平成二十七年東京都議会会議録第八号

   午後一時開議

○議長(高島なおき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(高島なおき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(高島なおき君) これより質問に入ります。
 百十一番林田武君。
〔百十一番林田武君登壇〕

○百十一番(林田武君) 平成二十七年第二回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 我が国は今、国民の安全・安心を初めとして、内外の大きな課題に直面しております。
 先般、小笠原諸島近海で発生したマグニチュード八・一の地震、全国的に頻発する火山活動や集中豪雨などの自然災害、また激変する国際環境の中での平和安全法制の整備、日本年金機構の年金情報流出問題に象徴されるサイバー攻撃への対処など、あらゆる危機に対して政治の揺るぎない対応が求められております。
 東京都においては、世界で一番の都市を目指し、安全・安心はもとより、昨年暮れに策定された東京都長期ビジョンの各項目を着実に実現していくことが求められております。
 中でも、知事が選挙公約の筆頭に掲げた史上最高のオリンピック・パラリンピックの実現は、現下都政の最大の課題といっても過言ではなく、東京全体、日本全体でこのイベントを成功に導かなければなりません。
 しかしながら、ここへ来て新国立競技場問題の混乱が東京五輪の行く手に暗い影を落としております。
 知事は、去る五月十八日、下村文科大臣と本問題を協議するトップ会談に臨みましたが、解決に至る前向きな協議にはなりませんでした。さらに、その後、ご自身のブログその他で本問題にたびたび触れ、今定例会初日の所信表明演説でも、時間は限られておりますが、政府がしっかりと対応するのであれば、東京都としても、できる限りの協力をしていきたいと考えておりますと、条件をつけての協力を表明されました。この感覚には違和感を覚えます。
 知事、二〇一六年リオ五輪の閉会式で、次の開催都市として五輪旗の引き渡しを受けるのは一体誰なのでしょうか。開催都市の知事としての自覚と決意を伺います。
 開会式、閉会式等が新国立競技場で行われることは決定事項であり、国は閣議決定をして東京五輪を応援しています。都政の役割は、国との対立構図を演出することではなく、オリンピック・パラリンピックを成功させることです。そのためには、国と都の役割分担が当然発生すると考えます。
 知事は、東京五輪における国と都の適切な役割分担をどのようにお考えなのでしょうか。
 そして、新国立競技場建設問題をいつまでに、どのように収拾しようとしているのか、決意をお伺いいたします。
 新国立競技場は、あくまでも国の施設です。しかし、都も開催都市として傍観者の立場ではありません。ましてや設計、工期、費用負担等、現時点で不確定な事項に対する過剰な言及は、国との関係をこじらすばかりか、五輪やパラリンピックの明るく健康的なイメージを損ないます。
 東京五輪を成功させるためには、国と都は、信頼をもとにした協力関係でなければならず、適切な役割分担を双方合意のもとで進める関係が望まれます。国際的にも、国と都が対立しているようなニュースが喧伝されることは残念なことです。
 IOCバッハ会長が表明された本問題に対する懸念を、知事は真摯に受けとめる必要があります。東京五輪を成功させるために、より大局的な見地から国と都の関係構築を行うべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、新銀行東京について伺います。
 去る六月十二日、新銀行東京は、東京都民銀行並びに八千代銀行を傘下に持つ東京TYフィナンシャルグループとの間で、経営統合に向けた基本合意を締結いたしました。
 貸し渋りに苦しむ中小企業に資金を提供し、疲弊した東京の経済を活性化する使命を持って設立された新銀行東京は、開業間もなく深刻な経営危機に陥り、四百億円の追加出資を行う事態に至りました。その際、我が党が賛成したのは、厳しい経営環境のもとでひたむきに努力している中小企業と、そこで働く従業員や家族の生活を守るためでありました。
 追加出資を受けた新銀行東京は、新たな経営陣のもとで地道な経営改善の努力を積み重ね、六期連続の黒字を計上するなど、安定した経営が行われております。
 今後さまざまな協議を進め、最終合意に至る必要がありますが、設立以来の苦難の道のりをともに歩んできた者として、こうした統合協議に参画できるまでになったことは、まず評価したいと思います。
 同時に、経営統合の協議が進められるに当たっては、預金者や融資先中小企業の立場に立って、中小企業に対する金融支援の強化という本来の趣旨を貫かれる必要があります。
 また、追加出資の議決は、一回限りで、やむを得ざる措置として行った、まさに苦渋の決断でありました。付帯決議でも、四百億円を毀損させないことが前提であり、このことを改めて強く受けとめていただきたいと思います。
 今回の経営統合の基本合意について、設立者であり、大株主である都としてどのように認識しているのか、知事にお伺いいたします。
 次に、東京のグランドデザインについて伺います。
 二〇二〇年の東京五輪は、東京を世界にアピールできる絶好の機会ですが、重要なことは、二〇二〇年は通過点であり、その十年先、二十年先の東京もしっかりと見据え、世界第一の成熟都市として次世代に継承していくことです。
 こうした中、知事は、さきの所信表明で、都市づくりのグランドデザインの策定に加え、東京のあるべき将来像を幅広く検討し、東京のグランドデザインとしてまとめていく旨を表明されました。
 我が党は、さきの第一回定例会において、後藤新平の帝都復興計画を例に挙げながら都市計画の重要性に触れ、都市づくりのグランドデザインをしっかりと策定していくことを求めたところです。
 また、今後、本格的な少子高齢、人口減少社会が到来する中、都民の不安を振り払うためにも、グランドデザインは、今考えつく限りの理想の都市像を描く必要があるとも指摘したところであります。今回の知事の表明は、我が党の指摘にも沿っていたものと考えます。
 そこで、二〇四〇年代の東京をどのように描こうとしているのか、東京のグランドデザイン策定に向けた知事の所見を伺います。
 次に、行財政運営について伺います。
 まず、地方税財政制度について伺います。
 現在、国は、二〇二〇年度の国、地方のプライマリーバランス黒字化を目指し、財政健全化に向けた議論を進めており、今後の議論のベースとなる骨太の方針や財政健全化計画が今月末に策定される見込みであります。
 こうした中で、財務省の審議会では、国の財政健全化の一環として、地方財政の歳出を抑制することが重要との意見が示されており、地方交付税の削減にも言及しております。行政サービスの財源を交付税に大きく頼る交付団体にとって、交付税の削減が行われれば、その財政運営に支障を来しかねません。
 そうなれば、平成二十年度に暫定措置が導入された際と同様に、都市の税収が標的となり、自治体の財源不足という問題が、都市と地方との対立問題へとすりかえられ、都から財源を奪う動きが再燃する可能性があります。
 現に、経済財政諮問会議の場では、自治体の税源の偏在を是正するとして、本年末までに抜本的な改正案をまとめ、平成二十九年度から実施すべきという意見が明確に出されております。
 そこで、国の財政健全化をめぐる議論に関して、都財政への影響を踏まえ、都の主張を展開していくことが重要だと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 現在、国は、まち・ひと・しごと創生本部を立ち上げ、二〇六〇年に一億人程度の人口確保を目標に、将来にわたって活力ある日本社会の維持に取り組んでおります。そして、都及び都内区市町村を含む全国の自治体には、地方創生のための総合戦略を今年度中に策定することが求められております。
 東京は日本の首都であり、地方、ひいては日本全体を牽引する役割を担っております。また、世界で都市間競争が激しさを増す中、国際都市としてさらなる進展を遂げる必要があります。
 一方で、国との関係でいえば、東京もまた地方の一つであり、東京と地方は互いにウイン・ウインの関係を構築していくことが重要であります。地方版総合戦略への対応に当たっては、都と都内の区市町村がこうした認識を共有し、連携しながら取り組みを進める必要があります。
 また、今後、区市町村が策定する総合戦略は、各地域の課題や特性を踏まえ、それぞれの主体性を生かしたものとすることが肝要です。
 そこで、区市町村が総合戦略を策定するに当たって今後どのように支援していくのか、都の所見を伺います。
 次に、二〇二〇年東京五輪パラリンピック競技大会について伺います。
 これまでも我が党は、レガシーの重要性について繰り返し主張してきました。都が組織委員会とともに、大会後のレガシーなどの視点から会場計画の見直しを進め、先日のIOC理事会で見直しにめどをつけたことは、大きな成果であります。
 競技施設などのハードの面はもとより、障害の有無を問わないスポーツ実施率の向上、ボランティア文化の醸成などを通じて、大会後にハード、ソフト両面で確かなレガシーを残し、東京を世界で一番の都市に押し上げていかなければなりません。
 我が党には、都民や企業の方々から、東京五輪にかかわっていきたいと熱い思いが寄せられ、大きな力を感じております。こうした声に応え、都民とともに大会をつくり上げていくために、これから大会までにどのように取り組みを進めていくのか、そしてそれによって何を残そうとしているのか、早い時期に都民にしっかりと示していただくことが必要です。
 大会まであと五年となりました。今こそ、都民とともに価値あるレガシーを残していくための大会に向けた都の取り組みを明らかにすべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 我が党は、障害者や高齢者、妊娠、子育て中の方々など、誰にも優しい東京のまちづくりを推し進めてきました。
 前回の東京大会は、パラリンピックという名称が定着する原点となりました。都は、二回目のパラリンピックに向け、施設やまちのバリアフリー化を推進するとともに、この機を捉え、人々の意識を改革し、心のバリアフリーを推し進めていく必要があります。
 そして、大会のレガシーとして、誰もが安全に快適に過ごすことができる東京を実現していくことが重要です。そのためには、まず、競技施設や公共交通等を着実に進めなければなりません。
 そこで、大会を契機としたハードのバリアフリー化推進について、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、障害者スポーツについて伺います。
 東京五輪パラリンピックを契機に、障害スポーツを飛躍的に発展させることは、我々を含め障害者スポーツにかかわる多くの人たちの切なる願いであります。
 我が党は、昨年から都内における障害者スポーツの振興を推進する東京都障害者スポーツ協会と意見交換を重ね、障害者スポーツ全体の底上げを図るには、まず、競技団体の体制を整備することが必須であるとの認識を持ちました。
 また、知事はこのたび、日本財団が立ち上げたパラリンピックサポートセンターの特別顧問に就任されました。センターでは、全国レベルの障害者競技団体の体制整備などを行うと聞いております。
 都では、東京五輪パラリンピック、そしてその先を見据え、どのように体制整備を進めていくのか、取り組みについて伺います。
 次に、セキュリティー対策について伺います。
