〇議長(高島なおき君) 百一番尾崎大介君。
〔百一番尾崎大介君登壇〕
〇百一番(尾崎大介君) 先日、名誉都民である西山鴻月さんと松本源之助さんがご逝去をされました。心よりご冥福をお祈りいたします。
私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
まず、東京オリンピック・パラリンピックについて伺います。
十月、舛添知事はロンドンを訪れ、オリンピック競技会場の視察をされました。私たち都議会民主党も、小山都議、西沢都議がロンドン大会の恒久施設を回り、後利用の状況等を視察してまいりました。
どの施設でも担当者が口をそろえて述べていたのは、大会終了後のビジネスモデルをしっかりと確認した上で設計を行うこと、設計を行う前に後利用を行う責任者がかかわっていくことが、末永くレガシーとして残すために重要であるとの言葉でありました。
知事は施設計画の見直しを発表され、レガシー委員会を設置し検討を行っております。
そこで、ロンドン視察を踏まえ、大会終了後のビジネスモデルも含めた会場整備とすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、感染症対策について伺います。
先月、墨東、駒込、荏原病院においてエボラ出血熱対応訓練が行われました。後日、厚生労働大臣が国立感染症研究所を訪れ、地元市長と、患者が発生した場合の協議を行いました。
感染症対策は、国が第一義的責任を持って万全の安全対策を講じるものでありますが、一たび都内で感染者が確認をされれば、都内の保健所や医療関係者が対応をすることとなります。
西アフリカへの渡航後一カ月以内の都民が発熱をし、渡航歴を告げずに地域の医療機関を直接受診することや、発症者などが都内の感染症指定医療機関の入院可能人数を超える、または長期化するなど、想定し得るあらゆる事態に備えるとともに、都民の不安を払拭していくべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
次に、結核対策であります。空気感染症への備えも怠ってはなりません。
例えば、結核は昔の病気と思われているかもしれませんが、昨年、国内でインフルエンザの死亡者数を超える二千八十七名が亡くなっており、年間二万人以上が発病をしております。日本は欧米先進国に比べ、まだまだ結核にかかる確率が高くなっております。
結核は都市部での若年者の罹患率が高く、免疫力が低下をした高齢者においては、重症化する危険はより高く、適切な対応が求められます。
都民に結核の知識を伝え、早期発見、予防を心がけるとともに、特に高齢者施設の管理者等に対する啓発が重要と考えますが、見解を伺います。
次に、土砂災害対策についてお伺いいたします。
近年、東京では台風などによる集中豪雨が頻発し、土砂崩れや土石流による被害が発生をしております。先日、大規模土砂災害の追悼式が行われた大島町の復興も道半ばであり、このような災害から都民の生命、財産を守る土砂災害対策の推進は喫緊の課題であります。
都内には、土砂災害のおそれがある箇所が一万五千カ所も想定されており、土砂災害警戒区域の指定率は約四七%となっております。土砂災害対策法が改正され、土砂災害警戒区域等の指定に先立つ基礎調査結果の公表が都道府県知事に義務づけをされました。
今回の補正予算では調査に係る予算が計上されており、前倒ししようという点で評価をいたします。しかし、建てかえや追加工事への助成などの財政負担の問題、課題への対策もあわせて強化をし推進する必要があります。
そこで、土砂災害対策のスピードアップに向けた東京都の見解をお伺いいたします。
避難所は、災害時、最も安全でなければならない建物の一つです。指定区域内に存在をしたり、避難経路の近くに指定区域がある、あるいは土砂災害のおそれのある場所に存在をするなど、土砂災害に対する安全性が確保、確認をされていない避難所等については安全対策を急ぐ必要があります。
避難所や避難経路の確保などについて、主たる役割を果たすのは基礎的自治体でありますが、東京都としても積極的に支援をすべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、救急医療についてお伺いいたします。
この間、私たち都議会民主党は救急医療対策の充実を求め、特に、全国でも最悪の救急搬送時間の短縮について言及をしてまいりました。
しかし、救急搬送時間は平成十九年の四十六・二分から年々延び続け、平成二十五年には五十一・七分となっています。このうち、救急車が現場に到着するまでの平均時間が七・九分、現場到着から出発までに二十二・二分、現場を出発してから病院に着くまで十・三分となっており、あらゆる手段を講じてこれらの時間を短縮していく必要があります。
ことしの予算議会において、私はシャープ七一一九、救急相談センター事業の拡充及び質の向上についても質問しましたが、こうした取り組みに加えて、これまで以上に救急車両を増車するとともに、救急救命士を初めとする人員の確保、さらには医療機関との連携強化に取り組んでいくべきと考えております。
