平成二十六年東京都議会会議録第十七号

〇副議長(藤井一君) 五十二番西崎光子さん。
   〔五十二番西崎光子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇五十二番(西崎光子君) 都議会生活者ネットワークを代表して質問いたします。
 まず初めに、省エネルギー、再生可能エネルギーについて伺います。
 三・一一原発事故以降、エネルギーについて人々の意識は大きく変わりました。家庭や事業所で省エネ、節電の取り組みが進み、再生可能エネルギー設備の設置が都内でも着実に増加しています。
 今定例会の所信表明で、知事は、二〇三〇年までに二〇〇〇年対比三〇%削減という、非常に意欲的な目標値を打ち出しました。都はこれまでも、省エネ目標を掲げて取り組んできましたが、異常気象が頻発し、地球温暖化対策は緊迫度を増しており、温暖化対策にも資する高い省エネ目標を都が率先して掲げることを評価するものです。
 この新たな省エネ目標を、現在策定中の長期ビジョンにも掲げて、たゆむことなく省エネの取り組みを進めていくことが重要だと生活者ネットワークは考えます。
 これまでも各会派から質問が出てまいりましたが、改めて、この目標の達成に向けた知事の決意を伺います。
 この省エネ目標を達成するためには、事業者だけではなく、都内エネルギー消費量の約三割を占めている家庭部門の対策が重要です。都は、省エネ、節電の具体的な方法も含めて、普及啓発やアドバイスに取り組んでいますが、身近な地域でNPOが地元自治体と連携して省エネ相談を実施している例もあります。
 震災後、都内では多くの家庭が省エネに取り組み、震災前に比べてエネルギー消費量が四%減少しました。今後、さらに賢い省エネ、節電を進めていくことが大切です。都の取り組みについて伺います。
 会派で視察しました大分県は、日本一の発電規模を誇る地熱や、県内数多く存在する農業用水路を活用した小水力、豊富な森林資源から生み出されているバイオマスを初め、太陽光や風力など多種多様な再生可能エネルギーが広く活用されています。そのため、再生可能エネルギーの占める割合は日本一です。ここでは、新たな産業を興す観点から、エネルギー関連の新成長産業育成事業に力を入れており、企業と連携するとともに、市民への普及啓発にも積極的に取り組んでいました。
 今回、知事は、省エネ目標とあわせて、再生可能エネルギーの電力利用割合を、二〇二四年までに二〇%程度に高める目標を示しました。再生可能エネルギーを拡大していくためには、こうした将来に向けた明確な方針を示すことで、都民、事業者等による行動を促し、大分県のように官民一体となって取り組む必要があると考えます。
 また、都民、事業者等の先頭に立って、都みずからが目標の実現に向かって率先して都有施設への導入拡大を図っていくことも重要です。例えば、再エネ導入に特化した基金を設けるとか、地域の市民事業や中小企業に屋根貸しするなど、積極的な取り組みが必要です。
 今後、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。
 認知症は、誰にでも起こり得る身近な病気として対応が求められています。都内では既に三十八万人を超え、軽度の人を含めると、六十五歳以上の人口の四人に一人ともいわれています。認知症の人が安心して生活できるよう、地域全体で見守りを進めている自治体も多く、認知症の正しい知識やつき合い方を理解し、認知症の人を応援する認知症サポーターが誕生しています。今後、交通事業者や宅配業者などの協力も必要となってきます。
 そこで、都として、高齢者が日常的に利用する機会が多いコンビニなどの事業者に見守りに協力してもらうために、認知症サポーター養成講座の受講を促進すべきと考えますが、見解を伺います。
 こうした認知症サポーターの中には、実際に役に立ちたいと考えている人も少なくありません。特別養護老人ホームなどの施設が認知症サポーターを受け入れることは、まさに現場での研修、実践となり、サポーターのスキルアップだけではなく、施設が地域に開かれた場になるため、サポーター、施設、どちらの側にも有効だと思います。
 都としても、認知症サポーターのステップアップに積極的に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 認知症が疑われる段階から医療、介護専門職らが当事者や家族を訪問して支援する初期集中支援チームが、国の事業として二〇一八年度までに全区市町村に設置することになっています。しかし、都内では、世田谷区と町田市で実施されているだけで、進んでいません。
 都は、初期集中支援チームの設置に向けて、区市町村への支援を積極的に行うべきと考えますが、見解を伺います。
 ことし九月、私の地元の世田谷区代沢で、下校中の小学生の列に軽トラックが突っ込み、小学生が死亡するという痛ましい事故がありました。事故が発生した場所は小学校の通学路となっており、このような事故を二度と起こさないためにも、地域全体で安全対策に取り組んでいく必要があります。事故の発生後は、路側帯のカラー化や、地域住民と協力して通学路安全運転呼びかけ隊を形成し、通行車両に対して、ハンドプレートなどによる安全運転の呼びかけを実施しています。
