〇副議長(藤井一君) 二十二番ほっち易隆君。
〔二十二番ほっち易隆君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
〇二十二番(ほっち易隆君) まず初めに、災害対策についてお伺いします。
先月、関東甲信や東北地方では記録的な大雪に見舞われました。各地で交通網の麻痺に伴い孤立する集落などが発生し、住民の生活が脅かされました。都内でも、奥多摩町や檜原村、青梅市の一部の住民が孤立状態となり、都は自衛隊に災害派遣を要請し、救援、救助活動などを実施しました。
大雪の影響は多摩地域だけではなく、私の地元足立区でも、積雪に伴い一部の地区で停電が発生するとともに、日暮里・舎人ライナーが激しい降雪のために終電を繰り上げざるを得なかったとのことであり、区部においても大きな影響が生じました。翌日の運行を確保したことや、終電後も都営バスが輸送に当たっていたことは、高く評価するものであります。
今回の件で、地震や風水害だけでなく、今後は大雪も東京にとって備えが必要な脅威であることが改めて明らかとなりました。
そこで、東京の防災と危機管理を預かる知事に、今回のような大雪に対して、今後どのように取り組むのかお伺いします。
また、日暮里・舎人ライナーは、全線が地上にあることから、地下鉄と比べて天候の影響を受けやすいため、運休が予想されるときは、放射一一号線を活用してバスにより代替輸送を事前に計画、準備しておき、活用することが考えられます。日暮里・舎人ライナーは利用者も年々増加しており、沿線の住民にとっては重要な交通手段として定着していることから、降雪時においても可能な限り運行を確保することが望まれます。
そこで、今後、より充実した雪害対策を講じていく必要があると考えますが、これまでの取り組みと今後の対策についてお伺いします。
次に、特別区消防団の教育訓練についてお伺いします。
私も団員として消防団活動を行っておりますが、三年前の東日本大震災を踏まえ、また、近年、局地的な豪雨、豪雪や大型台風などによる災害が各地で発生していることからも、住民の生命及び財産を災害から守る地域防災力の重要性が増大しております。さらに、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの発生が危惧されている中で、地域における防災活動の担い手が大変重要となってきております。
このような中、昨年十二月には、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が施行され、消防団員の加入促進や教育訓練の改善など、消防団を中核とした地域防災力の充実強化について全国に示されました。
そこで伺いますが、特別区消防団が地域防災力のかなめとしてその機能を十分に発揮するためには、地域特性に応じた装備資機材を有効活用して消防団活動を行うことができるような教育訓練を行うことが重要と考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、中小企業の競争力の強化についてお伺いします。
国際都市東京には、世界各国から独自の発想やハイレベルの技術を持つ企業が、展示会出展などを通して数多く訪れます。都内中小企業にとって、こうした外国企業との交流を進めることは、新たなビジネス展開につながる可能性を秘めています。競争関係にある国内企業よりも技術の供与を受けやすいという話も聞きますし、相互の強みを生かして新たな技術や製品の開発に成功した例もあります。
しかし、外国企業との連携といっても、中小企業にとっては、どの企業がどのような製品、技術を持っているのかという情報を得ることは難しく、交流の機会が少ないのではないでしょうか。
例えば、現地の自治体などを通じて外国企業の連携ニーズを調査した上で、都や都の関係機関が把握する中小企業のニーズとマッチングするなど、相互の交流や連携がより活発に行われるよう支援すべきと考えますが、見解をお伺いします。
次に、技能の継承についてお伺いします。
中小企業では、大企業と比較して少量多品種生産に取り組んでいるところが多く、注文に応じて製造方法を工夫する必要があるなど、機械化では対応できない部分があり、技能の質が非常に大事となってきます。
東京のものづくりは熟練した技能者によって担われてきましたが、技能者の高齢化が進む中、技能の円滑な継承が大きな課題となっています。
しかし、国の調査によれば、約四割の企業で技能継承がうまくいっておらず、その理由として、時間的、人的余力がないと回答しています。このような状況を放置すれば、これまで東京のものづくりを支えてきたさまざまな技能が、将来失われることになりかねません。
