平成二十七年東京都議会会議録第二号

   午後一時開議

○議長(高島なおき君) これより本日の会議を開きます。

○議長(高島なおき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(高島なおき君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(新美大作君) 平成二十七年二月二十日付で、知事より、本定例会に提出するため、議案二件の送付がありました。
(別冊参照)

○議長(高島なおき君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 知事より、第百二十八号議案、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行条例の一部を改正する条例外議案一件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(高島なおき君) これより質問に入ります。
百十三番村上英子さん。
   〔百十三番村上英子君登壇〕

○百十三番(村上英子君) 平成二十七年第一回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 早いもので、舛添都政が誕生して一年が過ぎました。我が国や東京を取り巻く環境が目まぐるしく変わる中、舛添都政のこの一年間はおおむね順調に推移し、都議会と連携して多くの成果を上げてまいりました。
 特に昨年末、二〇二〇年、平成三十二年東京五輪パラリンピックを一つの通過点として、十年間の長期ビジョンを発表したことは、その適切な時代認識とともに、都民に明るい夢と希望をもたらし、東京を世界で一番の都市にするための第一歩を記したものと高く評価しています。
 長期ビジョンの実現には、平成二十七年度だけでおよそ一兆三千億円、二十七年から二十九年度までの三カ年で三兆七千四百億円の事業費が必要と試算されています。世界で一番の都市を実現するには、このような大きな予算と、都庁、議会、都内の自治体及び都民の総力が必要です。知事にはこうした力を結集し、世界で一番の都市のリーダーを目指していただきたいと思います。
 東京を世界で一番の都市にするためのあらゆる努力の中で、最も時間、予算、労力がかかるのが都市づくりです。
 例えば、この都庁や都議会のある旧淀橋浄水場用地を含む新宿駅西口地区の都市開発は、昭和七年から始まり、都有地以外は昭和五十七年に終了いたしました。途中、戦争による中断や戦災復興事業への変更などがありましたが、およそ五十年の歳月をかけて、鉄道駅を中心に、高度利用を前提とした東京の副都心が完成しました。都市をつくる、または改造するには、このように長期にわたる努力が必要です。つまり、今計画したものでも早くて二十年、長いものでは三十年から五十年後の完成ということになります。
 明治以降の東京には、実現できなかった都市づくりの課題が山積しています。銀座れんが街構想や東京市区改正、帝都復興計画、戦災復興計画など、その歴史は、既存市街地の改造がいかに困難な事業であるかを物語っています。
 例えば、今、都が苦労して対策を行っている木造住宅密集地域は、主に関東大震災後の帝都復興計画から除外された地区を中心に発生しており、さきの東京オリンピックで時間的、予算的な制約の中で、かなり無理してつくられた首都高速道路やその他、東京の基幹的インフラも、その後ほとんど改良されることなく現在に至っています。
 東京には、なし得なかった都市づくりの夢があります。二〇二〇年東京五輪パラリンピックまであと五年です。世界で一番の都市を目指すならば、今このタイミングでそうした積年の負の遺産を解消すべく、なし得なかった夢の実現へ道筋がつけられなければなりません。
 そのために、まず、東京の都市機能における、世界で一番を目指した大きなグランドデザインを描くべきと考えます。知事の所見を伺います。
 これからの都政は、先ほど申し上げた長期ビジョンを基本指針とし、毎年の予算案でその実効性を担保していかなければなりません。政策の裏づけという意味での予算は、だからこそ都民にもわかりやすく、知事の明確な理念と思いが伝わるものでなければなりません。
 予算編成権は知事にあり、議会には、その編成された予算に執行権を与える議決権があります。二元代表制をしっかりと機能させるには、お互いが抑制と均衡を図る努力を重ね、それぞれの権能を適切に発揮していくことが必要です。
 平成二十七年度予算は、いうまでもなく、舛添知事が編成する初めての本格的予算であり、長期ビジョン実現への初年度でもあります。東京五輪パラリンピックまであと五年という年数を考えても、私たちは、この予算が今までとは比較にならない重みを持つものと考えます。
 そこで、舛添知事は、平成二十七年度予算について、どのような思いを持って編成したのかお伺いいたします。
 次に、予算編成を通じた自己改革力の向上を図る取り組みについて伺います。
 来年度予算は、政策的経費である一般歳出の伸びも八年ぶりに三%を超え、投資的経費は十七年ぶりに一兆円を超えるなど、積極予算となっています。
 一方で、政策を実現するための貴重な財源である都税収入の今後の動向は、海外経済の下振れリスクや不合理な地方法人課税の偏在是正措置の動向などを踏まえると、決して安泰ではありません。
 知事も常々おっしゃるとおり、お金は天から降ってくるわけではなく、財源に限りがあります。都民から預かった限りある財源を無駄なく活用し、都民にしっかりと還元するには、真に必要な施策を練り上げ、効率性や実効性の高い施策を、戦略的かつ安定的に実施することが必要であり、これまで以上に予算編成を通じた自己改革力の向上を図ることが重要だと思いますが、知事の見解を伺います。
 次に、都有施設の維持更新などについて伺います。
 都は、平成二十一年に主要施設十カ年維持更新計画を策定し、着実な整備を行ってまいりました。しかし、本計画の策定後、さらなる社会インフラの長寿命化や、環境負荷低減などの取り組みが求められており、こうした状況へ的確に対応した施設の維持更新が必要となっています。
 昨年の第二回定例会の我が党の代表質問に対し、平成二十七年度からの新たな十カ年計画を今年度中に策定する旨の答弁がありました。
 そこで、現在進めている計画策定の基本的な方向性についてお伺いいたします。
 ことしは、阪神・淡路大震災から二十年という節目の年に当たります。建物倒壊や火災により、都市部で多くの方が犠牲となったことは、いまだ記憶に新しいですが、東京でも、南関東地域でマグニチュード七クラスの地震が発生する確率が三十年間で七〇%と推定されており、改めて地震対策の重要性を痛感しています。
 既に都は、東日本大震災の教訓も踏まえ、地域防災計画の修正を行うとともに、昨年末には東京の防災プランを発表し、自助、共助、公助が一体となって防災対策を進めていますが、大地震が発生した際には、国や関係機関との連携により、速やかに救出、救助活動を展開する必要があります。
 人命救助において特に重要となる、発災後七十二時間の関係機関との基本的な連携内容については、昨年四月に策定した首都直下地震等対処要領の中で明らかにしていますが、これをより具体的かつ実効性あるものにし、政府の災害対策本部とも、より緊密に連携が図られるよう取り組むべきと考えます。見解を伺います。
 次に、木密地域不燃化十年プロジェクトの推進に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 都は、木密地域を燃え広がらない、燃えないまちにするため、現在、特定整備路線と不燃化特区を同時に進めていく木密地域不燃化十年プロジェクトに取り組んでいます。
 特定整備路線については、順次事業化が図られており、不燃化特区についても、平成二十七年度からは五十二地区、整備地域の四割を超える約三千ヘクタールの規模まで拡大されることとなりました。今後は、さらに住民の理解と協力を得ながら、これまでの取り組みを確実に木密改善に結びつけ、安全・安心なまち東京を実現していくことが重要です。
 そこで、木密地域不燃化十年プロジェクトについて、都はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 次に、土砂災害対策について伺います。
 昨年、第四回定例会の冒頭において、知事は、基礎調査の前倒しを表明しました。危険箇所を早期に特定して、都民に周知するとのことであり、評価いたします。都内には約一万五千カ所の土砂災害のおそれのある箇所が存在するとされており、スピード感を持って調査を進めるべきと考えます。
 また、土砂災害特別警戒区域に指定された地域の中には、避難所や老人ホームなど、災害時要配慮者利用施設が存在している箇所もあります。こうした箇所の対策も含め、今後、土砂災害対策にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 次に、中小河川の整備促進について伺います。
 昨年、高知や広島で、これまで経験したことのない集中豪雨により、多くのとうとい命や財産が奪われました。都はこれまでも、護岸や調整池などの整備を進め、浸水被害を大きく減少させてきましたが、近年では、時間五十ミリを超える集中豪雨が都内でも頻発しており、その対応が求められています。都は、河川の目標整備水準を引き上げ、新たな施設の検討を始めているところですが、中小河川の整備促進について見解を伺います。
 水道インフラの整備について伺います。
 東京水道では、我が党の政策提言に応えて、強靱な水道インフラの構築に向け、施設整備に計画的に取り組んでいます。しかし、巨大な水道インフラであるからこそ、災害や事故などの不測の事態は、いつ、どこで発生するかもしれません。仮に、浄水場などの水道基幹施設の機能が停止する事態となれば、首都東京の都市機能への影響ははかり知れません。広域断水などのリスクを回避するためには、より一層高いレベルの水道システムを目指した施設整備を強力に推し進めるべきです。
 そこで、基幹施設の整備にかかわる取り組みを明らかにし、広く都民に訴えかけ、着実に推進することが極めて重要と考えますが、今後、具体的にどう進めていくのか伺います。
 次に、消防対策について伺います。
 安全・安心な都市を実現するため、木密地域の不燃化、耐震化、東京都沿岸部及び東部低地帯での津波、高潮対策の強化、島しょ部における津波避難施設の整備など、高度な防災都市の実現に向けて、地域特性を踏まえた防災対策が進められております。
 これら取り組みに加え、首都直下地震などによる被害を最小化するためには、助けを求める人を迅速に救助できる体制の強化が必要です。第四回定例会では、消防ヘリコプターの機動力を生かした人命救助など、消防活動体制の強化を求め、今回、エアハイパーレスキューの創設が長期ビジョンにも位置づけられたところでありますが、今後もさらに必要な人員や装備資機材などの強化を図っていくべきと考えます。
 そこで、エアハイパーレスキューの部隊の概要と、今後のさらなる消防活動体制の強化について見解を伺います。
 次に、国土強靱化地域計画について伺います。
 首都東京は我が国の心臓部であり、どんな自然災害に対しても首都機能を保持することは、東京、そして国にとって重要な責務です。
 こうした我が党の指摘に対し、第四回定例会において知事は、東京都国土強靱化地域計画を策定していくことを表明されました。国土強靱化は、ハード、ソフト両面で幅広い分野が対象となり、全庁挙げた取り組みが始まっていることと思いますが、我が党としても、会派内に国土強靱化プロジェクトチームを設置し、具体的な議論を開始しています。
 この国土強靱化は、都民や企業の皆様の生命、財産を守る取り組みであることはいうまでもありませんが、国会や政府機関など、首都機能を有する東京には、我が国全体の機能を保持する責務もあります。地域計画の中では、都の取り組みに加え、国や関係機関が果たすべき役割や責任について、財政面も含め明確にし、双方が連携して具体的な取り組みを推進していくべきと考えます。
 今後どのように地域計画を策定していくのか、見解を伺います。
 次に、治安対策について伺います。
 都は、昨年の第三回定例会における我が党の代表質問を受け、安全・安心の確保に向けた今後の取り組みの方向性を示す、安全安心TOKYO戦略を先月発表いたしました。地域の力の強化に重点を置いた施策展開は、都民の誰もが安心して暮らせるまち東京を実現するものと期待しています。
 一方、国際社会に目を転じれば、卑劣なテロにより一般市民が犠牲になるなど、五年後に東京五輪の開催を控えた東京にとって、新たな懸念も生じます。東京を世界で一番の都市とするためには、地域の安全・安心の確保とともに、テロなどの脅威にも屈しない強い東京をつくり上げていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、性犯罪被害者支援について伺います。
 都内における性犯罪の認知件数は、刑法犯の全体数が毎年減少を続けているにもかかわらず、ここ数年増加傾向にあります。犯罪被害者は、強い不安感などの症状があらわれる心的外傷後ストレス障害の発症率が高い上、望まない妊娠や感染症のリスクも負うなど、その被害は深刻です。
 支援を必要としていながらも、心身への大きなダメージや被害を人に知られたくないなどの性犯罪の特性から、誰にも相談できず、直接医療機関を受診する被害者も存在し、医療機関からは、被害者に対するきめ細やかな支援が必要であると聞いています。
 都はこれまでも、関係機関と連携し、犯罪被害者の救済に向けた取り組みを進めていますが、性犯罪被害者に対し、被害直後から寄り添ったきめ細やかな支援を開始し、早期救済につなげていく必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、福祉、保健、医療施策について伺います。
 我が党は、第四回定例会で、福祉先進都市の実現に向けた知事の決意を伺いました。
 都が昨年末に策定した長期ビジョン、本年一月に発表した予算原案では、各分野にわたって新たな取り組みや充実策が積極的に盛り込まれており、高く評価いたします。
 この長期ビジョンや予算原案は、知事就任以来、初めて一から手がけたものとし、知事の考えが詰まったものと思っています。
 そこで、これらを踏まえ、今後、福祉、保健、医療施策をどのように展開していくのか、知事の所見を伺います。
 次に、地域医療構想について伺います。
 将来にわたって医療提供体制を維持発展させていくためには、より効率的で質の高い医療提供体制を構築する必要があります。
 国は、医療法を改正し、医療機関に対し、病棟単位での医療機能の報告を義務づけ、都道府県は、この報告も活用し、地域医療構想を策定することになりました。
 日本の医療の現状を見ると、都道府県により状況はさまざまです。例えば、都内には十三の大学病院本院や中小病院を中心とした多くの民間病院が集積し、また、高齢者の絶対数がふえ続けていくなどの特性があります。
 地域医療構想の策定に当たっては、こうした地域の実情を十分に踏まえる必要があります。
 現在、国はガイドラインの検討を行っており、我が党は先日、国に対してこうした東京の特性を十分考慮したガイドラインとなるよう要望活動を行ったところです。
 都は、地域医療構想の策定に当たり、課題をどのように捉え、今後どのように進めていくのか、お伺いいたします。
 子育て世帯の共働きが増加し、かつ保育所などの利用児童数が増加する中、子供が急病の際にも安心して預けられる環境の充実を図る必要があります。
 病児、病後児保育は、実施体制の整備に加え、季節や病気の流行により利用者数が大幅に変動するため、安定的な経営が困難であり、区市により取り組みに差があるのが現状です。都立、公社病院が、病児、病後児保育を実施する意義は大きいと考えます。
 病児、病後児保育の実施に当たり、都立、公社病院としてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 次に、高齢者施策について伺います。
 都内の高齢者人口は急速に増加しており、平成三十七年には都民の四人に一人が高齢者となる見込みです。たとえ介護が必要な状態や認知症になったとしても、できる限り地域で自立した生活を送れる社会を構築することが重要です。
 都は現在、来年度からの三カ年を計画期間とする第六期高齢者保健福祉計画の策定を進めており、来月下旬の公表に向け、最終的な取りまとめを行っていると聞いています。
 今回の計画は、中長期的には平成三十七年の高齢者像を見据えた計画とするとされていますが、この計画に基づく具体的な取り組みをどのように進めていくのかお伺いいたします。
 次に、保育人材、介護人材の確保、定着について伺います。
 長期ビジョンで挙げた待機児童解消や介護サービスの充実を進めるためには、施設整備とともに、サービスの質を確保しながら、安定的に人材を確保することが重要となります。
 我が党は、昨年十二月、都が保育サービスの向上のために独自に実施している補助制度の見直しについて緊急要望を提出し、我が党の働きかけにより、制度のさらなる充実が図られました。
 一方、こうしたサービスを担う人材は、介護職員を見ても、高齢化がピークを迎える平成三十七年には、全国で三十万人が不足されるとしています。
 急速な高齢化と生産年齢人口の減少が見込まれる中、新たな人材を安定的に確保していくことはもとより、意欲を持って働き続けられる職場環境の整備や、子育てなどの理由で一旦退職した方が復職を希望するときに、これを後押しするような仕組みが重要です。
 都は、保育人材や介護人材の確保に向けてさまざまな取り組みを進めてきましたが、施策をさらに充実していくことが必要と考えます。
 そこで、福祉人材の確保に関する認識と今後の対応について伺います。
 次に、障害者施策について伺います。
 障害者が地域で安心して暮らせる社会を実現するため、現在都は、障害福祉計画に基づき、グループホームや通所施設など地域基盤の整備を推進しています。
 長期ビジョンでは、来年度からの三カ年で、障害者の地域生活基盤をさらに約六千七百人分整備する政策目標が示されています。この目標を達成するためには、新たに策定する次期計画において、取り組みを一層強化する必要があると考えます。
 そこで、障害者の地域生活基盤の整備について都はどのように取り組むのか、見解を伺います。
 次に、福祉インフラ整備の促進に向けた取り組みについて伺います。
 我が党は、昨年の第二回定例会において、用地の確保が困難な東京において福祉施設の整備を促進するため、新たな土地活用の支援策に取り組むべきであると主張してまいりました。
 都は、これを受けて、昨年七月に福祉インフラ整備のための土地活用方策を発表し、また、東京都長期ビジョンでは、具体的な施策として、都営住宅、公社住宅の創出用地の活用と都市開発諸制度の見直しについて盛り込みました。
 創出用地活用の取り組みについては、平成三十六年度までに三十ヘクタールを超える候補地を提供することとし、今年度は公社住宅用地において事業に着手するとしています。
 地元区市町村と連携し、速やかに事業を進めていくべきと考えますが、現在の取り組み状況についてお伺いいたします。
 また、東京五輪に向けて都市開発が活発化している状況も踏まえ、まちづくりに合わせた取り組みが重要と考えます。
 そこで、福祉インフラ整備促進に向けた都市開発諸制度の活用方策について伺います。
 特に都心部などでは、都市開発諸制度による立地誘導を図ることに加え、都有地においては、高い容積率を活用して福祉施設と民間施設との複合施設を整備するなど、都有地ならではの一歩踏み込んだ新たな取り組みが必要と考えますが、都の所見を伺います。
 次に、子育てについて伺います。
 子供が健やかに成長できる東京を実現するためには、社会全体で子育てしやすい環境を整備することが必要です。子供の声が騒音として扱われ、保育所の整備がおくれたり、幼稚園や公園などでの活動が制約されるようなことがあってはなりません。
 我が党は、子供たちが伸び伸びと育ち、元気な声があふれるまちを実現すべきことを政策提言で挙げるとともに、子供の声に対し、工場などと同様に規制値が適用される都条例を見直すよう強く要望してきました。
 一方、実際に悩んでいる近隣住民が存在しており、配慮が必要なことも事実です。都は、区市町村とも協議し、パブリックコメントを経て、改正条例案を提出しました。
 そこで、子供が地域で健やかに育つ環境づくりに関する知事の認識をお伺いいたします。
 少子化が進行する中、子供を持つことを希望する方がその願いをかなえられ、安心して子育てができる環境を整備することは重要な課題です。
 核家族化の進行や地域のつながりの希薄化などにより、地域や家庭の子育て力が低下しており、出産や子育てに対する不安や負担感を強く感じている家庭も少なくありません。また、晩婚化の進行で、高齢になってから不妊治療を開始する方も多く、身体的にも経済的にも大きな負担となっていると聞いています。
 全ての人が安心して子供を産み育てられる社会を目指して、都は、妊娠、出産、子育てに関する取り組みを一層強化する必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、環境エネルギー政策について伺います。
 ことし十一月、パリにおいて、気候変動に関する新たな枠組みが議論されます。気候変動の危機を回避するためにも、膨大なエネルギーを消費する東京は、実効性の高いCO2削減、省エネルギー対策や再生可能エネルギー、水素といった低炭素エネルギーの普及拡大などを総合的に展開していくことが重要です。
 長期ビジョンでは、我が党が行ったエネルギーの需給両面からの多岐にわたる提言を踏まえ、新たな政策目標を掲げており、力強い一歩が踏み出されるものと認識しています。
 都は、東京五輪後も視野に入れ、都民や事業者の取り組みを後押ししながら、世界一エネルギー利用効率の高いスマートエネルギー都市の実現を目指すことが重要と考えますが、見解を伺います。
 スマートエネルギー都市の実現に向けては、次世代エネルギーである水素の活用も必要です。水素は、環境負荷の低さ、供給源の多様さ、経済波及効果の高さ、災害への強さなどさまざまな意義を有し、水素社会の早期実現は、資源小国日本にとって極めて重要です。
 都は、我が党の提言を踏まえ、いち早く初期需要の創出やインフラ整備に向けた支援策を盛り込んだ補正予算を措置するとともに、水素の活用に向けた東京五輪までの継続的な取り組みを推進するため、新たに四百億円の基金を創設するとした点は高く評価できます。
 水素社会の実現に向けて、東京が我が国を力強く牽引していくために、都は、政策目標の達成に向けた財政的支援に加え、規制緩和や区市町村との連携、普及啓発などの多面的な施策を積極果敢に展開すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 資源や環境をめぐる規制がますます厳しくなる中、東京の活力と国際競争力を維持、発展させるためには、世界一の都市東京にふさわしい資源循環の実現を目指し、持続可能な資源利用を強力に推進していく必要があります。
 都は、さきの定例会における我が党の提言を踏まえ、長期ビジョンに持続可能な資源循環型都市の構築を挙げ、今年度中にその取り組み方針を策定するとしています。
 この方針の具体化に当たっては、建物解体により発生するコンクリート塊の再生利用促進などの喫緊の課題に迅速に取り組むとともに、継続的、計画的に施策を推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
 我が党は、さきの定例会において、東京五輪を東京の社会インフラを見直す好機と捉え、花と緑を生かした誰が見ても美しいと感じる緑化を拡大し、五輪のレガシーの一つとしていくように提案しました。
 これに対して都は、花や緑を生かしたまちづくりが、東京の国際的なプレゼンスを高める有効なツールとなることや生態系の保全に資することを踏まえ、長期的な展望を持って取り組む考えを示しました。
 五輪開催後も都民に長く愛され、親しまれる花と緑の空間を創出するためには、都が積極的に民間事業者などの先導的な植栽づくりや区市町村の身近な地域緑化を支援するとともに、広域展開を図っていく必要があります。
 今後都は、世界で一番美しい都市の実現に向けて、どのように花や緑を生かしたまちづくりを推進していくのか、見解を伺います。
 自転車は、環境に優しい乗り物であり、日々の買い物や通勤通学など、子供から高齢者まで多くの都民が手軽に利用しています。
一方で、都内の交通事故のうち、自転車が関与する割合は全国平均を大きく上回っており、ルールやマナーの向上に加え、自転車の安全な通行確保に向けた取り組みが急務となっています。
 私は、一昨日、台東区内を訪れた際に、観光地で有名な上野と浅草を結ぶ浅草通りを見てまいりました。この通りには、道幅が広いこともあって、車道、自転車道、そして植樹帯を挟んで歩道ができ上がっており、おのおのが安心して快適に通行できる状況になっていました。
 全ての道路がこのような形にできるとは思いませんが、それぞれの道路の状況に応じて、自転車走行空間をしっかりと整備していってもらいたいと思います。
 自転車の交通手段としての重要性は、今後ますます高まると思われることから、ソフト、ハード両面において自転車の安全な利用を確保するとともに、自転車シェアリングという新たな手法も活用しながら、利用促進といった視点も含め、自転車利用の環境整備を総合的に進める必要があると思いますが、知事の所見を伺います。
 無電柱化は、美しい都市景観を生み出すとともに、災害時には電柱の倒壊による道路の閉塞を防ぐなど、防災、減災にも資する重要な役割を担っています。
 我が党はこれまで、無電柱化を推進すべきと主張してきましたが、昨年十二月に東京都無電柱化推進計画が策定され、全体で九百十六キロメートルの整備が進められることになりました。
 今後は、都内全域で無電柱化を進め、区市町村道も含めた面的な広がりを持たせることで、日々の生活でも無電柱化されたまち並みを実感できるようにすることが必要です。
 そこで、都の無電柱化事業の今後の取り組みについて伺います。
 次に、下水道施設の上部利用について伺います。
 下水道局では、品川駅、田町駅周辺地区の大規模な都市開発の一環として、地区内にある芝浦水再生センターの上部空間を複合的に利用する新たな取り組みを進めています。
 具体的には、民間事業者と連携し、業務商業ビルと公園、その地下に水質改善に資する施設を建設し、間もなく完成すると聞いております。
 このプロジェクトは、この地区のまちづくりを先導し、次世代型環境都市づくりに大いに貢献する画期的な試みであり、高く評価します。
 今後、このようなまちづくりに貢献する取り組みも視野に入れ、施設の立地条件や地域のニーズなどを踏まえながら、幅広い観点から、下水道施設の上部空間の利用策を検討すべきです。
 そこで、芝浦水再生センターの上部利用の意義と今後の下水道施設の上部利用の取り組みについて伺います。
 次に、東京の経済について伺います。