 安全・安心なくして、東京五輪の成功はありません。二〇一二年ロンドン大会では、大会の警備に軍が参加し、国家を挙げて取り組むなど、対策の重要性が顕著になりました。東京五輪に向けたセキュリティー対策は、まさに大会準備における最重要課題の一つであります。
 大会期間中、世界各国から訪れる選手、要人、大会関係者、観客など、東京を訪れる全ての人の安全・安心を確保することは、開催都市である東京の責任であります。開催都市として、安全・安心な大会を実現するために、どのようにして主体的に治安維持、自然災害、テロなどのセキュリティー対策に取り組んでいくのか、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、国際化に向けた戦略について伺います。
 知事は、東京五輪に向けたこの五年を、東京と日本を復活させるビッグチャンスであり、ラストチャンスであると位置づけております。我が党も、この認識を共有するものであります。この絶好の機会を捉え、国内外の耳目が集まる東京から的確な情報を発信することは、世界における東京のプレゼンスを高め、グローバル都市としてのさらなる発展につながります。
 都はこれまでも、さまざまな事業を展開する中で、海外に向けた情報発信を推進してきました。最近の動きでも、東京開業ワンストップセンターの開設など、国際的に広がりがある取り組みがふえております。先般も、中小企業振興公社の初の海外拠点であるバンコク事務所開設に向けて、タイ工業省との間での覚書の締結式が行われたばかりであります。
 一方で、こうした実のある事業展開も、情報を受ける側にしっかりと伝わらなければ、単なる情報の垂れ流しに終わり、非常にもったいないことであります。都の取り組み姿勢を広く海外にアピールすべき事業については、全庁的な視点で捉え、真に各局横断的な連携のもとに、効果的に情報発信をしていくことを忘れてはなりません。
 知事の基本的認識をお伺いいたします。
 昨年、都は、東京の発展に資する施策を効果的に実現し、都民にもその利益を還元すべく、都市外交基本戦略を策定しました。そこでは、お互いの都市が学び合う体制を強化するとしております。確かにこれまで、クアラルンプールやバンコクなどの都市との間で、感染症対策に関する知見を共有したり、都市災害での救助技術を提供するなど、海外諸都市との積極的な交流を重ねてきました。
 しかし、東京五輪を成功させ、さらにその先、東京を世界で一番の都市にするには、都市外交においてもやるべきことは山ほどあります。
 今後は、我が党がかねてより主張してきたように、都民生活の向上に、より有効な施策を学ぶとともに、都の先進技術を紹介し、相手都市の市民生活の向上、さらにビジネス展開にもつなげることが重要です。姉妹友好都市やアジア大都市ネットワーク21での交流を重ねてきた都市などとの間でも、教え教えられる双方向の関係、都民生活の向上に、より実利のある新たな関係を築くことが必要です。
 今後の海外諸都市との実効性のある関係構築に向けた新たな取り組みについて伺います。
 次に、水道事業の国際展開について伺います。
 アジアの途上国は、経済発展に伴い、水不足など問題に直面しており、特に無収水率は、東京の三%程度に対し、多くの国で数十%に上ります。この無収水の削減には、インフラ整備だけでなく、人づくりも必要です。
 安倍首相も先月、国際交流会議で、日本の技術を単に持ち込むだけではなく、人を育て、しっかりとその地に根づかせる、これが日本のやり方と発言されました。まさに東京水道は、ミャンマーやインドなどアジアの途上国で、人づくりを含めた事業を進めており、かねてから我が党も後押ししてまいりました。
 そこで、このたび、節目を迎えたヤンゴンのパイロット事業における成果と、途上国における今後の国際展開について伺います。
 次に、都市政策について伺います。
 まず、神宮外苑地区のまちづくりについて伺います。
 東京五輪の競技会場は、大会後のレガシーとして都民の新たな財産となるものであり、晴海に建設される選手村も、世界一の都市東京のモデルケースとして、大会後のあるべきまちの姿を追求しながら、民間事業協力者とともに事業計画案の検討が進められていると聞いております。
 このように東京五輪の成功はもとより、その先の東京が目指すべき都市を見据えて、今からまちづくりを進めていく都の取り組みを高く評価したいと思います。
 知事は、本年四月、神宮外苑地区についても、大会後の地区再整備に向けて関係者との協議を進めると発表いたしました。この地区は、都心にありながら大規模スポーツ施設が集積する拠点であり、明治天皇のご遺徳を長く後世に伝えるために整備され、大正期の整備開始から既に九十年近くなります。
 知事は、発表に当たり、この大きな開発計画を前に進めたいと発言されましたが、実現に向けた決意についてお伺いいたします。
 次に、鉄道ネットワークの充実について伺います。
 鉄道は、活発な都市活動と豊かで快適な都民生活を支える基幹的なインフラです。今後、東京を世界で一番の都市へと発展させるためには、鉄道ネットワークをさらに充実させていき、長期的な視点に立って都市づくりに取り組んでいくことが必要です。
 昨年より国において、東京圏における今後の都市鉄道のあり方について議論されており、今年度中に次期答申が出されると聞いております。このため、都が検討してきた今後の鉄道整備の考え方について国の次期答申に反映させて、その実現を図っていくことが、東京の都市づくりを進める上で重要であると考えます。
 鉄道ネットワークの充実に向けた知事の決意をお伺いいたします。
 次に、羽田空港の機能強化について伺います。
 海外からの投資を促し、首都圏の国際競争力を向上させるとともに、アジアを初め世界の成長力を取り込み、我が国の維持可能な経済成長を果たすためには、羽田空港の機能強化は極めて重要です。
 舛添知事は、第一回定例会において、東京五輪に向けた利用者の増加やその後の航空需要に応えるためには、羽田空港の容量拡大が不可欠であり、何とか実現したいと述べられました。
 先月、国は、学識経験者で構成するアドバイザリー会議において、住民説明の進め方など、実現に向けた工程を公表しました。今後、都は、羽田空港の機能強化に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、河川事業について伺います。
 ことしも水害が心配されるシーズンを迎えました。都は、河川事業において、これまで堤防や水門、調節池、砂防施設等の整備を進め、環七地下調節池等が効果を発揮するなど、首都東京の安全性を高めてきました。
 しかし、今まで経験したことがないと表現されるような異常な豪雨が全国各地で発生しており、また、首都直下地震の発生も懸念されております。
 このような状況において、災害から都民生活や都市機能を守るために、より一層河川事業を推進することが重要と考えますが、見解を伺います。
 次に、水道水源林について伺います。
 我が党は、首都東京の貴重な水を育む多摩川上流域の水道水源林を適正に保全する重要性をこれまでも繰り返し主張してきました。この水源林は、記録によりますと、約百年前、乱伐により荒廃した山々を東京府が譲り受け、長年にわたり維持管理してきたからこそ、現在では緑豊かな森林に再生しております。
 しかし、近年、民有林の一部で荒廃が進むなど問題が発生していますが、水道局は、多摩川水源森林隊の活動や、そうした民有林の購入に取り組んでおり、森林は一度荒廃してしまうと再生に長い年月を要するため、この保全には地道な努力の積み重ねが必要です。
 そこで、将来を見据えて、今後どのように水道水源林の管理に取り組んでいくのか伺います。
 次に、文化振興について伺います。
 まず、リーディングプロジェクトについて伺います。
 本年三月に、都は、今後十年間の芸術文化振興基本指針となる東京文化ビジョンを策定しました。東京の文化が持つ独自性や多様性を踏まえて策定されたビジョンは、東京の芸術文化振興にとって大きな推進力となるものですが、東京の文化都市としての地位をより確実なものにし、発展させていくためには、世界から注目されるような大規模プロジェクトの展開や、東京の独自性の源泉ともいえる伝統文化の発信強化など、今後ますます必要となってまいります。
 二〇一六年リオ五輪終了後から二〇二〇年にかけて実施される文化プログラムにおいては、こうした事業を集中的に展開していくことで、ビジョンで掲げた世界一の文化都市東京の実現に結びついていくと考えます。
 都は、この文化プログラムの開始に先駆けて、今年度からリオ五輪が終了するまでの間、リーディングプロジェクトを実施することとしていますが、このプロジェクトを世界から注目を集めるものとし、史上最高の文化プログラムにつなげていく必要があります。知事の所見をお伺いいたします。
 また、そのためにも、世界中の人々が注目するリオ五輪の機会を捉え、現地において東京の持つ文化の多様性や独自性を効果的にアピールしていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 さらに、国内においてもさまざまな機会を効果的に活用し、外国人旅行者などの関心が高い伝統文化の魅力を発信、浸透させていくことが重要であり、スピード感を持って事業を展開していくべきです。
 都は、我が党の要望を受け、外国人向けの体験プログラムを開始したと聞いておりますが、参加した外国人の反応など、結果をどのように捉えているのか、また、今後さらに多くの外国人に参加してもらえるよう、どのように内容の充実を図っていくのか伺います。
 次に、防災対策について伺います。
 まず、木密地域のさらなる改善に向けた取り組みについて伺います。
 知事は、所信表明において、防災都市づくり推進計画について、今年度末をめどに改定することを明らかにしました。
 我が党は、災害に強い安全な東京を実現するため、木密地域の改善に向けた提言を行ってきました。その結果、地域のまちづくりの専門家の派遣制度や、建てかえの際の設計費助成等の見直しが図られてきました。
 現在、特定整備路線について、平成三十二年度の事業完了に向けた整備が進められるなど、延焼遮断帯の形成が着実に行われていますが、その内側のエリアでは、古い木造建物の建てかえがなかなか進まない状況が散見されます。推進計画の改定を機に、木密地域の改善を加速させていく必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化について伺います。
 都においては、耐震化推進条例に基づき、建物所有者へ耐震化を働きかけるなどの取り組みを進めてきました。その結果、条例の施行から三年たった現在、耐震診断が義務化されている約五千棟のうち、九割が診断に着手されたと聞いております。
 一方で、改修等の着手を含め、耐震性を有しているものは三割にとどまっているとも伺っております。今後は、診断の成果を速やかに改修や建てかえへとつなげていく必要があります。
 本年二月から開始した未診断の建築物の公表は、多くの都民の関心を集め、ひいては所有者に対しても取り組みを促す効果があるものだと期待しております。このような取り組みを積み重ねていくことで、耐震化に向けた機運を社会全体で高め、一日も早く緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を実現させていくことが必要であると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、浸水対策について伺います。
 まず、大規模地下街における浸水対策について伺います。
 東京では、地下空間の活用が高度に進んでいることから、豪雨時の浸水対策は重要です。都においてもこれまで、大規模地下街の管理者に対し浸水対策計画の策定を促し、各地下街の計画が策定されています。
