平成二十七年東京都議会会議録第四号

○議長(高島なおき君) 九番塩村あやかさん
   〔九番塩村あやか君登壇〕

○九番(塩村あやか君) 国の偉大さ、道徳的発展は、その国における動物の扱い方でわかる。これは、マハトマ・ガンジーの有名な言葉です。まずは、私が政治家になるきっかけであり、十年取り組んでいる動物愛護の分野より質問をいたします。
 日本では年間十四万頭の犬猫が殺処分をされています。
 一方で、欧米先進国にはほとんど見られない生体小売業、つまり、ペットショップが存在をしています。このビジネスを支えるために、子犬の繁殖工場であるパピーミルと、競り市が営まれているのです。
 この日本の異常な状況を改善するためには、過剰な生体販売ビジネスの抑制につながる八週齢規制を早期に実現させ、終生飼養が前提の保護施設ティアハイムを設立し、さらには保護された犬猫の譲渡を促進することです。これが行政殺処分のないドイツ式だと、これまで都議会で提案をさせていただきました。
 さらに、私は当選以来、アメリカ式のアニマルポリスやイギリス式のインスペクター、地域猫対策、動物愛護センターのティアハイム化、ボランティアの活用と支援など、あらゆる分野の質問と提案を行ってきました。
 昨年は、犬の大量死亡遺棄事件が相次いで発生するなど、経済活動が優先で、動物の命を軽んじている実態が改めて浮き彫りになりました。これは他県での事件ですが、犠牲となった犬は、繁殖の役目を終えるなどした、まだ五、六歳の犬たちであり、その犬たちが産んだ子犬の供給地は、間違いなく東京などの都市部です。
 東京は、その点も鑑みた取り組みが期待されています。現状に対する知事の認識と所見をお伺いいたします。
 さて、東京都は、動物愛護において他県をリードしてきた自負があると聞いています。
 しかし、近年においては、神奈川県が犬の殺処分ゼロを達成し、岐阜県は殺処分を行わない動物愛護に特化をしたセンターを新設し、収容された犬の中からアニマルセラピー犬の育成を始めました。佐賀県でも、犬猫の譲渡を目的とした専用施設の開所が間近、群馬、大阪も、新しいセンターの開所を予定しています。こうした積極的な取り組みを打ち出す自治体は成果を上げ、東京など他の自治体をリードしつつあります。
 東京都も、築四十年を超えているセンターの改修や新築、収容された犬の中からセラピー犬等の育成など、積極的な施策を打ち出し、他自治体をいい意味でリードをする取り組みをすべきです。
 また、国においても、超党派の議連が立ち上がるなど、二〇二〇年に向けて動物愛護の機運は高まっています。行政による動物殺処分がないドイツを見てもわかるように、まずは八週齢規制や飼養施設規制など、国で法をしくことが一番の特効薬です。
 東京都も、オリンピック・パラリンピックを開催するにふさわしい成熟都市であることを証明するためにも、国に提言をするべきだと考えますが、知事に所見を伺います。
 平成二十七年度の予算案を見ますと、要求を続けてきていた動物愛護に関する予算が増額をされました。内容をお伺いするとともに、私は、センターをティアハイムに近づける新築や改修の提案をしてきました。その進捗もあわせてお伺いいたします。
 動物愛護の目指すところは、行政殺処分の撲滅だけではありません。人と動物が共生をしていくためには、周囲との摩擦を回避するために、飼い主のマナーの向上も必須です。例えば、都市部においては、ノーリードは条例違反になることや、散歩の前にトイレを済ませることがマナーであることは意外と知られていません。つまり、こういった基本的な啓発が不十分だったことをあらわしています。
 飼い主としての自覚や動物を飼う覚悟など、普及啓発をしっかり行うべきだと考えますが、今後の取り組みをお伺いします。
 都の譲渡事業にはボランティア団体が協力をしていますが、譲渡数をふやすためには、他県の先進的事例も鑑みた都のさらなる取り組みが必要だと考えます。
 また、私は、殺処分数を減らすため、民間企業との連携を要請してきました。徳島県は、センターに収容された犬の中から災害救助犬の育成を、官民を挙げてスタートさせています。民間連携についても、あわせて見解と進捗をお伺いいたします。
 次に、資源循環施策についてお伺いをいたします。
 二〇二〇年を控え、外国人観光客が増加をしています。そんな中、指摘をされているのが東京のごみ箱の少なさです。現在、都、区市ともに路上に設置をしているごみ箱はほぼゼロです。
 東京オリンピック・パラリンピック立候補ファイルでは、廃棄物分野に関して、もったいない精神を世界に普及させるため、5Rモデルを地域社会のレガシーとすべく実践するといった理念を掲げています。
 現在、私も含め都民は、なるべくごみを出さない、持ち帰るということが定着し、そのすばらしさを伝えることが重要です。
 しかし、捨てる場所がなければ、ごみとともに一日観光することにもなります。
 テロ対策等の安全面や数も考慮しながら、新たにごみ箱等を設置することなども、外国人観光客への配慮として有効な方策の一つではないでしょうか。
 二〇二〇年に向け、区市とともに資源循環施策の検討は重要だと考えますが、所見と今後の展開をお伺いいたします。
 最後に、男女平等参画施策についてお伺いをいたします。
 男女共同参画社会とは、男女平等を実質的に実現するために、公的、私的を問わず、あらゆる分野で男女がともに意思決定に参加、すなわち、参画をすることで達成されます。機会の平等が大前提で、平等な機会が性差により得られず、参画ができないのであれば、制度を整えることが重要です。
