平成二十六年東京都議会会議録第四号

〇副議長(藤井一君) 五十二番西崎光子さん。
   〔五十二番西崎光子君登壇〕

〇五十二番(西崎光子君) 都議会生活者ネットワークを代表して質問いたします。
 まず初めに、女性が活躍できる社会についてです。
 ダボス会議を主催する世界経済フォーラムは、昨年、政治、経済、教育、保健の四分野で男女格差をはかる男女格差報告二〇一三年版を発表しました。日本は、対象の百三十六カ国中百五位で、一昨年よりもさらに四つ順位を下げ、二〇〇六年開始のこの報告では過去最低となりました。経済分野では、企業幹部の女性の割合が一割となり百四位、教育レベルは高いのに、女性が十分活躍できていないと指摘されました。
 舛添知事は、就任後、女性が活躍できる社会の実現を目指すことを明言されていますが、現実には、重要ポストに女性を起用すれば女性活用が進むわけではなく、女性の活躍を阻む慣習や前例を破れるかどうかが鍵になると考えますが、知事は、今後どのように進めていくのか、決意を伺います。
 厚生労働省の最新の調査によれば、全国の民間企業における男性の子育て休暇取得率は一・八九%と、まだ低い状況です。さらに、超高齢社会の到来により、仕事と子育ての両立だけではなく、仕事と介護の両立も課題となっており、働く者にとって、ワークライフバランスの実現は、まさに社会的な要請です。
 しかし、民間企業では、実際に仕事と子育ての両立を支援する制度があっても、職場の上司の理解が得られない、職場の同僚に迷惑をかけられないといった不安があり、なかなか制度の利用に踏み切れない方が多いとも聞いています。
 私はこれまでも、都職員の子育て支援策等に関する取り組みや制度の利用実態について質問してきましたが、待機児童の問題が深刻化している社会の中、都みずからが職員の仕事と子育ての両立の模範になる取り組みを実践していく必要があると考えます。現在の取り組み状況について伺います。
 二年前に生活者ネットワークで視察した京都ジョブパークは、京都労働局ハローワークとの連携によるワンストップ機能で、職業紹介、就労後の定着支援まで行う全国でも珍しい総合就労支援拠点です。子育て中の女性やひとり親家庭への就労支援を行うために、同じ建物の男女共同参画センターの中にマザーズジョブカフェがあります。
 ここでは、一人一人のニーズに応えるために、ママさんコンシェルジュを設け、就業に伴う保育に関する相談や情報提供を行っています。さらに、就職活動中及び就労決定後、子供の預け先が決まらない場合の一時保育を確保する、安心ゆりかごサポートや、子供を預けて受講できる職業訓練、講座を実施し、とても手厚い支援を行っていました。
 東京都でも、東京しごとセンターにおける就労支援に加えて、来年度から新たに女性の再就職窓口を設置し、出産、育児、介護等で離職した女性などを対象に、きめ細かい対応を行う予定にしていますが、どこまでの支援体制をつくっていくのか伺います。
 都内一の待機児童数を抱える私の地元世田谷区では、以前から国有地活用を進めており、最近では、一昨年に二園、ことし一園が国有地を使って開設されました。さらに、今後開設を見込むところが五カ所もあります。区内には省庁の宿舎など活用できそうな国有地はたくさんありますが、問題は借地料の高さです。一昨年開園の二カ所では年間一千七百万円と一千三百万円の賃借料で、二十年契約で計算しますと約六億円にもなります。周辺の地価に比べ二割程度は安いとはいわれていますが、五割減の都有地に比べ割高で、自治体にとっては大きな負担です。
 安倍首相も、保育待機児対策に全力を挙げるといっており、知事も早速国に働きかけたということですが、減額幅を都有地並みにするよう、さらなる働きかけが必要です。見解を伺います。
 世田谷区では保育需要に応えるため、あらゆる可能性を検討し、小中学校の敷地の一部や区立公園の一部などに、認可保育園の分園を二十カ所以上つくってきました。よくぞここまで見つけたと思うほどです。特に学校敷地内にあっては、本来の教育環境を阻害することなく、むしろ幼児が身近にいるプラス効果を評価する声も多いと聞きます。ぜひ、都立高校等でも、同様の取り組みの検討を要望します。
 都営住宅の建てかえ等に伴い生み出された用地を使って、都有地の福祉インフラへの活用を積極的に行っていくことは評価しています。
 知事は、使える都有地はもうほとんどないと判断されたようですが、現在は活用されている土地でも、今後の建てかえや施設の統合などで、新たに土地が出てくると思われます。
 そのような土地を、できるだけ早い段階で福祉インフラとして活用できるようにすべきではないかと思いますが、見解を伺います。
