平成二十六年東京都議会会議録第四号

〇議長(吉野利明君) 三十六番大松あきら君。
   〔三十六番大松あきら君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

〇三十六番(大松あきら君) 初めに、文化、教育について伺います。
 舛添知事は、施政方針表明で世界一の都市東京を目標に掲げ、世界一安全・安心な都市、世界一の福祉先進都市、世界一のオリンピック・パラリンピック大会の実現を目指すと宣言されました。都民の皆様方の期待に応え、未来への希望を感じさせる指針であり、私も知事とともに、都政に邁進する決意を新たにしました。
 その上で、知事が掲げた三つの世界一に加えて、文化と教育においても世界一を目指すべきと訴えます。
 知事は、政治学者として中国の孫文を研究されています。孫文は、およそ国家の強弱は、その国の学生の程度をもって知り得ると語っています。また、儒教の原理に基づき、一個人を内部から発揚して外に及ぼし、これを拡大して天下に推しいたしてとも力説しています。
 世界一の東京を実現するには、一人の人間の力、特に青少年の皆様方の力を開拓する文化と教育の取り組みが不可欠です。
 また、文化と教育は、海外との交流を広げれば、国を越えて人々の心をつなぎ、オリンピック・パラリンピック開催都市にふさわしい、すぐれた国際貢献として東京の地位を高めることができます。
 そこで、知事に伺います。
 東京には、美術、音楽など世界に誇る文化活動やアーティストが結集し、美術館や博物館も整備されています。こうした資源を活用しながら、日本の文化を世界に発信し、都市間の文化交流を活性化するべきです。知事の所見を求めます。
 また、東京都のこれまでの海外文化交流の取り組みと来年度以降の展開について、都の見解を求めます。
 知事は、施政方針で、世界をリードするグローバル人材を東京から育てると表明されました。そのためには、まず、教える側である都教育委員会のグローバル化を支援しなければなりません。特に現場を担う教職員が諸外国の教育事情や制度を学び、海外の教育者等と教育力を磨き合う機会を広げることが重要です。
 こうした教育交流を広めるためには、それを担う人材を育成しなければなりません。都教育委員会の教職員に、すぐれた国際感覚を身につけさせる機会をふやしていくべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 グローバル人材の第一の要件は、実践的な語学力であり、とりわけ英語を担当する教員の使命は重大です。
 都教育委員会は、平成二十六年度から中学校及び高等学校の英語科教員の海外派遣研修を行うと伺っていますが、海外研修は、授業力の向上に大きな効果が期待できます。より多くの教員が参加できるようにすべきです。本研修の狙いと内容について、見解を求めます。
 海外派遣は、意欲のある教職志望者にとっては魅力のある研修です。研修内容を教員採用の募集の際にアピールし、全国から、よりすぐれた教員の確保に努めるべきです。都教育委員会の見解を求めます。
 また、都教育委員会は来年度から、語学指導や国際交流を担う外国青年を招致するJETプログラムを活用し、都立高校に英語を母国語とする外国青年を外国語指導助手、いわゆるALTとして百人を配置します。生徒が日常的に外国青年や英語に接することができ、都立高校の英語教育は一変します。
 この事業の成果を上げるには、JETの外国青年が英語教育の狙いを理解し、教員とのチームワークを構築することが大切であり、JETの外国青年の資質、能力を向上させる研修が重要です。都教育委員会の所見を求めます。
 次に、がん対策について伺います。
 がんは、昭和五十二年以降、都民の死因の第一位になっており、都民の皆様方の健康や生命に重大な影響を与えています。都はこれまで、がん対策推進計画に基づき、専門的ながん医療を提供する、がん診療連携拠点病院や東京都認定がん診療病院を整備してきました。また、発症部位ごとに協力病院を認定するなど、がん医療体制の構築を推進してきました。
 一方、都民の二人に一人が一生のうちにがんと診断されるとの推計があり、高齢化の進展に伴い、がんの患者数は今後もふえていくことが見込まれます。がん患者が安心して医療を受けられるように、がん診療連携拠点病院などで治療を受けた後、地域の病院でも適切な医療を受けられる環境を整備しなければなりません。