 しかし、ターミナル駅周辺の地下街には、地下鉄、商業ビル等が複雑につながっており、一度浸水が発生すると、被害が広範囲に及ぶ可能性があります。このため、浸水対策においては、地下街管理者だけではなく、それぞれの施設管理者が連携した取り組みが不可欠です。
 そこで、大規模地下街の浸水対策の強化、充実に向けて、今後どのような取り組みを進めるのか伺います。
 次に、下水道の浸水対策について伺います。
 近年、時間五十ミリを超える豪雨が増加し、時間百ミリを超える豪雨もしばしば発生しております。また、昨年度も、区部でも約五百件もの浸水被害が発生しております。
 下水道局の浸水対策は、経営計画二〇一三や豪雨対策下水道緊急プランにより、従来の時間五十ミリ対策に加え、大規模地下街や甚大な浸水被害を受けた市街地を対象に、時間七十五ミリ対策へとレベルアップしていると承知しております。着実に進めてもらいたいと思います。
 一方、浸水対策施設は、大深度、大規模であるなどの理由から、整備には多大な時間や費用を要すると聞いております。時間七十五ミリ対策となれば、施設の規模もさらに大きくなると思われ、なおさらのことだと思います。
 そこで、下水道における浸水対策について、効果的に事業を進めるとともに、効果を早期に発現させる取り組みが必要であると考えますが、見解を求めます。
 次に、水道管の耐震継ぎ手化について伺います。
 さきの東日本大震災では、水道管の継ぎ手の抜け出しによる断水被害が多く発生し、復旧に長時間を要するなど、被害地の住民生活に多大な影響を生じました。
 水道局では、我が党の主張を踏まえ、管路の耐震継ぎ手化を強力に進めておりますが、水道管は地球の三分の二周にも及ぶ膨大な長さで、一朝一夕にはできません。首都直下の地震の切迫性が高まる中、減災の観点から、重要施設や被害の大きいと想定される地域を優先するなど、効果的な管路の交換をこれまで以上に進めるべきと考えます。
 そこで、今後どのように耐震継ぎ手化を進めていくのか伺います。
 次に、島しょ地域の取り組みについて伺います。
 まず、大島の復興に向けた都の取り組みについて伺います。
 大島では、現在でもなお、応急仮設住宅において不自由な生活を余儀なくされている被災者がおり、これまで以上に復興に向けた取り組みを加速していかなければなりません。加えて、本格的な梅雨に入り、改めて災害への備えを強固にしていく必要があります。
 そこでまず、復興に向けた取り組みが本格化してきたこの時期に、改めて大島の復興に向けた都の今後の取り組みについて伺います。
 また、島民の安全を確保するためには、砂防施設の整備や土砂災害警戒区域等の指定を早期に進めることが重要と考えます。また、道路の復旧も急がれておりますが、現在の土砂災害への取り組み状況について、都による町道復旧支援とあわせてお伺いいたします。
 次に、津波対策について伺います。
 伊豆・小笠原諸島は、東京から約百キロから千キロ離れた孤島であることから、自衛隊の派遣等、災害時の救急活動を行うにも時間を要することが考えられ、今のうちから人的被害等を最小限にとどめる方策を講じていくことが必要です。
 島しょでは、南海トラフなどによる地震が発生した場合、巨大な津波が短時間で襲来するとされております。この津波から人命を守る大切な施設の一つが避難タワーであり、我が党は、津波対策として避難タワーの整備を政策提言しております。昨年の予算特別委員会の答弁では、大島や新島などの四島九港に避難タワーを整備していくとのことでありました。
 現在、大島の岡田港においては、避難タワーの事業を進めていると聞いておりますが、早急に他の八港においても整備を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、安全・安心まちづくり条例の改正について伺います。
 日本が世界に誇る治安のよさは、他人を思いやる国民性に加え、銃器と薬物を厳格に規制してきた影響が大きいといわれております。
 ところが今、東京では、特殊詐欺など弱者を狙った卑劣な犯罪が後を絶たず、また、危険ドラッグの蔓延に都民の不安が広がるなど、これまで築いてきた治安の根幹が揺らいでおります。
 東京五輪の開催が五年後に迫った今こそ、断固たる対応をとらなければ、東京の魅力は失われ、世界の信頼を裏切ることにもなりかねません。
 こうした中、提案された条例の改正案は、東京の治安を脅かす喫緊の課題への対策に加え、中長期的な視点に立った地域の力の強化など、都民とともに歩んでいく安全・安心への確かな道筋を示したものであります。
 世界で一番の都市の実現に向け、取り組みを大きく進める起爆剤となると期待しておりますが、条例改正案に込めた知事の決意をお伺いいたします。
 知事とともに都政を支える我が党は、特殊詐欺対策として、都が行う自動通話録音機の高齢者世帯への設置事業を主導するとともに、先般は、危険ドラッグや特殊詐欺の根絶に向け、都内不動産業者と都及び警視庁による協定締結に協力してきました。
 都は、条例改正に力を得て、社会情勢に対応した実効性のある施策を、手を緩めることなく打ち出すべきと考えますが、今後の具体的な施策展開を伺います。
 次に、東京の治安対策について伺います。
 東京五輪は、東京が世界一安全な都市であることを全世界にアピールする絶好の機会であります。東京を訪れる全ての方々に、治安のよさを肌で感じ安心していただけるよう、同競技大会の開催を見据え、長期的な視野に立った各種治安対策を力強く推進していくことが、大会成功の重要な要因であることは論をまちません。
 東京の治安水準の高さは、世界でも比類のないものであり、都内における刑法犯認知件数も年々減少しております。警視庁が全庁一丸となって治安対策に取り組んできた成果のあらわれにほかなりません。
 しかし一方で、ストーカーやDV事案などの人身安全関連事案の相談件数は、年々増加傾向にあると伺っております。また、児童、高齢者、障害者に対する虐待事案の発生も大きな問題となっております。世界一安全な都市東京を実現するためにも、迅速適切な対応が一層強く望まれております。
 そこで、ストーカーやDVの相談件数及び検挙件数は、平成二十六年は前年と比較してどのぐらい増加しているのか、その現状をお示しいただくとともに、どのように取り組んでいくのか、警視総監の所見をお伺いいたします。
 次に、環境エネルギー政策について伺います。
 本年末のCOP21に向け、温室効果ガス排出削減に向けた国際交渉が始まっており、日本政府も先週のG7で、新たな削減目標を表明いたしました。
 気候変動対策は、人類の持続的な発展に不可欠であり、また、石油や金属等の資源消費量は、二〇五〇年には倍増するとの推計もある中、エネルギーや資源の大消費地である大都市の取り組みが、地球の将来を左右するといっても過言ではありません。
 こうした状況において、都には、エネルギーなど利用効率を最大限に高め、経済成長を維持しながら、都民や事業者に良好な都市環境を提供していくことが求められております。
 都は、三月の予算特別委員会において、新たな環境基本計画を策定する旨を示しましたが、温暖化対策を初めとする環境政策の今後の展開について、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、水素社会の実現に向けた取り組みですが、その中でも中心的な取り組みは、燃料電池自動車の導入と普及であり、燃料電池バスについても、環境やエネルギー面において、また、次世代の新たな輸送手段として、大きく期待されているところであります。
 都においては、二〇二〇年までに燃料電池バスを計画的に百台導入する目標を掲げていますが、東京五輪における輸送手段として活用することで、世界にその存在を強くアピールする好機とし、水素社会の実現に弾みをつけるべきだと考えます。
 現在、メーカーが市販化に向けた開発を進めているとのことですが、交通局も都営バスを運行しているノウハウを提供するなど、大いに協力していくべきです。今後、燃料電池バスの導入と普及に向け、どのように取り組むのか伺います。
 次に、自然公園のルールづくりについて伺います。
 高尾山など多摩地域の緑豊かな自然公園は、東京の魅力の一つであり、東京五輪を契機に、国内外から一層の来訪者が見込まれ、多摩地域の振興も期待されております。
 また、自然公園の楽しみ方が多様化し、例えばトレイルランニング大会は年に十五回以上開催され、二千人規模のものがあると聞いております。
 一方、これに伴い、自然環境への過大な負荷や接触事故などの懸念が生じたため、我が党は都独自の自然公園のルールづくりを主張し、本年三月に、都は、マウンテンバイクの乗り入れ制限やトレラン大会前後の植物への影響調査等を定めた利用ルールを策定しました。
 今後は、民間事業者との連携等さまざまな機会を捉え、このルールの浸透を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、保健、医療、福祉施策について伺います。
 まず、高齢者施策について伺います。
 我が国では、世界でも類を見ないスピードで高齢化が進んでおり、二〇五〇年には、一人の若者が一人の高齢者を支える肩車型社会が訪れると予想されております。この未曽有の超高齢社会に向けた備えは喫緊の課題ですが、一方で、過剰に不安をあおることは避けなければなりません。
 日本の高度成長期をリードしてきた団塊の世代を初め、都内の高齢者の八割は介護を必要とせず元気です。こうした方々が、みずからの豊かな知識や経験、技術を生かして、職場から地域へと活動の場を移して活躍することは、東京の高齢者像を、支えられる存在から地域を支える存在へと一新するものになると考えます。
 これから迎える超高齢社会を明るく活力に満ちたものとするために、豊富なマンパワーと地域資源を有する東京の強みを生かしながら、高齢者社会をより一層支援すべきだと考えますが、所見を伺います。
 次に、子育て支援について伺います。
 この四月から、国では、子ども・子育て支援新制度が本格的にスタートいたしました。都もこれに合わせて、本年三月末に、新たな子供、子育てに関する計画である東京都子供・子育て支援総合計画を策定しました。この計画の目標の一つである、地域における妊娠、出産、育児の切れ目のない支援の仕組みづくりは、かねてより我が党が主張していた対策であり、今回、この点がしっかりと盛り込まれたことを高く評価するものであります。
 しかしながら、今のところ、都内の子育て家庭の多くは、新たな制度の効果を実感するには至っていないと考えています。こうした計画は、実態を伴って初めて意味があるものとなり得ます。
 都は、今後どのように子育て支援に取り組んでいくのか伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 我が党はこれまで、障害者が地域で安心して暮らせる幸福実感社会の実現を目指し、グループホームなど地域生活基盤の整備や障害者の就労支援の充実を求め、都もそれに応えてきました。
 その結果、障害者の地域移行や一般就労は着実に進んでいると評価していますが、長期ビジョンに掲げた福祉先進都市東京の実現に向け、障害者施策のより一層の充実が求められております。
 都は、本年四月に東京都障害者計画、第四期東京都障害福祉計画を策定し、公表いたしました。
 そこで、この計画に基づき、今後どのように障害者施策に取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、感染症対策について伺います。
 昨年は、約七十年ぶりにデング熱の国内感染患者が発生し、都内でも百名を超える患者が出て、大きな話題となりました。都は、デング熱の国内感染事例を検証し、今後の対策に反映させるため、いち早く東京都蚊媒介感染症対策会議を設置し、昨年十二月に報告書を取りまとめました。国においても、本年四月、蚊が媒介する感染症に関する予防指針を定めています。本格的な蚊の発生シーズンを控え、適切な対応がとられるものと期待しております。
