〇議長(吉野利明君) 百二番石毛しげる君。
〔百二番石毛しげる君登壇〕
〇百二番(石毛しげる君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
まず、知事の基本姿勢についてお伺いします。
都議会民主党は、オリンピック前六年、オリンピック後四年を見据えた長期ビジョンを求めてきましたが、この点を踏まえた長期ビジョンの中間報告が発表されました。
しかし、中間報告では、知事が政策を実行するための計画期間中の財政的裏づけ、財政見通しは示されませんでした。
確かに都の歳入の根幹をなす都税収入をめぐっては、消費税率、景気に左右される法人税の動向など、さまざまな不確定要素があります。加えて、都財政が直面する税財源の偏在是正は喫緊の課題です。この問題をうやむやにしたままでは、都政の将来は見えないといっても過言ではないと考えますが、知事の見解を伺います。
また、永田町や霞が関では、いまだに東京富裕論が根強く、先日の全国知事会での議論を見ても、東京への応援は極めて少ないのが現状です。
先月、知事として六年ぶりに、舛添知事が出席された夏の全国知事会議では、地方がそろって国に税財源の移譲を迫るというにはほど遠い空気を実感されたのではないでしょうか。
私は、こうした状況を打開し、税財政を初めとする多くの課題の解決に結びつけるには、大都市を抱え、東京同様の行政需要がある道府県と一致協力していくことが不可欠と考えます。
そこで、より一層、他の道府県と積極的に連携を図る取り組みを強化すべきと考えますが、見解を伺います。
先日、ある保険会社の自然災害の危険が高い都市ランキングで、東京・横浜がワースト、一位になったと報じられました。一方で、世界的にメジャーな旅行サイトの調査では、東京は、人の親切さ、タクシーのサービス、まちの清潔さで評価を得て、パリやニューヨークを抑えて総合一位です。
メディアを通して世界に拡散される評価は、指標によってランキングも大きく変わります。私は、東京にとっての世界一は、海外からの評価はもとより、都民の生活満足度、住民幸福度をより重視すべきだと考えます。
経済成長が人々の幸せに結びついていないという幸福のパラドックスの研究では、例えば自殺や鬱、少子化は、個人の幸福感と関連性があるともいわれています。中間報告では、数値は示されていますが、既存の計画を羅列する項目も多く、冒頭で述べられた世界一の都市東京をイメージできる指標はほとんど見られません。
各施策がどの程度都民生活の質を高め、幸福度を高めるのか、ここで生まれ、生活し、老後を過ごすことができてよかったと思える都市東京をどう実現させていくのか、都民がイメージしやすい目標を設定することが必要と考えますが、今後の最終報告の取りまとめに向けて、知事の見解を伺います。
知事は、東京の最大の弱点は交通体系であると述べ、地域から強い要望がある新空港線や有楽町線の延伸などについても、現場を見て判断したいと発言していました。
しかし、中間報告には、虎ノ門の新駅など、点の施策のみが示されましたが、JRの田町―品川間への新駅設置と再開発計画など、民間ベースの多くの構想が打ち出されている中で、どのように将来像を描き、最大の弱点を克服していくのかという、総合的な交通政策について、十年後を見渡したビジョンは見受けられません。
運輸政策審議会答申第十八号に基づく東京圏の鉄道路線の新設、延伸、改良の計画期間は二〇一五年で終了します。国において、次期答申に向けて整備すべき路線を含む、東京圏における今後の都市鉄道のあり方について検討が行われている最中です。
このような時期にあって、都内の鉄軌道ネットワークの充実について、都としてどのように考えているのか、見解を伺います。
次に、東京の都市外交と国際化について伺います。
北京、ソウルへの訪問など、舛添知事は、近年の知事が力を注いでいなかったアジア諸都市との関係改善、海外要人との会談を積極的にこなしており、私は評価をしています。また、知事は、先日の所信表明や長期ビジョンの中間報告でも、新たな外交戦略を年内に策定すると述べたところであり、その内容を注視したいと思います。
しかし、都民は、なぜ都知事が外交を行うのかと、いまだ唐突感を持っているのではないでしょうか。
何を東京にもたらそうと考え、都市外交を展開していこうとしているのか、都民の理解を得ていく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
