平成二十七年東京都議会会議録第七号

平成二十七年六月九日(火曜日)
 出席議員 百二十四名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番川松真一朗君
四番山内  晃君
五番栗山よしじ君
六番小松 大祐君
七番鈴木 章浩君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番宮瀬 英治君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番田中  健君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番堀  宏道君
二十一番河野ゆうき君
二十二番柴崎 幹男君
二十三番ほっち易隆君
二十四番舟坂ちかお君
二十五番清水 孝治君
二十六番島崎 義司君
二十七番石川 良一君
二十八番田中 朝子君
二十九番上田 令子君
三十番山内れい子君
三十一番中山ひろゆき君
三十二番西沢けいた君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番中山 信行君
三十八番吉倉 正美君
三十九番上野 和彦君
四十番鈴木 錦治君
四十一番木村 基成君
四十二番高椙 健一君
四十三番栗山 欽行君
四十四番大場やすのぶ君
四十五番和泉 武彦君
四十六番近藤  充君
四十七番小宮あんり君
四十八番三宅 正彦君
五十番やながせ裕文君
五十一番両角みのる君
五十二番西崎 光子君
五十三番小山くにひこ君
五十四番あさの克彦君
五十五番新井ともはる君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番まつば多美子君
六十番高倉 良生君
六十一番橘  正剛君
六十二番野上 純子君
六十三番谷村 孝彦君
六十四番桜井 浩之君
六十五番きたしろ勝彦君
六十六番松田やすまさ君
六十七番山崎 一輝君
六十八番神野 次郎君
六十九番菅野 弘一君
七十番北久保眞道君
七十一番田中たけし君
七十二番神林  茂君
七十三番宇田川聡史君
七十四番高橋 信博君
七十五番野上ゆきえ君
七十六番中村ひろし君
七十七番島田 幸成君
七十八番今村 るか君
七十九番大西さとる君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十三番東村 邦浩君
八十四番小磯 善彦君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番秋田 一郎君
八十八番中屋 文孝君
八十九番早坂 義弘君
九十番崎山 知尚君
九十一番鈴木 隆道君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番山田 忠昭君
九十六番こいそ 明君
九十七番田島 和明君
百番斉藤あつし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番藤井  一君
百七番長橋 桂一君
百八番中嶋 義雄君
百九番ともとし春久君
百十番古賀 俊昭君
百十一番林田  武君
百十二番高木 けい君
百十三番相川  博君
百十四番吉原  修君
百十五番野島 善司君
百十六番三宅 茂樹君
百十七番川井しげお君
百十八番高島なおき君
百十九番立石 晴康君
百二十番吉野 利明君
百二十一番野村 有信君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 なし
 欠員
    四十九番  九十八番  九十九番

 出席説明員
知事舛添 要一君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長中井 敬三君
東京都技監建設局長兼務横溝 良一君
政策企画局長川澄 俊文君
総務局長中西  充君
財務局長長谷川 明君
主税局長塚田 祐次君
警視総監高綱 直良君
生活文化局長小林  清君
オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋 正宏君
都市整備局長安井 順一君
環境局長遠藤 雅彦君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長山本  隆君
港湾局長多羅尾光睦君
会計管理局長塚本 直之君
交通局長新田 洋平君
消防総監大江 秀敏君
水道局長吉田  永君
下水道局長松田 芳和君
青少年・治安対策本部長河合  潔君
病院経営本部長醍醐 勇司君
中央卸売市場長岸本 良一君
選挙管理委員会事務局長松井多美雄君
人事委員会事務局長真田 正義君
労働委員会事務局長櫻井  務君
監査事務局長石原 清次君
収用委員会事務局長目黒 克昭君

六月九日議事日程第一号
第一 第百三十一号議案
東京都安全・安心まちづくり条例の一部を改正する条例
第二 第百三十二号議案
職員の再任用に関する条例の一部を改正する条例
第三 第百三十三号議案
東京都都税条例及び東京都都税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
第四 第百三十四号議案
東京都市計画事業足立北部舎人町付近土地区画整理事業施行規程等の一部を改正する条例
第五 第百三十五号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第六 第百三十六号議案
東京都女性福祉資金貸付条例の一部を改正する条例
第七 第百三十七号議案
東京都立産業貿易センター条例の一部を改正する条例
第八 第百三十八号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第九 第百三十九号議案
警視庁麻布警察署庁舎(二十七)改築工事請負契約
第十 第百四十号議案
警視庁東大和庁舎(仮称)(二十七)新築工事請負契約
第十一 第百四十一号議案
警視庁単身者待機寮代々木警察署靖心寮ほか(二十七)改築工事請負契約
第十二 第百四十二号議案
警視庁単身者待機寮城東警察署城東寮(二十七)改築工事請負契約
第十三 第百四十三号議案
警視庁単身者待機寮新川寮(仮称)(二十七)改築工事請負契約
第十四 第百四十四号議案
東京都墨田都税事務所(二十七)改築工事請負契約
第十五 第百四十五号議案
多摩動物公園アジアゾウ舎新築工事請負契約
第十六 第百四十六号議案
小名木川排水機場耐震補強工事請負契約
第十七 第百四十七号議案
新小名木川水門耐震補強工事(その一)請負契約
第十八 第百四十八号議案
地下トンネル築造工事(二十七 四─環五の一雑司が谷)請負契約
第十九 第百四十九号議案
妙正寺川整備工事(その二〇一─二)請負契約
第二十 第百五十号議案
清掃工場建設工事に係る損害賠償請求事件に関する和解について
第二十一 第百五十一号議案
土地の信託の変更について
第二十二 第百五十二号議案
権利の放棄について
第二十三 第百五十三号議案
ヘリコプターの買入れについて
第二十四 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例及び東京都都税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第二十五 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第二十六 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第二十七 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の報告及び承認について
第二十八 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した再雇用職員又は日勤講師としての採用選考において不合格とされたこと又は採用決定を取り消されたことが違法であること等を理由とする損害賠償請求事件の控訴提起に関する報告及び承認について

   午後一時開会・開議

○議長(高島なおき君) ただいまから平成二十七年第二回東京都議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。

○議長(高島なおき君) まず、議席の変更を行います。
 議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。
(別冊参照)

○議長(高島なおき君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。
 会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において
   十番   宮瀬 英治君 及び
   六十八番 神野 次郎君
を指名いたします。

○議長(高島なおき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(新美大作君) 平成二十七年六月二日付東京都告示第九百三十四号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。
 また、同日付で、本定例会に提出するため、議案二十三件の送付がありました。
 次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例及び東京都都税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例外四件の報告及び承認について依頼がありました。
 次に、平成二十七年第一回定例会の会議において同意を得た教育委員会教育長、収用委員会委員、収用委員会予備委員、固定資産評価審査委員会委員及び公害審査会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
 次に、教育委員会教育長より、平成二十七年中における東京都議会説明員について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき通知がありました。
 次に、知事及び労働委員会会長より、先般の人事異動に伴う東京都議会説明員の変更及び説明員の委任の変更について、地方自治法第百二十一条及び会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
 次に、平成二十七年三月三十日付で変更のあった東京都国民保護計画の提出がありました。
 次に、平成二十六年度東京都一般会計予算外三件の明許繰越について、平成二十六年度東京都一般会計予算外一件の事故繰越について及び平成二十六年度東京都中央卸売市場会計予算外七件の繰り越しについて、それぞれ報告がありました。
 次に、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が二件ありました。
 内容は、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例外一件の報告について並びに訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告についてであります。
 次に、監査委員より、例月出納検査の結果について報告がありました。
 また、監査結果に基づき知事等が講じた措置に関する報告がありました。
(別冊参照)

○議長(高島なおき君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。
 第一回定例会に提出されました文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。
文書質問趣意書及び答弁書は本号末尾(九ページ)に掲載〕

○議長(高島なおき君) 次に、閉会中の議員の辞職について申し上げます。
 去る四月七日付をもって、渋谷区選出村上英子さんより、議員を辞職したい旨、届け出がありました。
 本件は、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、議長において、同日付をもって辞職を許可いたしました。

○議長(高島なおき君) 次に、先般、教育長に就任されました中井敬三君をご紹介いたします。
 教育長中井敬三君。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 平成二十七年第一回都議会定例会におきまして、教育長の任命にご同意をいただき、四月一日付で拝命いたしました中井敬三でございます。
 教育の分野はさまざまな課題がございますが、子供たちの状況に応じた施策を的確に実施し、我が国、そして東京の将来を担う人材をしっかりと育成できるよう全力で取り組んでまいる所存でございます。
 都議会の皆様方のご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

○議長(高島なおき君) 以上をもって教育長の紹介は終わりました。

○議長(高島なおき君) 次に、先般の人事異動に伴い異動のありました説明員の方々をご紹介いたします。
 財務局長長谷川明君、環境局長遠藤雅彦君、労働委員会事務局長櫻井務君。
〔理事者挨拶〕

○議長(高島なおき君) 以上をもって説明員の紹介は終わりました。

○議長(高島なおき君) 次に、閉会中の議会運営委員の欠員の補充について申し上げます。
 議員の辞職に伴い、同委員に欠員が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、去る四月七日付をもって、相川博君を指名いたしました。

○議長(高島なおき君) 次に、閉会中のオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員の欠員の補充について申し上げます。
 議員の辞職に伴い、同委員に欠員が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、去る四月七日付をもって、秋田一郎君を指名いたしました。

○議長(高島なおき君) 会期についてお諮りいたします。
 今回の定例会の会期は、本日から六月二十四日までの十六日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、会期は十六日間と決定いたしました。

