平成二十六年東京都議会会議録第四号

〇副議長(藤井一君) 二十六番神野次郎君。
   〔二十六番神野次郎君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇二十六番(神野次郎君) 最初に、中小企業の資金繰り支援について伺います。
 中小企業が融資を受ける場合、そのほとんどは、不動産を担保とするか、経営者個人が債務を保証しています。こうしたあり方を見直し、企業の活力を引き出す観点から、先般、日本商工会議所や全銀協が中心となり、経営者保証に関するガイドラインを取りまとめました。積極的な企業活動がしやすい環境づくりを進める大変意義のあるもので、こうした取り組みが少しずつ進むことを期待するものです。
 一方、安易に個人保証を求めないこととすれば、経営への責任を果たすという基本が忘れ去られるおそれもあることから、モラルハザードを起こさないバランスのとれた運用が重要となります。
 信用力に乏しい企業にとっては、引き続き不動産担保や個人保証が有効と考えられますが、この中でも、できる限り担保をとらない努力や、新たな資金調達のチャネルづくりなど、企業に多様な選択肢を提供することが重要と考えます。
 都は、経営者保証に関するガイドライン等の新たな動きも踏まえ、中小企業の資金調達の多様化に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、下請企業の支援について伺います。
 アベノミクスの進展により、日本経済全体では景気回復が実感されるようになってまいりましたが、中小零細の下請企業の多くは、コスト削減要請や受注減などにより、いまだ厳しい経営環境にあります。本年四月には消費税率が引き上げられますが、下請企業の経営者からは、増税分の価格転嫁に苦労しているという話をよく聞きます。増税分の価格転嫁が実現できないと、企業業績の悪化を通して、従業員の賃金抑制につながる危険性が高まります。アベノミクスが目指しているデフレ脱却、そして物価上昇率を上回る賃金の上昇を実現するためには、増税分の円滑な価格転嫁がとても重要な意味を持ちます。
 こうした中で、都は、これまでの下請支援に加え、価格転嫁の拒否等に関する相談受け付けを昨年十月から開始しております。新年度も、この消費税の価格転嫁問題を含め、下請企業への支援を充実していくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、多摩地域の産業振興について伺います。
 先月の二十七日、二十八日に、昭島市の都立多摩職業能力開発センターで開催されたたま工業交流展では、出展企業の技術力の高さに感心させられるとともに、自社製品に自信を持っている経営者の頼もしさを実感してまいりました。そして、この高い技術力を収益性の高さへと結びつけていく重要性を強く感じました。
 多摩地域には、すぐれた技術を持つ中小企業や研究機関が数多く立地するなど、高いポテンシャルを持つ産業が集積しております。将来にわたり多摩の産業を活性化していくためには、こうした集積のメリットを生かした成長の機会を確実につかめるよう、行政がその仕組みづくりを積極的に進めていくべきと考えます。
 多摩地域では、これまでも中小企業同士の連携や産学連携が活発に行われてきましたが、これをさらに進め、大手企業や大学、研究機関と中小企業との交流や連携を一層ふやしていけば、新たな技術や製品が数多く創出され、大きく発展していくものと考えますが、都の取り組みを伺います。
 次に、女性の活躍推進について伺います。
 我が都議会自民党は、東京が世界で一番女性が輝く都市となることを目指し、ソフト、ハードの両面において、女性が活躍しやすい環境を整備することを提言しております。
 都はこれまで、ワークライフバランスの推進により、男女が働きやすい環境づくりの取り組みを進めてまいりましたが、企業、地域活動など、社会のあらゆるところで女性の力が発揮され、生き生きと活躍するためには、社会全体で機運を盛り上げ、行動を起こすことが必要です。
 そこで、女性の活躍推進の機運醸成に向けた都の具体的な取り組みについて伺います。
 次に、女性の起業に向けた取り組みを伺います。
 女性ならではの感性や視点を生かした女性の起業は、従来なかった商品やサービスを市場に提供できる可能性を秘めており、また、みずから働き方を決めることができるという点で、子育て中など時間に制約がある女性が力を発揮するのに大変有効であると考えます。
