平成二十七年東京都議会会議録第九号

   午後一時開議

○議長(高島なおき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(高島なおき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(高島なおき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第九号、東京都歯科衛生士修学資金貸与条例、知事より、東京都公安委員会委員の任命の同意について外人事案件一件がそれぞれ提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(高島なおき君) 昨日に引き続き質問を行います。
 六十七番山崎一輝君。
〔六十七番山崎一輝君登壇〕

○六十七番(山崎一輝君) 初めに、世界を目指すアスリートの国歌斉唱について伺います。
 オリンピック等の国際大会の開会式や表彰式においては、国旗掲揚、国歌斉唱が行われます。また、サッカー、野球、ラグビーやバレーボールなどの試合前にも国歌斉唱が行われています。
 こうした場面で日本を代表して世界で戦うトップアスリートが、我が国の国旗を直視し、国歌を斉唱する姿は、テレビを通じて応援する多くの都民、そして国民に大きな影響や感動を与え、次代を担う子供たちのよき手本ともなります。
 世界を目指すアスリートも、国旗や国歌を尊重するなど、我が国の代表としての自覚を持った行動をとるべきと考えますが、知事の認識を伺います。
 また、都においては、二〇二〇年大会に向けて、アスリートの競技力向上に取り組んでいるところです。そうした事業の中で、東京のアスリートに対し、今後どのように意識啓発に取り組んでいくのか、都の所見を伺います。
 これまで我が党は、児童生徒が国旗及び国歌の意義を理解し、それらを尊重する態度を身につけることができるよう、学校教育の充実を訴えてきました。その結果、都内の全ての公立学校の入学式や卒業式において、国旗掲揚及び国歌斉唱が適正に実施できるようになったことを高く評価しています。
 二〇二〇年大会開催に向けて、国際交流がますます盛んになります。今後、学校では、さまざまな機会を捉えて、我が国のみならず、ほかの国や、その国民に敬意を表する態度を児童生徒に育成していくことが必要です。
 先ほども申し上げましたが、国際競技大会の開会式などにおいて、日本のトップアスリートが、我が国と相手国の国旗及び国歌に対して敬意を表している姿は、多くの若者や子供たちの模範となっております。こうした儀式での礼法の意味を、さまざまな地域スポーツ大会や運動、部活動の都大会などの機会を活用して浸透させ、また、実施することが重要です。
 そこで、二〇二〇年大会が開催されることを踏まえ、例えば中学校や高等学校の部活動の大会などにおいても、国旗及び国歌の指導を行う必要があると考えますが、見解を伺います。
 次に、私立学校におけるJETプログラムの活用について伺います。
 世界一の都市東京の実現のためには、広い視野と豊かな国際感覚を持ったグローバル人材の育成を進めることが大変重要です。
 都内の私立中学校、高等学校では、国際教育の必要性が叫ばれるはるか以前から、英語力養成に力を注いできており、我が党はこれまでも、海外留学など、私立学校の取り組みを支援してきました。
 二十七年度は、我が党の要望により、新たにJETプログラムを活用する私立学校を支援する事業が創設されることとなりました。これは、より多くの生徒が、英語の授業のほか、学校行事や部活動など、さまざまな場面で外国青年と交流することにより、英語力の強化はもちろんのこと、国際感覚を養う上でも大変有意義な取り組みです。
 そこで、私立学校に対する都の支援内容と今年度の取り組み状況について伺います。
 次に、悪質事業者による消費者被害の防止について伺います。
 ここ数年、高齢者などを狙い、次々と新たな手口で勧誘する悪質事業者による消費者被害が後を絶たず、深刻な状況にあります。
 都内では、投資経験のない高齢者に、ハイリスクな金融商品を販売したり、実態のわからない出資をさせたりするトラブルが目立つと聞きます。
 このような悪質、巧妙化する手口から高齢者を守るためには、日ごろから周囲の見守りによる働きかけが必要です。
 そのため、都は、長期ビジョンの中で、地域で高齢者を見守るネットワークの全区市町村での構築を政策目標として掲げ、その具体化に向けて、東京都消費生活対策審議会に諮問していますが、区市町村との連携を効果的に進めていくには、まず、現場の実態を踏まえることが重要です。
 また、現在、地域での見守りは、福祉サービスの対象者を中心に行われておりますが、被害に遭う可能性がある元気な高齢者へもアプローチをしていく必要があります。
