午後六時二十分開議
〇副議長(藤井一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
七十九番大西さとる君。
〔七十九番大西さとる君登壇〕
〇七十九番(大西さとる君) 知事、地域的な教育格差が存在すると認識されているでしょうか。
私の地元である足立区を初め、東京東部地域、この地域には、一旦つまずいたものの、もう一度頑張ろうとする子供たちを応援するエンカレッジスクールやチャレンジスクールというものは整っています。一方、難関大学を目指そう、学問で身を立てようという子供たちを応援する、そんな取り組みはありませんでした。
東京都には、このような子供たちを応援する、進学校を指定する制度があります。優秀な教師を集め、特別なカリキュラムを組み、難関大学突破を目指す進学校です。しかし、この種の学校は、二十三区では真ん中から西側に全てが集中し、東側には一校も存在していませんでした。当然、東京東部にも難関大学を目指そうとする子供たちはたくさんいます。その子供たちは、長い時間かけて西側にある進学校に通っていたわけです。このことを、私は何度もこの場所でパネルを使って訴えてまいりました。
その結果、東京都教育庁は、平成二十二年、このような地域的な偏在の解消を目的として、足立区と江戸川区に進学指導推進校を指定していただきました。足立区では、江北高校が指定されました。あれから一度指定校の更新が決定し、徐々にではありますが、進学実績もよくなってきています。しかし、今もまだ日比谷高校や戸山高校に通っている子供たちもたくさん見受けられます。
その理由の一つに、入学志望の生徒は、過去の進学実績により志望校を選択いたします。進学指導校としての実績を上げていくには、相当の時間がかかってまいります。五年ごとの見直しが義務化されていますが、長い目で見守る必要があります。江北高校へのさらなる強力なバックアップと長期にわたる計画が必要だと考えますが、所見を伺います。
知事は、東京の最大の弱点は交通体系であるとの認識を示されています。私も現在、都議会民主党交通政策調査会の会長として活動し、海外の交通施策の先進事例をたくさん研究してまいりました。大半の事例は、過度のモータリゼーションの進行による都市中心部の慢性的な渋滞と、その解消です。幾ら道路をつくろうが、幾ら駐車場を整備しようが、それを上回る自家用車の普及により、渋滞は深刻さを増していきます。
これに対する施策は、自家用車の利用の抑制と公共交通の整備です。例えば一般車線を減らし、バスなどの専用道路にしてしまう。市内の駐車場を逆になくしてしまう。隣町へは大きく迂回しなければならない通行区分帯をつくり、自家用車の都心内の移動の利便性を悪くする。渋滞課金制度の創設や歩行者天国の拡大などなど、一方でLRTやバスなどの公共交通を整備し、定時性を厳守し、利便性を向上させる。郊外にパーク・アンド・ライドを充実させる。自転車使用を促進するなど、自家用車の使用を諦め、公共交通に利用をシフトさせていく施策が目立ちました。
東京も状況は同じであり、都心部における公共交通の利便性のさらなる増進が必要と考えますが、知事の所見を伺います。
交通政策で成功している海外の都市の多くでは、交通政策は一つの部署が責任を持って担当していました。ところが、東京都に交通政策を尋ねると、あるときは都市整備局、あるときは建設局、あるときは警視庁や交通局、港湾局から、青少年・治安対策本部まで、所管する局が多岐にわたっているという大きな課題があります。先月には、東京の総合的な交通政策のあり方検討会が開催されています。
私は、この検討を真剣に行うならば、これらの各部門をまとめる司令塔が必要と思います。総合的な交通政策の立案ができる部署の必要性について、都の見解を求めます。
昨年十二月、交通政策基本法が施行しました。これまでの個別対応から、計画的に推進するための土台となるものです。
その中で、地方自治体に対して、基本理念にのっとり、交通に関する施策を策定し、実施する責務を有すると明記されています。この基本法に準じて、首都としての特異性に対応した東京都交通政策基本条例が必要になってくると考えますが、所見を伺います。
足立区は、南北の交通網が発達しています。上野や秋葉原、東京といった駅に行くのは便利です。一方で、副都心と呼ばれるこの新宿や渋谷に行くのには、大きく迂回しなければなりません。私は都庁に来るのに、電車では一時間以上かかります。しかし、車を使えば三十分もかからないで来ることもあります。これでは公共交通を使わずに自家用車を使おうという気になってしまいます。
足立区や板橋区では東西の路線が、東京東部地域や西部地域では南北の路線が必要ではないでしょうか。環状路線は、大江戸線、山手線、その外側は武蔵野線までありません。その間の新たな環状路線も必要です。
