平成二十七年東京都議会会議録第二号

○議長(高島なおき君) 百二番石毛しげる君
   〔百二番石毛しげる君登壇〕

○百二番(石毛しげる君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、知事並びに関係局長に伺います。
 まず、都政運営についてお伺いします。
 東京都の新しい長期ビジョンについて、都議会民主党は繰り返し、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックは通過点であり、その先の未来のビジョンや都民の幸福を実現する道筋を明らかにしていただきたいと申し上げてきました。
 東京都長期ビジョンでは、オリンピック後や都民の幸福といった記述が随所に見られ、おおむね評価しております。
 また、約三百六十の政策目標を盛り込んでおり、舛添知事が標榜する、東京で生まれ、生活し、老後を過ごせてよかったと思える東京の実現に向けて、新たな取り組みも示されたものであると受けとめております。
 一方で、網羅的な施策もあるものの、オリンピック・パラリンピックが終わった後の東京のイメージ、各施策の先にある全体像をどのように描いていくのか十分に見えないというのが率直な感想です。
 今、東京都政の直面する、貧困の拡大、不安定雇用の増加、高齢化、少子化など、個別課題について後ほど伺いますが、まずは、東京都長期ビジョンに込めた知事の思いはどのようなものか伺います。
 長期ビジョンと三カ年の実施計画において、多くの項目で数値目標が盛り込まれたことは評価しております。しかし、この間、都議会民主党が求めてきたビジョンの実現に欠かせない財政的な裏づけは、まだ不十分であると考えます。
 また、現状の数値がなかったり、推進や向上とだけ書かれていて目標値が明確でないもの、目標値が示されても、それが政策目標の達成に十分なのか疑問なものなども散見されます。
 定量的に目標を示すことが難しい事柄など確かにありますが、現状をつまびらかにし、それをどう解決していくのかを明確にしなければ、大胆な計画立案や進捗状況の管理、プラン・ドゥー・チェック・アクションのPDCAサイクルにも十分な効果が期待できなくなってしまうのではないでしょうか。
 計画の実効性を高めていくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 長期ビジョンにおいては、集約型地域構造の考え方と今後の取り組み方針が示されました。
 これまで、多摩地域においては、広域的発展による、職と住のバランスのとれた自立性の高い地域構成をすることを掲げ、取り組みが進められてきました。集約型地域構造の言葉自体は、これまで都の長期計画では使われておらず、都民や多摩地域の住民への十分な説明が必要と考えます。
 長期ビジョンで示した集約型地域構造によって、どのように多摩地域のまちづくりを発展しようとしているのか、知事の見解を伺います。
 次に、平成二十七年度東京都予算案について伺います。
 一般会計の予算規模は、前年度比四・三%増の六兆九千五百二十億円となりました。予算増の背景には堅調な都税収入が挙げられますが、その内訳は、法人税等の伸びが五百九億円、消費増税による増収が二千二百二十三億円です。
 しかし、都税収入前年度比七・五%増、五兆円超えという数字や、景気回復といった言葉に対し、都内の中小企業関係者からは、景気の回復は全く感じられないという声が聞かれます。
 実際、中小企業景況調査や小規模企業景気動向調査でも軒並みマイナスの数字が並んでおり、都内の景気回復はいまだ、まだら模様です。
 このような景気回復が、都内全体に及んでいるとはいえない状況をどのように認識し、平成二十七年度予算においてどう対応していくのか、知事の見解を伺います。
 次に、格差是正について伺います。
 四十代の若き経済科学者、トマ・ピケティの「二十一世紀の資本」が世界中で反響を呼んでいます。
 民主主義社会がみずから自由かつ公正で健全な状態を保つため、そして危険な社会的緊張を高めないために、格差の固定化に留意すべきことは、改めていうまでもないことですが、本書では、日本を含む二十カ国以上の過去三世紀にわたるデータの比類なき分析によって、格差をさらに拡大する構造が示されました。
 そして、その格差の固定化への危惧が高まっており、東京都政も直面しつつある課題であることは、非正規雇用や大都市問題としての貧困など、事例を持ち出すまでもなく、知事が施政方針表明でも触れたとおりです。
 また、知事は就任以来、新たな雇用、教育、福祉施策を打ち出し、長期ビジョンにおいても都市戦略に掲げています。
 私は、格差是正への取り組みは、人口減少時代の東京都政において、東京の持続的成長にもつながる最も重要な課題の一つと考えますが、改めて知事の基本認識を伺います。
 続いて、生活困窮者自立支援策について伺います。
 都議会民主党は、まさにこの格差の固定化により、機会の平等が危うい状況であると考えており、昨年の予算特別委員会、本会議など機会を捉えて、生活困窮者自立支援制度が生活困窮者のセーフティーネットとして有効に機能するよう、実施主体である区市への支援の充実を求めてまいりました。
 とりわけ、生活保護世帯や生活困窮世帯の子供が、貧困の連鎖に陥らないよう支援することは重要です。
 現在、生活保護世帯の子供の健全育成事業は、全額国費負担により十一区市が実施していますが、新制度では、対象が生活困窮世帯の子供にも拡大する一方で、補助が二分の一に低減する方針が国から示されたため、効果的な支援を安定的、継続的に行うことができるようにすべきと強く求めてきました。
 都においては、国に対し、十分な財源確保など粘り強く働きかけていただいた結果、年明けに示された国の予算案では、補助基準額に経過措置が設けられるなど、一定の配慮はなされたものの、補助額は二分の一に引き下げられてしまいました。
 今後、貧困の連鎖を防止する上で貴重な子供の学習支援が多くの区市で実施され、しっかりと機能するよう、都としても強力に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、不本意非正規の正規雇用化についてです。
 舛添知事は就任以来、働く人の三分の一が非正規という状況は尋常ではないとの問題意識を示すとともに、長期ビジョンにおいては、不本意な非正規雇用を半減させることを目標に、二〇一七年度までに一万五千人の正規雇用化を図る計画を打ち出しました。
 私たちは、こうした取り組みを評価するとともに、究極的には不本意非正規ゼロを目指して、より積極的な施策の展開を期待するものです。
 特に、就職氷河期世代と呼ばれる現在の中高年においては、正規雇用と非正規雇用の賃金格差も大きく、手厚い支援が必要であると考えます。
