平成二十七年東京都議会会議録第八号

○副議長(藤井一君) 百番斉藤あつし君。
〔百番斉藤あつし君登壇〕

○百番(斉藤あつし君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の諸課題に対して知事並びに関係局長に質問いたします。
 都議会民主党は、いわゆる世界一のランキング指標にあらわれないようないじめや自殺、虐待などの問題にも光を当て、弱者への施策を進めることに加えて、人権施策や都市外交などについても積極的な取り組みを求めてきました。
 そこでまず、人権施策の推進について伺います。
 格差や差別は、同じ東京に住む都民の間にくさびを打ち込み、社会全体のエネルギーをそぐものであり、解消に向けた不断の努力が必要です。
 先日、平成十二年の策定以来、実に十五年ぶりとなる東京都人権施策推進指針の改定素案が示されました。オリンピック・パラリンピック開催も一つの契機として、より一層人権を尊重する、多様性のある東京へと成長させるためには、幅広い啓発、教育にとどまらず、救済、相談体制、支援や都民との連携を強化しなければなりません。
 低成長の時代背景を受けて、ヘイトスピーチの問題など、ともすると排外的な価値観が台頭しがちです。
 私たちは、舛添知事のもと、多様な価値観や文化、生活習慣に対して、寛容かつ開かれた都政へと転換しつつあることを評価するとともに、より一層人権課題に取り組むことを期待するものですが、知事の見解を伺います。
 次に、都市外交の推進について伺います。
 知事は、東京都都市外交基本戦略を策定し、アジア諸都市との関係改善にも着手され、さらに在京大使など各国要人とも交流するなど、都市外交を活発化させています。
 私たちは、知事就任以来、都市外交の取り組みを積極的に評価しつつも、どのように都政に還元されるのか、しっかりと都民の理解を得る必要があると申し上げてきました。
 例えば、海外からの投資、MICE誘致、訪日客の増加への取り組みの強化を求めてきましたが、こうした分野で成果をもたらすためにも、都市外交を本格化させ、現地政府や産業界の地域事情をつぶさに把握し、人脈をつくることが欠かせません。
 都は今年度、自治体国際化協会を通じた職員派遣の増員に向けて取り組みを進めています。
 私たちは、さらに、海外事務所の再開も含め、政策目的を明確にした東京都職員の派遣を行うなど、ロンドン、ニューヨーク、パリの世界三大都市を視野に入れ、検討していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、東京オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 立候補ファイルでは、二〇二〇年東京大会において、大会組織委員会が資金不足に陥った場合は、東京都が補填することを保証すると明記されています。これは、東京都が大会組織委員会が行う大会運営にも責任を持っているという一例ですが、私たちは、開催都市としての自覚があるからこそ、新国立競技場の建設の問題は極めて重要だと考えているわけです。
 大会会場については、国がメーンスタジアムの新国立競技場、都がその他の新規恒久施設、そして組織委員会が仮設施設を整備することとなっています。すなわち、新国立競技場の建設については、国が責任を持って行うこととなっているのです。
 新国立競技場の建設費については、当初一千三百億円から、現在では三千億円超とも試算されています。一方、他の開催都市の事例では、二〇一二年ロンドンのオリンピックスタジアムが九百億円、二〇一六年リオデジャネイロのエスタジオ・ド・マラカナンが五百五十億円などと報じられています。
 文部科学大臣は、都議会と約束したかのような発言をしていますが、都議会でそのような話が行われたことはありません。
 私たち都議会民主党は、国から何も説明のない現状において、新国立競技場の整備に対し、都が負担すべきではないと考えています。
 国は、新国立競技場の建設について、仮に東京都に負担を求めるのであれば、正確な建設費を初めとして、工事の必要性や規模、費用の内訳、東京都が負担する根拠などの情報を明らかにすべきです。
 私たち都議会民主党は、舛添知事に対して、これら情報を国に対して引き続き求めるとともに、あわせて、国との協議で得られた情報を、都議会のみならず、広く都民に公開するなど、新国立競技場整備の問題について透明度の高い都政運営を求めるものですが、見解を伺います。
 次に、東京大会の機運醸成に向けた取り組みです。