私は、都市外交はリーダー対リーダー、組織対組織、市民対市民、各レベルで互いに成果をもたらすよう取り組むべきだと考えます。
二十一世紀は都市の時代といわれ、近年、都市化と地方分権で力をつけた都市同士の直接交流が活発化しています。都においても、個別課題の分野で、アジア諸都市の職員との交流や技術研修、投資や観光客を呼び込む活動などを行ってきました。
私は、こうした取り組みをより一層進め、海外からの受け入れをより積極的に行うとともに、東京都の職員が現地に一定期間滞在、駐在して仕事をすることも必要かつ有効だと考えます。それは、現地の地方政府や産業界との人間関係をつくり、地域事情をつぶさに把握し、必ずや都政に還元すると考えるからです。
そこで、今後の海外都市との関係構築への取り組みについて、都の見解を伺います。
次に、外国人旅行者の受け入れ環境の充実について伺います。
現在、羽田、成田の国際線就航都市数は八十八ですが、国土交通省は、二〇二〇年度までに、ソウルや香港、シンガポール並みの百四十程度までふやす計画を掲げています。
今後、外国人旅行者はさらに増加すると思われ、受け入れ環境の充実は重要な課題です。
例えば、ムスリムの旅行者は、お祈りのできる場所や、戒律で不浄とされるものを含まない認証を受けたハラル食品を扱うお店の情報を必要としています。
また、日本の住居表示は、欧米と異なるため、外国人が目的地にたどり着くのが難しいともいわれています。ホテルや観光ポイントの多い地域でも住居表示板がないことが多く、今、私のいるこの都議会議事堂や都庁にもありません。
私は、国際化というのは、お互いの文化の違いを受けとめ、理解する心だと考えています。文化が違えば必要な情報も違います。今後ますます増加する外国人旅行者の文化的背景などを踏まえ、受け入れ環境を充実すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、子供、子育て支援の充実について伺います。
知事は、待機児童を解消するため、二〇一七年度末までに保育利用児童数を約四万人ふやす目標を掲げ、今定例会で三千人をふやす補正予算案を提案しています。
一方、東京の待機児童数は、ことし四月一日現在、八千六百七十二人と、都が取り組みを充実しているにもかかわらず過去最高となりました。
過去の取り組みが、待機児童解消につながらなかったように、今後も潜在的保育需要がさらに顕在化するとともに、子育て家庭の都内への流入や女性の社会進出など、保育を必要とする子供たちがさらにふえ、保育所不足が続くことが懸念されます。
私は、さまざまな対策を講じることで、待機児童の解消を早期に図るべきと考えますが、知事に決意をお伺いします。
待機児童の解消には、施設の整備だけではなく、保育人材の確保が欠かせません。
保育人材の確保に向けて、都は、国が予定している認可保育所の保育士給与の三%引き上げに加え、独自の制度である認証保育所等の保育士の処遇改善などに取り組む必要があります。
また、資格を持ちながら働いていない潜在保育士は、日数や時間など、勤務条件を優先する働き方を求めており、こうした傾向を踏まえ、職場復帰を促す取り組みを強化すべきと考えます。
保育士等の処遇改善を初めとする保育人材の確保に向けた取り組みについて、見解を伺います。
近年、保育施設は、特別な支援が必要な子供や被虐待児の保育など、さまざまな課題に対応するとともに、地域の子育て支援の場としての役割を担っており、より専門的な対応が求められています。京都府や大阪府、東京の日野市では、臨床心理士が保護者と懇談したり、保育従事者へ保育に関するアドバイスを行うといった専門的知見に基づいた活動を行っています。
私は、臨床心理士など専門職の活用に取り組んでいくべきだと考えますが、見解を伺います。
今定例会に提案されている幼保連携型認定こども園は、親の就業の有無にかかわらず保育を受けられ、都市部では、待機児童解消にも資することが期待されています。
しかしながら、国が示した公定価格は不十分であり、認定こども園への移行を見合わせる幼稚園が多いと聞いております。公定価格については、認定こども園への移行が進むよう国が責任を持って取り組むべきと考えます。
一方、都としても、地域の子育て支援機能を持ち、質の高い保育、幼児教育を提供する幼保連携型認定こども園の普及に努めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
