午後三時四十五分開議
〇議長(吉野利明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
九十六番山田忠昭君。
〔九十六番山田忠昭君登壇〕
〇九十六番(山田忠昭君) かつて陸上選手としてインターハイにも出場し活躍した舛添知事もご存じのとおり、スポーツは、人々に夢や希望を与え、喜びや生きがいのある生活を送る原動力となります。
都が昨年度から実施している千キロ縦断リレーは、被災地の現状を発信し、震災の記憶の風化を防止するとともに、全国と被災地とのきずなを深めるなど、東日本大震災からの復興に大きな役割を果たしています。
私は、昨年の宮城県松島町に続き、ことしも岩手県陸前高田市で、このリレーのランナーとして参加いたしました。震災の傷跡が残るまち中を走り、被災地の今を肌で感じることができました。被災地では復興に向けて着実に前進しており、このような事業を通じて、現地の状況を多くの方に知ってもらうことが大切だと感じました。
青森から十五日間かけて被災地をつないだたすきは、東京のゴールで参加者のメッセージとともに、知事に受け取っていただきました。
たすきやメッセージに込められた参加者の熱い思いを知事にも感じていただいたと思いますが、被災地の復興に向けた千キロ縦断リレーの意義について知事にお伺いをいたします。
私は千キロ縦断リレーで、その日に初めて会った被災地のランナーとともに、猛暑の中を励まし合って走りました。そして、次の区間にたすきをつないだときには、充実感や達成感をお互いに共有することができました。このように、スポーツには一つの目標に向かって人々を結びつける力があります。
これまで東京都では、被災地の子供たちを東京マラソンに招待したり、さまざまなスポーツを通じて被災地の人々と都民との交流の場を設けるなど、復興に向かう人々を励まし、勇気づけてきました。
今後も、引き続きスポーツを通じた被災地支援に取り組む必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
次に、青少年問題についてお伺いいたします。
去る七月三十日には、私の地元である西東京市において、父親から受けた虐待を苦にしたと思われる中学生がみずからの命を絶ちました。その後も、一カ月余りの間に、都内の小中学生の自殺に関する報道が続きました。
内閣府がまとめた平成二十五年度の自殺の状況によりますと、十九歳以下の子供の自殺の原因は、進路や病気に関する悩み、学業不振、友達との不和、親子関係など多様であります。しかし、いかなる理由にせよ、将来のある子供がみずからの命を絶つということは大変悲しいことであり、痛恨のきわみであります。
各学校においては、これまで子供の自殺を予防するために、さまざまな取り組みが行われてきたと思いますが、改めて、子供の自殺予防のための都教育委員会の取り組みについてお伺いいたします。
次に、児童虐待への対応にかかわる関係機関との連携についてお伺いをいたします。
児童虐待相談件数は年々増加し、児童虐待に関する事件がいまだ後を絶ちません。中でも、親からの虐待により死亡に至った事件は、極めて痛ましく、深い悲しみを覚えます。虐待を受けた子供は、親をかばったり、みずから助けを求めることに思いが至らなかったりするなど、みずからSOSを出さないケースもあると聞いております。
こうした子供たちを救うためには、学校や保育園など、子供とかかわりのある関係機関において、子供の様子などから虐待のおそれがあることにいち早く気づき、区市町村の子供家庭支援センターや児童相談所につなげることが重要であります。そして、関係機関がこうした情報を共有し、役割に応じて適切に対応することにより、痛ましい結果を防ぐことができると考えます。
そこで、児童虐待の対応において、都として、地域の関係機関の連携をより一層強化するための働きかけを行う必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
次に、多摩地域の都市基盤の整備についてお伺いをいたします。
多摩地域の発展のためには、物流や経済を活性化し、生活の利便性を高める都市基盤の整備が必要不可欠であります。
これまで、府中清瀬線が昨年の三月に全線開通するなど、多摩南北主要五路線の整備が進んできております。このうち、私の地元を通る調布保谷線は、西武池袋線の交差部のトンネル工事を初めとした整備が着実に進められており、いよいよ工事の完成した姿が誰の目にもわかる状況になってまいりました。
