平成二十七年東京都議会会議録第三号

   午後一時開議

○議長(高島なおき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(高島なおき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(高島なおき君) 昨日に引き続き質問を行います。
 九十四番高橋かずみ君
   〔九十四番高橋かずみ君登壇〕

○九十四番(高橋かずみ君) 直面する都政の課題について質問をいたします。都知事並びに関係局長の誠意ある答弁をお願いいたします。
 まず最初に、環境エネルギー政策についてお尋ねいたします。
 昨年十二月、燃料電池車が市場に投入されると同時に、練馬区に都内第一号の水素ステーションが開設しました。いよいよ水素社会の幕あけであります。水素エネルギーは、利用の段階で一切CO2を排出せず、環境負荷の低減につながります。また、さまざまな資源から製造でき、エネルギー構造の変革につながる次世代エネルギーとして期待されています。
 さらに、燃料電池に加え、燃料電池車やバスは非常用電源ともなり、水素をまちづくりに組み込むことにより、環境に優しく災害に強い都市を実現できます。
 都は、我が党の提案に基づき、水素社会の実現に向けた戦略目標や取り組みをまとめ、長期ビジョンに反映させました。また、初期需要の創出やインフラ整備に向けた経費をいち早く補正予算で措置し、二〇二〇年度までに必要な経費を来年度予算案にも計上している点は高く評価できます。
 オリンピック・パラリンピックでの水素利活用に向けた環境を整備するためには、市場を先導するような施策を展開すべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
 また、水素社会を実現するためには、自動車だけでなく、バスの普及も必要であります。大消費地である東京で推進することで、水素需要の創出にもつながります。
 メーカーの市場投入が平成二十八年度といわれていますが、都としてどのように取り組んでいくのか見解を伺います。
 さらに、水素社会の幕あけを着実なものとするためにも、水素ステーションの整備が不可欠であります。
 都は、二〇二〇年までに三十五カ所整備することとしていますが、整備に当たっては、ガソリンスタンドなどの既存のインフラの活用も図るべきであります。とりわけ都内で多くを占める中小ガソリンスタンドの果たす役割も重要であります。意欲があるにもかかわらず、規制などにより参入できないガソリンスタンドが存在することも事実であります。
 こうした点を踏まえ、都はどのように水素ステーション整備を進めていくのか、都の見解を伺います。
 次に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会についてお尋ねいたします。
 我が党は、政策提言で、二〇二〇年に向けた多言語対応の官民一体による推進を通じ、外国人旅行者の円滑な移動、快適な滞在環境の実現を訴えてまいりました。今回の予算案には我が党の提言が十分に反映されており、今後の具体化に期待いたします。
 オリンピック・パラリンピック開催都市として、都みずから率先した取り組みも必要でありますが、大会観戦とともに日本全国の名所旧跡を訪れる外国人旅行者も多いはずであります。こうした旅行者がどこへ行っても、我が国のすばらしいおもてなしを実感できるようにすることが重要であります。
 そのため、他の自治体や民間と連携して全国へ多言語対応の取り組みを広げ、オールジャパンで外国人の受け入れ環境を整備していく必要があります。
 そうした中、言葉の不自由さを解決するツールの一つとして、ICT、情報通信技術が注目されています。翻訳アプリやデジタルサイネージなどのICTは近年飛躍的に進化しており、多言語対応の推進に大きく寄与するものと考えます。
 こうしたICTも含めた多言語対応の全国への拡大について、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、都市基盤整備についてお尋ねいたします。
 東京は、半世紀前の東京オリンピック開催により、急速な経済成長とともに、社会基盤が整備され、国内外に存在感を示す世界有数の都市へと発展しました。
 バブル経済崩壊後、アジア有力都市の競争が激化する中、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックは、東京を世界一の都市へと変貌させる絶好の機会であります。高度な機能が集積している拠点同士を連携させることで、東京の国際競争力が一層強化されていくものと考えます。