東京都子供・子育て会議では、都内に新設する幼保連携型認定こども園の保育室の設置階について、三階以上を特例として認めるかどうか、賛否が分かれました。都内には、既に三階以上に設置されている保育所もあり、当然、これらと同様の安全対策が求められます。
また、長時間そこで過ごす子供たちのために、育ちに配慮した対応も求められています。
都は、新たな幼保連携型認定こども園の新設について、どのような考え方に基づき基準を策定したのか、見解を伺います。
次に、危険ドラッグ対策と再乱用防止策について伺います。
昨今、危険ドラッグによる事件が多発しています。他の自治体では、成分が特定されなくても、製品名や形状、表示内容などから判断して販売を規制するといった取り組みも見られます。都は、約二十年間の店舗での薬物の売り上げ調査と分析、解析の蓄積がありますが、今後の危険ドラッグ対策に期待するものです。
今定例会では、警察職員への立ち入り権限の付与等により、取り締まりを強化する薬物濫用防止条例改正案が提案されていますが、危険ドラッグ対策についての知事の基本姿勢について伺います。
私たちは、取り締まりの強化も大事ですが、子供たちが薬物に手を出さないための徹底した教育が最も重要だと考えています。
現在、小中高校において、保健体育で薬物乱用の害と健康を教え、また、年一回、薬物乱用防止教室も開催しています。
しかしながら、危険ドラッグには、試供品や低価格品もあります。また、インターネットで簡単に入手できるようになっています。そのため、子供たちが安易に手を出してしまうようなことがないように、より一層、危険性を認識させる教育が必要と考えますが、都の見解を伺います。
また、薬物依存対策では、厳罰化よりも、まず早期発見や早期治療が重要です。
都の薬物問題の相談窓口はまだまだ認知度が低く、薬物依存症の専門外来も不足しているといわれています。
相談窓口の広報徹底や、専門の医療、福祉機関を円滑に利用できる仕組みづくりが求められています。
都は、薬物の再乱用防止をどのように進めていくのか、見解を伺います。
薬物依存者本人や家族に対して、薬物依存から社会復帰に取り組む民間団体の活動について、情報を提供していくことも重要です。
薬物依存症からの回復支援に対する地域の理解を進めるとともに、社会復帰を目指す人々や、その家族を支えていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
次に、生活困窮者等の自立支援策について伺います。
昨年十二月、生活困窮者自立支援法が成立し、来年四月に施行されます。それは、生活保護制度において、稼働年齢層の受給者増加、受給の長期化など、新たな課題が顕在化している中で、最後のセーフティーネットである生活保護の手前で支援を行う第二のセーフティーネットを構築するためです。
今後は、二つのセーフティーネットによる重層的な体制で、健康、生活習慣、職業能力、多重債務など、複合した原因を抱える個別の状況に応じ、きめ細やかな支援を早期に、かつ包括的に行うことになります。
法施行まで半年余りとなりましたが、事業内容を規定する政省令や財政規模がいまだ示されていないこともあり、実施主体である市区においては、実施に向けた準備や体制整備が進んでいないのが現状です。
そこで、制度の円滑な実施に向けた都としての取り組みについて伺います。
被保護世帯や生活困窮世帯の子供たちを、いわゆる貧困の連鎖に陥らせないために、健全育成が非常に重要です。保護者が自立に至るまでの間も、子供たちはかけがえのない成長期を過ごしています。生活習慣の見直しや学習支援、進学支援、中途退学の防止など、効果的な支援を安定的、継続的に行わなければなりません。
生活困窮者自立支援法の施行に伴い、生活保護制度のもとで行われてきた健全育成事業の国庫補助が二分の一になるといわれていますが、補助限度額、対象者の範囲等が明らかにされず、各自治体が事業を実施しようにも予算要求が組めないとの声が聞かれます。
東京都が従来から実施してきた独自の自立促進事業や、低所得世帯の子供たちへの支援対策ともあわせ、来年度から本格的にスタートする新たな制度においても、引き続き安定的、効果的に事業を実施できるようにすべきと考えますが、都の見解を伺います。
次に、防災対策について伺います。
八月二十一日、都も含め約二十の関係機関が出席し、荒川下流域を対象に、首都圏で初めてとなる防災行動計画、すなわちタイムラインの検討が開始され、大島町でも策定に取り組むとのことです。