 昨今、地方創生をキーワードに、人、物、金を東京から地方へと移してしまうことが、我が国の再生のために不可欠であるかのような議論が見受けられます。国内各地の経済を活性化すること自体に異議はありませんが、経済は、東京か地方のどちらかしか繁栄できないという単純なものではありません。
 ものづくり一つとっても、東京と地方、さらにいえば、海外にあるさまざまな企業が複雑に絡み合って製品をつくり上げています。
 東京にはさまざまな経営資源が集積する大きなメリットがあり、これを最大限に生かして東京の産業力をさらに強力にすることが、結果的に地方の元気につながるのです。こうした、ともに栄える、ウイン・ウインの考え方に基づいた産業政策を展開すべきです。
 この点からも、東京五輪は日本が一つになる大きなチャンスであり、オールジャパンの視点での取り組みを強力に推進すると同時に、さまざまな課題の克服に取り組み、東京の産業のさらなる発展を図っていくことが重要です。
 世界の耳目を集める大会は、中小企業の高い技術力や製品を世界にアピールする絶好の機会です。
 さきの第四回定例会で、我が党は、大会の効果を中小企業にまでしっかりと波及させるため、受注機会への参画など新たな支援の仕組みづくりを求めました。
 また、すぐれた技術を有する中小企業が医療器具やロボットなどの次世代の技術開発に取り組むことや海外での販路の拡大を図ることなど、今後のさらなる発展に向けた取り組みを強力に支援していく必要があります。
 東京五輪を見据え、東京の産業を支える中小企業の成長に向け、都はどのような取り組みを進めていくのか伺います。
 こうした成長に向けた支援に加え、厳しい経営環境のもとで懸命に事業に取り組んでいる小規模零細事業者への支援も重要です。都内中小企業の八割を占める小規模零細事業者の多くは、市場の急激な変化や地域経済の冷え込みの中で、取引先や売り上げの先細りに直面しています。
 経営者が高齢化し、誰に事業を託すかという事業承継の問題も切実になっています。技術力はあっても経営基盤は脆弱な企業が多く、通り一遍の相談や指導にとどまらない、きめの細かな踏み込んだ支援が求められています。
 地域の経済や雇用を担う小規模企業の安定は、東京の産業全体の観点から極めて重要であり、都は実効性ある対策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
 いうまでもなく、企業経営において、資金繰りは切実な問題です。例えば創業期には、新商品の開発、従業員の確保や広告宣伝などに多額の資金を要し、安定した収入が得られるまでは綱渡りの経営が続きます。また、事業承継を考える企業でも、事業形態の転換など経営基盤の強化を図るために資金が必要となる場合があります。
 さまざまな中小企業が、その実情に応じ、多様な方法で資金調達ができるよう、都は制度融資を初めとする金融支援策のさらなる充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 経済の活性化に向けては、今ある企業の継続や発展に加え、新たなビジネスを数多く生み出していくことが必要です。
 東京には多様な才能、知識、技術が集積しています。こうしたポテンシャルを十分に生かし、女性や若者、高齢者といった意欲のあるさまざまな創業希望者が、みずからのアイデアを生かして新たなビジネスに果敢にチャレンジできる環境を整えることが行政の役割です。
 我が党はこれまで、創業希望者へのきめ細かな経営サポート、すぐれたインキュベーション施設への支援、創業のための融資原資の大幅な拡充など、踏み込んだ支援の強化を求めてきましたが、創業の促進に向けた都の今後の取り組みについて伺います。
 昨年、海外から日本を訪れた旅行者は一千三百万人を超え、過去最高となりました。国際的な注目が集まる中、二〇二〇年大会に向けて、東京をロンドン、ニューヨーク、パリと肩を並べる国際観光都市へと大きく飛躍させなければなりません。
 今後、さらに世界の旅行者を引きつけるには、日本人が培ってきた伝統や文化のすばらしさに加え、革新的な都市機能、安全で清潔な生活環境など東京が持つ魅力を、いわば東京ブランドとして戦略的に発信していく必要があります。
 そして、万全な受け入れ環境を整え、おもてなしの心で旅行者を温かく迎え入れることで満足度を高め、リピーターや旅行者のさらなる獲得につなげていかなければなりません。
 世界に誇れる観光都市東京の実現と東京ブランドの発信に向けて、知事はどのように取り組んでいくのか伺います。
 また、東京を訪れた外国人旅行者が日本の各地に足を延ばし、その土地ならではの自然や生活、文化を満喫してもらえれば、旅行者の満足につながるだけではなく、日本全体に効果を波及させることができます。
 東京と地方の相乗効果を生み出すために、東京が先頭に立って役割を果たしていくべきとの我が党の提案を受け、都は新たな協議体を立ち上げました。参加する自治体や民間事業者と強力に連携して取り組みをさらに進めるとともに、東京と地方の双方の魅力をさまざまな機会を通じて効果的に発信することで、全国の旅行者の増加につなげていくべきですが、今後の都の取り組みについて伺います。
 東京都は、昨年五月の国家戦略特区の区域指定を受け、昨年末には、東京再生、まちづくりや医療の分野における規制改革事項などを活用したプロジェクトが計画認定され、具体的な取り組みが進められています。
 そうした中、昨年三月末に東京都が打ち出したワンストップセンター構想にも動きが出ています。登記や税務など法人設立手続の迅速化、簡素化を図るワンストップセンターについて、国が昨年十二月に開催した国家戦略特区諮問会議では、来年度の設置に向け準備作業を進める方針が示されました。
 ジェトロの調査でも、対日投資の阻害要因として、行政手続、許認可制度の難しさ、煩雑さが挙げられており、ワンストップセンターの設置はこれに対する有効な手段と考えます。
 国と連携して実効性の高い仕組みをつくり上げる必要がありますが、東京都はこれまで、外国企業向けのビジネス支援窓口として、ビジネスコンシェルジュ東京を運営してきました。これとワンストップセンターが十分に連携することが重要ではないかと考えますが、見解を伺います。
 次に、都市農業は地域経済や暮らしを支える重要な産業であり、相続などによって東京の農地が急速に失われる中、農地を保全し、都市農業の振興を図ることが喫緊の課題です。
 今通常国会では、都市農業振興基本法の制定が見込まれていますが、この機を捉え、農地制度や税制度などさまざまな仕組みの効果的な見直しにつなげていかなければなりません。
 また、大都市東京で農業が営まれ、多様な農産物が生産されていることは、東京の大きな魅力の一つでもあります。大消費地を抱えるメリットを生かし、収益性の高い経営を実現するためにも、農産物のブランド化の推進や特色ある東京産の食材の生産拡大に取り組むことが求められています。
 東京の重要な産業である都市農業の振興に向けた知事の所見を伺います。
 産業を活性化し、経済を持続的な成長軌道に乗せるためには、生産年齢人口の減少という東京が直面する課題を克服しなければならず、こうした視点から雇用政策を考えていく必要があります。
 都は、長期ビジョンで、全ての人が活躍できる社会の実現を挙げています。女性や若者、高齢者、障害者がみずからの意欲や希望に応じて生き生きと働くことは、一人一人の自己実現が図られるばかりでなく、社会の活力、経済の活性化にもつながっていきます。
 そのためには、知事が重要施策として挙げている非正規対策はもちろんのこと、ハード面も含めた女性の働く環境の整備、若者や高齢者の特性に応じた就業支援などが求められており、国や区市町村とも連携して、多面的な取り組みを進めていく必要があります。
 全員参加型の社会実現に向け、雇用就業施策をどのように展開していくのか、知事の見解を伺います。
 次に、発達障害教育について伺います。
 現在、通常の学級の中には、学習障害や高機能自閉症、注意欠陥多動性障害などさまざまな困難を抱えた児童生徒が多数在籍しており、こうした児童生徒への障害の状況に応じた適切な指導、支援を実施しなければ、学力や学習意欲の低下、いじめ、不登校といった本人にかかわる課題につながるだけではなく、授業が中断するなど他の児童生徒にも影響が及ぶ場合があります。
 都教育委員会は、発達障害教育の充実に向け、まず全小学校への特別支援教室の導入を進めていますが、中学校、高等学校での取り組みは十分とはいえません。さらに、保護者自身が障害に気づかないなどの理由により、適切な指導、支援を受けられていない児童生徒への対応も必要です。
 発達障害の児童生徒が、生活や学習上の困難を改善または克服するための総合的な施策を講じていくことが必要と考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、公立学校の冷房化について伺います。
 都は、普通教室の冷房化を完了し、特別教室についても、既に都立学校で冷房が整備済みの音楽室、視聴覚室、図書室、パソコン室について、区市町村立小中学校での整備を推進するための支援を開始しました。しかし、冷房化の対象教室のさらなる拡充の要望が保護者や区市町村から多く寄せられており、夏の暑い時期でも実験や実技を通した体験的な学習に集中して取り組めるよう、理科室や家庭科室など他の特別教室への冷房化の拡充は喫緊の課題です。
 我が党は、昨年九月の第三回定例都議会において、都立高校の検討結果を踏まえ、小中学校における冷房化の対象を拡充すべきと強く訴えたところであり、早急に実現を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、私立学校におけるグローバル人材の育成について伺います。
 東京五輪の開催を見据え、世界を舞台に活躍できる若い世代の育成は、ますます重要となっています。都内の高校生の約六割が通学する私立学校では、それぞれ独自の建学の精神や教育理念に基づき、個性的で特色ある教育を展開しており、世界に通用するグローバル人材の育成にも積極的に取り組んでいます。
 我が党はこれまでも、私立学校のこうした取り組みを支援することが、主体性や実行力、チャレンジ精神にあふれ、日本の将来を担っていくグローバル人材の育成に必要であることを主張し、海外留学の支援制度などを実現させてきており、来年度においては、JETプログラムを活用したさらなる支援を強く要望し、予算案に盛り込まれています。
 今後、このような私立高校におけるグローバル人材育成のための教育活動を一層支援していくことが必要であると考えますが、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、私立学校におけるICTを活用した教育環境の充実について伺います。
 近年、教育現場において情報化の進展が目覚ましく、ICT機器の重要性が増しています。ICTを活用した多様な学習形態を可能とすることで、児童生徒のより主体的な学びにつながり、社会に求められる情報活用力や問題解決力の向上にも大きな効果があると考えます。
 今後、ICTを活用した先進的な教育環境の整備をより一層進めていくことが必要であると考えますが、都の見解を伺います。
 さきの第四回定例会の我が党の代表質問に対して、知事は、オリンピック・パラリンピックを契機として、またその先に向かって、東京、日本と世界を結ぶ人材のかけ橋を未来に残すと答弁されました。そして、今定例会に都市外交人材育成基金の設置条例が提案され、予算にも八十億円が計上されています。東京は、大都市課題を解決することを通じて世界に貢献するとともに、大会を契機として真の成熟を遂げ、世界から投資や観光客が集まってくるグローバル都市として、さらなる進化を遂げることが求められております。これは長期ビジョンで掲げた東京を世界で一番の都市にするという目標の実現にもつながるものであります。
 都市外交人材育成基金は、こうした観点を踏まえて、戦略的に活用し、有為な人材を育てていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、まちづくりについて伺います。
 都市計画道路について、都はこれまで、増加する交通需要への対応に主眼を置き、区部放射環状道路、多摩南北道路などの整備を進めてきましたが、その完成率は六割と、まだ道半ばの状況であり、引き続き、こうした道路整備を促進することが重要です。これからは、こうした点に加え、誰もがまち歩きしやすく、くつろげる道路空間を創出するなど、成熟都市の豊かさと快適さが実感できる都市づくりにも力を注ぐべきです。
 現在、都は、おおむね十年に一度改定される都市計画道路の整備方針について検討しているとのことですが、こうした時代の変化を捉え、どのように取り組むのか伺います。
 次に、鉄道ネットワークの充実についてお聞きいたします。
 二〇二〇年、平成三十二年には東京五輪が開催されますが、さらに、次の時代においても輝き続ける東京を我々はつくり上げていく必要があります。鉄道は、豊かで快適な都市生活を支える基幹的かつ必須のインフラです。高度経済成長期を経て鉄道ネットワークが高密度に形成されたことに合わせ、東京圏が今日の姿へと大きく発展を遂げてきたように、我が党が掲げる東京を世界で一番の都市にを実現させる上で、戦略的に鉄道ネットワークの充実を図っていくことは必要不可欠と考えます。
 第四回定例会では、我が党の一般質問に対し、現在検討中である都における今後の鉄道ネットワークのあり方について、今年度中に中間のまとめを行うと答弁がありました。都の考え方を早期に明確にすることで、交通政策審議会での議論に反映されるよう、積極的に取り組んでいくことが重要と考えます。
 そこで、鉄道ネットワークの充実について、知事の所見を伺います。
 次に、羽田空港の機能強化についてお聞きいたします。
 先般、安倍首相が今国会の施政方針演説において、羽田空港の機能強化を進めていくと表明しました。我が国経済の活性化のためには、アジアを初め世界の成長力を取り込むことが必要であり、その玄関である羽田空港の機能強化は極めて重要です。
 昨年、訪日外国人旅行者数が過去最高の千三百万人となり、政府目標である訪日外国人二千万人の達成も現実的なものになりつつあり、羽田空港の受け入れ体制強化の必要性はますます大きくなってきています。一方、容量拡大のために必要な飛行経路の見直しについては、地元から騒音などの懸念の声もあります。
 このような状況のもと、都は、羽田空港の機能強化について今後どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
 次に、東京五輪について伺います。
 知事は、さきの施政方針において、本格化する大会準備に総力を挙げて取り組んでいくことを表明しました。とりわけ、会場計画については、昨年の第二回定例会で知事が再検討を打ち出して以来、我が党は質疑などを通じて知事との議論を重ねてまいりました。この議論を踏まえ、三つの施設の新設を中止したことは、整備費の抑制だけではなく、大会後の施設の有効活用を図る上でも、会場計画の方向性について大きくかじを切るものであり、我が党としても高く評価するところです。
 この見直しを受け、先月、必要な施設については基本設計に着手し、本格的な施設整備に向けたスタートを切りました。いよいよ開催に向けた準備にアクセルをさらに踏み込んでいくときが来たと思います。準備に当たっては、大会開催時はもとより、大会後にあるべき東京の姿を見据えた上で取り組みを進め、次世代に誇るべきレガシーを継承していくことを常に念頭に置かなければなりません。
 また、東京五輪は、バリアフリーや技術、文化、伝統、環境など、東京という都市が成熟した社会であることを世界に示し、我が党が政策として挙げた世界で一番の都市東京を実現できる絶好の機会でもあります。東京が国際社会における存在感を確固たるものとし、日本の再生を牽引していくためにも、大会を成功に導くことは開催都市東京の責務です。
 大会の成功に向け、開催準備に取り組んでいくに当たっての知事の決意を伺います。
 パラリンピックに向けた取り組みについて伺います。
 東京は、東京五輪に向け、ロンドンを超える史上最高の大会を目指していますが、都の世論調査では、障害者スポーツをテレビで見た人は五〇%、実際に観戦した方はわずか二%にとどまり、障害者スポーツへの関心は依然として低い状況にあります。知事からも、パラリンピックに向けた取り組みがおくれているとの発言があり、来年度から人員と予算を増強して進めるとしています。
 我が党は、メディアの活用や観戦の場の創出などの普及啓発を初めとするさまざまな施策を加速度的に推進すべきと考えています。
 パラリンピック大会の成功に向けて今後どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 東京五輪に向けた都の競技力向上策について伺います。
 大会に向けて会場整備などを着実に進めることと並行して、大会の主役であるアスリートを育成、強化していかなければなりません。都は、東京都長期ビジョンに、都が発掘、育成、強化するアスリートを百人とする目標を掲げました。東京のアスリートが多数出場し活躍することは、都民に夢や感動をもたらすとともに、大会機運の醸成に直接つながり、ぜひともこの目標を達成すべきです。
 しかし、その道のりは容易ではなく、ジュニアの発掘、育成から現役アスリートの競技環境の整備まで、幅広い取り組みが必要です。大会まで残すところわずか五年余り、都は、さらなる競技力向上にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 東京五輪の成功に向けては、区市町村と連携し、地域からオリンピックムーブメントを推進し、オール東京で継続して盛り上げることが重要であると我が党はこれまでも訴えてきました。
 現在、多くの区市町村が事前キャンプ誘致に大きな関心を持ち、誘致のためにスポーツ施設の改修も視野に入れているという声もあります。また、大会を契機として、機運醸成のためのイベントやボランティア育成など、地域振興にも資するさまざまな事業の計画があると聞いています。
 大会成功はもとより、障害者を含む都民を元気にするスポーツ都市東京の実現のためには、このような地域に密着した取り組みが欠かせません。
 都は、こうした動きを受けとめ、区市町村の主体的な取り組みを促進するため、財政面も含め、積極的かつきめ細かく支援するべきと考えますが、所見を伺います。
 東京五輪を控え、外国要人を東京に迎えて接遇する多くの機会が見込まれます。このような場合に、真に日本人の心が伝わり、海外の方々を魅了するような場所を整え、日本の歴史や伝統文化に触れてもらう必要があると我が都議会自由民主党は主張してまいりました。過日、知事が、浜離宮恩賜庭園に東京都独自の迎賓施設を整備すると我が党の主張に応えて発表されたことは、大変喜ばしいことです。
 そこで、浜離宮恩賜庭園におけるおもてなしについて、知事の所見を伺います。
 次に、東京五輪を契機とした都営地下鉄の取り組みについて伺います。
 東京の高度に発達した鉄道網は、安全で安心な公共交通機関として世界でも評価が高く、また、それぞれの沿線にある歴史や文化、自然などの名所をつなぐ役割を担っています。
 都営地下鉄は一日二百四十五万人が利用しており、まずは、東京の都市活動や都民生活を支える重要な交通機関としての役割といったみずからのブランド力を高めていく必要があります。それに加えて、羽田空港や成田空港と都心部をダイレクトに結んでいることや、山の手から下町まで、あらゆる顔を持つ地域をつないでいるとともに、各沿線には、浅草など多くの観光スポットを抱えていることから、沿線区などと連携して沿線独自の価値も高めていかなければなりません。
 東京五輪を契機として、こうした都営地下鉄が持つ強みに磨きをかけつつ、さらなる高みを目指した取り組みを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、大会の開催と港湾物流との調和について伺います。
 東京五輪は、首都東京を再生し、日本経済の成長を牽引していくために、何としても成功させなければなりません。選手村や競技施設整備に向けた検討が進み、今後は工事が本格化することとなりますが、これらを踏まえ、大会開催に万全の体制で臨んでいくことが求められています。
 一方、関連施設の建設が集中する臨海エリアには、東京港のコンテナターミナルなど、物流機能が集積しています。東京港は通過する貨物の額だけでも年間十七兆円を超え、その大部分は食品や衣料品など生活必需品を含む輸入であるなど、東日本の日常生活に欠くことのできない機能を担っており、一日たりともとめることはできません。
 また、東京港を利用する荷主企業は、長年にわたり経済合理性を追求してきた結果として、東京港利用を前提とした物流体系を確立しており、決して他の港がかわれるものではありません。さらに、東京五輪の準備に向けた建設資材の輸送などの場面でも、東京港の果たす役割がますます重要になってくることは確実です。
 大会の準備期間、そして、開催期間において、大会の確実な成功を目指すとともに、東京港の港湾機能にも十分配慮するべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、東京文化ビジョンについて伺います。
 まず、文化ビジョンの意義と、その実現に向けた取り組みについてです。
 芸術文化は、人々に喜びや感動を与えるのはもちろんのこと、国内外の観光誘因となるとともに、種々の産業とかかわって経済活動を活性化させるなど、多くの価値を有しています。日本古来の精神に裏打ちされた伝統文化を中心に、東京にも満ちあふれている多様な文化を活用して、東京という都市の価値をさらに高め、発展させていくべきであります。
 この発展の最大の機会ともいえる東京五輪開催を前に、芸術文化をどのように活用していくのか、ビジョンの指し示す方向性は重要な意味を持っています。
 そこで、今回この時期に東京文化ビジョンを策定する意義と、文化の中でもとりわけ伝統文化を生かしながら、芸術文化を東京の発展の中にどのように位置づけようとしているのか伺います。
 また、このビジョンが絵に描いた餅にならないよう、実現に向けてどのように取り組んでいくのか、あわせて知事に伺います。
 次に、東京五輪に向けた機運の醸成について伺います。
 文化の面でも世界一の都市となるには、世界に向けて東京の魅力を発信するため、まず、オリンピック文化プログラムで成功をおさめ、文化のレガシーをつくっていかなければなりません。過去最大といわれる二〇一二年のロンドン大会をしのぐ、先進的で他に類を見ない文化プログラムを展開していくためにも、さまざまなプロジェクトを早期に展開することにより、あらゆる都民を巻き込んで、東京五輪に向けた機運を醸成するべきであります。
 今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 次に、多摩・島しょ振興について伺います。
 都は、昨年末に策定した東京都長期ビジョンにおいて、多摩・島しょ地域の振興を都市戦略の柱の一つとして打ち出しました。
 我が党は、昨年十二月に提出した政策提言において、世界で一番の都市東京を実現するため、魅力あふれる多摩・島しょをつくることを掲げておりますが、今回の都の姿勢は、我が党の提言を踏まえたものとし、高く評価するものです。
 都は、これまでも我が党の提言を踏まえ、新たな多摩のビジョンや、その行動戦略といった多摩振興の計画を策定してきましたが、今後は、東京都長期ビジョンで打ち出された新たな内容を踏まえ、多摩地域の振興を着実に進めていかなければなりません。
 また、今後、これまで経験したことのない人口減少という事態に直面する多摩地域において、その活力を維持し、さらなる発展を目指すためには、市町村はもとより、民間企業などの活力も生かしながら、地域振興の取り組みを進める必要があります。
 そこで、こうした多摩地域を取り巻く状況変化を踏まえて、多摩振興を今後どのように進めていくのか、都の所見を伺います。
 知事は、先日の施政方針演説で、多摩地域に新たな雇用就業支援拠点を整備する旨を表明されました。多摩にある就業支援と労働相談の機能を一カ所に集約するとのことですが、整備に当たっては、単に施設を移転するだけではなく、女性や若者など、それぞれの特性に応じたきめ細かな就業支援を進めるための専門窓口の設置や、企業の従業員向けの多様な相談機会の設定など、支援の充実につなげていかなければなりません。
 都は、多摩地域全体の雇用就業支援の強化に向けて、新たな拠点整備をどのように進めていくのか伺います。
 四百万人を超える人口を擁する多摩地域では、地域が有する特性を生かし、活力に満ちたまちを目指すため、地域の潜在力を引き出す必要があります。また、山間部では、自然環境を生かした地域づくりを図るとともに、台風などによる土砂災害への備えを整えていく必要があります。
 このため、多摩地域では、区部に比べおくれている道路整備を推進し、隣接県にも接続するネットワークの整備を進めるとともに、交通の円滑化や防災力の強化を図っていくことが重要であります。
 そこで、多摩地域の道路整備の推進について伺います。
 続いて、水道事業について伺います。
 水道局では、それまで各市や町が行っていた多摩地区の水道事業を順次統合し、レベルアップに取り組んできました。本定例会の開会日に、包括外部監査人からも、区部と多摩地区における業務の効率化、お客様サービス水準の向上などにつながる業務統一のさらなる推進の必要性について報告がありました。
 水道局は、今後とも、多摩地区におけるレベルアップの取り組みを着実に進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 以上、山積する都政の課題を主に長期ビジョンと新年度予算の切り口から取り上げてまいりました。
 我が党は、長期ビジョン策定に当たり、政策推進総本部において、全議員による検討会を進め、中間報告の段階、そして、最終報告取りまとめの際に、二度にわたる政策提言を行ってまいりました。この提言をベースに作成されたのが東京を世界で一番の都市にするための東京都長期計画であり、その実現に向けた財政的な裏づけの第一歩が今回の予算です。その意味で今回の定例会は、二〇二〇年東京五輪パラリンピックと、その先の東京の未来に向けて本格的なスタートを切るための議会であると考えています。
 冒頭で述べたように、東京五輪までのこれからの五年間は、次世代に引き継ぐ東京のレガシーを築き、大会を成功に導き、そして、世界で一番の都市東京への道筋をつけるという非常に重要な意味を持つ五年間です。二十年先、三十年先の東京のために、都議会と知事、そして、執行機関とがしっかりと議論をし、さまざまな課題に取り組み、着実に、迅速に各種の事業を推進していくことが今求められています。
 東京の可能性は極めて大きく、私たちは、東京が間違いなく世界で一番の都市になると信じています。大きな目標を実現するには、古くから天の時、地の利、人の和といわれます。今まさに、この三つの条件はそろいつつあります。東京都議会自由民主党は、そうした揺るぎない信念で、これからも広く都民の期待に応えていくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

