平成二十六年東京都議会会議録第三号

〇副議長(藤井一君) 四十番木村基成君。
   〔四十番木村基成君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇四十番(木村基成君) 小金井市選出の木村基成でございます。
 今回、舛添都知事が就任されたことを大変喜ばしく思っております。二十五年ぶりに小金井市から選出していただいた自民党の都議会議員として、地元の方々の思いを胸に活動させていただきたいと思っております。
 まず初めに、産業の成長促進についてお伺いいたします。
 東京を世界で一番の都市にすることは、日本を世界で一番の国にすることにも通じます。さまざまな産業があるからこそ、私たちは安定した暮らしができるのであり、公的福祉なども充実させることができるのです。ゆえに産業の成長を促進することは、生活の質を向上させる上でも極めて重要であります。
 東京では、すぐれた中小企業が数多く活動しています。特にものづくりの分野などでは、世界市場でトップシェアを持つ企業も少なくありません。また、クールジャパンと呼ばれるファッション、アニメ、日本食などの分野でも、都内では多くの企業が活躍しています。そうした企業は、海外で高い人気を誇っているにもかかわらず、必ずしも実力どおりに稼げていないのです。
 日本人の感性や才能は付加価値となり、大きな経済景気効果をもたらすと確信しています。
 そのためには、東京が持つ産業の強みを徹底的に伸ばす、徹底的に生かす、そのようにして成長のエンジンとしていくことが必要だと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、今後の発展が期待されるクールジャパン関連の産業支援について、さらに伺います。
 私の地元小金井市には、日本のアニメ界を代表するスタジオジブリがあります。その作品は、各国で高く評価されています。ファッションや和食も同様で、海外での高い評価を得ています。クールジャパンが海外で高い評価を得ている現状は、私たち日本人が自身の創造性を再確認するまたとない機会です。
 現代を生きる私たちには、連綿と続く国家を維持してきた民族性、歴史、文化や自然など、先人、先達から引き継いだ大いなる資産があります。クールジャパンの資源は日本人そのものですから、国内、とりわけ東京には豊富な資源があるのです。
 この分野に関連する産業は、海外展開に大きな可能性があり、都内の中小企業も積極的な取り組みを進めるべきであると考えます。
 都は、今般の補正予算で、クールジャパンを推進する事業を始めるとしていますが、今後、クールジャパンにかかわる中小企業をどのように支援していくのか伺います。
 次に、創業の促進についてお伺いします。
 東京が、この先も産業都市として発展するには、新たな担い手となる創業者が必要です。株式の新規上場を果たした企業の数は四年連続で増加しています。株式公開は、資金需要のある企業が厳しい審査を経て、市場に認められて初めてなし得るのですから、このような傾向は、ベンチャー企業や投資側の活気がうかがえ、大変明るい状況だといえます。
 この機運をさらに伸ばすことが、今必要だと考えます。そのためには、都内で活動する創業者を支援する民間の企業や団体などの役割がますます重要になってくると考えます。
 最近では、民間の事業者同士が連携し、創業希望者やベンチャー企業と大手企業を結びつけるイベントなども開催されるようになっていると聞いています。
 しかしながら、こうした取り組みはまだ十分な広がりがなく、その規模も限られています。だからこそ特色がある活動をしている企業や団体の連携という取り組みに対して、行政の積極的な働きかけが必要であります。
 幅広い活動を引き出し、都内の創業をより活発にする環境を整え、特に成長分野については、重点的に後押しをしていく必要があると考えますが、都の所見について伺います。
 次に、中小企業の技術開発への支援についてお伺いします。
 都内のものづくり企業が厳しい競争環境の中で勝ち残っていくためには、今まで以上に技術開発を行い、付加価値の高い製品を生み出していかなければなりません。
 しかし、技術革新は日進月歩のスピードで進んでおり、こうした変化に対応しながら市場に受け入れられる製品づくりを進めていくことは、中小企業にとって非常に困難になっています。
 大学の研究成果や外部企業の技術などを導入したり、これまで使ったことがなかった新しい素材を活用するなど、より難度の高い開発に挑戦していく必要もあります。とはいえ、このような開発はリスクも大きいので、開発を始める前にしっかりと、その可能性をチェックしなければならず、中小企業には大きな負担となります。