タイムラインは、二〇一二年にニューヨークを直撃したハリケーン・サンディの被害を大幅に軽減したことで注目されました。あらかじめ関係者が協議して、七十二時間前に避難の可能性を周知、三十六時間前に避難所を開設、二十四時間前に要配慮者の避難などを決めておくことで、発災時に、防災担当者や消防団も避難が完了できるようにしようとするものです。
昨年の大型台風による大島町での土砂災害での経緯を踏まえ、市区町村長と気象庁、東京都との情報連携体制が強化されました。避難指示、勧告を出す市区町村長が時期を逸することなく、適正な判断を行うため、タイムライン策定のような、空振りを恐れずに判断できる環境づくりを支援していくことも必要と考えますが、都の見解を伺います。
伊豆大島や広島の土砂災害で教訓すべきは、風水害対策でも、想定外を想定外としないことです。
例えば、地球温暖化の進行で、激しい竜巻が発生しやすくなるともいわれており、風速六十五メートルを超えるスーパー台風の上陸も懸念されます。
昨年九月に埼玉県越谷市で発生した竜巻では、学校の強化ガラスが破損しましたが、二〇〇五年のカトリーナでも、二十八階建てのホテルの強化ガラスが割れて水浸しとなりました。長期に使用できなくなりました。このことから想定すべきは、強風、豪雨で強化ガラスが割れて建物が機能を失うことです。
現在、都が進めている学校の非構造部材の耐震化で、強化ガラスは対策の対象外です。また、七十四ある災害拠点病院には、非構造部材の定めはなく、状況も把握できていません。
現在、非構造部材の耐震化を進めている学校でも、都が指定している七十四の災害拠点病院でも、突風対策は費用対効果もあって、ほとんどとられていません。
しかし私は、東京都として、あらゆる角度で想定し得ることは想定し、都民への迅速かつ正確な情報提供や常日ごろの防災教育など、より高度な防災対策に取り組んでいく必要があると考えます。見解を伺います。
最後に、東京の動物園について伺います。
動物園の課題は、都政にとって喫緊の課題と思う人は少ないかもしれません。しかし、長期で見れば、種の保存という私たち人類にとって極めて重要な課題なのです。どんなに都市が栄えようとも、動物たちが次々と絶滅し、やがて人類までもいなくなってしまうのでは、何のための繁栄でしょうか。
今、世界の動物園では、飼育、展示だけにとどまらず、野生で絶滅危惧されている動物を繁殖させ、野生に返す取り組みや、自然に近い状態で動物を飼う工夫、種と生態系の保全をテーマとした教育的展示に力を入れるなど、変革が進んでいます。
日本では、国立博物館の附属の動物園が下賜されて以来、国は種の保存に関する直接な場を持っておらず、自治体や民間が保持してきました。
現在、動物園の動物の多くは数が減っており、野生から導入も困難となっています。そのため、高齢化が進み、動物園で繁殖を行う種の保存が待ったなしの状況です。
先日、都の動物園職員がオランウータンを通じ環境保護を訴えた本が、国語の図書に掲載されました。この職員は研究者とも連携して、ボルネオで保護活動に携わっています。ほかにも、都は多くの絶滅危惧種の繁殖と野生復帰に貢献しており、国内外からも高い評価を得ております。このように、都立動物園は日本を代表する動物園として先導的な役割を果たしており、私は、今後、世界へと発信していくことを期待しています。
動物園におけるこうした取り組みは、今後より一層、厚みと深みを増していくべきであり、都は二十一世紀の種の保存の分野で旗振り役をしていくべきと考えます。この問題は、ぜひ知事に答えていただきたいと思いますので、舛添知事のご見解を伺い、都議会民主党を代表いたしましての質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
〇知事(舛添要一君) 石毛しげる議員の代表質問にお答えいたします。
まず、税財源の偏在是正についてでありますが、近年の地方財政をめぐって、国は、都市の財源を狙い撃ちにした税源の偏在是正措置を繰り返し、地方財政が抱える巨額の財源不足をどう解消するかという本質的な問題を棚上げしてきました。
これらの不合理な偏在是正は、日本経済の成長を牽引する東京の活力をそぐばかりか、日本全体の利益につながらないものであります。国は、問題の本質に正面から向き合い、地方自治の原点に立ち返り、議論すべきであります。
これから年末の税制改正に向けまして議論が活発化することを踏まえ、都は、先般、地方法人課税を巡る動向と東京都の主張を発表しました。
