平成二十六年東京都議会会議録第十七号

〇議長(高島なおき君) 三十六番大松あきら君。
   〔三十六番大松あきら君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇三十六番(大松あきら君) まず、被災地支援について伺います。
 ことし八月、東北の被災地の皆様方が育てた花の苗を新宿区内の歩道に植える、道で咲かせよう東北の花、花壇育成プロジェクトが実施されました。
 これは、東京都建設局及び東京都道路整備保全公社、そして被災地の三者が連携して行っている事業であり、私もJR新宿駅西口広場で、事業を紹介するイベントコーナーを見学いたしました。
 事業の発端は、昨年、宮城県石巻市立中央公民館が、震災からの再起と復興を願い実施した、まちを花で飾る生き生き花のプロジェクトです。当初、石巻市はプランターなど必要な資材を調達できず、そのことを聞きつけた東京都道路整備保全公社が資材を提供、それを受け、石巻市が育てた花の苗の一部を都に送っていただいたことから、この事業が始まりました。
 今回は、岩手県、福島県いわき市も加わり、都内からの参加者がマリーゴールドなどを植えながら、メッセージボードに被災地への思いを書き込み、復興を願う人々の心の輪を大きく広げました。
 そこで、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、マラソンコースの沿道や選手村と競技会場をつなぐ道路などを、被災者の方々が育てたたくさんの花々で飾ることができれば、一層の被災地支援となり、東北の復興を世界に強く印象づけることになります。
 被災者の皆様方を励ます取り組みである花壇育成プロジェクトを、今後さらに広げていくべきです。東京都の見解を求めます。
 次に、文化振興策について伺います。
 東京オリンピック・パラリンピックは、海外からの観光客をさらにふやし、一度訪れた方には、もう一度来ていただけるよう、東京が観光都市として飛躍していくチャンスです。
 その観光資源として期待されるのが、江戸東京の歴史と、伝統芸能から最先端のアートまで幅の広い、多彩で多様な東京の文化です。世界に広く強く発信していくことで、観光振興に大きく寄与します。
 その中心的な役割を担うのが、すぐれた作品の数々を所蔵する都立文化施設です。しかし、施設を訪れる外国人には、言葉のバリアがあります。日本語と英語の二言語表記が整っていても、日本語も英語も理解できない方にとっては、例えば江戸東京博物館ですばらしい展示に出会っても、その魅力が十分に伝わらない場合があります。
 そこで、東京オリンピック・パラリンピックを契機に、都立文化施設における多言語化を推進するべきです。都の取り組みについて見解を求めます。
 都立文化施設は、国内外の施設と協力し合うことで、より大きな力を発揮していくことができます。
 例えば、東京都美術館や東京文化会館がある上野地区では、東京国立博物館や国立西洋美術館、上野の森美術館など、国公立や民間のすばらしい文化施設が集積し、それぞれが連携協力して、世界に認知される文化拠点を目指す取り組みを始めています。
 また、江戸東京博物館は、以前より海外の博物館と継続的に交流を行ってきていると聞いています。
 東京の文化の発信力を強化していくために、都立文化施設は、国内はもとより海外の文化施設とも連携をより深めることが重要です。都の所見を求めます。
 次に、アニメ産業の振興について伺います。
 日本を訪れる多くの外国人が、アニメや漫画に関心を持っています。いわゆるクールジャパン、格好いい日本として、海外のイベントにおいても多くの作品が紹介され、国内外で人気が高く、有力な観光資源でもあります。こうした観点から、私は、アニメ産業の振興を支援するように訴えてまいりました。
 そこで重要になるのが、人材の発掘と育成に対する支援です。東京都はこれまで、東京国際アニメフェアの開催を支援し、国際的な商談の場を提供する見本市や優秀な作品を表彰するコンペティションを行うことで、アニメ産業の振興を図り、若手人材の発掘、育成につなげてきました。
 今後も、人材育成を積極的に支援し、日本の魅力の一つであるアニメ産業を振興していくべきです。舛添知事の見解を求めます。
