平成二十六年東京都議会会議録第三号

〇副議長(藤井一君) 二十四番清水孝治君。
   〔二十四番清水孝治君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

〇二十四番(清水孝治君) 都議会自民党の清水孝治でございます。
 質問に入る前に、私からも舛添新知事に祝意を伝えたいと思います。知事、このたびはご就任まことにおめでとうございます。
 そして、これからさまざまな場面を通じ、知事と首都東京の発展や、我が国の統治機構のあり方、地方自治についてなど、幾多の議論を交わしてまいりたいと思います。どうぞ末永いおつき合いをよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 まずは、都市づくりについて知事の所見を伺います。
 現在、我が国では人口減少社会の到来が叫ばれる一方で、都心部に人口が集まり始める、いわゆる都心回帰現象が生じています。過去には、高度成長期以降、地価の急騰などにより、庭つき一戸建ての郊外化やドーナツ化現象が発生し、都心部の人口は一貫して減少してまいりました。
 しかし、バブル崩壊以降は、地価の下落や企業、行政の遊休地の放出、超高層マンションの建設などにより、都心の利点が見直され、都心部の人口は増加に転じてまいりました。
 実際、本年一月に発表された総務省の人口移動報告によりますと、二十三区の転入超過は軒並み千人単位で人口が増加し、都心回帰が急速に進んでおります。
 都心への居住には、保育所不足や商店街の空洞化による日常品の買い物難民など、幾つかの不安がございますが、基本的に職住近接や交通至便、買い物、医療、文化施設の充実などがそれらのデメリットを圧倒しているわけでございます。
 実は、このことは、国が推進するこれからの都市構造である集約型都市、いわゆるコンパクトシティーの形成を、結果、自然発生的に行っていることになっています。
 一方、多摩地域の人口移動は全体的に微増ではありますが、一部自治体には転出超過による人口減少も生じております。
 多摩地域における集約型都市の実現には、依然として公共交通網の整備が必要であると考えます。東京の区域全体をひとしく発展させるためには、恣意的な努力が必要と考える次第でございます。
 そこで、東京全体の発展を願う知事に、人口減少を踏まえた都市づくりに対する所見を伺いたいと存じます。
 次に、立川市の防災対策について伺います。
 まずは、立川広域防災基地の機能整備について伺います。
 私の地元立川市には、国より位置づけられた自衛隊や消防、海上保安庁、病院、そして内閣府による災害対策本部など、防災施設が集積した広域防災基地が市域の中心にございます。
 この広域防災基地は、首都圏を襲う大震災が発生した際には、官邸や霞が関にかわり、国や首都東京の災害対策本部の拠点となるわけであります。
 しかし、基地の中央を南北に縦断する都市計画道路立川三・一・三四号線の南伸が未整備なため、東日本大震災の際は、道路が電車踏切に遮断されてしまい、まさに陸の孤島と化してしまったわけでございます。
 立川広域防災基地がその機能を十分に発揮するためには、基地と中央自動車道など、主要幹線道路を接続する南北道路が必要不可欠であるのは論をまちません。
 基地に近接するJR青梅線踏切が、都の踏切対策基本方針において鉄道立体化の検討対象区域に位置づけられていますが、残念ながらいまだに実現の兆しすらございません。世界一安全・安心な都市の目標を掲げています都に、この区間の立体化実現に向けた所見を伺いたいと存じます。
 次に、横田基地について伺います。
 横田基地は、震災以降、新たに防災拠点としての期待が高まっております。例えば、大地震や大雨等で陸路が閉塞した際、羽田空港とともに救援物資の搬送拠点として期待されているわけであります。
 都の総合防災訓練でも、横田基地で物資輸送訓練が実施されております。こうした訓練を継続的に行うことで、多摩地域の特性を考慮した、より実効性の高い災害対応を行うことができると考えますが、今後の都の取り組みについて伺います。
 また、横田基地での民間機の発着は、騒音増大の懸念や外交、安全保障問題をクリアする必要がございますが、地元でも経済界を中心に大きな期待が寄せられております。
 横田基地へのさまざまな取り組みは、三多摩地域のまさに起爆剤となるものと確信しております。
 そこで、横田基地の今後の取り組みについて知事の所見を伺います。
 次に、東京の畜産振興について伺います。
 東京の畜産業は、都市の中で周辺の環境に配慮しながら営まれており、ブランド化や加工品の開発などに取り組んでいる熱心な畜産農家も数多くいらっしゃいます。
 特に東京都の試験研究機関が肉質を重視して開発した東京ブランド豚であるトウキョウXは、新聞やテレビでも取り上げられており、知名度も高く、食べてみたいなという都民の声もよく耳にしております。
 しかし、先日、関係者にお会いしましたところ、トウキョウXは育てることが難しく、他の豚に比べて生産性が低い、消費者のオーダーに応じ切れていないというお話を伺いました。
 一方で、ブランド力を維持していくためには、頭数をふやすだけでなく、品質も高める必要がございます。こうした量と質の両面から改善を進めることができれば、より多くの消費者にそのおいしさを味わっていただくことができるはずです。
 そこで、トウキョウXを普及拡大するための都の取り組みについて伺います。
 次に、酪農支援について伺います。
 東京都には、牛乳はもとより、アイスクリームやヨーグルトなど乳製品を加工、販売し、多角的な経営を行っている酪農家もいらっしゃいます。
 しかし、乳製品価格が低迷する一方で、飼料価格は高騰するなど、経営環境はまさに厳しい状況にございます。加えて、日常的に家畜の世話や牛舎の清掃に追われて、休暇をとることさえ難しく、大変厳しい労働環境にあります。
 先日、酪農家から伺ったところ、現在は、病気やけがで作業ができない場合などに酪農ヘルパーの派遣費用を助成する国の事業がありますが、今年度で終了するとのことから、このままでは経営の継続が非常に厳しいとの声がございました。
 そこで、安心して酪農経営を継続していくために、都として今後どのような支援を行っていくのか、所見を伺います。
 次に、都税の徴収率向上について伺います。
 都財政の基盤である都税の徴収率向上は、税に対する信頼維持の観点からも極めて重要なテーマでございます。都が直接徴収している税の徴収率は、バブル崩壊以降九〇%近くまで低下しましたが、平成二十四年度には九八・五%まで引き上げられました。
 しかし、一方で、区市町村が区市町村税とあわせて徴収している個人都民税の徴収率は九二・三%と、まだまだ徴収率引き上げの努力を行う余地がございます。
 個人都民税の平成二十六年度予算額は八千三百五十三億円で、都税収入の約二割を占める基幹税であり、その徴収率向上は都税全体の徴収率を高めていく上でまさに命題と考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 最後に、多摩地域における下水道の危機管理について伺います。
 東日本大震災から間もなく三年がたとうとしています。この間、首都直下地震の発生が危惧されるなど、災害時に都民生活を守り、都市機能を維持していくための安全・安心を確保する施策への要望はかつてないほど高まっております。
 下水道施設の核となる水再生センターでは、二十四時間三百六十五日、下水や汚泥の処理を行っており、災害時においても都民の衛生環境や公共用水域の水質を守るため、これらの機能は必ず確保しなければなりません。そのためには施設の耐震化を加速すべきと考えます。
 そこで、流域下水道の水再生センターにおける耐震化の取り組み状況について伺います。
 また、多摩地域には市が単独で下水処理場を運営している単独処理区がございます。私の地元立川市も単独処理区を抱えておりますが、その処理場は稼働から四十年以上経過し、老朽化が著しく進んでいるため、事故が心配でなりません。
 昨年十月、単独処理区の一つである町田市の汚泥処理施設にふぐあいが発生した際、緊急的に流域下水道の水再生センターで、町田市から下水汚泥を受け入れて処理をしてもらい、大変助かったという話を伺いました。
 立川市、八王子市、三鷹市の単独処理区でも同様の事故が起こることが考えられることから、いざというときの体制の確保が必要と考えます。
 そこで、単独処理区の処理場を支援する取り組みを伺いまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事舛添要一君登壇〕