さらに、これにつながる埼玉県の都市計画道路の説明会が本年七月に行われたとも聞いており、都県境を越えた、より広域的な道路ネットワークの構築も期待されるところであります。
これまで完成した区間では、環境施設帯が設置されるなど、広い幅員で人に優しい道路が整備されたことに、地元からは感謝の声も上がっております。このように、道路整備においては、沿道環境などへの配慮が欠かせないと考えます。
そこで、調布保谷線の整備についてお伺いをいたします。
そして、この調布保谷線の整備とともに、東伏見公園、石神井川の一体的な整備によって、多摩北部地域において水と緑のネットワークの形成が着実に進んできております。
石神井川においては、東伏見公園と下流の武蔵関公園との間で、河川沿いの散策路の設置や河道の緑化が行われており、引き続き調布保谷線の上流区間で事業着手するなど、着実に改修工事が進められております。
東伏見公園は、平成二十五年四月に、調布保谷線開通や石神井川の改修とあわせて、開園記念式典が開催され、現在は、子供から大人まで多くの人々に利用される公園として、新たな憩いと潤いの場となっております。
そこで、多摩北部地域における緑の拠点として重要な東伏見公園の整備について、進捗状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
次に、都市計画道路新五日市街道の整備についてお伺いいたします。
多摩地域のネットワーク整備については、都はこれまで、調布保谷線を初めとした南北主要五路線の整備に重点的に取り組んできました。これにより、交通の円滑化など、一定の成果を上げてきておりますが、さらなる防災性の向上や都市間連携の強化など、多摩地域の魅力をより一層高めるためには、今後は、新五日市街道などの東西道路の整備を推進することが不可欠であると考えます。
平成二十六年三月に都が策定した新たな多摩のビジョン行動戦略では、行動戦略の一つとして多摩地域の幹線道路ネットワークの整備が掲げられており、その中で、多摩東西主要四路線の整備を着実に推進すると示されておりますが、特に、新五日市街道の整備は、他の東西主要路線と比べて大きくおくれております。
これらを考慮すると、新五日市街道は、新たな都市計画道路の整備方針における優先整備路線に位置づけた上で、着実に事業推進を図るべきだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
次に、遺跡の保存、活用についてお伺いいたします。
都内には、歴史的価値のある文化財が多数存在しております。我が西東京市にも、下野谷遺跡という縄文時代の著名な遺跡が所在しております。下野谷遺跡は、縄文時代中期の集落跡であり、既にこれまでの調査で四百五十軒以上の住居跡が見つかっております。
集落の形態は、中央の広場を竪穴住居が輪の形に並び、その内側に、墓や倉庫などがある拠点的な集落であり、西側、東側地区に二つの集落が隣接する双環状集落であります。保存率も非常に高く、関東屈指の規模と内容を誇っており、研究者からも大変注目をされております。
こうした日本固有の貴重な遺跡を内外に知ってもらうためにも、保存、整備し、活用していくことが重要と考えますが、都教育委員会の取り組みをお伺いいたします。
次に、有機農業の推進についてお伺いいたします。
消費者の食の安全・安心への関心が高まる中で、農薬や化学肥料の使用をできるだけ控えた、いわゆる有機農業で生産された農産物が求められております。
また、東京のように、住宅地と隣接した農地が多い都市農業においては、農薬の散布などについても配慮が必要であり、有機農業のような環境に対する負荷をできる限り低減した生産方法への取り組みが重要であると考えます。
しかしながら、有機農業は、高度の技術と長年の経験を必要とする難しい農法でもあります。
私の地元西東京市でも、有機農業に取り組み、安全・安心な農産物を消費者に届けるため、日夜努力している農業者がいらっしゃいます。農業者のこうした努力が多くの消費者に認められ、このような農法を始める農業者をふやしていく取り組みが必要であると考えます。
