平成二十六年東京都議会会議録第九号

〇議長(吉野利明君) 四十八番吉住健一君。
   〔四十八番吉住健一君登壇〕

〇四十八番(吉住健一君) 初めに、観光施策について伺います。
 外国人が日本国内で消費した金額から日本人が海外で支払った金額を差し引いた、いわゆる旅行収支が四十四年ぶりに黒字に転じました。外国人観光客が一千万人を超え、人口減社会における内需の縮小を挽回する意味でも、海外からの観光客を迎えることは重要な施策であると思います。
 第一回定例会で、我が党は、東京を世界に強くアピールするための海外向け都市広報を直ちに導入する必要性について訴え、知事から力強い答弁をいただきました。私も予算特別委員会において戦略的な広報の展開についてお尋ねしましたが、東京を世界で一番の都市にするために、都が政府に提出した特区申請の内容を含め、都が取り組んでいる施策やその成長している姿を発信するべく、都市広報の充実強化を推進すべきだと考えます。
 海外への情報発信は決して容易なことではありませんが、かつてニューヨークのブルームバーグ市長が九・一一同時多発テロ後のニューヨークの姿を世界に発信し、活力を取り戻してきたように、都においても、知事自身が先頭に立って東京の都市戦略を世界に発信していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 トップみずからの発信に加え、都が海外に向けて日常的に情報を発信していくに当たり、行政だけではなく、外部の力の活用も重要です。とりわけ、現地の状況に精通した海外メディアと連携し、東京の魅力や強みの発信をきめ細かく、かつスピード感を持って行うべきと考えます。
 海外メディアを活用したさまざまな機会を新たに設定し、都の先進的な取り組みをPRしていくことが必要と考えますが、今後、海外メディアをどのように活用していくのかお伺いします。
 海外向け都市広報を展開するに当たっては、さまざまな言語を使う人々に対し、いかに東京への興味、関心を引きつけるかが重要で、動画などを通じて視覚に訴えられ、世界のあらゆる地域に普及しているインターネットの活用が効果的です。そのため、まず、都庁のホームページを海外向けに特化した新たな設計思想でつくり直すべきであります。
 また、今世界を席巻しているフェイスブックなどのSNSも十年前には登場していなかったことを考えると、二〇二〇年には現在では想像できなかった全く新しい媒体が登場しているはずです。こうした新しい広報手段を大胆に取り入れ、世界の都市をリードするような取り組みが求められていると思います。
 今後、ホームページなどによる情報発信の充実や最新技術の活用など、インターネットを通じた都市広報を具体的にどう進めていくのか伺います。
 続いて、観光客の利便性の向上について伺います。
 近年のスマートフォンなどの世界的な普及により、旅行者は自分の携帯端末からWi-Fi経由でインターネットに接続し、必要な観光情報を旅先で入手できるようになりました。
 空港や鉄道、飲食店などにおいて無料Wi-Fiスポットが急速に整備されていますが、外国人旅行者から見ると、どこの施設で利用できるのか、どのように手続を行うかなどの情報はまだ十分に知らされてはいないと聞いております。
 外国人旅行者が手軽に観光情報を入手できるように、都内で無料Wi-Fiを利用するために必要な情報を流していくべきと考えますが、見解を伺います。
 オリンピック・パラリンピック大会は、外国人旅行者に東京の魅力を知っていただく絶好の機会となります。文化プログラムの充実については以前に伺いましたが、せっかくの取り組みを見聞きし、体験して、東京を楽しんでもらうためには、きめ細かな観光案内を行う観光ボランティアの力が欠かせません。こうしたボランティア活動に多くの都民が参加し、旅行者を迎え入れることが重要です。
 現在、観光ボランティアはシニア層が中心となって活動していると聞いていますが、若い世代も今から育成していくべきと考えます。見解を伺います。
 続いて、都市整備について伺います。
 東京を世界で一番の都市にという公約を具体化していく上で、東京の国際競争力をさらに強化していくために、東京、新宿、品川といったターミナル駅などを中心に都市基盤と優良な民間の開発を一体的に誘導した都市づくりを進めていく必要があります。
 品川駅周辺地域につきましては、今月三日にJR東日本による新駅設置とそれに伴う大規模な開発計画が公表され、今後の都市開発の動きが一気に加速していきます。
 東京の国際競争力の一層の強化に向け、品川駅周辺地域のまちづくりについて、都としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 続いて、分譲マンションについて伺います。
 分譲マンションは都内に約百六十五万戸あり、四世帯に一世帯が居住するなど、都民の主要な居住選択肢となっています。このうち、築四十年を超えるマンションは約十二万六千戸ありますが、十年後には約四十二万八千戸に急増すると推測されており、維持管理や老朽化への早期対応が課題となってまいります。
