〇議長(吉野利明君) 百二番石毛しげる君。
〔百二番石毛しげる君登壇〕
〇百二番(石毛しげる君) 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について舛添知事並びに関係局長に伺います。
私たち民主党は、昨年六月の都議会議員選挙において、生活者、納税者、消費者、働く者の立場から、都政改革に改めて取り組む、そして理不尽や格差のない社会をつくること、意欲のある人に多様な教育と就労の機会を提供し、個人の可能性を広げること、そして東京を夢と活力にあふれるもっと魅力的な都市にすることを掲げてきました。このことは、舛添知事の考えにも相通じることが多いと思います。
私たち都議会民主党は、協力できるところは協力し、これまで以上に都民目線を大切にし、舛添都政に対しては是々非々の立場で臨んでいきたいと考えております。
まず、都政運営について、東京都政に当たっては、超高齢社会への備え、未来への投資、そして日本の首都東京として役割を十全に果たすことが求められています。また、知事の標榜する世界一の都市東京実現に加えて、都市ランキングの指数にはあらわれない、いじめや自殺、虐待などにもしっかりと光を当て、さらには、さまざまな価値観、考え方、言語の住民が暮らす大都市東京にふさわしい、多様性のある施策を展開していただきたいと思い、以下、都政運営の各分野にわたって、何点かお伺いいたします。
知事は、厚生労働大臣時代に、見解の異なる人や、課題や状況に応じた外部の専門家の意見を取り入れ、活発な議論を行って政務に当たられたものと聞いております。この東京都政、都議会においても、開かれた議論を行い、都民の信頼が得られる都政を実現していただきたいと期待するものです。
知事は、来年度中にも新たな長期計画を策定すると述べていますが、私たちはこの間、オリンピックまでの六年だけではなく、その後を見据えた長期ビジョンの策定を求めてまいりました。
二〇二〇年の夢、希望、感動のために全力を尽くすべきことはもちろんです。しかし、オリンピックは通過地点であって、それを含めてどんな未来を描き、足元の課題に対処していくのかが問われております。
今、東京都政の直面する貧困の拡大、雇用の流動化、経済成長の鈍化、高齢化、少子化など、起因する多数の課題に対応していくためには、政策のレベルアップだけでは到底足りず、構造改革、社会変革を伴う理念、政策転換が必要です。
オリンピックを開催する東京のあるべき姿、特に、当面は確実に続く生産年齢人口の減少と高齢社会を見据えた東京の長期ビジョンは、国政レベルの課題に取り組むことも含め、文字どおり長期的視野に立ち、広く各界の意見や知恵を集め、策定していただきたいと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、多摩の活性化についてです。
かつて都の長期構想では、都内のエリアごとにビジョンが示されていました。また、近年では多摩ビジョンが策定され、多摩地域の活性化に向けた着実な取り組みが行われました。
知事は、多摩担当副知事の任命を初め、施政方針演説でも、近年の知事の発言としては特筆に値するほど、多摩地域への関心、多摩の活性化に向けた意識は強くお持ちであると感じました。
区部より早く人口が今後減少に転じ、高齢化の進展も早く、さらには大規模工場の撤退など、多摩の状況は大きく変化しています。私たちもこの状況に的確に対応し、活気ある地域づくりに全力を挙げていきたいと考えていますが、多摩の活性化に向けた知事の基本的見解をお伺いします。
公共サービスを充実させるためには、NPOや株式会社など多様な主体の参画も欠かせません。その意味では、知事は先日発表した追加事業において、株式会社等、国の保育所整備費補助の対象外となる事業者への補助を打ち出したことは評価できます。
東京都では、福祉分野において同じ仕事をするのであれば、法人格のみで区別せず、原則として同じ補助金を支出する制度構築がなされてきました。
例えば、都の認証保育所は、法人格のない小規模な保育所にも補助しています。認証保育所制度は、費用、基準づくりからチェック体制まで独自で行うため、重い責任を伴いますが、都民サービスの提供という有益性があるからこそ、私たちも支持し、長年要望してまいりました。
しかし、国の子ども・子育て支援新制度では、対象が極めて限られていることや、単価など、課題が残ることが懸念されます。さらに、安心こども基金でも、一部を除き、民間事業者への施設整備費補助は対象外、国有地の直接貸付でも除外し、厳然として区別しています。
一層の高齢化の進行と同時に、生産年齢人口の減少が続く中で、公的サービスの不足を解消するためには、ニーズに適合したサービス提供を行う民間事業者の参入を後押しし、法人格によって公的資金の対象を区別しない環境をつくるべきです。知事の見解を伺います。
また、多様な文化を吸収し、首都東京のプレゼンスを高めていくには、都市外交も重要です。
これまで東京都は、日本の首都として独自にさまざまな都市外交を行ってきました。現在、十一の姉妹友好都市及び州と交流するとともに、東京都が呼びかけて始まったアジア大都市ネットワーク21では、地球環境問題、感染症対策プロジェクト、危機管理、産業振興など、共通する課題に共同して取り組んでいます。
国レベルでの日中、日韓関係は冷え込む一方ですが、こうした状況にあっても、東京の都市外交は、個別具体の課題において人的交流を深めるなど、しっかりとした取り組みを継続していくべきと考えます。
既に知事は新聞社のインタビューなどでも、北京、ソウル訪問に意欲を示しているところですが、都市外交に対する知事の基本的見解を伺います。
次に、東京オリンピック・パラリンピックについてお伺いします。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会について、舛添知事は、文化、技術、イノベーションといった東京の力を結集した、コンパクト、クリーンで心のこもった史上最高のオリンピックを実現したいと述べております。