救急搬送時間の短縮に向けた取り組みについて、消防総監の見解を伺います。
特に、救急隊が現場に到着をしてから病院に向けて出発するまでにかかる二十二・二分の間には、搬送先の病院探しなどが行われており、苦しむ患者の傍らで家族もつらい思いをしております。このような現状に対しては、救急の受け入れ体制強化について引き続き取り組むことが必要です。
救急患者のうち、入院を要する中等症及び重症の救急患者に対応する二次救急医療体制について、東京都は、医療機関の空床を確保する休日・全夜間診療事業によって一定の成果を上げてきました。しかし、平成二十五年五月の救急医療対策協議会報告を受け、これまでの確保病床の考え方を二段階から四段階に変更するとともに、救急車の受け入れ実績以外にも、医療機関の努力を評価することとしております。
この新制度は来年一月から実施をされる予定ですが、こうした取り組みに加え、協議会報告では、急性期の治療を終えた患者さんの転院先確保など、救急医療における医療、福祉の連携強化なども指摘されておりました。
私は、このような視点を含めて取り組みを進めることで、救急患者の受け入れ促進に取り組んでいくべきと考えますが、二次救急医療体制の強化充実に向け、見解を伺います。
看護職員の定着、資質向上は救急医療を支える上で欠かせませんが、一方で、救急医療を初めとする都内の医療を担う各医療機関の経営は厳しい状況にあります。
人員不足や長時間勤務、夜勤、そして残業、救急など高い技術を必要とする分野の教育、訓練体制など多くの課題があるため、常勤看護師の離職率は東京が一四・二%と最も高く、医療機関は人材定着、確保策に多くの労力を割かざるを得ません。病院の医療機能を維持するには、看護師の定着推進や新たな雇用、救急看護技術の向上に取り組む必要があります。
救急医療などを担う看護職員の定着、資質向上支援など、確保対策をさらに推進すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、災害医療について伺います。
首都直下地震発生時には、多数の負傷者が災害拠点病院等の医療機関に運ばれ、各病院は、入院患者対応もあわせて、発災から七十二時間までの超急性期に治療、収容に当たっていかねばなりません。医療機関では、通信やライフライン、医薬品、食料、飲料水等の確保を確実に行う必要があり、災害医療コーディネーターなどが診療を継続できるようにバックアップをしますが、傷病者が多数発生し、軽症者が病院に殺到する状況への対応は困難をきわめるのではないかと考えます。
災害医療体制を充実させていくため、災害拠点病院等の院内備蓄に対する支援に取り組む必要があると考えますが、東京都の見解を伺います。
備蓄した物資を用いて診療を続けるためには、建物が診療機能を保っていなければなりません。災害拠点病院は、診療機能を有する建物が耐震、耐火構造であることが要件となっており、その他の医療機関も耐震診断や耐震化を推進しております。東京都は、医療施設耐震化緊急対策事業を行っておりますが、引き続き病院の耐震化一〇〇%を目指していくことはもとより、免震化も必要と考えます。
都内病院の耐震化や免震構造への建てかえを今後も支援をすべきと考えますが、見解を伺います。
次に、社会的支援が必要な子供たちについて伺います。
子供の死因究明制度、チャイルドデスレビューについてでありますが、全国で児童虐待による死亡事例が相次いでおります。アメリカやイギリスでは、子供の死亡症例を対象にチャイルドデスレビューが行われており、死因解明や見過ごされがちな虐待事案を掘り起こし、死亡数の減少に役立てております。
日本国内では、神奈川県が独自に子供の全死亡症例の調査を行っております。都内でも、東京都と研究班が平成二十四年から二十六年に子供の死因調査を実施しており、症例を検証した医師は、全ての死因を調べると共通した問題が見えてくる、チャイルドデスレビューが必要だと述べておりました。
そこで、小さな命が失われる悲劇を一つでも多く防ぐため、チャイルドデスレビューの制度を構築すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、支援を要する家庭の早期発見と支援であります。
周産期にある女性は、産前不安への対処や体調管理の面で検診や産前支援を受けることができますが、私は、特にメンタルヘルスのリスクの高いケースに対する支援が重要であると考えております。
例えば、世田谷区では、周産期にかかわる産科医や助産師、保健師、小児科医、そして精神科医などが集まって症例検討会を行い、顔の見える連携体制の構築に向けて取り組んでおります。
私は、このようにメンタルヘルスのリスクの高いケースに母子保健関係者が連携してかかわることで、虐待の危険性などが疑われるハイリスク層への移行を予防する取り組みを強化すべきと考えます。
メンタルヘルスのリスクの高い母親など支援を要する家庭の早期発見と支援の取り組みに向け、見解をお伺いいたします。
次に、乳児院支援であります。