 そこで、こうした事前の検証を都が支援して、中小企業の製品開発を一層加速すべきであると考えますが、都の所見について伺います。
 次に、中小企業に対する金融支援についてお伺いします。
 昨日の我が党の代表質問において、中小企業の資金調達の機会を広げるために、動産や債権を担保にする新しい融資制度を創設する旨の答弁がありました。
 私も、さまざまな場所で、担保にできる土地や建物がないので、必要な資金を調達できないという切実な声を聞いています。ゆえに、今回の制度は、資金を調達する側にも、融資をする側にも、手法がふえることから大変興味深く、期待をしております。
 しかし、動産や債権は担保物件としての認知度が低く、金融機関の査定ノウハウが蓄積していない、あるいは査定費用が中小企業の大きな負担になるなどの課題もあると聞いております。
 何分、我が国では、未発達の金融手法なので、動産・債権担保融資制度の利用を促すには、思い切った支援が必要だと考えますが、都としての見解を伺います。
 次に、都市農業の振興についてお伺いします。
 東京の農業は、食料の供給以外にも、緑地保全、食育面などから極めて重要な産業であります。加えて、限られた農地で効率的な経営を行う農業者が数多く活躍しています。
 しかし、価格低迷やコスト上昇などにより厳しい経営環境に置かれています。
 私の地元小金井市でも、パイプハウスなどの施設整備を進めて効率的な経営を行っている農業者が多数おります。一方、他県では、農業分野でもITなどを活用した栽培施設の導入が進み、省エネや生産性の向上が図られています。
 農業者からは、このような先進技術を導入したい、より効率的な経営が行いたいという声が聞かれますが、導入コストが高く、東京のように小規模な経営では割に合わないのが実情であります。
 小規模な農業者が多い東京だからこそ、経営力を高める最新技術を積極的に取り入れる必要があると考えます。
 そこで、都としては、新たな技術の活用に対して、どのような取り組みを進めるのか伺います。
 次に、女性への就業支援についてお伺いします。
 少子化などによる生産年齢人口の減少は、国力維持にかかわる重要な問題であり、東京の産業発展にも大きく影響します。
 しかし、出産や育児で一度離職すると、その後の再就職を希望しても、仕事につけない女性は少なくありません。
 私の周りでも、高い能力を持っているにもかかわらず、子育て、仕事そして生活とのバランスに苦しみ、再就職への一歩が踏み出せない女性を数多く見てまいりました。
 女性の労働力は、東京ひいては日本のポテンシャルであります。この潜在力を引き出し、就職につなげるためには、働く希望を持つ女性の現状を踏まえた支援が重要だと考えます。
 そこで、今後の都の取り組みについて所見を伺います。
 次に、都市計画道路についてお伺いします。
 都市計画道路は、都民生活や経済活動を支える重要な都市基盤です。私の地元である小金井市では、JR中央線の連続立体事業によって南北に分断されていた地域がようやくつながってまいりました。これはとても喜ばしいことであります。
 しかし、東西道路である都道連雀通りは、日常的に混雑し、加えて、歩車道が分離されていない箇所すらある状況です。その一方で、市内には、都市計画の決定から長期間事業化されていない都市計画道路があります。小金井市内には、国道がありません。都市計画道路はとても重要な基盤なのです。
 地域の課題を踏まえた都市計画道路の整備による交通ネットワークの早期完成が必要だと考えますが、都の見解はいかがでしょうか。
 次に、連続立体事業についてお伺いします。
 かつて、JR中央線武蔵小金井駅には、あかずの踏切がありました。余りにもあかないことから社会問題となっていました。地域が分断され、町の発展が大きく阻害されていましたが、平成二十二年に、JR中央線三鷹駅から立川駅間が高架化され、同時に、市街地再開発事業などが進められた結果、地域の利便性、快適性が増し、地元の方々も大変喜んでいます。
 このJR中央線の事業は完了する旨聞いておりますが、都内にはまだ千を超える踏切が残されています。鉄道沿線のまちづくりでは、踏切問題の解決なくして発展はあり得ません。これまでの実例が示すとおり、連続立体交差事業は、多くの効果をもたらします。ゆえに、なお一層の事業推進が必要であると考えます。