 不本意非正規の正規雇用化に向けて、知事の見解を伺います。
 次に、若年者雇用対策です。
 若年フリーターの場合、半年以内であれば男性は八割、女性は六割が正社員となれますが、三年以上フリーターの場合は、男性で六割、女性で四割と減り、非正規雇用の期間が長くなるほど正社員化が難しくなります。
 こうしたことから、私は、新卒者の正社員雇用を推進するとともに、非正規雇用から早期に正規雇用に転換させていくことが格差是正につながるものと考えます。
 若年者の早期の正規雇用化も含めた正社員化対策にさらに取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、子育て支援について伺います。
 まず、環境確保条例の改正案についてです。
 大都市東京では、保育園が民家と軒を接して建つことも多く、近隣への配慮は欠かせません。しかし、園児の声まで法的問題となる今日、例えば住宅街では、静かな図書館のレベルを超えると騒音規制の対象になるのでは、時代に合わないといわざるを得ません。
 改正案では、保育園等の子供の声を数値規制の対象から除外し、受忍限度で総合的な判断を行うものであり、バランスのとれた見直しであると考えます。
 今後、状況に応じて小学生の除外を検討するなど、さらなる改正を望むものです。
 子供が伸び伸びと育つことは都民の願いであり、子供の権利です。しかし、近隣住民にも夜間勤務者などいろいろな方がいて、同じように生活権があります。子育てへの理解を高め、共存に向けた話し合いをより丁寧に行うなど、今後の対応が重要と考えます。
 今回の改正により、子育て環境の整備を一層進める必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、待機児童の解消についてです。
 私たちは、待機児童の解消が知事にとって最大の公約の一つと考えています。そして、舛添知事は長期ビジョンの中間報告で、仮の数字としていた二〇一七年度末までの四万人の保育サービスの目標を、昨年十二月の長期ビジョンにおいても四万人と据え置きました。
 昨年九月の代表質問でも申しましたが、過去、区市町村計画で積み上げての都の取り組みが、結局、待機児童の解消につながらなかったように、今回も、生産年齢人口の都内流入が進んでいることや、核家族化の進行、共稼ぎ世帯の増加、低年齢児の保育サービスの需要増などによって、待機児童が解消しないのではないかと懸念するものです。
 待機児童ゼロに向けて、知事は保育ニーズをどう把握し、いかに待機児童を解消していくのか、見解を伺います。
 次に、保育人材の確保です。
 私たち都議会民主党は、この間、多様な保育の推進を求めてきましたが、今回提案されている保育士等キャリアアップ補助等は、これまで社会福祉法人、認可保育所に限定していた補助対象を、株式会社やNPO法人が行う認可、認証、小規模保育等に拡大しており、率直に評価したいと思います。
 都の試算では、二万八千人の保育士を確保する必要があるため、キャリアアップを通じて処遇を改善し、保育人材の確保、定着、離職防止につなげていかなければなりません。
 また、マッチングの強化など、潜在保育士の掘り起こしを図るとともに、新卒有資格者の保育職場への就職を推進すべきと考えます。
 保育人材の確保、定着、離職防止に向けた見解を伺います。
 次に、病児、病後児保育の充実です。
 働く親にとって病児、病後児保育は子育てに欠かせない存在であり、保育利用者の増加につれ、その必要性はますます高まっています。
 今回のサービス推進費の再構築によって、株式会社、NPO法人が行う認可、認証、小規模保育等にも病児、病後児加算が適用され、サービス増につながるものと期待しています。病児保育施設の新設を初めとした病児対応型サービスの拡充を促すとともに、広域利用や訪問型病児保育など、取り組みを促進していく必要があると考えます。
 病児、病後児保育の充実に向けた見解を伺います。
 さらに、今定例会には都立病院条例の改正案が提案されていますが、私は都立病院、公社病院においても区市町村に協力し、病児、病後児保育を積極的に実施すべきと考えます。
 都立、公社病院における病児、病後児保育の実施に向け、見解を伺います。
 次に、地域の子育て支援体制の強化です。
 保育における待機児童の解消に注目が集まっていますが、三歳未満の乳幼児の約八割は家庭で育てられており、地域の子育て支援を充実させることも大変重要です。子育て家庭の不安を軽減するためには、身近な子育て拠点で妊娠期のうちから子育て家庭に継続的なサポートをするような体制が求められます。
 そこで、妊娠期から子育て期にわたる地域の子育て相談支援体制を強化し、きめ細やかな対応を行う区市町村を支援すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、高齢者施策について伺います。
 二〇二五年団塊世代が七十五歳以上となる大介護時代が目の前に迫っています。このような中、介護保険法改正で給付は縮小し、区市町村が行う地域支援事業がふえるなど、二〇一五年度は大きな見直しが実施されます。
 財政制度審議会での社会福祉法人はもうけ過ぎとの議論が報道され、介護報酬マイナス改定の道が開かれたともいわれていますが、マイナス二・二七%、ほぼ全種別で大幅ダウンと非常に厳しい改定となりました。この改定で、地域密着で運営する小規模事業者への深刻な影響が懸念されています。
 こうしたことは、新人育成などへの取り組みなどが手薄になり、結局はサービスに影響することも、ここで指摘しておきます。
 二月に入って、居宅サービス等の報酬算定基準が答申され、新単価での運用があと一カ月半に迫る中、有資格者の加配といった加算要因の詳細がようやく示されました。このような国の対応は、介護現場へのいたずらな負担と混乱を招きかねません。利用者が不利益をこうむるようなことが決してないよう、しっかりと対応が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、介護人材確保です。
 介護報酬全体としては大きなマイナス改定となりましたが、職員の処遇改善には新たな加算率が創設されました。都の予算案にも、処遇改善や職員の資質向上、定着支援、福祉サービスへの理解と関心を高める取り組み、さらには人材バンク構想の検討など、多くの施策が盛り込まれました。
 介護人材の安定的確保のためには、介護現場と協働した処遇改善とワークライフバランスへの取り組みが欠かせません。単なる給料の引き上げにとどまらず、キャリアパスにつながる賃金体系や産休、育休の取得、短時間勤務の利用といった労働環境改善を幅広く継続して実施できる仕組みが必要です。