 アニメだけではなく、映画、漫画、ゲームソフトなどを含めた日本のコンテンツ産業は、アメリカに次ぐ世界第二位の市場規模を持っています。人材の発掘、育成に対する支援に加え、若きクリエーターが自分の作品を商品として磨き上げ、ビジネスとして成功できるよう支援することが大変重要です。
 特に東京には、多様なメディアや大きな消費市場が存在し、創造性に富む多くの中小企業が集積しています。都は、こうしたコンテンツ産業の成長性に着目し、この分野に特化した創業支援施設を整備し、多くのベンチャー企業を支援してきました。その中から、世界七カ国に支社を持つまでに成長した企業や、従業員数が三名から百五十名規模に拡大した企業も出ています。
 世界に誇る日本のコンテンツ産業を大きく飛躍させるために、引き続き支援の充実を図り、国内だけではなく海外市場を視野に入れた新たなビジネスの展開の支援にさらに力を入れて取り組むべきです。都の見解を求めます。
 次に、教育について質問します。
 教育と医学は、ともに生命を守り育む科学であり、技術であり、その意味で兄弟のような関係にあるといわれています。医学では、かつては治癒できなかった難病も、世界のどこかで治療法が開発されれば、学会に報告され、その恩恵が世界に広がります。教育も、子供の心身の成長、学力向上、特別支援教育など課題は世界共通であり、世界中の教育者が協力し合える仕組みをつくることで、医学と同様に発達していくものと考えます。
 こうした観点から、私は、教育現場を担う東京都教育委員会が世界教育者サミットを開催することを、かねてから主張してまいりました。
 その第一歩となり、現場の教員同士の情報共有、意見交換の場として期待されるのが、指導主事及び教員海外派遣研修報告会です。グローバル人材の育成など折々の教育課題をテーマに、毎年、シンポジウム形式で開催され、その内容は回を重ねるごとに充実しています。
 都教育委員会は、今年度から海外派遣研修の対象者を拡大し、より多くの教員を海外に送り出すことになっています。それにあわせて報告会の内容をさらに充実させて、成果を広く普及していくべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、都立高校の国際姉妹校の交流促進について伺います。
 現在、十四の都立高校がアメリカやドイツなどの高校と姉妹校の提携を結び、交換留学などを行っています。グローバル人材の育成に役立つとともに、都立高校の魅力アップにつながります。都立高校の姉妹校交流を支援していくべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 次に、防災対策について伺います。
 近年、都内でも局地的な集中豪雨が頻発するようになり、洪水対策の強化が求められています。都は、平成二十四年度に、中小河川の新たな整備方針を策定し、河川の整備水準を引き上げ、ことし六月には、豪雨対策基本方針を改定し、対策を進めています。
 このうち私の地元、北区内を流れる石神井川は、下流部で、この十年間に二回の浸水被害が発生したことから、対策強化流域に指定されています。
 集中豪雨による石神井川の水害を早期に軽減するためには、中流部に調節池を増設することが必要です。石神井川中流域における調節池の整備に向けた取り組み状況について、都の所見を求めます。
 最後に、都税におけるクレジット納税の拡大について伺います。
 都はこれまでも、コンビニ収納やペイジー収納など、納税方法を多様化してきました。そこで、公明党がさきの第二回定例会で、既に自動車税に導入されているクレジット納税を、他の税目にも拡大するよう要望し、都は、今後、実施に向けて取り組んでいくと答弁しています。
 現在、個人事業主や中小企業においては、為替の変動など外部要因により、一時的に資金繰りが厳しくなり、経営への影響が懸念されています。
 クレジットカード納税は、経営環境の変化に直面した個人事業主や中小企業にとって、税金の支払い方法をみずからの計画に合わせて弾力的に決められるツールとして有効です。自動車税に限らず固定資産税や個人事業税など、多くの税目に早急に導入し、便利で支払いやすい環境を整えることが必要です。
 現在のクレジットカード納税の拡大に向けた検討状況を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 大松あきら議員の一般質問にお答えいたします。