○議長(高島なおき君) この際、知事より発言の申し出がありますので、これを許します。
 知事舛添要一君。
〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 平成二十七年第二回都議会定例会の開会に当たりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会の皆様と都民の皆様のご理解、ご協力を得たいと思います。
 天皇皇后両陛下におかれましては、去る五月二十六日、戦争で亡くなられた方々を慰霊し、平和を祈念されるため、東京都慰霊堂に行幸啓されました。高島なおき都議会議長とともに両陛下をお迎えし、空襲被害の状況などをご説明申し上げました。都民を代表して心からの感謝を申し上げます。
 さて、戦後七十年、日本は敗戦の焼け野原から高度経済成長をなし遂げ、世界有数の経済大国という地位を手に入れました。その中で、一九六四年の東京オリンピックは、日本の経済成長を進め、工業化、モータリゼーション社会を現出いたしました。経済的豊かさという一つの目標を国民全体で共有し、突き進んで行った時代であります。
 しかし、それから五十年以上を経て行われる今回の大会は、当時とは異なり、成熟都市での開催であります。経済的豊かさだけでなく、真に生活の質を重視する、ゆとりある生活が求められております。社会の成熟に応じて発想を転換していかなければなりません。
 例えば、高齢化が進む中で、歩道橋や間隔の短い信号が足腰の弱くなった高齢者の支障になるということも考えられます。自動車優先のモータリゼーション社会から、自動車だけでなく、自転車、歩行者が共存するディモータライゼーション社会へと変えていかなければなりません。
 少子高齢化、人口減少が急速に進む現実と向かい合い、誰もが意欲と能力を十分に発揮して活躍できる都市をつくる。社会の変化にしっかりと対応するためには、長期ビジョンで具体的に示しました十年後の姿の、さらにその先を見据えた東京のあるべき将来像を描いていく必要があります。
 そこで、既に検討に着手しております都市づくりのグランドデザインの策定に加えまして、二〇四〇年代の東京の生活像に着目した検討を開始いたします。
 四半世紀以上先の都民の生活には、さまざまな可能性が考えられます。広く会議を興し万機公論に決すべし。将来のイメージを固めていくために、今月中にも検討委員会を立ち上げ、まちづくりのみならず、医療福祉、芸術文化、ビジネス、働き方、科学技術など広範な議論を外部の有識者や専門家と展開してまいります。最終的には、都市づくりの分野も含め、東京のグランドデザインとしてまとめていきたいと思います。
 東京をより進化した成熟都市へと高めるのがパラリンピック大会の開催であります。先週末のIPC理事会では、フィリップ・クレイヴァン会長から、東京大会への大きな期待が述べられました。パラリンピック開催都市には、障害の有無にかかわらず同じように生活ができるバリアフリーの環境を整えることが求められております。他者への理解や配慮が広がり、ノーマライゼーションが実現した都市になって初めて、東京は世界一を標榜できると思います。
 現在、国や組織委員会とともに、障害のある人も利用しやすい大会施設などの基準を検討しております。車椅子席の配置や通路の確保、座っていても見やすい席の高さなど設計を工夫することで、全ての人が安心して競技の興奮を味わえるものにしてまいります。
 心のバリアフリー、情報面でのバリアフリーも進めてまいります。
 小中学生へのユニバーサルデザイン教育やバリアフリーマップの作成といった区市町村の取り組みを支援し、二〇二〇年までに都内全域に拡大したいと思います。ユニバーサルデザイン情報を一元化したウエブサイトも今年度中に構築するなど、総合的に推進してまいります。
 また、大会のレガシーとして、障害のある人もない人も、ともにスポーツを楽しむ社会を残したいと思います。例えば、スター選手にフォーカスした番組をテレビで発信すれば、障害者スポーツの魅力を広く伝えることができると思います。さらには、施設の確保や競技団体への支援、指導員の育成にも力を入れることで、パラリンピックムーブメントを創出してまいります。
 東京の将来像の前提となるのが二〇二〇年大会の成功であります。
 昨年の第二回都議会定例会で、喫緊の課題として競技会場計画の見直しを表明して以来、森会長を初め、組織委員会とともに再検討作業を進めてまいりました。二月のIOC理事会では、十八競技の会場計画が了承されております。そして昨晩、スイスのローザンヌで開催されました理事会において、残る十競技のうち、自転車とサッカーを除く八競技の了承が得られました。これにより、会場計画全体の見直しにめどをつけることができたと思います。都議会の皆様を初め、多くの関係者のご理解、ご協力に感謝申し上げます。今後、大会の成功に向けて準備をさらに加速させていきたいと思います。
 現在、ハード、ソフトの両面から、大会後のレガシーを見据えた二〇二〇年までの取り組みを検討しております。都議会の皆様との議論も踏まえた上で、ことしじゅうに取りまとめ、組織委員会が策定するオールジャパンのレガシー計画にも反映させてまいります。東京都が整備する新規の競技施設については、先週、後利用の方向性を打ち出しました。今後、スポーツ施設整備の早い段階から民間の知恵とノウハウを取り入れるという画期的な手法で、大会後の具体的な運営計画を策定してまいります。
 大会開催におきましては、テロ対策を初め、安全・安心の確保が最優先であります。レガシー委員会の中に、安全・安心部会を設置し、治安対策、サイバーセキュリティー、災害対策、感染症対策の視点から検討を進めてまいります。さまざまな課題を抽出しつつ、国や組織委員会との連携も強化いたします。
 また、多くの人が参加し、自分の大会だと思うことなくして、オリンピック・パラリンピックの成功はあり得ず、ボランティア文化を東京に根づかせていかなければなりません。来週末から、ボランティアが外国人旅行者に声をかけ、外国語で案内を行う街なか観光案内を、新宿駅、上野駅周辺を皮切りに開始いたします。ユニホームを着て外国人をガイドする姿が、東京のボランティア機運をさらに高めていくものと期待しております。
 リオデジャネイロ大会も、あと一年余りに迫ってまいりました。終了後には、世界の目は東京大会に集中することとなり、文化の祭典、文化プログラムも始まります。これに先駆けまして、東京都が実施するリーディングプロジェクトでは、伝統文化の体験プログラムや、さまざまな分野の芸術家が一堂に集結する東京キャラバン、障害者アートプログラムなど、自由で多彩な表現の世界を展開していきたいと思います。リオデジャネイロの地でも、次回大会の開催地である東京を強力にアピールし、二〇二〇年への勢いをつけていきたいと思います。
 国立競技場の建てかえについて申し上げます。
 先月、下村文部科学大臣から協力の要請があり、その際、新国立競技場の屋根や座席、整備費など、これまで明らかにされてなかった事態が述べられました。私のみならず、全国民が驚いたことと思います。この施設は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの主要な会場であります。国がそのことを肝に銘じ、危機感を持って整備に取り組まなければ、日本全国、そして世界中の期待を裏切ることになります。開催都市の知事として看過することはできません。
 国立競技場は国立である以上、その建てかえは原則として国の費用で行うべきであります。東京都に協力を求めるならば、都民にどのようなプラスがあるのか、そのための情報を国が提供するのは当然であります。この問題について、政府は透明性を確保し、公平な視点から国民的合意を形成すべきであります。時間は限られておりますが、政府がしっかりと対応するのであれば、東京都としても、できる限りの協力をしていきたいと考えております。
 東京のグランドデザインを描く上での大きな柱は、安全・安心、超高齢社会への対応、機能的なまちづくりだと思っております。とりわけ生命と財産を守る安全・安心、これを第一に考えなければなりません。
 先般のネパール地震では、甚大な被害が発生し、警視庁、東京消防庁の部隊も現地で救助活動を行いました。東京でも小笠原諸島沖でマグニチュード八を超える地震が発生しました。今後、三十年以内には七〇%の確率で首都直下地震が起こると予測されております。特に、木密地域は、東京の防災上最大の弱点であります。現在、不燃化特区の取り組みや、特定整備路線の整備を強力に進めており、特区は五十二地区に拡大いたしました。しかし、細い道路が存在したり、敷地の狭い建物の建てかえが進まないといった課題は、依然残っております。
 そこで、今年度中に防災都市づくり推進計画を改定し、都市計画制度を活用した新たな方策などを盛り込んで、各地域を安全な市街地へとつくりかえる道筋を示してまいります。
 さらに、都民一人一人の自助の力を高めるため、都民の備蓄推進プロジェクトとして、各家庭における備蓄を促してまいります。ふだんの生活で使っている食料品などを少し多目に備えておく日常備蓄という新たな考え方を提唱し、備蓄に対するイメージの転換を図りたいと思います。また、十一月十九日を備蓄の日として設定することで、機運の醸成を図ってまいります。
 集中豪雨への備えとして、土砂災害のおそれがある区域の基礎調査も急ピッチで進めております。一昨年の台風で大きな被害を受けた大島町全域の調査を先般完了いたしました。都内で最も危険箇所が多い八王子市内でも調査を終えた区域の結果を公表し、また、先月末には、市と合同で風水害対策訓練を実施しております。平成二十九年度までに、都内全ての箇所の基礎調査を完了し、公表することで、警戒避難体制の整備につなげてまいります。
 感染症対策につきましても、暑い夏を前にデング熱対策を強化しております。蚊のウイルス保有調査を例年より二カ月前倒しで実施し、対象エリアも拡大いたしました。また、全国初の取り組みとして、感染リスクの高い地点を地図情報に落とし込み、ホームページで公表してまいります。韓国で感染が広がっておりますMERSに対しても、都内での患者発生に備え、国と連携しながら、万全の体制で臨んでまいります。
 昨今、危険ドラッグや振り込め詐欺などの特殊詐欺、子供の連れ去りなど弱者が被害者となる犯罪が都民の暮らしを脅かしております。
 本定例会には、安全・安心まちづくり条例の改正案を提案しており、喫緊の課題である通学路の安全確保、危険ドラッグや特殊詐欺の根絶への対応などを定めております。
 通学路の安全確保では、警察や学校、地域等が連携して取り組む規定を設けます。隣近所のきずなで元気な高齢者が子供の通学を見守れば、子供の規範意識の向上や地域の力の再生などにもつながると思います。
 危険ドラッグや特殊詐欺につきましては、犯罪の温床となる拠点をつくらせないよう、都内のビルやマンションなどを貸さないとする規定を盛り込みました。先月、協定を結びました不動産業界団体とも力を合わせ取り組んでまいります。
 また、都内の交通事故の死者数が増加傾向にあり、警視庁を中心に対策を強化しております。今年度末には交通情勢の変化に対応した交通安全計画の改定も予定しております。超高齢社会の到来やICTの進展なども踏まえた検討を行い、東京都全体での取り組みを進めてまいります。
 都庁舎は、都民に開かれたシティーホールであると同時に、都政の中枢、いわゆるヘッドクオーターであります。その都庁舎がテロの標的となった場合、首都機能の麻痺を招き、混乱は東京だけにとどまりません。都民サービスとセキュリティー、この二つのバランスに十分配慮しながら、都庁舎の警備体制を強化していきたいと思います。都民の皆さんにはご理解、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 昨年度末、都の高齢者施策の基本方針となります新しい高齢者保健福祉計画を策定いたしました。今回の計画では、団塊の世代が七十五歳以上となる平成三十七年を見据えまして、初めて中長期の推計を行っております。例えば、今後十年間で要介護の高齢者が二十万人ふえ、介護職員も十万人ふやすことが必要になります。介護サービス基盤の整備を初め、成熟都市にふさわしい施策を展開してまいります。
 大都市における施設整備の最大のハードルは土地の確保であります。昨年度創設しました都有地貸し付けの減額制度を適用し、先般、北区で保育事業者が決まりました。また、先週には、交通局の用賀寮跡地に、保育所や高齢者住宅などを整備する事業について、土地の借り受け者が決定いたしました。これは、公営企業用地を活用した福祉インフラ整備の第一号であります。今後も積極的に都有地の活用を図ってまいります。
 高齢者が地域で安心して暮らせる仕組みづくりも応援いたします。リハビリテーション専門職の知識、経験を生かし、地域の介護予防機能を強化してまいります。
 また、見守りや外出、買い物といった生活支援サービスの提供主体をネットワーク化し、一人一人に最適なサービスを実現するコーディネーターを養成いたします。元気な高齢者が地域の福祉サービスを担う取り組みを行っている区市町村を支援するなど、高齢者が地域の担い手として活躍できる環境整備にも力を入れてまいります。
 機能的で魅力あふれるまちづくりも進めてまいります。都市活動を支える交通は、利用者本位のものに変えていかなければなりません。例えば、新宿駅では、乗りかえの利便性を高めるために、交通事業者や施設管理者と協議会を立ち上げ、案内サインの改善やバリアフリーの充実に取り組んでまいります。
 また、自転車で東京を安全に楽しむことができるよう、二〇二〇年大会の競技会場や主要観光地周辺の七地区に自転車推奨ルートを設定いたしました。国道、都道、区道、市道の区別なく自転車が走りやすい空間を二百キロメートル規模で整えてまいります。
 両国の防災船着き場を一般の船舶の利用に開放するなど、舟運の活性化にも取り組んでおります。こうした具体的な施策を順次実現しながら、ほかの地域にも拡大するため、来月には、有識者や交通事業者等をメンバーとする推進会議を立ち上げ、交通戦略の効果的な展開について検討してまいります。
 都市機能を格段に高めるのが三環状道路であります。首都高速中央環状線の全線開通後一カ月時点の調査では、新宿─羽田空港間が四十分から十九分に短縮し、中央環状線内側の渋滞損失時間は五割減って、周辺の渋滞も緩和されました。並行して走る一般道でも大型車の通行量が減少し、歩行者の安全が高まっております。外環道の整備についても、二〇二〇年大会開催までに開通するよう国に強く求めております。
 渋滞がない世界初の大都市を目指しまして取り組んでいきたいと思います。空の玄関口である羽田空港へのアクセス、羽田空港の機能強化にも引き続き取り組み、都市としての総合力を向上させてまいります。
 東京の交通体系に新たな交通手段も組み込んでまいります。選手村や競技会場のある臨海部と東京の中心部とを結ぶBRTについて、先般、基本計画を取りまとめ、今後、これに基づく運行事業者の公募を行ってまいります。年度内には事業計画を策定し、燃料電池バスの導入計画や停留施設に正確に停車するシステムなど、最先端技術を実用化する道筋を示してまいります。二〇二〇年大会の象徴的な交通機関として、そして日本が誇る高い技術のショーケースとして、全世界に発信したいと考えております。
 大会成功の先に大きく姿を変えるまちが神宮外苑地区であります。この地域はスポーツのメッカであり、またイチョウ並木に代表されるように、都市と自然が一体となった独特の景観が都心のオアシスとして多くの都民に親しまれております。豊かな緑を保ちながら、野球場、ラグビー場に加えて、商業、文化機能を兼ね備えたスポーツの一大拠点へと生まれ変わらせ、次世代に継承いたします。二〇二〇年大会の終了後、直ちに再整備に取りかかれるよう、明治神宮など基本覚書を締結した六者と具体的な協議を行ってまいります。
 池袋駅周辺地域の都市再生にも着手いたします。先般、国に対して、国際競争力の強化を図る特定都市再生緊急整備地域への指定を申請いたしました。指定による特例を活用して、歩行者中心の空間の拡大や木密地域解消の一層の推進、エリアマネジメントによるにぎわい創出、国際アートカルチャー都市の形成などを進めてまいります。
 こうした都市再生の動きを税制面からも後押しするため、本定例会に、わがまち特例に係る都税条例の改正案を提案しております。よろしくご審議のほどお願いいたします。
 都立公園の多面的な活用も具体的に前へと進めております。第一弾として、前回大会のレガシーでもあります駒沢オリンピック公園に、来園者が食事を楽しめるレストランやカフェを誘致すべく、現在、事業者の公募を行っております。公園に新たな楽しみ方をプラスし、さらなるにぎわいを創出してまいります。
 生活が多様化した都市にある公園だからこそ、そのあり方もさまざまであると思います。緑を守りながら、保育所やデイサービス施設といった福祉施設を導入すれば、先ほど申し上げました大都市での土地の確保というハードルを越えていくことにもつながります。都立公園の持つ可能性を大いに引き出してまいります。
 丸の内や日本橋地区では、ゆとりや豊かさが感じられる歩行者中心の都市空間の創出に向けて動き出しております。先月末から日本橋室町の仲通りで試行的に車両の交通規制を開始しており、丸の内の仲通りでも夏を目途に実施いたします。荷さばきや荷物の搬入といった周辺の商業活動を含めて、地元への影響を検証し、特段の支障がなければ年間を通じて行ってまいります。日比谷地区を初め周りの地区への拡大も検討するなど、安心してまち歩きを楽しめる空間をふやし、東京の魅力を一層高めていきたいと思います。
 成熟の中で成長を続ける東京の基礎を着実に築いてまいります。
 都民生活向上のためには、活発な経済活動が欠かせません。二〇二〇年という通過点の先に、さらなる経済の拡大を実現したいと思います。とりわけ現代は、経済が国境を越えて動くボーダーレス時代でありまして、国際ビジネスへの対応が鍵を握ります。中世ドイツのことわざに、都市の空気は自由にするというものがありますが、東京の空気は富を生む、そう認識されることが重要だと思います。
 四月一日には、国と協力して、東京開業ワンストップセンターを設置し、その前日には、安倍総理や国家戦略特区担当の石破大臣と開所式に出席してまいりました。外資系企業、ベンチャー企業の開業手続が一元化され、会社設立に要する時間が大幅に短縮されます。これは開かれたビジネス環境の実現に向けた大きな一歩であると思います。引き続き、各国大使館や金融機関などと連携したPRを実施し、今後は、利用者の声を取り入れたサービス向上にも取り組んでまいります。
 また、同じフロアにありますビジネスコンシェルジュ東京では、外資系企業に商談、マッチングの機会を提供し、すぐれた技術を持つ都内の中小企業とも結びつけてまいります。ぜひ、多くの方々に利用していただき、ビジネスチャンスをつかんでもらいたいと思います。
 東京国際金融センターの実現に向けた取り組みも進めております。東京都は、資金調達手段の多様化と調達コストの低減のため、外債を発行しております。これを今般、海外市場に加えまして、東京プロボンドマーケットに同時に上場いたしました。海外の金融関係者に利便性の高いこのマーケットを活性化することで、東京市場の存在感を高めてまいります。また、今年度の公金管理計画では、運用先に外国銀行を加えるなど、効率的な公金管理と同時に、国際金融市場の活性化も図っております。
 羽田空港周辺では、二〇二〇年に向けた国際ビジネス拠点の形成を目指し、空港跡地の基盤整備も含めて、国や地元自治体、近隣自治体と連携して取り組んでおります。医療を初めとした先端産業と中小企業とのマッチング、クールジャパン情報の発信などの拠点整備について特区の手法を活用し後押ししてまいります。日本橋をライフサイエンスの拠点にする取り組みも着実に進めるなど、新たなビジネスチャンスを生み出し、世界から人材、企業を東京に呼び込んでまいります。
 また、長時間労働や低水準の休暇取得率が当たり前という高度経済成長時代にしみついた働き方を見直し、生産性を向上させていかない限り、成熟の中での成長は望めないと思います。とりわけ女性が生き生きと活躍できる環境を整えていかなければなりません。
 先月開催した東京の成長に向けた公労使会議では、共同宣言を採択し、出産や育児などに柔軟に対応できる制度の構築や労働時間の見直しに向けて機運の醸成を図っていくことになりました。公労使の三者が一丸となってワークライフバランス、仕事と生活の調和を図り、働く人が意欲と能力を十分発揮できる成熟した先進都市を目指してまいります。
 昨年一年間で都内を訪れた外国人旅行者は八百八十七万人で過去最高となり、前年比三〇%という大きな伸びとなりました。日本全体でも千三百万人を超えております。観光産業は裾野が広く、旺盛な外需を取り込むことができます。東京の一大産業として捉え、戦略的に振興を図っていくことがこれからの成長には欠かせません。
 東京の魅力を力強く海外へ発信するため、庁内の海外広報体制を強化しております。東京ブランドを効果的に発信していくブランディング戦略も三月中に策定し、推進会議を立ち上げ、ウエブサイトも構築いたしました。来月には、東京都MICE誘致戦略も策定し、国際会議を初めとするMICE誘致を加速してまいります。ターゲットとなります重点分野を明確化し、効果的な誘致活動を行うことで、海外の方が東京に集まる取り組みを進めていきたいと思います。
 海外から訪れる方々に東京のすばらしさをじかに体験してもらうことは、東京という都市を発信するのに大きな効果があると思います。都市外交の機会も活用して、ウオーターフロントの魅力、水の都東京といった新しい価値も知ってもらおうと思っております。さらには、東北地方を初め、日本全体での旅行者誘致も進め、リピーターを数多く生み出し、観光産業を一層盛り上げていきたいと考えております。
 五十年前の東京オリンピックは、高度経済成長を推し進めましたが、この経済成長は、交通渋滞や大気汚染といった都市問題も生み出しました。成熟都市で開かれる二〇二〇年大会の先には、環境と調和した持続的な成長を実現しなければなりません。その先導的な役割を担うのが水素社会の実現であります。これまでの戦略会議を改組して、新たに都市開発事業者などをメンバーに加えた東京推進会議を来月設置し、官民一体となって具体的な取り組みを進めてまいります。この夏には、燃料電池バスの実証実験を行い、今後の普及促進につなげていきたいと思います。都の関連用地を活用して水素ステーションも整備するなど、取り組みを着実に進めてまいります。
 再生可能エネルギーの分野でも成果があらわれております。官民連携再生可能エネルギーファンドでは、神奈川県と埼玉県の太陽光発電所に加え、青森県の風力発電所が具体的な投資案件として決まりました。今後も東北地方を含め、豊富な自然を生かしたエネルギー事業に投資することで普及拡大を推進してまいります。
 エネルギー需給や大気環境など、近年の環境政策を取り巻く大きな変化に対応するため、七年ぶりとなります環境基本計画の見直しに着手しております。温室効果ガスの新たな削減目標の設定も含めた中間のまとめを十一月を目途に行い、年度内に策定してまいります。
 新鮮な食材を提供する農地は、都会に残る貴重な自然でもあります。また、東京の農業は、大消費地を身近に抱えるという利点を生かすことで、さらなる成長の可能性を秘めております。都市農業の振興と農地の保全を目的に、ことし三月、都市農業特区を国に提案いたしました。市街化区域内に農地を持つ三十九全ての自治体から参加表明を得ており、新たな都市農業モデルの構築により持続的な発展を図ってまいります。
 さらに、西多摩、島しょ地域の十三町村についても、国家戦略特区を活用し、地域の個性を伸ばす規制緩和策を提案いたします。都内全域に特区を拡大することで、東京が持つ潜在力を引き出してまいります。
 東京の成長を考えるに当たり、区部の倍の面積を有し、豊かな自然に恵まれた多摩地域には、大きな可能性があると確信しております。一口に多摩といいましても、地域、地域で強みがあり、魅力があり、また、課題を抱えております。地域の特性に応じて、産業、福祉、観光、まちづくりなど、さまざまな角度から振興策を進めております。
 今後も、多摩地域のポテンシャルを引き出すような市町村や地元の取り組みを支援し、それらを結びつけることで、多摩全体の力を高めていきたいと思います。
 横田基地へのオスプレイ配備について申し上げます。
 安全保障に関することは国の専管事項でありますが、米軍の運用に際しましては、地元住民の生活への最大限の配慮が必要であります。国の責任において、都を初め地元自治体や周辺住民に十分な説明責任を果たすとともに、安全対策の徹底と環境への配慮を米国に働きかけることを要請しております。
 教育は、国家百年の大計でありまして、東京と日本の成長を左右する重要な基盤であります。先般、都立国際高校が国際バカロレア認定校になりましたが、こうしたグローバル人材の育成など、個性や能力を伸ばす教育を充実してまいります。
 今年度から始まりました新たな教育委員会制度では、知事が総合教育会議を招集し、教育委員会と協議しながら施策の根本方針である大綱を策定することとなっております。第一回の会議を今月二十五日に開催し、今後、さまざまな課題についての議論を重ねることで、方針の具体的な内容を詰めてまいります。
 東京の発展を着実に進めるには、強固な財政基盤が不可欠であります。都の財政は、景気変動の影響を受けて税収が乱高下する宿命を負っておりまして、これを十分に踏まえた自律的な財政運営を行わなければなりません。
 一方、国は、法人事業税の暫定措置や法人住民税の国税化といった不合理な措置を、税源の偏在是正の名のもとに継続しております。さらに、国の財政健全化計画策定の議論の中では、地方全体の歳出削減に加え、税収の格差是正を唱えて、これまで以上に踏み込んだ主張も出始めており、都政を預かる者として強い危機感を抱いております。
 国がその場しのぎの対応を繰り返す限り、東京が幾ら頑張り、地方が幾ら知恵を絞ったところで、日本の発展にはつながりません。不合理な措置に断固反対するとともに、つじつま合わせではない本質的な議論を強く求めるものであります。
 地方が活力を取り戻していくことが重要であることは論をまちませんが、地方創生を大都市対地方という図式にゆがめ、東京の活力を奪うことは全くの間違いであります。東京も地方もともに栄えなければ、日本の将来に大きな損失をもたらすことにしかなりません。東京は、日本を牽引する機関車であります。政府は、財政健全化の達成に向けて高い経済成長を見込んでおりますが、東京にブレーキをかければ、日本全体がとまってしまうことになるのであります。
 東京だけでも地方だけでもなく、日本全体で創生を目指す。石破地方創生担当大臣と面談して、首都圏における高齢化、少子化といった問題への対応は、日本の将来像に大きな影響を与えるという点で認識を共有いたしました。
 そこで、先週、国と東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県が一堂に会し、地方創生の連絡会議を立ち上げました。私自身も出席いたしまして、小手先で終わらず大きな柱を立てて議論し、二十年、三十年、五十年先を見据えたベクトルの変換を考えようと提案し、石破大臣は、政府に対しても要求があれば出してほしいと応じました。
 高齢化、少子化に伴うさまざまな課題に対して、国や一都三県とも連携協力しながら対策を着実に進めてまいります。さらに、より長い時間軸で考えた場合、働き方やライフスタイル、空き家対策を含めた住宅政策、交通政策など、戦後七十年間、日本が歩んできたベクトルを大きく変えるべき時期に来ていると思います。データだけを並べて机上で国家の姿を描くのではなく、生活実感に基づく地に足のついた議論を展開しなければなりません。そして、日本を、人生のそれぞれの場面で多様な選択肢が用意されている国にしていくべきであります。
 人々の生活を見詰め、人々が活躍する土壌を整備し、そして、将来への政策を練り上げていくことは東京都の使命であります。後に続く世代もひとしく東京という都市で充実した人生を送り、東京を発展させていく。グランドデザインが必要となるのはそのためであります。都議会の皆様方と力を合わせ、子や孫の世代にも誇れる仕事をしっかりとなし遂げ、東京と日本の輝かしい二十一世紀を切り開いてまいりたいと思います。
 なお、本定例会には、これまで申し上げましたものも含めまして、条例案八件、契約案十一件など、合わせて二十八件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。
 以上をもちまして私の所信表明を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)