一方で、二〇一二年ロンドン・オリンピックは、イギリスを世界第一級のスポーツ国家にする、若者たちを元気づける、障害者にとってより多くの雇用機会を与えられるようにするなど、戦略的な目標を持っていました。二〇一六年リオデジャネイロ・オリンピックは、南米の子供たちに活力を与える、水産資源管理の未来を見据えるものとなっています。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会では、日本社会や東京にどのようなレガシーを残そうと考えているのか、知事の見解を伺います。
ソチ・オリンピック時に、IOCから東京オリンピック・パラリンピック組織委員会に、若手、女性スポーツリーダーを理事、幹部に採用すべきだといわれたと報道されています。秋山副知事は組織委員会のメンバーです。ジュニアアスリートの育成などを支える体制を構築していただきたいと考えております。
国が新国立競技場の建設費として、都に五百億円を要請する方針を固めたとの報道がありました。まず、ラグビーワールドカップの開催に合わせて建設される競技場に五百億円の建設費を出すことは、果たして応分負担なのか、都民に説明をする上でも確認していかなければなりません。国の新国立競技場建設費要求に対して見解をお伺いいたします。
パラリンピック大会の開催が決まりましたが、障害者スポーツには多くのハンディがあります。例えば、段差や障害に対する周囲の理解が乏しいなど、ハード、ソフト両面でスポーツができる環境が少ないこと、障害者スポーツ指導員が活躍できる場がないこと、障害者スポーツ団体の組織体制が弱いことなどです。
東京パラリンピック大会を成功させるためには、障害者スポーツの普及と強化が必要です。練習環境や指導者、器具、用具への支援など、身近に障害者がスポーツを楽しめる環境づくりに取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
昨年、トーマス・バッハIOC会長は、東京オリンピックでは競技数をふやす柔軟性を持ってよいと発言しました。また、野球やソフトボールなどの復帰も示唆したところです。全日本野球協会として、ヨーロッパにおいてWBCでオランダがベストフォーに入るなど、大分ポピュラーになってきました。IOCなどの動向を見守りながら、希望を持って復帰活動を行いたいと話しており、私たちも、日本の子供たちにも人気の高い野球、ソフトボールの競技復帰に大いに期待するものです。
被災地を含め、日本の子供たちに新たな夢を与える大会にすべきと考えています。都の見解を伺います。
次に、福祉施策について伺います。
知事は、就任以来、東京は三つの世界一を目指すべきとし、東京に生まれて本当によかった、人生を振り返ったときに幸せな人生だったと、誰もが心から感じるような東京をつくると、施政方針で述べました。私たちは、多くの都民が暮らし、活動している東京だからこそ、顕在化し深刻化する切実な福祉の諸課題があると考えます。
そこで、知事は、おのずからの介護や厚生労働の責任者だった経験から、日本、東京の福祉には今何が足りないのか、そして施政方針で述べたことを実現するため、どう重点的に取り組むのか、知事の見解をお伺いします。
次に、子育て支援について。
待機児童数が全国で二万三千人、都内では八千人を超える中、国は、民主党政権の始めた子育て、女性就労支援の取り組みを引き継ぎ、待機児童解消加速化プランを打ち出し、支援に本腰を入れ始めました。保育所と保育士とをふやす課題がある中、施設面では、国に認証保育所を認めさせ、保育所分園の設置推進や民間認可保育所の活用のため制度を改正することが必要です。
保育人材に関して、保育所と養成校との連携推進、潜在保育士とのきめ細かいマッチングの実施が必要です。さらに、認可、認証保育所の保育料格差の是正や、育児不安を解消する相談サービスの充実、認可、認証保育所の交流、連携による子育てネットワークの推進も求められています。
四年で待機児童を解消し、保育サービスを充実するためにどう取り組むのか、見解をお伺いします。
次に、高齢化社会の基盤整備です。
二〇二〇年に都内人口が減少に転じる一方、後期高齢者の数が前期高齢者の数を上回ると見込まれています。東京は地価が高く、住居等が密集しているため、施設の新設や建てかえが困難で、特別養護老人ホームの不足から、入所者数は全国的に見ても少なく、入所を希望する高齢者は四万三千人に上っています。
東京都社会福祉協議会が行った調査によると、五割を超える都民が都内の特別養護老人ホームへの入所を希望しているため、東京都内での特別養護老人ホームの一層の整備促進が必要と考えます。さらに、福祉介護分野で働く人たちがディーセントワーク、働きがいがある仕事と思うための支援も必要です。
今後、高齢化社会に対応し、特別養護老人ホームの整備や建てかえを促進していく必要がありますが、見解を伺います。
次に、高齢者の在宅支援です。
今後、団塊の世代が七十五歳を超え、老老介護や認認介護が問題になることが予想される中、認知症の人と家族を社会が支える体制を整えていかなければなりません。地域包括支援センターでは、国のモデル事業として、世田谷区で認知症の初期から本人や家族を支援するチームや、国立市で家庭を訪問する認知症医療支援診療所といった取り組みが行われ、都においても、センターに認知症コーディネーターを配置し、早期に適切な支援につなげる取り組みが開始されています。
複雑多様化する高齢者のニーズに対応する地域包括支援センターは、職員の増員や財源確保を必要としており、区市町村への支援が重要です。また、地域で認知症の診療に携わる医師や看護師の育成、認知症の鑑別、診療を行う認知症疾患医療センターと地域の医療、介護分野の関係機関との連携体制の構築など、都が取り組むべき施策は多数あります。
