午後一時開議
〇議長(高島なおき君) これより本日の会議を開きます。
〇議長(高島なおき君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
〇議長(高島なおき君) これより質問に入ります。
百十二番高木けい君。
〔百十二番高木けい君登壇〕
〇百十二番(高木けい君) 平成二十六年第四回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
名誉都民西山鴻月様におかれましては、去る十一月三日、また、同じく名誉都民松本源之助様におかれましては、去る十一月十一日ご逝去なされました。お二方の生前のご功績に対し、深甚なる敬意を表しますとともに、ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
去る十二月十四日、第四十七回衆議院選挙が終わりました。自民党、公明党の連立与党は、改めて国民の信任をいただき、政策の継続ができることになりました。まことにありがとうございました。
私たちは、まずは景気回復を確実な軌道に乗せ、長期にわたるデフレを克服するための雇用の拡大と賃金の増加、そして安定した税収の確立によって少子高齢社会の社会保障を充実させる、この流れをつくることが、現在の我が国における最優先課題であると確信し、景気回復、この道しかないと訴え続けました。
言葉だけの政治に辟易とする国民に対して、私たちは結果を出すことをお約束し、連立与党として三百二十六議席を与えていただきました。議席の数は、責任の重さに比例するものであり、この先私たちは、さまざまな課題に対して、国民に丁寧に説明を尽くし、謙虚であると同時に力強く、輝かしい我が国の未来を切り開いていかなければなりません。東京都議会自由民主党は、首都東京の立場で、その方針の一翼を担っていきたいと考えます。
さて、今日の東京は、政治、行政、経済機能の集積が生み出す活力にあふれ、日本の牽引役となっています。一方で、少子高齢化が加速し、また、エネルギーを大量消費するライフスタイルのありようが問われるなど、現代社会の直面する困難な課題に対して、東京から率先して処方箋を示す必要があります。
こうしたことを踏まえつつ、我々は東京をさらに発展させて、未来に引き継がなければなりません。そのための大きなチャンスが二〇二〇年、平成三十二年のオリンピック・パラリンピックであります。
これまでも東京には、大きく変貌するきっかけが幾つかありました。関東大震災後の震災復興、さきの大戦後の戦災復興、そして前回の一九六四年、昭和三十九年のオリンピック・パラリンピック大会です。
歴史を振り返ると、東京のまちづくりは、さまざまな制約の中で苦難の連続だったといえます。例えば、第七代東京市長後藤新平の手がけた関東大震災後の帝都復興計画では、昭和通りは七十二メートル、大正通り、現靖国通りは四十三メートルで計画されましたが、政治的、財政的な理由もあり、大幅な縮小を余儀なくされました。
また、江戸時代の大名屋敷跡や区画割りなどを上手に生かしながら、整然とした近代都市につくり変える区画整理事業も実行され、三千ヘクタール以上の既成市街地を改造したという意味では、壮挙というべきですが、後藤の考える復興事業にはほど遠いものでありました。
さらに、まちの延焼を防止し、豊かな緑の創出にも貢献するはずだった隅田公園の新設も、当初計画の三分の一の規模にとどまりました。仮にこれらの壮大な構想が実現していれば、現在の木造住宅密集地域や交通渋滞等の課題も、全く異なっていたに違いありません。
今日、経済性や合理性の名のもとに、目先の利害得失にとらわれがちですが、帝都復興計画に代表される先人の英知に素直に学んだ上で、百年先を見通し、将来の人々が、さらなる工夫を加える余地も残してまちづくりを発想することが重要と考えます。
既に我々は、二〇二〇年大会の成功とその先を見据え、東京を世界で一番の都市にするための政策集を掲げ、先般これを実現すべく、具体的な政策を知事に提言いたしました。
二〇二〇年大会は、日本国民みんなが心を一つにして、東京、そして日本を一段と高い成熟を遂げた社会につくり変えるチャンスであります。そのためのスタートラインとなる長期ビジョンは、いよいよ取りまとめとなりますが、長期ビジョンにかける知事の決意と所見を伺います。
二〇二〇年大会は、単なるスポーツの祭典にとどまらず、世界の発展、国際理解、平和的共存といった普遍的価値を人類が共有する場です。一過性のイベントで終わらせるのではなく、これを機に、海外諸都市と確かなつながりをつくり、末永くともに発展する礎を築く必要があります。
先般発表された都市外交基本戦略素案では、大都市共通の課題の解決に貢献するほか、世界から観光客や投資を引き寄せるため、都市外交で各局の施策を支えるとしています。これらの具体的な施策は、人と人とのつながりに裏打ちされた強固な信頼関係、友好関係によってこそ実効性が高まります。東京と世界諸都市のかけ橋となる人材の育成が必要です。知事の所見を伺います。
次に、このたびの補正予算について伺います。
現在の東京には、二〇二〇年大会に向けた万全の準備を初め、世界一の環境都市や、女性が活躍する社会の実現、総合的な福祉施策のさらなる推進など、将来に向けた重要な課題が山積しております。加えて、資材価格の高騰による契約不調への対策や土砂災害の防止といった、都民の安全・安心の確保に直結する喫緊の問題も表面化してきています。
こうした状況を踏まえ、先般、我が党は、早期の施策化に向けた緊急要望を行ったものであります。都の予算は、当初予算が基本でありますが、都民や社会のニーズを鋭敏に捉え、緊急かつ重要な課題に迅速的確に応えることも必要であり、今般、都が我が党の要望を受け補正予算を編成したことは評価いたします。
そこで、今回の補正予算の考え方と今後の取り組み方針について、知事の見解を伺います。
今回の補正予算案では、不調対策として五十億円余が計上されていますが、公共工事の不調については、今回のような予算措置を補正で対応するのはもちろん、不調が発生しないよう対策を講じることも重要であります。
震災後の復興事業に加え、二〇二〇年大会開催を見込んだ民間投資の増加を背景に、技術者不足や資材価格、労務費の高騰が進み、先高感などの不安感もあって、都が発注する工事の不調発生率が高くなっています。中でも、中小規模の工事における入札不調は、地域の産業や雇用にも深刻な影響を及ぼします。
このような現下の状況に対し、事業者の不安感を解消するための対策を早急に講じる必要があると考えますが、所見を伺います。
次に、不合理な地方法人課税の偏在是正問題について伺います。
我が党は、本定例会でも意見書を可決するなど、これまで幾度となく、地方法人課税の不合理な偏在是正措置の撤廃を強く主張してまいりました。このたび、安倍総理の政治判断で、今後一年半、消費税率の引き上げが延期されることになりましたが、平成二十六年度の税制改正で言及された、消費税率一〇%段階における偏在是正措置のさらなる拡大の議論がにわかに鎮静化するとは思えません。
むしろ、さきの国会で、まち・ひと・しごと創生法が成立したことで、地方創生という名のもとに、東京の首都として当然あるべき人口、経済、産業等の集積の是正に焦点が当てられ、東京への風当たりはさらに厳しい状況になることも予想されます。現に、東京圏の企業の地方移転を促進する税制優遇措置が具体的に議論されています。
しかし、本来必要なのは、日本全体がどうすれば元気になるかという点について、真の地方自治という大局的な観点に立って議論を行うことであります。こうした状況下において、今後、地方法人課税の偏在是正問題に対し、都としてどのように主張し取り組んでいくのか、知事の所見と決意を伺います。
なお、ここ数日、平成二十七年度税制改正に関して極めて注意すべき議論がなされていると聞いています。法人実効税率の引き下げ、固定資産税及びたばこ税の軽減税率の見直し等、東京都にとってかなり影響の大きい税制改正となる可能性があります。都として、国に対し、理論的、建設的な提言ができるよう、早急に準備しておくことを求めておきます。
さて、長期ビジョンを策定するこの機会に、都政を俯瞰したとき、将来にわたって都民の負託に応えていくための都庁の執行力を強化することは不可欠であります。
これまで我が党は、都の行革努力を是としつつ、技術職などの人材確保について、必要な対応を繰り返し求めてまいりました。職員の能力を一層引き出し、組織の生産性を高める人事政策が求められます。
そこで、今後の人材確保や執行体制の強化に向けた人事政策のあり方について所見を伺います。
都庁の執行力の強化とあわせ、長期ビジョンを支え、都民のニーズに柔軟かつ的確に応えていくためには、都政の重要なパートナーである監理団体をこれまで以上に活用することも重要です。
平成二十一年六月に我が党の入札・契約制度改革プロジェクトチームが取りまとめた報告書の中で、監理団体のような組織が、公益性と効率性を発揮し、都民福祉の向上に寄与する都政こそ、真に厚みのある、私たちが目指す次世代の都政と指摘いたしました。今後は、こうした監理団体を都庁組織と一体的に捉え、都政の現場を支える組織として積極的に活用していく必要があります。
そのためには、監理団体が主体的な役割を果たせるよう、簡素で効率的な指導監督に努めるとともに、指定管理者制度の活用を含め、人事や財政面での安定的な運営を確保していく必要があると考えますが、所見を伺います。
さて、東京を世界で一番の都市にしていくためには、個別の政策の充実が基本ですが、それを後押ししていくための政策税制のより一層の活用が求められます。
さきの長期ビジョンの中間報告を見ますと、外国企業を誘致するための国家戦略特区において税制優遇を拡大していくとしていますが、そのほかにも、防災都市づくりや、無電柱化の推進、貴重な緑の保全、農業振興、子育て支援を初めとする福祉施策など、政策税制を活用することで、施策がより前進していくと考えられるものも少なくありません。
長期ビジョンを着実に推し進め、東京を世界で一番の都市にするため、各局の取り組みと軌を一にして、政策税制の活用も考えていくべきですが、見解を伺います。
次に、我が党が昨年、都議選に際し、都民の皆様にその実現をお約束した政策集の各項目に沿って順次お伺いしてまいります。
最初に、災害に強い安全な東京についてお伺いいたします。
まず、消防、救急対策について伺います。
六年後に開催される二〇二〇年大会に向けた準備は、競技会場などの施設整備や大会運営計画の策定など、直接的な準備をしっかり進めていくことはもとより、大会を成功させるためには、何よりも安全であることが前提であります。
そこで、この世界一安全な都市東京を実現するには、東日本大震災における東京消防庁の活躍を見てもわかるとおり、消防ヘリコプターなどの機動力を生かした人命救助など、消防活動体制の強化を図るべきと考えますが、東京消防庁の取り組みについて伺います。
また、二〇二〇年大会では、世界中から訪れる多くの方々の急病やけがによる救急要請に的確に対応することも、東京が世界で一番安全な都市であるためには必要なことであります。
一方、救急活動の現況は、東京消防庁や各関係機関により、さまざまな努力をしているものの、高齢化の進展などにより、昨年の救急出動件数は約七十五万件と過去最大になるなど、救急需要は右肩上がりの増加傾向にあります。
そこで、二〇二〇年大会の開催や高齢化の進展に伴い、救急需要のさらなる増大に対応するための東京消防庁の今後の取り組みについて伺います。
次に、水の災害を未然に防ぐ八ッ場ダム建設について伺います。
我が党は、首都東京を大規模な洪水や渇水被害から守るため、民主党政権下でのダム本体工事中止以降も、一貫してダムの早期完成や速やかな生活再建などを、国土交通大臣に強く求め続けてまいりました。これらの活動が実り、ようやくダム本体事業が着手されました。
このため、事業の進捗や生活再建状況を確認する上で、先月、我が党の八ッ場ダム推進政策研究会がダム建設現場を視察し、群馬県議会自民党八ッ場ダム推進議員連盟、地元長野原町、東吾妻町の関係者から、地元の生の声を聞くための意見交換を行いました。
意見交換の場で両町から、生活再建はダムを前提としていたため、中断直後は将来の目標を見失うだけでなく、誹謗中傷も受け、それに耐えてきた、しかし、今や目標が見えてきたところでもあり、ダム完成後の地域振興を図るためにも、この事業の早期完成が必要との話がありました。
この話を受けて、都議会自民党と群馬県議会自民党は、一都五県の議員連盟とも連携し、地元の生活再建とダムの早期完成などに取り組むことを確認いたしました。災害に強い安全な東京をつくる上で、八ッ場ダムの効果を早期に発現させることは当然のことです。東京の東部低地帯を水害から守り、ダム完成を待ち望む地元の思いを実現するためにも、八ッ場ダムの早期完成に向けた都の取り組みを伺います。
次に、不燃化特区の取り組みについて伺います。
我が党は、東京を世界で一番の都市にするための政策提言で、木造住宅密集地域での不燃化の早期実現を求めてまいりました。都は、木密地域を燃え広がらない、燃えないまちにするため、特定整備路線と不燃化特区を推進しています。
特定整備路線と不燃化特区を同時に進めていくことにより、延焼遮断帯の形成と、市街地の不燃化が一体的に促進され、より高い施策効果が期待できます。しかしながら、特定整備路線のない不燃化特区では、木密対策が十分に進まないのではないかとの懸念があります。
そこで、今後都は、着実に木密解消を進めていくため、不燃化特区においてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