○知事(舛添要一君) 村上英子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、都市づくりの将来像についてでありますが、かつて東京市長を務めた後藤新平は、関東大震災からの復興期にスケールの大きな都市づくりの構想を描き、帝都復興計画として取りまとめをいたしました。当初の計画規模から縮小を余儀なくされましたものの、主要な幹線道路の整備や下町地域の大規模な区画整理などが行われ、百年たった今日、なお、都民生活や東京の活発な都市活動を支えております。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを通過点として、東京も本格的な少子高齢人口減少局面に突入いたします。技術の進歩など、さまざまな社会の変化を視野に入れ、都市活力を一層向上させるとともに、ゆとりや潤いのある都市空間を回復し、将来世代へ確実に引き継いでいくことが重要であります。
 大手町や丸の内の機能更新に約三十年、中央環状線の完成にも約五十年の歳月を要しております。都市づくりには、構想から実現まで時間がかかることから、遠い将来を見通した大きな視点で取り組む必要がございます。
 このため、二〇四〇年代を見据えた都市づくりのグランドデザインの検討に着手いたします。夢と希望に満ちて、さらに発展を続ける東京全体の都市の姿を示し、その実現に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、平成二十七年度予算についてでございますが、私は、知事に就任以来この一年間、東京の現状を肌で感じるため、都政の最前線である多くの現場を歩き、幾人もの有識者から意見を聞き、議論を重ねてまいりました。この間、私は、いかにして都民福祉を向上させるか、どうすれば東京を世界一の都市にできるかということを常に考え続けてまいりました。
 こうした熟慮の結果、東京を世界一の都市に飛躍させるためには、問題の本質を捉えた政策をスピーディーかつ果敢に展開することが不可欠と判断し、積極的な予算を組むことにいたしました。
 その編成に当たりましては、史上最高のオリンピック・パラリンピックの開催とレガシーの創造、福祉先進都市やグローバル都市の実現、都民の安全・安心の確保などを重要な柱とするとともに、戦略的かつ安定的な政策展開を支える財政基盤の構築にも十分留意をいたしました。
 また、この予算には、日本経済を牽引する東京の使命を踏まえ、全国に先駆けた事業、国や地方と連携した事業も盛り込んでおりまして、こうした取り組みが日本全体を元気にし、ひいては激化するグローバル競争に打ち勝つ力になると確信しております。
 政治は結果責任であります。東京都長期ビジョンとあわせて、この平成二十七年度予算をてこに、東京の持続的発展と都民福祉の一層の向上に向け、都議会の皆様とともに、今後も全力を尽くしてまいります。
 続きまして、自己改革力の向上についてご質問ございました。景気の荒波に翻弄されてきた都財政の歴史を踏まえれば、都が将来にわたり積極的に施策を展開していくためには、中長期を見据えた財源確保はもとより、施策の徹底した見直しにより、都政改革を推進していくことが不可欠であります。
 そのため、今回、各局がみずから見直しを行った場合、削減額の二倍まで予算要求を認めるインセンティブの仕組みを新たに導入し、既存事業を厳しく検証することで、時代に即した施策の新陳代謝を促しました。
 こうした取り組みの結果、合計二百三十九事業を見直すことで、昨年度の一・六倍となります約四百十億円の財源を確保し、三百三十件の新規事業を立ち上げました。巨大な組織である都庁の事業の見直しの第一歩を踏み出すことができたと考えております。自己改革とは一朝一夕に達成できるものではなく、時代の要請にかなうよう、事業を常に見直し、質を高める努力を不断に続けることで初めて実現するものであります。
 今後とも、こうした取り組みを徹底することにより、効率性、実効性の高い施策を構築するとともに、膨大な財政需要に応えられる強固な財政基盤を築き上げてまいります。
 福祉、保健、医療施策の展開についてでございますが、昨年十二月に策定しました東京都長期ビジョンでは、福祉先進都市の実現を都市戦略の一つに位置づけ、安心して産み育てられ、子供たちが健やかに成長できるまちの実現、高齢者が地域で安心して暮らせる社会の実現、質の高い医療が受けられ、生涯にわたり健康に暮らせる環境の実現、障害者が地域で安心して暮らせる社会の構築に向けました政策目標と具体的な工程表をお示しいたしました。
 また、来年度予算案では、ビジョンで示した目標を実現するために、福祉と保健の分野で過去最高額となります一兆一千七十億円の予算を計上いたしました。その中には、保育士、介護職員の確保、定着に向けたキャリアパスの仕組みの構築、障害者就労支援の促進、一時保護所の増設など児童虐待対応への強化、在宅療養の推進、感染症や危険ドラッグ対策の強化など、先進的な取り組みを初めとしたさまざまな福祉、保健、医療施策を盛り込みました。
 東京は、二〇二〇年に人口減少という大きな時代の転換点を迎え、超高齢社会の到来も現実のものとなります。こうした将来を見据え、今後も大都市東京の特性を踏まえたさまざまな施策を展開し、世界一の福祉先進都市の実現という大きな目標に向かって全力で取り組んでまいります。
 子供が健やかに育つ環境づくりについてでございますが、安心して産み育てられ、子供たちが健やかに成長できるまちの実現は、都政の最重要課題であります。長期ビジョンにおいては、待機児童の解消に向けた明確な目標を掲げ、保育サービスの拡充と保育人材確保に必要な予算もしっかり計上いたしましたが、社会全体で子育てしやすい環境を整備するという観点も不可欠であります。
 近年、子供の声が騒音だとして悩む住民もいらっしゃる中で、保育所での活動が制限されるなどの状況も生じております。このため、子供の声も数値規制の対象としている現行の環境確保条例を見直し、子供一人一人の健やかな成長、育成にも配慮しつつ、話し合いやコミュニケーションの中で必要な対策を講じて、解決を目指す仕組みに変えるべく改正案を本定例会に提出いたしました。このことによって、地域全体で子供の成長を見守る、よりよい地域、よりよい保育環境の形成につなげていきたいと考えております。
 次に、水素社会の実現に向けた取り組みについてでございますが、資源小国日本が世界のエネルギー情勢に左右されることなく発展し、低炭素な社会構造への変革を遂げるためには、LEDや電気自動車などのすぐれた技術の一層の活用を進めるとともに、水素エネルギーの普及促進が極めて重要であります。
 今回の予算案にも、先進的で意欲的な施策を盛り込んでおりまして、燃料電池車やバスの普及、水素ステーションの整備などを力強く支援してまいります。さらに、二〇二〇年に向けて、新たな基金を創設することで水素社会実現への強い意欲を示すと同時に、継続的な取り組みを担保してまいります。
 今後は、これまでの戦略会議を推進会議に改組しまして、意欲ある新たな事業者の参画も得ながら、官民を挙げて具体的な取り組みを着実に進めてまいります。また、区市町村や他団体とも連携して、国に対する規制緩和要求や水素への理解促進などにも積極的に取り組んでまいります。
 日本には天然資源は乏しいが世界最先端の技術や知恵を持っている、こうした強みを生かしながら、首都東京から水素社会の実現に向けて我が国を先導してまいります。
 次に、総合的な自転車政策の推進についてでありますが、自転車は、健康促進にも環境対策にもなります一石二鳥、三鳥の交通手段であると考えております。ロンドンやベルリンで道路状況やシェアサイクルの取り組みなどを見てまいりましたが、東京には東京の実情がありまして、東京にふさわしい総合的な自転車政策を進めることが重要であります。
 まず、利用時の安全が大前提でありまして、昨年から、自転車安全利用推進計画に基づき、交通ルールやマナー向上に集中的に取り組んでおります。ことし六月には、悪質利用者への法定講習が導入されることも踏まえまして、さらなる適正利用を推進してまいります。
 自転車走行空間も、都道や臨港道路等での整備を進め、二〇二〇年大会開催までに整備延長を二百六十四キロメートルにいたします。また、都道のみならず国や区市等と連携して、自転車が走行しやすい空間を連続させ、歩行者、自転車、自動車それぞれの安全を確保する自転車推奨ルートを設定いたします。新国立競技場など、二〇二〇年大会の会場周辺や主要な観光地の周辺七地区から進めてまいります。
 新規の整備分に加えまして、二百キロメートルの推奨ルートを設定することで、重複部分を除きましても、私の就任時の三倍以上、四百キロメートルを超える規模を確保していく考えでございます。
 さらに、シェアリングにつきましては、これまでも各区の取り組みを多角的に支援してまいりました。先駆的に取り組む江東区、千代田区、港区、中央区と基本協定を締結する運びとなりましたが、引き続き、都が主体的に調整を進め、区境を越えた広域的利用の実現を図っていきたいと思っております。
 観光都市東京の実現と東京ブランドの発信についてでございますが、東京は、古きよき伝統が受け継がれる一方で、最先端の技術が融合し、新しい価値を生み出し変化し続ける、世界でも類を見ない多様で魅力的な都市であります。東京が旅行地として選ばれるためには、こうした東京の魅力を世界の人々が容易に想起できるよう、ブランドイメージとして確立し、戦略的に発信することが必要でございます。
 同時に、東京で暮らし、働く人々が旅行地としての東京の魅力に気づき、共感を深めることで、まちへの誇りや愛着を呼び覚まし、旅行者を迎え入れる機運を醸成していくことが不可欠であります。
 このため、ブランディング戦略を策定し、東京ブランドのシンボルとなりますロゴ、キャッチコピーの作成や、官民一体となりました推進体制の構築に取り組み、国内でのブランド共有を図るとともに、海外メディアも活用しながら、世界に向けて切れ目なく発信してまいります。
 そして、世界中から東京を訪ねる旅行者の受け入れ環境の整備に向けた新たな基金を創設し、都みずからが多様な取り組みを進めることはもとより、区市町村等にも支援策を講じてまいります。二〇二〇年大会に向けて集中的に施策を展開し、世界一の観光都市への飛躍を図ってまいります。
 次に、都市農業の振興についてでありますが、世界有数の大都市でありながら、多種多様な農産物が生産され、新鮮で高品質な食材を提供できることは、東京の大きな魅力の一つであります。
 しかし、こうした魅力を支える都市農業は、農産物価格の低迷による収益性の悪化や、担い手である農業者の高齢化など、厳しい経営環境にございます。加えて、高額な相続税の負担等により、この十年間で約一千ヘクタールの農地が失われるなど、大都市特有の課題も抱えております。
 このため、都は、都市農業振興基本法の制定を見据えつつ、国家戦略特区を活用し、農地制度や相続税制度などの具体的な制度改善に取り組んでまいります。
 先日、国家戦略特区の石破担当大臣にも、この都市農業の重要性について直接話をしてまいりましたが、特区の指定を受ける区、市や町におきまして、都市農地の保全、農地の流動化による多様な担い手の確保、生産性の向上など、都市農業のモデルの構築を目指してまいります。また、大消費地を身近に抱える優位性を生かして、農産物のブランド化や加工品開発等により付加価値を高めるなど、収益力向上に向けた取り組みを強化してまいります。
 来年度から、青梅畜産センターへの施設改修に着手し、東北地方の畜産農家の協力も得まして、ブランド豚のトウキョウXを八千三百頭から二万頭にするなど生産量を大幅に拡大いたします。
 今後、都市農業特区の実現に向けた取り組みやブランド農産物の生産拡大を強力に展開するなど、都市農業を一層振興してまいります。
 雇用就業対策についてでございますが、東京を持続可能な成長軌道に乗せ、世界一の都市にしていくためには、産業を支える人材を確保するとともに、誰もが自信と希望を持って活躍できる社会を実現していくことが必要であります。都は、働く意欲のある全ての人が職につき、能力を十分に発揮できるよう全力を尽くしてまいります。
 安定した仕事につきたいと望みながら、不本意な働き方をしている非正規の方々に対しましては、正社員としての就職の推進や社内における正社員への転換促進などにより、三年間で一万五千人の正規雇用化を図ります。また、女性の活躍促進は、社会の活力を生み出す源の一つでございます。柔軟な勤務体制の導入やトイレ、更衣室、仮眠室の整備、さらには事業所内保育施設の設置など、企業に対して、ソフト、ハード両面から支援することにより、女性が働きやすい職場環境整備を進めてまいります。あわせて、出産や育児などで離職した女性に対しては、再就職の後押しも行いたいと思っております。
 これまで培ってきた経験を生かして働きたい高齢者や、能力や適性に応じて働くことを希望する障害者の就業も支援してまいります。こうした雇用分野のさまざまな課題への対策を進めるため、国と雇用対策協定を締結し、早速、これに基づく運営協議会を開催して、具体的な検討に着手いたしました。さらに、区市町村への支援も開始し、総合力を持って施策を展開してまいります。
 人々に元気の源を供給するのが政治の役割でございます。雇用対策に正面から取り組むことにより、都民の元気を引き出してまいります。
 都市外交人材育成基金についてでございますが、社会経済のグローバル化が進む中で、東京が世界一の都市を目指すには、都とほかの都市が先進的な技術等を持つ分野で学び合うなど相互の交流を通じて大都市の直面するさまざまな課題の解決に取り組んでいく必要がございます。そのためには、世界的な視野に立つ有為な人材の育成が極めて重要でございます。
 新たな基金は、姉妹友好都市との政策提携や、多都市間での実務的、実践的な協力事業による課題解決と、それを担う人材育成に活用してまいります。
 留学生の受け入れでは、対象地域をアジアから姉妹友好都市など、さまざまな都市に拡大いたします。相手都市の発展に資する能力を身につけてもらうと同時に、日本語や日本文化を学ぶプログラムを提供して、すぐれた知日派人材として活躍してもらいたいと考えております。
 また、海外諸都市との事業実施により、東京都の職員についても、世界への目を開かせ、従来にはないグローバルな視野で政策立案ができるように育成していきたいと思っています。この基金を活用し、世界諸都市と、教え教えられる関係をより一層深化させ、互いの都市の発展に貢献することを目指しております。
 皆さん、この一日、ソウルで突然道路が陥没して、おっこっちゃった映像をごらんになったと思いますけど、先般、ソウルの市長が参ったときに、道路陥没について東京都の技術で支援するということを決めたばかりでございますので、我々東京の技術を使って、ソウルの道路が一日も早く安全になるように祈っております。
 次に、鉄道ネットワークの充実についてでありますが、東京は、稠密な鉄道ネットワークが人と物の流れを支え、都市機能を高度に集積させることで、世界有数の大都市へと発展してまいりました。二〇二〇年をピークとして、東京も本格的な少子高齢、人口減少社会という大きな転換期を迎えております。そうした時代においても、鉄道ネットワークの充実により、誰もが快適で安全に移動でき、交流を活発化させて持続的に発展する都市を実現してまいります。
 今後の東京圏の鉄道ネットワークにつきましては、外部の専門家の意見を聞きながら、国の審議会答申に示された路線を中心に、移動時間の短縮や拠点間の連携強化、空港アクセスの向上などの視点に加え、事業性も含めて検討してまいりました。近く中間まとめを発表し、引き続き整備効果と課題の検討を深め、来年度には都の考えを取りまとめ、国に示してまいります。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会の先を見据え、都民生活と都市活動を支える鉄道ネットワークを充実させて、東京をさらに暮らしやすく、活力ある都市へと発展させてまいります。
 羽田空港の機能強化についてでありますが、東京の発展に欠かすことのできない羽田空港について、昨年、国から都心上空を飛行するなどによる容量拡大案が示されました。二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックやその後の航空需要に応え、国際便の就航をふやしていくためにも、羽田空港の容量拡大は必要不可欠であり、何とか実現したいと思っております。
 現在、国と飛行ルートに関する協議を重ねており、この中で、騒音防止措置や落下物対策などの住民に向けた丁寧な説明について、しっかりと対応いただくように要請いたしました。
 都としても、地元の理解が深まり、協議が円滑に進むよう積極的に協力するとともに、空港アクセスの充実など、羽田空港の機能強化を図り、国内外の交流が盛んで活力ある国際都市東京を実現してまいります。
 大会に向けた開催準備への取り組みについてでありますが、大会開催基本計画の策定により、多岐にわたる開催準備が本格化いたします。都は、国や組織委員会との適切な役割分担のもと、準備に万全を期してまいります。新設を決定した競技施設につきましては、大会後の確かなレガシーを念頭に、アスリートの夢の舞台として着実に整備してまいります。
 また、今後は、都民生活ともかかわりの深いセキュリティーや輸送などの大会運営を支える取り組みが、開催都市の責任として極めて重要になってまいります。危機管理の観点からの、自然災害や感染症、テロなど、さまざまなリスクへの対応や、観客や関係者の輸送の問題、競技施設やインフラの工事期間中における交通混雑の問題への対応など、政府等関係機関と緊密に連携しながら早急に取り組んでまいります。
 大会開催に向けましては、区市町村が行う事前キャンプ誘致の支援や、ボランティアの裾野拡大によるオール東京での機運醸成はもとより、全国を視野に入れました幅広い取り組みを通じて盛り上がりを加速してまいります。
 さらに重要なのは、大会開催を通じた被災地の復興支援であります。被災地の復興に向けた姿を世界に発信することや、スポーツの力を通じて被災地を元気づけ、その復興を力強く支援してまいります。
 二〇二〇年大会を成熟都市にふさわしい、世界中の人々の記憶に残る大会として成功させるため、都の総力を挙げて準備に取り組んでまいります。
 ちなみに、この日曜日に開かれました東京マラソン、警察、消防、関係の皆さん、ボランティアの皆さん、都民の心が本当に一つになりまして、大変な成功裏に終わることができたと思っております。この経験を生かして、さらに、二〇二〇年大会に向けて全力を挙げてまいります。
 次に、パラリンピックに向けました取り組みについてでございますが、二〇二〇年大会の成否の鍵は、パラリンピックの成功にあります。先日会談しましたロンドン・オリンピックのCEOでありますポール・ダイトン卿からは、パラリンピックの成功は、ロンドン大会の最も重要なレガシーの一つであると、こういうことをお伺いいたしました。二〇一二年のロンドン・パラリンピックは、過去最高の観客数を記録し、大会を機に、多くの英国民の障害者に対する見方を変えるなど、大きな成功をおさめました。
 私は先般、昨年、ロンドンから帰るときに乗りましたブリティッシュ・エアのキャビンアテンダントのトップの方が、ロンドン・オリンピックで、まさにボランティアをやったと、それから自分の人生が変わったと、わざわざそういうことを話しかけてきてくれました。
 東京におきましても、パラリンピックの持つ魅力を発信するため、テレビ等、メディアを効果的に活用するとともに、競技の観戦や体験の機会を積極的に提供し、障害者スポーツの普及啓発を大会に向けて飛躍的に進めてまいります。
 さらに、競技会場までのアクセスや施設内でのバリアフリー化など、ハード面の対策に加え、障害者に対してみずから進んで手助けをする意識を人々に広め、心のバリアフリーを日本中に浸透させたいと考えております。
 これに加えまして、ユニバーサルデザインのまちづくり、障害者や高齢者の日常生活を支えるテクノロジー、さらには障害者アートなどの文化も含め、生活を取り巻くさまざまな分野での環境整備にもしっかりと取り組んでまいります。
 こうした取り組みを積み重ねることにより、人々の意識に変革をもたらし、末永く残るレガシーとしてまいります。
 都は来年度、予算、人員など体制を強化し、国や組織委員会を初め各界との連携を密に図りながら、二〇二〇年東京パラリンピックを成功に導いていく、そして、その先に続く、障害のある人とない人がともに生きる社会の実現につなげていきたいと思っております。
 浜離宮恩賜庭園におけるおもてなしについてでございますが、浜離宮恩賜庭園は、三百六十年の歴史を有し、金閣寺や銀閣寺と並び特別名勝、特別史跡に指定されている数少ない日本庭園の一つであります。この庭園は、将軍家の別邸や皇室の離宮としてタカ狩りや観桜会、茶会など遊覧や娯楽に利用され、戦後、東京都へ下賜された江戸時代を代表する大名庭園でありまして、他に類を見ない格別な空間を形成しております。
 現在、江戸文化が成熟いたしました第十一代将軍家斉の時代の姿を再現するため、茶屋群の復元を進めております。今回、復元を決めた延遼館は、明治二年、イギリス国王子エディンバラ公の来日を契機に、明治新政府により近代日本最初の迎賓施設として整備され、第十八代アメリカ大統領でありましたグラント将軍を初め、多くの外国要人を歓待した場であります。
 この延遼館は、東京府知事が各国行使や皇族、岩倉具視、榎本武揚などを招待し、夜会を開くなど数々の外交の舞台として、近代日本黎明期の歴史を刻んできた場所でもあります。都心に近く、陸上と海上の両方からお客様をお連れすることができる浜離宮恩賜庭園は、まさに最高のおもてなしの場にふさわしいと考えております。
 今後は、この世界に誇る庭園において、歴史に裏打ちされた由緒ある延遼館や茶屋などを活用して、海外からのお客様を真心を込めた和のおもてなしでお迎えいたします。
 なお、明後日お迎えいたしますケンブリッジ公爵殿下にも浜離宮恩賜庭園を散策していただき、お茶のおもてなしを差し上げたいと考えております。
 文化ビジョンの意義とその実現に向けた取り組みについてでございますが、二〇二〇年東京大会を、文化の面でも史上最高のオリンピック・パラリンピックに導き、有形無形の文化レガシーを次世代に継承する必要があります。そのため、東京の芸術文化振興の今後の道しるべとなります東京文化ビジョンを策定することとし、先般、素案を発表いたしました。
 このビジョンでは、ロンドンやパリがそうでありましたように、東京のさらなる成長の柱として芸術文化を位置づけ、多様な文化的特徴を持つ拠点の魅力を高めることで、活力に満ちた世界一の文化都市を目指してまいります。
 また、東京の文化の源泉であります伝統文化の意義や真髄をしっかり位置づけ、子供たちや外国人にも体験を通じてわかりやすく伝えるなど、東京の芸術文化が持つ価値を発信してまいります。
 ビジョンの実現には、芸術文化団体や企業、国や自治体、芸術家など全員参加体制の仕組みを構築するとともに、東京と地方との連携を強めることにより、芸術文化で世界から注目を集める新しい日本と東京をつくってまいります。その実現のため、今回設置する東京都芸術文化振興基金を効果的に活用してまいります。
 今後、都議会の議論も踏まえ、年度内にビジョンを策定し、文化が牽引する新たな都市像を国内外に示してまいりたいと考えております。
 なお、そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

