平成二十六年東京都議会会議録第四号

〇議長(吉野利明君) 五番栗山よしじ君。
   〔五番栗山よしじ君登壇〕

〇五番(栗山よしじ君) 舛添知事は東京都知事選挙において、東京を世界一の都市にするという公約を掲げ、選挙戦や施政方針表明において東京の位置づけについて言及するとき、森記念財団の世界の都市ランキングを参考にし、東京はロンドン、ニューヨーク、パリに次いで四位であり、オリンピックを契機に東京を世界一の都市に引き上げたいといっております。
 同ランキングは、世界主要四十都市を対象に、経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの六分野において、GDP、劇場・コンサートホール数、労働時間、地下鉄の駅密度など多岐にわたる七十指標で評価を行い、順位づけをしております。
 東京は、経済分野でその強みを発揮しているが、文化・交流分野では上位三都市に大差をつけられ、交通・アクセス分野でも三都市に後塵を拝しております。
 しかし、都政の重要課題である福祉政策を充実させても総合ランキングにはほとんど反映されない上、指標の中には、行政の政策だけではランクアップが期待できない民間の取り組みが中心となるようなものも見受けられます。
 また、都市ランキングはほかの調査機関でも行っておりますが、これらは機関ごとに特徴が異なり、順位も変動しているなど、特定の指標をもって個々の政策を論じるのはなかなか難しいことであるかもしれません。
 しかし、上位三都市におくれをとっている分野の政策を強化していくなど、こうした指標を一つの参考にしていくのも有効であると考えますが、東京を世界で一番の都市にしていくためには、どのような施策を重点的に行っていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、子育て支援についてお伺いします。
 今、都内自治体において、認可保育所の四月入所の申し込みをした方々に結果が届いており、マスコミ等では、待機児童について、ことしも報道をされております。
 各自治体では、この一年、保育サービスの拡充に努めてきましたが、申込者数は、就学前児童人口の増加や共働き率の上昇により増加をし続けており、本年四月一日時点での待機児童数がどうなるか、危惧しているところでございます。
 知事が公約で掲げた四年で待機児童をゼロにするという目標を達成するためには、使えるものは何でも使う、いわば総力を挙げて対応する必要があります。
 そこで、事業所内保育所、特に保護者が利用しやすいと思われる病院内にある職員向けの保育所をもっと有効活用すべきだと考えます。
 都内で平成二十五年度に院内保育事業を行っている病院は、百三施設あります。実績をお伺いしたところ、事業者以外の児童を受け入れているのは三施設のみ。定員は二千二百三十五人で、利用者数は千五百八十九人ですので、充足率は七一%にとどまっております。
 もちろん、院内保育は、いわば事業所内保育でございますから、医師や看護師といった職員の児童が優先されるべきですが、待機児童解消が喫緊の課題の中、定員に空きがあるのであれば、地域の待機児童も利用できるようにすべきです。
 区市町村と連携し、地域開放し、事業者以外の児童も受け入れられるようにすべきと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、特別養護老人ホームの整備についてお伺いします。
 都内の高齢者人口は急速に増加しつつあり、平成三十七年には、およそ都民の四人に一人が六十五歳以上の高齢者となる、極めて高齢化が進んだ社会が到来することが見込まれています。高齢者が住みなれた地域で安心して暮らし続けるためには、介護サービス基盤を整備していくことは大変重要な課題であります。とりわけ、特別養護老人ホームは入所申込者が多く、整備が急がれています。
 私の地元目黒区においても、現在の特別養護老人ホームの区内のベッド数は五百九床となっています。これを目黒区内の高齢者人口と比較すると整備率は一%程度であり、今後、一層の整備促進が必要です。
 しかしながら、区部におきましては、地価は高く、特別養護老人ホームの整備に適したまとまった土地の確保は非常に困難な状況にあります。都はこれまで、特別養護老人ホームの整備促進に取り組んでいますが、都内の貴重な整備用地を有効に活用していくことが重要です。