次に、防災力を高める道路整備について伺います。
日本経済の中心である東京は、首都直下地震の発生率が、今後三十年で七〇%と予測されるなど、災害発生の大きなリスクを抱えています。都が平成二十四年四月に公表した東京湾北部地震の被害想定によると、都内は最大震度七の揺れに見舞われ、約三十万四千棟の建物が全壊または焼失し、火災などにより約九千七百人の死者と、約十四万七千六百人の負傷者が発生するとされております。
このような被害を防ぐため、防災に資するインフラを充実させることは、私たちだけでなく、後世の東京や日本のために重要であると思います。
道路は、交通、物流の確保や地域の安全を支える重要な都市基盤であり、大規模災害時においても、その機能が確実に発揮されるよう、一層充実することが我々の世代に課せられた使命であります。
そこで、防災力を高める道路整備について伺います。
次に、政策集の都民の命と健康を守る安心都市東京について伺います。
伊豆・小笠原諸島周辺海域での中国漁船の領海侵犯及び違法操業について伺います。
本年九月以降、伊豆・小笠原諸島周辺海域に出没した大量の中国密漁船は、排他的経済水域のみならず、領海にまで入り込み、長期間居座り続けて貴重なサンゴを奪い取っていったばかりか、島民にいい知れぬ不安を与えました。
我が都議会自民党は、こうした傍若無人な領海侵犯行為に対し、島民の安全と安心、そして、我が国の領土、領海を断固として守るという強い決意を持って事態の解決に当たり、国に対し抜本的な解決策を繰り返し要望し、海上保安庁による取り締まり体制の強化や罰則を強化する法改正の実現に結実したところであります。
また、共産党を除く各会派賛成のもと、定例会初日に意見書を可決し、都議会の確固たる意思を内外に伝えたところであります。
既に中国漁船は姿を消したとはいえ、漁網の残骸による漁場の荒廃や漂着ごみによる景観の悪化など、漁業や観光への影響が懸念されるほか、いつまた中国漁船があらわれるかもしれないという恐怖は、現在も払拭されておりません。
先日の視察は残念ながら中止となりましたが、知事には改めて、小笠原に赴いて現地の切実な声を直接聞いていただきたいと思います。
もとより、我が国の領土、領海を守るのは国の基本的かつ最も重要な使命ですが、都の領域である伊豆・小笠原の海域に暮らす島民の生活の安全・安心を確保することは、まさに都の使命でもあります。ぜひとも知事には、今後の島民の生活の安全・安心の確保に、先頭に立って取り組んでいただきたいと思います。
そこで、今回の中国漁船の領海侵犯及び違法操業問題に対する知事の基本的な認識と、視察を含めた今後の対応について伺います。
また、これも極めて困難な喫緊の課題であるエボラ出血熱等新たな感染症対策について伺います。
本年三月以降、西アフリカのギニア、シエラレオネ及びリベリアを中心に、過去に例を見ない規模でエボラ出血熱が流行しています。
国は、空港等での検疫を強化し、国内への侵入を防ぐ努力をしていますが、発症前の潜伏期間中に入国、帰国し、都内で患者が発生する可能性は否定できません。検疫所は、三カ国からの帰国者に対し書面を配布し、発熱時には地域の医療機関を受診せず保健所の指示を受けるよう、発症時の対応の徹底を図っています。
エボラ出血熱は、発熱など症状が出ている人の血液や吐瀉物などの体液に直接接触することで感染するといわれており、空気感染をするものではありません。感染症対策は、正しく恐れながら、緊張感を持って冷静な対応をとることが重要であります。
そのため、万が一患者が発生した場合に備え、万全の準備を整えておくことが必要と考えますが、知事の所見を伺います。
また、都内においてエボラ出血熱の患者や疑い患者が発生した場合には、都が有している第一種感染症指定医療機関である都立駒込病院、墨東病院、東京都保健医療公社荏原病院が最前線で患者の治療に当たることになります。これらの病院は、こうした事態に備え、さらに対策を強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、福祉、保健、医療施策について伺います。
先月七日、我が党は、急速に進む少子高齢化への対応など、喫緊の課題に迅速に取り組むよう都に求めました。都はこの要望を受け、取り組みを加速するための補正予算案を本定例会に提出しています。消費税率一〇%への引き上げ時期が延期となり、来年度の社会保障分野に関する国の予算編成への影響も懸念されますが、都は、福祉先進都市の実現に向けて、各分野の取り組みを一層推進していくべきと考えます。
そこで、今後の福祉、保健、医療施策にどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
次に、医療提供体制について伺います。
本年六月、医療介護総合確保推進法が成立いたしました。これにより、医療機関は十月から都道府県に病床の医療機能等を報告し、都道府県は、この報告をもとに、地域の医療提供体制の将来のあるべき姿を示す地域医療構想を来年度以降に策定することとなります。
また、都道府県は、新たに基金を設け、計画に基づき事業を実施することとなり、都は本定例会に基金の設置条例案と関連する補正予算案を提案しています。
そこで、今回策定した計画の考え方について伺います。
次に、政策集の高齢者や障害者に優しい東京と日本の将来を担う子育て世代に優しい東京について伺います。
まず、高齢者施策について伺います。
高齢化が進む中、認知症の人とその家族が、認知症になっても、できる限り住みなれた地域で安心して暮らすことのできる東京を私たちは実現したいと考えています。
都はこれまで、都内十二の二次保健医療圏に認知症疾患医療センターを設置し、専門的な診療の提供や相談等、地域の認知症医療を推進してきたことは高く評価しますが、今後、認知症患者が急増することが見込まれており、さらなる対策の強化が必要です。
都内には、高度な認知症医療を担える医療機関が数多く存在しており、より身近な地域で区市町村と連携が図れるよう、認知症疾患医療センターの整備を促進すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、保育施策について伺います。
都は現在、待機児童の解消に向け、基盤整備についてさまざまな対策を加速しています。同時に、保育サービスの量的拡大と質の向上を図るためには、保育人材の確保、育成や増加する障害児やアレルギー児への対応も重要であります。
こうした考えに立ち、我が党は先般、民間社会福祉施設サービス推進費に関する緊急提言を行いましたが、都は今後、保育サービスの充実にどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、子供家庭施策について伺います。
社会的養護は、かつては親のいない子供や親が育てられない子供を中心とした施策でありましたが、現在では、虐待を受けた子供や個別的なケアを必要とする子供への支援を行う施策へと役割が変化しています。
こうした中、本年十月に東京都児童福祉審議会が、都におけるこれからの社会的養護の方向性を提言しました。この提言で示された家庭的養護の推進は、子供が大人と愛着関係を形成する上で極めて重要であり、我が党も、施策の充実について政策提言を行っております。
そこで都は、今後どのように家庭的養護を推進していくのか、基本的な方向性を伺います。
次に、動物愛護施策について伺います。
我が党では、長年にわたって、動物が家族としてだけでなく、地域社会に受け入れられるよう、飼い主の責任や都民全体に対する動物愛護への理解を啓発する施策を都に求めてまいりました。
これを受け、都は平成十五年、国に先駆け、人と動物の調和のとれた共生社会の実現を基本理念とする動物愛護推進総合基本計画を独自に策定いたしました。ことしの計画改定に当たっては、法律や国の指針の改定も踏まえ、獣医師会等関係団体や動物愛護団体と連携した殺処分ゼロに向けた取り組みを強化することが盛り込まれました。
こうした中で、先般、他県において、山中などに多数の犬の死骸や衰弱した犬が遺棄されるという痛ましい事件が相次いで発生しました。都として、人と動物との共生社会を実現するという観点から、こうした問題にどのように対応していくのか伺います。
次に、政策集の後世に誇れるクリーンで美しい東京の実現について伺います。
二〇二〇年大会は、都市化が進展した東京において、前回の一九六四年大会以来、五十年ぶりに東京の社会資本全体を見直すことのできる貴重な機会であります。我々の世代が責任を持って次世代へのレガシーをつくる意思を持たなくてはなりません。
例えば、一九六四年大会では新幹線が整備され、これはその後、世界の高速鉄道のモデルとなりました。オリンピック・パラリンピックのレガシーとは、このような人類共通の財産と呼ぶにふさわしいものであるべきです。
したがって、二〇二〇年大会では、世界の大都市に共通する諸課題を克服し、将来、東京モデルと呼ばれるような、大都市における快適な生活空間の創造をレガシーとして残すべきと考えます。
快適な生活空間の創造には、世界一美しい東京を目指した緑化政策の展開も一つの重要な取り組みと考えます。花と緑は、都民の癒やしや潤いとなり、ヒートアイランド現象の緩和などにも役立ちます。これからは、さらにその質を高め、世界一美しい東京をつくるという大きな目標を持って、花と緑を大いに盛り込むべきであります。花と緑は、大会時に国内外から来訪者を迎えるおもてなしとなり、将来にわたり東京を特徴づける貴重な観光資源ともなります。
東京のリニューアルによる快適な生活空間の創造とその中における緑化政策について、知事の所見を伺います。
かつて江戸のまちでは、園芸文化が花開き、身分を超えて、人々の生活は草花によって豊かに彩られていたといわれています。また、欧州では、花を生かしたまちづくりを競うコンクールを通じて美しいまち並みが創出され、観光客を引きつけています。花や緑を愛する心は、国や文化、時代を超えて共有されてきました。
東京は、街路樹や都市公園がふえ、区部ではみどり率も多少回復したほか、江戸のみどり復活事業により在来植物による緑化も進められていますが、おもてなしの観点から、人々を魅了する美しい緑の視点も欠かせないと思います。
そこで、今後、都は、都市の魅力を引き上げる花と緑を生かした、誰が見ても美しいと感じる緑化の拡大に向け、具体的な取り組みを推進すべきと考えますが、見解を伺います。
続いて、道の緑、街路樹について伺います。
都は、平成二十七年度末までに都内の街路樹百万本を達成すべく、平成十七年度末に約四十八万本であった国や都、区市町村を含めた街路樹を、平成二十五年度末までに約八十九万本に増加させました。
緑の拠点である公園や水辺を結ぶ道路の緑は、水と緑のネットワークを充実させるとともに、オリンピックのレガシーの一つともなります。オリンピックのマラソンコースなどの街路樹は、テレビ中継により世界中の人々の目に触れることになります。
そこで、街路樹により東京の魅力を高める取り組みについて伺います。
また、街路樹に加え、さらなる緑のネットワークの候補となるのが都電荒川線であります。かつての都電は、東京の高度成長を支えた交通機関であり、五十年前の東京五輪の際も、大会期間中の輸送の主力を担っていました。その後、輸送の中心は地下鉄へと移行しましたが、今も当時の全盛期をしのばせながら、三ノ輪橋から王子、早稲田まで運行しています。
この都電の軌道を活用し、二〇二〇年大会に向け、緑のネットワーク化を図れば、東京の新たな観光拠点が誕生する可能性があり、さらに、大会後のレガシーとして受け継がれていくと考えます。
軌道の緑化は、国内では鹿児島市など、市が主体となり、軌道事業者と連携し取り組んでいます。また、フランスのストラスブールやボルドーなど、海外の都市でも実施されており、景観の向上のみならず、ヒートアイランド対策や遮音対策等に大きく寄与しているといわれています。
そこで、都電荒川線を活用し、緑のネットワーク化を進め、美しい都市空間の創出に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
次に、隅田川における魅力ある水辺空間の創出について伺います。
東京の下町を代表する河川、隅田川は、江戸からの歴史文化受け継ぐ貴重なオープンスペースであります。隅田川において、これまで都は、緑豊かなスーパー堤防やテラスを整備するとともに、水辺へのオープンカフェの誘致などによるにぎわいづくりを進めてきました。
このような取り組みにさらに工夫を加え、観光客や地域の人々がより一層楽しめるような魅力ある水辺空間を創出する必要があると考えますが、都の見解を伺います。
次に、エネルギー政策について伺います。
二〇二〇年大会を契機に水素エネルギーの普及を図り、環境と調和した未来型都市の姿や日本の高い技術力を世界に発信していくことは極めて重要です。
都は、我が党の提案を踏まえ、官民一体となって取り組む戦略目標を取りまとめるとともに、電気自動車等と並んで次世代自動車として期待の高い燃料電池車の普及や水素ステーションの整備に関する支援策をいち早く講じたことは高く評価できます。
燃料電池車が市場投入され、いよいよ水素社会の幕があけようといたしております。水素社会の実現に向け、日本を力強く牽引するためには、戦略目標を着実に達成することが必要です。
都は、市場の動きを後押しする強力な施策を講ずべきと考えますが、知事の決意を伺います。
南米ペルーのリマでCOP20が開催され、二〇二〇年以降の温室効果ガスの削減に向けた枠組みが議論されました。世界の都市は、全体でエネルギーの三分の二を消費し、CO2の七割を排出しており、東京を初め、都市の省エネ、CO2対策は極めて重要であります。