 そこで、都はこうした観点から、高齢者の消費者被害防止に向け、今後、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 また、消費者被害の拡大防止のためには、悪質事業者のさらなる取り締まり強化が不可欠であり、私はさきの第一回定例会における消費生活条例の改正に際して、この点について、しっかりと取り組んでいくことを強く求めてきました。
 先般の新聞報道で、消費者に事実と異なる強引な勧誘を行い、特定商取引法の行政処分を受けた事業者の幹部が、すぐに別法人を設立し、違反行為を繰り返す事例が多いとの記事がありました。このような事業者を野放しにしておいては、消費者被害は後を絶ちません。
 こうした事業者に対して厳格な対応が必要であり、そのためには、さらなる規制の強化が有効と思いますが、都は今後、どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、臨海副都心開発の今後の方向性と取り組みについて伺います。
 臨海副都心の青海地区には、東京大会開催時までに、新客船ふ頭の整備を進めるとされています。新客船ふ頭の整備が実現した暁には、青海地区には、大型クルーズ客船で訪れる外国人旅行者が、最初に上陸をし、目にする東京の新たな顔となるわけです。
 この新客船ふ頭に隣接する都立潮風公園等の一帯は、都民が日常的に東京港のすばらしい景観を楽しめる貴重な空間でもあります。この中には、民間事業者により、都市計画法上の特許事業として船の科学館が整備をされています。開設から四十年以上が経過をし、老朽化の問題から、現在では休館となっており、寂れてきております。
 今後、船の科学館についても、世界一の観光都市東京の海の玄関にふさわしい施設として、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化を推進していく中で、再整備されるべきだと考えます。
 船の科学館は老朽化も著しいことから、適切に対応していく必要があると思われます。都の所見を伺います。
 また、今後、開発の中で、船の科学館のエリアをどのように活用していくのか、所見を伺います。
 臨海副都心は開発から二十年以上が経過をし、各地区において特色を持ったまちとして発展してきています。また、進出事業者間の交流も深まり、例えば、有明南地区では、武蔵野大学が周辺企業と連携をし、ホテルなどの現場で実践教育を行い、これからの社会を支える優秀な人材の育成に取り組んでいます。
 都は、このような取り組みをさらに発展させ、この地域ならではの産学連携の強化などにも努めていくべきであります。
 今後の開発に当たっては、各地区の地域特性や進出事業者の取り組みなどを生かす方向で、必要に応じて現行計画における開発方針の見直しを行い、残された都有地を有効に活用しながら、将来の東京に積極的に貢献していくことが求められると考えますが、所見を伺います。
 次に、MICEの誘致について伺います。
 国際会議等のMICEは、人、物、技術、情報等の交流により、新たなイノベーションの創造や産業力の強化、人材育成を促すなど、東京をさらなる成長へと導く重要なツールであります。
 世界の国際会議の動向を見ると、この約半数は学術系の会議ですが、東京には大学や研究機関が集積しており、これまでも国際眼科学会などの誘致に成功してきました。海外都市との誘致競争が激化する中、国際会議の誘致を推進していくためには、こうした東京の強みを最大限に生かしていくべきです。
 知事は先日の所信表明において、来月七月にMICE誘致戦略を策定すると表明をされましたが、戦略では、東京の強みとなる分野を誘致ターゲットとして明確に定め、学術系を初めとした国際会議の誘致を積極的に進めていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、河川の新たな活用について伺います。
 水と緑に囲まれた世界一の環境都市東京を実現するためには、再生可能エネルギーを積極的に導入していく必要があります。
 都の長期ビジョンにおいても、都有施設への導入などを推進することとされており、取り組みの例として、河川での小水力発電も取り上げられております。
 私の地元の江東区では、小名木川を初め多くの河川があり、水門や護岸の整備などにより、水害に対する安全性が高まるとともに、遊歩道の設置などにより、にぎわいのあるすばらしい水辺空間が創出をされ、地元の皆様から、また地域の方々からも、集い、そして、楽しんでいる状態でございます。
 今後は、これらの河川を活用した再生可能エネルギーの導入を図っていくべきと考えますが、最後に見解をお伺いし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 山崎一輝議員の一般質問にお答えいたします。