乳児院では、近年、養育環境を原因とする乳幼児の受け入れがふえ、乳幼児突然死症候群につながるようなハイリスク児、また、泣きやまないなどの理由から激しく揺さぶられ、視力低下や脳に損傷が残った障害児も多く入所をしております。こうしたことから、乳児院では医療支援や心のケアがますます重要となっております。
また、乳児院関係者からは、流行しつつあるRSウイルスによる呼吸器感染症への対策を求める声もあります。
乳児院における医療支援をさらに進めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、家庭養護の推進であります。
国は、社会的支援が必要な子供たちに、できるだけ家庭環境での愛着関係がある養育が行われるよう、平成二十三年に策定した社会的養護の課題と将来像において、里親等への委託率を三分の一とすることを目標にしております。
しかし、今のところ、都内の養育家庭の登録数や委託児童数は伸び悩んでおり、委託率は一〇・五%で、里親等委託三分の一の達成のためにはさらなる取り組みが必要と考えます。里親が子供を育てる熱い思いを持ち続けられるよう、民間などの里親支援機関による支援の充実や、児童相談所においては、養育家庭担当者や専門員が里親との連携をさらに図り、不調事例を検証していく必要があります。
今後、都は、社会的養護の課題と将来像で掲げられた目標の実現に向け、積極的に家庭養護への支援を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、社会的養護の下にある子供の学習支援であります。
さまざまな困難を抱えて児童養護施設に入所をしている子供たちに対し、職員や学生ボランティアにより学習支援が行われております。
しかし、東京都の児童養護施設に在籍、退所した子供たちの高校進学率は九四・三%と高くなりましたが、高校卒業後の進路は一般の生徒に比べて大学進学率は一九・八%と低く、就職が五四・七%と多くなっております。
子供本人の関心に応じた進路を選択し社会へのスタートが切れるよう、施設退所後の自立支援につながる学習支援を行うべきであります。
学びの機会を十分に得られるよう、児童養護施設等に入所している子供たちへの学習支援を充実させるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、都立高校中途退学者への対策です。
私も以前から注目をしてきましたが、毎年、全日制や定時制などの都立高校では三千人を超える中途退学者がおります。都の中途退学者への調査によると、回答者の七割が非正規就労の状態にあり、中途退学は、フリーターや若年無業者などの社会的弱者に至るリスクが高いと考えられます。
中途退学に至る理由には一人一人さまざまな背景、理由があり、中途退学に至る前にそれぞれが抱える悩みに適切に対応し、学業の継続、あるいは進路変更などの指導を行って、社会的孤立に陥らないように対応をすべきであります。
そこで、都立高校において中途退学を生まないため、また、退学してしまったときの対応を含め、きめ細かく支援をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、雇用について伺います。
まずは正規雇用への転換です。
国内雇用者の雇用形態は、二〇一二年に男性の非正規従業員の構成割合が一九・八%、女性で五四・六%となり、非正規雇用者率がさらに高まりました。また、この二年間に非正規従業員が百二十三万人の増、正規社員は二十二万人の減と格差はますます拡大をする一方であります。
舛添知事も、働く人の三分の一が非正規という状況は尋常でないとの強い問題意識を持っているように、雇用の安定は生活の不安を希望に変えるための最も基本的な施策であります。
不本意に非正規雇用で働いている人たちの正規雇用への転換支援に取り組むなど、都民生活の安定に資するべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、新たな労働法制度の周知です。
ことし四月にパートタイム労働法が改正され、平成二十七年四月からは、各企業がパートの待遇を決定するとき、正社員と比較して職務の内容や人材活用の仕組みが同一であれば、正社員との差別的取り扱いが禁止をされます。ボーナスなどの手当が正社員のみに出て、パートには出ない状況ならば、待遇の見直しを求めることができます。
一時間当たりの給与所得の格差は、男性従業員の給与水準を一〇〇とした場合、男性パート労働者は五五・二、女性パート労働者は五〇・五となっており、明らかに均等待遇とはいえない現状が見てとれることから、同一価値労働同一賃金を強く推進する必要があると考えます。
都は、パートタイム労働者の待遇を確保する法改正内容を積極的に周知をするべきと考えますが、見解を伺います。
次に、長時間労働是正と仕事、介護の両立です。
