内の生活道路に流入するなどの課題を抱えてございます。
 本年二月、暫定整備区間の早期整備を図るため、沿道環境に配慮した上で、掘り割り構造を平面構造へ変更する整備方針を策定いたしました。
 今後、都市計画変更にあわせまして環境影響評価を実施する中で、低騒音舗装など必要な環境対策を検討するとともに、他の主要な幹線道路との交差部におきましては、交通の円滑化に向け検討してまいります。
 最後に、この路線の具体的な計画についてでございますが、沿道環境に配慮しつつ、安全性や快適性の観点から、車道や歩道、植樹帯などを適切に配置するとともに、自転車走行空間につきましても、今後の課題として検討してまいります。
 なお、本路線と一部区間が重なっております多摩都市モノレール、是政方面への延伸構想につきましては、東京圏の鉄道整備に関する基本的な計画でございます運輸政策審議会答申第十八号において位置づけがございませんので、道路計画との整合性については長期的な課題として認識してございます。

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