平成二十七年東京都議会会議録第三号

○議長(高島なおき君) 八十七番秋田一郎君
   〔八十七番秋田一郎君登壇〕

○八十七番(秋田一郎君) 私からは、東京都議会議員の目線、子供の目線、外国人の目線の三つの視点から質問をします。
 国は、平成二十年度に法人事業税の暫定措置を導入し、平成二十六年度には法人住民税の一部を国税化するなど、たび重なる税制度の不合理な変更を行ってきました。
 こうした一連の措置の底流には、大都市は悪者で地方は被害者だという極めて短絡的な二元論的思想がかいま見え、問題の本質をゆがめています。
 かつてイギリスのサッチャー元首相は、金持ちを貧乏にしたところで、貧しい人が金持ちになるわけではないといいましたが、私は、東京を貧乏にしたところで地方が豊かになるわけではないと強調しておきます。
 実際、この数年間、国は東京から財源を奪い続けましたが、その結果、地方が豊かになったという話は聞いたことがありません。大都市から財源を収奪し地方に配分するやり方は、サッチャーの言葉のとおり問題の根本的解決にはつながりません。
 東京都は、わずか十六年前には財政再建団体に転落寸前、倒産寸前でした。平成十一年度から六年間、まさに血のにじむような努力を重ね、現在の財政基盤を構築したのであり、今でも財政的に余裕があるわけではありません。
 経済の比重は、発展に伴い第一次産業から第二次、さらに第三次産業へと移っていくのが世界の潮流です。第三次産業の活動の中心地である都市の活力が各国全体の繁栄を支えています。日本経済を牽引する東京から財源を奪うことは、国全体の衰退を意味します。
 日本経済再興の兆しが見えつつある今だからこそ、真の地方自治の確立と日本全体の活性化に向け、あるべき地方税財政制度をしっかりと主張していくとともに、国の不合理な動きには強力に対抗していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、子供の目線から伺います。
 子供は社会に対して不満や意見があっても、大人のように役所に電話をしたり、政治家に意見をいったり、究極的には投票という形でみずからの意思を形にする場がありません。だからこそ、私たち大人は子供の立場に立つ必要があるのではないか、そんな視点から伺います。
 今回の環境確保条例の改正についてまず強調しておきたいのは、多くの人が誤解をしているような、子供の声なら野方図に何でも認めるというものではありません。音というものを考えると、例えば鳥の声、波の音、あるいは好きな音楽はとても心地のよいものです。しかし、それもある一定以上の音量になればどうでしょう。うるさい騒音に感じるのではないのでしょうか。
 一方、工事の音や工場から出る音はどうでしょう。心地よいと感じる人はまれなのではないのでしょうか。まさにそれ自体が騒音です。
 今回の改正は、工事の音や工場が発する音と同列に扱われている子供の声を普通の声として捉える、そういう改正です。子供からすれば、自分たちの声が工事の音と一緒にされていると知ったらどう思うでしょう。
 そこでまず、知事に条例改正に係る基本的考え方を伺います。
 現在、条例に基づく騒音に関する事務は区市に移譲されており、苦情相談は区市が担っています。条例改正案を実効性あるものとし、騒音問題の解決を図っていくためには、保育園、幼稚園等の施設管理者と周辺住民が向き合っていけるよう、都が区市を支援すべきと考えます。都の見解を伺います。
 さて、大人はよく、ゲームばかりやっていないで外で遊んできなさいよといいます。しかし、子供からすれば一体どこで遊べばいいのでしょう。私たちが子供のころとは異なり、道端でキャッチボールをしたり、公園で自由に遊ぶことはできません。規制ばかりだからです。せめて公園では子供が伸び伸びと遊べるようにできないのでしょうか。
 都は今月、十年ぶりにパークマネジメントマスタープランの改定案を発表しましたが、子供の健全な育成のために、都立公園をどのように活用していくのか伺います。
 また、この改定案において、保育所やスポーツ関連施設等の設置を誘導する仕組みの構築の必要性が説かれています。都立公園への保育所等の設置をどのように進めていくのか伺います。
 次に、外国人の目線から伺います。
 昨年の訪日外国人旅行者は過去最高の千三百万人を超え、その消費額は二兆円の大台を突破しました。観光産業全体のGDPに占める割合は、あの自動車産業を超えるとの試算もあり、日本が最も注力すべき産業分野です。
