平成二十七年東京都議会会議録第四号

平成二十七年二月二十七日(金曜日)
 出席議員 百二十四名
一番小林 健二君
二番加藤 雅之君
三番川松真一朗君
四番山内  晃君
五番栗山よしじ君
六番小松 大祐君
七番鈴木 章浩君
八番大津ひろ子君
九番塩村あやか君
十番宮瀬 英治君
十一番おときた駿君
十二番小松 久子君
十三番田中  健君
十四番米倉 春奈君
十五番白石たみお君
十六番斉藤やすひろ君
十七番栗林のり子君
十八番遠藤  守君
十九番伊藤こういち君
二十番堀  宏道君
二十一番河野ゆうき君
二十二番柴崎 幹男君
二十三番ほっち易隆君
二十四番舟坂ちかお君
二十五番清水 孝治君
二十六番島崎 義司君
二十七番石川 良一君
二十八番田中 朝子君
二十九番上田 令子君
三十番山内れい子君
三十一番中山ひろゆき君
三十二番西沢けいた君
三十三番里吉 ゆみ君
三十四番和泉なおみ君
三十五番尾崎あや子君
三十六番大松あきら君
三十七番中山 信行君
三十八番吉倉 正美君
三十九番上野 和彦君
四十番鈴木 錦治君
四十一番木村 基成君
四十二番高椙 健一君
四十三番栗山 欽行君
四十四番大場やすのぶ君
四十五番和泉 武彦君
四十六番近藤  充君
四十七番小宮あんり君
四十八番三宅 正彦君
五十番やながせ裕文君
五十一番両角みのる君
五十二番西崎 光子君
五十三番小山くにひこ君
五十四番あさの克彦君
五十五番新井ともはる君
五十六番徳留 道信君
五十七番河野ゆりえ君
五十八番小竹ひろ子君
五十九番まつば多美子君
六十番高倉 良生君
六十一番橘  正剛君
六十二番野上 純子君
六十三番谷村 孝彦君
六十四番桜井 浩之君
六十五番きたしろ勝彦君
六十六番松田やすまさ君
六十七番山崎 一輝君
六十八番神野 次郎君
六十九番菅野 弘一君
七十番北久保真道君
七十一番田中たけし君
七十二番神林  茂君
七十三番宇田川聡史君
七十四番高橋 信博君
七十五番野上ゆきえ君
七十六番中村ひろし君
七十七番島田 幸成君
七十八番今村 るか君
七十九番大西さとる君
八十番畔上三和子君
八十一番大島よしえ君
八十二番松村 友昭君
八十四番小磯 善彦君
八十五番鈴木貫太郎君
八十六番木内 良明君
八十七番秋田 一郎君
八十八番中屋 文孝君
八十九番早坂 義弘君
九十番崎山 知尚君
九十一番鈴木 隆道君
九十二番鈴木あきまさ君
九十三番山加 朱美君
九十四番高橋かずみ君
九十五番相川  博君
九十六番山田 忠昭君
九十八番こいそ 明君
九十九番田島 和明君
百番斉藤あつし君
百一番尾崎 大介君
百二番石毛しげる君
百三番植木こうじ君
百四番かち佳代子君
百五番曽根はじめ君
百六番藤井  一君
百七番長橋 桂一君
百八番中嶋 義雄君
百九番ともとし春久君
百十番古賀 俊昭君
百十一番林田  武君
百十二番高木 けい君
百十三番村上 英子君
百十四番吉原  修君
百十五番野島 善司君
百十六番三宅 茂樹君
百十七番川井しげお君
百十八番高島なおき君
百十九番立石 晴康君
百二十番吉野 利明君
百二十一番野村 有信君
百二十二番内田  茂君
百二十三番酒井 大史君
百二十四番山下 太郎君
百二十五番清水ひで子君
百二十六番大山とも子君
百二十七番吉田 信夫君

 欠席議員 一名
八十三番  東村 邦浩君
 欠員
    四十九番  九十七番

 出席説明員
知事舛添 要一君
副知事安藤 立美君
副知事秋山 俊行君
副知事前田 信弘君
教育長比留間英人君
東京都技監建設局長兼務横溝 良一君
政策企画局長川澄 俊文君
総務局長中西  充君
財務局長中井 敬三君
主税局長塚田 祐次君
警視総監高綱 直良君
生活文化局長小林  清君
オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋 正宏君
都市整備局長安井 順一君
環境局長長谷川 明君
福祉保健局長梶原  洋君
産業労働局長山本  隆君
港湾局長多羅尾光睦君
会計管理局長塚本 直之君
交通局長新田 洋平君
消防総監大江 秀敏君
水道局長吉田  永君
下水道局長松田 芳和君
青少年・治安対策本部長河合  潔君
病院経営本部長醍醐 勇司君
中央卸売市場長岸本 良一君
選挙管理委員会事務局長松井多美雄君
人事委員会事務局長真田 正義君
労働委員会事務局長遠藤 雅彦君
監査事務局長石原 清次君
収用委員会事務局長目黒 克昭君

二月二十七日議事日程第四号
第一 第一号議案
平成二十七年度東京都一般会計予算
第二 第二号議案
平成二十七年度東京都特別区財政調整会計予算
第三 第三号議案
平成二十七年度東京都地方消費税清算会計予算
第四 第四号議案
平成二十七年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第五 第五号議案
平成二十七年度東京都母子父子福祉貸付資金会計予算
第六 第六号議案
平成二十七年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
第七 第七号議案
平成二十七年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八 第八号議案
平成二十七年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九 第九号議案
平成二十七年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十 第十号議案
平成二十七年度東京都と場会計予算
第十一 第十一号議案
平成二十七年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十二 第十二号議案
平成二十七年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十三 第十三号議案
平成二十七年度東京都都市開発資金会計予算
第十四 第十四号議案
平成二十七年度東京都用地会計予算
第十五 第十五号議案
平成二十七年度東京都公債費会計予算
第十六 第十六号議案
平成二十七年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第十七 第十七号議案
平成二十七年度東京都病院会計予算
第十八 第十八号議案
平成二十七年度東京都中央卸売市場会計予算
第十九 第十九号議案
平成二十七年度東京都都市再開発事業会計予算
第二十 第二十号議案
平成二十七年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十一 第二十一号議案
平成二十七年度東京都港湾事業会計予算
第二十二 第二十二号議案
平成二十七年度東京都交通事業会計予算
第二十三 第二十三号議案
平成二十七年度東京都高速電車事業会計予算
第二十四 第二十四号議案
平成二十七年度東京都電気事業会計予算
第二十五 第二十五号議案
平成二十七年度東京都水道事業会計予算
第二十六 第二十六号議案
平成二十七年度東京都工業用水道事業会計予算
第二十七 第二十七号議案
平成二十七年度東京都下水道事業会計予算
第二十八 第二十八号議案
東京都都市外交人材育成基金条例
第二十九 第二十九号議案
東京都アジア人材育成基金条例を廃止する条例
第三十 第三十号議案
東京都行政手続条例の一部を改正する条例
第三十一 第三十一号議案
東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
第三十二 第三十二号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第三十三 第三十三号議案
東京都職員定数条例の一部を改正する条例
第三十四 第三十四号議案
特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十五 第三十五号議案
市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第三十六 第三十六号議案
東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
第三十七 第三十七号議案
東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第三十八 第三十八号議案
東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
第三十九 第三十九号議案
東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
第四十 第四十号議案
東京都人に優しく快適な街づくり基金条例
第四十一 第四十一号議案
東京都防災街づくり基金条例
第四十二 第四十二号議案
東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
第四十三 第四十三号議案
東京都都税条例の一部を改正する条例
第四十四 第四十四号議案
東京都収用委員会委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十五 第四十五号議案
東京都消費生活条例の一部を改正する条例
第四十六 第四十六号議案
東京都芸術文化振興基金条例
第四十七 第四十七号議案
東京都教育委員会組織条例の一部を改正する条例
第四十八 第四十八号議案
東京都教育委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第四十九 第四十九号議案
東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例
第五十 第五十号議案
東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五十一 第五十一号議案
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十四条の二の規定に基づく職務権限の特例に関する条例の一部を改正する条例
第五十二 第五十二号議案
東京都学校経営支援センター設置条例の一部を改正する条例
第五十三 第五十三号議案
学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例
第五十四 第五十四号議案
都立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例の一部を改正する条例
第五十五 第五十五号議案
東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
第五十六 第五十六号議案
東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
第五十七 第五十七号議案
東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
第五十八 第五十八号議案
東京都市計画事業足立北部舎人町付近土地区画整理事業施行規程等の一部を改正する条例
第五十九 第五十九号議案
八王子都市計画事業由木土地区画整理事業施行規程等を廃止する条例
第六十 第六十号議案
東京都建築審査会条例の一部を改正する条例
第六十一 第六十一号議案
東京都建築指導事務所設置条例の一部を改正する条例
第六十二 第六十二号議案
東京都建築安全条例の一部を改正する条例
第六十三 第六十三号議案
東京都営住宅条例の一部を改正する条例
第六十四 第六十四号議案
東京都福祉先進都市実現基金条例
第六十五 第六十五号議案
東京都看護師等修学資金貸与条例の一部を改正する条例
第六十六 第六十六号議案
東京都国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例
第六十七 第六十七号議案
東京都立ナーシングホーム条例の一部を改正する条例
第六十八 第六十八号議案
東京都認定こども園の認定要件に関する条例の一部を改正する条例
第六十九 第六十九号議案
東京都障害福祉サービス事業の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第七十 第七十号議案
東京都障害者支援施設等に関する条例の一部を改正する条例
第七十一 第七十一号議案
東京都立療育医療センター条例の一部を改正する条例
第七十二 第七十二号議案
東京都立多摩療育園条例の一部を改正する条例
第七十三 第七十三号議案
東京都立重症重度心身障害児者施設条例の一部を改正する条例
第七十四 第七十四号議案
プール等取締条例の一部を改正する条例
第七十五 第七十五号議案
食品衛生法施行条例の一部を改正する条例
第七十六 第七十六号議案
食品製造業等取締条例の一部を改正する条例
第七十七 第七十七号議案
東京都ふぐの取扱い規制条例の一部を改正する条例
第七十八 第七十八号議案
東京都立病院条例の一部を改正する条例
第七十九 第七十九号議案
東京都おもてなし・観光基金条例
第八十 第八十号議案
東京都森林整備加速化・林業再生基金条例の一部を改正する条例
第八十一 第八十一号議案
東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
第八十二 第八十二号議案
東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
第八十三 第八十三号議案
東京都海上公園条例の一部を改正する条例
第八十四 第八十四号議案
東京都営空港条例の一部を改正する条例
第八十五 第八十五号議案
東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第八十六 第八十六号議案
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例
第八十七 第八十七号議案
東京都水素社会・スマートエネルギー都市づくり推進基金条例
第八十八 第八十八号議案
東京都再生可能エネルギー等導入推進基金条例
第八十九 第八十九号議案
特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例
第九十 第九十号議案
土壌汚染対策法関係手数料条例の一部を改正する条例
第九十一 第九十一号議案
東京における自然の保護と回復に関する条例の一部を改正する条例
第九十二 第九十二号議案
東京都自然公園条例の一部を改正する条例
第九十三 第九十三号議案
東京都駐車場条例の一部を改正する条例
第九十四 第九十四号議案
東京都立公園条例の一部を改正する条例
第九十五 第九十五号議案
東京都霊園条例の一部を改正する条例
第九十六 第九十六号議案
東京都葬儀所条例の一部を改正する条例
第九十七 第九十七号議案
東京都貸切自動車条例の一部を改正する条例
第九十八 第九十八号議案
東京都公安委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
第九十九 第九十九号議案
警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例
第百 第百号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百一 第百一号議案
東京都暴力団排除条例の一部を改正する条例
第百二 第百二号議案
東京消防庁の設置等に関する条例の一部を改正する条例
第百三 第百三号議案
東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例
第百四 第百四号議案
火災予防条例の一部を改正する条例
第百五 第百五号議案
特別区の消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例の一部を改正する条例
第百六 第百六号議案
都営住宅二十六H─一〇六東(江東区東砂八丁目)工事請負契約
第百七 第百七号議案
警視庁大橋庁舎(二十六)新築工事請負契約
第百八 第百八号議案
東京都写真美術館(二十六)改修工事(その二)請負契約
第百九 第百九号議案
舎人公園非常用発電設備工事その二請負契約
第百十 第百十号議案
竪川水門耐震補強工事請負契約
第百十一 第百十一号議案
包括外部監査契約の締結について
第百十二 第百十二号議案
昭島市と福生市との境界変更について
第百十三 第百十三号議案
災害廃棄物処理の事務の受託の廃止について
第百十四 第百十四号議案
平成二十七年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担について
第百十五 第百十五号議案
平成二十六年度の連続立体交差事業の実施に伴う費用の関係特別区・市の負担の変更について
第百十六 第百十六号議案
多摩川流域下水道北多摩二号処理区の建設に要する費用の関係市の負担について
第百十七 第百十七号議案
多摩川流域下水道秋川処理区の建設に要する費用の関係市町村の負担について
第百十八 第百十八号議案
平成二十六年度東京都一般会計補正予算(第五号)
第百十九 第百十九号議案
平成二十六年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)
第百二十 第百二十号議案
平成二十六年度東京都地方消費税清算会計補正予算(第一号)
第百二十一 第百二十一号議案
都と特別区及び特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
第百二十二 第百二十二号議案
平成二十六年度分の都と特別区及び特別区相互間の財政調整の特例に関する条例
第百二十三 第百二十三号議案
東京都指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十四 第百二十四号議案
東京都指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十五 第百二十五号議案
東京都指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十六 第百二十六号議案
東京都指定障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十七 第百二十七号議案
東京都指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例
第百二十八 第百二十八号議案
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行条例の一部を改正する条例
第百二十九 第百二十九号議案
警視庁関係手数料条例の一部を改正する条例
第百三十 諮問第一号
地方自治法第二百六条の規定に基づく異議申立てに関する諮問について
第百三十一 諮問第二号
地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
第百三十二 諮問第三号
地方自治法第二百二十九条の規定に基づく審査請求に関する諮問について
議事日程第四号追加の一
第一 東京都収用委員会委員の任命の同意について(二六財主議第五一〇号)
第二 東京都収用委員会委員の任命の同意について(二六財主議第五一一号)
第三 東京都収用委員会委員の任命の同意について(二六財主議第五一二号)
第四 東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(二六財主議第五一三号)
第五 東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(二六財主議第五一四号)
第六 東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(二六財主議第五一五号)
第七 東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(二六財主議第五一六号)
第八 東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(二六財主議第五一七号)
第九 東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(二六財主議第五一八号)
第十 東京都公害審査会委員の任命の同意について(二六財主議第五一九号)

   午後一時開議

○議長(高島なおき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(高島なおき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(高島なおき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、東京都収用委員会委員の任命の同意について外人事案件九件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(高島なおき君) 一昨日に引き続き質問を行います。
 四十八番三宅正彦君
   〔四十八番三宅正彦君登壇〕

○四十八番(三宅正彦君) 先般、知事は小笠原を視察し、その際、本土から千キロ離れた離島の厳しい現状について、直接現地を見て島民の声を聞いていただきました。
 小笠原諸島は、島民が居住することで、領域の保全や海洋資源の確保など、国益に重要な役割を担っています。今般の中国漁船の違法操業問題などにおいても、漁業への影響などを踏まえて、国や都による対応がなされたものと考えていますが、現地懇談会でも話に出たとおり、島民の感じている大きな不安を払拭し、安全・安心を確保するべく、関係機関と連携しながら、気を緩めることなく取り組んでいただきたいと思います。
 昭和四十三年に我が国に復帰した小笠原諸島は、特別措置法のもと、復興、振興開発が進められ、生活基盤が重点的に整備されてきましたが、依然として課題は山積しています。
 こうした課題の解決に向け、都は昨年十二月に小笠原諸島振興開発計画を策定しましたが、この計画の中では、交通アクセスは小笠原村の最重要課題とうたわれており、改善に向けた取り組みを着実に進めていく必要があります。
 航路については、本土と父島を結ぶ「おがさわら丸」と、父島と母島を結ぶ「ははじま丸」が平成二十八年度に新造船の就航を目指して順調に準備が進んでいます。
 一方、多くの島民から期待を寄せられている航空路の開設については、民生の安定と産業振興を進める上で極めて重要な課題であるとともに、今回の中国漁船による違法操業問題において、改めて国境離島としての存在価値が大きくクローズアップされました。
 そこで、小笠原の航空路の開設について、現地を視察された知事に改めて所見を伺います。
 次に、大島の観光復興について伺います。
 甚大な被害を受けた一昨年十月の台風から一年半が過ぎようとしています。都は発災以来、我が党の要望を踏まえて、被災者の生活再建、インフラの復旧、産業の復興などさまざまな取り組みを実施してきました。観光面においても、宿泊費用の割引や復興応援ツアーなどにより、旅行者誘致を強力に推進してきました。
 島内でも、大島の再生に向け、さまざまな取り組みが行われています。民間からの提案で、大島公園、大島高校、椿花ガーデンの三つのツバキ園を国際ツバキ協会の優秀ツバキ園に認定しようとする動きが出ていますし、リオデジャネイロ五輪の自転車ロードレースのアジア予選の会場としても名乗りを上げ、大島の再生に向け全島一丸で取り組んでいるところです。
 地元の努力と都の支援により来島者数は回復傾向にありますが、発災前の水準に戻るまでには至っておりません。大島が本格的な復興をなし遂げるためには、基幹産業の一つである観光産業が活力を取り戻すことが鍵となります。旅行者の関心と来島意欲が途切れることのないよう、都として継続的な支援が重要と考えますが、見解を伺います。
 災害に見舞われた大島だけではなく、交通網の発達による移動時間の短縮や格安海外ツアーの普及などにより、島を訪れる観光客数は減少傾向にあります。今後、観光客を増加へと転じていくためには、島を訪れた観光客が最初に利用する船客待合所や空港ターミナルにおいて島の魅力を存分にアピールし、島の第一印象を高めることが重要と考えます。
 都ではこれまでも、船客待合所等の建てかえを順次進めてきてはいますが、これからは単なる老朽化した施設の建てかえではなく、新たな観光需要にも対応していく必要があります。
 特に近年、日本への外国人観光客数が大幅に増加する中で、外国人を含む来島者に対する観光情報の提供や案内表示、インターネットなどの接続環境にも十分に配慮し、サービスの拡充を図ることが重要です。
 また、津波対策を初め、防災対策をより一層強化することも不可欠です。
 そこで都は、今後、こうした点を踏まえて、船客待合所や空港ターミナルを整備していくべきと考えますが、都の取り組みについて伺います。
 次に、御蔵島の就航率向上について伺います。
 昨年から新造船「橘丸」が就航し、東京から南方へ約二百キロ離れた御蔵島へも、より快適な船旅ができるようになりました。
 御蔵島は、島しょ全体の観光客が減少している中、イルカウオッチングなどで多くの若者などが訪れる人気の観光スポットとなっています。
 しかし、御蔵島の岸壁は外海に突き出していることから、波浪による影響を直接受け、定期船の欠航が多く発生しており、観光振興の妨げとなっています。特に、季節風が強く吹く冬場は極端に就航率が低く、島民生活に必要な物資の搬入も滞ることがあります。島民生活の安定や豊かな自然を生かした観光振興を図るためには、定期船の就航率を向上させることは不可欠です。
 そこで、御蔵島への定期船の就航率を向上させるため、都ではどのような取り組みを行うのか伺います。
 次に、臨海副都心について伺います。
 MICE、国際観光拠点として開発を進めている臨海副都心は、東京を世界で一番の都市に牽引する上で重要なエリアです。
 このたび策定された都の長期ビジョンにおいては、平成三十六年、二〇二四年の訪都外国人旅行者数を年間千八百万人とする目標を掲げています。
 一方、海外に目を向けると、例えばシンガポールでは、MICE施設やリゾート施設、カジノ施設等を含む統合型リゾート、いわゆるIRを整備し、外国人旅行者を着実に増加させ、雇用効果や経済成長率の改善など、大きな経済波及効果が確認されています。
 これまで我が党は、国を挙げてIRを推進すべきと議員連盟を設立し、国への法整備等を強く働きかけてきました。
 東京が厳しい都市間競争に打ち勝ち、日本経済を牽引し続けるためには、日本ならではの伝統文化の視点も取り入れながら、国際観光拠点としてIRを整備し、東京の魅力を高める必要があります。
 そこで、都としてもIR導入に向けて具体的な検討を進めていくことが重要と考えます。知事の見解を伺います。
 次に、東京の地域特産品の開発について伺います。
 近年、日本各地で、地域の代表的な農林水産物等を加工して、地域特産品として売り出すことが盛んに行われています。都内各地でも、野菜や魚介類などの一次産品を活用したさまざまな加工品がつくられており、現在でも新たな特産品の開発や販路開拓が検討されています。
 このような加工、特産品開発の試みは、一次産業ばかりではなく、食品製造などの二次産業の活性化にもつながることから、大消費地を身近に抱え、多くの食品産業が集積する東京でこそ一層進めるべきです。
 昨年、知事は、食という観点から東京の魅力を発信するため、東京産の多種多様な農林水産物を使った東京味わいフェスタを開催し、訪れた多くの人々の反響から、改めて東京産の食材が持つ力を再確認されたことと思います。
 そこで、二〇二〇年大会の開催時に国内外から訪れる多くの観光客にも提供できるよう、農林水産物という地域資源を活用した新たな特産品の開発に都が取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、災害廃棄物の処理について伺います。
 大島の土砂災害では、町の年間ごみ処理量の実に九年分の災害廃棄物が発生し、一刻も早い復興のためには、その早期処理が喫緊の課題となりました。そのため、町は島外処理を都に委託して早期処理を進め、昨年十二月末には災害廃棄物処理が完了しました。
 そこで、島外処理に当たって直面した課題と対応について伺います。
 さて、いわゆる首都直下地震は、今後三十年の間に七〇%の確率で発生するといわれています。
 不幸にも首都直下地震が起きた場合、市域を越えた甚大な被害と東日本大震災の数倍にも及ぶ災害廃棄物の発生が見込まれます。
 大島町土砂災害のように、災害廃棄物処理には国や都道府県の広域支援はもちろん必要ですが、被災自治体の主体的な取り組みや発災に備えた事前準備が災害廃棄物を着実に処理する上で極めて重要です。
 しかしながら、現在、都内自治体がこうした準備を整えようにも、単独では、知見、組織体制などの面で困難です。
 そこで、都内市区町村における災害廃棄物の円滑な処理に向けた取り組みへの支援について所見を伺います。
 また、南海トラフ地震等の巨大災害時の災害廃棄物処理においては、都道府県の区域を越えた広域処理も重要となります。
 国は、昨年度立ち上げた検討委員会において対策スキームを取りまとめるとともに、これに基づき災害廃棄物の処理を民間処理施設で行う際の手続の簡素化や、国みずからの処理も可能となるよう法律改正を行うとのことです。このような広域処理を想定した新しいやり方は、首都直下地震においても有効に機能すると期待できます。
 また、対策スキームでは、国が対策の指針を示し、関東などの各地域ブロックでは、指針に基づき域内の自治体が広域連携に関する行動計画を策定することを求めています。
 都は、これまでの災害廃棄物処理の経験を生かし、関東ブロックの行動計画策定に向け、リーダーシップを発揮すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、入札契約制度について伺います。
 都の公共工事における入札不調については、今年度上半期の建築工事の不調発生率が二二・三%となる中にあって、特に、島しょ地域における発生率は三四・五%と、都全体の平均を大幅に上回っています。
 入札不調となった島しょの工事を見ると、都立高校や港湾施設など重要な施設が含まれており、不調の増加による島民生活や地域経済への影響が懸念されます。
 地元業者の方々からは、地域的条件によって、内地と比べて資材や作業員の確保が困難であることが不調の原因だと伺っています。気象条件や輸送条件など、内地と異なる実情を踏まえ、積算や工期などの面で事業者が積極的に受注を目指すことができる環境を発注者側がしっかり整えていくことが、事業者の不安感を払拭するためにも重要です。
 そこで都は、発注者として、島しょ地域の入札不調対策に喫緊の課題として取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 入札不調の問題は、島しょ地域に限った課題ではなく、都内全体に共通する課題でもあります。
 不調対策の一つとして、事業者が入札に参加するに当たっては、先の見通しを立てやすい環境を整えることが有効だと考えます。なぜなら、どの中小企業にとっても、技術者や技能員を効率よく手配する上で、いつ、どこで、どのような工事が発注されるのかといった詳細な情報が欠かせないからです。
 さらには、昨年六月に成立した改正品確法では、計画的な発注が発注者の責務として位置づけられており、事業者が繁閑の差がなく安定して仕事を請け負えるような環境をつくることが求められています。
 そこで、各局の計画的な発注を促し、事業者の受注計画策定を支援するために実効性ある発注情報の提供が重要と考えますが、所見を伺います。
 今まさに東京は、五輪開催に必要な施設整備に総力を挙げて取り組み、安全・安心で災害に強い都市づくりを是が非でも加速させなければなりません。
 これらを確実に実現するためには、都の施策を支える事業者の力が不可欠です。
 地域の中小企業が都の公共工事で最大限に力を発揮できるよう、入札に参加しやすい環境の整備に向けて、全庁一丸となってしっかり取り組んでいただくことを求め、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 三宅正彦議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、小笠原の交通アクセスについてでございますが、本土から千キロメートル離れた小笠原諸島への交通アクセスの改善は、島民生活の安定と産業振興を図る上で極めて重要であります。
 先般、都議会正副議長、そして三宅正彦議員とともに小笠原を訪れた際に、村長から説明を受けまして、航空路の開設は小笠原村民の長年にわたる切なる願いであるということを改めて強く認識いたしました。
 一方で、航空路開設に当たりましては、自然環境への影響を初め、さまざまな課題があることもまた事実でございます。
 このため、国や小笠原村など関係機関との調整を丁寧に行いながら、自然環境の保全と両立する航空路案が取りまとめられるよう、最新の技術開発動向なども含めまして、幅広く課題の整理、検討を行ってまいります。
 今後とも、島民生活の安定と産業振興を図り、国境離島であります小笠原諸島の自立的発展を目指して積極的に取り組んでまいります。
 続きまして、統合型リゾート、いわゆるIRについてでございますが、ホテルや国際会議場、カジノなどを一体的に整備したIRは、シンガポールなど海外の例を見ると有力な観光資源となっております。
 東京におきましても、臨海副都心などのMICE、国際観光拠点化に向けまして、IRは国際競争力を高めるための有力なツールとなる可能性を有しております。
 一方で、カジノを含むIRの導入にはさまざまな課題があるともいわれております。
 こうしたことから、現在、海外におけるIRの現状を調査するなど、プラス、マイナス双方の影響を十分に見きわめるための検討を行っているところでございます。
 IRを整備するためには新たな法律が必要であり、今後、国会審議の動向を踏まえつつ、観光振興を初め、さまざまな観点からの幅広い意見を聞きながら、引き続き検討を進めてまいります。
 そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、伊豆大島の観光支援についてでございますが、観光産業は大島の基幹産業の一つであり、大島が本格的な復興を果たす上で重要な役割を担っております。
 都は、大島への旅行者数の回復を目指し、今年度、一泊三千円の宿泊助成や、旅行会社と連携した割安なパッケージツアーの提供などを行っておりますが、いまだ発災前の水準には至っておりません。
 このため、宿泊助成や割安なパッケージツアーの提供を来年度も継続するとともに、復興計画に基づいて、町が取り組む観光施設の整備等を支援してまいります。
 また、新たにトレインチャンネル等を活用した観光キャンペーンを展開し、島の魅力を広くアピールしてまいります。
 こうした取り組みによりまして、伊豆大島への旅行意欲を喚起し、にぎわいの回復に向けて積極的に支援してまいります。
 次に、農林水産物を活用いたしました特産品開発についてでございます。
 世界有数の大都市でありながら、多様な食材を提供できることが東京の魅力の一つであり、こうした食材を加工した新たな地域特産品の開発は、農林水産業の振興とともに、食品産業の活性化にも効果的な取り組みでございます。
 このため、都は来年度から、地域特産品開発支援事業を開始し、多くの人が訪れるオリンピック・パラリンピック大会の開催時期をターゲットに、都内産農林水産物などを使った新たな特産品開発等に取り組んでまいります。
 具体的には、食品技術センターが開発した加工技術を活用し、野菜の風味や色を残した麺類や、安価でうまみのある魚を使ったかまぼこ、乳酸発酵を生かした漬物など、食品事業者が行う商品開発と、そのPR活動などに支援を行い、東京ならではの地域特産品の開発を促進してまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

○港湾局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、船客待合所や空港ターミナル整備についてですが、都は、来島者の利便性向上や島民との交流、にぎわい創出にも配慮し、平成二十年以降、新島や神津島、八丈島等六カ所の建てかえを精力的に進めてきました。
 今後は、津波対策等防災機能はもとより、外国人も視野に入れた観光機能の一層の充実にも取り組んでまいります。
 具体的には、避難タワー設備を有する大島岡田港や式根島野伏漁港の船客待合所の整備を進めていくとともに、火山ガスの影響を注視しながら、三宅島の空港ターミナル整備に向けた準備を進めてまいります。
 さらに、平成三十年までに全ての船客待合所、空港ターミナルにおいて、多言語表示の案内板や情報発信のための大型ディスプレーを設置するとともに、無料Wi-Fiを利用できる環境を整備し、外国人を含めた観光客に効率的に観光情報等を提供し、島の魅力創出に寄与してまいります。
 次に、御蔵島への就航率向上のための取り組みについてですが、御蔵島は、周囲を断崖絶壁に囲まれ、伊豆諸島の中でも港湾を整備するのが最も困難な島の一つでございます。
 こうした中でも、島唯一の港である御蔵島港に大型定期船が接岸できる岸壁や、漁船などが係留できる小型船だまりなどの整備を長年にわたり進めてまいりました。
 しかし、新造船「橘丸」の就航効果は見られるものの、風や波の影響を大変受けやすい岸壁のため、いまだ欠航も多く、平成二十六年の就航率は、全島平均約九〇%に対し、御蔵島は約六五%にとどまっております。
 このため、現在ある岸壁の東側約三百五十メートルの位置に二つ目の岸壁を新たに整備してまいります。これにより、風向きによって使用する岸壁を使い分けることが可能となり、定期船の就航率が大幅に向上する見込みでございます。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

○環境局長(長谷川明君) 災害廃棄物の処理に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、大島町災害廃棄物の島外処理についてでございますが、復興の大きな支障となる災害廃棄物の島外処理に当たりましては、島からの着実な搬出スキームの構築と、復興を見据えた的確な工程管理が課題でございました。
 そのため、町から島外処理を受託した都は、東日本大震災の広域支援に用いたコンテナの改造や、新たな船舶輸送スキームの確立により、早期の搬出を実現いたしました。
 また、復興のかなめである観光振興に影響が出ないよう、市街地内の災害廃棄物の仮置き場を夏の観光シーズンより前に撤去するなど作業工程に配慮するとともに、現地にたびたび職員を派遣し、的確な工程管理に努めました。
 これらにより、災害廃棄物一万一千五百三十六トンを、特別区や民間事業者の協力も得て、平成二十五年十二月から約一年間で計画どおり処理したところでございます。
 次に、区市町村の取り組みに対する都の支援についてでございますが、首都直下地震など大規模災害に伴う災害廃棄物の円滑な処理には、具体的な被害想定や処理手順の明確化など、区市町村による事前準備が重要でございます。
 そのため、都は、実効性の高い瓦れき処理マニュアルの作成支援を目的とするワークショップや、区市町村職員を交えた被災現場調査を定期的に実施するとともに、今年度、新たに、都が東日本大震災への対応などから得た具体的なノウハウを提供する講習会を開催するなど、区市町村の災害廃棄物処理能力向上に向けた支援を強化しております。
 今後も、都は、災害廃棄物処理に関する広域的な役割を着実に果たすとともに、大島町での経験を伝える島しょ町村向けの講習を新たに実施するなど、各団体の実情に応じたきめ細かな支援を積極的に行ってまいります。
 最後に、災害廃棄物の広域処理についてでございますが、巨大地震により発生する膨大な災害廃棄物の処理には、民間や都外の自治体も含めた広範な連携体制が必要でございます。
 このため、都は、国の検討委員会に参画し、これまでの災害廃棄物処理の経験を踏まえ、民間の処理施設を円滑に活用するための制度の整備などを働きかけてまいりました。
 また、関東ブロックの協議会において、近隣自治体等に対し、都がこれまでに得たノウハウを提供するとともに、広域処理に向けた具体的な検討課題の提案を行ってまいりました。
 今後とも、こうした場において近隣自治体と連携協力し、民間処理施設等に関する情報の共有を行うとともに、実現性の高い広域処理のルールづくりの検討を主体的に進め、実効性のある行動計画の策定を目指してまいります。
   〔財務局長中井敬三君登壇〕

○財務局長(中井敬三君) 入札契約制度に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、島しょ地域の入札不調対策についてでありますが、島しょ地域の現下の厳しい状況を踏まえ、実効性ある入札不調対策を全庁で実施していくことが重要であると考えております。
 こうしたことから、島しょ地域特有の労務需給の特殊性などに配慮し、予定価格、工期及び仕様等の設定について、より実態に即したものとなるよう改善を速やかに行ってまいります。
 また、局ごとに公表していた発注情報を、今後は支庁管内ごとに情報を集約し利便性を高めるとともに、関係局で不調対策に関する連絡会を開催するなど、事業者の受注促進に向けた情報の共有化を図ってまいります。
 今後とも、島しょ地域において事業をより円滑に実施できるよう、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、実効性ある発注情報の提供についてでありますが、都はこれまで、入札に参加しやすい環境の整備に向けて、電子調達システム上で年間発注予定表を公表するとともに、その詳細化を積極的に図ってまいりました。
 一方、予定表は発注局ごとに作成しており、履行場所が所在する区市町村ごとに検索する機能がないなど、事業者の視点での情報提供が必ずしも十分ではないところがございました。
 このため、工事入札の全案件を対象として、履行場所や入札予定時期ごとに検索できる機能を来年度新たに追加してまいります。
 こうした取り組みを通じて、事業者の受注計画策定を効果的に支援するとともに、発注予定情報の全庁的な有効活用を一層進めるなど、発注時期の平準化に向けた環境の整備に取り組んでまいります。