 二〇二〇年大会に向けては、招致の際に使用された五色の花のエンブレムにかわって、新たなエンブレムが今年度上半期に発表される予定となっています。五色の花のリースは広く都民、国民に親しまれ、また海外でも好評を博すなど、大会招致の機運を盛り上げる上で大変大きな役目を果たしてきました。
 また、二〇一二年のロンドン大会では、大会エンブレムとは別にインスパイアマークというものが考案されました。大会に誘発された文化、教育、スポーツ、ボランティアなどの非営利事業において無料活用され、ロンドン大会に向けた機運の醸成やイギリス国内各地域の持続的な利益に大いに貢献をしました。
 東京もまた、このようなロンドン大会の事例を参考にしながら、二〇二〇年大会への都民の関心を大いに高め、都民を積極的に巻き込んでいくような創意工夫ある取り組みが求められていると思います。
 東京大会に向け、都は多くの都民が参画できるような機運醸成に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、環境施策について伺います。
 知事の諮問を受け、東京都環境基本計画の七年ぶりとなる改定に向けて、環境審議会の議論がスタートしています。
 東京都は、高度成長期に深刻な環境問題を乗り越える先進的な取り組みをして、国の環境施策の発展にも大きく影響を及ぼしてきました。こうした歴史を踏まえ、東京都は、環境政策においても常に日本のトップランナーでなければなりません。
 水や緑を初め、低炭素化、温室効果が高いフロン類への対応など、喫緊の課題は数多くあります。加えて、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催をめどとした水素社会の実現に向けて全力を挙げていますが、本計画では、都の幅広い環境施策を網羅した先見性ある取り組み方針が求められております。
 知事は、さきの所信表明でも、温室効果ガスの新たな削減目標の設定も含めた中間まとめを十一月をめどに行い、環境基本計画を年度内に策定すると述べております。野心的な目標を掲げ、環境先進都市、スマートエネルギー都市東京にふさわしい環境基本計画としていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 水素社会の実現に向け、都議会民主党は、先日、都内にある日本を代表する企業を訪れ、実用間近となっている水素の地産地消モデルを視察しました。通常時は太陽光発電の余剰電力で水から水素を生成貯留し、夜間や悪天候のときに水素発電を行う自立型ハイブリッドシステムで、大きさもコンテナ二つ分ほどでした。発生する温水も供給する形で、既に日本各地で実証を開始しているということでした。
 現状、高圧ガス保安法の規制対象とならない十気圧以下にしていますが、技術的には、より高い気圧でより多くの水素貯留が可能であるとのことです。設置するだけで発電できるため、平時はもちろん、震災時にも力を発揮するものと期待できます。しかし、現在の規制では、高圧にする場合には離隔距離の確保、保安員の配置が必要となってしまいます。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを、日本の最先端技術のショーケースとして世界にアピールしようと多くの企業が取り組んでいます。さまざまな水素技術に係る規制の見直しに向けて、国に対して、より一層積極的に要望していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、新銀行東京について伺います。
 六月十二日、新銀行東京と株式会社東京TYフィナンシャルグループとが経営統合に向けて基本合意を交わしました。
 舛添知事は、両者の検討の推移をしっかりと見守っていきたいとのコメントを発表しましたが、そもそも、新銀行東京には都民の税金一千億円を投入して創設されたものの、開業わずか三年で一千十六億円の累積赤字を出し、事実上破綻をした経緯があります。その上、失敗の原因が明らかにされることもなく、誰も責任をとらないまま、四百億円が追加出資されたという過去があることを忘れてはなりません。
 私たちは、四百億円の追加出資に反対をしましたが、今回の基本合意を進める上で、都民の税金がさらに毀損するようなことがあってはならないと考えています。
 一方で、新銀行の失敗から学べば、官による銀行業には限界があり、銀行は民間主体で経営されることが望ましいと考えます。
 そこで、新銀行の経営統合に向けて知事の見解を伺います。