二〇〇〇年の調査で、一週間当たり五十時間以上働く労働者の割合は、日本は二八・一%に対して、アメリカが二〇%、イギリスが一五・五%、ドイツが五・三%で、日本社会が長時間労働によって成り立っている状況が見てとれます。都の懇談会でも、男女ともに長時間労働が進んでいることが問題となっているなど、ワークライフバランスの推進が重要となっております。
高齢化が進む日本においては、親の介護により、仕事をやめざるを得ない介護離職も問題となっており、長時間労働の是正など仕事と介護の両立を図るワークライフバランスの取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。
次に、環境エネルギー対策について伺います。
知事の所信表明で、新たな省エネ目標と実現に向けた知事の決意が示され、東京都においてもより一層の取り組みが進むことと期待をしております。
これを実現していくためには、着実な取り組みが必要となります。エネルギー消費量がふえている家庭部門での省エネを一層推進するためには、東日本大震災を契機とした賢い省エネ、節電の取り組みの一層の強化に加え、欧州で効果を上げている住宅エネルギーパスのように住宅性能を上げる取り組みも重要であります。
また、業務部門では、業種や事業規模ごとにさまざまな課題を抱える中、トップランナー機器の導入拡大、BEMS、デマンドコントローラーなどの管理制御システムの普及も必要となっており、従来以上の導入促進が強く期待をされております。
再生可能エネルギーの導入拡大を進める上では、従来のエネルギー消費を前提とするのではなく、省エネルギーへの力強い取り組みが欠かせません。
今後、家庭や事業所における省エネルギーへの取り組みを一層拡充する必要があると考えますが、見解を伺います。
再生可能エネルギーの導入については、原子力発電依存度の低減、エネルギー自給率の向上、CO2排出削減などの観点から、より一層強力に取り組む必要があります。
私は、去る五月にドイツのシェーナウ市を訪問いたしました。市民電力会社が発送電を行ったり、歴史ある教会にもソーラーパネルが設置をされているなど、国民が再生可能エネルギーを選択する機運、意識の高さを感じました。
一方、都内では新築戸建て住宅の一〇%程度に太陽光発電が導入されていますが、既存戸建て住宅では〇・五%程度にとどまっております。今後は、都内に大量にストックのある既存住宅への導入拡大や駐車場の上部空間等未利用スペースの活用など、東京ならではの取り組みを推進し、電力の大消費地の責任を果たすことが必要となっております。
再生可能エネルギーの拡大に向けて取り組みを一層推進することを求めるものですが、東京都は今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
都議会民主党は、大分県が取り組む次世代エネルギーパークを先日視察いたしました。現地では、県が主導し、官民連携の産業振興策として、豊富な森林資源や地熱を活用した発電、水分の多い生ごみを全て発酵、ガス化発電して焼却炉や埋立処分場の延命化を図り、さらに売電収入を得る日田市の取り組みなど、地域特性を生かし、なおかつ地域の課題解決や活性化につながる取り組みが盛んに行われておりました。
予算特別委員会でも取り上げましたが、バイオマス資源の活用は、地域特性を生かすとともに、地域の課題解決、地域活性化につなげるものとして、区市町村と連携し、一層推進していく必要があります。
バイオマス資源の活用に一層取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
最後に、燃料電池車の普及促進に関する補正予算、これについてお伺いしますが、資源の乏しい日本のエネルギー安全保障、低炭素化、技術、産業育成につながる一歩としての予算であると評価をしております。
水素社会の実現に向けた東京戦略会議の中間まとめにおいても、五つの課題が示されました。水素のサプライチェーンの整備、生成過程の環境負荷低減は事の成否に係る重要な課題でありますが、具体的な取り組みはまだ見えておりません。
燃料電池車は走行時には水しか出しませんが、現在安定供給が可能な方法では、水素の生成過程で多くの化石燃料を消費しております。水素を日常の生活や産業活動で利活用する水素社会の実現には、技術、コスト、インフラ、そして制度の各分野にいまだ多く存在する課題を一つ一つクリアする必要があります。
環境先進都市東京の実現を目指し、水素社会実現に取り組むべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
以上で都議会民主党を代表しての質問を終わります。
ご清聴どうもありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
〇知事(舛添要一君) 尾崎大介議員の代表質問にお答えいたします。
ロンドン視察を踏まえた会場整備についてでありますが、競技施設の建設に当たって最も重要なことは、都民共通の財産として真に価値のあるレガシーをいかに残していくかということであります。
