午後五時二十分開議
〇議長(吉野利明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
八十番畔上三和子さん。
〔八十番畔上三和子君登壇〕
〇八十番(畔上三和子君) 都議会第二回定例会の中で発せられた女性への人権侵害やじ発言、そして、政務活動費の使い方などをめぐり、地方議会への批判が広がっています。都議会のあり方も厳しく問われています。質問に先立ち、この問題について発言します。
まず、女性への人権侵害やじ発言です。
この問題の発生とその後の経過を通じて、本来、女性への差別をなくし、人権を守り、男女平等参画社会を実現していく先頭に立つべき都議会の、女性に対する人権感覚が大きく立ちおくれていることが明らかになりました。都議会として、この問題の重要性を認識し、事実解明と再発防止に取り組むことが緊急課題です。
このこと抜きに、女性の人権侵害は一掃できません。そのことは、都議会の男女共同参画社会推進議員連盟会長による同様の発言が、議場でないとはいえ、繰り返されたことでも明らかです。
我が党は、都議会として、責任を持って事実解明と再発防止対策、さらに、男女平等参画の推進に取り組むことを皆さんに呼びかけるものです。
また、再発防止のため、都議会規則に明確に人権侵害発言をしてはならないとする文言を挿入することが必要だと思います。
次に、議会改革です。
政務活動費について、都議会はこれまで、使途の公開、領収書添付などを進めてきましたが、さらに改善することが必要です。我が党は、新年会を初めとする飲食を伴う活動への支出は禁止することを提案します。
費用弁償についても、多くの方から報酬の二重取りなどの批判の声が上がり、全国的にも見直しが進んでいます。都議会としても、費用弁償の原則廃止に踏み出すことが必要だと思います。今定例会で議会のあり方検討会を設置して、議会改革に早急に取り組むことを、各会派、議員の皆さんに心から呼びかけるものです。
日本共産党都議団を代表して、知事に質問します。
舛添知事は、長期ビジョン中間報告を発表しました。この中で、我が党が一貫して要求してきた保育園の待機児解消及び特別養護老人ホームの増設という点で大きな前進があったことは注目すべきことです。
とりわけ、二〇一七年度までに四万人分の保育園整備という数値目標を掲げ、その後も待機児ゼロを継続としたことは高く評価できるものです。また、最大一万九千人分の特養ホームを整備するという目標を明確にしました。そして、これらを進めるため、都有地、国有地、民有地の借地料補助などの実施を明確に位置づけたことは、これまでの計画にはないことであり、極めて重要です。
一方、長期ビジョン中間報告が、基本的には石原都政以来の長期ビジョンを継承し、外かく環状道路を初めとした大型開発を最優先し、国際金融センター構想などで外国企業を呼び込むなど、大企業がもうかれば全てうまくいくという経済政策、都市政策をとっていること、また、都民を苦しめている格差や貧困の広がり、安倍内閣が進める消費税増税、医療、介護等、社会保障の切り下げなどから都民生活を守る立場が欠けていることは容認できません。
我が党は、前進面は評価し、さらに前進させる、問題点は是正を求め、都政が何よりも都民の暮らし、福祉を充実し、中小業者を応援する政策を中心に置くようにする必要があるとの立場から、以下、質問いたします。
まず、少子高齢社会対策です。
昨年度は、認可保育園を百十カ所、約九千人分整備しました。昨年度ふやした保育利用児童数全体の七六%に当たります。認可保育園を中心にして整備が進められていることを示しており、この流れをさらに大きくしていくことが必要です。
二〇一七年度までに四万人分の増設という目標を確実に進めるとともに、その後も、女性の就業率の伸びや保育要求の増大にあわせた増設を推進し、文字どおり、待機児童ゼロを実現していくことを求めるものですが、知事、いかがですか。
同時に、昨年度新設された認可保育園の半数以上に園庭がないことを直視しなければなりません。子供たちの豊かな成長発達を保障する質の確保も重要です。
早稲田大学の前橋明教授らの調査によると、子供たちが一日に歩く歩数は、三十年前の一万二千歩から、最近は五千歩台まで減っています。幼児の健全育成の目安は八千歩から一万歩とされており、これを大きく下回る事態となっているのです。
文科省の調査でも、外遊びの時間が多いほど体力が高い傾向のあることが明らかになっており、体を動かして遊ぶ機会の減少が子供の心身の発達に重大な影響を及ぼしかねないと警鐘を鳴らしています。
このように、子供の体力低下が課題になっているとき、保育園の園庭の確保は、より切実になっているのではないでしょうか。園庭のない保育園でも、さまざまな努力がされていますが、近くの公園は、幾つもの園が園庭のかわりにしているため大混雑で、順番待ち、諦めて帰ることもあるなどの状況が生まれています。
我が党のアンケート調査に対し、園庭のない保育園の現場から、外遊びの時間が少ない、健康にも影響があるのではないか、猛暑の夏でもプール遊びができず苦労しているなどの声が寄せられています。このような現状をどう認識していますか。
既設の保育園が園庭を確保する場合の借地料などへの補助、あるいは複数の保育園による共同園庭の確保への支援、区市町村と連携して園庭のかわりにもなる公園整備を進めるなど、子どもの権利条約が定めている子供の最善の利益を守るため、園庭の確保を初め、子供たちが思い切って体を動かして遊べる環境整備に力を尽くす必要があると思いますが、お答えください。
特養ホーム整備についても、待機者は四万三千人を超え、要介護四から五の方だけでも二万一千人を超えています。高齢者がますますふえていくことを考えると、十年間で最大一万九千人分という目標ではまだ不十分であり、達成時期も遅過ぎます。待機者の実態と高齢者の増加に見合うよう増設目標を引き上げ、達成時期も早めるべきではありませんか。
在宅支援についても大幅な拡充が必要です。
知事は、第一回定例会で、高齢者が可能な限り住みなれた地域で生活できるようにするためには、住まいや医療、介護、生活支援サービスなどが切れ目なく提供できる地域包括ケアシステムを構築していく必要があると答弁しました。