○教育長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、発達障害教育についてでありますが、都教育委員会は、一人でも多くの発達障害の児童が在籍する小学校で適切な指導を受けられるよう、特別支援教室の全区市町村導入に向け、条件整備に要する経費補助など、新たな支援策を実施いたします。
 また、小中高等学校において、医師等の専門家の巡回や支援員の活用方法などの実践的な研究を行い、障害特性に応じた支援方法を検討いたします。
 これらの取り組みに加え、発達障害に関する理解促進を含めて、発達障害教育の課題と必要な施策について、多角的、総合的に検討し、小中高等学校を通じて児童生徒一人一人がその能力を最大限伸ばしていけるよう、仮称でございますが、東京都発達障害推進計画を平成二十七年度に策定してまいります。
 次に、公立学校の特別教室の冷房化についてでありますが、都立高校の特別教室については、冷房化対象教室の拡大への要望が強いことを受け、本年五月を目途に新たな冷房化の対象とする特別教室を選定し、計画的な整備に向け、学校ごとの具体的な調査を実施してまいります。
 なお、校舎の最上階にあるため、室内が著しく高温になるなど、個別の事情がある特別教室については、先行して整備し、早期に環境改善を図ります。
 小中学校の特別教室につきましては、都立高校の整備方針を踏まえ、同様の考え方に基づき実効性のある方策を早期に検討し、教育環境の充実を図ってまいります。
   〔東京都技監横溝良一君登壇〕