 そのために、身近な地域におけるがん診療の連携体制の充実が重要です。都の見解を求めます。
 次に、障害者雇用について伺います。
 昨年四月、障害者の法定雇用率が引き上げられ、都内の企業の障害者雇用は着実に進み、今、雇用障害者数は過去最高を更新しています。
 一方、企業に就職した経験のない障害者の中には、実際に働くことについて不安を感じている方も少なくありません。しかし、障害者の皆様方も実際に職場を体験できる機会があれば、働くことのイメージを得て、自信を持つことができます。受け入れる企業にとっても、障害者への理解を深める機会になります。
 そこで都は、東京しごとセンターで、企業と障害者の出会いの場となる職場体験実習面談会を開催しています。私は、昨年十一月に開催された面談会を視察しましたが、多くの企業と障害者の皆様方が参加され、大変活況でした。
 こうした機会をふやすことで、障害者雇用がさらに進むことが期待できます。職場体験実習面談会を充実するべきです。都の所見を求めます。
 次に、防災対策について伺います。
 近年、都内ではゲリラ豪雨と呼ばれる局地的集中豪雨が頻発し、昨年も時間百ミリを超える集中豪雨に見舞われました。私の地元北区を流れる石神井川の下流部では、平成十七年と二十二年の集中豪雨で河川から溢水し、大規模な洪水被害が発生。特に二十二年には、王子付近で五百棟近くが浸水しました。一瞬にして床上浸水するなど、当時被災した住民の皆様方は、今も強い恐怖心を持たれています。
 都は一昨年、豪雨対策を強化するため、中小河川の新たな整備方針を策定し、河川の整備水準を時間五十ミリから七十五ミリに引き上げました。都心では川幅を広げることが難しいため、新たな調節池を整備することが必要です。一日も早い実行を求めます。
 中小河川の新たな整備方針に基づく対策の取り組み状況について伺います。
 浸水を防止するためには、河川の整備とともに下水道の役割も重要です。北区の堀船地域は地盤が低く、石神井川の洪水時には下水からの内水被害も発生しました。下水道局は、経営計画二〇一三に基づき堀船地域で浸水対策を進めていますが、安心・安全は住民の皆様方の切なる願いです。堀船地域における浸水対策を着実に進めるべきです。都の見解を求めます。
 また、石神井川の下流域では水質改善も大きな課題です。水位が低く、潮位の影響で水の流れが少ない上に、川周辺の下水道が合流式のため、大雨の際には下水道のはけ口から汚水のまじった雨水が放流されています。
 石神井川の下流域の水質を改善するために、合流式下水道の改善を積極的に進めるべきです。所見を求めます。
 次に、鉄道立体化について伺います。
 北区のまちづくりの最大の課題は、JR埼京線十条駅の立体化です。踏切を解消し、新しいまちづくりを進めることは、多くの住民の皆様方の長年にわたる悲願です。十条駅は新宿駅から約十分、都心から大変近く、駅周辺には東京家政大学、東京成徳大学、帝京大学、東洋大学があり、朝夕、多くの若者が駅を利用しています。
 また、スポーツ科学の粋を凝らし、メダリストを養成するナショナルトレーニングセンターの玄関口であり、駅の南東側には東京都障害者総合スポーツセンターもあります。東京オリンピック・パラリンピックへ向けて、国内外のスポーツ関係者の来訪の増加も見込まれます。こうした地域資源を生かし、活気のあるまちづくりを実現するために、町を分断する踏切を解消する立体化が不可欠です。
 地元のまちづくりと連携し、JR十条駅付近の連続立体交差化の実現を急ぐべきです。その取り組みについて、都の見解を求めます。
 最後に、都道の整備について伺います。
 北区の王子駅と豊島五丁目団地などをつなぐ補助八八号線は、幅員が狭く、バスの交通量も多いため、慢性的な交通渋滞が起きています。また、災害時における避難場所への避難ルートや救援の際の道路ネットワークの充実が求められており、早急な整備が不可欠です。
 補助八八号線の整備の状況について都の見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 大松あきら議員の質問にお答えします。