地域包括ケアシステムについて、私たちは、新潟県長岡市の社会福祉法人による取り組みを視察してきました。この法人は、在宅でも施設と同じようなケアを提供したい、保育園のような身近な地域の介護施設をつくりたいという目標を目指し、小規模特養や小規模多機能、一日三食の配食サービスなどを組み合わせた地域密着型の複合拠点サポートセンターを、中学校区に一カ所を目安に整備しています。
このサポートセンターの総合力を生かして、一人一人に応じた二十四時間三百六十五日対応のきめ細やかな支援を、利用料負担にも配慮しつつ行うことで、重度の方も住みなれた地域や在宅で生活できるようになっています。
長岡市での取り組みのように、身近な地域ごとに多機能の在宅支援の拠点を整備していくことは有効な方法だと思いますが、いかがですか。
今、策定中の高齢者保健福祉計画の中で、大都市東京における本格的な地域包括ケアを整備していく方向性を明らかにすべきと思いますが、知事、お答えください。
土地や人件費が高い東京でこうした取り組みを展開するためには、財政支援が必要です。都は、特養ホームや認知症グループホームに在宅支援サービスを併設する際に、整備費補助への加算を行っていますが、在宅支援の拠点づくりは、小規模特養や小規模多機能を中心にするなど、さまざまなやり方があります。
小規模特養などに対しても併設加算を行うなど、地域包括ケア構築の取り組みに幅広く補助を行うことを求めますが、いかがですか。
保育園や特養ホームの増設、地域包括ケア整備のためにも、土地の確保が不可欠です。都有地、国有地、民有地の活用の新たな施策と補正予算は評価できます。しかし、都有地貸付料の減額でいえば、平米単価三十四万円を超えないと九割減額になりません。そのため、区部の一部や多摩地域の多くは当てはまらないのです。
都内どこでも九割減額の適用が受けられるよう検討する必要があります。いかがですか。
区市町村や事業者は、活用できる都有地の情報提供を期待しています。各局が管理する都有地で、長期にわたって利用されていないものを再検証し、利用目的も含めて全面的に洗い出す仕組みをつくるなど、福祉施設整備に向けた都有地活用、都有地創出のあり方をさらに改善し、活用可能な都有地の確保、創出を促進することが早急に求められているのではありませんか。
また、区市町村が使いたいと考える都有地は各局にわたります。都庁内の各局や区市町村との調整、情報提供をする窓口を設置し、都有地活用の総合相談機能を果たせるようにすることが重要だと思いますが、お答えください。
長期ビジョン中間報告では、知事が約束してきた保育士や介護士の処遇改善のための都独自の補助に触れていません。福祉人材の確保は緊急の課題です。
かつて東京都は、福祉人材の確保と雇用の継続を図るため、私立保育園など民間社会福祉施設職員への人件費補助を実施し、大きな効果を上げていたのです。
保育士の給与を引き上げるため、国は現在、一人当たり月額七千円から八千円程度の処遇改善加算をしています。しかし、それでも全職種の平均給与と比べると年間百万円以上もの格差があります。さらに上乗せが検討されていますが、月額数百円でしかありません。知事は、これで十分だと考えているのでしょうか。
給与の低いことが、保育士や介護士を確保できない大きな要因になっています。低い給与の底上げは不可欠です。知事は公約どおり、都独自に保育士や介護士の給与を上げる措置をとるべきです。知事の答弁を求めます。
次に、都民生活への支援です。
消費税が増税されて半年、四月から六月期のGDPは、年率換算で七・一%もマイナスです。家計消費が一九%も落ち込んだことが最大の原因です。働く人の実質賃金が十三カ月連続でマイナスになったためです。日本経済は、悪循環の危険水域に入っています。
年金は下がるばかり、賃金も上がらず、東京都生計分析調査では、勤労者世帯の六月の消費支出は、前年と比べて四万二千円ものマイナス、無職世帯も二万三千円のマイナスです。
商店街では、消費税八%でお客が三割減っている、一〇%になったら商売を続けられないなど深刻です。
知事、経済の実態と都民の暮らしの実態をどう認識していますか。
知事は、第二回定例会で、消費税一〇%への増税について、経済状況を慎重に判断するのは当然、政府において適切な対応がなされていくものと考えると答弁しましたが、最近も、政府・与党幹事長は、予定どおり増税すべきだと発言しているのです。
今日の事態は、増税が許されないことを示しています。知事、国に対し、きっぱり中止を求めるべきではありませんか。
国民皆保険制度を守るために、国民健康保険への支援強化が緊急に求められています。
国民健康保険中央会は、自営業者などの加入者の割合が減り、無職者や非正規雇用者が増加していることから、脆弱な財政基盤という問題がより一層深刻さを増しているとして、国の責任において財政支援の制度を拡充強化する必要がある、さらなる公費投入により財政基盤の強化を図るべきだと訴えています。都もこうした立場で、国に公費投入の拡大を強く求めるべきではありませんか。
広域化を先取りして、来年度から国保の財政運営が都道府県単位で行われることになっています。区市町村間で保険料に差がつかないようにしようというのですが、このままでは、保険料を低く抑える努力をしてきた自治体の保険料が上がりかねません。そんなことがあってはならないと思いますが、いかがですか。
保険料に差がないようにしようというなら、国及び都が支援して、低い保険料の自治体にこそ合わせられるようにすべきです。市長会、町村会も東京都に財政支援を求めているではありませんか。この要望にしっかり応えるべきです。
子供の貧困対策も急務です。
経済的困難のため、満足な食事がとれない、修学旅行に行けない、進学を諦めたなど、子供の貧困が広がっています。この問題を放置すると、健康や学力、友達との関係や親子関係に影響し、豊かな経験を得ることも難しくなるおそれがあることが広く指摘されています。
ことし国が発表した子供の貧困率は一六・三%と過去最高になりました。OECD加盟国の平均は一三・三%ですから、国際的に見ても日本の子供の貧困は深刻です。子供の貧困の現状についてどう認識していますか。
子どもの貧困対策推進法の施行を受け、都として、子供の貧困をなくすための総合対策と数値目標をはっきり掲げた、子供の貧困対策計画を策定すべきですが、いかがですか。