認知症になっても住みなれた地域で安心して暮らせる医療、介護関係機関のネットワークづくりを進めることが重要と考えますが、見解を伺います。
次に、自殺対策です。
私たちは自殺という言葉を極力使わず、自死と呼んでいます。しかし、ここでは一般的に使われている自殺という単語に統一いたします。
自殺は、経済、健康、人間関係など、平均して四つの危機要因が連鎖して起きるといわれております。都は、重点施策として、社会全体で自殺予防を行う第一次予防、自殺の兆候を発見する第二次予防、そして遺族などへのケアを行う第三次予防を行ってきました。
以前は年間三万人を超えていた自殺者も、民主党政権で施策を充実した結果、減少傾向に向かい、今後の継続した取り組みが重要になってきています。大人へのさらなる対策はもちろんですが、支援団体は、増加傾向にある若年層の予防として、自殺のゼロ次予防を挙げています。若年者にライフスキルを学ばせることで、将来のリスクを回避することができるのではないでしょうか。学校で弁護士や医師、民間団体等と協力して、若年者が駆け込める相談体制を充実させることが必要です。
将来、幾多のトラブルを抱えたとしても、生きることを諦めない道を選べるよう、自殺のゼロ次予防を推進するなど、若年層の自殺対策を充実するべきだと考えますが、見解をお伺いします。
現在、二〇一五年卒の学生の就職活動が続いておりますが、東京に本社を置く全国規模の企業を東京労働局が監督したところ、若者の使い捨てが疑われる都内の企業、二百四十三事業所に上ることがわかりました。
また、労働局のあっせん事例調査によれば、正社員として契約し、試用期間後にアルバイトなら雇えるといわれ、断ったら解雇となったなど、多くの解雇等雇用終了事案が発生していることもわかりました。
国内の非正規雇用率が約四割に高まる中、国が労働者派遣制度を見直し、企業の派遣受け入れ期間を無制限としていくことを決めたことにより、労働者派遣が固定化、増加する大きな懸念があります。
厚生労働大臣であった知事は、以前、失業は単に仕事を失うものではない、プライドを失うのだ、失業は世の中を暗くする最大の要因である、生活という観点からも、派遣労働は必ずしも好ましいとはいえないと述べていました。
そこで、知事の雇用についての基本認識を伺います。
次に、東京で働く私たちの会議の創設です。
企業が社会の変化の中でさまざまな要請に応えつつ、活力を維持し、雇用を確保していくためには、経営のパートナーである労働者との協力は不可欠であり、そのための労使の対話の必要性はますます高まっています。
そこで、東京の成長産業における雇用創出や、若年者、高齢者、女性、非正規労働者などの総合的な雇用就職対策を検討していくには、都と労働者、企業による定期的な協議体制をつくることが必要と考えます。知事の見解を伺います。
次に、ワークライフバランスです。
内閣府調査によると、残業している人が頑張っている人だというイメージを持っている上司のもとでは、部下が長時間労働を行う傾向にあることがわかりました。知事は、こうした甚だ非効率なことは都庁では許されないとの見解を述べていますが、こうした意識を変えるにはトップの姿勢が重要です。都庁だけにとどまることなく、こうした姿勢を都内に広めていくことが重要です。
東京で、ワークライフバランスを一層進め、職場環境を向上させ、育児や介護ができる環境づくりを推進すべきだと考えますが、見解を伺います。
次に、教育についてお伺いします。
民主党政権では、教育の機会は均等であるべきとの理念において、公立高校などの授業料を無償化、私立高等学校への就学支援金制度に取り組んできました。しかし、現政権において廃止、変更されたことは大変遺憾であります。
それでは、社会で育てる教育についてお伺いします。
知事は、教育の機会が失われたりすることは、ずっと貧困の連鎖が続いていく、格差が世代間で継承されないことがいいと思う、自分の子供のときには、社会全体で勉強する子は育てるという雰囲気があった、現在の奨学金は有利子のものが多いので、与えるものをふやすべきと述べております。
昨年、国会で子どもの貧困対策法が成立し、都は国とともに、子供の将来が生まれ育った環境に左右されないよう、育成される環境を整え、教育の機会均等を図っていく責任を持つことになりました。法では、教育の支援、生活の支援、保護者の就労支援などさまざまな支援を講じることが示され、子供の貧困対策から家庭を支援していく道筋ができたといえます。都においても、所得に応じた教育に対する奨学金を充実させるべきです。
子供が生まれ育った環境に左右されず、将来に向けて安心して教育が受けられるよう、教育費負担を軽減する奨学金の給付を期待するところです。知事の見解を伺います。
次に、いじめをなくすための取り組みです。
都教育委員会は、都のいじめに関する専門家会議の報告とともに、いじめ問題への対策として条例や基本方針を策定する考えを打ち出しましたが、いじめを早期に認識、対応する環境整備と、いじめそのものの本質に向き合う体制づくりをはっきりと示すべきと考えます。いじめ被害者、自死遺族、いじめ相談機関、教育現場の方々から、いじめに関する意見を聞き、いじめをなくす安心の東京、教育環境をつくるべきと考えます。都教育委員会の見解を伺います。
次に、エネルギーについてお伺いします。
日本の政治経済の中心である東京は膨大なエネルギーを消費し、その消費は、北欧一国分にほぼ相当します。最大の電力消費地である東京は、省エネルギー、再生可能エネルギーの利用拡大に最も積極的に取り組まなければならない自治体であるといえましょう。
また、太陽光や太陽熱、水力、風力、バイオマスなどのいわゆる再生可能エネルギーであっても、無駄遣いしない、高効率の機器を使うなどの省エネルギーへの取り組みは当然必要なことでしょう。