 そして、さらに、新銀行の責任問題について、三月二十六日、東京地裁は、元代表執行役である仁司泰正氏ら二名の旧経営陣に対する損害賠償請求を棄却し、銀行側も控訴せず、判決は確定しました。
 石原元知事は、旧経営陣に責任を転嫁していました。しかし、私たち都議会民主党は、設立時における過大なマスタープランを初め、銀行設立以降も拡大路線を強要し続けた東京都にも責任があると主張し、あわせて、多額の損失を招いた責任について、外部の専門家などを活用して徹底的に検証すべきだと主張してきました。
 そこで、今回の判決を受けて、新銀行の教訓を今後に生かすためにも、新銀行東京の何が問題であったのか、改めて検証すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、雇用対策について伺います。
 私たち都議会民主党は、非正規労働者が年々ふえる一方で、正規社員の平均年収の伸びに比べ非正規の年収が上がらず、格差がますます拡大していることを懸念しています。労働者が職務に応じた適正な待遇を受けること、すなわち同一価値労働、同一賃金や、非正規社員から正規社員への転換を図ることが重要だと考えています。
 東京都は、国と東京都雇用対策協定を結んでいるところでありますが、正規社員就業、転換対策をさらに進めるとともに、派遣労働者の賃金を正社員と均衡させようとしている企業への支援を推進すべきです。非正規社員の待遇を正規社員のものへと近づけるべく、積極的に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、ワークライフバランスの推進です。
 五月十九日、東京の成長に向けた公労使会議が開催され、舛添知事を初め、東京労働局や都内の労使を代表する団体が集まり、仕事と生活の調和のとれた働き方を進める共同宣言を行いました。
 また、一都三県の地方創生に関する連絡会議においても、国との間で働き方改革が必要だと意見が交わされました。
 舛添知事が所信表明でも述べたとおり、出産や育児などに柔軟に対応できる制度の構築や労働時間の見直しは重要な課題です。
 現在、東京都では、両立支援アドバイザーを置くなど、ワークライフバランスの推進に取り組んでいると聞いています。
 私たちは、宣言を行った各団体との協力により、ワークライフバランスセンターを立ち上げるなど、労働時間の見直しを初めとして、日常生活の多様な問題解決を図る中小企業の取り組みへの支援や、都民への啓発活動をさらに推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 まずは障害者の権利擁護です。
 山口県下関市や西東京市などの障害者施設内でも虐待が起こっており、虐待を誘発する障害者への差別や偏見は、なくなる気配がありません。
 来年四月から障害者差別解消法が施行されるため、都や各自治体においては、当事者である障害者団体などの意見を踏まえながら、対応要領の策定や相談、紛争解決などの体制整備などを進めなければなりません。
 また、障害者団体の多くは、都が障害者差別禁止条例を策定し、都民に障害者の人権を守る意思を示すべきだと要望しており、実際、千葉県や茨城県などの十道府県において条例が策定され、取り組みが行われています。
 障害者差別解消法の施行を来年度に控え、障害者の人権を尊重する姿勢を示し、全ての都民が障害の有無によって分け隔てられることのない、真の共生社会の実現に向けて積極的な取り組みを進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、障害者グループホームの設置促進です。
 どんなに障害が重くても、障害者本人が希望する地域で安心して暮らせるためにはグループホームが不可欠ですが、都内の地価が高いことや、地域住民の理解が得られず断念した例もあるなど、必ずしも障害者の身近な地域に設置できていない現状があります。
 都は、新たな障害福祉計画の中で、今後三年間で二千人分のグループホームを新設する目標を掲げています。
 そこで、障害者施策を実現するため、できるだけ障害者にとって身近な地域にグループホームを設置できるよう、東京都が積極的、効果的な施策を展開すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、都が都営住宅の建てかえなどで、市区や事業者と協力をして、高齢化、重度化した障害者を対象としたグループホームの設置促進を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、認知障害の人などの安全確保について伺います。