今回視察しましたロンドンでは、例えば、水泳会場のアクアティクスセンターやハンドボール会場のカッパーボックスについて、競技スポーツだけではなく、地域の市民による利用やイベントの開催など多目的な活用を進めており、収益確保にもつながるように工夫されておりました。
新規に整備する競技施設を将来にわたって効果的、効率的に運営していくためには、広く外部の意見を求めるなど、さまざまな知恵を結集する必要があります。
そこで、民間から後利用提案を募集するとともに、地元自治体の意見も参考にするなど、幅広い視点から検討を進めております。
今後、レガシー委員会においてさらに検討を加え、競技施設が大会後も都民、国民に末永く親しまれ活用されるものとして残るよう、施設整備を着実に進め、東京のさらなる発展につなげてまいります。
エボラ出血熱対策についてでありますが、エボラ出血熱は空気感染はせず、血液などの体液等に直接触れた際に感染するものでありまして、また、発症するまでの感染リスクは極めて低く、通常の生活で感染が広がるリスクも低いものであります。
感染症対策は、それぞれの感染症が持つリスクを正しく知り、正しく恐れながら冷静に対応することが重要であります。
現在、国におきましては、水際対策を強化し、流行国からの全ての入国者及び帰国者を健康監視の対象とし、対象者が発熱した場合には、地域の医療機関を受診せず、保健所の指示を受けるように徹底しております。
都においても、患者発生に備え、連絡会議を立ち上げるとともに、患者を受け入れる都の指定医療機関では専用車両を用いた実践的な訓練を実施いたしました。
こうした訓練の検証や、十一月七日の疑似症患者の発生事例を踏まえ、新たに東京都エボラ出血熱対応マニュアルも作成いたしました。
エボラ出血熱が万が一国内で発生しても、我が国の関係者が一丸となって対応すれば、必ず封じ込めることはできると思います。
今後とも、都は、エボラ出血熱に関する正確な情報を都民に正しく理解していただけるよう、さまざまな広報媒体を通じて都民に周知し、不安の払拭に努めるとともに、関係機関との連携を一層強化し、対策に万全を期してまいります。
最後に、水素社会の実現に向けた取り組みについてでありますが、水素エネルギーの普及を図り、日本のエネルギー構造の変革につなげるとともに、環境と調和した未来型都市の姿を東京から世界に発信していくことは極めて重要であると思います。
このため、最先端の技術開発に取り組んでいる民間企業や有識者の方々を委員とする戦略会議において、水素の本格的な利活用に向けたインフラ整備や安定的な燃料供給などの課題も踏まえて、さまざまな議論を重ねてまいりました。
今般、この戦略会議において、燃料電池車の普及や水素ステーション整備を初め、家庭用や業務用への利用の普及や再生可能エネルギー由来の水素の先導的導入なども含めた総合的な戦略も取りまとめたところでありまして、これらを長期ビジョンに反映させてまいります。
都独自の導入促進策を盛り込みました補正予算案も、本定例会に提出しております。
今後、官民一体となって取り組みを加速させ、水素社会の実現に向けて我が国を牽引してまいります。
そのほかの質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁させます。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 都立高校の中途退学への対策についてでありますが、都教育委員会はこれまで、生徒の多様なニーズに対応した新たなタイプの高校を設置するとともに、各学校では、相談体制や生活指導の充実、教育内容の改善などに取り組んできており、その結果、中途退学者は十年前と比べて四割減少しております。
さらに、いまだ中途退学者の多い高校を対象として、若者支援に実績のあるNPOと連携し、退学のおそれのある生徒や退学した者と面談をして進路支援を行うモデル事業を昨年度から実施し、就労、再就学などに結びつけてきました。
今後とも、各学校で生徒の実態に応じた生活指導や個別の相談をきめ細かく実施いたしますとともに、中途退学した場合でも社会的に自立できるよう、関係各局や東京労働局等と連携し、支援策を検討してまいります。
〔東京都技監横溝良一君登壇〕
〇東京都技監(横溝良一君) 土砂災害対策のスピードアップについてでございますが、全国で土石流などが頻発する中、都民を守るためには、砂防堰堤などの着実な整備に加え、危険箇所を周知し円滑な避難を促すソフト対策を一層推進することが必要でございます。
都はこれまでも、危険箇所の多い地域から、急斜面での測量や土質工学的観点からの解析など、きめ細かく基礎調査を実施し、土砂災害警戒区域等を指定してまいりました。
今後は、残る約五千カ所の調査につきましてスピードアップを図り、当初予定の五年を二年前倒しして平成二十九年度までの三年間で実施し、調査が終了した地域から直ちに結果を公表してまいります。これによりまして、区市町村によるハザードマップの作成など、警戒避難体制の早期整備を図ってまいります。