都市づくりと経済政策では、大型開発中心、大企業中心から抜け出すことが重要です。
都市づくりでは、巨大ビルや大型道路に偏ったあり方を見直し、区市町村と力を合わせて、適切な家賃、費用で入居できる住まいの確保、公園、地域交通の整備、生活道路の安全確保、商店街やコミュニティの再生、福祉、医療施設の整備など、身近な地域での生活の質の充実を進め、子供も高齢者も暮らしやすい条件整備に力を入れる方向への転換が必要です。
また、経済政策では、雇用の安定と労働条件の改善、中小零細企業や商店街、都市農業への支援による地域経済振興、内需の拡大に全力を注ぐことが重要だと思いますが、それぞれお答えください。
この立場から、まず、商店街振興について伺います。
地域住民にとって最も身近な商業集積であり、住民のコミュニティの場である商店街では、シャッター通りが広がるなど、存亡の危機にさらされています。
都は、地域社会を再生し、買い物弱者をなくすためにも、商店街活性化に全力を尽くす必要があります。ところが、長期ビジョン中間報告では、商店街振興について一言も触れていません。
商店街問題の現状をどう認識し、どのように再生しようとしているのですか。
商店街をどう活性化するのか、各自治体、商店街は苦心しています。
都はかつて、個別商店の実態調査とともに、都の中小企業診断士、職員などが、各地域の商店街、自治体、業者、経済団体の協力を得て、消費者の買い物動向調査、分析、商店街への要望の把握、各個店の実態把握など、きめ細かい基礎調査を一年近くかけて行い、商店街の活性化に向けた提言をしてきました。
区市からは、今こうした取り組みがされれば大変助かりますという声が上がっています。ぜひ実施すべきですが、お答えください。
東京には、全国一、大学が集積しています。商店街の再生にこの力を生かさない手はありません。経営学部や商学部などの学生による空き店舗運営、農学部や工学部との連携による特産品を生かした地域ブランドづくり、デザイン、芸術系学生による斬新な宣伝戦略、福祉系学生と連携した買い物弱者支援など、大きな可能性があります。
都として、こうした大学、学生の力の活用を戦略的に位置づけて、商店街の活性化に力を注ぐべきと思いますが、いかがですか。
商店会や市長会から、都の新・元気を出せ商店街事業について、要件を緩和してもらいたいなどとのさまざまな要望が出されています。こうした点を改善するとともに、都の政策に沿った事業に助成する方式だけでなく、商店街の自主性を尊重し、各商店街が企画する独自事業にも支援できるよう、区市町村に補助する制度を立ち上げることを求めます。
中小建設業への支援も切実な課題です。
建設業で働く就業者数は、この二十五年間で、大工は半減し、土木作業者は四割減少するなど、人材不足が深刻です。中小建設業、建設労働者の育成、確保は、今後急増するインフラの維持補修、災害対策などのために必要不可欠です。入札契約適正化法の改正など、法整備も始まりました。
都としても、中長期的な視点に立って、生活密着型公共事業の拡大、住宅リフォーム助成、公契約条例の制定など、中小建設業、建設労働者の育成、確保について全力を挙げるよう求めるものです。お答えください。
雇用対策について、長期ビジョン中間報告では、若者、高齢者、女性の合計で、都の支援による雇用を十年間に九万三千人拡大する目標にすぎません。極めて消極的です。しかも、非正規雇用がかつての三倍に急増した若年層を初め、国でさえ非正規社員を正規にする企業を支援する動きがある中で、都の長期計画に正規労働者拡大の目標がないことは見過ごせません。
知事は、働く人の三分の一が非正規というのは尋常ではないと述べました。だとしたら、正規労働者が当たり前の社会を目指す数値目標を掲げて取り組むべきです。いかがですか。
次に、防災対策です。
首都直下地震による被害想定では、建物倒壊による死者は最大七千人に達し、想定のどのケースでも死因の五割から九割を占めています。このため、国は、首都直下地震緊急対策推進基本計画で、あらゆる対策の大前提として、国と地方公共団体等は建築物の耐震化の取り組みを強力に推進するとしています。
都もこの立場に立って、建築物、とりわけ木造住宅の耐震化を強力に進めるために総力を挙げるべきです。
ところが、最も被害の大きい木造住宅の耐震化については、一部地域を除いては個人任せで、必要な補助の実施に踏み出していません。
そこで我が党は、今定例会に、木造住宅耐震改修促進補助条例を提案することにいたしました。都民の生命、身体、財産を守るために、各会派の皆さんのご賛同を心から呼びかけるものです。
その上でまず、集中豪雨対策について質問します。
地下街や地下鉄の水害対策は、一旦浸水が発生すれば大惨事につながることから、待ったなしの課題です。
現在、都営地下鉄や東京メトロなどは、ハザードマップに基づいて止水板設置などの対策をとり、八重洲地下街など都内九カ所の大規模地下街は、昨年度までに浸水対策計画を策定しました。
研究者からは、もっと浸水危険箇所を特定した対策をとることや、安全な避難経路を特定しておくことの必要性、地下街に浸入しないように雨水を貯留する施設の有効性が強調され、危険性について管理者や都民に啓発することが重要との声が上がっています。
こうした指摘を受けとめ、実態を把握し、対策の再検証を管理者に促すこと、貯留施設計画が完了していない渋谷駅東口など五地区の対策を早期に完了すること、また、都民に地下災害での避難の仕方について周知徹底することを求めますが、お答えください。
区市町村と連携し、土砂災害対策を強化することも急務です。
第一に、広島市の豪雨災害に見舞われた地域が警戒区域に指定されていなかったことからも、都内約八千カ所の未指定区域の指定完了を前倒しで進めるとともに、土砂災害の危険性のある全ての地域にその危険性を周知徹底する必要があります。
第二に、警戒区域の避難所の安全性を再検証するとともに、その他の地域についても安全な避難所を設定し、周知徹底を図ること。
第三に、豪雨にも対応できる無線機の配備や、スマートフォンや携帯電話の活用なども含め、対象住民に情報が確実に届くシステムの整備を進めることも必要です。
以上、三点について見解を求めます。