 しかしながら、これから夏休みに入り、海外渡航者が増加すると、海外からウイルスが持ち込まれる可能性が高くなることが予想されます。現在、韓国ではMERSによる感染が拡大し、市民の間に不安が広がっている事態が生じております。
 東京五輪の際には、海外から多くの選手や観光客が訪れることになります。こうした方々が安心して東京を訪問し、心のこもったおもてなしを実感していただく上でも、感染症対策は非常に重要です。
 都は、デング熱を初めとする感染症について、今後どのように対策を講じていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、多摩の地域振興について伺います。
 都市における生活は、それを支えるインフラの充実により飛躍的に進歩してきました。多摩地域においても、江戸期に整備された街道や治水を支える堤防など、歴史とともにインフラが蓄積され、現在のまち並みと人々の生活が形成されております。多摩のインフラ整備に当たっては、こうした地域の特色を踏まえ、その強みを発揮できるまちづくりへとつながなければなりません。
 我が党の政策に明示しているように、防災や地域振興において、道路、河川、公園などのインフラが担う役割は極めて重要です。
 そこで、多摩地域において、これらのインフラ整備をどのように進めていくのか、所見を伺います。
 次に、下水道事業について伺います。
 多摩地域の下水道は、そのほとんどの地域で、都の実施する流域下水道による広域的な処理を行っていますが、古くから下水道が整備された八王子市や立川市などでは、処理場も含めて市が単独で下水道事業を実施しています。これらの処理場は老朽化が顕著となっているものの、敷地が狭く、施設の更新や耐震化への対応が困難な状況となっております。
 この課題を解決し、多摩地域の水環境のさらなる向上や事業の効率化を図るためには、単独処理区の流域下水道への早期編入が望まれております。
 下水道局ではこれまで、関係市と連携し、編入に向けた取り組みを着実に進めてきたと聞いておりますが、そこで、編入に向けた現状と今後の取り組みについて伺います。
 次に、教育施策について伺います。
 いよいよリオ五輪が一年後となり、それぞれの学校がオリンピック・パラリンピック教育に本格的に取り組む時期に来ております。東京五輪に向けて開催都市東京の子供たちがたくましく健やかに成長するとともに、日本の伝統文化を他国の人に紹介したり、障害のある人や障害者スポーツについて、さらに深く理解できるようになってほしいと思っております。
 五年後に迫った東京五輪が子供たちにとって有意義で価値あるものとなるよう、オリンピック・パラリンピック教育をより一層加速すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、産業、中小企業振興について伺います。
 まず、都民の貴重な財産である東京の森を守り育てる林業の振興について伺います。
 ことしは戦後七十年の節目の年ですが、歴史を振り返れば、先人たちによって守られてきた森林が資材確保のための緊急伐採などにより荒廃し、戦後の我が国に残されたものは、すっかり緑を失った森林でありました。
 このような惨状から再び木を植え、育ててきたのも、また先人たちであります。昭和二十三年には、都内青梅の地で天皇皇后両陛下がヒノキをお手植えされました。これが現在も引き続き、都内でも平成八年に行われました全国植樹祭の始まりであります。
 こうして再生された森林が今まさに伐採、更新の時期を迎えております。今度は私たちが次の世代に健全な森林を残していく番であります。こうした思いから、我が党は伐採、利用、植栽、保育といった森林循環全体を促進する取り組みを進めるべきことを主張し、都は本年度、新たな事業を開始いたしました。
 さらにいえば、先日、我が党でも多摩の森林を視察し、伐採の現場を見ましたが、常々申し上げているように、木材搬出や森林整備のコスト削減のためには、イの一番で林道、作業道の整備促進が重要であり、不可欠であります。先人たちの努力に報い、豊かな東京の森林を次代に受け継いでいく総合的な取り組みを強力に推し進めるべきです。
 あわせて、東京での全国植樹祭の開催から約二十年を経たこの時期を捉え、企業や都民一人一人が森を守り、育てる活動に参画する機運の醸成を図るため、全国育樹祭の東京開催を招致すべきだと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 東京が日本の産業をリードし、激化する国際競争を勝ち抜いていくためには、中小企業が成長著しいASEAN地域等の需要を取り込み、新たな取引につなげていく必要があります。
 こうした都内中小企業の海外展開を現地で支援するため、販路開拓先として有望であり、周辺国との経済交流が盛んなタイに、都立産業技術研究センターがバンコク支所を四月に開設いたしました。中小企業振興公社もタイ拠点の開設準備を進めており、先月、タイ工業省との間で業務連携・協力に関する覚書が締結されております。
 都内中小企業の実情に通じたこの二つの機関が現地でも緊密な連携を図るのはもちろんのこと、ジェトロなどの他の支援機関とも幅広い協力関係を築くことで、技術、経営両面から効果的なサポートを推し進めていただきたいと思います。
 また、都内中小企業が長期にわたって海外で取引を拡大できるよう、現地企業との活発な交流を促進するなど、お互いの発展を目指す広い視野での支援に取り組むことが有益だと考えます。
 こうした相互交流の視点を含め、都は、タイの拠点を活用して中小企業の海外展開をどのように支援していくのか、見解を伺います。
 次に、都市農業の振興について伺います。
 東京の地域経済と暮らしを支える重要な産業である都市農業の振興に向け、都は、我が党の主張を踏まえ、区市町による農地保全への支援等、さまざまな取り組みを展開しております。本年三月に提案した、農地の流動化に向けた制度改正などを内容とする都市農業特区についても、多くの農業者から、ぜひ進めてほしいとの期待の声が寄せられております。
 我が党が主導した、都市農業振興基本法が四月に成立し、都市農業の意義が明確に位置づけられたことは大きな一歩ですが、特区実現までには国による区域指定、関係府省における税制や法改正の検討等、まだまだ高いハードルがあり、この夏から秋が正念場です。
 都は関係者と連携した省庁への精力的な働きかけなど、特区実現に向けた取り組みを強力に進めるべきですが、見解を伺います。
 次に、創業支援、雇用就業対策について伺います。
 東京の産業の発展のためには、創業の強力な促進が必要であり、長期ビジョンで掲げた開業率一〇%台の達成に向けて、都内金融機関の力を十分に活用しながら、環境の整備や資金面のサポートなど、これまでにない踏み込んだ支援を推し進めるべきです。
 今年度、我が党の主張により、信用金庫、信用組合と連携した女性・若者・シニア創業サポート事業の融資原資が百億円規模へと大幅に拡充されました。参加金融機関の全ての支店に十分に原資を行き渡らせることができるようになり、都内各地で多くの創業者が生まれることを期待しております。
 そのためには、地域をよく知る金融機関の支店を通じ、意欲ある創業希望者の発掘に力を注ぐことや、業種ごとの具体的な創業事例やさまざまな支援策をわかりやすく知らせることなど、事業の活用に向けた一層の工夫が必要だと考えますが、都の見解を伺います。
 少子高齢、人口減少社会のもとで、さまざまな産業活動を支えていくためには、女性、若者、高齢者そして障害者など全ての人が、みずからの意欲や希望に応じて生き生きと働ける環境を整えていくことが重要です。
 団塊の世代が六十五歳を迎える中、年齢にかかわりなく働き続けることを希望する高齢者がますますふえております。これまでの経験を生かして、新たな職場で活躍できるよう、求人の開拓やマッチング支援の充実が求められております。
 また、都内各地のシルバー人材センターでは、比較的短時間での就労を通じて地域社会に貢献されている高齢者の方がたくさんおられます。こうした方々の一層の活躍に向けた職域の拡大も有効だと思います。
 高齢者が、フルタイムでの就業や身近な地域で短時間働く生きがい就労など、多様な働き方を選択できるよう支援していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 障害者雇用について、都内企業の雇用率は一・七七%と過去最高を更新しましたが、目標の二%にはいまだ届いておりません。
 障害者を雇用する気持ちはあっても、受け入れに当たっての具体的なノウハウが乏しく、踏み出せない中小企業もあるでしょう。また、さまざまな障害を持つ方の就業機会の確保に向けた支援の拡充も必要です。
 昨年の第二回定例会の代表質問で我が党は、障害者の就労施策にかかわる各局が連携し、持てる力を出し合って取り組むことを求めました。一人でも多くの障害者の就労に向けて、企業への情報提供や切れ目のない支援など、各局、そして国と連携した取り組みを進めていくべきですが、都の見解を伺います。
 これからも我が都議会自由民主党は、公約で掲げた東京を世界で一番の都市にするため、総力を挙げて頑張ってまいりたいと思います。
 以上、ご清聴に感謝申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 林田武議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、東京オリンピック・パラリンピック開催都市の知事としての決意についてでございますが、私は昨年二月に知事に就任して以来、最大の仕事の一つとして、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の準備に邁進してまいりました。
 さらに、都議会の皆様とともに東京を世界一の都市とするための諸施策に全力を傾注してまいってきました。二〇二〇年は、あくまで通過点でありまして、その後の都市のさらなる発展を目指してまいります。
 来年のリオ大会の閉会式におきまして、私は次期開催都市の長として、オリンピック旗の引き渡しを受けますが、同時に東京のすばらしさを、そして魅力を世界に発信してまいります。
 続きまして、国と都の適切な役割分担でございますが、オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典であると同時に、その開催都市、開催国の社会、経済、文化など、あらゆる面の実力が試され、評価される場でもございます。オリンピック・パラリンピックは、東京都が開催都市でありますが、この国家的大事業は、当然国との協力関係があって初めてなし得るものであります。
 都は、恒久施設を整備し、組織委員会と協力して大会を成功させ、レガシーとして残していく役割と責任があります。国は、治安や入国管理など、国の権限に属する事項について、大会開催を支援するとともに、メーンスタジアムである新国立競技場を期限までに完成させる役割と責任がございます。
 こうした認識のもと、お互いがばらばらに動くのではなく、一致協力していくことが重要であると認識しております。
 真の協力関係を築くためには、まず率直な意見交換が何よりも大切でございます。真摯な議論の積み重ねによりまして、お互いの信頼関係を強固なものとし、最終的に大会を成功へと導くことができると考えております。
 続きまして、新国立競技場の整備についてでございますが、今般、文部科学大臣から新国立競技場の整備費用について負担の要請がございました。その際、不明でありました工期や総工事費、都民が納得する都負担の根拠など、全体像を明らかにするように求めました。これは都に負担を求める以上、国は説明責任をしっかりと果たすため、まず前提となる情報を提供する必要があると考えたからでございます。