 国においても、マンション建替え円滑化法の改正など法整備が進められていますが、全国の分譲マンションの四分の一以上が東京に集積していることから、都は率先して取り組んでいかなくてはなりません。
 分譲マンションに関する施策に、今後、都はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、下水道の汚泥処理施設の耐震化について伺います。
 下水処理というと、水をきれいにする水処理に目が行きがちとなりますが、水処理により発生する汚泥を適切に処理することも重要です。さきの予算特別委員会において、地震などの緊急時に汚泥の送泥先を切りかえ、バックアップ機能を強化するため、みやぎ水再生センターに汚泥処理キーステーションを整備する旨を伺いました。
 一方で、そのキーステーションは平常時には汚泥処理の中心的な役割を担う重要な施設でもあり、着実に整備されることを期待しております。
 そこで、汚泥処理キーステーションの主な機能と整備予定を伺います。
 また、落合水再生センターには汚泥処理施設がないのですが、汚泥は送泥管を用いて、みやぎ水再生センターを経て、最終的に東部スラッジプラントへ圧送し処理していると聞いています。
 下水道局では老朽化した下水道管などの再構築を進めていますが、送泥管も整備されてから年数がたち、耐震性の低下も進んでいると思われますが、老朽化や地震により破損すれば大変な事態になると懸念しております。
 そこで、落合、みやぎ水再生センター間の送泥管の老朽化に伴うリスクとその対策について伺います。
 次に、自転車走行空間について伺います。
 自転車は日々の通勤、通学や買い物など手軽に利用される交通手段です。特に自動車の交通量が多い割に移動距離が短い都市部では、非常に有効な交通手段だと実感しております。近年は長距離通勤やシェアリングなど、自転車の新しい活用方法も注目されており、良好な自転車利用環境の整備が求められています。
 知事は、本定例会の所信表明の中で、自転車はもっと活用できると発言をされました。
 自転車走行空間の整備について、オリンピック・パラリンピック開催を控え、今後どのように展開を図っていくのか、知事の所見を伺います。
 続いて、高齢者対策、特に認知症対策についてお伺いします。
 都の最新の推計によれば、何らかの認知症の症状がある高齢者は、現在の約三十八万人から平成三十七年には約六十万人にまで増加するとされています。実に高齢者の五人に一人が認知症という時代がやってまいります。
 また、認知症などによる徘回などによって行方不明者が一年間に一万人にもなり、死亡者も発生しています。ご本人とともに、家族の方も大変つらい時間を過ごすこととなる認知症への対策は優先度の高い政策と考えます。
 さて、東京都健康長寿医療センターは、都における認知症研究の拠点であると同時に、認知症疾患医療センターとして、専門医療の提供や医療と介護の連携づくりを進めています。とりわけ人材育成においては、都における認知症医療従事者等の研修の拠点として重要な役割を果たしていますが、東京都健康長寿医療センターには、ぜひ都の認知症施策をリードしていってもらいたいと考えています。
 認知症も他の病気と同じように早期発見が大切で、早期に適切な治療やケアを行うことにより重症化を抑制できる場合もあると聞いております。しかし、認知症かもしれないと気づいても、専門病院に相談することには誰しも抵抗があります。私も住民から認知症の受診に関する相談を受けますが、なかなか受診までたどり着けない場合もあります。認知症を早期に発見するためには、できるだけ多くの高齢者の方に認知症の疑いがあるかどうかのスクリーニングにかかっていただき、診断につなげる取り組みが有効です。
 都はそうした取り組みの一環として、本年五月に東京都健康長寿医療センター研究所の知見を活用して、自分でできる認知症の気づきチェックリストを作成しました。私も、実際にチェックリストを試して、今のところは安心をしておりますが、認知症が疑われる症状について学びながら、認知症の疑いの有無を合計得点で簡単に確認することができ、高齢者や家族にとって大変便利なものと感じました。
 今後、認知症の人を地域で支えていくためには、認知症の人を早期に発見し、適切な支援につなげていくことが必要です。そのためには、都民の認知症に対する理解、早目の気づきが重要です。
 そこで、都は今後、この認知症チェックリストを活用して、認知症の普及啓発を具体的にどのように進めていくのか伺います。
 次に、かかりつけ医の認知症対応力の向上について伺います。
 認知症のスクリーニングにおいて、かかりつけ医の果たす役割は非常に大きなものがあります。かかりつけ医が認知症の兆候に早期に気づき、認知症疾患医療センター等の専門機関と連携しながら、認知症の人を地域で支えていく仕組みが必要だと考えます。