オリンピック・パラリンピックについて、日本共産党都議団は、招致決定の当初から、整備費は最小限に抑えること、そのためにも、隣接県を含め、既存施設活用を求めてきました。
会場計画について、知事が見直しの検討を進めていることは極めて重要です。
整備費高騰を抑えるためには、IOCの既存施設最大限活用の立場で、さらなる努力をすることが求められています。既に、既存施設活用の検討に入っているバドミントンやバスケットボールなどだけではなく、ホッケー、アーチェリーや、基本設計に入ることを既に決めている競技施設についても、競技団体の合意を得て、極力、既存施設を活用していく努力を尽くすことが必要です。
知事は、アジア大会を開催していた仁川を視察し、大会施設等について市長と意見を交わしていますが、そこで得た教訓を踏まえてお答えください。
また、選手村は、選手に最適の滞在を保証するとともに、広く都民の生活や環境の向上に役立つ後利用計画、レガシーを明確にして進めるべきです。ロンドン五輪でも、札幌、長野の冬季五輪でも、行政がかかわって、低所得者向けの住宅などを建てています。
ところが、都の計画では、民間事業者による分譲、賃貸住宅だけで、現時点では、低所得者向けの住宅計画はありません。選手村の予定地は、四十四ヘクタールという広大な都有地です。丸ごと民間事業者に提供するのではなく、都民や周辺区の要望も生かして、都営住宅や福祉、医療施設など、将来にわたって都民に役立つ活用をすべきではありませんか。お答えください。
国の進める新国立競技場計画も、都の対応が問われています。
世論調査でも、今の競技場を解体せず改修すべきが四一%で、計画の規模を縮小するを合わせると七六%に及びます。一方、計画どおり新しく建てるは二四%にすぎません。
新築計画の最大の問題の一つは、景観への影響です。日本スポーツ振興センターが我が党に提出した完成後のモンタージュ写真では、周辺の樹木が伐採され、巨大な施設がむき出しとなることが確認されました。この写真はお渡ししてありますが、巨額な経費といい、アジェンダ21の景観を損なうことなくに反する問題といい、このまま進めることは許されません。
改修を含む抜本見直しを求めるべきです。知事の答弁を求めます。
都政にとって、今後、少子高齢化の進展などに対応する福祉の拡充、都市インフラの老朽化対策や耐震強化などのために大きな財源が必要です。そのときに、オリンピックに間に合わせるといって、外環道などの大型開発に巨額を投入してよいのでしょうか。
大型開発を初め、都市インフラの新設は極力抑えるべきですが、いかがですか。
オスプレイが、七月以来、横田基地や首都圏への飛来を繰り返していることは重大な問題です。
MV22オスプレイは、開発以来、墜落で三十二人の兵士が犠牲となっている危険きわまりないものです。そのために、日米合同委員会合意で、国内での飛行は人口密集地域上空を避けるなどの運用制限がされています。ところが、全国でこの合意が破られ、横田基地周辺、首都圏でも住宅密集地域での飛行が繰り返されています。
防衛省は、千葉県の自衛隊木更津基地にオスプレイの整備拠点を設置する計画です。しかも、我が党議員が国会質疑で、オスプレイの飛行について、三沢、横田、厚木基地が含まれるのかとただしたのに対し、国は、そういう理解でいいと答えています。神奈川の厚木基地、山梨のキャンプ富士などとあわせて、オスプレイが首都圏の空を我が物顔で飛び回る危険が増大しているのです。
知事はこうした現状について、安全保障は国の専管事項だとして容認してきましたが、もはや曖昧な態度は許されません。
知事、この現状を許しておいて、都民の命と安全が守れるのでしょうか。
横田基地を初め、全国でのオスプレイの飛来中止を国と米軍に対して厳しく申し入れるべきです。知事、いかがですか。
首都圏へのオスプレイの頻繁な飛来は、安倍内閣による集団的自衛権行使容認の閣議決定と結びついたものです。今、日本が米軍とともに戦争する国に進むのか、それとも、この道を許さないのかが問われる重大な岐路に立っています。
知事、今こそ日本の平和、都民の命と安全を守るために、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回するよう強く求めるべきです。
知事の答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
〇知事(舛添要一君) 畔上三和子議員の代表質問にお答えいたします。
まず、待機児童解消についてでありますが、今回の長期ビジョンの中間報告では、平成二十九年度末までに待機児童を解消するため、保育サービスを四万人分ふやすことをお示しいたしました。
また、本定例会には、保育サービスの整備をさらに加速させるため、新たな支援策を盛り込んだ補正予算案も提出しております。
今後とも、保育の実施主体である区市町村が地域の実情やニーズに応じて、認可保育所、認証保育所、認定こども園など多様な保育サービスを整備できるよう支援していく考えでございます。
次に、地域包括ケアシステムの構築についてでありますが、多くの高齢者は、たとえ介護が必要になっても、可能な限り住みなれた地域で生活したいと望んでおります。そのためには、高齢者のための住まい、医療、介護、生活支援サービスを地域の中で一体的に提供する地域包括ケアシステムを構築していかなければなりません。
こうした考えに立ちまして、長期ビジョンの中間報告では、高齢者が地域で安心して暮らせる社会の実現を政策指針の一つに位置づけました。ご指摘をまつまでもなく、現在策定中の高齢者保健福祉計画においても、地域包括ケアシステムの構築に向けた具体的な取り組みを盛り込む考えであります。
次に、保育士や介護職員の処遇改善についてでありますが、これまでも繰り返し申し上げてきましたけれども、保育士や介護職員の処遇が十分でない一番の問題は、キャリアパスの仕組みが不十分なことであります。
保育サービスは、来年度から、子ども・子育て支援新制度が始まります。本年五月に示された公定価格の仮単価では、都の提案も受け、キャリアを評価する仕組みが取り入れられましたが、その詳細はいまだ明らかとなっておりません。
また、現在の介護報酬には、平成二十四年度から職員のキャリアを評価する仕組みが導入されておりますが、大都市の物価水準に見合ったものにはなっておりません。
