平成二十七年東京都議会会議録第三号

○副議長(藤井一君) 七十四番高橋信博君
   〔七十四番高橋信博君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○七十四番(高橋信博君) 初めに、横田基地の活用について伺います。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を五年後に控え、また、訪日外国人二千万人の高みを目指して、各方面でさまざまな取り組みが進められております。外国人の旅行者数は、二〇一三年には一千万人に達し、二〇一四年には約一千三百四十万人にまで至ったと推計されております。
 多摩地域においても、今月には多摩地域の商工会、商工会議所などの経済界によって、二〇二〇年大会までに横田基地の民間利用の実現を目指して、多摩地域経済団体横田飛行場民間利用促進協議会が設立をされました。地域の活性化という視点で、多摩の総合的な交通体系を考えると、道路、鉄道に加え、航空も重要な要素であると考えます。
 横田基地を空港として活用できれば、一般の航空機のみならず、ビジネスジェットの就航も期待でき、多摩に新たな産業が発展する可能性をもたらし、経済効果や雇用の創出へとつながります。さらに横田が、ものづくりを初め、多摩地域の強みを発信する拠点ともなり得ます。
 このように、横田基地の民間利用は、多摩の豊かな潜在能力を引き出し、新たな発展を加速するため、地域において共用化に寄せられる期待は大きいものがあります。
 しかしながら、この問題は、日米の外交、安全保障にかかわるものであり、都と国が軌を一にして取り組まないと前に進みません。
 二〇二〇年大会の開催に当たっては、多数の来訪者に対する万全の受け入れ体制が求められますが、一時に集中する航空需要を、東京の空の玄関である羽田、成田でさばき切れるか心もとないと考えます。
 そこで、大会の開催をきっかけに、横田基地を活用して、臨時便やチャーター機、関係者のビジネスジェットなどを受け入れ、東京の受け入れ体制の一助とするとともに、多摩地域の発展に資するよう取り組むべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、交通ネットワークについて伺います。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催に伴う外国人来訪者の増加等を見据え、外国人を含む誰もが安心して快適に移動できる交通体系を目指すことが必要であります。東京では、高密度で安全な鉄道ネットワークが形成されていますが、ターミナル駅における乗りかえ等は、利用者にとって使いづらいと考えます。
 例えば、外国人にとって一番人気のあるまち、世界一の乗降者数を誇る新宿ターミナル、新宿駅においては、二〇二〇年度までに東西自由通路が整備されますが、新宿大ガードの下で東西を結ぶ地下歩行者通路が整備されていないため、東側の西武新宿駅やサブナード等と都営大江戸線新宿西口駅やJR新宿駅西口方面との間の移動が大変困難となっております。また、乗りかえ動線上に案内サインが連続して設置されていない箇所があり、各路線の乗り場も見つけづらくなっております。
 この新宿駅周辺では、東西自由通路の供用開始を見据え、世界に魅力を発信し、未来に向かって発展し続けるにぎわい都市新宿の実現に向け、地元新宿区が新宿再整備へのリーディングプロジェクトを始めると聞いております。
 都では、先月に東京の総合的な交通政策のあり方検討会が取りまとまり、交通結節機能の充実について提言されました。
 今後は、新宿を初めとするターミナル駅について、地元区と連携し、利用者の視点から、わかりやすい、使いやすいものへと改善していく段階と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、多摩地域の道路整備について伺います。
 首都圏三環状道路を初めとする高速道路ネットワークの構築は、東京の国際競争力を強化する上でも必要不可欠であります。本年三月七日には、中央環状品川線が開通し、三環状道路で初めてのリングが完成いたします。
 また、多摩地域でも、昨年圏央道を介して、中央自動車道と東名高速が結ばれ、外環ではトンネル工事に着手するなど、事業がいよいよ本格化しております。高速道路ネットワークの充実は、区部を初めとする都内の渋滞緩和に効果を発揮するだけではなく、多摩地域の一層の発展にも大きく寄与するものと期待されております。
 多摩地域における機能的な都市活動と快適な都民生活を支えるためには、こうした道路ネットワークの一層の強化が重要であり、高速道路だけでなく、昨日の我が党の代表質問に対する答弁にあったとおり、府中所沢線や調布保谷線を初めとした多摩南北道路の骨格幹線道路や、都県境をまたぐ幹線道路の整備が進められております。
 一方、高速道路や幹線道路の整備だけではなく、これらを有機的に連携させる方策も重要であります。インターチェンジ間隔が長い区間にETC専用のスマートインターチェンジを増設するなど、既存道路の機能強化や有効活用が求められ、都内では、府中や八王子でスマートインターチェンジ事業が進められております。
 このような状況の中、三月七日に都内初のスマートインターチェンジとして、調布と国立府中のインターチェンジ間に、新たに山梨方面への府中スマートインターチェンジが開通いたします。府中市はもとより、私の地元であります小平市など、北多摩地域への効果が大いに期待されるところでございます。