 保育待機児問題は、供給をふやしても、さらにそれを上回る需要を呼び起こしているのが現実です。一旦、待機児ゼロを宣言した横浜市も、潜在的保育需要が顕在化し、来年度に向けては、二月十九日現在、三千三百五十三人が、いまだ保育園に入れるかどうか決まっていない状況です。
 待機児解消は、現在の需要に対応する施策では間に合わないと考えるべきです。女性が働きやすい環境整備を実現するために、全庁を挙げて待機児解消に知恵を絞っていただくことを重ねて要望します。
 高齢者が住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるようにするためには、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が求められています。
 また、地域における医療と介護の連携や生活支援サービスの提供など、公的サービスのみならず、インフォーマルな社会資源を活用した包括的な支援が必要です。そのためには、区市町村において、多職種が連携し、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備を図る地域ケア会議の活用が有効と考えます。
 このような取り組みを推進するに当たって、地域包括支援センター職員の資質向上がこれまで以上に求められると思いますが、所見を伺います。
 さらに、介護保険の制度改正においては、介護予防の見直しが大きな課題になっています。三年後の二〇一七年四月までに、新しい介護予防・日常生活支援総合事業を全ての区市町村で開始することになっていますが、この事業では、予防給付のうち訪問介護と通所介護が区市町村に移行し、地域住民やボランティアなど多様な地域資源を活用したサービス提供を行うことになります。
 そこで、次期制度改正における介護予防の見直しに向けて、都は区市町村をどのように支援していくのか伺います。
 二週続けての大雪は、山間部の孤立集落や農業ハウスの倒壊など、思いがけない被害をもたらしました。
 二十七センチを超える大雪は四十五年ぶりということですが、特に二十三区では、都民生活にもたらした想定外の影響は交通問題でした。企業では、早目に帰宅するよう呼びかけたところもありましたが、帰宅途中で交通がストップし、バスやタクシーも対応できず、七時間以上電車に閉じ込められた人の中には女性も多くいました。
 東京には海外からも含め、旅行者や、この季節特有の受験生など、一時的な滞在者も多く、長時間、電車や空港などに足どめをされた人々は、まさに帰宅困難者といわざるを得ません。
 帰宅困難者対策では、交通事業者が一義的には責任を持ち、水や毛布等の支援をすることになっていますが、地域防災計画には想定されていない大雪に対しても、都として、危機管理の観点から、都民の安全を確保するために、情報提供や一時滞在施設の開設等を検討してはいかがかと思いますが、見解を伺います。
 今回、都内では、カーポートやアーケードが倒壊し、青梅の中学校体育館や埼玉県の体育館の屋根が崩落する事故も発生しました。災害時に避難所となる体育館には耐震性の確保は不可欠ですが、積雪時の荷重も再検討する必要があるのではないかと思います。都は、今回のさまざまな状況をしっかりと検証し、危機管理対策を充実させることを要望します。
 間もなく、福島第一原子力発電所の悲惨な事故から三年を迎えようとしています。いまだに福島県の十三万人が避難しており、将来のめどが立たない状況です。これからのエネルギー政策は、二度とあのような惨禍と恐怖の体験を強いることのないものにしなければなりません。
 生活者ネットワークは、原発を即時ゼロにすべきと考えてまいりました。原発ゼロの実現に至る過程や速度に違いがあっても、原発からの脱却という意思は、今日に至るまで、政治的立場や政党支持の相違などを超え、多くの国民に共有されています。まずは、その決断と方向性を示すことが重要です。
 知事は、都知事選の政策の中で、原子力発電に依存しない社会の構築、再生可能エネルギー二〇%計画の構築を掲げました。その実現に向けて、省エネの推進と再生可能エネルギーの拡大が重要です。
 そこで、知事のエネルギー政策の推進に向けた見解を伺います。
 知事は、消費者としてできることから始めるといっていますが、実際に市民共同発電所など、地域でエネルギーをつくり出す取り組みが始まっています。公共施設の屋根貸しなど、地域自治体と連携した動きも見られ、こうした都民の活動を都として後押しすることが重要です。
 地域で先進的に屋根貸し事業に取り組んでいる事例もありますが、こうした取り組みに対する都の見解を伺います。