 都においても、将来を見据えて、人材確保に向けた総合的施策に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 二〇一〇年に百二十二万人であった七十五歳以上の高齢者は、二〇二五年には百九十万人を超え、認知症高齢者数も上方修正され、六十万人に達すると見込まれています。要介護度が高くても、住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続ける理念のもと、二〇二五年を目途に地域包括ケアシステムの構築が進められています。
 本人の希望や資力に合った暮らしの場の確保は、地域包括ケアシステムの大前提です。しかし、七十五歳以上だけで六十七万人も増加する高齢者に対し、都が長期ビジョンの実施計画で示した三カ年の整備目標は、特養の定数五千九百人、認知症グループホーム三千二百人、サービスつき高齢者向け住宅等は六千二百戸であり、二〇二五年までに高齢者が地域で安心して暮らせる社会を実現するために十分なのかどうか、疑問といわざるを得ません。
 高齢者が地域で安心して暮らせる環境等を一層整備促進していく必要があると考えます。都の見解を伺います。
 地域包括ケア体制構築には、医療と介護の連携推進に向けた取り組みの強化も必要です。平成二十七年度から在宅医療、介護の連携も介護保険法に位置づけられ、平成三十年には全ての区市町村で八つの事業を実施することになります。地域包括ケアの最後に待ち受けるケアの終わり、みとりもその一つですが、自宅と診療所が別で夜間診療対応が難しい、緩和ケアなど専門的対応が困難などの理由から、みとりまでの診療所はまだまだ不足しています。
 二〇一〇年の都内の死者数は約十万人ですが、二〇二五年には三割以上増加し、当面はこの傾向が続くと考えられるため、みとりの十分な体制、整備が必要です。
 人は死ぬことを約束されて生まれてきます。人生の締めくくりは、肉体的にも精神的にも苦痛がなく、穏やかであることを誰もが願うでしょう。先月、私も兄をみとって、その思いを強くいたしました。
 人にとっては、最期だけ幸せだと思える環境をつくってあげられるかどうか、そうした思いをかなえられるか、尊厳にかかわる問題として、しっかり考えていかなければなりません。
 地域包括ケアの最後、在宅で最期を迎えるがん患者など、みとりまで含めて考えていくことが必要です。在宅療養を望む高齢者のさまざまなニーズに応えるため、医療と介護の連携によるサービス提供体制を整備していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、都市外交について伺います。
 舛添知事は、昨年末、東京都都市外交基本戦略を策定し、さきの施政方針でも、都市外交に強い意欲を示しています。
 私も、昨年九月の代表質問で、アジア諸都市との関係改善や海外要人との積極的な面会を評価するとともに、都市外交の発展に当たっては、都民の理解を得ていく必要があるとも述べてきました。
 外交といえば、高度な情報戦や心理戦がつきもののように思われますが、地方自治体である東京が行う都市外交においては、都民との対話を通じ、理解を得ながら進めていくことが、相互の信頼関係をより強固にするものと考えます。
 私は、都民の理解を得ながら、都市外交を積極的に展開していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都市外交基本戦略では、国際会議の開催、誘致を掲げています。この間、私たち都議会民主党も、国際会議を初めとするMICE誘致に積極的に取り組んできたところですが、二十七年度予算案では、MICE誘致の一環として、新たな学術系国際会議誘致促進事業の創設が打ち出されているところです。
 私は、東京が国際都市として存在感をより高めていくためにも、学術系国際会議を初めとした国際会議の開催、誘致に積極的に取り組んでいくべきと考えます。見解を伺います。
 また、この間私は、知事にアルジェリア、チュニジア、ベナンなどの大使を紹介させていただきましたが、例えば防災イベントや人権、芸術、文化など、さまざまな機会を通して各国大使館と連携し、関係強化に積極的に取り組んでいくべきと考えます。各国大使館等との関係強化に向けて、見解を伺います。
 基本戦略では、都庁全体で都市外交を実践していくための体制の強化を掲げており、その内容は、昨年九月の代表質問で私が申し上げたことに相通じるものと考えています。特に私は、海外からの受け入れを、より積極的に行うとともに、東京都の職員が現地に一定期間滞在、駐在して仕事をしていくことは極めて有効であると考えます。
 加えて、今回、アジア人材育成基金を都市外交人材育成基金に再構築したように、アジア諸都市だけではなく、姉妹友好都市やロンドン、リオ、その他振興地域の都市なども含めた戦略的な人材交流を期待するものです。
 都市外交人材育成基金の活用や各局へのグローバル人材の配置に向けて、都の見解を伺います。
 次に、東京オリンピック・パラリンピック大会について伺います。
 オリンピック・パラリンピックレガシーです。
 今月、組織委員会は、大会開催に必要な目標やスケジュールを記載した大会開催基本計画を策定し、IOCとIPCに提出します。
 一九六四年に東京で開催されたアジア初のオリンピックは、日本の発展に大きく寄与しました。東海道新幹線の建設や駒沢オリンピック公園などの新設を含めたスポーツ振興、国民に希望と自信をもたらした心理的効果は、経済大国に向けた第一歩となりました。
 その後、IOCは、二〇〇二年に改革として、大会開催で有益な遺産を残すことを奨励するオリンピックレガシーを規定しました。
 ロンドン大会のレガシーでは、週一回運動を行う人が百四十万人以上ふえ、土壌汚染や貧困が進むロンドン東部地域の再開発が行われました。また、日本円で五兆円を超える経済効果があり、障害者のスポーツ参加が向上しました。
 昨年、舛添知事は、大会後のロンドンの姿を自分の目で確認し、東京の未来像を描くと述べています。
 私たちは、レガシーが二〇二〇年大会後の高齢化、人口減少の日本社会を見据え、そして成熟都市東京の課題解決につながるものであり、そのことが東京モデルとして、今後、オリンピック・パラリンピック開催都市を初めとする世界の範となることを期待しますが、知事はレガシーをどう位置づけ、実現させていくのでしょうか、見解を伺います。
 次に、パラリンピックの認知度向上です。
 オリンピックのことを日本語で示す五輪という言葉は、約八十年前、新聞社が五大陸を示すオリンピックのシンボルマークを参考にして考案した略語です。今ではそのマークとともに広く定着しております。(パネルを示す)一方で、パラリンピックのシンボルマークはスリー・アギトスというものです。このアギトスはラテン語で、私は動くという意味です。曲線の動きは、世界から選手を集うという役割を強調し、パラリンピアンの強靱な意思をあらわしたスピリット・イン・モーション、躍動する精神を表現しているそうです。