〇知事(舛添要一君) 清水孝治議員のご質問にお答えします。
 まず最初に、人口減少を踏まえた都市づくりについてご質問がありました。
 我が国の人口は既に減少局面に入っておりまして、東京も二〇二〇年をピークに減少に転じ、高齢化が急速に進んでいくと予想されております。
 こうした人口動態の大きな変化を踏まえて、今後とも、豊かで活力ある持続的発展が可能な東京を将来世代に引き継いでいけるよう、都市づくりを積極的に展開していく必要があると考えております。
 このため、広域的な視点に立って高度な都市機能が集積し、経済活力を高める拠点の形成を進めるとともに、三環状道路や多摩地域の南北を結ぶ道路など、拠点間の連携を強化する広域交通インフラの整備を進めてまいります。
 先ほど東久留米の野島議員にも申し上げました。本当に一緒に歩いていて、この三多摩の道路はどうなっているんだろうと。それから、清水議員と、こんなに元気のいい清水議員が顔を曇らせる立川の道路は何だろうと思いながら、一緒に車に乗りながら、本当に時間がかかりましたですね。
 そういうことを思いますと、やはり、私も東久留米と、それから議長の三鷹に住んでいたことがございますので、三多摩の状況は生活実感としてよくわかっているつもりであります。ぜひこの道路体系、きちんとやっていきたいと思っております。
 また、身近な地域におきましては、公共交通の利便性を向上させるとともに、駅などを中心に医療、福祉、商業などの日常生活を支える機能を集約していきたいと思っております。
 このような生活拠点の周辺において、居住機能の立地を促すことにより、区部、多摩を通じて、誰もが暮らしやすい町へと再編していきたいと考えております。
 こうした取り組みを全力を挙げて進めていくことによりまして、さまざまな地域が個性を生かして発展した世界一の都市東京を実現してまいりたいと思っております。
 続きまして、横田基地についてご質問がございました。
 横田基地に関しましては、軍民共用化と空域の返還の課題があり、都はこれまで、長年取り組みを進めてまいりました。
 空域については一部返還されましたが、共用化はさまざまな課題があり、まだ実現に至っておりません。この問題は外交、安全保障にかかわるものでありまして、国との連携なしには進展が難しいと思います。
 横田の共用化は首都圏の空港容量の拡大や、首都圏西部地域の航空利便性の向上とともに、多摩の振興等に資するものであります。また、空域のさらなる返還も取り組むべき重要な課題であります。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催により、外国人旅行者の増加が見込まれます。地元の声も聞きながら、多摩地域の活性化に資するよう取り組んでいくとともに、国とともに知恵を絞り、増大する航空需要に適切に応えていきたいと思っております。
 残余の質問につきましては、東京都技監及び関係局長に答弁させます。
   〔東京都技監藤井寛行君登壇〕