 最後に、リニア中央新幹線の環境アセスメントについて伺います。
 昨年九月に出された環境影響評価準備書に対する都知事意見を近くまとめると聞いています。リニア新幹線は、超電導による磁気で浮上して時速五百キロの超高速走行を可能にし、東京─名古屋を最速四十分で結ぶ計画です。全長の約八割がトンネル構造で、南アルプスの地下を掘り抜き、地下四十メートル以下の大深度地下方式を用いるなど、地上の自然環境や地下水への影響、磁場による乗客への健康影響も懸念されます。
 二〇一一年九月に公告された環境影響評価方法書に対し、関係自治体から出された意見の中には、環境影響に対する多くの懸念が示され、事業者であるJR東海に対し、対策が求められています。
 今回の準備書では、特に健康被害が懸念される磁場に関する情報提供が不十分であるなど、根拠や調査の不備が指摘されています。
 都は、都民の懸念に応えるという観点で、環境影響評価準備書の審議を行う必要があると考えますが、見解を伺いまして質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 西崎光子議員の質問にお答えします。
 まず、女性の活躍推進についてでございますけれども、少子高齢化の急速な進展に伴い、生産年齢人口が減少する中で、社会の活力を高めるためには女性の活躍は不可欠であります。
 女性の活躍推進に当たりましては、制度の整備にとどまることなく、企業にいまだ残存する見えない障壁を取り払うなど、社会全体の意識改革を促し、男女の別なく、意欲ある人が能力を十分に発揮し、活躍できる環境をつくることが重要であります。
 都は、企業経営者の意識改革を促すとともに、女性の活躍推進に向けた機運の醸成、安心して子供を預けられる環境の創出や企業における女性の登用、就業継続の後押しなど、女性の活躍推進に取り組んでまいります。
 続きまして、エネルギー政策の推進についてでありますが、東京は、電力、エネルギーを最も多く消費する都市であることから、大消費地としての責務を踏まえ、一層の省エネ、節電とともに、再生可能エネルギーの普及拡大に努めていくことが重要であります。
 このため、家庭や事業所におけるさまざまな取り組みを進め、日本のすぐれた省エネ技術も活用しながら、省エネを積極的に進めてまいります。
 また、再生可能エネルギーの利用割合を拡大するため、その第一歩として、官民連携再生可能エネルギーファンドを創設することにいたしました。
 今後、さらに専門家の助言を得ながら、具体策を取りまとめ、再生可能エネルギーの普及拡大に向けた取り組みを強化してまいります。
 その他の質問につきましては、関係局長から答弁させます。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都職員の仕事と育児の両立支援についてでございます。
 平成十七年三月に東京都職員次世代育成支援プランを策定し、仕事と育児の両立を支援する勤務時間、休暇制度などの整備と周知に取り組んでまいりました。
 その結果、女性職員の育児休業取得率は九五%前後まで上昇し、男性職員については二%前後と、プラン策定時の倍になるなど、両立支援制度の定着が一定程度図られてきたと認識しております。
 今年度は、都の職場を熟知した部長級職員が職場の核となる管理監督者に対して、働き方の見直しや効率的なマネジメント手法を講義するセミナーを開催いたしました。
 今後とも、両立支援制度の周知徹底と管理監督者の円滑な職場運営を支援することで、職員が仕事と育児を両立しやすい職場づくりに取り組んでまいります。
 次に、大雪などの際の一時滞在施設の開設についてでございます。
 東日本大震災の際には、首都圏の鉄道が停止し、多くの人が一斉に帰宅を開始したため、車道に人があふれ、緊急車両の通行に支障を来すなど大きく混乱しました。
 一時滞在施設は、この教訓を生かし、首都直下地震等において帰宅困難者の大量発生による社会の混乱を防止する目的で確保を進めているところです。
 一方、大雪等の場合には、事前に発生が予測できない大地震と異なり、あらかじめ備えておくことが可能なため、迅速的確な情報発信が重要となることから、今回の大雪の際には、ホームページやツイッターを活用して、気象情報、鉄道の運行情報を迅速に提供いたしました。
 今後も、大雪などの際には、都民に対してきめ細かに情報提供を実施してまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 女性の再就職支援についてのご質問にお答えいたします。