 そこで、JR中央線などの連続立体事業に対する都の所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 木村基成議員の質問にお答えいたします。
 産業の成長促進についてでございますが、我が国経済の中枢である東京は、日本の発展を牽引していく原動力として、成長への突破口を切り開いていかなければなりません。その政策展開に当たっては、産業の強みを見きわめ、これを徹底的に伸ばしていくことや、今後の成長が見込まれる分野に力を注ぐといった視点が不可欠であります。
 例えば、東京のものづくり産業の強みは、世界に通用する技術力の蓄積であります。そこで、健康、環境、防災など喫緊の課題を抱える分野において、中小企業のすぐれた技術を取り入れた革新的なものづくりを進めてまいりたいと思っております。産学公金の連携によりイノベーションを起こし、成長の新たな可能性を生み出してまいります。
 また、東京に蓄積するファッションやコンテンツ産業などは、日本人の繊細な美的センスが発揮される領域として、世界に通用する競争力を秘めております。関連する中小企業の国際展開や、すぐれた人材の輩出などを促すことにより、将来のリーディング産業へと育ててまいります。
 こうした産業の成長の芽を見出し、集中的に支援していくことにより、経済の活力を高め、東京を新たな成長の軌道へと乗せていく所存でございます。
 なお、残余の質問につきましては、東京都技監及び関係局長から答弁させます。
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) 道路ネットワークの早期形成についてでございますが、都市計画道路は、都市における円滑な移動の確保や防災性の向上に必要不可欠な都市基盤施設でございます。
 都は、現在、第三次事業化計画に基づき、計画的に都市計画道路の整備を行っておりますが、現計画が平成二十七年度に終了することから、次期事業化計画の策定に向け、都と市区町による検討会や学識経験者による委員会を立ち上げました。
 この中で、渋滞の効果的な解消や高度防災都市の実現、安全で快適な道路空間の確保などの視点から、優先整備路線の選定に向けた検討を進めております。
 小金井市におきましても、都市計画道路の整備が道半ばであると認識しておりまして、引き続き地元市と連携しながら、効率的な道路ネットワークの形成に向けた検討を行ってまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、クールジャパン関連の産業支援についてでありますが、我が国のファッションやコンテンツ、和食などは海外で高い評価を得ており、これをビジネスに結びつけていくことで産業として大きく成長する可能性があります。東京都には、この分野で独創的な中小企業や人材を多く集まっておりますが、海外で事業を展開していくには、情報発信力の不足や経営資源の脆弱さなどさまざまな課題がございます。
 そこで都は、来年度より、こうした中小企業等の国際展開の支援に着手いたします。海外のフェスティバル、展示会、商談会等を通じたプロモーションや販路開拓、世界に通用する人材育成への取り組みなどに対し、民間事業者のアイデアも取り入れながら支援してまいります。
 こうした取り組みにより、東京独自の産業都市の基盤を強化し、海外への浸透を図ってまいります。
 次に、創業の促進についてでありますが、都内における創業を一層活発にしていくためには、支援を行う事業者が持つさまざまなノウハウや知見を結集していくことが効果的であります。
 このため、都は今年度より、複数の事業者が連携して、人材の発掘、育成から成長段階のサポートまで総合的な支援を行う取り組みを後押しする、インキュベーションHUB推進プロジェクトを実施しております。
 具体的には、企画提案型の公募により、二件の連携事業を選定し、活動経費の二分の一について三カ年間にわたり各年度一千五百万円を限度に助成を行っております。
 来年度は、新規に三件を選定するとともに、うち一件は成長産業分野の育成を進めるため、ライフサイエンス・健康産業分野をテーマに指定して募集し、助成率と助成限度額を引き上げます。
 こうした取り組みにより創業の促進を図り、都内産業の成長の実現を図ってまいります。
 次に、中小企業の技術開発への支援についてでありますが、中小企業が付加価値の高い新製品を開発するに当たり、外部の技術や知見を積極的に導入していくことは重要であります。
 このため、都は、来年度より、こうした取り組みに着手する際に必要となる技術上の検証を行う中小企業を支援する、製品開発着手支援助成事業を開始いたします。