 まず冒頭、大松議員が、私が尊敬する孫文の言葉を引用されて、教育の重要性について言及されましたことに、大変深く共感するものであります。
 江戸時代の日本人の識字率、英語でいうとリテラシー、言葉が読める人の率、これは世界最高の水準にありました。例えば中国、そのときの清がアヘン戦争などを通じて列強に侵略されて独立を失った。それと比べて、日本が独立を保つことができたのは、その一つの大きな要因は教育にあったと思っております。したがって、まさに教育は、国家百年の大計だと思っております。
 さて、ご質問の海外との文化交流についてでございますけれども、芸術文化は、言語、国境、政治思想などを超えて、世界中の人々に共感と感動をもたらすものであります。国家間でさまざまな課題がある中で、違う文化を認め、多元的な価値観を許容することは極めて重要であると考えております。さまざまな文化の交流を通し、広く深くネットワークを張りめぐらせることで非常に強いきずなができ、おのずと相手のことを理解しようという気持ちが高まるものであります。
 パリには、ルーブルやオルセー、オペラ座などの魅力的な文化資源があり、それを目指して世界中から人々が集まっております。そこでは活発な文化交流が行われており、都市に活力がもたらされております。
 東京が世界一の文化都市を目指すためには、パリと同様に、文化でも世界の人々を引きつけるような町としなければならないと思います。
 そのためにも、海外の美術館とのネットワークの強化、若手アーティストの交流による人材育成などのほか、アニメ、ファッションなどのクリエーティブ産業の海外展開や、市民による草の根レベルの交流などを通して、多元的な文化交流を積極的に進めることが重要であると思います。
 今後は、都はもとより、民間や地域、個人など、さまざまな主体が文化資源の連携を進めることにより、東京全体で海外との文化交流を築き上げてまいります。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁させます。
   〔教育長比留間英人君登壇〕

〇教育長(比留間英人君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、教育交流における教職員の人材育成についてでありますが、教職員に諸外国の教育、文化等を学ばせ、その知識や経験に基づいて教育施策を立案できるよう資質、能力を向上させることは、都全体の教育の充実を図る上で極めて重要でございます。
 そのため、都教育委員会は平成二十二年度から教員の海外派遣研修を行い、諸外国の学校運営や教科指導法などを調査研究して、その成果を広く活用しております。
 また、来年度からは、地方自治体の国際化を推進する機関である財団法人自治体国際化協会へ、都教育委員会の職員を新たに派遣いたします。さらに、海外派遣教員が成果を報告する研修会に教員や事務職員を広く参加させるなどの取り組みにより、すぐれた国際感覚を備えた人材を育成してまいります。
 次に、英語科教員の海外派遣研修についてでありますが、学校で六年間学んでも、多くの日本人が英語で意思の疎通ができない現状があり、使える英語を生徒が身につけられるよう、これまでの英語教育のあり方を改善することが喫緊の課題でございます。
 このため、都教育委員会は、平成二十六年度から、公立中学、高校の英語科教員百四十人を選抜して、三カ月間、海外の大学に派遣をいたします。研修生は、ホームステイをしながら、英語を母語としない者に英語を効果的に教える最新の教授法を学ぶとともに、現地校での実習やインターンシップなどを通して集中的に研修に取り組みます。
 帰国後は、学校や地区の授業改善の推進役を担うとともに、研修の成果を他の教員に広く普及することで、中学、高校生の英語力の向上を図ってまいります。
 次に、英語科教員の海外派遣研修の周知についてでありますが、都教育委員会では、すぐれた教員を採用するため、これまでホームページやメールマガジンなどによる広報や大学等での説明会において、東京の教育の魅力や充実した研修制度について、積極的に情報発信をしてまいりました。
 英語科教員の海外派遣研修を紹介することは、自己研さんに励み、チャレンジする意欲にあふれる者の受験を促す上で大きな効果が期待できます。
