平成二十七年東京都議会会議録第八号

   午後三時二十分開議

○議長(高島なおき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 五十九番まつば多美子さん。
〔五十九番まつば多美子君登壇〕

○五十九番(まつば多美子君) 都議会公明党を代表し、知事、教育長並びに関係局長に質問いたします。
 戦後七十年の本年、同じく創設七十年を迎える国連では、昨年、全ての人の尊厳が一切の例外なく守られるべきであるという、新たな国際目標案が総会に提出されました。恒久平和に向けた新たな視座であり、強く支持したいと思います。
 その一方で、中東の混乱、ウクライナ情勢の悪化、そして東アジアで高まる緊張など、人々の生命や尊厳を脅かす事態が進行しつつあります。
 また、近年、災害や異常気象が世界各地に深刻な被害をもたらし、国連の統計によれば、二〇一三年だけでも世界で二千二百万人が避難生活を余儀なくされております。
 こうした時代にあって、政治の主眼を、絶えず人々の苦しみを取り除くことに据えることが重要であり、その鍵を握るのは、誰の身にも悲惨が及ぶことを望まない、国境を越えた人々の連帯と交流であると思います。
 都議会公明党が舛添知事の進める都市外交を一貫して支持してきたのも、都市がこうした交流の重要なプレーヤーであり、都市が持つ経験や教訓を相互に交流し合うことこそが、平和創出に向けた、かけがえのない基盤になることを確信しているからであります。
 世界平和への潮流を確かなものにしていくには、女性の果たす役割もまた重要であります。
 ヨーロッパ統合の父と呼ばれるクーデンホーフ・カレルギー伯爵はかつて、世界中で女性が議会と政府の半分を占めるようになれば、世界平和は盤石になるだろうと未来を展望しております。
 女性の可能性を開くことは、男性中心社会の行き詰まりを解消するものであり、女性が輝く社会であってこそ、男性もより輝いていくものと思います。
 公明党は二〇〇八年、女性の一生を支援する女性サポート・プランを策定。昨年五月にはその改定版の女性の元気応援プランを策定するなど、女性の活躍推進に先駆的に取り組んでまいりました。
 そして、女性の活躍が自公連立政権の中心政策の一つに位置づけられ、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案、いわゆる女性活躍推進法案も国会で審議されております。
 女性の活躍推進のためには、企業、団体、行政における意思決定ポストに女性の参画を拡大していくことが極めて重要であることは論をまちません。
 東日本大震災後、女性の視点からの防災対策の必要性から、都議会公明党はたびたび東京都防災会議への女性委員の登用を提案し、都条例の改正で二人の女性委員が誕生しました。
 このように、都の政策形成の場である審議会等への女性の参画を、より一層図る必要があります。
 昨年の都の審議会等における女性委員の割合は二三・二%にとどまり、残念ながら四十七都道府県の中でも下位にあり、国の割合と比べても一〇ポイント以上もの開きがあるのが現実であります。
 女性の活躍推進にとりわけ理解の深い舛添知事にリーダーシップを発揮していただき、都の審議会等における女性委員の登用目標である三五%を達成すべきであります。知事の見解を伺います。
 次に、社会全体の機運醸成についてであります。
 本年三月の予算特別委員会での公明党の提案に対し、都は、女性の活躍推進に向けた国際シンポジウムを昨年に引き続いて開催し、そこで得た成果を、年度内に策定予定の東京都女性活躍推進白書に明確に反映する考えを明らかにしております。
 そこで、このシンポジウムの成果を今後の施策に確実に生かすとともに、社会全体での機運醸成の絶好のチャンスとすべきであります。見解を求めます。
 次に、ワークライフバランスの推進についてであります。
 長時間労働などの働き方を見直し、女性も男性も働きやすい環境づくりに向けて、行政、企業、地域社会が結束して対応していくことが肝要であります。
 都では、ワークライフバランス認定企業の選定やワークライフバランスフェスタ東京の開催など、積極的に取り組んできましたが、働き方改革をより大胆に断行していくべきときを迎えております。答弁を求めます。
 最後に、女性副知事の登用について一言申し述べます。
 周知のとおり、長い都政史上にあって、女性の副知事はこれまでただ一人しか誕生しておりません。
 公明党東京都本部は、一九九二年、若い女性の生活意識調査を行い、その結果に基づく政策提言を都に提出いたしました。そのとき対応してくださったのが、当時副知事だった金平輝子さんであります。
 席上、金平副知事は、五万数千人もの若い女性の調査を若い女性が行ったことに感心します、行政が目を向けていない項目もあるので参考にし、東京をよくしようとの皆さんの思いを行政の中に盛り込みたいと話され、私たちの取り組みを心からたたえてくださいました。
 その場に同席した私も、東京都にはこんなにすばらしい女性リーダーがいるのかという憧れとともに、東京の未来に希望を持ったことを今なお鮮明に覚えております。
 今再び、首都の顔として女性の希望の存在となる女性副知事の誕生を私は心より期待しております。舛添知事、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会について質問いたします。
 近代オリンピックが都市を開催単位としているのは、古代オリンピックが都市で開催されたことを踏襲しただけではなく、国力を競い合ったり政治体制をアピールするような事態を避けて、都市の持つ自由闊達な発想や特色を大会に反映させるためであるともいわれております。
 こうした観点から、都市が主体性を発揮して開催都市の特色を存分に生かした大会と高く評価されているロンドン大会は、成熟した大都市らしい洗練された開会式や、熱意あふれるボランティア、国民的な盛り上がりの中でのパラリンピックなどが印象的でありました。
 こうしたことも参考に、公明党は、東京の主体性と東京大会らしさを存分に発揮すべきとの観点から、アーツカウンシル東京を軸とした文化プログラムの構築、心のバリアフリーを育む教育プログラムの推進、さらには東日本大震災からの復興を世界にアピールする大会にすべきであると訴えてまいりました。
 都は今後、文化、教育、スポーツなど関連する分野における事業展開のあり方や、競技施設の大会後を見据えたレガシー、東京大会らしいパラリンピック等を具体化するとしており、意欲的な取り組みに大いに期待するものであります。
 また、都の取り組みや方針を大会組織委員会に積極的に提言し、五輪関連の各種プログラムやイベントが、都内だけでなく全国各地で活発に展開されるようにすべきであります。そのためには、オリンピックムーブメントの原動力となる都の主体性の発揮は極めて重要であります。知事の見解を求めます。
 次に、新国立競技場について申し上げます。
 オリンピック・パラリンピックの招致に関しては、当初、国民の間にも賛否両論があり、この都議会でも反対する会派や消極的な会派がありました。
 しかし、二〇二〇年の東京招致が決定した瞬間、全国で称賛と期待の歓声が上がったことは記憶に新しいところであります。今や二〇二〇年オリンピック・パラリンピックは、ひとり東京のテーマではなく、日本全体の目標となっております。
 ところが、昨今、新国立競技場の整備費の負担をめぐって混乱が続いております。こうした事態は、多くの人々のオリンピックに高まる期待に水を差し、スポーツと文化と平和の祭典であるオリンピックそのものに泥を塗る事態であるといっても決して過言ではありません。このようなことをいつまでも続けていたら、日本の国際的な信任にも影を落としてしまいます。一刻も早く決着をつけるべきであります。
 そこで、申し上げます。新国立競技場の整備に、国が都に財政負担を求めるのであれば、前提条件があります。
 その第一は、何としても完成を間に合わせることです。JSC、日本スポーツ振興センターや文科省にのみ任せるのではなく、政府を挙げて取り組み、民間も建設業界の総力を結集し、オール日本の体制を整えて建設に当たるべきであります。
 しかも、単に間に合わせるだけではなく、アスリートにとっても、観客にとっても、さらにはレガシーとしての後利用に関しても、世界に誇れる内実を持った新国立競技場にすべきであります。
