平成二十七年東京都議会会議録第九号

○議長(高島なおき君) 五十四番あさの克彦君。
〔五十四番あさの克彦君登壇〕

○五十四番(あさの克彦君) 初めに、情報公開について、広く都民に開かれた都政を推進するため、都が保有する情報の公開、そして審議会などの会議の公開と二つの観点から質問をいたします。
 まず、都が保有する情報の公開についてですが、これまで都は、情報公開条例に基づき、積極的に情報公開に取り組んできたことと思います。一方で、時代の変化は想像以上に早く、個人がさまざまな形で発信できる手段も多数存在しております。不正な手段で情報を取得しようとすることは言語道断ですが、都が持っている情報については、都民ができる限りたやすく触れられるように公開することが求められております。
 今後、都の事業に関する情報など、都民のニーズが高く、繰り返し公開請求が申請されるもののうち公開に適したものについては、積極的に都民に対して情報提供を行っていくことが重要であると考えます。
 都民が情報をできるだけ速やかに入手できるよう、都として、情報提供の取り組みを推進すべきであると考えますが、見解を伺います。
 次に、審議会などの会議の公開について伺います。
 現在、審議会や協議会といった都の附属機関の運営については、附属機関等設置運営要綱によって原則として公開するものとされております。しかし、その公開のレベルがわかりづらいと考えます。
 例えば、先日、青少年問題協議会の専門部会を傍聴いたしましたが、報道機関には許されている録音も、傍聴者は禁止されておりました。また、ツイッターなど、いわゆるSNSを使って発信することも禁止とされておりました。
 出席している委員から、リアルタイムでの発信がだめなのか、会議後も発信してはだめなのかという問いが出て、リアルタイムのみ禁止するという説明がありましたが、もしそのような確認がなされなければ、会議中も終了後も、発信は禁止であると解釈されたと思います。このように、思い込みで制限が過剰に課されるケースがあるのではないでしょうか。
 また、原則公開といわれても、傍聴が可能となっているだけで、録音、録画、SNSによる発信などを禁止している場合も多いように思われます。現在は、個人でも、インターネットを通して動画も記事も発信できます。透明で開かれた情報の公開は時代の流れであるといえるでしょう。
 そこで、審議会や協議会といった附属機関におけるさまざまな発信方法のある現代に即した公開のあり方について伺います。
 次に、会議情報の周知について伺います。
 都での会議は、この都議会本会議を含め、原則として公開を旨としています。このことは歓迎すべきことです。また、都民が関心のある事柄について傍聴したいときには、インターネットなどを用いて、その会議の情報を得られるようになっています。ただ、どのような事柄に対して協議会や審議会が開かれているのか、傍聴が可能なのか、可能であるならいつなのかを調べることは容易ではありません。
 現在、都のホームページにある情報公開の窓から、主な審議会、協議会のページにアクセスすることは可能ですが、公開されている会議が全て網羅されているわけではありません。都が、傍聴可能な会議の情報を吸い上げ、一元的に発信することで、都の情報公開に対する積極的な姿勢を示すことにもつながるのではないでしょうか。
 そこで、審議会などの運営に関する附属機関等設置運営要綱とその取り扱い通知を見ますと、運営について、開催日時、場所、公開の可否などの情報を、必要に応じ、事前に都民に周知するよう努めることとなっています。公開、非公開の情報まで都が必要に応じて周知するのでは、さきに述べた情報を積極的に公開する姿勢とは真逆の方向性だと考えざるを得ません。
 必要に応じ周知するのではなく、原則として周知し、明確な根拠があるときだけ情報提供を差し控える方が、求められる都の姿勢ではないでしょうか。
 都は、附属機関の審議調査を原則公開とするにとどまらず、その会議の情報も原則として周知に努めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、防犯ボランティアに対する補償について伺います。
 今定例会には、東京都安全・安心まちづくり条例の改正案が提出されております。都民の安全・安心を守るために、行政機関のみならず、地域住民などの努力義務も追加されています。
 一方、現状においても、通学路の安全を確保するために、PTAや地域の住民が自発的に取り組んでいる例もあります。中には、集団登校班の世話人やPTA、シルバー人材の方々や安全協会ではなく、その通学路を通る児童の保護者らが登下校の見守りを行っている場合もあります。そのような取り組みでは、ボランティアとして登録をすることで、万が一のときには補償の対象となるようですが、私の地元練馬区では、大泉第一小学校の事件があったときから保険内容が変更されたと伺いました。
 区市町村ごとに独自で補償の仕組みがあるようですが、今回の改正案のように、都として地域の方々などに努力義務を課すのであれば、防犯ボランティアとしての活動中の事故などに対して補償がなされるよう、区市町村の取り組みを確認し、必要があれば、ガイドラインや協議を通じて補償の取り組みを促していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、外国人医師による都内での診療行為について伺います。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催に向けてさまざまな準備を行っておりますが、ハード面だけではなくソフト面でも時間がかかるものは多数あります。そして、都は、外国人の集客も強化しており、今後ますます東京を訪れる外国人の方々にとって安心できる環境を提供していくことも考えなければなりません。
 そのような状況の中で、医療サービスを見ますと、我が国では、外国人医師の診療について、医師免許の二国間協定制度というものがあります。提携している国で医師免許を保有する外国人に対し、日本での診療を条件つきで認めるもので、受け入れ人数や診療場所など制限がありますが、訪日する外国人にとってはとても安心であることは想像に難しくありません。
 現在は、アメリカ、イギリス、フランス、シンガポールと提携されております。先日、都は、この二国間協定に関して、国家戦略特区による外国人医師の特例を活用する方針を明らかにしました。この取り組みを率直に評価するとともに、今後ますます増加するであろう訪日外国人にとって、安心な医療サービスを提供できる環境となることに大いに期待をいたします。
