○副議長(藤井一君) 百二十三番酒井大史君
〔百二十三番酒井大史君登壇〕
○百二十三番(酒井大史君) 多摩地域の交通環境の整備について質問します。
まず、多摩地域の航空環境を大きく変える施策として、横田基地の軍民共用化について伺います。
この問題については、本日も他会派の方から指摘がありましたが、私もこれまで一般質問等で何度となく、その必要性や民間利用が実現した際の新たな交通網としてハイウエー構想の提案等も行ってまいりました。
しかしながら、平成二十四年に、当時の野田総理が日米首脳会談で、オバマ大統領に横田基地の軍民共用化の検討を要請し、日米間の外交交渉のテーマに再度取り上げられた以降、交渉は進んでいるとはいえない状況にあります。
横田基地の軍民共用化は、多摩地域のみならず近隣県の航空需要に応えるとともに、多摩地域の産業の活性化や多摩地域から成田や羽田に向かうトラック輸送の削減によるCO2削減効果なども期待されています。
先日、多摩地域の経済団体が多摩地域経済団体横田飛行場民間利用促進協議会を発足し、二〇二〇年までの民間利用を目指す動きも始まりました。
そこで、航空面で多摩地域の交通環境を大きく改善させ、さらに多摩発の観光振興にもつながる横田基地の民間利用実現に向けて、今後、政府に対し働きかけを強めることとあわせて、機運醸成に向けての知事の所見を伺います。
次に、多摩地域と羽田空港間の交通利便性向上に資するJR南武線の快速列車運行常態化について伺います。
昨日も、羽田空港へのアクセス向上の質問が出ておりましたが、現在、多摩地域の方々が羽田空港へアクセスするルートとしては、立川を起点とした場合、自家用車や空港バスの利用のほか、JR中央線を使い山手線経由で京浜急行線あるいは東京モノレールを利用する方法が一般的です。
しかし、空港バスなどを利用する場合、中央道、首都高を使うことになりますが、空港バスの平均所要時間は日中百五分と、二時間弱もかかります。首都高中央環状品川線の開通により短縮も期待されますが、中央道の渋滞は慢性化しており、空港に向かう利用者にとっては、航空機に乗りおくれるリスクが大きく、利用しづらい面もあります。
そこで、多くの方が利用する手段が鉄道となります。これまで京急線や東京モノレールはスピードアップを図っていますが、例えば、平日の朝八時ごろ立川駅を出発し、中央線、山手線を乗り継いで羽田空港の国内線ターミナルに向かった場合、京急線利用で中央線通勤特快及び京急線エアポート急行を乗り継いでも所要時間一時間二十七分、モノレール利用では一時間二十八分かかります。
そこで、多摩地域から羽田空港へのアクセス方法としてぜひ注目してほしいのが、南武線を利用するルートです。
現状ですと、南武線は快速列車の快速運転区間が稲城長沼と川崎間、デイタイムのみであるため、立川駅から朝八時ごろに南武線利用で羽田空港に向かった場合の所要時間は一時間三十分で、中央線利用と差はありません。しかし、快速列車を常態化できれば大幅な所要時間の短縮を図ることができます。
JRは、三月十四日のダイヤ改正で、快速運転区間が全区間に拡大し、快速列車の所要時間が五分短縮されることになります。しかし、デイタイム一時間当たりの列車本数は、平日で各駅停車六本に対し快速列車は現状と同じ二本のままです。また、運行時間帯も立川、川崎とも十時から十五時台の出発列車にとどまる模様です。
快速列車を増便できず、通勤時間帯まで拡大できない、さらに所要時間を大幅に短縮できない理由は、上下線ともに待避線、あるいは待避設備ともいいますが、この待避線のある駅が三月に使用開始予定の稲城長沼駅と武蔵中原駅の二駅しかなく、追い越しができないことにあります。
稲田堤─府中本町間の連続立体交差事業の高架化は既に完了しており、今後行われる矢川駅─立川駅間の連続立体交差化の推進に加えて、府中市内の分倍河原駅あるいは府中本町駅に、さらに川崎市内の一駅に待避線を設置できれば、快速列車を常態化し、一時間当たり四本への増便、現在の立川─川崎駅間の各駅停車所要時間五十四分から五十九分を二十分程度短縮できる可能性があります。
これにより、一時間十分程度で立川─羽田空港間を結ぶようになり、西多摩地区の、また分倍河原経由で利用する京王線沿線の住民にとっても利便性が向上します。