 しかし、地域のかかりつけ医の方は、必ずしも認知症の症状や診断についての専門家ではないというのが現状だと聞いております。
 地域のかかりつけ医の認知症対応力の向上に向けて、具体的にどのような取り組みを行っているのか伺います。
 最後に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会を東京に招致するために、都議会からの派遣で、超党派の議員団で全国の道府県や政令指定都市に協力の依頼の訪問をしました。当時、東日本大震災の一年後ということもあり、復興に資するオリンピック・パラリンピック大会にすると説明をしながら回らせていただきました。
 私は、東日本大震災の被災地復興を進めるためには、風評被害を払拭し、観光客を呼び戻すなど、地域経済に活気を取り戻すことが必要だと考えています。二〇二〇年東京大会の開催は、被災地域の復興の様子を国内外に発する絶好の機会となります。ぜひこの機会を捉えて、地元のニーズに耳を傾け、被災地の文化や経済の発展に結びつくようにしてもらいたいと思います。
 具体的な方策としては、都が開催するスポーツイベント等において、被災地域が有するすばらしい文化や特産品をPRすることなどもありますが、こうした地道な取り組みは継続をしていただくことが重要と思います。
 また、復興専門委員会では、被災地の代表の皆さんにも参画していただき、オリンピック・パラリンピック開催を被災地復興の力にという副題のついた三十二項目にわたる提言がなされています。
 震災の記憶を風化させないためにも、これから二〇二〇年に向けて、都として復興支援に資する取り組みをどのように進めていくのかを伺います。
 平成二十三年三月十一日、都議会が閉会した直後にあの大地震が発生しました。被害の中心は東北地方でしたが、同じ時代を共有する者として、少しでも被災地の復興に協力をしたいと考えております。
 一九六四年の東京大会が戦災からの復興の象徴となったように、二〇二〇年の東京大会が大震災からの復興の象徴となるよう願いを込めまして、質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 吉住健一議員の一般質問にお答えいたします。
 海外向け都市広報の展開についてでございますが、東京が世界一の都市を目指すには、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会に向けて、すぐれた都市機能やホスピタリティーなどを生かしたダイナミックな発展が必要でございますが、そのプロセスを海外の人々に正確に伝え、理解してもらうことは重要であります。
 そのためには、東京の都市戦略や先進的な取り組みにつきまして、私みずからが海外のメディアに、直接自分の言葉で発信していくことが最も効果的だと考えております。五月には第一弾の取り組みといたしまして、フォーリン・プレスセンターで国家戦略特区についてブリーフィングを行いました。
 そこには、東京のライバル都市となるシンガポールや、東京が進めようとしている特区に関心の高い東南アジアを初め、多くの在京の海外メディアが参加いたしました。これらのメディアが、創薬、金融分野でのアジアナンバーワンの地位の奪回や外国人人材の活用などについて広く報道し、私みずから直接発信する効果が大きいことを実感いたしました。
 今後も、防災や環境、芸術文化など、世界一の都市を目指す東京のさまざまな取り組みにつきまして、海外メディアに直接訴える機会を継続的に設けていき、東京の国際的プレゼンスを向上させてまいりたいと思っております。
 次に、自転車走行空間の整備についてでございますが、東京の都市構造は国道と都道が骨格を形成し、その内側を区市町村道が網の目のように広がっております。自転車走行空間の整備に当たりましても、このネットワーク化が不可欠であります。
 そのため、都は、警視庁とともに国や関係区市と連携し、国道、都道、区市町村道をつないで、自転車の走行しやすい空間を連続させ、安全性や回遊性を高める自転車推奨ルートの設定を進めてまいります。年度内を目途にオリンピック・パラリンピックの競技会場等周辺においてルートの設定を行い、二〇二〇年の開催までに整備を完了させる予定であります。
 さらに、先般設置しました東京の総合的な交通政策のあり方検討会におきましても、自転車利用の促進について議論を深め、それも踏まえた上で、自転車推奨ルートを都内全域に広げるための検討を進めてまいります。
 そのほかの質問につきましては、東京都技監及び関係局長に答弁させます。
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、品川駅周辺のまちづくりについてでございますが、当該地域は国際化が進展する羽田空港に近接し、また将来、リニア中央新幹線の発着駅になるなど、国内外との広域交通結節点としての役割が期待され、駅周辺の大規模な低未利用地を活用して、これからの日本の成長を牽引する国際交流拠点としての整備を進めることが重要でございます。