我が党は、東京がエネルギーの大消費地として国をリードする省エネ、気候変動対策に取り組むべきことを提言してきており、所信表明で知事が表明された新たな省エネ目標の設定は、我々の主張に合致するものであります。
目標の達成に向けては、世界に誇る我が国の省エネ技術の導入を促進し、都市の持続的な成長とエネルギー利用のさらなる効率化を実現することが重要です。
都は、省エネ目標の達成に向け、どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
地球温暖化対策の推進に向けては、CO2だけでなく、温室効果の高いフロンの排出削減対策が重要です。フロンの排出抑制に向けては、関連業界の協力を得て、機器使用時の漏えいを防ぐとともに、ノンフロン型機器への転換を進めることが重要であります。
都は、ノンフロン冷凍冷蔵機器への買いかえ補助制度を新たに開始するなどフロン対策に積極的に取り組んでいますが、来年四月には、フロン機器の使用者に対する責務を新たに規定した改正法が施行されます。
フロン機器の適正管理とノンフロン型機器への転換を促すためには、明確な削減目標を掲げてフロン対策に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
次に、資源循環施策について伺います。
経済発展に伴う資源消費量の増大により、地球規模での環境の悪化が顕在化しています。都は、今年度中に取り組み方針を策定し、資源循環施策の新たな展開を図るとしていますが、既に我が国では、国産材を使った環境配慮型のコンクリート型枠用合板の活用や再生砕石からのコンクリート骨材の製造など、先進的な取り組みが行われています。
こうした技術やノウハウを最大限に生かすため、民間企業との連携を深め、資源循環施策を広く定着させていくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、政策集の力強い経済で日本をリードする東京について伺います。
最初に、産業政策について伺います。
我が国の経済は、アベノミクスの大胆な金融、財政政策等により、この二年間、着実に回復を続けてきましたが、本年後半に入り、消費や生産に足踏みが見られるなど、予断を許さない局面にあります。
いうまでもなく、まち場の中小企業は、引き続き厳しい経営環境にさらされています。年末、年度末にかけて、中小企業には一層厳しい状況が続きます。
都は、先般、我が党の要望に応え、資金繰りや相談対応等の年末特別対策を講じました。迅速な対応を評価するものであります。引き続き、刻々と変化する経済動向を捉えた機動的な対応を求めておきます。
こうした足元の対策とともに重要なのが、二〇二〇年大会に向けて計画的、戦略的な歩みを進めること、さらに、その先も見据え、東京が抱える課題の克服に向け、しっかりと取り組むことです。
まず、観光について、知事は、二〇二〇年に千五百万人、二四年に千八百万人の外国人旅行者誘致に言及されました。外国人の方々に、歴史や文化、自然、食など東京の多彩な魅力を存分に楽しんでいただくためには、言葉や案内面での不便を感じず、快適に滞在できる環境の整備が不可欠であります。Wi-FiやデジタルサイネージなどITを駆使したサービス、ボランティアなど、ハード、ソフト両面からの取り組みが求められます。
ロンドンでは、オリンピック・パラリンピックに向けて、観光案内所やボランティアなどの体制整備を計画的に進め、観光地としての魅力が高まった結果、大会後も多くの旅行者が訪れるようになっています。
こうした体制は一朝一夕に整わないため、利用者の目線で重点的に整備を進めなくてはなりません。また、区市町村や民間の協力を得て、複数年にわたる計画的な取り組みが進められるよう、財源措置の面でも工夫を施すべきであります。
外国人旅行者に快適で満足度の高い滞在環境を提供していくため、二〇二〇年大会を見据え、戦略的な取り組みを進めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
あわせて、かねてより支援してきた東北の被災地については、福島県における被災地応援ツアーを来年度も継続するよう要望しておきます。
二〇二〇年大会はまた、幅広い産業分野での多くの需要を生み出し、東京、そして日本を新たな成長の軌道へと押し上げる好機であると思います。中小企業にとっても、技術を世界にアピールし、大会関連の受注の獲得などにより、新たな販路を切り開くまたとないチャンスです。ロンドン大会でも、大会を契機に中小企業が受注に参加できるプラットホームがつくられるなど、官民を挙げた取り組みが進められました。
二〇二〇年大会の効果を中小企業にまでしっかりと波及させていくためには、販路の開拓、大会関連事業への受注機会への参画などを強力に後押ししていく必要があり、中小企業団体とも連携した実効性ある支援の仕組みをつくり上げていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、中小企業が厳しい競争を生き残るには、製品の魅力を高めることに加え、顧客ニーズや流通構造の変化を捉え、効果的な販路や販売手法を選択する必要があります。
この点で注目すべきは、近年、テレビショッピングやインターネット販売など、メディアを通じて消費者に直接製品を届ける取引が大きく伸びていることです。こうした手法にはまだなじみがない企業も多いでしょうが、一般消費者向けの製品については売り上げを飛躍的に伸ばすことも可能だと思います。
都は、販路開拓の新たな取り組みに挑戦する中小企業を積極的に後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
経済の持続的成長のためには、今ある企業の継続や発展に加え、創業をふやしていくことも重要であり、都も、長期ビジョンの中間報告で開業率一〇%台という目標を掲げました。
都は、本年度、我が党の提案を受け、女性、若者、そして高齢者を対象として信用金庫、信用組合と連携した新たな創業支援事業を開始しましたが、創業をさらに促進するため、一層踏み込んだ支援が必要です。
本定例会の補正予算案でも支援の充実が図られていますが、より多くの融資につなげるため、都が拠出する融資原資の大幅な上乗せを強く求めます。
また、全員参加型の社会づくり、とりわけ女性の活躍の推進に向けては、女性創業者向けの経営サポートの充実も必要です。
都は、女性を中心とした創業支援の一層の強化に向けて、どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
全員参加型の社会づくりに向けては、女性や若者、高齢者に対する就業支援も重要であります。都も就業支援に精力的に取り組んでいますが、区市町村においても、女性の再就職支援、若者のニート、フリーター対策など、地域の実情に応じたさまざまな支援を行っています。消極的な若者の就業意欲を喚起する取り組みを進めるには、就業希望者一人一人の要望へのきめ細かな対応が必要であり、地域の取り組みをさらに促していくことが効果的です。
都は、区市町村が地域の実情に応じた多様な就業支援策をさらに講じることができるよう強力に後押ししていくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、大都市東京に残された貴重な都市農地は、高額な相続税負担などにより、十年間で約一千ヘクタールも減少するなど、農地保全、都市農業の振興は緊急の課題であります。
都議会自民党は、これまでも、制度改善に必要な基本法の制定を国に強く要請してきました。これを踏まえ、議員立法で都市農業振興基本法の制定に向けて準備が進められるなど、国においても具体的な動きが出てきています。
今後の法制定も見据え、税制などの制度改正を引き続き国に働きかけるとともに、都としても、都市農地の保全や収益力の強化など、都市農業の振興に向けて実効ある施策を推進すべきと考えますが、所見を伺います。
これらの農業や水産業の皆さんが期待するのが、豊洲新市場の開場であります。新市場について伺います。
我が党は、世界で一番の都市東京を支える生鮮食品の一大流通拠点として、築地市場の豊洲新市場への移転を推進してまいりました。この間我が党は、厳しい経営環境に置かれている市場業界団体からの移転要望を重く受けとめ、早期の移転に向けて事業を進めるよう繰り返し求めてまいりました。
新市場の整備に当たっては、市場用地が安全な状態になっていることが大前提となります。都はこれまで、約三年間にわたり土壌汚染対策工事を実施してきました。先日開催された技術会議において、全ての対策の完了が確認されたと聞いています。
この土壌汚染対策によって、豊洲新市場用地の安全性は揺るぎないものになったと思いますが、所見を伺います。
次に、土壌汚染対策工事が完了した今、豊洲新市場の開場時期に関心が集まっています。都はこれまで、平成二十七年度の開場としてきました。
しかし、先日、市場業界から我が党に、平成二十八年十一月を開場時期とする旨の要望書が提出されました。市場の開場には、市場施設の竣工のみならず、市場業界による造作工事など、営業するためのさまざまな準備作業が必要です。何よりも重要なことは、商売の拠点を移転させる一大転機である以上、市場業界の希望にかなった時期でなければなりません。
このような重大な事項について、市場業界と十分なコミュニケーションを図って解決していくことが重要であると我が党は従前から指摘してまいりました。今回の要望書の趣旨を受けとめ、都は開場時期の再考を図るべきと考えます。
先日来、開場時期についてさまざまな報道がなされています。豊洲新市場の開場時期について、市場業界との緊密な協議を踏まえ、知事ご自身がこの場で具体的な時期について明らかにすべきと考えますが、その所見を伺います。
次に、水道事業の国際展開について伺います。
東京水道は、これまでタイや台湾において、漏水や盗水などの無収水の割合を低減させる事業を手がけてきています。しかし、財政基盤が脆弱な国では、ODAの活用が必要です。
開発途上国の一つであるミャンマーのヤンゴンでは、インフラ整備がおくれており、無収水の割合が六六%もあると聞いています。今般、我が国のODAによる財政支援と東京水道の技術を結びつけることによって、ヤンゴンでの事業化を果たしました。
水道局が民間企業を後押しし、アジアの水問題の改善につなげていく取り組みは、我が党の主張に沿うものとして評価できます。今回のヤンゴンにおける事業の特徴と今後の国際展開について伺います。
次に、下水道事業の国際展開について伺います。
東京の下水道が技術的な支援を行ってきたマレーシアでの総事業費五百億円に及ぶ大規模な下水道整備プロジェクトが、四年の歳月を経て、本年十月契約合意に至りました。
我が党としても、このプロジェクトを以前から応援しており、本年四月には、服部都議会議員を団長とする行政調査団をマレーシアに派遣し、プロジェクトの取り組み状況を確認し、関係者を激励してきたところであります。
国も、成長戦略の一環であるインフラシステム輸出戦略において、官民一体となった海外展開を推進しており、今般その大きな一歩を踏み出した本プロジェクトには、大いに成果を期待しております。
そこで、このプロジェクトの意義と今後の取り組みについて伺います。
次に、政策集の若者が夢と希望を持てる教育都市東京について伺います。
まず、学校教育について伺います。
いじめ、不登校、児童虐待など学校だけでは解決困難な問題の背景には、家庭環境等が影響している場合もあるため、社会福祉の視点から学校の支援を行うスクールソーシャルワーカーの必要性が高まっています。
都教育委員会は、これまで、区市町村立学校を支援するスクールソーシャルワーカーの配置の拡大を推進してきました。
小中学校と同様に、高校や特別支援学校等においても、福祉面からの支援を必要とする状況があることから、今後、都立学校でもスクールソーシャルワーカーを活用すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、発達障害教育について伺います。
発達障害は、知的障害などに比べ、保護者や周囲に障害として理解されにくく、こうした児童生徒が学習や友人関係などで抱えるさまざまな困難の改善、克服は喫緊の課題であります。平成二十四年に発表された国の調査では、公立小中学校における発達障害の可能性がある児童生徒の割合は六・五%となっており、これは、全ての学校の通常の学級に子供たちが在籍しているということになります。
平成二十八年度から、特別支援教室を全公立小学校に順次導入していくとのことですが、既に実施しているモデル事業の成果と今後、導入に向けた準備をどのように進めていくのか伺います。
小学校での教育条件の充実に着手したことは評価しますが、発達障害にはさまざまな種類や程度があり、就学前から高校までの全ての教育段階で、教員の専門性や指導の内容、保護者の理解といったことに課題が生じています。こうしたことから、発達障害の児童生徒の生活、学習上の困難の改善、克服に向けた教育条件の整備は、いまだ十分とはいえません。
そこで、都教育委員会として、発達障害の全ての児童生徒が適切な教育的支援を受けられるよう総合的な施策を検討すべきと考えますが、所見を伺います。
次に、子ども・子育て支援新制度施行後における私立幼稚園支援について伺います。
まず、私立幼稚園に係る保護者負担軽減の対応について伺います。