都は、こうした取り組みを推進するため、東京都エコ農産物認証制度を昨年から開始していますが、この制度をさらに普及し、安全・安心な農産物の生産を拡大し、このような農法に取り組む農業者を増加させていくために、どのような取り組みを行っているかをお伺いし、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
〇知事(舛添要一君) 山田忠昭議員の一般質問にお答えいたします。
千キロメートル縦断リレーの意義についてでございますが、スポーツを通じて全国と被災地とのきずなを深め、被災地の方々に夢と希望を持っていただくことは大変重要であります。
私は、千キロメートル縦断リレーの最終ゴールで、長い道のりをつなぎ、多くの参加者の思いが込められたたすきとメッセージを受け取りました。改めて、全国の方々が一日も早い被災地の復興を強く願っていると感じました。
このリレーは、人々の気持ちを一つとし、被災地の方々を勇気づけることができます。そして、どんな状況でも諦めない強い心を育み、それが復興に向けた原動力にもなると考えております。
被災地の復興なくして日本の明るい未来はあり得ない。日本人が力を合わせて東日本大震災を克服し、復興をなし遂げた姿を世界に発信する場が二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックであります。たすきをつないだ九百人にも上る方々も、私と同じ気持ちで走ったと思います。被災地の復興を後押しするこのたすきを、二〇二〇年東京大会に確実につなげていきたいと考えております。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、子供の自殺予防のための取り組みについてでございます。
都教育委員会は、自殺予防の観点から、配慮を要する子供への面接など、具体的な取り組みを示した資料を学校に配布するとともに、二十四時間対応の電話相談の実施、緊急時における臨床心理士の派遣などを行ってまいりました。
このたび、子供がみずからの命を絶つという事故が相次いだことを受け、去る九月八日、区市町村教育委員会担当者を緊急に招集し、子供の悩み、交友関係、家族関係などを学校全体で把握し、心理や福祉などの関係者と連携して支援する取り組みの確実な実施について徹底を図ったところです。
今後、都教育委員会は、学校がスクールカウンセラーを有効に活用するなどして、子供の発するわずかな兆候も見逃すことなく迅速に対応し、自殺を予防することができるよう全力で取り組んでまいります。
次に、遺跡の保存活用についてであります。
都教育委員会は、都内に存在する貴重な遺跡等について、国や都の史跡への指定を推進しております。史跡を保存、活用し、その歴史的価値を広く内外へ発信していくことは重要でございます。
西東京市の下野谷遺跡は、縄文時代中期の関東地方における有数な規模の拠点的な集落跡でございます。縄文時代の生活を知ることができる貴重な遺跡であることから、将来にわたって保存するため、現在、西東京市とともに、国の史跡として指定されるよう取り組んでおります。
都教育委員会では、史跡の所有者が行う住居の復元や体験施設の建設に対し、補助の実施や専門的、技術的な指導を行うことにより、史跡を整備し、広く一般に公開するなどの活用に取り組んでまいります。
〔東京都技監横溝良一君登壇〕
〇東京都技監(横溝良一君) 二点のご質問にお答えをいたします。
初めに、調布保谷線の整備についてでございますが、この路線は、川崎街道から埼玉県境に至る多摩南北五路線の一つであり、地域の自立性や都市間連携の強化、防災性の向上に資する極めて重要な骨格幹線道路であります。
整備に当たっては、幅員三十六メーターのうち、車道の両側に十メーターの環境施設帯を設け、例えば唯一未開通の西東京区間では、市の木であるケヤキやハナミズキを選定するなど、地元の方々の意見に耳を傾けながら、緑豊かな植樹帯を整備してきております。
また、歩行者と自転車の分離、無電柱化事業の推進などにより、安全で快適な都市空間を創出し、良好な景観形成に配慮した道路整備を進めております。
引き続き、多摩地域の魅力と活力を高める調布保谷線の早期完成に向け、全力で取り組んでまいります。
次に、東伏見公園の整備についてでございますが、この公園は、南北を貫く調布保谷線と南側を流れる石神井川の一体化により、道路、公園、河川事業の相乗効果を高め、人々の憩いと安らぎの空間となるよう整備を進めております。