 昨年九月、都は国に対して、大都市における地域包括ケアシステムの実現に向けた介護保険制度の見直し等に関する緊急提言を行いましたが、その中で、複数の区市町村が共同して特別養護老人ホームを設置し、利用する仕組みの構築を提言しています。このような整備手法は、土地の確保が難しい都市部において特別養護老人ホームを整備する手法の一つとして、有効なものであると考えます。
 今後、提言にあった共同利用施設の設置など、さまざまな手法を活用し、特別養護老人ホームの整備を促進していく必要があると思いますが、都の見解を伺います。
 次に、都市計画道路についてお伺いします。
 現在、第三次事業化計画が平成二十七年度に終了することから、防災性の向上や国際競争力の強化を図るため、新たな都市計画道路の整備方針の策定に向けた検討が、都や区市町村で進められていると思います。未整備で残されている区間については十分に精査し、地元の意向も踏まえて整備すべき路線は早期に整備を進め、不要な路線は見直すべきだと考えます。
 一方、目黒区において優先整備路線として選定されている補助一二七号線は、目黒通りから一種低層住居地域である住宅街を通り抜け、自由が丘駅が終点となっておりますが、実現にはさまざまな課題があります。道路拡幅による車の交通量の増加は、沿道の住民等に大きな不安を与えるものであり、また、商店街地域では、店舗の移転等も課題となっております。
 補助一二七号線においては、まず最小の範囲で、必要性が高い区間から優先整備路線として検討すべきだと思いますが、所見をお伺いいたします。
 次に、都立高校における災害対策についてお伺いいたします。
 都立高校は、区市町村から要請を受け、百八十九校のうち百五十九校が避難所に指定を受けております。東京に震災が発生したとき、多くの都民が都立高校に避難をすることが考えられます。
 その際、建物被害やライフラインの被害により、避難所などに人が集中し、かつ既存のトイレが使用不能になる事態が起こる可能性があり、また、甚大な被害をこうむった被災地において避難所で問題となったトラブルの上位に、トイレの問題が挙げられています。
 数日を超える避難生活をするためには、容量の大きなトイレの確保が必要とされ、その容量に対応するためには、下水道のマンホールの上に簡易トイレ設備を置いて使用する、いわゆるマンホールトイレの設置が重要です。
 避難所指定された都立高校百五十九校のうち、マンホールトイレの設置状況は五校のみです。避難所である都立高校においてマンホールトイレの設備を促進すべきだと思いますが、見解をお伺いいたします。
 次に、公立小中学校の統廃合についてお伺いします。
 国では、教育基本法に沿った施策を実現する教育再生推進法案が検討をされております。その中に、公立小中学校の適正配置基準について盛り込む予定であると聞いております。
 子供は、適正な集団の中で、多くの友人と出会い、切磋琢磨することにより、成長をするものでございます。少子化等が進み、私たちの年代が小中学生であったころの三十年前、昭和五十八年度には都内の公立小学校の児童数は九十四万人でしたが、今年度は五十五万四千人、公立中学校の生徒数は四十五万八千人から二十三万六千人と、児童及び生徒数はほぼ半分に減りました。
 中学生活に大きなウエートを占める部活動にも大きな影響を及ぼし、目黒区でも、小規模中学校では単独で野球部ができず、近隣の中学校と合同で活動している例があります。
 三十年前に比べ、都内小中学校の児童及び生徒が減少する中、通学距離などの課題はありますが、適正な集団を保つためにも小規模校を解消する公立小中学校の統廃合は検討すべきことであり、今回の法案により統廃合が促進されることと思われます。
 今後、国で統廃合について動きがある中、適正な集団を保つために小規模校を解消する小中学校の統廃合について、さらに支援をすべきだと思いますが、所見をお伺いいたします。
 以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 栗山よしじ議員の質問にお答えいたします。
 東京を世界一の都市としていくための政策についてお尋ねがございました。
 都民の皆様の負託に応えるためには、東京の将来をしっかりと見据えながら、問題の本質を見つけ出し、大きな方向づけをしなければなりません。
 このため、お話にありました都市ランキングなど、東京に対するさまざまな評価指標も参考としながら、積極的に現場へ足を運び、実効性の高い政策を展開してまいります。
 そこで、まずは少子高齢化対策、総合的な交通政策、芸術文化の振興など、都政の重要課題について政策の具体化に向けた検討を開始いたします。