震災直後に、私たち都議会民主党が提案した東京都省エネルギーの推進及びエネルギーの安定的な供給の確保に関する条例が成立いたしました。条例の理念に基づき、都は都施設での省エネ等の取り組みや地域冷暖房の推進など、事業者や都民の省エネを誘導する取り組みを行ってきています。
エネルギーの大消費地である東京は、今後とも引き続き省エネに取り組む責務があると考えます。
そこで、東京における省エネの推進に向けた知事の基本認識を伺います。
東日本大震災は、電力の逼迫を受け、国民を挙げて節電が行われ、二七%の目標が達成されました。都民の節電への意識と実践が、省エネルギーに極めて大きな成果をもたらすといっていいでしょう。その後、徐々に低下してきていますが、震災以前と比べて約二倍の節電意識を継続しています。
まずは、この高い意識を保つ都民や事業者が希望するHEMS、MEMS、エネルギーマネジメント、EVや太陽エネルギー活用機器などの導入への支援を拡充していくことが、省エネルギーのベースとなります。
新たな技術による省エネルギー効果は高いものと期待されており、ハード面から省エネ、創エネを大いに推進していただきたいと思います。都の見解を伺います。
こうしたハード面からの普及対策による省エネルギーのベースを拡充していくことと同じように重要なのが、ハード、すなわち道具を使いこなす最終消費者の適切なエネルギー消費行動を促すことです。
省エネ条例では、都民や事業者は、日常生活及び事業活動において、省エネルギーの推進におのずから積極的に努めるとともに、都も都民等の省エネルギーに関する取り組みを促進するため、必要な技術的支援などを講ずることとしています。
しかし、震災から時間が経過するにつれ、省エネ推進への積極的な姿勢が次第に薄れ、エネルギー消費量が増加していく傾向があるのも事実です。
そこで、省エネの現在の達成状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
次に、災害に強いまちづくりについてお伺いします。
知事が職員への挨拶で、その言葉を引用した後藤新平は、ご承知のとおり、関東大震災の惨禍を繰り返さないため、都市計画を描いた人でもあります。また、数々の復興事業は、環状六号線から八号線、補助線道路、白山通り、甲州街道、そして緑のストックであり防災拠点ともなる大規模公園を残しております。
パリのブルヴァールを模した街路や大規模公園を持つ外苑地区もその一つです。私は、青春時代にストラスブールやマルセイユで過ごした時期があります。旧市街で、駐車場などの問題もありますが、ヨーロッパの都市においては、ほとんど無電柱化が終了していることはもちろん、都市計画、機能的交通網といった基盤整備のあり方について、学ぶところがあると実感しております。
また、復興事業が実施された地域では、整然とした町並みが今も残っていますが、対象外であった地域は、木賃ベルト地域から木造密集地域となっています。
東京都は、この木密地域に対して、これまで延焼遮断帯の整備、木造住宅密集地域等の整備目標、整備方針を定めて、燃えない、壊れない都市づくりを進めていることに加え、良好な住環境形成に向けた住民主体のまちづくりを促進してきており、昨年、不燃化特区制度を本格的に始動し、地区ごとに取り組みを進めています。
私の本格的な予算は来年度以降と知事は発言されていますが、震災に強い安全・安心な
まちづくりに向けて、任期を通してどのように取り組むのか、基本的見解をお伺いします。
今年度は、北関東での竜巻被害や大島での集中豪雨、先日の大雪など、予想が難しいような気象現象による被害が相次いで起きました。
今まで経験したことのないような諸現象に対し、私たちの町、東京は、余りにも脆弱です。今回、気象庁は、大雪警報を出しましたが、特別警報は基準に達しないとの予測で、発表されませんでした。
大島の集中豪雨のケースでも同様ですが、正確な予測は難しいとはいえ、情報の出し方一つで食いとめられる被害があったのではないかという視点で、改めて検証していかなければなりません。
被害を最小限にするためにも、しっかりとした情報収集、気象庁等、関係省庁と連携を含めた情報発信のあり方について検討を求めるものですが、見解をお伺いします。
都議会民主党は、大島の災害直後に必要とされた専門人材の派遣や復旧、復興への支援、加えて大島の災害を貴重な教訓として、大島町における危機管理体制の強化はもちろん、区市町村と連携、情報体制の強化、島しょ地域における地域防災計画の修正など、さまざまな改善を求めてきました。
東京において、区市町村と直接連絡をとれる体制の整備などを図るとともに、大島応急復旧プロジェクトチームにおける検討等を通じて、生活再建や産業、観光の再開支援、都市インフラ復旧、土砂災害防止、避難対策ほか、本格的な復興に向けた施策の構築を図っていくものと理解しています。
そこで、今後の復旧、復興に向けた取り組みについてお伺いいたします。
次に、新銀行東京についてお伺いいたします。
新銀行東京については、都議会民主党は、事業譲渡や株式の売却などを含め、新銀行東京から早期に撤退すべきと主張してきました。
舛添知事は、四百億円の追加出資が議論になった厚生労働大臣であった当時、税金を使うのか、民間の論理を貫徹させるのか、両方が混在し中途半端だったことが、こうした結果を招いた旨発言されるなど、追加出資には否定的であったように思われます。
一方、さきの選挙期間中のマスコミのアンケートに対して、設立当時との環境の変化も踏まえ、中小企業の育成の観点から効果を精査して判断していくと答え、知事就任後のインタビューでも、今後どうするかは検討課題だと述べています。
私たちは、現在の新銀行東京の中期経営計画が、平成二十六年度に終了するなども見据え、舛添知事としても、東京都と新銀行東京のあり方について検討すべきと考えますが、新銀行の今後の方向性について、舛添知事の見解を伺います。