○議長(高島なおき君) 一番小林健二君
   〔一番小林健二君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○一番(小林健二君) 初めに、東京文化ビジョンについてお伺いいたします。
 事業に失敗して自殺を思い詰めた友人が、ベートーベンを聞いて、もう一踏ん張りやってみようかと思いとどまった、これこそ本物の芸術の力ではないか。
 これは、フランス文学者であった辻昶氏が語ったエピソードであります。文化芸術は、一人の命をも救う偉大な力を秘めており、文化芸術を愛し、大切にすることは、人間の尊厳を守ることに通ずるといえます。
 都は、今後の文化芸術振興の指針となる東京文化ビジョンの素案をさきに取りまとめ、年度内に策定する予定でありますが、二〇二〇年に向け、世界一の都市東京を目指すにおいては、文化芸術を根本としてよって立つ文化芸術立都を目指していくべきであり、文化芸術の力を東京の活性化に結びつけていくことが重要であります。
 その意味で、東京文化ビジョンに盛り込まれた戦略の一つとして、教育、福祉、地域振興など、社会や都市の課題に芸術文化をソリューションとして活用していくとの視点をいかに具現化していくかが問われると考えます。
 社会が抱えるさまざまな課題の解決に向けた文化芸術の役割について、知事の所見を伺います。
 芸術はあらゆる人々を結合させますとは、ベートーベンが残した言葉であります。文化芸術は一握りの人のためのものではありません。あらゆる人々のためのものであります。行政は、人々の日々の生活、それぞれの地域に根差した文化を大切にし、全ての人が文化芸術に親しむ機会を創出していかねばなりません。この視点に立って、二点お伺いいたします。
 まずは、地域における文化振興です。
 文化ビジョンにおける施策の方向性として、まちづくりなどにおける課題の解決を推進すると盛り込まれておりますが、地域のコミュニティづくりにおいて、日本の伝統文化である盆踊りを活性化してはどうかと考えます。
 盆踊りは、地域の町会や商店会の皆様がご苦労を重ね、工夫を凝らして地域コミュニティの活性化に寄与するものとなっています。折しもオリンピック・パラリンピックの開催は、盆踊り真っ盛りのシーズンであります。
 私も地域の盆踊りにお伺いしますが、浴衣を着たご年配の方を中心とした優雅な踊りが夏の夜を彩っております。例えば、ご年配の方が若者に踊り方を教え、さらには、外国人観光客を招いて、世代を超え、国境を越えて、ともに踊りを楽しむ一大イベントを開催するなど、地域の皆さんになじみの深い文化を活用した地域活性化を進めていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、障害がある方が文化芸術を鑑賞し、その魅力を存分に享受できる取り組みが必要であります。
 私が長年、文化振興についてご指導いただいている歌舞伎役者の方より、今回の東京文化ビジョンの策定に当たって、健康な方も障害がある方も、同じように文化芸術を楽しんでいただくために、最先端技術を活用した字幕、翻訳、音声ガイドなどを取り入れた取り組みを、ぜひ推進してもらいたいとのご意見をいただきました。
 文化ビジョンの戦略の一つでもある、あらゆる人が芸術文化を享受できる社会基盤を構築という視点を実現するためにも、障害者の方々に文化芸術を楽しんでいただける環境を整えていく取り組みが不可欠であります。見解を求めます。
 さらに、多くの外国人観光客に東京の魅力を伝え、文化の発信を行っていく上で欠かせない資源として文化財や歴史的建造物があり、それらを生かしたまちづくりが大切であります。
 私は、平成二十二年第一回定例会の一般質問で、文化財保護とまちづくりという視点から、都が策定している歴史的景観保全の指針に文化財としての建造物を含め、広く歴史的な景観形成に努めていくべきと質問いたしました。
 二〇二〇年に向け、新たな東京のまちづくりを進めていくことになりますが、歴史と文化が薫り、伝統と現代が共存する都市を構築するためにも、文化財や歴史的建造物を中心とした歴史的景観を生かした都市づくりを一層促進していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、アニメ振興についてお伺いします。
 日本が世界に誇るべきポップカルチャーの一つとして、漫画、アニメがあります。
 私の地元練馬区には、昭和三十三年に日本で最初につくられた劇場用長編アニメ「白蛇伝」を作成した当時の東映動画株式会社、現在の東映アニメーション株式会社があり、日本のアニメ制作が本格的に始まったジャパン・アニメーション発祥の地であります。
 毎年、練馬アニメカーニバルを開催し、産業と文化の両面から盛り上げていこうと取り組んでおります。西武池袋線大泉学園駅周辺をアニメのまちの玄関口として整備する事業も進めており、来月には駅北口に、区ゆかりのキャラクターとして、鉄腕アトム、「銀河鉄道999」のメーテル、「あしたのジョー」の矢吹丈など五体のモニュメントが設置される予定です。
 都内には、練馬区に限らず、漫画、アニメに由来した聖地と呼ばれる地域も多数存在し、聖地巡礼として多くのファンに楽しみを与えてくれていますが、これら都内に点在しているアニメ資源を面として捉え、総合的に生かしていくことが重要であります。
 東京の観光公式サイトには、トーキョー・アニメ&マンガマップがありますが、区市町村や民間事業者とも連携をとり、一層内容を充実させ、タブレットやスマートフォン向けのアプリを作成するなど、国内のみならず、海外に向けてジャパン・ポップカルチャーの情報発信、さらには重要な観光資源として活用していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、若年性認知症施策についてお伺いします。
 厚生労働省は、認知症施策を加速化するため、認知症施策推進総合戦略、いわゆる新オレンジプランを策定し、先月公表いたしました。
 この新オレンジプランでは、七つの柱があり、その一つに若年性認知症施策の強化が盛り込まれております。
 都では、国に先駆けてこの問題に対応すべく、全国で初となるワンストップ相談窓口として若年性認知症総合支援センターの設置や、普及啓発のためのハンドブックを作成するなどの取り組みをしており、高く評価いたします。
 私のご近所で親しくしていただいているご夫婦のご主人が若年性認知症を発症され、奥様から日々のさまざまなご苦労をつぶさにお聞きしております。
 六十五歳未満で発症する若年性認知症は、高齢者の認知症と違い、現役世代での発症であり、就労、居場所づくり、社会参加支援など多岐にわたる支援策を講じていく必要があります。
 その一つとして、早期診断、早期対応への取り組みが大切であります。
 都では現在、十二の二次保健医療圏ごとに認知症疾患医療センターを設置し、医療体制を整備しておりますが、都議会公明党は昨年の第四回定例会において、区市町村ごとに認知症疾患医療センターを整備し、既存のセンターを基幹としたネットワークを構築すべきと提案いたしました。
 都では、この提案を受け、新たに区市町村にも設置する予定ですが、既存の認知症疾患医療センターはもとより、今後、区市町村に設置されるセンターの運営に当たっても、認知症高齢者だけではなく、若年性認知症も含めた視点がぜひとも必要であります。見解を求めます。
 次に、都営住宅における障害者支援についてお伺いいたします。
 住宅セーフティーネットの中心的役割を果たしている都営住宅には、障害者の方も多くお住まいです。
 昨年、地元練馬区の聴覚障害者の団体より、都営住宅にお住まいの聴覚障害者の方のご苦労をお聞きしました。
 お一人でお住まいの聴覚障害の方は、居住している部屋で、水漏れなど緊急に対応をお願いしたい際に、住宅供給公社に連絡をしたくても、耳の不自由な方にとっては、電話ですぐに伝えることは困難であるとのことでありました。
 公社では、申し出があれば、聴覚障害の方に個別にファクシミリでの連絡対応も行っているとのことですが、私がご要望をいただいた方のように、ファクシミリ対応があることも知らない方もいらっしゃいます。
 このような障害に応じた個別のサービスは、申し出た方だけに対応するのではなく、居住者の方々へ広く周知を図るべきであり、さらに今後、きめ細かく対応していくためにも、メールなどの媒体を活用したサービスの提供も検討すべきと考えます。見解を求めます。
 最後に、下水道事業について、二点お伺いします。
 一点目は、下水道における再生可能エネルギー、省エネルギー化であります。
 百八カ所の水再生センターやポンプ所など、下水道施設に係る電力量は、都内における年間電気使用量の一%強を占めており、その効率化が重要な課題であります。
 エネルギー資源が乏しい我が国において、電力効率化への取り組みは経済成長の柱として重要であり、下水道事業に係る電力への再生可能エネルギーや省エネルギー対策は、スピード感を持って計画的に推進していくべきであります。
 二点目は、非常時の電力確保であります。
 下水道は、二十四時間三百六十五日、都民生活を支える重要なインフラであり、非常時においても下水道の機能を維持するための取り組みが求められます。
 存在するのが当たり前になっている下水道ですが、その存在なくして都民生活は成り立ちません。予想される首都直下型地震などの非常時においても、非常用発電機の設置を万全とするなど下水道機能を維持できる電力の確保に総力を挙げるべきであります。
 あわせて見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 小林健二議員の一般質問にお答えいたします。
 社会が抱えるさまざまな課題の解決に向けた芸術文化の役割についてでありますが、芸術や文化には、人間の心を豊かにし、言葉を超えて人々の理解や共感を育む力がございます。
 この力は、被災者の心のケアを初め、高齢者の生きがいづくりや子供の創造力を引き出すとともに、障害者の豊かな感性を芸術として開花させるなど大きな可能性を持っておりまして、アーティストの中でも、こうした認識のもとで社会問題の解決と向き合った活動がふえつつあります。
 都はこれまで、東日本大震災の被災地において、住民が気軽に鑑賞、体験できるプログラムや、美術、音楽、演劇などの分野の一流の芸術家による子供たちとの共同創作など、さまざまな芸術文化活動に支援を行ってまいりました。
 少子高齢化などの課題に直面する東京では、学校や障害者福祉施設などの現場との連携をさらに深め、芸術文化の力を活用した取り組みを加速させていくことが極めて重要であります。
 今後、都は、アーツカウンシル東京を活用して、民間の先駆的、実験的な芸術文化活動を積極的に支援するなど、社会課題の解決に向けて、芸術文化の可能性を最大限に引き出してまいります。
 そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 文化振興に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、芸術文化を活用した地域振興についてでありますが、二〇二〇年大会に向けては、大規模な文化事業の展開とともに、地域の関係団体と連携して、地域に身近な伝統行事や地域特性を生かした文化事業を数多く展開し、地域の活性化を進めていくことが重要であると考えております。
 これまでも都は、アーツカウンシル東京を活用し、地元のまちづくり協議会やNPOとともに、江戸情緒あふれるまち並みといった文化資源を、神社や道路などまち全体を使って紹介し、地域振興に寄与する先進的なイベントを実施してまいりました。
 今後は、こうした事業を引き続き展開するとともに、新たに創設する地域に根差した芸術文化活動に対する助成制度も活用しながら、地域振興等につながる取り組みを広げてまいります。
 次に、障害者が芸術文化を享受する取り組みについてでございます。
 障害者が芸術文化を享受するには、鑑賞と創造の両面で、芸術文化に何ら支障なく触れられる環境を整えることが重要でございます。
 これまで都は、文化施設のバリアフリー化を着実に進めるとともに、特別支援学級に芸術家を派遣しワークショップを行うなど、障害者が芸術文化を身近なものとする取り組みを展開してまいりました。
 来年度からは、デジタル技術を活用した観劇のサポートなども含め、障害者の芸術文化鑑賞のための環境づくりを促進する芸術文化団体やNPO等のすぐれた取り組みを、新たな助成制度によって支援をしてまいります。
 今後は、これらの施策を進め、障害者と芸術文化を結ぶ活動を推進してまいります。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、歴史的景観を生かした都市づくりについてでございますが、東京の魅力を高めていくためには、皇居の堀や緑、近代的な建造物など、都市の記憶の継承にも配慮して都市づくりを進めていくことが重要でございます。
 都はこれまでも、都市計画制度を活用し、東京駅丸の内駅舎や三菱一号館の復元、重要文化財である三井本館の保存と美術館への転用、日本橋の福徳神社の再建など、歴史的景観を生かした民間開発を誘導してまいりました。
 また、皇居の周辺を対象といたしまして、開発事業者と景観等の専門家との協議を通じた景観誘導を進めております。来年度から、この取り組みを、都市再生特別地区を活用する全ての開発も対象といたしまして、風格のあるまち並みの形成を一層進めてまいります。
 今後とも、歴史や文化を感じられる成熟都市東京の実現に向けた都市づくりを促進してまいります。
 次に、都営住宅における障害者支援についてでございますが、住宅セーフティーネットの中核である都営住宅におきまして、障害者の居住の安定を図ることが重要でございます。
 公募の際には、若年単身者も対象とする資格要件の緩和や、当せん率を優遇する措置などを実施してございます。入居後は、巡回管理人の定期訪問や障害の状況に応じた住宅設備の改善など、きめ細かな支援を行っております。
 お話の現在実施している聴覚障害者とのファクシミリによる連絡対応につきましては、居住者向け広報誌で周知を図るなど、一層の普及に努めてまいります。
 なお、メール等による連絡につきましては、誤った送信による個人情報の拡散や成り済ましの危険性などのリスクへの対応が必要なことから、慎重に検討してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) アニメの観光資源としての活用についてでございますが、アニメは世界に誇る日本の文化であり、海外でも人気の高い重要な観光資源でございます。
 このため、都は、東京の観光公式サイトにおいて、アニメや漫画の文化が集積するまちや作品の舞台となった場所を紹介するなど、アニメファンを引きつける情報を国内外に発信しております。
 また、アニメキャラクターの銅像や案内板の設置など、アニメを観光資源として活用する地域の取り組みを支援しております。
 今後も、こうした取り組みを後押しするとともに、区市町村や民間事業者とも連携して、アニメに関する情報をより幅広く収集し、内容を充実させてまいります。
 また、ウエブサイト上で情報を容易に入手できるよう工夫するなど、アニメを活用した地域への旅行者の誘致に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 若年性認知症への対応についてでありますが、若年性認知症特有の課題に対応するため、都は、若年性認知症総合支援センターを設置し、本人や家族からの多岐にわたる相談をワンストップで受け付けるとともに、都内十二カ所の認知症疾患医療センターや地域の医療機関は連携しながら医療的支援を提供しております。
 都は来年度、この認知症疾患医療センターを区市町村ごとに地域連携型として設置していく予定でございまして、若年性認知症の方にとっても、より身近な地域で専門的な医療的支援が受けられる体制となります。
 今後、こうした取り組みを地域の医療機関や都民に広く周知いたしますとともに、若年性認知症総合支援センターを中心に関係機関の連携を一層強化し、若年性認知症対策を推進してまいります。
   〔下水道局長松田芳和君登壇〕

○下水道局長(松田芳和君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、下水道事業におけるエネルギー対策についてでございますが、下水道局では、スマートプラン二〇一四において、総エネルギー使用量に対する再生可能エネルギーと省エネルギーの合計の割合を平成三十六年度までに二〇%以上とすることを目標としております。
 平成二十七年度は、太陽光発電について、森ヶ崎など二センターにメガワット級の設備を整備するほか、八王子など二センターで計画を前倒しして進捗を図るなど、累計四千八百キロワット以上といたします。
 あわせて、従来の高度処理と比べ二割以上の電力削減が可能な新たな高度処理を、葛西及び浅川の各センターに導入するなどの取り組みを進め、再生可能エネルギー等の割合を九%まで引き上げてまいります。
 さらに、目標達成に向け、民間企業とも連携を深め、新たな技術開発を強力に推し進めてまいります。
 次に、下水道事業における非常時の電力確保についてでございますが、災害時にも下水道機能を維持するためには、非常用電源の確保が不可欠でございます。
 そのため、平成三十一年度までに全ての水再生センター、ポンプ所、計百八施設で、非常時の電力設備の未整備施設を解消する取り組みを進めております。
 平成二十六年度までに百一の施設に非常用発電機を導入しており、二十七年度は新たに三施設で整備を進め、このうち用地確保が困難な湯島ポンプ所では、新たに移動電源車を導入いたします。
 また、必要な発電容量につきましても、平成三十一年度までに九割の施設で確保する取り組みを進めております。現在、七割の施設で確保しておりまして、平成二十七年度は十カ所で工事を進めてまいります。
 今後とも、下水道事業の危機管理対応の強化を図り、下水道機能を維持できる電力の確保に総力を挙げてまいります。

○副議長(藤井一君) 二十四番舟坂ちかお君
   〔二十四番舟坂ちかお君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○二十四番(舟坂ちかお君) 初めに、次世代の産業を担う技術、製品開発の支援についてお伺いいたします。
 東京は、急速な高齢化への対応や災害への備えを初めとする多くの課題に直面しております。しかし、私は、こうした東京を取り巻く厳しい環境をチャンスと捉え、新しい東京をつくる契機としていくべきだと考えます。
 東京にはすぐれた技術を持った数多くの中小企業があり、大学などの研究機関も集積しています。中小企業が英知を集め、その力を存分に発揮すれば、大都市の抱える困難な課題を克服していく大きな原動力となります。
 こうした挑戦は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催都市としての強力なメッセージにもなると思います。
 都は、二〇二〇年とその後の日本の発展を見据え、次世代の東京の産業を牽引するプロジェクトの創出を強力に支援していくべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、中小企業の防災対策についてお伺いします。
 昨年十二月、都は、東京の防災プランを策定し、おおむね二〇二〇年までに、地震などの災害に対し、都民、地域、企業、行政が備えるべき取り組みを明らかにしました。
 いうまでもなく、災害などの発生時に、首都東京が速やかにその経済活動を再開することは、国全体のサプライチェーンを維持することの上で極めて重要です。そのためには、東京の経済の担い手たる企業一社一社が、このことをしっかりと認識し、万全の備えを講じることが必要です。
 そうした意味で、都が防災プランにおいて、中小企業の事業継続計画、いわゆるBCPの策定支援を公助の取り組みとして位置づけたことは評価したいと思います。
 一方、中小企業と一口に申しても、業種や規模も多種多様であり、効果的な計画づくりのためには、実態を踏まえたきめ細やかなサポートが不可欠です。
 そこで都は、新年度から中小企業のBCP策定支援にどう取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 次に、特別区消防団の強化についてお伺いいたします。
 東京が世界一安全・安心な都市となるためには、首都直下地震等の大規模災害への備えを万全なものとし、被害を最小化する高度な防災都市の早期実現が重要であると考えます。
 そのためには、自助、共助、公助の役割に応じた防災行動力を備える必要があり、特に地域の防災力のかなめである消防団の活動強化が重要です。
 消防団員の方々は、郷土愛の精神のもと、生業を営みながら、日夜、献身的に消防団活動に尽力されており、その崇高な使命感と活動に対して心から敬意を表し、感謝をしたいと思います。
 我が党は、これまでの消防団員の活動のための装備資機材の充実について訴えてきました。
 そこで、特別区消防団資機材等の充実に向けた東京消防庁の取り組みについてお伺いいたします。
 東京消防庁管内の平成二十六年の救急出場件数は、五年連続で過去最高件数であった前年を超え、速報値で約七十五万七千六百件となるなど、高齢化の進展などの影響により増加傾向にあります。
 私の地元葛飾区も高齢人口が年々ふえており、緊急を要する病気やけがなど、いざというときには多くの人が救急車を必要としています。
 一方、こうした状況は、東京に限らず日本全国においても同様であることから、国は昨年十月に消防力の整備指針を改正し、救急車の整備基準を改正いたしました。
 具体的には、これまで人口十五万を超える場合は救急車五台、さらに人口十五万を超える人口について、おおむね人口六万ごとに一台を加算した台数を基準に整備することとされていましたが、改正後は、人口十万を超える場合は救急車五台、さらに人口十万を超える人口について、おおむね人口五万ごとに一台を加算した台数を基準に整備することとされ、また、昼間人口、高齢化の状況、救急車の出動状況などについても勘案することとされています。
 第四回定例会の我が党の代表質問では、増大する救急需要への対応について求めましたが、このような状況に的確に対応していくためには、救急需要に見合った救急隊数を計画的に確保していくことが必要と考えます。
 そこで、国の整備指針改正を踏まえた今後の救急隊整備の考え方について見解をお伺いいたします。
 次に、環境分野における区市町村への支援についてお伺いいたします。
 昨年十二月に都が発表した長期ビジョンでは、政策指針として、水と緑に囲まれ、環境と調和した都市の実現という目標が掲げられております。
 これは、我が党の政策提言であった、後世に誇れるクリーンで美しい東京と合致する内容で、着実に推進してもらいたいと思います。
 しかし、目標を達成するためには、都が進める環境政策のみならず、都と区市町村が連携協力して施策を展開することが必要と考えます。
 そこでまず、再生可能エネルギーの導入促進における区市町村との連携についてお伺いいたします。
 私の地元葛飾区では、昨年度から災害時に避難場所となる公共施設への再生可能エネルギーの導入を開始し、来年度、私の母校である中学にも太陽光パネルが設置される計画になっております。
 この葛飾区の事業は、防災面の強化だけではなく、都が目標とする再生可能エネルギーの導入拡大にも大きく貢献するものです。こうした事業は他の区市町村でも行われていますが、まだまだ糸口についたばかりという状況です。
 都の積極的な支援により事業を加速させ、都の目指す低炭素、快適性、防災力の三つを兼ね備えたスマートエネルギー都市の実現につなげるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、財政支援を含めた環境行政全般への支援についてお伺いいたします。
 都は現在、区市町村への補助制度を設置し、廃棄物の適正な処理や身近な緑の保全など、さまざまなメニューで区市町村の取り組みを支援しています。
 葛飾区でも、この補助制度を活用して荒川の水辺環境の保全などに取り組み、住民の環境への意識の向上や環境保全活動への参加につなげています。
 このようなすぐれた事業が他の区市町村でも同じように活発に行われているかというと、そうでもありません。地域によっては自然環境、生活環境、住民意識が異なるほか、区市町村の財政力や保有する人材、情報にも差があります。
 こうした中で、環境都市東京の実現に向け、都はより強力に、よりきめ細やかに区市町村をサポートしていくことが必要です。
 都は、昨年の我が党の提言を受けて補助制度の再構築を行っていますが、この補助制度のさらなる有効活用を含め、区市町村の環境行政への支援を一層進めていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、マンション施策についてお伺いいたします。
 分譲マンションは、多くの区分所有者による合意形成を図りながら、計画的に維持管理や改修、建てかえなどを進めていく必要がありますが、築年数の経過とともに居住者の高齢化も進み、管理組合が十分に機能せず、円滑な合意形成が困難な事例が見受けられます。
 今後、超高齢、人口減少社会の到来等により、こうした傾向はさらに進むものと想定され、管理不全に至り、荒廃するマンションの増加も懸念されます。防災や活力向上の観点からも、必要に応じて行政が関与し、管理組合等の取り組みを支援する必要があります。
 都は、昨年七月に、住宅政策審議会に新たにマンション部会を設置し、調査審議を重ねています。今月九日の審議会では、部会から中間報告がなされ、私も委員として大変興味深く拝聴いたしました。
 ついては、この報告に対する都の所見と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、文化振興施策についてお伺いいたします。
 私の地元葛飾区には、かつしかシンフォニーヒルズという国内屈指の音響を誇るホールがあり、私もしばしば訪れてはクラシック音楽を楽しんでおりますが、いつも感服するのは、海外の有名なソリストにまさるとも劣らない日本人若手演奏家の豊かな才能です。
 国際的な音楽コンクールで上位入賞を果たす日本人の若手演奏家は枚挙にいとまがなく、彼らをもっと積極的に国内外に紹介することが必要ではないかと考えます。
 例えば、我が国を代表する公設オーケストラである東京都交響楽団は、海外、国内の公演において、こうした有望な日本の若手音楽家をソリストとして活用し、そのすばらしい才能を国内外に積極的に発信していくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
 クラシック音楽の分野に限らず、東京、日本にはすぐれた才能を持つ若手芸術家が多数存在し、国内にとどまらず、海外へと武者修行に出ていく人たちも少なくありません。
 若い才能がチャンスを求めて積極的に海外へ進出することはすばらしいことですが、本来は、東京こそが国内外のアーティストが活躍の場を求めて集まってくるような都市でなければならないのではないでしょうか。
 そのためには、新進気鋭の若手芸術家が東京に集まり、存分に活躍してその才能を開花させることが重要です。
 そこで、芸術の未来を担う若者たちを積極的に支援する取り組みをさらに強化するべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 最後に、オリンピック・パラリンピック大会に向けた受け入れ環境の整備についてお伺いいたします。
 オリンピック開催都市にふさわしい、世界で一番の都市東京を実現するためには、民族、国籍、宗教、文化等のさまざまな背景や属性のある都民や来訪者など、全ての人々がお互いの違いを認め合い、幸せを追求できる都市であることが重要です。
 そのためには、人権尊重の理念が幅広く社会全体に浸透していくことが求められます。
 都は現在、人権施策推進指針の見直しに取り組んでいるとのことですが、今後の人権施策の推進について知事の所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 舟坂ちかお議員のご質問にお答えいたします。
 中小企業の技術、製品開発支援についてでございますが、東京と日本の成長のためには、革新的な技術や製品の創造に挑戦する中小企業を支援し、世界をリードする産業を育成していくことが重要でございます。
 先日、介護予防の自動筋力トレーニングマシンを製造し、現在は、大学等と連携して、前立腺がんの小型診断装置の開発を行っている中小企業を訪問いたしました。
 こうしたすぐれたものづくりの技術が、東京が抱える都市の課題の解決に寄与し、都民の生活をより豊かにすると実感いたしました。
 今後、医療や福祉、環境などの分野におきまして、大学等で生まれた最新の研究シーズとすぐれた技術力を持つ中小企業とを結びつけ、次世代のイノベーションを創出する多くのプロジェクトを立ち上げます。
 これによりまして、グローバル市場で渡り合える東京発の新しい技術や製品を生み出し、二〇二〇年大会を契機に広く世界に発信するとともに、将来にわたって、東京、ひいては日本の産業の発展を支えるレガシーとしてまいりたいと思っております。
 続きまして、今後の人権施策の推進についてでありますが、東京がオリンピック・パラリンピック開催にふさわしい都市であるためには、東京で暮らし、また東京を訪れる全ての人々が、その違いを認め合い、心のバリアフリーを実現し、誰もが幸せを実感できる都市であることが必要であります。
 現在、有識者懇談会からの提言に基づきまして、平成十二年に策定して以来、十四年ぶりとなります人権施策推進指針の見直しを行っておりまして、新しい指針において、新たな基本理念や施策の方向性を示してまいります。
 今後は、この基本理念に基づきまして、企業等の民間団体や国、区市町村と連携して、総合的な人権施策を推進してまいります。
 この取り組みを通じまして、オリンピック・パラリンピック開催都市にふさわしい、人権が尊重される世界一の都市東京の実現を目指します。
 なお、そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 中小企業の防災対策への支援についてでございます。
 東京の経済活動を担う中小企業のBCP策定を促すことは、災害に強い都市づくりを進める上で有効でございます。
 このため、都は来年度から、企業のBCP策定を支援する専門家の派遣回数をふやし、効果的なBCPづくりとその運用を一層きめ細かくサポートしてまいります。
 また、協同組合等の業界団体向けのセミナーを業種別に実施するとともに、これらの団体が行うBCPの普及や策定推進の取り組みに対する経費助成の件数を拡充することにより、各業界の主体的な取り組みに対する支援を強化してまいります。
 さらに、制度融資では、新たにBCPの策定や実施に係る費用を低利で融資するとともに、商工団体等から支援を受けた場合の金利を優遇いたします。
 これらにより、中小企業の防災力の向上を図ってまいります。
   〔消防総監大江秀敏君登壇〕

○消防総監(大江秀敏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、特別区消防団の装備資機材の充実についてでございますが、当庁では、特別区消防団運営委員会の答申や各消防団からの要望等を踏まえ、順次整備してまいりました。
 来年度は、通信連絡体制の強化のため、消防団専用無線機の増強や可搬ポンプ積載車のアナログ式受令機をデジタル式に一括整備する予定であります。
 また、消防団活動の迅速性を高めるため、可搬ポンプ積載車の整備数をふやすとともに、消火用ホースを全て差し込み式へ更新する計画としております。
 今後とも、地域防災力のかなめとして必要不可欠な消防団が、より迅速かつ効果的に活動できるよう、各種装備資機材の充実強化に努めてまいります。
 次に、救急隊整備の考え方についてでございますけれども、今回、総務省消防庁が改正した消防力の整備指針では、救急出場件数の増加や高齢化の進展等の社会情勢を反映し、救急体制の強化を図ったものと認識しております。
 当庁では、消防力の整備指針を踏まえるとともに、救急出場件数や救急活動時間の推移等を分析して救急隊を整備しており、来年度は、直面する課題である救急隊の現場到着時間の短縮に向け、五隊の増強を計画しております。
 今後とも、救急車の適正利用広報や救急相談センター等の周知を図るとともに、救急需要に的確に対応した救急隊の整備に努めてまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

○環境局長(長谷川明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、再生可能エネルギー等の導入に係る区市町村への支援についてでございますが、避難所となる学校などへの太陽光パネルなどの導入は、都が目指す防災力の向上と再生可能エネルギーの導入拡大の双方に効果的な取り組みと認識しております。
 このため、本定例会に提出しております平成二十六年度補正予算案には、再生可能エネルギー等導入推進基金の設置を盛り込んでおりまして、この基金を財源として、来年度から二カ年にわたり、区市町村の取り組みを支援してまいります。
 具体的には、避難所に導入する太陽光パネルや蓄電池などについて、設置費用の十分の十を補助いたします。
 今後、区市町村の円滑な取り組みに向け、きめ細かい情報提供を行うなど、この基金の積極的な活用を図ってまいります。
 次に、区市町村の環境行政への支援についてでございますが、世界一の環境都市東京を実現するためには、区市町村による地域に密着した取り組みが活発化していくことが重要でございます。
 こうした認識のもとで、都として区市町村の環境への取り組みを継続的かつ着実に支援していくため、今年度五十億円の基金を環境公社に造成しており、初年度の助成対象は、三十三団体、五十八事業となっております。
 また、技術支援として、職員向けの専門的な研修などを充実するほか、アスベスト対策では、法改正に対応して、都の専門職員の現場同行を開始しております。
 今後も、先進的事例などの情報の共有を図るほか、補助メニューや手続などの改善を進め、区市町村が積極的に環境問題に取り組めるよう強力に支援してまいります。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 分譲マンション施策についてでございますが、都内のマンションは、都心部などを中心に昭和四十年代から大量に供給されてございまして、この中には耐震性が不足しているものも多く、今後、老朽化も急速に進んでまいります。
 これらを放置すれば、都市の安全性や生活環境に悪影響を及ぼすおそれがあるため、お話の中間報告に示されましたとおり、行政が適切に関与し、マンションの適正な管理や再生の促進を図っていく必要がございます。
 このため、都は、実態を踏まえまして、管理不全の予防、改善策や、まちづくり手法を活用した老朽マンションの再生促進策などにつきまして、具体的な検討を進めてまいります。
 本年夏には、審議会からの答申が予定されており、区市や業界団体等と連携いたしまして、実効性のある施策を構築し、安全で良質な住宅ストックの形成に取り組んでまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京都交響楽団による有望な日本の若手音楽家の才能の育成と国内外への発信についてでございます。
 東京都交響楽団は、これまでも若手アーティストの登用、育成に努めてきております。
 毎年、フレッシュ名曲コンサートにおいて、東京音楽コンクールの上位入賞者と共演するほか、国際コンクールで史上最年少で優勝したバイオリニストを初め、新進気鋭の若手演奏家を起用してまいりました。
 来年度も、国際的なコンクールで入賞し、デビューアルバムを発表したばかりのソプラノ歌手と四月に共演する予定であり、今後、東京オリンピック・パラリンピックに向け、定期演奏会での大野和士氏を初めとする、内外の一流指揮者との共演など、若い才能を国内外に紹介する機会を積極的に生み出してまいります。
 次に、芸術の未来を担う若者への支援についてでありますが、新進若手芸術家を中心に、多様な人材を国内外から発掘し育成することは、現在策定を進めている東京文化ビジョンでも主要な文化戦略と位置づけております。
 今後は、現代美術、音楽、演劇、映像などの分野で高い可能性を秘めた若手芸術家の海外進出を支援するとともに、海外からの人材も積極的に受け入れるなど、お話のように、東京を舞台とする交流の促進が極めて重要であると考えております。
 東京が若手芸術家の才能の発掘や育成の面で世界をリードしていくため、東京都現代美術館など都立の文化施設を活用し、創造、発表の場を提供するほか、世界で活躍が期待できる新進芸術家に対し、将来の活躍を支援するための表彰制度を新たに設けるなど、施策の拡充を積極的に進めてまいります。