 こうしたことから、都は、地元区や国、関係事業者などとともに、まちづくりの方向性について検討を進めてまいりました。本年夏を目途に、基盤整備とまちづくりの指針である現行のガイドラインを改定し、品川駅の再編整備や周辺道路などの基盤整備、新駅を含むJR車両基地跡地における開発の検討を進めるなど、引き続きまちづくりの具体化に取り組んでまいります。
 次に、分譲マンションに関する今後の取り組みについてでございますが、都民の豊かな住生活を支える安全で良質なマンションストックを形成していくためには、耐震化の促進や建てかえの円滑化を図るとともに、管理組合などによる適切な管理を推進していくことが重要でございます。
 これまで都は、耐震化の助成事業や管理組合への啓発活動などを行ってまいりました。お話のように、今後、老朽化したマンションの急増が見込まれることから、管理状況の実態把握に努めるとともに、まちづくりと連携して建てかえなどを円滑に進める新たな方策を検討するなど、さらなる取り組みを行ってまいります。
 そのため、都は、住宅政策審議会におきまして、専門家や各方面からの意見も聞きながら、総合的なマンション施策の構築に取り組んでまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 海外に向けた都市広報に関する二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都市広報における海外メディアの活用についてでありますが、海外向け都市広報の実施には、海外における東京のイメージや関心について熟知している海外メディアとの連携協力関係を構築していくことが必要であります。
 今年度は、まず在京の海外メディア向けに防災対策や環境対策、公共交通など、海外からの関心が高い分野の先進的な取り組みを紹介するプレスツアーを来月から新たに開始いたします。第一回目では、東京の防災対策をテーマに、地下調節池などを取材する企画を予定しております。
 また、三月から開始しております東南アジア、インドの放送局向けのミニドキュメンタリー、キャッチ・アジア・メディア・ネットワークの対象国を今年度は六カ国から七カ国に拡大し、今月、海外からきれいでおいしいと評価を得ている東京水の浄水から配水までを紹介する映像を現地で放映いたしました。
 これに加えまして、今年度は民間の力を活用した新たな海外向け映像の発信にも取り組んでまいります。
 さらに、海外の記者を招聘し、外国人目線で東京の先進的な側面を掘り下げるインターンシッププログラムの秋からの実施に向けて準備を進めているところでございます。
 次に、インターネットを活用した都市広報の展開についてでありますが、インターネットによる広報を効果的に行うためには、海外向けのコンテンツを充実させるとともに、最新の技術や媒体を取り入れた魅力的な情報発信を行い、世界中の多くの人々を引きつけていく必要があります。
 そのために、外国語版都庁総合ホームページを海外向けポータルサイトとして、宗教や文化などの特性にも配慮し、外国人の興味を引くコンテンツを中心に構成するなど、国内向けとは全く異なるものとして全面的な刷新を早急に行い、多言語による発信を充実してまいります。
 また、今月開設したフェイスブック英語版におきましては、海外の国や地域に寄り添ったコンテンツを充実させ、より多くの人々をホームページに呼び込んでまいります。
 さらに、我が国が有する最先端ICTの動向を踏まえまして、新しい広報媒体や手法の導入について、民間の有識者などから幅広く提案や意見を募り、先駆的に取り入れるなど、五年先、十年先を展望し、都市広報を展開してまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、無料Wi-Fiについてでありますが、外国人旅行者が東京の観光情報を手軽に入手するためには、近年急速に整備が進んでいる無料Wi-Fiに関する最新の情報をわかりやすく提供することが必要であります。
 このため、都は、無料Wi-Fiが利用可能な施設や手続方法等の情報を東京の観光公式ガイドブックに掲載し、民間事業者が提供している利用案内などとあわせて、観光情報センター等で配布し周知を図ってまいります。
 また、海外からもこうした情報を容易に入手できるように、ウエブサイト等を通じて広く発信いたします。今後とも、外国人旅行者にとって利用しやすいWi-Fi環境の実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、観光ボランティアについてでありますが、幅広い世代を観光ボランティアとして育成することは、二〇二〇年に向けて、外国人旅行者を温かく迎え入れる機運を高める上で重要であります。