 これは一例ですが、子育て等を夫婦で協力し合いたいという意思があっても、育休などについては、男性が取得しにくいという実態があり、男性の参画が進んでいない分野もあります。また、職場においては、育児に積極的に参加をするイクメンの理解が管理職にないという悩みも聞きます。イクメンに理解があるイクボスの育成も必要です。
 都は、男性参画をどのように推進、普及啓発をしていくのかお伺いし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 塩村あやか議員の一般質問にお答えいたします。
 動物愛護についてでありますが、動物は飼い主にとって、家族の一員として生活に潤いを与えてくれる大切な存在であります。しかし昨今、動物が死亡遺棄されるような痛ましい事件が起きているのは、まことに残念であります。
 動物愛護の施策を進めるためには、国全体での取り組みと地方自治体での取り組みが必要であります。
 国におきましては、超党派の犬猫の殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟が立ち上がり、先般、都知事としてメッセージを寄せたところでございます。
 今後とも、都は、国に対していうべきことはいいながら、国と力を合わせて、動物愛護施策の推進に取り組んでまいりたいと思っております。
 そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 三点のご質問にお答えします。
 まず、動物愛護に関する来年度予算についてでありますが、来年度は、主に動物の適正飼養、終生飼養に関する普及啓発を強化することとしておりまして、都民に対して終生飼養の重要性を喚起するポスターを作成するとともに、高齢者向けには、飼育困難時の家族等の協力や相談窓口の確認など、日ごろから心がけておくことを盛り込んだパンフレットを作成いたします。また、子供向けに、飼い主の責任や終生飼養について漫画で解説した「犬を飼うってステキです──か?」のDVDを作成いたします。
 さらに、災害時の避難所での動物の適切な管理や、地域の実情に応じた対策を促進するため、先駆的な取り組みを事例集として取りまとめ、区市町村に配布をいたします。
 動物愛護センターにつきましては、犬舎の改修や猫のケージの設置を行い、飼養環境に必要な改善を図ってまいります。
 次に、動物の適正飼養に係る普及啓発についてでありますが、人と動物とが地域の中で共生していくためには、まず飼い主がルールやマナーを守り、責任を持って、動物をその終生にわたり適正に飼養することが重要でございます。
 そのため、都はこれまで、適正飼養等に関するパンフレット、ポスター、グッズなどを作成し、イベントや講習会等、さまざまな機会を通じまして普及啓発を行ってまいりました。
 来年度は、しつけのポイントや散歩のルールに関するパンフレットを飼い主がよく利用する動物用品の販売店や動物病院などでも配布するほか、新たに子供向けに作成いたしますDVDを、都内小学校や図書館等に配布するなど、より効果的な普及啓発を実施してまいります。
 今後とも、動物愛護の推進に向けた適正飼養の普及啓発に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、都における動物の譲渡事業についてでありますが、都はこれまで、動物愛護相談センターが引き取った動物につきまして、飼育経験が豊富で譲渡活動に実績のあるボランティア団体と連携して譲渡を推進しており、今年度は、都の譲渡事業を理解し、適正飼養の体制が整備されているペット関連企業とも連携を開始いたしました。
 また、都民に対しましては、適正飼養に関する講習会を行った上で、直接譲渡を実施しており、譲渡が難しい成犬、成猫には、しつけやトレーニングを行っております。
 来年度は、こうした取り組みを一層進めることとしておりまして、今後とも、ボランティア団体や企業等と連携しながら、譲渡の拡大に取り組んでまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

○環境局長(長谷川明君) 今後の資源循環施策についてでございますが、都は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会を契機に、資源循環施策の今後の展開について検討することは重要であると認識しております。
 そのため、今年度中に策定する取り組み方針に基づき、資源の無駄の削減、エコマテリアルの利用、廃棄物の循環利用という三つの柱から、さまざまな取り組みを行っていくこととしており、今後、一般廃棄物に関する処理責任を負う区市町村とともに協議の場を立ち上げるなどして、幅広く検討してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 育児などへの男性参画についてでありますが、男性の育児や介護などへの参画を促進するためには、職場における長時間労働の改善や周囲の理解の促進、当事者自身の意識改革を進める必要があります。
 このため、都は、経営トップ層の意識改革を図るシンポジウムを開催するとともに、夫婦ともにワークライフバランスの重要性について理解を深める啓発冊子を作成いたしました。また、仕事と育児、介護の両立セミナーを拡充して開催するなど、男性参画促進に向けた取り組みを進めているところでございます。

○議長(高島なおき君) 以上をもって質問は終わりました。

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