 具体的には、新たに開発する製品に大学の研究成果や他社の技術などを応用できるかを調査する経費、最適な材料の選定に必要なサンプルの購入や性能評価のための経費などにつき、その二分の一について百万円を上限に助成を行います。これにより迅速で確実な製品開発を促進し、中小企業の競争力の向上につなげてまいります。
 次に、来年度創設する動産・債権担保融資制度についてでありますが、動産や債権を担保とした融資を促進するためには、担保物件の適正な評価や管理のほか、中小企業の費用負担等の課題に対応する必要があります。
 このため、本制度では、車両や工作機械、在庫などの資産について、保証や評価に関する専門的なノウハウを有する機関が金融機関をサポートする仕組みといたします。
 また、債務が返済されなかった場合に、損失の八割を都が補助することにより、金融機関の積極的な取り組みを促します。
 これに加え、中小企業の負担軽減のため、融資額の四%を上限として、担保評価等に必要な費用の半額を、また小規模企業については全額を都が補助いたします。
 こうした手厚い支援により、動産・債権担保融資制度の活用を促進し、中小企業の資金調達を支えてまいります。
 次に、農業における新技術の活用についてでありますが、限られた農地の中で収益性の高い経営を実現するためには、先端技術を活用し、東京に適した栽培システムを導入することが有効であります。
 このため、平成二十五年度から四カ年計画で、こうした技術を確立する東京農業イノベーションプロジェクトを開始し、今年度は、ITを活用して栽培環境を自動制御する生産施設など、東京でも実用可能な先端技術を取り入れたモデルを考案いたしました。
 来年度からは、その実用化に向けて、都立産業技術研究センターや民間企業などと連携し、導入コストの低減と一定面積当たりの収穫量の増加について、実際に生産施設を設置して実証試験に取り組んでまいります。
 最後に、女性の就業支援についてでありますが、女性の再就職を促進するためには、育児等の状況を踏まえた効果的な就職支援を実施することが重要であります。
 このため、都は来年度、家庭生活と両立しやすい仕事の紹介や、キャリアカウンセリング、保育に関する情報提供等をワンストップで行う専用窓口を、しごとセンターに設置いたします。
 また、利便性の高い主要駅周辺で講義と職場体験を組み合わせた再就職サポートプログラムを実施するとともに、自治体と連携し、子育て中の女性に役立つ内容を取り入れた各種セミナーを身近な地域で開催いたします。
 さらに、これらの利用者がしごとセンターの支援を受けながら就職活動を行う際には、託児のための経費助成を行います。
 こうした取り組みにより、働く意欲と能力のある女性の再就職を積極的にサポートしてまいります。
   〔建設局長横溝良一君登壇〕

〇建設局長(横溝良一君) 連続立体交差事業の取り組みについてでございますが、本事業は、道路ネットワークの形成を促進し、交通渋滞や地域分断を解消するとともに、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業であり、現在都は、八路線十一カ所で事業を進めております。
 このうちJR中央線では、十八の踏切を除却し、このうち特に踏切の遮断時間が長かった小金井街道で五百三十メートルの踏切渋滞を解消いたしました。
 また、武蔵小金井駅南口では、再開発により駅前広場が整備され、大規模商業施設が進出するなど、町が大きく発展してきております。
 一方、今年度は、西武新宿線の二カ所の事業着手に加え、先月末、京王線笹塚駅から仙川駅間延長約七キロメートルについて、新たに事業に着手をいたしました。
 今後とも、事業中箇所の早期完成とともに、新規事業化を図り、連続立体交差事業に積極的に取り組んでまいります。

〇六十七番(近藤充君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
 本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。

〇議長(吉野利明君) お諮りいたします。
 ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明日は、午後一時より会議を開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後七時二十二分散会

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