○議長(高島なおき君) 以上をもって知事の発言は終わりました。

○六十七番(山崎一輝君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会し、明十日から十五日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこれをもって散会し、明十日から十五日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、六月十六日午後一時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後一時四十分散会


文書質問趣意書及び答弁書

27財主議第106号
平成27年6月1日
東京都議会議長
高島なおき殿
東京都知事
舛添 要一

文書質問に対する答弁書の送付について
 平成27年第一回東京都議会定例会における下記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。

宮瀬英治議員
山内れい子議員
里吉ゆみ議員
尾崎あや子議員
徳留道信議員
河野ゆりえ議員
大島よしえ議員
斉藤あつし議員

平成27年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 宮瀬英治

質問事項
一 都の都市再生への取組について
一 都の都市再生への取組について
 都の都市再生への取組についてお伺いいたします。
 高島平地域は東京の人口流入による住宅不足解消の受け皿として、昭和40年代後半から昭和50年代前半にかけて一斉に都市が誕生した地域です。高島平のシンボルである高島平団地を例に取れば、竣工当初は20代から30代前半のファミリー世代が多く転入したため、にぎわいと活力にあふれておりました。しかし既に43年が経過、公共施設や都市基盤施設、団地が一様に老朽化し、生産年齢人口が減少しています。また団地がある高島平2丁目、3丁目に限って言えば、老年人口割合が約4割を超え他の区の地域に比べ増加率も2倍のスピードで推移するなど老年人口も増加しつづけています。
 そのため新たに発生する地域課題とともに、将来の課題も予測しながら新たな持続可能な都市への転換が喫緊の課題です。そこで、訪れたくなる、住みたくなる、働きたくなる、暮らし続ける高島平を将来像とし、板橋区では今年2月「高島平地域グランドデザイン素案」を公表いたしました。その素案の中において、高島平地域内の都立公園、都営地下鉄、都営住宅、板橋市場等、東京都の関連施設が多く見受けられる。都有施設は、地域住民と密接に関わっています。
 そこで以下について伺います。
1 高島平地域のまちづくりについて今後、都としても板橋区と連携をしながら新たな地域発展に積極的に貢献すべきと考えるが、所見を伺う。また現在、板橋区からはどのような要望が都にきているのか、また、どう関わるのか伺う。
2 素案では、都営三田線の高島平駅等四駅を中心とした利便性の高い都市の生活核の形成などを目指すこととしている。そこで、高島平地域と関わりが深い、都営地下鉄における今後の対応について伺う。
3 素案では都営地下鉄三田線の高架下を、都市軸のリニューアルの新たな資源として捉えなおしている。今後、高齢者世代のための福祉施設、子育てのための保育所、新たな店舗誘致など地域の福祉やにぎわいのために板橋区、民間業者、地元住民等と連携しながら積極的に活用すべきと考えるが見解を伺う。また現在どのような要望があり、今後どう具体的に関わるのか伺う。
4 素案では「にぎわい」「ウェルフェア」「スマートエネルギー」「防災」という4つのテーマが重要であると掲げられているが、地域内に位置する板橋市場としてもこうしたまちづくりに貢献できる部分があるか伺う。
5 板橋市場は、東京都地域防災計画の中では、一時滞在施設の役割を担うこととなっており、防災上、重要な施設と考えているが、老朽化が進んでいる板橋市場の施設の耐震性など震災対策について伺う。
6 高島平では、若者世代や子育て世帯が魅力を感じるまちとなることを目指している。都立赤塚公園は、この高島平地域の中心にある公園であり、都内最大のニリンソウ自生地や大きく育った樹木により、地域住民にとって、なくてはならない緑豊かな憩いの空間となっている。一方、都は昨年12月、長期ビジョンを策定し、今後10年間で都立公園を新たに170ヘクタール開園するなどの方針を示し、豊かな環境や充実したインフラを次世代に引き継ぐ都市の実現を目指している。そこで、今後、赤塚公園の魅力をどのように向上させていくのか伺う。

平成27年第一回都議会定例会
宮瀬英治議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都の都市再生への取組について
1 高島平地域のまちづくりについて、今後、都としても板橋区と連携しながら新たな地域発展に積極的に貢献すべきと考えるが、所見を伺う。また現在、板橋区からはどのような要望が来ているのか伺う。

回答
 板橋区が公表した「高島平地域グランドデザイン素案」を踏まえ、今後、まちづくりに関して、区から相談があった場合には、適切に対応していきます。
 また、平成27年4月末現在、まちづくりに関する区からの要望は受けていません。

質問事項
一の2 素案では、都営三田線の高島平駅等四駅を中心とした利便性の高い都市の生活核の形成などを目指すこととしているが、都営地下鉄における今後の対応について伺う。

回答
 高島平地域における都営三田線は、高架区間であり、交通局は、高架下用地などを有しています。
 このため、今後、交通局の施設に係る具体的な要望などがあれば、地元区と協議し、可能な限り協力していきます。

質問事項
一の3 素案では、都営地下鉄三田線の高架下を、都市軸のリニューアルの新たな資源として捉えなおしており、今後、板橋区、民間業者、地元住民等と連携しながら積極的に活用すべきだが、見解を伺う。また、現在、どのような要望があり、今後、どのように関わるのか伺う。

回答
 現在、三田線高架部については、安全性をより高めるため、橋脚の更なる耐震補強を実施しています。
 耐震補強終了後の高架下用地の利用に当たっては、局の資産として有効利用を図りながら、店舗の設置などにより、にぎわいを創出していきます。
 また、今後、区から具体的な要望があれば、十分協議の上協力していきます。

質問事項
一の4 素案では「にぎわい」「ウェルフェア」「スマートエネルギー」「防災」という4つのテーマが掲げられているが、地域内に位置する板橋市場としても、こうしたまちづくりに貢献できる部分があるのか伺う。

回答
 近隣に高島平団地等がある板橋市場が卸売市場としての役割を果たすためには、地域の理解を得るとともに、周辺環境に配慮する必要があります。
 このため板橋市場では、小型特殊自動車の電動化や交通動線の整理を進めるとともに、廃棄パレットゼロ運動を実施するなど、周辺環境への負荷の低減に積極的に取り組んでいます。
 また、毎年秋に「板橋市場オータム・フェスティバル」を開催するなど、地域の方々との交流を図っています。
 今後とも、地域の方々の理解の下で、板橋市場が都民に生鮮食料品等を円滑に供給する役割を果たせるよう、積極的に努めていきます。

質問事項
一の5 板橋市場は、東京都地域防災計画の中では、一時滞在施設の役割を担うこととなっており、防災上、重要な施設だが、震災対策について伺う。

回答
 板橋市場は、震災発生時の一時滞在施設として、最大52人の帰宅困難者の受入れが可能となっています。
 また、震災発生時においても、板橋市場が生鮮食料品の供給確保の役割を果たせるよう、発災時から初動体制が整えられるまでの3日間、卸売場等の照明に必要な電力を確保することを目的に、平成19年度に非常用発電設備を設置しました。
 板橋市場の防災上の位置付けなどを踏まえ、今後とも、震災対策に取り組んでいきます。