 さて、私たちが、例えばイギリスやフランスを訪れる際に、最初に訪れるまちはどこでしょう。まずはロンドンであり、パリに行くのではないのでしょうか。ロンドンやパリの印象がよければ、さらに違う地域にも足を運ぶ。
 同様に日本の場合、外国人が最初に訪れるのは東京であり、その東京の印象がよければ他の道府県にも回遊をしてくれる。日本全国にあらゆる効果を波及させるべく、東京は率先して外国人に便利な環境づくりに取り組まなければなりません。
 海外に比べ不足しているのが観光案内所です。私は飛行機をおりたら、まず空港内の観光案内所に行きます。観光スポットを訪れる際にも駅や停留所の観光案内所に行き、いろいろなことを聞き、さまざまなパンフレットをもらいます。快適な旅行には、駅、バスターミナルといった交通拠点に設置された観光案内所の充実が不可欠です。
 都は、観光案内所に求められる基本的機能を備えたフォーマットを明らかにした上で、鉄道事業者等の民間事業者と連携して観光案内所の充実に一刻も早く取り組むべきと考えます。見解を伺います。
 旅行者の誰もが利用するのが鉄道やバス等の乗り物です。特に都営地下鉄は羽田空港や成田空港と接続している路線もあり、目的地までの行き方などを尋ねられる機会がふえると思われます。
 より複雑な問い合わせや英語以外の言語については、新たなタブレット端末アプリなどが開発されており、これらの活用を含めて、都営地下鉄では、職員が外国人旅行者への案内サービスの充実を図るために、どのような取り組みを行っていくのか見解を伺います。
 現代の旅行者がまち中でさまざまな形でよく利用するのは無料Wi-Fiです。しかし、民間事業者の無料Wi-Fiは各施設内でのサービスに限定されており、駅やバスターミナルといった交通拠点から各地の観光スポットへ移動する間のアクセスポイントは未整備なのが現状です。
 利用者にとって使いやすい無料Wi-Fiの利用環境を整えていくため、各交通拠点と観光スポットを結ぶまち中でのアクセスポイントなど、旅行者の動線上のアンテナ整備をどのように進めていくのか、今後の具体的な取り組みについて伺います。
 さて、海外を旅行すると、用意した現地通貨が足りなくなることが誰にもあると思います。そんなときに便利なのが海外発行カードに対応したATMです。
 郵便局や一部コンビニでは、海外発行カードで現金を引き出すことができるATMを既に設置していますが、外国人旅行者には、どこに設置されているかわからないそうです。旅行者が一目で海外対応のATMとわかる共通マークを作成するなど、ATMの設置場所などについて、わかりやすい情報提供に取り組むべきです。都の見解を伺います。
 ところで、例えば外国人が道に迷っているときに、もし助けてもらったらどう思うでしょう。日本人の印象は格段によくなると思います。我々議員も、都職員も英語などの語学力を高め、オール東京都で外国人を迎えるべきだと思います。
 また、東京の魅力を海外に向けて効果的に発信するなど、外国人観光客の増加や海外企業の誘致に向けた事業を積極的に展開できる人材も必要です。
 そこで、都職員の語学力向上のための具体的な取り組みについて伺います。
 また、二〇二〇年には、世界中から多くの選手や大会関係者、さらなる観光客が来日します。私たちが海外で日本人の通訳や、あるいは日本語にたけた外国人だと安心するように、在日外国人や外国語大学の学生を語学ボランティアとして活用してはどうか、都の見解を伺います。
 最後に、文化振興について伺います。
 日本が今後百年、世界で一定の影響力を維持するのに最も必要なものは何かと問われれば、私は文化の力だと答えます。そして、そのモデルとすべきはフランスだと考えます。
 フランスは、現在のアメリカや、かつての大英帝国、古くはローマ帝国のように、世界の覇権を握ったことはありません。にもかかわらず、世界で確固たる地位を築き、特に世界中の女性から羨望のまなざしで見られています。
 その根源は何かと考えると、ファッションやグルメ、あるいはフランスが醸し出す芸術的な雰囲気なのではないのでしょうか。文化の力こそがフランスの国力の源泉だと考えます。
 一方、世界的な旅行サイト、トリップアドバイザーの世界の旅行者が選ぶ都市ランキングでは、東京は堂々、総合順位で一位になりながらも、文化に対する評価は十一位です。
 そこで、芸術に造詣が深い知事だからこそ、ぜひ考えてほしいことがあります。
 美術に興味がなくても、多くの旅行者がフランスに行ったらルーブル美術館、ロンドンなら大英博物館、ニューヨークはメトロポリタンに必ず行くと思います。しかし、日本には世界的な美術館、博物館はありません。世界の美術館、博物館来場者数ランキングでは、東京国立博物館が二十八位に顔を出すだけです。