今後も、引き続き、都議会を初め都内全区市町村等と一体となって、不合理な偏在是正措置の即時撤廃と地方税への復元などを国に対して強く求めてまいります。
長期ビジョンにおける政策目標についてでございますが、中間報告では、世界一の都市東京の実現に向けて、都政のさまざまな分野で政策の方向性と政策目標を掲げております。
具体的には、震災や豪雨への対策、待機児童の問題など、都政を取り巻く諸課題に対し都民の皆様に安心していただき、明るい未来を展望することができるよう、それぞれの政策が実現した姿を、わかりやすく約二百三十の目標として掲げております。
また、生活の質の向上に向けては、経済を活性化して新しい富を生み出し、これを有効に活用していくことが不可欠であり、ビジョンでは、開業率などの経済に関する目標も示しました。
年末の最終報告では、中間報告で掲げました政策目標に加え、引き続き検討を行っている課題の政策目標も明らかにしてまいります。
これらの目標を一つ一つ着実に達成していくことによりまして、ここで生まれ、生活し、老後を過ごせることができて本当によかったと、こう思っていただけるような東京を実現してまいります。
都市外交についてでありますが、外交は国の専管事項でありますが、都市には都市だからこそできる交流、協力があります。
私の目指す都市外交は、世界の諸都市と友好協力関係を深め、共通する都市問題の解決を通して、東京を一段とレベルの高い都市として、都民生活の向上を図っていくものでございます。
こうした観点から、私は、北京やソウルを訪問し、首長等と積極的に意見交換を行い、環境、防災、産業、文化、スポーツといったさまざまな分野での協力関係に合意するなど、友好都市関係を再構築してきました。
また、都市外交をより戦略的、効果的に展開するため、都市外交推進会議を立ち上げ、新しい都市外交戦略の策定に着手しております。
今後とも、海外諸都市との信頼関係を強固なものにしながら、都民生活にも資する都市外交を展開してまいりたいと思っております。
待機児童解消についてでありますが、四年間で待機児童を解消する、この目標、この公約を実現するため、今回策定しました長期ビジョンの中間報告では、平成二十九年度末までに保育サービスを四万人分ふやすことにいたしました。
また、本定例会には、保育所整備を加速するために、定期借地権の一時金補助の国有地への拡大、国有地、民有地の借地料補助の創設、賃貸物件への家賃補助の拡充など、新たな施策を盛り込んだ補正予算案を提出しております。
現在、保育の実施主体である区市町村は、来年四月の子ども・子育て支援新制度の施行に向け、地域の実情やニーズを踏まえながら、保育サービスの新たな整備目標の策定を進めております。
十二月に策定します長期ビジョンでは、区市町村が策定する整備目標も踏まえ、改めて具体的な保育サービスの整備目標と、その工程表をお示しいたします。
また、保育人材の確保も含め、さらなる支援策についても盛り込む考えであります。
続きまして、幼保連携型認定こども園の普及についてでありますが、幼保連携型認定こども園は、幼児教育と保育サービスを一体的に提供する施設でありまして、待機児童解消にも資するものであります。
その整備を進めるためには、実施主体となる区市町村が地域における幼児教育と保育のニーズに基づき、子ども・子育て支援事業計画に目標を定め、取り組んでいくことが必要でございます。
先ほど申し上げましたとおり、今回策定した長期ビジョン中間報告では、平成二十九年度末までに都内の保育サービスを約四万人ふやす目標をお示しいたしました。
都としては、待機児童解消のため、区市町村が地域の実情に応じて、幼保連携型認定こども園を含めた多様な保育サービスを整備できるよう、積極的に支援してまいります。
次に、危険ドラッグ対策についてでありますが、危険ドラッグの害悪ははかり知れないものがあります。心身をむしばむばかりでなく、社会の秩序を乱す危険な薬物であります。
こうした考えに立って、都は、平成十七年に東京都薬物の濫用防止に関する条例を制定し、規制、監視指導、普及啓発を柱に、知事指定薬物の指定、販売店の取り締まり、若者と連携した普及啓発活動など、さまざまな対策を実施してまいりました。
本定例会には、警察職員の販売店への立入調査権限や、都職員による知事指定薬物等の収去権限の付与、知事指定薬物の緊急指定などを盛り込んだ条例の改正案を提出しております。
また、国におきましても、薬事法に基づき、立入検査で指定薬物と疑われる物品が見つかった店舗に対し販売停止命令を行うなど、対策の強化を図っているところであります。