 一方で、女性の起業家は男性に比べて人的ネットワークを形成する機会が少ないといわれています。女性起業家のために、情報提供、相談、助言を与えてくれる、交流をサポートする場が必要と考えますが、都の取り組みについて伺います。
 次に、子供の安全対策について伺います。
 公園で子供服のフードが遊具にひっかかり、首が絞まったり、ベランダの室外機を踏み台にして手すりから転落したり、風呂場でれたりなど、身の回りで子供の思いがけない事故が発生しています。
 東京消防庁のデータによりますと、平成二十四年には日常生活の事故で八千八百四十人もの乳幼児が救急搬送され、過去五年間で最も多くなっております。
 こうした中で、都は東京都商品等安全対策協議会において、子供の事故防止対策の検討を進めてきましたが、今年度は、乳児の死亡事故が発生しているブラインド等のひもの安全対策を取り上げ、このたび具体的な対策を盛り込んだ提言を取りまとめたと聞いています。
 都は、協議会の提言を具体化するため、国や事業者団体にしっかりと働きかけ、実効ある安全対策が実現されるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 また、我が党は、昨年末の第四回定例会の一般質問で、子供の事故防止に向けた消費者教育において、安全に配慮した商品の普及につながるような、さらに一歩進んだ安全対策への取り組みの必要性について提案しました。
 都からは、事業者団体等に呼びかけ、消費者が安全に配慮した商品に直接触れて実感できる機会を提供するなど、新たな啓発活動に取り組んでいくとの答弁がありました。
 子供の不測の事故を未然に防止するためには、保護者が安全性の高い商品を選択することが重要であることはいうまでもありません。一方、事業者にとっても、事故防止効果の高い商品を開発、販売することは、国際競争力の強化にもつながるものと考えます。
 都は、新たな啓発活動について、具体的にどのような形で行っていくのか。また、実施に当たっては、消費者教育の視点にとどまらず、企業の支援にもつながるような内容とすべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、多摩地域の水環境の向上に向けた取り組みについて伺います。
 先日、地元昭島の多摩川上流水再生センターを視察してきました。下水道処理施設は、ともすれば迷惑施設と受けとめられがちですが、当センターは近隣住民の声をしっかりと受けとめ、環境保全に積極的に取り組むなど、地域から高く評価されております。
 今後とも、地域に受け入れられる努力を続けていくことを要望します。
 その多摩上流水再生センターで処理された水のほとんどは多摩川に放流されていますが、多摩川は東京を代表する河川であり、四季折々の自然が楽しめる貴重な水辺となっています。多摩川の魅力を一層向上させるためには、水環境の向上に向けた下水道への取り組みは重要です。
 さらに良好な水環境を形成していく上で、東京湾の赤潮発生の要因となる窒素やリンの削減が課題であると聞いています。流域下水道では、窒素やリンを削減するために、各水再生センターに高度処理の導入を進めていますが、その導入状況について伺います。
 A2O法と呼ばれる、バクテリアを嫌気槽、無酸素槽、好気槽の三槽で使用する高度処理によって、水質が大きく改善される一方で、特に好気槽において大量の電力が消費されると聞いています。
 水質改善への努力を継続していくことは大変重要なことですが、昨今のエネルギー価格の上昇を背景に、水質改善と省エネルギー化の両立を推進する必要があると考えますが、その取り組みについて伺います。
 次に、外国人観光客の誘致について伺います。
 我が国を訪れる外国人旅行者にとっての悩みの一つに、コミュニケーションの問題があります。旅の拠点である宿泊施設では、特に日常のやりとりに日本語しか使えなければ、旅行者は大変な不便を感じることになります。
 京都では、宿泊施設での従業員と外国人旅行者との会話を、電話でオペレーターが通訳してくれるサービスを実施しています。旅行者の満足度を高めるよい取り組みだと思います。東京においてもこうした取り組みを検討し、宿泊施設での外国語対応をスムーズに行える環境を整えるべきと考えますが、所見を伺います。
 知事は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、東京を訪れる外国人が町なかで困ったときなど、片言でいいから英語で話しかけてあげられるよう、高齢者などによる外国人おもてなし語学ボランティアの育成を提案しています。この取り組みは、外国人観光客へのおもてなしはもちろん、多くの都民が参加することで、多摩を含めた東京全体でオリンピックを盛り上げるという効果もあると考えます。私の地元昭島でも、何らかの形でオリンピックに参加したいといった声をたくさん聞いています。