 このため、都は、社会人を対象にした観光ボランティアに加えて、今年度から新たに中学生、高校生が外国人旅行者を英語で観光案内する、おもてなし親善大使を育成いたします。
 具体的には、東京の観光に関する知識やボランティア活動に必要な接遇の研修を実施するとともに、相互交流の機会を設け、継続的な活動につなげてまいります。こうした取り組みを通じ、若い世代の観光ボランティアへの参加意欲を高め、外国人旅行者をきめ細かく支える環境の整備を進めてまいります。    〔下水道局長松浦將行君登壇〕

〇下水道局長(松浦將行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、汚泥処理キーステーションについてでございますが、下水道局ではこれまで、水処理過程で発生する汚泥を五カ所の汚泥処理施設に集約し、処理してまいりました。今回設置する汚泥処理キーステーションは、震災時など緊急時のバックアップ機能はもちろん、各汚泥処理施設の運転状況を常に監視制御し、汚泥を施設間で適正配分する機能を有しております。
 このため、季節や天候により変動する汚泥量を汚泥焼却炉の能力に応じた適正な処理量とするよう各施設間で相互に融通することにより、汚泥焼却炉の燃焼効率の向上や使用燃料の削減を可能とし、運転管理を効率化することができます。
 今年度より、みやぎ水再生センターで汚泥処理キーステーションの整備を開始し、できるだけ早い完成を目指して鋭意取り組んでまいります。
 次に、送泥管の老朽化のリスクと対策についてでございますが、落合水再生センターは昭和三十九年の稼働で、送泥管は既に五十年近く使われており、破損すると、汚泥処理が停止するだけでなく、水処理が行えなくなるおそれがございます。
 また、これまでの送泥管が直接地中に埋設され、老朽化の状況が把握しづらいなどの課題があることから、再構築に当たりましては、人の入ることのできるトンネルを構築し、点検や補修など維持管理が容易な構造としております。
 内径約三メートル、延長約十キロの耐震性にすぐれたトンネルの中に内径四百ミリの送泥管を二本配管し、信頼性の向上を図ってまいります。昨年度より、みやぎ水再生センター内で、シールド工事に必要な立て坑の設置工事に着手しております。
 今後とも、このような取り組みを他のルートにも拡大し、汚泥処理の一層の効率化と危機管理対応の強化を図ってまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、認知症の普及啓発についてですが、都は都民の認知症への理解を促進するため、お話のチェックリストのほか、認知症の基礎知識、予防や早期診断の重要性等を掲載したパンフレットを新たに作成し、区市町村や関係機関に配布いたしました。
 また、パンフレットは、都における認知症のポータルサイト、とうきょう認知症ナビに掲載するほか、区市町村が都の原稿を活用して、それぞれの地域の相談先等を記載したパンフレットを作成する取り組みを、包括補助により支援してまいります。
 さらに、早期発見をテーマとしたシンポジウムの開催や、新聞広告等の媒体を活用したチェックリストの広報も予定しており、さまざまな機会を捉えて都民に対する認知症の普及啓発を進めてまいります。
 次に、かかりつけ医の認知症への対応力向上についてですが、都では、都内十二カ所の認知症疾患医療センターにおいて、かかりつけ医を対象に認知症の診断等に関する研修会や勉強会を実施しております。
 また、東京都医師会との共催により、認知症の地域連携や薬物治療等をテーマとした講演会を開催しているところでございます。
 さらに現在、都内の医療従事者等の研修拠点である東京都健康長寿医療センターにおいて、認知症の人の支援に携わる多職種が参加する医療従事者等の認知症対応力向上に向けた関係者会議を設置し、研修のさらなる充実を図るための統一的なカリキュラムやテキストの検討を進めているところでございます。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二〇二〇年大会を通じた被災地支援についてでございますが、これからの大会準備期間を通じ、復興を後押しするさまざまな取り組みを行い、復興に向かう姿を継続的に国内外に発信することは大変重要なことでございます。
 都はこれまでも、千キロメートル縦断リレーやアスリート派遣事業などを行ってきており、本年十月の一九六四年東京大会五十周年記念事業の中でも、被災地域の特産品や観光などの魅力を広める取り組みを行ってまいります。また、大会組織委員会におきましても、被災地復興に資するため、被災三県との連絡協議会を設置する予定でございます。
 こうした仕組みも活用しながら、都は、今後も引き続き被災県との連携を強化し、被災地の方々の意向を踏まえた実効性のある取り組みをより一層進めてまいります。

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