 世界を目指すアスリートの国歌斉唱についてでございますが、我が国には国旗・国歌法があり、国旗は日章旗、国歌は君が代と定められてあります。自国の国旗や国歌に敬意を払うということは、世界中どこを見ても当たり前のことであります。
 日本を代表して世界で戦う選手たちは、都民、国民の大きな期待を受ける対象でありまして、また、多くの子供たちの憧れでもあり、その行動については注目を集めます。
 そのようなトップアスリートであるからこそ、あらゆる場面において、国を代表する者としての自覚を持った行動が求められます。
 世界を目指す東京のアスリートも、国旗や国歌を尊重するなど、我が国の代表としての誇れる姿を世界のひのき舞台において見せてほしいと考えております。
 そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 国旗及び国歌の指導についてお答えいたします。
 二〇二〇年に向けて諸外国と交流する機会がますますふえることから、国際社会においては、国と国とが互いの主権を尊重して成り立っていることを、児童生徒が理解することは極めて重要であります。
 このため、学校においては、我が国と同様に諸外国の国旗と国歌の意義を児童生徒に理解させるとともに、これを尊重する態度を育て、国際社会において尊敬され、信頼される人間を育成してまいります。
 さらに、学校以外においても、学校教育との関連を図り、児童生徒の理解が深められるよう、中学生や高校生のスポーツ大会における国旗・国歌の指導の充実に向け、東京都の中学校や高等学校の体育連盟などに働きかけを行ってまいります。
〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 河川での再生可能エネルギーの導入についてでございますが、都市における潜在的なエネルギー源の一つとして、河川の水を活用していくことは重要でございます。
 これまでに隅田川の箱崎地区において、再開発とスーパー堤防の整備に合わせ、河川の水と気温との温度差を利用したヒートポンプを設置し、周辺のオフィスビル等八棟の地域冷暖房に活用しております。
 また、現在、都は小名木川の扇橋閘門において、最大三メートルの水位差に着目した小水力発電の導入に向け取り組みを進めております。導入後は、施設全体の消費電力の約六〇%を確保でき、停電時でも設備の稼働がとまることなく、非常用の電気が常に供給されます。
 今年度は詳細設計を実施するとともに、他の施設での導入可能性の検討を深めるなど、引き続き、未利用なエネルギーの活用を図ってまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 東京のアスリートに対する国旗や国歌の尊重に係る今後の取り組みについてでございますが、JOCでは、オリンピックなどの国際大会に派遣する日本代表選手団の行動規範におきまして、表彰式等の公式行事では、国旗を直視し、国歌を斉唱することを定めております。
 このように、我が国を代表する選手たちは、国旗や国歌を尊重するなど、全ての場面におきまして規律ある行動をとることが求められております。
 都では、二〇二〇年大会に多くの東京のアスリートを出場させるべく、ジュニア選手の発掘、育成などの競技力向上事業に取り組んでおります。
 今後、こうした事業におけるさまざまな機会を通じまして、世界を目指す東京のアスリートに対し、我が国の代表としてふさわしい行動をとるよう理解を促進してまいります。
〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、私立学校におけるJETプログラムの活用についてでございますが、グローバル人材の育成を加速させるためには、より多くの生徒が日常的に外国人と交流し、異文化への理解を深める機会をふやすことが重要でございます。
 このため、都は新たにJETプログラムを活用し、外国語指導助手を招致する私立中学校及び高等学校に対して雇用経費を補助することといたしました。
 今年度は、十カ国から百四十四人が招致される予定であり、この四月には各私立学校に配置予定者を知らせるとともに、受け入れ準備や手続についての説明会を実施いたしました。
 外国語指導助手は、七月下旬と八月上旬に来日することとなっており、都は、私学団体等とも連携して、各学校における円滑な受け入れと活用を支援してまいります。
 次に、高齢者の消費者被害の防止についてでございます。
 地域で孤立しがちな高齢者の被害防止には、日常的な見守りなどの働きかけが有効でございます。現在、およそ六割の区市で、福祉分野を中心とした高齢者の見守りに、消費者被害防止の視点を取り入れた取り組みが進んでおります。