質問事項
一の6 都立赤塚公園は、地域住民にとって、なくてはならない緑豊かな憩いの空間となっているが、今後、赤塚公園の魅力をどのように向上させていくのか伺う。

回答
 都立赤塚公園の魅力を高めるため、今後、開園区域を広げるとともに、子供から高齢者まで幅広い世代が元気に楽しく体験や学びができるよう、ニリンソウや赤塚城址を活かした自然観察会やガイドウォークなどを含む誰もが気軽に参加できる多様なイベントを積極的に開催していきます。

平成27年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 山内れい子

質問事項
一 多摩地域の水道に使われている地下水について
一 多摩地域の水道に使われている地下水について
 多摩地域の水道は、水源用井戸から汲み上げた地下水を浄化した河川水とブレンドして供給しています。多摩地域の中でも地下水脈の状況は地域によって違い、各自治体が水道事業を担っていた歴史的経過を背景に、地下水揚水量およびブレンド率は場所によって異なっています。
 ところが近年、地下水揚水量が減少しており、統合自治体全体で3割近くだったブレンド率が2割ほどにまで下がっています。住民からは、水の味が変わったという声も寄せられました。東京都水道局は、地下水利用を継続していくために、老朽化した井戸の掘り替えやポンプ補修などを実施していますが、揚水量はなかなか戻りません。
 そこで、いくつかの市における揚水の状況と今後の見通しについて伺います。
1 国立市は、2007年度あたりから減少傾向で、2013年度は10年前の64%程度になっています。この原因と今後どれくらいの揚水量を見込めるのか伺います。
2 国分寺市は、2010、2011年度大きく減少し、その後少し回復しましたが、10年前よりも年間で100万以上少ない状況です。この原因と今後どれくらいの揚水量を見込めるのか伺います。
3 小金井市は、2006年度以降ほぼ一貫して減少、特に2013年度は大きく減少し、10年前の4割程度となっています。老朽化した井戸のポンプを補修したと聞いていますが、減少の原因と今後どれくらいの揚水量を見込めるのか伺います。
4 調布市は、2008、2009年度大きく減少しましたが、2010年度には揚水量がほぼ戻りました。しかし、その後また減少しています。調布市では井戸の掘り替えを実施したと聞いていますが、この変化の原因と今後どれくらいの揚水量を見込めるのか伺います。
5 多摩地域の統合自治体全体では、2006年度あたりから減少傾向が続いています。今後年間揚水量1億程度に回復するのか、見通しを伺います。

平成27年第一回都議会定例会
山内れい子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 多摩地域の水道に使われている地下水について
1 国立市の地下水揚水量は、2007年度あたりから減少傾向であり、この原因と、今後、どれくらいの揚水量を見込めるのか伺う。

回答
 地下水揚水量の変化については、水質悪化、水位低下、掘替工事など維持補修工事等によるものです。
 将来の地下水揚水量については、各井戸水源の水質や水位、維持補修工事の状況等、井戸の状態に左右されるため、その見込みを明示することは困難です。

質問事項
一の2 国分寺市の地下水揚水量は、2010年度、2011年度に大きく減少し、10年前よりも年間で100万立方メートル以上少ない状況だが、この原因と、今後、どれくらいの揚水量を見込めるのか伺う。

回答
 地下水揚水量の変化については、水質悪化、水位低下、電気設備工事など維持補修工事等によるものです。
 将来の地下水揚水量については、各井戸水源の水質や水位、維持補修工事の状況等、井戸の状態に左右されるため、その見込みを明示することは困難です。

質問事項
一の3 小金井市の地下水揚水量は、2006年度以降ほぼ一貫して減少し、10年前の4割程度となっているが、減少の原因と、今後、どれくらいの揚水量を見込めるのか伺う。

回答
 地下水揚水量の変化については、水質悪化、水位低下、浄水所耐震化工事など維持補修工事等によるものです。
 将来の地下水揚水量については、各井戸水源の水質や水位、維持補修工事の状況等、井戸の状態に左右されるため、その見込みを明示することは困難です。

質問事項
一の4 調布市の地下水揚水量は、2008年度、2009年度に大きく減少し、2010年度にはほぼ戻ったが、その後、また減少している。この変化の原因と、今後、どれくらいの揚水量を見込めるのか伺う。

回答
 地下水揚水量の変化については、水質悪化、水位低下、浄水設備工事など維持補修工事等によるものです。
 将来の地下水揚水量については、各井戸水源の水質や水位、維持補修工事の状況等、井戸の状態に左右されるため、その見込みを明示することは困難です。

質問事項
一の5 多摩地域の統合自治体全体では、2006年度あたりから減少傾向が続いているが、今後、年間揚水量1億立方メートル程度に回復するのか、見通しについて伺う。

回答
 将来の年間揚水量については、各井戸水源の水質や水位、維持補修工事の状況等、井戸の状態に左右されるため、その見込みを明示することは困難です。

平成27年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 里吉ゆみ

質問事項
一 高校就学支援金制度の改善について
一 高校就学支援金制度の改善について
 高等学校授業料の無償化の一歩がようやく2010年度より実施され、2012年政府は長年懸案とされてきた国際人権規約の「高等教育の漸進的無償化」の条項を受け入れ批准しました。
 高い学費を引き下げ奨学金制度を拡充することは憲法と教育基本法が定める教育の機会均等への道のりでもあり、国際人権規約を批准した国の責任でもあります。
 しかし国は2014年度より所得制限を導入し、保護者の一方が働き子どもが2人いるモデルの世帯で910万円以上の所得の家庭の生徒は、授業料は全額自己負担となりました。そのために年11万8800円(公立高校の授業料と同額)の高校就学支援金を受け取るには「高等学校等就学支援金申請書」と前年度分と当該年度分の「課税証明書」を2回分提出しなければならないなど、家庭にとっても学校にとってもその手続きは、複雑で大きな負担になっています。
 さらに就学支援金と同時に特に低所得対策として今年度から開始された奨学のための給付金も、就学支援金とは別の申請が必要です。私立高校は、その他に都独自の授業料軽減補助がありますから、さらに複雑になります。学校関係者からは「1回の手続きで、どちらの申請手続きも終わらせられないか」「手続きが複雑で、わかりにくいため、片方だけの申請しか行わない保護者もいて大変」などの声があがっています。
 ある私立高校では、年度末になって未納学費の相談で保護者と連絡を取ったところ、就学支援金が受け取れる対象だったにもかかわらず、申請をしていなかったことがわかったそうです。以前の制度であれば、入学直後に生徒に申請書を書いてもらい、誰一人もらいそびれることなく就学支援金を受け取ることができました。学校事務の方は、「低所得に支援が増えたことは良いことだと思うが、一番大変な家庭の生徒が申請漏れで受け取れない今の制度はやはり困る」と訴えていました。特に今年度は初年度ということもあり、大きな学校事務負担となったと聞いています。
1 都立高校、私立高校それぞれで、書類不備や、書類が出せなかった、出さなかったなどの理由で支援金が受け取れない等の影響を受けたケースを把握しているかどうか伺います。
2 全ての意思ある高校生が安心して勉学に打ち込める社会をつくるという制度の趣旨にてらせば、資格のある生徒は全員受けられるような改善が求められると思いますが、いかがですか。
3 私立高等学校での、就学支援金、都独自の授業料補助(特別奨学金)、奨学給付金の三つの制度は創設の経緯も異なる制度で、申請もそれぞれ違う書類が必要となっています。しかも、より支援を必要としている低所得の方ほど、時間的にも他の面でも余裕がない場合が多く、たくさんの書類を読んで、理解して、申請を何回も出すというのは大変な作業です。
 手続きを一回でまとめてできるようにするなど、さらに簡素化できないでしょうか。都の今後の対応について伺います。
 就学支援金制度の申請では、申請にあたり保護者が離婚している場合は、何年何月何日に離婚したから課税証明は一人分しか出せませんと書くように指示されていることが、国会で問題になりました。
4 来年度に向けて改善していただきたいと思いますが、運用の変更なども含めてどのようにするのか伺います。
 私立学校では、以前の制度では6月には就学支援金が学校に支給されていましたが、新制度になって11月以降になりました。
 所得制限のなかった昨年度までは、全員に同額11万8800円の就学支援金が支給されたので、授業料と就学支援金を相殺した金額を請求することができました。しかし所得制限が導入され、就学支援額も4段階になり、一人一人への請求額が定まりません。結局全員に授業料を全額請求して、あとから就学支援金を各家庭の口座に返すという学校もいくつもありました。
5 支給決定を迅速に行えるよう国とも協議して取り組むべきです。見解を伺います。
6 私立学校の事務手続きの簡素化や事務費も含めた支援の充実を求めます。
7 都立高校でも、制度の周知や申請書類の受け付け、就学支援金が入金されたときに授業料に充当する事務手続きなど、学校での事務の負担が増えています。困難を抱える家庭の生徒の多い学校では、制度をわかってもらうだけでも大変な苦労があると聞いています。学校の負担を減らせるよう、事務の改善を求めます。
8 また都立高校の事務職員の削減はおこなうべきではありません。専門学科や全定併置の高校の事務職員の定数を削減前に戻すことを求めます。
9 都内の高校には外国人の子どもも多く在籍しています。これらの保護者が制度を正確に理解できるよう、都教委として、漢字にふりがなのついたパンフレットや、英語、中国語、韓国語、タガログ語、ポルトガル語などさまざまな言語でのパンフレットや申請書を作成し、学校が説明しやすく、また保護者が申請しやすくする配慮を求めます。いかがですか。
10 都立高校でもひとり親の場合の理由の記入について配慮が必要です。また、都立高校では就学支援金の申請者が生徒本人とされ、家計状況をどこまで子どもに知らせるかはその家庭の方針により様々であるのに、配慮が足りないのではないかという指摘もありました。来年度は改善していただきたいと思いますが、運用の変更なども含めてどのようにするのか伺います。
 就学支援金を受けられるのは、在学期間が通算36か月(全日制の場合)であることから、退学してもう一度別の高校に入り直すなど、卒業までに通算36か月を超える場合の制度として2年を上限とする学び直し支援金制度(国制度)が創設されました。支援を受けられる期間が長くなるのは良いことですが、制度がより複雑になり、また在学期間の確定など事務作業もより煩雑になっています。
11 生徒や保護者に、在学期間が36か月を超えても支援金を受けられることをきめ細かく周知することを求めます。同時に制度をより複雑にするのでなく、学ぶ意欲のある生徒を支援するのであれば、在学期間を区切らずすべての高校生を就学支援金の対象にするなどの改善を国に求めるべきです。いかがですか。
12 奨学給付金の金額が、第1子(国公立3万7400円、私立3万8千円)と第2子(国公立12万9700円、私立13万8000円)で異なること、居住地が都内でない場合は居住している県に申請が必要なことも、申請に必要な書類や手間を増やし、制度をややこしくしています。そもそも第1子であっても現在は第2子のみ対象となっている校外活動費などの支援は必要です。都として国に、少なくとも第1子と第2子とも現在の第2子の支給額に統一するよう要望することを求めます。
 学費無償化は世界の流れとなっています。また、所得制限を設けたために、もっとも困難を抱える家庭や生徒が申請手続きができず制度から遠ざけられるケースも生じています。
13 就学支援金の所得制限をなくしすべての高校生が受けられる制度にすることを国に要望するとともに、都の独自制度も含めた所得に応じて支援を手厚くする制度も、必要なすべての高校生が受けられるよう、また事務負担も軽減できるよう、国とも協議してわかりやすく単純な制度に改善していただくことを求めます。

平成27年第一回都議会定例会
里吉ゆみ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 高校就学支援金制度の改善について
1 高校就学支援金制度において、都立高校、私立高校それぞれで、書類不備や、書類が出せなかった、出さなかったなどの理由で、支援金が受け取れない等の影響を受けたケースを把握しているのか。

回答
 就学支援金制度は、受給の意思を有する生徒が、都道府県に対して受給資格の認定を申請する仕組みとなっており、都立高校、私立高校ともに全ての生徒へ申請手続のリーフレットを配布し、周知を図っています。
 都立高校では、申請意思の有無を確認した上で、申請書類が未提出の場合や書類に不備がある場合などには、教職員が保護者と適切に連絡を取り合っています。
 また、やむを得ない理由により課税証明書等を申請期限に提出できない場合には、期限延長などの対応をしています。
 私立高校では、各学校が取りまとめる申請書類の提出用封筒に保護者用のチェック欄を設け、提出書類の不備を防止しています。
 また、記載内容に不明な点等があれば、審査事務を行う公益財団法人東京都私学財団内の事務センターが保護者と連絡を取り合い、適切に対応しています。
 なお、生徒の申請意思の確認については、各学校が状況に応じて判断し、実施しています。

質問事項
一の2 資格のある生徒は全員受けられるよう改善すべきだが、見解を伺う。

回答
 就学支援金制度は、受給の意思を有する生徒が、都道府県に対して受給資格の認定を申請する仕組みとなっています。
 都においては、就学支援金の制度や手続についてリーフレットを作成し、各学校を通じて全生徒に配布するとともに、ホームページに掲載するなど、周知を図っています。
 また、申請意思のある生徒に対しては、申請期限に間に合うよう教職員等が保護者と連絡を取り合うとともに、やむを得ない理由がある場合には、課税証明書等の提出を申請期限後でも受け付けるなど適切に対応しています。

質問事項
一の3 私立高等学校での、就学支援金、都独自の授業料補助(特別奨学金)、奨学給付金の三つの制度は、申請にそれぞれ違う書類が必要であり、さらに簡素化すべきだが、今後の対応について伺う。

回答
 都では、私立高等学校等に通学している生徒の保護者の授業料等の負担軽減として、国からの法定受託事務である就学支援金、国庫補助事業である奨学給付金及び都独自の特別奨学金を実施しています。
 これらは、対象者などの支給要件や創設の経緯が異なる制度であることから、それぞれに申請が必要ですが、共通する証明書類等の添付は1枚でよいとするなど、申請手続の簡素化を図っており、今後も適切に対応していきます。

質問事項
一の4 就学支援金制度の申請では、保護者が離婚している場合、何年何月何日に離婚したから課税証明は一人分しか出せないと書くように指示されている。来年度に向けて改善すべきだが、運用の変更も含めて、どのようにするのか伺う。