○議長(高島なおき君) 六十八番神野次郎君
   〔六十八番神野次郎君登壇〕

○六十八番(神野次郎君) 初めに、官民連携福祉貢献インフラファンドについて伺います。
 都は、ファンドにより、従来の高齢者向け施設や子育て支援施設に加え、これらの施設に賃貸住宅などを集約した東京都版CCRC、これは健康なときから入所し、介護時まで移転することなく安心して暮らし続けられる施設のことですが、その建設を目指すと聞いております。
 ファンドへの出資に際し、都は、優先劣後構造を活用し、優先出資を行うことを検討しているとのことですが、都は利益の追求よりも、福祉に貢献するインフラの整備促進を重視すべきであり、また、出資金の毀損リスクはできるだけ軽減すべきであることから、出資をするのであれば、ぜひとも優先出資をしていただきたいと思います。
 官民連携ファンドのメリットの一つとして、民間の出資者や事業への融資を行う金融機関の監視機能が働くことが挙げられますが、都が優先出資を行う場合、出資者は都よりも高いリスク、債権者は都よりも低いリスクという立場からの監視を行うことになるため、その機能をより発揮しやすいという効果も期待できます。
 このように、官民連携ファンドに都が優先出資をして事業を行うということは、メリットはありますが、事業で大きな損失が発生した場合には、都の出資金が毀損する危険性もあります。
 都は、エネルギー分野の官民連携ファンドにも取り組んでいますが、当該ファンドは再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の存在などにより、資金回収の確実性が高いと考えられる一方、福祉貢献インフラファンドは、不動産市況によって将来の収入が変動しやすいなど、投資回収の難易度はより高いといえます。
 都の出資金の原資が税金である以上、都はファンドへの出資について細心の注意を払う必要がありますが、その点も踏まえて、今回、都がファンドという手法を用いて事業を推進する理由を伺います。
 また、ファンドで整備した子育て支援施設や高齢者向け施設が、ファンドの利益確保のため、短期間で別の用途に転用されるようでは、都がファンドに出資する意味もありません。
 そこで、今回、ファンドにより整備された福祉関連施設が長期にわたり安定的に運用されるよう、都はどのような取り組みを考えているのか、また、ファンドにより福祉関連施設を整備する意味について、あわせて伺います。
 次に、個人向け都債について伺います。
 都は、昨年十二月に東京グローバル都債として、発行額百五十億円、期間三年、利率〇・一二%の円建て債に加え、発行額約五十億円、期間五年、利率三・五七%の豪ドル建て債の発行をしましたが、外貨建て債の導入は、新たな投資家層を呼び込む取り組みの一つとして評価できると考えています。
 国内の発行体が外貨建て債を発行する場合、同時に通貨スワップ取引を行うことにより、経済的には円建ての借り入れとすることが一般的ですが、本件においても、都は通貨スワップ取引を利用し、為替変動リスクを負っていないものと理解しております。
 現在の市場環境において、豪ドル建て債の発行と通貨スワップを組み合わせた場合の円建ての借り入れコストは、円建て債を発行した場合よりも低廉となるため、コストという点においても、豪ドル建て債の発行は、いい選択であったと思います。
 一方で、豪ドル建て債の発行に際して、都が為替変動リスクを負っていないという点に関しては、十分に理解していないマスコミ報道も一部にあったように思います。
 都が安定的に資金調達を行っていくためには、投資家のニーズがある商品を発行し、多様な投資家層を確保しておくことは有効であり、東京グローバル都債が引き続き発行されることを期待しますが、このためにも、この商品をよりわかりやすく広報していくことが重要であると考えます。
 そこで、東京グローバル都債の発行に関して、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。
 次に、東京都消費生活条例の改正について伺います。
 悪質な行為を繰り返す事業者による消費者被害は大変深刻であり、その手口はますます悪質、巧妙化しています。規制を逃れようとして、法が対象としないすき間を狙う悪質な手口をそのままにしておくことは決して許されるものではなく、一日も早い取り締まり強化が求められています。
 都は、昨年の本会議において、本年度中に東京都消費生活条例を改正し、こうした悪質事業者の取り締まりを強化していくと答弁してきました。
 今回、これに沿って条例改正案が提出され、原野商法の二次被害や、留学あっせんにおいて学生や若者に実態とかけ離れた契約を結ばせる取引などを、新たに禁止命令の対象に追加することとしています。
 いずれもすき間を狙った手口であり、条例改正により、取り締まりの徹底を図るとしていますが、今こうしている間にも、消費者が悪質事業者により被害をこうむっていないとも限りません。
 一日でも早くこうした被害の拡大を食いとめるためにも、都は禁止命令の対象となる悪質な取引を早急に取り締まっていくための具体的な行動を起こしていくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、悪質事業者の巧妙な手口の一つとして、最近では劇場型勧誘と呼ばれる、複数の事業者が共謀して消費者を惑わせる詐欺まがいの手口による被害が急増していると聞きます。
 例えば、一見関係のない事業者が、販売事業者と内通して、その商品を購入すれば高値で買い取ると持ちかけ、消費者を欺く悪質な手口があります。
 こうした第三者を装う事業者が販売事業者と結託する複雑な取引では、手口の全体像を把握することが重要です。
 そこで、このような複雑巧妙な取引への対応を強化すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、精神医療について伺います。
 現在、国では、社会保障と税の一体改革のもと、さまざまな施策が展開されており、医療、介護分野においては、病気やけがの治療を病院だけで行う病院完結型から、地域の診療所や介護施設、福祉施設などが連携して、地域全体で治し支える地域完結型への転換が進められています。
 精神医療においても、平成二十五年に精神保健福祉法が改正され、入院を中心とした精神医療から地域で支える精神医療への移行が推進されています。
 しかしながら、地域で生活している精神障害者が、身体の病気やけがで医療機関を救急で受診しようとしたとき、一般救急医療機関では精神疾患をあわせ持つ患者への対応方法にふなれなため治療が困難であったり、受け入れの医療機関がなかなか決まらないといったことがあると聞いております。
 そこで、精神障害者が急なけがや病気になったときでも、できるだけ身近な地域で適切な医療が受けられる体制の整備が必要であると考えますが、所見を伺います。
 我が党が掲げる、東京を世界で一番の都市にという目標を実現する上で、環境は大変重要な要素であると思います。
 きれいな空気や水があり、花と緑に囲まれた生活環境、そして、省エネルギーや再生可能エネルギーの導入が進み、水素エネルギーなどのクリーンエネルギーが普及した新しい東京を実現してもらいたいと考えます。
 これとあわせて、ぜひ進めてもらいたいのが環境面での国際協力です。
 現在、世界では、大気汚染や廃棄物処理、あるいは地球温暖化の影響など、さまざまな環境問題を抱える国や都市があり、こうした地域に協力することや、世界の諸都市との連携を進め、ともに施策を推進することも大都市東京の役割であると考えます。
 そこで、環境面における都の国際協力について、知事の基本認識を伺います。
 特にアジア地域の多くの都市では、著しい経済発展の一方で、大気汚染や廃棄物などによる環境問題が深刻化しています。
 先日、中国の大気汚染の状況が報道されましたが、昨年、PM二・五などの環境基準を達成したのは、七十四都市中八都市にとどまっており、大気汚染物質による健康被害が報告されるなど、市民生活に大きな影響を及ぼしています。
 都は、高度成長時代から、大気汚染を初め環境問題に対峙してきており、その技術や経験を伝えていくことは、急速な経済発展を遂げているアジアの諸都市にとって大きな意義があると考えます。
 そこで、これまで以上にアジア諸都市と環境面での交流、協力を推進すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、外国人観光客に対する宿泊施設の受け入れ環境整備について伺います。
 政府観光局の発表によりますと、昨年の訪日外国人旅行者数は千三百四十一万四千人であり、過去最高を記録したとのことです。
 今後も、日本を訪れる外国人旅行者は増加が見込まれますが、外国人にとって大きな不安の一つがコミュニケーションの問題です。
 特に、旅の拠点となるホテルや旅館において、十分な意思疎通ができないようでは安心して旅を楽しむことができません。
 私は、昨年の第一回定例会において、電話による通訳サービスを例に挙げ、宿泊施設での外国語対応をスムーズに行える環境を整えるべきという提案を行いました。都は、検討を行うとのことでしたが、宿泊施設における外国語対応をサポートするため、どのような取り組みを考えているのか、見解を伺います。
 また、宿泊施設において旅行者が快適に過ごすためには、Wi-Fi環境の整備も重要です。スマートフォンの普及により、旅行者にとって、観光情報等を入手するためのWi-Fiは欠かせないものとなりました。
 都内の宿泊施設でもかなり整備が進んでいるようですが、ロビーやレストランでは問題なくとも、客室ではつながらない、つながりにくいなど、施設によって整備状況が異なるようです。
 急増する外国人旅行者の満足度を高めるため、都内宿泊施設における無料Wi-Fiへの接続環境の向上が必要と考えますが、見解を伺い、私の質問を終えます。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 神野次郎議員の一般質問にお答えいたします。
 環境分野における国際協力についてでございますが、昨年末に発表しました都市外交基本戦略におきましては、東京の都市外交の目的として、大都市共通の課題解決を明確に位置づけてあります。
 大気汚染などの環境問題は、世界の大都市が抱える共通の課題でありまして、都市間での交流、協力を進め、経験やノウハウを学び合うことで、より効果的な課題解決につなげていくことができると考えております。
 例えば、昨年私が訪問いたしました北京市やソウル市とは、環境分野での交流、協力について合意し、それぞれの都市にとって大きな課題となっておりますPM二・五などの大気汚染分野での技術交流を進めております。
 このほかにも、気候変動対策や廃棄物処理などでさまざまな都市との交流、協力を推進しております。
 今後とも、都と世界の大都市との間で技術者などの人材交流を活発に行い、生きた情報、経験やノウハウを学び合うことで、都の政策をより高めていくことはもちろん、世界の環境問題の解決にも貢献してまいりたいと思っております。
 そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
   〔会計管理局長塚本直之君登壇〕

○会計管理局長(塚本直之君) 福祉貢献インフラファンドに関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ファンドという手法を用いて事業を推進する理由についてですが、お話のとおり、ファンドを通じ、事業を行う場合、都以外の出資者や事業に融資する金融機関のチェックが入るため、都が単独で投資事業を行う場合に比べて、事業の安全性が高まるとともに、より大規模な事業展開を行うことが可能となります。
 また、単に資金を支出するのではなく、配当を受け取ることにより、福祉関連施設の整備に対し、新たな資金循環システムを構築することが可能となります。
 なお、ファンドへの出資は、経営責任を負わない有限責任の形で行うことに加え、優先劣後構造の活用により都が優先的に配当を受け取り、出資金の毀損リスクを抑える仕組みの導入も検討してまいります。
 次に、福祉関連施設が安定的に運営されるための取り組みと、ファンドにより施設を整備する意義についてでございますが、子育て支援施設や高齢者向け施設といった福祉関連施設を含む建物は、その整備が急務であるものの、商業ビルなどに比べて収益性が低く、収益モデルが確立されていないことから、建設が進んでいないのが現状でございます。
 そのため、過去のファンド創設に係るノウハウを生かし、福祉関連施設の整備促進という政策目的実現のため、収益モデルの確立に向けて、専門家の意見も踏まえながら、ファンドを創設いたします。
 また、ファンド運営事業者の公募に際しましては、施設が短期間で転用されないよう、地域のニーズも踏まえ、必要な期間、福祉関連施設が運営されるよう求めてまいります。
   〔財務局長中井敬三君登壇〕

○財務局長(中井敬三君) 東京グローバル都債の今後の取り組みについてでありますが、昨年十二月に発行した東京グローバル都債は、個人向けの外貨建て債としては、国債、地方債を通じて戦後初めての取り組みでありましたが、従来の個人向け都債と比べても順調な販売でございました。
 従来の購入者層は、七十歳以上が中心でありましたが、今回の外貨建て債は、四十代、五十代の年齢層が増加し、年齢層の多様化が実現できたと同時に、購入者の約七割が、初めて都債を購入された方であったことから、購入者の裾野の拡大も図ることができたと考えております。
 今後とも、市況を踏まえながら、継続的な発行に取り組むとともに、新たな広報媒体の活用を図るなど、より積極的な周知に努めてまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 消費者行政に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、消費生活条例の改正に基づく取り締まり強化についてでありますが、近年、悪質事業者の手口は巧妙化し、法のすき間を狙った事案が急増しております。
 本来、法のすき間をついた悪質な手口につきましては、国が消費者安全法により対処すべきものでございますが、十分に機能していないという状況にございます。
 そこで都は、条例を改正し、すき間事案の取り締まりを強化してまいります。
 具体的には、原野商法等の四つの取引につきまして、新たな勧誘や契約締結を最長一年間禁ずることのできる禁止命令の対象に追加をいたします。
 さらに、迅速な対応を図るため、都内の相談情報等から、該当する悪質取引を積極的に掘り起こし、施行後、直ちに取り締まりに着手して、被害拡大の防止に取り組んでまいります。
 あわせまして、事業者団体等を通じまして、十分に改正内容の周知を図り、コンプライアンス意識の醸成も促してまいります。
 次に、複数事業者の複雑な取引への対応についてでございます。
 共謀して消費者を惑わせ契約させる悪質事業者を取り締まっていくためには、関係事業者の情報についても速やかに把握し、不適正な取引行為を解明することが極めて重要でございます。
 しかし、現行の条例では、消費者と直接契約する事業者以外には立入調査等が認められておらず、複数事業者が共謀して行う取引の実態把握は困難となっております。
 このため、密接な関係のある別の事業者に対しましても、同時に立入調査等を行えるよう、今回の条例改正で調査権限を強化いたします。
 これにより、こうした事業者からも証拠書類の収集や事情聴取等が可能となることから、手口の全体像を明らかにして、迅速かつ厳正な指導、処分を行い、被害拡大の防止につなげてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 精神障害者の救急医療体制の整備についてでありますが、精神障害者が急なけがや病気になったときに、迅速かつ適切な医療を提供するためには、身体上の治療を行う地域の一般救急医療機関と精神科医療機関相互の連携が重要でございます。
 そのため、都は、地域の拠点となる精神科医療機関に医師等を配置し、患者を受け入れた一般救急医療機関に対しまして、治療に当たっての助言や治療後の精神科医療機関への受け入れ調整を行うモデル事業を昨年度から実施しております。
 また、この事業では、精神科医療機関の受け入れ体制を拡大するため、一般救急医療機関からの受け入れルールの検討なども行っております。
 来年度は、モデル事業で得られた成果を踏まえまして、五つの二次保健医療圏において本格的に事業を実施することとしており、今後、都全域での展開を目指してまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

○環境局長(長谷川明君) 環境分野でのアジア諸都市との交流についてでございますが、大気汚染や廃棄物処理などの環境問題に直面するアジアの大都市に対して、都は、同様の問題を克服してきた経験を生かして、技術協力などの交流を進めております。
 今年度は、大気汚染に関して北京市、バンコク都と、また、廃棄物処理に関してウランバートル市、ヤンゴン市、バンコク都と、それぞれ職員の相互派遣やワークショップによる交流を行っております。
 また、昨年九月には、ソウル市が主催する大気質改善国際フォーラムに参加し、都の自動車公害対策などを紹介して、参加十三都市が協力して大気汚染に取り組んでいくことを確認しております。
 今後、都の持つ技術、経験やノウハウを、相手都市の状況やニーズを踏まえて、より具体的に情報提供するなど、アジア諸都市との交流、協力を一層推進してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、宿泊施設の外国語対応についてでございますが、旅の拠点となる宿泊施設において、外国人旅行者の日常的な疑問や質問にスムーズに対応できる体制を整備することは重要でございます。
 このため、都は、他県における先行事例の調査や宿泊施設を対象とするアンケートの実施により、効果的な支援内容を検討し、昨年十一月から、フロント等で指さしで使える会話集の作成、配布等を行っております。
 さらに、来年度からは、事前に登録をした宿泊施設に対し、オペレーターが電話を通じて外国人旅行者と従業員との会話を通訳するサービスを、英、中、韓の三カ国語で二十四時間提供いたします。
 宿泊施設における円滑なコミュニケーションの確保に努めることで、旅行者の満足度向上を図ってまいります。
 次に、宿泊施設のWi-Fi環境についてでございます。
 国の調査によりますと、外国人旅行者が無料Wi-Fiを利用したい場所の上位に宿泊施設が挙げられており、利用環境の向上が求められております。
 このため、都はこれまで、ロビーやレストラン等の公共スペースに無料Wi-Fiを設置する宿泊施設に対して支援を実施してまいりました。
 来年度は、宿泊施設内ではどこでも自由に利用できるよう、客室への無料Wi-Fi設置も新たに支援対象に含めるとともに、支援規模を大幅に拡充することにより、Wi-Fi環境の整備を促進いたします。
 こうした取り組みによりまして、外国人旅行者の利便性向上に努め、旅行者が快適に滞在できる環境整備を進めてまいります。

○議長(高島なおき君) 五十番やながせ裕文君
   〔五十番やながせ裕文君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○五十番(やながせ裕文君) 東京はすばらしい都市です。他国の状況や、さまざまな自治体の現状を見るにつけて、改めてその思いを強くするものであります。この東京をつくり上げるのにご苦労されてきた先人たちに感謝をすると同時に、何とか次の世代にこの豊かな東京を引き継がなければならないと思うのです。
 しかし、それは決して容易なものではないと強い危機感を覚えます。国は借金を重ね、累計額は八百七兆円。プライマリーバランスの黒字化を見通すことはできず、国債は、いつ暴落し、クラッシュしてもおかしくない状況であります。
 都では急速に高齢化が進み、社会保障費は毎年三百億円ペースで増加、また、社会資本ストックの老朽化が進み、維持更新経費は平均一千百億円のペースで増加を続けていきます。首都直下地震対策を初め、財政需要は膨張の一途をたどっていきます。重たい負担とリスクは、次の世代に先送りされているわけであります。
 平成二十七年度の都税収入は、企業収益の回復などにより、七年ぶりに五兆円台を回復しましたが、これまでの税収動向を見れば、今回の税収の好調はあくまで一時的なものだと深く認識する必要があると考えます。
 自分は少し我慢してでも子供においしいものを食べさせてあげたい、これが親の心であります。今、享受している豊かさが将来世代の犠牲の上に成り立つということがあってはなりません。都政においても、その事業は未来への投資となっているのか、また、将来の負担をふやすものとなっていないか、この点が重要な物差しであるべきと考えます。このような思いから、何点か質問をいたします。
 まず、都の借金である都債について。
 平成二十七年度予算案においては、都税収入が増加している中、都債は昨年度より百十五億円の増加となり、四千四百九十五億円となっています。
 地方債には、道路や学校といった社会資本の整備など、それらの施設を利用する将来世代の住民との費用負担の均衡を図るという機能があります。しかしながら、将来世代の負担を考えるのであれば、社会資本の整備に係る世代間の負担の公平性だけでなく、社会保障費の負担増などトータルで見たときの将来負担も考え、都債を発行すべきであります。
 しかし、過去の発行額、またその推移を見ると、計画性を見ることはできません。財政の需給ギャップを埋めるということ以外の一貫した思想を見出すこともできません。
 そこでまず、どのような考え方に基づいて都債発行の長期的な戦略を立てているのか、見解を伺います。
 昨年九月に財務局が発表した年次財務報告書によれば、今後、毎年、新規発行債を四千五百億円とする場合には、生産年齢人口一人当たりの都債発行残高は増加をしていくのに対して、三千億円程度に抑制することができれば、今と同じ水準の負担を維持できると試算されています。
 つまり、ことしと同額程度の都債発行を続ければ、子供たちの負担は大きくなっていくけれども、三千億円まで抑えれば、負担は現状維持できるのです。本来であれば、中長期の財政計画を示し、その中で都債の発行額や基金の積立額などを計画的に決めていくことが必要であります。
 しかし、計画策定が困難であるのなら、少なくとも将来世代の負担をこれ以上ふやすことのないよう、都債の発行額を、例えば三千億円でキャップをかけるといったように、目標値を決め、財政規律を保つ制度を創設するべきと考えますけれども、見解を伺います。
 次に、定数について伺います。
 今回、オリンピック・パラリンピック開催準備や長期ビジョンの実現に向けて、職員定数が大きく純増となりました。昭和四十九年以来、実に四十一年ぶりの増員であります。これは逆にいえば、四十一年間職員を減らし続けてきたことになります。
 いつの時代でも、新しい行政ニーズは常に発生するものです。社会の変化に伴って、複雑化、多様化し、ふえ続けるニーズに対して、これまで都は、事業や執行体制の見直し、効率化といった内部努力で吸収をしてきました。この職員定数の削減は、まさに血のにじむ努力の成果であり、都庁職員の英知の結晶ともいえるでしょう。
 知事は、必要なところに人と予算をつけるといった発言をされています。もっともです。しかし同時に、知事の選挙時の公約である、事業のゼロベースでの見直し、これを徹底できているのか、これがポイントだと思います。
 長期的に固定的なコスト増をもたらす職員の定数増は、税収構造が不安定な中で、あくまで緊急避難的措置と考えるべきであり、長期的な視点に立った計画的な管理が必要だと考えますけれども、見解を伺います。
 行革について伺います。
 昨年の我が党の一般質問でも指摘したとおり、都では、平成十八年策定の行財政プログラム終了後、新たな大綱は策定されておらず、行革大綱を策定すべきとの我が党の質問に対し、知事は、私みずから実際に現場をつぶさに見て、さまざまな声に耳を傾け、都政の現状を見きわめた上で、しかるべき改革の方向を示したいと答弁しています。
 しかし、その後示された長期ビジョンでは、四百六十ページもの本編の中で行革について触れられているのはわずか一ページ弱、数多くの数値目標が示される中で、行革に関する目標の設定は見当たりません。
 二十七年度予算編成に当たって、事業評価の取り組みにより四百十億円の財源を確保したとしていますが、七兆円に迫る都財政の規模からいえば、この数字はわずか〇・六%でしかありません。これは知事のいうとおり、スクラップ・アンド・ビルドのあくまで第一歩でしかないのです。
 そもそも、都が行っている事業評価と行革は全く異なるものです。事業評価が今ある事業をいかにブラッシュアップするかに焦点を当てているのに対して、行政改革はリーダーの考える行政、政治哲学、それに基づく組織のあり方そのもののパラダイムシフトを行うことであります。
 行政に求められる役割は大きく変化をしています。民と官がどこまで、どのような役割を担うのか、都民が真に求めている行政サービスは何か、逆に、必要のない行政サービスはないのか、公営企業や監理団体のあり方、都から監理団体への一千億円を超える特命随意契約の問題、舛添知事が就任以降も、監理団体への天下りの人数はふえ続けています。まさにこういったことを、ゼロベースで根本から問い直すべきときに来ています。
 長期ビジョンによって、知事が考える東京の将来像や、それに向けた野心的な政策目標が明らかとなりました。今後、その実現に向け、オリンピック・パラリンピックを起爆剤に、財政需要はまさに爆発的に増加していくわけであります。
 このようなときだからこそ、知事はリーダーシップを発揮し、行政改革の方針を策定すべきと考えますが、知事の行政改革についての見解を伺います。
 次に、規制緩和について伺います。
 コストを削減することと同時に、大切なのは富を生み出す施策であります。規制緩和は、無から有を生み出す富の源泉であり、税金の投入を必要としない景気刺激策としてこれ以上のものはありません。ですから、都はあらゆる規制緩和の可能性を検証するべきであります。
 そこで、まちづくりの観点から、航空法による高さ制限の規制緩和を国に働きかけるべきと提案します。
 東京の空は、羽田空港に離発着する航空機の安全を確保するために、航空法によって建築物の高さが制限されています。羽田空港のある一点を中心に、半径二十四キロの円形ですり鉢状に高さ制限がかかっています。
 例えば、大田区の蒲田駅周辺では八十メートル、品川区の大崎駅周辺では約百五十メートルまでの高さの建物しか建てることができません。羽田から遠ざかっていくにつれて、だんだん制限が緩やかになっていく仕組みであります。
 首都直下型地震を見据えた、東京の課題である密集住宅地域の再構築、老朽化建物の建てかえ促進、これらを大胆に推進するために有効な方策は容積率の緩和であり、同時に、容積率緩和で利用可能になる床を実現するための高度利用の促進、これが必要であります。
 しかし、共同化や再開発を計画しても、この航空法による高さ制限があるがゆえに容積が使い切れず、開発によるインセンティブを十分に発揮できない、このような状況があります。
 国は個別審査に応じるといっており、実際、六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、虎ノ門ヒルズの三カ所については、規制を緩和した実績があります。
 しかし、これはよく考えればおかしなことでありまして、個別に緩和できるのであればエリアでの緩和ができるはずであり、その目安を明らかにするべきです。審査をやってみなければわからないということであれば、これは、インセンティブは働きません。
 昨年八月に行われた国家戦略特区ワーキンググループのヒアリングでは、座長が、そもそも過剰な基準だったのではないかと疑義を呈しています。同様な課題を抱える福岡市は、国家戦略特区の枠組みの中で、天神地区というエリア全体での緩和を訴え、昨年、実現に至っています。
 都は、二〇四〇年代を見据えた都市像をグランドデザインとして取りまとめるとしています。東京の未来像を描くに当たって、高度利用の制限は、そのさまざまな可能性を減じるものであります。
 東京には土地がありません。しかし、公園や緑地、保育所や特養など必要な施設は数多くあり、これらを解決するために高度利用は不可欠であります。
 東京の未来への投資となる高さ制限のエリア緩和を求めるべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、都民の安心に向けて、性犯罪の防止について伺います。
 平成二十六年の東京都における強姦の認知件数は百九十三件であり、全国ワーストであります。また、被害者の年齢別構成を見ると、十代までの子供が二七%を占めています。
 性犯罪は被害者の心身に大きな傷を残し、その人権及び尊厳を踏みにじる決して許すことのできない犯罪です。とりわけ、子供に対する性犯罪は、その健やかな成長を阻害し、家族はもとより、地域社会にも重大な影響を及ぼします。その対策は、警察のみならず行政においても重要であり、犯罪の抑止、再犯の防止、犯罪被害者の支援などに積極的に取り組む必要があります。
 性犯罪には再犯リスクがあり、一部の性犯罪者は、繰り返し同様の犯罪をする常習者であることがわかっています。科学警察研究所の調査では、再検挙された性犯罪者は平均五・四件の性犯罪の経歴があったと報告をされています。つまり、刑務所内で治療ができないまま出所し、また被害者を生み出すということを何度も何度も繰り返している現状があるんです。
 イギリスなど欧米圏では、性犯罪の刑期満了者に対して法律で登録を義務づけ、刑期満了後も専門プログラムを受講させるなど治療教育の機会を提供する仕組みが整っており、再犯防止に効果を上げています。
 刺激の少ない刑務所内での治療プログラムでは限界があり、刑期満了後も継続して更生のために治療教育を行っていくことが解決への道である、これは周知の事実であります。
 しかし、我が国では、刑期満了者に対しては相談や治療教育の機会を提供する仕組みはありません。また、刑期満了後の治療は二重処罰に当たるのではないかなどという配慮から、出所者に対して、民間が実施する治療プログラムを紹介することもできないとしています。
 性犯罪という重大な犯罪が繰り返される危険がある、それを抑止する方法もわかっている、しかし、何ら措置がなされることはない。この不作為は、性犯罪の件数が最も多い東京都において大きな脅威であります。
 奈良で、小学校一年生の女子児童が、性犯罪を繰り返してきた犯人に殺害されるという非常に痛ましい事件から十年以上が経過しています。しかし、取り組みは一向に進んでいません。再び重大な事件が発生したときに、誰がその責めを負うべきなんでしょうか。
 都に対しては、性犯罪の再犯防止の観点から、出所者を把握し、治療に結びつける仕組みづくりを検討していただきたいと要望しますが、一足飛びにそこまでには至らないということのようであります。
 このような状況の中で、都は、まず性犯罪の被害から子供を守る取り組みを強化すべきと考えます。
 見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) やながせ裕文議員の一般質問にお答えいたします。
 行政改革についてでございますが、現実の行政は、抽象的なあるべき論や、実態を無視した机上の空論であってはならず、政策を実現するために障害となっていることを一つ一つ取り除くことで、初めて大きな仕事ができると考えております。
 私は、知事就任以来、できる限り現場を見て、広範な意見に耳を傾けながら、政策の実現に取り組んでまいっております。
 長期ビジョンにも、こうした都政のさまざまな分野の政策を盛り込む一方、政策を着実に実行していくため、個々の事務事業について、マネジメントサイクルを通じた改革、改善を繰り返し、具体的な成果を上げるなど、不断の行政改革に取り組むことを明記してございます。
 時期や形式を問わず、必要な改革は断行し、結果を出すことが政治の責任でありまして、結果を出すために必要な予算や人員を措置していくのが私の一貫した方針でございます。
 今後とも、全ての都民の皆様が夢と希望と幸せを感じられる世界一の都市東京の実現に向けまして、都政運営に全力で取り組んでまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
   〔財務局長中井敬三君登壇〕

○財務局長(中井敬三君) 都債に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都債発行の考え方についてでありますが、都債は、年度間の財源調整とともに、世代間の負担の均衡を図る重要な役割を果たしております。
 一方で、都債は、将来の財政負担も見据え、都税収入の動向や投資的経費の水準、基金残高等を勘案しつつ、中長期的な視点に立ち、活用を図ることが必要であります。
 このような視点から、平成二十七年度予算においては投資的経費が大幅に増加する中、都債は前年度と同水準とし、この結果、起債依存度は六・五%と前年度よりさらに低い水準となっております。
 今後とも、後年度の財政負担等、都財政の健全性に十分に配慮しつつ、適切な都債の活用に努めてまいります。
 次に、都債発行額に関する目標値の設定についてでありますが、都財政は、過去に年一兆円の税収減を経験するなど、景気変動の影響を大きく受ける構造にございます。
 こうした中にあって、税収減の厳しい状況下でも安定的に行政サービスを行うためには、都債は必要不可欠な財源であり、基金とあわせて、社会基盤整備等の財源として有効に活用する必要がございます。
 今後とも、中長期的な視点に立って、その時々の社会経済情勢や財政状況、投資的経費の水準等を総合的かつ弾力的に考慮し、適切に都債の活用を図ってまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 職員定数の管理についてでございますが、都の事業は都民の税金で賄われており、執行体制も、常に最少の経費で最大の効果を発揮しなければなりません。都では、これまでも徹底した事務事業の見直しや内部努力により、簡素で効率的な執行体制の構築に努めてまいりました。
 今後は、オリンピック・パラリンピック大会の開催準備や長期ビジョンの実現など、行政の質の高さや成果が一層求められる中、さまざまな変化や課題に即応していかなければなりません。
 そのため、職員定数については、あらかじめ期限や目標を定めて管理するよりも、毎年度、事業動向や個々の職務内容、業務量等をつぶさに精査し、めり張りをきかせた措置をしていくことが重要でございます。
 こうした考えのもと、引き続き、定数管理を適正に行ってまいります。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 航空法による高さ制限についてでございますが、空港周辺では、航空機の安全性を確保するため、航空法による建築物等の高さ制限が設定されております。
 羽田空港は、土地の高度利用が進む都心に隣接していることから、国は高さ制限を超える建築物の計画などにつきまして、個別に安全性を確認した上で、航空法の規定に基づき特例の承認を行っており、航空機の安全性と都心部における都市開発との共存を図っております。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(河合潔君) 性犯罪の被害から子供を守る取り組みについてでありますが、性犯罪を初めとする犯罪被害から子供を守るための取り組みは、子供の健やかな成長を支える上でも、安全で安心して暮らせる地域社会を実現する上でも、最優先で進めるべきものと認識しております。
 このため、都は、かねてから防犯ボランティアの育成など、地域における子供の見守り活動の活性化に向けた支援や、子供自身の犯罪被害防止能力の向上に資する地域安全マップづくりの普及を進めてきたほか、今年度新たに、子供一一〇番の家への駆け込み訓練を実施するなど、犯罪から子供を守るための多彩かつ実践的な取り組みを展開しているところです。
 引き続き、これらの取り組みを着実に進め、性犯罪を初めとする子供に対する犯罪の撲滅に全力を尽くしてまいります。

○副議長(藤井一君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十八分休憩

   午後三時十五分開議

○副議長(藤井一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 七十八番今村るか君
   〔七十八番今村るか君登壇〕