最後に、築地市場の移転問題について伺います。
築地市場の移転問題については、都議会民主党は、土壌汚染問題の解決と関係者との合意を強く求めてきました。土壌汚染については、二月二十日の技術会議において、対策工事がほとんどの区域で完了したことが確認されましたが、自然由来の汚染物質は残ることから、今後とも、地下水のモニタリングなどを含め、都民とのリスクコミュニケーションを積み重ねてもらいたいと思います。
また、中央区との合意を踏まえ、築地地区における食文化の拠点継承に向けた取り組みに対しても、積極的に協力することを引き続き求めるものです。
そこで、築地市場の移転問題における食の安全・安心の確保と、築地地区での食文化の拠点継承について、舛添知事の見解を伺います。
以上で、都議会民主党を代表して質問を終わります。
ご清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事舛添要一君登壇〕
〇知事(舛添要一君) 石毛しげる議員の代表質問にお答えいたします。
まず、ビジョンの策定についてでありますが、私は厚生労働大臣時代、年金記録問題などの困難な問題に取り組んでまいりましたが、その際には、賛否両論、さまざまな意見を聞いて、解決の道筋をつけてまいりました。これは、私の政治信条である万機公論に決すべしを具体化したものであります。
このたび、東京の抱える課題について、長期的な視点から解決への道筋を描くとともに、日本全体をも牽引する新しいビジョンを策定いたします。策定に当たりましては、都議会の皆様と議論を積み重ねるとともに、多くの方々の意見を幅広く聞いてまいりたいと思います。
次に、多摩地域の活性化についてでありますが、私は、今回の選挙活動を通じて、東京がいかに広く、また、多様な魅力に満ちているのかを改めて実感いたしました。
豊かな自然と都市機能が融合した多摩地域は、四百万人もの他の道府県に匹敵する規模の人口を有しており、すぐれた人材や巨大な市場など、さらなる発展に向けた大きな可能性を秘めております。
こうした可能性を生かし、少子高齢化の進展や、産業の空洞化といった課題を乗り越えて、多摩の活力を向上させていくことが急務であります。
このため、多摩振興の取り組みを停滞させることなく推し進めるべく、年度内に新たな多摩のビジョン行動戦略を策定いたします。今後、直面する課題をしっかりと見据え、市町村や民間企業の多様な主体も巻き込みながら、多摩地域の活性化を図ってまいります。
活力に満ちた多摩地域の実現に向け、知事として全力で取り組んでまいります。
続きまして、福祉サービスにおける民間事業者の活用についてご質問がございました。
人材や情報など、都市機能が集積する大都市東京では、企業やNPO法人など、多様な事業主体が活動しております。こうした東京の特性を生かし、地域のさまざまな資源を活用して、都民が必要とする多様な福祉サービスを提供できる仕組みを構築することが、都の役割であります。
そのため、今回、株式会社やNPO法人が整備する保育所に対して、都独自の施設整備費補助を創設いたしました。社会福祉法人であろうと、株式会社であろうと、利用者のニーズに合わせて、いいサービスを提供することが福祉サービスの基本であります。
都としては、今後も創意工夫により、サービスを提供する民間の力、人々が支え合う地域の力、基盤整備を担う行政の力という三つの力を組み合わせ、最大限に活用しながら福祉サービスの充実に努めてまいります。
続きまして、都市外交についてでございます。
外交は、国の専管事項でありますが、都市には都市だからこそできる外交があります。
都は、ニューヨーク、北京、ソウルなどの姉妹友好都市やアジア大都市ネットワーク21会員都市を初めとする世界の都市と、都市に共通する課題の解決に共同で取り組むとともに、スポーツや文化など幅広い分野で交流を行ってまいりました。
オリンピック・パラリンピック開催に向けて、世界の都市との結びつきがますます重要となる中、これまで培ってきた信頼関係に基づき、都市間の交流をさらに活発化していきたいと思います。
今後も、東京という世界有数の都市ならではの都市外交を展開し、東京の国際的な地位を向上させていきます。
次に、オリンピック・パラリンピックのレガシーについてご質問がございました。
二〇二〇年大会は、成熟した日本の姿を世界にアピールするとともに、日本がさらに躍進を遂げるための絶好の機会となります。
大会後を見据え、東京、そして日本社会にどのようなレガシーを残すかということが極めて重要であると考えております。
東京においては、輸送インフラの整備やバリアフリー化の促進等により、都市機能の向上を図るとともに、競技施設の整備により、都民がスポーツに親しむ機会を創出し、スポーツ都市東京を目指してまいります。また、環境負荷の少ない持続可能な社会を実現していきます。
日本全体におきましても、オリンピック・パラリンピックという世界最高レベルのスポーツイベントが自国内で開催されることを契機として、国民全体にスポーツが普及し、子供や若者に夢や希望を与える、さらに大会を通じて、日本のすぐれた技術や独自の文化、おもてなしの精神が広く内外に発信されることにより、我が国の世界におけるプレゼンスが向上すると考えております。
二〇二〇年大会を史上最高の大会とし、これらの貴重なレガシーを東京に、そして日本に残せるよう、大会準備に全力で取り組んでまいります。
次に、今後の福祉政策についてでございますが、現在の我が国の社会保障制度は、一九六〇年代の高度経済成長期以降に、右肩上がりの経済成長と低失業率、正規雇用、終身雇用の男性労働者と専業主婦と子供という核家族モデル、充実した企業の福利厚生等を背景に形づくられました。
しかしながら、人口減少や少子高齢化、就労形態や家族形態の変化、女性の社会進出など制度を取り巻く状況は大きく変化しており、現在のシステムでは多様化、増大するニーズに十分対応することができなくなっております。