回答
 国の制度である就学支援金については、申請様式や申請に必要な書類は、国が定めており、記載例についても国が示しています。
 平成27年度からは、国が申請様式を変更し、親権者1名分の課税証明書等を提出するときには、親権者の1名が控除対象配偶者である場合や、離婚、死別等の場合など、その状況について、あらかじめ記載されたものをチェックするのみの様式となっています。

質問事項
一の5 私立学校では、以前の制度では6月に就学支援金が学校に支給されていたが、新制度になって11月以降になった。支給決定を迅速に行えるよう、国とも協議して取り組むべきだが、見解を伺う。

回答
 改正前の制度では、生徒全員に一律で支給される118,800円について在校生徒人数分を4月に、審査が必要な低所得世帯の生徒の加算分については、10月に学校へ交付していました。
 国の制度改正により所得制限が導入され、26年度入学生からは低所得世帯の生徒だけでなく、就学支援金を受ける世帯の生徒全員について審査が必要となりました。
 学校へ交付するためには、審査を経て、各生徒の就学支援金額を確定する必要があり、交付は11月となっています。
 都は、保護者、学校及び都道府県の事務負担軽減の観点から、就学支援金制度及び事務手続を簡素化するよう国に要望しています。

質問事項
一の6 私立学校の事務手続きの簡素化や、事務費も含めた支援を充実すべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、公益財団法人東京都私学財団に事務センターを設けて、申請書類の確認や審査等の事務を集約し、私立学校の負担軽減に努めています。
 それでもなお、私立学校においては、申請書類の配布や保護者からの問合せ対応など、多くの事務があるため、都は学校に対する事務費補助を独自に交付しています。
 就学支援金制度は、国が導入し、実施しているものであり、その事務に要する経費も国の責任で措置すべきであることから、事務費の全額措置を国に求めています。

質問事項
一の7 都立高校でも、学校での事務の負担が増えており、学校の負担を減らせるよう、事務を改善すべきだが、見解を伺う。

回答
 平成26年度は、受給資格認定決定通知等の発送に必要な生徒の住所等の情報を、各学校の事務職員が直接電算システムに入力していましたが、平成27年度は、入力業務を業者へ委託化して、学校の事務を簡素化します。
 また、平成26年度は、申請書類を全て学校が直接受け付けていましたが、平成27年度においては、その申請手続の一部を都教育委員会が直接受け付け、教育委員会が書類確認と審査を集中的に行うことにより、学校の負担を軽減します。

質問事項
一の8 都立高校の事務職員の削減はおこなうべきではなく、専門学科や全定併置の高校の事務職員の定数を削減前に戻すべきだが、見解を伺う。

回答
 高等学校の事務職員については、都の教職員定数配当基準により配置しています。専門学科高校や大規模な全定併置校については、非常勤職員を配置して、学校の事務が円滑に行えるよう、適切に対応しています。

質問事項
一の9 外国人の保護者が制度を正確に理解できるよう、都教委として、ふりがなのついたパンフレットや、さまざまな言語でのパンフレットや申請書を作成し、学校が説明しやすく、また保護者が申請しやすくする配慮をすべきだが、見解を伺う。

回答
 文部科学省は、英語、中国語、韓国語、タガログ語など7か国語で制度案内を行うリーフレットを作成しています。
 都教育委員会は、平成26年度から、より詳細な支給手続に係るリーフレットを英語版及び中国語版で作成し、必要とする保護者に配布しています。
 また、日本語に不安のある保護者に配慮するため、漢字に平仮名のルビを振ったリーフレットを作成し、同様に、必要とする保護者に配布しています。
 これらのリーフレットを活用しながら、外国人の保護者に対しては、各学校で申請書の書き方について教職員が支援を行うなど、適切に対応しています。

質問事項
一の10 都立高校でもひとり親の場合の理由の記入について配慮すべきであり、また、就学支援金の申請者が生徒本人とされ、配慮が足りないとの指摘もある。来年度は改善すべきだが、運用の変更なども含めて、どのようにするのか伺う。

回答
 就学支援金の申請書の様式は、国が規則で定めています。
 国は、平成27年度から、申請書の様式を、離婚した日付などひとり親となっている事情を具体的に記入させる方法から、生徒が見ても理由が特定されない形での選択式に変更しました。

質問事項
一の11 高校を退学して他の高校に入り直した生徒が、卒業までに就学支援金の受給期間が通算36か月を超えた場合に、支援を受けられる制度として学び直し支援金が創設された。生徒や保護者に、36か月を超えても支援金を受けられることをきめ細かく周知すべきであり、同時に、在学期間を区切らず、すべての高校生を就学支援金の対象にするなどの改善を国に求めるべきだが、見解を伺う。

回答
 都立高校においては、他の高校を中途退学したのち、編入学した生徒が、就学支援金の受給期間が満了した後でも、学び直しのための支援が引き続き受けられるよう、編入学した学校から対象となる生徒に個別に周知しています。
 また、都教育委員会は、国に対し、修業年限を超えて在籍する部分などについて、生徒の学ぶ意欲と熱意に応えるため、就学支援金制度の対象とするよう既に提案しています。
 私立高校においては、各学校の設置者が異なることから、学び直しへの支援の対象となる生徒の過去の在籍状況や、就学支援金の支給実績の把握が、より困難であるなど、実施に当たっては、様々な課題があると考えています。

質問事項
一の12 奨学給付金の金額について、都として国に、少なくとも第1子と第2子とも、現在の第2子の支給額に統一するよう要望すべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、全国知事会の「平成27年度国の施策並びに予算に関する提案・要望」を通じて、国に対し第1子と第2子以降の支給額の差を解消するための見直しを行うことを既に提案しています。

質問事項
一の13 就学支援金の所得制限をなくし、すべての高校生が受けられる制度にすることを国に要望するとともに、都の独自制度も含めた所得に応じて支援を手厚くする制度も、必要なすべての高校生が受けられるよう、また、事務負担も軽減できるよう、国とも協議してわかりやすく単純な制度に改善すべきだが、見解を伺う。

回答
 平成26年度の法改正により、就学支援金制度に所得制限が導入されました。その趣旨は、所得制限を設けることで捻出された財源を低所得世帯への支援の充実や奨学のための給付金制度の創設などに充てることによって、低所得世帯の生徒等の高等学校教育に係る経済的負担を、より軽減することです。
 このため、国に対して高校授業料に係る所得制限の撤廃を求めることは考えていません。
 また、都は、私立高校について、効果的な修学支援を図る観点から、一定所得以下の保護者を対象に、所得に応じて授業料の一部を補助する特別奨学金を実施し、必要に応じて充実を図っています。
 なお、都は、就学支援金について、国に対し、制度や事務手続の簡素化を既に要望しています。

平成27年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 尾崎あや子

質問事項
一 アジアヘッドクォーター特区について
一 アジアヘッドクォーター特区について
 都がアジアヘッドクォーター特区事業を始めて、3年経ちますが、この間の実態についていくつか質問します。
 都が始めたアジアヘッドクォーター特区は、都が総合特区制度を活用し、アジア地域の業務統括拠点や研究開発拠点のより一層の集積をめざし、東京中心部の5つの地域に外国企業誘致プロジェクトをすすめると説明して始めたものです。
1 この事業は、アジアヘッドクォーター特区に関する「外国企業発掘・誘致事業」として委託契約しています。単価契約としながらも、通常の単価契約のように年間を通して複数にわたる物品納入を予定している場合にあらかじめ納入単価を契約するものとはなっていません。単価契約と銘打っていながら、一般の単価契約とは異なる契約形式になっている理由をお示しください。
2 その各年度の契約額は、2013年度は契約額約3億4千万円、2014年度は6億2千万円、2015年度は4億5千万円となっています。それぞれの事業の目的、事業費の内訳、事業の違いについてお答えください。
3 この事業は3年間とも「企画提案審査会で審査した結果、最も優れている」としてアクセンチュア株式会社と契約していますが、アクセンチュア株式会社以外の企画審査会参加企業は、各年度それぞれ何社でしたか。
4 この間の総務委員会資料によれば、その成功報酬は、2014年2月末現在の誘致数7社で112百万円、2015年2月25日現在の誘致数17社分で257百万円、2015年3月12日現在の誘致数19社分で287百万円と、発表されました。
 成功報酬の積算単価が、2年間の間に、また2014年度の契約では同じ年度でも異なることになります。その理由、実際の契約額を、それぞれお示しください。
5 東京都の入札経過調書によれば2013年度・平成25年度には2014年・平成26年3月11日に外国企業誘致事業(誘致対象企業からの支援依頼書の取得)に係わる業務委託として、アクセンチュア株式会社と798万円で特命随契されることになっています。さらに2014年・平成26年3月20日には、外国企業誘致事業(誘致対象企業からの投資計画書の取得)に係わる業務委託としてアクセンチュア株式会社と798万円で特命随契されることになっています。契約額は合わせて1596万円になりますが、この時の都が示した予定価格、その積算根拠、それぞれをお示しください。
6 年度末になってアクセンチュア株式会社と、この随意契約をすることにした目的は何ですか。
7 都は、この企業の「進出の意思決定」について、都の要綱等どのような手続きによって、その企業として直接、確認をしているのですか。
8 都は、その進出企業数について、2013年度・平成25年度11社と説明しますが、都のウェブサイトでは8社を確認できるだけです。この違いは何ですか。
9 進出企業30社の「意思決定」した企業の内、何らかの理由で、その後「意思決定」を変更することは、都では想定されていますか。その場合の、成功報酬の支払いについては、どのような条項になっていますか。
10 成功報酬を支払うことをきめる時期はいつですか。2013年度、2014年度、2015年度、それぞれどういう規定になっていますか。
11 2013年度誘致案件とされている「Skyepharma PLC」「BigSmile Products, LLC」「Zhejiang Longterm Medical Technology Co., Ltd.」「Voice Enabling System Technology Inc.」「Ikaros Solar nv」、2014年度誘致案件とされている「Connect Worldwide International, Inc.」の計6社は2月13日現在、法務局での法人登記がされていないではありませんか。都は、それでも、それぞれの企業が、外国企業発掘・誘致事業で誘致されたとされていることについて、どのような見解ですか。
12 「BigSmile Products, LLC」は、都の誘致事業の支援を受けて会長・社長がインタビューに答えたという形で都のウェブサイト上で紹介されています。その中で、「2014年現在、日本にも拠点を設置した」と言っています。「Voice Enabling System Technology Inc.」の代表取締役社長は、「特区内に研究開発拠点を設立することとなった」「Connect Worldwide International, Inc.」は、取締役代表が「現在CWW Japan社が拠点を置く港区西新橋」と答えています。
 これらの企業代表者のインタビュー記事については、都はどのようにかかわって、掲載までにいたったのですか。インタビュー記事の内容は問題ないとの認識ですか。それぞれお答えください。
13 「Production Resource Group, L.L.C.」の代表取締役社長は、都のウェブサイト上でのインタビュー紹介で「東京進出の目的はオリンピック市場だけではない」「東京で(略)開発などおこなう予定である」「野心的なプランを米国本社へ提案する際に、東京都の支援が果たした役割は大きかった」など、初めて東京に進出するかのような紹介のされ方がされています。しかし、この企業は、法務省への登記簿によれば、31年前に、すでに日本で法人を設立し、10年前には現在と同じ住所に本店を移転している会社ではありませんか。都は、この企業の代表者へのインタビュー紹介の内容について、どのような認識ですか。
14 2014年度には、株式会社電通にたいして「アジアヘッドクォーター特区に係る広報業務の企画・運営委託」という事業を発注していますが、これは、どのような事業ですか。2013年度、2015年度はどうなっていますか。
15 この事業の企画提案方式による契約手続には、株式会社電通以外に、何社の企業が参加しましたか。それぞれ、お答えください。
 アジアヘッドクォーター特区は、多国籍企業及びその従事者たる外国人のビジネス環境、生活環境を整備することによって、多くの企業が集積する東京にグローバル企業のアジア統括拠点及び研究開発拠点を誘致することを目標とするとしているものです。そのために、2011年に国の指定を受けて、都は、新たにこれらの特区内に進出する外国企業に対し、税制優遇をはじめ、規制緩和や財政・金融支援のメニューを用意しています。また、外国企業が特区内でスムーズにビジネスを展開し、従業員とその家族が安心して生活できるよう、英語でのワンストップ相談窓口を設け、ビジネスから生活に至るまでの支援を行っています。さらに多言語での情報発信や災害に強い高機能オフィスの提供、ビジネス環境・生活環境の整備も進めています。
16 アジアヘッドクォーター特区内への企業誘致にかかわり、東京都は、拠点設立補助金要綱、税金の減免要綱、認定要綱と3つの要綱があります。また、法律でも総合特別区域法、アジア拠点化法など特区関連法などがあります。それぞれの手続きにもとづく各種手続きは何社からありましたか。それぞれについて、お答えください。
17 アジアヘッドクォーター特区の5つの特区地域の個別プロジェクトとしている、丸の内JPタワー、渋谷ヒカリエなど21地区のプロジェクトへの「魅力的な都市空間の実現」として都としての支援は、具体的にはどのようなことがおこなわれてきたのか、確認します。
18 アジアヘッドクォーター特区の企業誘致について、特区地域協議会と官民連携ですすめるとしていますが、官民連携で具体的には何がどうすすんできているのか、また、これまでの実績には、どのようなものがあるのでしょうか。お答えください。

平成27年第一回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 アジアヘッドクォーター特区について
1 アジアヘッドクォーター特区事業では、「外国企業発掘・誘致事業」として委託契約しているが、単価契約としながらも、あらかじめ、納入単価を契約するものとなっておらず、一般の単価契約とは異なる契約形式になっている理由について伺う。

回答
 発掘、誘致など事業ごとに複数の単価をあらかじめ設定した単価契約です。

質問事項
一の2 当該事業の各年度の契約額は、2013年度は約3億4千万円、2014年度は6億2千万円、2015年度は4億5千万円となっているが、それぞれの事業の目的、事業費の内訳、事業の違いについて伺う。

回答
 いずれの年度においても、外国企業を特区内に能動的に呼び込むため、効果的に外国企業を発掘、誘致することを目的として実施しており、事業費の内訳は、誘致対象企業の発掘に係る費用や誘致活動に係る費用等です。

質問事項
一の3 当該事業は、3年間ともアクセンチュア株式会社と契約しているが、アクセンチュア株式会社以外の企画審査会参加企業は、各年度、それぞれ何社だったのか伺う。