○七十八番(今村るか君) 知事は、施政方針の初めに、平和で基本的人権が尊重される社会を守るとの強い決意をあらわし、世界一の福祉先進都市を目指すとしたことに、私も同じ思いを強くし、社会的養護について知事のお考えを伺います。
 世界中が注目するオリンピック・パラリンピックを開催する私たちの都市東京は、次世代を担う日本の子供のみならず、世界中の特に紛争や貧困に苦しむ地域の子供たちまで含め、夢や希望を与えることができたらと願うものです。
 さて、親の養育、保護が受けられないなど、最も支援が必要な子供たちは、社会全体で責任を持ち、健やかに育んでいく必要があり、その社会的養護の充実なくして、世界一の福祉先進都市は決して成り立ちません。
 昨年十月、東京都児童福祉審議会から二年にわたる検討の後、提言が出されました。その柱は、家庭的養護と切れ目のない支援であり、これに基づき、都の新たな社会的養護が来年度から始まることに期待をしています。
 家庭的養護と切れ目のない支援を推進する上で、重要な役割を果たすのが児童相談所の児童福祉司です。知事はご存じかもしれませんが、こうした子供と向き合う専門職の配置基準は、残念ながら我が国は低く、世界的に見ると、イギリス五千人に一人、アメリカ二千人に一人、ドイツ九百人に一人といわれ、日本の全国平均は四万五千人に一人、さらに東京都は六万五千人に一人で全国最低となっており、二万六千人に一人の高知県とは二倍以上の開きがあります。これは、児童福祉法施行令の定める四万から七万人に一人とする標準値の七万人を超えない範囲にとどめているからと思われます。
 また、東京都の児童相談所設置数は、相談所十プラスセンター一を十三カ所程度と数えても、厚労省の児童相談所運営指針二〇〇九年改正前まで数値が示されていた人口五十万人に最低一カ所程度を基準にしてみると、二十六カ所と半分程度です。
 この十年間、児童相談所に寄せられる相談件数は約三万件から二万六千件とわずかに減少しているにもかかわらず、相談区分の被虐待件数は二倍にふえていることや、厚労省児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会においても、日本の基準が低いことが議論されていることもあわせ、東京都が児童虐待ゼロ、虐待死ゼロを目標に、児童相談所設置数や児福司などの専門職数などを国に先駆け再検討されることを願ってやみません。
 そこで、既に児童相談所などを視察をされている知事に伺います。
 虐待に象徴されるような困難事例を一つ一つ解決し、社会的養護の充実、子供たちの笑顔を支えるため、今後どのように新たな社会的養護に取り組むのか、知事の思いを聞かせてください。
 子供にとって家庭は最良の環境でなければなりません。しかし、社会的養護が必要な乳幼児、子供たちには、里親、ファミリーホームなど家庭養護とグループホームなど家庭的養護を中心に、特別養子縁組里親もあわせ推進すべきです。都の所見を伺います。
 昨年、子供の所在不明や高齢者の行方不明問題が大きな社会問題となりました。乳児健診を受診しない、学校に通わせないなど、居住実態の把握できない児童を早期に把握することは、児童虐待を未然に防ぐため大変重要です。
 厚労省が行った昨年五月の全国調査で、都内に七百三十名の居住不明児が明らかになり、その後、関係者の努力により、十月には十四名まで減ったと公表されました。最後の一人まで安全の確認がされるよう求めます。
 一方、認知症高齢者が行方不明となり、長期間身元不明者として保護されていることも明らかになり、昨年六月、厚労省は全国調査を行い、ホームページに身元不明の認知症高齢者に関するサイトを開設し、都県境を越えて探すことができるよう、各都道府県で保護されている高齢者の情報がリンクされるようになりました。
 ところが、開設から半年経過した現在も東京都だけが参加していません。認知症患者の家族会からも不安の声があることから、早期の参加を求めます。
 東京都は来年度、現在十二カ所ある認知症疾患医療センターを五十三カ所にふやす取り組みを進めるなど、これまでも積極的に認知症対策を推進してきたことは評価いたします。
 そこで、認知症高齢者が長期間保護される状況を早期に解決し、さらに、未然に防止するためのさらなる対策を講じるべきと考えますが、都の取り組みを伺います。
 オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みについて伺います。
 パラリンピック開催都市として、障害者雇用促進法が目指す、障害のある人がその能力と適性に応じた雇用の場につき、地域で自立した生活を送ることができ、スポーツに親しめる社会の実現に都が努めることは論をまたないはずです。
 私は、警視庁、消防庁、教育庁が障害者雇用率未達成のため、国からの氏名公表、適正実施勧告を受けていたときから議会の発言ごとに指摘し、現在は改善されました。
 一方、三十三団体ある都監理団体の中には、必ずしも障害者雇用が進んでいない現状があると聞いています。一年後の法改正では、差別の禁止と合理的配慮義務が追加されることも視野に、二〇二〇年までには全監理団体が雇用数を達成できるように協力すべきです。
 そこで、法の適用を受ける団体の現状と、今後、監理団体への働きかけについて見解を伺います。
 世界三大スポーツ大会は、オリンピック・パラリンピックとラグビー、サッカーのワールドカップといわれ、都が立候補し、試算八百六十六億円の経済波及効果が見込まれるラグビーワールドカップ二〇一九試合開催都市の発表が三日後と迫っています。皆さんとともに、開催都市になると私も確信しています。
 日本最高峰のラグビートップリーグ十六チーム中、町田市にキヤノンイーグルス、府中市に東芝ブレイブルーパス、サントリーサンゴリアス、世田谷にリコーブラックラムズがあり、多摩地域に三チーム、残り一チームも多摩寄りに本拠地があります。
 このように東京都、殊に多摩地域は大変恵まれた環境にあり、都はこの好条件をラグビーワールドカップとオリンピック・パラリンピックの成功に活用すべきです。
 そこで、ラグビーワールドカップの意義、大会に向けた都におけるラグビー環境についての認識と決意を伺います。
 多摩地域の発展について伺います。
 水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京は、「十年後の東京」などで使われてきたキャッチフレーズで、東京のまちの魅力を端的にあらわしており、私が好きなフレーズです。
 特に多摩地域は、新たな多摩のビジョン行動戦略にうたわれているように、森林を初め、雑木林、里山など、豊かで多様な緑が存在し、これら地域ごとの個性ある緑が大きな魅力です。また、これらの緑は、雨水を貯留し、水害を防ぐ機能や、浄化して河川に供給する役割を有するなど、都市の安全性や美しさにも貢献をしています。
 そこで、多摩地域の貴重な緑の保全に関する都の認識を伺います。
 昨年、一昨年と豪雨による土砂災害で多くの人命が失われました。緑や河川は、管理と保全、育成を適切に行わなければ、災害の危険性が高まってしまうばかりか、まちの魅力も失いかねません。
 町田市に隣接する川崎市や横浜市では、学校を初め公共施設で雨水貯留施設が多く見られます。都は豪雨対策基本方針を策定し、浸水対策に取り組んでいますが、多摩地域の市街地でも、水の涵養にもつながる雨水の貯留浸透施設を生かすべきと考えます。
 そこで、雨水貯留浸透施設をふやすべきと考えますが、都はどのように流域対策に取り組んでいるのか伺います。
 流域対策とともに河川の整備は豪雨対策の根幹です。多摩地域の中でも、私の地元を流れる境川は、東京都と神奈川県の都県境を流れており、都と県が区間を分けて管理する特殊な河川です。
 中流部に位置する都区間は、護岸整備は進んでいるものの、下流県区間の整備状況の影響を受け、十分な安全性が確保されていません。境川の安全性を向上させるためには、下流県区域の整備促進に加え、都区間でも独自にできる対策を進める必要があります。
 都は、境川の目標整備水準をこれまでの時間五十ミリから時間六十五ミリにレベルアップし、これに対応する新たな調節池の検討を進めており、私の地元でもその早期整備が望まれています。
 そこで、境川における新たな調節池整備に向けた都の取り組みについて伺い、私の一般質問といたします。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 今村るか議員の一般質問にお答えいたします。
 社会的養護への取り組みについてでございますが、全ての子供は日本の未来、宝であります。その健やかな育ちを支えることは、行政はもとより社会全体の責任であります。
 東京には、さまざまな事情で親元では暮らせない子供が約四千人おります。こうした子供たちを支援するためには、社会的養護の取り組みが必要であります。
 都ではこれまで、児童福祉司や児童心理司の増員、一時保護所の定員拡充など、児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。来年度は、児童福祉司をさらに増員するとともに、一時保護所の増設も行います。
 また、家庭的養護を進めるため、養育家庭やファミリーホーム、グループホームの設置を進めておりまして、来年度は、グループホームの支援拠点を整備いたします。
 子供は本来、家庭的な環境のもとで愛情に包まれながら健やかに養育されることが望ましいわけであります。
 都は、家庭的養護を柱に据えて、全ての子供たちが生まれ育った環境によらず、健やかに育ち、自立できるよう、社会的養護施策の充実に努めてまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 境川の新たな調節池についてでございますが、多摩地域の中小河川では、時間六十五ミリの降雨に対応するため、護岸に加えて新たに公共空間を活用した調節池を整備することとしております。
 このうち、都県境を流れる境川では、時間五十ミリの降雨に対応した護岸整備率が九割を超える一方で、下流の神奈川県内での整備が進んでいないことから、川底を掘り下げることができず、十分な流下能力を確保できておりません。
 このため、新たな調節池を設置し、治水安全度を早期に向上させるとともに、施設の完成後は、上流に向かって河床掘削も行ってまいります。
 現在、町田市金森の市所有地において地質調査や主要構造の検討を進めており、引き続き平成二十七年度から他の調節池についての検討に着手してまいります。
 今後とも、境川の整備に積極的に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、家庭的養護の推進についてでありますが、都は、家庭的養護の取り組みを進めており、養育家庭の登録数をふやすため、制度を広く都民に周知いたしますとともに、児童を養育している養育家庭に対し、児童相談所や民間団体を活用したきめ細かな支援を行っております。
 また、少人数の生活単位で養育を行うファミリーホームやグループホームの設置を促進するため、開設準備経費や家賃の助成など、都独自の支援を行っており、来年度は新たにファミリーホームの補助者の増配置などの支援も行います。
 現在策定中の社会的養護施策推進計画におきましても、家庭的養護を一層進めていくために、養育家庭やファミリーホーム、グループホーム等の推進に向けた施策の方向性について盛り込む考えでございます。
 次に、身元不明認知症高齢者等への対応についてでありますが、都はこれまで、徘回して行方不明となった高齢者を早期に発見するネットワークの構築など、認知症高齢者が長期間にわたり身元不明となることを防止するための区市町村の取り組みを包括補助事業により支援してまいりました。
 また、来年度、区市町村がみずから身元不明認知症高齢者等の情報を更新し、いつでも最新情報を閲覧できる関係機関向けの情報共有サイトを都独自に構築いたします。
 さらに、都における認知症のポータルサイト、とうきょう認知症ナビから区市町村が公開している情報を誰もが閲覧できるようにするとともに、国の身元不明高齢者等に関する特設サイトとのリンクも行います。
 今後とも、さまざまな手段を講じながら、地域において認知症高齢者を支える取り組みを支援してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 監理団体における障害者雇用についてでございますが、監理団体における障害者の雇用確保は、都としても重要と認識しており、これまでもその促進に向け指導を行ってまいりました。
 平成二十六年六月一日現在、障害者雇用促進法に基づき、障害者の雇用状況をハローワークに提出している二十五団体のうち、法定雇用数を達成している団体は十三団体であり、前年度と比較いたしますと三団体増加している状況でございます。
 今後も、未達成の団体に対しては、職場環境の整備や障害者に適した職務内容の見直しなどを行い、ハローワークなどの関係機関とも連携を図りながら、それぞれの実情に応じた雇用の取り組みを強化するよう働きかけてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) ラグビーワールドカップについてでございますが、本大会を東京で開催することは、都民のスポーツへの関心の向上、スポーツ都市東京の世界へのアピール、オリンピック・パラリンピックに向けた運営ノウハウの蓄積のほか、大会に伴う経済波及効果など、多くの意義がございます。
 また、東京には、多摩地域を中心にラグビートップリーグのチームがあり、国立競技場や秩父宮ラグビー場では長年、大学ラグビーが開催されるなど、ラグビーが盛んな大会開催にふさわしい環境があると認識しております。
 こうした実績や大会の東京開催の意義などを、ことし一月に来日いたしました大会主催者のワールドラグビー関係者に対するプレゼンテーションにおいて、アピールをいたしました。
 三月二日に東京が開催都市として必ずや選定され、大会が成功するよう、着実に準備を進めてまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

○環境局長(長谷川明君) 多摩地域の緑の保全についてでございますが、多摩地域には、原生林が残る雲取山から丘陵地の里山や雑木林に至るまで、多様で豊かな緑が連担しております。
 こうした多摩の緑は、美しい景観を形成し、都民に身近な自然と触れ合う機会を提供するとともに、都市水害の軽減にも寄与するなど、さまざまな機能を有しており、安全で快適な都市環境を支える重要な要素と認識しております。
 都はこれまでも、丘陵地に残された貴重な里山などの保全地域への指定や、人の手が入らずに荒廃した森林の再生などを進めるとともに、開発行為に対しましては、許可制度を通じて自然環境に配慮するよう誘導するなど、多摩の緑の保全を図っております。
 今後とも、こうした取り組みの着実な推進により、水と緑に囲まれ、環境と調和した都市東京の実現を目指してまいります。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 流域対策の取り組みについてでございますが、都は今年度、豪雨対策基本方針を改定いたしまして、町田市内を流れる境川など二流域を追加し、合わせて九つの流域で豪雨への対策を強化することといたしました。
 来年度からは、これらの流域におきまして、個人住宅の雨水浸透ます等の設置に対する補助を行うとともに、公共施設を対象とした雨水貯留浸透施設などの整備に対しまして支援を行うこととしております。
 今後とも、区市町村と構成する総合治水対策協議会の活動などを通じて普及啓発を行うなど、流域対策の強化に向けて取り組んでまいります。

○副議長(藤井一君) 二十二番柴崎幹男君
   〔二十二番柴崎幹男君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○二十二番(柴崎幹男君) 戦後七十年という節目の年に、都議会自民党を代表して一般質問をする機会を頂戴し、心より感謝申し上げる次第であります。
 ことしの八月に、安倍晋三首相が終戦七十年談話を出されるとのことですが、心静かに英霊を慰霊し、日本の進むべき道に思いいたすべき年だといえます。そして、先人たちのご労苦のおかげで今日の平和な経済大国日本があることを改めて認識するところであります。
 五年後に開催される東京五輪パラリンピックは一つの通過点として、東京を世界で一番の都市実現に向けた取り組みが、今まさに求められているわけであります。また、東京五輪パラリンピックを通じて、外国人が好むクールジャパンの本質である武士道の精神は、おもてなしの柱の一つとして捉え、国際的に伝えていくことが重要であります。
 しかしながら、隣人を愛し、地域に貢献し、国家を誇りに思うなど、伝統的な日本人の精神を改めて教えていく必要がある現状に対して、危惧しているところであります。こうした中、教育は国家百年の計といわれているように、人づくりはまず教育からとのことで、時間を十分かけて取り戻していかなければなりません。
 初めに、教育委員会制度改革について伺います。
 昨年六月、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され、本年四月一日から施行されます。
 本改正は、教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保し、教育委員長と教育長を一本化して、地方教育行政における責任体制を明確にするほか、知事と教育委員会との連携の強化を図るなど、従来の教育委員会制度を抜本的に改革するものであります。
 中でも知事は、来年度以降、知事と教育委員会が教育施策について協議、調整を行う総合教育会議の開催や、教育の総合的な施策に関する目標や根本となる方針である大綱の策定が求められています。
 このような教育委員会制度の改革を受け、今後どのような姿勢で教育行政に臨まれるのか、知事の所見を伺います。
 次に、都立高等学校への道徳的な授業導入について伺います。
 小中学校においては、道徳を特別の教科に格上げする学習指導要領改訂案が公表されました。改訂案では、自分自身や友人関係だけでなく、社会とのかかわりや自然、生命の崇高性に関する徳目を例示しております。
 現在、最も深刻な課題としてある少子化問題については、本質的な解決に至っておりません。例えば、妻であり、母であることの価値をどこよりも高く認めた日本文化について、道徳の教科化により授業で触れることを大いに期待しております。
 一方、中学三年生を対象にした国の調査によれば、友達に伝えたいことをうまく伝えられる子供が二割、今住んでいる地域の行事に参加している子供が一割という状況で、人や社会とのかかわりを苦手としております。また、将来の夢や目標を持っている子供の割合は半数に満たない現状があります。
 このような現状を踏まえ、社会に出る直前時期にある高校生には、社会のさまざまな課題に対応し、これからの社会を担う人材となってもらうことが必要であります。
 都教育委員会では、こうした人材を育成するため、国に先駆け、人間としてのあり方、生き方を考えさせる新教科を開発し、都立高等学校で実施すると仄聞いたしております。
 そこで、この新教科の設置の狙いと今後の展開について、教育長の所見を伺います。
 次に、観光振興について伺います。
 東京五輪パラリンピックの開催時には、世界中の旅行者が東京を訪れます。会場周辺にとどまらず大会開催の効果を広く波及させるためには、都内全域で旅行者を迎え入れる体制づくりを進めていく必要があります。
 都内には魅力的な観光資源が数多く存在していると思いますが、練馬区には都市農業をテーマにした観光があります。九月に練馬大根の種をまいて、十二月に収穫を体験するといった農業体験であります。収穫した練馬大根をその場でおでんや豚汁として味わえれば、外国人旅行者には身近に日本の都市農業と和食を体験できるわけであります。また、日本アニメの発祥地としてアニメを活用したイベントなども積極的に行っております。
 東京を訪れた外国人旅行者がこうした東京の多様な魅力に触れ、まち歩きを楽しめるよう、多言語での案内標識をふやしたり、観光案内を充実するなど、各地でそれぞれのまちの特色に応じた取り組みを始めることが必要であります。
 都は昨年末、外国人旅行者の受入環境整備方針を公表しましたが、特に、区市町村と連携して、さまざまな準備に着実に取り組んでいく必要があります。
 五年後に向けて、区市町村が行う受け入れ環境整備の取り組みを都として積極的に後押しすることが必要と考えますが、来年度の都の支援策について伺います。
 次に、創業活性化特別支援事業について伺います。
 練馬区には、アニメの制作会社も集積しており、すぐれた作品を数多く生み出すことで、地域ブランドの価値を高めるだけでなく、地域経済の活性化にも大きな力を発揮しています。こうした地域に根差す産業を引き続き発展させていくためには、新たな担い手を数多く輩出していかなければなりません。
 都では、これまでも創業セミナーやインキュベーション施設の設置等、起業、創業へのニーズを踏まえ、多様な支援を積極的に実施してきました。今後、民間事業者や区市町村との連携を一層強化し、都内各地域における創業をさらに促進していく必要があります。
 民間事業者や区市町村が行う地域の特性に応じた創業支援施設の整備や、アニメなど新たな産業の担い手を発掘、育成する取り組みを積極的に支援すべきであります。
 地域産業の活性化につながる創業支援環境の向上に向けた今後の都の取り組みについて伺います。
 次に、東京港の整備について伺います。
 昨年末、約十年ぶりに東京港の第八次改訂港湾計画が策定されました。私は、昨年の予算特別委員会で、この計画改定に当たっては、東京港の物流機能の拡充はもとより、新たな魅力の創出等により、東京を世界で一番の都市実現に寄与させていくという視点が重要であることを指摘いたしました。
 新たな計画ではこうした内容も盛り込まれ、都市機能と港湾機能が有機的に結合した世界に誇る都市型総合港湾を目指して、東京港の港づくりを推進していくことがうたわれており、東京五輪パラリンピックに向けても万全の準備を進めることとしております。
 港湾計画は、おおむね十年後の東京港の目指すべき姿を示す基本計画であるため、東京五輪パラリンピックの開催はちょうど計画の中間地点に当たります。主要な道路の整備など、大会開催までに完成させるべき事業は多数あるわけであります。
 そこで、事業の優先順位を明確にし、東京五輪パラリンピックまでに整備すべき事業を着実に実施していくことが重要と考えますが、見解を伺います。
 とりわけ、臨港道路南北線は、東京港の物流機能強化だけでなく、オリンピック・パラリンピック競技会場へのアクセス確保としても必要であり、平成三十二年までに完成させることが不可欠であります。
 この南北線は、主要部分が海底トンネルであり、南側の接続道路は橋梁構造で臨海道路に接続するなど、複雑な構造であると仄聞しております。こうした南北線と接続道路をあと五年という限られた期間で整備するためには、効率的な事業の推進に向けて相当な努力を行っていくことも必要ではないかと考えます。
 そこで都は、臨港道路南北線と接続道路の整備にどのように取り組むのか、所見を伺います。
 次に、区部西部地域の都市計画道路の整備について伺います。
 都内では、環状第六号線や環状第八号線といった主要な幹線道路の整備が進んできており、一定程度渋滞が緩和されております。しかしながら、都市計画道路の整備に関しましては、区部においても完成率六三%という中で、練馬区においてはいまだ五〇%に届いていないのが現状であります。
 こうした整備率では日常的に渋滞が発生し、経済活動の支障となるなど、地域の活力を低下させているといえます。また、整備されずに残っている道路は、幅員の狭い道路が多いため、災害時に緊急車両の通行に支障を来す恐れがあります。
 さらに、交通事故が多く発生している箇所や、事故に至らないまでも、地域の高齢者や子供たちが危険と隣り合わせになっている箇所が数多く存在します。地域の活力を高めるとともに、都民の安全・安心を確保するためには、より一層、都市計画道路の整備を進めていく必要があります。
 そこで、都市計画道路の整備について、都の見解を伺います。
 最後に、地域スポーツの振興について伺います。
 東京五輪を五年後に控えて、大会で活躍できるような選手の育成を推進することも重要な取り組みの一つであります。しかしながら、子供たちの運動能力が低下している中、子供たちに広くスポーツに親しむ機会を設けていくことも重要だと思います。
 こうした中、都は昨年度から、子供たちを対象にした地域のスポーツ教室にさまざまなトップアスリートを指導者として派遣しております。地元練馬区で活動する地域スポーツクラブもこの事業を活用しております。クラブの関係者によると、参加した子供たちは、アスリートの高い技術や俊敏な身のこなしに、すごい、格好いいなど歓声を上げながら目を輝かせているとのことであります。
 アスリートと触れ合った体験は子供たちにとって一生の宝物となるとともに、アスリートを目指してスポーツに打ち込むことにもつながり、地域におけるスポーツの裾野の拡大に寄与するものと思います。今後も本事業の充実に向けて取り組みを進めるべきと思います。
 これまでの成果と今後の展開について、都の見解を伺いまして、私の一般質問を終了いたします。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 柴崎幹男議員の一般質問にお答えいたします。
 教育行政に臨む姿勢についてでございますが、世界一の都市東京を実現するには、日本人としての自覚と誇りを持ちながら、国際感覚にあふれ、自分の力で未来を切り開くことができる人材を育成していく必要がございます。
 具体的には、海外留学支援を初めとした子供たちの学習意欲に応えられる取り組みの充実のほか、聞けて話せるといった使えることに重点を置いた外国語教育や、オリンピック・パラリンピック教育の推進を通じ、グローバル人材の育成を加速化してまいります。
 また、雇用の問題にもつながる不登校や高校中退は大きな課題であります。こうした課題を解決するためには、全ての子供たちが社会的に自立できるよう、基礎学力の着実な定着を図るとともに、民間の教育団体などのさまざまな主体と連携して、子供たちを支援する取り組みを充実していく必要がございます。
 こうした取り組みを全力で進めていくため、新たに設けられます総合教育会議を活用し、課題の解決に向け、さまざまな観点から活発な意見交換を行い、教育施策の大綱を策定してまいります。
 今後とも、教育委員会制度改革の趣旨を踏まえまして、教育委員会とさらに力を合わせ、子供たちの個性と能力を伸ばし、将来の東京を担う人材を育成してまいります。
 そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

○教育長(比留間英人君) 人間としてのあり方、生き方を学ぶ新教科についてでありますが、都教育委員会は、現在、全ての都立高校で実施しております教科奉仕を発展させ、東京都独自の新教科、これは仮称でございますが、人間と社会を導入することとしております。
 この教科では、人としての生き方の指針となる道徳的な価値観を深める学習と、社会とのかかわりの中で自分の生き方を考え行動する力を育成するキャリア教育に関する学習とを、演習や体験活動を通して一体的に学ぶこととしております。
 今後、平成二十七年度に全ての都立高校で試行をし、その成果を踏まえ、平成二十八年度から教科人間と社会を設置し、生徒が社会に対して責任を持ち、主体的に生きていけるよう育成をしてまいります。
   〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 区部西部地域の都市計画道路の整備についてでございますが、この地域では、西武池袋線の連続立体交差事業などが進んでいるものの、災害時の緊急物資輸送路の確保や狭い道路における通過交通の抑制等の課題があることから、引き続き都市計画道路の整備を推進する必要がございます。
 このため、都は、外環道と多摩地域をつなぐ放射第七号線などの骨格幹線道路や、歩道の整備が必要な千川通りなど、地域の防災性や安全性を高める道路の整備を行っております。事業の実施に当たりましては、バリアフリーに対応した歩道や自転車走行空間を整備するとともに、都市の景観形成に資する無電柱化にも積極的に取り組んでまいります。
 今後とも、必要な財源確保に努め、地域の発展や安全に寄与し、快適な空間を創出する都市計画道路の整備を推進してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、区市町村の外国人旅行者の受け入れ環境整備への支援についてでございますが、多言語対応を初めとした受け入れ環境の整備を都内各地で進めることは、外国人旅行者が地域の特色ある観光を楽しむために不可欠でございます。
 このため、都は、区市町村による多言語の観光案内標識の新規設置に加えて、このたび改定をいたしました表示、標識等のガイドラインに基づく表記内容の更新も新たに支援対象とすることで、整備を一層促進してまいります。
 さらに、地域の特性に応じた受け入れ環境整備を支援するため、観光案内所の設置やボランティアの育成などの取り組みに対し、来年度から五年間の合計で一区市町村当たり一億円を上限とする補助制度を創設いたします。二〇二〇年に向けまして、区市町村の計画的な取り組みを支援し、旅行者が快適に滞在できる環境を実現いたします。
 次に、創業支援環境の向上に向けた取り組みについてでございます。
 東京の経済の持続的な成長を実現するためには、起業、創業を一層促進し、地域産業の新たな担い手を創出していくことが不可欠でございます。
 そこで、都は来年度から、都内各地域における起業、創業を活発化するため、民間事業者や区市町村による創業支援施設の整備を促進する取り組みを開始いたします。
 具体的には、施設の運営計画を認定し、ホームページで紹介することにより利用促進を図るとともに、施設間の交流によるノウハウの共有等を進めてまいります。また、すぐれた計画に対しましては、施設の整備、改修や運営に要する経費を助成いたします。
 さらに、民間事業者を活用し、アニメを初めとするコンテンツ分野の創業を支援するなど、地域産業の成長に向け、創業支援環境の整備を強力に推進してまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

○港湾局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 オリンピック・パラリンピックまでに整備すべき東京港の事業についてですが、首都圏を支える東京港の物流機能をさらに強化しつつも、大会開催を見据えた施設整備を優先する必要がございます。
 大会までには、競技会場へのアクセス道路としても不可欠となる臨港道路南北線を完成させるとともに、大型クルーズ客船に対応可能な客船ふ頭を整備して、国際観光拠点としての東京港の魅力を向上させてまいります。
 さらに、臨海部の会場周辺の臨港道路の無電柱化を行っていきます。
 また、大規模地震時にも機能する耐震強化岸壁の整備や橋梁の耐震化などにより防災力を高めるとともに、中央防波堤外側コンテナふ頭等の整備を推進することにより、物流機能を強化していきます。五年後に迫る大会の成功に向け、東京港の整備に全力で取り組んでまいります。
 次に、臨港道路南北線と接続道路の整備についてですが、南北線は約一キロメートルに及ぶ海底トンネルと埋立地盤内のトンネルから成る一方、これに続く接続道路は中央防波堤内側と外側の埋立地を橋脚なしで結ぶ約二百五十メートルの橋梁とともに、東京港臨海道路とのジャンクション機能を有し、合計六橋梁で構成される大変複雑な構造の施設となっております。
 トンネル部は国の事業ですが、軟弱な埋立地盤内の工事を都が受託し、関係者調整を含め、確実に事業を進めてまいります。
 一方、接続道路では、設計と工事を一括して発注するデザインビルド方式を採用して工期の短縮を図るとともに、五年間の債務負担工事とするなど、効率的な整備に取り組んでまいります。
 今後とも、これまでの港湾工事で培った技術力を結集しつつ、他のオリンピック関連工事とも調整を図り、大会開催までに確実に完了するよう、全力で整備を進めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) アスリートサイクル地域貢献事業についてでありますが、子供たちがトップアスリートと直接触れ合うことは、スポーツへの参加意欲を高めるとともに、次世代選手の発掘にもつながり、選手にとってもモチベーション向上などの効果が期待できます。
 昨年度創設いたしましたこの事業では、参加した児童のうち、約五割が参加前に比べスポーツをする頻度がふえ、約六割がスポーツ観戦の機会がふえるなど、着実な効果が見られました。
 今後、都は、この実績を踏まえて、区市町村との連携を深め、実態に応じたきめ細かい対応を行うことで、地域スポーツクラブを通じて、より多くの子供たちの参加を促進し、スポーツの裾野を拡大してまいります。
 あわせて、将来、本事業に参加した子供たちがトップアスリートとして活躍し、再び地域に貢献するというような人材の好循環の仕組みをつくり上げてまいります。

○議長(高島なおき君) 四十二番高椙健一君
   〔四十二番高椙健一君登壇〕

○四十二番(高椙健一君) まず最初に、オリンピック・パラリンピック大会の開催についてお尋ねします。
 東京が二〇二〇年大会を成功に導くためには、オリンピックと同様に、あるいは大会後の高齢化社会を見据えると、それ以上にパラリンピックに向けた準備が肝要です。
 二〇一二年のロンドン大会においては、パラリンピックは史上最高の大会であったと評価されており、元ロンドン大会組織委員会CEOのダイトン卿も、大会の最も重要なレガシーの一つがパラリンピック大会の成功だと知事に述べたとのことです。
 また、私は大会後ロンドンを訪れましたが、大会を契機として、ハード面に加え、ソフト面でのバリアフリー化も進んでおりました。そういった過去大会の成功要因も参考にして、東京大会を確実に成功させることが我々の責務であると考えます。
 都は、既に大会に向けたバリアフリー化の推進への取り組みに着手していると聞いております。取り組みに当たっては、パラリンピアンや障害者などを含む当事者の意見を十分に反映させることが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、安全でおいしい水について伺います。
 かねてより、私は東京が世界一を目指し、魅力あふれる都市となるには、安全・安心の充実が重要と主張し、さまざまな取り組みが進んでいます。
 中でも、東京の水道水は我が党が幾度となく取り上げてきましたが、高度浄水処理などの世界でもトップレベルの技術を備えるなど、都民の暮らしを支え、まさに安全・安心の象徴です。
 私は昔から蛇口の水をごくごく飲んでいますが、今現在、特に若い世代では蛇口離れが進んでおり、特段の理由もなく水道水を飲まない傾向にあるようでございます。このままでは、若い世代の水道水離れが定着してしまい、非常に残念であります。
 今後、情報化、国際化がますます進むとともに、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが目前に迫ってきています。こうした状況をチャンスと捉え、東京の水道のすばらしさをもっと浸透させるため、次世代を担う若者などに対して世界観や価値観に訴えかけることが重要だと思いますが、今後の取り組みを伺います。
 次に、気候変動対策について伺います。
 世界気象機関は、先日、昨年の世界の平均気温が記録のある一八五〇年以降で最も高かったと発表いたしました。
 近年、世界各地で豪雨や干ばつなど、温暖化が原因と指摘される極端な気象現象が頻発しており、我が国でも、これまでに例のないような豪雨が毎年のように発生して大きな被害をもたらしています。
 気候変動をめぐる国際交渉では、二〇二〇年以降の新たな枠組みの合意を目指して議論が活発化してきていますが、東京はエネルギーを多量に消費する大都市の責務として、最先端のすぐれた環境技術を活用しながら、CO2の削減や省エネルギーを進め、我が党が掲げる後世に誇れるクリーンで美しい東京を実現していかなければなりません。
 都は、昨年十二月に策定した長期ビジョンにおいて、スマートエネルギー都市を創造するという新たな政策指針を掲げましたが、気候変動対策に対する基本的な認識と今後の取り組みについて、知事のご見解をお伺いします。
 また都は、これまで気候変動対策に先駆的に取り組み、平成二十二年度からは、その柱として、大規模事業所を対象とするキャップ・アンド・トレード制度を開始しております。
 先般、都が発表したこの制度の対象事業所における平成二十五年度のCO2排出量の実績では、二〇%を上回る大幅な削減が達成されているとのことです。これは、都内の大規模事業所の方々が地球温暖化問題の重要性をご理解し、省エネに積極的に取り組んでいただいた結果であるとともに、この制度が効果的に機能していることのあかしであると認識しております。
 来年度からは、削減義務率を上乗せして新たな五カ年の計画期間が開始されますが、事業所が削減義務を円滑に履行できるよう、これまでの成果を生かしながら、省エネの取り組みを一層支援していくべきものと考えますが、見解を伺います。
 次に、多摩地域振興の促進についてお尋ねいたします。
 都は、先日の我が党の代表質問に答えて、本年四月に仮称でございます、新たな多摩のビジョン行動戦略年次報告書を作成することを明らかにいたしました。これは行動戦略等の計画をつくりっ放しにせず、多摩振興の取り組みを着実に前へ進めようとするものであり、こうした都の姿勢は評価するものです。
 一方、一口に多摩地域といっても、多摩地域は広く、また、個々の地域が抱えている行政課題や地域特性などは、北多摩、西多摩、南多摩でそれぞれ大きく異なっております。
 例えば、私の地元の国分寺市や国立市には、武蔵国分寺跡や谷保天満宮といった史跡や重要文化財のほか、一橋大学を中心とした文教地区が存在しており、こうした地域性がまちづくりなどにも生かされています。
 今後の多摩振興の推進に当たっては、こうした地域ごとの特性の違いを踏まえつつ、地域の事情に精通した市町村をきめ細かく支援し、民間等も巻き込みながら、相互に連携して進めていくべきだと考えます。
 そこで都は、今回作成する年次報告書をどのように活用して多摩振興を推進するおつもりなのか、所見を伺います。
 次に、文化振興についてお尋ねいたします。
 先般、東京都の芸術文化振興における基本指針として、東京文化ビジョンの素案が発表されました。ビジョンでは、芸術文化が東京のさらなる成長のための重要な要素として位置づけられ、その戦略の一つとして、都内の多彩な文化拠点の魅力向上が掲げられています。
 私は、文化施設が集積し、内外の数多くの文化に触れることができる区部はもとより、歴史の中で培われた都市部とは異なるさまざまな文化的特性を持つ多摩地域の魅力を向上させ文化拠点として形成していくことが、東京全体の多様な魅力の発信のためには不可欠であると思います。そのためには、地域の資源や人材を活用し、連携を進めながら、各地域の特色を効果的に生かした事業を実施することが重要であります。
 そこで、多摩地域がさらなる発展を遂げるため、多摩の文化の魅力をどう捉え、どのように発信力を高めていくのか伺います。
 次に、国分寺三・四・一一号線の事業化に向けた取り組みについて伺います。
 多摩地域では、調布保谷線や府中所沢線など、多摩南北五路線を初めとする主要な幹線道路の整備が進められております。
 国分寺市内におきましては、市の中心部を貫く府中所沢線の整備が進められており、市内のみならず、多摩地域全体の活力の向上に寄与するものと確信をしております。
 しかし一方で、国分寺市内の都市計画道路の整備水準はいまだ低く、道半ばであるといわざるを得ない状況であり、これを打開するためには、幹線道路の整備を進めるとともに、地域の安全性の向上や、まちづくりにも寄与する道路整備を同時に進めていくことが必要です。
 こうした路線の一つに、JR中央線の南側において国分寺街道と並行する国分寺三・四・一一号線があります。
 国分寺街道はバス通りであり、沿道に商店も連なる古くからの街道筋でありますが、幅員が狭く、歩道もないため、特に雨の日に傘を差しながら駅へ向かう歩行者は、横を通過するバスにいつ接触してもおかしくないなど、極めて危険な状況となっております。
 このままでは、国分寺街道沿道の衰退も危惧されるなど、地域における喫緊の課題です。この改善に向けては、国分寺三・四・一一号線の整備を行うことにより、国分寺街道を通過する交通を新たな道路に誘導することが重要です。
 そこで、国分寺三・四・一一号線の事業化に向けた取り組みについてお伺いします。
 次に、中小河川対策について、野川の整備を取り上げさせていただき、ご質問いたします。
 野川下流の多摩川合流点から小金井市との境界である鞍尾根橋までは、護岸の緑化や川の中におりて水辺を散策できるような整備が進んでいます。
 一方、上流部である国分寺市内の区間では、河川整備が未着手のため、コンクリート製の狭隘な水路状の河川となっております。また、下水道幹線の整備により、近年、大きな水害が発生していないものの、昨今、局地的集中豪雨が増加しており、このような豪雨が一たび発生すれば、地形的に低いこの地域に雨水が集中し、浸水被害が発生することが懸念されます。
 地元国分寺市も整備を強く要望しており、私は、平成二十五年第四回定例会で、治水面だけでなく、親水性や緑化等を考慮した整備を行うべきとの観点から質問させていただきました。その際、国分寺市との間で整備に向けた検討が進められているとのご答弁でしたが、現在の取り組み状況について伺います。
 最後に、首都直下型の地震の切迫性が叫ばれる中、防災拠点の中心となる消防署の整備は急務だと考えます。多摩地域においては、本年度、八王子消防署、武蔵野消防署及び武蔵野消防署武蔵境出張所を整備されたと聞いております。
 私の地元の国分寺消防署は昭和三十七年に建設され、五十二年が経過し、現在、庁舎の建てかえに向けて、都と国分寺市で調整していることは認識しております。国分寺市の安全・安心のために、一刻も早い具体的な計画の実現について強く要望し、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 高椙健一議員の一般質問にお答えいたします。
 気候変動対策についてでございますが、気候変動は人類の生存を脅かす喫緊の課題でありまして、その解決に向け、温室効果ガスを早期に削減していかなければなりません。
 世界全体のCO2排出量の七割が都市から排出されています。北欧の一国にも相当するエネルギーを消費している大都市東京は、持続的な発展を続けながら、率先してCO2の削減を進める必要があります。
 そこで都は、長期ビジョンにおきまして、二〇三〇年までにエネルギー消費量を二〇〇〇年比で三〇%削減するという意欲的な目標を新たに設定いたしました。また、再生可能エネルギーによる電力利用割合を二〇%程度に拡大する目標も同時に設定して、世界一のスマートエネルギー都市の実現を目指すことにいたしました。
 今後も、都は、大規模事業所へのキャップ・アンド・トレード制度など先進的な施策を推し進めてまいります。さらに、LEDを初めとする省エネ機器や太陽光発電、燃料電池など、我が国が有するすぐれた環境技術の普及を促進し、エネルギーの需給両面から、気候変動対策に積極的に取り組んでまいります。
 そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、国分寺三・四・一一号線の事業化に向けた取り組みについてでございますが、この路線は、狭く歩道のない国分寺街道と並行して計画されている道路で、道路が完成すると旧道化される国分寺街道沿道の衰退を心配する声もあり、住民の関心が高い路線でございます。
 また、国分寺駅に近接した市街地でもあることから、まちづくりとあわせて道路整備を進めることが必要でございます。このため、地元市では、住民参加の懇談会で検討を重ね、昨年末にまちづくりの方向性を取りまとめました。
 こうした地元の機運の高まりを受け、都は、市との連携をさらに深めながら、高低差のある地形に合わせた道路構造など、事業化に向け、具体的な検討に取り組んでまいります。
 次に、野川上流部の整備についてでございますが、野川では、水辺環境の向上や生態系の保全に配慮しながら、水害の早期軽減を目指して整備を進めてきております。
 お話の未整備の上流区間約一・八キロメートルは、川沿いに多くの住宅がある中、約五メートルの川幅を下流部と連続する形で約二十メートルに広げる必要があり、事業化に向けては、地元国分寺市による野川の自然を生かしたまちづくりの進展や、住民との合意形成が必要でございます。
 このため、都と市で周辺地域を含めた野川の検討会を設置し、遊歩道の整備やオープンスペースの確保など、地域の防災性や住環境を向上させる方策を検討しております。
 あわせて、市が開催する地元懇談会を通じて、まちづくりと一体となった事業への意識を醸成するなど、今後とも市と連携し、野川上流部の整備に向けて取り組んでまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二〇二〇年大会に向けましたバリアフリー化の推進についてでありますが、都は昨年十一月、国、組織委員会と共催で、自治体や障害者スポーツ団体などが参画するアクセシビリティ協議会を設置いたしました。協議会では、全ての人が参加しやすい大会となるよう、ハード、ソフト両面のバリアフリー化の推進を目的としたガイドラインの策定に、現在取り組んでおります。
 策定に当たりましては、ご指摘のとおり、選手や障害者など当事者の視点が重要と認識しておりまして、その意見や要望を十分に伺った上で適切に反映してまいります。
 都は、こうして策定されましたガイドラインを、今後整備する競技施設や最寄り駅から会場へのアクセス経路などに適用いたしますとともに、大会時の障害者の誘導などにも幅広く活用してまいります。
 また、公共交通事業者など関係者にも広く周知し、協力を得ながら、バリアフリー化の取り組みを一層加速させてまいります。
   〔水道局長吉田永君登壇〕