 都では、こうした実践的な取り組みの充実と全区市町村への導入に向けまして、既に区市町村の実態調査に着手するとともに、今年度の東京都消費生活対策審議会に都の役割や区市町村との連携強化について諮問しており、今後、現状を踏まえた具体的な施策を構築してまいります。
 あわせまして、荷物や食事を配達する事業者の団体等と連携し、見守りの対象とならない高齢者に対しても注意喚起情報が直接届く仕組みを構築していくため、今後、九月を目途に、都内数カ所の地域で試行を行い、本格実施につなげてまいります。
 最後に、違反行為を繰り返す悪質事業者についてでございます。
 都は、悪質事業者に対し、特定商取引法に基づき、一年以内の期間を定めて業務停止を命ずる処分を行っております。
 しかしながら、この処分は当該法人を対象としているため、その法人の役員等が処分後も別法人を立ち上げ、同様の違反行為を行う事例がございます。
 こうした悪質な事業者を処分するためには、法の処分の対象を法人の代表者や役員等の個人にも拡大する必要がございます。現在、国におきまして特定商取引法見直しの検討が進められていることから、都は国に対して、必要な法改正を強く求めてまいります。
 また、都といたしましても、処分を行った事業者の役員等が別法人で同様の違反行為を繰り返していないかどうかの把握に努め、悪質な事業者への迅速な対応を図ってまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 船の科学館についてでございますが、船の科学館及びこれと一体の公園施設は、民間事業者が将来にわたり維持管理することを前提といたしまして、都が都市計画公園の特許事業として認可し、整備されております。
 認可後四十年以上が経過し、船の科学館は老朽化のため休館となっており、現在、事業者がその改修計画について検討していると聞いてございます。
 今後、都は、事業者からの具体的な維持更新など改修計画案が提出された場合につきましては、適切に対応してまいります。
〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

○港湾局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、船の科学館エリアの活用策についてですが、このエリアは、臨海副都心まちづくり推進計画において、港や水辺の景観を生かしたウオーターフロントとして位置づけられており、現在、都民の憩いの場所となっております。
 今後、このエリアには、二〇二〇年東京大会の開催も見据え、新客船ふ頭の整備を予定しており、国際観光都市東京の海の玄関口として新たな役割も担うこととなります。
 このことから、新客船ふ頭に隣接し、老朽化等により休館している船の科学館のエリアについては、今後、地権者の意向を踏まえつつ、関係各局とともに、臨海副都心のMICE機能と連携した活用策について検討を行ってまいります。
 次に、臨海副都心開発の方向性と取り組みについてですが、臨海副都心は、MICE、国際観光機能が一定程度集積するとともに、都心としては大規模な開発用地を有し、今後のさらなる取り組みにより、東京のみならず、日本の経済成長を牽引する国際的な戦略拠点になり得る地域でございます。
 このため、世界一の都市東京を実現するためにも、この地域を、東京の臨海副都心ならではのビジネスとエンターテインメントが融合した世界トップレベルのMICE、国際観光拠点として発展させていく必要があると考えております。
 今後の開発に当たっては、MICE、国際観光拠点化をさらに推進していくために、それらを支える人材育成などの視点も加味しながら、現行計画の開発方針や土地利用計画等の見直しを行ってまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 国際会議の誘致についてでございますが、東京が国際会議の誘致競争に勝ち抜いていくためには、東京の強みとなる資源を生かしながら、効果的な誘致活動を展開していくことが重要でございます。
 都内には医歯薬理工学系の大学及び研究機関が集積するため、都が策定する戦略では、こうした分野等を重点分野として定め、国際会議の誘致に向けた取り組みを強化してまいります。
 具体的には、これらの分野の大学教授等に対して国際会議の誘致を働きかけ、誘致案件の一層の掘り起こしを行うほか、立候補資料の作成や海外キーパーソンの視察受け入れなど、誘致活動全般に対して支援を行ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、学術系を初めとした国際会議の東京誘致を促進してまいります。

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