新制度へ移行する私立幼稚園においては、保育料の決め方が変わるなど、保護者にとっても大きな変更があります。これまで各幼稚園が独自に定めていた保育料は、新制度のもとでは、制度の実施主体である区市町村が、国による全国一律の額の範囲内で所得階層ごとに定めることになります。独自の幼児教育に取り組んできた東京の私立幼稚園からは、定められた保育料では現在の質の高い教育の維持は難しいという声も聞かれます。国は、保育料とは別に必要な経費は保護者から徴収できるとしていますが、それほど簡単に保護者負担をふやすことはできません。
我が党は、民主党政権が平成二十二年度に就園奨励費補助を安易に変更し、保護者負担を増加させる制度改悪を行った際にも、都に強く激変緩和措置を要望し、その結果、就園奨励特別補助が創設されるなど、これまでも保護者負担軽減を強く働きかけてまいりました。
新制度に移行した園を利用する保護者に対しても、新たに大きな負担が生じることのないようにすべきと考えますが、都としてどのように対応していくのか伺います。
次に、私立幼稚園を母体とする認定こども園への対応について伺います。
認定こども園は、新制度への移行が原則にもかかわらず、現行の私学助成に比べ、公定価格による収入が大幅に減額になる園が相当数あり、特に大規模な園では、その影響は深刻であります。
我が党は、認定こども園が混乱なく新制度の施行を迎え、現在の幼児教育、保育の質をしっかりと確保できるよう、さきの第三回定例会及び厚生委員会・文教委員会連合審査会において、都としての対応を求め、必要な対策を早急に検討する旨の答弁を受けました。
そこで、都が私立幼稚園を母体とする認定こども園に対し、どのような対策を行おうとしているのか伺います。
次に、政策集の人と物の流れがスムーズに行き交う首都圏をつくるについて伺います。
超高齢社会における道路空間の整備のあり方について伺います。
都の高齢者人口は増加を続け、平成三十七年には、都民のおよそ四人に一人が六十五歳以上となる、いわゆる超高齢社会の到来が見込まれます。日常生活での身近な健康づくりに対する高齢者の関心を高めるとともに、高齢者や障害者を含む全ての都民が地域で健康に活動できる公共空間の整備に取り組むことが重要であります。
そこで、二〇二〇年大会開催後も見据え、身近な社会基盤である道路について、これまで以上に高齢者や障害者に配慮した道路空間の整備のあり方を考えていく必要があると思いますが、都の所見を伺います。
次に、東京港における道路ネットワークの充実について伺います。
東京港は、我が国の産業を支える重要なインフラであるとともに、輸入港としても極めて重要な役割を担っています。東京港は、一大消費地に近く、物流効率化を求める荷主から選択されており、コンテナ貨物取扱量は一貫して増加傾向にあります。現状では、取扱貨物量が施設能力を大きく超える状況であり、コンテナターミナル周辺では深刻な交通渋滞も発生しています。
このため、コンテナふ頭の新規整備はもちろん、物流におけるボトルネックが生じないよう、貨物輸送の全体を見据えた道路ネットワークの整備が重要であります。
都は、二〇二〇年大会を見据え、コンテナ貨物の円滑な輸送を実現するための抜本的な対策として、道路ネットワークの充実にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
一方、東京港で今まさに発生しているコンテナターミナル周辺の渋滞解消に向けた取り組みも不可欠であります。貨物量が多い季節や時間帯には、コンテナターミナル周辺の道路にコンテナの引き取りなどを待つ車両の長い列が発生しております。東京港の喫緊の課題であるコンテナターミナル周辺の渋滞解消に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、政策集の全ての都民を元気にするスポーツ文化都市東京に関連して、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会について伺います。
知事は所信表明で、会場計画について、バスケットボール会場など三施設の新設を中止し、ボート会場については整備内容を大幅に見直すと表明されました。将来の都民にとって負の遺産となる懸念のある施設の新設を中止し、整備費も大幅に抑制したことを私たちは高く評価いたしております。
会場計画見直しの意義と成果について伺うとともに、計画のさらなるブラッシュアップに向けてどのように取り組んでいくのか、改めて知事の考えをお伺いいたします。
一九六四年大会では、先ほど申し上げたように、新幹線や高速道路が整備され、国立競技場を初めとする競技施設がスポーツの聖地となるなど、大きなレガシーを残し、我が国の発展の礎となりました。前回大会から半世紀を経て東京は成熟した大都市に成長しましたが、開催まで六年を切った二〇二〇年の東京大会は、将来にわたってさらに輝き続ける東京をつくる最大のチャンスであると考えます。そのチャンスを生かすには、競技施設やまちづくりなど、ハード面のレガシーはもとより、おもてなしの心を初めとした我々日本人の誇るべき精神、伝統を引き継いでいくなど、人々の心の中に確かなレガシーを刻み込み、後世に残る人類共通の財産を築いていかなければなりません。
そこで、二〇二〇年大会でどのようなレガシーを残していくのか、それをどのように都民に示していくのか、知事の所見を伺います。
二〇二〇年大会は、区市町村にとっても地域創生の千載一遇のチャンスと思われます。都内自治体の多くは、この機会を捉えるべく、さまざまな取り組みを今後展開していく意向のようですが、一方で、事業実施に当たり、情報や人材、経費の不足等、さまざまな課題を抱えております。
我が党はこれまでも、都と区市町村との連携の必要性を訴えてきましたが、区市町村の取り組みが拡充されるよう継続的かつ計画的に支援すべきと考えます。
今後の区市町村支援をどのように進めていくのか、都の所見を伺います。
二〇二〇年大会は、都民がおもてなしをする側に立ち、世界中から東京を訪れる人々をお迎えする機会でもあります。我が党には多くの方々から、ボランティアとして大会に参画し、大会運営に貢献するとともに、来訪者をおもてなししたいとの声が多数寄せられております。昨今の大会では、数多くのボランティアが大会を支えており、開催機運の盛り上げにも貢献しています。ロンドン大会では、大会ボランティア約七万人が大会運営をサポートし、また、都市ボランティア約八千人が国内外から来訪する観光客への観光案内等に対応していました。大規模かつ質の高いボランティアを確保するためには、早期に人材育成に取り組む体制の構築が必要です。
二〇二〇年大会に向け、今後どのようにボランティアの育成に取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
次に、障害者スポーツの振興について伺います。
二〇一二年のロンドン大会では、英国がパラリンピックの起源である国際ストーク・マンデビル競技大会の発祥の地であることもあり、競技会場を埋めた観衆が選手に温かい声援を送るなど、大きな盛り上がりを見せ、大会を機に、より一層、障害者理解が進展したことをレガシーとして挙げています。
一方、我が国においては、パラリンピックという名称が広く使われる起点となった一九六四年東京大会が今日の障害者スポーツ振興の契機となり、翌年から、全国規模の身体障害者スポーツ大会が開始されるなどのレガシーを残しました。一九六四年大会から五十年を経過した現在、障害者アスリートが報道で取り上げられるなど、障害者スポーツに対する認識は変化してきていますが、障害者スポーツが置かれた環境や認知度はいまだ十分とはいえません。
都は、二〇二〇年の東京パラリンピック開催をまたとない機会と捉え、障害者スポーツ振興に向け積極的に取り組みを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、町会、自治会の活動への支援について伺います。
我が党の提案により実現した地域の底力再生事業助成は、町会、自治会が取り組む防災や高齢者の見守りなどの地域活動を支援する制度として活用されてきました。町会、自治会からは、幅広い世代の住民が集まる運動会に活用できた、防災活動に継続して取り組め防災意識が高まったなど、地域が活性化されたとの声を聞いています。
一方、複数の町会が共同する取り組みや、PTAや老人クラブ等と連携した取り組みにも助成してほしいとの声も聞きます。また、若い世代の未加入などで、町会、自治会の組織運営は厳しい状況にあり、組織基盤の強化も必要であります。
そこで、都は、本制度について、町会、自治会の活動実態に即した改善を図るとともに、活動を支える新たな支援策を取り入れるべきと考えますが、所見を伺います。
次に、伝統文化の世界発信に向けた取り組みについて伺います。
東京には、古来から伝承された豊かな伝統文化が存在しますが、東京を訪れる外国人が気軽に触れる機会が十分とはいえません。二〇二〇年大会に向け、観光客やビジネス客が本物の伝統文化のすばらしさを体験できるような新たな取り組みを行うべきであります。
一方、伝統を継承し、海外へ発信するには、日本人自身がその価値を正しく理解していることが必要です。そのためには、小さいころから伝統文化に触れることが大切であり、全ての児童生徒がこれを学べるよう、子供向けの体験事業を本格的に始めるべきと考えます。
今後、伝統文化を世界へ力強く発信していくため、外国人及び子供に向けた事業にどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
さて、冒頭申し上げましたが、昨日我が党は、長期ビジョンに対する政策提言を知事にお渡しいたしました。いうまでもなく、長期ビジョンの策定は今定例会最大のテーマの一つであり、今後の東京都政の進むべき方向性を定めるグランドデザインであります。私たちは今何をなすべきかという時代認識のもと、今後二十年後、三十年後、そして、五十年後の東京を展望するには、歴史観や思想、哲学が不可欠との観点から、多岐にわたる提言となりました。
私たちは、首都として東京が我が国を牽引し、世界で一番の都市にすることを目標にしたのですから、広範な都民の理解と共感を得ると同時に、その実現に不断の努力を惜しんではならないと考えます。その道のりは今始まったばかりであります。ローマは一日にして成らずのことわざどおり、地道な努力が私たちを成功へと導きます。そして、都庁と都議会だけが目標に向かって努力するのではなく、都民全体の力の結集が東京を世界で一番の都市にする原動力であることはいうまでもありません。
ローマは偉大だったから人々が愛したのではない、人々が愛したからローマは偉大になったのだとは、イギリスの作家であり思想家であったギルバート・ケイス・チェスタートンの言葉ですが、東京が世界で一番の都市になるためには、都民に愛され、幅広い協力が得られる都政でなければならないと考えます。
東京都議会自由民主党は、地方自治の原点であるそうした信念を貫き、多くの都民の声を聞きながら、これからも都議会第一党としての責任をしっかり果たしていくことをお約束申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
〇知事(舛添要一君) 高木けい議員の代表質問にお答えいたします。
まず、長期ビジョンの取りまとめについてでございますが、都は現在、史上最高のオリンピック・パラリンピックの実現という大きな目標に向け、一丸となって取り組んでいますが、成熟都市での開催として世界中の注目が集まる中、この大会は何としても成功させなければならないと思っております。
二〇一二年大会を経ることで世界一の都市に上り詰めたロンドンも、大会の先を見据えて政策を展開することで、大会が終わった後もなお、今も成長を続けております。その姿を、先般、目の当たりにしてまいりました。
質問の中で、私が尊敬し、東京市長でもありました後藤新平の話もされました。大変先見の明のある計画でありましたが、ご指摘のとおり、主要な道路や公園の整備など、計画の多くが実現には至りませんでした。
今を生きる私たちも、二〇二〇年をゴールにするのではなく、オリンピック・パラリンピック大会をばねに二〇二〇年のさらなる先を見据え、都民の心に潤いを与える美しいまちづくりを初め、都民の生活の質を高めるさまざまな政策を展開しなければなりません。
そして、これらの政策を絵に描いた餅にすることなく、財政的な裏づけも持って東京の戦略的発展に結びつけていかなければなりません。
これまでの間、万機公論に決すべしという私の政治信条に基づき、水素社会の実現や利用者本位の交通体系の構築など、今後の東京の将来を支える重要政策についてタスクフォースで検討を進めてまいりました。また、庁内においても何度も議論を重ね、中間報告でお示しした内容のより一層の深化を図ってまいりました。
これらの成果に加え、皆様からの、昨日いただきました政策提言や、都民や区市町村の皆様からのご意見を踏まえ、都民に夢や希望を与える長期ビジョンの策定に向けて全力で取り組んでまいります。
次に、都市外交についてでありますが、オリンピック・パラリンピックの成功を通して東京を世界一の都市にしていくことは、私が目指す都政の大きな方向性であります。
そのためには、防災や環境問題など大都市共通の課題を解決し、都市機能を飛躍的に高め、都民生活の向上に結びつけていくことが重要であります。
また、都がこれまで蓄積してまいりました技術力やノウハウを活用して、東京の国際的なプレゼンスを高めていくことも重要でありまして、例えば、水道局や下水道局では、東南アジアにおいて、その強みを生かした事業を進めております。こうした各局が実施するさまざまな施策を、都市外交はしっかりと後押ししてまいります。