 しかし、さきに述べたように、我が国と提携している国は四カ国のみでありまして、日本を訪れる国別外国人数の上位と一致しているわけでもありません。
 そこで、特区申請の中身を伺うとともに、今後、この二国間協定の対象国を拡大するよう国に求めていくことに対する見解を伺います。
 最後に、障害のある方々への自立支援について伺います。
 障害のある方々が自立して生活をすることは、そのQOLを上げることからも非常に有益であります。そのために必要な施策を実行し、支援したことは評価しております。しかし、それぞれの個別案件を見ますと、まだまだ制度が追いついていないケースも散見されます。
 そもそも、障害の程度で一定の線引きは行われておりますが、明確な線引きは難しく、家庭環境などを考慮に入れるならケース・バイ・ケースといわざるを得ません。生活を制度に合わせてもらうことも時には必要ではあると思いますが、そのことにより、自立したいという思いを逆行させたり、自立できる方を保護するのみになってしまっては、施策の有用性が失われてしまいます。
 より柔軟な制度設計とすべきですが、さきに述べたように、もともとケース・バイ・ケースで対応しなければならないという本質がある以上、窓口となる区市町村の対応に頼らざるを得ません。
 都は、障害のある方々の自立について、可能な限り柔軟に対応できるよう、区市町村のさまざまな取り組みを支援するとともに、区市町村と情報を共有し、必要に応じて国に対して制度の変革を求めるべきと考えますが、見解を伺いまして私の質問を終わります。(拍手)
〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) あさの克彦議員の一般質問にお答えいたします。
 都民に向けた情報提供の取り組みについてでありますが、都の情報公開条例は、公文書の開示請求に対し適切に対応することに加え、情報提供の拡充を図ることにより、情報公開を総合的に推進していくことを定めております。
 都はこれまでも、工事設計書など公文書の開示請求が多いものについて、都民情報ルームで閲覧を可能にするとともに、都が保有するさまざまな情報をホームページで公開するなど、都民への情報提供を推進してまいりました。
 今後とも、都民のニーズに合わせまして、情報公開制度の適切な運用に努めてまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、審議会等の附属機関の公開のあり方についてでございますが、都の審議会等の附属機関は、専門知識の導入や公正の確保、民意の反映などを目的として設置するものであり、その調査審議については原則公開としております。
 しかしながら、各審議会等の審議過程においては、個人のプライバシーや企業秘密など、保護すべき情報が議論の俎上にのる場面も想定されます。このため、その具体的な公開方法については、各審議会等が議論の進捗状況等に応じ、その都度、個別に判断せざるを得ないものと認識しております。
 今後とも、こうした情報公開の要請と個人情報保護などの両立を図りつつ、さまざまな発信手法等も駆使して、誰もが調査審議内容に接することができるよう、開かれた都政の実現を推進してまいります。
 次に、附属機関の会議情報の周知についてでございます。
 附属機関の開催日程や場所などについては、報道発表や都の公式ホームページなどを活用して都民への事前周知に努めております。
 一方、附属機関の中には、関係者等に対する不利益処分を審議する会議など、事前に開催日程を公表することで、当日の会議運営に混乱や支障が生じるおそれがある場合があり、また、緊急に開催される会議など、事前の周知が困難な場合も想定されます。
 今後とも、こうした各附属機関の特性や審議状況などを踏まえつつ、できる限り会議情報の事前周知に努め、その運営をより一層都民に開かれたものとしてまいります。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(河合潔君) 防犯ボランティアの補償についてでございますが、地域で活動する防犯ボランティア等については、その活動内容や規模、頻度等が異なるため、その補償については、区市町村がそれぞれの実情を踏まえて判断し、対応すべきものと考えております。
 現在、多くの区市町村において、防犯ボランティア等の活動中の事故等に対する保険に加入するなどの措置をとっております。
 都においては、今後も、地域の自主的な防犯活動等が活発に推進されるよう、区市町村担当課長会やホームページ、大東京防犯ネットワーク等により区市町村等への情報提供など引き続き支援を行ってまいります。
〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 特区における外国人医師の特例についてですが、都は、今月十五日に開催された東京圏国家戦略特別区域会議において、医師資格制度に係る二国間協定に基づく受け入れ人数枠の拡大や、自国民に限らず外国人一般に対する診療を認める特例の適用を提案し、区域計画に盛り込むことが了承されました。
 今後、総理大臣認定を経て、年内には四つの病院で五人の外国人医師による診療が可能となる予定でございます。また、医師資格制度に係る二国間協定の対象の拡大につきましては、既に国に対して要望を行っているところでございます。
 今後とも、国家戦略特区制度を有効に活用しながら、外国人の医療環境の充実に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 障害者の自立支援についてお答えをいたします。
 都は、障害者総合支援法に基づき、区市町村が実施する日常生活用具の給付や外出のための移動支援などの地域生活支援事業に対しまして支援を行っております。また、宿泊体験や生活訓練など、地域の実情に応じて独自の取り組みを行う区市町村を包括補助により支援しております。
 さらに、国に対しましては、障害者の日常生活や社会生活の総合的な支援について、事業の実施状況や地方自治体の意見を十分に踏まえた上で、障害者の生活実態に即した効果的な仕組みとするよう繰り返し提案要求をしてまいりました。
 今後とも、障害者が地域で自立して生活できるよう区市町村の取り組みを支援いたしますとともに、国に対し必要な提案を行ってまいります。

○議長(高島なおき君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十四分休憩

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