 この語学ボランティアの育成の意義について、知事に伺います。
 また、都内各地でボランティアを育成していくためには、市区町村を初めとする団体と協力して事業を進めていく必要があります。
 そこで、開催までの限られた時間の中で、多くの外国人おもてなし語学ボランティアを育成するための課題と具体的な取り組みについて伺います。
 最後に、MICE誘致について伺います。
 国際会議を初めとするMICEは、一度に多くの外国人旅行客の来訪が見込まれ、大きな経済波及効果や、都市の国際的な存在感の向上にもつながることから、世界の諸都市が積極的に誘致に取り組んでおります。シンガポールなどでは、観光地として人気のあるテーマパークや博物館など、MICE会場としては特別感のある施設をレセプション等に活用し、参加者に都市の魅力を訴え、誘致競争力の向上を図っています。
 都も、東京ならではの観光資源を有効に活用し、MICE誘致につなげるべきと考えますが、見解を伺います。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 神野次郎議員の質問にお答えいたします。
 おもてなし語学ボランティアについてでありますが、私が考える史上最高のオリンピック・パラリンピックとは、世界中から訪れる外国人に、東京を挙げて最高のおもてなしをすることであります。
 先日、ソチ・オリンピックを視察いたしましたけれども、競技会場では語学ボランティアのおかげで英語は通じますけれども、市内ではロシア語しか通じず、外国人が本当に困っている状況を多く目にしました。外国語によるコミュニケーションの重要性とボランティアのありがたさを、改めて痛感した次第であります。
 そのため、二〇二〇年の東京大会に向けまして、東京の至るところで都民が外国人と簡単な英語でコミュニケーションを図れるよう、外国人おもてなし語学ボランティアを育成することにしました。町なかで電車の乗りかえや食事など、生活習慣の違いに戸惑う外国人に日本人が英語で声をかけてあげれば、高いホスピタリティーを感じるとともに、言葉による心理的バリアの解消となると思います。
 その担い手として、意欲と時間のある高齢者にぜひ参加をお願いしたいと思います。このことは、高齢者のおもてなしの心が生かされるだけでなく、高齢者自身にとっての生きがいにもつながると思います。
 先ほど、多くの多摩地域の方々から、何らかの形でオリンピックに参加したいと、そういう声が上がっているということの、昭島の例を挙げておっしゃいました。多摩地域でも多くの皆さんにぜひ取り組みに参加してもらえるよう、幅広く働きかけを行っていきたいと思いますし、ぜひ神野次郎議員にもご協力をお願いしたいと思います。
 今後、短期間で効果的に外国人おもてなし語学ボランティアの育成を進めるため、都がリーダーシップを発揮し、市区町村や語学学校などの協力も仰ぎながら、東京の総力を挙げましてその育成に取り組んでまいります。
 その他の質問につきましては、関係局長が答弁いたします。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の資金調達の多様化についてでありますが、中小企業の資金繰り支援に当たっては、事業者がそれぞれの実情に応じて円滑に資金を調達できるよう、幅広い選択肢を提供する必要があります。
 このため、都の制度融資では、日々の運転資金や経営改善、設備投資など中小企業の多様な資金ニーズに応える融資メニューを、無担保で八千万円、不動産担保を含めれば二億八千万円まで提供しております。また、個人保証によらない融資については、経営者保証に関するガイドラインに対応した保証制度の活用を促してまいります。
 加えて、都独自の動産・債権担保融資制度を創設し、企業が保有する工作機械、在庫などの動産や売掛債権を担保として活用することにより、都内中小企業の資金調達の多様化に積極的に取り組んでまいります。
 次に、下請企業への支援についてでありますが、厳しい経営環境にある中小企業にとって、消費税の転嫁拒否などの不適正な取引や受注の減少は、経営に多大な影響を及ぼす切実な問題であります。
 そのため、都は、中小企業振興公社において、転嫁拒否等に関する相談や下請法等の普及啓発を行うとともに、商談会の開催等による取引の活性化に取り組んでおります。