都は、こうした中小企業の現場で、ベテラン技能者の熟練のわざを若手従業員に継承させるための支援を充実すべきと考えますが、見解をお伺いします。
次に、待機児童対策についてお伺いします。
舛添知事は、ご自分の政策の中で、共働きでも安心して産める子育て環境の構築、待機児童の解消とともに、保育の質の向上を掲げています。
そこで、保育所の待機児童の解消は喫緊の課題であり、地域の実情やニーズに応じて、認可保育所、認証保育所、認定こども園、家庭的保育、小規模保育など、多様な保育の受け皿を速やかにふやしていかなければなりません。そうしたときに、それぞれ特色ある保育サービスの中から、保護者が自分にとって最もふさわしいサービスを選択し、適切に利用できるよう支援していくことが必要であると考えます。
利用者支援事業は、平成二十七年度に本格施行する予定の子ども・子育て支援新制度において法定化されていますが、国は、待機児童解消加速化プランの一つとして、新制度の施行を待たずに、今年度から補助事業を開始しました。
都としても、市区町村に対して利用者支援事業の実施を働きかけていくとともに、効果的に実施されるよう必要な支援を行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、児童虐待についてお伺いします。
次代を担う子供たちの健やかな成長は誰もが願うところであります。しかし、都内の児童相談所が対応した児童虐待の件数は増加の一途をたどっています。子供の身体に重篤なダメージを負わせるケースや、かけがえのない命が奪われるケースも後を絶ちません。子供の未来を奪う児童虐待は決して許されることではありません。
児童虐待において対応の中核を担うのは児童相談所です。児童相談所では、家庭訪問などによる安全確認を行い、親子を分離する一時保護や児童福祉施設への入所措置、虐待を受けた子供の心のケアを行うなど、個々のケースごとに専門性の高い、きめ細かな対応が求められ、今後ますますその役割は重要です。
そこで、専門家などの人的増員と質の向上を初め、児童相談所のより一層の体制強化が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
次に、河川の耐震対策についてお伺いします。
私の地元足立区は、地盤が低く、洪水や高潮への備えが必要な地域であり、綾瀬川については、最下流の中川との合流部にある上平井水門と堤防を整備することにより守られています。しかし、大地震により、万一、堤防や水門が損傷すると浸水してしまうとの不安を抱えながら生活をしています。
綾瀬川の耐震対策については、堤防前面の補強工事を順次進めてきていることは承知していますが、さらに耐震性を強化していくことが重要であると考えます。
都は、東日本大震災を受け、最大級の地震に対応する新たな整備計画を策定し、耐震性の確保を行っていくとのことですが、早期に対策を進めるべきであります。
一方、整備後、相当期間を経過している堤防は、表面の傷みも進み、一部区間からは時折、水がにじみ出ている状況もあります。堤防の耐震性に影響を与えるものではないと聞いていますが、耐震対策を行っていく際には、地域の方々の安心感を目に見える形で高めていくことも必要です。
そこで、この計画に基づく綾瀬川の整備状況と今後どのように進めていくのかをお伺いします。
次に、都市計画道路及び区画整理事業についてお伺いいたします。
足立区で都が施行している六町地区の中央部を南北に貫く補助一四〇号線は、地域の重要な幹線道路です。現在は六町駅から北側の区間は完成していますが、環状七号線に至る南側については暫定整備を進めています。地域の方々からも、この道路を早期に整備し、環状七号線につなげていくことが待望されています。
そこで、補助一四〇号線の環状七号線への接続と完全な交差点化の見通しについてお伺いいたします。
また、六町地区では、平成九年度の事業決定以来、権利者から個別に換地の要望を聞き取るなど、丁寧な地元対応を行っていることは理解できますが、再建に関して、長年住みなれた地域を離れ、他の地域での生活を余儀なくされている方も多く、事業はまだ道半ばです。
このように事業も長期化してきているため、地元では、一日も早く区画整理された換地で再建したいと望む声が多く出されています。こうした地元の声を重く受けとめ、事業の早期完了のため、今後どのような工夫を凝らしながら整備を進めていくのか都の見解をお伺いし、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