 都内で身元不明となった認知症高齢者が、警察や消防がかかわりながらも放置されてしまった事態が続けて二件明らかになりました。
 認知症高齢者や精神障害者と話しているとき、会話が成り立っているようでも、見当識障害であったり、または事実と異なることを饒舌に話したりするために、一見、健康な方と区別がつかないということがあります。現場の職員においては、大変難しい面もあるとは思いますが、認知障害の人へのさらなる理解を深めていただきたいと考えます。
 そして、認知症高齢者の家族や介護事業者に対しては、認知障害の人などが行方不明になった場合には、ためらうことなく警察に届けることが重要です。
 都は、そのことを都民、事業者に対して周知徹底すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、安全・安心なまちづくりについて伺います。
 安全・安心まちづくり条例の改正案では、事業者を地域社会の一員として明確に位置づけるとともに、新たな地域防犯活動の担い手の育成など、これまで地域活動には余り参加していなかった若い世代などを想定した規定を設けることとしています。
 今回の条例改正の特徴の一つとして、地域力の向上があり、高齢化や核家族化、少子化による地域活動の担い手減少は大変大きな課題です。
 その向上に向けては、従来と異なる手法での取り組みも必要と考えますが、都の見解を伺います。
 また、事故の防止を新たに加えたことにより、通学路等の安全確保については、子供の連れ去りなどの事件だけではなく、交通安全の確保も、より一層の取り組みが進むことが期待されます。
 改正案では、今後、通学路等における子供の安全確保に向けて指針を定めるものとしていますが、通学路の選定には制約があり、実効性ある指針の策定とともに、安全確保に資する施策の推進が不可欠と考えます。都の見解を伺います。
 そして、特殊詐欺については、この前の日本年金機構の個人情報大量流出を受け、この問題に絡めた多数の不審電話や、実際に詐欺に遭ったという報道もあり、対策は喫緊の課題です。
 改正案では、危険薬物の乱用根絶や特殊詐欺の根絶に向けての規定が新たに設けられ、都民、事業者に対して、都への情報提供や適切な措置の努力義務を課しています。
 しかし、実際には特殊詐欺、あるいは危険薬物の製造、販売の拠点などを都民が判断するのは困難であり、不審を抱いたとしても、行動を起こすことへのハードルは相当高いものと思われます。
 そうした中で、都民等の協力を得ながら、危険薬物の販売等や特殊詐欺を見逃さずに、根気強い取り組みを進めていくためには、警視庁とも緊密に連携した迅速かつ適切な対応が欠かせないものと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、都のサイバーセキュリティー対策について伺います。
 日本年金機構の百二十五万件という個人情報の大量流出は、いわば標的型メールによって複数の職員端末を直接攻撃されたことから起きました。業務用と区別が難しいような巧妙なメールが送られてくること、日々開発されるウイルスに対策ソフトが対応し切れないことなどから、感染を完全に防ぐことは困難であるといわれています。
 しかし、日本年金機構の例では、共有サーバに個人情報の入ったファイルが保存されていたこと、ファイルがパスワードで保護されていなかったこと、外部から流出の指摘を受けても即応しなかったことなど、数々の落ち度が指摘をされています。
 東京都においても、都民の所得や家族の状況、健康状態など、最もセンシティブな個人情報を扱う業務が多数あり、これが犯罪者の手に渡った場合の深刻な事態が懸念されます。サイバーセキュリティー対策は、侵入が起きた場合でも、被害を最小限にとどめるための対応が非常に重要となっています。
 改めてサイバーセキュリティー対策を徹底する必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、いわゆるぼったくりについて伺います。
 勧誘時に安い値段を提示し、精算時に何十万円もの支払いを請求して、払わなければ無銭飲食で訴えるなどといい張り、客が根負けするまで延々と支払いを求め続けるというのがぼったくり店の手口です。最近、夜間の歌舞伎町交番の周りでは、そうした客と店との間での請求をめぐるやりとりが多くあると聞いております。
 警視庁では、さまざま取り締まりを進めていると承知をしておりますが、悪質なぼったくり店が巧妙な手口で、これら摘発の手をすり抜け、多額の料金を要求している現状を鑑みると、違法な客引きの徹底取り締まりや通報の多い店舗への対応の強化など、あらゆる対策を講じていくべきと考えます。