こうした仕組みは、本来、国が整えるべきでありまして、先般、塩崎厚生労働大臣と面会しました際にも、保育士や介護職員の確保について、国として、実効性のある対策を講じていただくように申し上げました。
都は既にサービスの水準を確保するためのさまざまな補助を独自に行っておりまして、今後、国の動きに合わせて、そのあり方についても十分検討してまいりたいと思っております。
続きまして、経済と都民の暮らしについてでございますが、我が国の経済は、一部に弱さも見られますが、緩やかな回復基調が続いております。消費税引き上げに伴う駆け込み需要の反動などに留意する必要があるものの、雇用情勢は着実に改善しており、賃上げの動きも見られます。
都は、中小企業支援や雇用就業対策など、さまざまな施策を講じることにより、企業業績の回復と安定的な雇用の実現を図り、それを消費の拡大へとつなげ、東京の経済の成長を確かなものにしてまいります。
消費税についてでありますが、税率の引き上げに当たりましては、税制抜本改革法のいわゆる景気条項に基づき、我が国経済の成長に向けた措置を講じるとともに、経済状況を総合的に勘案し、判断することとされております。
こうした法の規定に基づき、政府において適切な対応がなされていくものと考えております。
したがって、国に対して、税率引き上げの中止を申し入れる考えはございません。
雇用対策についてでありますが、恒産なくして恒心なしという言葉がありますように、安定した職業という生活基盤があればこそ、明るい気持ちで生活していくことができます。働き方にはいろいろとありますが、目指すべきは、正規雇用など、希望に応じた働き方を選択し、実現できる社会であります。
都はこれまでも、職業訓練や東京しごとセンター事業を推し進めるとともに、国とも力を合わせ、やむを得ず離職した人や不本意な働き方をしている人の再チャレンジを支援してまいりました。
今後、さらに必要な対策を長期ビジョンに反映し、都民が豊かさを実感できる東京を実現してまいります。
オリンピック・パラリンピックの競技会場についてでありますが、先日視察しました仁川におきましては、既存施設が少ないことから、多くの施設を新設していました。
一九六四年大会を経験した東京では、そのレガシーであります国立代々木体育館や東京体育館など、既存施設を最大限活用した会場計画となっております。
さらに、現在行っている再検討におきましても、近隣県までを含めた既存施設の活用を具体的検討事項の一つとしております。その上で、活用できる既存施設が存在しないなどの場合は新設する必要があり、アクアティクスセンターなど三施設については、今回、基本設計に着手することといたしました。
重要なことは、将来にわたり都民から喜ばれる会場計画の策定でありまして、今後とも、その観点に立って、大会準備に取り組んでまいります。
新国立競技場計画の見直しについてでありますが、新国立競技場は、国及び日本スポーツ振興センターの責任において整備が進められております。
整備に当たりましては、将来構想有識者会議を設置し、各分野の専門的な意見を計画に反映させるとともに、景観を含めた必要な手続を適正に進め、その上で、基本設計をまとめていると認識しております。
また、改修方式への変更につきましては、コストの大幅な縮減が望めないことやスケジュールの問題から、事実上困難であると聞いております。
都としては、二〇二〇年大会のオリンピックスタジアムとして活用できるよう、着実な整備を求めてまいります。
オスプレイについてでありますが、安全保障に関することは、国の専管事項でありまして、都はその是非についていう立場にはございません。
地域に影響を及ぼす米軍機の運用に当たりましては、オスプレイに限らず、国の責任において、地元に丁寧に説明することが重要でありまして、これまでも国に対して、地元への情報提供を行い、説明責任を果たすよう要請してきております。
集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を求めるべきだとのお尋ねでありますが、繰り返しになりますが、安全保障は国の専管事項であります。その上であえて申し上げれば、国際法上、全ての国は集団的自衛権を有しておりますが、日本ではこれまで憲法により行使できないとされてきました。しかし、国政の場において十分議論がなされ、集団的自衛権を行使できるよう解釈を変更したものと認識しております。
平和とは、ただ望めば手に入るような簡単なものではございません。平和を本当に欲するならば必要な準備を整えることが不可欠であります。
例えば、私が二年間にわたって仕事をした国であります、永世中立国として有名なスイスは、男子に兵役が義務づけられております。また、スイスのパンはおいしくないと。なぜでしょうか。これは有事に備えて新しい小麦を備蓄に回し、古くなった小麦から市場に出回ってパンにするからでありまして、それだけのコストが平和にはかかっているという一つの例であります。
自由や民主主義、そして基本的人権という普遍的価値を共有する国々と協力し、集団的自衛権により平和を守ることは、我が国にとって現実的かつ懸命な方策であると考えております。
したがって、集団的自衛権の行使を認める閣議決定について撤回を求める考えはございません。
〔東京都技監横溝良一君登壇〕
〇東京都技監(横溝良一君) 土砂災害警戒区域等の指定と危険な箇所の周知についてでございますが、都は、土砂災害の危険箇所の多い地域から、現地調査を行った上で警戒区域等の指定を順次進めており、平成三十二年度までに都内全域での指定を完了させます。
指定後はホームページ等で区域を公表するとともに、区市町村によるハザードマップの作成、配布などを通じ、住民に周知しております。
また、都は、都内全域で土砂災害の発生の可能性のある箇所について、地形図面等を用いて調査を行っておりまして、その結果を平成十四年度から公表しております。
広島での災害を受け、これら災害の危険の可能性のある箇所や警戒区域等の指定箇所について、改めて関係住民に周知するよう、区市町村に対して既に要請をしております。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕
〇福祉保健局長(梶原洋君) 十点のご質問にお答えします。
まず、保育所の園庭についてでありますが、保育所の認可基準におきましては、園庭もしくは近隣で代替できる公園等を確保することとしております。
また、国が示した保育所保育指針では、園庭に限らず、公園、広場など自然環境の豊かな場所に出かけ、戸外で遊ぶことの心地よさを十分に味わうことができるようにすることが求められております。
各保育所は、それぞれ保育目標を定め、創意工夫しながら特色ある保育サービスを提供しており、屋外活動もその一環として実施されているものと認識しております。
次に、園庭を初めとする環境整備についてでありますが、都はこれまで、保育サービスの整備を促進するため、都独自に都有地の減額貸付、定期借地権の一時金への補助などを実施しており、本定例会には新たな支援策も提案しております。
こうした補助の対象には園庭も含まれており、園庭がない場合には、保育所付近に代替場所を確保するよう求めております。
次に、特別養護老人ホームの整備についてでありますが、高齢者が可能な限り住みなれた地域で生活し続けられるよう、地域包括ケアシステムを構築するためには、施設サービスだけでなく、在宅サービスやケアつき住まいなどの介護基盤をバランスよく整備することが重要でございます。
こうした考えに立って、長期ビジョンの中間報告では、二〇二五年度までに特別養護老人ホームを五万五千から六万人分とする目標をお示しいたしました。
今後、介護保険の保険者である区市町村が地域のニーズを踏まえて算定するサービス見込み量や、高齢者保健福祉計画策定委員会での議論も踏まえ、改めて整備目標を策定してまいります。
次に、在宅支援の拠点整備についてでありますが、都はこれまで、地域における在宅支援の基盤を整備するために、二十四時間対応可能な小規模多機能型居宅介護や複合型サービスの整備などに独自の補助を行ってまいりました。
また、高齢者に対する見守りや配食サービスなど、地域において在宅高齢者を支える仕組みの構築に取り組む区市町村を包括補助事業により幅広く支援しており、今後とも、地域において在宅支援の拠点整備が進むよう、区市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、地域包括ケアシステムの構築に向けた基盤整備についてですが、都は現在、小規模多機能型居宅介護や複合型サービスなど、地域密着型サービスの整備を促進するため、特別養護老人ホームに併設する場合には、都独自に一床当たり最高で五十万円の加算を行っております。
また、区市町村が地域密着型サービスを整備する場合にも、国からの交付金に加えて、都独自の補助を実施するなど、既にさまざまな支援を行っております。
次に、国民健康保険の財政基盤の強化についてでありますが、現在の国民健康保険制度には、医療費が高く所得の低い高齢者や、失業者などの低所得者の占める割合が高く、保険料の確保が困難であるなど構造的問題があり、国民皆保険制度を守るという観点から、制度設計者である国が責任を持って抜本的解決策を講じることが必要でございます。
現在、国民健康保険の基盤強化に関する国と地方の協議において、制度見直しに関する議論が進められており、都は既に、国に対し、構造的な問題の解決、必要な財源の確保等について提案要求を行っております。
次に、国民健康保険の財政運営についてでありますが、国保財政の広域化の観点から実施されている保険財政共同安定化事業は、区市町村国保の拠出金を財源として、同一都道府県内の医療給付費の負担を共有するものであり、毎年の医療費の変動による財政影響や、医療費の差による保険料の相違を緩和し、国保財政の安定化や保険者間の保険料の平準化を図ることを目的としております。
平成二十四年の法改正により、来年度から、事業の対象が、これまでの一件三十万円を超える医療費から全医療費に拡大されることとなりましたが、それに伴う財政への影響は、都の調整交付金で調整することとなっております。
また、この事業が拡大された後も、国保の保険者は区市町村であり、保険料や保険税の料率は、それぞれの自治体の議会で審議して決定されるものでございます。
次に、市長会、町村会の要望についてでありますが、市長会、町村会の要望の趣旨は、保険財政共同安定化事業の拡大による財政影響を緩和しつつ、都調整交付金の定率交付の確保を求めるものであり、都としては、こうした要望を踏まえ、必要な激変緩和措置を講じていく方針であります。
なお、先ほども申し上げたとおり、国保の保険料や保険税の料率は、それぞれの自治体の議会で審議して決定されるものであり、また、国保制度の構造的な問題の解決、必要な財源の確保等については、既に国に対し提案要求を行っております。
次に、子供の貧困についてでありますが、平成二十五年の国民生活基礎調査によると、全世帯員の等価可処分所得の中央値の半分に満たない世帯員の割合である相対的貧困率は一六・一%、十七歳以下は一六・三%となっており、先進国の中で高い状況にございます。
貧困は、子供たちの生活や成長にさまざまな影響を及ぼすため、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、福祉、教育、就労といった面から必要な環境整備を図っていくことが重要であると認識しております。
最後に、子供の貧困対策計画の策定についてでありますが、全ての子供たちが個性や想像力を十分に伸ばし、次代を担う社会人として育つためには、必要な環境が成長段階に応じて得られるよう、家庭、学校、地域で体制整備を行っていくことが必要であります。
こうした考えに立って、都はこれまで、次世代育成支援行動計画やひとり親家庭自立支援計画等を策定し、さまざまな施策を進めてまいりました。
今年度は、ひとり親家庭自立支援計画を改定するとともに、子供・子育て支援事業支援計画を新たに策定することとしており、来年度には、子供・若者計画を策定する予定でございます。
都としては、こうした計画に、支援が必要な子供たちへの施策を盛り込み、総合的に推進していく考えでございます。
〔財務局長中井敬三君登壇〕
〇財務局長(中井敬三君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、福祉インフラ整備事業における都有地貸付料の減額制度についてでありますが、都には、地価が他県に比べて著しく高い地域があり、これらの地域では福祉施設の整備が進めにくい状況がございます。