○水道局長(吉田永君) 水道のよさを浸透させる取り組みについてでありますが、水道局では、現在推進中の東京タップウォータープロジェクトにおきまして、水道水の品質の高さに加え、暮らしを支える視点から、そのよさなどを伝える施策を展開しております。
 しかしながら、若い世代では、他に比べ水道水に対する満足度が低いことから、水道水の優位性などを、グローバルな視点も含め多様な角度から働きかけていくことが重要であります。
 そこで、セルフチェック方式の水質モニター、ニューヨーク、パリなど先進都市との共通の取り組みなどを通して、安全性やおいしさのみならず、環境や家計に優しいという優位性を効果的に発信し、浸透させてまいります。
 これらの取り組みにより、次世代の担い手を含め、都民の共感を得て、東京水道のプレゼンスを一層向上させ、東京オリンピック・パラリンピック大会成功の一翼を担ってまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

○環境局長(長谷川明君) キャップ・アンド・トレード制度についてでございますが、昨年度の制度対象事業所のCO2排出量は、基準年度比で約二三%の減少となり、大幅な削減が過去三年間継続されるとともに、約九割の事業所は義務率以上の削減を達成している状況にございます。
 また、今年度実施した事業者向けのアンケートでは、CO2削減に対する経営トップ層の関心が飛躍的に向上し、省エネ機器の採用に積極的になったことが明らかになるなど、事業者のご理解、ご協力が進み、制度導入の効果が大きく発揮されていることが裏づけられたところでございます。
 今後、都は、対象事業所のこれまでの省エネ対策とその効果を詳細に分析し、その結果を活用して各事業所の一層の省エネをきめ細かに支援するなど、来年度から開始される第二計画期間においても本制度の着実な運用を図ってまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 今後の多摩振興の推進についてでございますが、実効ある多摩振興の取り組みを進めるためには、地域ごとにさまざまな特性を有する多摩地域の実情を踏まえた上で、市町村や民間等と連携して取り組むことが重要でございます。
 このため、今回作成いたします新たな多摩のビジョン行動戦略年次報告書では、地域の特性を生かした市町村や民間等による取り組みを積極的に取り上げてまいります。
 具体的には、歴史的資源を生かした地域の魅力発信や大学等と連携した地域の活性化、閉校施設を活用した観光振興等の取り組みを取りまとめ、広く普及を図ってまいります。
 あわせて、今年度創設いたしました補助事業等も活用し、市町村の創意工夫ある取り組みをきめ細かく後押しいたします。
 今後とも、多摩の多様な地域特性を踏まえて、市町村や民間等と連携し、多摩振興に全力で取り組んでまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 多摩地域の文化の魅力の発信についてでありますが、多摩地域は、歴史や自然、産業など、地域ごとの特性が多様であり、独自の文化的魅力を形成していると認識をしております。
 また、博物館、美術館を初め、芸術系大学、歴史的建造物など、多岐にわたる文化資源が豊富で、郷土芸能やお祭り、伝統文化の担い手の活動も意欲的であります。
 都はこれまでも、このような地域の資源や人材を生かし、江戸東京たてもの園において、多摩の文化団体と連携して開催する東京大茶会などの事業を行ってまいりました。
 今後、多摩の多彩な魅力をより効果的に発信するため、来年度新設する、地域に根差した伝統芸能や文化に対する助成制度を生かし、資源や人材のネットワーク化を進めるなど、文化の面から多摩の振興を積極的に支援してまいります。

○議長(高島なおき君) 百十番古賀俊昭君
   〔百十番古賀俊昭君登壇〕

○百十番(古賀俊昭君) まず、首都東京の外国軍基地について質問いたします。
 ことしは、昭和二十年八月十五日に玉音放送で大東亜戦争終結に関する詔書が渙発され、我が日本軍が潔く矛をおさめてから七十年、日本が連合国の軍事占領を脱して、主権を回復したとされる昭和二十七年四月二十八日のサンフランシスコ講和条約の発効より六十三年になります。
 日米安保条約、地位協定に基づくとはいえ、これだけの年月がたっても、一国の首都に占領軍の基地が、広大な横田基地を初め八カ所も存在することは、同じ枢軸国と呼ばれたドイツやイタリアと比べても異常であり、属国の惨状悲哀今なおと、嘆息を禁じ得ません。
 今般、都に都市外交人材育成基金を設けるなど、殊のほか外交に熱心な知事は、この現状を深刻に受けとめるべきです。
 また、米軍が航空機に対してレーダーによる進入管制を行う横田空域が、羽田空港の背後と伊豆半島のつけ根の太平洋側から日本列島のど真ん中を横断して新潟県と長野県の県境の日本海側まで、最高高度七千メートルに及んで、戦後から現在も日本の飛行機が自由に飛行できない壁が存在し、依然として米占領下と同然の状態にあります。
 沖縄の空の航空管制を行う嘉手納ラプコンは、昭和四十七年の沖縄返還、本土復帰から三十八年後の平成二十二年に日本側へ管制権が戻っています。
 主権国家の首都の知事として、東京の空を奪われたままで、東京を胸を張って世界一の都市と呼べますか。昨年十二月に知事が満を持して発表した東京都長期ビジョンは、米軍管制空域に関しては、返還の文言どころか、記述すらありません。
 去る二月二日、平成三十二年の東京五輪までに米軍横田基地への民間航空機乗り入れを目指す多摩地域の経済団体の会が立川市で設立されました。私も参加いたしましたが、出席都議を代表して挨拶に立った野村都議は、外国の軍事基地があること自体が国の恥、主権国家として、まず基地返還と認識した上で民間利用をと、語気鋭く国会議員席と参加者に訴えました。
 五年後の五輪開催を機に、ここに来て横田基地の軍民共同利用の声が盛んでありますが、その理由は、経済性、利便性、グローバル化だのの物質的利益優先の損得勘定です。
 七十年前、軍事的にアメリカにたたきのめされましたが、米国の属国かのごとき精神的敗北だけは峻拒するのが日本を取り戻すことであり、戦後体制からの脱却ではないでしょうか。独立国家の矜持にかけて、まずは米国に基地返還と航空管制権の回復を迫るのが本来の手順と考えます。
 ちなみに、昨年暮れの総選挙に横田基地返還を掲げた東京の候補者は、選挙公報を見る限り一名のみで、自民党にはいませんでした。残念です。
 横田基地は、所在する自治体にとって、航空機騒音のみならず、まちの発展に、はかりがたい阻害要因となっています。例えば、瑞穂町は基地面積の三割を提供しているために、懸案の市制施行が棚上げ状態にあり、福生市は市域の三分の一の面積が基地で占められています。地元の林田都議の、軍民共用については慎重な配慮をとの立場は、至極当然であります。
 これら米軍基地に関する諸課題について、知事の所見を伺います。
 次に、首都の領域保全について質問いたします。
 昨年四月、最初に確認された小笠原、伊豆諸島周辺海域での中共船舶の領海侵犯、違法操業などの不法行為は、海路往復四千から五千キロ、襲来した船舶は二百隻を超えており、これは単なる金銭目的の密漁、宝石泥棒ではなく、北京政府の組織的意思に基づく準軍事作戦であると考えるべきだと思いますが、国際政治学者でもある知事の認識を伺います。
 この問題に関し、知事のこれまでの対応には幾つかいぶかしい点があります。
 昨年の四定での知事所信表明では、中国大使館に直接連絡を入れ、事態の改善を強く求めたと報告がありましたが、みずからが責任を負う行政区域への侵犯であるにもかかわらず、肝心の抗議の言葉が見当たりません。
 大使館へ申し入れを行った際の相手は誰か不明であります。我が国政府には、十一月六日、官房長官にも会いと、具体的であるのに比べて違和感を覚えますが、いかがでしょうか。
 また、公益財団法人小笠原協会の機関紙に寄せた知事の新年の挨拶文では、外国船、あるいは外国漁船とあえて国名を伏せて表記しています。中共政府に気兼ねしているのではないかと思わざるを得ないのですが、所見を伺います。
 小笠原諸島には都民二千五百人が生活をしていますが、漁民と称する彼らが台風の避難を口実に上陸に踏み切れば、二百隻で一隻に三十人としても、島民を上回る六千人が島を占拠する事態となります。
 都は、警視庁、海上保安庁、水産庁、そして防衛省と連係しての情報収集や対策が不可欠と考えますが、見解を伺います。
 中共は、日本列島、沖縄、台湾などの第一列島線を支配下に置きつつ、今回、尖閣と小笠原の二正面作戦への我が国の対応能力を試し、次いで、小笠原諸島、グアム島の第二列島線へ触手を伸ばしてきたと見るべきだと思います。
 しかし、意外なことに、日本の防空識別圏には、伊豆諸島南部から南側が除かれています。つまり、小笠原諸島は我が国の防空識別圏の外にあるのです。
 海保の警察活動や水産庁及び都の監視調査活動などが行われているこの区域は、現在、我が国が制海権、制空権を確保していることはもちろんでありますが、さらに実効支配をより確実にして島民に安心をしてもらうためにも、自国が自由に設定可能な防空識別圏設定について、早急に国へ申し入れるべきだと考えますが、知事の所見を伺います。
 (パネルを示す)これが防衛白書よりとった日本の防空識別圏ですけれども、小笠原諸島は防空識別圏から外れています。どういうわけか北方領土と竹島も意図的に外されています。これが我が国の今の国防の現状です。
 専門家に防空識別圏に関して聞きましたが、レーダーサイトを設置して電波の傘をかけるには時間がかかるので、移動レーダー管制隊を拡充すれば、早期に設定可能とのことでありました。
 ところが、今申し上げたとおり、我が国の防空識別圏からは竹島や北方領土、さらには、この小笠原諸島が外れている。これが今日の我が国の姿であります。
 次いで、日本文化と多言語表記についてです。
 去る一月三十日、東京文化ビジョン素案が発表され、都民意見の公表が行われました。文化は生きることであり、そのためのなりわい、言葉、習慣、学問、知恵、政治、信仰などをもとに衣食住があり、時代を経て、市井に生き、継承されてきました。
 当然、地域、ここでは東京の、江戸またはそれ以前の歴史と風土に根差し、磨かれてきたものが多くあるにもかかわらず、素案ではその例示や視点もなく、目立つのは、ふだん都民が使うことのない片仮名語、横文字の多さです。第一、ビジョンからして、将来、未来の構想を指し示すもので、これでは過去の忘却破棄ではないでしょうか。
 七十年前、一面焼け野が原の日本の文化、社会の再建は国語教育が重要であると民俗学者の柳田國男は主張しました。国語こそが文化の根本と考えたからです。祖国とは国語だは、エミール・シオランの言葉です。
 そして、都内にある建物の国宝、多摩地域に多い農耕と祭りの文化資源、江戸文化を伝えてきた職人、工芸品、島しょに関する記述は皆無であります。
 文化を語るのですから、国語本来の縦書き表記に改めることも含めて、内容の再検討を求めたいのですが、見解を伺います。
 次に、外国語の案内表記についてです。
 訪日外国人旅行者は、平成二十五年に初めて一千万人を突破し、さらに、平成二十六年には過去最高の一千三百四十一万人に達しました。
 外国人旅行者の増加に伴い、まち中では、歩道や駅構内などで外国語の案内表記を目にする機会がふえましたが、多くの言語を限られた枠内に表記することで、かえって文字が小さくなったり、また、肝心の日本語表記すら見づらいものがあります。
 公共空間の外国語案内表示は、利用者の視認性への配慮が必要であり、世界共通語となりつつある英語を基本として、その他は絵文字、ピクトグラムを工夫して表示すれば、日本語を中心に整理されて、景観上もわい雑にならず、全体として見やすくなると思います。
 また、漢字を表記する場合、現在、ほとんどが簡体字と呼んでいる略字が使用されていますが、実際、来日旅行者で最も多いのは、繁体字と称している正漢字を日常使用している台湾の人たちであります。本来の漢字、正漢字の表記も必要だと考えますが、あわせて都の見解を伺います。
 なお、絵文字についてでありますが、手洗いの男女の図案は日本語がわからない外国人のために考案されて、今日では海外でも見かけるほど普及いたしました。加えて、非常口を示す絵文字、図案は日本の大学生が考えたもので、これも世界中で使われています。絵文字の活用を都も積極的に進めることを要望しておきます。
 最後に、道路橋梁の整備について質問いたします。
 日野市と立川市の境界をなす多摩川にかかる日野橋の整備について、昨年六月の第二回定例会の一般質問で取り上げたところ、都では、平成二十六年度から、かけかえに向けての調査を開始するとの答弁がありました。日野橋は、長年地域に親しまれてきたことから、私の地元、日野市でも、早期整備への市民の関心と期待が高まっています。
 そこで、今年度、平成二十六年度の取り組み状況と今後の予定について伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 古賀俊昭議員の一般質問にお答えいたします。
 まず、米軍基地に関する諸課題についてでございますが、アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中、日米安全保障体制は、我が国の安全とともに、地域の平和と安定にとって不可欠なものでありまして、横田基地など都内の米軍基地もその一翼を担うものと認識しております。
 米軍基地は、日米地位協定に基づき、必要でなくなった場合は返還されなければならず、その必要性が絶えず検討されることとなっております。
 都としましては、都民の生活環境を改善し、地域のまちづくりを推進する観点から、引き続き基地の返還の可能性が検討され、整理、縮小、返還が促進されるよう国に要請してまいります。
 また、横田空域につきましては、平成二十年九月にその一部が返還され、飛行時間の短縮や燃料消費の削減などが図られました。
 今後とも、首都圏の空域を再編成し、より安全で効率的な航空交通を確保していくため、管制業務とあわせて、全面返還の実現を国に要請してまいります。
 中国漁船違法操業問題についてでございますが、今般の中国漁船の違法操業は、地元漁業への被害や島民に不安をもたらしたことはもとより、我が国の領土、領海の保全にかかわる大変重大でゆゆしき事態でございます。
 今月、小笠原を視察した際にも、島民の皆様から被害の実情を直接伺い、改めて非常に深刻な問題であると認識をいたしました。
 議員ご指摘のような主張があることは承知しておりますが、国におきましては、海上保安庁長官が、中国漁船の意図について、領海や海洋権益とは別問題で、一獲千金を狙った違法な操業との見方を示してございます。
 また、昨年十二月に開催されました日中漁業共同委員会において、中国漁船によるサンゴの密漁を根絶するため、断固とした取り締まりや違反者への厳しい処罰など、両国で合意をしております。
 都としましては、二国間の合意が確実に守られ、今般のような事態を再び招くことのないよう、今後とも中国政府の対応を厳しく注視してまいります。
 中国大使館への申し入れなどについてでございますが、これまで私は、中国漁船による違法操業に対し、昨年十一月六日に中国大使館に直接電話し、公使に抗議するとともに、事態の改善を強く求めるなど、再三、中国政府に対し抗議、要請をしてまいりました。
 なお、議員お尋ねの外国漁船との表現についてでございますが、中国に遠慮や気兼ねをしているわけでは毛頭ございません。昨年の第四回定例会での所信表明や本定例会での私の施政方針においては、中国漁船と表現をしております。
 現在では、中国漁船の違法操業は小康状態にありますが、今後とも油断することなく、毅然とした態度で臨んでまいります。
 防空識別圏についてでありますが、防空識別圏の設定及び運用は、国の専管事項でありまして、高度な判断が必要な問題であります。
 一方、小笠原諸島など、東京の島しょ地域は、我が国の排他的経済水域の約四割を占めるなど、国益を確保する上で重要な国家的役割を担っております。
 島しょ地域に暮らす住民の生命と財産は、本土に住む国民と同様にひとしく守られるべきであり、島しょ地域の方々が不安を抱きながら生活をするようなことがあってはなりません。
 国は、平成二十五年十二月に閣議決定されました防衛計画の大綱において、太平洋側の島しょ部における防空態勢のあり方について検討を行うとしていることから、その推移を見守ってまいりたいと思っております。
 そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長から答弁をいたします。
   〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 日野橋のかけかえについてでございますが、日野橋は、甲州街道が多摩川を渡る橋梁であり、河川で分断した地域をつなぐとともに、災害時には緊急輸送道路として、防災上重要な役割を担う都市施設でございます。
 この橋は建設から九十年近くが経過し、老朽化が進んでいるため、かけかえにより耐震性の向上を図るとともに、あわせて快適で安全な歩行空間を確保してまいります。
 今年度からは環境調査や現況測量などを実施するとともに、工事に必要な仮橋の構造などについて検討を開始いたしました。平成二十七年度は、引き続き地質調査や橋梁形式の比較検討などを進めてまいります。
 今後とも、関係機関との協議を計画的に実施し、事業化に向けて積極的に取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 中国漁船の違法操業問題に関する関係機関と連携した対策についてでございますが、都はこれまで、海上保安庁などと連携し、都の漁業調査指導船による監視活動を行うとともに、国や小笠原村との連絡会議を立ち上げ、これまで三回開催するなど、情報の共有化、連携の強化を図ってまいりました。
 島民の方々が二度と不安を抱くことのないよう、今後とも、状況に応じて幅広く関係機関と連携し、情報共有を行いながら的確に対応してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 東京文化ビジョンについてでありますが、東京文化ビジョンの素案では、東京の文化を考える上での基本として、東京の文化には日本古来の伝統が今なお脈々と息づいており、こうした伝統に新たな感性が取り入れられて融合し、新たな価値が生み出されたことで、独自の文化として成長を遂げてきたとの認識を示しております。
 素案の発表後、伝統文化に対するさまざまな考え方を初め、歴史的建造物や庭園などの文化財の活用、表記に関する意見などが都民の方々や団体などから寄せられております。
 今後、最終取りまとめに向けては、都議会での議論を踏まえた上で、寄せられた意見の反映を検討し、用語解説を加えるとともに表記も工夫して、都民にわかりやすいものとしてまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 案内表示、標識の外国語表記についてでございますが、東京を訪れる外国人旅行者や障害者、高齢者等の方々が安心してまち歩きを楽しむためには、案内表示、標識の表記をわかりやすくしていくことが重要でございます。
 このため、都が定める案内サイン標準化指針では、使用する言語は日本語及び英語の二言語を基本とし、絵文字を効果的に活用するとともに、必要に応じ他の言語を含めて表示することとしております。
 今回改定をした指針では、この原則を踏まえつつ、英語のほか、使用する旅行者数の多い中国語の簡体字、繁体字、韓国語に対応する対訳表を新たに作成いたしました。
 今後、標識等の設置者に対し、本指針の普及啓発を図り、来訪者の動向や表示面の大きさに応じた活用を促すことで、利用者の目線に立った整備を促進してまいります。

○議長(高島なおき君) 二十九番上田令子さん
   〔二十九番上田令子君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○二十九番(上田令子君) まず、舛添知事の都市間交流の基本的な考え方について伺います。
 さて、さきの非合法過激派武装組織、いわゆるイスラム国による日本人人質事件は、私も同胞として強く心を痛めております。ご家族、関係各位に哀悼の意を心から表します。
 このようなテロ行為は断じて許されるものではありません。平和主義を国家の基本とする我が国としても、国際連帯を強めることにより、断固とした姿勢を示して、国民の自由と安全を確保していく必要を再認識しなければなりません。
 その人質事件が発覚して間もない先月一月二十八日、知事は、ティモシー・ヒッチンズ駐日英国大使とともに、羽田空港から浜離宮恩賜庭園まで小型クルーザーで視察をされました。同国は、インテリジェンスの高さは国際的に認められるところであり、さらなる交流を期待するものであります。
 このような交流は、さきに策定された都市外交基本戦略に基づいて展開されていると考えますが、会談の内容と成果についてお示しください。
 次に、子供の声を反映する都政運営を願い、要保護児童の支援施策についてお尋ねいたします。
 日本の家庭的養護は一割にとどまり、施設養護に偏重していることから、子どもの権利条約二十条に抵触し、国家による社会的ネグレクトであると世界的にも指摘をされているところです。
 都では、平成二十四年度、三百三十五人の二歳児未満の乳幼児のうち、里親委託されたのは十四名にとどまり、過去三年間、一カ月未満の赤ちゃんの里親委託はゼロです。都議会でも、るる家庭養護推進を求める議論がなされ、都も、子供の福祉を第一に、家庭的養護を積極的に推進するという答弁をその都度されています。
 退所するまで、三分の一ほどの子供はずっと施設にいるともいわれています。養護施設児の約六割が保護者から虐待を受けた経験があるということも、先月の厚生労働省調査で明らかになり、このような現状を踏まえれば、施設から家庭養護へ早急に推進することは、世界の趨勢をもってしても議論をまちません。
 それなのになぜ、いまだ施設養護が主流なのか。理由の一つには、家庭養護が主流になってしまうと、施設の児童数や補助金が削減されてしまうことへの施設経営者の懸念や行政側の配慮があるように思えてなりません。何より優先されなければならないのは、法人の利益ではなく子供の利益です。
 首都圏では、一時預かりやトワイライト保育、周産期ケアなど多様な保育、そして子育て支援ニーズは高まるばかりですから、養護施設を広範な福祉資源として有効活用すれば、家庭養護と並存していけると考えます。
 そこで、児童相談所による新生児を含めた特別養子縁組、養育家庭などの里親委託事業を都が積極的に推し進めることで、日本の要保護児童政策に好影響を及ぼすことを鑑み、以下について質問をいたします。
 一、新生児の里親委託が進んでいないことに関しての都の評価と課題認識、推進するに当たって乗り越えなければならない問題点についてお示しください。
 二、実親が里親委託を拒否し、施設養護が長引いている児童もいます。実親のケアにつき、里親委託への理解や面会交流について、取り組み状況と課題をお示しください。
 三、里親同士が交流を図り支え合う自発的な活動に対するサポート体制や、例えば里親をひとり親のレスパイト、ショートステイなどで活用する新たな展開もできるかと考えますが、その可能性についてもお示しください。
 四、要保護児童について、施設や養育家庭で不調になった場合の理由と、その後の措置について確認したところ、実態把握はされていないとのことです。これは、子供の最善の利益を踏まえた委託先を担保する上でも把握しておくべき貴重なデータではないでしょうか。子供のことは、児童票で児相にて一括管理しているので、理論上は可能なことから、実態調査を早急にすべきと考えます。可能かどうか、この現状把握なく、何を根拠に委託先を選定、各事例の検証をしているのかも含めてご所見を伺います。
 五、私の文書質問で、再統合への前向きな取り組みの答弁を頂戴していますが、長期施設で過ごした子供たちの背景と原因、実親へのサポート体制についても実態把握がされていないようです。第三者評価で子供の声を拾っているとのことですが、モニタリング結果を委託先選定の参考、日常養護、不調になったときの対応にどう反映をしているのか具体的にお答えください。
 六、家庭養護が進んだ後、施設児童が減ることが予想されますが、その際、養護施設をどう利活用していくか方向性をお示しください。
 子供の相談体制についてです。
 私は、子供自身が受けている社会的養護サービスへの拒否権や選択権があってしかるべきと考えます。要保護児童の声は、常に施設や児相の担当者など、大人を経由しなければならず、情報や権限を持つ行政側に対して、福祉を受ける弱者の子供は圧倒的に不利な状況にあります。
 対応する大人の胸先三寸で子供の願いや要望や悩み、相談をもみ消すことがないか、子供の人権を最優先にした救済の道が途絶えてしまうのではないかということを強く懸念しています。
 そこで、以下についてお尋ねいたします。
 一、要保護児童と施設や児相の担当者の関係性は対等で開かれているのか、緊急な悩みに直接児相に子供が連絡したときに、漏れなく全て真摯に対応しているか、電話に出ないなんていうことはないか、また、一人の担当者に高圧的な態度をとられたとしても、子供は諦めないで、ほかの相談者に連絡できる体制になっているか、子供のSOSから対応までの流れも含め、時系列でご回答ください。
 二、保護者や里親などの養育者と子供の面談ややりとりに当たり、児相のいうことを聞かないと子供を奪われてしまうという恐怖感を与えたり、養育者や子供へ事前に何かいい含めるようなことがよもやないかと危惧しております。それぞれの人権、特に意見表明権を保障した対等な関係は構築できているかお尋ねいたします。
 三、要保護児童がみずからの権利を自覚し、生活に反映できるようにするための子どもの権利ノートの活用について、子供たちの生活に即して、どのように児童の権利意識を高めていくのかお答えください。
 三、児童養護施設についてです。
 子供が安心・安全、衛生的に暮らすことを望み、以下についてお尋ねします。
 一、施設の耐震化率は八八・八九%ということですが、避難はしごなどの防災設備の整備と点検体制や居室、ベッド、スプリングがぼろけちゃっていないか、シーツがきれいか、トイレは掃除してあるか、お風呂は汚くないか、洗濯場はきれいか、物干し場はきちっと整備されているかなど、生活空間が安全、快適かつ衛生的に整うよう、どのような管理体制にあるか伺います。
 二、中学校や高校を卒業する子供の進路指導についての対応状況、殊に私学を希望する子供について、資金面ではどのような体制をとって子供の要望に寄り添って提案しているかお聞かせください。
 また、保護者や里親などの養育者と養護施設を行き来する子供で養育者が学費を出せる場合には、どのように子供へ機会と選択肢を広げてあげているのか伺います。
 三、退所後の子供たちへの都の取り組みについて調査をしたところ、退所者支援に特化した施策は見当たりませんでした。政府や都においても、若年層の生活支援の高まりがある中、こうした施策から子供たちがこぼれ落ちているのではないかと危惧をしています。施設では補い切れない社会に出るに当たっての十分な教育体制、情報提供、専門性の高いNPOや民間団体との連携を図るなどの対応が必要と考えます。
 つきましては、施設退所者に対する相談等の支援はどのようなものがあり、今後どのように充実させていくのか伺います。
 学校教育における子供の声の受けとめについてです。
 平成二十五年度に、教え子らへのわいせつ行為により、懲戒や訓告などの処分を受けた全国の公立学校の教員は、調査開始以降最多、体罰による処分も倍増傾向です。
 都のいじめ問題に関する研究報告書によれば、学校のいじめをなくす努力が足りないと、子供は三一・三%思っているのに対し、教員は四分の一程度の八・一%という意識の格差もあります。
 つきましては、児童生徒がいじめのみならず、教師や学校生活への不満、不安や悩みについて、警察など学校以外の相談機関にも相談できるよう周知する必要があると考えますが、教育委員会の取り組みについて伺います。
 人権政策の推進について伺います。
 障害者虐待防止法が制定されておりますが、西東京市の障害者施設たんぽぽで発生した虐待事件に対する再処分から約半年を経ています。二年前に第三者委員会から、施設運営者の刷新をするように提言が出ているにもかかわらず、完全に実施がされていません。骨折事故から一年がたちましたが、この年末年始にかけて、今度はノロウイルスが蔓延し、指導が入ったと仄聞し、衛生管理体制にも非常な危機を覚えております。
 二月二十日には、西東京市により、またしても改善指導命令が下され、改善期限は三月二十日とされています。期限が迫り、これまでのことを鑑みましても、第三者委員会の提言のとおり、利用者、家族や職員のために、経営陣の刷新は急務と考えております。
 つきましては、再処分以降の都の取り組み経過と所見、今後の対応についてお示しください。
 最後に、本件に関しまして、公益通報保護につき三点伺います。
 都職員の公益通報についてですが、その窓口と対応について基本的な考えをお示しください。
 例えば、障害者福祉施設において、利用者の人権尊重違反や虐待が行われた場合の当該施設から都への公益通報について、その窓口と対応について基本的な考え方をお示しください。また、通報者や通報先が公益通報者保護法の要件を満たしていなかったときの対応についても、あわせてお答えください。
 公益通報者が利害関係者から特定されていないための対処について、基本的な考え方と、特に当該事案について訴訟等が提起された場合の対応についてお答えください。
 以上、再質問を留保して、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 上田令子議員の一般質問にお答えいたします。
 都市間交流の基本的な考え方についてですが、昨年末、東京都の都市外交の基本的な考え方と政策の方向性を示す都市外交基本戦略を策定いたしました。東京都が抱える都市の課題を解決し、都民生活を豊かにするには、同じ課題を抱える海外都市との協力、交流を通じ、その知恵も取り込んでいく必要がございます。
 さらに、オリンピック・パラリンピック大会を成功させるためには、海外都市との友好関係を深め、新たな関係も築いていかなければなりません。
 引き続き都市外交基本戦略に基づき、都市外交を推進してまいります。
 そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