○東京都技監(横溝良一君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、今後の土砂災害対策への取り組みについてでございますが、全国で土石流などによる被害が頻発する中、災害から都民の命を守るためには、砂防堰堤などの着実な整備に加え、住民に危険箇所を周知し、円滑な避難行動を促すソフト対策をより一層充実させることが必要でございます。
 このため、土砂災害防止法に基づく基礎調査を、平成二十九年度までに都内全域で完了させ、調査が終了した地域から直ちに結果を公表するとともに、関係自治体に働きかけ、ハザードマップの作成など、警戒避難体制の整備を促進いたします。
 あわせて、土砂災害の危険性が高い箇所に避難所や老人ホームなどがあり、代替施設の確保や建物の補強などによる対策が困難な場合には、砂防施設の整備や斜面対策を重点的に進めてまいります。
 今後とも、関係自治体と連携し、土砂災害対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、中小河川の整備推進についてでございますが、頻発する集中豪雨に早期に対応するためには、河川整備を一層効率的、効果的に進めることが重要でございます。
 このため、時間五十ミリまでの降雨は、護岸整備を基本とし、それを超える降雨には、道路や公園など用地買収の必要のない公共空間を活用した新たな調節池で対処いたします。この方針に基づき、時間百ミリの局地的かつ短時間の豪雨にも効果を発揮する仮称環状七号線地下広域調節池など五施設で、平成二十八年度の着工を目指し、現在、主要構造の検討や現地測量などを進めております。
 今後十年で、古川地下調節池など整備中のものも含め、十三施設を完成させ、都内全域の貯留量を約一・七倍に拡大いたします。現在、二十五河川で進めている護岸の改修とあわせ、今後とも、中小河川の整備に邁進してまいります。
 次に、無電柱化事業の今後の取り組みについてでございますが、無電柱化は、防災機能の強化や、良好な都市景観の創出、安全で快適な歩行空間の確保が図る上で重要でございます。
 都は、新たな無電柱化推進計画に基づき、センター・コア・エリア内はもとより、都市の防災力を高めるため、周辺区部や多摩地域を中心に、第一次緊急輸送道路で整備を推進し、今後十年間で整備率を五〇%に引き上げます。
 特に、震災時に重要な機能を果たす環状七号線は、この十年間で無電柱化を完了させます。また、幅の狭い区市町村道で無電柱化を進めるため、公共空間や民地を活用した機器の設置の仕組みや税制の取り扱いなど、新たな推進策を関係局などと検討するとともに、モデル地区を設定し、計画段階で関係区と連携して技術的検証を深めてまいります。
 今後とも、都内全域での無電柱化推進に積極的に取り組んでまいります。
 最後に、多摩地域の道路整備の推進についてでございますが、多摩地域の魅力と活力を高め、一層の発展を図るためには、交通の円滑化や都市間の連携強化が重要であり、都はこれまで、多摩南北主要五路線を初めとする骨格幹線道路の整備を進めてまいりました。
 特に、平成二十六年度中に新青梅街道で新たな区間の拡幅整備を開始するとともに、平成二十七年夏に調布保谷線を全線開通いたします。また、都県境が入り組んでいることにより整備が進んでいなかった新東京所沢線などについて、埼玉県と連携して整備を進めることといたしました。
 さらに、山間部では、観光振興に寄与するとともに、地域の孤立化を防ぐダブルルートを確保するため、日の出町と青梅市を結ぶ梅ヶ谷トンネルを平成二十七年度に事業着手いたします。
 今後とも、多摩地域の発展に資する道路整備に、より一層取り組んでまいります。
   〔財務局長中井敬三君登壇〕