 そのため、首都圏の高速道路ネットワーク強化は必要不可欠であります。とりわけ首都圏三環状道路は渋滞解消や環境改善だけでなく、災害時に日本の東西交通の分断を防ぐなど、重要な機能を持つことが期待されています。
 昨年六月、圏央道の都内区間が完成し、関越道、中央道、東名高速が直接結ばれました。また、この三月には中央環状線の全線開通により、三環状道路で初めてのリングが完成します。残る外環についてでありますが、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックのためにも、大会開催までに開通させるべきであります。
 私は、かねてから、早期整備のために、トンネル工事を東名ジャンクション側だけではなく、大泉ジャンクション側からも行うべきと主張してきたところ、トンネル工事が両側から進められることになり、整備促進につながりました。
 一方、都議会では、外かく環状道路建設促進議員連盟を平成十三年に結成し、整備促進に向け、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 昨年七月には、議連役員として、国土交通大臣に二〇二〇年早期の供用開始と大深度地下より浅い地下空間を使用するための区分地上権に係る税制改正などについて、直接要望してきたところであります。
 これを受け、本年一月に閣議決定された税制改正大綱では、外環の区分地上権設定について、平成二十七年度から、ひとしく税控除が適用されることとなりました。今後、区分地上権の設定が円滑に進み、トンネル工事のさらなる促進につながるものと考えます。
 そこで、外環のトンネル工事を初めとした現在の状況と都の取り組みについて伺います。
 さらに、二〇二〇年以降の世界都市東京のさらなる発展を見据え、外環の東名ジャンクション以南についても、国際化された羽田空港に向かって計画化されることを強く要望しておきます。
 次に、連続立体交差事業についてお伺いいたします。
 東京の道路は、人や物の流れをスムーズにするとともに、東京の発展を支え、魅力ある都市空間を創出するために必要な都市基盤であります。
 一方で、道路交通のボトルネックとなっている踏切が都内にはいまだ千を超えて残されており、その数は世界の主要都市と比べて突出し、都市の活力や魅力の低下の一因となっています。
 物流の効率化やスムーズで安全な道路交通を実現し、東京が世界で一番の都市となるためには、複数の踏切を同時に除却する連続立体交差事業の推進が必要不可欠であります。
 また、連続立体交差事業とあわせてまちづくりが促進されることで、都市の利便性や安全性が向上します。
 そこで、連続立体交差事業の取り組みについて伺います。
 都では、都内の踏切の問題に対応するため、平成十六年に踏切対策基本方針を策定し、鉄道立体化の検討対象区間として二十区間を抽出しました。現在までに西武新宿線の中井駅から野方駅間、東村山駅付近など、三区間で連続立体交差事業に着手しています。
 西武新宿線は、これまでに連続立体交差事業が行われておらず、都内の鉄道の中でも、あかずの踏切が数多く残されている路線であり、待ちに待った事業の開始であります。
 私は、井荻から東伏見駅間においても、連続立体交差化による抜本的な対策が必要であると考え、その実現について、これまでも議会を初め、機会あるごとに都へ要望してきました。
 練馬区では、本年一月二十五日、区長が会長となり、西武新宿線立体化促進協議会の結成大会が開催され、私も出席いたしました。地元住民と練馬区は一体となって、井荻から東伏見駅間の西武新宿線立体化の早期実現と、外環ノ2を初めとした南北道路の整備等に合わせた沿線地域におけるまちづくりの推進を図るため、地域の力を結集して取り組んでいます。この大会の出席者は二百名を超えており、地元の方々の大きな期待を改めて実感しました。
 そこで、本区間における現在の検討状況について伺います。
 また、練馬区内で進められている西武池袋線練馬高野台駅から大泉学園駅間の連続立体交差事業については、本年一月に全線で高架化されました。これにより、西武池袋線は桜台駅から大泉学園駅までが連続立体交差化されたところでありますが、区内では大泉学園駅から保谷駅間も踏切対策基本方針の鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられています。
 この区間についても、鉄道の立体化は地域住民の悲願であり、早期に実現することを改めて強く要望しておきます。
 最後に、外環地上部の都市計画道路、いわゆる外環ノ2の西武新宿線上石神井駅付近の取り組みについてお伺いいたします。