〇東京都技監(藤井寛行君) JR青梅線の立川駅から東中神駅付近の立体化についてでございますが、お話のとおり、この区間は、都が平成十六年に策定した踏切対策基本方針におきまして、鉄道立体化の検討対象区間、二十区間のうちの一つに位置づけられております。
 道路と鉄道との立体化につきましては、地域におけるまちづくりと連動することから、地元市が主体となり、道路と鉄道のあり方や、まちづくりを検討することが必要でございます。
 また、この区間では、青梅線の本線と短絡線が近接しているため、一体での検討が必要でございます。
 都といたしましては、鉄道立体化につきまして、交差する都市計画道路の整備計画の具体化、地元市によるまちづくりの取り組みの状況などを十分に踏まえまして適切に対応してまいります。
   〔総務局長中西充君登壇〕

〇総務局長(中西充君) 横田基地を活用した防災訓練についてでございます。
 大規模災害発生時に緊急の人命救助や物資搬送を迅速に行うためには、陸路や水路だけでなく、航空機など空路を活用した輸送網の確保が重要であり、横田基地は、多摩地域における広域的な航空輸送拠点としての役割が期待されております。
 都では、平成十三年以降、横田基地において、自衛隊や警察などのヘリコプターを活用し、物資輸送や負傷者の搬送などの訓練を行っており、昨年十一月には、他県と連携した救援物資の輸送訓練などを実施いたしました。
 今後も、在日米軍など関係機関と連携を図り、横田基地における実践的な訓練を積み重ね、都の災害対応力を向上させてまいります。
   〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕

〇産業労働局長(塚田祐次君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、トウキョウXの普及拡大についてでありますが、都が開発したトウキョウXは、やわらかな霜降り肉で消費者から好評でありますが、そのブランド力を維持していくためには生産量の拡大と品質の維持向上が必要であります。
 そのため、生産量の拡大に向けては、JAなどと連携して、新規農家をふやすとともに、子豚の育成率を高めるための技術開発や、飼育マニュアルに基づく指導の徹底などにより、生産性の向上に取り組んでおります。
 また、品質面では、独自のトレーサビリティーの導入により、生産から消費までの透明性を確保し、高品質の維持に努めるとともに、飼料の配分割合等に関する研究を行い、さらなる肉質の向上に取り組んでおります。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、ブランド力を維持し、トウキョウXの普及拡大につなげてまいります。
 次に、酪農に対する支援についてでありますが、酪農家が病気やけがなどの際に作業を代行する酪農ヘルパーの利用料を助成する国の事業が、今年度をもって終了することになりました。
 しかし、こうした仕組みは酪農経営にとって不可欠なことから、都は、今後も酪農ヘルパーをより円滑に利用できるよう独自の制度を構築することといたしました。
 具体的には、畜産団体と連携し、広域的にヘルパーを派遣する利用組合を立ち上げ、酪農家のニーズに柔軟に応えられるよう派遣体制の充実を行います。また、酪農家がヘルパーを利用する際の負担を軽減するため、都独自に利用料の助成を行います。
 今後とも、こうした取り組みにより、東京の畜産業の振興に努めてまいります。
   〔主税局長影山竹夫君登壇〕

〇主税局長(影山竹夫君) 個人都民税の徴収率向上についてでありますが、区市町村が徴収している個人都民税の徴収率は、都が徴収している都税に比べ約六ポイント低い状況にあります。
 このため、都は、これまでも徴収困難事案の引き受けや、職員派遣等の支援を積極的に行うとともに、昨年度から都内六十二区市町村と個人住民税徴収対策会議を立ち上げ、オール東京滞納STOP強化月間などの取り組みを実施しております。
 また、給与所得者の個人都民税については、給与から天引きする特別徴収が原則とされておりますが、現在、都内の特別徴収の割合は七割程度で、全国平均よりも低い状況であります。
 特別徴収は、事業主にとって事務量の増加となりますが、徴収率向上に寄与し、給与所得者にとっても納め忘れがなくなるなどのメリットがあります。
 このため、都は、区市町村と協力し、平成二十六年度から二十八年度を特別徴収推進期間と設定し、事業主の理解と協力を得るための広域的な広報活動、税理士会を初めとした関係団体への協力依頼などを積極的に実施いたします。
 さらに、特別徴収義務者の段階的指定や一斉指定を検討するなど、区市町村と連携し、個人都民税の徴収率向上に努めてまいります。
   〔下水道局長松浦將行君登壇〕

〇下水道局長(松浦將行君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、水再生センターの耐震化の取り組み状況でございますが、流域下水道の水再生センターは、多摩三十市町村から集められた汚水を処理する流域下水道の核となる施設であり、耐震化は重要な取り組みであります。
 そのため、全水再生センターにおいて、水をくみ上げる揚水、簡易処理及び消毒など、震災時にも必ず確保すべき機能を担う施設について耐震化のスピードアップを図り、平成三十一年度までに対策を完了させることとしております。
 さらに、全国でも先駆的な取り組みとして、震災時に下水や汚泥の処理を相互にバックアップする連絡管を多摩川を挟んで対面する水再生センター間で整備しております。
 三本のうち、多摩川上流・八王子水再生センター間と、北多摩一号・南多摩水再生センター間の二本は既に完成し、三本目となる北多摩二号・浅川水再生センター間は、平成二十七年度末の完成を予定しております。
 次に、単独処理区の処理場を支援する取り組みでございます。
 昨年、町田市の単独処理場で焼却炉に故障が発生した際、市の支援要請を受け、緊急に約一カ月間、下水汚泥を南多摩水再生センターに受け入れ、焼却処理することで市の下水処理に支障を来すことなく対応することができました。
 こうした事態を踏まえ、市の処理場で問題が発生した際、流域下水道の水再生センターで下水汚泥を受け入れ、処理する協定を町田市と締結いたしました。
 同様に、危機管理対応の観点から、単独処理場がある立川市、八王子市とはことし一月に、三鷹市とは二月に協定を締結いたしました。
 今後とも、多摩地域の安全・安心の確保に向け、単独処理区がある市とも連携を図りながら、多摩地域全体の下水道の危機管理対応の強化に取り組んでまいります。

〇議長(吉野利明君) この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時十八分休憩

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