 東京にもよい展示物はあります。東京国立博物館には多数の国宝が眠り、東京都現代美術館には村上隆や草間弥生がある。民間の美術館にも、浮世絵などすばらしい作品があります。ところが、これらが東京中に散らばっているのです。
 文化の力で世界に伍していくためにも、将来的には東京中のすぐれた作品を一つの施設に集約することをぜひ知事にご一考いただきたいと思います。
 もちろん、こうした集約は一朝一夕でできるものではありません。東京文化ビジョンでは、文化拠点の魅力向上を掲げており、日本を代表する美術館や博物館が集積した上野「文化の杜」を文化拠点として掲げています。
 そこで、まずはこの上野「文化の杜」を集約の第一段階とし、東京を代表する文化拠点としての魅力を高め、世界に向けて発信すべきと思いますが、知事の見解を伺います。
 また、上野「文化の杜」が美術の拠点となるよう、その中核を担う東京都美術館の機能を一層生かしていくべきと考えます。
 見解を伺い私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 秋田一郎議員の一般質問にお答えいたします。
 あるべき地方税財政制度についてでございますが、国と地方の歳出比率と税収比率が逆転する中、かつて三位一体の改革において、地方自治体はみずからの権限と財源に基づいて行財政を行うという真の地方自治を求めて、一丸となって国と戦った歴史がございます。
 しかしながら、この改革は結果として地方交付税の削減と地方財政の困窮を招きました。その後、地方から国に権限と財源を求める動きは影を潜める一方で、東京ひとり勝ち論が強まり、不合理な偏在是正の動きにつながったことを我々はしっかりと記憶しておかなければなりません。
 あるべき方向は、今も当時と本質的には変わっていないと思います。地方自治の根幹は、みずからの権限と財源により、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を目指していくことでありまして、そのためには、国から地方へ権限と財源を移譲していくことが不可欠であります。地方法人課税の偏在是正措置は、こうした方向とは全く相入れないものであります。
 国を挙げて地方再生に取り組もうとしている今こそ、改めて地方自治の原点に立ち返り、都市と地方がともに栄える地方税財政制度の実現に向けて、都議会の皆様を初め、都内区市町村や志を一にする他の自治体と手を携えて全力で取り組んでまいります。
 次に、子供の声をめぐる条例改正の考え方についてでございますが、環境確保条例では、都民が公害被害を受けない権利を有すると同時に、騒音等の公害を発生させる原因とならない義務を負うという理念から、何人の音も規制の対象としております。
 しかし、乳幼児は遊びを通じて成長するものでありまして、安心して子供を産み育てるためには、子供が楽しく体を動かし声を出せる環境を社会全体で確保していく必要があります。
 このため、今回、子供の声の規制について、次代の社会を担う子供一人一人の健やかな成長、育成にも配慮しつつ、話し合いやコミュニケーションを通じて騒音問題の解決に資する制度とするよう、単に数値で規制するのではなく、受忍限度で判断する規制へと見直すことといたしました。
 ドイツ語の格言に、子供たちの騒音は将来の音楽という言葉があります。今回の条例改正が、地域全体で子供の成長を見守る環境の形成につながることを期待しております。
 上野「文化の杜」の魅力向上と発信についてでございますが、東京文化ビジョン素案では、芸術文化を成長の柱として位置づけ、ロンドンやパリと同様、文化の力を活用して、東京の魅力向上と経済の活性化につなげることを理念として掲げております。
 上野地区には、東京都美術館や東京国立博物館など、多くの個性あふれる文化施設が存在し、文化資源の集積は、ロンドンやパリと比べても遜色はございません。これらは同じ公園内にあり、あたかも巨大な一つの美術館ともいえ、海外からさらに多くの観光客を集める可能性を秘めております。
 このため、都や国、民間、東京芸術大学は、上野「文化の杜」新構想推進会議を設置し、それぞれの施設が保有する文化資源の潜在力を顕在化させ、上野を年間三千万人が集まる魅力的なエリアとするよう、現在、方策の検討を進めております。
 都としては、まず各施設の情報を集約した情報ポータルサイトにおける海外発信や、外国人観光客の利便性を高めるために、ICカードを使った共通パスの仕組みなどを導入し、地区全体の魅力を高めてまいります。