 今後、リーフレットやポスターを作成し、英語の免許状を取得できる四百三十三大学全てに送付するほか、新たに開設する専用ホームページのトップや、約三万五千部のガイドブックへの掲載、都の指導主事による大学での講義等、さまざまな機会でこの派遣研修を新たに周知してまいります。
 次に、JET青年に対する研修についてでありますが、JET青年は、日本の在外公館が、日本の英語教育や国際交流に貢献しようとする意欲のある若者の中から、審査、面接により選抜した優秀な外国青年でございます。多くのJET青年は、来日前には教職経験がないため、都教育委員会は、来日直後等に、日本の教育制度を理解し、日本人教員とのチームワークで授業を行う力を身につけさせるための研修を実施いたします。
 さらに、生徒と相互に理解しながら交流を深められるよう、日本や東京の歴史、文化を体験的に学ぶ研修を行います。
 これらの研修を通して、JET青年が日本人教員と協同して授業を行う指導力を高めるとともに、将来、東京と母国のかけ橋となるよう、その育成に努めてまいります。
   〔生活文化局長小林清君登壇〕

〇生活文化局長(小林清君) 都のこれまでの海外との文化交流の具体的な取り組みと今後の展開についてでございますが、東京を文化でも世界一の都市にするためには、文化施設、アーティスト、民間団体などあらゆる主体が、東京ならではの創造的な海外との文化交流を展開することが重要であります。
 都はこれまで、若手芸術家が国際共同制作を行うアジア舞台芸術祭や、ベルリン国際映画祭と提携し、映画分野の人材を育成するタレントキャンパスなど、海外との文化交流を進めてまいりました。
 今後は、まず、東京都交響楽団がことしの秋に、スイスとの国交樹立百五十周年を記念してジュネーブでの公演を行うほか、二十七年度にはヨーロッパ主要都市への遠征公演を行う予定でございます。
 また、東京都美術館や現代美術館におきまして、海外の美術館とのネットワークを生かした展覧会を企画し、交流を一層発展させてまいります。
 さらに、民間団体によるすぐれた国際コラボレーション活動に対しましては、アーツカウンシル東京による助成を充実してまいります。
   〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕

〇福祉保健局長(川澄俊文君) がん診療連携体制の充実についてでございますが、高齢化の進展に伴い、がん患者が増加する中、がん医療を充実させていくためには、がん診療連携拠点病院等での専門医療の一層の向上を図るとともに、身近な地域においても安心して治療を継続できるよう医療機関相互の連携を進め、療養環境を整備する必要がございます。
 そのため、都は来年度から、拠点病院等での初期治療を終えた患者が、転院後も化学療法や緩和ケアなどの必要な治療を受けながら、在宅療養への準備を行うモデル事業を実施いたします。
 今後、東京都がん対策推進協議会に部会を設置し、地域の病院に求められる機能や、拠点病院等との効果的な連携のあり方等について検討を行った上で、区部、多摩それぞれで地域の病院を指定し、実施する予定でございます。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 障害者雇用についてのご質問にお答えいたします。
 職場体験実習は、障害者が実際に企業で働くことを通じて、企業現場での就労についての理解を深め、就職する上で必要となる基礎的能力を高める効果がございます。
 このため、都では、実習を受け入れる企業を開拓するとともに、こうした企業と障害者を結びつける面談会を開催するなど、職場体験実習の機会確保に向けて支援しております。
 面談会に参加する企業や障害者の数は年々増加しており、来年度はこうしたニーズに対応して開催回数をふやし、障害者が企業現場を体験できる機会の拡大を図ります。
 今後とも、これらの取り組みを通じて、障害者雇用を推進してまいります。
   〔建設局長横溝良一君登壇〕

〇建設局長(横溝良一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、中小河川の整備についてでございますが、頻発する集中豪雨に対応するためには、河川整備を効率的、効果的に進めることが重要でございます。