 条件の第二は、都の財政支援を求めるのであれば、その理由と根拠、内容に関して説得力を持って説明すべきであります。いささかも不透明感を残さないように、国は都民、国民に説明責任を果たすべきであります。
 いずれにせよ、新国立競技場は東京オリンピック・パラリンピックを象徴するメーンスタジアムとなる以上、開催都市としても協力するにやぶさかではありませんが、しかし、そこには都民、国民が納得する明確な理由、根拠、内容が不可欠であります。
 新国立競技場の整備に関して、知事の見解を求めます。
 次に、東京パラリンピック大会について質問します。
 さきのロンドン・パラリンピックは、史上最高のパラリンピック大会と高く評価されました。
 同一都市で初めて二回目のパラリンピックを開催する東京には、そのロンドン・パラリンピックを凌駕する成果をおさめることが期待されております。そのためには、競技施設はもちろんのこと、障害のある方々も存分に応援や観戦ができるよう、ハード、ソフト両面にわたるバリアフリー化の推進が欠かせません。
 知事はさきの所信表明で、国や組織委員会とともに、障害のある人も利用しやすい大会施設などの基準を検討していると述べられましたが、障害のある人が利用しやすい環境を整えていくための基準、いわゆるアクセシビリティーガイドラインの策定においては、何よりも実効性が大切であります。ガイドラインには法的拘束力がないため、民間も含め、いかに具現化していくかが重要となります。
 国際パラリンピック委員会のクレイヴァン会長は、ソチ・パラリンピックの閉会式で、パラリンピックでソチはバリアフリーシティーになったと語っておりますが、東京パラリンピックでは、後世の貴重なレガシーとなるよう、策定する基準は、利用者の特性やニーズを踏まえた実効性あるものにすべきと考えます。見解を求めます。
 パラリンピックに関連して、特別支援学校におけるスポーツ振興について質問します。
 パラリンピックの開催を契機として、特別支援学校における児童生徒が積極的に障害者スポーツにかかわり、みずからスポーツを体験することが何よりも重要であります。
 ところが、実際には、パラリンピック競技として有名なブラインドサッカーを授業等で取り入れている特別支援学校は一部でしかなく、まだまだ障害者スポーツへの取り組みが十分であるとはいえません。
 そこで、特別支援学校における体育活動では、体験できる競技種目をふやすなど、障害者スポーツの振興にも資するものとすべきと考えます。見解を求めます。
 また、二〇一二年ロンドン・パラリンピックでは、当時、知的障害で都立特別支援学校に在籍していた男子生徒が、百メートル背泳ぎで八位入賞を果たす快挙をなし遂げました。こうした選手のほかにも、国際大会で活躍している特別支援学校の生徒や卒業生がいると聞いております。
 五年後のパラリンピック大会を契機に、より多くの生徒や卒業生が国際大会の選手として活躍することを期待してやみません。
 そこで、特別支援学校の生徒や卒業生が、みずからの競技能力を高め、より高い目標を目指すために、現在活躍しているパラリンピアン等のトップアスリートを学校に派遣し、直接学び、体験する機会を設けるべきと提案しますが、所見を求めます。
 次に、日本文化、東京文化の発信と海外との連携促進について質問します。
 東京文化ビジョンでは、東京を世界のどこにもない、多彩で奥の深い文化都市と位置づけ、世界中の芸術家が東京を訪れ創造活動を行うことにより、国境を越えた相互理解と地球規模の連帯感を育み、世界平和の実現へとつなげていくとの理念を掲げておりますが、これらを実現するためには、国内外のアーティストの相互交流等を通じて、東京の文化芸術への理解を深めることが重要であります。
 日本文化や東京の文化芸術への取り組みを、多言語にわたって、SNS等のあらゆる媒体を活用して発信し、交流を進めていくことは、世界からの理解と共鳴を得る上で必要不可欠であります。
 東京が掲げるプロジェクトに参加を積極的に呼びかけ、東京を舞台に海外から多くのアーティストが集い、世界的な事業連携の展開につなげていくべきであります。見解を求めます。
 次に、多文化共生社会の推進について質問します。
 公明党は、かねてより日本人と外国人が相互の文化的違いを認め合い発展する多文化共生社会の推進を繰り返し都に求めてまいりました。世界都市としてグローバル社会が進展するほど、差異を乗り越え、理解し合う国際性豊かな都市への発展が重要になると考えるからであります。
 前定例会で都は、都議会公明党の求めに対し、基本方針を示すことを明らかにしております。オリンピック・パラリンピック大会の開催を契機に、多文化共生社会の構築を力強く世界に発信すべきであります。今後の取り組みに向けた知事の決意を伺います。
 また、日本で働く外国人在住者が年々増加し、東京に住み始めたばかりの外国人の中には、言葉の問題から地域でのコミュニケーションがうまくとれず、疎外感に包まれ、学校で勉強する機会にも恵まれない子供たちもおります。
 現在、そうした子供たちを対象にサポートを行うNPO団体などでは、日本語だけでなく、数学や英語なども教えて、例えば日本での高校受験に結びつけているケースも数多くあります。
 改めて申し上げるまでもありませんが、多文化共生社会を構築していくためには、こうしたNPO団体など多様な主体による支援活動なども把握し、多文化共生の基本方針に反映させていくべきであります。見解を求めます。
 次に、オリンピック・パラリンピックの開催時における危機管理対策について質問します。
 二〇二〇年東京大会では、世界一安全・安心の万全な危機管理体制を構築することが、最高のおもてなしとなります。
 テロ対策やサイバー犯罪を初め、首都直下地震やゲリラ豪雨などの大規模自然災害や、感染症パンデミックなどにも備えなければなりません。
 例えば、地震被害の経験がない外国人にとっては、たとえ小さな震度であっても大きな恐怖感に包まれるといわれており、大きな揺れを感じれば、容易にパニックに陥る可能性があります。競技会場内、まち中、交通機関での対応など、あらゆる場面を想定した総合的な体制の構築を図っておく必要があります。
 知事は、本定例会の所信表明で、大会開催における安全・安心を確保するために、知事を先頭とするレガシー委員会の中に安全・安心部会を設置し、さまざまな視点から検討を進めることを表明されました。このスキームを最大限に活用した本格的な対策を早急に検討すべきであります。特に情報弱者、災害弱者となる外国人への対応策も重要となりますが、都の見解を求めます。
 次に、防災対策について質問します。
 まず、大規模水害についてであります。
 近年、ゲリラ豪雨が頻発し、全国で洪水や土砂崩れなどにより大きな被害が発生しております。また、海外では、いわゆるスーパー台風による高潮で多数の死者も発生しております。
 こうした事態を受けて、このたび水防法が改正され、新たに高潮や洪水等に対し、想定し得る最大規模の外力を考慮し、浸水想定区域の設定を行うこととしました。改正水防法では、高潮の浸水想定区域については知事が指定することになっております。起こり得る災害リスクをあらかじめ想定し、社会全体で危機感を共有し、事前の備えに万全を期すことが求められております。
 しかし現状は、平成二十二年の中央防災会議の高潮浸水想定においても、高潮の河川遡上が被害想定の対象に組み込まれておりません。都は早急にハード、ソフト両面の取り組みを進め、高潮から都民を守るべきであります。見解を求めます。
 次に、豪雨による中小河川の洪水対策についてであります。
 都はこれまで、平成十二年に名古屋地方に甚大な浸水被害をもたらした東海豪雨を想定した浸水想定区域図を作成し、これに基づき関係区市がハザードマップを作成するなど、ソフト対策に取り組んでおります。
 一方で都は、平成二十四年に中小河川の目標整備水準を区部で時間最大七十五ミリ、多摩で六十五ミリに引き上げたところであり、護岸や調節池の整備といったハード対策に引き続き取り組んでいく必要があります。この新たな目標整備水準を早急に達成すべきであります。所見を求めます。
 次に、災害拠点病院の水害被害対応についてであります。