 このように、個々の地域での個別の取り組みも進められているようですが、あわせて広い視点での普及啓発など、子供に対する交通安全の取り組みが必要だと考えます。都の見解を伺います。
 近年、商品やサービス等の利用に伴う子供の不慮の事故が後を絶たない状況が続いています。都はこれまでも、東京都商品等安全対策協議会において、使い捨てライターや子供服のデザイン、ブラインドのひもなどによる危害、危険防止に取り組み、具体的な安全対策につなげてきました。
 厚生労働省の調査によると、子供の死亡原因で不慮の事故が上位にありますが、この中には、交通事故などのほかにも、商品等の使用に伴う事故も含まれており、こうした子供の事故を減らしていくことが大変重要だと考えます。
 商品等の使用に伴う事故の未然防止につなげていくためには、まず詳細な事故情報を収集することが重要になりますが、都はどのように情報収集を行っているのか伺います。
 今年度の東京都商品等安全対策協議会では、最近、だっこひもから乳幼児が転落する事故が相次いで発生していることから、だっこひも等の安全対策について検討されていると聞いています。
 そこで、協議会における検討状況と、今後、都がどのようにだっこひも等の安全対策に取り組んでいくのか伺います。
 最後に、人と動物との共生社会に向けた取り組みについてです。
 ことし十月、元ペットショップの従業員が多数の犬を遺棄するという残酷な事件が起こりました。この事件は、動物取扱業者が手に余る動物を無責任に放置したことが発端となったものであり、海外からも非難の声が届きました。しかし、事業者のみならず、一般の飼い主においても、経済的理由や高齢による飼育困難となる事例が多く見られるようになりました。
 飼育困難となり、行き場のない動物を出さないためには、住民、動物愛護推進員、ボランティア団体、区市町村等が連携した地域の取り組みが重要です。その中でも、都が委嘱する動物愛護推進員は、都民の身近な相談窓口の一つとして、地域における動物の適正飼育普及啓発や動物の愛護活動の中心的な役割を果たすことを期待されており、本年三月に改定した東京都動物愛護管理推進計画においてもその役割が明記されています。
 そこで、今後、都は動物愛護推進員の活動をどのように支援していくのか伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 西崎光子議員の一般質問にお答えいたします。
 新たな省エネ目標についてでありますが、東京はエネルギーの大消費地として、使用するエネルギーの総量を減らし、可能な限り環境への負荷を減少させながら持続的な発展を続けていく必要があります。
 そこで、今般、これまでの取り組みを継承しながら、さらなる省エネ化を進めていくため、長期ビジョンにおきまして、二〇三〇年までに二〇〇〇年対比で三〇%削減という新たな省エネ目標を設定することにいたしました。
 この達成に向けまして、家庭、業務などそれぞれの部門がこれまで進めてまいりました、無理なく賢い省エネ、節電をさらに前進させてまいります。
 あわせて、燃料電池車など水素エネルギーの活用や再生可能エネルギーの導入拡大を進め、世界一のスマートエネルギー都市の実現に取り組んでまいります。
 そのほかの質問につきましては、関係局長に答弁させます。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、家庭における省エネ、節電の取り組みについてでございますが、東京のエネルギー消費を削減していく上では、消費量の約三割を占める家庭での取り組みも重要と認識しております。
 都はこれまで、省エネアドバイザー制度やマンションの環境性能を示すラベリング制度、簡単に実践できる省エネのポイントを盛り込んだパンフレットの配布などを通じて、家庭における無理のない賢い省エネ、節電を促す取り組みを進めてまいりました。
 さらに、現在、家庭の省エネの目安となるベンチマークを作成中であり、この成果を用いて一層きめ細かな省エネ、節電のアドバイスにつなげてまいります。加えて、既存住宅の省エネルギー性能の向上等にも取り組み、家庭におけるエネルギー利用の一層の効率化を促進してまいります。
 次に、再生可能エネルギーの導入拡大についてでございます。
 再生可能エネルギーの拡大に向けては、都民、事業者の需給両面での幅広い取り組みを促していくことが必要でございます。このため、長期ビジョンにおいて導入目標を明確に示し、省エネ、節電とともに、住宅等への太陽光発電の導入拡大、都市型バイオマス発電や小水力発電の推進など、区市町村とも連携して多面的な施策展開に努めてまいります。
 また、都施設につきましては、率先行動として、これまでに太陽光発電一万キロワットを含め、約六万キロワットの設備を導入してまいりました。
 今後も、全庁推進組織であるスマートエネルギー都庁推進会議における取り組みとして、省エネ・再エネ東京仕様などに基づく太陽光発電や太陽熱、地中熱などの積極的な導入に努め、省エネとあわせ、都施設への再生可能エネルギーのさらなる導入を進めてまいります。
   〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