そのため、先般発表した減額制度では、都有地の貸付料について、これまで行っていた五割減額に加え、地価が高い地域ではさらに減額率を高めることで、近隣三県の平均地価を下回る水準になるよう見直しを図ったところであります。
こうした取り組みにより、区部、多摩を問わず、地価が高く福祉施設整備が進まなかった地域においても整備が促進されるものと考えております。
次に、福祉インフラ整備に向けた都有地の確保、創出の促進についてでありますが、都はこれまでも、未利用都有地については、関係各局と十分に調整の上、福祉インフラ整備に活用可能と考えられる土地を確保し、区市町村に対し情報提供をしてまいりましたが、今後は、さらに個別の土地の状況なども含め、区市町村に提供する情報の充実を図っていくこととしております。
また、老朽化した都営住宅等の建てかえに伴い、今後十年間で三十ヘクタールを超える土地を創出するほか、公営企業の未利用地についても活用を進めることなどにより、福祉施設の整備を促進してまいります。
次に、都有地活用の総合相談機能についてでありますが、都は、都有地を活用した事業の推進に当たっては、これまでも担当局を通じて地元の区市町村と密接に連携し、円滑な事業推進に努めてきております。
個々の都有地には、区市町村が使いたいと考える土地であっても、道路計画地等で長期貸付には適さないものや、地中障害物があるものなど、直ちに利用することが困難なケースも多数含まれているのが現状であります。
今後とも、関係各局と連携し、そうした個々の土地の事情も含めて十分調査、把握した上で、福祉インフラ整備に活用可能な未利用都有地について情報提供を行うなど、区市町村の取り組みを支援していくこととしております。
最後に、財政運営についてでありますが、外環道や骨格幹線道路などの都市インフラの整備は、都民の利便性や国際競争力の向上、東京の活力維持などに不可欠な取り組みであり、着実に進めていく必要がございます。
都はこれまでも、都市インフラの整備や更新はもとより、福祉や医療、教育、防災など、都民にとって必要な他の施策にも的確に財源を振り向けてきております。
今後とも、財政の健全性に十分留意しながら、都民生活の向上にしっかりと取り組んでまいります。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕
〇都市整備局長(安井順一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都市づくりについてでございますが、人口減少、少子高齢社会の到来や都市間競争の激化など、社会経済情勢が変化する中、今後とも、東京の経済活力を高めながら、生活の質の向上も図っていく必要がございます。
このため、広域的な視点に立って、国際競争力の強化に資する三環状道路の整備や空港機能の強化、都心部の更新などを進めております。
また、身近な地域におきましても、駅などを中心に、商業、医療、福祉などの機能が集積した良質な居住環境の創出にも取り組んでおります。
引き続き、経済的な豊かさと生活の質の豊かさを兼ね備えた、誰もが暮らしやすい世界一の都市東京の実現に取り組んでまいります。
次に、地下街等の浸水対策についてでございます。
都はこれまで、地下街や地下鉄などの地下空間における浸水被害防止のガイドラインを策定し、これに基づく対策を実施するよう、各施設の管理者に促してまいりました。
また、近年の降雨特性を踏まえ、本年六月、豪雨対策基本方針を改定し、地下街、地下鉄、民間ビル等の浸水対策について、連携強化を図ることとしております。
お話の五地区の貯留施設等の設置につきましても、下水道事業として既に二地区で着手し、残り三地区の設計を進めております。
さらに、浸水時の避難につきましても、引き続き、各施設の管理者に対しまして、避難経路の案内図の整備、リーフレットによる周知を促すなど、今後とも、都民の生命、財産を守る地下空間の浸水対策を進めてまいります。
〔産業労働局長山本隆君登壇〕
〇産業労働局長(山本隆君) 六点のご質問にお答えいたします。
まず、東京の雇用就業対策と産業振興についてでございます。
都はこれまでも、東京しごとセンターにおけるきめ細かな就職支援などを実施するとともに、労働相談情報センターにおいて、労働問題全般について、解決に向けたアドバイスを行っております。
また、東京の産業の活力を支える中小零細企業や商店街に対しては、経営面や資金面などから幅広く支援をしております。
さらに、都市農業につきましては、経営相談や施設整備への支援などに取り組んでおります。
今後とも、東京の経済の活性化に向けて必要な対策を適切に実施してまいります。
次に、商店街に対する現状認識と対応についてでございます。
商店街は、商業活動の拠点であるとともに、地域コミュニティの担い手となっておりますが、集客力の低下や後継者不足など厳しい状況に置かれております。
このため、都は、商店街が地域コミュニティの中で適切にその役割を担うことができるよう、区市町村と連携して、商店街の意欲的な取り組みを支援しております。
次に、商店街に関する実態調査についてでございます。
各商店街や個別商店の詳細な実態把握等につきましては、地域の実情に精通した区市町村が主体的に実施することが効果的でございます。
都は、定期的に、都内全商店街を対象に実態調査を実施しており、こうした区市町村の取り組みを支援しております。
次に、商店街における大学等との連携についてでございます。
都はこれまでも、商店街が地域の大学や学生のグループ等と連携して活性化を図る取り組みについて支援しております。
次に、商店街に対する支援についてでございます。
都はこれまでも、商店街や区市町村からの要望を踏まえ、商店街振興等の観点から必要な要件を定めて事業を実施しております。また、商店街の自主的で意欲的な取り組みについて、区市町村を通じて幅広く支援しております。
今後とも、適切に事業を行ってまいります。
最後に、建設労働者の育成等についてでございます。
近年、インフラ更新や建物の耐震化など、建設需要の増加を背景に、建設現場で働く技能者の育成が急務となっております。