 しかし、このマークは、オリンピックマークと比べ、残念ながらまだ余り知られていません。そこで私は、五輪のような、パラリンピックの日本語による略語をつくられたり、パラリンピックのポスターやバッジがまち中にあふれるなど、パラリンピックの話題で世の中が盛り上がることを大いに期待するものです。
 このため、都において、パラリンピックの認知度をより向上させるための取り組みが必要と考えます。見解を伺います。
 次に、身近な場所での障害者スポーツの推進です。
 都は、障害のある人もない人も、ともにスポーツに親しむ社会を実現するとしていますが、障害者スポーツ環境の整備は道半ばであるといえましょう。二〇二〇年大会が五年後に迫った現在、障害者がスポーツに親しむ施設をふやしていかなければならないと考えます。
 現在、都立障害者スポーツ施設は、北区と国立市の二施設のみであり、他の施設については、例えば、利用者の過半数がその自治体の住民でなければ申し込みがしにくい、あるいは体育館が傷つく等の理由で使用が断られるといった事例が多いことが実情です。
 その解決策として、自治体のスポーツ施設の使用基準を改めることによって申し込みができやすくなり、そのことによって、障害者スポーツ人口がふえると考えます。
 ロンドン大会を行ったイギリスでは、地方公的機関であるスポーツイングランドが障害者のスポーツ施設利用ガイドを発行し、地域クラブが障害を理由に障害者の利用を断ってはならないと明記しました。
 パラリンピック開催に向けて、障害者も利用しやすいスポーツ施設ガイドラインを策定するなど、障害の有無にかかわらず、身近な施設でスポーツが楽しめる機会をつくるべきと考えます。見解を伺います。
 また、場所の確保とともに、障害者スポーツで欠かせないのが指導員などの人材の確保、育成です。
 都が二十四年三月に策定した障害者スポーツ振興計画では、平成二十六年度から二十八年度にかけて、ピア・インストラクティングの推進、すなわち、障害のある人とかかわる機会の多い社会福祉施設の職員などに障害者スポーツ指導員資格を奨励していくなどを掲げており、私はこうした取り組みを着実に実施していくべきと考えます。
 さらに、今年度、新規事業として、障害者スポーツ指導員養成に取り組んでいるところですが、こうした事業に加え、既存の指導員に対するフォローアップ研修を実施するなど、さらなる人材の確保、育成策に取り組んでいくべきと考えます。見解を伺います。
 次に、都立特別支援学校における障害者スポーツの振興についてです。
 障害のある人々がスポーツを通して、おのずから限界や可能性にチャレンジし、障害を克服して生き生きと輝く姿は、障害のない人々にとっても大きな感動をもたらし、生きる勇気を与えてくれます。
 都は、東京パラリンピックに向けて、障害者スポーツの振興を図る環境づくりを目指しており、都立特別支援学校でも、一人一人の子供が障害の種類や程度に応じ、障害者スポーツに親しむ教育を推進することが期待されています。
 今後、都立特別支援学校では、障害者スポーツの種類や学習や部活動に積極的に取り入れ、障害のある子供の運動体験を広げていくべきです。
 そこで、東京パラリンピックに向けて、都立特別支援学校において、障害があってもスポーツに楽しむことができる環境を整えるべきと考えますが、見解を伺います。
 パラリンピック憲章は、人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別を禁じており、舛添知事もこの理念を実現すべく、人権施策の推進に積極的に取り組んでいるところです。
 一方、ロンドン大会では、パラリンピックの開催日、二〇一二年八月二十九日に、ロンドン及び以降三回の夏季、冬季オリンピックを開催する四カ国、イギリス、ロシア、ブラジル、韓国の政府が、オリンピックと人権に関する共同宣言を採択し、自国でのオリンピックを通じて、尊重、多様性、寛容及び公正の価値を教え、あらゆる形態の差別と闘い、差別のない社会を推進することなど、尽力することで一致したそうです。
 私は、こうした動向を踏まえるとともに、過去のオリンピック・パラリンピック大会の人権施策を調査検証し、それを改めて都の人権施策に生かすなど、東京大会に向けた人権施策の充実にさらに取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、公文書の活用について伺います。
 浜離宮庭園の延遼館復元への取り組みを契機として、東京都公文書館が所蔵する、明治十四年に各国公使を招いた晩さん会を克明に記録した貴重な資料、先ほども知事がいっておられた、延遼館夜会記録の存在が明らかになりました。
 浜離宮庭園は、徳川将軍家のカモ場の遺構が残る貴重な場所であり、都公文書館に関連する浜殿旧記、浜苑記勝なども所蔵されており、都公文書館は、重要文化財を三万三千件、オリンピック関連の資料は五千点所蔵しています。こうした文書は、オリンピックのレガシーやおもてなしの検討に大変有益であることはもちろん、都公文書館に光を当てるよい機会になると考えます。
 都公文書館は現在、平成三十一年の完成に向け、多摩図書館の隣接する場所へ新館建設が進められていますが、これまでの足跡をしっかりと引き継ぐとともに、貴重な歴史的資料を積極的に活用することが重要です。
 国際政治学者でもある知事は、歴史的な資料の保存や活用について、格別な思いをお持ちではないかと思います。私は今、知事に質問をします。そして、知事は答弁をします。この議事も、公文書として百年、二百年後に残っていく、そのことに思いをはせつつ、都公文書館の役割に関する認識と所蔵資料のさらなる活用について、本日最後の質問に知事の見解をお伺いします。
 以上で、都議会民主党を代表して質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 石毛しげる議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、長期ビジョンに込めました思いについてでございますが、誰もが幸せを実感でき、誰もがそこに住み続けたいと思える都市に東京をつくり上げていくことが私の最終目標でありまして、その実現に向けた都政の大方針が東京都長期ビジョンでございます。
 長期ビジョンでは、オリンピック・パラリンピックの成功はもとより、そのさらなる先を見据えた東京の持続的発展の実現を掲げ、将来の東京の姿を明確に示してございます。
 そして、都民一人一人が夢や希望を持てる東京を創造するため、都が独自に行う先進的な政策や、豊かな生活を支えるために必要な経済の活性化に関する政策も数多く盛り込んであります。