 そこで、ぼったくりの状況と今後の取り組みについて、警視総監の見解を伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 斉藤あつし議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、人権施策の推進についてでございますが、私は、早い時期から、特定の民族を侮蔑的に攻撃するヘイトスピーチを許してはならないという決意を示しておりまして、安倍総理にも直接話をするなど、多様性や基本的人権が尊重される社会を守る姿勢を貫いてまいりました。
 また、昨年策定いたしました長期ビジョンにおいて、東京が目指す世界一の都市を、生活習慣、文化、価値観などの多様性や、人権が尊重され、誰もが幸せを実感できる都市、誰もがそこに住み続けたいと思う都市と示し、その実現に向けて取り組んでいるところでございます。
 このたび、社会経済状況の変化や人権課題の多様化、複雑化等に対応するため、東京都人権施策推進指針を十五年ぶりに見直すことといたしました。新しい指針に基づきまして、オリンピック・パラリンピックを開催する国際都市にふさわしい、人権が尊重された社会の実現に向けて、今後とも積極的に取り組んでまいります。
 次に、都市外交の推進でありますが、二〇二〇年大会の成功と世界一の都市東京の実現という大きな政策目標達成のためには、都市外交を通じて世界の主要都市との間で友好関係を深め、ともに学びながら、持続的なウイン・ウインの関係を築いていく必要がございます。そうした意味でも、都の職員が海外に出て、東京のため、ひいては日本のために活動することは極めて重要であると考えております。
 そのための手段はさまざまあると思いますが、ご質問にございます都の海外事務所ですが、これは行財政上の理由で平成十二年に閉鎖されている状況であります。
 一方、自治体国際化協会は、世界の主要な七都市に海外事務所を展開しておりまして、都はこれまで、こうした都市に職員を派遣し、地域事情の把握をし、都政への還元に努めてまいりました。我々が海外出張するときに、ここに大変お世話になります。
 今後とも、都市外交基本戦略に基づきまして、ご指摘のように、ロンドン、ニューヨーク、パリなども含めた海外諸都市と交流、協力を促進するに当たり、職員派遣の活用など、さまざまな施策を展開してまいりたいと思っております。
 続きまして、新国立競技場の整備についてでございますが、今般、文科大臣から、新国立競技場の整備費用について負担の要請がございました。その際、不明であった工期や総工事費、都民が納得する都負担の根拠など、全体像を明らかにするように求めました。
 これは、透明性ありき論を重視しているからこそ、国に対してしっかりとした説明を求めたものでございます。
 都としては、早期の課題解決を図るため、国からの情報を踏まえまして、迅速な検討を行っていきたいと思っております。都議会の審議をいただきながら、開催都市としての責任を果たすため、できる限りの協力をしてまいります。
 環境基本計画の改定についてでございますが、これまでも都は、世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度による都内大規模事業者のCO2排出量の削減や、ディーゼル車対策等による大気環境の改善など、環境施策を積極的に展開し、国内外をリードしてまいりました。
 今年度末を目途に策定いたします新たな環境基本計画では、こうした先進的な取り組みをベースとしながら、新たなCO2削減目標を打ち出し、水素エネルギーの活用や再生可能エネルギーの利用拡大について具体化してまいります。
 また、資源の面では、サプライチェーン全体を視野に入れました持続可能な資源利用への取り組みを盛り込んでまいりたいと思っております。
 こうした先進的な環境施策の展開によりまして、世界一の環境先進都市の実現を目指す計画としてまいりたいと思っております。
 続きまして、新銀行東京の経営統合についてでございますが、都は、都政の最重要課題の一つとして、中小企業支援に取り組んでございますけれども、そのためには、やはり金融機関の力を活用することが欠かせません。
 このたび、新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループが経営統合に関する基本合意を発表いたしました。今後、協議、検討が進められることになりますが、都としては、この推移を見守っていくとともに、両者の経営統合が中小企業支援の推進につながることを期待しております。