 そこで、府中スマートインターチェンジに関するこれまでの取り組みとその整備効果について伺います。
 次に、都市農業における畜産振興について伺います。
 東京では、ブランド豚トウキョウXや東京しゃも、東京牛乳など、多様なブランド畜産品や加工品が生産され、都民の食卓を豊かにしております。
 知事は、オリンピック・パラリンピックで、都内産の食材を大いに活用し東京の魅力を発信していくと発言されており、我が党が代表質問で取り上げました、これらブランド畜産物の生産拡大についても、来年度から青梅畜産センターの改修に着手するとの答弁をいただきました。
 一方、価格の低迷や餌となる飼料の高騰といったコスト上昇、担い手の高齢化などにより、都内の畜産農家は厳しい経営環境が続いております。
 そこで、青梅畜産センターの改修に当たっては、ブランド畜産物の生産拡大はもとより、こうした課題にも幅広く対応できる、東京の畜産振興の拠点となるよう再整備を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、プレミアムつき商品券等を活用した地域活性化、消費喚起について伺います。
 国では、個人消費等の弱さを解消し、経済の好循環を確かなものとするため、昨年十二月には緊急経済対策を取りまとめ、本年二月には平成二十六年度補正予算が成立をいたしました。
 この経済対策では、地方公共団体が実施するプレミアムつき商品券の発行など、地域における消費喚起策などに対し、国が交付金で支援することとしております。
 この交付金を活用して、例えば、現金一万円で一万二千円分のプレミアムつき商品券を購入できる仕組みとすると、行政が支援するプレミアム分の二千円に対し、五倍程度の直接的な消費が喚起されます。
 また、この商品券を利用して、地域の商店街などにおける商品購入やサービスの享受といった消費が拡大することで、地域経済の活性化も大いに期待されるところでございます。
 プレミアムつき商品券はこのようなメリットがある一方で、私の地元、小平市でも以前に発行したことがありますが、手続には相当な手間がかかると聞いております。商品券の偽造防止策、商品券の販売場所や利用できる店舗の選定、使用済み商品券と現金の換金方法など、さまざまな手続が必要であり、これまで商品券を発行したことがない区市町村ではなおのこと、円滑な発行に不安があると思います。
 そこで都は、都内全域の速やかな消費喚起を図るため、この交付金を有効に活用し、区市町村の取り組みを後押しするとともに、これまで商品券等を発行したことがない区市町村に対するきめ細かい支援も必要と考えますが、見解を伺います。
 次に、都立神代植物公園における海外との技術協力について伺います。
 神代植物公園は、五千株を超えるバラを初め、桜やツバキなど約四千八百種類、十万本に及ぶ植物を栽培し、年間約七十万人が来園する日本を代表する植物公園であります。
 都は、本年一月、神代植物公園と南米チリ国立植物園との間において、技術協力に関する協定を締結したと発表いたしました。チリ共和国は、太平洋とアンデス山脈に囲まれた南北約四千キロメートルに広がり、砂漠や高山を含め、亜熱帯から冷帯まで、多様な気候帯を持つ国と聞いております。
 チリ国立植物園は、首都サンティアゴの北西にある沿岸都市ビーニャ・デル・マルに位置し、この多様な気候帯に育まれる約一千四百種の植物を保有する約四百ヘクタールもの広大な敷地に恵まれたチリ唯一の国立植物園であるとのことでございます。
 今回はチリ共和国ということで、知事が都市外交を重視している中、このような、都が持つ技術を生かした取り組みは大変有意義であると考えます。
 そこで、今回の協定に基づき、チリ国立植物園とどのような技術交流を行うのか伺います。
 最後に、多摩地区の水道事業について伺います。
 多摩地区の水道施設は、これまで市町が水道事業を運営していた時代に整備され、市町域を越えた配水管網が不十分であることなどから、災害時の施設への影響を考えると、区部に比べて大変脆弱な状態にあります。
 長年にわたる市町への事務委託が完全に解消されたことで、災害や断水などのバックアップ機能施設のレベルアップに本格的に取り組む必要があります。
 そこで最後に、具体的な取り組み状況を伺います。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 高橋信博議員の一般質問にお答えいたします。
 横田基地の活用についてでございますが、横田基地の共用化は、首都圏西部地域の航空利便性の向上とともに、多摩地域の活力を引き出し、地域の活性化や産業の振興に資するものであります。この問題は、外交、安全保障にかかわることから、国と連携していくことが不可欠でございます。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催によりまして、外国人旅行者などの増加が見込まれ、多摩にとっても大勢の人々を迎える機会となります。このことを契機に、国との連携を強化し、地元の声も聞きながら、多摩地域の発展に資するよう共用化の実現に向けて取り組んでまいります。
 そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長が答弁いたします。
   〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、府中スマートインターチェンジについてでございますが、スマートインターチェンジは、ETC搭載車に利用を限定し、高速道路の既存スペースなどを活用することで、コンパクトかつ低コストで設置できる施設でございます。
 都は、中央自動車道へのアクセス強化による利便性の向上を図るため、府中市、中日本高速道路株式会社とともに府中スマートインターチェンジの整備を進めてまいりました。
 この施設は、用地を取得することなく府中バス停の合流車線やのり面などを活用し、短期間で整備した八王子方面の出入り口でございます。隣接する新宿方面への稲城インターチェンジと相互に補完しフルインターとしての機能を果たすことから、北多摩や南多摩地域の利便性が格段に向上すると考えてございます。
 引き続き、多摩地域の魅力と活力を高め、一層の発展に寄与する道路交通ネットワークの充実を図ってまいります。
 次に、都とチリ国立植物園との技術交流についてでございますが、都は、植物園や文化財庭園における幅広い専門知識と豊富な経験に基づき、植物の栽培や日本庭園の造営に関する高度な技術を培ってまいりました。
 この技術を生かし、チリ国立植物園が日本庭園を造営するに当たって、都は、池や樹木の配置など、庭園のデザインや植栽の管理等に関する技術協力を行ってまいります。また、神代植物公園大温室の改築にあわせ、アルストロメリアなど百種程度のチリ産の植物を導入し、南半球の植物への理解を深められるよう展示の拡充を進めてまいります。
 二〇一七年には両国の国交樹立百二十周年を迎えることから、この技術交流を契機に両植物園の発展を図るとともに、東京とチリとを結ぶ新たな人と人との交流を生み出す礎となるよう、引き続き着実な取り組みを重ねてまいります。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) ターミナル駅の利便性向上についてでございますが、複数の鉄道やバスなどが乗り入れるターミナル駅では、交通機関を乗り継ぐ際に、経路の途中に段差があること、案内サインが途切れてわかりにくいことなどの課題がございます。
 このため、交通事業者や施設管理者などの垣根を超えて、高齢者や外国人旅行者を含む誰もが利用しやすくなるよう、ターミナル駅の改善に取り組むことが重要でございます。
 渋谷駅や浜松町駅では、こうした観点を含め、都市再生と連携した鉄道施設の改善を進めているところでございます。また、新宿駅でも、協議会を設置し、東西自由通路整備後の駅の望ましい姿を見据えまして、区とも連携し、乗りかえルートのバリアフリー化、案内サインの連続性確保や表示内容の統一等を進めてまいります。
 同様の取り組みを他のターミナル駅にも拡大いたしまして、利用者の視点に立って安全で使いやすい交通体系を実現してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、青梅畜産センターの再整備についてでございます。
 経営規模の小さい東京の畜産業におきましては、大消費地の立地を生かし、ブランド化や加工品開発等により付加価値を高めるなど、収益性の高い経営展開が必要でございます。
 このため、畜産農家には、ブランド畜産物の生産拡大や加工の推進、飼料コストの削減、担い手の育成などの取り組みが求められておりますが、現在の青梅畜産センターには、こうした課題に応える機能が十分備わっていないのが現状でございます。
 そこで都は、来年度から畜産センターの改修に着手し、トウキョウXや東京しゃもなどブランド畜産物の飼育スペースを拡張し、生産の大幅な拡大を図るほか、新たに、畜産物の加工施設や飼料を低価格で供給する施設、飼育技術の向上を図る研修施設を併設するなど、センターが東京の畜産振興の総合的な拠点となるよう再整備をしてまいります。
 次に、プレミアムつき商品券等についてでございますが、今般の国の補正予算における都と区市町村への交付金の活用につきましては、都としても、高い消費喚起効果が図られるよう、区市町村の取り組みを支援することが必要と考えております。
 そのため、都は、区市町村がプレミアムつき商品券等を発行する際に、都に対する交付金を活用して補助を行うことにより、商品券等の発行数やプレミアム率の拡大を図ることといたしました。
 さらに、本事業を速やかに実施し、早期の消費喚起を図っていくため、今年度中に補助金の交付決定を行う考えでございます。
 また、これまで発行実績のない区市町村等に対し、発行の仕組みや手続に関する研修、個別相談をきめ細かく実施して、商品券等の円滑な発行を支援してまいります。
   〔水道局長吉田永君登壇〕

○水道局長(吉田永君) 多摩地区の水道施設整備の取り組み状況についてでありますが、震災時や事故時におけるバックアップ機能を確保するため、広域的なネットワークの構築を順次進めており、今年度は、基幹施設である拝島給水所と聖ヶ丘給水所を結ぶ直径一・五メートルの多摩丘陵幹線が全線完成する予定でございます。また、市町域を越えた配水管網の整備も積極的に進めております。
 さらに、給水所などにつきましては、老朽化が進行し配水池容量が不足している施設から優先的に更新や整備に取り組んでおり、今年度から新たに多摩北部地域の拠点となる給水所の設計に着手しております。
 こうした取り組みを着実に推進することで、広域水道としてのメリットを発揮し、多摩地区の給水安定性を向上させてまいります。

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