○教育長(比留間英人君) 児童生徒への相談機関の周知についてでありますが、各学校では、担任を中心に、教員が児童生徒からの相談に応じるとともに、スクールカウンセラーと連携するなどして相談体制の充実を図っております。
 一方、児童生徒の中には、さまざまな理由により学校以外への相談を希望する場合もあることから、都教育相談センターや区市町村の教育相談室などにおいて、電話や面談などにより対応を行っております。
 都教育委員会は、こうした相談機関に加え、警視庁少年相談室や都児童相談センターなどの連絡先電話番号を記したカードやリーフレットを都内公立学校の全児童生徒に定期的に配布し、周知をしております。
 今後とも、関係機関や区市町村教育委員会と連携し、児童生徒への周知の徹底を図ってまいります。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 駐日英国大使との会談内容と成果についてですが、知事は就任以来、在京各国大使を初め、さまざまな方々とお会いしております。
 それぞれの面会等における具体的なやりとりにつきましては、相手方との関係もあり、東京都からお示しすることは控えさせていただきます。
 なお、英国大使からは、ウオーターフロントを活用したおもてなしについて貴重なアドバイスをいただいたところでございます。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 十四点のご質問にお答えします。
 まず、養育家庭への委託についてでありますが、要保護児童の措置委託に当たっては、児童の福祉を第一に考え、児童の年齢、生育歴、心身の発達状況、保護者の家庭引き取りの可能性など、児童一人一人の状況を総合的に勘案し決定しており、まずは養育家庭への委託を検討しております。
 養育家庭に委託する場合は、親権者の意向、養育家庭の状況をきめ細かく把握し、委託に向けた交流を重ねるなど丁寧な対応が必要であり、十分な期間を要すると認識しております。
 次に、養育家庭委託における実親への対応についてでありますが、養育家庭委託に不安を抱く実親に対しては、家庭的な環境が児童の成長を促すこと、そのため、養育家庭委託が望ましいことなどを説明しております。
 施設入所中の児童についても、実親の面会の有無や家庭引き取りの見通しなど、総合的に判断し、養育家庭への委託を検討しております。
 次に、養育家庭へのサポート体制についてでありますが、都は、民間団体と協力しながら里親サロンを開催し、会場借り上げや託児等の費用の一部を負担しております。
 また、区市町村は、養育家庭をショートステイなど子育て支援サービスの担い手として活用しております。
 次に、措置委託先の選定についてでありますが、児童相談所におきましては、措置委託を行う全てのケースについて、家庭調査、心理診断、行動観察などを十分に行った上で、所長をトップとする援助方針会議においてケースごとに検討を行い、援助方針を決定しております。
 施設での生活になじめない等により、措置委託先を変更する場合にも、児童福祉司が児童や施設の職員から直接聞き取りを行った上で同様の対応を行っております。
 次に、第三者評価についてでありますが、第三者評価は、外部の専門家の視点から施設の運営を評価するものであり、サービスの質の向上に向けた事業者の取り組みを促すことを目的としております。そこで得られた児童からの意見も、施設におけるケアの質の向上など、運営の改善のために活用されております。
 次に、児童養護施設の活用についてでありますが、現在、児童養護施設では、グループホーム等の設置により、本体施設の定員を減らした場合に生じた空きスペースを活用し、児童の生活の場を小規模で家庭的な養育が行える形態に変更するほか、居室を個室化したり、地域の人々との交流スペースを設けるなど、入所児童の養育環境を改善しております。
 次に、児童や保護者等との面接についてでありますが、児童相談所は常に児童の最善の利益を考慮し、全ての児童が心身ともに健やかに育ち、その持てる力を最大限発揮できるよう、児童及びその家庭等を援助しております。
 児童や保護者等との面接に当たっては、児童の安心感や安全を最大限確保することに配慮しております。
 次に、要保護児童からの相談体制についてでありますが、児童相談所では、相談に当たる職員が児童から主訴や課題を的確に聞き取った上で、緊急を要する場合には緊急受理会議を開催し、調査や一時保護の要否等について協議するなど、組織的に対応しております。
 また、職員に対しては、対人援助技術等の研修により、面接を初めとしたケースワークの対応力を強化しております。
 児童の権利を守るための仕組みとしては、全ての児童養護施設に第三者に相談できる体制の整備が義務づけられており、都においては、入所する小学校一年生以上の児童に、嫌なことから守られる権利があることや、困ったときの相談先などを記載した子どもの権利ノートを児童福祉司から説明の上、配布しております。
 次に、子どもの権利ノートの活用についてでありますが、児童養護施設の職員等は、日常的な指導や子供会等での学習など、日々の生活の中で権利ノートを活用し、子供の権利について説明しております。
 次に、施設の安全衛生管理についてでありますが、児童養護施設では、消防法に基づき、防火管理者が消防計画を作成し、消防用設備の整備及び点検等を行い、その結果を消防署へ定期的に報告しているほか、安全で衛生的な環境で生活できるよう、施設管理者が日常的に管理業務を行っております。
 都は、東京都児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例に定められた基準について、毎年状況を確認し、必要な指導を行っております。
 次に、施設入所児童の進路についてでありますが、児童養護施設においては、自立支援コーディネーターを専任で配置し、入所児童の自立支援や進学に向けた準備から退所後の相談支援を行うほか、学校等と連携し、保護者などの支援の意思も確認しながら、児童の希望や施設退所後の生活状況などを勘案して進路指導を行っております。
 また、都は、私立高校の授業料等の就学費用や大学や専修学校等の入学に要する経費などについて、独自の支援を行っております。
 次に、障害者支援施設たんぽぽへの対応についてでありますが、当該施設に対しましては、身体的虐待や理事長等の不適切な対応等を理由に、平成二十五年九月に一年間の新規利用者の受け入れ停止処分を行い、改善が見られなかったため、昨年九月に再度、同様の処分を行いました。
 その後も法人所轄庁である西東京市と合同で実地検査を行ってまいりましたが、依然改善が不十分であったため、本年二月二十日、都は施設に対し改善勧告を行い、西東京市は法人に対し改善措置命令を行いました。これは、三月二十日を期限として、必要な改善措置を講じるよう求めております。
 今後、法人が命令に従わない場合、社会福祉法では、所轄庁は業務の全部もしくは一部の停止命令、または役員の解職勧告をすることができるとされております。
 都は、引き続き西東京市と連携し、改善状況の確認や指導を行い、関係法令に基づき厳正に対処してまいります。
 次に、都に対する公益通報への対応についてでありますが、公益通報者保護法では、通報対象事実について、処分等の権限を有する行政機関が通報を受けた場合、法令に基づく措置等をとらなければならないとされております。
 障害者福祉施設の場合には、指導監督権限を有する福祉保健局が通報を受けて調査を行い、必要に応じて法令に基づき施設への改善指導などを行います。
 なお、通報者が法の要件を満たさない場合にも情報提供として取り扱い、個人情報保護に配慮し、必要に応じて調査等を行うほか、通報内容が他の行政機関の所管する事項であった場合は、適切な通報先を教示することとしております。
 最後に、公益通報者が利害関係者から特定されないための配慮についてでありますが、公益通報者保護法では、公益通報したことを理由として、事業者が行う解雇等を無効とし、降格、減給、その他の不利益取り扱いを禁止するなど、通報者の保護が図られております。
 また、都は、公益通報により施設等への指導監督権限を行使する際には、通報者が特定される情報について、東京都個人情報保護条例等に基づき、適切に保護しております。
 争訟時においても、必要な立証活動を損なわない限度で、個人情報の保護に十分配慮して対応しております。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(河合潔君) 児童養護施設の退所者に対する支援についてでありますが、児童養護施設の退所者のうち、社会的自立に困難を有する青少年に対しては、現在、若者総合相談窓口、若ナビにおいて電話等による相談を受け付けており、必要に応じて、福祉、就労支援等の関係機関や支援のノウハウを有するNPO法人等民間団体を紹介しております。
 今後、東京都青少年問題協議会で審議中の子供・若者計画に、社会的自立に困難を有する青少年に対する相談体制の充実について盛り込むこととしております。
 あわせて、区市町村に対し、関係機関、団体との連携の強化による体制整備などを働きかけ、地域でも相談が受けられるよう充実を図ってまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 都職員の公益通報における窓口と対応についてでございますが、公益通報とは、労働者が勤務先において通報の対象となる法令違反が生じ、または、まさに生じようとしている旨を通報することであり、都では、各局及び全庁の窓口を設置して対応できる仕組みを整えております。
 公益通報があった場合、通報内容の事業を所管する局は、遅滞なく調査を行い、事実と認められた場合は、速やかに是正措置を講じるとともに、必要に応じて懲戒処分等の手続を行うこととなります。
 また、通報した職員の秘密は保持され、通報または相談を理由とした不利益な取り扱いを受けることはございません。
   〔二十九番上田令子君登壇〕

○二十九番(上田令子君) 福祉保健局長のご答弁の中で、たんぽぽというか当該法人の経営者の解職勧告ができるというご答弁もいただきました。第三者委員会の提言でも、繰り返しますが、当該法人の運営者の刷新を求めておりましたが、去る二月二十四日、理事長と理事が辞任をしたとのことです。
 この案件につきましては、九月二十日、九月三十日に都が出した処分の内容は、虐待の防止の取り組みが不十分、管理の不徹底、不要な物品購入、不当なサービス拒否、不正請求など、新規利用者の受け入れを停止では済まされない甚大な状況です。
 ずっといってきましたが、平成十四年から社会福祉協議会から改善申し入れが出て以降、これまで苦情相談、公益通報も数限りなくあり、私も情報公開請求しましたが、二センチくらいの厚さになりました。たび重なる改善指導の趣旨にのっとり、無辜なる入所者のこれ以上の精神的、肉体的苦痛が二度と与えられることなく、また、職員がやりがいを持って働ける運営体制と、そして、前理事長と理事の影響を受けることがないことを強く求めます。
 ついては、事実経過と今後の方向性について重ねてお答えください。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 上田議員の再質問にお答えをします。
 先ほど申し上げましたが、現在、都及び西東京市は、本年三月二十日を期限として、それぞれの改善勧告及び改善措置命令に対する必要な改善措置を講じるよう求めております。
 今、理事者の交代というお話がありましたが、理事者が交代をしたとしても、その中で行われているサービスが真に利用者のものになっているかと、そういう状況を常に確認しなければならないのは、私どもの当然の仕事であります。
 したがいまして、今後とも、引き続き西東京市と連携し、改善状況の確認や指導を行いながら、関係法令に基づいた厳正な対処を行ってまいります。

○副議長(藤井一君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時六分休憩

   午後五時二十五分開議

○副議長(藤井一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 十二番小松久子さん
   〔十二番小松久子君登壇〕

○十二番(小松久子君) 初めに、若者の自立支援について伺います。
 若者をめぐる就職就労環境が依然として厳しい状況にあります。労働者の三人に一人は非正規雇用ですが、女性がふえていること、若者の多いことが傾向としてあります。非正規労働者は、正社員と比べ賃金水準が低く、雇用が不安定であり、能力開発の機会が乏しい、セーフティーネットが不十分などの課題があります。
 正社員を希望する意欲ある若者に働く機会を企業が提供していくことが求められています。自立支援という観点からも、生活の基盤である雇用の確保を都はしっかりと進めてもらいたいと思います。
 知事は、若者が持てる能力を存分に発揮できるよう、就業支援の促進に取り組むとしていますが、中でも、非正規で働く若者への支援をどのように進めていくのか、見解を伺います。
 また一方、大学を卒業し就職しても、三人に一人は三年以内にやめてしまうという現状があります。就職後三年以内の離職率は、中卒者で六五%、高卒者では四〇%に上ります。離職する理由は個人によってさまざまですが、職についた若者が誇りを持って働き、経験を積み、社会に参画していくには、就職後、職場で孤立することなく働き続けられるような定着に向けた支援が必要です。
 若者の定着支援に向けた都の取り組みを伺います。
 都は、二〇〇八年九月のリーマンショック以降、大学を卒業しても就職できないという厳しい就職環境に対応するため、若者向けの支援をさまざま実施してきました。その中で、正社員としての就職を希望する若者に対して、若年者緊急就職サポート事業や重点産業分野就業支援プログラムなど、正社員を条件に派遣する紹介予定派遣制度を活用した事業を展開し、三年間で三千七百人を超える若者が企業に派遣されたと聞いています。
 来年度の予算案では、これらの事業を終了するとしていますが、紹介予定派遣制度を活用した事業の成果と今後の取り組みを伺います。
 ことし一月、都は、二〇一〇年施行の子ども・若者育成支援推進法に基づき、仮称東京都子供・若者計画の策定に向けた検討を行いました。この子ども・若者育成支援推進法は、基本理念として、一人一人の子供、若者が健やかに成長し、社会とのかかわりを自覚しつつ、自立した個人としての自己を確立し、他者とともに次代の社会を担うことができるようになることを目指すとうたっています。そして、施策を推進するに当たっては、実態等の把握や、子供、若者の意見聴取等を行い、福祉や医療、雇用など、必要な情報の提供や助言を行う子ども・若者総合相談センターの機能を自治体は整備することとされています。
 そこで、子供・若者計画に盛り込まれる施策の推進に当たり、子供や若者からの意見はどのように反映されるのか。また、身近な地域で利用できる子ども・若者総合相談センターとしての機能を担う体制の整備について伺います。
 都議会生活者ネットワークは、これまで、高校の中途退学者や進路未決定のまま卒業した若者が高校を離れた途端に社会とのつながりが切れてしまい、就労も就学もできずに無業状態、いわゆるニートの状態に陥っていることに対し、支援すべきと求めてきました。
 都は、二〇一二年、都立高校中途退学者等追跡調査を実施し、その実態把握に努めていますが、生活者ネットワークも昨年、若者の就職就労環境の調査を独自に行いました。また、働くことに悩みを抱える若者に対して、キャリアコンサルタントなどによる専門的な相談事業を行う若者サポートステーションへの聞き取り調査を行っています。
 その結果わかったことは、一たび意思と異なる方向に進んだり、失敗したりすると抜け出せない実態があること。自己肯定感を失うと、相談機関に向かう最初の一歩を踏み出すのも難しいという現実です。やり直しのできる社会、リカレント社会の実現とともに、高校卒業後だけでなく、中退でも孤立させない、途切れのない支援が必要です。そのため、若者支援は、高校に在学中から始めることが重要です。
 都教育委員会は、中途退学者等を支援するモデル事業を実施していると聞いていますが、これまでの成果と今後の取り組みについて伺います。
 有害な化学物質は、人の健康に悪影響を及ぼすため、使用量を減らし、適正な管理で環境中への排出量を抑制することが重要です。
 都は、環境確保条例で、事業者みずからが化学物質の移動や排出量を把握し、適正に管理することを求め、この制度によって届け出された化学物質の年間排出量は、二〇〇二年度から十年間で六割削減、大気中の有害大気汚染物質の濃度もだんだん低減しています。
 都の化学物質適正管理制度は、国のPRTR制度よりも小さい事業者も対象としていますが、対象物質の種類は少なく、都内では対象外の化学物質も数多く使用されています。さらに、化学物質を取り扱う事業所と住宅などの生活空間が近接または混在している地域があり、こうした地域では、化学物質の影響が他の地域と異なることが考えられます。
 このような特徴に着目し、現在対象外の物質で、有害性や排出量が多いものについても対策を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 化学物質は、事業者だけでなく、家庭でもさまざまなものが使用されています。中毒症状やシックハウスなど、化学物質が直接健康被害を起こす場合もあります。しかし、使っている化学物質が揮発して、大気汚染物質である光化学オキシダントやPM二・五の原因にもなります。家庭などで都民が使う製品から排出されている揮発性有機化合物、いわゆるVOCは、都内の総排出量の一六%を占めており、日常生活で出るVOCを削減していく必要があります。消費者が揮発性有機化合物の少ない製品を使うよう勧める取り組みについて伺います。
 先日、国がPM二・五の排出抑制策のあり方について中間まとめを公表しました。その中で、自動車からの蒸発ガスであるガソリンベーパーについて対策を検討すべきとしています。給油等で排出されるVOCは、都内総排出量の一四%に上り、自動車やガソリンスタンドの対策が求められます。
 アメリカでは、自動車の対策が進んでいます。給油や走行中の蒸発ガスを回収し、車の燃料として再利用できる回収装置の装着を義務づけているのです。これはORVR車という車ですが、日本の自動車メーカーもアメリカ向けの輸出車はORVR車としているにもかかわらず、国内向けには販売されていません。VOCの発生を抑制するため、日本でも、アメリカと同様に、ORVR車へ転換させていくことが重要と考えますが、見解を伺います。
 さて、ことしは、一九九九年に策定された水循環マスタープランの目標年となっており、水循環の推進に関する条例の制定がこの中に盛り込まれています。折しも昨年、国は、水循環基本法を制定、施行しました。この法律では、河川水だけでなく地下水も含めて、水が国民共有の財産であり、公共性の高いものであるとしており、この理念を生かした条例が必要だと考えています。地下水は、水循環で大きな役割を果たすからです。
 水循環マスタープランの最終年として、これまで実施してきた施策について評価、検証し、次につなげていく必要があります。このマスタープランには、東京に降った雨と河川や下水道への流入、利用、蒸発、地下浸透などトータルな水収支を初め、地下水についても記載されています。都民にとって身近な水辺である湧水は、比較的浅い地層の地下水が湧き出すもので、水循環の健全性をはかるバロメーターの一つでもあると考えます。
 東京の湧水の現状と保全に向けた都の取り組みについて伺います。
 マスタープランには、地下水涵養量を増大するための施策が示されています。都では、環境確保条例に、雨水の地下浸透の促進を入れ、雨水浸透ますの設置など、雨水浸透施策を推進していますが、その意義と期待される効果について伺います。
 水循環基本法では、国や自治体が水の貯留涵養機能の維持向上を図るため、森林や河川、農地、都市施設の整備など、必要な施策を講ずるものとしています。
 このため、都は、地下水の公共性を踏まえて、マスタープランの見直しに当たっては、雨水浸透に配慮した都市づくりの方向を示すべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、人権についてです。
 昨年末に発表された東京都の長期ビジョンにおいて、東京が目指す世界一の都市を生活習慣、文化、価値観などの多様性や人権が尊重され、誰もが幸せを実感できる都市、誰もがそこに住み続けたいと思う都市と定義されました。
 また、知事は施政方針において、東京都は、平和の祭典であるオリンピック・パラリンピックの開催都市として大きな責任を有しております、これからも平和で基本的人権が尊重される社会を守る姿勢を貫いてまいりますと発言されました。
 知事はこれまでも、議会や定例会見等において人権について発言されていますが、基本的人権が尊重される社会について知事の見解を伺います。
 さて、都が昨年七月、人権施策推進指針の見直しに向けて、有識者懇談会を設置し、半年間の議論を経てまとめられた提言がこのほど公表されました。提言では、新たに取り上げるべき人権課題として、インターネットによる人権侵害やハラスメント、路上生活者などと並んで性同一性障害者と性的指向が加えられました。今日的な人権課題があまねく捉えられていると評価するものです。中でも、性的指向を含むLGBT、性的マイノリティーの問題は、今取り組むべき重要な課題と考えます。
 有識者懇談会において、性的マイノリティーに関してどのような議論が交わされたのか、伺います。
 質問の最後に、当事者が置かれている深刻な状況として、就学前の幼児期に自分の性への違和感に気づくケースもあること、そのことで、自分のアイデンティティーについて悩み苦しむ子供が現実にいることを述べておきたいと思います。
 LGBTの人は、そのことを家族にさえいえないため、相対的に自己肯定感が低く、自殺の比率が一般の六倍にも上ることから、学校教育において、LGBTについての気づきや理解を深める取り組みが必要と当事者は訴えています。
 このような実態を受けて、LGBTの若者の生きづらさの解消や自殺予防に取り組む市民活動団体が調査活動を行っていますが、都教育庁は、そのような活動と連携し、この問題を教育課題として取り組むべきです。このことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 小松久子議員の一般質問にお答えいたします。
 若者の非正規雇用対策についてでございますが、皆が明るい気持ちで生活できるようにするためには、安定した職業という確固たる生活基盤を築くことが第一歩であります。
 正社員として働くことを希望しながら、不本意にも非正規雇用となっている若者が、その持てる力を存分に発揮できるよう支援していくことが重要であります。
 そのため、国が後押しする若者応援企業に対する都独自の採用奨励金の創設やセミナーと企業実習を組み合わせた就業支援プログラムなどによりまして、若者の正規雇用化に取り組んでまいります。
 先日締結しました雇用対策協定を活用しまして、国の機関であるハローワークとも密接に連携しながら、積極的な非正規雇用対策を展開してまいります。
 続きまして、基本的人権が尊重される社会についてですが、そこで暮らし、また、訪れる人々が幸せを実感する、これが、私が目指す都市の姿でありまして、そのためには基本的人権が尊重されることが大前提であります。
 東京は、二〇二〇年大会を史上最高の大会とすることを目指しております。あらゆる差別を禁じたオリンピック憲章の理念を広く社会に浸透させ、基本的人権が尊重される社会のとうとさを世界に示していきたいと思っております。
 さらに、二〇二〇年大会の成否の鍵を握るパラリンピックの成功のためにも、人を思いやる気持ちを一歩進めて、心のバリアフリーにつなげていく必要がございます。
 現在、都は、人権施策推進指針の見直しを行っておりまして、今後、新たな指針に基づきまして人権施策を推進し、人権意識をさらに高めてまいります。
 そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

○教育長(比留間英人君) 中途退学者等への支援についてでありますが、都教育委員会は、平成二十五年度から、都立高校十校において、若者の自立支援に実績のあるNPOと連携し、在学中に進路を決定するための支援や、中途退学者等への支援を目指したモデル事業を実施しております。
 この事業では、NPOスタッフが教員と連携し、個別面談などにより、生徒の意向や適性を把握し、地域の若者支援機関の利用を促すなど、進路が決まらない生徒を就職や進学等につなぐ取り組みを行っております。
 今後は、学校との関係が途絶え、これまで支援が届かなかった中途退学者に対し、個々の状況に応じて、就労や再就学につなげる取り組みを新たに都立高校で試行を行ってまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、若者の職場定着支援についてでありますが、都は、しごとセンターにおいて、中小企業の入社三年以内の若手社員を対象に、社会人基礎力やキャリア形成を支援するためのプログラムを実施するなど、若者の職場定着を支援しております。
 また、中小企業団体等から採用力の強化や採用後の職場定着などに関する提案を募り、その実現に必要な経費を助成しております。
 次に、紹介予定派遣を活用した就業支援についてでありますが、都はこれまで、若者を取り巻く厳しい雇用情勢に対応するため、正社員を希望する二十代の若者を対象に、研修と企業への派遣就労を通じて就職に結びつけるプログラムを実施し、半数を超える若者が派遣先で正社員となるなど、成果を上げております。
 来年度は、新卒者の就職内定率が向上している一方で、就職氷河期世代が依然として厳しい状況に置かれていることを踏まえまして、紹介予定派遣制度を活用した就業支援事業は、非正規雇用期間が長い三十代から四十代を対象とする事業として再構築いたします。引き続き、効果的な実施に努めてまいります。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(河合潔君) 子ども・若者育成支援推進法に基づく取り組みについてでありますが、まず、子供・若者計画に盛り込まれる施策の推進に当たっての青少年の意見の反映につきましては、計画に基づく支援を行う際に、対象となる青少年の意見を幅広く把握し、施策を推進する子供・若者支援協議会にフィードバックすることで、青少年の意見を施策に反映してまいります。
 次に、身近な地域において利用できる子ども・若者総合相談センターとしての機能を担う体制の整備につきましては、区市町村における青少年に係る既存の相談窓口の活用とともに、関係機関、団体等との連携を強化することにより、相談対応や情報提供等を行う体制を整備してまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

○環境局長(長谷川明君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、事業所から排出される化学物質対策についてでございますが、化学物質の環境への排出量を削減するため、都は、化学物質適正管理制度を設けており、同制度に基づき、事業者はみずから作業工程の見直しや、より有害性の低い化学物質への代替を図るなどの取り組みを進めてまいりました。
 しかし、同制度の対象外の化学物質も数多く使用されており、また、事業所と住宅が混在している地域もあることから、来年度は、有害性が高く排出量が多いと考えられる化学物質を選定し、事業所周辺大気における化学物質の濃度を把握してまいります。
 この調査に当たっては、学識経験者などによる検討会を設置し、調査対象とする化学物質、環境調査の方法、対策手法などについて助言を得ながら進めてまいります。
 次に、家庭などで使用されるVOC、揮発性有機化合物の対策についてでございますが、光化学オキシダントやPM二・五の原因物質の一つであるVOCの排出削減のためには、暮らしの中でも多く使われているVOCを減らすことが重要でございます。
 このため、都民が水性塗料や可燃性ガスを使わないスプレーなど低VOC製品を選べるよう、商品の見分け方をわかりやすく取りまとめたリーフレットを作成して周知をしております。
 また、光化学スモッグが発生しやすい夏には、事業者にVOC排出削減を要請するだけでなく、都民にも「広報東京都」などで削減への協力をお願いしております。
 引き続き、日常生活から排出されるVOCの削減について、さまざまな機会を捉えて、都民への普及啓発を行ってまいります。
 次に、ガソリンの蒸発ガス、いわゆるガソリンベーパーの対策についてでございますが、都は、条例に基づき、平成十三年度からガソリンスタンドの設置者に対して、ガソリンをタンクローリー車から貯留槽に移す際に発生するガソリンベーパーについて、回収設備の設置を義務づけております。
 一方、ガソリンベーパーは、自動車への給油時、走行時や駐車時においても大気中に放出されております。こうした場面でのガソリンベーパーを回収できるORVR車は、技術的に直ちに対応可能であり、ORVR車への転換は、VOC削減に有効な対策であります。
 そのため、昨年十一月に、九都県市が連携し、自動車の保安基準を定めている国に対して、ORVR車の早期義務づけを要請しております。
 次に、湧水の現状と保全に向けた取り組みについてでございますが、都市化の進展による人工被覆率の増大に伴い、雨水の地下浸透が減少することなどにより枯渇が認められる湧水がある一方、降雨量がふえると、一度枯れた湧水の復活や水量の増加が見られることが確認されております。
 湧水は、豊かな自然環境を創出し、都民が直接触れることのできる身近な水辺であることから、地域の自治体が中心となって保全を図ることが重要でございます。
 都は、区市町村が地域の実情に即した取り組みを行えるよう、先進事例を共有し、活用を促すための研修会の開催など、技術的支援を行うほか、湧水の魅力を紹介するマップを作成し、広く都民への普及啓発を図っております。
 今後とも、区市町村と連携し、都民に身近な地域の財産である湧水の保全に向けて着実に取り組んでまいります。
 最後に、雨水浸透施策の意義と効果についてでございます。
 都市部の地下水涵養能力が低下している中、地下水を保全するためには、揚水規制とともに、地下に雨水を浸透させる施策が有効でございます。雨水浸透施策が適切に実施されることで、湧水地点の保全が図られ、それを水源とする河川の流量の回復につながるほか、地表付近の地下水が蒸発することで、地表の温度が低下し、ヒートアイランド現象の緩和にも寄与いたします。また、降雨時の河川の急激な増水を緩和する治水機能などの効果も期待できます。
 このため、都は、東京都雨水浸透指針を定め、区市町村と連携し、都民、事業者の協力を得て、雨水浸透ますの設置、透水性舗装の整備や緑地の確保などに取り組んでいるところでございます。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 雨水浸透に配慮した都市づくりについてでございますが、都はこれまでも、民間開発等の機会を捉えまして、緑地の確保や雨水浸透施設の設置を促進するとともに、区市町村とも連携し、透水性舗装の普及などに取り組んでまいりました。
 近年、東京におきましても、時間五十ミリを超える豪雨が増加する傾向にあり、降雨状況に変化が生じております。
 今後、水循環のマスタープランの改定に当たりましては、こうした点も踏まえ、雨水浸透についても適切に対応してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 人権施策推進指針に関する有識者懇談会における議論についてでございますが、有識者懇談会では、指針の見直しに向けた基本理念や施策の進め方等の検討に当たり、人権課題の現状を把握するため、関係団体、各分野の専門家等へのヒアリングを実施いたしました。
 性的マイノリティーに関しては、周囲から理解されない状況があることの報告を受け、性同一性障害者に関する特例法の枠組みや医学的見地についての議論を経て提言がまとめられたところでございます。

○副議長(藤井一君) 七十五番野上ゆきえさん
   〔七十五番野上ゆきえ君登壇〕

○七十五番(野上ゆきえ君) 初めに、オリンピックレガシー共創に向けた取り組みについて伺います。
 オリンピック憲章では、スポーツを文化と教育と融合させることをオリンピズムの目指すものとしており、とりわけロンドン大会成功以来、スポーツ競技だけではなく、並行して開催することが義務づけられている文化プログラム、カルチュラルオリンピアードの役割が重要になってきています。
 二〇一二年ロンドン大会の際には、大会の四年前から英国全土で展開され、文化セクター全体を活性化させるだけではなく、観光や地域振興などの面でも大きな波及効果を生み出しました。より多くの市民が新しい形で文化活動に触れ、参加する機会をつくりました。
 二〇二〇年東京大会まであと五年です。大会を最高のものとするためにも、早期からプログラムを展開し、世界に向けて、東京の魅力を発信し続けていくことが必要であります。
 東京大会では、文化面でも成熟都市としてのモデルを内外に示すことが不可欠であり、プログラムの展開に向けては、年齢や性別、障害の有無にかかわらず一人でも多くの都民がともにつくり上げていくことが必要であると考えますが、知事の所見を伺います。
 特に、プログラムは、誰もが鑑賞し、参加できることが重要です。パラリンピックでハンディキャップのある人々がスポーツに参加するのと同様に、芸術文化を享受、創造するための工夫に力を入れるべきであると考えます。
 ロンドン大会では、障害を持つアーティストが美術、映像、ダンスなどイギリス全土で展開するアンリミテッドという取り組みがなされました。この取り組みは、大会後も継続しており、この精神をレガシーとして根づかせています。
 東京でも同様の取り組みを継承し、障害のある方々の芸術文化活動の発展につなげていくべきと考えますが、見解を伺います。
 東京独自の取り組みも必要です。例えば、シカゴ美術館で行われているタッチギャラリーやユニバーサルミュージアムのように障害のある人々への鑑賞支援や障害者アーティストを育てる環境を整えること、また、その活動の場をつくることもさらに進めていく必要があります。障害者の文化活動に対する支援として、都はどのような取り組みを進めていくのか、見解を伺います。
 今後、東京都芸術文化振興基金も設立されますが、都など公的団体が主体となって実施する取り組みだけではどうしても限界があります。体制づくりも重要です。
 障害者支援に限らず、文化プログラムなどの施策を大々的に展開するためにも、民間企業や各種団体とより積極的なパートナーシップを結び、民間の力も十分に活用していくべきと考えますが、見解を伺います。
 ロンドン大会では、誰もが大会に参加するチャンスを提供し、あらゆる文化に共通する創造性を、とりわけ若者たちに喚起することが目標でありました。東京大会においても、現在、学校に通う生徒を初めとする若者には、大会開催を支えるとともに、その先の成熟した都市東京をつくり上げていく主役として、高い学力、語学力とともに、多様な文化への理解を持つ人材として育てていく必要があると考えています。
 そこで、二〇二〇年東京大会を見据え、高校生が多様な文化の理解を深めるため、都立高校において国際交流を推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、エネルギー施策について伺います。
 現在、国においては、将来の電源構成を決めるエネルギーミックスの議論が始まっています。また、国会では、二〇二〇年からの発送電分離を盛り込んだ、電気事業法の改正案が議論される予定です。
 エネルギー施策が大きく変動しています。都はこれまで、我が国の地球温暖化対策をリードしてきましたが、現在は火力発電所からの電力供給の増大に伴い、当面、CO2排出量の増加が避けられない状況にあります。
 こうした気候変動への悪影響や東日本大震災により浮き彫りとなった電力供給体制の脆弱性に対し、私はこれまでも、コージェネレーションシステム等の自立分散型エネルギーを拡充していくことの重要性を主張してまいりました。
 コージェネレーションシステムは需要地に近いことから、送電のロスもなく熱利用が可能で、総合的なエネルギー効率が高いことや、非常時のエネルギー供給確保という点ですぐれていることはよく知られていますが、近年、こうした価値に加え、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの出力変動を補完し、安定した電力に調整する電源としての役割も期待されております。
 実際、田町駅の開発では、コージェネレーションシステムや再生可能エネルギーなどを組み合わせ、ICT技術により需給をマネジメントして、地域全体でエネルギーの利活用を最適化するなど、最近の開発では、スマートエネルギーネットワークが構築された案件がふえてきています。
 今後、東京大会を見据え、都内では多くの都市開発が見込まれています。こうした機会を捉え、都市の快適性を損なうことなくCO2排出量を低減させ、系統からの電力供給が停止した場合でも、経済活動や生活機能の継続を可能とするエネルギーシステムをまちづくりの中でビルトインしていくことが重要です。その際、大きな役割を担うのがコージェネレーションシステムであると考えます。
 世界に誇れる低炭素で災害に強いレジリエントな都市の実現を目指し、コージェネレーションシステムのさらなる導入拡大に向けて取り組んでいく必要があると考えますが、見解を伺います。
 二〇一三年四月、電力システムに関する改革方針が閣議決定されました。このロードマップに基づき、我が国の電力供給システムに関する戦後最大の抜本的な改革も始まっています。
 これまでの地域ごとの独占的事業者が電気を供給する仕組みを見直し、二〇一六年からは、電力の小売全面自由化により、家庭や中小事業所などの需要家も地域独占の従来の電力会社以外の事業者から電気の供給を受けることが可能となります。
 こうした需要家の供給事業者の切りかえ、スイッチングを進めるためには、需要家が供給事業者をみずから選び、事業者間の競争を促進していくことが重要です。こうした電力システムの改革の動きも踏まえ、都民、事業者の取り組みを一層促していくことが必要と考えますが、見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 野上ゆきえ議員の一般質問にお答えいたします。
 都民とともにつくり上げる文化プログラムについてでございますが、ロンドン大会では、英国全土で伝統やアートを発信するロンドンフェスティバルが展開され、世界中から二千万人もの人々が参加したことが大会の成功を大きく牽引いたしました。とりわけ、若者や障害者など誰もがフェスティバルに参加する機会を提供したことは大きな特色でございます。
 世界の人々が共感できる文化の力を活用することは、東京が大会を通じて成熟都市としてのメッセージを発信していくことつながります。
 このため、二〇二〇年東京大会では、都民はもとより国内外のアーティストなど多くの英知を結集して、老若男女、障害の有無を問わず、あらゆる人々が参加体験できる取り組みを展開することで、文化の面でも史上最高のオリンピック・パラリンピック大会としていきたいと思っております。
 そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