回答
 企画審査会参加企業は、アクセンチュア株式会社以外で、平成25年度は0社、平成26年度は1社、平成27年度は0社です。

質問事項
一の4 成功報酬について、2014年2月末現在の誘致数7社で112百万円、2015年2月25日現在の誘致数17社分で257百万円、2015年3月12日現在の誘致数19社分で287百万円となっており、積算単価が、2年間の間に、また、2014年度の契約では、同じ年度でも異なることになるが、その理由、実際の契約額について、それぞれ伺う。

回答
 平成25年度と平成26年度の金額の違いは、より効率的な業務執行を受託者に促す観点から、単価を見直したことによります。誘致活動に係る費用である一社当たりの成功報酬の単価は、平成25年度1520万円、平成26年度1400万円(いずれも消費税含まず。)です。平成26年度の単価は年間を通じて同額です。

質問事項
一の5 平成26年3月11日に外国企業誘致事業(誘致対象企業からの支援依頼書の取得)に係わる業務委託として、アクセンチュア株式会社と798万円で特命随契し、さらに3月20日には、外国企業誘致事業(誘致対象企業からの投資計画書の取得)に係わる業務委託として、アクセンチュア株式会社と798万円で特命随契しているが、この時の都が示した予定価格、その積算根拠、それぞれについて伺う。

回答
 随意契約のため、都が示した予定価格はありません。契約目途額は、同年度既に締結していた10社を対象とした契約の単価及び根拠と同様です。

質問事項
一の6 年度末になってのアクセンチュア株式会社と、随意契約をすることにした目的について伺う。

回答
 これらの契約は「平成25年度外国企業発掘・誘致事業」における上限10社を超える、本件誘致対象企業の誘致に係る契約です。
 アクセンチュア株式会社は誘致業務の履行実績など豊富なノウハウがあること、本件誘致対象企業からの投資計画書の年度内取得がほぼ確実なものと見込まれたことから、契約を締結しました。

質問事項
一の7 都は、この企業の「進出の意思決定」について、都の要綱等どのような手続きによって、その企業として直接、確認をしているのか伺う。

回答
 誘致企業の「進出の意思決定」については、外国企業発掘・誘致事業の契約に基づき誘致対象企業の投資計画書の内容を確認することで行っています。

質問事項
一の8 都は、その進出企業数について、平成25年度は11社としているが、都のウェブサイトでは8社を確認できるだけであり、この違いについて伺う。

回答
 特区進出の意思決定を行った企業の公表は、企業からの特区進出の意思決定の取得後、当該企業の経営に支障がないとされる時期に実施しており、その結果、平成26年度末時点の公表状況になっています。

質問事項
一の9 進出企業30社の「意思決定」した企業の内、何らかの理由で、その後「意思決定」を変更することは、都では想定しているのか。その場合の、成功報酬の支払いについては、どのような条項になっているのか伺う。

回答
 単年度契約である「外国企業発掘・誘致事業」においては、誘致対象企業からの投資計画書の取得をもって、誘致活動の成果としており、これに基づき、成功報酬の支払については、その取得を確認した後に行うことになっています。
 したがって、「意思決定」の変更は、成功報酬の支払に影響するものではありません。

質問事項
一の10 成功報酬を支払うことをきめる時期はいつなのか。2013年度、2014年度、2015年度、それぞれどのような規定になっているのか伺う。

回答
 いずれの年度においても、契約に基づき誘致対象企業の特区進出の意思決定に係る履行を確認した後、四半期ごとに支払うことになっています。

質問事項
一の11 2013年度誘致案件とされている「Skyepharma PLC」「BigSmile Products, LLC」「Zhejiang Longterm Medical Technology Co., Ltd.」「Voice Enabling System Technology Inc.」「Ikaros Solar nv」、2014年度誘致案件とされている「Connect Worldwide International, Inc.」の計6社は、2月13日現在、法務局での法人登記がされていない。都は、それでも、それぞれの企業が、外国企業発掘・誘致事業で誘致されたとされていることについて、どのような見解なのか伺う。

回答
 BigSmile Products, LLC、Voice Enabling System Technology Inc.、Connect Worldwide International, Inc.、Skyepharma PLC及びZhejiang Longterm Medical Technology Co., Ltd. の5社については、投資計画書が提出されており、都として外国企業発掘・誘致事業における誘致企業としています。
 また、Ikaros Solar nvについては、同事業における誘致企業ではありません。

質問事項
一の12 「Bigsmile Products, LLC」「Voice Enabling System Technology Inc.」「Connect Worldwide International, Inc.」の企業代表者のインタビュー記事について、都は、どのようにかかわって、掲載までにいたったのか。インタビュー記事の内容は問題ないとの認識なのか。それぞれについて伺う。

回答
 3社については、都が各企業経営者にインタビューを行い、ウェブサイトに掲載したものです。いずれの会社も日本法人の登記がされており、内容に問題はないと認識しています。

質問事項
一の13 「Production Resource Group, L.L.C.」の代表取締役社長は、都のウェブサイト上でのインタビュー紹介で、初めて東京に進出するかのような紹介のされ方だが、法務省への登記簿によれば、31年前にすでに日本で法人を設立し、10年前には現在と同じ住所に本店を移転している会社である。都は、この企業の代表者へのインタビュー紹介の内容について、どのような認識なのか伺う。

回答
 Production Resource Group, L.L.C.の日本法人は、特区外に設置されており、現在、新たに特区内へ研究開発拠点を設置すべく準備中です。ウェブサイト上のインタビュー紹介はその利点等について掲載したものであり、適切に対応したものと認識しています。

質問事項
一の14 2014年度には、株式会社電通に対して、「アジアヘッドクォーター特区に係わる広報業務の企画・運営委託」という事業を発注しているが、どのような事業なのか。2013年度、2015年度は、どのようになっているのか伺う。

回答
 特区内への外国企業等の進出意思決定を促すため、戦略的かつ効果的な広報を実施する事業です。平成25年度は実施していません。平成27年度は「『東京の特区』に係る広報業務の企画・運営委託」として実施しています。

質問事項
一の15 当該事業の企画提案方式による契約手続には、株式会社電通以外にそれぞれ何社の企業が参加したのか伺う。

回答
 企画審査会参加企業は、株式会社電通以外で、平成26年度は1社、平成27年度は0社です。

質問事項
一の16 アジアヘッドクォーター特区内への企業誘致に関し、都には、拠点設立補助金要綱、税金の減免要綱、認定要綱と3つの要綱がある。また、法律でも総合特別区域法、アジア拠点化法など特区関連法などがある。それぞれの手続きにもとづく各種手続きは、何社からあったのか。それぞれについて伺う。

回答
 平成26年度末時点では、「アジアヘッドクォーター特区拠点設立補助金交付要綱」については5社、それ以外の2つの要綱については申請した企業はありません。

質問事項
一の17 アジアヘッドクォーター特区の5つの特区地域の個別プロジェクトとしている、21地区のプロジェクトへの「魅力的な都市空間の実現」の都としての支援は、具体的にはどのようなことがおこなわれてきたのか伺う。

回答
 JPタワーや渋谷ヒカリエなどでは、帰宅困難者対策、ビジネスコンシェルジュの設置や多言語対応の医療施設の整備などの都市再生の貢献を評価して、容積率制限の緩和等を行っています。

質問事項
一の18 アジアヘッドクォーター特区の企業誘致について、特区地域協議会と官民連携ですすめるとしているが、官民連携で具体的には何がどのようにすすんできているのか。また、これまでの実績には、どのようなものがあるのか伺う。

回答
 これまで地域協議会においては、規制の特例措置に関する提案や国際戦略総合特別区域計画の変更等について協議してきました。

平成27年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 徳留道信

質問事項
一 米軍横田基地の運用・訓練問題と整理・縮小・返還問題について
一 米軍横田基地の運用・訓練問題と整理・縮小・返還問題について
 日本共産党都議団は、一定の代表質問、予算特別委員会で、米軍横田基地において、軍用機による危険な飛行と訓練がここ数年強まり、これまでなかった大規模なパラシュート降下訓練がくりかえされていること、そのもとで事故の発生と騒音の増大への不安が、基地周辺の住民に広がっていること、人口密集地に70年間もの間、米軍基地が居座り、危険な飛行や訓練をおこなうという異常な状態が、続いていることへの認識をうかがい、本気になって米軍基地の整理・縮小・返還に取り組むよう求めて質問しました。
 その上に立って、横田基地の運用・訓練、米軍基地の整理・縮小・返還に関して、質問します。
 いま東京・首都圏は、横田基地や厚木基地などを中心にして、「沖縄の負担軽減」ということを口実にして、オスプレイなど米軍の飛行と訓練の「日常化」が進みつつあります。
 「安全保障の厳しさ」や「国の専管事項」という言葉で、住民の安心安全を危険にさらす事態を放置して、自治体としての独自の責任を曖昧にすることは許されません。
 知事は、住民の安全・安心を脅かすような横田基地の運用や訓練について、「日米安全保障体制」のため、「地域の平和と安全」のためと答弁しています。
 しかし、横田基地は、ベトナム戦争以来、アフガニスタンやイラクなどでのアメリカの侵略戦争を進めるうえで中心的役割を果たしてきています。
 横田基地には、在日米軍司令部、第五空軍司令部があるほか、C130輸送機などの常駐機と巨大輸送機C5や、各地の戦闘機などが利用する中継出撃基地となっています。
 イラク戦争でも、横田基地から空軍の整備・通信・建設・医療要員が派兵され、空からの攻撃を支えています。米本土と戦場との輸送中継拠点として、軍事物資や兵員を大量輸送し、イラクやアフガニスタンでの戦争を進めるテコになっています。
 在日米軍は、2004年12月から2012年3月までの期間に、アフガニスタンやイラクに繰り返し出撃し、派遣した人数は、延べ7万7千人を超えていることが、17日の参議院予算委員会のわが党の質問でも確認されています。
1 アフガニスタン戦争は、アメリカによる報復戦争であり、イラク戦争は、「大量破壊兵器の所有」という虚偽の口実による無法な侵略戦争でした。このような戦争に横田基地から部隊が参加していることについて、「地域の平和と安全のため」と言えるのですか。認識をうかがいます。
 近年、パラシュート降下訓練が、横田基地で急増しています。地元の平和委員会など周辺地域の市民グループの監視活動によると、2012年には延べ降下人員で約600人、2013年には、延べ降下人員約300人、2014年には、延べ降下人員567人となっています。夜間の降下訓練もやられています。今年に入っても、降下訓練が繰り返され、1月だけでも市民グループの監視によると、37人の降下人員になっています。
 横田基地でのパラシュート降下訓練の規模は、住民の反対で訓練中止となった沖縄の読谷補助飛行場の18年間の降下訓練人員総数は延べ6878人、年平均382人、また、読谷補助飛行場から代替された嘉手納基地の14年間の降下人員総数は延べ307人であり、沖縄県での降下訓練の年間平均を大きく上回る異常な規模です。
2 横田基地で年間100人を超えるパラシュート降下訓練が開始されたのは、いつからですか。
3 大規模な訓練の開始にあたって、米軍などから、都をはじめ、関係自治体に対して、説明や意見の聴取等はあったのですか。
 もし説明や意見の聴取もなく、一方的に実施しているとしたら、米軍及び政府に説明や意見の聴取を求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。
4 横田基地でのパラシュート降下訓練は、日米地位協定に照らして、どのような法的根拠に基づいて実施されているのか、国から聞いているのですか。
 聞いていない場合、都としてどのように判断するのか。また、法的根拠について、都として国に説明を求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。
5 横田基地でのパラシュート降下訓練は、横田基地における重要な運用変更ではないかと思います。日米地位協定にも基づき、日米合同委員会での協議と合意が必要ではないかと考えますが、いかがですか。
6 都は、この間、国及び米軍に対する要望として、「日米地位協定とその運用について適切な見直しを行うこと」という項目を設け、第25条について「日米合同委員会の場で、施設及び区域の運用等に関して、地元自治体の意向を聴取し、それを協議することを明記すること」を求めています。
 「施設及び区域の運用等」とは、具体的にどのようなことをさしているのですか、お答えください。
 さらに横田基地は、アジア・太平洋区域を受け持つ米太平洋空軍の中継拠点基地としての役割を担い、航空自衛隊総司令部も配備されて、ますます日米の軍事的一体化を強めています。
 そういう中で各種の軍用機の横田基地への飛来・離着陸が、福生市の調査によると、2012年には約8千回だったものが、2013年、2014年には、約1万1千回を大きく超え、昨年は、この10年間で最高となるなど激増すると同時に、基地周辺での低空飛行や旋回飛行などによって、騒音が増大し、部品の落下事故も頻発しています。
 横田基地周辺の航空機騒音は、1月9日に都が行った横田基地への騒音防止対策の要請によると、16ヶ所の都の定点調査結果で2009年以降、2013年までの5年間で16ヶ所中、4ヶ所が毎年のように環境基準を超えています。しかも、その内の2ヶ所である昭島市役所、瑞穂町農畜産部直売所は、環境調査以来、35年間、環境基準に適合しない状況が続いています。
7 今年度、都が行った米軍及び国に対する「横田基地対策に関する要望書」では、騒音防止対策についてのまとまった要望を行っています。これに対して、米軍、国からはそれぞれの項目について回答があったのですか。回答があったとしたら、その内容はどのようなものだったのですか。それぞれお答えください。
 米軍基地の整理・縮小・返還の問題に関連し、具体的な取り組みについて、うかがいます。都は米軍基地の整理・縮小・返還について、わが党の代表質問に対して、「都内米軍基地の整理、縮小、返還や横田空域の早期全面返還を求める都の方針は何ら変更しておらず、引き続き国に対して働きかけをおこなう」と都は答弁しています。
 しかし、この10年間をとってみても、神奈川県では、県内の米軍基地の中で2ヶ所の全面返還と、5ヶ所の一部返還が実現していますが、東京ではほとんど返還について進展していません。とくに市長会からも強い要望のある多摩サービス補助施設と、港区からも要望の強い都心の赤坂プレスセンターについては、都も即時返還を求めています。多摩サービス補助施設については、レクリエーション施設の機能しかなく、安全保障の厳しさを口実にすることは成り立ちません。
8 なぜ返還が進展してないのか、都の認識をうかがいます。合わせて、関係自治体と一体となり、住民世論も広げて、強力に働きかけるべきだと思いますが、都の見解をうかがいます。
9 横田基地へのオスプレイの飛来・訓練について、米軍への情報提供を求めるのは当然ですが、神奈川県が南関東防衛局からの情報提供を機敏に県のホームページで公表しているように、都としても北関東防衛局からの情報提供については、ただちに都のホームページなどで都民に公表すべきではありませんか。いかがですか。