 今後、議会の皆様とも議論を重ね、公約に掲げました政策の実現に精力的に取り組み、世界一の都市東京を実現してまいります。
 その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び福祉保健局長から答弁をさせます。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、都立高校におけるマンホールトイレの整備についてでありますが、震災時に避難所となる都立高校では、断水時にプールの水をトイレの水洗に活用したり、配備済みの簡易トイレなどを使用したりすることなどにより、トイレ機能の確保を図ることとしております。
 マンホールトイレを整備するには、マンホールと下水道管の接続部や学校周辺の公共下水道の耐震化、し尿が堆積しない程度の水量が必要となるなどの条件がございます。
 今後、避難所の運営主体である区市町村から都立高校への整備について要請があった場合には、こうした条件を満たす設置方法や設置場所について検討の上、マンホールトイレの整備に取り組んでまいります。
 次に、公立小中学校の統廃合についてでありますが、小規模校においては、人間関係が固定しがちであり、クラスがえができない場合には児童生徒間の人間関係の構築、修復などが難しくなることや、学校行事で集団による多様な活動が困難となるなどの課題が指摘をされております。
 都教育委員会は、平成十九年度から、公立小中学校の統廃合の取り組みを支援するため、児童生徒が統合後の学校に円滑に適応できるよう指導する教員の加配や、教室の補修費、備品購入費などの補助を行っております。
 引き続きこうした支援を実施いたしますとともに、学校の適正規模化に関する国の動向や区市町村教育委員会の意見も踏まえて、より実効性のある支援策について検討をしてまいります。
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) 都市計画道路の優先整備路線についてでございますが、地域の活性化を図り、住みやすいまちづくりを進めるためには、都市活動を支える道路の整備が必要でございます。
 お尋ねの補助一二七号線は、地元区が策定した中心市街地活性化基本計画におきまして、自由が丘の顔づくりに寄与する道路と位置づけられております。
 このことから、平成十六年に策定した第三次事業化計画におきまして、駅周辺地区のまちづくりにあわせて取り組むべき路線として、区施行の優先整備路線に位置づけられております。
 都と地元区では、昨年から次期事業化計画の検討に着手しておりますが、この中で、まちづくりの動向を踏まえつつ、学識経験者の意見も聞きながら、適切に優先整備路線の選定を行ってまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) 二点のご質問にお答えいたします。
 事業所内保育についてですが、都は、事業所内保育施設の整備を促進するため、平成十九年度から、国制度に比べ施設や職員配置基準等を緩和した独自の基準を設け、事業主に対して施設整備等の補助を実施してまいりました。
 また、今年度からは、子ども・子育て支援新制度において、地域の児童を受け入れる事業所内保育施設が区市町村の認可事業となることを踏まえ、定員の四分の一以上、地域の待機児童を受け入れる事業所内保育施設に対する補助を区市町村を通じた補助に変更し、区市町村と連携しながら設置を促進しているところでございます。
 さらに来年度は、設置費補助の区市町村負担分を都が全額負担することにより、地域開放を行う事業所内保育施設の設置を一層促進してまいります。
 次に、特別養護老人ホームの整備についてですが、お話のように、都は昨年九月、地価が高く土地の確保が難しい都市部においては、複数の区市町村が共同して特別養護老人ホームを設置し、利用する仕組みを構築するよう、国に緊急提言を行いました。
 こうした考え方は、国の都市部の高齢化対策に関する検討会報告書においても示されており、都内の老人福祉圏域間では、都の介護保険事業支援計画に明記することで、自治体間の整備数の調整が可能とされております。
 そのため、都は来年度、都内の近接する複数の区市町村が共同で特別養護老人ホームを利用する仕組みを構築することとしており、今後、都独自の施設整備費補助など、多様な手法を活用しながら、特別養護老人ホームの一層の整備促進に努めてまいります。

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