○教育長(比留間英人君) 都立高校における国際交流についてでありますが、都教育委員会は、都立高校における国際交流の機会を拡大するため、来年度、全校に外国人指導者を配置し、生徒が生きた英語を身につけ、日常的に異文化理解を深められる環境を整備いたします。
 英語以外の外国語についても、授業や部活動を行う学校をふやすことで、さまざまな言語や文化に対する生徒の理解と関心を高めてまいります。さらに、新たに都立高校十校を東京グローバル10として指定し、大学との連携による留学生交流や、海外の学校との姉妹校交流などの取り組みを支援していきます。
 二〇二〇年に向けて、こうした取り組みを推進し、豊かな国際感覚とコミュニケーション能力を持つ生徒を育成してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、アンリミテッドの継承についてでありますが、二〇一二年のロンドン大会で実施されたアンリミテッドは、障害のあるアーティストの活動を支援するため、この大会で初めて導入された文化プログラムでございます。
 東京大会の立候補に当たりましても、若手芸術家、高齢者、障害者等がともに創作するプログラムとして、その考え方を継承することとしていたところでございます。今回の東京文化ビジョンにおきましても、その考え方は反映されており、今後アーツカウンシル東京を活用して、障害者アートなどの取り組みを展開していく予定でございます。
 次に、障害者の文化活動支援に関する都の取り組みについてでありますが、東京文化ビジョンの素案では、障害者アートへの支援や障害者の鑑賞、参加を促す活動の推進等、文化の面でもバリアフリーな都市を目指すことを明記しております。
 障害の有無にかかわらず芸術文化を楽しめるよう、都立文化施設では、バリアフリー化のための整備を行うとともに、音声ガイド等を設置するほか、手で触れて体験できる展示も行っております。
 来年度は、新たな助成制度も活用し、鑑賞や創作などさまざまな障害者の芸術活動を支援してまいります。
 最後に、文化施策の展開における民間の力の活用についてでございます。
 障害者の文化活動支援を初め、文化拠点の形成や人材育成など、さまざまな文化施策を実現していくためには、独自に芸術文化活動を展開している多様な主体との連携強化が必要であります。今後、東京文化ビジョンで掲げた文化戦略を推進するため、企業やNPO、芸術文化団体等さまざまな主体に幅広く協力を呼びかけてまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

○環境局長(長谷川明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、コージェネレーションの導入拡大についてでございますが、都はこれまで、キャップ・アンド・トレード制度において、高効率なコージェネレーションの活用が評価される仕組みを構築するとともに、エネルギーマネジメントシステムの導入を条件として初期費用の負担軽減を図るなど、多面的に支援を行ってまいりました。
 こうした取り組みに加え、来年度からは、コージェネレーションによる熱や電気を建物間などで面的に融通するためのインフラ整備を支援し、地域のエネルギー利用効率や防災性の向上につなげてまいります。
 低炭素、快適性、防災力を兼ね備えたスマートエネルギー都市の実現に向け、今後とも、コージェネレーションの普及に積極的に取り組んでまいります。
 次に、電力システム改革の動きを踏まえた取り組みについてでございますが、現在、国において制度の詳細設計に係る議論が行われております電力の小売全面自由化等につきましては、家庭や中小事業者を含む需要家の選択肢や供給事業者の事業機会が拡大し、低炭素かつ安価な電力の安定的な供給が進むことが肝要でございます。
 昨年設置した都の再生可能エネルギー拡大検討会におきましては、再生可能エネルギーの供給拡大に向けて需要家による再生可能エネルギー電力の選択を促すことが重要であるという提言をいただいており、今後、国における議論を見ながら、消費者の低炭素電力の選択意欲を喚起する取り組みについて検討してまいります。

○副議長(藤井一君) 七番鈴木章浩君
   〔七番鈴木章浩君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○七番(鈴木章浩君) 本年は、戦後七十年目の節目に当たり、私たちは改めて、今日の豊かな社会の礎になられた方々へ、鎮魂の誠をささげさせていただくとともに、私たちに託されたこのすばらしい我が国の将来のために、責任を持って取り組んでいく決意を新たにさせていただくことが何よりも大切であると思います。
 さて、これからの我が国の将来を担うのは、ほかでもなく今日の若者たちであります。しかしながら昨今、若者たちの中で、夢や希望を持てなくなっている人たちがふえております。
 知事は、若者の力を大いに引き出すことこそ今後の社会の発展のかなめとして、非正規雇用の正規雇用化を三年間で一万五千人という数値目標を立て、集中的な取り組みを重点政策として位置づけられました。
 これまでの雇用政策は、日本企業の雇用慣行に適応するように制度整備がなされてきました。しかし、経済のグローバル化と情報通信技術の進展により生じた雇用リスクを雇用調整として労働者に負担させるようになり、構造変化に雇用政策が十分に追随できていないのが現実であります。特に、非正規労働者に対する政策は後手に回っており、このことが格差問題の要因となっている面もあります。
 しかし私は、今日の社会に求められる雇用形態の中で、非正規雇用の全てが問題と捉えるのではなく、雇用される側に対する政策を充実させていくことが何よりも大切であると考えております。
 そこで具体的に、まず、中小企業への若者の就職を促進し、定着につなげていくために、若者を雇用するに当たって、採用実績や定着状況、社内教育やキャリアアップ状況、長時間労働の有無など、就職を判断するために必要な情報を積極的に開示していくべきであります。
 また、若者の正規雇用が進展したとしても、就職した会社の職場環境が劣悪であり、若者が使い捨てのように扱われることがあってはなりません。今後、都が全雇用の六割を担う中小企業の現場の声に十分に対応していただきたいと思います。
 そこで、知事の思いを受けとめ、非正規雇用対策を一過性の取り組みに終わらせることなく、都は国と連携して、良好な職場環境を兼ね備えた企業をふやすとともに、若者が就職に必要な情報を入手し、適切に判断できるように責任を持って取り組んでいくべきであると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
 さらに、非正規雇用対策に関連して見逃せない重要な課題が外形標準課税の中小企業への適用拡大についてであります。
 平成二十七年度税制改正では、法人実効税率の引き下げとともに、その代替財源を確保するため、資本金一億円超の法人について外形標準課税の拡大が図られました。外形標準課税は、法人所得に対して課税するのではなく、資本金や給与総額などに対して課税するものであり、行政サービスの受益者が広くその費用を負担するという応益税としての性格を有しています。
 黒字企業か赤字企業かにかかわらず、一定の行政サービスを受けていることからすれば、体力のある大企業等に応分の負担を求めるという趣旨は理解でき、私はこの外形標準課税自体に異を唱えるものでありません。さらにいえば、税収の安定に資する重要な税源であると認識しています。
 しかしながら、平成二十九年度に消費税率一〇%への改正が決定している上で、外形標準課税のさらなる適用拡大となりますと、その様相は異なります。今回の税制改正の対象となった資本金一億円超の法人は、全国の法人数のわずか一%であり、残り九九%、数にして二百五十万社は、中小規模の一億円以下の法人です。このうち、黒字企業は三割にすぎず、赤字企業は七割の百七十七万社に上ります。今回の税制改正において、中小規模の法人への適用は見送られたところですが、外形標準課税の対象を中小規模の法人へ拡大することは、ぎりぎりの中で経営している赤字企業に大きな影響を及ぼします。
 また、中小企業は、収益の約八割を賃金の支払いに充てており、内部留保が少なく、経営基盤が脆弱なことから、正規雇用化や従業員の処遇改善を抑制するおそれがあり、知事が目指す非正規雇用対策に水を差すことになります。
 そこで、非正規雇用対策を強力に推し進める知事の思いを改めて伺うとともに、外形標準課税の適用拡大による中小企業への影響についての見解をあわせて伺います。
 次に、在宅療養について伺います。
 二〇二五年には、団塊世代が七十五歳以上の後期高齢者になり、今後、高齢化が急速に進展することで、医療や介護を必要とする高齢者の数も大きく増加していくことが見込まれています。
 こうした中で、国は医療介護体制をしっかりと整備していくために、昨年の六月に医療介護総合確保推進法を制定し、既に医療分野においては、十月より病床機能報告制度がスタートしました。
 一方、医療や介護が必要なひとり暮らしや夫婦だけで暮らす高齢者の方々の住まいを確保しながら、生活を支え、医療、介護、両面からサポートをしていく地域包括ケアシステムも、二〇二五年に向けて区市町村を中心とした地域でのシステムづくりが、ことしの四月から始まることになっています。
 医療介護総合確保推進法の柱は、国が主導で全国一律に進めるのではなく、地域の特性に応じたものをつくっていくことであり、その主体が都道府県に移ったことであります。
 都は、区市町村の主体的な取り組みを推進するため、さまざまな支援を行っていますが、在宅療養のコーディネートをする窓口の設置が進んでいない地域もあり、たとえ医療と介護の連携が進んできても、実際に在宅医療を提供する医療機関や訪問看護ステーションが不足していれば、在宅療養は成り立ちません。
 また、他職種連携というキーワードはよく出てきますが、医療と介護の連携が図られ、それぞれの専門職が顔の見える関係の中でしっかり役割分担ができているのか、まだまだ取り組みは緒についたばかりです。
 在宅療養は、病院から在宅への移行をいかに円滑に行うことができるかが鍵になります。在宅療養を望む患者や家族の不安を解消し、その思いを実現していくためには、入院した病院において、患者の入院中から退院後の生活を見据えた退院支援を行い、患者や家族が安心して在宅療養生活へ移行できるようにしていくことが重要です。
 そこで、病院における退院支援を進めていくための都の取り組みについてお伺いいたします。
 とりわけ、二人に一人が罹患する可能性のあるがんは、医療の進歩により早期に発見され、治療を適切に受けることによって完治することができる病気になった一方で、がん診療連携拠点病院等で治療を受けた後、在宅で継続して緩和ケアを受けながら療養生活を送る方もおられます。
 緩和ケアは、診断されたときから治療に伴う副作用やがんの苦しみに対して、切れ目なく提供されることが重要ですが、在宅においても適切な緩和ケアを受けることで、患者の療養生活の質を高めることができます。
 しかし、がん患者は、病状の進行が早く急変することも多く、二十四時間対応が可能な在宅緩和ケアや、みとりまで行う在宅医や訪問看護師がまだまだ不足していることや、緊急時のバックアップヘッド機能の確保といった体制整備について困難な課題があります。
 また、患者、家族の不安やストレスが大きく、介護力の弱い家族や独身の方の場合には、対応が困難になり、入院を希望されるケースもあります。
 これらの課題を解決するために重要なことは、地域にある在宅緩和ケアのリソースを最大限に活用していくべきであると思いますが、在宅緩和ケアを担うことができる診療所や訪問看護ステーション、医療用麻薬を取り扱う薬局等の情報も不足していると聞いております。
 二〇〇七年六月に、がん対策推進基本計画が閣議決定され、ことしは十カ年の基本計画の後半の半ばに差しかかっております。
 今後、がん患者が安心して在宅でも緩和ケアを受けられるよう、都として責任を持って積極的に支援する必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 総合防災訓練等を通じた情報力強化についてお伺いいたします。
 ことしの三月十一日で、あの東日本大震災から四年が経過いたします。いまだ避難生活を余儀なくされている方々に対し、一日も早く安心した生活が送られますよう心より祈念申し上げます。
 さて、巨大津波により東北地方の広域にわたって甚大な被害が出たことは、いまだに記憶に新しく、我々は、この想定外といわれた災害を教訓に、都民の安全・安心を守る取り組みを進めなくてはなりません。
 都は、この四年間に、首都直下地震や南海トラフ地震発生時の被害想定を見直し、それに基づき、地域防災計画を修正、さらに昨年四月には、各機関の連携手順等を定めた首都直下地震等対処要領を策定するなど、着実に取り組みを進めています。
 今後は、こうした諸計画をもとに、大規模災害が発生した際に、関係機関が活動できるよう取り組む必要がありますが、その際に、特に重要なのが情報であります。
 大規模災害時には、自衛隊、警察、消防はもちろん、国や都、区市町村、消防団など、さまざまな機関が連携協力して、救出救助活動を展開していかなければなりませんが、火災発生の状況や、道路、鉄道などの被害情報に加え、各機関に対する指示内容や動きなど、災害時に、さまざまな情報を速やかに収集、整理、伝達、共有していくことが必要であります。
 大切なことは、こうした情報の取り扱いを災害時に確実に実現することであります。そのためにも、総合防災訓練等の機会に、関係機関が協働して実践し、確認、検証を行っていくことが重要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、大規模災害時の広域的な支援について伺います。
 東日本大震災の際には、多くの都民の方が何かの支援をしたい、手を差し伸べたいと声を上げられ、実際に被災地の方々がどのような支援を望んでいるのか、支援をするにはどうすればよいのかという問い合わせが多かったと記憶しています。
 当時、都は、被災地が求める支援内容を把握するため、速やかに現地に職員を派遣しました。現在、南海トラフ巨大地震の発生など懸念されていますように、近い将来、大規模な災害が他の地域で起こらないとも限りません。
 こうした大規模災害に対し、とうとい志を無にしないために、そして、一般の方々に対して、迅速かつ正確に情報提供するために、災害発生時の支援等を行うための体制を事前に整備していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 最後に、羽田空港へのアクセス強化に資する道路整備についてお伺いいたします。
 羽田空港では、平成二十六年三月の発着枠の拡大により、昼間の国際線発着枠は六万回へ倍増し、就航都市数も三倍以上に拡大されました。そして、現在、さらなる機能強化の検討も進められているところであります。
 私は、増大する空港利用に対応した円滑なアクセス確保の必要性をかねてから訴えてきました。
 羽田空港に直接つながる国道三五七号の整備は、空港への円滑なアクセスを確保し、空港周辺の渋滞対策の視点から大変重要であり、リダンダンシー機能を確保するためにも不可欠であります。
 昨年の私の予算特別委員会での質疑の後、いわゆる神奈川口の整備と一緒に、国道三五七号の延伸をすることになったと聞いておりますが、機能強化を進めようとする取り組みと相まって、早期に整備することが何よりも求められます。まだまだ国や川崎市と話が詰め切れていない中で、多摩川トンネルの整備を最優先で進めるべきであります。
 また、中央環状線の一つ外側の外環では、現在、千葉区間は平成二十九年度、関越道から東名高速間は平成三十二年早期の開通を目指し、整備が進められております。しかし、計画が具体化していないことから、都市計画上の手続など大変な時間を必要としますので、早い段階での取り組みが期待されます。
 そこで、国道三五七号や外環の東名高速から湾岸道路間など、羽田空港へのアクセス強化に資する道路整備に対しての都の見解をお伺いいたします。
 以上です。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 鈴木章浩議員の一般質問にお答えいたします。
 非正規雇用対策と外形標準課税についてでありますが、人々に元気の源を供給するのが政治の役割であります。家庭が暗くなる大きな原因の一つは、失業することであります。
 安定した仕事がなければ、将来の展望も描けないことから、私は、非正規雇用対策を重点政策として位置づけ、来年度から、正社員としての就職の推進や社内における正社員への転換促進など、積極的な支援を展開してまいります。
 安定的な雇用の実現に向けて、非正規雇用対策を推進していく上で、地域の雇用を生み出している中小企業は重要な存在であります。
 その中小企業を支えているのは、そこで働く人々であります。企業収益に占める人件費の割合は、大企業の六割に対し、中小企業は八割に上っており、労働分配率が高いことが中小企業の特徴となっております。
 こうした中小企業の経営構造や地域経済で果たしている役割を考慮すれば、単純に外形標準課税の対象を拡大した場合、中小企業や、そこで働く人々に大きな影響を及ぼしかねないと思います。
 外形標準課税の中小企業への拡大は、課題が大きく、慎重であるべきだと認識しております。
 そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 非正規対策を通じた若者の就職支援についてでございますが、若者が就職に当たり、詳細な企業情報や採用情報を手に入れ、活用できるようにすることは重要でございます。
 都は来年度、若者の採用や育成に熱心な若者応援企業を対象に、正規雇用化を促す奨励金を創設し、情報開示に積極的で職場環境が良好な企業の拡大につなげてまいります。
 また、地域人づくり事業におきまして、若者の定着など魅力ある職場づくりに意欲的な企業の支援を開始いたします。
 さらに、しごとセンターでは、若者向けに詳細な企業情報を提供するとともに、セミナーの中で企業を見る目を養う観点から求人票を読み解くポイントなどを紹介しており、引き続き実施してまいります。
 今後とも、一人でも多くの若者が良好な職場環境の企業に就職し、みずからの希望に応じて働けるよう支援をしてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、病院における退院支援についてでありますが、都はこれまで、患者や家族が安心して在宅療養に移行できるよう、退院後に向けて入院早期から取り組むべき事項を段階ごとにまとめた退院支援マニュアルを作成するなど、医療機関の退院支援の取り組みを支援してまいりました。
 また、今年度から、二百床未満の指定二次救急医療機関に対し、入院患者の在宅への移行支援を行う看護師等の配置を支援するとともに、こうした人材を育成するための研修カリキュラムの作成に取り組んでおります。
 来年度からは、このカリキュラムを活用して、全ての病院を対象とする研修を実施するほか、退院調整や地域の医療と介護の連携に取り組む看護師等を配置する中小病院への支援を行うなど、病院から在宅療養への円滑な移行を一層推進してまいります。
 次に、がん患者の在宅緩和ケアについてでありますが、都はこれまで、がん患者が病院から在宅まで切れ目なく緩和ケアを受けられるよう、がん診療連携拠点病院を中心に、地域の医療機関の連携体制を構築するための緩和ケア連携推進会議の設置や、医療従事者等を対象とした研修会などにより、地域緩和ケアの水準の向上に努めてまいりました。
 来年度は、がん患者や医療従事者等が地域の医療資源の情報を得られるよう、医療機関、訪問看護ステーション、薬局等における緩和ケアの取り組み状況等を把握し、東京都がんポータルサイトで発信してまいります。
 今後とも、がん患者が安心して在宅で療養できるよう、地域における緩和ケア提供体制の充実を図ってまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 防災対策についての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害時の情報共有等の実現についてでございますが、大規模災害時に円滑に救出救助活動を行うためには、都と区市町村の間はもとより、自衛隊、警察、消防等や医療関係者、応急対策を行う民間団体など、さまざまな関係者の間で、迅速かつ正確に情報を共有する必要がございます。
 発災時に、まず必要な情報は被害状況であり、警察、消防、区市町村等が情報収集いたしますが、都も区市町村等へ職員を派遣し、本部で集約、整理し、関係者間で共有いたします。
 また、各機関の活動については、昨年四月に策定いたしました首都直下地震等対処要領で連携内容や手順を事前に明らかにし、災害時に相互の活動を把握しやすくしております。
 今後とも、災害時の情報収集や共有を円滑に図れるよう、多数の関係者の参加を得て、実践的な訓練等を実施し、確認や検証を行いながら、不断の改善に努めてまいります。
 次に、大規模災害に対する支援体制の整備についてでございますが、大規模災害が発生した際には、被災自治体のみで対応することは困難であり、国を初め、ほかの自治体や被災地以外の市民による支援が求められます。
 被災地支援に際しては、被災者のニーズを的確に把握することが重要であり、平時から自治体間で相互支援のための取り組みを定め、訓練等を重ねておくことが有効でございます。
 このため、都は、九都県市や全国知事会、関西広域連合等と災害時相互支援協定を締結し、支援内容や手順に関するマニュアルを定め、総合防災訓練等を通じて、相互の情報連絡や物資運搬方法等について検証を行っております。
 今後とも、自治体間の連携を強化することで、大規模災害時における被災地の情報を都民に対して的確に提供できるよう取り組んでまいります。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 羽田空港アクセスに資する道路整備についてでございますが、国際線の増便など機能強化が進む羽田空港のポテンシャルを一層引き出すためには、空港と首都圏の拠点とを結ぶ広域的な道路ネットワークの形成が重要でございます。
 空港に直結する国道三五七号につきましては、事業中の東京港トンネルに加えまして、多摩川トンネルの整備を進めることで、昨年、関係者間で合意いたしました。
 また、外環の湾岸道路までの区間につきましては、空港アクセスの強化とともに、首都圏の高速道路ネットワーク機能を最大限に発揮させるために整備が不可欠でございまして、国に計画の早期具体化を引き続き強く求めてまいります。
 今後も、羽田空港へのアクセス強化に資する道路整備の推進を国に強く働きかけてまいります。

○議長(高島なおき君) 八番大津ひろ子さん
   〔八番大津ひろ子君登壇〕

○八番(大津ひろ子君) 国の人口推計によれば、国民の二五%、四人に一人が高齢者であり、二十年後には三三%に達するなど、我が国では、世界に例を見ない速さで高齢化が進んでいます。東京においても同じように、都民の五人に一人から、十年後には四人に一人が高齢者になると推計されております。
 こうした高齢社会においては、都市生活のあらゆる場面で、より一層、安心や安全を守り、地域社会の中で生き生きと暮らしていくための仕組みや、適切かつ迅速な対応が必要であると考えます。
 そこでまず、昼夜を問わず救急搬送の現場から得られた高齢者の日常生活事故にかかわる情報を活用し、高齢者の生活事故の低減を図るべきと考えますが、東京消防庁の取り組みを伺います。
 高齢化の影響は、円滑で安全な交通環境にも波及しており、交通事故発生件数が減少傾向にある中、高齢歩行者や自転車乗用中の高齢者及び高齢ドライバーによる交通事故が多発しており、交通事故死者数に占める高齢者の割合は高い現状にあります。
 高齢ドライバーによる交通事故の多くが、判断力や反射神経の低下、認知症などに起因しているといわれますが、今後、増加が懸念される高齢歩行者や自転車乗用中の高齢者及び高齢ドライバーの交通事故を防止するため、警視庁としてどのように取り組んでいくのか、警視総監のご所見を伺います。
 地元の鍵屋さんが、おひとり暮らしの方が亡くなられ、誰も部屋に入れないため鍵を破錠しに伺うことがふえていると心を痛めておられました。おひとり暮らしの高齢者世帯は、十年後の平成三十七年には約八十九万世帯、総世帯の一三%を占めると予測されております。家族があってもおひとり暮らしの場合もあり、孤独死は深刻な問題であり、社会全体としての見守りが必要です。
 大都市においては、かつてのようなコミュニティの復活を求めても困難ですが、東京で生活してよかったと思い続けられる体制づくりと、人と人との新たな結びつきを一つ一つ積み重ねる努力が必要です。
 そのための都の施策のあり方と、血の通った仕組みとして、地域に根づかせるための工夫について伺います。
 都内の消費生活総合センターに寄せられた平成二十五年度の相談件数約十二万七千件のうち、六十歳以上の方々からの相談が三割を超えました。
 本定例会に、特定商取引法のすき間をついて高齢者を狙う悪質な取引を規制できる東京都消費生活条例の改正案が提出されており、今後の取り締まりが期待できます。
 一方、被害の未然防止が重要です。ご高齢者を狙った訪問販売や電話勧誘販売などの消費者被害がふえており、周りに相談するまでに結びつかずに苦しんでいる方がたくさんおられます。
 そのため、高齢者の消費者被害を早期に発見し、また未然に防ぐためには、さまざまな機関等と連携し、地域において高齢者を見守っていくことが必要だと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、都市環境、衛生施策についてです。
 オリンピック・パラリンピックまであと五年、世界のトップアスリートを身近に感じ、世界中のお客様を迎え交流するなど、すばらしい機会と成果が期待されます。
 これからの一年一年は、我が国が大震災から復興への歩みを着実に進め、輝きを増し、世界の繁栄と人々の安全で豊かな暮らしの向上に貢献していくための貴重な時間と捉えるべきです。
 こうした未来へつなげる歩みの中で、東京都の都市政策に係る幾つかの課題について質問します。
 本年末、パリで、第二十一回国連気候変動枠組条約締約国会議、いわゆるCOP21が開催されます。国レベルでのCO2排出削減に向けた動きには、いまだ不明確なところであります。しかし、これまでのIPCCの報告でも、CO2の累積総排出量と世界気温はほぼ比例関係にあり、気候システムの温暖化は疑う余地はないとされています。気候変動への不断の緩和策と適応策の実施が必要です。
 都はこれまでにも、環境確保条例によるキャップ・アンド・トレードなど、幾つかの先進的な取り組みをしてきました。
 また、国レベルでも既に適応に向けた施策展開が始まっており、例えば平成二十五年に閣議決定をされた廃棄物処理施設整備計画にも、災害対策や地球温暖化対策の強化の視点が付加されています。生物多様性や災害対策への備えなど、広範な分野での適応計画が必要です。
 そこで、気候変動への対応について、緩和と適応の両面から、我が国をリードする施策を展開すべきと考えますが、都知事のお考えを伺います。
 次に、来るべきオリンピック・パラリンピックは、真夏の祭典として開催されます。
 暑さ対策など、いろいろと課題があるとはされていますが、さまざまな工夫や我が国の技術力を駆使し、克服できると考えます。ハード、ソフトの両面を兼ね備えた世界一安心・安全なシステムとして内外に発信できる機会でもあります。
 その上で、例えば暑熱対策として、ドライミストの活用なども考えられますが、こうした有効な装置については、同時に、日常の点検や水質監視の仕組み、人的体制をしっかりと構築すべきです。
 前回の本会議でも指摘しましたが、室内の空調設備等とともに、水回りの衛生環境の安心を確保する対策が必要です。ドライミストの衛生管理のためにどのような対策が必要か、所見を伺います。
 次に、グローバル化の進展とともに、世界中から多くのお客様を迎える安心・安全な都市づくりには、感染症対策にもしっかりと取り組むことが重要です。
 温暖化の進展とともに、デング熱などの国内発症も、かなり前から指摘されていたところです。昨年は、地元の都立代々木公園発のデング熱が全国に及び、区民も公園の中で運動中に、また、外を自転車をこいでいる間にヒトスジシマカに刺され感染をしてしまいました。公園は一時閉鎖されるなど、都民の不安も増加いたしました。
 昨年の事例を踏まえ、デング熱と同様に蚊を媒介する感染症も含め、対策を一層強化するべきであると考えますが、見解を伺います。
 開発によるビル解体が進み、食べ物が豊富なまちの構造は餌場になることから、最近、幾つかネズミの相談を受けました。ネズミの被害は、感染症など衛生的被害や、電気コードなどをかじり、火災や停電等、都市機能の阻害、そして、経済的被害が考えられます。衛生な居住環境の確保が必要です。
 都内におけるネズミの動向と対策について伺います。
 我が国の近年の時間当たりの降雨量の変動幅が経年的に振幅を大きくしており、都市部の自然災害が懸念されています。
 ゲリラ豪雨により、昨年六月二十九日、地元の住宅街の高低差のある道路では、冠水した雨水がまるで川になったかのように流れ始めました。たったわずか二十分間で約四十ミリのゲリラ豪雨でした。一時間換算すると百十ミリの雨量でした。半地下、地下を有する住宅の床上浸水や、地下駐車場の冠水により廃車など、そして、商店街のビルには雷が落ち、防犯カメラは瞬時に壊れました。これら自然災害による被害を大変受けました。
 こうした都市部における豪雨災害に対し、都はどのように取り組むのか伺います。
 オリンピックに向けて、都市の公衆衛生もハイレベルを目指します。
 歩いていると季節に関係なく、何となく臭みを感じる場所があるとの相談を時々受けることであります。そのにおいは、ビルの厨房やトイレなどの生活排水をビルの、ビルピットとも呼ばれる地下排水槽に一時ためておき、時間により道路の下水道管へ放流する過程で、硫化水素が気化するために発生する臭気でした。
 快適な都市にすることにより、東京を訪れる誰もが、東京のまちを自由に散策し、豊かな食文化を楽しんでいただけることは、東京の魅力をさらに高める要素です。
 ビルピット対策について、現状と対策を伺います。
 地元で今、児童会館の解体工事中ですが、今後、都市の更新の加速化が予想されます。
 アスベストは、一九七〇年から一九九〇年にかけて、年間三十万トンが輸入され、多くが建材として使用されました。アスベストを使用した鉄筋コンクリートなどの建築物は、全国でも二百八十万棟といわれ、その解体のピークは平成四十年ごろとされています。
 昨年六月、改正大気汚染防止法及び環境確保条例が施行され、アスベストの飛散防止対策が強化されました。今後、解体工事における工事前のアスベストの有無の確認、アスベスト飛散防止対策を徹底することが肝心です。
 アスベストが含有される建築物の解体に当たって、アスベスト被害の予防策、解体届け出の有無にかかわらず実態を把握すること、都民、現場に従事される方へのきめ細かな情報提供などが都に求められるのではないでしょうか。
 また、経年劣化したアスベスト建材は、解体時だけでなく、リニューアルするときにも十分な注意が必要です。都の所見を伺います。
 アスベストは、中皮腫や肺がんなどの健康被害をもたらす危険性があります。いうまでもなく、国における十分な対策が必要ですが、その上で伺います。
 がんと診断されても、アスベストは潜伏期間があり、アスベストに起因する中皮腫や肺がんなのかどうか、レントゲン写真を正確に再読影して、アスベスト起因性がんと認定できる専門医の育成と助成が必要ではないでしょうか。
 ものづくりの現場で、体を張って一生懸命汗を流して働いてきた人たちが報われる世界にしていくことで、初めて技術立国日本と誇れる国になるのです。
 中皮腫や肺がんなどのアスベスト関連疾患について、医療現場における医師の専門的な判断による早期発見や適切な治療に加え、患者に対する相談窓口や情報提供が必要だと考えます。
 今国会では、環境関係の法案が提出される予定です。その中には、水銀に関する水俣条約の実施を図るための法案も含まれています。さまざまな公害を経験し、克服してきた国としては、これを機に、世界に率先して解決に向けて取り組むべきです。
 中でも東京は、今後とも、そのトップランナーとしての役割を果たしていくことを期待して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 大津ひろ子議員の一般質問にお答えいたします。
 気候変動対策についてでございますが、IPCCの第五次報告によりますと、温室効果ガスの増加とともに、温暖化に伴う極端な気象現象による都市機能への影響などが指摘されております。
 温室効果ガスの削減は急務でありまして、都市の発展を継続しながら、省エネルギーなどの対策を進めていくことが重要であります。
 都はこれまで、エネルギーを大量に消費する大都市として、キャップ・アンド・トレード制度など、先進的な省エネルギー政策に取り組んでまいりました。また、防災性の向上につながる分散型電源の拡大や集中豪雨への対策などを推進しております。
 今後、長期ビジョンに掲げました省エネルギー対策、再生可能エネルギーの導入拡大、水素エネルギーの多角的な活用とともに、都市型災害に対応したまちづくりを進めてまいります。先導的な気候変動対策を展開し、持続的発展が可能な都市東京を実現してまいります。
 なお、その他の質問については、警視総監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監高綱直良君登壇〕

○警視総監(高綱直良君) 高齢者の交通事故防止対策についてお答えをいたします。
 昨年中、交通事故により亡くなられた六十五歳以上の高齢者は六十五人でありまして、前年と比べて七人減少をいたしましたものの、交通事故死者数全体の約四割を占めておりまして、高齢者の交通事故防止対策は依然として喫緊の課題となっております。
 亡くなられた高齢者のうち、歩行中の方が三十九人で全体の約六割を、また、自転車乗用中の方が十六人で二割強をそれぞれ占めておりますことから、警視庁では、歩行シミュレーター等の活用や、自転車実技教室の開催など、参加、体験、実践型の交通安全教育や、事故多発交差点における高齢者の保護誘導活動など、高齢の歩行者、自転車利用者の安全を確保するための取り組みを強化いたしております。
 また、高齢ドライバーへの取り組みにつきましては、運転免許証を更新される際、七十歳以上の方には、高齢者講習を受講していただき、また、七十五歳以上の方には、認知機能検査を受けていただいておりまして、これらによって、みずからの身体的機能等の変化を自覚していただいて、引き続き安全運転を継続できるよう支援をいたしております。
 加えまして、運転に不安を有する高齢者の方の免許証自主返納をサポートするために、返納した場合にお渡しする運転経歴証明書によって受けられる商店街等の割引サービス、こうしたものを拡大するなどの取り組みも推進をいたしております。
 今後とも、関係機関、団体等と連携をして、高齢者の交通事故を防止するための総合的な対策を強力に推進をしてまいります。
   〔消防総監大江秀敏君登壇〕