 都市計画道路の整備率を見ると、区部では六割を超えたところでありますが、練馬区の西部地域では三割にも満たない極めて低い状況にあります。外環ノ2は、この地域になくてはならない南北道路であり、かねてから早期整備を訴えてきました。
 その訴えが実り、昨年十一月、外環ノ2の練馬区間は、他の区間に先駆けて都市計画変更されるまでに至りました。
 新しい外環ノ2の計画は、幅員二十二メートルの二車線道路となっており、植樹帯や自転車道が配置されるなど、人間優先の視点も重視されています。また、駅付近には駅前広場が配置され、地元の発意で区が取りまとめたまちづくり構想の内容を十分に反映したものになっております。
 一方、長年、まちづくりが進まなかった駅周辺地域では、外環ノ2の計画が決まったことが引き金となって、まちづくりが大きく飛躍し、地元の悲願である西武新宿線の立体化の検討が進むものと期待しております。
 その際、駅前の商店街が外環ノ2の計画線にかかっていることから、整備に当たっては、商店街の再生など、まちづくりにも配慮すべきと考えます。
 そこで、外環ノ2の上石神井駅付近について、都としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 これで私の一般質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 高橋かずみ議員の一般質問にお答えいたします。
 水素社会の実現に向けた取り組みについてでございますが、二〇二〇年はあくまで通過点でありまして、世界一の都市東京の実現に向け、私はオリンピック・パラリンピックを起爆剤として、水素社会というレガシーを後世に残したいと考えております。
 そのためには、事業者の意欲的な取り組みと新たな参入を促していくことが重要でありまして、昨年十一月、都はいち早くインフラ整備や燃料電池車の導入促進に関する独自の思い切った補助制度を公表いたしました。
 これによりまして、インフラ整備への新たな事業者の参入や燃料電池車の増産計画へとつながっておりまして、こうした動きを加速させるため、新年度予算案におきましても、燃料電池バスの導入促進策など、意欲的で先進的な施策を盛り込んでございます。
 加えまして、新たな基金を創設することで、水素社会の実現に向けた都の強い意欲を示すと同時に、継続的な取り組みを担保してまいります。
 また、これまでの戦略会議を推進会議に改組しまして、意欲ある新たな事業者の参画も得ながら、官民を挙げた取り組みを進めてまいります。
 こうした取り組みによりまして、東京が先導して、水素エネルギーの普及に道筋をつけ、日本の未来を切り開いていきたいと思っております。
 続きまして、多言語対応の推進についてでございますが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の開催時には、東京を訪れた外国人旅行者が気軽に日本各地へ足を延ばせるようにするなど、開催効果を全国へ波及させることが重要であります。
 そのためには、全国で受け入れ環境整備の柱であります多言語対応を官民挙げて推進し、言語のバリアフリーを実現することが不可欠であります。
 現在、都は、多言語対応協議会が策定しました取り組み方針を踏まえまして、官民一体でターミナル駅における表示、道路の案内サインや飲食店メニューなどの多言語対応に取り組んでおります。
 こうした取り組みを進める上で、ICTは技術革新が著しく、多言語対応の極めて有用なツールであります。そのため、先日の東京マラソンでも、ボランティアが翻訳アプリを活用して外国人ランナーの案内を行ったところでありまして、引き続き積極的な導入を図ってまいります。
 今後、このようなICTの活用を含みますハード、ソフトにわたる先進的な取り組み事例やノウハウを、多言語対応協議会や全国知事会を通じまして情報提供するなど、多言語対応の全国への拡大を進めてまいります。
 これらの取り組みを通じまして、言葉のバリアフリーを実現し、東京を外国人旅行者が快適に滞在できる都市とするとともに、二〇二〇年には世界中から訪れる旅行者に日本各地で最高のおもてなしを提供したいと思っております。
 なお、そのほかの質問については、東京都技監及び関係局長が答弁いたします。
   〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、外環の現在の状況と都の取り組みについてでございますが、外環は渋滞解消のみならず、国際競争力の強化や首都直下地震などに対する防災力の向上に資する重要な幹線道路であり、一刻も早く完成させる必要があります。
 国など事業者は、これまでに用地の約七割を取得するとともに、東名及び大泉ジャンクション両側から施工するトンネル工事に着手しており、事業が本格化してきてございます。