これらを通じて海外諸都市との友好関係を深め、ともに学び合いながら、永続的なウイン・ウインの関係を築いていくためには、ご指摘のように、人と人とのつながりの強さが鍵となります。
そのため、よりグローバルに人材育成に取り組むこととし、これを継続的、安定的に進められるよう新たな基金を創設したいと思っております。
また、オリンピック・パラリンピックを契機として、またその先に向かって、東京、日本と世界を結ぶ人材のかけ橋を未来に残してまいります。
続きまして、補正予算編成の考え方と、今後の取り組み方針についてでございますが、都政を着実に前進させていくためには、年間総合予算である当初予算を軸として政策を展開していくことが基本であります。一方で、緊急性が高い課題に対しては、タイムリーかつスピーディーに政策を打ち出していくことも必要であります。
こうした考え方のもと、今回の補正予算は、世界一の都市東京の早期実現に向けて必要な取り組みを加速化させるために編成いたしました。これによりまして、オリンピック・パラリンピック大会への準備や水素社会の実現など、将来の東京を見据えた取り組みをスピードアップさせるとともに、福祉保健施策の充実や災害対策の強化などを図ってまいります。
二〇二〇年とその先の明るい未来に向け、今後も都議会の皆様と議論を重ねながら、財政の対応力を中長期的に堅持しつつ、東京の一層の発展と都民福祉の向上に資する予算を編成してまいります。
地方法人課税の不合理な偏在是正への対応についてでありますが、真の地方自治の確立には、都市と地方で限られた財源を奪い合うのではなく、国と地方の役割分担に見合う税財源を確保し、地方税財源全体を充実強化していくことが不可欠であります。私は知事に就任以来、そのことを全国知事会の場や国への要請活動など、あらゆる機会を捉えて主張してまいりました。
現在、地方創生という新たな政策のもと、東京への集中を是正しようという動きが顕在化しております。しかし、今必要なことは、地方と大都市がともに栄え、国全体に活力を行き渡らせることでありまして、これが真の地方創生につながります。
こうした考えのもと、今回の補正予算において、東京と地方を結ぶ観光モデルルートの作成など、東京が提案する地方創生の一つの形を具体的に示したところであります。
今後とも、真の地方創生の実現に向けて、都としてもしっかりと取り組むとともに、地方法人課税の不合理な偏在是正措置の即時撤廃や、総体としての地方税財源の拡充、課税自主権の拡大など、日本再興を支える地方税財政制度の確立に向け、全力を尽くしてまいります。
中国漁船の違法操業問題についてでありますが、伊豆・小笠原諸島周辺海域での中国漁船の違法操業により、基幹産業であります漁業に影響を及ぼすなど、島民に大きな不安を与えたことは大変ゆゆしき事態であります。
私はこれまで、内閣官房長官と直接面会し、安倍総理に対し、違法操業の取り締まり強化や必要な法整備を要請するとともに、中国政府に対し、再三、事態の改善を強く求めてまいりました。
また、海上保安庁などと連携し、都の漁業調査指導船による監視活動を行うとともに、海上保安庁や小笠原村を初めとする関係機関との連絡会議を立ち上げ、情報を共有化するなど、連携の強化を図ってまいりました。
こうした取り組みに加え、今後、漁業操業や漁場への影響について、国とも連携しながら対応していくことが必要でありますが、まず都として、中国漁船が違法操業を行っていた海域を中心に、漁業調査指導船を活用した試験操業を開始しておりまして、漁場への影響を調査してまいります。同様の事態が発生し、島民の方々が二度と不安を抱くことのないよう、今後とも、国や小笠原村との緊密な連携のもと、全力で取り組んでまいります。
なお、先般予定しておりました視察は残念ながら中止となりましたが、私自身、改めて現地に赴きたいと考えております。
エボラ出血熱への対応についてでありますが、西アフリカで流行しているエボラ出血熱の患者は一万八千人を超え、いまだ終息の目途が立っておりません。アメリカやスペインでも患者が発生しており、我が国においても、発生に備え、十分な対策を講じておく必要があります。現在、国においては、水際対策として、空港等での検疫を強化するとともに、流行国からの全ての入国者及び帰国者を健康監視の対象としております。
都においても、発生に備え、十一月六日に、関係局、警視庁、東京消防庁、区市町村の代表者をメンバーとする連絡会議を立ち上げ、十一月十一日には、都の指定医療機関三病院で、専用車両を用いた患者受け入れの実践的な訓練を実施いたしました。
また、この間の十一月七日には、都内で疑似症患者が発生し、都は、患者の自宅がある地元保健所と連携して、感染症指定医療機関への患者搬送を行いました。
さらに、こうした訓練の検証や疑似症患者の発生事例を踏まえまして、新たに東京都エボラ出血熱対応マニュアルを作成いたしました。マニュアルでは、各機関の連絡先をリスト化し、連絡体制を徹底するとともに、患者移送での関係機関の役割分担も明確化いたしました。また、個人防護具の着脱方法を図解で示すなど、より実践的なものといたしました。
感染症対策は、感染症を正しく知り、正しく恐れることが重要であります。エボラ出血熱でいえば、空気感染はせず、血液や吐瀉物などの体液等に直接触れた際に感染するものであります。また、発症するまでの感染リスクは極めて低く、通常の生活で感染が広がるリスクも低うございます。
都は、こうした正確な情報を都民に正しく理解していただけるよう、さまざまな広報媒体を通じて周知に努めるとともに、患者の発生に備え、国や保健所、感染症指定医療機関など、関係機関との連携を一層強化し、対策に万全を期してまいります。
今後の福祉、保健、医療施策についてでありますが、東京を世界一の福祉先進都市にする、この公約を実現するため、私はこれまで、待機児童解消に向けた取り組みや、救急医療の充実、福祉インフラ整備のための都有地の減額率の拡大や、国有地、民有地の借地料補助の創設など、補正予算を編成し、さまざまな手だてを講じてまいりました。
また、本定例会におきましても、福祉保健施策のさらなる充実に向け、来年度予算の一部を前倒しして、区市町村や事業者の取り組みを後押しするための補正予算案を提案しております。
急速に少子高齢化が進む東京の将来を見据えれば、こうした取り組みをさらに前に進め、長期的な視点に立って、大都市東京にふさわしい福祉、保健、医療施策を展開していかなければなりません。
九月に策定した長期ビジョン中間報告では、例えば、子供分野では、待機児童解消に向けた整備目標を、介護分野では、特養や認知症高齢者グループホームの整備目標をお示しいたしました。
今月作成する長期ビジョンでは、安心して子供を産み育てることができる環境整備、高齢者や障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現、質の高い治療が受けられ、生涯にわたり健康に暮らせる環境の実現に向け、具体的な政策目標や数値をお示ししたいと思っております。
一人一人がライフステージに応じて、幸せを感じることのできる世界一の福祉先進都市東京を実現いたします。そのためにも、今後とも、福祉、保健、医療施策に全力で取り組んでまいります。
東京のリニューアルによる快適な生活空間の創造とその中における緑化政策についてでございますが、東京は、関東大震災からの復興、戦災復興、一九六四年大会、そして、高度経済成長という歴史を経る中で世界有数の都市へと発展を遂げ、人々は豊かな生活を享受してまいりました。
しかし、急速に進んだ都市化の中で、まちの潤いや彩りが失われてきたことも事実でありまして、二〇二〇年大会を、物質的な豊かさだけではなく、生活の質を向上させていくチャンスとしていかなければなりません。
とりわけ都民に憩いと癒しをもたらす花や緑は、東京の快適性や美しさを支えるために必要な要素であります。また、二〇二〇年大会開催時には、海外からの来訪者を花や緑でお迎えすることが、国際的なプレゼンスを高めていく有効なツールともなるものであります。
飛鳥山の桜が徳川吉宗によって植えられたのは、十八世紀の江戸の時代であります。また、明治神宮の森が現在の姿になるためには、百年近くかかっております。このように木々が育ち森になるためには、かなりの年月が必要であります。
それゆえ、長期的な展望を持って子や孫たちに大きな財産を残す、そういう緑化政策を展開することで、にぎわいと美しさを兼ね備えた花と緑の都、すなわち、世界で一番美しい都市東京へと改造してまいります。
水素社会の実現に向けた取り組みについてでありますが、持続可能なエネルギーである水素の普及を図り、エネルギー構造の変革につなげていくことは、資源小国日本にとって極めて重要であります。
一九六四年の東京オリンピックでは新幹線が初めて走り、社会の形が大きく変わりました。二〇二〇年、この変革に当たるものが、水素社会の実現だと考えております。
先日、世界で初めて市販されました燃料電池車に実際に試乗いたしました。非常に静かで加速性能もガソリン車と全く遜色なく、災害時には非常用電源ともなります。日本の高い技術の象徴でありまして、オリンピック・パラリンピック大会では、こうした次世代自動車をぜひ活用したいと思っております。
水素社会の実現に向けて、これまで官民の英知を結集した戦略会議で、活発な議論を重ね、燃料電池車の普及に不可欠な水素ステーション整備などを含めた数値目標や社会的受容性の向上について具体的な戦略を取りまとめました。これらを長期ビジョンに反映させてまいります。
これに先立ちまして、普及の初期段階を強力にバックアップするため、燃料電池車の導入や水素ステーション整備に関する都独自の支援策を盛り込んだ補正予算案を本定例会に提出してございます。
例えば、約七百万円の燃料電池車については、国の二分の一である約百万円、つまり国が二百万円補助しますから、都は、あと百万円を補助することで、合計三百万円安くなりますから、四百万円程度で購入できるようになります。また、約五億円といわれております水素ステーションについても、国の補助と合わせまして、ガソリンスタンドの整備と同程度、つまり約一億円まで事業者の負担を軽減することで、早期の整備を後押ししたいと思っております。
今後、官民一体となって、戦略目標の達成に向けた取り組みを着実に進め、水素社会の実現に向けて、我が国を牽引してまいります。
新たな省エネ目標の実現についてでありますが、気候変動の危機に対処し、都市の持続的発展とエネルギーの効率的な利用を図る上で、省エネルギー、CO2削減を進めていくことは極めて重要であります。
都はこれまで、大規模事業所へのキャップ・アンド・トレード制度初めとする先進的な対策を進めてまいりましたが、こうした取り組みを、オリンピック・パラリンピック後もレガシーとして継承し、より高めていくことが重要であります。
このため、今般、二〇三〇年までに、エネルギー消費量を二〇〇〇年対比で三〇%削減することを目指す、この新たな省エネ目標を長期ビジョンにおいて設定することといたします。
今後、都は、これまでの施策を着実に進めるとともに、さらなる創意工夫を重ね、中小規模事業所や家庭を含む各部門において、LEDなどの省エネ技術や、燃料電池車、電気自動車などの次世代自動車といった、日本のすぐれた技術の導入を後押ししてまいります。あわせて、再生可能エネルギーの導入拡大を積極的に展開していきます。
こうした取り組みによりまして、国や他の自治体をリードし、経済成長と省エネの両立を図りながら、低炭素、快適性、防災力を備えた世界一のスマートエネルギー都市を実現してまいります。
外国人旅行者の受け入れ環境の整備についてでありますが、オリンピック・パラリンピック大会は、東京ひいては日本の魅力を世界に発信する絶好の機会であります。二〇二〇年とさらにその先を見据え、英語が通じないという言葉の壁や、Wi-Fiの接続環境の問題といったさまざまなバリアを取り除くなど、海外から訪れる旅行者が快適に滞在できる環境整備を全力で進めていかなければなりません。
このため、新たな観光情報センターの開設や、ボランティアによる、まち中での外国語の観光案内、デジタルサイネージの活用による多言語表示、一度登録すればシームレスに利用できる無料Wi-Fiサービスの拡充など、外国人旅行者が多く訪れる地域を中心に案内機能を強化してまいります。
年が明ければ二〇二〇年まであと五年となります。官民一体となって受け入れ環境の整備に計画的に取り組むため、新たな方針を年内に策定するとともに、財源の面からも、着実かつ機動的に整備が進められる方策を講じてまいります。
世界有数の観光都市にふさわしい受け入れ環境の実現に向けて、ハードとソフト両面での取り組みを強力に推進してまいります。
二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会の効果の中小企業への波及についてでありますが、世界から注目が集まるオリンピック・パラリンピック東京大会は、東京そして日本の産業が新たな飛躍を遂げる大きなチャンスであります。
この好機を存分に生かすためには、大会により生まれる経済効果を限定的、一過性のものとせず、経済の根幹を支える中小企業にも広く行き渡らせ、産業の持続的な成長につなげていくことが必要であります。
そこでまず、オリンピック・パラリンピックに関連して生み出されるさまざまなビジネス情報を、東京のみならず全国の中小企業が容易に入手できる新たな仕組みを構築し、受注機会の拡大につなげてまいります。あわせて、大会を契機として、中小企業による製品やサービスの創出を促進し、世界に向けて強力に発信してまいります。
