平成二十六年東京都議会会議録第十七号

   午後三時二十分開議

〇副議長(藤井一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十二番西沢けいた君。
   〔三十二番西沢けいた君登壇〕

〇三十二番(西沢けいた君) 舛添知事は、東京を国際金融センターとする構想の一環として、都の公金の一部を株式に投資できるよう許可を求めていくとしています。現行法では認められていない地方自治法の解釈を変更すべきときに来ているとも発言し、公金の株式投資に意欲を示されています。
 国際金融センター構想は、海外から投資を呼び込むといいますが、知事のいう国際金融センター構想と公金の投資は、直接結びつくものではありません。元本保証のない投資は、当然リスクが伴います。損失があった場合、都民の税金で穴埋めするのでしょうか。都による投資は、新銀行東京などの反省に立てば行うべきではないと考えます。
 地方自治法では、公金については安全かつ効率的にと定められており、さきの財政委員会でも、安全運用の方針は変わらないと会計管理局が答弁していますが、どのように安全かつ効率的を担保するのでしょうか。
 公金の株式投資には、合理的な方針転換の理由、都の運用体制の見直し、都議会での議論、国への働きかけなど、数々の高いハードルがありますが、どのようにお考えでしょうか。知事の公金の株式投資にかける思いを伺います。
 本年九月、水道局の契約情報を水道局OBへ漏えいした問題で、職員が刑事罰を受け、行政処分が下されました。都の汚職等防止委員会から結果報告書が公表されましたが、二〇〇一年に建設局、二〇〇六年に下水道局、そして二年前の二〇一二年には、今回同様水道局で情報漏えいによる汚職問題があり、その都度、再発防止策が発表されています。過去の教訓が生かされていないといわざるを得ません。今回漏えいした職員が、情報を漏らさないと自分の待遇に影響が出ると思ったと報道されているように、水道局OBとの関係が人事に影響するともとれる発言をしています。都庁の古い体質がにじみ出ているのではないでしょうか。
 水道局では、今回の事件をどう総括し、今後の抜本的な対策を具体的にどのように進めていくのか伺います。
 報告書によると、周囲の職員が注意を払うことで防止できるとしています。私は、周囲の環境を改善し、防止にも抑止にもなる最も有効な手段が、通報制度の活用だと考えています。
 現在、各公営企業と都総務局に内部通報を受ける部署がありますが、庁内であるがゆえに、通報をためらってしまうことがあるのではないかと思います。
 外部団体である一般財団法人東京都人材支援事業団には、相談を中心とした通報窓口があり、こうした外部の窓口を強化していくことは有効と考えます。通報制度については、今回の報告書では、過去の事件の報告書と同様に周知徹底するにとどまっています。これまでの対策と同じ対策を繰り返していたのでは、また同じような過ちを繰り返すのではないでしょうか。もはや局内だけの対応では限界があります。
 この緊急事態を打破するためには、私は、各公営企業、知事部局の垣根を超えて、外部への通報制度を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、オリンピック・パラリンピック大会について伺います。
 オリンピックは盛り上がったが、整備した施設がその後活用されずにいるようでは、オリンピックの真の成功とはいえず、大会後も積極的に利用されるスポーツ施設としていくことが大変重要だと考えます。
 私は先月、二〇一四年ロンドン大会の競技会場の後利用について、現地調査をしてまいりました。カヌースラローム競技会場であるリーバレー・ホワイトウオーターセンターでは、施設運営の責任者から、ビジネスモデルを成立させるべく、計画段階から後利用まで一貫したプロジェクトとして考えることが重要であると強調をされていました。
 また、ボートやカヌースプリント競技が行われたイートンドーニーでは、大会終了後にパーティーなどの商業的なイベントを開催したり、企業の研修施設に利用することにより、収支の均衡を図っていました。
 このように、二〇二〇年大会で整備する施設は、大会後に負の遺産とならないよう、収益性も分析、検証し、都民が長期にわたって利用できる施設としていくべきであります。
 都は、民間企業からの後利用提案を募集していますが、その後の道筋が見えません。提案を受けた後に有効に生かすことが重要と考えますが、見解を伺います。
 また、ロンドン大会の関係者の方々は、私たちも過去のオリンピックからさまざまなことを学んだ、そのノウハウを東京オリンピックに生かしてもらいたいと述べていました。
 多くの企業や団体も開催都市との交流があります。個々のノウハウを皆で共有できるような相互交流の仕組みなどがあれば、都だけでなく、企業や団体の知識や経験、人脈を広く生かすことができると考えますが、見解を伺います。
 ロンドン大会から学ぶことは重要ですが、学べないこともあります。その一つが防災であります。震度三ほどで大ニュースとなるロンドンと地震大国の日本では、根本的に防災に対する意識が異なります。東日本大震災以降、海外からも、日本、東京の防災の取り組みは注目を集めています。
 万一、オリンピック大会開催中に不測の事態が起こり、その対応が十分でなければ、世界にその模様は発信されることになります。万全の体制をアピールするためにも、発災時の競技会場や選手村など、施設ごとの避難計画も考えていかなければなりません。
 また、大会前から、多くの人が東京を訪れることが予想される中、現在の地域防災計画だけでなく、例えば時限的な防災計画を策定するなど、大会前からの特別な対策も必要と考えますが、見解を伺います。
 東日本大震災では、日本人のマナーのすばらしさが世界に評価されました。暴動になることもなく、支給される物資受け取りに整然と列をつくる様子、物資が散乱していても誰も持ち出すこともなく、むしろ律儀に並べる様子、帰宅困難となった方々が駅の階段に座るも、自然と通り道ができる様子、こうした思いやり、おもてなしの精神は、世界で評価されています。私は改めて日本を誇りに思いました。
 しかし、東京で、残念ながら世界に誇れないマナーがあります。それは、自転車のマナーであります。自転車対策は、都議会でも幾度となく議論をされてきましたが、根本的な解決には至っておりません。
 ニューヨークやロンドンでは、シティーバイクというシェア自転車の活用が進んでおります。私は、実際にシティーバイクでまちを走り、現地の方の話も聞いてまいりました。自転車によって便利になった反面、事故は当然のようにふえ、決してそのマナーがすぐれているとはいえないようでした。ただし、彼らは歩道を猛スピードで走るということはありません。
 一方、東京では、猛スピードで歩道を走る危険な自転車運転者を目撃することは珍しくなく、歩行者保護の観点に立つと、歩行者がもはや安心して歩行できる状況ではないのです。
 オリンピック・パラリンピック大会を控え、海外から多くの方が日本を訪れるようになります。日本人のマナーはすばらしいと思っていた彼らにとって、こうした危険な自転車マナーの悪さは、衝撃的に映るのではないでしょうか。
 自転車マナーの向上は急務であると考えます。まず、学校における交通安全教育を一層充実させる必要があると思いますが、都教育委員会の取り組みについて伺います。
 長期ビジョンの中間まとめでは、自転車推奨ルートの整備とあわせ、自転車走行空間を倍増することやシェアサイクルなど、ハード面での記載が目立ちます。私は、マナーの向上といったソフト面についての取り組みをこれまで以上に進めなければ、自転車に絡む事件や事故など、新たな社会問題もふやしかねないのではないかと思います。
 自転車対策について、都市整備、インフラ整備というハード面だけでなく、ソフト面についての取り組みも重要と考えますが、具体的な取り組みを伺い、さらに、長期ビジョンに重要課題と位置づける必要があると考えますが、あわせて見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 西沢けいた議員の一般質問にお答えします。
 東京都の公金の運用についてでありますが、都の公金運用はこれまで、国内金融機関での預金と国債などの国内債券を対象としておりまして、日銀の大規模な金融緩和などもあって、近年、運用利回りは低水準になっております。
 そうした中、資金の性質は異なりますが、公的な年金資金を取り扱うGPIFは、年金制度の維持に必要な収益を確保するために、年金資金運用に係る新たな基本ポートフォリオを発表しております。
 東京都の公金運用においても、より多くの利回りを得られるよう、取引金融機関や運用商品の対象を拡大、多様化し、効率的な運用に取り組んでいく必要がございます。
 一方、地方自治法においては、公金は安全確実な運用が義務づけられておりまして、長期的な運用の年金とは異なり、株式運用が現行法に抵触するとされていることも十分承知をしております。
 こうした状況等を踏まえまして、この十月から、金融分野の専門家等で構成する資金管理・活用アドバイザリーボードを創設いたしました。
 今後、このアドバイザリーボードにおける専門的な検討を踏まえ、公金の安全性を確保した上で、運用の多様化、効率化や、官民連携ファンドの積極的な展開など、東京の金融活性化全般につながる取り組みを進めてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 自転車マナー向上等の交通安全教育についてでありますが、都教育委員会は、自転車マナー等の指導事例を掲載した安全教育プログラムを都内公立学校全教員に配布して、学校における活用を促進しております。
 このプログラムを踏まえ、各学校は、自転車利用時の車道、歩道の走行方法や、音楽を聞きながらの運転の禁止などルールやマナーを指導しております。
 また、都及び区市町村教育委員会は、スタントマンによる事故の再現など、児童生徒にルールの重要性を実感させる取り組みを行っております。さらに、都教育委員会として、各学校から悉皆で教員が参加する講習会を実施し、交通安全に関する指導力向上を図っております。
 今後も、こうした取り組みにより、児童生徒が自転車マナーを向上できるよう、交通安全教育を推進してまいります。
   〔水道局長吉田永君登壇〕

