平成二十六年東京都議会会議録第九号

◯副議長(藤井一君) 六十八番堀宏道君。
   〔六十八番堀宏道君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇六十八番(堀宏道君) このたび、東京都議会の壇上で質問する機会を与えてくださいました豊島区民の皆様に、冒頭、感謝、御礼を申し上げ、質問に入ります。
 初めに、都市における花と緑の創造についてお伺いいたします。
 知事は、オリンピック・パラリンピック大会を史上最高の祭典にするためには、もっと安全で、クリーンで、魅力の感じられる都市へと変貌させることが必要と述べられております。そのためには、激化する都市間競争を勝ち抜くためのインフラを整備し、都市機能を向上させていかなければなりません。それと同時に、私は、花と緑の創造が重要ではないかと考えます。世界で一番の都市にふさわしい景観を生み出すためには欠かすことのできないものと認識しております。
 日本人は、豊かな自然と四季の恵みの中で悠久の歴史を紡いでまいりました。鎮守の森や里山といった、身近に花と緑の空間があり、これらは地域共同体のきずなの中心であり、憩いの場でもありました。また、江戸時代には、日本人の美意識が凝集した大名庭園が造成され、庶民のために各所に花見の名所が設けられるなど、社会の成熟に歩みを合わせ、花と緑が創造されたのであります。
 しかし、利便性や効率性が第一とされた近代化の過程で、自然と人々との結びつきは急速に薄れ、花と緑は失われていきました。これとともに、日本人は大事なものを忘れてきたように思えてなりません。それゆえに、二〇二〇年に向けて東京を変貌させていく中で、改めて都市における花と緑に着目する必要があると思います。
 花と緑は、ヒートアイランドを緩和し、都市景観には美しさと安らぎを与えます。ガーデンシティーと呼ばれるシンガポールのように、観光戦略の中に花と緑を組み込むことも有効と考えております。また、オリンピック後の観光資源としても大いに着目すべきであります。杉並区では、路地に花をふやすことで犯罪が減りました。空き巣被害を四分の一にするという結果を生むとともに、地域のきずなが強固になるというあかしを見出しました。
 そして、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会のロゴデザインは、まさに桜をあしらった花であります。東京を一段と成熟させていく上で、我々と自然の距離を再び縮め、東日本大震災を契機に呼び起こされた自然への畏怖を常に心にとどめ、自然とともに生きる日本人らしさを再生する必要があると思います。
 花と緑という観点に立って、舛添知事に、今後、東京をどのように変えていかれるのか、ご所見をお伺いいたします。
 さて、都内では、この花と緑をテーマにしたイベントが数多く行われています。私の地元豊島区においても、桜祭りやフラワーフェスティバル、都電沿線に咲き誇るバラのお祭り、大塚バラ祭りが行われており、私も参加しておりますが、花と緑の持つ、人々を元気にする力を実感しております。
 一昨年には、都立公園を中心に、第二十九回全国都市緑化フェアTOKYOが開催され、五百万人を超える方々の来場があり、数多くのボランティアや企業の協力を得て、さまざまな緑の魅力を国内外に発信したとお聞きしております。
 また、都立公園は、先日、開園面積が二千ヘクタールを超えました。公園には、都市環境の改善や防災機能など、さまざまな役割がありますが、中でも私は、公園が有する花と緑による地域の魅力を高める役割も大変重要であると考えております。
 そこで、都立公園における花と緑のイベントなどを活用した都市の魅力向上についてお伺いいたします。
 次に、地方税制について伺います。
 平成二十六年度税制改正では、法人事業税の暫定措置の復元が一部にとどまった上、法人住民税が一部国税化され、地方交付税の原資とされました。地方税を吸い上げ、国税化し、他の地域に配分するこの措置は、受益と負担という地方税の原則に反し、地方分権に逆行しております。国がみずからの財政調整の責任を放棄し、都民に負担を負わせるものであり、到底承服しがたいものがあります。我が党は、都の財源を狙った不合理な動きに対抗すべく、都選出国会議員、区市町村議会の協力を得て、さまざまな形で国に強く働きかけを行ってまいりました。