○消防総監(大江秀敏君) 高齢者の日常生活事故の低減への取り組みについてでございますが、東京消防庁管内では、平成二十五年中、約十二万人が日常生活事故で救急搬送されておりまして、そのうち高齢者は約半数の六万人を占めております。
 これらの救急活動データの分析結果等を踏まえまして、年間を通して発生する転倒事故や、特定の時期に集中する熱中症、餅による窒息などの事故について、ホームページや報道機関を通じて都民へ事故防止のポイントを広報しております。
 さらに、高齢者に対しましては、職員と民生児童委員等が直接訪問する防火防災診断において、自宅内での生活事故防止に関する注意喚起をしております。
 今後とも、区市町村等の関係機関と十分に連携し、高齢者の日常生活事故の低減に取り組んでまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、地域で高齢者を見守る仕組みづくりについてでありますが、ひとり暮らし高齢者の増加や近隣関係の希薄化が進む大都市東京におきましては、人々が支え合う地域の力、サービスを提供する民間の力、基盤整備を担う行政の力という三つの力を組み合わせて、高齢者の地域での日常生活を支えていくことが必要でございます。
 そのため、都は区市町村が行う、地域住民やライフライン事業者、配食サービス等を活用したさまざまな見守り活動や、都が作成した高齢者等の見守りガイドブックを活用して、高齢者を日常的に見守り、異変に気づいた場合に地域の専門機関につなぐサポーターの養成などを、包括補助事業により支援しております。
 今後とも、地域における高齢者の見守りネットワークづくりを積極的に支援してまいります。
 次に、ドライ型ミストの衛生管理についてでありますが、ドライ型ミスト装置から噴霧された水は、人に接触し、吸引されるため、その使用に当たりましては、飲用に適する水を用いることが必要でございます。
 そのため、都はこれまで、建築物の所有者、管理者等を対象とした講習会において、ドライ型ミスト装置の定期的な点検や清掃が必要であることの周知を図ってまいりました。
 今後とも、関係部署等と連携し、ドライ型ミスト装置の衛生管理の必要性について普及啓発に努め、都民の安全・安心を確保してまいります。
 次に、蚊が媒介する感染症対策についてでありますが、昨年末に出された東京都蚊媒介感染症対策会議の報告では、蚊媒介感染症の発生や拡大を未然に防止するためには、平時からの蚊の発生抑制や、患者発生の早期把握、都民への適切な情報提供が重要であるとされております。
 これを踏まえまして、都は現在、国や区市町村、医療機関などとも連携しながら、対策のさらなる強化を図ることとしておりまして、来年度から、代々木公園を初めとする都心部の公園などにおいて、蚊の発生抑制を図りますとともに、生息状況の監視体制を強化してまいります。
 また、早期の診断、治療が可能となるよう、検査体制の整備や医療機関向けの研修会などを実施するほか、都民に対し、蚊の発生源を断つことや感染予防策について、さまざまな媒体を活用して普及啓発を図ってまいります。
 次に、都のネズミ防除対策についてでありますが、都内のネズミに関する相談件数は、平成十三年度の約二万件をピークに減少し、平成二十二年度以降は七千件前後で推移しております。
 都はこれまで、ネズミによる被害の低減化を目的として、防除指針を策定いたしまして、区市町村担当者やビル管理者等に対し、環境対策や駆除方法等の専門的な知識を普及してまいりました。
 また、住まいへの侵入防止策などを盛り込んだ小冊子を作成し、その内容をホームページにも掲載しております。
 さらに、区市町村が行う防除対策等を包括補助事業により支援しており、今後とも、区市町村等と連携し、ネズミ防除対策に取り組んでまいります。
 最後に、アスベスト関連疾患への対応についてでありますが、国は、東京労災病院など全国の労災病院にアスベスト疾患センターを設置し、専門的な診断、治療を行うとともに、地域で呼吸器系の疾患を取り扱う医師を対象に、エックス線写真の読影方法等について研修を実施しております。
 また、都内のがん診療連携拠点病院等では、アスベストによる肺がん及び中皮腫を含む専門的ながん医療を提供しているほか、がん相談支援センターにおいて、患者や家族からのさまざまな相談に対応しております。
 アスベストに関する情報は、都のホームページで広く周知しており、来月からは、東京都がんポータルサイトでも、アスベスト健康被害救済制度に関する情報提供を行っていく予定でございます。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 高齢者の消費者被害の防止についてでありますが、都内の高齢者の四人に一人はひとり暮らしであり、孤立しがちな高齢者を狙って、不必要で高額な住宅のリフォーム工事を強引に勧めたり、注文をしていない健康食品が送りつけられる等の被害が多発しております。
 被害の早期発見には、地域で日常的な働きかけを行う福祉行政分野を中心に構築されている見守りネットワークに消費者被害防止の視点を取り入れる必要がございます。
 都は、こうした観点から、区市町村の見守りネットワークを支援するため、地域で見守りを担う介護事業者等を対象に被害発見のノウハウを提供する出前講座を実施するとともに、家庭を訪問して配送等の業務を行う事業者との連携により、悪質事業者の手口等の情報を直接提供する仕組みを構築し、被害防止に取り組んでまいります。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 豪雨対策の取り組みについてでございますが、近年、局地的な集中豪雨による浸水被害が発生していることから、都は対策を一層強化するため、昨年六月、豪雨対策基本方針を改定いたしました。
 方針では、地域の降雨特性を考慮いたしまして、区部で時間当たり七十五ミリ、多摩部で六十五ミリの降雨を前提とする施設の整備水準を定めまして、おおむね三十年後には、床上浸水などを防止することを目指しております。
 また、渋谷川、古川などの九つの流域と十九カ所の地区を指定しまして、河川や下水道の整備、雨水貯留浸透施設の設置などの流域対策により、浸水対策の強化を図ることとしております。
 引き続き、都民が安全・安心に暮らせる東京の実現に向け、基本方針に基づき豪雨対策に取り組んでまいります。
   〔下水道局長松田芳和君登壇〕

○下水道局長(松田芳和君) 下水道における豪雨対策についてでございますが、下水道局では、東京都豪雨対策基本方針に基づいて、浸水の危険性が高い地区に重点化して対策を講じるとともに、甚大な被害が発生した地区で雨水整備水準のレベルアップを含めた対策に取り組んでおります。
 また、東京アメッシュにより、リアルタイムで降雨情報を都民に提供しておりまして、現在、観測精度の一層の向上を図る再構築を行っているところでございます。
 さらに、毎年六月を浸水対策強化月間とし、浸水被害が発生した地区の半地下のある家屋を戸別訪問いたしまして、排水ポンプの設置などをお願いしております。
 今後とも、ハード、ソフト両面から取り組み、浸水に強いまちづくりに貢献してまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

○環境局長(長谷川明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、ビルピット対策についてでございますが、ビルの汚水槽からの悪臭、いわゆるビルピット臭が原因と思われる悪臭の相談は、毎年千件近く寄せられております。ビルピット臭の防止には、ビルピットの清掃、点検や排水ポンプの小まめな運転により、硫化水素の発生を抑制することが根本的な対策でございます。
 このため、都は、関係四局の共同により、対策マニュアルをまとめ、各局及び区市からビル所有者等に周知し、改善を促しております。
 また、昨年度から、ビル所有者に対する悪臭の改善指導を行う区市の実務担当者向けに、ビルピットの対策事例を紹介する研修会を実施しております。
 今後も、引き続き各局が連携して、区市とともに対策を推進してまいります。
 次に、アスベスト対策についてでございますが、法改正により、改修時を含む全ての解体等の工事で、アスベストの有無の事前調査と、その結果の周辺住民等への周知のための掲示が義務づけられております。また、都条例では、これまでの工事現場周辺のアスベスト濃度測定に加え、新たに測定結果の記録保存を義務づけております。
 アスベスト使用建築物の解体等の届け出は、毎年、約千二百件あり、都は、アスベスト除去工事の届け出受理と飛散防止指導を行う区市並びに労働基準監督署等と連携し、工事現場への合同パトロールなどを行っております。
 さらに、区市の求めに応じ、都の専門職員を派遣し、アスベストの事前調査結果の確認や、アスベストの含有が疑われる建材の測定、分析も行うなど、飛散防止対策の徹底を図っているところでございます。

○議長(高島なおき君) 九番塩村あやかさん
   〔九番塩村あやか君登壇〕

○九番(塩村あやか君) 国の偉大さ、道徳的発展は、その国における動物の扱い方でわかる。これは、マハトマ・ガンジーの有名な言葉です。まずは、私が政治家になるきっかけであり、十年取り組んでいる動物愛護の分野より質問をいたします。
 日本では年間十四万頭の犬猫が殺処分をされています。
 一方で、欧米先進国にはほとんど見られない生体小売業、つまり、ペットショップが存在をしています。このビジネスを支えるために、子犬の繁殖工場であるパピーミルと、競り市が営まれているのです。
 この日本の異常な状況を改善するためには、過剰な生体販売ビジネスの抑制につながる八週齢規制を早期に実現させ、終生飼養が前提の保護施設ティアハイムを設立し、さらには保護された犬猫の譲渡を促進することです。これが行政殺処分のないドイツ式だと、これまで都議会で提案をさせていただきました。
 さらに、私は当選以来、アメリカ式のアニマルポリスやイギリス式のインスペクター、地域猫対策、動物愛護センターのティアハイム化、ボランティアの活用と支援など、あらゆる分野の質問と提案を行ってきました。
 昨年は、犬の大量死亡遺棄事件が相次いで発生するなど、経済活動が優先で、動物の命を軽んじている実態が改めて浮き彫りになりました。これは他県での事件ですが、犠牲となった犬は、繁殖の役目を終えるなどした、まだ五、六歳の犬たちであり、その犬たちが産んだ子犬の供給地は、間違いなく東京などの都市部です。
 東京は、その点も鑑みた取り組みが期待されています。現状に対する知事の認識と所見をお伺いいたします。
 さて、東京都は、動物愛護において他県をリードしてきた自負があると聞いています。
 しかし、近年においては、神奈川県が犬の殺処分ゼロを達成し、岐阜県は殺処分を行わない動物愛護に特化をしたセンターを新設し、収容された犬の中からアニマルセラピー犬の育成を始めました。佐賀県でも、犬猫の譲渡を目的とした専用施設の開所が間近、群馬、大阪も、新しいセンターの開所を予定しています。こうした積極的な取り組みを打ち出す自治体は成果を上げ、東京など他の自治体をリードしつつあります。
 東京都も、築四十年を超えているセンターの改修や新築、収容された犬の中からセラピー犬等の育成など、積極的な施策を打ち出し、他自治体をいい意味でリードをする取り組みをすべきです。
 また、国においても、超党派の議連が立ち上がるなど、二〇二〇年に向けて動物愛護の機運は高まっています。行政による動物殺処分がないドイツを見てもわかるように、まずは八週齢規制や飼養施設規制など、国で法をしくことが一番の特効薬です。
 東京都も、オリンピック・パラリンピックを開催するにふさわしい成熟都市であることを証明するためにも、国に提言をするべきだと考えますが、知事に所見を伺います。
 平成二十七年度の予算案を見ますと、要求を続けてきていた動物愛護に関する予算が増額をされました。内容をお伺いするとともに、私は、センターをティアハイムに近づける新築や改修の提案をしてきました。その進捗もあわせてお伺いいたします。
 動物愛護の目指すところは、行政殺処分の撲滅だけではありません。人と動物が共生をしていくためには、周囲との摩擦を回避するために、飼い主のマナーの向上も必須です。例えば、都市部においては、ノーリードは条例違反になることや、散歩の前にトイレを済ませることがマナーであることは意外と知られていません。つまり、こういった基本的な啓発が不十分だったことをあらわしています。
 飼い主としての自覚や動物を飼う覚悟など、普及啓発をしっかり行うべきだと考えますが、今後の取り組みをお伺いします。
 都の譲渡事業にはボランティア団体が協力をしていますが、譲渡数をふやすためには、他県の先進的事例も鑑みた都のさらなる取り組みが必要だと考えます。
 また、私は、殺処分数を減らすため、民間企業との連携を要請してきました。徳島県は、センターに収容された犬の中から災害救助犬の育成を、官民を挙げてスタートさせています。民間連携についても、あわせて見解と進捗をお伺いいたします。
 次に、資源循環施策についてお伺いをいたします。
 二〇二〇年を控え、外国人観光客が増加をしています。そんな中、指摘をされているのが東京のごみ箱の少なさです。現在、都、区市ともに路上に設置をしているごみ箱はほぼゼロです。
 東京オリンピック・パラリンピック立候補ファイルでは、廃棄物分野に関して、もったいない精神を世界に普及させるため、5Rモデルを地域社会のレガシーとすべく実践するといった理念を掲げています。
 現在、私も含め都民は、なるべくごみを出さない、持ち帰るということが定着し、そのすばらしさを伝えることが重要です。
 しかし、捨てる場所がなければ、ごみとともに一日観光することにもなります。
 テロ対策等の安全面や数も考慮しながら、新たにごみ箱等を設置することなども、外国人観光客への配慮として有効な方策の一つではないでしょうか。
 二〇二〇年に向け、区市とともに資源循環施策の検討は重要だと考えますが、所見と今後の展開をお伺いいたします。
 最後に、男女平等参画施策についてお伺いをいたします。
 男女共同参画社会とは、男女平等を実質的に実現するために、公的、私的を問わず、あらゆる分野で男女がともに意思決定に参加、すなわち、参画をすることで達成されます。機会の平等が大前提で、平等な機会が性差により得られず、参画ができないのであれば、制度を整えることが重要です。
 これは一例ですが、子育て等を夫婦で協力し合いたいという意思があっても、育休などについては、男性が取得しにくいという実態があり、男性の参画が進んでいない分野もあります。また、職場においては、育児に積極的に参加をするイクメンの理解が管理職にないという悩みも聞きます。イクメンに理解があるイクボスの育成も必要です。
 都は、男性参画をどのように推進、普及啓発をしていくのかお伺いし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 塩村あやか議員の一般質問にお答えいたします。
 動物愛護についてでありますが、動物は飼い主にとって、家族の一員として生活に潤いを与えてくれる大切な存在であります。しかし昨今、動物が死亡遺棄されるような痛ましい事件が起きているのは、まことに残念であります。
 動物愛護の施策を進めるためには、国全体での取り組みと地方自治体での取り組みが必要であります。
 国におきましては、超党派の犬猫の殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟が立ち上がり、先般、都知事としてメッセージを寄せたところでございます。
 今後とも、都は、国に対していうべきことはいいながら、国と力を合わせて、動物愛護施策の推進に取り組んでまいりたいと思っております。
 そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えします。
 まず、動物愛護に関する来年度予算についてでありますが、来年度は、主に動物の適正飼養、終生飼養に関する普及啓発を強化することとしておりまして、都民に対して終生飼養の重要性を喚起するポスターを作成するとともに、高齢者向けには、飼育困難時の家族等の協力や相談窓口の確認など、日ごろから心がけておくことを盛り込んだパンフレットを作成いたします。また、子供向けに、飼い主の責任や終生飼養について漫画で解説した「犬を飼うってステキです──か?」のDVDを作成いたします。
 さらに、災害時の避難所での動物の適切な管理や、地域の実情に応じた対策を促進するため、先駆的な取り組みを事例集として取りまとめ、区市町村に配布をいたします。
 動物愛護センターにつきましては、犬舎の改修や猫のケージの設置を行い、飼養環境に必要な改善を図ってまいります。
 次に、動物の適正飼養に係る普及啓発についてでありますが、人と動物とが地域の中で共生していくためには、まず飼い主がルールやマナーを守り、責任を持って、動物をその終生にわたり適正に飼養することが重要でございます。
 そのため、都はこれまで、適正飼養等に関するパンフレット、ポスター、グッズなどを作成し、イベントや講習会等、さまざまな機会を通じまして普及啓発を行ってまいりました。
 来年度は、しつけのポイントや散歩のルールに関するパンフレットを飼い主がよく利用する動物用品の販売店や動物病院などでも配布するほか、新たに子供向けに作成いたしますDVDを、都内小学校や図書館等に配布するなど、より効果的な普及啓発を実施してまいります。
 今後とも、動物愛護の推進に向けた適正飼養の普及啓発に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、都における動物の譲渡事業についてでありますが、都はこれまで、動物愛護相談センターが引き取った動物につきまして、飼育経験が豊富で譲渡活動に実績のあるボランティア団体と連携して譲渡を推進しており、今年度は、都の譲渡事業を理解し、適正飼養の体制が整備されているペット関連企業とも連携を開始いたしました。
 また、都民に対しましては、適正飼養に関する講習会を行った上で、直接譲渡を実施しており、譲渡が難しい成犬、成猫には、しつけやトレーニングを行っております。
 来年度は、こうした取り組みを一層進めることとしておりまして、今後とも、ボランティア団体や企業等と連携しながら、譲渡の拡大に取り組んでまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

○環境局長(長谷川明君) 今後の資源循環施策についてでございますが、都は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会を契機に、資源循環施策の今後の展開について検討することは重要であると認識しております。
 そのため、今年度中に策定する取り組み方針に基づき、資源の無駄の削減、エコマテリアルの利用、廃棄物の循環利用という三つの柱から、さまざまな取り組みを行っていくこととしており、今後、一般廃棄物に関する処理責任を負う区市町村とともに協議の場を立ち上げるなどして、幅広く検討してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 育児などへの男性参画についてでありますが、男性の育児や介護などへの参画を促進するためには、職場における長時間労働の改善や周囲の理解の促進、当事者自身の意識改革を進める必要があります。
 このため、都は、経営トップ層の意識改革を図るシンポジウムを開催するとともに、夫婦ともにワークライフバランスの重要性について理解を深める啓発冊子を作成いたしました。また、仕事と育児、介護の両立セミナーを拡充して開催するなど、男性参画促進に向けた取り組みを進めているところでございます。

○議長(高島なおき君) 以上をもって質問は終わりました。

○議長(高島なおき君) これより日程に入ります
 日程第一から第百三十二まで、第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算外議案百二十八件、諮問三件を一括議題といたします。
 本案に関し、提案理由の説明を求めます。
 副知事安藤立美君。
   〔副知事安藤立美君登壇〕

○副知事(安藤立美君) ただいま上程になりました百三十二議案についてご説明を申し上げます。
 第一号議案から第二十七号議案までは平成二十七年度予算案でございます。
 平成二十七年度予算は、東京を世界一の都市へと飛躍させる予算と位置づけ、編成をいたしました。
 第一号議案は一般会計予算でございまして、総額六兆九千五百二十億円を計上しております。
 第二号議案から第十六号議案までの十五議案は特別会計予算でございます。それぞれの事業に必要な経費として、総額四兆七千四十五億円を計上しております。
 第十七号議案から第二十七号議案までの十一議案は公営企業会計予算でございます。病院、交通、水道、下水道などの経営に要する経費として、総額二兆二千百四十億円を計上しております。
 第二十八号議案から第百五号議案まで及び第百二十一号議案から第百二十九号議案までの八十七議案は条例案でございます。
 まず、新設の条例が九件ございます。
 第二十八号議案、東京都都市外交人材育成基金条例は、東京と世界各都市との発展に向け、その相互の交流及び協力を担う人材の育成に資する施策を推進するため、基金を設置するものでございます。
 このほか、基金を新設するものが七件ございます。
 また、平成二十六年度分の都区財政調整について再算定を行うものが一件ございます。
 次に、全部を改正する条例が一件ございます。
 第四十九号議案、東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例は、教育長の給与等の取り扱いを特別職のものに変更するものでございます。
 次に、一部を改正する条例が七十五件ございます。
 第三十一号議案、東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例は、東京都特別職報酬等審議会答申を踏まえ、給料の額を改定するものでございます。
 このほか、特別職の給料、報酬等に関するものが九件ございます。
 第三十三号議案、東京都職員定数条例の一部を改正する条例は、平成二十七年度の職員定数を定めるものなどでございます。
 このほか、職員に関するものが四件ございます。
 第三十四号議案、特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例は、特別区における事務処理の特例に関する規定を改めるものでございます。
 このほか、区市町村に関するものが二件ございます。
 第三十六号議案、東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例は、基金の額を改めるものでございます。
 このほか、基金に関するものが一件ございます。
 第四十三号議案、東京都都税条例の一部を改正する条例は、法人都民税の超過課税の適用期限を延長するものなどでございます。
 第四十五号議案、東京都消費生活条例の一部を改正する条例は、消費者被害の防止のため、禁止命令の対象取引を追加するなど、悪質事業者の取り締まり強化に向けた規定を整備するものなどでございます。
 第五十号議案、東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例は、八王子市が中核市に移行すること等に伴い規定を整備するもので、同様の改正がこのほかに二件ございます。
 第五十七号議案、東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例は、法令改正に伴い新たに手数料の規定を設けるものなどでございます。
 このほか、使用料、手数料に関するものが十一件ございます。
 第六十三号議案、東京都営住宅条例の一部を改正する条例は、福島復興再生特別措置法に規定する居住制限者について、都営住宅入居にかかわる収入要件等の特例を定めるものでございます。
 第七十六号議案、食品製造業等取締条例の一部を改正する条例は、弁当類及び総菜類の行商を届け出制から許可制に見直すなど、規定を整備するものでございます。
 第七十八号議案、東京都立病院条例の一部を改正する条例は、都立病院において、病児、病後児保育を実施するため、規定を整備するものでございます。
 第八十四号議案、東京都営空港条例の一部を改正する条例は、都営空港に指定管理者制度を導入するため、規定を整備するものでございます。
 このほか、組織、施設に関するものが八件ございます。
 第八十六号議案、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例は、子供の声等を数値規制の対象外とするものなどでございます。
 以上のほか、都民の安全・安心にかかわるもの、福祉に関するもの、法令改正に伴う規定整備などの一部改正が二十五件ございます。
 次に、廃止する条例が二件ございます。
 第二十九号議案、東京都アジア人材育成基金条例を廃止する条例は、東京都都市外交人材育成基金の新設に伴い、基金を廃止するものでございます。
 このほか、土地区画整理事業等の事業終了に伴い、施行規程を廃止するものが一件ございます。
 第百六号議案から第百十号議案までの五議案は契約案でございます。
 第百六号議案、都営住宅二十六H─一〇六東工事請負契約など、契約金額の総額は約六十六億二千万円でございます。
 第百十一号議案から第百十七号議案までの七議案は事件案でございます。
 第百十一号議案、包括外部監査契約の締結についてなど、それぞれ地方自治法等の規定に基づき議決をお願いするものでございます。
 第百十八号議案から第百二十号議案までの三議案は、平成二十六年度最終補正予算案でございます。将来の財政需要への備えとしての基金の積み立てや、国の経済対策に関連した交付金の事業化などのため、一般会計五百五十二億円のほか、特別会計を合わせ、七百九十二億円を補正するものでございます。
 次に諮問であります。
 諮問第一号は、知事が行った退職手当の不支給処分について異議申し立てがあったもの、第二号及び第三号は、建設局長が行った霊園管理料の納入通知について審査請求があったもので、それぞれ地方自治法の規定に基づき諮問するものでございます。
 上程になりました百三十二議案の説明は以上でございますが、このほかに人事案を送付いたしております。
 まず、東京都収用委員会委員でございます。
 三月三十一日及び四月九日に任期満了となります三名の委員のうち、加々美光子氏及び山田攝子氏につきましては再任し、内山忠明氏の後任には、木村琢麿氏を任命いたしたいと存じます。
 次に、東京都収用委員会予備委員でございます。
 一名の欠員がございますので、野口孝氏を任命いたしたいと存じます。
 次に、東京都固定資産評価審査委員会委員でございます。
 三月三十一日に任期満了となります五名の委員のうち、吉澤真美氏につきましては再任し、青木治道氏、山内容氏、五味郁子氏、安間謙臣氏の後任には、金子敏夫氏、渡邉正昭氏、上田信子氏、押元洋氏を選任いたしたいと存じます。
 次に、東京都公害審査会委員でございます。
 一名の欠員がございますので、崎田裕子氏を任命いたしたいと存じます。
 以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
(議案の部参照)

○議長(高島なおき君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。
 なお、本案中、地方公務員法第五条第二項の規定に該当する議案については、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。
 議事部長をして報告いたさせます。

○議事部長(新美大作君) 人事委員会の回答は、第三十二号議案及び第四十九号議案について、いずれも異議はないとの意見であります。

二六人委任第一四二号
平成二十七年二月十二日
東京都人事委員会委員長 関谷 保夫
 東京都議会議長 高島なおき殿
「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)
 平成二十七年二月十日付二六議事第三九九号をもって、地方公務員法第五条第二項の規定により照会があった議案に係る人事委員会の意見は、左記のとおりです。
       記
   提出議案
一 第三十二号議案
非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
二 第四十九号議案
東京都教育委員会教育長の給与等に関する条例
   意見
異議ありません。

○六十七番(山崎一輝君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま議題となっております議案のうち、日程第一から第二十七までについては、三十九人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第二十七までは、三十九人の委員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。
 委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長から、お手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
 なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を本議場に招集いたしますので、ご了承願います。
〔予算特別委員名簿は本号末尾(二三六)ページに掲載〕

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 ただいま議題となっております日程第二十八から第百三十二までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、日程第二十八から第百三十二までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。
(別冊参照)

○議長(高島なおき君) これより追加日程に入ります。
 追加日程第一から第三まで、東京都収用委員会委員の任命の同意について三件を一括議題といたします。
   〔新美議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会委員の任命の同意について三件

二六財主議第五一〇号
平成二十七年二月十八日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十七年三月三十一日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     加々美光子

      略歴
現住所 東京都目黒区
加々美光子
昭和三十三年五月十八日生(五十六歳)
昭和五十六年三月  慶應義塾大学法学部卒業
昭和六十年四月   裁判官任官(判事補)
平成七年一月    弁護士登録
平成十年四月    慶應義塾大学法学部非常勤講師
平成十二年四月   桐蔭横浜大学法学部非常勤講師
平成十六年四月   慶應義塾大学大学院法務研究科教授
平成十九年四月   埼玉県情報公開審査会委員
平成二十二年十一月 国土交通省中央建設工事紛争審査会特別委員
平成二十三年六月  日本女性法律家協会副会長
平成二十三年十月  東京労働局紛争調整委員会委員
平成二十四年四月  東京都収用委員会委員
平成二十五年四月  内閣府情報公開審査会委員
現在        弁護士

二六財主議第五一一号
平成二十七年二月十八日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十七年四月九日任期満了となるため、再び任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     山田 攝子

      略歴
現住所 東京都港区
山田 攝子
昭和二十九年五月八日生(六十歳)
昭和五十三年三月 早稲田大学法学部卒業
昭和五十六年四月 弁護士登録
平成五年四月   明治大学法学部兼任講師
平成十三年四月  東京都生活文化局都民相談事業非常勤職員(法律相談担当相談員)
平成十六年十月  東京家庭裁判所家事調停官
平成十七年六月  日本女性法律家協会副会長
平成十七年六月  日本弁護士連合会家事法制委員会委員
平成十七年七月  内閣府男女共同参画推進連携会議議員
平成十八年八月  最高裁判所家庭規則制定諮問委員会委員
平成十九年十月  国土交通省中央建設工事紛争審査会特別委員
平成二十年十二月 総務省電波監理審議会委員
平成二十二年四月 早稲田大学大学院法務研究科非常勤講師
平成二十二年四月 東京簡易裁判所民事調停委員
平成二十二年六月 法務省法制審議会児童虐待防止関連親権制度部会委員
平成二十四年四月 東京都収用委員会委員
平成二十五年十月 文部科学省原子力損害賠償紛争審査会特別委員
現在       弁護士

二六財主議第五一二号
平成二十七年二月十八日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都収用委員会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、東京都収用委員会委員 内山忠明は平成二十七年三月三十一日任期満了となるため、後任として左記の者を任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     木村 琢麿

      略歴
現住所 埼玉県さいたま市
木村 琢麿
昭和四十一年七月二十三日生(四十八歳)
平成三年三月   東京大学法学部卒業
平成三年四月   東京大学法学部助手
平成六年九月   千葉大学法経学部助教授
平成十六年四月  千葉大学大学院専門法務研究科助教授
平成十六年六月  国土交通省交通政策審議会臨時委員
平成十九年八月  千葉大学大学院専門法務研究科教授
平成二十一年三月 総務省政策評価・独立行政法人評価委員会臨時委員
平成二十二年一月 財務省財政制度等審議会臨時委員
現在       千葉大学大学院専門法務研究科教授

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(高島なおき君) 追加日程第四、東京都収用委員会予備委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔新美議事部長朗読〕
一、東京都収用委員会予備委員の任命の同意について一件

二六財主議第五一三号
平成二十七年二月十八日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都収用委員会予備委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者を東京都収用委員会予備委員に任命したいので、土地収用法第五十二条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     野口  孝

      略歴
現住所 東京都福生市
野口  孝
昭和二十五年四月三十日生(六十四歳)
昭和四十九年三月 中央大学法学部卒業
昭和四十九年四月 東京都入都
平成二年四月   建設局西多摩建設事務所用地第一課長
平成三年十月   総務局多摩移管百周年記念事業担当副参事
平成四年四月   総務局行政部副参事
平成六年四月   下水道局総務部副参事(局務担当)
平成七年六月   下水道局経理部契約課長
平成九年七月   政策報道室広報部報道課長(総務局災害対策部副参事兼務)
平成十一年六月  下水道局総務部総務課長
平成十二年八月  下水道局参事
平成十三年七月  東京都退職
平成十三年七月  西東京市助役
平成十五年六月  西東京市退職
平成十五年六月  出納長室銀行設立準備担当部長
平成十五年八月  産業労働局産業政策調整担当部長
平成十六年四月  産業労働局総務部担当部長
平成十六年八月  下水道局経理部長
平成十七年七月  下水道局総務部長
平成二十年七月  収用委員会事務局長
平成二十二年六月 東京都退職
現在       東京中小企業投資育成株式会社取締役

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(高島なおき君) 追加日程第五から第九まで、東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について五件を一括議題といたします。
   〔新美議事部長朗読〕
一、東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について五件

二六財主議第五一四号
平成二十七年二月十八日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者は平成二十七年三月三十一日任期満了となるため、再び選任したいので、地方税法第四百二十三条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     吉澤 真美

      略歴
現住所 東京都豊島区
吉澤 真美
昭和三十六年四月十九日生(五十三歳)
昭和五十九年三月 学習院大学文学部国文学科卒業
昭和五十九年四月 三井海洋開発株式会社入社
平成二年十一月  財団法人日本不動産研究所入所
平成五年三月   不動産鑑定士登録
平成十一年九月  吉澤不動産鑑定事務所開業
平成二十四年四月 東京都固定資産評価審査委員会委員
現在       不動産鑑定士
吉澤不動産鑑定事務所経営

二六財主議第五一五号
平成二十七年二月十八日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都固定資産評価審査委員会委員青木治道は平成二十七年三月三十一日任期満了となるため、後任として左記の者を選任したいので、地方税法第四百二十三条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     金子 敏夫

      略歴
現住所 東京都世田谷区
金子 敏夫
昭和二十五年八月二十七日生(六十四歳)
昭和五十年三月  横浜国立大学工学部建築学科卒業
昭和五十年四月  東京都入都
昭和五十五年二月 一級建築士免許取得
昭和六十三年四月 人事委員会事務局副主幹
平成二年八月   住宅局東部住宅建設事務所工事課長
平成四年七月   都市計画局多摩西部建築指導事務所指導第二課長
平成六年四月   都市計画局建築指導部建築防災課長
平成八年七月   都市計画局開発計画部防災計画課長
平成九年四月   都市計画局開発計画部再開発計画課長(統括課長)
平成十年七月   都市計画局地域計画部土地利用計画課長(統括課長)
平成十一年六月  文京区都市計画部長
平成十四年四月  都市計画局多摩建築指導事務所長
平成十五年六月  都市計画局参事(マスタープラン担当)
平成十六年四月  都市整備局参事(開発プロジェクト推進担当)
平成十八年七月  都市整備局市街地建築部長
平成二十年七月  財務局建築保全部長
平成二十三年三月 財務局理事
平成二十三年三月 東京都退職
平成二十三年四月 一般財団法人日本建築センター特別参与
現在       一級建築士
         一般財団法人日本建築センター理事

二六財主議第五一六号
平成二十七年二月十八日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都固定資産評価審査委員会委員山内容は平成二十七年三月三十一日任期満了となるため、後任として左記の者を選任したいので、地方税法第四百二十三条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     渡邉 正昭

      略歴
現住所 東京都杉並区
渡邉 正昭
昭和三十二年五月五日生(五十七歳)
昭和五十六年三月  中央大学法学部法律学科卒業
昭和六十一年十一月 司法試験合格
平成元年四月    弁護士登録
平成元年四月    平岡高志法律事務所入所
平成四年四月    赤坂中央法律事務所入所
平成八年四月    渡邉アーク総合法律事務所開業
平成十二年四月   東京地方裁判所(八王子簡易裁判所)司法委員
平成十八年四月   東京家庭裁判所家事調停委員
平成二十一年四月  東京家庭裁判所家事調停官(非常勤裁判官)
平成二十六年四月  東京家庭裁判所家事調停委員
現在        弁護士
          渡邉アーク総合法律事務所経営

二六財主議第五一七号
平成二十七年二月十八日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都固定資産評価審査委員会委員五味郁子は平成二十七年三月三十一日任期満了となるため、後任として左記の者を選任したいので、地方税法第四百二十三条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     上田 信子
      略歴
現住所 東京都大田区
上田 信子
昭和三十四年三月二十一日生(五十五歳)
昭和五十六年三月 滋賀大学経済学部卒業
昭和五十六年四月 株式会社城南組入社
昭和五十九年九月 横井弥一郎税理士事務所入所
昭和六十年五月  税理士登録
平成四年五月   荒木英之税理士事務所入所
平成十四年九月  河合康夫税理士事務所入所
平成十七年九月  塩尻強司税理士事務所入所
平成二十年九月  上田信子税理士事務所開業
現在       税理士
         上田信子税理士事務所経営

二六財主議第五一八号
平成二十七年二月十八日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都固定資産評価審査委員会委員の選任の同意について(依頼)
 このことについて、東京都固定資産評価審査委員会委員安間謙臣は平成二十七年三月三十一日任期満了となるため、後任として左記の者を選任したいので、地方税法第四百二十三条第三項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     押元  洋

      略歴
現住所 東京都葛飾区
押元  洋
昭和二十四年六月二十日生(六十五歳)
昭和四十九年三月 早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了
昭和四十九年四月 東京都入都
昭和六十二年四月 総務局副主幹(財団法人全国市町村振興協会派遣)
平成元年四月   生活文化局副主幹
平成三年一月   総務局副参事(国際防災サミット担当)
平成三年十二月  総務局副参事(知事秘書担当)
平成六年八月   総務局行政部区政課長(統括課長)
平成八年七月   総務局参事(人事部人事課長事務取扱)
平成十年七月   保健科学大学事務局長
平成十二年八月  衛生局病院事業部長
平成十四年四月  病院経営本部経営企画部長
平成十六年七月  病院経営本部長
平成十七年七月  労働委員会事務局長
平成十九年六月  総務局長
平成二十年六月  東京都退職
平成二十一年四月 財団法人東京都福利厚生事業団理事長
平成二十二年八月 財団法人東京都保健医療公社理事長
平成二十四年十月 東京信用保証協会専務理事
現在       東京海上日動火災保険株式会社顧問

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 本件は、いずれも知事の選任に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、いずれも知事の選任に同意することに決定いたしました。

○議長(高島なおき君) 追加日程第十、東京都公害審査会委員の任命の同意についてを議題といたします。
   〔新美議事部長朗読〕
一、東京都公害審査会委員の任命の同意について一件

二六財主議第五一九号
平成二十七年二月十八日
東京都知事 舛添 要一
 東京都議会議長 高島なおき殿
東京都公害審査会委員の任命の同意について(依頼)
 このことについて、左記の者を東京都公害審査会委員に任命したいので、公害紛争処理法第十六条第一項の規定により、東京都議会の同意についてよろしくお願いします。
       記
     崎田 裕子

      略歴
現住所 東京都新宿区
崎田 裕子
昭和二十六年四月十六日生(六十三歳)
昭和四十九年三月 立教大学社会学部卒業
昭和四十九年四月 株式会社集英社入社
昭和 六十年三月 株式会社集英社退社
昭和 六十年四月 ジャーナリスト
現在       ジャーナリスト

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 本件は、知事の任命に同意することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、知事の任命に同意することに決定いたしました。

○議長(高島なおき君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。
 受理いたしました請願二件及び陳情四件は、お手元に配布の請願・陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
(別冊参照)

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 明二十八日から三月四日まで五日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認めます。よって、明二十八日から三月四日まで五日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。
 なお、次回の会議は、三月五日午後一時に開きます。
 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時二十三分散会

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