午後一時開議
〇議長(吉野利明君) これより本日の会議を開きます。
〇議長(吉野利明君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
〇議長(吉野利明君) 次に、日程の追加について申し上げます。
議員より、議員提出議案第十三号、東京都木造住宅耐震改修促進補助条例外議会の委任による専決処分について一件が提出されました。
これらを本日の日程に追加いたします。
〇議長(吉野利明君) 昨日に引き続き質問を行います。
六十五番きたしろ勝彦君。
〔六十五番きたしろ勝彦君登壇〕
〇六十五番(きたしろ勝彦君) 初めに、道徳教育と修身についてお伺いをいたします。
私は、かねてより、日本の伝統文化と美徳を重視した教育の実現を主張してきました。そして、その結果、本年度は四十七の都立学校において、学校設定教科、科目、日本の伝統文化が実施されていることは、世界に誇る日本の精神を身につける点ですばらしいことです。
国は、小中学校の道徳を来年度に教科化する予定で検討していると聞きました。平成二十七年は、教育勅語が発布され百二十五年に当たります。我が国は戦前、この教育勅語に基づいた修身により道徳教育を行ってきました。
しかし、戦後、占領軍指令により、この修身は姿を消しました。そして、日本は、日教組によって戦前の価値観が全否定され、日本人の大切な美徳までもが教えられなくなりました。生命の根源、すなわち聖なるものに対する畏敬の念でさえ、教育界には今も嫌悪する体質が根強く残っています。
かつて、レーガン政権下のアメリカにおいて、教育改革が重要な課題となっていました。ここで着目すべきは、当時のアメリカが教育視察団を日本に派遣して、日本の教育を学んだ後、教育長官を務めたベネットが美徳の本をあらわしたことです。この本はベストセラーとなりましたが、日本の修身を基点とする道徳教育を参考にしたともいわれています。
同時期、イギリスではサッチャー政権のもと、いわゆる英国病から国家を回復させるための改革を強力に推し進める中で、教育改革法及びナショナルカリキュラムの策定など、教育再生に取り組みました。
現在、我が国は、安倍総理のもと、教育の再生に全力で取り組んでいます。東京都が教育再生においてもリーダーシップを発揮し、東京から日本の教育を変えなければなりません。その中核は日本人の精神形成、すなわち道徳教育です。
そこで、小中学校の道徳教育の充実に向けた都教育委員会の決意をお伺いいたします。
次に、オリンピック・パラリンピック競技大会についてお伺いします。
東京大会のトライアスロン競技会場は、お台場海浜公園に仮設施設として整備する計画となっています。お台場海浜公園は、東京屈指の人気スポットであり、長年にわたり日本トライアスロン選手権が行われている会場でもあります。そのような場所で、東京臨海部の高層ビル群を中心とした都市的な景観を背景に、世界のトップアスリートによる競技が展開されれば、東京の魅力を世界中に発信する格好の機会ともなります。地元を初め多くの人が楽しみにしています。
そうした中、最近、航空管制区域のため撮影用ヘリコプターが飛ばせないことや、水質に懸念があることなどの問題が取り沙汰され、あたかもトライアスロンの競技会場をほかへ変更するかのような報道がなされています。
お台場でのトライアスロン競技を期待している地元や関係者の間には不安や混乱が広がり、港区、港区議会、地元競技団体等から、計画どおりの実施についての要望書が出されたと聞いております。
もとより、大会を成功させ、将来の都民によりよいレガシーを残していくために、会場計画の再検討を行うことは重要なことであると認識し、再検討はしっかりと行っていただきたいですが、地元や関係者が一丸となって大会の成功を目指して力を合わせていけるよう、要らぬ混乱や臆測を招くことのないように配慮して進めていただきたい。
そこで、オリンピックのトライアスロン会場については、現在どのような検討状況なのかお伺いします。
次に、東京の玄関口となる品川駅、田町駅周辺のまちづくりについてお伺いします。
この地域は、羽田空港の国際化の進展に加え、二〇二七年には品川駅がリニア中央新幹線の始発駅となり、まさに新しい東京の玄関口としての役割を担っていくこととなります。