 最も重要なことは、オールジャパンで予定の期限までに新国立競技場を完成させ、二〇二〇年大会を成功に導くことでございます。
 都としては、早期の課題解決を図るため、国からの情報を踏まえ、迅速な検討を行ってまいります。都議会のご審議をいただきながら、開催都市としての責任を果たすため、できる限りの協力をしていく所存でございます。
 国との関係構築についてでありますが、大会準備における諸課題につきましては、オールジャパンで英知を結集し、果断に解決していくことが重要でございます。これが課題解決に取り組む私の姿勢でございます。
 大会開催まで、あと五年余りとなりまして、会場整備のみならず、安全・安心を初めさまざまな取り組みを加速化していかなければなりません。大会の成功に向けて、国との信頼関係をさらに強化し、密接な連携を図りつつ、都議会のご協力も仰ぎながら、開催都市の長としての責任を果たしてまいります。
 続きまして、新銀行東京の経営統合についてでございますが、都における最も重要な施策の一つであります中小企業支援は、東京の経済の活性化のために、これからも強力に進めていく必要がございます。
 その推進に当たりましては、中小企業の顔が見えるネットワークを有する金融機関の力を活用することが不可欠であります。
 中小企業支援を設立理念に掲げました新銀行東京は、これまで寺井前社長のもとで経営努力を重ね、ご指摘のように六期連続して安定的に黒字を計上するなど経営再建にめどをつけてまいりました。中小企業向けの融資も増加させるなど、積極的な支援を展開しております。
 このたび経営統合に向けた基本合意が締結され、協議、検討が開始されたところでありますが、双方の強みを生かしつつ、この新銀行東京の設立理念が継承されていくことは、中小企業の振興にさらに寄与するものとなることを確信しております。
 また、都議会の付帯決議は大変重いものと認識しておりまして、追加出資した四百億円を確保することは、今回の経営統合の前提であると考えております。
 次に、東京のグランドデザインについてですが、昨年末、今後十年間の都政の工程表となります東京都長期ビジョンを策定しましたが、国家百年の大計というとおり、都市においても長期展望のもと、あるべき未来の姿を描くことが必要であります。
 第一回定例会での議論も踏まえまして、二〇四〇年代を目標とする都市づくりのグランドデザインの検討に着手しましたが、成熟社会の中で、質の高いゆとりある生活を実現していくためには、都市像に加えて、生活像にも着目した幅広い検討が不可欠でございます。
 そこで、まず二〇四〇年代の社会活動の基盤となる都市像を都市づくりのグランドデザインとしてしっかりと示した上で、夢と希望に満ちた東京全体の姿を東京のグランドデザインとして描いてまいります。
 今月中にも検討委員会を立ち上げまして、若手有識者や専門家を交え、まちづくり、医療福祉、芸術文化、ビジネス、働き方、科学技術といった広範な分野において自由闊達な議論を行い、斬新なアイデアを生み出してまいりたいと思っております。
 子や孫の世代においても、東京で暮らして本当によかったと、そう実感できる都市の姿を多くの英知を集めて描き、東京と日本の輝かしい未来を切り開いてまいりたいと思っております。
 次に、国の財政健全化をめぐる議論についてでございますが、かつて国は、財政構造改革の取り組みの中で、地方の歳出についても、国に歩調を合わせて見直しを行うべきとし、三位一体の改革のもと、地方交付税を大幅に削減したことで、地方財政の困窮を招きました。
 その結果、東京ひとり勝ち論が生まれ、地方の財源不足という問題は、都市対地方の税源配分という問題に矮小化され、不合理な偏在是正措置の導入へとつながったことは、我々はしっかりと記憶しておかなければなりません。
 現在の状況は、当時と大変酷似しておりまして、実際に今後、東京などの大都市に税源が集中することを前提にして、偏在是正を早急に行うべきとの意見もあるなど、再び地方間での財源の奪い合いにつながりかねない状況となっております。
 東京は、日本を牽引する機関車でありまして、東京の活力を奪えば、日本全体が衰退し、国が目標とする高い経済成長は到底達成できません。ひいては、都市と地方がともに栄える真の地方創生はなし得ないことは自明の理であります。
 今、目指すべきものは、総体としての地方税財源の充実強化でありまして、今後とも、都は不合理な偏在是正措置の撤廃、新たな措置の導入阻止に向けまして、都議会の皆様と手を携え、国に対して訴えてまいります。
 続きまして、二〇二〇年大会に向けた取り組みについてですけれども、これまでIOCや競技団体との協議を重ねまして、会場計画全体の見直しにめどをつけることができました。いよいよハード、ソフトの両面で、大会に向けた準備を本格化させてまいります。
 二〇一六年のリオ大会終了後には、次の東京大会への関心が一気に高まり、世界の目が東京に集まります。この好機を捉え、二〇二〇年に向けた取り組みをさらに加速化させていくことが、大会の成否とその後の東京の姿を決することになります。
 大会成功への鍵は、開催準備や機運の醸成、ボランティアなどを通して多くの人が大会にかかわり、自分たちの大会だと感じてもらうことであります。リオ大会を来年に控えまして、現在、私が直轄するレガシー委員会で、大会後のレガシーとその実現に向けた都の取り組みについて精力的に検討を進めております。
 都議会の皆様との議論も踏まえました上で、ことしじゅうに二〇二〇年に向けた取り組みを都民に明らかにし、都民と力を合わせ、大会を成功に導き、確かなレガシーを残してまいりたいと思っております。こうした都の取り組みを、組織委員会が来年公表しますオールジャパンのレガシー計画にも反映させ、東京から日本全体に大会のレガシーを波及させてまいります。
 次に、大会を契機としたハードのバリアフリー化推進についてでありますが、パラリンピックは、大会全体の成否を握る鍵でありまして、東京を全ての人々にとって、魅力的な都市としてさらに進化させる絶好のチャンスであります。
 都はこれまでも、バリアフリー化に取り組んでまいりましたが、二〇二〇年に向けて、世界中から東京を訪れる方々が、ストレスなく心から楽しめるよう、バリアフリー化を一層進めていかなければなりません。
 そのため、都は、国や組織委員会とともに、大会会場やそこに至る経路のバリアフリー化の推進に向けて、基準の策定を進めております。この四月には、エレベーターや出入り口のドア幅などの項目について先行的な取りまとめを行いました。今後、この基準を都の整備する各会場に適用することはもとより、公共交通事業者や地元自治体等関係者にも広く周知し、一丸となって大会に向けた環境を整備してまいります。
 バリアフリーの取り組みを二〇二〇年大会のレガシーとして、東京全体に浸透させ、誰もが安心して過ごすことができる都市東京の実現に向けて、全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、二〇二〇年大会に向けたセキュリティー対策でありますが、都はこれまでも治安対策や防災対策に積極的に取り組み、世界に誇れる安全・安心な都市の実現を目指してまいりました。大会開催期間中は、世界各国の選手、要人、大会関係者はもとより、国内外から多くの来訪者が東京に集中いたします。
 それゆえ、大会開催に伴うセキュリティーは、組織委員会が主として受け持つ競技会場等の警備にとどまりません。都は、開催都市の責任として、都内全域におきまして、東京を訪れる全ての人の安全・安心を確保しなければなりません。
 このため、本年七月にレガシー委員会の中に安全・安心部会を設置し、治安対策、サイバーセキュリティー、災害対策、感染症対策の視点から、大会開催に当たり想定されますさまざまなリスクを洗い出してまいります。さらに、具体的な対応に当たりましては、組織委員会や、入国管理など国レベルの安全・安心を担う政府とともに取り組むことが不可欠でありまして、連帯を強化しながら検討を進めてまいります。
 今後は、検討の進捗に合わせて体制も一層強化し、自然災害、テロなどの事態を想定した実地訓練を重ね、有事の際の対処要領を策定するなど、万全の対策をとってまいります。
 次に、情報発信機能の強化についてでありますが、インターネットや映像を通じて膨大な情報が世界中を駆けめぐる現代社会において、情報発信をさらに強化していくことは、ご指摘のとおり極めて重要なことであります。私は就任以来、みずから先頭に立ち、海外に向けて東京のアピールに邁進してまいりました。
 しかし、二〇二〇年まで残すところあと五年というタイミングに来た今だからこそ、単に情報を発信することに満足するのではなく、次の高みに進まなければなりません。これまで以上に、相手に着実に届き理解される広報を意識し、オール東京の魅力を、統一感を持って伝えてまいります。
 このため、今般、庁内を俯瞰的に捉え、連携を推進する組織として、海外広報と戦略広報を所管する部署を政策企画局の中に配置いたしました。今後、この組織を軸とした庁内の連携のもと、海外への影響力を持つメディアとの関係構築を深め、民間のノウハウも生かしながら、都庁全体が一丸となって国際都市東京の存在感を高めてまいります。
 続きまして、神宮外苑地区のまちづくりについてでありますが、将来にわたる東京の持続的発展を実現するためには、五年後のオリンピック・パラリンピック大会に向かって、またさらにその先を見越して、まちづくりを積極的に進めていく必要があります。
 神宮外苑地区につきましては、大会終了後、直ちに抜本的な再整備に着手できますよう、明治神宮など関係六者と具体的な協議をスタートさせることにしました。この地区は、大正期から陸上競技場や相撲場などが整備され、我が国のスポーツにとって由緒ある、都民、国民に大変親しまれている場所でもあります。
 イチョウ並木と絵画館の風格ある景観や、豊かな緑とも調和を図りながら、野球場、ラグビー場の連鎖的な建てかえを進めてまいります。また、商業・文化機能を充実させるとともに、安全で快適な歩行者空間を整備し、国内外から多くの人が訪れますスポーツのメッカとして生まれ変わらせてまいります。
 東京を世界一の都市とするため、国家百年の大計という長期的展望のもとにまちづくりを展開し、真に価値あるレガシーを次の世代に引き継いでまいりたいと思っております。
 次に、鉄道ネットワークの充実についてでございますが、東京が持続的に発展していくためには、本格的な人口減少社会を迎える中におきましても、人や物の活発な交流を促し、効率的な都市活動を支える鉄道ネットワークを形成していく必要があります。
 本年三月、今後のネットワークの考え方について中間まとめを公表し、地域や拠点間の連携強化による都市活力の維持向上や安全、快適に移動ができる都市の実現などの視点から整備効果や課題を明らかにいたしました。さらに、長期的な視点に立ちまして、各路線の採算性や費用対効果についても分析するとともに、空港アクセス等の新たな課題について検討を深めてまいりました。来月、都の考え方を取りまとめ、国の審議会答申に反映させるように働きかけてまいります。
 オリンピック・パラリンピック大会の先を見据えて、活力にあふれ、人と環境に優しい都市の実現に向けて、鉄道ネットワークの充実に取り組み、東京を世界一の都市へと発展させてまいります。
 次に、リーディングプロジェクトの推進についてでございますが、三月に発表した東京文化ビジョンでは、外国人や子供向けの伝統文化体験を初め、多様な分野の芸術家が参加する東京キャラバン、健常者と障害者が芸術文化を創造する障害者アートプログラムを、リーディングプロジェクトとして掲げました。