 今後、長期ビジョンに掲げました政策を着実に進めることで、東京が直面する諸課題を解決し、世界一の都市東京を実現してまいります。
 平成二十七年度予算についてでございますが、景気は緩やかな回復基調が続いているものの、企業の業況判断は全体としてはおおむね横ばいとなっているなど、中小企業や都民をめぐる社会経済状況は、いまだ厳しさを払拭できていないと考えております。
 こうした中、産業をさらに活性化させ、都民の生活水準を押し上げていくためには、それを支える新たな原動力をつくり出していく必要がございます。
 そのため、平成二十七年度予算では、中小企業の経営安定化支援に注力するほか、成長産業への参入や海外への販路開拓支援、起業、創業の促進など、日本経済の活性化にもつながる積極的な施策を盛り込んでおります。
 また、都独自の非正規雇用対策を実施し、三年間で一万五千人の正規雇用化を目指すなど、一人一人が幸せを実感し、夢と希望を抱くことのできる都市の実現に向けても重点的に予算を配分してございます。
 この予算をてことして、首都東京を成長と発展の軌道に乗せ、東京が日本経済の力強い牽引車となるよう、引き続き全力を尽くしてまいります。
 格差是正についてでありますが、ご質問にございましたトマ・ピケティ教授の説には賛否が両論あると思います。しかし、現在の資本主義が抱える課題について一石を投じたものと思います。
 格差の捉え方はさまざまでありますけど、この問題には必ず、平等とは何かという問いが出てまいります。私は、機会の平等を追求すべきだと考えております。機会の平等が損なわれれば、格差が固定化し、社会の流動性が低下するだけでなく、意欲がありながらも再チャレンジもできない社会となりかねないと思います。
 そうならないためにも、非正規雇用の正規化や高校中退者の就職への支援、あるいは子育てと仕事の両立といった課題に対して、積極的に政策を展開してまいります。
 あわせて、新たな富をつくり出す成長戦略や経済活性化に向けた政策にも取り組むことで、都民全体の生活水準も押し上げ、豊かな生活を実現してまいります。
 真面目に一生懸命生きる人が必ず報われる、そういう公正な社会を築いていきたいと思っております。
 非正規雇用対策についてでございますが、皆が明るい気持ちで生活できるようにするためには、安定した職業という確固たる生活基盤を築くことが第一であります。
 非正規の割合は年々増加し、今や働く人の三分の一を超えております。いつも申し上げますように、こういう現状を、私は尋常ではないと考えております。
 就職氷河期世代など言及ありましたけど、正社員として働くことを希望しながら、不本意にも非正規雇用となっている方々を一人でも多く減らしたいというのが私の思いでございます。
 そのためには、国を挙げ、腰を据えた長期的な取り組みが必要であります。
 都は、長期ビジョンにおいて、求職活動を行う不本意非正規の数を二〇二二年には半減させるという高い目標を掲げました。
 まずは、都が実施する非正規対策による正規雇用化として、年間五千人、三年間で一万五千人を実現するために全力を挙げて取り組んでまいります。
 国とも緊密な連携を図りながら、都が率先して非正規雇用対策を強力に推進してまいります。
 次に、子供の声をめぐる環境確保条例の改正についてでございますが、近年、子供の声が騒音だとして悩む住民もいらっしゃる中で、保育所での活動が制限されるなどの状況も生じております。
 子供が伸び伸びと育つことができるまちづくりを進めるためには、子供の声をめぐっては、まず何よりも音の発生源である施設設置者と近隣住民でじっくりと話し合い、相互の理解を深め、信頼関係を構築することが大事であります。
 このため、次代の社会を担う子供一人一人の健やかな成長、育成にも配慮しつつ、話し合いやコミュニケーションを通じて騒音問題の解決に資する制度とするよう、子供の声を単に音の大きさによる規制から、受忍限度で判断する規制へと見直すことにいたしました。
 待機児童の解消に向けた保育サービスの拡充や保育人材の確保等に加え、この条例改正により、地域での円滑な問題解決を促し、社会全体で子供が健やかに育つ環境の整備につなげていきたいと思っております。
 待機児童解消についてでありますが、待機児童を四年間でゼロにする、その実現のために、東京都長期ビジョンでは、保育サービスを四万人分ふやすことを目標に、各年度の具体的な工程表をお示しいたしました。
 この目標は、保育の実施主体である区市町村が地域の実情を踏まえて策定した整備目標をもとに定めたものであります。
 都はこれまで、保育サービスを拡充するために、区市町村や事業者の負担軽減、都有地の減額貸付、国有地、民有地の賃借料補助など、都独自のさまざまな支援策を実施してまいりました。
 また、来年度は、保育サービスを支える保育士のキャリアアップを支援するために新たな取り組みも始めます。
 今後とも、待機児童の解消に向け、区市町村と連携し、全力で取り組んでまいります。
 都市外交の展開についてでありますが、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会を成功させ、これを契機として、世界一の都市東京を実現するためには、都市外交の果たす役割は極めて重要でございます。
 私はこれまで、北京、ソウル、ベルリンなどを訪問し、環境や文化等、さまざまな分野での相互協力の推進について合意するとともに、ロンドンでは、オリンピックレガシーの活用事例など、都民の利益にも結びつく各都市の先進的な取り組みを直接学んでまいりました。
 昨年十二月には都市外交基本戦略を策定し、都の都市外交の基本的な考え方と政策の方向性を都民にわかりやすく発信いたしました。
 本戦略に基づき、今後とも、都民の理解を得ながら、海外諸都市との信頼関係を強固なものにし、都民生活の向上にも資する、そういう都市外交を展開していきたいと思っております。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会のレガシーについてでありますが、二〇二〇年はゴールではなく、あくまで通過点にすぎません。その先が大事であります。大会後に確かなレガシーを残し、東京が抱えるさまざまな課題の解決を加速化させ、成熟都市東京をさらに成長させるとともに、世界の発展をリードしていくことが必要であります。
 例えば、大会後、東京の人口は減少に転じ、これまでに経験したことのない超高齢化社会を迎えます。
 こうした中で、スポーツを通じた健康づくり、アクセシビリティーの強化、心のバリアフリーなど、オリンピック・パラリンピックのレガシーを最大限に活用することによりまして、高齢者が生き生きと生活し、都市の活力を支える存在として活躍する、そういう社会のモデルを内外に示したいと思っております。