福祉政策をとっても、例えば年々増加する保育ニーズに保育所整備は追いついておらず、高齢化の進展に比べ、介護基盤の整備はまだまだ不足しております。
また、障害者が地域で安心して暮らし、当たり前に働くことができる場も十分ではございません。
私は、東京を世界一の福祉先進都市にするために、都の特性を踏まえ、大都市東京にふさわしい福祉政策を今後展開してまいります。
その取り組みの重点は、安心して子供を産み育てることができる環境の整備、高齢者が安心して暮らし続けることができる地域包括ケアシステムの構築、障害者の地域生活基盤の整備や就労支援であります。厚生労働大臣を務めた経験も生かし、必要な制度変革は国に迫りながら、全力で取り組んでまいります。
次に、雇用の基本認識についてご質問がございました。
恒産なくして恒心なしという言葉がありますように、安定した職業という生活基盤があればこそ、明るい気持ちで生活していくことができます。働く意欲のある人が仕事について能力を発揮できる社会をつくり、国民に安心を与え、夢を与えていかなければなりません。
雇用情勢は改善しつつありますが、働く人の三分の一が非正規雇用という現状は、尋常ではないと考えております。目指すべきは、希望に応じて正規雇用という働き方を選択し、実現できる社会であります。
東京都は、国とも力を合わせ、やむを得ず離職した人や不本意な働き方をしている人の再チャレンジを支援してまいります。
また、景気が回復しつつあるこの機を捉えて、企業業績の改善を確実なものとし、雇用の拡大へとつなげてまいります。希望のないところに未来はありません。必要な対策を講じ、都民が豊かさを実現できる東京を実現してまいります。
次に、関係者による協議についてでありますが、これまで都内の企業は、リーマンショックや行き過ぎた円高など未曽有の危機に遭遇してまいりました。こうした困難に対しては、その都度、関係者が協調して立ち向かってまいりました。今、ようやく兆しが見え始めた成長の芽を、より確かなものとしていかなければなりません。
そのため、ステークホルダーが一層強く共通認識を持てるよう、行政と経営者団体、労働団体を構成メンバーとする協議の場をつくることを検討してまいります。
続きまして、教育費負担を軽減する奨学金の給付についてでございますが、次代を担う子供たちの教育とその機会の平等の確保は重要であります。
どの親の子供に生まれるかは子供の責任ではなく、親の所得によって子供が受ける教育の機会が失われることはあってはならないと考えております。
東京の私立学校が多様な教育を展開する中で、子供たち一人一人が望む教育を平等に受け、学校選択の幅を狭めることがないよう、セーフティーネットを構築することは重要であります。
このため、都においては、私立高等学校等に通う生徒を持つ一定所得以下の保護者を対象に、所得に応じて授業料の一部を補助する返済不要の特別奨学金制度を実施しております。
今後とも、子供たちが希望する学校で安心して学べるよう、必要な支援を行ってまいります。
次に、省エネルギーの推進についてでございます。
東京は、エネルギーの大消費地として、エネルギー消費の効率化を図るなど省エネ対策に取り組む責務があります。
また、節電の取り組みは、ネガワットといわれるように、発電所を整備することと同等の効果を持つことから、電力需給の安定化という観点において極めて重要であります。
このため、都は、二〇二〇年までにエネルギー消費量の二〇〇〇年比、二〇%を削減するという明確な目標を掲げ、大規模事業所や中小規模事業所、家庭など部門ごとにさまざまな取り組みを決め、日本のすぐれた省エネ技術も活用しながら、省エネルギーの推進に取り組んでまいります。
今後とも、再生可能エネルギーの普及拡大とあわせて、都民や事業者の協力を得ながら都市のエネルギー利用効率を最大限に高め、環境負荷の少ないスマートエネルギー都市の実現を目指してまいります。
安全・安心なまちづくりについて、ご質問がございました。
都民の生命と財産を守ることが知事としての最大の使命であり、首都直下地震などの災害に万全に備えることが重要であります。
建物の倒壊や延焼のおそれがある木密地域については、その改善を図る木密地域不燃化十年プロジェクトにより、市街地の不燃化に取り組むと同時に、延焼を食いとめ、避難の道ともなる道路の整備を進めてまいります。
また、都内の主要な道路は、災害時の救援活動や復旧、復興に欠かせない大動脈となります。この機能を確保するため、沿道建築物の耐震化を促進するとともに、橋梁の耐震化や無電柱化を推進してまいります。
これらの取り組みを通じて、災害に打ちかつ力強い都市を構築し、六年後に控えたオリンピック・パラリンピックや、その先も見据えて、世界一安全・安心な高度防災都市の実現を目指してまいります。
新銀行東京について、ご質問がございました。
新銀行東京は、これまで紆余曲折を経てきましたが、中小企業支援の理念は継承しつつ、現在では安定して黒字を計上しております。
新銀行東京の今後の方向性については、設立当時との環境の変化なども踏まえ、慎重な検討が必要と考えておりますが、今は黒字体質を継続して、企業価値をさらに高めていくことが重要であると考えております。
次に、築地市場の移転について、ご質問がございました。
新市場の整備に当たりましては、食の安全・安心の確保は不可欠であります。
土壌汚染対策については、これまで着実に進めてきており、先月には、専門家で構成する技術会議において、施設の建設場所における汚染対策の完了を確認したことから、工事に着手いたしました。
これまで、都民代表や関係者で構成する協議会等で情報提供や意見交換を行うことにより、新市場の安全性について理解を得ており、今後とも、さまざまな機会を通じて都民の安心を得られるよう取り組んでまいります。