 アニメ産業の振興についてでありますが、日本のアニメは、日本人が持つ豊かな感性やすぐれた技術が集約されました世界に誇る日本の文化であり、いわゆるクールジャパンとして海外から高く評価されております。
 アニメ制作会社の多くが集積する東京で、多様な人材が互いに切磋琢磨して生み出されたすぐれた作品は、日本の生活や文化に対する外国の方々の関心を高め、訪日のきっかけとなる重要な観光資源であります。
 アニメ産業を振興し、これからもアニメを東京の魅力として発信し続けていくためには、政策を担う若手人材を発掘し、育成することが重要であります。
 そのため、本年三月から、民間と連携して東京アニメアワードフェスティバルを開催し、若手作品の上映や著名なクリエーターとの交流、優秀な作品の表彰など、若手の創作意欲を喚起し、豊かな才能を持つ人材の輩出を後押ししております。
 今後も、世界中のファンを魅了し続けるため、次の世代を担う人材の育成を通じて、アニメ産業の振興を図ってまいります。
 その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、英語科教員海外研修の成果の普及についてでありますが、今年度から実施している三カ月間の海外研修は、前期が十一月末にオーストラリアから帰国し、後期は来年一月からアメリカで研修を実施いたします。派遣中、教員は大学で最新の教授法を学ぶとともに、現地高校でのインターンシップを通して、授業の実習や指導法を研究する内容となっております。
 来年四月に開催する今年度派遣した教員による報告会では、学んだ指導技術を他の教員に普及するほか、JETプログラムにより都立高校に勤務している外国青年や各国の大使館職員等を招き、国際交流や人材育成についての討論を行うなど、内容の充実を図ってまいります。
 また、報告会に加え、派遣教員が学んできた英語教授法による研究授業を行うなど、都内各地で教員研修を展開し、英語科教員の指導力の向上に努めてまいります。
 次に、都立高校の姉妹校交流についてでありますが、姉妹校提携など、海外の学校と継続的な交流活動を行うことは、二〇二〇年に向けて、生徒の意識が国外に向き、異文化理解を深める好機となるとともに、生徒のコミュニケーション能力の向上に有効でございます。
 これまで、十四の都立高校が語学研修や修学旅行での交流をきっかけとして、オーストラリアやアメリカなど七カ国の学校と姉妹校提携を結び、相互に学校訪問や短期留学を行うなど、積極的に交流を行ってきております。
 都教育委員会は、今後、こうした成果をホームページ等を通じて普及啓発するとともに、次世代リーダー育成道場や教員の海外派遣研修で築いた海外の高校とのネットワークが姉妹校提携に結びつくよう、学校や教員への支援を行ってまいります。
   〔東京都技監横溝良一君登壇〕

〇東京都技監(横溝良一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、花壇育成プロジェクトについてでございますが、このプロジェクトは、花を通じた東北の被災地支援と都道を活用して被災地の花を展示することなどにより、震災復興への関心を高めることを目的とするものでございます。
 具体的には、都と東京都道路整備保全公社が連携し、被災地の方々に花を育てるための資材を提供するとともに、育てていただいた花の苗の一部を都庁周辺都道のプランターに植栽するものでございます。あわせて被災地の現状や復興状況を、新宿駅西口におけるパネル展示などで紹介し、被災地と東京とのきずなを強めていく取り組みでございます。
 また、都内の小学生などの参加を得て花々を植栽することで、子供たちの道路に対する愛着を育むことも期待しております。
 都といたしましては、今後、このプロジェクトの実施体制を充実するとともに、都内における実施箇所の拡大について検討し、被災地の方々との連携をより深めてまいります。
 次に、石神井川中流域の調節池の整備についてでございますが、頻発する集中豪雨に対応するためには、河川整備を一層効率的、効果的に進めることが重要でございます。このため、時間五十ミリまでの対策は護岸整備を基本に、それを超える雨には道路や公園などの公共空間を活用した調節池で対処いたします。