〇知事(舛添要一君) ほっち易隆議員の熱い質問にお答えいたします。
大雪に対する対応についてでございますが、先月の二度にわたる降雪は記録的な大雪となり、都内の交通機関が麻痺するとともに、多摩地域の一部では孤立する集落も発生しました。
こうした中におきまして、都民の不安を払拭するために、まず重要となるのは、正確な情報を迅速かつ的確に発信していくことであります。
今回、都は二十四時間体制で情報収集を行い、気象情報や交通情報、停電等の状況を逐次情報発信するとともに、都の対応状況について記者会見により都民に周知いたしました。
さらに、降雪前より体制を整え、都道の除雪作業に早期から着手するとともに、地元自治体からの要請に基づき、速やかに自衛隊へ災害派遣を要請いたしました。警察、消防などとも連携し、物資輸送や要援護者の搬送、道路の除雪などを迅速に進めました。
一方で、今回のような大雪の場合は、除雪に多くの時間を要するために、各戸の備えや地域の力が重要であることも明らかとなりました。備蓄等の備えはもちろん、高齢者が多い集落等では、地元自治体との連絡体制に加え、消防団や地域の人々の助けが重要となります。今回、特に多摩地域の地元の建設会社の方々が相当頑張っていただいたことを、私は特筆すべきだと思っております。
今回の対応を踏まえ、都は除雪体制の充実等に取り組むとともに、地元自治体と連携しながら地域の対応力向上に取り組んでまいります。
その他の質問につきましては、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
〔東京都技監藤井寛行君登壇〕
〇東京都技監(藤井寛行君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、六町地区の補助一四〇号線の整備についてでございますが、地区を南北に貫く本路線は、つくばエクスプレスの導入空間でもあることから、交通広場を含み、六町駅北側から花畑街道までの約八百メートルの区間につきまして早期整備を行い、供用してきております。
一方、現在供用していない花畑街道から環状七号線までの約二百メートルの区間につきましては、交差点工事を実施しておりまして、来年度早々に交通開放を行ってまいります。
引き続き、環状七号線より南側の区間につきましても、関係機関との調整を進め、早期に交通開放できるよう取り組んでまいります。
次に、六町地区の土地区画整理事業の早期完成に向けた取り組みについてでございますが、本地区は住宅地や工場などが混在する市街地であったことから、当初から工場や店舗を営む権利者などの要望にきめ細かく対応しながら換地を定めてまいりました。
こうしたことも要因となり、権利者の仮住まいの期間が長期化してきたため、平成十八年に施行区域と施行順序を改めて見直し、権利者の負担が軽くなるよう事業を進めてまいりました。
今後、必要な事業費の確保を図るとともに、権利者との移転折衝スケジュールを前倒しすることにより工事の早期着手を図るなど、事業の推進に積極的に取り組んでまいります。
〔交通局長新田洋平君登壇〕
〇交通局長(新田洋平君) 日暮里・舎人ライナーの雪害対策についてでございますが、日暮里・舎人ライナーは、開業以来、降雪時の輸送障害に対しまして、ハード、ソフト両面の対策を講じてきております。
今年度は、ロードヒーターを増設しますとともに、五編成に改良型除雪用ブラシ、いわゆるササラを導入いたしました。
また、沿線地域に特化した、よりきめ細かな気象情報を把握した上で、運行の判断、融雪剤の散布や除雪要員の手配等を適時適切に対処できますよう、各部門の雪害に対する非常体制をより一層強化いたしました。
この結果、今回の記録的な大雪におきましても、輸送障害を最小限に抑えることができました。
今後とも、改良型除雪用ブラシを全十六編成に拡大するなど、さらなる雪害対策を進め、日暮里・舎人ライナーの安定運行の確保を図ってまいります。
〔消防総監大江秀敏君登壇〕
〇消防総監(大江秀敏君) 特別区消防団の教育訓練についてでありますが、地域特性に応じて装備資機材を有効に活用し実施することが重要であると認識しております。
東京消防庁では今年度、浸水危険の大きい地域の消防団を中心として救命胴衣を整備するとともに、特別区内の各消防団においてモデル分団を定め、地域特性に応じた教育訓練を実施しております。
今回の教育訓練においては、各モデル分団ごとの検証を行い、消防団の意見を踏まえて消防団活動等に反映させていくこととしております。
今後も、地域の防災リーダーである消防団員の災害活動力強化のため、教育訓練の充実に努めてまいります。
〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕
〇産業労働局長(塚田祐次君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、中小企業の競争力の強化についてでありますが、経済のグローバル化が進む中、外国企業との連携を通じて中小企業の競争力を高めることは重要であります。
都はこれまで、産業交流展において、東京でのビジネス展開を考えている外国企業に出展の機会を提供してまいりました。これら外国企業の中には、販路開拓にとどまらず、技術連携や研究開発を希望している企業もあります。
そこで来年度は、現地の行政機関等を通じて外国企業の連携ニーズに関する情報を収集し、都内中小企業に広く提供するとともに、産業交流展に加え、東京で開催される他の展示会なども活用し、都内中小企業と外国企業とのマッチングや交流機会の提供を行います。
こうした取り組みにより、外国企業と中小企業との連携を促進し、中小企業の新たな事業展開を支援してまいります。
次に、技能の継承についてでありますが、東京の強みであるものづくり産業を将来にわたって発展させていくためには、これまで培われてきた熟練技能を次代に引き継ぐことが重要であります。
しかし、中小企業では、若手を指導する余裕がなく、指導者も不足していることなどから、円滑な技能継承が困難な状況にあります。
このため、都は、職業能力開発センターにおいて、中小企業の若手従業員を対象として、機械加工と溶接の二つの分野で、熟練者が技能を継承する東京ものづくり名工塾を実施してまいりました。
来年度は、人材育成のニーズ等を踏まえ、配管と木工製作について新たに名工塾の対象分野としてまいります。
こうした取り組みにより、ものづくり産業における技能継承を積極的に推進してまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、子育て家庭への支援についてですが、子育て支援サービスの利用を希望する保護者が、多様なサービスの中からニーズに合ったメニューを選択し、円滑に利用できるよう、区市町村が身近な場所で相談に乗り、情報提供や支援を行うことは、待機児童解消を進める上でも極めて有効な取り組みでございます。
そのため、都は今年度から、安心こども基金を活用して区市町村の取り組みを支援するとともに、先進事例を紹介するなど、事業の実施を区市町村に働きかけてまいりました。
また来年度は、利用者への支援を担う職員のスキルアップを図るため、子育て支援情報の収集方法や相談援助技術等を学ぶ都独自の研修も新たに実施する予定であり、こうした取り組みにより、今後とも区市町村を積極的に支援してまいります。
次に、児童相談所の体制強化についてですが、都はこれまで、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司や児童心理司の増員、虐待対策班の設置、保健師の資格を有する医療連携専門員の配置など、児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。
今年度も、虐待相談の中核を担う児童福祉司を十三名増員したほか、急増する一時保護需要に対応するため、一時保護所の定員を二十四名分ふやしたところでございます。
また来年度は、子供や保護者に、よりきめ細やかな心理的ケアが行えるよう、児童心理司を十三名増員するとともに、演習型研修や個別指導などにより新任職員の援助技術の向上を支援する児童福祉司OBを増員いたします。
こうした取り組みにより、児童相談所のより一層の体制強化を図ってまいります。
〔建設局長横溝良一君登壇〕
〇建設局長(横溝良一君) 足立区内における綾瀬川の耐震対策についてでございますが、新たな整備計画では約七・三キロメートルの堤防で対策を実施することとしておりまして、これまでに常磐線の鉄橋付近など一・五キロメートルで地盤改良工事を進めております。
平成二十六年度は、新加平橋の上流で新たに〇・七キロメートルの工事を実施するとともに、コンクリート堤防補強の二十七年度工事着手に向けて設計を進めてまいります。
あわせて、堤防の補強に当たっては、目地からの漏水対策やコンクリート表面の補修、さらには修景を行うなど、見た目にも地域の方々が安心感を得られるよう改善に努めてまいります。
引き続き、耐震対策の平成三十三年までの完成を目指し、綾瀬川両岸を同時に施工するなど、スピード感を持って事業を推進してまいります。
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