JR東日本の新駅設置に加え、昨日の代表質問における質疑では、浅草線泉岳寺駅の機能強化について、都営交通の具体的な取り組み方針が示されたところであります。泉岳寺駅の機能強化の動きと連動して、JR新駅とをつなぐ歩行者動線の確保や、区画整理等を活用し、車両基地跡地と国道一五号沿道の市街地との一体性のあるまちづくりを進めていくことも必要であります。
そこで、今後、都は、新しい東京の玄関口となる高輪・港南地区を含めた品川駅、田町駅周辺地域のまちづくりにおいて、どのように取り組むのかお伺いをいたします。
次に、環状二号線沿道のまちづくりについてお伺いします。
環状二号線については、ことし三月に新橋―虎ノ門間が開通し、六月には東京の新たなランドマークである虎ノ門ヒルズが開業しました。また、隣接する虎ノ門エリアでは、東京メトロ日比谷線の新駅の整備が予定されているなど、新橋・虎ノ門地区のさらなる発展が期待されます。
私は、かねてから、水と緑の都、環境に優しいガーデンシティー東京の実現を提唱してきました。環状二号線の地上部道路については、現在、緑豊かな空間づくりに向け整備が進められておりますが、これに加えて沿道のまちづくりを推進し、にぎわいを創出することにより、知事の発言にもあったように、環状二号線をパリのシャンゼリゼ大通りのような活気に満ちたプロムナードにしていくことが重要であると考えています。
そこで、沿道まちづくりにおける都の今後の取り組みについてお伺いをします。
次に、都立公園についてお伺いします。
都は、浜離宮恩賜庭園等の江戸期の庭園において、茶屋の復元など、江戸の伝統や歴史を伝える取り組みを進めていますが、都立公園には庭園以外にも上野公園や日比谷公園、日本の近代化を支えた実業家の邸宅など、明治時代を代表するすぐれた歴史的資産があり、これらについても保存、修復を進めるべきと考えます。
そこで、明治時代につくられ、現在、都立公園として開園している公園の今後の取り組みについてお伺いします。
次に、庭園の魅力発信について伺います。
都の文化財庭園では、これまでも旧芝離宮恩賜庭園でのいろいろな四季折々のイベントにより、庭園文化の魅力を発信しています。知事は所信表明で、都立庭園だけでなく、国公立や民間の庭園にも呼びかけ、庭園文化の魅力を広くアピールすると発言しましたが、今後どのように取り組むのか所見をお伺いします。
次に、食の安全確保について伺います。
東京には多くの企業が集積しており、食の安全を確保することは、このような企業活動をも支える重要な要素であります。
近年、都心のオフィス街のランチタイムに路上に大量の弁当を陳列し、販売している業者が見受けられます。こうした行商による弁当の屋外販売は、条例により届け出で営業できますが、固定店舗では許可が必要といった規制の違いがあります。
このような状況から、昨年の予算特別委員会において、規制の違いといった課題とともに、弁当の屋外販売は弁当が直射日光に長時間さらされるなど、衛生面での問題があると申し上げました。その際、都として実態を把握した上で、規制の見直しを視野に入れ、検討していくとの答弁がありました。
その後、昨年七月から、東京都食品安全審議会において、路上における弁当等の食品販売の規制のあり方について、実態調査を踏まえて審議が行われました。
本年二月の答申では、弁当等の屋外販売は、屋内販売に比べてリスクが高く、衛生上望ましくない販売形態であるとされ、その対応として、屋外から屋内販売へ誘導することや、人力により移動して販売する場合は、衛生管理を確実に向上させるため、設備要件や人的要件を整備することとされています。
そこで、審議会からの答申を受け、都として今後どのように対応していくのかお伺いをいたします。
最後に、拉致問題についてお伺いします。
先日、拉致問題の国民大集会に出席し、拉致被害者、特定失踪者の家族の方々とお会いしました。一日も早い肉親との再会を待ち望むご家族の切なる思いに接し、胸が詰まると同時に、半世紀にわたり拉致問題を解決することができない政治の責任は重く、ご家族に対して大変忍びない思いでありました。
拉致問題が解決できない一つの要因として、自虐史観にとらわれた外交姿勢があったのではないかと思います。国民の生命を守る、民族としての誇りを守るのは我々政治家の役目であります。拉致という犯罪は決して許さないという思いを一人一人の政治家がしっかり持つべきであります。