○財務局長(中井敬三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、新たな主要施設十か年維持更新計画策定の基本的な方向性についてでありますが、建築物の長寿命化に関しては、建物の長期的な使用に対応可能な設計上の工夫や適切な維持管理と保全の実施などにより、建築から改築までの年数を六十五年以上とする長期間の使用を目指してまいります。
 また、都有施設の整備に当たっては、昨年六月に改正した省エネ・再エネ東京仕様を全面的に適用し、建築分野での環境負荷の低減に率先して取り組んでまいります。
 さらに、これらの施策を強力に推進するため、民間の新技術などを積極的に取り入れて、その効果を検証し、標準化を図る新たな制度を実施してまいります。
 今後とも、都民の貴重な資産である都有施設の計画的な維持更新を図り、長期にわたる良質なストックの形成に努めてまいります。
 次に、都心部などにおける福祉施設の整備についてでありますが、都は、地価が高く用地確保が困難な地域での福祉施設の整備促進のため、都有地を活用した福祉インフラ整備事業を実施しており、昨年の夏から、貸付料の減額率を土地価格に応じて大幅に拡大しております。
 こうした取り組みの効果を土地の高度利用が可能な都心部などでさらに高めていくためには、都有地を活用したまちづくり事業の中で、民間施設と複合的に福祉インフラ整備を図っていくことが必要と認識しております。
 このため、福祉施設との合築を条件とする際には、新たに福祉施設相当部分の貸付料を減額する仕組みを導入し、事業者のインセンティブをさらに高めてまいります。
 これにより、まちづくりとの両立を図りながら、福祉施設の整備を一層促進してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

○総務局長(中西充君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、大規模災害時の初動対応力の強化についてでございます。
 都は、首都直下地震等対処要領の策定後、昨年夏の総合防災訓練等で、その内容の検証を行うとともに、区市町村や関係機関と具体的な活動内容について協議を重ねております。
 今後は、対処要領の実効性をさらに高めるため、大規模救出救助活動拠点と災害拠点病院を結ぶルート等を設定し、自衛隊、警察、消防に加え区市町村や医療関係者、道路管理者等と平時から情報を共有してまいります。
 また、発災時に政府と緊密に連携するため、国の担当者及び幹部とホットラインを構築するとともに、国が都と連絡調整を行うため都庁内に設けます現地対策本部の運用につきまして、連携強化に向けた検討を進めてまいります。
 来年度には、両者の対策本部設置訓練を合同で実施するなど、今後とも、災害時の初動対応力を強化してまいります。
 次に、国土強靱化地域計画の策定についてでございます。
 計画の策定に当たっては、医療やライフラインなど、さまざまな機能を強靱化の観点から見直し、対応策を検討する必要があり、国やライフライン事業者など、広範な関係者との連携協力が重要となります。このため、都の各局を初め、国や関係機関で構成されます東京都防災会議におきまして、知事の諮問のもと検討を行うことといたしました。
 現在、大規模自然災害のさまざまなリスクに対する脆弱性の分析、評価を行っており、今後、その結果を踏まえ、強靱化の目標を設定し、対策を検討してまいります。
 ご指摘のとおり、東京の強靱化においては、首都機能の保持は欠かせない課題であり、都はもちろん、国や関係機関の果たすべき役割に応じた必要な取り組みを、財政面の課題も念頭に地域計画に明確に位置づけてまいります。
 次に、性犯罪被害者への支援についてでございます。
 現在、都内には、民間団体が設置する相談窓口がございますが、一人体制のため、充実した支援が困難となっております。
 そこで、本年七月には、民間団体に財政補助を行い相談員を増強することで、二十四時間対応可能な支援体制を整えます。また、性犯罪被害に対して適切に対応できる協力医療機関を都内全域で確保いたしますとともに、被害者がみずから医療機関を訪れた場合でも、この民間団体と医療機関が連携して支援できる体制を整備いたします。
 さらに、精神的ケアが必要な場合には、専門機関につなげるとともに、可能な場合には、警察への通報、届け出を促し、犯人検挙や犯罪抑止につなげてまいります。
 こうした取り組みにより、ワンストップ支援体制を構築し、被害者の立場に立ったきめ細やかな支援を行ってまいります。
 最後に、今後の多摩振興の推進についてでございます。
 多摩地域の持続的発展を実現するためには、多摩振興に係る都事業を着実に推進するとともに、市町村や民間企業との連携を一層強化する必要がございます。
 このため、本年四月に、仮称でございますが、新たな多摩のビジョン行動戦略年次報告書を作成いたします。本書におきまして、戦略で掲げました全ての都事業の進捗状況に加え、東京都長期ビジョンも踏まえた新規事業など最新の事業動向を示し、行動戦略のPDCAサイクルを有効に機能させてまいります。
 また、多摩地域が直面いたします課題解決に資する市町村や民間等の新たな取り組みについて広く普及するとともに、魅力発信支援補助事業等を活用いたしました市町村への後押しを通じて、多様な主体による工夫ある取り組みを促進してまいります。
 今後も、関係者一丸となって多摩振興を推進してまいります。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