 今後、こうした取り組みを上野地区における関係機関と連携を強め展開することによって、世界に冠たる文化拠点を目指してまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立公園における子供の健全育成についてでございますが、パークマネジメントマスタープランの改定案では、子供が野外体験や里山体験、屋外での運動などを通じ、元気に活動できる場として、都立公園を活用していくことが重要であるとしております。
 具体的には、木登りや泥遊びなど、子供たちが自由に遊べるプレーパーク事業や、田んぼづくり、生き物に触れることができる体験教室などに取り組むこととしております。
 また、本年一月から手軽にスポーツを楽しめる新たな取り組みとして、プロ野球チームの協力を得て、小学生以下とその家族を対象にキャッチボール用具の貸し出しを始めました。
 今後とも、このような取り組みの拡大に努め、緑豊かな環境の中で、次世代を担う子供たちが健やかに成長できるような公園の利用を推進してまいります。
 次に、都立公園への保育所等の設置についてでございますが、都立公園は多様な活用ができる都市のインフラとして大きな可能性を有しており、都は現在、子育て支援のための保育所や都民の利便性の向上を図るためのレストラン、スポーツ関連施設などの導入について検討をしております。
 具体的には、保育所やレストランなどの事業者へのヒアリング調査を行うとともに、関係局や区の意見を聞きながら、都立公園をモデルに事業スキームの構築を進めております。
 都市公園の面積を減らすことなく、貴重な緑を守ることはもちろん、国に法令改正などの働きかけを行いながら、これまでにない知恵と発想で、現代の都市生活に見合った公園づくりに向け、多面的な活用を誘導する仕組みを構築してまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

○環境局長(長谷川明君) 子供の声に関する条例改正に係る区市への支援についてでございますが、環境確保条例に基づく事務のうち、騒音など地域の生活環境に密着した問題については区市に事務を移譲しており、子供の声をめぐる苦情相談につきましても、区市の担当者が保育所等の施設管理者と近隣住民の間に入り、問題の解決に努めてきております。
 今般の見直しに当たって、都は昨年秋以降、区市に対して見直しの考え方を数次にわたり説明し、意見交換するなど、丁寧に協議を重ねてまいりました。
 今回の改正では、子供や保育者の声等に関して、数値規制から受忍限度で判断するよう見直すことから、その判断を行う区市が着実に業務を執行できるよう、判断の目安を示したり、区市からの個別の相談にも的確にお応えするなど、最大限の支援を行ってまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、観光案内所についてでございますが、外国人旅行者が迷うことなく安心して観光を楽しむために、観光案内所の果たす役割は大きく、その充実を図ることは重要でございます。
 これまで都は、みずから設置する東京観光情報センターに加え、民間事業者等の案内窓口を観光案内所として活用し、さまざまな情報を提供してまいりました。
 今後、民間事業者等との連携を一層強化し、都内全域で観光案内機能の向上を図るため、来年度は、観光案内所として活用可能な施設について、今後の整備予定も含め調査するとともに、外国人旅行者へのヒアリングを行い、必要なサービスについて検討を進めてまいります。
 この結果を踏まえ、観光案内所の設置拡大や機能強化を進め、量と質両面の充実に向けて取り組んでまいります。
 次に、無料Wi-Fiの整備についてでありますが、まち中での無料Wi-Fiの整備は、外国人旅行者の移動中の情報収集や発信を容易にし、利便性を高めるために重要でございます。
 このため、都は、外国人旅行者が多く訪れるエリアにおいて、主要駅と旅行者の主な目的地を結ぶ動線上のアンテナ整備に、二〇二〇年に向けて集中的に取り組むこととし、まずは来年度、新宿と上野から着手いたします。
 これに加え、旅行者のニーズや地域の特性などに応じ、まち中等で無料Wi-Fiの整備を進めようとする区市町村の取り組みを支援いたします。
 外国人旅行者の目線に立った整備を進め、旅行者がストレスを感じることなく無料Wi-Fiに接続できる環境を整えてまいります。
 最後に、海外対応ATMの情報提供についてでございますが、国の調査によりますと、外国人旅行者が不満に感じることの一つに、海外発行のクレジットカードが利用できるATMを見つけにくいことが挙げられております。