また、築地は海外にも広く知られ、多くの観光客でにぎわうなど、長い時間をかけ成熟した食文化を育んでまいりました。
市場移転後も、この築地のにぎわいと食文化が継承されるよう、中央区の取り組みに引き続き協力していく所存でございます。
残余の質問につきましては、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〔教育長比留間英人君登壇〕
〇教育長(比留間英人君) いじめを防ぐ教育環境づくりについてでありますが、いじめ防止のための対策を講じるに当たりましては、学校関係者だけではなく、地域、保護者、関係機関など、さまざまな立場の方々からの意見を聞くことが重要であります。
都教育委員会が平成二十四年十月に設置したいじめに関する専門家会議は、校長、医師、弁護士、臨床心理士、警察職員、保護者などで構成され、未然防止、早期発見、早期対応などの各段階における学校の指導体制、被害の子供や周囲の子供への指導のあり方、保護者や関係機関との連携を柱とした提言をまとめました。
こうした提言を踏まえ、今後、条例及び基本方針とあわせて、いじめ総合対策を策定し、東京都におけるいじめ防止対策の一層の充実を図り、子供が安心して学校生活を送ることができる環境を整えてまいります。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕
〇オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、新国立競技場の整備費についてでございますが、新国立競技場の建設については、国が着実に整備を進めていくのが原則であります。国からの整備費負担要請につきましては、いまだ具体的な要求内容が示されておらず、先日、文部科学大臣から知事に対して、整備に向けた協力要請があった後も、整備費負担についての具体的な話には至っておりません。
今後、具体的な内容について確認した上で、改めて検討してまいります。
次に、障害者スポーツの環境づくりについてでありますが、障害のある人が気軽にスポーツを楽しむためには、身近な地域での取り組みが重要であります。
そのため、都では、市区町村などに公益社団法人東京都障害者スポーツ協会の職員を派遣し、スポーツ教室などの実施を後押しするほか、パラリンピック競技のボッチャで使用する用具や競技用の車椅子などを、スポーツ教室などの主催者に貸与し、地域での取り組みを支援しております。
さらに、地域で活躍しているスポーツの担い手に対し、障害者スポーツに関する知識を習得するためのセミナーを実施するなど、指導者の育成にも力を入れております。
また、来年度創設する市区町村のスポーツ施設に対する補助制度では、バリアフリー工事を対象とし、誰もが利用しやすい環境整備を促進いたします。
今後も、こうしたさまざまな取り組みにより、身近な地域での障害者スポーツのさらなる充実に努めてまいります。
最後に、子供たちに夢を与える大会についてでございますが、オリンピック・パラリンピックは、世界最高レベルのスポーツイベントであり、みずからの限界に挑戦するトップアスリートの姿に人々は感動し、勇気づけられます。
六年後の大会は、次の世代を担う子供たちがスポーツのすばらしさを知る最高の機会となるとともに、若いアスリートにとっての大きな目標となります。また、大会ボランティアや国際交流事業への参加などにより、子供たちが各国の人々と交流し、世界に目を開く機会ともなります。
被災地におきましても、宮城スタジアムでのサッカーの開催や聖火リレーなどが予定されております。
二〇二〇年大会が、日本中の子供たちに大きな夢を与えるものとなるよう、着実に開催準備を進めてまいります。
〔福祉保健局長川澄俊文君登壇〕
〇福祉保健局長(川澄俊文君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、保育サービスの充実についてですが、都はこれまで、認可保育所、認証保育所を初め、多様な保育サービスの拡充が図られるよう、国の安心こども基金に加え、都独自の支援策を講じ、保育の実施主体である区市町村の取り組みを促進してまいりました。
また、多様なサービスの中から、保護者が実情に合ったメニューを円滑に利用できるよう、相談や情報提供など区市町村が実施する利用者支援の取り組みについても、支援を行っております。
来年度は、施設整備に係る事業者や区市町村負担のさらなる軽減、定期借地権を活用する場合の区市町村負担の軽減、株式会社などが行う施設整備に対する独自補助等を実施し、待機児童解消に向けた区市町村の取り組みを一層支援してまいります。
次に、特別養護老人ホームの整備についてですが、都はこれまで、区市町村が地域のニーズを踏まえて算定したサービス見込み量に基づき、高齢者保健福祉計画を定め、高齢者人口に比べて整備が十分でない地域への補助額を最大一・五倍に加算するなど、独自補助により特別養護老人ホームの着実な整備を進めてまいりました。
来年度は、施設整備費補助単価を増額するなど、新たな支援策を実施するとともに、区市町村が共同で利用する仕組みを構築いたします。
また、老朽化施設の建てかえを促進するため、清瀬小児病院跡地の活用を図る予定であり、今後とも、区市町村と連携しながら、介護サービス基盤の整備を推進してまいります。
次に、認知症対策のネットワークづくりについてですが、都は現在、十二の認知症疾患医療センターを中心に、医療と介護の連携を進めており、センターは、かかりつけ医や地域包括支援センター等関係機関からの相談に応じるとともに、連携協議会や研修会を通じ、情報の共有やネットワークを支える人材の育成を図っております。
また、今年度から地域に配置した認知症コーディネーターと医療機関、介護事業者等が連携し、認知症の疑いのある高齢者を早期に発見し、適切な支援につなげる取り組みを開始しており、現在十三の区市が実施しているところでございます。