 昨年八月、京都府では集中豪雨によって福知山市の中心部が冠水し、災害拠点病院の福知山市民病院が約十時間、救急車が出入りできなくなるという事態が発生しました。
 国はこれを契機に、災害拠点病院が抱える立地特性上の課題を調査し、各病院が回答を寄せております。
 都においては、調査時点で災害拠点病院に指定されていた七十四施設のうち、道路冠水によりアクセスが困難になると回答した病院が十六施設、浸水により一部診療に影響が出ると回答した病院が十九施設となっております。
 これまで、都における災害時医療の体制整備は、主に大地震の発生を前提にしたものでありました。しかし、昨今では気候変動による水害被害が多発化しており、病院の地下や一階が水没することも予想されております。躯体の耐震化や非常用自家発電装置の確保といった努力だけでは、水害時の対応は困難であります。
 しかし現状は、災害拠点病院であっても事業継続計画、すなわちBCPをいまだ整えていない病院もあり、水害を前提としないBCPにとどまっている病院もあります。
 都内全ての災害拠点病院が、水害時も救急医療の拠点として十分に機能を発揮できるよう取り組みを強化すべきであります。見解を求めます。
 とりわけ都立墨東病院と東部地域病院は、大規模水害時に約三メートルから五メートルにわたって浸水する地域に立地しております。早急にこの二つの病院を、大規模水害時でも稼働できる災害拠点病院への対策を強化すべきであります。見解を求めます。
 そもそも災害時には、限りある医療資源をより多くの都民に対し効率的、効果的に提供する必要があります。東京DMATの充実、医薬品の効果的な配布体制、外来軽症患者の集中回避策、災害拠点病院を中心とした都内医療資源のネットワーク化などを進め、災害医療の体制強化を図ることができるものと考えます。都の見解を求めます。
 次に、災害対応に必要な情報の事前普及策についてであります。
 知事は、各家庭での防災に対する理解を深め、災害への備えを万全にするため、各家庭で、いつでも取り出せる場所に常備薬のように置かれている防災マニュアルが必要であるとし、スイスの取り組みを参考に防災ブックの作成を主導されました。
 ただ、都内全体に配布する防災ブックであるからには、あらゆる人がその情報にアクセスできるよう配慮し、それを標準化することが重要であります。特に、文字情報を見ることができない視覚障害者や外国人への対応が不可欠となりますが、見解を求めます。
 次に、下水道事業のエネルギー危機管理対応についてであります。
 東日本大震災の発生時には、電力の供給が極度に不安定となり、広範囲にわたって交通や流通網も混乱し燃料調達が困難な状況に陥りました。都が管理するインフラについても、災害時の機能維持に向けた電力確保対策が必要であります。
 東京の下水道は、二十四時間三百六十五日、浸水を防除し下水を処理するなど、都民の安全で快適な生活を支える重要なインフラであります。今後、発生が懸念される大地震などの非常時にあっても、水処理や汚泥処理を確実に実施するための電力や燃料を確保し、下水道機能を維持する取り組みが必要であります。
 ことしの第一回定例会でも、公明党は、下水道機能を維持できる電力確保に総力を挙げるべきであると主張しました。これに対し、水再生センター、ポンプ所で未整備施設を解消する取り組みを進めているとの答弁でありました。しかし、非常用発電機などを整備しても、必要な燃料の確保ができなければ下水道機能の維持は不可能であります。
 そこで、いかなるときにおいても下水道の機能を維持するためには、非常用発電設備の燃料の確保のために多重の安全策をとるなど、危機管理対応の取り組みを強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、災害時におけるオフロードバイクの活用について質問します。
 都議会公明党はこれまで、大規模災害発生直後の迅速かつ正確な情報収集と初動対応の重要性を訴えてまいりました。とりわけ、四輪の緊急自動車などが通行できないほどの悪路状況になった場合には、オフロードバイクの活用が有効であることを繰り返し都に提案してきたところであります。
 これに対し都は、災害時の活用の可能性について、検討していく旨の考えを明らかにしました。
 東京消防庁では既に、通称クイックアタッカーというオフロードバイクが都内十カ所の消防署に配備されており、警視庁では昨年、全国初となるオフロード白バイを導入し、被害状況の早期情報収集を行う訓練を始めました。
 そこで、災害時にとりわけ迅速な被害状況の把握とその対応が求められる建設局、水道局、下水道局を初め、各局への導入、活用を見据えて、都が主催する総合防災訓練で、その有効性を検証すべきであります。見解を求めます。
 次に、犬、猫に代表される動物との共生について質問します。
 都議会公明党は、動物との共生を進めるプロジェクトチームを立ち上げました。伴侶動物と生活する人がふえる中、動物の致死処分ゼロを目指す取り組みのほか、犬や猫と一緒に生活できる高齢者施設の普及や、動物の終生飼養、適正飼養の普及啓発など、オリンピック・パラリンピック開催都市にふさわしい施策展開を進めていくべきと考えております。
 都議会公明党は昨年、長野県動物愛護センターのハローアニマルを視察してまいりました。公園に併設されている施設であり、犬や猫などと直接触れ合うことができるほか、動物の習性や飼い方などが詳しく展示され、大人も子供も命の大切さを学べるように工夫されておりました。
 犬や猫は一番身近な伴侶動物ですが、都内の動物園に犬や猫が飼われておりません。子供たちが通う学校でも、今日ではほとんど飼われていないのが実情であります。子供たちは、自宅で犬や猫を飼っていなければ、どうやって接してよいのかもわからず、動物を通じて命の大切さを学ぶ機会も持てません。
 動物愛護にかかわるさまざまな取り組みを推進するためには、伴侶動物との触れ合いの場づくりを含めた、都の積極的な施策展開が必要であります。見解を求めます。
 東京都動物愛護相談センターによれば、飼い主が高齢のため動物の世話をすることが難しくなったとの相談がふえており、同センターが引き取る動物は、高齢者の施設入所で行き場を失うケースも多くなっております。
 動物の終生飼養、適正飼養の普及啓発や相談体制の充実を図る必要があると考えます。
 都議会公明党の動物共生プロジェクトチームは、先月、横須賀市にある特別養護老人ホーム、さくらの里山科を視察してまいりました。
 この特養を運営する社会福祉法人は在宅介護を中心に事業を展開してきましたが、高齢者が犬や猫などの伴侶動物を飼うことができなくなる状況に数多く直面したことから、特養を開設するに当たって動物と一緒に入所可能とし、伴侶動物福祉に取り組んでおられました。高齢者施設などに入所する際、飼っていた動物と絶対に離れたくないと考える高齢者が数多くおられることも事実であります。
 さくらの里山科では、入所者が犬や猫と自然に暮らしながら、大きな安らぎを得ておられました。これからは、動物との共生と高齢者支援策をあわせて考えていく視点が重要になってくると考えます。
 高齢社会における動物との共生について、都の見解を求めます。
 次に、教育について何点か質問します。
 初めに、がん教育についてであります。
 二人に一人ががんになる時代において、有効な対策は生活習慣の改善や検診を通じた早期発見、早期治療のための普及啓発であります。
 都のがん対策推進計画においても、がんに対する都民理解の重要性が指摘される中、豊島区や荒川区などでは、児童生徒を対象にした先駆的な取り組みがスタートしております。しかし、全都的に見ると、がんそのものや、がんという病気への向き合い方、がん患者に対する理解を深める教育は始まったばかりであります。
 がん教育の効果については、多くのことが論じられておりますが、集約すれば、第一に、児童生徒に命の大切さや健康への関心を持ってもらう。第二に、子供たちから父母等へ、がん検診を勧めてもらう。第三に、教員自身ががんを知り、自身の健康管理を実践する。そして、第四に、がん教育の実践を通じ、医師の成長にもつながるという多様な効果が指摘されております。
 都においても、小中高校生を対象に健康と命の大切さについて、いま一度強く教えるべきであり、実りあるがん教育を展開すべきと考えます。