 都は、旅行者の利便性向上のため、東京の観光公式サイト等で、ATMが設置されている場所や利用可能な時間帯などの情報を提供してまいりました。
 これに加え、今年度、海外発行のカードに対応したATMを示すピクトグラムを作成し、今後、都や区市町村が整備する観光案内標識に表示するとともに、ATMを設置する事業者にピクトグラムの掲出を働きかけてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、外国人旅行者の快適な滞在を支える環境整備を推進してまいります。
   〔交通局長新田洋平君登壇〕

○交通局長(新田洋平君) 都営地下鉄職員の外国人旅行者への案内サービスの充実についてでございますが、都営地下鉄ではこれまで、基本的なご案内を英語でもできるよう、駅係員に対する英会話研修を行ってまいりましたが、来年度から、研修の対象となる職層、職種をさらに拡大するなど、充実を図ってまいります。
 また、各駅におきましては、忘れ物や乗りかえ案内等、駅の実情に合わせた新たな対応マニュアルを作成し、これに基づくOJTを今年度から実施しておりまして、より実践的な対応力の向上を図っております。
 さらに、お話のタブレット端末につきましては、現在、各種翻訳アプリや地図アプリの有効性を多面的に検証しており、その結果を踏まえ、端末の配備を拡充してまいります。
 今後とも、こうした取り組みを積極的に進め、おもてなし最前線の役割を果たしてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 都職員の語学力向上の取り組みについてでございますが、これまで都は、国際業務を担う人材を育成するため、選抜によるアメリカの大学院への派遣や英会話の個別指導のほか、希望者への語学学校や通信教育の受講支援など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 しかし、オリンピック・パラリンピック大会の開催準備はもとより、さまざまな職場で、海外との高度な調整や外国人との応対が日常化しており、職員総体の国際対応力の一層の強化が求められています。
 こうした観点から、従来の取り組みに加え、若手職員を対象として、英語力を含む国際感覚や教養を兼ね備えた都庁国際化リーダーを、当面、平成二十七年度から五年間で千人育成いたします。
 この取り組みを柱として、各局独自の研修や職員の自己啓発をより効果的に組み合わせ、大会終了後も国際業務を支える人材を幅広く育成し、活用してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二〇二〇年大会のボランティアについてでございますが、世界中から東京を訪れる選手や大会関係者、観客をおもてなしする上で、さまざまな言語に対応するボランティアの活躍が必要不可欠でございます。
 先日実施されました東京マラソン二〇一五では、二百人以上の多言語対応のボランティアがインフォメーションブースなどで外国人ランナーをサポートいたしました。このような経験やノウハウを生かしながら、来年度設置いたします連絡協議会のメンバーとして、東京マラソン財団のほか、在日外国人の方や外国語大学などの関係機関に参画していただきまして、語学ボランティアの育成や活用を検討してまいります。
 こうした取り組みなどを通じまして、来訪者が言葉のバリアフリーを実感し、東京の滞在を楽しめる環境を整備してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 東京都美術館の機能強化についてでありますが、東京都美術館は、全ての人に開かれたアートの入り口となることが期待されており、企画展と約二百六十の美術団体による公募展を合わせた来館者が年間二百四十万人を超え、都立文化施設の中でも最も集客力が高い施設でございます。
 また、美術館と東京藝術大学が推進役となって、徒歩圏内に集積する文化施設を子供たちがめぐり学ぶなど、地域の施設と連携したプログラムを実施することで、作品の鑑賞にとどまらず、体験型のアートに親しむ環境整備に取り組んでおります。
 今後、上野地区の文化施設のネットワークをさらに強化し、世界と日本の名品を集めた展覧会の開催や美術団体の発表の場の提供、参加型プログラムの展開によりまして、日本を代表する芸術文化拠点の一翼を担う美術館として、芸術文化の魅力を内外に力強く発信してまいります。

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