今、国では久しぶりに交通政策審議会が開かれており、次期の整備路線について審議され始めています。東京都区内にも存在する交通空白地をなくすために、次の世代のためにもさらなる路線整備を国に求めていくべきだと考えますが、所見を伺います。
東京五輪決定の一つの要因に、八キロ圏内という、このコンパクト開催があります。これは逆にいうと、開催時には八キロ圏内に観客が集中することになります。現状の輸送能力、期間中の見込み輸送量、その差を埋める施策について伺います。
輸送量を見積もるとき、大切なことがあります。それは、日本人と外国人の感覚の違いです。
アトランタ・オリンピックのとき、私は民間の仕事でアトランタの会場にずっとおりました。ある日のこと、競技が終了して、観客がどっと鉄道の駅に押し寄せました。私が電車に乗ったときは、人と人が少し触れ合う程度、日本人の私なら何とも思わない程度でしたが、車内の奥から、乗車しようとしてきている人たちに、チルドレン・ヒア・ノーモア、子供たちがいるんだ、もう入るなという大声が発せられました。それを聞いた、入ろうとした外国人は、オーといって簡単に諦めてしまいました。
皆さんも経験があるでしょう、こんな経験。ホテルなどのエレベーター、いっぱいなのにそっと乗ろうとする人。ブーッと鳴って、気まずい顔をしておりていきます。こういう光景は、ほとんどが日本人を中心としたアジア系であり、欧米系の人は、お先にどうぞと、まず乗ってきません。つまり、混雑率に対する感覚が全く違うわけですから、日本人の感覚で乗車率何%と考えて計画を立てれば大変なことになってしまいます。ぜひご留意いただきたいと思います。
その上で、会場が集まるこの臨海部とホテルが集中する都心を結ぶ公共交通は、相当な整備が必要だと考えます。この課題解決策を求め、世界の交通学会でも有名な、BRTによる大改革により成功をおさめたコロンビアのボゴタを先日見てまいりました。ボゴタの例はとても参考になります。というのは、二〇二〇年立候補ファイルには、大会関係者と選手の専用車線であるオリンピックレーンを整備すると明記されています。それは片側二車線しかないこの東京の道路の一車線を、大会関係者の専用車線とすることを意味します。ならば、ボゴタやクリチバの例を参考とし、オリンピックレーンにBRTを走らせることを検討したらどうでしょうか。ターミナル駅を引き込み型にする、またはノンストップにするなど、工夫すれば、関係者の車を最優先としつつも、観客の利便性を考慮し、共存させることも可能であります。
臨海部において、「ゆりかもめ」とりんかい線だけでは観客輸送に不安が残ります。オリンピックレーンを活用し、臨海部と都心を結ぶ観客用のバスなどを走らせる必要があると考えますが、見解を伺います。
最後の質問になりますが、現在多くの予防接種が予防接種法に基づく定期の予防接種として実施されています。本年十月からは新たに水痘などが追加されることになっています。こうした定期の予防接種のほとんどは幼少期の接種となるため保護者の同伴が必要となりますが、経済状況や家庭状況、就業環境など保護者側のさまざまな事情により、子供と一緒に予防接種を受けに行くことができず、結果として接種の機会を逃してしまう子供たちもいます。
私の地元では、残念ながら、親の事情で予防接種を受けられない子供が結構いるという町医者もたくさんいます。今後こうした子供たちが一人でも多くきちんと予防接種を受けられるように予防接種の重要性を普及啓発していくことを進めるべきと考えますが、所見を伺い、私の質問を終了させていただきます。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
〇知事(舛添要一君) 大西さとる議員の一般質問にお答えいたします。
都心部における公共交通についてでございますけれども、東京の鉄道は高密度で安全なネットワークを形成しておりますが、バスなどほかの交通機関と有機的に関連していないと思っております。
また、駅などのバリアフリー化や自転車のような環境に優しい交通手段の活用も十分ではありません。
このため、先月には外部の専門家を含めた検討会を設置しまして、鉄道やバスを初めとする交通機関相互の連携や誰もが利用しやすい交通施設の整備、自転車などさまざまな交通手段の活用等について検討を開始したところであります。
今後は、公共交通の利便性向上に資する総合的な交通政策を取りまとめ、世界一便利で快適な都市東京を実現してまいります。
その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長に答弁させます。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) 江北高校への今後の支援についてでありますが、都教育委員会は、進学校の全都的な配置バランスや地域からのニーズなどを踏まえ、平成二十二年度に江北高校を進学指導推進校に指定いたしました。