また、土砂災害特別警戒区域における住宅建てかえ助成につきましては、引き続き国に財政上の支援について充実するよう要望してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
〇福祉保健局長(梶原洋君) 十点のご質問にお答えします。
まず、結核対策についてでありますが、都は、平成二十四年に改定した東京都結核予防推進プラン二〇一二の三つの戦略の第一に予防対策の徹底を位置づけており、ポスター、ホームページ、講演会等を通じて、都民に対して結核に関する正しい知識を伝え、症状に気づいたときには早期に受診するよう啓発活動を行っております。また、早期診断のために、医師会や医療機関に対しても情報提供や研修を実施しております。
さらに、高齢者を対策の重点対象者に位置づけ、高齢者施設の管理者に対しては、患者の早期発見や施設内の感染対策に関する研修を実施しております。
都においては、今なお多くの結核患者が発生しており、今後とも、さまざまな啓発活動を展開し、結核患者のさらなる減少に努めてまいります。
次に、二次救急医療体制の強化についてでありますが、都は、医療機関に救急患者を迅速に搬送するため、搬送先の選定が困難な患者の受け入れ調整等を行う地域救急医療センターの設置を二次保健医療圏ごとに進めており、現在、八十六カ所の医療機関を指定しております。
また、救急搬送患者の医療機関への受け入れを促進するため、休日・全夜間診療事業を、救急搬送受け入れ実績や救急隊の要請に対する受け入れ率等を評価する仕組みに再構築し、来年一月から実施することとしております。
さらに、急性期を脱した患者が円滑に退院できるよう、今年度から新たに、二百床未満の指定二次救急医療機関に対して退院支援等を行う看護師等の配置を進めており、今後とも、二次救急医療体制の強化に努めてまいります。
次に、看護職員の確保対策についてでありますが、都は、看護職員の定着を促進するため、二次医療圏ごとに就業協力員を配置し、協力員が、職員の確保が困難な中小病院を対象に、離職防止に向けた勤務環境の改善や教育体制の充実について助言を行っております。
また、医療機関における新人職員の研修体制の整備を支援しており、今年度は、地域救急医療センター職員の救急看護等認定看護師の資格取得支援も開始いたしました。
再就業の促進に向けましては、東京都ナースプラザにおける無料職業紹介や就職相談会などを行っており、身近な地域の病院で平成十九年度から実施している復職支援研修では、これまでに二千人以上が受講し、受講者の半数以上が再就業につながっております。
今後とも、こうした取り組みにより、看護職員の確保対策を推進してまいります。
次に、災害時の医療体制についてでありますが、都は、災害時の医療を確保するため、災害拠点病院に対し三日分程度の食料、飲料水、医薬品等の備蓄や自家発電機の保有と燃料の確保を求めており、応急用医薬品や資器材の備蓄、ポータブル発電機や浄水セット等の整備には財政支援も行っております。
また、都の備蓄倉庫や都立学校等において、約二十五万人の傷病者に対応する医薬品や応急用資器材を備蓄するとともに、東京医薬品卸業協会等と医薬品等の調達に関する協定を結んでおり、発災後、医療機関で医薬品等が不足した場合には、災害医療コーディネーターが調整し、迅速かつ的確に配分することとしております。
今後とも、こうした取り組みにより、災害発生時の医療体制を確保してまいります。
次に、病院の耐震化への支援についてでありますが、都はこれまで、医療機関が大規模災害時においても継続的に医療を提供できるよう、国制度に加え、都独自の支援策により災害拠点病院や指定二次救急医療機関などの免震化を含む耐震化を促進してまいりました。
また、平成二十三年度から、東日本大震災の教訓も踏まえ、都事業の補助対象を都内全ての病院に拡大しており、その結果、平成二十五年八月時点で、都内の八五%の病院で耐震化に取り組んでおります。
今年度からは、国庫補助制度を活用し、一棟の延べ床面積が五千平方メートル以上の病院の耐震化を重点的、緊急的に促進する補助も行っており、今後とも、病院の耐震化を促進し、災害時の医療提供体制の強化を図ってまいります。
次に、チャイルドデスレビューについてでありますが、都は、平成二十四年から二十六年にかけて、平成二十三年に都内で発生したゼロ歳から四歳までの乳幼児の死亡症例をもとに、国の研究班と共同で死因調査を行いました。
この調査は、我が国におけるチャイルドデスレビューに関する研究の一環として行われたものであり、小児科学会や法医学会等からも制度の構築に向けた提言や要望が出されております。しかし、その実現のためには、情報保護に関する法的な整備や人材を養成するための教育システムの確立など、多くの課題がございます。
国は、本年六月に閣議決定された死因究明等推進計画を踏まえ、小児の死亡時の画像診断情報を収集、分析するモデル事業を開始したところであり、都としては、国の動向を注視してまいります。