今後、これらを着実に進めていくため、中小企業団体などと連携して推進組織を立ち上げ、官民一体となって取り組んでいきます。
続きまして、豊洲新市場の開場時期についてでありますが、都は、豊洲新市場を高度な品質管理など、時代の要請にふさわしい機能を備えた市場として着実に整備し、世界一の都市東京の食を支えていく決意であります。新市場への移転に当たりましては、市場業界の協力が不可欠であります。とりわけ開場時期については、営業にも大きな影響を与えることから、市場業界の理解を得て決定することは重要であります。
このことから、都はこれまで、施設の整備に全力を挙げるとともに、市場業界の意見や要望に対し、真摯に耳を傾け、コミュニケーションを密にしながら、さまざまな調整を行ってまいりました。その結果、本日午前、新市場建設協議会を開催し、市場業界と合意いたしました。このことを受けまして、都として、開場時期を平成二十八年十一月上旬といたします。
豊洲新市場への円滑な移転、開場を成功させるために、都と市場業界が一丸となり、さらに精力的に取り組んでまいります。
会場計画再検討の成果と今後の取り組みについてでありますが、今回の再検討は、オリンピック・パラリンピックを通じて、将来の東京に何を残すべきなのか、徹底的に議論する機会となりました。検討は、レガシー、都民生活への影響、整備費高騰の懸念への対応の三つの視点で行いまして、三施設の新設中止と既存施設の活用など、都が新規に整備する施設についての方向性を示しました。
新設する施設は、大会後の利用が見込める施設、実効性ある後利用計画を策定できるものに絞り込みました。結果として、整備費を約二千億円削減できる見込みとなりました。これは、この間、IOCにおいて議論されてきました大会経費縮減のための改革の流れとも合致しております。
もとより、整備費の削減だけに目を奪われて、大会後の競技会場を広く都民に利用され喜ばれる施設にするという大事なミッションを忘れてはなりません。今後は、施設の後利用に関するアドバイザリー会議での議論や、民間からの提案など、広く外部の意見等を参考にしながら、新設施設の後利用について検討してまいります。そして、都民に末永く親しまれる施設の整備を着実に進めてまいります。
二〇二〇年大会のレガシーについてでありますが、ロンドン視察で得た最大の教訓は、まず大会後のレガシーをしっかりと考え、そこから逆算して大会の準備を行っていくこと、この大切さであります。こうした教訓も踏まえ、都民にとって真に価値のあるレガシーを残せるよう、東京大会の会場計画の見直しに取り組んでおります。
さらに、大会とまちづくりを連動させることが重要でありまして、例えば、選手村や競技施設が集まる臨海部は、都民が生活し、スポーツを楽しむ憩いの場とするとともに、業務、商業の集積を充実させ、東京の国際的な戦略拠点としてまいります。
また、大会を機に、交通網の整備やバリアフリー化を進めてアクセス性を高めるなど、東京の都市機能を向上させてまいります。これらに加え、水素社会の実現や、誰もがスポーツを楽しめる環境づくり、ボランティアによるおもてなし、国際社会で活用できる人材の育成、心のバリアフリーの浸透など、さまざまな面でのレガシーを残してまいります。
こうしたレガシーを確かなものにするためには、将来の姿、グランドデザインを最初から見据えていくことが必要であります。
先般、設置しましたレガシー委員会において、民間の知恵や地域の声も聞きながら検討を加え、有形無形のレガシーの全体像を、来年度、レガシービジョンとして取りまとめ、都民にわかりやすく示してまいります。
そして、大会後の東京において都民生活の質を向上させ、誰もが豊かさを実感できる、活力ある社会を実現いたします。
そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁させます。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 三点のご質問にお答えをいたします。
まず、スクールソーシャルワーカーの活用についてでありますが、スクールソーシャルワーカーは、子供の健全な育成のために、福祉分野の専門性を生かして、関係機関等との連携を図り、学校への支援を行う役割を担っております。既に配置をしております区市町村からは、児童相談所の職員とともに対応し、保護者の虐待傾向が解消された事例や、医療機関を含めた関係機関と連携し、子供の問題行動が改善された事例などが報告をされており、都教育委員会は今後も、区市町村における配置の拡充を推進してまいります。
また、高校や特別支援学校におきましても、小中学校から継続をして福祉的な支援を必要とする状況が見られるため、都立学校間を巡回して支援を行うなど、スクールソーシャルワーカーの具体的な活用について早急に検討をしてまいります。
次に、特別支援教室についてでありますが、発達障害の児童は、ほぼ全ての小学校に在籍をしていることから、全校に特別支援教室を設置し、一人でも多くの児童に適切な指導を行う必要があります。
現在、四区市で実施しているモデル事業では、通級指導学級が設置されている学校に他校の児童が通って指導を受ける形態から、教員が全ての学校を巡回し、児童が在籍校で指導を受ける形態に転換をいたしました。その結果、児童の通学負担が軽減でき、学級担任と巡回指導教員の連携が図られ指導が充実するなど、多くの成果が上がっております。
平成二十八年度から全ての小学校に順次導入していくため、今後、対象児童数に基づく必要な教員等の配置や指導に適した教室環境の整備など、区市町村への確実な支援に結びつけられますよう、積極的に取り組んでまいります。
次に、発達障害教育の総合的な施策についてでありますが、全ての発達障害の児童生徒が、その持てる力を最大限に伸ばし、将来の自立と社会参加を実現するためには、適切な教育的支援を行うことが極めて重要であります。こうした児童生徒は、学習や友人関係などでさまざまな負担を感じ、学校生活に悩みを抱えることが多いことから、個々の困難に対応した教育を行うことが必要であり、保護者の不安等の軽減も求められております。
都教育委員会は、発達障害の早期発見、早期支援に向けた仕組みづくりを初め、障害の状態に応じた多様な教育の場の拡充や指導内容の充実、教員の専門性の向上、保護者に対する相談機能の強化など、就学前から小中高等学校それぞれの段階に応じて適切な教育的支援が行えるよう、体系的、総合的な施策を検討してまいります。
〔東京都技監横溝良一君登壇〕
〇東京都技監(横溝良一君) 四点のご質問にお答えをいたします。
初めに、防災力を高める道路整備についてでございますが、平常時はもとより、災害時においても、都民の生命や財産を守り、首都機能や経済活動を維持するためには、人の移動や物資の輸送、避難や救援を支える道路ネットワークを充実させることが重要でございます。
このため、首都直下地震など大規模災害時に複数ルートを確保できるよう、広域的な幹線道路ネットワークを形成するとともに、地域においては、道路閉塞を防止する無電柱化事業について、年内に策定する計画に基づき、五年間で百七十二キロメートルの新規路線を含む九百十六キロメートルの整備を推進してまいります。
また、木密地域では、燃え広がりを防ぐ特定整備路線二十八区間のうち、既に十四区間で事業を進めており、今年度中に残る全区間で事業認可を取得いたします。引き続き道路整備を積極的に推進し、災害が起きても、都民の安定した生活や国内外からの投資環境を維持し、将来世代にとって安心で魅力ある東京を実現してまいります。
次に、街路樹による東京の魅力向上策についてでございますが、オリンピック・パラリンピックを契機に、花や緑に包まれた美しい東京の街路樹の質をさらに高め、将来へのレガシーとしていくことは大変重要でございます。
このため、行幸通りのイチョウ並木や新青梅街道の桜やハナミズキ、檜原街道のサルスベリなど、四季折々の花々に彩られ、人々が愛着を持つ各地域の特色ある並木道を、歴史と風格ある都民の財産として守り育ててまいります。
また、世界中の人々が注目するマラソンコースや競技場周辺などにおいて、ランドスケープの視点から、まち並みと調和した色彩や、近景、中景、遠景といった遠近感にも配慮した樹木配置を行うなど、国内外からの来訪者を迎えるにふさわしい、世界で一番美しい都市景観を創出し、次世代に引き継いでまいります。
次に、隅田川における魅力ある水辺空間の創出についてでございますが、隅田川周辺には、浅草や東京スカイツリーなど、人々を引きつける多くの観光地がございます。水辺空間をこれまで以上に魅力あるものとするためには、こうした場所との結びつきを強め、周辺地域と一体となって、全体のにぎわいを高めていくことが重要でございます。
このため、これまでのスーパー堤防や水辺の遊歩道の整備に加え、民間開発事業と道路や公園等のインフラ整備をパッケージ化して推進することにより、回遊性の高いにぎわいあふれた空間を形成してまいります。あわせて、ライトアップを進めることにより、隅田川にかかる著名橋とともに、夜間の水辺に彩りを添え、安心して楽しく歩けるようにしてまいります。
また、船着き場の整備による水上バスや屋形船等の舟運の活性化を図るとともに、オープンカフェの誘致により、訪れる方々の憩いの場を提供してまいります。
こうした取り組みにより、隅田川をセーヌ川やテムズ川に負けないにぎわいのある空間としてまいります。
最後に、高齢者や障害者に配慮した道路空間の整備のあり方についてでございますが、超高齢社会では、まち歩きがしやすいだけではなく、地域の交流の場ともなるよう道路空間を整備していくことが重要でございます。
都はこれまで、歩行者の安全に配慮して、歩道の段差の解消や、視覚障害者誘導用ブロックの設置などを進めてまいりました。こうした取り組みに加え、今後は、例えば、高齢者や障害者がつまずいて転びやすい幹線道路と生活道路の交差部を改良し、歩道を連続化させてフラット化を図ってまいります。
また、ベンチの設置や、緑あふれる休憩スペースを設けることにより、ウオーキングする際の休憩場所の確保や、地域における憩いの場と触れ合いの場を創出してまいります。
今後とも、関係機関との協議や沿道状況などを勘案し、生涯健康社会の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。
〔財務局長中井敬三君登壇〕
〇財務局長(中井敬三君) 入札不調対策についてでありますが、都ではこれまで、資材等の市場価格を反映した予定価格を設定してきたところでありますが、契約後の状況変化に、より適切に対応し、事業者の不安感を払拭することが、今後とも重要であると認識しております。
このため、国が現在策定中の営繕積算方式のマニュアルなど、公共工事全体の円滑な施工確保に向けた取り組みも参考にしながら、さらなる設計図書の詳細化や施工条件の明示などを行うことにより、受発注者間の工事内容に関する認識の共有化をより深めてまいります。
また、施工段階で生じた変更についても、十分な協議を行っていくとともに、これらの取り組みについて、全庁の工事発注部署に周知徹底を図ってまいります。
今後とも、入札に参加しやすい環境の整備に取り組み、社会インフラの着実な整備を推進してまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
〇総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、今後の人事政策のあり方についてでございますが、都庁の執行力を強化し、長期ビジョンを実現するためには、多様な人材が活躍する課題即応解決型の執行体制の構築が必要でございます。
そのため、職層構成の簡素化や、事案決定権の移譲などにより、業務の中核を担う管理監督職の仕事の進め方を一層迅速かつ機能的なものへ転換してまいります。
一方、オリンピック・パラリンピック開催準備などの課題に対応するため、新卒者の安定的な採用はもとより、任期つき制度等のさまざまな手法も活用して、必要な人材を確保いたします。
あわせて、努力し成果を上げた者が報われる人事制度改革により、人材の精鋭化を図りながら、都民のために果敢に挑戦する組織風土を根づかせてまいります。
こうした観点から、年度内に執行体制や人事施策の見直しに関する方針を策定し、具体的な取り組みを進めてまいります。
次に、監理団体の活用についてでございます。
都はこれまで、団体数の削減や経営目標達成度評価制度の導入など、徹底して監理団体改革に取り組んでまいりました。
今後は、こうした監理団体を都政の一体的運営を担う都政グループの一員として捉え、相互の人材交流、育成を含めた幅広い連携を図るとともに、自律的な運営を尊重しつつ、行政支援、補完団体としての性格をより一層反映させた指導監督を行えるよう、簡素で都民によりわかりやすい評価の仕組みを検討してまいります。
また、技術やノウハウの継承や人材育成を確実に行う観点から、政策との連動性の高い施設管理等に引き続き監理団体を活用するとともに、施設の特性に応じて指定管理期間の長期化を検討するなど、都政を強力に支える安定的な執行体制を整えてまいります。
〔主税局長塚田祐次君登壇〕
〇主税局長(塚田祐次君) 政策を支援するための税制についてのご質問にお答えいたします。
都税収入を着実に確保し、都政の事務事業を支えていくことが主税局の使命でございますが、産業振興や少子高齢化対策など、都の施策を税制面から支援していくことも重要な役割であると認識しております。
これまでも、施策をより効果的に実現していくため、例えば、防災都市づくりを推進する観点から、不燃化推進特定整備地区において、不燃化に資する土地、家屋の固定資産税等を軽減してまいりました。