 また、都は、現在国から受託している大泉ジャンクション地域の用地を七三%取得しており、拡充された税制を追い風に、大深度地下よりも浅い空間を使用するための区分地上権の設定の折衝を一月から開始しております。
 引き続き、用地取得に鋭意取り組むとともに、国などに対し、二〇二〇年早期の開通に向け、スピード感を持って事業を推進するよう強く働きかけてまいります。
 次に、連続立体交差事業の取り組みについてでございますが、本事業は数多くの踏切を同時に除却することで、道路ネットワークの形成を促進し、交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化に資する極めて効果の高い事業でございます。
 現在、七路線十カ所で事業を進めており、今後、おおむね十年間で西武新宿線や京王線など、五十六カ所の踏切を除却いたします。
 また、事業を契機として、京急蒲田駅や調布駅などの駅周辺再開発や、高架下空間の活用などによるまちづくりを促進してまいります。
 さらに、六つの事業候補区間で調査を行う中で、JR埼京線十条駅付近において都市計画等の手続を進めるなど、新規の事業化に向けた取り組みを進めてまいります。
 今後とも、地元区市や鉄道事業者と連携しながら、連続立体交差事業をより一層推進してまいります。
 最後に、西武新宿線の井荻駅から東伏見駅間についてでございますが、この区間にはあかずの踏切が七カ所あり、都市計画道路が五カ所で交差するなど、鉄道立体化により大きな効果が得られるものと考えてございます。
 このため、都は、本区間を事業候補区間に位置づけ、現在、事業範囲や構造形式などの調査を実施するとともに、課題の把握を行うなど、事業化の可能性について検討しております。
 今後は、地元の熱意を受けとめ、周辺のまちづくりの動向などを勘案しながら、鉄道事業者と連携し、前向きに取り組んでまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

○環境局長(長谷川明君) 水素エネルギーに関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、燃料電池バスの普及についてでございますが、燃料電池バスの普及は輸送部門の環境負荷の低減や水素需要の創出の観点からも重要でございます。
 燃料電池バスは、現在、市販に向けた開発が進んでおりますが、高価格となることが予想されるため、来年度予算案にバス事業者が燃料電池バスを通常のバスと同程度の負担で導入できるよう、国の補助制度と連携した支援策を盛り込んでおります。
 これにより、普及初期段階でバス事業者の負担軽減を図ることで、より多くの事業者の参入を促し、燃料電池バスの市場導入を着実に誘導してまいります。
 さらに、市販に先立ち、来年度、路線バスの運行に必要な実証試験に向けて、関係者間で課題の検討を開始するなど、燃料電池バスの円滑な普及に取り組んでまいります。
 次に、水素ステーションの整備についてでございますが、水素ステーションの整備促進に向けては、中小事業者がその多くを担うガソリンスタンドなど、既存インフラの活用を図ることも重要でございます。
 このため、来年度、水素ステーション整備に必要な機器の技術開発の動向などについて調査を行い、既存のガソリンスタンドや狭小地での水素ステーション設置の可能性について検討し、事業者に情報提供を行ってまいります。
 また、公道との保安距離など、水素ステーションの整備促進に向けた規制の緩和を引き続き国に強く求めてまいります。
 こうした取り組みを進め、既存のインフラも活用した都内での水素ステーションの整備促進を図ってまいります。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 外環ノ2の上石神井駅付近における取り組みについてでございますが、外環ノ2の練馬区間については、平成二十二年に地域住民との話し合いの会を設置し、その後、三案の具体的な整備イメージを公表するなど、広く意見を聞きながら検討を進め、昨年十一月、都市計画変更を行いました。
 このうち、上石神井駅付近におきましては、練馬区がまちづくり構想を策定しており、駅前広場の整備や既存の商店街の活性化など、外環ノ2の整備と地元が進めるまちづくりとを連携して進めていく必要がございます。
 都は今後、地元への意向調査などを踏まえまして、商店街の存続にも配慮して、まちづくり手法を活用した道路整備の方策を検討するなど、具体的な取り組みを進めてまいります。

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