〇水道局長(吉田永君) 水道局における情報漏えい事件についてでありますが、今回の事件は、契約にかかわる制度の運用のほか、職員の情報保持意識の弛緩、職場における情報管理、チェック体制のすきが主な背景となっており、さらに、二年前に続く不祥事であることに鑑み、局全体で厳粛に受けとめ、再発防止に向けた取り組みを徹底することといたしました。
 具体的には、システム変更による最低制限価格情報の管理徹底など契約に関する制度、運用上の改善、利害関係者との接触指針の見直しなど職場におけるチェック体制の強化、さらには、職員の汚職等防止意識の浸透、定着化を確かなものとするなど組織風土全般にわたる改革を推し進めることといたしました。
 今後、都民の信頼回復に向けて、これらの防止策に、局一丸となって全力で取り組んでまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 外部への通報制度の強化についてでございます。
 公益通報は、汚職等の未然防止や組織の自浄作用の発揮を目的として、職員が法令違反等の疑いのある行為を発見した場合に、所定の窓口に通報する制度でございます。
 都では、総務局や各事業局等の窓口に加え、外部の東京都人材支援事業団にも窓口を設け、通報先にかかわらず、その内容に応じて関係局が事実調査を行い、通報者への報告も含め、必要な措置を講じております。
 通報に当たりましては、通報者保護の観点から、氏名を名乗ることを原則としていますが、職員が実名での通報に不安を感じる場合は、匿名での相談等が可能なサポートダイヤルも設置するなど、きめ細かな体制を整えております。
 今後とも、こうした通報制度も適切に活用しながら、汚職等の再発防止に万全を期してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、民間企業からの後利用提案の活用についてでありますが、都が整備する新規恒久施設は、大会後も末永く後世に残していく施設であり、都民、国民の貴重な財産として有効活用していく必要がございます。
 そこで都は、施設運営やイベント、物販飲食等の収益事業を行った実績や経験のある民間事業者を対象といたしまして、大会後の利活用の促進や採算性の向上などに資する創意工夫ある提案を現在募集しております。
 提案されました民間の知恵やノウハウは、知事をトップとするレガシー委員会のもとに設置されましたアドバイザリー会議で議論し、すぐれた提案につきましては、今後の後利用の検討や設計等に反映させてまいります。
 次に、大会開催に関するノウハウの共有についてでありますが、本年十月、知事はロンドンを訪問し、競技施設の活用状況などを視察するとともに、ロンドン市長を初め、多くの関係者と競技施設のレガシーなどについて意見交換を行いました。職員も、必要に応じロンドンを訪問し、大会後の利活用の現状や課題などについて施設運営者から直接ヒアリングを行っております。
 また、先ほど答弁いたしましたアドバイザリー会議におきましても、民間企業や学識経験者を交え、ロンドンを初めとする過去大会の事例報告や意見交換を行うなど、外部の知識や経験を生かす取り組みを進めております。
 今後とも、大会開催に関する情報交換を適時適切に行い、そのノウハウは二〇二〇年大会に生かしてまいります。
 最後に、大会に向けた地震対策についてでありますが、都は、大会開催も見据え、スピード感を持って東京全体にわたる防災対策を進めるため、二〇二〇年に向けて必要となる自助、共助、公助の取り組みを具体的に示す東京の防災プランを現在策定中であります。
 大会時におきましては、世界中から東京を訪れる多くのアスリートや大会関係者、観客の安全を確保するために、地震に対する万全の備えが必要でございます。
 そのため、競技会場など大会関係施設につきましては、建物の耐震化などの対策を講じるほか、施設ごとの避難計画を策定してまいります。
 今後とも、関係各局や大会組織委員会と連携し、大会運営に万全を期してまいります。
〔青少年・治安対策本部長河合潔君登壇〕