来年度は、三十五の区市町が実施の意向を示しており、こうした取り組みを積み重ねながら、地域における医療、介護の関係機関のネットワークを強化してまいります。
最後に、若年層の自殺対策の充実についてですが、都はこれまで、弁護士や臨床心理士など専門家が悩みに応える若年層向けの相談会を実施するほか、高校生への特別授業や学生向けのライフスキルワークショップなど、区市町村や民間団体が実施するさまざまな取り組みを支援してまいりました。
昨年十一月に改定した自殺総合対策の基本的な取り組み方針においても、若年層の対策を重点課題の一つに位置づけており、自殺予防として、学校での生きる力を育む教育や心と体の健康づくりを盛り込んでおります。
来年度は、相談することの大切さを伝える中学生向け小冊子を、授業等で活用していく予定であり、今後とも、関係機関や民間団体等と連携しながら、若年層の自殺対策の充実に取り組んでまいります。
〔産業労働局長塚田祐次君登壇〕
〇産業労働局長(塚田祐次君) ワークライフバランスについてのご質問にお答えいたします。
誰もが生き生きと働きながら、子育てなど家庭における役割を果たすためには、仕事と家庭生活の両立が可能となる雇用環境を整備することが重要であります。
都は、両立支援を進めようとする企業に対して、社内体制の整備に必要な経費の助成や専門家派遣により、その取り組みを後押ししております。
また、すぐれた取り組みを進める中小企業を認定し公表するなど、ワークライフバランスを推進するための社会的機運の醸成も図っております。
こうした取り組みを引き続き実施し、仕事と生活の両立に向けた雇用環境の整備を支援してまいります。
〔環境局長長谷川明君登壇〕
〇環境局長(長谷川明君) エネルギー施策に関する二点のご質問にお答えいたします。
まず省エネルギー、創エネルギー対策についてでございますが、家庭などでのエネルギー利用の効率化のためには、きめ細かな節電の取り組みとともに、最先端の省エネ、創エネ機器の普及を図ることも重要でございます。
都は、燃料電池などの省エネ、創エネ機器を家庭で普及させるため、HEMS、家庭のエネルギーマネジメントシステムの導入を条件として、今年度から三カ年の補助事業を開始しております。
この事業は、初期需要の創出による製品価格の低下と普及を促進するとともに、スマートメーターと連携した高機能HEMSなどの新製品の市場投入を促すことも目的としております。
今後とも、市場動向を注視しつつ、事業の着実な実施により、家庭などでの省エネ、創エネを推進してまいります。
次に、省エネルギーの達成状況と今後の取り組みについてでございます。
都は、先駆的な気候変動対策を通じて、都民や事業者の協力を得ながら省エネルギーを推進してまいりました。
大震災後の電力不足に際しては、こうした省エネ対策から得られたノウハウを生かして、事業活動などへの支障を回避するため、緊急対策に取り組みました。都内のエネルギー消費量は、LED照明など省エネ性能の高い機器の導入が進んだことなどから、二〇〇〇年度に比べて二〇一一年度で一五%減少いたしました。二〇一二年度以降も無理のない節電が定着しております。
今後とも、エネルギー消費量の二〇〇〇年比、二〇%削減という目標の達成に向けて、大規模事業所や中小規模事業所、家庭など部門ごとの特性を踏まえた省エネルギー対策を推進してまいります。
〔総務局長中西充君登壇〕
〇総務局長(中西充君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、災害時の情報収集及び情報発信のあり方についてでございます。
風水害などによる被害を最小限に抑えるためには、気象情報を正確に把握し、区市町村と連携して住民や事業者へ速やかに注意喚起を図ることが重要です。
都は、気象庁から最新の気象情報を収集し、区市町村へ情報提供するとともに、ツイッターなどを活用して都民に対し情報発信をしております。
また、大型台風が接近するおそれがある場合には、事前に気象庁と共同で区市町村の防災担当者向けに、台風情報の説明会を開催しております。
さらに、来年度には、都の災害情報システムを改修し、気象庁の情報が区市町村にも即座に伝達される仕組みを構築いたします。
今後とも、関係機関と連携し、正確な情報収集と効果的な情報発信を行ってまいります。
次に、大島の復旧、復興に向けた取り組みについてでございます。
都は、発災後、直ちに応急復旧プロジェクトチームを立ち上げ、被災者の生活再建に向けた応急仮設住宅の建設、道路等のインフラの復旧や観光キャンペーンの展開など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
今後は、こうした取り組みに加え、被災した元町地域を中心とした防災対策を推進し、将来に向けたまちづくりを進めていくことが重要です。
このため、都は、梅雨期までに堆積工の機能強化などの応急対策を実施するとともに、今月中に土砂災害対策検討委員会において、本格的な復旧対策を取りまとめます。
また、今後のまちづくりに向けて、大島町に派遣した職員を活用し、復興計画の策定を支援するなど、全庁を挙げて大島の復興に取り組んでまいります。
〇六十七番(近藤充君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこれをもって散会されることを望みます。
〇議長(吉野利明君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(吉野利明君) ご異議なしと認め、さよう決定いたします。
明日は、午後一時より会議を開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後八時三分散会
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