 これらのプロジェクトは、リオ大会に向けて、この秋から本格的に展開するものでありまして、文化プログラムの先導的役割を果たす起爆剤として、内外の多くの人々の興味を強く喚起できるよう、多彩かつ魅力的な内容としていくことが重要であります。そのため、子供や高齢者、外国人や障害者など、内外からあらゆる人々の参加を可能とし、世界的に評価が高いアーティストと力を合わせて、国際社会からも注目される内容につくり上げてまいります。
 私自身も、今月初めに、東京キャラバン等を企画監修します野田秀樹氏らと意見交換を行いました。そこでは、東京キャラバンがさまざまな文化が出会い融合して、新しい文化を生み出す場となることや、今年度から二〇一六年リオ大会、さらには二〇二〇年東京大会に向けて、日本の伝統文化をどのように紹介していくか、活発に議論いたしました。
 このリーディングプロジェクトを弾みに、二〇一六年のリオ大会以降、国内外でのさまざまな事業を通じて、東京の文化的ポテンシャルを高め、これまでに類のない、史上最高の文化プログラムの実現に向けて全力で取り組んでまいります。
 続きまして、安全・安心まちづくり条例の改正案についてでありますが、安全・安心の確保は、世界一の都市を目指す上で不可欠な礎でございます。そのためには、次々とあらわれる危機に迅速に対処していくことが必要でありまして、とりわけ現在の喫緊の課題が危険ドラッグと特殊詐欺でございます。これを根絶すべく、関係機関とともに撲滅作戦を展開しているところであります。
 今回の条例改正には、これらの犯罪グループに都内のビルやマンションなどを貸さないことで拠点をつくらせないなど、断固として対応していく決意を盛り込んでございます。さらに、地域の力の強化を図ることで、犯罪の起きにくい社会をつくっていくことが重要であります。
 都民、事業者、区市町村などと東京都が連携し、地域の安全・安心のために、自助、共助、公助を縦横に織り込んだ揺るぎないネットワークを構築してまいります。功績のあった都民を表彰する規定も設け、取り組みを加速化させてまいります。
 オリンピック・パラリンピックを控えた今こそ、安全・安心に向けて、東京の総力を結集しなければなりません。いかなる犯罪も許さない、世界で最も治安のよい東京を、確かなレガシーとして次の世代に継承できるように全力で取り組んでまいります。
 次に、環境政策の今後の展開についてでありますが、人類の存在を脅かす気候変動や世界的な課題である資源制約などの問題に向き合い、解決への具体的な道筋をつけることは、我々世代の責任であります。
 このため、水素エネルギーの活用や再生可能エネルギーの利用拡大など、温室効果ガス削減に向けて、国はもとより、世界の大都市をリードする具体的な行動をとるとともに、十一月には、都として意欲的な削減目標を新たに打ち出してまいります。また、サプライチェーンの観点を重視し、資源ロスの削減やエコマテリアルのさらなる利用促進などに取り組んでまいります。
 こうした施策を進めながら、今年度末を目途に策定いたします新たな環境基本計画では、長期ビジョンで掲げました目標や政策展開を具体化し、エネルギー政策や資源循環対策などの環境政策を相互に関連づけて体系化してまいります。この計画を羅針盤として、経済成長と良好な環境を両立する世界一の環境先進都市東京を、オリンピック・パラリンピックのレガシーとして実現してまいります。
 次に、感染症への対策でありますが、デング熱など蚊が媒介する感染症の発生や拡大を防止するためには、蚊の発生を減らすとともに、患者を早期に把握し、都民への注意喚起を速やかに行うことが重要であります。
 このため、都は、六月を蚊の発生防止強化月間とし、ポスターやラッピングバス、トレインチャンネルなどで集中的な広報を行い、家庭や地域での取り組みを働きかけております。
 また、ウイルスを媒介する蚊を早期に探知するため、二十五カ所の公園等で蚊のウイルス保有調査を実施しておりまして、患者が発生した場合には、感染リスクの高い地点を地図情報としてホームページで情報提供することとしております。
 さらに、発生段階に応じた検査体制や医療提供体制の構築、関係機関との連携体制の整備などを盛り込んだ行動計画の策定も進めております。
 現在、韓国でのMERSの発生を受けまして、国は検疫体制を強化しており、都も医療機関、保健所に対して、改めて患者発生時の対応について周知徹底を図っております。
 今後とも、新たな感染症の発生に備え、最新の知見と情報に基づき、常に対策を検証し、国や医療機関など関係機関と連携しながら、感染症対策に万全を尽くしてまいります。
 続きまして、森林循環の促進についてでございますが、東京の豊かな森林は、林業を営む人々が長年手塩にかけて育んだものでありまして、木材生産を初め水源の涵養や災害の防止、憩いの場の提供など、多面的な機能を持つ都民共有の貴重な財産でございます。これらの森林を維持し、健全な姿で次の世代に継承していくことは、私たちの責務であります。
 このため、都では、森林整備に不可欠な林道などの基盤整備に積極的に取り組むとともに、杉林の伐採や花粉の少ない杉への更新規模を拡大いたします。また、新たに、急峻な地形に対応した低コスト林業技術の開発や、将来の担い手確保を目指しました、都民がボランティアとして森林整備に参加できる仕組みを構築してまいります。
 今後、さらに都民や企業等の森づくりへの機運を広く醸成するため、天皇皇后両陛下がお手植えされた樹木を皇族殿下がお手入れされる全国育樹祭について、平成三十年度の開催を東京に招致いたします。
 これらの取り組みを通じまして、森林循環を総合的に促進し、五十年、百年先を見据え、健全で活力ある森林を育て、次の世代に着実に引き継いでまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、警視総監、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁させます。
〔警視総監高綱直良君登壇〕

○警視総監(高綱直良君) ストーカー、DV事案の現状と人身安全関連事案への警視庁の取り組みについてお答えをいたします。
 ストーカー、DV事案を初めとする人身安全関連事案につきましては、事態が急展開して重大事件に発展するおそれが大きいものであり、平成二十六年中のストーカー、DV事案の相談件数は六千三百十一件と、平成二十五年に比べ約一・五倍に増加するとともに、検挙件数については九百七十三件と、約三倍の増加になるなど、依然として厳しい情勢が続いております。
 警視庁では、事態の危険性や切迫性を的確に判断し対処するため、昨年立ち上げた人身安全関連事案総合対策本部につきまして、本年四月から、正式な組織として設置するとともに、捜査第一課長の経験もある専任の副本部長を配置いたしました。
 また、警察署における事案対応を支援するため、同本部のもとに置かれている事態対処チームに、これまでのストーカー対策室や捜査第一課等の捜査員に加え、子供や女性に対する声かけ、つきまとい事案等について、先制、予防的な活動を行う既存の対策班、通称さくらポリスを新たに組み入れるなど、対処体制の充実強化を図ったところであります。
 今後とも、東京都を初め、配偶者暴力相談支援センター、児童相談所等の関係機関との緊密な連携のもと、被害者等の安全確保を最優先とした的確な対応が講じられるよう組織的な取り組みを推進してまいります。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) オリンピック・パラリンピック教育についてお答えいたします。
 二〇二〇年東京大会が全ての児童生徒に人生の糧となるレガシーとして残るよう、オリンピズムの学習やスポーツを楽しむことに加え、国際交流や障害者理解等、多様な学びの取り組みを充実することが重要であります。
 現在、都教育委員会は、推進校を昨年度の三百校から六百校に拡大し、異文化理解、礼儀作法や伝統文化の学習等、創意工夫を凝らした取り組みを推進するとともに、学習読本や映像教材の開発を進めております。
 さらに、来年度には、これまでの成果を踏まえ、地域の外国人との文化交流やスポーツ大会でのボランティア活動等、児童生徒が主体的に参加、体験できる機会を拡大するなどして、全ての都内公立学校でオリンピック・パラリンピック教育を強力に展開してまいります。
〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都民の命と暮らしを守る河川事業についてでございますが、切迫する首都直下地震や頻発する豪雨などから都民を守るためには、低地部、台地部、山間部など東京の地域特性に応じて効果的に対策を行っていくことが必要でございます。
 このため、まず低地部では、最大級の地震に対しても防潮堤及び水門等が機能するよう、平成三十一年度までに耐震化を進めてまいります。
 また、台地部では、時間百ミリの集中豪雨も頻発しており、被害のあった流域を優先し、二十八年度までに五カ所の調節池の着工を目指すとともに、あわせて河川水位の監視映像を本年六月から公開し、区市と連携して、地域住民に情報を周知してまいります。
 山間・島しょ部では、砂防施設等の着実な整備を進める一方で、三十一年度までに土砂災害警戒区域等の指定を行い、自助、共助を支援してまいります。こうした取り組みにより、東京を災害に負けない都市としてまいります。
 次に、大島の土砂災害対策についてでございますが、島民の安心・安全を早期に確保するため、都はハード、ソフトの両面からスピード感を持って対策を進めております。
 まず、ハード対策としては、被害の大きかった大金沢の神達地区において、堆積工のかさ上げなどの応急対策に続き、平成二十六年十二月からは、山腹の緑の回復にも配慮した斜面崩壊対策や、土砂を堆積工に導く導流堤の整備を進めており、二十八年度に完了させ、安全を確保いたします。
 一方、ソフト対策として、本年六月に島内全域で土砂災害警戒区域等を指定し、年内には町と連携してハザードマップを作成し、警戒避難体制を整えてまいります。さらに、町道については、都職員派遣等の支援により、既に四カ所の復旧を終えており、残る八カ所も二十七年度の完成に向け取り組んでおります。今後とも大島町の復興を積極的に支援してまいります。
 最後に、多摩地域のインフラ整備についてでございますが、広域的な機能強化と地域の魅力向上の両面から推進していくことが重要と考えております。都は、広域的な視点から、圏央道とあわせて、多摩南北道路など幹線道路ネットワークの整備により地域内外の連携を強化し、渋滞解消や物流拠点の形成など、地域全体の利便増進を図っております。
 また、自然条件等の特性を踏まえ、五月に開通した城山トンネルなど山間部の生活を支えるダブルルートの整備、安全で水辺に親しめる川づくり、自然環境の保全を重視した公園整備などを進めております。
 さらに、市街地では、第三次交差点すいすいプランや新たな区間を加えた無電柱化事業による美しい景観の形成など、生活の質を高める取り組みを加速してまいります。多摩の多様な魅力を高めるため、今後ともインフラ整備に全力で取り組み、四百二十万多摩都民の安全で快適な生活を実現してまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、区市町村の総合戦略策定への支援についてでございます。
 人口減少社会を見据え、地方とともに東京が発展していくためには、都はもとより、区市町村がそれぞれの地域特性を踏まえながら、若者の雇用創出や子育て環境の充実など、早急に解決すべき課題に取り組むことが重要でございます。
 こうした取り組みを支援するため、都は本年三月、区市町村が今年度策定いたします予定の総合戦略に関する情報提供や相互の意見交換等を行う場として、区市町村と関係局から成る連絡会を設置し、来月も開催する予定でございます。