今後とも、国や警視庁等と連携しながら、取り締まりや監視を一層強化し、危険ドラッグの根絶に全力を尽くしてまいります。
最後に、種の保存における都立動物園の役割についてご質問がございました。
都立動物園は、レクリエーションと観光の場としてはもちろん、希少野生動物の保護、繁殖を通じた種の保存と、それを支える調査研究、子供から大人までの環境学習の場という役割を担っております。
とりわけ、石毛先生ご指摘の種の保存は、多くの野生動物が絶滅の危機に瀕している今日において、人類共通の財産である生物の多様性を確保し、将来に残していくために極めて重要な取り組みであります。
このため、都立動物園は、長年にわたり蓄積してきました豊富な飼育技術や経験をもとに、希少動物で繁殖の実績を重ねて、国内の動物園を牽引してきております。
少し具体的な例を申し上げますと、上野動物園では、ジャイアントパンダ、ニシローランドゴリラ、ベンガルヤマネコなどで十一種類、それから多摩動物公園では、先生が非常にご興味のあるボルネオオランウータン、シセンレッサーパンダ、ユキヒョウ、これ、十七種、それから葛西臨海水族園、フンボルトペンギンなど二種、それから井の頭自然文化園でも、ニホンリスなど六種の、今のところ三十八種にわたり、希少動物で実績を重ねております。
今後とも、この技術を継承、発展させまして、より多くの希少動物の繁殖に取り組むとともに、その研究成果を世界の動物園、水族館へ発信し、野生動物の保全に貢献していく決意でございます。
その他の質問につきましては、教育長及び関係局長から答弁させます。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 危険ドラッグに関する教育についてであります。
危険ドラッグは、麻薬や覚醒剤と同様に、健康や人格を損なうだけでなく、事故や犯罪の増加など大きな社会問題となっております。
現在、インターネットやスマートフォンの普及などにより、児童生徒が危険ドラッグを容易に入手する危険性が高まっていることから、これまで以上に薬物乱用防止についての指導を徹底していく必要がございます。
今後、都教育委員会は、児童生徒が危険ドラッグの有害性を認識し、勧誘や有害情報に適切に対処できるよう、今回の条例改正の内容も含め、危険ドラッグについて盛り込んだ指導資料の改訂や、医療関係者や警視庁等と連携した教員研修を実施し、教員の指導力の向上を図るなどして、薬物乱用防止教育の充実に取り組んでまいります。
〔政策企画局長川澄俊文君登壇〕
〇政策企画局長(川澄俊文君) 二点の質問にお答えいたします。
まず、他の道府県との連携の強化についてでございますが、これまで都では、九都県市首脳会議などを通じて近隣自治体との連携を図る一方、地方法人課税の見直しなど大都市部に共通する課題には、神奈川県、愛知県、大阪府と連携し、国に対する共同要請などの取り組みを行ってまいりました。
また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を全国的に盛り上げていくために、夏の全国知事会議において、知事が提案し、全知事からの賛同を得て、先般、大会の効果を全国に波及させるための組織が設置されたところでございます。
課題を共有する都道府県同士が、その解決に向けてともに取り組んでいくことや、都道府県が一致協力して日本全体の活力を高めていくことは大変重要であることから、今後とも、他の道府県との連携を積極的に進めてまいります。
次に、今後の海外都市との関係構築への取り組みについてでございますが、世界の諸都市と友好協力関係を強化するためには、人と人とのつながりを緊密にしていくことが重要でございます。
とりわけ職員交流は、都市が抱える課題の解決方策を学ぶ有効な手法の一つであります。
都はこれまでも、海外からの技術研修生の受け入れや都職員の海外諸都市への研修派遣等を行ってまいりました。
今後、こうした取り組みの拡大について検討するなど、人的交流を通じた海外諸都市との信頼関係を深めてまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕
〇都市整備局長(安井順一君) 都内の鉄軌道ネットワークの充実についてでございますが、都はこれまで、国や鉄道事業者等と連携し、運輸政策審議会答申第十八号に位置づけられた路線の実現に向けて取り組んでまいりました。