 国は、平成二十九年度からの全国実施を目指し、現在、がん教育のあり方を検討しておりますが、いまだ具体的な対応は明らかになっておりません。
 そこで、国のモデルとなるようながん教育の実施に向け、都教委主導で本格的に検討すべきであります。見解を求めます。
 また、がん教育の実施に当たっては、医師等関係者の確保と協力が不可欠であり、特に都道府県がん診療連携拠点病院である都立駒込病院の役割に大いに期待するものであります。答弁を求めます。
 次に、高校生を対象にした読書活動の推進についてであります。
 先月五日、過去一年間に直木賞候補になった小説の中から、高校生が自分たちにとって最もおもしろいと思う作品を選ぶ高校生直木賞の全国大会が開かれました。
 この大会のモデルとなっているのは、フランスの高校生ゴンクール賞という文学賞であります。ゴンクール賞は、日本でいえば芥川賞と直木賞を合わせたようなフランスの有名な文学賞であります。
 この高校生直木賞は、直木賞の候補作を読み、高校生みずからが評価基準を定め、他者と議論を交わして作品を評価し、候補作の中から一位を決めるもので、明治大学の伊藤氏貴准教授の発案により行われている読書教育であります。
 実際に参加した高校生からは、同じ作品を読んで数人で感想を交換し合うことで、多くの読み方を知り作品を深く読むことができた、論理的対話力も養うことができて、得るものが多かったとの声がありました。
 この高校生直木賞の取り組みは、いわゆる正解にとらわれない自由な読み方ができ、さらに、直木賞の候補作を使うことで、初めから質を保証された作品同士で議論ができ、物事を評価するときの軸、物差しを自分たちで考えられるようになるなどの教育効果があると考えられます。
 そこで、この高校生直木賞のように、共通の作品について、自分の考えを述べ、他者と議論し、評価していく取り組みは重要であると考えますが、見解を求めます。
 次に、児童生徒の心の健康を守る取り組みについてであります。
 都議会公明党が推進してきたスクールカウンセラーが、全校配置となり三年目を迎えました。スクールカウンセラーによる全員面接も、一部の学年で開始されております。教育現場での課題は多様化しており、いじめ、不登校、ひきこもり、中途退学など、数え上げれば切りがありません。まずは、スクールカウンセラーの常設配置を早期に進めることを強く求めておきます。
 教員の方々は、こうした課題に向き合い解決しようと努力をしていても、教員だけでは解決できない課題に対しては、積極的に外部の力を活用することも必要であります。家庭と学校の両方の課題に対応するため、スクールソーシャルワーカーを初め、さまざまな外部人材と連携した取り組みが求められます。所見を求めます。
 次に、発達障害児への支援についてであります。
 都教育委員会は、間もなく全ての小学校に特別支援教室を導入するとともに、中学校でのモデル事業にも順次取り組むなど、発達障害支援教育の充実に向けた取り組みを進めております。
 しかし一方で、小中学校で受けた特別な指導、支援を高校進学後も期待するためには、どのような高校に進めばよいのかわからないといった不安の声や、生徒の特性に合った教育が受けられるチャレンジスクールの入学選抜倍率が高くてなかなか入学がかなわないといった相談も多く寄せられております。
 加えて、知的障害がなく発達障害の可能性のある生徒は、高校入学後に何らかのトラブルや違和感から学校での居場所がなくなり、不登校に陥ってしまうというケースも起きております。
 都は、都立高校においても、発達障害がある生徒一人一人の障害に応じた指導、支援を行う体制の整備に早急に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 また、都立高校において、発達障害がある生徒に適切に指導、支援を行っていくためには、それを担う教員が実践的に学べる仕組みを構築するなど、資質と専門性の向上が不可欠であります。
 都立高校における特別支援教育に対する教員の育成について、都教育委員会の見解を求めます。
 次に、環境施策について質問します。
 先日、温室効果ガスを二〇三〇年までに一三年比で二六%削減するという政府原案が公表されました。エネルギーの大消費地である東京都としても、CO2削減や省エネルギー対策、再生可能エネルギーの導入拡大や水素エネルギーの利用促進などに率先して取り組んでいく必要があります。
 東日本大震災の直後は、電力不足危機、それに伴う計画停電などもあり、都民の節電の意識は大変高くなりましたが、民間の調査によると、四人に三人が家庭の節電意識の薄れを感じているとの結果が明らかにされております。
 また、震災直後には原子力発電所が停止し、現在、老朽化設備も含めて火力発電所がフル稼働しております。このため、電気のCO2排出係数が悪化しており、エネルギー消費量は二〇〇〇年比で二〇一二年は一六%減にもかかわらず、CO2は一二%ふえており、地球温暖化は加速しております。
 エネルギー消費量については、本年一月に、二〇三〇年までに二〇〇〇年比三〇%削減を決めましたが、温室効果ガスについても、都として改めて新たな目標を策定すべきであります。
 本定例会の知事の所信表明で、環境基本計画の見直しに着手するとありましたが、オリンピック・パラリンピックの開催都市として、世界のモデルとなる気候変動対策と、世界的に増大する資源消費の問題に積極的に取り組む施策を盛り込んだ計画とすべきであります。知事の見解を求めます。
 また、家庭の省エネルギー対策については、省エネに対する正しい理解を広め、都民にわかりやすい具体的な対策を示しながら、家庭の省エネ、節電を一層推進していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、再生可能エネルギーの導入拡大についてであります。
 中でも、東京の特性を生かした再生可能エネルギーである地中熱の導入拡大に向けては、地中からとれる熱量をわかりやすく示す地中熱ポテンシャルマップの作成など、具体的な取り組みを評価いたします。
 そこで、全国的に見て地中熱利用のポテンシャルの高い東京での利用拡大を図るべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、水素エネルギーの利用促進についてであります。
 低炭素社会の構築には、東京都が水素社会の実現を先導していくことが重要であります。水素エネルギーの普及に当たっては、都が昨年度策定した戦略目標の達成に向けて、官民一体となって、需要面から普及に取り組む必要があります。
 水素社会を目指す都として、まずは隗より始めよで、都の庁有車への燃料電池車のさらなる拡大、また、都営バスへの燃料電池バスの導入を進めるべきであります。また、都庁周辺に水素ステーションを早期に設置するなど、都民が水素社会の到来を実感できる取り組みを進めるべきであります。見解を求めます。
 また、燃料電池車の初期需要の創出のために、区市町村が燃料電池車を導入することも効果的であり、その供給インフラとなる水素ステーションの整備や普及啓発などでも、区市町村との連携が重要と考えます。都の見解を求めます。
 最後に、新銀行東京について質問します。
 新銀行東京は、貸し渋りに苦しむ中小企業を支援するため、平成十六年に都が一千億円を出資して設立した銀行であります。
 しかし、その後、経営が悪化し、今から七年前、多額の累積赤字を抱えるに至りました。
 もし新銀行東京を破綻処理させる選択をとると、赤字や債務超過の五千六百社を超える中小企業の倒産が余儀なくされることが判明し、都民に与えるマイナスの影響ははかり知れず、公明党は四百億円の追加出資による事業継続の道を選択しました。
 その後、新銀行東京は、再建計画に基づき、新たな経営陣のもとで堅実な経営に徹し、着実に再建に取り組んできました。その結果、平成二十六年度決算では、十五億円以上の当期純利益を計上するとともに、一時は二七%以上に上った不良債権比率も四・三一%まで低下しており、これは経営再建が大幅に進んだことを示しているといえます。
 公明党はかねてから、新銀行東京の経営状況の推移や将来的な経済状況を見据えた上で、他銀行との提携や事業譲渡等によって四百億円を保全、回収すべきであると主張してまいりました。