 地球環境、エネルギーの問題につきましても、大会を水素社会の実証の場として、環境に優しく持続可能なエネルギー需給体制への変革を東京が先導していきたいと思っております。
 また、東京の魅力を高め、さらに発展させていくため、競技施設や選手村を都民、国民の貴重な財産として大会後も有効活用するとともに、周辺のまちづくりと連動させ、都民に憩いとにぎわいのある豊かな生活空間を提供してまいります。
 私が直轄するレガシー委員会で、民間の知恵も取り入れながら、ハード、ソフト両面から検討を進め、こうしたレガシーを確かなものとして、大会を機に、東京が世界一の都市へと躍進を遂げていく姿を発信してまいりたいと思っております。
 最後に、公文書館の役割と所蔵資料の活用についてでございます。
 都の公文書館は、明治期以降の九十万件を超える文書を所蔵しておりまして、首都東京の足跡を、過去から現在、そして未来につなぐ重要な施設であります。
 また、保存文書を広く公開することで、これまでの都政の評価、検証に資する役割も果たしております。
 お話にもありました、延遼館夜会記録ですけれども、私もこれ、実物を見て本当に驚きましたし、テーブルがあって、井上馨がここに座る、榎本武揚がここに座ると全部書いてあるんですね。
 それで、私は幕末、明治維新の研究もずっとやってきたものですから、その後、井上馨というのは、世外といいます、世外公伝という本が出ている。榎本武揚の文書もほとんど私は持っていますので、全部見てみたんですけれども、一切、延遼館についての記述がありません。皆さんご承知のように、鹿鳴館の記述はあるんです、井上馨の関係についても。しかし、その前、鹿鳴館の前は延遼館があったので、そのことが、恐らく石毛議員も読んだことはないと思います、延遼館について、公刊文書で。どこかにあるかもしれません、私の研究が足りなくて。
 しかし、例えばそれを見ても、非常にこれは大事な日本の歴史の資料になると思いますので、ぜひこれは、先ほど申し上げましたように、ゴールデンウイークに企画展を催したいと思っていますし、そして、できればその記録をきちんと、皆さんのご協力をいただいて、都議会の皆さんにご協力いただいて、きちんと活字にすることによって、広く内外の研究者の役にも立てるというふうに思っておりますので、これは、要するに都の迎賓館施設をつくるときに、一斉に資料を調べて出てきました。だから、迎賓館の、ある意味での副産物としてこういうのが出てきて、大変よかったと思います。
 この例にありますように、公文書というのは、まさに歴史をひもとく財産でありまして、公文書を適切に保存して引き継いでいくことが、我々の世代が次の世代への、先ほどご質問にありましたように、説明責任を果たすとともに、歴史的検証に寄与することになるとも思っております。
 現在、公文書館は、老朽化等に伴い、新しい施設の建設準備を進めておりまして、保存スペースの拡充やデジタル化など保存環境の改善を図るとともに、多くの都民の方が公文書を通じて東京の歴史に触れることができるように、さまざまな工夫を凝らしていきます。
 私が閣僚としておりました福田内閣において、実は国についても、公文書館というものをもっと大事にしようということで、さまざまな法的な取り組みも行われました。
 私は、この東京都の公文書館、都民の税金を使ってきっちりと整備するに値すると思っておりますので、都議会の皆様方のご協力を得て、すばらしい公文書館と、その維持ということをやりたいと思っております。
 そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

○教育長(比留間英人君) 特別支援学校におけるスポーツ振興についてでありますが、都教育委員会は、東京パラリンピックに向けて、特別支援学校における障害者スポーツの振興を図るため、スポーツ教育推進校十校を指定して、障害のある子供がスポーツに親しむ教育を進めてまいります。
 推進校では、障害が重い子供も楽しめるボッチャや風船バレーなどの種目を授業に、より多く取り入れるなどの取り組みを通じて、障害者スポーツへの関心や、みずから進んで体を動かす意欲を高めてまいります。
 また、外部指導員の活用や対外試合の機会の拡充等によって、全国規模の障害者スポーツ大会で活躍できる選手の育成を目指してまいります。
 こうした取り組みにより、子供一人一人が、障害の種類や程度に応じて生涯にわたってスポーツに親しむ態度や習慣を育ててまいります。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 三点の質問にお答えいたします。
 まず、長期ビジョンの実効性を高めるための取り組みについてですが、長期ビジョンに掲げる政策につきましては、その実効性を担保するため、新たに創設する基金なども活用して優先的に予算措置をすることとしております。
 また、政策目標を実現するための具体的な事業展開を三カ年の実施計画として取りまとめ、その事業費も示しております。
 さらに、政策目標につきましても、都民にわかりやすく示すとともに、政策の確実な推進を図るため、約三百六十項目を数値化しております。
 こうしたことにより、長期ビジョンに掲げた政策の実現に向け、全庁を挙げて取り組んでまいります。
 次に、大使館等との連携強化についてです。
 東京には各国大使館を初め、諸外国、地域の代表事務所が多数存在しております。オリンピック・パラリンピックを控えた東京にとって、大使館等との関係を構築していくことが重要でございます。
 今回策定した都市外交基本戦略の中でも、日常的に在京大使館等との連絡を密にし、人脈の形成、関係強化を図ることとしております。一月には、百名近い大使等を江戸東京博物館に招き、江戸文化や東京産の食材を紹介するとともに、関係各局の幹部職員との意見交換会を行ったところでございます。
 引き続き、都に集積する在京大使館、代表事務所という貴重な財産を生かして、東京の魅力の発信や情報収集などで大使館等との緊密な連携を進めてまいります。
 最後に、グローバルな人材の育成についてです。
 都市外交を推進する上で不可欠な人材育成事業を継続的に実施するため、都市外交人材育成基金を創設することにいたしました。
 本基金では、対象をアジアだけでなく、姉妹友好都市などさまざまな都市に拡大し、研修など、東京と相手都市相互の人材育成に資する事業に活用してまいります。
 また、都では、これまでも自治体国際化協会などを通じて海外に職員を派遣し、国際関係業務を担い得る能力の向上に取り組んでまいりました。
