平成二十七年東京都議会会議録第九号

○議長(高島なおき君) 二十五番清水孝治君。
〔二十五番清水孝治君登壇〕

○二十五番(清水孝治君) 都議会自民党の清水孝治でございます。私からは、四つの項目につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、今後の東京の自治のあり方についてお伺いをいたします。
 本年四月、東京の自治のあり方研究会の最終報告が公表されました。都内に住み、営む我々にとって、その内容は、昨年話題になりました日本創成会議・人口減少問題検討分科会の提言以上に衝撃的なものでございました。
 最終報告によれば、東京都は、人口減少スピードこそ緩やかではありますが、七十五歳以上人口は今後四十年間で倍増し、高齢化率が四〇%を超える地域も発生するとのことであります。
 一方で、将来を支える年少人口や生産年齢人口はどの地域でも減少し、四〇%以上減少する地域もございます。
 ご案内のとおり、この日本創成会議の提言は、二十から三十九歳までの女性の人口が二〇四〇年までに五〇%以上減少してしまう自治体を消滅可能性都市という衝撃的な表現で位置づけをしております。まさにショックドクトリンといっても過言ではございません。
 しかし、仮に東京でこのまま低出生傾向の改善が施されなかった場合、シナリオによっては、東京都がまさにこの消滅可能性都市の定義に当てはまることになってしまうおそれがございます。
 このような人口構造の変化に伴う歳入減や、他方、複雑多様化している行政需要の増大により、今後、都内区市町村の行財政運営は極めて厳しい状況を迎えることは、容易に考えられるわけでございます。
 そこでまずは、今後の人口減少、超高齢社会を見据えるに当たり、東京都と構成区市町村とのあり方について、知事の見解をお伺いしたいと存じます。
 また、こうした状況下においては、分野にかかわらず、現行のサービス水準を維持し続けることは現実的とはいえません。今後、公共施設の統廃合や行政サービスの見直しなど、住民の皆様にも理解を求めていくことが必要となってまいります。
 その一方で、隗より始めよのごとく、行政に携わる者は、住民だけに負担を求めるのではなく、みずからもまた抜本的な意識改革を図り、実践していくのが当然の姿でございます。
 地方自治法によれば、地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、その規模の適正化を図らなければならないということになっております。にもかかわらず、大半の区市町村は、人口減少社会を遠い将来の出来事かのごとく捉え、合併等による規模の適正化については検討されていないのが実情ではないかと感じておる次第でございます。
 まず、各区市町村が将来の危機的な状況を直視し、主体的に考えることが肝心だということはいうまでもございません。
 加えて、各自治体単独での行財政改革に限界があることを踏まえた上で、現行体制の維持存続にとらわれずに、合併等による行財政運営の効率化や、体制、能力の強化を現実の課題として真摯に受けとめ、議論、検討していくことこそが重要であると思っているわけであります。
 一方で、広域自治体である東京もまた、東京の自治のあり方研究会の最終報告が公表されたこのタイミングを捉え、構成区市町村の役割分担や合併も視野に入れた効率化、効果的な行財政運営など、まさに今後の東京の自治のあり方について、より具体的に検討を進め、内外に発信していく必要があると思いますが、東京都として今後どのように対応していくのか、所見をお伺いしたいと存じます。
 次に、夏に実施されます総合防災訓練について伺います。
 今年度は、東京都が九都県市の幹事県となり、警察、消防、自衛隊など多くの防災機関の参加による大がかりな防災訓練を、十八年ぶりに、私の地元でございます立川市と合同で実施する運びとなりました。
 首都圏の幹事県として、多摩地域で実施するのは今回が初めてと伺っておりまして、政府視察団として、安倍晋三内閣総理大臣を初め、防災関係閣僚の皆様も視察団として訓練会場である昭和記念公園にお越しになるとのことであります。私個人も、地元市民の一人として大いに歓迎をしておる次第でございます。
 これまでの東京都は、夏の総合防災訓練を、一般市民や家族参加が期待できる土曜日か日曜日に実施してまいりました。しかし、本年は政府の実施日と連動して開催することが決まり、結果として、日程は九月一日火曜日になりました。そのため、開催市として、参加市民の確保に大変苦労していると聞いております。
 申すまでもなく、この夏の訓練は、行政や防災機関相互の連携強化を図る訓練である一方で、舛添知事が重要視しております住民参加型の訓練でもあり、多くの市民の参加が不可欠であることは当然のことであります。
 そこで伺いますが、九月一日の総合防災訓練について、東京都はどのようにして住民の参加を募り、全ての参加者に防災力を身につけていただくため、住民共助の視点からどのような訓練を予定しているのか、お聞かせいただきたいと存じます。