 来年度は、価格転嫁対策を一層きめ細かく実施できるよう、弁護士相談の体制を強化するとともに、企業を巡回し普及啓発を行う相談員を、区部、多摩でそれぞれ増員いたします。また、下請企業の受注機会を確保するため、業種別の商談会を新たに開催するなど、支援規模を拡大いたします。
 こうした取り組みにより、下請取引の一層の適正化を図り、都内中小企業の経営の安定化につなげてまいります。
 次に、多摩地域の産業振興についてでありますが、多摩地域には高度な技術を持つ中小企業や大学、研究機関が数多くあり、これら多様な主体の連携を活発にし、革新的な製品や新事業を生み出すことは、多摩地域の産業を活性化していく上で重要であります。
 このため、都は来年度より、多摩地域における産学公金のネットワークを強化し、医療や環境など成長分野における中小企業の参入や新事業創出を促進するため、広域多摩イノベーションプラットフォーム事業を開始いたします。
 具体的には、企業OBなどのネットワークを活用し、大手企業や大学、研究機関の開発ニーズを幅広く集め、中小企業とのマッチングをきめ細かく行うとともに、共同開発プロジェクトの立ち上げから事業化までを総合的に支援いたします。
 こうした取り組みを通じて、多摩地域の産業振興を着実に進めてまいります。
 次に、宿泊施設での外国語対応の促進についてでありますが、宿泊施設における外国人旅行者の満足度を高めるためには、旅行者の日常的な疑問や質問にスムーズに外国語で対応できる体制を整えることが必要であります。
 これまで都は、宿泊施設の従業員に対する語学研修を支援するなど、旅行者の利便性向上につながる取り組みを行ってまいりました。
 お話の旅行者と従業員のコミュニケーションをサポートする仕組みについては、先行事例を調査し、旅行者の満足度を高める方策を検討してまいります。
 最後に、MICE誘致についてでありますが、都市の魅力的な観光資源をMICE開催に活用することは、他都市との差別化を図り、誘致を優位に進める有効な手段であります。海外では、本来MICE施設ではない歴史的建造物や文化施設などをレセプション等の会場として使用する、いわゆるユニークベニューの手法を取り入れ、開催地としての魅力の向上につなげております。
 都は来年度、国際会議等の主催者に対し、こうした施設の利用に必要な情報、ノウハウの提供や、会場設営費の支援を行うことで、ユニークベニューの活用を促進いたします。
 こうした取り組みにより、東京の持つ資源を最大限に生かして、都市としての魅力を発信し、MICE誘致を推進してまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、女性の活躍推進の機運醸成についてであります。
 都はこれまで、各局の連携のもと、子育て環境の整備、企業への支援、普及啓発等、仕事と家庭、地域生活の調和の推進に取り組んでまいりました。
 今後は、普及啓発から一歩踏み込み、これまで培った経済、地域、教育等の団体とのネットワークを生かして、より多くの主体が女性の登用や就業継続などの具体的行動を起こすことが重要であると考えております。
 このため、新たに東京都女性活躍推進会議を設置し、東京都商工会議所連合会や東京経営者協会を初めとする事業者団体等と連携協力し、経営トップ層に直接働きかけるなど、共同プロジェクトを推進してまいります。
 さらに、各界での先進的な取り組みに対しまして、東京都知事賞を贈呈するなど、社会全体で女性の活躍推進に向けた機運を一層高めてまいります。
 次に、女性の起業に向けた取り組みについてでありますが、結婚、出産などさまざまなライフイベントを抱える女性にとって、みずからが就業スタイルを決定できる起業は、女性の活力や柔軟な発想を生かせるものと認識をしております。経済産業省が実施した女性起業家実態調査によりますと、起業を目指す女性の多くは、専門家による助言や指導、同じような経営者等との交流の場の提供などの支援を求めております。
 このことから、都は、来年度新たに表参道の東京ウィメンズプラザで、渋谷ならではの成長業種であるデザインに着目し、起業を目指す女性に向け、地域特性を生かした起業女子全力応援交流会を開催いたします。
 具体的には、目ききのできる講師陣による、より実践的な起業に向けた連続ワークショップを開催するとともに、交流会を通じた人的ネットワークの形成を支援してまいります。
 次に、ブラインド等のひもの安全対策についてでございます。