 そもそも我が国は、地方が歳出において国よりも大きな割合を占めますが、それに見合う財源が配分されず、地方全体の財源不足は十兆円を超えております。にもかかわらず、法人実効税率の議論では、税率が高い原因が地方税にあるとし、地方税引き下げとの主張も見られます。社会保障を初めとする行政需要がさらに増大する中、地方税財源の充実がなければ地方財政は立ち行きません。
 本定例会には、法人事業税、法人住民税の超過課税を含めた税率改正が提案されております。都は、大都市特有の財政需要を賄うため、課税自主権を活用し、超過課税を実施するなど、財源の確保に努めております。
 こうした取り組みを引き続き進めるとともに、国による不合理な税制改正を行わせず、地域の自主的、自立的な行財政運営を支える税制を確立していくため、今後どのように取り組んでいくおつもりなのか、見解を伺います。
 次に、中小企業の技術力や製品開発の支援についてお伺いいたします。
 我が国は高齢化が急速に進んでおり、二〇二五年には七十五歳以上の人口が二千万人を超え、人口の約二割を占めるとされております。こうした後期高齢者の増加により、必要とされる介護を支える人材の確保が差し迫った状況になることが見込まれます。
 舛添知事もご自身の経験でご苦労なされたので、その必要性については身にしみてお感じになっておられるかと存じます。
 現在、介護を支えている多くの現場では、職員の採用がままならず、担い手の確保に窮しているのが実情です。その一方で、介護職への希望を持ちながらも、介助等は力を必要とし、肉体的な負担が大きいことから、働き続けることが厳しく、現場を離れざるを得なかった人たちも数多くいるという声を聞いております。
 私は、こうした負の連鎖ともいえる状況を何としても断ち切るために、都内のものづくり中小企業の技術力をぜひ活用すべきと考えます。
 ある中小企業では、要介護者の立ち上がりの補助、また、移動やおむつ交換をする介護従事者の負担を軽減する介護ロボットを開発したなどの事例を聞いております。そして、こうした製品の開発は、今後増加が見込まれる、在宅で介護している家族の負担の軽減にも必ずつながるはずです。
 世界一の福祉都市を目指すには、このような介護負担の軽減など、高齢化に伴う課題を解決するような製品開発を産学公が連携して、より一層促進していくべきと考えますが、都としての所見をお伺いいたします。
 次に、池袋駅周辺のまちづくりについて伺います。
 民間の不動産情報会社による住みたい街ランキング二〇一四では、池袋が昨年の十三位から、ことしは三位に上昇するなど、最近の池袋の町の評価は目覚ましく向上しております。
 一方、有識者でつくる日本創成会議が二〇四〇年に消滅可能性都市として五月八日に公表した全国の八百九十六自治体の中に、都内二十三区では唯一、豊島区が位置づけられるなど、課題があることも事実であります。
 人々が住み続けたいと思える魅力的な豊島区をつくっていくためにも、区の中心である池袋駅周辺で、さらなるにぎわいと利便性の高いまちづくりを進めていくことは大変に重要と考えます。
 このたび、西武鉄道株式会社では、新社屋と駅舎の大規模リニューアルを発表しました。今後、民間活力を積極的に誘導し、さらなる投資を呼び込んでいくことも重要です。
 こうした状況を踏まえた池袋駅周辺のまちづくりについて、都の取り組みをお伺いいたします。
 次に、道路整備について伺います。
 私の地元豊島区では、第三次事業化計画の優先整備路線である環状第五の一号線の西巣鴨交差点付近や、西ヶ原みんなの公園に隣接する補助第八一号線を初めとする特定整備路線など、未整備の都市計画道路が存在します。これら未整備の道路を早急に事業着手すべきと考えます。
 一方、区内のさまざまな箇所で道路整備が進んでおり、平成二十三年三月には、立教大学の南側を通る補助第一七二号線の西池袋区間で交通が開放され、歩行者も自転車利用者も使いやすい道路として地域の方々から大変高い評価をいただいております。
 また、無電柱化も図っており、景観、防災、安全、地域活性化等の観点から、大いに有意義であると考えます。
 そこで、都市計画道路の整備に当たっては、誰もが利用しやすくなるよう無電柱化を加速するとともに、災害時の安心を確保すべきと考えますが、見解を伺います。
 なお、無電柱化については、現在、一キロ当たり六、七億円程度を要していますが、今後区市町村を中心とした幅が狭い道路でも整備が進むよう、国が進める電線を直接埋める技術開発の動向を注視しつつ、コストの縮減に向けた取り組みをぜひお願いいたします。
 次に、下水道事業について伺います。