今後も、国の動向も見ながら、無電柱化など都市防災機能の強化や良好な都市景観の創出、緑の保全等、都政の重要課題の解決に向けて、税の公平性や政策効果、税収への影響などを勘案しつつ、関係各局とも連携し、研究を深めてまいります。
〔消防総監大江秀敏君登壇〕
〇消防総監(大江秀敏君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、消防活動体制の強化についてでございますが、災害発生直後、ヘリコプターを活用した迅速な消防活動は極めて有効であることから、当庁では、東日本大震災後、大型ヘリコプターを一機増機いたしました。
さらに、大島町土砂災害や多摩地域での雪害などの教訓を踏まえるとともに、震災等の大規模災害や高層ビル等における消火、救助、救急活動に的確に対応するため、ヘリコプターの機動力を最大限に生かし、特殊な資機材と高度な技術を有する部隊を早期に投入できるよう、具体的な検討を行っております。
今後とも、ヘリコプターを効果的に活用した航空消防活動体制の強化を図ってまいります。
次に、救急需要の増大への対応についてでございますが、これまで当庁では、救急相談センターの体制強化や東京版救急受診ガイドの周知、あらゆる機会を捉えた救急車の適正利用広報等を推進してまいりました。その結果、軽症者の比率の低減など一定の効果が確認できたものの、救急出場件数は増加傾向にあります。
このことから、高齢化の進展や東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催など、救急需要のさらなる増大に的確に対応するため、引き続き救急車の適正利用を促すとともに、必要な救急隊の増強等について検討してまいります。
今後とも、世界一安心・安全な都市東京の実現に向け、救急を初め消防活動体制のより一層の充実に努めてまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕
〇都市整備局長(安井順一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、八ッ場ダムの早期完成についてでございますが、都は、政権交代に伴うダム本体工事中止後も、関係県と連携いたしまして、地元の意向を最大限に尊重しながら、粘り強く建設事業の継続を国に求めてまいりました。その結果、ようやく本年十月、事業着手される運びとなりました。
現地では、鉄道や道路がほぼ移転先につけかえられ、共同浴場や旅館も代替地での営業を再開しております。来月には、ダム本体の基礎掘削が開始されると聞いております。
近年、地球規模での異常気象が生じていることを見ましても、首都圏の治水、利水の安全度を高める八ッ場ダムは、必要不可欠な施設であることは明らかでございます。地元住民も、ダム湖を前提とした速やかな生活再建を待ち望んでおり、国と関係都県による連絡協議会の場なども活用いたしまして、一日も早い完成を国に強く求めてまいります。
次に、不燃化特区における今後の取り組みについてでございます。
木密地域の改善には、特定整備路線の整備に加えまして、不燃化特区における再開発や生活道路整備など、市街地の不燃化に効果の高いコア事業を後押しする必要がございます。
このため、都は、用地取得の体制強化や都有地の活用など、一歩踏み込んだ支援メニューを示しまして、区の取り組みを促してまいりました。この結果、コア事業に位置づけた大田区糀谷駅前地区の再開発の工事が始まり、荒川区の都営住宅跡地において、生活道路整備のための従前居住者住宅の建設などが進んでおります。
今後、都市再生機構などに加えまして、地域の情報に詳しい地元企業を会員とする東京商工会議所とも連携を深め、住民からの建てかえや住みかえの相談にきめ細かく対応することなどにより、市街地の不燃化を強力に推進してまいります。
〔病院経営本部長醍醐勇司君登壇〕
〇病院経営本部長(醍醐勇司君) エボラ出血熱に備えた対策についてでありますが、行政的医療を基本的役割とする都立病院にとりまして、感染症への対応は最も重要であると認識をしております。
病院経営本部におきましては、都内で第一例目となる疑似症患者の発生を受け、直ちに、エボラ出血熱対策専門部会を設置し、二十四時間の情報連絡体制を確立するとともに、各病院では、発生に備え、受け入れ体制を整えました。加えまして、感染者が複数同時に発生した場合の対応、二次感染を防ぐための医療従事者の安全確保策や医療人材の確保など、感染症患者の受け入れに関する新たな課題に対して対策を強化してまいりました。
今後とも、関係機関と協力の上、エボラ出血熱を初め感染症から都民を守るため、全力を尽くしてまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
〇福祉保健局長(梶原洋君) 五点のご質問にお答えをいたします。
医療介護総合確保法に基づく計画についてでありますが、今回の計画は、急速な高齢化に伴う医療ニーズの増加を見据え、効率的で質の高い医療提供体制や地域包括ケアシステムの構築、質の高い医療人材の確保と多職種連携の推進、ICTを活用した効率的な医療資源の活用等を推進することを目的に策定いたしました。
計画には、医療関係団体の意見も聞きながら、在宅療養への移行を支援する人材の中小病院への配置やICTを活用した医療と介護の関係者のネットワークの構築など、地域包括ケアシステムの構築に向けた基盤づくりの取り組みを重点に、地域医療介護総合確保基金を充当する事業を盛り込んでおります。
今後、区市町村や関係団体とも連携しながら、基金を活用して、計画に掲げた取り組みを積極的に進めてまいります。
次に、認知症疾患医療センターの整備についてでありますが、都における認知症高齢者は、十年後の平成三十七年には、現在の三十八万人から約六十万人へと急速に増加することが見込まれております。
そのため、都は現在、学識経験者、医療、介護関係団体等から成る認知症対策推進会議に部会を設け、認知症医療の核となる認知症疾患医療センターの機能や配置数等について検討を進めております。
国のオレンジプランでは、平成二十九年度までに、全国で現在の二倍に当たる約五百カ所を整備する目標を掲げていますが、都は、現在十二の二次保健医療圏に一カ所指定しているセンターを区市町村ごとに一カ所指定し、より身近な地域で医療と介護の連携を進めながら、認知症の人と家族を支える体制を構築していく方針でございます。
次に、保育サービスの充実についてでありますが、都はこれまで、保育人材の確保、定着を図るため、就職支援研修や就職説明会の開催、再就職や定着を支援するコーディネーターの配置、処遇改善補助など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。また、保育サービスの水準を確保するため、都独自に、子育て推進交付金や民間社会福祉施設サービス推進費補助などを実施してまいりました。
今後、保育サービスをさらに充実するためには、保育人材の確保、定着のためのキャリアパスの仕組みを整備いたしますとともに、障害児やアレルギー児など特別な支援が必要な子供への対応を強化する必要がございます。
こうした考えに立ちまして、現在、都独自の補助制度の見直しも検討しており、今後とも、保育人材の確保と保育サービスの質の向上に向け、全力で取り組んでまいります。
次に、家庭的養護の推進についてでありますが、子供は本来、家庭的な環境のもとで、愛情に包まれながら健やかに養育されることが望ましいものでございます。
そのため、都は、家庭的養護の取り組みを進めており、養育家庭の登録数をふやすため、制度を広く都民に周知いたしますとともに、児童を養育している養育家庭に対し、児童相談所や民間団体を活用したきめ細かな支援を行っております。
また、少人数の生活単位で養育を行うグループホームやファミリーホームの設置を促進するため、開設準備経費や家賃の助成など、都独自の支援を行っております。
こうした取り組みを一層進めるため、現在、グループホームやファミリーホームの新たな設置促進策を検討しており、今後とも、養育家庭を初めとする家庭的養護を積極的に推進してまいります。
最後に、動物愛護のための取り組みについてでありますが、都は、人と動物との調和のとれた共生社会を目指すため、国に先駆けて、平成十五年度に東京都動物愛護推進総合基本計画を策定し、動物の終生飼養、虐待、遺棄の防止などに取り組んでまいりました。
また、本年四月には、動物愛護管理法の改正も踏まえ、計画の改定を行い、飼い主への適正な飼養の啓発、事業者による動物の適正な取り扱いの推進、致死処分数のさらなる減少等を柱に対策の強化を図っております。
昨年度は、動物取扱業者に対して約二千三百件の監視指導を実施しており、今後とも、監視指導の徹底を図るとともに、区市町村や獣医師会、動物愛護団体、ボランティア等とも連携しながら、適正飼養に向けた普及啓発や動物の譲渡などの取り組みを一層推進してまいります。
〔環境局長長谷川明君登壇〕
〇環境局長(長谷川明君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、花と緑を生かした緑化についてでございますが、花や緑は、潤いや安らぎ、風格ある美しい都市景観の創出、生態系の保全など、多様な効能を有することから、魅力あるまちづくりにとって重要な要素と認識しております。
都はこれまで、都市公園や街路樹の整備、緑化計画書制度など、緑の量をふやす取り組みとともに、生物多様性の保全に資する在来種植栽の推進など、緑の質を高める取り組みを推進してきております。
今後、こうした取り組みに加え、人々を魅了する美しさという視点も踏まえ、区市町村と連携した取り組みや、民間事業者による花と樹木を用いた植栽づくりを促進する仕組みを検討し、オリンピック・パラリンピック大会終了後も継続する環境と調和した世界で一番美しい都市東京の実現を目指してまいります。
次に、フロン対策についてでございます。
現在、オゾン層を破壊しない代替フロンへの転換が進んでおりますが、代替フロンも温室効果ガスであり、排出量は、二〇三〇年に現在の約二倍になると推計されております。
このため、都は、代替フロンの排出量を二〇三〇年度には二〇一四年度対比で三五%削減する数値目標を新たに長期ビジョンで設定し、対策を推進してまいります。
フロンの製造から破壊処理までの管理の徹底と、使用の抑制という改正フロン法の趣旨も踏まえ、都独自に設備点検の事業者団体と連携して、機器ユーザーの漏えい防止の取り組み状況を把握し、適正管理の指導を行ってまいります。また、ノンフロン機器などへの転換を促すため、補助制度に加え、製品や店頭でのラベル表示など、事業者や都民が選択しやすい仕組みづくりを進めてまいります。
最後に、資源循環施策の今後の展開についてでございますが、二〇二〇年以降も見据えた東京の持続的な発展のためには、都民や企業の協力のもと、天然資源の消費に伴う環境への影響を最小限に抑制していく必要がございます。
このため、今年度中に策定する取り組み方針におきまして、食品ロスなどの資源の無駄の削減、再生砕石等のエコマテリアルの利用、廃プラスチック等の廃棄物の循環利用の三つの柱から、持続可能な資源利用に向けた施策の方向を示してまいります。
あわせて、資源循環を進めるためには、家庭や事業者が排出する一般廃棄物を所管する区市町村との一層の連携が必要でありますことから、早期に協議の場を設けてまいります。
また、来年度からは、創意工夫により徹底した循環利用などを実践している先進的企業と協働して、こうした持続可能な資源利用の活動の普及にも取り組んでまいります。
〔交通局長新田洋平君登壇〕
〇交通局長(新田洋平君) 都電荒川線を活用した緑のネットワーク化についてでございますが、交通局ではこれまでも、沿線の景観向上を図るため、地元区等と連携し、バラやツツジなどによる沿線緑化に取り組んでまいりました。
現在、都は荒川線を含む補助八一号線の整備を進めており、このうち、向原停留場から東池袋四丁目停留場の区間は、地元からの意向を踏まえ、道路整備の中で軌道内緑化も行うこととしております。交通局としましても、緑化後の維持管理作業に協力してまいります。
今後、安全な運行や線路等の保守点検への影響、生育に適した品種等の検証を行うなど、荒川線を活用した緑のネットワーク化に向けて関係機関や地元区等と積極的に連携協力し、世界で一番美しい都市東京の実現に貢献してまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕
〇産業労働局長(山本隆君) 四点のご質問にお答えをいたします。
まず、中小企業の販路開拓支援についてでございますが、都内中小企業が製品の種類や取引の相手方などに応じて、多様な手法により販路開拓に取り組むことは重要でございます。
都はこれまで、大手メーカーや商社とのマッチング、展示会への出展などを通じて、中小企業のすぐれた製品の販路開拓を効果的に支援してまいりました。これらに加えまして、一般消費者向けの製品につきましては、テレビやインターネットなどによる通信販売が堅調なことから、このような販売手法に取り組む中小企業に対する実践的なサポートを充実させていくことが必要でございます。
今後は、中小企業の販路のさらなる拡大を図るため、こうしたメディアを活用した取引など、新たな販売手法に対するきめ細かな支援策を検討してまいります。
次に、女性を中心とした創業支援の強化についてでございます。
東京が将来にわたり成長を続けていくためには、女性を初めとした新たな担い手による創業の促進が重要でございます。