 今後も、昨年十二月に策定した都市外交基本戦略に基づき、本基金を活用しながら、研修や海外派遣等を通じ職員のグローバルな人材育成を強化してまいります。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 多摩地域のまちづくりについてでございますが、都はこれまで、核都市における都市開発の推進や南北道路の整備など、多摩地域のまちづくりを推進してまいりました。
 こうした取り組みに加えまして、これからの少子高齢、人口減少社会におきましては、市街地を集約型の地域構造に再編することで地域の活力を維持増進させながら、住民生活の質の向上を図っていくことが重要でございます。
 このため、身近な地域の中心となる駅の周辺などでバリアフリー化を進めつつ、地域特性に応じて医療、福祉、商業などの機能を集積し、日常生活を支える拠点を形成してまいります。
 さらに、その拠点の周辺では居住機能の立地を促すとともに、拠点間の連携を強化する交通インフラの整備を進めまして、地域間の交流を活発化していくことで、にぎわいと活力に満ちた多摩地域を実現してまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 八点のご質問にお答えします。
 まず、生活困窮世帯等の子供の学習支援についてでありますが、都は現在、生活保護世帯の子供を対象に、学習塾の費用助成等を行う区市を支援するとともに、低所得世帯の受験生に対し、学習塾や受験料の支援を行っております。
 また、十一の区市では、国の補助事業を活用し、生活保護世帯の子供を対象に高校進学に向けた学習会等を実施しております。この事業は、本年四月から生活困窮者自立支援法に基づく子供の学習支援事業として、二十七の区市に拡大する予定でございます。
 今後とも、都は、子供の学習に対するさまざまな支援に取り組むとともに、法に基づく学習支援事業がさらに多くの区市で実施されるよう、効果的な先行事例の紹介や、事業の立ち上げに要する経費の補助を独自に行い、区市の取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、保育人材の確保についてでありますが、都はこれまで、保育人材の確保を進めるため、潜在保育士を対象に就職支援研修と就職相談会を一体的に実施するとともに、新卒者を初めとした未経験の有資格者を対象にセミナーや職場体験実習を実施してまいりました。
 また、今年度から、保育人材・保育所支援センターのコーディネーターを増員し、事業者と就職希望者のマッチングや定着に向けた支援を強化するとともに、保育従事者向けの宿舎借り上げの支援を開始いたしました。
 さらに、来年度は、保育士等のキャリアアップに取り組む事業者を支援する都独自の補助制度も創設することとしており、今後とも、保育人材の確保、定着に積極的に取り組んでまいります。
 次に、病児、病後児保育の充実についてでありますが、都はこれまで、区市町村の取り組みを促進するため、保育所や医療機関等の専用スペースで実施する際の施設整備や、病児、病後児保育施設の人材やノウハウを活用した地域の保育所への支援等を独自に支援してまいりました。
 また、限られた医療資源の中で利用者のニーズに対応するためには、行政区域を越えて利用できる広域利用も有効であることから、今年度から、施設を複数の区市町村で利用する場合に賃借料を補助する取り組みを開始いたしました。
 さらに来年度からは、広域利用を前提として施設整備を行う区市町村に対し、整備費や改修費の負担分を全額補助することとしております。
 今後とも、区市町村が地域の実情に応じて病児、病後児保育の充実に取り組めるよう積極的に支援してまいります。
 次に、地域の子育て支援体制の強化についてでありますが、現在、区市町村では、妊娠期における母子健康手帳の交付や母親学級、妊産婦や乳幼児に対する健康診査、保健師等による家庭訪問、子育てひろばにおける育児相談など、さまざまな子育て支援の取り組みを行っております。
 こうした区市町村の取り組みを支援するため、都は来年度、妊娠期から子育て期まで一貫して子育て家庭を支援するゆりかご・とうきょう事業を開始いたします。
 この事業では、妊娠届の提出時等に育児パッケージを配布し、出産、子育てに向けた準備を支援するとともに、保健師等が各家庭の状況を妊娠期から把握し、必要に応じて支援プランを作成することとしており、地域における子育て支援体制の強化を支援してまいります。
 次に、介護報酬改定の実施に向けた都の対応についてでありますが、都はこれまで、制度改正への区市町村の準備が円滑に進むよう、介護保険担当者を対象に、介護保険制度改正の内容についての説明会を二回開催したほか、制度改正や介護報酬改定に関する情報をホームページにより随時提供してまいりました。
 また、国に対し、介護事業者や区市町村等が十分な検討と準備ができるよう、介護報酬改定の詳細等の速やかな情報提供を繰り返し求めてまいりました。
 今後、報酬改定等について、区市町村に対する説明会や全ての介護事業者向けの説明会を開催し、事業実施に混乱が生じないよう情報提供を行ってまいります。
 次に、将来を見据えた介護人材の確保についてでありますが、都は、将来の介護ニーズの増加を見据え、介護人材の確保、定着、再就業に向けたさまざまな取り組みを行ってまいりました。
 来年度は、介護職員のキャリアアップに取り組む事業者を支援する都独自の補助制度を創設するほか、派遣先に雇用されることを前提とした介護人材の派遣など、新たな取り組みを実施いたします。また、求人情報を効果的に発信するため、離職者等の人材情報を一元的に管理する人材バンクシステムの構築に向けた検討を開始いたします。
 現在、策定作業を進めている第六期の高齢者保健福祉計画におきましても、介護人材対策の推進を重点分野の一つと位置づけており、今後、二〇二五年度までの介護職員等の必要数を踏まえ、人材確保に向けた総合的な取り組みを推進してまいります。
 次に、高齢者が地域で安心して暮らせる環境整備でありますが、都は、昨年十二月に策定した東京都長期ビジョンにおいて、高齢者人口の将来推計や区市町村が地域のニーズに基づき算定したサービス見込み量等を踏まえ、二〇二五年度末までに、特別養護老人ホームを定員六万人分、老人保健施設を定員三万人分、認知症高齢者グループホームを定員二万人分整備するという、十年後の介護サービス基盤の整備目標をお示しいたしました。
 また、あわせて、今後三年間に進める特別養護老人ホーム等の整備の年次計画をお示しいたしました。
 都は今後とも、地域包括システムの構築という考えに立ちまして、在宅サービスや施設サービスなどをバランスよく整備し、高齢者が安心して地域で暮らすことのできる環境整備を進めてまいります。