 昨年は、全国的に幾度も豪雨に襲われ、東京でも局地的な豪雨などで多くの浸水被害が発生しました。その甚大な浸水被害の発生を受けて、下水道局は昨年十二月に、豪雨対策下水道緊急プランを策定し、これまでの整備水準である時間当たり五十ミリの降雨への対応に加え、時間当たり七十五ミリの降雨への対応が必要な地区を選定して、効果的に対策を実施していくこととしました。
 そこで、どのような考え方で、これまでの整備水準を上回る取り組みを実施することとしたのか、所見を伺います。
 次に、下水道マンホールぶたの活用について伺います。
 先日、公営企業委員会で下水マンホールぶたの試験研究機関を視察したところ、全国のマンホールぶたの紹介があり、地域地域の特徴を生かし、独自に工夫を凝らしたさまざまなデザインのマンホールぶたを採用していることを知り、すばらしい取り組みであると感じました。
 都では、平成四年にマンホールのふたのデザインを現在のものに変更して使用していると聞いております。一方、二十三区内には四十八万個もマンホールがあり、そのふたは路面に設置されているため、人の目にも触れることも多いと思います。既に、足立区や府中市などでも独自のデザインを導入しています。
 そこで、今後東京が迎えるオリンピック・パラリンピックの開催に合わせて、オリンピック・パラリンピック仕様のデザインを施したマンホールぶたを採用すれば、大会開催に向けた機運をより一層盛り上げることができるのではないかと思いますが、都の見解を伺います。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 堀宏道議員の一般質問にお答えいたします。
 都市における花と緑についてでありますけれども、現場を視察する中で、浜離宮や六義園といった、都民が花と緑を楽しむ都立の文化財庭園を見てまいりました。
 また、青梅の吉野梅郷では、梅の木が病気にかかり、全ての木が伐採された姿を目の当たりにいたしました。毎年、梅の花を楽しみにされている多くの方が大変残念な思いをされていると思います。新しい木が育って、再びすばらしい花を咲かせてほしいと願っております。
 花や緑は、人の心に潤いをもたらし、安らぎを与えます。同時に、景観の向上や防災、さらには都市の魅力を高める観光資源として重要な役割を有しております。都におきましては、引き続き都立公園の整備や再開発の中で緑の創出を誘導するなど、都市空間の緑化や都市の中に点在する緑をつなぐネットワーク化を一層進めてまいります。
 高齢者の方が若い人とまじって、ボランティア活動などで花壇の世話をしている姿を見かけることがございます。町が美しくなり、地域コミュニティも活性化され、高齢者の方の生きがいや防犯にもつながります。こうしたことも、花と緑が持つ一つの効用だと思います。
 二〇二〇年に向けまして、この東京を旺盛な都市活動、花と緑の豊かな自然環境が調和し、人々が生き生きと暮らすことのできる成熟都市にすることを目指してまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長に答弁させます。
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) 池袋駅周辺のまちづくりについてでございますが、この地域は区部北西部のターミナル拠点であり、その魅力を一層高めていくためには、歩行者ネットワークの強化や街区再編による都市機能の向上を図ることにより、にぎわいと活力のある拠点へと更新していくことが重要でございます。
 現在、豊島区役所移転後の跡地活用の具体化に加え、西口駅前街区の再開発の動きや、線路をまたぐ東西連絡通路の整備について関係者間の調整が始まるなど、地域内において、まちづくりの機運が高まっております。
 今後とも、地元区と連携し、都市基盤の整備と民間の開発を一体的に誘導するなど、商業、業務、芸術文化、娯楽など、多様な機能が集積した、利便性が高く、回遊性のある市街地の実現に取り組んでまいります。
   〔建設局長横溝良一君登壇〕

〇建設局長(横溝良一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立公園における花と緑のイベントなどを活用した都市の魅力向上についてでございますが、都は、桜やバラなど、公園の持つ特色を生かして、年間五百件を超えるイベントを展開しております。例えば、葛西臨海公園の三十万本を超えるコスモス畑での花摘みや、四十万人が訪れる水元公園のショウブ祭りなど、四季折々の花々を多くの都民に楽しんでいただいております。また、今年度からは、神代植物公園において、新たに大温室の展示スペースを広げ、これまで培った高度な栽培技術により、ランやベゴニアの展示を充実してまいります。