国は、答申の目標年次が近づいていることから、本年五月から交通政策審議会におきまして、東京圏における今後の都市鉄道のあり方などについての議論を始めており、平成二十七年度中に次期の答申を取りまとめるとしております。
都としても、今年度、都における今後の鉄道ネットワークのあり方などにつきまして調査検討を進めており、国の動向を踏まえながら、次期答申に向けて取り組んでまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕
〇産業労働局長(山本隆君) 外国人旅行者の受け入れ環境の充実についてでございます。
世界各国から訪れる旅行者が東京で快適に滞在できるようにするためには、旅行者の多様な文化や習慣等に対する理解と配慮が重要でございます。
このため、都は今年度、宿泊施設を対象に、国や地域により、異なる文化や生活習慣等への理解を深める研修を実施するとともに、飲食店等を対象に、ムスリム旅行者の受け入れに必要な配慮の普及啓発を行うこととしております。
また、旅行者の移動に必要な多言語での観光案内標識の整備を引き続き進めてまいります。
今後とも、こうした取り組みを通じ、外国人旅行者が安心して滞在できる環境を整備してまいります。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
〇福祉保健局長(梶原洋君) 七点のご質問にお答えします。
まず、保育人材の確保に向けた取り組みについてでありますが、都はこれまで、保育人材を確保するため、保育施設勤務経験者で現在勤めていない人を対象に、就職支援研修と就職相談会を一体的に実施するとともに、未経験の有資格者を対象としたセミナー等を実施してまいりました。
また、保育人材の定着を図るため、認証保育所も含めた保育従事者の処遇改善を行うほか、今年度から保育人材・保育所支援センターのコーディネーターを増員し、就職相談、あっせんから職場定着までの支援を強化しております。
今後、都全域を対象とした就職相談会や他県での説明会も開催する予定であり、引き続き、保育人材の確保、定着に取り組んでまいります。
次に、保育所における臨床心理士などの専門職の活用についてでありますが、現在、保育所においては、発達障害児を初め、被虐待児童やアレルギー児など、特別な支援が必要な子供への対応が求められております。
また、保育所は、保護者や在宅で子育てを行っている家庭に支援を行う役割も担っており、保育の実施主体である区市町村は、こうしたニーズに保育所が的確に応えられるよう、専門職も含めた多様な人材を活用し、さまざまな取り組みを行っております。
都は、今後とも、区市町村が地域の実情に応じた保育施策が展開できるよう、その取り組みを都独自の子育て推進交付金や包括補助等により支援してまいります。
次に、新たな幼保連携型認定こども園の基準についてですが、本定例会で提案している条例案の基準は、現在の幼稚園と認可保育所の、より高い水準を引き継ぐという国の基本的な考え方や、現行の認定こども園の基準等を踏まえながら策定いたしました。
また、策定に当たりましては、東京都子供・子育て会議において、子供の安全性や教育、保育の専門性の確保などについて十分な議論を行ってまいりました。
その結果、条例案では、現在行われている保育や幼児教育の水準が確保されるよう、職員の配置基準、施設整備基準、非常時や災害時の対策などを規定し、保育室の面積や職員の資格などについては、都独自の基準を設けているところでございます。
次に、薬物の再乱用の防止についてですが、都におきましては、薬物の再乱用を防止するため、区市町村、精神保健福祉センター等の専門相談機関、医療機関、民間機関等々が連携して、薬物依存症の方の状況に応じて専門医療の提供や社会復帰への支援など、さまざまな支援を行っております。
また、こうした支援を行う区市町村や保健所などの相談窓口や、精神保健福祉センター、医療機関、民間機関等々の情報を、ホームページやリーフレット等により、都民に広く周知しております。
今後とも、薬物の再乱用防止に向け、こうした取り組みを一層進め、関係機関が連携して支援する体制を強化してまいります。
次に、薬物依存症の方や家族への支援についてでありますが、都は現在、都内三カ所の精神保健福祉センターにおいて、薬物依存症からの回復に向けたプログラムや、薬物依存に関する正しい知識や適切な対応方法等を学ぶ家族教室等を、同じ経験を持つ仲間が相互に助け合う活動を行っている民間団体の協力も得ながら実施しております。