また、日本人の誇りをおとしめ、傷つけ、今も傷つけている東京電力吉田元所長の調書及び従軍慰安婦の誤報問題を見ると、マスコミは社会の木鐸としての使命を忘れているのではないかと感じてしまいます。いま一度、マスコミには、北朝鮮の犯罪行為を許さないという強い姿勢でキャンペーンを張ってもらいたいと考えます。
拉致問題を解決するには、拉致被害者のご家族の切なる思いに真剣に向き合い、国と地方自治体はもちろん、政治家、マスコミも含めてオール日本の体制をもって、不退転の決意で北朝鮮との交渉に臨む必要があります。
そこで、拉致問題が長年にわたり未解決であることに対する知事の思いと、都としてこの問題の解決に向けてどのように取り組むのか所見を伺います。
二〇二〇年まであと五年余り。史上最高のオリンピック・パラリンピック大会にするためには、世界で一番の安全・安心な都市東京をつくっていくことはもちろんですが、ソフト面の課題である日本人の心を取り戻すことも大切であります。
かつて、石原元東京都知事は、現在の日本人の精神は我欲にむしばまれ、荒廃していることを憂いておりました。我が国の歴史や風土の中で築いてきた伝統や文化、道徳を大切にし、思いやりや親切、礼儀正しさを身につけ、自然に対する謙虚さなどを持った人々が満ちあふれ、道義と礼節の国によみがえることを願いつつ、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
〇知事(舛添要一君) きたしろ勝彦議員の一般質問にお答えいたします。
拉致問題に対する私の思いと問題解決に向けての取り組みについてでございますが、北朝鮮による拉致は、国家主権の侵害であると同時に、国民の生命と安全を脅かす重大な人権侵害であり、我が国の喫緊の国民的問題であります。
子を持つ親として、拉致被害者とそのご家族の長年にわたる心の痛みは、お察しするに余りあります。お子さんやご親族との歓喜の再会を一日も早く果たせるよう、国を挙げて取り組んでいかなければなりません。
都はこれまで、拉致問題解決に向けたさまざまな啓発活動を実施してまいりました。特に、今般の拉致問題の解決を祈念した都庁舎のブルーリボンライトアップでは、新聞、テレビといった多くのメディアに取り上げられるなど、この問題への大きな関心を集めることができました。
引き続き、積極的な啓発活動に努めるとともに、家族会、救う会及び調査会等と連携し、国が毅然とした姿勢を貫き、拉致問題の完全解決が実現するよう、都としても断固たる決意で後押しをしてまいります。
そのほかの質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁させます。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 小中学校の道徳教育の充実についてでございます。
他者の尊重や公共の精神など、人が生きる上で大切にすべき価値観をみずからの生き方の指針として深く心に認識させる道徳教育は、時代を超えて必要不可欠でございます。
現在、子供たちには、科学技術の進展、グローバル化など、急激に変化する社会状況に対応する能力が求められており、こうした能力の基盤となる、他者とともによりよく生きようとする態度など、人間として身につけるべき道徳性を育むことが一層重要となっております。
都教育委員会は、小中学校の道徳教育の充実に向け、道徳教材集の作成、配布、道徳授業の地域への公開など、独自の取り組みを全国に先駆けて行ってまいりました。
今後とも、区市町村教育委員会と連携し、道徳教育の推進に全力で取り組んでまいります。
〔東京都技監横溝良一君登壇〕
〇東京都技監(横溝良一君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、明治時代につくられ、現在開園している都立公園の今後の取り組みについてでございますが、これらの公園は、我が国が欧米諸国の公園の技術などを取り入れ、近代化を推し進めた時代の象徴であり、江戸期の大名庭園とともに未来に残すべき貴重な財産でございます。
このような認識のもと、都は現在、芝公園のもみじ谷の修復を進めるとともに、今年度から、旧岩崎邸庭園において、戦後失われた庭の一部の拡張と復元に着手いたします。また、日比谷公園では、開設当初のガス灯、江戸城の石垣、堀跡を活用した心字池などの歴史的遺構を保存、復元するための調査を開始いたします。
今後とも、東京の歴史と文化を国内外に発信し、我が国の近代化の足跡を次世代に引き継いでまいります。