 今後とも、都立公園の花と緑の資源を生かして数多くの企画を実施し、都民がより親しめる公園づくりを進め、東京の魅力向上につなげてまいります。
 次に、都市計画道路の整備についてでございますが、都では、三環状道路などの首都圏を支える広域的な道路ネットワークの整備はもちろん、交通を円滑化し、都民の安全を確保する都市計画道路を計画的に整備しております。
 事業の実施に当たりましては、バリアフリーに対応した歩道や自転車走行空間の整備、低騒音舗装などの採用とともに、無電柱化を積極的に推進し、災害時の道路閉塞の防止や良好な都市景観の形成に努めております。
 今後とも、安心で緑豊かな快適空間を創出する道路整備を進め、魅力ある都市づくりを推進してまいります。
   〔主税局長影山竹夫君登壇〕

〇主税局長(影山竹夫君) 地方分権を支える税制の確立についてでありますが、都はこれまでも、法人二税の超過課税や宿泊税の導入など、課税自主権を活用し、財源の確保に努めてまいりました。このうち、法人二税の超過課税による税収は、昭和四十九年以来、累計で六兆円に及んでおります。
 一方、国は、法人事業税の暫定措置や法人住民税の一部国税化など、みずからの権限と財源による自治体経営を目指す地方分権の理念に反するような税制改正を行ってきたところでございます。
 都は、引き続き課税自主権を活用した自主財源の確保に努めるとともに、東京都税制調査会などを活用して、法人の実効税率や地方法人課税のあり方など、あるべき税制の姿を発信し、都議会の皆様のご協力もいただきながら、他道府県とも連携し、地方の自主自立的な行財政運営を確立するための税制改正を強く国に働きかけてまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 高齢化に対応する製品開発についてのご質問にお答えいたします。
 高齢社会が抱える課題を解決するため、中小企業の高度な技術力と大学等の研究を結びつけ、新たな製品開発を促していくことは重要であります。
 そのため、都は、介護負担の軽減等につながる製品開発を産学公連携による技術革新のテーマの一つに掲げ、中小企業と大学等が連携して取り組む開発プロジェクトを支援しております。
 これまで、高齢者の見守りセンサーや行動範囲を広げるシニアカーの開発等を支援対象として選定し、開発経費の一部を助成するとともに、専門のコーディネーターによる事業化に向けた継続的なアドバイスを実施してまいりました。
 今後、高齢社会の課題解決に役立つ産学公連携の取り組みを一層促進し、意欲ある中小企業の製品開発を支援してまいります。
   〔下水道局長松浦將行君登壇〕

〇下水道局長(松浦將行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、豪雨対策下水道緊急プランの考え方でございますが、昨年、時間五十ミリを上回る強い雨や、時間百ミリ前後の豪雨により、区部の広い範囲で甚大な被害が発生いたしました。
 そこで、本プランでは、平成二十五年の豪雨により浸水被害が生じた地域において、過去の浸水発生状況も踏まえ、降雨強度、くぼ地や坂下などの地形、河川や下水道の整備状況などを確認した上で、優先度を考慮しつつ、取り組みを実施することとしたものでございます。
 具体的には、七十五ミリ対策地区四地区及び五十ミリ拡充対策地区六地区で、これまでの整備水準を上回る豪雨対策に緊急的に取り組んでいくことといたしました。これらの地区では、平成三十一年度末までに一部完成した施設を暫定的に稼働させるなど、整備効果が早期に発揮できるよう工夫した取り組みを行ってまいります。
 次に、オリンピック・パラリンピック仕様の下水道マンホールぶたについてでございますが、マンホールぶたは、ふだんからお客様が目にする機会が多いため、地域の特産品や観光地などをデザインに用いたものがあり、全国各地でPRに活用されております。人が多く集まる場所などに、ご提案のオリンピック・パラリンピック仕様のデザインを施したマンホールぶたを設置すれば、お客様の目を引き、大会の開催に向けた機運の醸成に貢献することが期待できます。
 新たな仕様のマンホールぶたの採用は、デザインの取り扱い、費用、設置箇所などの検討すべき多くの課題がありますが、史上最高の大会開催に向けて前向きに検討してまいります。

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