○都市整備局長(安井順一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、木密地域不燃化十年プロジェクトについてでございますが、木密地域の改善には、延焼遮断帯の形成と市街地の不燃化を一体的に進めることが重要でございます。
 延焼遮断帯を形成する特定整備路線については、本日をもって全区間の事業認可を取得しており、引き続き、早期完成に向けて取り組んでまいります。
 また、不燃化特区につきましては、区からの意見などを踏まえまして、地区の状況に応じ、まちづくりの専門家を複数回派遣可能とするほか、戸建て住宅の建てかえに係る設計費も延べ床面積に応じて助成する方法に改めます。
 さらに、地元区や関係局と連携し、住宅の建てかえや移転などに関する相談にワンストップで、また、迅速に対応することなどによりまして、十年プロジェクトを強力に推進し、木密対策を加速させてまいります。
 次に、福祉インフラ整備のための創出用地についてでございますが、都は、都営住宅、公社住宅の建てかえにより創出した用地の活用に向けて、区市町村と協議を進めてまいりました。
 新たな土地活用の取り組みとして、公社の中野区広町住宅、板橋区向原住宅、文京区茗荷谷住宅の三カ所の用地を、福祉インフラ整備のために提供することといたしました。公社は、これらを社会福祉法人などに貸し付け、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、ショートステイ、障害者施設等を整備いたします。貸し付けに当たっては都有地と同様の減額制度を適用することといたしまして、来月初めから事業者募集等を順次実施してまいります。
 今後も、福祉インフラ整備の促進に向け、都営住宅、公社住宅の建てかえに伴い創出される用地のさらなる活用を推進してまいります。
 次に、まちづくりと連携した福祉インフラ整備についてでございますが、都営住宅、公社住宅の建てかえに伴う創出用地の提供に加えまして、さらに、容積率の緩和が可能となる都市開発諸制度を活用し、福祉施設の整備を一層進めていくことといたしました。
 具体的には、子育て支援施設や高齢者福祉施設について、容積率の割り増し限度を拡大することなどによりまして、地価の高い都心部などにおきましても、地元区市の意向に即して施設の立地を促進してまいります。
 近々に制度を改正し、来年度早々から開発事業者との協議を開始することといたしまして、まちづくりを通じて福祉インフラ整備を加速してまいります。
 最後に、都市計画道路の整備方針についてでございますが、都市計画道路は、都市活動を支え、交通の円滑化や災害時の救急救援活動などに大きな役割を果たす重要な都市基盤でございます。これまで、渋滞の解消や防災性の向上などの観点から、効果的に道路ネットワークの形成に取り組んでまいりました。
 現在検討中の整備方針では、骨格幹線道路の着実な整備はもとより、成熟都市として誰もが活動しやすく、快適に暮らせるまちの実現に向け、交通結節機能や地域の中心となる拠点間相互の連携を強化する視点などから、今後の道路整備の方向性を示してまいります。
 来年度早期には、中間のまとめを公表し、引き続き、区市町とも協議を重ねまして、平成二十七年度末までに新たな整備方針を策定いたします。
   〔水道局長吉田永君登壇〕

○水道局長(吉田永君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、水道基幹施設の整備についてでありますが、広域的な断水リスクの解消に必要となる浄水場の更新、導送水管の二重化、ネットワーク化及び給水所の新設、拡充の整備には長期間を要するとともに、今後十年間に限っても約六千億円の費用が見込まれます。
 このため、これら整備を重点化し、基幹施設再構築事業として、来年度早期に取りまとめ、着実に実施してまいります。
 さらに、事業の円滑な推進に当たりましては、都民や道路管理者、交通管理者など多くの関係者の理解と協力が不可欠であるため、再構築の必要性や事業内容などを広く発信してまいります。
 こうした取り組みにより、将来にわたる首都東京の安定給水の確保に万全を期してまいります。
 次に、多摩地区水道のレベルアップについてでありますが、多摩地区の水道業務は、長年にわたり地方自治法上の事務委託により、それぞれの市や町が実施してきたという歴史的な経過がございます。
 この事務委託が平成二十三年度末に、ようやく完全解消されたのを契機に、施設整備を初めとするさまざまな取り組みに本格的に着手いたしました。
 今回の包括外部監査では、こうした状況を踏まえた上で、長期的な視点に立ったロードマップを策定すべきとの意見が付されたものであります。
 今後、監査人の意見も踏まえ、改善計画を策定、実施してまいりますが、その際には、お客様サービスの観点や、現場の実情にも十分留意しつつ、多摩地区水道のレベルアップを着実に推進してまいります。
   〔消防総監大江秀敏君登壇〕

○消防総監(大江秀敏君) エアハイパーレスキューの概要と今後の消防活動体制の強化についてでありますが、来年度に創設予定のエアハイパーレスキューは、陸上からのアプローチが困難な高層建築物や土砂崩れによる孤立地域等での災害に対して、ヘリコプターの機動力を最大限に生かし、空から迅速かつ効果的な消火、救助、救急活動を展開する専門部隊であります。
 この部隊には、江東と立川の二拠点に高度な救助技術や救急救命士の資格を有する総勢四十四人の部隊員と、大量救出用ゴンドラや空中消火装置など特殊な資器材を配備する予定であります。
 今後とも、世界一安全・安心な都市を実現するため、首都直下地震等に備えた消防救助体制や高齢化の進展を踏まえた救急活動体制、さらには新型消防艇の導入による港湾消防体制の強化など、総合的な消防活動体制の充実に努めてまいります。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

○青少年・治安対策本部長(河合潔君) 治安対策についてでございますが、都が策定いたしました安全安心TOKYO戦略は、誰もが安全・安心を実感できる社会の実現を目指して、地域に重点を置き、住民、行政、警察、企業等あらゆる主体が連携して、安全・安心の向上を図ることを主眼としております。
 国際社会を揺るがすテロへの対策は、主として国や警察の役割でございますが、安全・安心を確保するための情報の共有や見守りの強化により、地域の防犯力を高め、さまざまな脅威から住民を守る力を備えていくことこそが、テロなどにも屈しない強い東京の創造につながるものであります。
 本戦略を着実に進めることで、振り込め詐欺や危険ドラッグの撲滅、通学路等における安全確保など喫緊の課題へ早急に対応するとともに、安全・安心の体制を盤石なものとし、世界一の都市東京を実現してまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域医療構想の策定についてでありますが、昨年の医療法改正により、平成三十七年の医療需要と目指すべき医療提供体制、その実現のための施策を盛り込んだ地域医療構想を来年度以降策定することが、各都道府県に義務づけられました。
 現在国では、策定の指針となるガイドラインを検討していますが、我が国の医療の現状を見ると、全国一律の基準のもとに地域医療構想を策定することは困難でございます。特に、東京におきましては、圏域を超えた受療行動、特定機能病院等の高度医療を求める患者の全国からの流入、昼間人口の多さなど他の地域とは異なる大都市特性がございます。
 都としましては、地域ごとの特性を地域医療構想に反映できるよう引き続き国に求めるとともに、各医療関係団体の意見を聞きながら、策定に取り組む考えでございます。
 次に、高齢者保健福祉計画に基づく取り組みについてでありますが、今回の計画は、団塊の世代が七十五歳以上となる平成三十七年を見据え、介護サービス基盤の整備、在宅療養や認知症対策、介護人材対策の推進、介護予防の推進と支え合う地域づくり等を重点分野に位置づけ、策定をいたします。
 この計画に基づき来年度は、施設整備費や土地賃借料の負担軽減、複数の区市町村が共同で利用できる特別養護老人ホームの整備等により基盤整備をさらに推進するとともに、現在十二カ所指定している認知症疾患医療センターを区市町村ごとに指定し支援体制を強化いたします。また、介護予防に関する情報共有システムの立ち上げや、元気高齢者を福祉サービスに活用する取り組みなども開始いたします。
 こうした施策を積極的に展開しながら、大都市東京にふさわしい地域包括ケアシステムの構築を進めてまいります。
 次に、福祉人材の確保についてでありますが、保育士や介護職員など福祉サービスを支える人材を安定的に確保するためには、職員がやりがいを持って働き続けられる職場の環境の整備や、復職を希望する方に対する再就業支援等の取り組みを一層強化することが重要でございます。
 このため、来年度は、保育士、介護職員のキャリアアップに取り組む事業者を支援する都独自の補助制度を創設するほか、派遣先に雇用されることを前提とした介護人材の派遣、東京労働局と連携した雇用対策など、新たな取り組みを実施いたします。また、求人情報を効果的に発信するため、離職者等の人材情報を一元的に管理する人材バンクシステムの構築に向けた検討を開始いたします。
 今後とも、将来を見据えた福祉人材の確保、定着、再就業に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。
 次に、障害者の地域生活基盤の整備についてでありますが、都はこれまで、障害者が希望する地域で安心して暮らせるよう、東京都障害福祉計画の中に地域生活基盤の整備促進策を盛り込み、グループホームや通所施設等の整備を促進してまいりました。
 こうした取り組みを一層推進するため、現在策定中の第四期計画には、障害者、障害児地域生活支援三カ年プランを盛り込む方針でございます。
 プランでは、新たに児童発達支援センターを整備対象に加えるとともに、整備費の事業者負担を軽減する特別助成、借地を活用する場合の土地賃借料や定期借地権の一時金に対する補助などの支援策を講じ、平成二十七年度から三年間で、現行計画を上回る六千七百二十人分のグループホーム等の地域生活基盤を整備してまいります。
 最後に、妊娠、出産、子育てに関する支援についてでありますが、都はこれまで、全ての人が安心して子供を産み育てられるよう、地域における子供と家庭の相談窓口である子供家庭支援センターの体制強化や、産前産後に支援が必要な方に対するケア等を行う区市町村を支援するほか、妊娠や出産に関する相談窓口の設置や都独自の不妊治療助成の拡充など、さまざまな施策を展開してまいりました。
 来年度は、さらに全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、継続した支援を行えるよう、専門職の配置や育児パッケージの配布を行うゆりかご・とうきょう事業を開始し、区市町村を支援いたします。また、男性を対象とした不妊治療費助成を開始いたします。
 さらに、保育サービスや学童クラブの整備も進め、妊娠期から子育て期に至る切れ目のない支援を一層強化してまいります。
   〔病院経営本部長醍醐勇司君登壇〕

○病院経営本部長(醍醐勇司君) 都立、公社病院の病児、病後児保育についてでありますが、子育ての際には、子供が急病のときにも、安心して預けられるよう、保育環境を充実することが重要であります。区市が主体である病児、病後児保育は、医師との連携等さまざまな課題があり、整備目標が未達成の地域もございます。
 このため、区市のニーズを踏まえ、小児科のある都立、公社の十病院におきまして、医療資源を活用し、病児、病後児保育を実施してまいります。
 実施に当たりましては、都立、公社病院の特色を生かし、受け入れ児童が急変した場合には、速やかに小児科との連携を図り、専門性の高い治療につなげていけるよう体制を整備してまいります。また、複数の区市の児童を受け入れる広域利用にも取り組み、地域で安心して子育てができる社会の実現に貢献するよう努めてまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

○環境局長(長谷川明君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、スマートエネルギー都市の実現についてでございますが、東京は、エネルギーの大消費地として、持続的成長を遂げながら、率先して気候変動対策を推進する必要があり、長期ビジョンにおいて、さらなる省エネルギーや低炭素なエネルギーの導入目標を掲げ、取り組みを強化することといたしました。
 来年度からは、新たに中小規模事業所における省エネ型データセンターの活用促進や、既存住宅の高断熱化と太陽光発電の導入への支援など、事業所や家庭での省エネ化等を一層推進してまいります。また、コージェネレーションによる熱と電気を建物間などで面的に融通するためのインフラ整備を支援し、エネルギー利用効率の向上につなげてまいります。
 こうした需給両面にわたる施策を都民、事業者の協力のもとで積極的に推進し、低炭素、快適性、防災力を兼ね備えたスマートエネルギー都市の実現を目指してまいります。
 次に、資源循環施策の今後の展開についてでございます。
 持続可能な資源利用を推進するためには、大消費地である東京が、都民や事業者と連携し、重点的かつ喫緊の課題から、率先して取り組んでいくことが重要でございます。
 このため、都は今年度中に取り組み方針を策定し、食品ロスなどの資源の無駄の削減、再生砕石などのエコマテリアルの利用、廃プラスチックなどの廃棄物の循環利用の三つのテーマについて、来年度、先進的企業などと連携したモデル事業を実施し、広く取り組みの普及を図ってまいります。
 また、事業系廃棄物のリサイクルのルールづくりなどに向けて、来月にも区市町村との協議の場を立ち上げてまいります。
 さらに、持続可能な資源利用を具体化する新たな東京都廃棄物処理計画の策定に取り組み、世界一の都市東京にふさわしい資源循環の実現を目指してまいります。
 最後に、花や緑を生かしたまちづくりの推進についてでございますが、花と緑は、潤いや彩りの付与、生態系の保全など、さまざまな機能を有し、快適な生活空間の創造に寄与するとともに、国内外からの来訪者に対するおもてなしにもなる都市の魅力向上の重要な要素と認識しております。
 都はこれまで、緑の量に加え、在来種植栽の推進など、質を高める施策を展開してきておりますが、今後、二〇二〇年大会を契機として、美しさの視点も踏まえ、誰もが共感できる緑化の取り組みを都内に普及させてまいります。
 このため、来年度新たに、将来にわたって維持管理が期待できる花と樹木による植栽づくりを行う民間事業者等や、都民等と連携して地域緑化に取り組む区市町村を支援し、環境と調和した快適で美しい都市の実現に向けて取り組んでまいります。
   〔下水道局長松田芳和君登壇〕