また、プログラム終了時などには、こうした民間団体等に関する情報を状況に応じて提供するなど、回復に向けた本人や家族の継続的な取り組みを支援しております。
さらに、薬物依存症への地域での理解が進むよう、都内各地で実施されている薬物依存に関する研修や学習会にセンターの職員を講師として派遣しております。
今後とも、こうした取り組みを通じ、社会復帰を目指す薬物依存症の方やその家族を支援してまいります。
次に、生活困窮者自立支援法の施行に向けた都の取り組みですが、都はこれまで、実施主体である区市の体制整備を支援するために、制度の内容を迅速に周知するとともに、各区市の準備状況に応じて個別の助言等を行っており、来月には事務担当者会議を開催し、現在十三区市で取り組んでいるモデル事業の成果や課題について、情報提供を行うこととしております。
また、現在、生活困窮者の就労訓練の場を確保するため、都内四千カ所の社会福祉法人や企業等を対象に、制度の周知と就労訓練事業の実施意向の把握を行っております。
今後とも、来年四月からの法施行に向け、区市の準備が円滑に進みますようきめ細かな支援を行うとともに、国に対しては、政省令の早期制定や十分な財政措置などを引き続き強く要求してまいります。
最後に、生活保護世帯等の子供の健全育成についてですが、都は、生活保護世帯を対象に、子供が学習塾に通う費用の助成等を行う区市を支援するとともに、低所得世帯の受験生に対し、学習塾や受験料の支援を行ってまいりました。
また、十一の区市では、生活保護世帯の子供を対象に、国の健全育成支援に対する補助を活用して、高校進学に向けた学習会等を実施しております。
この事業は、来年四月の生活困窮者自立支援法の施行に伴い、予算事業から法に基づく事業となり、対象を生活困窮世帯にまで拡大して実施することとなっております。現時点では、二十三の区市が実施の意向を示しております。
都といたしましては、今後とも、子供の健全育成に向けた区市の取り組みを支援するとともに、国に対して、十分な財政措置を行うよう求めてまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
〇総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、市区町村長が行う避難勧告等の判断の環境づくりについてでございます。
国は、本年四月、昨年の大島での土砂災害等を踏まえ、避難勧告等は空振りを恐れず早目に出すことを基本に、判断基準を明確化した避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン案を策定いたしました。
都は、区市町村に対しガイドラインを周知し、それぞれの判断基準の整備を促すとともに、判断の指標となる大雨洪水警報などの気象情報や河川水位の予報等が発表された際は、速やかに情報を伝達しております。
また、区市町村との情報連絡体制を整備することにより、随時、相談、助言も行っております。
今後とも、関係機関と連携しながら、区市町村を支援してまいります。
次に、都民への情報提供等による防災対策についてでございます。
これまで、首都直下地震等への備えを万全のものとするため、被害想定を実施し、地域防災計画を修正して必要な取り組みをまとめ、全庁を挙げて防災対策を推進しております。
都民への情報提供や防災教育は、自助の取り組みを促す上で大変重要であり、現在、イベントやホームページ等を通じた普及啓発や、学校での防災教育等を実施しております。
また、今年度は、最新の知見をもとに、一家に一冊常備され、家庭における防災の指針ともなる防災ブックを作成することとしており、今後、防災ブックを活用して、都民の災害に対する備えや防災意識の向上等を図ってまいります。
今後とも、公助の取り組みはもとより、自助、共助の取り組みを積極的に促し、大規模地震を初めとするさまざまな自然災害に対する東京の災害対応力を向上させてまいります。
〇六十七番(山崎一輝君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
〇議長(吉野利明君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
明日は、午後一時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後七時八分散会
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