指定を受け、これまで学校は、公募制による教員人事や退職校長による訪問指導などにより、教員の授業力の向上や組織的な進学指導の体制づくりに取り組んできております。
都教育委員会は、こうした取り組みをさらに推進するため、今年度、予備校の進学指導コンサルティングにより教科指導体制の改善を図るとともに、昨年度設置した特進クラスの充実等について支援を拡充いたしました。
今後とも、地域における江北高校への大きな期待を踏まえ、地元地域の中学生が目標とする進学校の実現に向けて、さまざまな支援を続けてまいります。
〔東京都技監藤井寛行君登壇〕
〇東京都技監(藤井寛行君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず交通政策基本条例の必要性についてでございますが、昨年十二月に施行された交通政策基本法は、交通に関する施策について基本理念及び施策の基本となる事項を定め、国、地方公共団体、交通関連事業者、国民などの責務などを明らかにするものでございます。
これにより交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、国民生活の安定向上などを図ることを目的としております。
国は、同法に基づき、年内を目途に交通政策基本計画を策定する予定と聞いており、都としましては、こうした国の動向を踏まえ、適切に対応してまいります。
次に、鉄道路線の整備についてでございますが、都は現在、国や鉄道事業者などと連携し、運輸政策審議会答申第十八号に位置づけられた路線の実現に向け取り組んでおります。
国は、答申の目標年次が近づいていることから、本年五月に交通政策審議会の中の鉄道部会を開催し、東京圏における今後の都市鉄道のあり方などについて議論を開始しており、平成二十七年度中に審議会答申を取りまとめるとしております。
都としましても、今年度、学識経験者などで構成する委員会を設置し、都における今後の鉄道ネットワークのあり方などについて国の動向を踏まえながら調査検討を進めてまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
〇総務局長(中西充君) 総合的な交通政策の立案ができる部署の必要性についてでございます。
都では、その時々の行政課題に応じて適宜適切な組織の見直しを行い、常に効果的、効率的な執行体制の確保に努めており、このことは交通政策についても同様でございます。
お話のございました関係各局による東京の総合的な交通政策のあり方検討会については、都市整備局がその全体を取りまとめ、適切に対応しているところでございます。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、オリンピック・パラリンピックにおける交通対策についてでございますが、立候補ファイルにおきましては、観客は鉄道やバスなどの公共交通機関で輸送する計画となっております。
輸送関係者の間の意見調整と輸送方針の策定を目的として、昨年十二月、関係行政機関や公共交通事業者などで構成されます輸送調整会議を設置しております。
都は、今後この会議等を活用し、各交通機関の輸送力を検証するなど関係者と調整を行い、組織委員会と連携して、安全で円滑な輸送計画を策定してまいります。
次に、オリンピックレーンを活用した観客用のバスの運行についてでございますが、複数の会場が集中する臨海部等の地域におきましては、観客等を円滑に輸送するため、輸送計画について十分な検討を行う必要がございます。
立候補ファイルにおきましては、近傍に駅がない海の森地区などに主要鉄道駅と競技会場を結ぶ観客用のシャトルバスを配備する計画としております。
お尋ねの大会時に設置する大会関係者専用レーンを活用した観客用バスの運行につきましても、今後、輸送調整会議等におきまして、その可能性を含めて検討してまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 予防接種についてですが、子供の定期予防接種の実施に際しましては、その効果及び副反応について医師から予診の際に説明を行い、同意を得た上で接種を行うこととされております。
このため、原則保護者の同伴が必要となりますが、国は保護者が特段の理由で同伴できない場合、子供の健康状態を熟知する親族等が同伴することは差し支えないとしております。
一人でも多くの子供に予防接種を受けてもらうためには、保護者等に予防接種の意義や目的等を十分理解してもらうことが重要であることから、実施主体である区市町村は個別通知等による接種勧奨を行っており、都におきましてもホームページ等による周知に努めております。
今後とも、定期予防接種の円滑な実施に向けて区市町村等とも協力しながら、一層の普及啓発に努めてまいります。
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