〇青少年・治安対策本部長(河合潔君) 自転車対策のソフト面の具体的取り組みについてでございます。
 自転車が都市における交通手段として、より一層活用されるためには、利用者自身が交通ルール、マナーを習得、実践し、安全に利用することが重要であります。
 そこで、都は、本年一月、東京都自転車安全利用推進計画を策定し、行政や自転車利用者だけでなく、事業者等も含めた自転車の安全利用に向けた社会全体の具体的な取り組みを明らかにしました。
 都は、この計画に基づき、以前から実施しております自転車安全教室の開催などに加え、事業者による従業員研修を支援する教材の提供や講習会の実施など、新たな取り組みを展開しております。
 今後も、引き続きこうした取り組みを充実させ、自転車利用者のルール、マナーの周知徹底を図ってまいります。
   〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕

〇政策企画局長(川澄俊文君) 自転車対策に関する長期ビジョンへの位置づけについてでございますが、長期ビジョンの中間報告では、自転車の活用について、誰もが円滑かつ快適に利用できる総合的な交通体系の構築という政策指針の中に位置づけ、人や環境に優しい交通の実現のための政策として取り組みの方向性を示しております。
 なお、長期ビジョンの最終報告につきましては、都民や区市町村からの意見などを踏まえ、年内の公表に向けて策定作業を進めているところでございます。

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