 都は既に、東京しごとセンターにおいて、年齢や性別を問わず、きめ細かい就職支援を実施しております。
 具体的には、カウンセリングやセミナー、パソコン講習のほか、ハローワークとの連携や民間事業者の活用による職業紹介等を行っております。出産等で離職した女性向けとしては、職場体験を取り込んだ就職支援プログラムや無料の託児サービスなど、手厚い支援も実施しております。
 来年度は、再就職を希望する女性向けの相談窓口を設置し、家庭生活と両立しやすい仕事の紹介や相談、保育情報の提供などの支援をワンストップで展開いたします。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、国有地の活用についてですが、都はこれまで、国に対し、国有地の貸し付けに当たって、土地の貸付料の減額を行うこと、また、現在利用可能な国有地情報だけでなく、将来利用が可能となる国有地情報についても、早期に提供することなどを提案要求してまいりました。
 今後とも、保育所の整備が促進されるよう、国に対して、国有地の活用に関する働きかけを行ってまいります。
 次に、地域包括支援センター職員の資質向上についてですが、地域包括支援センターは、高齢者や家族からの相談に応じるとともに、医療や介護などのサービスが適切に提供されるよう、関係者の連絡調整を行う機関であり、地域包括ケアを実現するための中心的役割を果たすことが求められております。
 そのため、職員の資質向上は重要であり、都はこれまでも、センター職員を対象に、医療や介護など多職種連携の手法や、地域ケア会議の効果的な開催方法など、業務を行う上で必要な知識や技術を習得する研修を実施してまいりました。
 来年度は、地域ケア会議に関するより実践的な演習を盛り込むなど、研修内容や研修時間を拡充し、センター職員のさらなる資質向上を図ってまいります。
 最後に、介護保険制度における介護予防の見直しについてですが、区市町村の介護予防の取り組みについて、都はこれまで、担当者連絡会を開催し、各地域の取り組み状況について情報共有を図るとともに、多様な地域資源の活用等に関して専門的な助言を行ってきたところでございます。
 介護保険制度における介護予防の見直しは、国会での法案審議を経た後、本年夏ごろに、国が制度改正に伴う介護予防のガイドラインの素案を示すと聞いておりますが、都は連絡会を活用して、制度改正に関する情報提供や効果的な介護予防の先行事例の紹介などを行い、区市町村を支援してまいります。
   〔財務局長中井敬三君登壇〕

〇財務局長(中井敬三君) 都有地の活用についてでありますが、都有地は、都民から負託された貴重な財産であることから、福祉インフラ整備等、都政の喫緊の課題解決のために活用していく必要がございます。
 都はこれまで、当面の未利用都有地を活用し、認可保育所や高齢者向けの福祉施設の整備等のために都有地を貸し付けてまいりました。
 しかし、未利用地の都有地にも限りがあるため、区市町村と連携し、都有施設の更新計画における早い段階から創出用地を検討、調整することで、福祉インフラ整備を進めてまいります。
   〔環境局長長谷川明君登壇〕

〇環境局長(長谷川明君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域での再生可能エネルギー導入に向けた取り組みについてでございます。
 都は、太陽光発電の新たな導入手法であります屋根貸し事業の推進に当たって、積極的に取り組む地域の自治体とも連携し、その普及拡大を図っております。
 今年度、既に世田谷区等と共催でセミナーを開催し、事業者の具体的な取り組み事例の紹介などを行っております。
 今後も引き続き、屋根貸しのような新たな手法が一層活用され、太陽光発電の普及が進むよう、区市町村との連携を広げてまいります。
 次に、中央新幹線、いわゆるリニア新幹線の環境影響評価についてでありますが、事業者である東海旅客鉄道株式会社から、昨年九月に、環境影響評価法に基づく環境影響評価準備書が送付され、三十日間の縦覧を経て、現在、東京都環境影響評価審議会において、大気汚染、地盤、地下水、磁界などの二十二の項目ごとに準備書の審議を行っております。
 今後は、沿線自治体である関係区市長の意見や、本年二月に開催された都民の意見を聞く会における沿線住民等の意見を勘案しまして、審議会での議論を踏まえ、東京都環境影響評価条例の趣旨に基づき、より環境に配慮した事業となるよう、三月を目途に知事意見書を作成する予定でございます。

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