平成27年第一回都議会定例会
徳留道信議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 米軍横田基地の運用・訓練問題と整理・縮小・返還問題について
1 アフガニスタン戦争やイラク戦争に、横田基地から部隊が参加していることについて、「地域の平和と安全のため」と言えるのか、認識を伺う。

回答
 都は、アフガニスタンやイラクにおける戦争に、横田基地から部隊が参加しているかについては、承知していません。

質問事項
一の2 横田基地で年間100人を超えるパラシュート降下訓練が開始されたのは、いつからなのか伺う。

回答
 人員降下訓練の予定に関する通告は、平成24年から行われていますが、通告には降下人員数の情報が含まれない場合があるため、年間の降下人員数は不明です。

質問事項
一の3 大規模な訓練の開始にあたって、米軍などから、説明や意見の聴取等はあったのか。もし説明や意見の聴取もなく、一方的に実施しているとしたら、米軍及び政府に説明や意見の聴取を求めるべきだが、それぞれについて伺う。

回答
 人員降下訓練は、空輸ハブ基地として人員などを空輸する能力を保持するための通常の訓練として行われているものと横田基地から聞いています。
 人員降下訓練の実施に当たっては、その都度、米軍から国を通じて、可能な範囲での情報提供が事前に行われています。
 なお、国は、パラシュート降下訓練を含む米軍の活動について、米側が我が国政府に通報することを義務付けられているわけではないとしています。

質問事項
一の4 横田基地でのパラシュート降下訓練は、どのような法的根拠に基づいて実施されているのか、国から聞いているのか。聞いていない場合、都としてどのように判断するのか。また、法的根拠について、都として国に説明を求めるべきだが、それぞれについて伺う。

回答
 米軍が行う訓練について、国は、日米安全保障条約第6条は、我が国の安全並びに極東の平和及び安全の維持に寄与するために米軍が駐留することを認めており、部隊の練度の維持及び向上を図り、即応態勢を整えるため、必要な訓練を行うことを当然の前提としている、としています。

質問事項
一の5 横田基地でのパラシュート降下訓練は重要な運用変更であり、日米地位協定にも基づき、日米合同委員会での協議と合意が必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 米軍による人員降下及び物資投下訓練について、国は、日米安全保障条約の目的を達成するため、部隊の練度の維持向上に必要な訓練であるとの認識であり、日米合同委員会で協議を行う必要はない、としています。

質問事項
一の6 都は、国及び米軍に対する要望として、日米地位協定第25条について「日米合同委員会の場で、施設及び区域の運用等に関して、地元自治体の意向を聴取し、それを協議することを明記すること」を求めているが、「施設及び区域の運用等」とは、具体的にどのようなことをさしているのか、見解を伺う。

回答
 横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会が、国に対し、日米合同委員会の場で地元自治体の意向を聴取し、協議することを求めている事項は、大気汚染防止等の生活環境の保全や航空機の騒音軽減措置などについてです。

質問事項
一の7 今年度、都は、「横田基地対策に関する要望書」において、米軍及び国に対し、騒音防止対策についてのまとまった要望を行っているが、これに対して、米軍、国からは、それぞれの項目について回答があったのか。回答があったとしたら、その内容はどのようなものだったのか。それぞれについて伺う。

回答
 「横田基地対策に関する要望書」における「騒音防止対策の推進」に関する要望に対して、国からは、航空機騒音の低減は最も重要な課題の一つと認識しており、今後も米軍に対して、騒音規制措置の遵守など、周辺住民への影響が最小限となるよう配慮を求めていくとの回答がありました。
 また、米軍からは、航空機の運用においては、日米合同委員会合意を遵守している旨の回答を得ています。

質問事項
一の8 都内の米軍基地について、なぜ返還が進展してないのか、認識について伺う。あわせて、関係自治体と一体になり、住民世論も広げて、強力に働きかけるべきだが、見解を伺う。

回答
 基地の返還については、それぞれの基地ごとに必要性や使用状況、地域の実情などが異なるため、日米両政府間での協議、検討の進展も一様ではないものと認識しています。
 都は、米軍基地が所在する他の自治体とも連携し、米軍基地の整理・縮小・返還が促進されるよう、国への要請を行っており、今後も必要な働き掛けを行っていきます。

質問事項
一の9 横田基地へのオスプレイの飛来・訓練について、北関東防衛局からの情報提供について、ただちに都のホームページなどで都民に公表すべきだが、見解を伺う。

回答
 都は、国や米軍への要請内容など必要な情報について、適宜公表しており、引き続き、適切に対応していきます。
 なお、オスプレイの飛来情報については、地元自治体が住民に対して情報提供を行っています。

平成27年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 河野ゆりえ

質問事項
一 柳瀬川、空堀川の河川整備について
一 柳瀬川、空堀川の河川整備について
 50ミリを超える集中豪雨時に対応する治水対策を目的に、清瀬市内の柳瀬川下流域から進められてきた河川整備計画は、近隣住民や環境保全団体など市民参加の「川づくり懇談会」で話し合いがもたれ、河床等をコンクリート等で固めた従来型の河川工事ではなく、治水対策を前提にしながら、水辺の植物や昆虫、魚類、鳥類などが共生できる「多自然型」の河川整備へ要望が寄せられ、東京都もこれに応える努力をしてきた経過があります。
 現在、進められている「柳瀬・空堀川合流点付近の河川整備計画(第2段階)」も、市民参加の河川整備の延長線上にあると認識しています。
 埼玉県所沢市と清瀬市の境を流れる柳瀬川の治水対策のため、第1段階の拡幅工事を終えた空堀川に、集中豪雨に備えたバイパスをつくり、合流させようというのが、第2段階の整備です。所沢市を迂回して流れる旧柳瀬川は、昔ながらの自然景観と河畔林を残す都内でも数少ない都市河川です。
 2011年、この第2段階の整備にあたり、近隣住民や環境保全団体など市民参加の「川づくり懇談会」で3回にわたる話し合いが行なわれ、整備に関しての要望が出されました。これまでの、治水対策を前提にすること、自然豊かな河畔林を保全すること、とした住民合意の上に立ち、基本設計に基づいた10分の1の模型による流量・流速実験が実施され、見学会ももたれたとのことです。
 しかし、その後、河川整備にあたっている東京都北多摩北部建設事務所から、何の連絡もないまま、1年以上の空白の時が過ぎました。
 問題は、2013年12月、東京都北多摩北部建設事務所は、整備について話し合いを重ねてきた「川づくり懇談会」の関係者に連絡がないまま、「住民説明会」を開いたことです。
 東京都による突然の「住民説明会」開催に驚いた「川づくり清瀬の会」、「清瀬の自然を守る会」は、これまでの話し合いの積み重ねを尊重した都の努力を求め、さらに、自然環境保全のための河川整備の要求に基づき3600筆の署名を集めて、請願を清瀬市議会に提出し可決されています。
 この間、設計改善を求めて「川づくり懇談会」や清瀬市が交渉を続ける努力はありましたが、東京都北多摩北部建設事務所は「工事期限が迫っているから」との理由で、交渉は閉ざされた状態になっています。
 豊かな自然環境を保全し地域住民に愛される河川、また、豪雨時には地域住民の命を守る治水対策が万全になるよう、東京都は地域住民と力を合わせて、河川整備に力を注ぐことが求められています。そこで、次の点について質問します。
1 長年にわたって、協力しながら河川整備にあたってきた、東京都北多摩北部建設事務所と住民の対話、交流が閉ざされている今のような事態が起きた原因についてのご認識をご説明ください。
2 第2期整備計画の設計、工法などについての理解、住民合意の形成についての努力は、どのようにされたのでしょうか。
3 「川づくり懇談会」の合意事項に無かった中里地域の管理道路に橋を架けることになった経緯について、住民の理解をうる努力は十分にされたと認識していますか。
4 河床や分水施設をコンクリートで固める河川整備の方法では、河畔林を守れない、と多自然型河川工事の提案が住民から出されています。東京都の考えをお示しください。
5 空堀川と旧柳瀬川の分水地点に設けられる分水堰は、水辺と河畔林の保全のために、可能な限り自然を残す工法にするように要望されています。住民要望を取り入れた工法になることを求めますが、いかがですか。また、現在の計画はどのようなものでしょうか。お答えください。
6 所沢市の旧柳瀬川護岸は、木々が茂り、魚類、鳥類、水生動物などの生息地です。この護岸もコンクリートで固められてしまうのではないか、との懸念が出されています。護岸の自然環境を損なうことがない整備を求めます。見解をお示しください。
7 大切な自然環境が保全されるように「川づくり」に努力してきた関係住民の皆さんは、河畔林が、今回の整備計画でどのようになるのか、大きな関心を持ち、河畔林が損なわれないことを願っています。河畔林への影響について、東京都の見解をお示しください。
8 中里地域のくるまや橋近くの流域は、今の計画では、1メートル20センチくらいの落差が生じると説明されています。これだけの高さの落差になっては、魚類や水生動物が上流に遡れないと心配され、また、清瀬橋近くで、旧柳瀬川が空堀川に流れ込む地点についても、同じ心配が出ています。
 河床がコンクリートで固められ、遡上が困難な落差ができてしまえば、生態系に大きく影響するものですが、魚類等が遡上できる川に整備することは重要です。生き物の多様な生活環境を作り出す多自然河川とするための整備計画はどのようになっていますか。お答えください。
9 都市河川の整備にあたっては、全国的にも早い時期から「多自然型」の工法に拠ることが望ましいとされてきました。
 川底や護岸をコンクリートで固めず、クリ石を敷き詰めるなど、各地で人間だけでなく、魚類、昆虫、水生植物に優しい川つくりの取組みがされてきました。川との生物の共生が損なわれるようにならない河川整備への努力を求めますが、いかがでしょうか。
10 多自然型の河川整備には、工事にあたる人達の専門性も求められます。東京都北多摩北部建設事務所の職員体制や、工事業者など、工事担当職員の体制はどのようになっていますか。お答えください。
11 先に述べたように、柳瀬川・空堀川の整備計画について、住民の協力が得られるように、早期に説明会を開催することが求められています。豪雨時の川の流量の予測、豪雨に備えた河川施設の構造とその必要性を都が明らかにするとともに、住民の提案にも応えていくことが大事です。都の努力方向をお示しください。
12 整備後の河川や河畔林の保全について、記録、調査、監視の継続が重要です。そのためにも、地域住民の協力は欠かせません。長期にわたった粘り強い河川の環境保全に取り組んでいくことを東京都に求めるものですが、お考えはいかがでしょうか。

平成27年第一回都議会定例会
河野ゆりえ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 柳瀬川、空堀川の河川整備について
1 柳瀬川及び空堀川について、長年にわたって、協力しながら河川整備にあたってきた、北多摩北部建設事務所と住民の対話、交流が閉ざされている今のような事態が起きた原因について、認識を伺う。

回答
 都は、平成23年3月に「柳瀬川・空堀川合流点付近の川づくり懇談会」で整備の方向性を取りまとめた後、これを踏まえた具体的な整備内容の検討を進めるとともに、懇談会のメンバー等を対象とした水理模型実験見学会を2回、整備に関する住民説明会を2回開催しています。
 また、説明会後現在までに、地域で活動する団体との話合い等を9回、流域の住民や地域団体が参加している「柳瀬川・空堀川流域連絡会」でも整備内容等の説明を3回実施するなど、対話、交流は継続して行っています。

質問事項
一の2 第2期整備計画の設計、工法などについての理解、住民合意の形成についての努力は、どのようにされたのか伺う。

回答
 説明会後現在までに、地域で活動する団体との話合い等を9回実施し、必要に応じて整備内容を見直すなど、住民合意の形成に努めています。

質問事項
一の3 「川づくり懇談会」の合意事項に無かった、中里地域の管理道路に橋を架けることになった経緯について、住民の理解をうる努力は十分にしたと認識しているのか伺う。

回答
 河畔林を保全しながら連続した河川管理用通路を整備するため、新規に橋梁を設置することとしました。このことについては、平成25年12月の住民説明会において、十分な説明を行っています。その後も地域で活動する団体からの要請に応じて個別に説明をしています。

質問事項
一の4 河床や分水施設をコンクリートで固める河川整備の方法では河畔林を守れないと、多自然型河川工事の提案が住民から出されているが、見解を伺う。

回答
 河畔林がある水辺の環境を保全しつつ、洪水を新柳瀬川に安全に流下させるためには、分水施設や河床を激流にも耐えられるよう強固に整備する必要があります。
 これらの施設は、周辺の景観に配慮し、表面を自然石で修景することとしています。

質問事項
一の5 空堀川と旧柳瀬川の分水地点に設けられる分水堰について、住民要望を取り入れ可能な限り自然を残す工法にすべきだが、見解を伺う。また、現在の計画はどのようなものなのか伺う。

回答
 河畔林がある水辺の環境を保全しつつ、洪水を新柳瀬川に安全に流下させるためには、分水施設や河床を激流にも耐えられるよう強固に整備する必要があります。
 これらの施設は、周辺の景観に配慮し、表面を自然石で修景することとしています。

質問事項
一の6 所沢市の旧柳瀬川護岸について、護岸の自然環境を損なうことがない整備をすべきだが、見解を伺う。

回答
 所沢市内にある現柳瀬川の整備は、埼玉県の所管となります。

質問事項
一の7 河畔林について、今回の整備計画でどのようになるのか、河畔林への影響について、見解を伺う。

回答
 分水施設の設置により、現柳瀬川の平常時の流量を確保し、河畔林がある水辺の環境を保全するとともに、洪水時には、現柳瀬川への流量を減少させることで、自然河岸の浸食を抑制することとしています。

質問事項
一の8 魚類等の遡上が困難な落差ができてしまえば、生態系に大きく影響する。生き物の多様な生活環境を作り出す多自然河川とするための整備計画は、どのようになっているのか伺う。

回答
 今回整備する落差工は魚道を併設することとしています。
 なお、このことについては、これまでも地元住民等に説明してきています。

質問事項
一の9 川との生物の共生が損なわれない河川整備への努力を求めるが、見解を伺う。

回答
 都市河川の整備に当たっては、治水機能の向上を基本としつつ、景観や生物の生息環境にも可能な限り配慮した整備を進めています。

質問事項
一の10 北多摩北部建設事務所の職員体制や工事業者など、工事担当職員の体制はどのようになっているのか伺う。

回答
 北多摩北部建設事務所は、工事第二課が15名体制(平成27年4月)で河川の整備や施設維持を担当し、様々な多自然川づくりにも取り組んできています。
 工事の施行に当たっては、河川工事に精通した工事会社に発注しています。