 今後、都は、この連絡会の活用等を通じまして、都市部の少子化や西多摩地域の人口減少など、区市町村が地域の課題や実情を踏まえた総合戦略を策定、実施できるよう、区市町村の主体的な取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、大島の復興に向けた都の今後の取り組みについてでございます。
 都は、発災以来、導流堤等の土砂災害対策の施設整備や災害廃棄物の島外処理、宿泊助成などの観光支援を行うなど、全庁を挙げて取り組んでまいりました。今年度も、町への職員派遣の継続や支庁職員の増員により支援体制を強化いたしますとともに、災害復旧・復興特別交付金を活用し、元町地区の復興まちづくり等の町の取り組みを引き続き後押ししてまいります。
 あわせて、大島の災害を踏まえ、発災直後の生活支援や町道等のインフラ復旧に臨機応変な対応を行うための経費を新たに予算措置し、大島を初め島しょ部における災害への初動体制を強化してまいります。
 今後とも、町と緊密な連携を図り、全力を挙げて大島の復興に取り組んでまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 障害者スポーツの振興についてお答えいたします。
 障害者スポーツにおける競技団体の果たす役割は大きく、その体制整備は極めて重要でございます。しかし、都内の競技団体は組織基盤が脆弱であり、団体組織そのものがない競技も多くございます。
 そこで、都は今年度から、競技団体に対しまして競技力向上のための財政的な支援を行い、企画、運営力の向上を図るとともに、全国的な競技団体や健常者の競技団体とも連携の可能性を探っております。
 また、都内の競技団体で構成されます東京都障害者スポーツ協会に対しまして、都からの派遣職員をふやすなど執行体制を強化するとともに、普及啓発や人材育成など、都との共催事業の拡充により、この協会が各団体を支える基盤となるよう支援してまいります。
 今後、都は、日本財団の取り組みとも連携し、障害者スポーツの振興の中核を担う競技団体の体制整備に努めてまいります。
〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 今後の海外諸都市との関係構築についてですが、本年秋に世界各都市の都市外交責任者を招聘した東京グローバル・パートナーズ・セミナーを初めて開催いたします。
 本セミナーは、首長間の会談や実務者同士の技術交流とは異なり、各都市の首長に近く、施策全般を俯瞰し得る立場である都市外交の統括責任者が一堂に会することにより、未来を見据えた相互の連携について、広い視野で事業に根差した意見交換を行うものでございます。
 姉妹友好都市やアジア諸都市などを対象とし、都の先進施策や参加都市の事情を披瀝し合うことで、教え教えられる施策を効果的に選び、相互理解を深めてまいります。
 今年度は十五都市を目標に参加を呼びかけ、今後の関係構築の契機としてまいります。
〔水道局長吉田永君登壇〕

○水道局長(吉田永君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、ヤンゴンで実施いたしましたパイロット事業の成果と今後の国際展開についてでありますが、ヤンゴンの事業では、対象地域における漏水などの無収水率を七七%から三二%に削減したほか、二十四時間給水を実現するなど、現地の水道事業を大きく改善いたしました。今後は、この成果や事業で得られました経験を生かし、ヤンゴンにおける広域展開を目指してまいります。
 一方、多くの途上国では、維持管理など持続的な事業運営のための技術やノウハウが不足しており、人材育成のための支援が重要でございます。そこで、このたび新たに策定いたしました東京水道国際展開プログラムに基づき、訪日研修などの人材育成や技術協力事業などを含めた総合的な取り組みを推進してまいります。
 次に、水道水源林の管理についてでありますが、水道局では、都民の貴重な水を育む水道水源林が水源涵養、水質浄化、土砂流出防止などの機能を十分に発揮できるよう、百十数年にわたり適正管理に努めてまいりました。
 その一方で、天然林の一部での下草の消失や、手入れが行き届いていない民有林の荒廃など、対応すべき課題が顕在化しており、これらに的確に対応していくには、ご指摘のように長期にわたる計画的な取り組みが必要であります。
 このため、森林の保全管理や、購入した民有林の再生などを盛り込んだ新たな十年間の管理計画を今年度中に取りまとめ、それを着実に実施することで、良好な水道水源林を育成し、次世代に継承してまいります。
 最後に、水道管路の耐震継ぎ手化についてでありますが、水道局では現在、水道管路の耐震継手化十カ年事業を推進しており、首都中枢機関、救急医療機関などの重要施設への供給ルートや、液状化による被害が大きいと想定される地域などの管路を優先して更新しております。
 さらに、重要施設に新たに位置づけた大規模救出救助活動拠点やオリンピック・パラリンピック競技施設への供給ルートについて、平成三十一年度までに耐震継ぎ手化を完了することとしました。
 本事業の推進に当たりましては、周辺住民はもとより、道路管理者や交通管理者などの理解と協力を得ていくことが重要であり、今後とも事業の必要性を丁寧に説明するとともに、優先性を考慮した管路の耐震継ぎ手化を着実に進め、断水被害の影響を効果的に軽減してまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、羽田空港の機能強化についてでございますが、オリンピック・パラリンピック東京大会やその後の航空需要に応え、国際便の就航をふやしていくためにも、羽田空港の容量拡大は必要不可欠でございます。
 国は、二〇二〇年までの新たな飛行経路の実現に向けて、来場者に随時説明し、意見交換も可能なオープンハウス型の説明会を行うとともに、来年度予算に航空保安施設の設計費を要求し、便数の増加に対応するなどの方針を先月公表いたしました。
 都は国に対しまして、騒音、落下物対策等の丁寧な説明とともに、スケジュールを勘案し、必要な施設整備や防音工事の着実な準備を求めてまいります。
 今後とも、都民の理解が深まるよう積極的に取り組み、国際的な拠点空港としての羽田空港のさらなる機能強化を図ってまいります。
 次に、木密地域の改善に向けた取り組みについてでございますが、木密地域の安全性を高めるためには、延焼遮断帯の整備とともに、これに囲われた内側の市街地の不燃化を推進する必要がございます。
 このため、不燃化特区区域等を対象とする生活道路網計画の策定を区に促し、幅員六メーター以上の道路については、地区計画等の活用による整備を働きかけてまいります。
 また、市街地の耐火性を高める新防火区域の指定等を条件に、地域特性を踏まえ、建蔽率や道路斜線制限を緩和して建てかえを促進し、道路用地の確保も図ってまいります。あわせて、敷地規模に応じた容積率の最高限度の設定等により、敷地の共同化を誘導し、住宅等のさらなる密集に歯どめをかけてまいります。
 今後、こうした施策を具体化しまして、新たな防災都市づくり推進計画に盛り込み、木密地域の改善を進めてまいります。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございますが、耐震改修や建てかえを進めていくためには、耐震化の進捗状況を都民に目に見える形で示しながら、建物所有者の取り組みをさらに促していくことが重要でございます。
 このため、共同住宅における改修について、合意形成過程を含めて紹介する現場見学会を行うとともに、三月から、耐震性が確認できた全ての建築物に対し、申請の有無にかかわらず、耐震マークを交付しております。
 九月からは、新たに主要な交差点間の耐震化率を公表いたしまして、特定緊急輸送道路ごとに耐震化の達成状況を明らかにいたします。また、建物所有者の協力を得て、工事現場に耐震改修中であることがわかる横断幕等を掲示いたします。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、沿道建築物の耐震化を強力に推進してまいります。
 最後に、大規模地下街における浸水対策についてでございますが、都は、昨年度改定した豪雨対策基本方針に基づき、地下歩道や店舗等が一体となった大規模な地下街九カ所において、鉄道事業者や隣接ビルなど、各管理者との連携強化に取り組んでおります。
 具体的には、今後の再開発により地下空間が大きく拡大する渋谷地区におきまして、各管理者に地元区等を加えた協議会を立ち上げ、緊急時の相互連絡体制の強化などを検討してまいりました。近くその結果を新たな浸水対策計画として公表し、各管理者が連携した避難誘導や合同訓練などを行ってまいります。
 引き続き、八重洲や新橋など残り八カ所につきましても同様の取り組みを進め、大規模地下街の利用者の安全・安心の確保に向けて浸水対策を進めてまいります。
〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、リオ大会の機会を捉えたリーディングプロジェクトの展開についてでありますが、このプロジェクトを効果的に史上最高の文化プログラムにつなげるには、国内での展開を充実させるとともに、多くの人が集まるリオ大会の機会を捉えて、東京の多彩な文化の魅力を世界に発信していくことが重要でございます。
 そのため、都は既にアーツカウンシル東京や現地機関と連携し、現地調査を含めた準備に着手しており、リオ大会期間中、組織委員会等と連携して設置する現地のPR拠点等を活用した伝統文化の発信や、まち中での東京キャラバンの実施に向けて今後調整を行ってまいります。
 リーディングプロジェクトを東京だけではなく、リオでも展開して、文化プログラムへの大きな流れをつくり、二〇二〇年東京大会を史上最高の文化の祭典にしてまいります。
 次に、外国人向けの伝統文化体験プログラムについてでありますが、今年度から浅草文化観光センターで日本舞踊を一時間で体験できるプログラム等を開始し、五月末までに約五百人が参加いたしました。参加者へのアンケートでは、ほとんどの方が満足と回答しており、短時間でも一流の実演家が伝統文化の魅力を伝える場として有効と考えております。
 また、和楽器や茶道の体験もしたいなど、多様なニーズがあることから、今後、芸術文化団体の参画を得ながら、長唄や民俗芸能など幅広い体験プログラムを実施するとともに、能楽堂等でのより本格的な体験つき公演プログラムについても取り組んでまいります。
 今後、より多くの方々に参加してもらえるよう、旅行会社を通じた情報発信や、都内宿泊施設への多言語対応のチラシの配布なども行ってまいります。
〔下水道局長松田芳和君登壇〕

○下水道局長(松田芳和君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、下水道の浸水対策についてでございますが、浸水対策を効率的に進め、効果を早期に発現させるためには、設計と施工それぞれにおいて工夫が必要でございます。
 そこで、時間七十五ミリ対策地区の整備に当たりましては、今後、流出解析シミュレーションを設計に本格的に導入いたします。これによりまして、浸水の可能性が高い箇所を正確に把握し、既存施設能力をより効率的に補うことが可能となります。
 また、施工面では、整備中の下水道管に仮壁を設置し、先行して完成した部分で取水可能とするなど、整備効果が早期に発揮できるよう工夫してまいります。
 さらに、ソフト面でも、東京アメッシュの精度向上を図るほか、半地下室の建築確認申請時における、浸水対策の届け出制度の拡大を区に働きかけてまいります。
 今後とも、ハード、ソフトの両面から取り組み、浸水に強いまちづくりに貢献してまいります。