 また、都議会の付帯決議を踏まえまして、追加出資した四百億円を確保することは、今回の経営統合の前提であると考えております。
 非正規労働者の雇用対策についてでございますが、世界一の都市東京を目指すためには、真面目に一生懸命働く人が必ず報われる、そういう公正な社会を実現していかなければなりません。
 非正規雇用の割合は年々増加していまして、今や働く人の三分の一を超えている。いつも申し上げますように、私はこうした状況は尋常ではないと思っております。
 正社員として働くことを希望しながら、不本意にも非正規雇用となっている方々を一人でも多く減らしたいというのが私の思いであります。
 このため、年間五千人、三年間で一万五千人の正社員化を実現するため、国と連携した事業を速やかに立ち上げて、全力を挙げて取り組んでおります。
 また、非正規で働き続ける場合でも、賃金や教育訓練などの待遇は、正社員との均衡を考慮しつつ、公正に決定されることが大切でございます。
 そこで、関連法令を解説したガイドブックの作成や、アドバイザーによる企業訪問等により、均衡待遇の普及啓発を図ってまいります。また、非正規労働者の雇用環境の改善に向け、社内のニーズ調査や規程整備等に取り組む企業に対して支援を行ってまいります。
 今後とも、多様な取り組みを着実に進め、誰もが夢と希望を抱ける社会の実現に向けて、非正規雇用対策の充実に努めてまいりたいと思っております。
 続きまして、障害のある人もない人も互いに尊重し、支え合いながら、ともに生活する社会の実現に向けた取り組みについてでございますが、来年四月に、あらゆる分野を対象に、障害者への不当な差別的取り扱いの禁止と、合理的配慮の提供を求める障害者差別解消法が施行されます。
 都は、みずから差別解消に向けた支援体制づくりに取り組むとともに、民間事業者や都民の理解を促していかなければなりません。
 本年四月に策定しました東京都障害者計画も、この法の趣旨を踏まえ、障害者が地域で安心して暮らせる社会、障害者が生き生きと働ける社会、全ての都民がともに暮らす地域社会、この実現を基本理念に掲げてございます。
 五年後の二〇二〇年には、東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。いかなる種類の差別もオリンピックの精神に反するものでありまして、福祉先進都市を実現するためには、ノーマライゼーションという理念を社会の中に浸透させていかなければなりません。
 今後、障害者の方の意見も聞きながら、誰もが幸せを実現できる世界一の都市東京を目指しまして、ユニバーサルデザインのまちづくりや心のバリアフリーなど、真の共生社会を実現するための施策に全力で取り組んでまいります。
 そのほかの質問につきましては、警視総監及び関係局長がお答えをいたします。
〔警視総監高綱直良君登壇〕

○警視総監(高綱直良君) ぼったくりの状況と警視庁の取り組みについてお答えをいたします。
 警視庁では、五年後のオリンピック・パラリンピック大会を見据え、盛り場のさらなる浄化を効果的に推進するため、盛り場セーフティアクションプランを策定し、各部門が連携をして繁華街の環境浄化対策を強化いたしておりますが、本年春以降、新宿歌舞伎町地区においては、キャバクラ等の社交飲食店における高額な料金請求と、悪質な取り立てに係るトラブルの増加が見られるところであります。
 こうした情勢を踏まえ、現在、本部の捜査員を投入して取り締まり体制を強化し、いわゆるぼったくり防止条例等のあらゆる法令を駆使して、不当な取り立て行為や悪質な客引き行為等に対する検挙を進めるとともに、店舗に対する立ち入りを実施するなど、徹底した取り締まりを行っているところであります。
 さらに、悪質店舗の排除に向けて、許可の取り消し、営業停止等の行政処分も進めているほか、地元の商店街振興組合等と連携し、ぼったくり、客引き防止看板の設置、街頭アナウンス、合同パトロールなど、被害防止のための注意喚起活動も強化しているところであります。
 今後とも、地域の状況に応じた取り組みを展開し、健全で魅力あふれる盛り場を実現するための諸対策を強力に推進してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二〇二〇年大会に向けた機運醸成についてでございますが、大会成功への鍵は、都民一人一人が自分の大会だと感じてもらうことであり、大会開催基本計画の中でも、多くの人々の参加によって大会をつくり上げていくエンゲージメントという考え方を推進することとしております。