 そのような中、先般、新銀行東京が東京TYフィナンシャルグループとの間で経営統合に向けた基本合意に至ったとの発表があり、今後、経営統合に向けた協議を進めていくとのことであります。都民の皆様の理解や経営再建に向けた地道な努力があったからこそ、こうしたステップへ進んできたものと考えますが、まず、この経営統合について、都の見解を求めます。
 また、繰り返しになりますが、都議会の付帯決議を十分に踏まえて、重要なことは、追加出資した四百億円を絶対に毀損させてはならないということであります。
 都の所見を求め、都議会公明党を代表しての質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) まつば多美子議員の代表質問にお答えいたします。
 審議会等における女性委員の登用でございますが、昨年来、国際シンポジウムや知事賞贈呈など、さまざまな場で、新たな製品や市場を創造した企業の経営者等と議論を重ね、日本の社会が発展を続けていくには、女性の感性や能力を生かすことが不可欠であると改めて認識をいたしました。
 都の政策形成の場であります審議会等についても、幅広く多様な視点と知見を得るために、より多くの女性が参画することが必要でございます。
 私が知事に就任するまで、都の審議会等における女性委員の任用率は、十五年もの間、低迷しておりました。このため、昨年度、学識経験者を中心とした女性委員の任用促進に取り組む中で、企業や団体と女性人材のマッチングを行っている民間事業者と初めて協定を結びまして、行政の世界とはなじみのない人材の推薦を受けるなど、任用率の向上に努めてまいりました。
 本年四月時点では、新たに九十名を超える女性委員が誕生し、任用率も約二七%となる見込みであります。今後とも、二十八年度末三五%の目標達成に向けて、女性委員の任用に全力で取り組んでまいります。
 あわせまして、年内策定予定の東京都女性活躍推進白書でも、都の政策形成過程での女性の参画促進につきまして、取り組み方針を示してまいります。
 続きまして、都の主体性を発揮した取り組みについてでありますけれども、オリンピック・パラリンピックは、開催都市の社会や文化に大きな変革をもたらします。
 都は、二〇二〇年大会後の東京の姿を見据えて積極的な提言を行うなど、開催都市としてのリーダーシップを十分に発揮し、大会開催に向けた取り組みを主体的に推進してまいります。
 まず、大会後の東京、そして日本に確かなレガシーを残してまいります。後利用を踏まえた新規施設の着実な整備に加え、文化プログラムの展開やおもてなしの精神などを、都民、国民共通の財産として次の世代に継承してまいります。
 次に、東京が世界に誇る治安のもとで安全・安心な大会を実現するため、テロや災害、感染症等への万全なリスク対策を実施してまいります。
 パラリンピック開催に向けましては、都が率先して障害者スポーツ普及啓発に取り組みます。また、ハード、ソフト両面のバリアフリー化を推進するとともに、心のバリアフリーを日本中に浸透させ、人々の意識に変革をもたらしてまいります。
 さらに、被災地の復興に向けた姿を世界に発信するとともに、スポーツの力で被災地を元気づけ、大会開催を通じた復興支援を推進してまいります。
 オリンピック・パラリンピックには、都市のみならず、国をも大きく飛躍させる力があります。都は、先進的な取り組みを積み重ねるとともに、組織委員会、国、全国の自治体等との連携を一層強化し、東京、さらには日本が躍進を遂げる姿を世界に発信してまいります。
 新国立競技場の整備についてでございますが、国や都、スポーツ界など各界が一致協力して、それぞれの役割を果たすことは、二〇二〇年大会の成功に向けて必須のことでございます。
 今般、文部科学大臣から、新国立競技場の整備費用につきまして負担の要請がございました。その際、不明でありました工期や総工事費、都民が納得する都負担の根拠など、全体像を明らかにするように求めたところでございます。これは、都に負担を求める以上、国は説明責任をしっかりと果たすため、まず前提となる情報を提供する必要があると考えたからでございます。
 最も重要なことは、オールジャパンで予定の期限までに新国立競技場を完成させ、二〇二〇年大会を成功に導くことであります。
 都としては、早期の課題解決を図るため、国からの情報を踏まえ、迅速な検討を行ってまいります。都議会のご審議をいただきながら、開催都市としての責任を果たすため、できる限りの協力をしていく所存でございます。
 続きまして、多文化共生社会の推進に向けた今後の取り組みについてでございますが、東京が世界の中で、今後とも成熟都市として発展し続けていくためには、外国人も含めた多様な人材が活躍できる社会の実現が必要であります。
 欧州の先進的な都市では、移住者や少数者によってもたらされる文化的多様性を、むしろ好機と捉えまして、都市に活力をもたらし、成長の源泉とする新しい考え方を都市政策に取り込んでおります。
 東京におきましても、オリンピック・パラリンピック大会を契機に、民族や人種などの違いによる多様な価値観を受け入れ、全ての人が東京の一員として参加できる多文化共生社会の実現を目指してまいります。
 そのために必要となる基本的な考え方や施策の方向性を示した指針を、年内を目途に策定いたします。指針の策定に当たりましては、これまで取り組んできました多言語による情報提供や、居住、教育、医療等の生活支援の充実を図ってまいります。
 さらに、在住外国人の多国籍化や高度人材、留学生の増加による人材の多様化といった東京の現状を踏まえ、東京で暮らすさまざまな外国人が住みやすく、活躍できる新たな施策について検討してまいります。
 環境基本計画の改定についてでございますが、世界的規模で発生しております気候変動や資源制約などの問題を次の世代に回すことなく、今を生きる我々の世代が解決への道筋をつけていかなければなりません。
 こうした考え方のもと、長期ビジョンで掲げました環境分野の目標や政策をさらに発展させ、体系化した施策として、今年度、新たな基本計画を策定してまいります。
 気候変動対策といたしましては、水素エネルギー、再生可能エネルギーの利用拡大などに関して具体化を図るとともに、新たに意欲的なCO2の削減目標を打ち出してまいります。
 また、資源循環につきましては、持続可能な資源利用への取り組みを盛り込んでまいります。
 同時に、資源ロスの削減やエコマテリアルの利用促進などに取り組むために、東京都廃棄物処理計画を環境基本計画にあわせて改定する予定でございます。
 これらの計画をもとに、快適な環境と持続的発展を両立させる世界一の環境先進都市東京を目指しまして、戦略的、体系的に施策を展開してまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、特別支援学校での障害者スポーツについてでありますが、二〇二〇年のパラリンピックを契機として、より多くの児童生徒が障害者スポーツに親しむようになるためには、さまざまな障害者スポーツを取り入れた体育活動の充実を図ることが重要であります。
 現在、全ての特別支援学校では、障害の種類や程度に応じて、ゴールボールやハンドサッカーなど、児童生徒が取り組みやすい競技種目を中心に指導しております。
 都教育委員会は、障害者スポーツのさらなる振興を図るために、今年度初めて十校をスポーツ教育推進校に指定し、これまでの競技種目に加え、ブラインドサッカーやボッチャなど、学校での指導事例が少ない種目についても、指導内容や方法に関する研究を行い、その成果を全ての特別支援学校に普及してまいります。
 次に、特別支援学校へのパラリンピアン等の派遣についてでありますが、都立特別支援学校において競技能力の高い生徒の育成を図るためには、第一線で活躍するパラリンピアン等のトップアスリートから、競技技術や姿勢を直接学ぶことが重要であります。
 都教育委員会は、今年度、部活動等が盛んで競技能力の高い生徒が在籍する四校を指定して、パラリンピアン等を派遣し、生徒が専門的な技術や練習方法とともに、競技をする上での心構えを学べる機会を設けてまいります。
 さらに、パラリンピアン等からの、かけがえのない学びを実践で生かせるよう、対外試合等への参加を支援することで、生徒の競技能力や目標を実現しようとする意識を高めてまいります。