さらに、川崎市の問題になりますが、川崎駅から先の貨物線を利用し、JR東日本が計画をしている羽田空港アクセス線と結ぶことにより、羽田空港への直接乗り入れの夢も膨らみます。
そこで、高架化事業や待避線の設置には、地元自治体のまちづくりやJRの経営計画とも関係するため時間を要することは承知していますが、都として、多摩地域と羽田空港間の交通利便性向上のため、南武線の待避線設置について検討してほしいと考えますが、所見を伺います。
この設問の最後に、多摩地域の道路整備について伺います。
多摩地域の都市計画道路、特に南北道路の整備については、一部路線では進捗が見られるものの、計画策定時から数十年が経過し住宅地としての利用が定着したため、着工しづらい路線もあります。
私の選挙区である立川市内の都市計画道路、立川東大和線には、一部通学路が含まれ、その部分の隣接地は国有地並びに立川市有地なので、狭い道路を拡幅し歩道を整備してほしいという声や、逆に他の計画路線では土地の活用が制約されていることから、道路ができないのであれば、計画を見直してほしいとの声もあります。
未着手の都市計画道路に関しては、整備の要否の判断をした上で、必要な道路については、地域の特性に応じ優先的に整備していくべきと考えますが、現在、整備方針の改定作業中と聞きますが、どのように進めていくのか見解を伺います。
次に、犯罪被害者等の支援の推進について伺います。
犯罪被害者等基本法が施行されてから、ことしはちょうど十年になります。
この間、基本法の理念に基づき、国においては犯罪加害者への厳罰化や犯罪被害者への支援金の給付額の増額、また、立ち直りに向けての支援策の充実を図ってまいりました。
また、多くの自治体も条例を制定するなど、支援策の拡充に努めています。
しかし、法を厳罰化しても一向になくならない飲酒運転、危険ドラッグ使用による犯罪など、その犯罪による被害者はふえ続けています。
さらに、テロ集団によるテロの被害に遭う危険性も増加している中、犯罪の発生を未然に防ぐ取り組みとあわせて、犯罪の被害に遭われた方やその家族の皆さんの被害からの肉体的、経済的、精神的な回復への支援策の向上は、さらに求められていると考えます。
都議会民主党はこれまで、犯罪被害者等基本条例の提案、東京都が犯罪被害者を支えるその姿勢を明確に示すため、犯罪被害者等権利章典を宣言することなどを求めてきましたが、過去の知事は、いずれも東京都犯罪被害者等支援計画で足りるとの見解でした。
都内では、日野市など条例を制定し先進的な取り組みをしている自治体と、他の自治体との連携や支援レベルの高い位置での統一も、今後、被害者支援の観点から求められます。
現在、犯罪被害者の当事者団体や支援団体が、被害者が創る条例研究会を立ち上げ、被害者視点の条例案を作成し、条例の制定を求めて全国の自治体へ働きかけを行っております。
被害者自身が条例制定を求めて行動している現状を鑑み、条例制定の要否の検討を含め、犯罪被害者支援に対する知事の見解をお伺いいたします。
次に、平成二十七年度は、東京都がこれまで金科玉条としている東京都犯罪被害者等支援計画の最終年度となり、改定に向けての準備を進める年となりますが、来年度に計画している性犯罪・性暴力ワンストップ支援センターの運営費補助を含めて、計画期間四年目が経過しようとしている現段階での支援計画の達成状況について伺います。
最後に、計画改定に当たって、前回は改定前年の十一月ごろより素案に対しパブリックコメントを求めておりました。素案の作成に当たっては、支援策の充実はもちろんのこと、各施策における達成目標の設定や実施年度の明記などに心がける、そして何よりも素案作成の段階から、被害当事者や支援団体の意見を積極的に取り入れるべきものと考えますが、計画改定に向けての方針についてお伺いし、質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
○知事(舛添要一君) 酒井大史議員の一般質問にお答えいたします。
まず、横田基地の民間利用についてでございますが、横田基地の民間利用は、首都圏西部地域の航空利便性を改善するとともに、多摩地域の観光など産業の振興にも資するものであります。
この問題は、外交、安全保障にかかわることから、国と連携していくことが不可欠であります。