このため、都は、信用金庫、信用組合や創業アドバイザーと連携をいたしまして、有利な条件での融資とともに、セミナーの開催や事業プランへの助言等を行う女性・若者・シニア創業サポート事業により、地域に根差した創業を支援しております。
これまでに、親子向けフォトスタジオや、アクセサリーの製作教室を兼ねた製造販売など、女性の豊かな感性を生かした創業が実現をいたしました。
今後は、このような取り組みをより強力に後押しするため、融資の促進に向けた原資のさらなる拡充やノウハウ不足等で悩む女性に対するきめ細かな経営サポートの充実など、資金と経営両面からの支援の強化を検討してまいります。
次に、区市町村と連携をした就業支援についてでございます。
女性や若者、高齢者など誰もが活躍できる社会の実現のためには、雇用就業施策の推進に当たって、地域の実情を踏まえることも重要でございます。
都はこれまで、国の交付金を活用した失業者の雇用拡大やシルバー人材センターに対する支援など、区市町村を通じた取り組みを実施してまいりました。
今後、雇用就業の一層の推進に向けては、身近な地域での就業を希望する方への支援や、都や国の支援窓口に足を運ばない若者への働きかけ等、よりきめ細かな対応が必要でございます。
このため、従前の事業の成果を踏まえ、地域の状況を把握している区市町村の多様な施策を後押しするなど、さらなる連携方策を検討し、東京の発展を人材面から支えてまいります。
最後に、都市農業の振興についてでございます。
都市農業は、新鮮で安全・安心な農産物の供給に加え、生産基盤である農地が、防災や環境保全等の多面的機能を発揮しており、その一層の振興を図っていくことが必要でございます。
都はこれまで、都市農地の保全を図るため、相続税制度等の改善を含む法整備を早期に行うよう国に強く求めるとともに、農業振興プランに基づき、施設栽培の推進や、大消費地の利点を生かした直売、加工の推進など、収益力の強化に向けた施策を重点的に実施してまいりました。
今後、こうした取り組みに加え、税制を含む効果的な農地保全策を検討するため、関係局を初め、区市や生産者団体等との会議を新たに立ち上げるとともに、トウキョウXや、キウイの東京ゴールド等のブランド農産物の生産を拡大するなど、実効性ある施策を検討してまいります。
〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕
〇中央卸売市場長(岸本良一君) 豊洲新市場用地の安全性についてでございますが、我が国最先端の知見や技術をもちまして、平成二十三年八月から進めてまいりました土壌汚染対策工事につきましては、本年十月末をもって完了し、先月二十七日の外部の有識者によります技術会議におきまして、全ての対策の完了を確認いたしました。これにより、都といたしましては、豊洲新市場用地の安全性が確認できたものと認識しております。
今後は、地下水管理システム等により、豊洲新市場の開場前、開場後を通じ、永続的に徹底したリスク管理を行い、都民や市場関係者の安心に資することができますよう、引き続き全力で取り組んでまいります。
〔水道局長吉田永君登壇〕
〇水道局長(吉田永君) 東京水道の国際展開についてでありますが、これまで、タイや台湾で、漏水や盗水などの収入に結びつかない無収水に関する対策へのアドバイスを行うパイロット事業に取り組んでまいりました。
今回のヤンゴンにおきます事業は、資器材の調達、輸送、漏水調査、水道管の取りかえ及び修繕などを行うもので、公民連携、日本製資器材の調達、政府開発援助、ODAの活用を特徴とした新しいモデルであります。
国際展開に当たりましては、相手国の実情やニーズに合わせまして、東京水道が培ってきた技術力を生かし、研修受け入れや職員派遣などによる人材育成に取り組むとともに、国や民間企業と連携し、新しいモデルを活用した事業展開を推進してまいります。
〔下水道局長松田芳和君登壇〕
〇下水道局長(松田芳和君) マレーシアの下水道整備プロジェクトについてでございますが、これは我が国で初めて、官民連携により、下水道管から処理場に至るシステム全体を一括実施する海外プロジェクトでございまして、東京下水道の技術が採用されたことにより、首都クアラルンプール郊外の深刻な水環境の改善や、日系企業の参入機会創出に寄与するものでございます。
現在は、下水道管の敷設ルートや処理場予定地で詳細な土質調査、現地測量を行っており、その後、詳細設計を経て、来年夏ごろの建設工事着工を目指しております。
相手国の法制度や短い工期などさまざまな課題はございますが、官民一体となったインフラ輸出のリーディングケースとなるよう、今後とも、設計、建設、維持管理の各段階において、監理団体の東京都下水道サービス株式会社と連携し、プロジェクトの成功に向け、積極的に支援してまいります。
〔生活文化局長小林清君登壇〕
〇生活文化局長(小林清君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、子ども・子育て支援新制度施行に伴う私立幼稚園に係る保護者負担軽減の対応についてでございますが、これまで都は、一定所得以下の園児保護者に対しまして、区市町村が行う保護者負担軽減事業に係る経費の一部を補助する私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助を実施し、保護者の負担軽減を図ってまいりました。
新制度に移行した幼稚園の保育料は、国が定めた上限額の範囲内で、区市町村が定め、それを超えて私立幼稚園が特色ある教育を行うために必要な費用がある場合には、別途保護者から徴収する仕組みになります。
このため、生活保護世帯や多子世帯の第三子など、保育料が無料となる子供については、保育料以外の負担が生じる場合があることから、都といたしましては、保護者の実負担額が変わらないよう、新制度に移行する園についても、負担軽減補助を引き続き実施するとともに、低所得世帯などに新たな負担が生じないよう取り組んでまいります。
次に、私立幼稚園を母体とする認定こども園への対応についてでございます。
子ども・子育て支援新制度への移行は、財源確保も含め、まずは国の責任において行われるべきであり、私立幼稚園を母体とする認定こども園は、現行の私学助成と比べ減収となる園が多いことから、都は、繰り返し国に対して緊急要望を行ってまいりました。
十月下旬に、国は公定価格の一部見直しを検討する方向性を示しましたが、来年度予算の編成において、どの程度の改善が図れるかは不透明であり、このままでは、保護者の負担増や教育環境の悪化につながるおそれがあります。
このため、都としては、私立幼稚園団体からのご要望も踏まえ、認定こども園が幼児教育と保育を一体的に提供する機能を十分に発揮し、保護者からのニーズに引き続き応えていけるよう、新制度移行による減収の影響を緩和する措置を講じる予定でございます。
今後とも、国に対しまして、新制度の実施に伴う必要な財源の確保と公定価格の改善を求めるとともに、都といたしましても、新制度の実施主体である区市町村と連携を図りつつ、認定こども園が引き続き質の高い幼児教育、保育を提供できるよう支援をしてまいります。
次に、地域の底力再生事業助成の制度改善についてでございます。
都はこれまでも、助成の継続利用の導入や概算払い割合の引き上げなど、活用促進に取り組んでまいりましたが、いまだ本制度を活用していない町会、自治会も多い状況にあります。
また、他の町会、自治会や地域団体と共同した取り組みは、単独での取り組みの場合に比べ、担い手の確保や活動の多様性などの点で効果的であり、東京都町会連合会からも、実態に見合う制度への改善要望を受けております。
一方で、地域社会の核となる町会、自治会自身も、若い世代の加入促進などの課題を抱えており、組織の活性化を支援する体制の強化が必要であると考えております。
そのため、来年度に向け、一つの町会の枠を超えて共同して取り組む活動に対する助成の枠組みや金額について、その規模や構成に配慮した制度の見直しを行うとともに、新たに町会、自治会の活動の向上に資するアドバイザーの派遣に取り組んでまいります。
最後に、伝統文化の世界発信に向けた取り組みについてありますが、我が国が大切に守り育ててきた伝統文化について、外国人や子供たちにその魅力を伝えていくことは、伝統文化の継承、発展、そして発信において極めて重要であると認識をしております。
そのために、外国人に対しましては、来日時の短期間でその関心の度合いに応じ、正しく日本の伝統文化を理解してもらう仕組みの導入が必要であることから、茶道、華道の体験や、一流の実演家による能、日本舞踊などの鑑賞と体験のプログラムを今後、実施してまいります。
また、これまで小中学生向けの伝統文化体験は希望者のみを対象としておりましたが、今後は都内全域で体験できるよう、学校と連携した取り組みを始めるなど、伝統文化の理解促進に向けた取り組みを本格的に進めてまいります。
〔港湾局長多羅尾光睦君登壇〕
〇港湾局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、東京港の道路ネットワークの充実についてですが、東京港の物流機能を強化していくためには、増加するコンテナ貨物に適切に対応できるよう、抜本的な交通インフラの増強が必要であり、東西及び南北両方向の骨格となる道路の拡充やボトルネックの解消が欠かせません。
このため、平成二十九年に供用開始予定の中央防波堤外側コンテナふ頭Y2を初めとするふ頭整備の進展に合わせ、オリンピック・パラリンピック競技大会の開催も見据えて、臨港道路南北線及び接続道路を国とも連携し、大会開催までに確実に整備してまいります。
さらに、東西方向の国道三五七号について、平成三十年度までの東京港トンネルの完成に加え、高架構造も含む残された区間の早期整備を国に強く働きかけ、東京港の道路ネットワークを全力で充実強化してまいります。
次に、ターミナル周辺の渋滞解消についてですが、まず、現に道路上に滞留しているコンテナ車の待機列の早期解消に向け、即効性のある取り組みを実施してまいります。
具体的には、コンテナ車の引き込みスペースである車両待機場の整備を進めており、既に整備済みの青海ふ頭に加え、平成二十八年度には、大井ふ頭に五百三十台収容可能な大規模な車両待機場を整備し、東京港の主要コンテナふ頭の周辺道路における待機列を早期に解消してまいります。
また、コンテナの搬出入時間平準化の取り組みである早朝ゲートオープンに加え、台車部分の違法駐車への取り締まりを今年度中に強化するなど、さまざまな対策を進めてまいります。
それとともに、東京港の渋滞の根本的な原因である港湾施設能力不足を克服するため、新コンテナターミナル整備などの抜本的な対策を確実に進めてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、今後の区市町村支援についてでありますが、二〇二〇年大会の成功に向け、都内全域で機運醸成を図るとともに、大会を契機としたさまざまな事業を大会後のレガシーとして地域に根づかせるためには、区市町村の主体的な取り組みを促進することが必要でございます。
大会準備が本格化する中、本年開催いたしました五十周年記念事業をキックオフとして、機運醸成に加え、事前キャンプの誘致、おもてなしのためのボランティア育成、多言語対応など、区市町村独自の新たな取り組みが活発化いたします。
このため、都は二〇二〇年に向け、継続的かつ計画的に、区市町村がみずから行うオリンピック・パラリンピックの普及啓発やスポーツ振興、海外の来訪者の受け入れ体制整備等、ハード、ソフト両面の多様なニーズに対応できる支援策を構築し、積極的な支援に向けて取り組んでまいります。
次に、ボランティアの育成についてでありますが、都は、関係機関とともに、東京マラソンやスポーツ祭東京二〇一三を支援するボランティアを育成してまいりました。二〇二〇年大会では、大会運営に携わる大会ボランティアが約八万人、観光案内などを行う都市ボランティアが一万人以上必要になると想定されることから、今後、ボランティアとなり得る人材の育成が一層重要となります。
そのため、都、国、区市町村、組織委員会、民間団体等による連絡協議会を来年度上半期に設置いたします。協議会では、参加団体の協力により、ボランティアの参加機会の提供や関連情報の発信を通じ、裾野の拡大を図ります。あわせて、都市ボランティアのあり方についても検討してまいります。
大会において、ボランティアを通じた日本ならではの、おもてなしを実現してまいります。
最後に、障害者スポーツの振興についてでありますが、これまで都は、バリアフリー化や人材育成等、障害者スポーツの環境整備を行うとともに、イベントを通じ、都民が障害者スポーツに触れる機会の提供に取り組んでまいりました。
東京で二度目の開催となります二〇二〇年パラリンピック競技大会は、障害者スポーツをさらに発展させる絶好の機会であり、未来に継承すべき確かなレガシーをつくり上げていかなければなりません。都は、障害者スポーツの普及啓発を積極的に推し進め、裾野を広げていくとともに、施設のさらなる充実や場の拡大、競技力強化に至るまで、引き続きあらゆる施策を加速してまいります。
このような取り組みを通じて、障害のある人もない人も、ともにスポーツを楽しめる、世界を代表するスポーツ都市東京の実現を目指してまいります。
〇議長(高島なおき君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十六分休憩
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