 最後に、在宅療養体制の整備についてでありますが、住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けたいという高齢者のニーズに応えるためには、医療と介護が連携した在宅療養体制の整備が重要でございます。
 そのため、都では、患者、家族からの医療や介護に係る相談に応じ、安定した療養生活の継続を支援する窓口の設置促進や、複数の在宅医が相互に補完し、訪問看護ステーションと連携しながら、二十四時間体制で訪問診療等を行う取り組みへの支援など、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
 また、今年度から、在宅療養患者にかかわる多職種が、ICTの活用などにより効果的に情報を共有する体制の構築を支援する取り組みも開始いたしました。
 今後とも、医療と介護の連携を一層強化し、地域における在宅療養体制の整備を推進してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、若者の正規雇用化についてでございますが、若者の安定した雇用を実現するためには、新卒者に加え、不本意な非正規雇用で働く若者への支援が重要でございます。
 このため、来年度は、新規大卒者を初め、既卒者も対象とした大規模な合同就職面接会や、非正規雇用で働く二十代後半の若者等に対するセミナーと企業実習を組み合わせた支援プログラムなどを引き続き実施いたします。
 また、国の制度である若者応援企業に対する都独自の採用奨励金を創設いたします。
 今後とも、こうした取り組みによりまして、安定した職につくことを希望する若者の正規雇用化を促進してまいります。
 次に、国際会議の誘致についてでございますが、国際会議の開催は、多くの外国人旅行者に対し、東京の魅力を集中的にPRする絶好の機会であり、都市としての存在感を高め、東京の地位向上につながるものでございます。
 このため、都は、誘致、開催に必要な助成を行うなど、着実に施策を展開してまいりました。
 昨年四月には、こうした支援を行った世界眼科学会が、世界百三十五カ国から約二万人を集めて開催されるなど成果を上げております。
 今後も、学術系を初めとした国際会議の誘致、開催を効果的に支援する取り組みを進め、MICE開催都市としてのプレゼンスを高めてまいります。
   〔病院経営本部長醍醐勇司君登壇〕

○病院経営本部長(醍醐勇司君) 都立、公社病院の病児、病後児保育についてでありますが、都内における核家族化や共働き世帯の増加等により、病児、病後児保育のニーズは高まっており、実施主体である区市は、一層のサービスの充実が求められております。
 一方、実施に当たりましては、限られた医療資源である小児科医との連携体制を確保することが課題となっておりまして、自治体により取り組みに差が生じております。
 そこで、都立、公社病院におきましては、保育環境の充実に取り組む区市を支援するため、東京都立病院条例を改正し、小児科のある十病院で、医療資源を活用して病児、病後児保育を実施してまいります。
 また、実施病院の所在区市に加え、隣接する自治体の児童も受け入れるなど、仕事と子育てが両立できる社会の実現に貢献するよう努めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、パラリンピックの認知度向上についてでございますが、二〇二〇年のパラリンピック大会の成功に向け、パラリンピックのより一層の認知度向上を図っていくことが重要でございます。
 このため、パラリンピック大会や競技のすばらしさを幅広く都民の方々に伝える取り組みを展開いたします。具体的には、多くの都民が来場するイベントにパラリンピック競技体験プログラムなどを提供するとともに、パラリンピック競技を紹介するガイドブックなどの作成、配布や、メディアの活用により、パラリンピックと接する機会を拡大いたします。
 こうした取り組みを通じまして、ご指摘のありましたシンボルマーク、スリー・アギトスの周知とともに、パラリンピックの意義、魅力について都民への普及浸透を図り、二〇二〇年大会の成功につなげてまいります。
 次に、障害のある人もない人も、ともに身近な施設でスポーツが楽しめる機会の創出についてでございますが、障害のある人がスポーツを楽しむためには、ハード面における環境整備に加え、管理運営面などソフト面の改善を行っていく必要がございます。
 都は今年度から、スポーツ施設整備の補助制度を開始し、市区町村が行う施設のバリアフリー化を支援しております。
 来年度からはこれに加え、障害者の施設利用に際し、受け入れ側である施設管理者が配慮すべき点を取りまとめたマニュアルを作成し、広く周知していくことで障害者が利用しやすい施設への改善を促してまいります。
 こうした取り組みにより、障害の有無にかかわらず、誰もが身近な地域でスポーツに親しめるよう働きかけてまいります。
 最後に、障害者スポーツ指導員の確保、育成についてでございますが、障害者スポーツの振興を図るためには、知識やノウハウを有する指導員の果たす役割が大きいと認識しております。
 都におきましては、スポーツ推進委員や市区町村職員等を対象として、障害者スポーツ指導員の資格取得のための講習会を開催し、障害者スポーツにおける地域の担い手の確保に努めてまいりました。
 来年度からは、資格取得者の中でも、活動経験の少ない指導員をフォローアップするため、実技を中心とする研修会を実施し、指導員の資質向上を図ってまいります。
 今後も、より多くの障害者スポーツを支える人材の確保、育成に向け、取り組みを進めてまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 二〇二〇年東京大会に向けた人権施策の充実についてでございますが、東京が大会開催にふさわしい都市であるためには、オリンピック憲章の理念が広く社会に浸透していることが求められます。
 まちや競技施設のバリアフリー化を進めたロンドンを初め、過去の開催都市は、この憲章の理念を実現させるため、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
 現在、都は、こうした過去の開催都市における取り組みを調査しておりますが、これらを参考に、二〇二〇年東京大会の成功に向けた人権施策を推進してまいります。

○六十七番(山崎一輝君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

○議長(高島なおき君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高島なおき君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後八時十五分散会

ページ先頭に戻る