 次に、単独処理区の流域下水道への編入についてでございますが、編入事業は、高度処理の導入やスケールメリットにより、多摩地域全体の水環境や防災能力の向上、事業の効率化に資することから、積極的に推進すべきと認識しております。
 八王子市単独処理区の全量編入は、平成三十二年度を目途に進めており、現在、八王子水再生センターで施設の増強を行っております。また、本年七月には、市が整備する接続幹線が完成し、日量三万立方メートルを前倒しして受け入れるとともに、全量編入までの間に、市の処理場が被災した場合に備えまして、災害時協定を締結いたします。
 一方、立川市単独処理区は、平成三十四年度の編入に向け、設備の更新及び増強を進めるとともに、市の接続幹線の設計や都市計画決定等の法手続への技術支援を行ってまいります。今後とも、早期編入に向け調整を進め、多摩地域の下水道事業の発展に貢献してまいります。
〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

○港湾局長(多羅尾光睦君) 島しょの津波避難施設の整備についてですが、島しょの港湾、漁港においては、その利用者が地震発生から五分後に避難を開始したと計算しても、安全な高台等へたどり着くことが難しい四島九港に津波避難施設の整備をしていくこととしております。
 既に大島岡田港において、定期船の乗降客や港で働く方々など千六百人程度が避難可能な施設の整備を進めております。引き続き、津波高が二十メートルを超え、避難対象者も多い新島港及び神津島港の整備にも着手し、今年度は基本設計や地質調査を実施いたします。
 並行して、新島の若郷漁港など他の六港についても速やかに地元町村と調整を行い、最適な位置や構造等を決定し、早急に整備を進めてまいります。
 これらの取り組みで島しょ地域の防災力の向上に努めてまいります。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(河合潔君) 安全・安心まちづくり条例改正に伴います今後の具体的な施策展開についてでございますが、まず、特殊詐欺や危険ドラッグについては、関係業界との協定による建物利用の適正化や、スマートフォンからの有害情報を排除するフィルタリングの強化など、警視庁や関係部局と連携して対処いたします。
 また、通学路等の安全対策については、警察や区市町村等の関係者が取り組むべき指針を策定し、安全な通学路の設定の仕組みなどの取り組みを強化いたします。
 次に、中長期的な視点に立った環境整備として、防犯カメラの設置補助等による町会等の活動支援に加えまして、事業者の協力を得て弱者を見守る、ながら見守り連携事業の創設や、地域の防犯活動の担い手となる人材の育成など、重層的な取り組みを展開し、地域の力を強化してまいります。
〔交通局長新田洋平君登壇〕

○交通局長(新田洋平君) 燃料電池バスの導入と普及に向けた取り組みについてでございますが、水素社会の実現に向けまして、燃料電池バスの普及促進は大きな意義を有していると認識しております。
 このため、交通局では、来月下旬にメーカーが市販化に向けた車両開発のために行う首都圏初の実証実験に協力することといたしました。冷房使用により、燃費悪化が見込まれるこの時期に、交通量が多く頻繁に車線変更が必要な都心部及び臨海地域で走行することによりまして、使用実態に近い環境で車両性能を確認するとともに、整備上の課題等を洗い出し、得られた結果をメーカー等へフィードバックしてまいります。
 今後とも、燃料電池バスの早期開発をメーカーに働きかけますとともに、二〇二〇年大会に向け、率先して導入することで普及を促進し、水素社会の実現に貢献してまいります。
〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

○環境局長(遠藤雅彦君) 自然公園の利用ルールについてでございますが、多摩地域の自然公園において、利用者の増加や多様化が進む中、互いに快適に過ごせ、自然環境への影響を少なくするため、都は登山やトレイルランニング等、利用形態に応じて守るべきマナー、ルールを策定いたしました。
 今後は、このルールを登山者やトレイルランニング大会の主催者、海外からの旅行者等に幅広く周知する必要があり、そのためには、都みずからはもとより、民間事業者等と連携した広報活動が有効でございます。
 具体的には、環境関連のイベントでPRを行うほか、鉄道事業者やスポーツ、旅行関連の業界誌と連携したキャンペーンの実施等、さまざまな機会を捉え普及啓発を行ってまいります。
 こうした取り組みにより、誰もが安心して快適に過ごせ、東京の自然の魅力を堪能できる利用環境を整えてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者の社会参加への支援についてでありますが、都はこれまで、区市町村が高齢者を生活支援サービスの担い手と位置づけ、掃除、洗濯などの家事援助や買い物支援等の充実を図る取り組みを包括補助により支援してまいりました。また、今年度からは、保育所での読み聞かせや介護施設での配膳など、高齢者が福祉施設で活躍できる仕組みづくりに取り組む区市町村を支援いたします。
 さらに今月末には、東京で展開されている企業やNPO、ボランティア団体などのさまざまな地域貢献活動の内容を紹介するウエブサイトを立ち上げますとともに、活動の運営基盤を強化するために専門人材を派遣し、ビジネススキルや専門知識等を提供する取り組みを開始いたします。この取り組みでは、新たな担い手を育成するための講座や研修も実施し、元気高齢者の社会参加を一層支援してまいります。
 次に、子育て支援への今後の取り組みについてでありますが、本年三月に策定した東京都子供・子育て支援総合計画では、地域における妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援の仕組みづくりを初めとした五つの目標を掲げ、福祉、保健、医療、雇用、教育など、さまざまな分野から成る二百六十七の事業と具体的な目標を盛り込みました。
 現在、その実施に向け、説明会等を通じ区市町村や事業者への働きかけを積極的に行っておりまして、今年度から開始するゆりかご・とうきょう事業には既に十二の区市が実施の意向を示しております。
 今後、計画の進捗状況や事業効果を東京都子供・子育て会議で定期的に点検、評価しながら、乳幼児期における教育、保育の充実、子育てしやすい環境の整備など、都における子育て支援策を一層推進してまいります。
 最後に、今後の障害者施策についてでありますが、本年四月に策定した第四期東京都障害福祉計画では、地域における自立生活を支える仕組みづくりや、生き生きと働ける社会の実現など五つの目標を掲げ、二百四十七の事業と具体的な目標を盛り込みました。
 障害者の地域生活への移行を支援するためには、居住の場であるグループホームや日中活動の場である通所施設等を今後三年間で六千七百二十人分整備いたします。
 また、障害者の企業等への就労と職場定着を支援するとともに、福祉施設の工賃向上と受注拡大を図り、都みずからも施設製品のトライアルショップの開設や施設等からの優先調達の取り組みを進めてまいります。
 今後、各事業の成果を踏まえながら、計画の進行管理を行い、障害者施策の充実に積極的に取り組んでまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、中小企業の海外展開への支援についてでございますが、都内中小企業が海外で継続的に事業展開を図っていくためには、現地企業との交流や連携を深め、ともに成長発展していくことが重要でございます。
 このため、産業技術研究センターのバンコク支所では、製品の品質向上に関する技術的な助言などにより、東京とタイの中小企業の連携を技術面からサポートいたします。
 また、中小企業振興公社が開設する支援拠点においても、ジェトロや現地金融機関等と連携し、都内中小企業に技術提携先や販売代理店となるタイの企業を紹介いたします。
 さらに、タイ工業省と協力し、商談会や交流会の開催など、相互の発展につながる幅広い取り組みを展開してまいります。
 こうしたタイでの取り組みを足がかりに、中小企業のASEAN地域での海外取引の拡大につなげてまいります。
 次に、都市農業特区についてでございますが、都は、都市農業の振興と農地の保全を図るため、農地の流動化や小規模農地の保全、相続税負担の軽減などを内容とする都市農業特区を提案し、市街化区域内農地を有する三十九の区や市町全てから参加表明を得たところでございます。
 特区の実現に向けて、都は農業者の農地の貸借等についての具体的な意向や、都民の都市農業に関する意識調査などを進めるとともに、本年四月に設置いたしました自治体や農業会議、JA等で構成する会議の場を活用し、円滑な制度運用の方策などについて検討を行っております。
 今後、こうした取り組み等を踏まえ、区市町や農業関係団体との連携を一層密に図りながら、政令による特区対象区域の指定及び農地制度や相続税制度の具体的な改善を国に対して強く働きかけてまいります。
 次に、創業の促進についてでございますが、昨年五月に立ち上げた女性・若者・シニア創業サポート事業では、五十件、二億円の融資を実行し、女性による地域向けの家事代行サービスや、若者が行うデザイン教室、高齢者による介護事業等、さまざまな創業が実現いたしました。
 今年度は、さらなる創業者の発掘に向け、各金融機関の融資原資の大幅な拡充や、創業アドバイザーによる支店レベルでの勉強会の開催など、積極的な営業活動を後押しいたします。
 また、多様な創業ニーズにきめ細かく応える個別相談や業種別ノウハウを学ぶセミナーも開始いたします。
 あわせて、新たに創業活性化特別支援事業を行う中小企業振興公社と連携し、相互に各種支援策を周知してまいります。
 こうした取り組みにより、幅広い層による地域に根差した創業を数多く生み出し、都内産業の成長につなげてまいります。
 次に、高齢者の就業支援についてでございますが、高齢者が経験や能力を生かして活躍することは、東京の活力を高める上で重要であり、都はさまざまなニーズに応じた多様な働き方への支援を強化していく必要がございます。
 このため、フルタイム等での就業支援として、今年度新たに、しごとセンターにおいて都内中小企業の意向調査を行い、ハローワークと連携して求人を開拓するとともに、高齢者と企業との相互理解を深める職場体験の機会を提供し、就業機会の拡大につなげてまいります。
 また、身近な地域での生きがい就労の場を広げていくために、都内三カ所のシルバー人材センターにおきまして、従来の請負就労に加え、一般労働者派遣事業に取り組んでまいります。
 これらの取り組みを通じて、高齢者が多様な働き方を選択し、活躍できる社会の実現を目指してまいります。
 最後に、障害者の就業支援についてでございますが、障害者雇用を推進するためには、雇用の受け皿となる中小企業に対し、関係機関がそれぞれの役割や強みを生かし、連携を強化して支援することが重要でございます。
 都は新たに、採用から職場定着までの有益な情報をワンストップで提供し、企業の理解を促す障害者雇用支援フェアを七月に開催いたします。フェアでは、各局や国等の十六の関係機関が一堂に会し、講演や相談による支援制度の紹介、特別支援学校の生徒による作業の実演等を行います。
 また、職場定着に向けて都が国と連携して行う助成制度では、今年度から発達障害者及び難治性疾患患者を対象に加え、より幅広く障害者の就業を支援してまいります。
 このように各局や国等との連携を強化し、障害者雇用を一層促進してまいります。

○議長(高島なおき君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

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