 次に、がん教育についてでありますが、子供たちが生涯を通じ、みずからの健康を適切に管理し、改善していく能力を育成することは重要であります。
 都教育委員会では、学習指導要領及び東京都がん対策推進計画に基づき、各学校で児童生徒の発達段階に応じ、がん予防のための健康教育を実施しております。
 国は、現在、がん教育の在り方に関する検討会を設置し、学習指導要領の改訂を視野に入れて、がん教育の基本的方針、必要な教材の開発、外部人材の活用等について検討を進め、平成二十九年度以降の全国実施を目指しています。
 その動向を把握していくとともに、都教育委員会においても、医療機関、医療関係者等の意見も聞きながら、東京の地域性を踏まえ、実施方法等を検討してまいります。
 次に、他者と議論し、作品を評価する取り組みについてでありますが、高等学校学習指導要領では、国語科の指導内容として、さまざまな文章を読み比べ、内容や表現の仕方について感想を述べたり批評したりすることの重要性が示されており、各学校では、こうした指導を通して、生徒の論理的思考力や表現力を育んでいます。
 お話の高校生直木賞は、みずからが評価基準を定め、複数の作品を読み比べ、内容等を批評し合う活動であり、このような取り組みは、思考力を養うとともに、主体的、協働的な態度や、合意形成を図る力を育む効果があると考えられます。
 今後、都教育委員会は、このような読書活動にかかわる取り組みを学校や教育研究団体等に紹介するなどして、生徒が思考力や判断力、表現力等、多様な力を身につける教育を推進してまいります。
 次に、さまざまな外部人材と連携した取り組みについてでありますが、子供の健全育成に関する問題の背景や要因は複雑な場合が多く、学校はその問題の解決のために、教職員が組織的に取り組むことに加えて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど多様な人材と連携することが必要であります。
 例えば、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーのそれぞれの専門性を生かして、子供とその家庭への支援を行ったことにより、不登校が解決するなどの成果を上げている学校も多くございます。
 今後、都教育委員会は、こうしたすぐれた事例をまとめた資料の配布や、区市町村の担当者を対象とした連絡会の開催を通して、多様な人材による支援の成果の共有化を図り、子供の健全育成を行う上での問題解決にさらに取り組んでまいります。
 次に、都立高校における発達障害教育についてでありますが、現在、都立高校には、障害の状態や入学前に受けた特別な指導、支援の状況が異なる発達障害の生徒が在籍しており、今後は、それぞれの生徒に応じた適切な指導、支援を行う体制を強化していく必要がございます。
 そのため、都教育委員会は、本年度策定する、仮称でございますが、東京都発達障害教育推進計画の中に、小中学校、高校の各段階に応じて、発達障害の児童生徒一人一人がその能力を最大限伸ばすことができるよう、必要な施策を盛り込むことを検討しております。
 本計画に、都立高校における指導体制の整備や指導内容の充実について示すことにより、発達障害の中学生や保護者が安心して進路を選択できるとともに、入学後も必要な指導、支援が受けられるようにしてまいります。
 最後に、特別支援教育に対する教員の育成についてでありますが、全ての都立高校においては、特別支援教育コーディネーターとして指名した教員が特別支援教育に関する校内委員会を運営するなど、体制の整備を図っており、今後は一層、特別支援教育への教員の理解を深め、専門性を向上させることが重要であります。
 そのため、教員の職層や役割などに応じて、発達障害についての理解や実践につながる研修を充実していくとともに、センター的機能を有する特別支援学校の教員がその経験やノウハウを高校の教員に伝えるなどして、発達障害教育の充実を図ってまいります。
 さらに、心理学等の専門家から、教員が助言を受ける実践的な研究を行うなど、都立高校の教員全体の発達障害に関する理解の促進や専門性の向上を目指してまいります。
〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、河川事業における高潮対策についてでございますが、高潮から都民の命と暮らしを守るためには、ハード、ソフトの両面から取り組みを推進することが重要でございます。
 都はこれまでに、日本最大の被害をもたらした伊勢湾台風級の高潮に対する防潮堤等の整備をほぼ完了させる一方で、現在は、最大級の地震に対する耐震対策を実施しており、平成三十一年度までに完了させます。
 こうした中で、本年五月の水防法の改正により、洪水や高潮などに対するソフト対策が強化されました。この改正では、住民の避難体制を確保し、被害の軽減を図るため、都道府県ごとに想定し得る最大規模の高潮に対して、浸水想定区域の指定等を行うこととしております。
 このため、都は、河川への遡上も考慮しながら、今後国が策定するガイドラインに基づき、関係機関と連携して必要な対策を進めてまいります。
 次に、中小河川整備の一層の推進についてでございますが、都内で増加している局地的かつ短時間の集中豪雨等に対処するためには、護岸整備に加えて、ピーク時の洪水を貯留する調節池を設置していくことが効果的でございます。
 このため、都は、新たな目標整備水準の達成に向け、道路や公園等を活用して調節池の整備を加速させてまいります。
 具体的には、浸水被害のあった神田川など五流域を優先し、新たに仮称環七地下広域調節池など五施設について、平成二十八年度の工事着工を目指してまいります。
 今後十年で、今年度末取水開始予定の善福寺川調節池など十三施設を完成させ、都内の貯留量を約一・七倍に拡大するとともに、調節池の設置により、下流側の安全性を考慮した上で、上流に向けた護岸整備を積極的に展開してまいります。
 今後とも、東京を災害に負けない都市とするため、全力で取り組んでまいります。
〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、女性の活躍推進に向けたシンポジウムについてでありますが、八月末に開催予定の女性が輝くまち・東京シンポジウムでは、政府主催の国際シンポジウムと連携して、海外から女性の登用促進に実績を上げてきた経営のトップを招いて、基調講演を実施いたします。
 また、東京は、女性の活躍や働き方の見直しに成果に上げている企業や子育て支援など社会的課題の解決に取り組むNPO等が多数集積するなど、高いポテンシャルを有していることから、シンポジウムでは、この東京の潜在力を十分に発揮していくために、行政、企業、地域社会が果たすべき役割について、国内外の先駆者が議論を交わしてまいります。
 年内策定予定の東京都女性活躍推進白書では、このシンポジウムの成果も踏まえた取り組みの方向性を提案し、東京から国内外に広く発信をしてまいります。
 次に、文化の発信と海外との連携の促進についてでありますが、東京文化ビジョンでは、世界的な展覧会の開催や若手芸術家の海外進出支援など、海外と連携が必要なプロジェクトを掲げており、その実現には、世界に幅広く東京の文化政策を発信し、理解を促していく必要がございます。
 そこで、先般作成をいたしました文化ビジョン英語版を活用し、在外公館や姉妹友好都市、メディア等に対して効果的にPRを展開し、SNSなどによる発信も行ってまいります。
 また、世界の文化関係者が集まる国際会議でプレゼンテーションを行うとともに、都立文化施設が持つ海外とのネットワークを活用し、海外の主要な美術館の主任学芸員等への説明も行ってまいります。
 これらの取り組みを通じまして、世界の多くの芸術家が東京を訪れ、ともに創造活動を行う環境づくりにつなげてまいります。
 最後に、多文化共生の基本方針についてでございます。
 現在、東京では、区市町村や地域の国際交流協会、NPOなど多様な担い手により、在住外国人支援が行われております。
 多文化共生を推進するための指針の策定に当たりましては、こうした支援の担い手や学識経験者などから構成する検討会を来月にも立ち上げ、幅広い視点からの検討を進めてまいります。