これまでに、公園の区間において、調布保谷線の一部を地下化し、その上部に歩道機能も備えた快適な園路などを整備し、歩行者や自転車のアクセス性の向上を図りました。
また、現在、東伏見稲荷と隣接する地域などで用地取得を進めており、稲荷の森と公園の樹林地等が連続する緑豊かなエリアとなるよう整備をしてまいります。
さらに、今後は、石神井川の整備とあわせて、人々が多様な生物や水と触れ合える親水空間の形成を進め、北多摩地域における水と緑のネットワークの拠点となるよう、公園の整備に積極的に取り組んでまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) スポーツを通じた被災地支援についてでありますが、スポーツには、人々を勇気づけ、希望を与え、人と人とのきずなを育む力があり、被災地の人々にとってスポーツは、復興へ向けた大きな力になると考えております。
都では、震災が発生した平成二十三年から、スポーツ招待交流事業を実施し、野球やサッカーの試合などを通じて、被災地と東京の子供たちの交流を図っております。
また、アスリートを被災地へ派遣してスポーツ教室を開催し、被災地の子供たちがスポーツを楽しむ機会を提供するなど、さまざまな事業を実施し、スポーツの力を活用して復興を後押ししてまいりました。
今後も、地元自治体など関係者と連携しながら、スポーツを通じた被災地支援の実施に向けて積極的に取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
〇福祉保健局長(梶原洋君) 虐待対応における関係機関の連携についてですが、都は、深刻化する児童虐待に対して、地域の関係機関と情報を共有し、連携して対応するため、児童相談所に地域支援を行う職員や保健師の資格を有する医療連携専門員を配置するとともに、区市町の先駆型子供家庭支援センターに関係機関との連携や調整を行う虐待対策コーディネーターの配置を進めております。
また、全ての区市町村は、要保護児童対策地域協議会など、子供家庭支援センター、児童相談所、学校、保健所等の地域の関係機関のネットワークを構築し、各機関が情報の共有を図りながら、援助方針等を確認し、児童や家庭への適切な支援を行っております。
今後とも、地域の関係機関との連携を一層強化し、児童虐待に迅速かつ的確に対応してまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕
〇都市整備局長(安井順一君) 新五日市街道の整備についてでございますが、本路線は、西東京市からあきる野市に至る広域的な骨格幹線道路であり、五日市街道など周辺道路の渋滞緩和はもとより、多摩地域におけます東西の地域間連携を図る上でも重要な路線でございます。
第三次事業化計画におきましては、このうち福生市の国道一六号から立川市の立川東大和線までの区間を優先整備路線として位置づけております。
現事業化計画が平成二十七年度に終了することから、現在、都と地元区市町とで、次期計画の検討を進めております。
今後、渋滞の効果的な解消や高度防災都市の実現などの視点から、優先整備路線の選定を行っていく予定でございまして、お尋ねの路線につきましても、この中で適切に対応してまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕
〇産業労働局長(山本隆君) 有機農業の推進についてでございます。
化学農薬や化学肥料の使用を控えた農業の推進は、食の安全・安心を求める消費者の期待に応えるとともに、環境への負荷を軽減する観点からも重要な取り組みでございます。
このため、都は、化学農薬と化学肥料を削減した農産物を認証する都独自の東京都エコ農産物認証制度を実施しており、これまでに二百九十三名の生産者に対し、コマツナや梨、お茶など、延べ千九百五件の農産物を認証しております。
これらの農産物には、消費者にわかりやすい認証マークを表示し、他の商品と差別化して販売できる仕組みとなっております。
都は今後、認証実績を量販店などに紹介し、販路を拡大するとともに、直売所等でのPRの充実など、本制度の一層の普及を図ることにより、安全・安心な農産物の生産に取り組む農業者を増加させてまいります。
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