○下水道局長(松田芳和君) 下水道施設の上部空間の利用についてでございますが、芝浦水再生センターの上部利用は、下水道事業では初めて立体都市計画制度を活用し、施設上部に業務商業ビルを建設するもので、従来の下水道事業の枠を超え、品川周辺のまちづくりに貢献し、都市開発を先導する取り組みでございます。このビルは、下水の熱や再生水を利用するなど、最高水準の環境モデルビルでございまして、その地下には、合流式下水道の改善対策として、貯留施設を整備いたします。
 さらに、水処理施設の上部に公園を整備し、開発地域の憩いの場として、また、ヒートアイランド現象を緩和する風の道として活用いたします。このように下水道施設の上部は、東京の貴重な都市空間であり、新たな価値を生み出すポテンシャルを有しております。
 今後は、他の施設につきましても、計画段階から地元の声や地域特性などを踏まえ、地元区市や民間事業者など多様な主体と連携して、上部空間の複合的な活用を積極的に検討し、幅広い観点からまちづくりに貢献してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

○産業労働局長(山本隆君) 六点のご質問にお答えをいたします。
 まず、中小企業の成長に向けた支援についてでございますが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを契機に、その効果を中小企業に広く行き渡らせ、東京の産業を将来にわたる成長の軌道に乗せていくことは重要でございます。
 このため、都は来年度、商工会議所や中小企業団体中央会等で構成する協議会を立ち上げ、中小企業による大会関連の受注機会の獲得や幅広い製品、サービスの効果的な発信など、官民一体となった取り組みに着手いたします。
 また、成長産業分野での次世代を担う技術や製品の創出に向け、試作から実用化までを一貫して支援する事業を開始するとともに、中小企業振興公社がタイに設置する拠点等を活用し、中小企業の海外販路開拓を促進いたします。
 こうした多面的な取り組みにより、中小企業の成長を力強く支援してまいります。
 次に、小規模企業の事業継続に向けた支援についてでございますが、東京の産業の活力を一層高めていくためには、地域経済を担う小規模企業の事業の継続と発展が不可欠でございます。
 そこで、都は来年度、商工会連合会や商工会議所、中小企業団体中央会と連携し、新たに都内六カ所に支援拠点を設置いたします。拠点では、商工会等が行う地域経済の活性化事業を強力にサポートするとともに、個々の企業に対し、業態転換や事業承継等、単独では解決が難しい課題につき、専門家を活用して重点的に支援してまいります。
 また、中小企業振興公社における事業承継支援の体制も強化し、後継者の確保や、そのための経営改革等に取り組む企業を三年間にわたって集中的に支援してまいります。
 東京の産業を支える小規模企業の持続的な発展を、関係機関と連携し後押ししてまいります。
 次に、金融支援策の充実についてでございますが、中小企業の発展を後押しするためには、事業の立ち上げ時や後継者への引き継ぎ時など個々の企業のライフステージや、それぞれの経営実態を踏まえた支援が重要でございます。
 このため、来年度の制度融資では、創業融資において商工団体等から経営支援を受けた場合の金利を優遇するとともに、事業承継期の経営安定化などに必要な資金を融資するメニューを新設いたします。これらのメニューでは、全事業者に対し信用保証料の二分の一を都が補助いたします。
 あわせて、さまざまな事業用資産を担保とした借り入れができる動産・債権担保融資制度では、融資規模を大幅に拡充するなど、資金調達の選択肢を幅広く提供いたします。
 こうした資金繰りの支援の拡充により、中小企業の実情に応じたさまざまな取り組みを後押ししてまいります。
 次に、創業の支援についてでございますが、東京の産業競争力を高めていくためには、幅広い層による多様な起業、創業を創出することが重要でございます。
 このため、都は来年度、中小企業振興公社に約百億円の基金を造成し、新たな助成事業を開始いたします。
 具体的には、創業期に必要な経費を助成して、すぐれた事業計画の実現を支援するとともに、優良な運営計画を有する創業支援施設に対し、施設の整備等に要する経費を助成いたします。
 また、信用金庫、信用組合の低利融資とアドバイザーの経営支援をあわせて行う女性・若者・シニア創業サポート事業の融資原資を百億円規模へ大幅に拡充することで、地域に根差した多くの創業をきめ細かく後押しいたします。
 次代を担う起業家の輩出やベンチャー企業の成長に向け、多面的な支援を展開してまいります。
 次に、東京と地方の連携についてでありますが、海外からの旅行者をより一層誘致していくためには、東京と地方が連携し、それぞれが持つ魅力を生かして、相乗効果を発揮する取り組みを行うことが重要でございます。
 このため、都は、都と東北六県、仙台市、交通事業者から成る協議会を通じ、東京と東北を結ぶ観光モデルルートを設定し、海外メディア等の招聘や民間事業者の広告媒体での発信など、効果的なPRに取り組んでまいります。
 また、年間百五十万人が訪れる都庁展望室において、各地の特産品を紹介する展示販売会を開催するとともに日本各地の食を集めた民間のイベントで集中的なPRを行うなど、東京から全国の魅力を発信いたします。
 東京が先頭に立って広域的な旅行者誘致を進めることにより、東京と地方双方の活力を生み出してまいります。
 最後に、多摩地域の雇用就業拠点についてでございますが、多摩地域のしごとセンターと労働相談情報センターの機能を拡充して立川に設置をいたします新たな施設は、平成三十三年度の開設を目指し、来年度、基本設計に着手いたします。
 しごとセンター多摩では、地域特性を踏まえ、大学や企業と連携していくとともに、地元での就職ニーズに応えるため、新たに若者向け支援コーナーや再就職を目指す女性相談窓口を設置するほか、障害者雇用に向けた支援も開始いたします。
 また、労働相談情報センターでは、土曜相談の実施など利用者サービスの向上や中小企業に対する雇用環境整備の支援に取り組んでまいります。
 このように拠点としての機能を高めることによりまして、多摩地域全体における雇用就業支援の一層の充実強化につなげてまいります。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

○政策企画局長(川澄俊文君) 外国企業誘致に向けた国との連携についてですが、都はこれまで、ビジネスコンシェルジュ東京において、ビジネスマッチングやオフィス紹介など外国企業のニーズにかなったサービスを提供してまいりました。
 来年度は、その運営をワンストップセンターと同一場所に移し、それぞれが連携してサービスの提供を行う予定でございます。
 これにより、法人設立相談で来所した外国企業は、手続の迅速化、簡素化に加え、今後のビジネス展開などについての助言サービスをあわせて受けることが可能となり、対日投資効果の向上につながることが期待できます。
 今後は、東京の国際競争力強化に向けて、機能の充実を図った今回の取り組みを積極的に情報発信し、国との連携効果を十分に発揮してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

○生活文化局長(小林清君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、私立学校におけるグローバル人材の育成についてでありますが、都は、平成二十五年度に長期的な留学に対し支援を行う私立高等学校海外留学推進補助を創設し、保護者の負担を軽減するとともに、都内の私立学校における海外留学の取り組みを支援してまいりました。
 これに加えまして、今回、新たにJETプログラムを活用する私立中学校及び高等学校への支援を予算案に計上しております。英語圏出身の外国語指導助手等を招聘することにより、日々の学校生活で外国語に触れる機会をふやすとともに、異文化への理解が促進されるなど各学校における特色ある取り組みのさらなる充実につながると考えております。
 都といたしましては、今後、私学団体等と連携し、各学校における円滑な招聘に向けて準備を進めてまいります。
 次に、私立学校におけるICTを活用した教育環境の充実についてでありますが、高度に情報化が進んだ二十一世紀を生きる子供たちに求められる教育を行うためには、学習の主要な場である学校における教育の情報化の推進が必要不可欠であります。
 ICT機器を活用することにより、例えば、野外観察において興味を持った事柄をその場で調べたり、立体図形の展開を動画で繰り返し確認するなど、各教員の創意工夫により、児童生徒の能動的な学習意欲や知的好奇心を十分に引き出すような学習が可能となります。
 このため、都は来年度、生徒が使用するタブレット端末等のICT機器やネットワーク工事等に要する経費の一部を補助する制度を新たに設け、私立学校におけるICT教育環境の基盤整備を後押ししてまいります。
 最後に、二〇二〇年の東京大会に向けた文化の面での機運醸成についてであります。
 二〇一六年のリオ大会に続いて展開する文化プログラムに先立ちまして、来年度から先導プロジェクトを初めさまざまな取り組みを開始いたします。
 まず、伝統芸能や演劇、音楽など、さまざまな分野の芸術家がまちを巡回して公演を行う東京キャラバンを実施し、東京の多彩な文化を、国内外に広く示してまいります。
 また、海外から関心が高い伝統文化につきまして、外国人向けの体験事業を開始するほか、郷土芸能など地域に根差した活動に対する助成制度を新たに創設いたします。
 今後、リオ大会で、伝統文化を初めとする東京の多様な文化を効果的に紹介、発信するなど、あらゆる機会を捉え、二〇二〇年に向けた機運を醸成してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、二〇二〇年に向けた競技力向上策についてでありますが、東京から世界に存在感を示すトップアスリートを生み出すためには、競技の特性や年齢に応じて、計画的に競技力向上策を進めていくことが重要でございます。
 都は、これまでも競技力強化に取り組んでまいりましたが、平成二十七年度は、二〇二〇年大会で活躍できるジュニア選手に対し、オリンピック競技に重点を置いた支援を拡充してまいります。
 また、現役選手が生活に不安なく競技活動に集中できるよう、JOCと連携し、就職に役立つスキルのセミナーや、企業向けの説明会などを実施してまいります。
 今後は、これらに加えまして、日本代表レベルの選手の育成、強化に重点を置き、二〇二〇年に向けて段階的に進めることで、多数のオリンピック選手を東京から輩出し、アスリートの活躍を通じて東京を元気にしてまいります。
 次に、区市町村支援についてでございますが、都内全域で大会の開催機運を醸成し、地域に大会のレガシーを残すためには、区市町村の主体的な取り組みを促進することが必要でございます。
 このため、来年度から、スポーツ教室や大会への理解を深める講演会、障害者スポーツ振興に係る取り組みなど、ソフト事業に対する補助制度を新設し、大会に向けた多様な事業を支援する仕組みを構築いたします。
 また、現在実施しておりますスポーツ施設整備費補助につきましては、来年度から、従来の競技スペースの拡大に加え、利用時間の延長にも対応いたします。さらに、障害者が利用しやすいスポーツ施設整備を促進させるほか、事前キャンプ誘致に資する工事も対象とし、予算総額を大幅に増額いたします。
 今後、都は区市町村と密接に連携し、大会を契機に地域の活性化を図り、スポーツ都市東京の実現につなげてまいります。
   〔交通局長新田洋平君登壇〕

○交通局長(新田洋平君) 二〇二〇年大会を契機とした都営地下鉄の取り組みについてでございますが、まずは、安全の確保を第一に、快適性と利便性を高めていくため、新宿線全駅及び浅草線大門駅等へのホームドア整備や乗りかえ駅等へのエレベーターの増設、高齢者や障害者等にも配慮したバリアフリー対策の一層の充実など、都営地下鉄の強みにさらなる磨きをかけてまいります。
 加えて、国内外からの観光客が東京のすばらしさを満喫できるよう、駅の案内サインの多言語化やコンシェルジュの配置拡大による親切で丁寧なサービスの充実を図りますとともに、地元区とも連携いたしまして、沿線の隠れた観光名所等を掘り起こし、それを結ぶアクセスルートを多様な方法で発信するなど、沿線地域の魅力をさらに高めてまいります。
 今後とも、二〇二〇年大会後も見据えた取り組みを進めていくことで、都営交通として一段の飛躍を図ってまいります。
   〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕

○港湾局長(多羅尾光睦君) 二〇二〇年の東京大会と港湾物流の調和についてですが、東京港を経由する食品や衣類等の輸入貨物は、首都圏を初め東日本の人々の毎日の消費生活を支えるため、輸送の正確性や迅速性が求められる中、日々とどまることなく、コンテナターミナルから搬出されております。
 二〇二〇年東京大会に向けては、準備期間、開催期間それぞれにおいて、工事車両や大会関係車両と物流車両とのふくそうや、限られた土地をめぐる利用ニーズの重複などが予想されますが、これらを両立させていくことが必要と認識しております。
 都としては、早い時期から港湾関係者の方々の意見を十分に聞くとともに、関係機関等とのきめ細かい調整のもと、さまざまな工夫を重ねていくことで、二〇二〇年東京大会の準備、実施と港湾機能との調和を図ってまいります。

○議長(高島なおき君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十一分休憩

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