 具体的には、都は組織委員会、国、関係団体等と連携し、大会準備や運営でのボランティア、文化・教育プログラムでの活動、ライブサイトやカウントダウンイベントなどへの幅広い参加を促してまいります。
 今後、ロンドン大会の成功事例も参考にしながら、より多くの都民、国民が主体的に参加できるプログラムの作成に組織委員会などとともに取り組み、東京大会に向けた新たな機運醸成を図ってまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 水素エネルギーの普及に係る規制の見直しについてでございますが、都はこれまで、水素エネルギーの普及に向けて近隣自治体とも連携しつつ、国に規制緩和を要望し、市街地の水素貯蔵量の上限の緩和などを実現してまいりました。
 引き続き、公道からの保安距離の見直しや使用可能な材質の拡大、セルフ充填式スタンドの設置など、残された規制緩和の実現を目指してまいります。
 今後とも、技術開発の動向も踏まえ、安全性に配慮しながら、必要な規制緩和を国に求めてまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、新銀行東京についてでございますが、新銀行東京は、かつて深刻な経営状況にあり、四百億円の追加出資を受ける際に、都議会でのさまざまなご審議をいただくとともに、新銀行東京としても旧経営陣に対する訴訟を提起してまいりました。
 追加出資後、新銀行東京は、経営陣を刷新して再建に向けた努力を重ね、安定的な黒字体質を継続するとともに、中小企業支援に積極的に取り組んでおります。
 都といたしましては、これまでの新銀行東京の取り組みを発展させ、今回の経営統合を中小企業支援のさらなる推進につなげていくことが重要だと考えてございます。
 次に、ワークライフバランスの推進についてでございますが、活力ある東京をつくり上げていくためには、行政に加え、経営者団体、労働団体など関係者が協力して、仕事と生活が調和した働き方を実現することが重要でございます。このため、先月、公労使会議において働き方改革に関する共同宣言を行いました。
 今後、国や関係団体とも連携し、労働時間や休み方の見直しなど、さまざまな事例の紹介を通じ、社会的機運の醸成に努めてまいります。
 さらに、都独自の取り組みといたしましては、引き続きイベント等で、中小企業のすぐれた取り組みを広く発信していくとともに、中小企業の職場環境整備のための支援を行ってまいります。
 今後とも、このような多様な取り組みを通じて、ワークライフバランスの推進を図ってまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、障害者のグループホームの設置促進についてでありますが、都はこれまで、障害者が地域で安心して生活できるよう、東京都障害福祉計画の中に地域生活基盤の整備促進策を盛り込み、グループホームの整備を進めてまいりました。
 本年四月に策定いたしました第四期計画におきましても、障害者・障害児地域生活支援三か年プランを定め、整備費の事業者負担を軽減する特別助成、借地を活用する場合の土地賃借料や定期借地権の一時金に対する補助などの支援策により、今後三年間で二千人分のグループホームを整備することとしております。
 今後、この目標の達成に向け、区市町村と連携して、住民の理解も図りながら、グループホームの整備を積極的に進めてまいります。
 次に、認知症高齢者等が行方不明になった場合の対応でありますが、都は現在、徘回して行方不明となった高齢者を早期に発見するネットワークの構築などに取り組む区市町村を包括補助事業により支援しております。
 また、本年三月には、都の認知症ポータルサイトであるとうきょう認知症ナビの中に、行方不明、身元不明のページを新設し、ご家族が行方不明となった場合や身元不明の認知症の方を発見、保護した場合、必ず警察へ届け出ていただくよう都民に向けて周知を行っております。
 介護事業者に対しましても、緊急時や事故発生時の対応について、各施設やサービスの実態に合わせた対応マニュアルを整備するとともに、緊急時等には、速やかに関係機関やご家族に連絡を行うなどの必要な措置を講じるよう指導を行っており、今後とも周知徹底に努めてまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 都営住宅の建てかえに伴う障害者グループホームの設置促進についてでございますが、これまでも都営住宅の建てかえに当たりましては、創出した用地等を活用して、障害者グループホームなど、福祉施設の整備を促進してまいりました。