質問事項
一の11 柳瀬川・空堀川の整備計画について、豪雨時の川の流量の予測、豪雨に備えた河川施設の構造とその必要性を、都が明らかにするとともに、住民の提案にも応えていくべきだが、見解を伺う。

回答
 柳瀬川、空堀川合流点付近の整備では、懇談会において、1時間50ミリの降雨により生ずる流量や、これを安全に流下させる河川施設について説明するとともに、周辺環境への配慮等についても十分に意見交換を行いました。その後の住民説明会でもこれらについて説明しています。
 さらに、地域で活動する団体との話合い等を9回行い、必要に応じて整備内容を見直しています。
 こうした経緯を踏まえ、平成27年1月に工事に着手しています。

質問事項
一の12 整備後の河川や河畔林の保全について、長期にわたった粘り強い河川の環境保全に取り組むべきだが、見解を伺う。

回答
 これまでも都は、柳瀬川・空堀川流域連絡会等を通じ、地元住民等と河川環境の保全等について意見交換を行い、その結果を参考にして維持管理を行っています。
 今後も引き続き、河川の適切な維持管理に取り組んでいきます。

平成27年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 大島よしえ

質問事項
一 都有地活用について
二 足立都税事務所の跡地活用について

一 都有地活用について
 舛添知事は、2014年第1回定例議会での、都有地活用に関するわが党の代表質問に、「都有地は都民の負託を受けた貴重な財産であり、都の重要政策に活用していくため、都はこれまでも活用可能な都有地について的確に把握し、福祉インフラ事業で積極的に活用してきた」と答弁しています。
 さらに、都有地に限らず、国有地、民有地等も含めた広範な土地活用策について検討するチームを、関係部局により設置を指示し、今後とも、福祉施設の整備のため、有効な土地活用を進めていくことを表明しました。
 また、都有地、国有地、民有地の新たな活用策を具体化し、都営住宅・公社住宅用地を、10年間で30ヘクタール提供するとしたことは重要です。
1 現在、足立区の上沼田アパートの建て替えが進められています。1600戸の大規模な団地の建替えですが、第3期工事でほぼ終了となります。最終の居住者の移転は今年5月中に行われるということですが、この都営住宅の建て替えで、従前戸数と建替え後の戸数はどのように変わるのか伺いたい。
2 この地域には、総合病院の誘致や、高齢者、障害者の福祉施設、シルバーピア、認可保育園などをつくってほしいという住民要求があります。この地域の都営住宅の建替えにより創出される用地はどのくらいあるのか。そのうち、福祉インフラ整備に活用可能な候補地として提供できる面積はどの程度あるのか伺います。また、こうした情報提供は、いつ、どのように地元区に提供するのかうかがいます。
二 足立都税事務所の跡地活用について
 貴重な都有地のひとつである足立都税事務所が移転した跡地の活用について伺います。
1 足立都税事務所は、2014年5月に、千住地区から西新井地区へと移転しました。移転後の跡地活用について、都としてどのような検討がなされたのか、財務局としての都有地活用についての方針を示していただきたい。また、普通財産に変更した時期についても伺います。
2 足立都税事務所のあった千住の地域は、荒川と隅田川に囲まれた地域で、認可保育園が足りず、2015年4月入所希望者のうち、第1次不承認が1485人、その2割程度は千住地域で入所できない待機児童といわれています。
 また、千住地域の高齢化率は、25.3%で、足立区平均22.9%に比べても高齢化率が高い地域となっています。この地域に特別養護老人ホームは、1か所しかなく、高齢者などが気軽に利用できる集会施設も身近にないため、「歩いて行けるところに集会所がほしい」という要求も高い地域です。こうした貴重な都有地を都民のために活用する考えはないのですか。また、こうした土地の情報提供などは、足立区にいつ、どのように行ったのか伺います。
3 現在、足立都税事務所跡地は、隣接する店舗ビル、事務所ビルと一緒に再開発ビルを建設するという再開発計画が進められています。すでに、千住一丁目地区市街地再開発準備組合が設立されていると聞きますが、この準備組合に、東京都も地権者として参加しています。準備組合設立の時期と東京都が準備組合に参加した時期、およびその経緯について伺いたい。
4 この再開発を実施するための都市計画として高度利用地区と千住一丁目地区第一種市街地再開発事業が提案されていますが、足立区の都市計画審議会では、まだ決定されていません。ところが、すでに準備組合は、商店街の真ん中に、地上32階、地下1階、高さ120mの超高層ビルを総事業費105億円かけて建築する事業計画をつくり、住民への説明会を行っています。なぜ、都市計画決定前に、準備組合として事業計画をつくり、住民に説明会まですることができるのか。こうした計画づくりに都や区が積極的に関与してきたのではないか、それぞれお答えください。
5 この再開発ビルには、店舗と、分譲マンション約180戸が入る計画と聞きました。地元説明会には、およそ200人が参加しましたが、突然知らされた建設計画に参加した住民からは、風害、日照被害、電波障害、工事の時の振動、騒音、建設車両の搬入搬出問題、災害時の不安など、さまざまな疑問や反対の声があがりました。東京都も準備組合の一員として、事業計画づくりに参画していると思いますが、こうした計画をつくるにあたって、住民の声を聞かなかったのですか。こうした地元住民の声について、都はどのように受け止めているのかうかがいます。また、今後、住民の声を聞く必要があると思いますが、都の見解をうかがいます。
6 都は、この再開発計画によってどの程度の権利床を得ることになるのですか。得られた権利床について、今後、どのように活用しようとしているのですか。権利床活用に地域住民の要望を取り入れる考えはないか伺います。

平成27年第一回都議会定例会
大島よしえ議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 都有地活用について
1 足立区の上沼田アパート(都営住宅)の建替えで、従前戸数と建替え後の戸数はどのように変わるのか伺う。

回答
 都営上沼田アパートは、昭和30年代から40年代にかけて建設された1612戸の団地であり、平成19年度から、新たに都営江北四丁目アパートとして、これまで、第1期365戸、第2期512戸、第3-1期133戸、第3-2期132戸の建替えを行っています。

質問事項
一の2 足立区の上沼田アパート(都営住宅)の建替えにより創出される用地、及び、うち福祉インフラ整備に活用可能な候補地として提供できる面積、並びに、その情報提供は、いつ、どのように地元区に行うのか伺う。

回答
 都営上沼田アパートの建替え後に創出される用地については、関係各局とも連携し、土地の利用計画も含めて十分調査、把握しつつ、活用可能な未利用都有地について、地元区に情報提供などを行います。

質問事項
二 足立都税事務所の跡地活用について
1 足立都税事務所移転後の跡地活用について、都としてどのような検討がされたのか、都有地活用についての方針を伺う。また、普通財産に変更した時期についても伺う。

回答
 都有地の活用に当たっては、まず都内部での利活用を検討し、都内部で利用しないこととなれば、地元区市町村の意向を確認することとしています。
 足立都税事務所の跡地は、都内部の利用計画がなく足立区に照会したところ、足立区から地域の活性化、防災性の向上のために市街地再開発事業への参加協力を要請され、都の施策にも一致することから参加することとしました。普通財産への種別変更は、平成27年3月に行っています。

質問事項
二の2 貴重な都有地を都民のために活用する考えはないのか。また、土地の情報提供などは、足立区にいつ、どのように行ったのか。

回答
 足立都税事務所の跡地については、足立区から地域の活性化、防災性の向上のために市街地再開発事業への参加協力を要請され、都の施策にも一致することから同事業に参加することとしました。都としての利用予定がないため、移転建替を公表した平成21年度に足立区の意向について確認を行い、平成26年度に要請を受けています。

質問事項
二の3 千住一丁目地区市街地再開発準備組合の設立の時期と、都が準備組合に参加した時期、およびその経緯について伺う。

回答
 足立区からの要請に基づき、都は平成26年6月に発起人の一員として、千住一丁目地区市街地再開発準備組合を設立し、参加いたしました。

質問事項
二の4 なぜ都市計画決定前に、準備組合として事業計画をつくり、住民に説明会まですることができるのか。こうした計画づくりに、都や区が積極的に関与してきたのではないのか。それぞれについて伺う。

回答
 市街地再開発事業などの大規模開発事業では都市計画決定前に事業計画の事前説明が社会一般で広く行われています。
 大規模建築物等の建築事業では、区との事前協議が義務付けられており、千住一丁目地区市街地再開発準備組合が足立区の指導・助言を受けながら事業計画を策定したと聞いています。

質問事項
二の5 都も準備組合の一員として事業計画づくりに参画しているが、計画をつくるにあたって、住民の声を聞かなかったのか。地元住民の声について、都はどのように受け止めているか伺う。また、今後、住民の声を聞くべきだが、見解を伺う。

回答
 千住一丁目地区市街地再開発準備組合は足立区の指導・助言を踏まえ、道路の拡幅や空地の確保などの地域の防災性の向上に加えて、子育て支援施設や公共的駐輪場の整備、商業住居施設の充実など、地域の需要や活性化に配慮した事業計画を策定しました。今後も、準備組合が、地元足立区からの指導・助言を踏まえて対応していくものと考えます。

質問事項
二の6 都は、この再開発計画によってどの程度の権利床を得ることになるのか。得られた権利床について、今後、どのように活用しようとしているのか。権利床活用に地域住民の要望を取り入れる考えはないか伺う。

回答
 市街地再開発事業では権利変換手続により、従前の土地所有者等の権利を再開発ビルの床に関する権利に等価で変換することを原則としています。都の入手する権利床は市街地再開発組合認可後の権利変換計画の中で決まることとなります。
 市街地再開発事業で入手する権利床は、都民からの負託を受けた貴重な都有財産であるため、その財産価値を効率的・効果的に発揮させるよう検討してまいります。

平成27年第一回都議会定例会
文書質問趣意書

提出者 斉藤あつし

質問事項
一 鍵付き手錠などの販売について
二 性同一性障害について

一 鍵付き手錠などの販売について
1 東京都において販売に規制があるものは多数あります。鍵の不要な構造をしている手錠の販売と同様に、実際に国内外の警察で使用しているような鍵付きの手錠は、インターネットでの通信販売の他、店頭でも販売されています。
 このような鍵付きの手錠に、犯罪以外の安全な使用目的があるのか甚だ疑問ですし、犯罪に使用された事例も報道されています。施錠して使用している者が、緊急時に自力で拘束から解放できないような、鍵による開錠を前提とする手錠は危険性が常に伴うものかと思います。
 特に青少年がみだりに、このような危険性が高い物を手に入れ、もてあそぶようなことがあると、自分や他人を傷つけるなど思わぬ結果に結びつく恐れが高いと考えます。
 東京都青少年の健全な育成に関する条例においては、その施行規則において、指定がん具類の基準を示し、青少年への販売を規制していますが、この指定がん具類に、鍵付きの手錠はあてはまるのでしょうか、都の見解を伺います。
2 条例にもとづく指定がん具類にあてはまらないという解釈である場合、このような鍵付き手錠を、新たに規制対象に加えることについて、これまで東京都において検討したことはあるでしょうか。あるいは、審議会などの有識者会議で、課題とされたことはあるでしょうか。検討の状況とその内容について伺います。
3 他県では、青少年への販売を規制しているところもあるようですが、使用方法によっては犯罪となり得る鍵付き手錠は、犯罪を意図せずに使用した場合でも、他人に危害を加える結果となる危険性を伴います。東京都青少年の健全な育成に関する条例における指定がん具類指定の考え方と、鍵付き手錠も指定がん具類に加える必要性について、都の見解を伺います。
二 性同一性障害について
 最近渋谷区等で同性のパートナーシップとしての同世帯を認める条例が成立するなど通称LGBTに対しての行政対応が注目されています。この個人の性的指向に多様性があるのは古くから知られてはいますが、近年では性同一性障害などは当事者の精神的違和感を自己でコントロールできるようなものではないことが知られつつあり、精神科医療の領域における自己肯定感の向上や精神の安定性を求める必要な治療対象としての研究や取り組みが進んでいます。
 昨年12月には「性同一性障害を学ぶ」という健康・教育分野の行政機関及びその職員向けの精神保健福祉研修が行われました。
 福祉保健局ではどのようにこの障害に対して取り組んでいるのか、伺います。

平成27年第一回都議会定例会
斉藤あつし議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 鍵付き手錠などの販売について
1 東京都青少年の健全な育成に関する条例においては、その施行規則において、指定がん具類の基準を示し、青少年への販売を規制しているが、この指定がん具類に、鍵付きの手錠はあてはまるのか、見解を伺う。

回答
 「鍵付きの手錠」は、東京都青少年の健全な育成に関する条例及び同施行規則における指定がん具類には該当しておりません。

質問事項
一の2 条例にもとづく指定がん具類にあてはまらないという解釈である場合、このような鍵付き手錠を、新たに規制対象に加えることについて、これまで都において検討したことはあるのか。あるいは、審議会などの有識者会議で、課題とされたことはあるのか。検討の状況とその内容について伺う。

回答
 都において、これまで「鍵付き手錠」を新たに指定がん具類とすることについて、検討をしたことはなく、また、東京都青少年健全育成審議会、東京都青少年問題協議会で、課題として検討したこともありません。

質問事項
一の3 東京都青少年の健全な育成に関する条例における指定がん具類指定の考え方と、鍵付き手錠も指定がん具類に加える必要性について、見解を伺う。

回答
 指定がん具類の制度は、知事が、東京都青少年の健全な育成に関する条例及び同施行規則(以下「東京都規則」という。)に基づき、販売され、又は頒布されているがん具類で、その構造又は機能が東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるものを、東京都青少年健全育成審議会に諮問した上で指定することになっています。
 現時点で、「鍵付き手錠」は東京都規則に定める基準に照らして、指定がん具類として指定が必要なものとは考えていません。

質問事項
二 性同一性障害について
 福祉保健局では、どのように性同一性障害に対して取り組んでいるのか伺う。

回答
 都では、3か所の精神保健福祉センターにおいて、都民の心の健康の保持増進などを目的に、電話や面接による精神保健福祉相談を実施しており、この中で性同一性障害に関する相談にも対応しています。
 また、センターでは、行政機関や医療機関の職員等を対象に、専門知識・援助技術の向上を図るため、精神保健福祉に関する主要なテーマや最新の情報等を取り上げた研修も実施しており、昨年12月には、性同一性障害の理解促進をテーマとした研修を行いました。

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