 あわせまして、外国人支援を実施している団体等からのヒアリングを行い、現場における多様なニーズや支援に関する課題を整理し、これを踏まえて指針を取りまとめてまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、ワークライフバランスの推進についてでございますが、活力ある東京を実現するためには、男女を問わず、仕事と生活を両立できる環境を整備し、これまでの働き方を大胆に見直していくことが重要でございます。
 このため、都は、ワークライフバランスフェスタで中小企業のすぐれた取り組みを紹介するなど、社会的機運を高めるとともに、職場環境整備のための支援を行ってまいりました。
 先月には公労使会議におきまして、働き方改革に関する共同宣言を行い、今後、国や関係団体との連携を密にし、長時間労働の削減や休み方の見直しなど、さまざまな事例の紹介を通じ、さらなる機運醸成に努めてまいります。
 これに加え、今年度、新たな両立支援策として、従業員に家事サービスの利用を促すモデル企業を選定し助成を行う事業を開始いたします。
 こうした取り組みを通じまして、働き方の改革を大きな流れとし、ワークライフバランスの一層の推進を図ってまいります。
 次に、新銀行東京の経営統合についてでございますが、新銀行東京は、厳しい経営環境のもとで資金調達に苦しむ中小企業を支援するという目的を持って設立をされました。
 一時は深刻な経営状況にございましたが、都議会の議決をいただいて四百億円の追加出資を受けたことにより、当時、赤字や債務超過の企業の多くが事業を継続することができました。その後、新銀行東京は堅実な経営を徹底し、六期連続の黒字を計上するなど、安定的な黒字体質への転換が図られました。
 これは、寺井宏隆前社長を初めとする経営陣と行員の努力が実を結んだものでございまして、新銀行東京は、地域のお客様のニーズに的確に応え、中小企業向け与信残高を五年連続で増加させ、与信先の企業数も増加に転じるなど、中小企業支援に積極的に取り組んでおります。
 一方、東京都民銀行と八千代銀行を傘下に有する東京TYフィナンシャルグループは、地方公共団体との連携強化を通じた中小企業の支援、育成を経営計画に位置づけ、取り組みを強化しております。
 新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループの両者は、ともに中小企業向け融資や経営相談等を通じて都内中小企業の支援に注力をしている金融機関であり、基本合意では、経営統合による相乗効果も期待できることから、本経営統合に向けて協議、検討を開始したとしております。
 都としては、このたびの経営統合により、この新銀行東京の設立理念が継承されていくことは、中小企業のより一層の振興に結びついていくものと考えております。
 最後に、新銀行東京に追加出資した四百億円についてでございますが、平成二十年の追加出資に係る付帯決議においては、この追加出資が預金者や融資先中小企業の保護のためにやむを得ざるものと判断したものであり、今回限りの措置であること、新銀行東京が四百億円の資本を毀損することのないよう、都は適切な監視に努めることなどとされており、都としては、この付帯決議の重さを十分に認識をしております。
 したがいまして、今後、最終合意に向けた協議が進められるに当たっても、当然に追加出資した四百億円の確保が前提となるものでございます。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、二〇二〇年大会における大会施設等のバリアフリー化の基準についてでございますが、史上最高のパラリンピック大会を実現するために、大会施設等のバリアフリー化は極めて重要であり、その整備基準は利用者の立場に立ったものでなければなりません。
 そのため、基準策定に向けて設けたアクセシビリティ協議会では、障害者スポーツにかかわる団体をメンバーとするほか、二十もの障害者団体等の意見、要望を伺う場を設けております。
 また、施設管理者や公共交通事業者にも基準の策定に参画いただいておりまして、今後さらに業界団体の協力も得て検討を進めていくことで、着実に活用される実効性の高い基準としてまいります。
 このように、各方面の関係者が認識を共有しながら、バリアフリー化の取り組みを一層加速させてまいります。
 次に、二〇二〇年大会における災害時の外国人対応についてでございますが、大会開催に当たり、東京を訪れる全ての人の安全・安心を確保することは開催都市東京の責務であり、さまざまなリスクを一元的に捉えて危機管理を検討することが肝要でございます。
 今後の取り組みにおきましては、外国人対応がとりわけ重要であり、知事直轄のレガシー委員会に設置する安全・安心部会におきまして、言語、情報、人的支援などの各視点から、大会前、大会中を通した危機管理の検討を行ってまいります。
 具体的には、現在、交通機関の非常時案内や宿泊施設の避難経路など、利用者の立場に立った多言語化を進めております。
 今後は、災害時の多言語による情報発信や外国人にもわかりやすい表示の一層の工夫、さらにはボランティアによる避難誘導の仕組みづくりなどに取り組み、外国人の安全・安心を確保するために全力を尽くしてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、災害拠点病院の対応能力の強化についてでありますが、災害拠点病院が、災害時において医療機能を維持し、傷病者の治療を継続するためには、医薬品や食料等の備蓄を行いますとともに、ライフラインや要員の確保等についてBCPを策定するなど、平時から災害への備えを整えておくことが重要でございます。
 このため、都は、災害拠点病院に対し、応急用医薬品や資器材の備蓄に対する財政支援を行いますとともに、BCP策定に向けて、手順や記載項目を明示したガイドラインを配布し、その策定を促しております。
 現在は、主に大規模地震の発生を想定したものとなっておりますが、今後、浸水被害などさまざまな事態にも対応できるよう、防災訓練の説明会や地域災害医療連携会議などの場を通じて、BCPの策定を働きかけてまいります。
 次に、災害医療の体制強化についてでありますが、災害発生時の医療を確保するためには、限られた医療資源を効率的、効果的に運用する必要がございます。
 このため、被災現場で区市町村が設置する緊急医療救護所では、軽症者への応急処置等とともに傷病者のトリアージを行うこととなっており、都は、救護所と円滑に連携して重症者の医療を担う災害拠点病院や、中等症者を受け入れる災害拠点連携病院をあらかじめ指定しております。
 また、都は、災害医療コーディネーターを任命し、被害や医療資源の状況に関する情報を集約して、二十五病院、約千名の隊員を有する東京DMATの派遣や医薬品等の医療機関への配分等について調整を行うこととしております。
 今後、区市町村や関係機関との連携を一層強化し、災害医療の充実に取り組んでまいります。
 次に、動物を通じ命の大切さを学ぶ機会についてでありますが、動物愛護の精神を養うためには、子供のころから動物に親しみ、命の大切さを体感することが重要でございます。
 そのため、都は現在、小学校で動物教室を開催し、散歩や触れ合いを通して、動物が生きていることや動物がそばにいることの楽しさを実感してもらっております。
 今年度は新たに、動物愛護相談センターにおいて、犬や猫の飼育を希望する親子等を対象に、動物と触れ合い、接し方を学ぶサマースクールを実施いたします。
 また、より多くの都民に命の大切さを理解してもらい保護動物の譲渡を進めるため、都やボランティア団体の譲渡活動を紹介するイベントも都立公園や動物園の場で実施することとしておりまして、今後とも、関係団体等と連携しながら、動物愛護の取り組みを積極的に進めてまいります。
 最後に、高齢社会における動物との共生についてでありますが、高齢者がペットとできる限り長く暮らすことができるようにするためには、適正飼養の普及啓発を図るとともに、高齢者からのさまざまな相談に適切に対応していくことが重要でございます。
 そのため現在、都では、動物愛護相談センターで高齢者からの相談を受けるほか、地域での相談に動物愛護推進員が的確に応じられるよう講習会を開催しております。