地域からの声も聞きながら、国に日米協議の進展を働きかけるなど、多摩地域の交通利便性向上に資するよう、横田基地の民間利用の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、犯罪被害者支援についてですが、犯罪被害者やその家族は、犯罪による直接的被害に加え、精神的後遺症、経済的被害の副次的被害に苦しんでいる状況があります。
そのため、被害者等に対して、必要な支援を迅速かつ確実に提供していくことが重要であります。
都はこれまで、犯罪被害者等基本法の趣旨を踏まえ、支援計画を二度にわたり策定いたしました。この計画に基づき設置した東京都総合相談窓口を中心に、被害直後から自立生活の回復まで途切れることなく支援を行うなど、幅広い取り組みを進めてまいりました。
条例につきましては、さまざまな意見がありまして、都としては、来年度、第三期の計画を策定し、被害者の立場に立った施策を引き続き着実に実施してまいります。
なお、そのほかの質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕
○都市整備局長(安井順一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まずJR南武線への待避設備の設置についてでございますが、稲城長沼駅において、来月、待避設備の使用が始まり、快速運転の区間が拡大されることから、利用者の所要時間の短縮による利便性の向上が見込まれます。
府中本町駅などへの新たな待避設備の設置につきましては、場所の確保、事業費や事業採算性などの課題がございます。
また、こうした輸送サービスの向上につきましては、鉄道事業者の経営と密接にかかわることから、原則として、鉄道事業者が対応すべきでございます。都としましては、JR東日本の対応を注視してまいります。
次に、都市計画道路の整備方針についてでございますが、都は、おおむね十年ごとに優先的に整備すべき路線を選定し、計画的、効率的な都市計画道路の整備に取り組んでまいりました。
現行の計画期間が平成二十七年度までであることから、昨年度より、都と地元区市町とで新たな整備方針の検討を進めてきているところでございます。
この中で、目指すべき都市計画道路網について改めて検証を行い、骨格幹線道路の着実な整備に加えまして、交通結節機能や拠点間相互の連携などを強化する観点から、今後の道路整備の方向性を示してまいります。
今後とも、快適で利便性の高い都市生活の実現に向けまして、道路ネットワークの着実な形成に取り組んでまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
○総務局長(中西充君) 犯罪被害者支援についての二点のご質問にお答えいたします。
まず、東京都犯罪被害者等支援計画の達成状況についてでございますが、都は平成二十三年度に策定いたしました第二期の東京都犯罪被害者等支援計画に基づき、総合的な支援を行ってまいりました。
具体的には、東京都総合相談窓口における相談、付き添い、精神的ケアや一時的な居住場所の提供などの支援を充実させたところです。また、都内の全ての区市町村に設置された窓口の相談員に研修や助言を行うなど、身近な相談窓口の機能強化を図りました。
さらに、本年七月には、性犯罪被害者が、被害直後から相談、医療、精神的ケア等をワンストップで受けられる体制を整えます。
こうした取り組みにより、被害者の心身の負担軽減や早期回復を図るなど、着実に支援を行っているところでございます。
次に、計画改定に向けての方針についてでございますが、現行の支援計画は、国の基本計画と同様、平成二十七年度までのものであり、来年度は、二十八年度からの新たな五カ年計画を策定いたします。
新しい計画の策定に当たっては、国の施策展開や犯罪被害者を取り巻く状況の変化などを踏まえるとともに、被害者や支援団体から意見を伺います。
また、素案の段階でパブリックコメントを行い、都民の意見を反映させるなど、被害者の視点に立った計画の策定に取り組んでまいります。
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