都はこれまで、職業能力開発センターにおいて、住宅内外装仕上げなど建設関連の職業訓練を実施しており、今年度はさらに、鉄筋工と型枠大工の養成に向けた訓練を開始いたしました。
また、公共工事など、官公需における中小企業の受注機会の確保についても取り組んでおります。
〔総務局長中西充君登壇〕
〇総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、安全な避難所の設定とその周知についてでございます。
都の地域防災計画では、避難所の指定と周知を区市町村の役割と位置づけており、震災のみならず、水害や土砂災害に対しても安全な避難所を、区市町村がそれぞれの地域防災計画において指定し、住民への周知を図ることとしております。
都といたしましても、既に避難所情報をホームページに掲載して、広く都民に周知しているほか、日ごろから区市町村に対し、説明会等を通じて、都の地域防災計画や国のガイドラインを周知するなど、安全な避難所の確保等に向けた区市町村の取り組みを促しているところでございます。
次に、住民に情報が確実に届くシステムについてでございます。
都の地域防災計画では、都が区市町村に対して警報や注意報等の情報を伝達し、その情報を区市町村が住民へ周知することとしております。
そのため、都は、大雨洪水警報や河川水位の予報等が発表された際は、速やかに区市町村へ情報を伝達しております。
さらに、気象情報等を確実に区市町村に伝えるため、気象庁から配信された情報を自動的に区市町村に発信するシステムの改修を既に進めているところでございます。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 選手村の後利用についてでございますが、選手村には、民間事業者が整備する宿泊棟部分と、大会組織委員会が仮設施設を整備するその他の部分とがございます。
大会終了後は、宿泊棟部分は、民間の分譲または賃貸住宅となり、その他の部分は、跡地にまちづくりに必要な施設などの整備が検討されてまいります。
選手村予定地は、その全体が多くの人々が集い暮らす新たなまちとなることから、今後、地元区など関係者とも連携を図りながら、後利用の調整を進め、地域が持続的に発展するよう取り組んでまいります。
〔八十番畔上三和子君登壇〕
〇八十番(畔上三和子君) 知事に再質問します。
第一に、消費税増税についてです。
知事は、消費税増税の中止を申し入れる考えはないと答弁しました。しかし、消費税率を予定どおり一〇%に引き上げることについて、マスコミ各社の世論調査は、読売新聞が賛成二五%、反対七二%など、どの調査でも反対が多数なんです。
知事は、一〇%増税反対を求める世論をどう受けとめていらっしゃるのですか、お答えください。
第二に、オスプレイについてです。
知事は、安全保障は国の専管事項だから、是非についていう立場にないと答弁しました。しかし、地方自治体は住民の生活を守る責務があるのです。だからこそ、都はこれまで、米軍基地の存在が都民生活にさまざまな影響を与え、地域のまちづくりの障害になっているとして、都内米軍基地の整理、縮小、返還を国に働きかけているのです。広大な横田空域の縮小を国に働きかけ、一定の縮小を実現しているではありませんか。
知事は、現在までのこうした都の立場が間違っている、基地の存在は安全保障上の問題だから物がいえないというのですか。
また、知事は、記者会見でオスプレイの安全性について相当改善されているといいましたが、知事は、オスプレイが民間航空機のような安全性があると思っていらっしゃるのですか。昨年もMVオスプレイは、二回も重大事故を引き起こしているのです。危険きわまりない軍用機です。知事、違いますか。
都民の生命、安全を守るべき知事として、国と米軍に対し、オスプレイの飛来に反対だと強く申し入れるべきです。福生市など基地周辺の五市町は、繰り返し、安全性への懸念が払拭されないまま、横田基地への飛来や訓練が行われることがないように、国に申し入れをしているではありませんか。
岩国基地への米空母艦載機の受け入れ問題でも、県知事は国に拒否してもらいたいと述べ、市長は住民投票で賛否を問い、国に対し物申したではありませんか。
以上、四点につきまして、知事の答弁を求めます。
なお、集団的自衛権行使容認の閣議決定は、憲法九条を踏みにじるもので、立憲主義に反するもので、到底許されるものではありません。これを擁護する知事の態度は、平和を願う多くの都民の願いに反するものであり、厳しく批判をするものであります。(拍手)
〔主税局長塚田祐次君登壇〕
〇主税局長(塚田祐次君) 消費税についての再質問にお答えいたします。
税率の引き上げに当たっては、経済成長率、物価動向等、経済状況などを総合的に勘案した上で判断することとされております。
先ほど知事がお答えいたしましたとおり、こうした税制抜本改革法の規定に基づき、政府において適切な対応がなされていくものと考えております。
〔都市整備局長安井順一君登壇〕
〇都市整備局長(安井順一君) オスプレイについての再質問にお答えします。
自治体は、住民の安全・安心を守る責務があるということは当然でございまして、これはオスプレイの問題に限らず、あらゆる施策を通じて、東京都は、都民の安全・安心を守る施策を展開しているところでございます。
また、オスプレイは非常に危険なものではないかというお話もございました。導入当初、十万飛行時間で比較いたしますと、MV22は、米海兵隊の回転翼機の中で事故率は最低でございます。
また、他県からもっと厳しい申し入れをしているではないかというようなことについてのお尋ねでございますけれども、他県の状況は、よく、十分には承知してございませんけれども、オスプレイにつきましては、先ほど知事からご答弁しましたとおり、安全保障に関することは国の専管事項でございまして、都は、その是非についていう立場にございません。
オスプレイを含め、周辺住民に影響を及ぼすような米軍機の運用に当たりましては、都はこれまでも国の責において、地元に丁寧に説明するように要請しているところでございます。
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