次に、庭園文化の魅力を発信する取り組みについてでございますが、東京を訪れる方々に日本庭園のすばらしさと伝統文化を紹介し、和のおもてなしを行うことは大変重要でございます。
このため、東京オリンピック・パラリンピックを契機に、旧安田庭園や椿山荘など、国公立や民間の三十の庭園と連携し、十月に日本庭園おもてなし協議会を設立いたします。その上で、十一月二十八日をいい庭の日と位置づけ、紅葉に合わせてキックオフイベントを開催いたします。
今後は、この協議会のもと、旅行会社や鉄道事業者と連携した外国人向けの庭園周遊ツアー、お茶会や和楽器演奏など、さまざまな取り組みを検討し、順次実施してまいります。
さらに、東京オリンピック・パラリンピック後も、この日本文化を体感できる取り組みなどを展開し、東京を世界有数の観光都市へと導いていくことに貢献してまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二〇二〇年大会のトライアスロン競技会場についてでありますが、競技会場計画については、現在、全ての会場について再検討を行っております。
お台場海浜公園に仮設で会場整備する計画のトライアスロン競技につきましても、仮設施設を担当する大会組織委員会と連携して検討を進めております。
トライアスロン競技の会場について、港区の方々からも要望を頂戴しており、地元のご意向があることは十分に承知しております。
引き続き、大会組織委員会との連携を密にし、国内外の競技団体とも協議を重ねながら、大会準備に取り組んでまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕
〇都市整備局長(安井順一君) 二点の質問にお答えいたします。
まず、品川駅、田町駅周辺のまちづくりについてでございますが、特定都市再生緊急整備地域の指定、羽田空港の本格的な国際化やリニア中央新幹線計画の公表など、この地域を取り巻く状況変化を踏まえまして、都はこのたび、まちづくりガイドラインを改定し、日本の成長を牽引する開発を推進していくことといたしました。
具体的には、JR車両基地跡地を活用し、国際競争力を高めるビジネスやMICE機能の導入を図ってまいります。また、鉄道施設を再編し、乗りかえ利便性や空港への輸送力を高めるとともに、駅前広場や歩行者ネットワークを整備し、交通結節機能などの強化を図ってまいります。
引き続き、公民協働により、計画的、段階的に開発を進めまして、東京を世界一にする国際交流拠点の形成に積極的に取り組んでまいります。
次に、環状第二号線沿道のまちづくりについてでございます。
都は、昨年三月、新橋―虎ノ門間の沿道におきまして、東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づく街並み再生方針を策定し、広い幅員の歩道空間を生かしたまちづくりの方向性を明らかにいたしました。
この方針の策定後、沿道におきまして建てかえの機運が高まってきたことから、地区計画制度を活用いたしまして、建築物の高さ制限や一階部分への商業機能の導入などを図り、統一感とにぎわいのあるまち並みの形成を誘導することといたしました。
今年度内の都市計画決定を目指しまして、地元区と連携しながら、街路樹の豊かな緑と活気あふれる沿道空間とが調和した魅力あるまちの実現に向けて取り組んでまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
〇福祉保健局長(梶原洋君) 食の安全確保についてでございますが、都は、本年二月に食品安全審議会から答申を受け、弁当等の販売業者に求める具体的基準について、監視指導を行う特別区や保健所設置市と協議を重ねてまいりました。
その結果を踏まえ、現行の食料品等販売業の施設基準について、屋内であれば簡易な施設や設備で弁当等の販売を可能とするよう見直し、来月から新たな基準に基づいて、区市と連携しながら、屋外から屋内への販売に事業者を誘導していく予定でございます。
また、屋外での弁当等の移動販売につきましては、現行の届け出制から許可制とし、保冷容器などの設備や、食品衛生責任者の設置などを義務づける予定であり、平成二十七年第一回定例会での食品製造業等取締条例の改正に向けて準備を進めているところでございます。
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