次に、要支援家庭の早期発見と支援についてでありますが、区市町村では、援助や見守りが必要な要支援家庭を早期に発見し、適切な支援につなげることができるよう、母子健康手帳の交付や乳児家庭全戸訪問、乳児健診などを行う際に、保健師等が母親の精神面や身体の状況を含め子育て家庭の状況把握に努めております。
その中で、要支援家庭を把握した場合には、健診に携わった保健師等が中心となって、医師等も含めた検討会で支援方針を検討し、保健所の個別指導や子供家庭支援センターの各種相談につなげるほか、精神面でリスクを抱えている母親の場合には、必要に応じて精神科への受診を促しております。
都は、今後とも、こうした要支援家庭を支援する区市町村の取り組みを包括補助により支援してまいります。
次に、乳児院における医療支援についてでありますが、乳児院では、病気や障害のある子供や発達におくれのある子供に対し、適切な医療の提供や理学療法士等による療育訓練を行うとともに、虐待等により心に深い傷を受けた子供に対しては、精神科医や心理職員が、カウンセリングや心理療法などの心理的ケアを実施しております。
こうした乳児院の取り組みを、都は独自の補助制度により支援しており、平成二十四年度からは、経管栄養など常時医療や看護が必要な子供の受け入れ体制を整備するため、看護師の増配置への支援も行っております。
今後とも、子供一人一人の心身や成長の状況に合わせて、きめ細かな医療やケアが提供されるよう、乳児院の取り組みを支援してまいります。
次に、家庭的養護の推進についてでありますが、都はこれまで、家庭的養護の担い手である養育家庭の登録数をふやすため、ホームページ等により制度を都民に広く周知するとともに、体験発表会などにより理解促進を図ってまいりました。
また、児童を委託している養育家庭に対して、児童相談所による家庭訪問などに加え、民間団体を活用した訪問支援や、養育家庭同士の交流促進など、きめ細かな支援を行っております。
本年十月には、東京都児童福祉審議会から、今後の東京都の社会的養護のあり方について、現在の課題や将来の姿を見据えながら、民間団体との連携強化による家庭的養護の推進など、具体的な提言をいただきました。この提言も踏まえながら、養育家庭を初めとする家庭的養護を推進してまいります。
最後に、児童養護施設における学習支援についてでありますが、児童養護施設においては、自習室の設置などの学習環境を整えるとともに、学校等と連携し、子供の状況に合わせた学習支援や進学支援を行っており、中学生については学習塾に通うことも支援しております。
また、都独自に、入所児童の自立支援や進学に向けた準備から、退所後の相談支援等を行う自立支援コーディネーターを児童養護施設に専任で配置するほか、大学や専修学校等に進学する際に必要な入学金や授業料への支援も行っております。
今後とも、社会的養護のもとで育つ子供たちの進学や社会的自立を支援するため、学習支援の取り組みを進めてまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
〇総務局長(中西充君) 安全な避難所等の確保についてでございますが、平成二十五年六月に改正された災害対策基本法において、避難所は、区市町村長が想定される災害の状況等を勘案して指定しなければならないとされ、政令ではその基準の一つとして、想定される災害による影響が比較的少ない場所にあるものであることと規定されました。
法改正も踏まえ、本年七月に修正いたしました都の地域防災計画では、避難所や避難路の指定を区市町村の役割と位置づけ、水害時や土砂災害にも安全な避難所及び避難路を指定することとしております。
都といたしましても、避難所等の安全確保は重要と考えており、今後とも、区市町村に対し説明会等を通じて、法改正の内容や都の地域防災計画の内容等を周知するなど、適切な取り組みを促してまいります。
〔消防総監大江秀敏君登壇〕
〇消防総監(大江秀敏君) 救急搬送時間の短縮に向けた取り組みについてでございますが、当庁では、救急相談センターの体制強化や東京版救急受診ガイドの周知に加え、救急車の適正利用の広報を推進してまいりました。
また、病院選定に時間を要する事案に対しましては、救急医療の東京ルールを活用し、円滑な救急搬送を行っております。
今後とも、医療機関を初め関係機関と緊密な連携を図るとともに、救急活動の効率化やさらなる体制の充実により、救急搬送時間の短縮に努めてまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕
〇産業労働局長(山本隆君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、非正規雇用についてでございますが、安定した仕事を望みながらも不本意な働き方をしている非正規雇用の方々への就職支援は重要でございます。
都は、正規雇用での就業を希望する若者に対して、派遣就労を通じて就職に結びつける紹介予定派遣制度を活用した事業や、セミナーと企業内実習を組み合わせたプログラムなどを実施しております。
また、非正規労働者の雇用環境改善に取り組む中小企業に対しては、専門家を派遣して支援を行っております。