 次に、都市農業の振興についてお伺いいたします。
 昨日の我が党の代表質問では、都市農業特区の実現に向けて、国に対して強く働きかけをしていくとの力強い答弁を頂戴いたしました。
 この件につきましては、多数の農業者からも大きな期待が寄せられております。これから、まさに国との協議が本格化すると聞いておりますが、ぜひこの特区、まずは実現をさせていただきたいと思います。
 特区が現実化すれば、これまで生産緑地として指定できなかった五百平米未満の小規模農地の減少に歯どめはかかると思います。これは、市街化農地の面積維持に一定の効果が期待されるわけであります。しかし、こうした農地を永続的に維持していくためには、何よりも、小規模でも収益性の高い農業を展開することが必要であります。
 限られた面積でも安定した農業を実現するためには、さまざまな分野の技術を活用し、農作物の効率的な生産技術を開発する必要があると考えますが、東京都の取り組みをお伺いしたいと存じます。
 次に、前回の私の一般質問でも取り上げをさせていただきました、おいしい豚肉トウキョウXについてお伺いしたいと存じます。今回は、ブランド力の向上についてでございます。
 東京都内では、コマツナなど野菜を初め、ブランドの果樹や畜産物など多様な農産物の生産がされております。こうした都内産の農畜産物を積極的に使用している、とうきょう特産食材使用店の登録店舗数も増加していると聞いております。
 ここ都庁第一庁舎の三十二階にも登録店がございまして、八丈島のメダイや神津島のアシタバ、そしてトウキョウXなど、さまざまな都内産食材を使った料理が楽しめるそうであります。
 つまり、私たちの身近なところからも、都民の食に対する関心や地産地消を求める声の高まりがうかがえるわけでございます。
 その中でも、高品質な霜降り肉として消費者から好評を得ておりますトウキョウXは、東京を代表するブランド産物であることは間違いございません。
 しかしながら、都民からは、欲しくても手に入らない、一体どこで売っているのかとの声も聞かれるなど、残念ながら期待に応えるだけの供給がなされていないのが現状でございます。
 知名度の高いトウキョウXのブランド力を維持向上させていくためには、昨年の第一回定例会でも質問いたしましたが、質、量両面からの改善が必要不可欠であるということはいうまでもありません。
 東京都はこれまで、生産性の向上や高い品質の維持に取り組むとともに、今年度からは青梅畜産センターの再編整備を開始していることは承知いたしております。
 加えて、これから必要なことは、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催に向け、増加する国内外からの観光客にこのトウキョウXを提供し、おいしく召し上がっていただくことであり、そうすれば大変大きなPR効果となり、イベリコ豚にもまさるとも劣らないほど、そのブランド力が一層高まると考えております。
 こうした観点から、東京では、トウキョウXの一層のブランド力向上策に全力で取り組むべきだと考えておりますが、所見をお伺いしたいと思います。
 最後に、都立高校改革についてお伺いいたします。
 高校生が将来の東京、そして我が国を担う人材となるためには、社会で自立し、活躍するのに必要な知力、体力、人間力を確実に身につけなければなりません。
 そのために東京都教育委員会は、これまで、その時々の社会情勢や都民の要請等に応えたさまざまな高校改革を実行し、我が党もその取り組みを積極的に支援してまいりました。
 目下のところ、重立った課題といたしましては、我が党もさきの予算特別委員会で指摘をさせていただきました不登校、中途退学問題や国際社会の一員としての自覚と行動力の備え、世界で活躍する人材の育成などが挙げられますが、そのほかにも常に新たな課題が生じてくるのが教育の現場でございます。
 東京の子供たちが社会の大きな変化に立ち向かい、未来を切り開いていけるよう、これからは従来の枠組みを超え、大胆な高校改革を進め、都民の期待に応えていくことが必要であると考えますが、東京都教育委員会の所見を伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 清水孝治議員の一般質問にお答えいたします。
 今後の都と区市町村のあり方についてでございますが、人口減少、超高齢化社会を迎える中にありましても、東京は日本全体を牽引する機関車として発展し続けなければなりません。そのためには、今後の厳しい現実と向かい合い、社会の変化に危機感を持って対応していく必要があります。
 こうしたことから、私は、所信表明でも申し上げましたとおり、十年後のさらにその先を見据えた東京のグランドデザインを描くことといたします。
 東京の将来を見据えたとき、子育て環境の整備や介護サービスの充実など、都と区市町村が一体となって取り組むべき課題は多いと思っております。