〇福祉保健局長(梶原洋君) 四点のご質問にお答えします。
 まず、認知症サポーターの養成についてでありますが、都は、認知症サポーターの養成に取り組む区市町村を包括補助により支援するとともに、養成講座を開催する企業や団体等の取り組みを支援しており、これまで都内で約三十二万人のサポーターが養成されております。
 また、より多くの都民に認知症を理解し、サポーターについて知ってもらうため、ことし五月に発表したパンフレット、知って安心認知症を、今後、都内のコンビニエンスストア約四千店舗に配布する予定でございます。
 今後とも、こうした取り組みにより、認知症サポーターの養成を支援してまいります。
 次に、認知症サポーターの活用についてでありますが、現在、区市町村においては、養成した認知症サポーターが、認知症の家族会の運営支援や高齢者に対する声かけ、見守りなどのボランティア活動に従事できるよう、フォローアップ講座を開催しております。また、講座の中に特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームの見学会や体験学習を取り入れ、サポーターが認知症高齢者との接し方などを現場で学ぶ機会を提供している区市町村もございます。
 都は今後とも、こうした取り組みを行う区市町村を包括補助により支援してまいります。
 次に、認知症初期集中支援チームについてでありますが、都は現在、区市町村に配置した認知症コーディネーターと認知症疾患医療センターに配置したアウトリーチチームが連携して自宅を訪問し、早期発見、早期診断につなげる取り組みを進めており、現在、二十七の区市が実施しております。
 こうした取り組みが、認知症初期集中支援チームの設置につながるよう、認知症コーディネーター等が培った訪問支援のノウハウを提供するなど、区市町村を支援してまいります。
 最後に、動物愛護推進員の活動への支援についてでありますが、動物愛護推進員は、地域における動物の愛護と適正な飼養を推進するため、飼い主への助言、飼育が困難となった高齢者への支援、小中学校における動物教室などでの活動を行っており、現在、都内全域で約三百名の方に委嘱しております。
 都は、推進員の地域での活動に資するよう、動物愛護の啓発活動に用いる資材を提供するとともに、知識やスキルのさらなる向上を目的とする研修会を実施しております。また、さまざまな職業や活動実績を持つ推進員同士が顔の見える関係をつくり、相互に協力して活動の場を広げていけるよう、情報連絡会も開催しております。
 今後とも、動物愛護推進員の活動を支援し、地域における動物愛護の取り組みを一層進めてまいります。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(河合潔君) 子供に対する交通安全の取り組みについてでありますが、子供は、危険を予測し回避する能力が十分に備わっておらず、子供を事故から守る交通安全対策は重要であります。
 このため、都は、教育委員会や警視庁と連携し、子供の参加、体験を重視しつつ、交通安全教育や普及啓発に取り組んでまいりました。
 具体的には、学校において、道路横断時の危険性を疑似体験できる歩行者教育システムや、自転車シミュレーターを活用した交通安全教室を開催しております。また、子供が参加するイベントにおいて、事故の危険性を実感させるため、スタントマンの実演による事故の再現を行うなどの啓発活動に取り組んでおります。
 今後も引き続き、子供が悲惨な交通事故に遭わないよう、教育や普及啓発に取り組んでまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、商品等に起因する子供の事故の未然防止に向けた情報収集についてでありますが、やけどや転倒、転落などの子供の事故は、自分の不注意と考える保護者が多いため、表面化しにくく、情報収集が難しい傾向にあります。
 このため、都は、消費生活センターの相談情報だけではなく、日本小児科学会の傷害速報、東京消防庁の救急搬送事例や病院の受診事例など、関係機関から事故情報を積極的に収集しております。加えて、日常生活に潜む危害、危険情報を掘り起こすため、乳幼児等の保護者を対象とするヒヤリ・ハット調査も実施をしております。
 次に、だっこひもの安全対策についてでありますが、都が国立成育医療研究センターや東京消防庁等の協力を得て実施した実態調査によりますと、平成二十一年以降、だっこひもからの子供の転落事故が多数あり、頭蓋骨骨折等の重症事例もあることが明らかになりました。このため、今年度の東京都商品等安全対策協議会におきまして、だっこひもの使用者を対象としたアンケート調査を実施したほか、事故状況の再現実験を通して明らかとなった問題点を取りまとめ、十月に公表したところでございます。
 今後、この結果に基づき、協議会で年内に具体的な安全対策を取りまとめる予定であり、都は、事業者団体等に対して、商品の改良や安全基準づくりの要望を行い、改善につなげるとともに、妊産婦への注意喚起など、情報発信を行ってまいります。

〇議長(高島なおき君) 以上をもって質問は終わりました。

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