 また、今年度作成するパンフレットには、散歩の代行など高齢者とペットとの暮らしを支援する民間サービスや、動物愛護推進員の活動事例などを盛り込み、区市町村の福祉部門などを通じて高齢者に配布することとしております。
 今後とも、高齢社会における人と動物との共生を目指し、動物愛護の取り組みを一層推進してまいります。
〔病院経営本部長醍醐勇司君登壇〕

○病院経営本部長(醍醐勇司君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、墨東病院及び東部地域病院の水害対策についてでございますが、両病院は、大雨などに伴う浸水が予想される区域における災害拠点病院といたしまして、水害発生時にも診療機能を維持することが重要であります。
 このため、各病院とも浸水を防ぐ防潮板を設置しているところでございますが、特に地域災害拠点中核病院である墨東病院は、昨年八月の新館開設に際しまして、大規模水害時を想定し、屋上に新たな非常用発電機を設置するなど、対策を強化しているところでございます。今後は、東部地域病院におきましても、改修の機会などを捉えまして、水害への備えを充実してまいります。
 また、水害が長期化した際には、関係機関との連携による医療圏を超えた患者の広域搬送を行うなど、ハード、ソフト両面から対策を推進し、災害拠点病院としての使命を果たしてまいります。
 次に、がん教育における駒込病院の役割についてでございます。
 がんについての科学的根拠に基づく正しい知識を身につけることは、がん治療や、がん患者に対する理解を深めるために非常に重要でございます。
 都道府県がん診療連携拠点病院であります駒込病院は、質の高いがん医療を提供するとともに、地域住民を対象に、がんの予防、早期発見、治療法や、最新の放射線治療をテーマとした公開講座を開催するなど、予防や医療に関する普及啓発にも、これまで取り組んでまいりました。
 今後は、これらの実績を生かし、若い世代にがんに関する正しい知識を伝えるため、関係機関と連携を図りながら、都におけるがん専門病院としての役割を積極的に果たしてまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 防災対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、防災ブックの視覚障害者や外国人に向けた対応についてでございます。防災ブックは、各家庭における防災への意識を高め、災害に対する備えを万全のものとするために、都内の全世帯を対象として配布することとしており、全ての都民が等しくその情報を享受できることが重要でございます。
 このため、視覚障害者や外国人など誰もが防災ブックを活用していただけるよう、音声で内容を確認できる音声コードの添付や、英語版の作成など、対応策の検討を進めております。
 今後、広く都民に防災ブックの意義を伝えるため、広報活動を積極的に展開し、活用を促進してまいります。
 次に、オフロードバイクの導入、活用についてでございます。首都直下地震等大規模災害発生時には、道路が倒壊建物等で閉塞するなどの被害がある中で、オフロードバイクは、都有施設の被害状況などを把握するために有効な場合もあると想定されますが、そのためには、相当な訓練を行い技術を習得する必要がございます。
 都はこれまでに、発災時に被害状況調査を行うことが想定される関係局による検討会で、オフロードバイクの導入に向けた課題などについて協議を行ってまいりました。
 あわせて、本年九月一日の総合防災訓練の機会に、災害現場を再現した走路を設け、オフロードバイクの利用に向けた検証を行うことを予定しております。
 今後とも、本訓練での検証結果を踏まえつつ、各局と連携して災害時の活用の可能性について検討してまいります。
〔下水道局長松田芳和君登壇〕

○下水道局長(松田芳和君) 下水道事業におけるエネルギー危機管理対応についてでございますが、ご指摘のように、東日本大震災時に発電燃料の調達に苦慮した経験を踏まえ、非常用発電機の導入とともに、その燃料の確保についても多重の安全策をとることが重要でございます。
 そのため、全ての水再生センター間で燃料を相互融通できるよう、輸送手段確保の早期実現に向け関係団体と協議を現在進めております。
 さらに、通常の燃料である灯油のほか、都市ガスにも対応できるデュアルフュエル型の非常用発電機を採用いたしまして、燃料を多様化する取り組みも進めております。今年度中に第一号機を中川水再生センターへ導入し、設備の再構築に合わせて順次拡大していく予定でございます。
 今後とも、いかなるときにおいても下水道機能を維持できるよう、下水道事業におけるエネルギー危機管理対応の取り組みを強化してまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 四点のご質問についてお答えいたします。
 まず、家庭の省エネ対策についてでございます。
 長期ビジョンで掲げた省エネ目標の達成に向けては、都内エネルギー消費の約三割を占める家庭部門のエネルギー利用効率を高めていく必要がございます。
 これまで、省エネアドバイザー制度などにより、どの家庭でも実践できる対策を促してまいりましたが、今後は単身世帯の増加などの変化を踏まえ、世帯特性に応じたきめ細かなアドバイスを実施していくことが重要となります。
 このため、アドバイザーが活用するパンフレットに、世帯人数別の標準的なエネルギー消費量や、省エネが進んでいる家庭での取り組み内容を盛り込む等により省エネ意識を高め、具体的な実践行動につなげてまいります。
 今後とも、都民、事業者の協力を得て、無理のない賢い省エネ、節電に継続的に取り組んでまいります。
 次に、地中熱の推進についてでございます。
 地中熱の利用は、CO2削減に貢献するだけでなく、ヒートアイランド現象の緩和にも寄与するとされており、都が建設中の武蔵野の森総合スポーツ施設や民間の大規模商業施設などで導入が進められております。
 今年度は、都民、事業者の認知度の向上を図るため、おおむね二百五十メートルから五百メートルの区画で採熱量の目安をわかりやすく示す地中熱ポテンシャルマップを作成いたします。
 また、設計段階での導入検討にも活用できるよう、地質情報などのデータもあわせて示してまいります。
 さらに、八月には、事業者等に向け、新たに開始する地中熱の導入補助に関する説明会を開催する予定でございます。
 こうした取り組みを通じて、都内における地中熱利用のさらなる普及拡大を図ってまいります。
 次に、水素社会の到来を実感できる取り組みについてでございますが、水素エネルギーの普及に向けて、都みずからが率先してこれを利活用することは重要でございます。
 都は、燃料電池自動車の庁有車への率先導入を進めており、来月早々には新たに二台が納車される予定でございます。
 また、燃料電池バスの導入については、来月下旬に都バスでの実証実験を行うなどして、戦略目標の達成を目指してまいります。
 あわせて、今後、新宿地区などに、多くの都民が集まる場所で水素ステーションに適した用地を調査してまいります。
 こうした取り組みにより、都民が水素エネルギーに触れる機会をふやし、水素の利活用を実感できる取り組みを進めてまいります。
 最後に、水素社会の実現に向けた区市町村との連携についてでございますが、燃料電池自動車の普及初期における需要創出には、公的機関が率先して導入を進めることが効果的でございます。
 そのため、都は、区市町村が燃料電池自動車を導入する場合、ハイブリッド車と同程度の価格で購入できるよう、国と同額の約二百万円の補助を行うこととしており、今月中に受け付けを開始いたします。
 この補助では、区市町村所有の用地を水素ステーション事業者へ提供することや、水素エネルギーの普及に向けた独自の取り組みや民間への支援策を計画へ明示することなどを求めており、区市町村に積極的な取り組みを促してまいります。
 今後とも、区市町村等と一層の連携を図りながら、水素社会の実現に向けて取り組んでまいります。

○議長(高島なおき君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時四十分休憩

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