 こうした共通課題に対しまして、区市町村とも危機感を共有するとともに、大都市東京の実態や地域特性を十分に踏まえつつ、適切な役割分担と効率的、効果的な行財政運営のもと、解決に向けた取り組みを積極的に進めていく必要がございます。
 今後とも、世界一の都市東京の実現に向け、区市町村と緊密に連携協力しながら、東京の発展をともに推し進めてまいります。
 そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長がお答えいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 都立高校改革についてでございますが、都教育委員会は、生徒を真に社会人として自立した人間に育成することを目的として、一人一人の潜在能力を顕在化し、伸ばす教育の実践を進めてまいりました。
 一方で、近年のグローバル化の進展やICT技術の進歩、また、若年者の就業問題等、教育をめぐる社会状況にはさまざまな課題や問題が浮上しております。これらに正面から向き合い、よりよい都立高校を目指していくためには、教育方法の向上や教育環境の整備など、中長期的視点に立った広範な取り組みが必要でございます。
 このため、都立高校改革の新たな実施計画を本年度策定し、これまでの枠組みにとらわれず、学校の改編も含め、社会が求める人材の育成を一層強化するさらなる改革に取り組んでまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、今後の東京の自治のあり方についてでございますが、生産年齢人口の減少と高齢者の急激な増加により、東京の人口構造は大きく変化し、ご指摘のとおり、今後、都内の区市町村を取り巻く行財政運営の状況は、極めて厳しい局面を迎えるものと想定されます。
 こうした状況の中、今後も東京が持続的に発展していくためには、少子高齢化などの課題への重点的、集中的な対応はもとより、将来の東京の自治のあり方について具体的な方向性を明確にし、発信していくことが重要でございます。
 都は今後、既存の行政体制の維持存続にとらわれず、将来の都と区市町村の役割分担や行政体制のあり方などについて、実務的な観点から具体的に検討を深めてまいります。
 次に、ことしの夏に行います総合防災訓練についてでございます。
 阪神・淡路大震災から二十年の節目の年を迎え、都として、改めて住民共助の取り組みの重要性を認識しております。
 本訓練は、平日での実施となることから、昨年度から、立川市のほか隣接する昭島市にも依頼をいたしまして、市民への積極的な訓練参加を呼びかけているところでございます。参加者には、最寄りの避難場所への避難とともに、授業の一環として参加していただく市内小中高校生と一緒になって、救助、搬送、救護、初期消火など、消防署員の指導により、年齢や体力に応じた訓練を実施いたします。
 さらに、地元事業所の防災組織にも参加を促し、実践さながらの消防活動を披露していただくなど、平日ならではの共助訓練も実施し、立川市等と協働して、市民、都民の防災力向上を図ってまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市農業の振興についてでございますが、都市農業を一層振興するためには、特区実現などによる小規模農地の保全とあわせて、限られた農地でも収益性の高い農業生産技術を開発することが重要でございます。
 このため、農林総合研究センターでは、都内の小規模農地でも年間を通して安定的に農作物を生産できる独自の栽培技術の開発などに取り組んでおります。
 例えば、トマトなどの養液栽培で、温度や光、CO2などをICTにより総合的に制御し、最適化することで高品質で多収量を得るための実証実験を、都立産業技術研究センターと連携して行っております。
 今後、こうした独自の栽培技術の実用化とその普及に向け、研究開発を一層推進することにより、低コストで収益性の高い農業経営を支援してまいります。
 次に、トウキョウXのブランド力向上についてでございますが、東京を代表する畜産物の一つであるトウキョウXのブランド力を一層高めるためには、生産量の拡大に加え、品質の維持向上と積極的なPRが必要でございます。
 このため、都では、本年度、青梅畜産センターの再編整備に着手し、生産者に配布する種豚の生産体制の強化に取り組んでまいります。また、専用の飼料の改善や成育状態に合わせたきめ細かな飼養技術の指導など、品質の維持向上を図るとともに、消費者への生産情報の提供を一層迅速化するなど、生産者団体の取り組みも支援してまいります。
 今後は、こうした取り組みに加えまして、東北地方など都外生産者の新規開拓を進めるとともに、都内飲食店での利用拡大や東京味わいフェスタ等での国内外に向けた情報発信を強化するなど、ブランド力の一層の向上に努めてまいります。

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