 今後とも、関係局と連携して区市町村と協議を行うなど、地域のニーズにも適切に応えながら、福祉施設等の整備に向け、創出用地等を活用した取り組みを進めてまいります。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(河合潔君) 安全・安心なまちづくりに関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域の力の向上として、従来とは異なる取り組みについてでございますが、地域の力を強化するためには、防犯カメラ等の環境整備とともに、町会や自治会、ボランティア団体等の自主的な防犯活動等の取り組みが欠かせません。
 しかし、地域では、安全・安心の活動の担い手不足など、その活性化が課題となっていることから、これまで実施してきた防犯活動等への支援に加えまして、条例に安全・安心まちづくりの担い手の育成や地域における防犯活動等へ事業者の協力を求める規定を盛り込んでおります。
 今後、都では、区市町村を通じた若手育成への支援とともに、事業者の協力を得て、高齢者や子供などの弱者を見守る、ながら見守り連携事業を創設するなどの地域の総力を結集し、安全・安心の体制を強化してまいります。
 次に、通学路等における子供の安全確保についてでございますが、昨年度、世田谷区における通学路での交通事故のほか、自宅や学校周辺等において、不審者による子供への声かけやつきまといが多発するなど、通学路等での子供の安全対策が喫緊の課題となっております。
 このため、都では、条例を改正して、警察、学校、通学路等の管理者、保護者、地域住民がそれぞれの役割分担のもと、子供の安全対策に取り組むための指針の策定や、学校等の管理者が通学路を設定、変更する際の警察への意見照会に関する規定を盛り込み、対策を強化いたします。
 今後とも、通学路の防犯カメラの設置を進めるほか、地域安全マップづくりへの支援や、参加体験型の交通安全教育の実施など、ハードとソフトの両面から関係者の協力を得て子供の安全を確保してまいります。
 最後に、危険ドラッグや特殊詐欺への対応についてでございますが、これらの犯罪は、警察等の取り締まりや摘発に対して、次々とやり口を変え、その実態も巧妙化が進んでいるため、根絶するには、何よりも地域からの情報提供や、警察と行政との密接な協力体制が不可欠であります。
 そこで、都では、先月、都内の九割以上の事業者が加入いたします不動産業界二団体及び警視庁と協定を締結し、危険薬物の乱用及び特殊詐欺を根絶するため、対策を強化していくことといたしました。
 さらに、警察への情報提供など、都民や事業者の責務を本条例案に規定することで、これまで以上に警視庁や都民、事業者との連携を緊密にして、喫緊の課題へ迅速に対応し、東京の治安の向上に取り組んでまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) サイバーセキュリティー対策についてでございますが、高度化、多様化するサイバー攻撃を受けた際の事故防止策や、その影響を最小限とする対策を総合的に講じていくことが重要でございます。
 都はこれまでも、標的型メール攻撃訓練を積み重ねるなど、職員の意識向上に取り組んでおり、今後とも、今回の日本年金機構への攻撃など、最新の事例を参考に、訓練等の充実を図ってまいります。
 また、今後は、都庁全体で発生する事象を統括し、事態に即応した指導、指示を行う東京都CSIRTを設置するなど、全庁横断的に取り組む体制を構築してまいります。
 これらの取り組みにより、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催も見据え、東京都のサイバーセキュリティー対策の強化を図ってまいります。

○六十七番(山崎一輝君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○副議長(藤井一君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(藤井一君) 異議なしと認め、そのように決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後六時四十七分散会

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