 東京都商品等安全対策協議会では、事故の実態調査や再現実験を行い、本年二月に最終提言を取りまとめたところでございます。提言では、JIS規格化を視野に入れた安全基準づくりを初め、事故原因のひもがなくてもブラインドを上下できる、より安全性の高い商品開発や普及、消費者の安全意識の向上等を求めております。
 この提言を受け、都が直ちに国や事業者団体に要望を行ったことで、国は来年度からJIS化の検討に着手をすることとなりました。また、事業者団体も、安全性の高い商品の開発等に向けて取り組みを進めております。
 都も、国や事業者団体と共同して、ブラインドのひもの危険性や安全対策に対するリーフレットを十万部作成し、今月から保護者に情報が直接届くよう、都内の保育所、幼稚園、保健所等への配布を開始したところでございます。あわせて、今月号の「広報東京都」を初め、東京都提供番組など、さまざまな広報媒体を通じて、広く消費者への注意喚起を行ってまいります。
 次に、安全に配慮した商品の普及についてでございます。
 保護者が子供の安全に配慮した商品を選択するよう促すためには、直接商品に触れて、みずから安全性を実感できる機会を提供することが有効であります。
 そのため、都は事業者団体と連携して、新たに安全に配慮した商品見本市を開催し、商品安全をテーマとしたセミナーや事業者によるプレゼンテーションを通じて、保護者が商品の安全性を実感できる体験型の啓発を行ってまいります。
 あわせて、都内には高い技術力を持ち、安全に配慮した商品の開発に熱心な企業が多いことから、中小企業への技術支援を行っている都立産業技術研究センターとも連携し、商品開発セミナーや企業間交流など、企業の動機づけにつながる取り組みも実施してまいります。
 最後に、外国人おもてなし語学ボランティアを育成するための課題と具体的な取り組みについてでございます。
 都内全域で外国人おもてなし語学ボランティアを育成するためには、都民が参加しやすく、短期間で効果的に英語を身につける方法を検討する必要がございます。
 そのため、来年度の取り組みとして、育成方法やカリキュラムについて語学学校から意見を聞くとともに、育成には地域の協力が不可欠であることから、ボランティアや国際交流に取り組む市区町村との意見交換などを行ってまいります。あわせて、これまでのオリンピック開催都市や外国人に人気の高い観光地など、国内外における語学ボランティアの育成や活用状況等についても調査を行ってまいります。
 これらを踏まえ、ボランティア育成の推進体制、カリキュラムなど具体策を早期に取りまとめてまいります。
 また、多摩地域を初め、多くの都民に参加していただけるよう、ボランティアの機運醸成に向けシンポジウムを実施してまいります。
   〔下水道局長松浦將行君登壇〕

〇下水道局長(松浦將行君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、流域下水道における高度処理の導入状況についてでございますが、現在、下水処理水が多摩川中流部の河川水量の約半分を占めており、処理水の水質を向上させることは、水環境の改善に大きな効果があります。流域下水道では、多摩地域の水環境の一層の向上や、東京湾の富栄養化の防止を図るため、平成十二年度から、各水再生センターに窒素とリンをより多く除去する高度処理の導入を、順次進めております。
 平成十六年度には、流域下水道の全ての水再生センターにおいて高度処理が可能となり、二十四年度末には、一日当たりの処理能力七十一万立方メートルの高度処理施設が稼働し、全体の処理能力に占める高度処理の割合は約五割となっております。
 次に、水質改善と省エネルギー化についてでございますが、高度処理は水質改善が図れる反面、標準的な処理法に比べ電力使用量が多いという課題があります。
 このため、高度処理に比べ窒素とリンの除去率が若干低いものの、電力使用量をふやすことなく水質改善を図ることができる準高度処理もあわせて導入し、平成三十年度までに高度処理と準高度処理の割合を七割程度まで向上させることとしております。
 また、高度処理などを進めるに当たりましては、省エネ機器の導入を図るとともに、運転管理の面でも、処理水質と使用エネルギー量の二つの指標を用いて管理する二軸管理手法を活用し、水質改善と省エネルギー化の両立に取り組んでまいります。
 今後とも、一層の省エネルギー化を推進し、水環境の向上と環境負荷の少ない都市の実現に貢献してまいります。

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