今後も、社内での正社員転換の推進や、きめ細かな就職支援などの対策を国と連携して実施し、正規雇用を希望する方々の安定的な雇用の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
次に、新たな労働法制度の周知についてでございます。
来年四月から施行される改正パートタイム労働法では、正社員と差別的取り扱いが禁止される対象範囲の拡大や、待遇を相違させる場合は不合理なものであってはならないとする原則の規定などが追加されました。
都は、こうした法令の内容を、パート労働月間で集中的に開催するセミナーや相談会、また、普及啓発資料の作成、配布を通じまして、労使双方に広く周知しております。
これに加え、アドバイザーが各企業を訪問し、パートタイム労働者の雇用管理に関するさまざまな助言を行っており、この中でも改正法の普及啓発に取り組んでおります。
引き続き、こうした多様な取り組みを通じ、改正パートタイム労働法の内容を周知してまいります。
最後に、仕事と介護の両立についてでございますが、都が現在実施している都内中小企業の実態調査の中では、これまでに経済的な負担や離職への不安などの声が寄せられており、仕事と介護の両立が可能となる雇用環境の整備が重要な課題となっております。
都は、仕事と介護など家庭生活との両立について、長時間労働削減や介護休暇の充実等、すぐれた取り組みを進める中小企業を認定、公表し、社会的機運の醸成を図っております。
また、両立支援に取り組もうとする企業に対しましては、社内体制の整備に必要な経費の助成や、専門家派遣による助言などの支援を行っております。
引き続き、こうした取り組みを進めるとともに、調査で把握される実態を踏まえ、効果的な施策展開を図ってまいります。
〔環境局長長谷川明君登壇〕
〇環境局長(長谷川明君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、家庭や事業所における省エネルギーへの取り組みについてでございます。
東京はエネルギーの大消費地として、エネルギーの効率的な利用を一層進めながら、都市の持続的発展を目指していく必要があり、今般、都内のエネルギー消費量を、二〇三〇年までに二〇〇〇年対比三〇%削減するという新たな目標を設定することといたしました。
そこで、この目標の達成に向けて、大規模事業所に対するキャップ・アンド・トレード制度や、マンションの環境性能を示すラベリング制度、家庭の省エネアドバイザー制度など従来の取り組みに加え、既存住宅の省エネ性能の向上や、IT化の進展等に伴い増大する中小規模事業所のエネルギー消費量の低減を図るなど、家庭、事業所に対する取り組みの充実に努めてまいります。
次に、再生可能エネルギーの拡大についてでございます。
東京は、電力の大消費地として、電力需給の安定を図るとともに、気候変動対策にも資する再生可能エネルギーの導入拡大を進めていくことが重要でございます。
このため、都として、東京の消費電力に占める再生可能エネルギーの割合を、二〇二四年までに二〇%程度に高めることを目指す目標を定め、再生可能エネルギー拡大の機運を喚起し、需給両面にわたり取り組みを強化してまいります。
具体的には、専門家による検討会の提言も踏まえ、都民、事業者、区市町村等と連携して、一層の省エネ、節電を進めるとともに、東京の特性を生かした既存住宅や駐車場等、未利用スペースへの太陽光発電の設置促進、都市型バイオマス発電の推進など、多面的な取り組みを進め、再生可能エネルギーの導入拡大を図ってまいります。
最後に、バイオマス資源の活用についてでございます。
東京の都市活動から生じる廃棄物を利用した発電は、循環型社会の構築に貢献するとともに、地域に密着した分散型電源として重要な役割を担っております。
また、多摩地域には、木質バイオマス資源が豊富に存在しており、森林資源の多様な利用方法の一つとして、林業の振興や地域の活性化にも貢献することが期待できます。
都は、地域に根差した区市町村の取り組みを後押しするため、廃棄物発電施設の整備、更新の際に技術的支援を行うほか、区市町村補助制度を活用し、木質バイオマスエネルギーなど地域資源の利用を促進する事業への支援を行っております。
今後とも、区市町村との連携を強化し、地域特性を生かしたバイオマス資源の活用を進めてまいります。
〇六十七番(山崎一輝君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
〇議長(高島なおき君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(高島なおき君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
明日は、午後一時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後七時二分散会
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