 このため、時間五十ミリまでの対策は護岸整備で、それを超える雨には調節池で対応することを基本とし、近年洪水被害のあった石神井川や境川など五流域において、新たな調節池の配置や形式などを検討してございます。
 このうち、これまでも議論のあった石神井川の中流部においては、道路や公園などの公共用地を活用して地下調節池を整備することで、早期に流域の安全性を向上させてまいります。平成二十六年度は、河川工学的観点から配置計画を決定し、その上で測量や設計を進めてまいります。
 今後とも、新たな整備方針に基づく中小河川の整備に全力で取り組んでまいります。
 次に、JR埼京線十条駅付近の連続立体交差化の取り組みについてでございますが、連続立体交差事業は、複数の踏切を同時に除却することで道路ネットワークの形成を促進し、地域の活性化にも資するなど、極めて効果の高い事業でございます。
 十条駅付近では、連続立体交差化により、あかずの踏切である十条道踏切など六カ所の踏切を除却し、交通渋滞や地域分断が解消できます。また、西口再開発や周辺道路整備と合わせて町の骨格が形成され、利便性や回遊性が向上し、にぎわいのあるまちづくりが促進されます。
 都は、現在、事業化に向けて構造形式や施工方法の検討を行っており、今後、国との比較設計協議に着手いたします。
 引き続き、地元区や鉄道事業者と連携しながら積極的に取り組んでまいります。
 最後に、補助第八八号線の整備についてでございますが、本路線は、JR王子駅と避難場所に指定されている豊島五丁目団地を結ぶ延長約一・六キロメートルの都市計画道路であり、地域交通の円滑化や防災性の向上に大きく貢献する重要な路線でございます。
 このうち、残る豊島五丁目団地までの延長約〇・八キロメートルの区間が事業中でございまして、既に約九割の用地を取得し、事業が円滑に進んでおります。現在、無電柱化工事や排水管の設置工事などを進めるとともに、自転車レーン整備の可能性について、交通管理者と調整を行っております。
 また、工事期間中の地域住民の利便性や安全性の向上に資するため、取得した用地を活用して、バスの停車帯や仮歩道を設置するなどの工夫を行っております。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、本路線の全線完成に向け、積極的に事業を推進してまいります。
   〔下水道局長松浦將行君登壇〕

〇下水道局長(松浦將行君) 二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、北区堀船地区における浸水対策についてでございますが、堀船地区は、経営計画二〇一三において、浸水の危険性が高い対策促進地区として位置づけ、堀船一号幹線や王子西一号幹線、王子第二ポンプ所の整備を進めております。
 このうち、堀船一号幹線は平成二十六年度、王子西一号幹線は二十七年度の完成を目指し、整備を進めております。
 王子第二ポンプ所は、三十二年度の完成を目指し、整備を進めておりますが、ポンプ所の完成に先駆け、二つの幹線を合計で約一万四千立方メートルの雨水をためる貯留管として暫定的に活用し、早期に浸水被害の軽減を図ってまいります。
 今後もこうした取り組みを進め、安全・安心なまちづくりに貢献してまいります。
 次に、石神井川の下流域における合流式下水道の改善対策についてでございますが、現在、石神井川の下流域にあるはけ口から雨天時に汚水まじりの雨水の放流されておりますが、王子第二ポンプ所の完成に伴い、水の流れが滞りやすい石神井川から水量が豊富で流れのある隅田川へ放流先を変更することにより、石神井川の水質が改善されます。
 また、このポンプ所には、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設を約一万三千立方メートル整備し、雨がやんだ後に水再生センターへ送水し、処理して、きれいな水を隅田川へ放流することで、隅田川の水質も改善されます。
 今後とも、石神井川の水質改善に向けて工事を早期に完成させるよう、積極的に取り組んでまいります。

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