 近年、大規模な浸水被害が発生した石神井川では、この方針に基づき、護岸の改修に加え、優先的に新たな調節池を整備することとしており、お話の中流域では、都立城北中央公園の拡張整備と連携して地下調節池を設置することにより、下流側の安全性を早期に向上させます。
 都では現在、現地測量や地質調査を行うとともに、施設の主要な構造検討を進めており、引き続き石神井川の整備に全力で取り組んでまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 都立文化施設に関する二点のご質問にお答えします。
 まず、多言語化の推進についてであります。
 都立文化施設は、東京が持つ多様な文化資源を広く紹介する中核施設であり、オリンピック・パラリンピックを契機に、英語以外にも多言語化を進める必要があると考えております。
 このため、先月リニューアルオープンした庭園美術館では、英語に加えまして、中国語や韓国語などでパンフレットを作成するとともに、新たに導入いたしました旧朝香宮邸の鑑賞に役立つスマートフォンアプリでも、複数言語への対応を図ったところでございます。
 また、常設展示室を改修工事中の江戸東京博物館では、外国人にも東京や日本の歴史と文化が理解できるよう、複数言語に対応したタッチパネルを新たに設置いたします。
 今後、全ての施設で最新のICTの積極的な活用も図り、各館の特性に応じた多言語化の取り組みを早期に進め、ホスピタリティーの向上を図ってまいります。
 次に、都立文化施設と国内外の施設の連携についてでありますが、東京を訪れる外国の人に東京の文化的魅力を幅広く伝える上で、美術館、博物館等の果たすべき役割は非常に大きいものと考えております。
 既に上野地区では、世界的文化拠点を目指し、上野「文化の杜」新構想推進会議が共通入館券の発行や情報ポータルサイトの具体化に向けた検討を開始しております。また、江戸東京博物館では、北京首都博物館、ソウル歴史博物館との国際シンポジウムの継続的な開催など交流を深めており、今後、収蔵品を活用した展覧会の開催や学芸員の相互交流など、連携をさらに強化してまいります。
 今後とも、都立文化施設が先頭に立ち、海外の美術館や博物館と連携した展覧会の開催を初め、世界に注目される舞台芸術の海外の劇場との共同制作等にも取り組み、国内外の文化施設とのネットワーク化を進めてまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

〇産業労働局長(山本隆君) コンテンツ産業に対する支援についてでございますが、コンテンツ産業は、海外でも評価され、高い成長性を有しており、東京の将来を支える重要な産業でございます。
 そのため、都は、平成二十年に東京コンテンツインキュベーションセンターを設置し、創業支援の専門家を常駐させ、会社経営や事業展開へのアドバイス、大手コンテンツ企業との取引の仲介などの支援を実施しております。
 また、本年九月には、台湾のインキュベーションセンターと提携をし、入居者同士のビジネス交流や、台湾で事業展開をする際の拠点の設置、現地取引先企業の紹介などのサポートを開始いたしました。
 今後、こうした取り組みを積極的に展開し、グローバル市場で活躍できる東京発のすぐれたコンテンツ企業を数多く育成してまいります。
   〔主税局長塚田祐次君登壇〕

〇主税局長(塚田祐次君) クレジットカード納税についてのご質問にお答えいたします。
 クレジットカード納税は、いつでも、どこでも支払うことが可能な便利な納税手段であり、平成二十三年度に開始した自動車税では、年々利用実績が増加しております。
 このため、自動車税に加え、平成二十七年度当初から個人事業税、固定資産税、都市計画税、不動産取得税などの税目においても開始するべく、現在、必要なシステム改修等を行っております。
 また、納期に合わせて一カ月としていた手続可能期間についても、拡大するよう準備を進めております。
 さらに、これまで寄せられた納税者の方々の声なども参考にし、よりスムーズに納税できるよう、利用者への案内などを充実させてまいります。

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